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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-18
(45)【発行日】2023-05-26
(54)【発明の名称】照明器具
(51)【国際特許分類】
   F21S 8/08 20060101AFI20230519BHJP
   F21V 9/08 20180101ALI20230519BHJP
   F21V 3/06 20180101ALI20230519BHJP
   F21V 3/10 20180101ALI20230519BHJP
   F21W 131/103 20060101ALN20230519BHJP
   F21Y 103/10 20160101ALN20230519BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20230519BHJP
【FI】
F21S8/08 200
F21V9/08 400
F21V3/06 110
F21V3/10 310
F21V3/10 330
F21W131:103
F21Y103:10
F21Y115:10
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2018114486
(22)【出願日】2018-06-15
(65)【公開番号】P2019220265
(43)【公開日】2019-12-26
【審査請求日】2020-12-15
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100141449
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 隆芳
(74)【代理人】
【識別番号】100142446
【弁理士】
【氏名又は名称】細川 覚
(74)【代理人】
【識別番号】100170575
【弁理士】
【氏名又は名称】森 太士
(72)【発明者】
【氏名】太田 朋広
【審査官】河村 勝也
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-112024(JP,A)
【文献】特開2018-037243(JP,A)
【文献】特開2013-045606(JP,A)
【文献】特開2008-243602(JP,A)
【文献】特開2015-217906(JP,A)
【文献】特開2005-142116(JP,A)
【文献】特開2015-220160(JP,A)
【文献】特開2005-142061(JP,A)
【文献】特開2004-063237(JP,A)
【文献】国際公開第2016/092678(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 8/08
F21V 9/08
F21V 3/06
F21V 3/10
F21S 2/00
F21W 131/103
F21Y 103/10
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の光源を実装する細長い基板と、
前記基板の長手方向に沿って延伸し、前記基板を内包する管状のケースと、
前記基板の長手方向に沿って延伸し、複数の前記光源から発せられた光を反射し、水平面よりも下方へ照射させる反射板と、
を備え、
前記ケースは、前記光源から発せられた光が前記反射板に向かう光路に位置して前記光を透過可能とする透過部と、前記光路に位置しない黒色部とが組み合わされた1つの管を構成し
前記透過部は、前記ケースのうち前記基板の長手方向に沿った平板領域であり、
前記黒色部は、前記ケースのうち前記平板領域を除くすべての領域である、照明器具。
【請求項2】
前記黒色部は、表面に艶消し黒塗装が施された部材である、請求項1に記載の照明器具。
【請求項3】
前記黒色部は、黒色の材料で成型された部材である、請求項1に記載の照明器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、照明器具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、高速道路等の道路照明に用いられる低位置照明方式を採用した照明器具がある。特許文献1は、光源としての発光ダイオードからの光を直接的に外部に向かわせる道路用照明装置を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-233002号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
低位置照明方式を採用した照明器具では、器具の設置高さがドライバーの目線付近となるため、照明器具側でグレアが発生すると、ドライバーが眩しさを感じる場合がある。一方、道路照明に用いられる照明器具では、路面照度や車線軸均斉度等、要求される様々な光学性能がある。これらの所望の光学性能を得る配光設計を考慮し、光源からの光を直接的に外部に向かわせるのではなく、反射板を介して外部に向かわせるように照明器具を構成することも考えられる。反射板を用いる照明器具においても、グレアの発生要因を排除する対策が望まれることに変わりはない。
【0005】
本開示は、このような従来技術の有する課題に鑑みてなされたものである。そして、本開示の目的は、グレアの発生を抑えるのに有利な照明器具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本開示の態様に係る照明器具は、光源を実装する基板と、光源から発せられた光を反射し、水平面よりも下方へ照射させる反射板と、前記基板の光射出側の表面に対向し、かつ、光源から発せられた光が反射板に向かう光路を避けた位置に設置される黒色部材と、を備える。
【0007】
また、本開示の他の態様に係る照明器具は、光源を実装する基板と、光源から発せられた光を反射し、水平面よりも下方へ照射させる反射板と、を備え、基板の光射出側の表面は、黒色である。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、グレアの発生を抑えるのに有利な照明器具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本開示の実施形態に係る照明器具を示す斜視図である。
図2】本開示の実施形態に係る照明器具を示す断面図である。
図3】本開示の実施形態における黒色部材を示す斜視図である。
図4】本開示の他の実施形態における光源ユニットケースを示す図である。
図5】本開示の他の実施形態に係る照明器具を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、各実施形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、以下の説明では、鉛直方向に平行で、かつ、下方から上方に向かう方向をZ方向と規定する。また、Z方向に対して垂直となる水平面内で、互いに垂直なX方向及びY方向を規定する。このうち、Y方向は、照明器具の長手方向に相当する。
【0011】
(第1実施形態)
まず、本開示の第1実施形態に係る照明器具について説明する。図1は、本実施形態に係る照明器具10の構成を示す斜視図である。図1(a)は、照明器具10全体の図である。図1(b)は、照明器具10から前面パネル14を取り外した状態の図である。図2は、図1(a)のII-II断面に相当する、照明器具10の断面図である。
【0012】
照明器具10は、例えば高速道路等の道路照明に用いられる低位置照明方式を採用した照明装置である。ここで、低位置照明方式とは、例えば、道路の敷設方向に沿って一定の間隔で設置されて道路面を照明する方式のうち、道路脇のガードレール近傍など、比較的高さが低い位置に照明器具を設置する方式をいう。照明器具10は、光射出面が細長く、全体としても細長い形状を有する、いわゆるライン照明装置である。この場合、照明器具10は、光射出面の長手方向が道路の敷設方向に沿うように、道路脇に設置され得る。
【0013】
まず、照明器具10は、外観を形成する構成の一例として、筐体12と、前面パネル14とを備える。
【0014】
筐体12は、後述する照明ユニット20等の照明器具10に含まれる構成要素を内部に収容する。筐体12は、金属製の板体を折り曲げ加工や溶接等して形成される。筐体12は、上壁12a、下壁12b、第1側壁12c、第2側壁12d、前面枠12e及び後壁12fを含む。
【0015】
上壁12a及び下壁12bは、それぞれ、Z方向で互いに対向し、Y方向を長手方向とした細長い板部である。第1側壁12c及び第2側壁12dは、それぞれ、Y方向で互いに対向し、上壁12aと下壁12bとに連続する板部である。例えば、第1側壁12c及び第2側壁12dは、不図示であるが、筐体12の内部と外部との間で配索される配線を貫通させる貫通孔を有してもよい。また、第1側壁12c及び第2側壁12dは、道路脇等に照明器具10を設置するために用いられる設置金具などが固定されてもよい。
【0016】
前面枠12eは、照明器具10の正面側に位置し、四辺が、上壁12a、下壁12b、第1側壁12c又は第2側壁12dのいずれかにそれぞれ連続する枠部である。前面枠12eは、開口部12gを有する。開口部12gは、照明ユニット20からの光が外部に向かう領域であり、また、照明器具10の組み立てに際して、照明ユニット20等の構成要素を筐体12内部に導入する領域である。前面枠12eは、不図示であるが、前面パネル14を取り付けるための複数のボルト穴を有する。
【0017】
後壁12fは、前面枠12eにX方向で互いに対向し、四辺が、上壁12a、下壁12b、第1側壁12c又は第2側壁12dのいずれかにそれぞれ連続する板部である。後壁12fは、照明ユニット20や電源ユニット22等を支持する。
【0018】
前面パネル14は、照明器具10の正面に設置される金属製の板体である。前面パネル14は、不図示であるが、前面枠12eに形成されている複数のボルト穴に対応する位置に、同様に複数のボルト穴を有する。前面パネル14は、これらのボルト穴を通じて複数のボルトを締結させることで、前面枠12eに支持される。
【0019】
ここで、本実施形態では、照明器具10は、一例として2つの照明ユニット20を備える。そこで、前面パネル14は、2つの照明ユニット20のそれぞれの光射出領域に対応した2つの光照射口14aを有する。また、前面パネル14は、それぞれの光照射口14aを塞ぐ透光板16を備える。透光板16は、例えばアクリル樹脂製の板状部材である。
【0020】
透光板16は、筐体12に面する側から取付金具18を用いて前面パネル14に取り付けられる。取付金具18は、例えば、第1金具18aと、第2金具18bとの組み合わせであってもよい。第1金具18aは、一部が前面パネル14に固定され、その他の一部で透光板16のZ方向の平面部を保持するL形金具である。第2金具18bは、一部が第1金具18aに固定され、その他の一部で透光板16を前面パネル14側に押し付けるL形金具である。なお、照明器具10が屋外に設置されることを考慮し、透光板16は、筐体12内への湿気等の進入を抑えるために、ゴムシート等のシール部材を介して前面パネル14に対して取り付けられてもよい。
【0021】
また、前面パネル14は、外周端に、前面パネル14と筐体12との隙間からの雨水等の進入を抑えるために、筐体12の上壁12a、下壁12b、第1側壁12c又は第2側壁12dのいずれかと平行となる枠部14bを有するものとしてもよい。
【0022】
また、照明器具10は、内部構成の一例として、2つの照明ユニット20と、電源ユニット22とを備える。2つの照明ユニット20は、図1(b)に示すように、1つの筐体12の内部において、Y方向に沿って一直線上に配置されている。
【0023】
照明ユニット20は、光を発生させて、照明器具10の外部へ照射光を導くユニットである。照明ユニット20は、光源ユニット30と、反射板40と、光源ユニットケース50と、支持金具60とを備える。
【0024】
図3は、光源ユニット30に関連した各種構成を示す斜視図である。光源ユニット30は、光を発生させるユニットである。光源ユニット30は、基板34と、黒色板体36とを備える。
【0025】
図3(a)は、基板34を示す図である。基板34は、全体的に細長い板体である。基板34は、光射出側の表面34a上に、光源32としての複数のLED(Light-emitting Diode)を断続的かつ直線状に実装している。1つの光源32の平面形状は、一例として、一辺が長さL1の正方形であるものとする。なお、複数の光源32は、必ずしも一直線上に配列されるとは限らない。基板34の種類や仕様によっては、複数の光源32に含まれるいくつかの光源32は、表面34a上で配列方向に対して傾きを持って配列されるものもあり得る。基板34の表面34aの色は、一般的には、白色や緑色等である。基板34は、表面34aの反対側に相当する裏面に、図2に示すように、アルミ材等の熱伝導率の高い材料で構成される放熱部材等の凸部34bを備える。また、基板34は、基板34の固定時に用いられるネジ38(図3(c)参照)を貫通させるための固定用穴34cを有する。なお、図3(a)に示す例では、2つの固定用穴34cが、基板34の長手方向の両端部にそれぞれ形成されているものとしているが、基板34のそれ以外の箇所に形成されていてもよい。
【0026】
図3(b)は、黒色板体36を示す図である。黒色板体36は、基板34の全体形状に近似した細長く、少なくとも、反射板40に対向する側の表面36bが黒色である板体である。黒色板体36は、金属製の本体に対して、少なくとも反射板40に対向する側の表面36bに、光を吸収する艶消し黒塗装が施された黒色部材であってもよい。又は、黒色板体36は、黒色の樹脂等の材料で成型された黒色部材であってもよい。また、黒色板体36は、後述するように基板34と黒色板体36とを平面方向に互いに重ね合わせたときに、基板34に設置されている複数の光源32をそれぞれ収容可能な貫通孔36aを有する。例えば、1つの貫通孔36aの開口形状は、光源32の平面形状である正方形に合わせて、一辺が長さL2の正方形としてもよい。長さL2は、光源32の一辺の長さL1よりも長い。また、黒色板体36は、基板34に重ね合わされたときに、基板34に形成されている固定用穴34cに合う位置に、それぞれ貫通孔36aを有する。
【0027】
図3(c)は、光源ユニット30の全体構成を示す図である。黒色板体36は、基板34の表面34a上に重ね合わされる。このとき、黒色板体36は、基板34を固定位置に固定する際に用いられる複数のネジ38を併用することで、基板34に対して取り付けることができる。黒色板体36が基板34に取り付けられた状態では、基板34上の光源32が、それぞれ、黒色板体36から貫通孔36aに収容されて、黒色板体36の表面36b側に露出する。つまり、黒色板体36は、光源32から発せられる光を遮蔽しない。また、黒色板体36は、複数の光源32を避けた状態で、基板34の表面34aを覆うことになる。
【0028】
反射板40は、光源ユニット30から発せられた光を反射し、前面パネル14に取り付けられている透光板16へ導く金属製の板体である。反射板40は、直接的に光源ユニット30からの光を反射する反射面40aを有する。反射面40aの長手方向の寸法は、光源ユニット30の長手方向の寸法に合わせて細長い。長手方向に対して垂直となる反射面40aの断面形状は、曲面である。また、反射面40aには、例えば、アルミニウム蒸着により鏡面仕上げが施されている。
【0029】
ここで、本実施形態では、光源ユニット30は、図2に示すように、下壁12b側かつ後壁12f側に向けて斜めに光を照射するように設置されている。この場合、反射板40は、次のような条件を満たすように設置される。まず、反射面40aは、光源32の光路PLが含まれる表面形状を有する。また、反射面40aは、光源ユニット30から発せられた光を、図2中の破線で示すように、水平面HLよりも下方に照射光ILが照射されるように導く。つまり、反射面40aは、照射光ILの照射領域の最上部が水平面HLから角度θだけ路面側に向けて下がるように、透光板16から照射光ILを照射させる。
【0030】
光源ユニットケース50は、例えば、光源ユニット30の結露を抑止するために、光源ユニット30を内包する管状のケースである。光源ユニットケース50は、光源ユニット30からの光を反射板40に向けて透過させるために、光透過性の樹脂等の材料で形成されている。光源ユニットケース50の断面形状は、光源ユニット30の断面形状に合わせた矩形とし得る。光源ユニットケース50は、光学性能の劣化を避けるために、光路PLと交わる領域が平面となるように、平板状の上面部50aを含む。また、光源ユニットケース50は、内部の光源ユニット30を安定的に固定させるために、又は、光源ユニットケース50自体を固定部に安定的に固定させるために、平板状の下面部50bを含む。ここで、光源ユニットケース50の内部形状が、例えば、光源ユニット30を構成する基板34の形状に合うように光源ユニットケース50を成型することで、光源ユニット30は、光源ユニットケース50の内部に、単に差し込まれるだけで固定されてもよい。又は、光源ユニット30は、光源ユニットケース50の内部に、ネジ等の締結部材や取付部材を介して固定されてもよい。なお、光源ユニットケース50の長手方向の両端部にある開口は、不図示のキャップで塞がれる。ただし、少なくとも一端側のキャップは、光源ユニット30への配線を配索させるための貫通孔を有する。なお、光源ユニットケース50は、例えば、筐体12及び前面パネル14の側で十分な結露対策が施されている場合には、用いられないこともある。
【0031】
支持金具60は、光源ユニット30、反射板40及び光源ユニットケース50を支持する金具である。上記のとおり、光源ユニット30及び反射板40は、照射光ILの照射領域の最上部が路面側に向けて下がるように、それぞれ筐体12内に配置される。そこで、支持金具60は、例えば、上方に位置する第1板部60aと、下方に位置する第2板部60bと、筐体12の後壁12f側に面する第3板部60cを含む。第1板部60aは、光源ユニット30を固定する。ただし、本実施形態では、光源ユニット30は光源ユニットケース50の内部に設置されているので、第1板部60aは、光源ユニット30を保持した光源ユニットケース50を固定することになる。第1板部60aは、光源ユニット30の前面枠12e側の端部がZ方向下方へ下がるように傾斜している。第2板部60bは、反射板40に設けられている下方フランジ40cを固定する。一方、第3板部60cは、前面枠12eに対向する面で、反射板40に設けられている上方フランジ40bを固定する。第3板部60cは、第1板部60aと第2板部60bとZ方向で連結している。
【0032】
照明ユニット20は、取付金具19を介して、後壁12fに取り付けられる。取付金具19は、例えば、不図示のボルト等を用いて支持金具60を支持する第1板部19aと、第1板部19aの上方及び下方のそれぞれに連接され、不図示のボルト等を用いて後壁12fに支持されるフランジ19bとを含む。
【0033】
電源ユニット22は、外部から与えられた商用電源を直流電流に変換し、基板34のプリント回路に送ることで、光源32から光を発生させる。なお、不図示であるが、電源ユニット22は、上記の照明ユニット20を支持する取付金具19と同様の取付金具を用いて後壁12fに支持されてもよい。
【0034】
次に、照明器具10による作用及び効果について説明する。
【0035】
本実施形態に係る照明器具10は、光源32を実装する基板34と、光源32から発せられた光を反射し、水平面HLよりも下方へ照射させる反射板40とを備える。また、照明器具10は、基板34の光射出側の表面34aに対向し、かつ、光源32から発せられた光が反射板40に向かう光路PLを避けた位置に設置される黒色部材を備える。
【0036】
一般に、低位置照明方式を採用した照明器具が道路照明に用いられる場合、器具の設置高さが道路上のドライバーの目線付近となる。そのため、照明器具側でグレアが発生すると、ドライバーが眩しさを感じる場合がある。ここで、比較例として、本実施形態と同様に反射板40を用いて光を照射するような、従来の低位置照明方式の照明器具におけるグレアの発生要因について考える。例えば、本実施形態で挙げられている黒色板体36のような黒色部材を用いない場合、基板34の表面34aが反射板40に向かって露出する。また、一般的なLED基板の表面は、白色である。そのため、基板34の表面34aが反射板40の反射面40aに写り込むと、写り込んだ像が水平面HLよりも上方に向かって照射される場合がある。つまり、このような上方反射が、照明器具のグレアとなるおそれがある。
【0037】
これに対して、本実施形態では、基板34の光射出側の表面34aに対向し、かつ、光源32から発せられた光が反射板40に向かう光路PLを避けた位置に、黒色部材が設置されている。黒色部材は、光を吸収しやすい部材であるので、例えば白色の基板表面が単に露出している場合に比べて、基板34の表面34a上で光が反射しづらくなる。そのため、基板34の表面34aが反射板40の反射面40aに写り込みづらくなる。結果として、照明器具10は、グレアの発生を抑えることができる。
【0038】
具体的には、グレアの発生状態を、水平面HLよりも上方に向かう上方光束で表すと、黒色部材を用いない照明器具では、例えば、上方光束が4~5%程度となる測光結果が得られる。これに対して、本実施形態のような黒色部材を用いる照明器具10では、上方光束が0.1%程度となる測光結果が得られる。このように、本実施形態によれば、上方光束を削減することができる。上方光束が削減されたということは、すなわち、グレアの発生が抑えられたことを意味する。
【0039】
また、照明器具10では、黒色部材は、光源32を収容可能な貫通孔36aを有し、光源32を避けて基板34の表面34aを覆う黒色板体36であるものでもよい。
【0040】
このような照明器具10によれば、黒色部材として黒色板体36のみを予め準備し、黒色板体36を基板34に取り付けるだけで、簡易的に、グレアの発生を抑えることができる。つまり、このような黒色板体36を用いることで、基板34の構成を、従来の表面が白色等の基板から変更する必要がない。同様に、照明器具10のその他の構成要素に関しても、従来の照明器具から大きな構成変更や形状変更等を行うことを回避できる。
【0041】
また、照明器具10では、黒色部材は、表面に艶消し黒塗装が施された部材であってもよい。
【0042】
このような照明器具10によれば、黒色部材は好適に光を吸収することができるので、結果として良好にグレアの発生を抑えることができる。
【0043】
また、照明器具10では、黒色部材は、黒色の材料で成型された部材であってもよい。
【0044】
このような照明器具10によれば、黒色部材が光を吸収可能とする効果を維持し、加えて、例えば、黒色部材の大量生産や、製造コストの削減、又は、材料の種類によっては軽量化等の効果を奏し得る。
【0045】
(第2実施形態)
次に、本開示の第2実施形態に係る照明器具について説明する。第1実施形態では、基板34に取り付けられる黒色板体36を、基板34の表面34aの反射板40への写り込みを抑える黒色部材として採用した。これに対して、本実施形態では、黒色部材として、黒色板体36に代えて、第1実施形態でいう光源ユニットケース50側に黒色部を含ませる。
【0046】
図4は、本実施形態における光源ユニットケース52の構成を示す図である。図4(a)は、光源ユニットケース52の斜視図である。図4(b)は、図4(a)中のIVB-IVB断面に相当する、光源ユニットケース52の断面図である。なお、基板34の構成は、第1実施形態における構成と同一である。
【0047】
光源ユニットケース52の全体形状は、第1実施形態における光源ユニットケース50と同様である。特に、第1実施形態における光源ユニットケース50は、全体が単一の光透過性の材料で成型されたものである。これに対して、本実施形態における光源ユニットケース52は、少なくとも2種類の要素で構成されている。具体的には、光源ユニットケース52は、光路PLに位置して光を透過可能とする透過部56と、光路PLに位置しない黒色部54とを含む。まず、黒色部54は、基本的に、光源ユニットケース52の全体を構成する。ただし、光源ユニットケース52のすべてが黒色であると、光源32から発せられた光を外部に照射させることができない。そこで、光源ユニットケース52のうち光路PLの範囲を含む平板領域のみが、光透過性を有する材料で形成される透過部56となる。つまり、図4(b)を参照すると、透過部56は、少なくとも、光路PLの範囲を含む幅L3の寸法を有する。
【0048】
このような照明器具10によれば、黒色部54における透過部56に隣設する上面部54aが、基板34の光射出側の表面34aに対向し、かつ、光源32から発せられた光が反射板40に向かう光路PLを避けた位置に設置される黒色部材に相当する。そのため、照明器具10は、光源ユニットケース52を用いることで、第1実施形態で例示したような黒色板体36を用いなくても、上面部54aが基板34の表面34aの反射面40aへの写り込みを回避させるので、第1実施形態と同様の効果を奏し得る。特に、本実施形態によれば、基板34に黒色板体36を取り付けることが難しい事由が存在する場合に、黒色板体36の設置に代えて対応可能となる点で有利となり得る。
【0049】
なお、黒色部54が、表面に艶消し黒塗装が施された部材であっても、黒色の材料で成型された部材であってもよい点は、第1実施形態と同様である。
【0050】
(第3実施形態)
次に、本開示の第3実施形態に係る照明器具について説明する。第1実施形態では、2つの照明ユニット20が、長手方向であるY方向に沿って配置される照明器具10を例示した。これに対して、本実施形態に係る照明器具では、2つの照明ユニット20が、高さ方向であるZ方向に沿って配置される。
【0051】
図5は、本実施形態に係る照明器具110の構成を示す断面図である。照明器具110は、Z方向に沿って、2つの照明ユニット20を備える。ただし、個々の照明ユニット20自体は、第1実施形態における照明ユニット20と同様であり、以下、同一の符号を付し、説明を省略する。
【0052】
照明器具110は、筐体112と、前面パネル114とを備える。筐体112及び前面パネル114は、基本的には、第1実施形態における筐体12及び前面パネル14に対応しており、第1実施形態の場合からのZ方向の寸法変更が伴っている。例えば、筐体112は、Z方向に寸法が延伸された前面枠112eと、後壁112fとを含む。前面枠112eには、開口部112gを有する。また、照明器具110は、例えば、第1実施形態における取付金具19に代えて、Z方向に沿って2つの照明ユニット20を支持可能で、かつ、一体的に後壁112fに取付可能とする取付板119を備える。
【0053】
前面パネル114は、Z方向に沿って2つの照明ユニット20が存在することに伴い、Z方向に並ぶ2つの照明ユニット20のそれぞれの光射出領域に対応した2つの光照射口114aを有する。そして、2つの光照射口114aのそれぞれに合わせて、透光板16が取り付けられる。ここで、第1実施形態における取付金具18に類似した取付金具118を用いることで、透光板16を前面パネル114に取り付け可能である。
【0054】
このような、照明器具110によれば、2つの照明ユニット20を高さ方向にも並設させて、第1実施形態と同様の効果を奏し得る。特に、本実施形態によれば、グレアの発生を抑止するための構成である黒色部材が設置されている照明ユニット20自体には、第1実施形態から変更がない。したがって、高さ方向に照明ユニット20を並設させることに伴って、例えば、筐体112の内部に、遮光板等、グレアの発生を抑えるための別構成を付加する必要がないので、照明器具110全体の構成を複雑化することを回避できる。
【0055】
(第4実施形態)
次に、本開示の第4実施形態に係る照明器具について説明する。例えば、第1実施形態では、黒色板体36を基板34に取り付けることで、基板34の光射出側の表面34aが反射板40の反射面40aに写り込むことを抑える照明器具10を例示した。これに対して、本実施形態に係る照明器具では、黒色板体36のような黒色部材を用いることに代えて、基板34の表面34aを直接的に黒色とすることで、表面34aが反射板40の反射面40aに写り込むことを抑える。
【0056】
基板34の表面34aを黒色とする場合、表面34aは、艶消し黒塗装で黒色化されてもよい。第1実施形態の説明では、図3(a)に例示した基板34の表面34aの色は、一般的には白色等であるとしたが、本実施形態に係る照明器具における基板34は、例えば、図3(a)に示す基板34の表面34aが艶消し黒塗装されたものとなる。
【0057】
又は、基板34の表面34aを黒色とする場合、表面34aは、黒色テープの貼付で黒色化されてもよい。この場合、本実施形態に係る照明器具における基板34は、例えば、図3(a)に示す基板34の表面34aに黒色テープが貼付されたものとなる。
【0058】
このような照明器具によれば、第1実施形態と同様の効果を奏することができることに加えて、第1実施形態で用いるような黒色部材を別途準備する必要がないため、部品点数を低減させて、より簡易的な構成とすることができる。
【0059】
なお、上記の各実施形態では、照明ユニット20の設置数を、長手方向であるY方向に沿って2つや、高さ方向であるZ方向に沿って2つとなる場合を例示した。しかし、本開示における照明器具は、これらの設置数に限定されず、1つのみ、又は、それぞれの方向に3つ以上、照明ユニット20が存在してもよい。
【0060】
以上、好ましい実施形態について説明したが、本実施形態は、これに限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。
【符号の説明】
【0061】
10 照明器具
32 光源
34 基板
34a 表面
36 黒色部材
36a 貫通孔
40 反射板
52 光源ユニットケース
54 黒色部
56 透過部
PL 光路
図1
図2
図3
図4
図5