(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-18
(45)【発行日】2023-05-26
(54)【発明の名称】無線遠隔操作装置
(51)【国際特許分類】
H04Q 9/00 20060101AFI20230519BHJP
E02D 3/12 20060101ALI20230519BHJP
B28C 9/04 20060101ALN20230519BHJP
【FI】
H04Q9/00 301B
E02D3/12 102
B28C9/04
(21)【出願番号】P 2018226526
(22)【出願日】2018-12-03
【審査請求日】2021-10-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000177416
【氏名又は名称】三和機材株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092945
【氏名又は名称】新関 千秋
(74)【代理人】
【氏名又は名称】田中 武文
(74)【代理人】
【識別番号】100089934
【氏名又は名称】新関 淳一郎
(72)【発明者】
【氏名】関根 延明
【審査官】木村 雅也
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-200880(JP,A)
【文献】特開2002-256555(JP,A)
【文献】特開2016-178616(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0107132(US,A1)
【文献】中国実用新案第203376853(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04Q 9/00
E02D 3/12
B28C 9/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基礎工事現場にてセメントミルクを製造する可搬式のバッチャープラント1と、該バッチャープラント1を操作する任意所定箇所に設けた操作装置3とを、無線装置5により接続し、前記操作装置3には操作データを送信する操作側送受信部44を設け、前記バッチャープラント1には前記操作装置3から送信される操作データを受信すると共に、バッチャープラント1を制御するバッチャープラント制御部35に集約されたバッチャープラント1の作動状況データを送信するバッチャープラント送受信部43を設け、前記バッチャープラント1のバッチャープラント送受信部43と前記操作装置3の操作側送受信部44とを前記無線装置5により通信接続する構成とし、該無線装置5は多重通信可能なブルートゥース無線により構成した無線遠隔操作装置。
【請求項2】
請求項1において、前記バッチャープラント1の近傍には、該バッチャープラント1により製造されたセメントミルクにより地盤改良あるいは杭打ち作業を行う作業装置2を設け、該作業装置2は掘削軸28を駆動するオーガー27を昇降自在に設けたリーダ26を有して構成し、前記作業装置2には操作装置3から送信される操作データを受信すると共に、作業装置2を制御する作業機制御部36に集約された作業装置2の作動状況データを送信する作業装置側送受信部45を設け、該作業装置側送受信部45と前記操作側送受信部44とを前記無線装置5により通信接続する構成とし、該無線装置5は多重通信可能なブルートゥース無線により構成した無線遠隔操作装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2において、前記バッチャープラント1のバッチャープラント制御部35には、少なくとも、サイロ8のセメント供給排出モータ11のセメント供給スイッチ37と、貯水タンク9の給水ポンプ12の給水ポンプ入切スイッチ38と、バッチャープラント1のミキサー6の撹拌モーター18の撹拌入切スイッチ39と、アジテータ7の回転翼20の回転翼駆動モーター21の回転入切スイッチ40と、バッチャープラント1から作業装置2へセメントミルクを搬送する搬送ポンプ23のミルク搬送ポンプ入切スイッチ41と、バッチャープラント1の重量計測器16とを接続した無線遠隔操作装置。
【請求項4】
請求項1または請求項2または請求項3において
、作業装置2のオーガー27には、オーガー27を駆動する駆動モータ31を搭載し、オーガー27を駆動する駆動モータ31の入切スイッチ32と、少なくとも、前記駆動モータ31の作動状況を検出する熱検出センサ33と駆動モータ31の電流値を検出する電流センサ34とを有する作動状況検出部30と
を作業機制御部36に接続した無線遠隔操作装置。
【請求項5】
請求項1または請求項2または請求項3または請求項4において、前記操作装置3に設けた操作側送受信部44はバッチャープラント1と作業装置2のそれぞれに接続する二系統の無線装置5の一方操作側送受信部44Aおよび操作側送受信部44Cと他方操作側送受信部44Bおよび操作側送受信部44Dとにより構成し、前記各一方操作側送受信部44Aおよび操作側送受信部44Cと他方操作側送受信部44Bおよび操作側送受信部44Dとのそれぞれは同時に送受信可能に構成したバッチャープラントおよび作業装置の無線遠隔操作装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッチャープラントおよび作業装置に操作信号を送出する無線遠隔操作装置に係るものである。
【背景技術】
【0002】
従来、地盤改良や杭打ち作業に使用されるセメントミルクを製造するバッチャープラントについて、バッチャープラントとこのバッチャープラントから離れた操作装置とをインターネット回線を通じて接続し、バッチャープラントの作動状況を監視する監視システムの構成は、公知である(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記公知例は、バッチャープラントと操作装置とをインターネット回線を通じて接続しているので、バッチャープラントで得られたデータ(コンピューター信号)を変換器で電話回線信号に変換してからインターネット回線を通じて操作装置の受信部に送信し、受信したデータ(電話回線信号)を再び変換器でコンピューター信号に変換して操作装置の監視システムに入力することになり、バッチャープラントから大容量のデータを送信する場合、データの信号変換に伴うデータ蓄積時間(バッファリングタイム)が著しく遅延し、操作性が悪く、緊急時の停止が困難であるという課題がある。
本願は、無線通信構成を工夫し、迅速なデータの送受信を実現して操作性を向上させるものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1の発明は、基礎工事現場にてセメントミルクを製造する可搬式のバッチャープラント1と、該バッチャープラント1を操作する任意所定箇所に設けた操作装置3とを、無線装置5により接続し、前記操作装置3には操作データを送信する操作側送受信部44を設け、前記バッチャープラント1には前記操作装置3から送信される操作データを受信すると共に、バッチャープラント1を制御するバッチャープラント制御部35に集約されたバッチャープラント1の作動状況データを送信するバッチャープラント送受信部43を設け、前記バッチャープラント1のバッチャープラント送受信部43と前記操作装置3の操作側送受信部44とを前記無線装置5により通信接続する構成とし、該無線装置5は多重通信可能なブルートゥース無線により構成した無線遠隔操作装置としたものである。
ここで、「ブルートゥース」(Bluetooth)は、登録商標であり、デジタル機器用の近距離無線通信規格の1つである。「ブルートゥース」は、「Bluetooth Basic Rate/Enhanced Data Rata」(BR/EDR)と、「Bluetooth Low Energy」(LE)から構成される。
請求項2の発明は、前記バッチャープラント1の近傍には、該バッチャープラント1により製造されたセメントミルクにより地盤改良あるいは杭打ち作業を行う作業装置2を設け、該作業装置2は掘削軸28を駆動するオーガー27を昇降自在に設けたリーダ26を有して構成し、前記作業装置2には操作装置3から送信される操作データを受信すると共に、作業装置2を制御する作業機制御部36に集約された作業装置2の作動状況データを送信する作業装置側送受信部45を設け、該作業装置側送受信部45と前記操作側送受信部44とを前記無線装置5により通信接続する構成とし、該無線装置5は多重通信可能なブルートゥース無線により構成した無線遠隔操作装置としたものである。
請求項3の発明は、前記バッチャープラント1のバッチャープラント制御部35には、少なくとも、サイロ8のセメント供給排出モータ11のセメント供給スイッチ37と、貯水タンク9の給水ポンプ12の給水ポンプ入切スイッチ38と、バッチャープラント1のミキサー6の撹拌モーター18の撹拌入切スイッチ39と、アジテータ7の回転翼20の回転翼駆動モーター21の回転入切スイッチ40と、バッチャープラント1から作業装置2へセメントミルクを搬送する搬送ポンプ23のミルク搬送ポンプ入切スイッチ41と、バッチャープラント1の重量計測器16とを接続した無線遠隔操作装置としたものである。
請求項4の発明は、作業装置2のオーガー27には、オーガー27を駆動する駆動モータ31を搭載し、オーガー27を駆動する駆動モータ31の入切スイッチ32と、少なくとも、前記駆動モータ31の作動状況を検出する熱検出センサ33と駆動モータ31の電流値を検出する電流センサ34とを有する作動状況検出部30とを作業機制御部36に接続した無線遠隔操作装置としたものである。
請求項5の発明は、前記操作装置3に設けた操作側送受信部44はバッチャープラント1と作業装置2のそれぞれに接続する二系統の無線装置5の一方操作側送受信部44Aおよび操作側送受信部44Cと他方操作側送受信部44Bおよび操作側送受信部44Dとにより構成し、前記各一方操作側送受信部44Aおよび操作側送受信部44Cと他方操作側送受信部44Bおよび操作側送受信部44Dとのそれぞれは同時に送受信可能に構成したバッチャープラントおよび作業装置の無線遠隔操作装置としたものである。
【発明の効果】
【0006】
請求項1の発明では、バッチャープラント1の操作装置3には操作データを送信する操作側送受信部44を設け、バッチャープラント1には操作装置3から送信される操作データを受信すると共に、バッチャープラント1を制御するバッチャープラント制御部35に集約されたバッチャープラント1の作動状況データを送信するバッチャープラント送受信部43を設け、該バッチャープラント送受信部43と前記操作側送受信部44とを有して無線装置5を構成し、このバッチャープラント1と操作装置3の間の無線装置5はブルートゥース無線により構成しているので、周囲の無線機器からの干渉で通信不良に陥ることがなく、確実な無線通信を可能とし、操作の確実性を向上させ、緊急時の停止を可能にする。
請求項2の発明では、バッチャープラント1の近傍に設けた作業装置2の制御する作業機制御部36に作業装置2の作動状況データを送信する作業装置側送受信部45を設け、該作業装置側送受信部45と前記操作側送受信部44とを有して前記無線装置5を構成し、該無線装置5はブルートゥース無線により構成しているので、周囲の無線機器からの干渉で通信不良に陥ることがなく、確実な無線通信を可能とし、操作の確実性を向上させ、緊急時の停止を可能にする。
請求項3の発明では、前記バッチャープラント1のバッチャープラント制御部35には少なくとも、サイロ8のセメント供給排出モータ11のセメント供給スイッチ37と、貯水タンク9の給水ポンプ12の給水ポンプ入切スイッチ38と、バッチャープラント1のミキサー6の撹拌モーター18の撹拌入切スイッチ39と、アジテータ7の回転翼20の回転翼駆動モーター21の回転入切スイッチ40と、バッチャープラント1から作業装置2へセメントミルクを搬送する搬送ポンプ23のミルク搬送ポンプ入切スイッチ41と、バッチャープラント1の重量計測器16とを接続しているので、操作装置3からのバッチャープラントおよび作業装置の無線遠隔操作装置を可能にして操作性を向上させられ、リアルタイムでバッチャープラント1の作動状況を把握することができ、作業の不具合や装置の故障発生を迅速に判定でき、緊急時の停止を可能にする。
請求項4の発明では、前記作業装置2のオーガー27には、オーガー27を駆動する駆動モータ31を搭載し、オーガー27を駆動する駆動モータ31の入切スイッチ32と、少なくとも、前記駆動モータ31の作動状況を検出する熱検出センサ33と駆動モータ31の電流値を検出する電流センサ34とを有する作動状況検出部30とを前記作業機制御部36に接続しているので、操作装置3からのバッチャープラント1および作業装置2の無線遠隔操作を可能にして操作性を向上させられ、リアルタイムで作業装置2の作動状況を把握することができ、作業の不具合や装置の故障発生を迅速に判定でき、緊急時の停止を可能にする。
請求項5発明では、操作装置3に設けた操作側送受信部44はバッチャープラント1と作業装置2のそれぞれに二系統の無線装置5の一方操作側送受信部44Aおよび操作側送受信部44Cと他方操作側送受信部44Bおよび操作側送受信部44Dとにより構成し、前記各一方操作側送受信部44Aおよび操作側送受信部44Cと他方操作側送受信部44Bおよび操作側送受信部44Dとのそれぞれは同時に送受信可能に構成しているので、一層、大容量のデータ送受信を可能にでき、緊急時の停止を可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】バッチャープラントと作業装置の関係を示す模式図。
【
図6】バッチャープラントと作業装置と操作装置のブロック図。
【
図7】ベースマシンに設けた操作装置の正面図と展開状態の側面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の一実施形態を図面を参照して以下説明する。
本発明は、地盤改良・杭打ち用の作業装置2等へ供給するセメントミルクMを製造するバッチャープラント1の無線による遠隔操作可能にした無線遠隔操作装置Eに係るものであり、任意所定箇所に設けた操作装置3と、バッチャープラント1および/または作業装置1とを、無線遠隔操作装置Eのシリアルインターフェース4を伴った無線装置5により高速通信可能に接続する構成としている。
バッチャープラント1の構成は任意であるが、一例を示すと、バッチャープラント1内には所定量の水と所定量のセメントとを撹拌してセメントミルクを製造するミキサー6と、このミキサー6で製造したセメントミルクを固まらないようにかき回しながら一時貯留するアジテータ7とを備えて構成する。
【0009】
本実施形態では、バッチャープラント1の近傍に、バッチャープラント1のミキサー6に供給するセメントを貯留するサイロ8と、セメントに加える水を貯留する貯水タンク9とを設けているが、サイロ8および貯水タンク9を含めてセメントミルクを製造するバッチャープラント1としてもよい。
このバッチャープラント1とサイロ8と貯水タンク9のそれぞれはトラック等により作業現場あるいは作業現場近傍に運搬可能に構成した可搬式とする。
前記サイロ8の構成は任意であり、サイロ8はセメントを貯留できればよく、サイロ8内には内部のセメントを供給排出させる供給排出装置10を設け、供給排出装置10はセメント供給排出モータ11により駆動する。
前記貯水タンク9の構成は任意であり、貯水タンク9にはミキサー6に水を供給する給水ポンプ12を設ける。
【0010】
前記ミキサー6は混練用樋15をバッチャープラント1内に上下動自在に吊設し、混練用樋15には重量計測器(ロードセル)16を取付ける。
バッチャープラント1ではミキサー6に、予め設定された量のセメントミルクとなるべき量に設定された水を供給し、ミキサー6に実際に供給された水量を重量計測器16により計測し、設定水量と計量水量とを対比し、設定水量に対する所定割合の割合比となるセメント量を演算し、この自動補正されたセメント量をミキサー6にサイロ8から供給する(なお、必ず、水量に対してセメント量が多くなるように補正すると好適である。)。
混練用樋15内には撹拌翼17を吊設し、撹拌翼17は撹拌モーター18により駆動回転させる。
【0011】
混練用樋15の排出口の下方にはアジテータ7の貯留樋19を臨ませ、貯留樋19には回転翼20を設け、回転翼20は回転翼駆動モーター21により駆動回転させる。
アジテータ7には所定箇所にセメントミルクを搬送する搬送ホース22を接続し、搬送ホース22の中間部所定位置にはセメントミルクを搬送する搬送ポンプ(グラウトポンプ)23を設ける。
この場合、本実施形態では、バッチャープラント1と搬送ポンプ(グラウトポンプ)23とは別体に構成しているが、バッチャープラント1の枠体に搬送ポンプ(グラウトポンプ)23を取付けて、バッチャープラント1と搬送ポンプ23とを一体状に構成してもよい。
【0012】
前記作業装置2は、クローラー等により自走可能なベースマシン25に、リーダ26を設け、リーダ26に地盤改良・杭打ちするためのオーガー27を昇降自在に取り付けて構成し、オーガー27に取付けた掘削軸28を介してバッチャープラント1のセメントミルクを地盤中に供給し、地盤改良やコンクリート製杭の製造を行う。
作業装置2のオーガー27には、オーガー27の作動状況を検出する作動状況検出部30を設ける。作動状況検出部30は、オーガー27を駆動する駆動モータ31の入切スイッチ32の他に、例えば、オーガー27を駆動する駆動モータ31の作動状況を検出する熱検出センサ33や駆動モータ31の電流値を検出する電流センサ(電流計)34等により構成する。
【0013】
しかして、バッチャープラント1(サイロ8の供給排出装置10と貯水タンク9の給水ポンプ12)および作業装置2を操作する無線遠隔操作装置Eは、バッチャープラント1のバッチャープラント制御部(操作盤・PLC)35と作業装置2の作業機制御部(PLC)36のそれぞれと、任意所定箇所に設けた操作装置3とを、無線装置5により高速通信可能に接続する。
前記バッチャープラント1のバッチャープラント制御部35には、少なくとも、サイロ8のセメント供給排出モータ11のセメント供給スイッチ37と、貯水タンク9の給水ポンプ12の給水ポンプ入切スイッチ38と、バッチャープラント1のミキサー6の撹拌モーター18の撹拌入切スイッチ39と、アジテータ7の回転翼20の回転翼駆動モーター21の回転入切スイッチ40と、バッチャープラント1から例えば作業装置2へセメントミルクを搬送する搬送ポンプ23のミルク搬送ポンプ入切スイッチ41と、バッチャープラント1の重量計測器16とを接続する。
【0014】
このバッチャープラント制御部35には、無線遠隔操作装置Eの操作装置3からの操作信号を受信すると共に、バッチャープラント1の作動状況データを送信するバッチャープラント送受信部43を接続し、バッチャープラント送受信部43はバッチャープラント1の所定箇所に設け、バッチャープラント1のバッチャープラント送受信部43と操作装置3の操作側送受信部44と無線装置5により通信接続する。
また、作業装置2の作業機制御部36には作動状況検出部30が検出した作業装置2の作動状況データを操作装置3に送信すると共に操作装置3からの操作データを受信する作業装置側送受信部45を接続し、作業装置側送受信部45は作業装置2のオーガー27の所定箇所に設ける。
【0015】
操作装置3は所定箇所に設ければよく、
図7は前記作業装置2のベースマシン25の操作室46内に設置する形態であり、バッチャープラント1および/または作業装置2の作動状況データとバッチャープラント1および/または作業装置2を操作させるための操作データを制御するバッチャープラント制御部35(作業機制御部36)と操作側送受信部44を内蔵し、所定部分に操作側送受信部44に接続したアンテナ47を設けて構成している。
50は作業者がバッチャープラント1および/または作業装置2を操作するためのキーボード等を表示するタッチパネル式モニターにより構成した操作入力部であり、操作装置3本体に係脱自在に接続可能に構成している。51は操作装置3本体に係脱自在に接続可能な非常停止スイッチである。
【0016】
また、
図8は作業現場に設置した操作室54に設けた操作装置3を示し、内部に図示は省略するがバッチャープラント制御部35(作業機制御部36)を内蔵し、バッチャープラント制御部35(作業機制御部36)の操作側送受信部44に所定部分に設けたアンテナ47を接続し、作業者がバッチャープラント1および/または作業装置2を操作するためのキーボード等を表示するタッチパネル式モニターにより構成した操作入力部50に加えて各種スイッチ類を設けて構成している。なお、各種スイッチ類の構成は任意であり、操作装置3によりバッチャープラント1および/または作業装置2を操作できればよい。
また、操作装置3に設けた操作側送受信部44は二系統の無線機により一方操作側送受信部44Aと他方操作側送受信部44Bとに構成し、一方操作側送受信部44Aと他方操作側送受信部44Bとを作動させて同時に送受信可能に構成している(
図7、8)。
【0017】
なお、本実施形態では、作業装置2のオーガー27の作業機制御部36の作業装置側送受信部45と操作装置3の操作側送受信部44との間で操作データと作動状況データの送受信を行う必要があるので、操作装置3に設けた操作側送受信部44はさらに二系統の一方操作側送受信部44Cと他方操作側送受信部44Dの無線機を追加して並設し(
図7、8)、計4系統の無線機を設け、バッチャープラント1と作業装置2とを同時に遠隔操作可能な構成としている。
また、バッチャープラント1のバッチャープラント送受信部43および作業装置2のオーガー27の作業装置側送受信部45のそれぞれに対応した操作装置3の各操作側送受信部44の一方操作側送受信部44A(操作側送受信部44C)を送信専用構成とし、他方操作側送受信部44B(操作側送受信部44D)を受信専用構成としてもよい。
【0018】
そして、バッチャープラント1のバッチャープラント送受信部43および/または作業装置2の作業装置側送受信部45と操作装置3の操作側送受信部44を有して構成されている無線装置5は、多重通信可能なブルートゥース(Bluetooth(登録商標))等のシリアルインターフェース4により送受信する構成としている。
ここで、「ブルートゥース」(Bluetooth)は、登録商標であり、デジタル機器用の近距離無線通信規格の1つである。「ブルートゥース」は、「Bluetooth Basic Rate/Enhanced Data Rate」(BR/EDR)と、「Bluetooth Low Energy」(LE)から構成される。
また、無線装置5を、多重通信可能なブルートゥース無線としているので、バッチャープラント1および作業装置2と、操作装置3とを最大4系統の通信が互いに干渉して通信不良となること防止でき、これにより、確実なデータのやりとりを実現でき、操作の確実性を向上させられ、非常時の緊急停止信号も確実に送信できる。
【0019】
(実施形態の作用)
本発明は上記構成であり、作業現場にバッチャープラント1と作業装置2を運搬し、バッチャープラント1と作業装置2を所定位置に設置し、バッチャープラント1では作業装置2にセメントミルクを供給できるようにし、作業装置2はリーダ26を起立固定させて、作業装置2のオーガー27にバッチャープラント1からセメントミルクを供給する搬送ホース22を接続する。
バッチャープラント1が作動すると、作業装置2がバッチャープラント1からセメントミルクの供給を受け、地盤改良あるいは杭打ち作業等を行う。
【0020】
バッチャープラント1のバッチャープラント操作制御部35と、任意所定箇所に設けた操作装置3とを、無線装置5により高速通信可能に接続しているので、操作装置3にバッチャープラント1の操作情報を入力すると、入力された操作情報は操作側送受信部44によりバッチャープラント1のバッチャープラント送受信部43に送信され、操作情報を受信したバッチャープラント送受信部43はバッチャープラント制御部35を介して操作情報の制御を実行してバッチャープラント1の各部を作動させ、搬送ホース22を介してセメントミルクを作業装置2のオーガー27に供給する。
【0021】
同様に、作業装置2のオーガー27には、オーガー27を駆動する駆動モータ31を搭載し、この駆動モータ31は作業機制御部36により制御され、作業機制御部36には無線遠隔操作装置Eの操作装置3からの操作データを受信する作業装置側送受信部45を接続しているので、操作装置3の操作入力部50に作業装置2の操作情報を入力すると、入力された操作情報は操作側送受信部44により作業装置2の作業装置側送受信部45に送信され、操作情報を受信した作業装置側送受信部45は作業機制御部36を介して操作情報の制御を実行して作業装置2のを作動させ、地盤改良あるいは杭打ち作業を行う。
【0022】
操作装置3には、バッチャープラント1(作業装置2)を操作させるための操作データを入力するキーボード等を表示するタッチパネル等により構成した操作入力部50を設けているので、バッチャープラント1(オーガー27)への操作情報の入力は操作入力部50により行う。
そのため、簡便に操作情報の入力ができ、また、タッチパネルに操作情報が表示されるので、入力した操作情報を作業者は視認でき、操作性を向上させられ、かつ、誤操作を防止できる。
そして、バッチャープラント1のバッチャープラント送受信部43(作業装置側送受信部45)は、操作データを受信するだけでなく、バッチャープラント1(作業装置2)の作動状況データを操作装置3に送信(フィードバック)する構成としているので、リアルタイムでバッチャープラント1および作業装置2の作動状況を把握することができ、作業の不具合や装置の故障発生を迅速に判定することができる。
【0023】
この場合、無線装置5の操作部41に設けたバッチャープラント1と作業装置2のオーガー27のそれぞれに対応する各操作側送受信部44は二系統の無線機により一方操作側送受信部44Aと他方操作側送受信部44Bとに構成し、一方操作側送受信部44Aと他方操作側送受信部44Bとを作動させて同時に送受信可能に構成し、かつ、多重通信可能なブルートゥース無線により送受信する構成としているので、バッチャープラント1および作業装置2から送信(フィードバック)される大容量のデータであっても、データ蓄積時間(バッファリングタイム)を短縮化させられ、操作性を向上させられる。
【0024】
また、多重通信可能なートゥース無線を使用するため、周囲の無線機器からの干渉で通信不良に陥ることがなく、確実な無線通信を可能とし、操作の確実性を向上させられる。
また、無線装置5の操作側送受信部44は二系統の多重通信可能な無線機により一方操作側送受信部44Aと他方操作側送受信部44Bとに構成し、一方操作側送受信部44Aと他方操作側送受信部44Bとを作動させて同時に送受信可能としているので、緊急時に即時データ送信が可能となって、バッチャープラント1の緊急停止を可能にでき、操作性を向上させられる。
【0025】
そして、本実施形態では、作業装置2の作業機制御部36と操作装置3に設けた操作側送受信部44との間において、操作データと作動状況データを送受信を行う構成とし、操作装置3に設けた操作側送受信部44はさらに二系統の一方操作側送受信部44Cと他方操作側送受信部44Dの無線機を追加して並設し、計4系統の多重通信可能な無線機を設け、バッチャープラント1と作業装置2のオーガー27とを同時に遠隔操作可能な構成としているので、バッチャープラント1と作業装置2との同時操作および同時作動状況の把握が可能となって、操作性を向上させられ、しかも、バッチャープラント1のみならず、作業装置2のオーガー27の緊急停止も可能としている。
なお、バッチャープラント1により製造したセメントミルクの供給先は任意であり、本実施形態の作業装置2の構成に限定されるものではない。
また、操作装置3はバッチャープラント1と作業装置2とをそれぞれ独立して操作可能に無線装置5により接続されている。
【符号の説明】
【0026】
1…バッチャープラント、2…作業装置、3…操作装置、5…無線装置、6…ミキサー、7…アジテータ、8…サイロ、9…貯水タンク、10…供給排出装置、11…セメント供給排出モータ、12…給水ポンプ、15…混練用樋、16…重量計測器、17…撹拌翼、18…撹拌モーター、19…貯留樋、20…回転翼、21…回転翼駆動モーター、22…搬送ホース、23…搬送ポンプ(グラウトポンプ)、25…ベースマシン、26…リーダ、27…オーガー、28…掘削軸、30…作動状況検出部、31…駆動モータ、32…入切スイッチ、33…熱検出センサ、34…電流センサ(電流計)、35…バッチャープラント制御部、36…作業機制御部、37…セメント供給スイッチ、38…給水ポンプ入切スイッチ、39…撹拌入切スイッチ、40…回転入切スイッチ、41…ミルク搬送ポンプ入切スイッチ、43…バッチャープラント送受信部、44…操作側送受信部、45…作業装置側送受信部、46…操作室、47…アンテナ、50…操作入力部、51…非常停止スイッチ、54…操作室。