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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-18
(45)【発行日】2023-05-26
(54)【発明の名称】制御盤装置
(51)【国際特許分類】
   H02B 1/20 20060101AFI20230519BHJP
   H05K 7/02 20060101ALI20230519BHJP
【FI】
H02B1/20 P
H05K7/02 N
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019143828
(22)【出願日】2019-08-05
(65)【公開番号】P2021027692
(43)【公開日】2021-02-22
【審査請求日】2022-08-02
(73)【特許権者】
【識別番号】391020056
【氏名又は名称】小松電機産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080182
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 三彦
(74)【代理人】
【識別番号】100142572
【弁理士】
【氏名又は名称】水内 龍介
(72)【発明者】
【氏名】小松 昭夫
(72)【発明者】
【氏名】稲若 和昭
(72)【発明者】
【氏名】阿部 哲也
(72)【発明者】
【氏名】金元 祐樹
【審査官】井上 信
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-14019(JP,A)
【文献】特開2008-301689(JP,A)
【文献】特開2007-60879(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02B 1/20
H05K 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前面に開閉自在な扉を備えた筐体内に電装機器類を設置してなる制御盤装置であって、
前記筐体の後壁に平行に配置される後板部と、前記後板部の両側縁からそれぞれ前方に立ち上がる一対の立ち上がり部と、前記一対の立ち上がり部の前端から互いに離反する方向に広がるフランジ部と、を有する部品浮かし部と、
前記後板部との間に空間を設けて前記フランジ部の間に架設され、前記電装機器が固定される架設部と、
を備え、
前記後板部と前記架設部との間の空間が、前記架設部に固定された前記電装機器の配線が挿通される配線空間であることを特徴とする制御盤装置。
【請求項2】
前記部品浮かし部は、前記後板部が前記筐体の前記後壁に固定されることを特徴とする請求項1に記載の制御盤装置。
【請求項3】
前記部品浮かし部は、前記筐体の前記後壁から空間を開けて取り付けられる後仕切壁に前記部品浮かし部の前記後板部が固定されることを特徴とする請求項1に記載の制御盤装置。
【請求項4】
外部機器の監視及び制御を行う制御盤装置であり、
電源切り替え装置、及び前記外部機器の監視及び制御の処理を行うコントローラが、前記後仕切部に固定されるとともに、
前記外部機器の電力容量に応じて種類又は個数が異なる電装機器類を取り付けた前記架設部が前記部品浮かし部に架設されて形成される電装機器ユニットが、前記後仕切壁に固定されることを特徴とする請求項3に記載の制御盤装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筐体内に電装機器類を収納した状態で、屋外又は屋内に設置し、例えばマンホールポンプなどの外部機器の状態を監視及び制御する制御盤装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、下水処理施設や水質浄化施設等に設置される制御盤装置は、各水処理箇所毎に設けた個別の制御盤装置によって、水処理の状況の把握及びこれに対応したポンプ等動力機器の制御を行っている。従来、このような監視制御盤は、その制御を司る電装機器類を開口部を有する方形状の筐体の後壁に断熱のための空間を開けて取り付けられた仕切り板やDINレールを介して一体的に組付けると共に、開口部を施錠を有した扉で開閉可能に閉鎖して構成されており、このような監視制御装置を、筐体の後壁の外側に取付座を設けて取り付けバンドにて電柱等の支柱に取付支持し、地上から内部の点検や各機器の設定変更操作或いは修理等のメンテナンス作業を行うことができる(例えば特許文献1参照)。
【0003】
そして、上述のような監視制御装置には、コントローラ、ブレーカー、非常時の強制運転ユニット、各種センサなどの装置内の種々の装置への電源供給や信号の送受信、及び外部装置への電源供給や信号の送受信の為に、各電装機器類の間に様々な配線がなされており、これらの配線を整理するために、各電装機器類の間にスペースを設けて、配線ダクトと呼ばれる樋状の導管を設置し、各種配線をまとめて配線ダクトに通している(例えば特許文献2の図3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2002-84084号公報
【文献】特許第4964402号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上述のように各電装機器類の間にスペースを設けて配線ダクトを設置する場合、電装機器類を設置する取り付け基板に配線ダクトのためのスペースを確保する必要があり、限られた筐体のスペースの中で配線ダクトのスペースの確保は、監視制御装置の設計の際に困難な作業であった。また、限られた配線ダクトの中に各電装機器類に必要な配線を通す作業は、監視制御装置の製造の際に困難な作業であった。
【0006】
そこで、本発明は、配線スペースを簡単に確保することができ、配線の設置作業を容易にすることができる監視制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の監視制御装置は、第1に、前面に開閉自在な扉を備えた筐体内に電装機器類を設置してなる制御盤装置であって、前記筐体の後壁に平行に配置される後板部と、前記後板部の両側縁からそれぞれ前方に立ち上がる一対の立ち上がり部と、前記一対の立ち上がり部の前端から互いに離反する方向に広がるフランジ部と、を有する部品浮かし部と、前記後板部との間に空間を設けて前記フランジ部の間に架設され、前記電装機器が固定される架設部と、を備え、前記後板部と前記架設部との間の空間が、前記架設部に固定された前記電装機器の配線が挿通される配線空間であることを特徴としている。
【0008】
第2に、前記部品浮かし部は、前記後板部が前記筐体の前記後壁に固定されることを特徴としている。
【0009】
第3に、前記部品浮かし部は、前記筐体の前記後壁から空間を開けて取り付けられる後仕切壁に前記部品浮かし部の前記後板部が固定されることを特徴としている。
【0010】
第4に、外部機器の監視及び制御を行う制御盤装置であり、電源切り替え装置、及び前記外部機器の監視及び制御の処理を行うコントローラが、前記後仕切部に固定されるとともに、前記外部機器の電力容量に応じて種類又は個数が異なる電装機器類を取り付けた前記架設部が前記部品浮かし部に架設されて形成される電装機器ユニットが、前記後仕切壁に固定されることを特徴としている。
【発明の効果】
【0011】
本発明の制御盤装置は次のような効果を奏する。部品浮かし部が筐体に固定される後板部と、後板部の両側縁からそれぞれ前方に立ち上がる一対の立ち上がり部と、当該一対の立ち上がり部の前端から互いに離反する方向に広がるフランジ部と、を有しており、架設部が、後板部との間に空間を設けてフランジ部の間に架設されており、電装機器が架設部に固定されて、後板部と架設部との間の空間に、架設部に固定された電装機器の配線が挿通されることとなるので、配線ダクトを設けることなく、確実に配線空間を確保することができる。しかも、この配線空間は後板部の両側縁の立ち上がり部の間に広がって形成されているので、配線空間のスペースを広く取ることができ、制御盤装置の製造時の配線作業を容易にすることができる。
【0012】
部品浮かし部の後板部が、筐体の後壁に固定されるので、後板部と後壁との間にスペースが必要なく、制御盤装置の奥行き寸法を縮小することができる。また、後板部と後壁を直接ボルト固定することで、後板部を固定する為に別途金具を用意する必要がなく部品点数を削減することができる。
【0013】
部品浮かし部を、筐体の後壁から断熱空間を開けて取り付けられる後仕切壁に後板部が固定される構成とすれば、既設の制御盤装置の筐体内に設置されている電装機器を交換する際に、配線ダクトを設けることなく配線スペースを確保できる構成とすることができる。
【0014】
制御盤装置は、外部機器の監視及び制御を行うものであり、後仕切壁には、電源切り替え装置やコントローラなどの変更しない装置を配置するとともに、外部機器の電力容量に応じて種類又は個数が異なる電装機器類を架設部を介して部品浮かし部に取り付けて電装機器ユニットとすることで、後仕切板及び電装機器ユニットをそれぞれ別の機器ユニットとして管理及び保管することができ、保管スペースの最小化、及び取引先に応じた対応を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】第一実施形態の制御盤装置の筐体の外観構成を示す斜視図。
図2】第一実施形態の制御盤装置の扉の内側面の構成を説明する側面図。
図3】第一実施形態の制御盤装置の多機能ボックス体の構成を説明する省略斜視図。
図4】第一実施形態の制御盤装置の磁石ユニット及びリードスイッチの構成を説明する断面図、及びその一部拡大図。
図5】第一実施形態の制御盤装置の筐体内に部品浮かし部材、取付平板、及びDINレールを取り付ける状態を説明する斜視図。
図6】第一実施形態の制御盤装置の部品浮かし部材を後壁に固定する状態を説明する水平断面図。
図7】第一実施形態の制御盤装置の部品浮かし部材に取付平板及びDINレールを取り付けた状態を説明する斜視図。
図8】第一実施形態の制御盤装置の内部構成を説明する正面図及び、部品浮かし部に架設された取付平板及びDINレールに電装機器が取り付けられた状態を説明する側面図。
図9】第二実施形態の制御盤装置の筐体内に後仕切壁、部品浮かし部材、及びDINレールを取り付ける状態を説明する斜視図。
図10】第二実施形態の制御盤装置の後仕切壁を後壁に固定し、部品浮かし部材を後仕切板に固定した状態を説明する水平断面図。
図11】第二実施形態の制御盤装置の電装機器ユニット取り付け前の後仕切板を説明する図。
図12】第二実施形態の制御盤装置の電装機器ユニットの構成を説明する図。
図13】第二実施形態の制御盤装置の内部構成を説明する正面図及び、後仕切壁に各部材が取り付けられた状態を説明する側面図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
〔第一実施形態〕
以下、本発明に係る制御盤装置1の第一実施形態について、図1から図8を参照しつつ説明する。本実施形態の制御盤装置1は、図1及び図2に示すように、前面に開閉自在な扉2を備えた筐体内に電装機器類を設置して構成される制御盤装置1であり、例えば、図示しないマンホールポンプを監視・制御するものである。なお、本発明の制御盤装置1は、マンホールポンプを監視・制御するものに限定されるものではなく、上下水道用の水系管理、農業用水の分配制御管理など、様々な外部装置を監視・制御する様々な制御盤装置1に適用することができる。
【0017】
筐体3は、略立方体形状の容器であり、筐体3の外側に取付座4が設けられており、複数の金属製の取付バンド5を例えば電信柱などの支柱6に巻き付けて固定される。筐体3の扉2には、施錠可能な錠前付きの把手7が設けられており、扉2の開閉操作を行うことができる。また、扉2には透明に形成された点検窓8と高温時に筐体3内の換気を行う換気ファンが取り付けられる換気口8aが設けられており、例えば装置の状態を表示する液晶表示部や電気メーターが外部から視認可能となっている。扉2の内側には、把手7によって操作される上下一対のロッド棒9が設けられており、把手7を操作してロッド棒9を上げ下げすることで、扉2が筐体3の開口10を閉鎖する状態から開口10を開く状態に操作することができる。
【0018】
扉2の内側の下部分には上面が開口10した箱形の多機能ボックス体11が形成されている。多機能ボックス体11は1枚の金属板を成形して構成されており、金属板の左右端部をそれぞれコ字状に折り曲げて、扉2の内側面に固定する固定縁部12を形成するとともに、扉2の内側面から離れた正面板部13を形成する。そして、正面板部13の下端を扉2の内側面に接近する方向に折り曲げて図示しない底板部を形成する。さらに、底板部の扉2に当接した位置で下方に折り曲げて、底板部から下方に離れた位置で、扉2の内側面から離反する方向に折り曲げて、棚形態の下舌部14を形成している。
【0019】
多機能ボックス体11は、図3に示すように、制御盤装置1やマンホールポンプの操作やメンテナンスに必要な書類及び図面類が収納される第一収納部15と、LEDライトが収納される第二収納部16と、バルブハンドルが収納される第三収納部17とを備えている。第二収納部16及び第三収納部17の上端にはそれぞれLEDライト及びバルブハンドルを立った状態に保持する保持孔18が形成されている。なお、多機能ボックス体11の収納部は制御盤装置1が監視制御する外部装置の種類に応じて必要な物品を収納できるものであればよい。
【0020】
多機能ボックス体11は、更に、上下一対のロッド棒9の内、下側のロッド棒9が挿入されるロッド棒挿入部19が形成されており、多機能ボックス体11の図示しない底板部には、ロッド棒9が挿通する図示しないガイド孔が設けられており、ロッド棒9の姿勢が保持されている。
【0021】
また、多機能ボックス体11の下舌部14には、両端がそれぞれ下向きに湾曲した棒状のドアストッパ20が形成されている。ドアストッパ20の両端はそれぞれ下舌部14に形成されたストッパ孔21に挿入されている。ドアストッパ20は、図5に示すように、扉2が開放された状態で、一端が下舌部14のストッパ孔21に挿入されて、他端が筐体3の開口10の下縁に設けられた開放孔22に挿入されることで、扉2を開放状態に維持する。
【0022】
扉2の内側面の中央には、図4及び図5に示すように、先端に磁石24が設けられた磁石ユニット23が突出して形成されている。扉2を閉じたときに、磁石ユニット23の先端に近接する位置には制御盤装置1を制御するとともに、操作を受け付け、制御盤装置1及びマンホールポンプの運転状況を刻々とセンサー検知した状態を把握して、正常時の運転状態を送ったり、運転状態を記録化された記録されている情報を送ったり、異常時の運転状況など各種の運転状況を外部にその旨の情報を送信する情報送信機能を有する上部コントローラ41が設けられている。そして、上部コントローラ41の内部には磁石24が近づくと回路が閉じるように構成されたリードスイッチ28が配置されており、磁石ユニット23の接近及び離反を検知するできる構成となっている。これによって、扉2が閉じたときにはリードスイッチ28に磁石24が接近し、扉2が開いたときにはリードスイッチ28から磁石24が遠ざかるので、上部コントローラ41は、リードスイッチ28のON/OFFによって扉2の開閉を検知することができる。
【0023】
このように、扉2の開閉の検知が上部コントローラ41内に配置されたリードスイッチ28によって行われるので、扉2の開閉を検知するために上部コントローラ41の外部に配線を設ける必要がなく、部品点数の削減を行うことができるとともに、扉2の開閉検知の信頼性を高めることができる。
【0024】
磁石ユニット23は、扉2の内側面に固定され突出するスタッド鋲25と、基端部がスタッド鋲25に外嵌されて固定されるウレタン支柱26と、ウレタン支柱26の先端に螺着して設けられた平ビス27と、平ビス27に磁力で磁着固定されている磁石24とを備えている。スタッド鋲25はウレタン支柱26の基端部を固定するためのものであり、一端が扉2の内側面に固定されて突出する構成であればどのようなものであっても良い。また、ウレタン支柱26は、スタッド鋲25に固定されて突出しており、先端に設けられた平ビス27及び磁石24を保持するものである。ウレタン支柱26は柔軟性を有しており、制御盤装置1の作業者の身体や衣類が磁石ユニット23に引っ掛かった場合でも、ウレタン支柱26が可撓して折れ曲がることで、作業者の怪我や衣類の破れを防止することができる。平ビス27はウレタン支柱26に磁石24を固定するためのものであり、ウレタン支柱26の先端にねじ込まれて固定され、ビス頭に磁石24が固定される。したがって、平ビス27のねじ込み位置を調整することにより、扉2を閉めた場合のリードスイッチ28と磁石24との間隙の設定位置を適正に調節することができる。
【0025】
筐体3及び扉2の内側面にはそれぞれ図示しないが、シート状の断熱材が貼付されており、外部の気温変化から電装機器を保護している。このようなシート状の断熱材を貼付することで、従来設定されていた断熱空間を設けることなく電装機器を筐体3内の内則壁面に直接装着して配置することができる。
【0026】
筐体3の上部には、矩形の屋根部29が形成されており、図示しないが、上部コントローラ41と外部との情報の送受信を行うLTEアンテナが形成されている。なお、筐体3の形状は各図に図示したものに限定されるものではなく、設置する場所や内蔵する電装機器類の大きさによっては、例えば、より幅を狭くした筐体3であってもよい。
【0027】
筐体3の内部では、図5及び図6に示すように、部品浮かし部31aが筐体3の後壁30に固定される。そして、部品浮かし部31aに形成されたフランジ部34に金属製の取付平板35及びDINレール36aが架設され、こられの取付平板35及びDINレール36aに電装機器が固定される。なお、本発明における「架設部」は、本実施形態においては、取付平板35及びDINレール36aがこれに相当する。なお、例えばDINレール36aを設けた取付平板35のみをフランジ部34に取り付けて架設させる構成であってもよい。この場合には、取付平板35の長さは、部品浮かし部31aの部材に相当する大きさに設定されるものである。
【0028】
部品浮かし部31aは、矩形平板状に形成された後板部32と、両側縁からそれぞれ前方に立ち上がる一対の立ち上がり部33と、前記一対の立ち上がり部33の前端から互いに離反する方向に広がるフランジ部34と、を有する。後板部32は、筐体3の後壁30にボルト37及びナット38で固定されている。具体的には、筐体3を外部の支柱6に取り付ける取付座4と、後板部32とで筐体3の後壁30を挟み、それぞれに形成された貫通孔にボルト37を外部から挿入して、筐体3内部でナット38を締め付けて固定している。後板部32が後壁30に固定されると、フランジ部34は後壁30から奥行き方向の手前側に離れて配置される。
【0029】
取付平板35は、平板状に形成され電源切り替えスイッチ40及び上部コントローラ41などの電装機器を取り付ける矩形板である。取付平板35は、例えば金属製の平板であり、重量の重い電装機器類を簡単且つ安定よく設置するために形成されている。また、DINレール36aは、多数の孔が並んで配置された金属製レールである。DINレール36aは、金属製の標準化されたレールであり、安価且つ簡単に電装機器類を設置するために形成されている。取付平板35及びDINレール36aは、部品浮かし部31aのフランジ部34にビス、ネジ、又はボルトを用いてナット締めで固定されている。
【0030】
図6及び図7に示すように、取付平板35及びDINレール36aが部品浮かし部31aの両側のフランジ部34に固定されて架設されると、取付平板35及びDINレール36aと部品浮かし部31aの後板部32との間に配線空間Sが形成される。そして、図8に示すように、取付平板35に、商用電源と非常用自家発電との電源切り替えスイッチ40、及び、外部との情報の送受信や操作を受け付けるとともに機器の状態を表示する表示部を備えた上部コントローラ41が固定される。また、DINレール36aには、ポンプ用ブレーカ42、コントローラ用ブレーカ43、電磁開閉器46、電源異常検知器44、避雷器45、進相コンデンサ47などの電装機器類、マンホールポンプを制御する下部コントローラ48、及び外部端子台49がそれぞれ固定されている。このように、電装機器類によって制御及び各種信号を入出力するようにされている。各種信号とは、例えば、水位信号、運転電流、故障信号、ブレーカーオン・オフ状態を入力など。また、ポンプ運転、回転灯、ヒーターの運転出力などがある。DINレール36aと部品浮かし部31aの後板部32との間に配線空間Sが形成されることで、上述の電装機器類の配線を配線空間Sを通して行うことができ、しかも、配線ダクトを用いる場合に比べて広い配線空間Sを確保できているので、配線作業をより容易なものとすることができる。
【0031】
また、前記したように筐体3及び扉2の内側面にはそれぞれ図示しないが、シート状の断熱材が貼付されており、外部の気温変化から電装機器を保護している。その断熱構成の採用により、本実施形態の制御盤装置1は、部品浮かし部31aの後板部32が、筐体3の後壁30に密接的に装着させて固定されるので、後板部32と後壁30との間にスペースが必要なく、制御盤装置1の奥行き寸法を縮小することができ、後板部32と後壁30を直接ボルト37とナット38とで固定することで、後板部32を固定する為に別途金具を用意する必要がなく部品点数を削減することができる。
【0032】
なお、図8に示すように、部品浮かし部31aの上には矩形木製の固定基板55が設けられている。固定基板55は筐体3の後壁30に直接ボルト固定されるものであり、電力メーカー指定の電力量計50が設けられて、制御盤装置1及びマンホールポンプでの電力使用量が計測されている。なお、固定基板55は、後壁30に固定されるものに限定されるものではなく、部品浮かし部31aに固定基板55が架設されていてもよい。
【0033】
〔第二実施形態〕
次に第二実施形態の制御盤装置1について、図9から図13を参照しつつ説明する。なお、第一実施形態と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。第二実施形態の制御盤装置1は、第一実施形態の制御盤装置1と同様に、前面に開閉自在な扉2を備えた筐体3内に電装機器類を設置して構成される制御盤装置1であり、マンホールポンプを監視・制御するものである。なお、制御盤装置1は、マンホールポンプを監視・制御するものに限定されるものではなく、種々の外部装置を監視・制御する様々な制御盤装置1に適用することができる。
【0034】
第二実施形態の制御盤装置1の筐体3は、第一実施形態の制御盤装置1の筐体3と同様の構成であるので説明を省略する。なお、図示省略しているが筺体3の内部の上部位置に高温時に筐体3内の換気を行う換気ファンが設置されている。筐体3の内部では、図9及び図10に示すように、筐体3の後壁30に取付ブラケット51が取り付けられており、この取付ブラケット51に対して後仕切壁52が固定される。取付ブラケット51は背面が筐体3の後壁30に固定され、その両側が折曲されて、筐体3の前面の開口10側に延びており、更に、折曲されて後仕切壁52を取り付けるネジ下地となっている。後仕切壁52は、両側縁が後壁30側に折り曲げられた平板状であり、後板部32やDINレール36などの部材取り付け用基板部材の機能を有してあり、取付ブラケット51に固定するための下地孔及び各種電装機器類や部品浮かし部31b材及びDINレール36bを取り付ける取付孔が形成されている。後仕切壁52は取付ブラケット51によって後壁30との間に空間を開けて後壁30に垂直状にして平行に配置されることとなる。後壁30と後仕切壁52との間の空間は断熱又は換気に利用される空間である。
【0035】
そして、後仕切壁52の上部には、図11に示すように、商用電源と非常用自家発電との電源切り替えスイッチ40、及び、外部との情報の送受信や操作を受け付けるとともに機器の状態を表示する表示部を備えた上部コントローラ41が固定される。また、後仕切壁52の中間部に電装機器類をユニット化した電装機器ユニット54を設置するユニット設置スペース53を開けておき、さらに、後仕切壁52の下部にDINレール36bが取り付けられて、マンホールポンプを制御する下部コントローラ48、及び外部端子台49が固定されている。
【0036】
また、後仕切壁52のユニット設置スペース53に取り付けられる電装機器ユニット54は、図12に示すように、部品浮かし部31bと、部品浮かし部31bに架設されるDINレール36cと、DINレール36cに取り付けられる複数の電装機器類と、を有している。部品浮かし部31bは、筐体3の後壁30に平行に配置される後板部32と、後板部32の両側縁からそれぞれ前方に立ち上がる一対の立ち上がり部33と、一対の立ち上がり部33の前端から互いに離反する方向に広がるフランジ部34と、を有する。また、DINレール36cは、部品浮かし部31bの両側のフランジ部34間にそれぞれ端部が固定されて後板部32との間に空間を開けて配置されており、このDINレール36cと、部品浮かし部31bの後板部32との間の空間が、配線空間Sとして利用される。なお、本発明における「架設部」は、第二実施形態においては、部品浮かし部31bのフランジ部34の間に架設されるDINレール36cがこれに相当する。
【0037】
このDINレール36cに取り付けられて電装機器ユニット54を構成する電装機器類は、制御盤装置1に組みつけられる電装機器のうち、制御対象となるマンホールポンプの電力容量に応じて種類又は個数が異なる、例えばマンホールポンプへの過電流を防ぐポンプ用ブレーカ42、電源異常検知器44、電磁開閉器46などの電装機器類が含まれる。本実施形態における電装機器ユニット54を構成する電装機器類は、ポンプ用ブレーカ42、制御盤装置1内の各コントローラへの過電流を防ぐコントローラ用ブレーカ43、電源異常検知器44、避雷器45、電磁開閉器46、進相コンデンサ47である。マンホールポンプの電力容量が変わっても、種類や個数が異なることがない電装機器は、電装機器ユニット54として設ける必要がなく、例えば、電源異常検知器44や避雷器45は、後仕切壁52に直接固定されていても良い。
【0038】
上述のように、部品浮かし部31b、DINレール36c、及び電装機器類、により形成された電装機器ユニット54は、図13に示すように、上部に電源切り替えスイッチ40及び上部コントローラ41が固定され、下部に下部コントローラ48及び外部端子台49が固定された後仕切板の中間部に形成されたユニット設置スペース53に固定される。
【0039】
以上のように、本実施形態の制御盤装置1によると、既に筐体3内に後仕切壁52が設置されている制御盤装置1の設備更新の際にも、一部の電装機器類を取り除いて、電装機器ユニット54を取り付けることで、電装機器ユニット54のDINレール36cと部品浮かし部31bの後板部32との間に設けられた配線空間Sに配線することができ、配線ダクトを設けることなく、容易に配線スペースを確保できる。
【0040】
また、マンホールポンプの電気容量に応じて変更する必要がある電装機器類をDINレール36cを介して部品浮かし部31bに取り付けて電装機器ユニット54とすることで、マンホールポンプの種類や設置される地域に応じて、所望の電装機器ユニット54を管理し、予め保管することができ、完成品を保管する場合に比べて保管スペースや部品在庫管理を効率化することができる。
【0041】
本発明の実施の形態は上述の形態に限ることなく、本発明の思想の範囲を逸脱しない範囲で適宜変更することができることは云うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明に係る制御盤装置1は、例えば水道施設の監視・制御や農業用水施設の分配監視・制御を行う制御盤装置1として好適である。
【符号の説明】
【0043】
1 制御装置
2 扉
3 筐体
30 後壁
31a,31b 部品浮かし部
32 後板部
33 立ち上がり部
34 フランジ部
35 取付平板(架設部)
36a,36c DINレール(架設部)
40 電源切り替えスイッチ
41 上部コントローラ
52 後仕切壁
S 配線空間
図1
図2
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図5
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図10
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図13