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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-18
(45)【発行日】2023-05-26
(54)【発明の名称】医薬化合物及び栄養補給剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/05 20060101AFI20230519BHJP
   A61K 31/352 20060101ALI20230519BHJP
   A61K 47/18 20170101ALI20230519BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20230519BHJP
【FI】
A61K31/05
A61K31/352
A61K47/18
A61P25/00
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2019536222
(86)(22)【出願日】2018-01-03
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-01-30
(86)【国際出願番号】 US2018012261
(87)【国際公開番号】W WO2018129097
(87)【国際公開日】2018-07-12
【審査請求日】2020-12-25
(31)【優先権主張番号】62/441,908
(32)【優先日】2017-01-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】518372280
【氏名又は名称】レセプター・ホールディングス・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】レオン-ベイ,アンドレア
(72)【発明者】
【氏名】ウェスナー,グレゴリー
【審査官】高橋 樹理
(56)【参考文献】
【文献】特表2001-523221(JP,A)
【文献】特表2010-503664(JP,A)
【文献】特表2014-501728(JP,A)
【文献】特許第6983868(JP,B2)
【文献】European Journal of Pharmaceutical Sciences,2005年,Vol.25,p.307-312
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バイオアベイラビリティーが増大した、0.1mg/ml未満の水溶解度であるカンナビノイドを提供する方法であって、
該方法は、N-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]カプリレート及び0.1mg/ml未満の水溶解度であるカンナビノイドを、経口製剤に加えること、
それにより、N-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]カプリレートが加えられない同じ経口製剤に比べ、バイオアベイラビリティーが増大した、カンナビノイドを提供することを含み、
前記カンナビノイドが、Δ9-テトラヒドロカンナビノール(THC)、カンナビジオール(CBD)、カンナビゲロール(CBG)、カンナビクロメン(CBC)、カンナビノール(CBN)、カンナビノジオール(CBDL)、カンナビシクロール(CBL)、カンナビバリン(CBV)、テトラヒドロカンナビバリン(THCV)、カンナビジバリン(CBDV)、カンナビクロメバリン(CBCV)、カンナビゲロバリン(CBGV)、カンナビゲロールモノメチルエーテル(CBGM)、カンナビネロール酸、カンナビジオール酸(CBDA)、カンナビノールプロピル変異体(CBNV)、カンナビトリオール(CBO)、テトラヒドロカンナビノール酸(THCA)、テトラヒドロカンナビバリン酸(THCVA)、ナビロン又はこれらの混合物を含み、及び
前記N-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]カプリレートと前記カンナビノイドが、1:1~100:1の比(w/w)で存在する、方法。
【請求項2】
さらに、前記カンナビノイドを合成することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記カンナビノイドが、Δ9-テトラヒドロカンナビノール(THC)、カンナビジオール(CBD)又はナビロンを含む、請求項に記載の方法。
【請求項4】
経口製剤へのN-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]カプリレートの添加が、経口製剤への100~200mgのN-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]カプリレートの添加を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
バイオアベイラビリティーが増大した、0.1mg/ml未満の水溶解度であるカンナビノイドを提供する方法であって、
該方法は、0.1mg/ml未満の水溶解度であるカンナビノイドを経口製剤に加えること、及び
下記の式で表されるN-アシル化脂肪アミノ酸又はその塩
【化1】
(式中、X及びZは独立して水素、一価のカチオン、二価の金属カチオン、又は有機のカチオンである)
を経口製剤に加えること、
それにより、N-アシル化脂肪アミノ酸又はその塩が加えられない同じ経口製剤に比べ、バイオアベイラビリティーが増大した、カンナビノイドを提供すること
を含み、
前記カンナビノイドが、Δ9-テトラヒドロカンナビノール(THC)、カンナビジオール(CBD)、カンナビゲロール(CBG)、カンナビクロメン(CBC)、カンナビノール(CBN)、カンナビノジオール(CBDL)、カンナビシクロール(CBL)、カンナビバリン(CBV)、テトラヒドロカンナビバリン(THCV)、カンナビジバリン(CBDV)、カンナビクロメバリン(CBCV)、カンナビゲロバリン(CBGV)、カンナビゲロールモノメチルエーテル(CBGM)、カンナビネロール酸、カンナビジオール酸(CBDA)、カンナビノールプロピル変異体(CBNV)、カンナビトリオール(CBO)、テトラヒドロカンナビノール酸(THCA)、テトラヒドロカンナビバリン酸(THCVA)、ナビロン又はこれらの混合物を含み、及び
前記N-アシル化脂肪アミノ酸又はその塩と、加えられたカンナビノイドが、1:1~100:1の比(w/w)で存在する、方法。
【請求項6】
さらに、前記カンナビノイドを合成することを含む、請求項に記載の方法。
【請求項7】
カンナビノイド、及びN-アシル化脂肪アミノ酸又はその塩を含む、経口による送達のために製剤化された組成物であって、
前記カンナビノイドは、水溶解度が0.1mg/ml未満であり、
前記N-アシル化脂肪アミノ酸又はその塩が下記の式
【化2】
(式中、X及びZは独立して水素、一価のカチオン、二価の金属カチオン、又は有機のカチオンである)
で表され、
前記カンナビノイドが、Δ9-テトラヒドロカンナビノール(THC)、カンナビジオール(CBD)、カンナビゲロール(CBG)、カンナビクロメン(CBC)、カンナビノール(CBN)、カンナビノジオール(CBDL)、カンナビシクロール(CBL)、カンナビバリン(CBV)、テトラヒドロカンナビバリン(THCV)、カンナビジバリン(CBDV)、カンナビクロメバリン(CBCV)、カンナビゲロバリン(CBGV)、カンナビゲロールモノメチルエーテル(CBGM)、カンナビネロール酸、カンナビジオール酸(CBDA)、カンナビノールプロピル変異体(CBNV)、カンナビトリオール(CBO)、テトラヒドロカンナビノール酸(THCA)、テトラヒドロカンナビバリン酸(THCVA)、ナビロン又はこれらの混合物を含み、及び
前記N-アシル化脂肪アミノ酸又はその塩と、前記カンナビノイドが1:1~100:1の比(w/w)で存在する、組成物。
【請求項8】
N-アシル化脂肪アミノ酸又はその塩が、N-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]カプリレートを含む、請求項に記載の組成物。
【請求項9】
N-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]カプリレートが、100~200mgのN-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]カプリレートである、請求項に記載の組成物。
【請求項10】
Xが、水素、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、アンモニウム又はテトラメチルアンモニウムである、請求項に記載の組成物。
【請求項11】
Zが、水素、ナトリウム、カリウム、カルシウム、又はマグネシウムである、請求項に記載の組成物。
【請求項12】
Xが水素であり、Zが水素である、請求項に記載の組成物。
【請求項13】
Xが水素であり、Zがナトリウムである、請求項に記載の組成物。
【請求項14】
Xがナトリウムであり、Zがナトリウムである、請求項に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2017年1月3日に出願された米国特許仮出願第62/441,908号の優先権を主張するものであり、その全体は、まるで本明細書に完全に記載されているかのように、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、合成カンナビノイドを様々な担体と組み合わせて提供する。担体としては、N-アシル化脂肪アミノ酸、浸透促進剤及び/又は様々な他の有益な担体を挙げることができる。合成カンナビノイド及び担体を含む組成物は、投与便益を創出することができる。
【背景技術】
【0003】
カンナビノイドは、カンナビノイド受容体と相互作用し、カンナビノイド受容体を活性化する多様な部類の化合物である。3つの部類のカンナビノイドがあり、1)ヒト及び他の動物により身体中に自然に産生されるエンドカンナビノイド、2)植物により産生されるフィトカンナビノイド並びに3)化学的に生成されるカンナビノイドである合成カンナビノイドである。合成カンナビノイドは、天然に見出されるカンナビノイドと同一であり得る、又は天然に存在しない化合物であり得る。
【0004】
エンドカンナビノイドはエンドカンナビノイド系の一部であり、エンドカンナビノイド系とは、内在性カンナビノイド及びカンナビノイド受容体を意味する。カンナビノイド受容体は、脳細胞及び免疫細胞が挙げられる様々な細胞型に発現される。エンドカンナビノイドの例はアナンダミドであり、アナンダミドは、カンナビノイド受容体と相互作用して、空腹、動機及び快楽の感覚の調節に関与する、脂肪酸神経伝達物質である。
【0005】
フィトカンナビノイドは、様々な種類の植物により産生されるが、最も周知のカンナビノイド産生植物はアサである。カンナビス・サティバ(Cannabis sativa)は、カンナビス属の植物の一例である。他のカンナビス属の植物としては、カンナビス・インディカ(Cannabis indica)及びカンナビス・ルデラリス(Cannabis ruderalis)が挙げられる。カンナビス・サティバとカンナビス・インディカの雑種は、一般的である。
【0006】
アサ植物は、100種を超えるカンナビノイドを産生し、そのうちの多くのものは既知の治療可能性を有する。アサにより産生される最も周知のカンナビノイドとしては、(-)-トランス-デルタ-9-テトラヒドロカンナビノール(THC、Δ-THC)、カンナビジオール(CBD)及びカンナビノールが挙げられる。アサ植物において見出される他のカンナビノイドとしては、カンナビゲロール、カンナビジバリン、テトラヒドロカンナビバリン及びカンナビクロメンが挙げられる。
【0007】
アサ以外の植物もカンナビノイドを産生することが知られている。そのような植物の例としては、エキナセア・プルプレア(Echinacea purpurea)、エキナセア・アングスティフォリア(Echinacea angustifolia)、アクメラ・オレラセア(Acmella oleracea)、ヘリクリサム・ウンブラクリゲルム(Helichrysum umbraculigerum)及びラズラ・マルギナタ(Radula marginata)が挙げられる。エキナセアから単離されたカンナビノイドは、親油性アルカミド(アルキルアミド)を含む。25種を超える異なるアルカキルミドが確認されている。これらには、ドデカ-2E,4E,8Z,10E/Z-テトラエン酸イソブチルアミドのシス/トランス異性体が挙げられる。
【0008】
アサの主要な神経活性化合物であるTHCは、最も広範囲に研究されているカンナビノイドであり、多くの十分に確立された健康上の利益を有する。THCは、ドロナビノールの医薬名で処方されており、HIV及びAIDS関連体重減のため並びに化学療法由来の嘔気及び嘔吐のための食欲刺激薬としての使用がFDAにより承認されている。THCの他の多くの医学的使用が調査されており、研究は、THCが抗腫瘍活性(Guzman M、Nat Rev Cancer.2003、3:745-55)、抗炎症作用(Gaiffal E,et al.Allergy.2013、68(8):994-1000)並びに鎮痛作用(Pharm.J.259、104、1997及びPharm.Sci.3、546、1997)を有し得ることを示している。
【0009】
THCは中枢性交感神経様作用活性を含めて中枢神経系(CNS)に対して複合効果を示す。THCは気分、認知、記憶、食欲及び知覚に対して効果を示す。これらの効果は用量依存性であるように見える。経口投与後、THCは0.5~1時間の作用の発現及び2~4時間のピーク効果を有する。精神活性作用の持続時間は4~6時間であるが、食欲増進作用は投与後24時間以上続くことがある。THCは単一の経口投薬後殆んど完全に(90~95%)吸収される。しかし、初回通過肝代謝及び高い脂溶性の複合効果のため、投与薬量の10~20%のみが体循環に達する。
【0010】
ナビロンは、天然において見出されない合成カンナビノイドであり、多数の医学的用途を有する別のカンナビノイドである。ナビロンは、構造的にTHCに非常に類似しており、制吐作用及び抗不安薬であり、また多発性硬化症(MS)、末梢神経障害及び脊髄損傷のような様々な病因の疼痛を治療するのに有用であることも報告されている(Lancet、1995、345、579、Pharm.J.259、104、1997;Baker & Pryce,Expert Opin Investig Drugs.2003年4月、12(4):561-7)。
【0011】
その健康上の利益が文献で十分に立証されているもう1つ別のカンナビノイドはCBDである。THCと対照的に、CBDは精神活性作用を発揮しない。CBDは抗うつ(Zanelati T,et al.Journal of Pharmacology.2010.159(1):122-8;)、抗不安(Resstel BM,et al.Br J Pharmacol.2009.156(1):181-188)、抗炎症(Vuolo F,et al.Mediators of Inflammation.2015.538670)、及び神経保護作用(Campos AC,et al.Pharmacol Res.2016.112:119-127)を有することが報告されている。
【0012】
CBD及びTHCを含む組成物も、健康上の利益を有することができる。ナビキシモルスは、CDB:THCを1対1の比で含有し、かつSativex(登録商標)(GW Pharmaceuticals plc社、Wilshire,United Kingdom)として市販されているカンナビス抽出物である。ナビキシモルスは、多発性硬化症患者における痙縮(筋痙攣及び筋硬直)を治療するために使用される。
【0013】
カンナビノイドに対する追加の使用には、中毒(De Vries,et al.,Psychopharmacology(Berl).2003 Jul;168(1-2):164-9);ADHD(O’Connell and Che,Harm Reduction Journal.2007;4:16);アルコール依存症(Basavarajappa & Hungund,See comment in PubMed Commons belowAlcohol.2005 Jan-Feb;40(1):15-24);アルツハイマー病(Eubanks et al.,Mol Pharm.2006 Nov-Dec;3(6):773-7);筋萎縮性側索硬化症(ALS)(Raman et al.,Amyotroph Lateral Scler Other Motor Neuron Disord.2004 Mar;5(1):33-9);不安(The British Journal of Psychiatry Feb 2001,178(2)107-115);喘息(Tashkin et al.,American Review of Respiratory Disease,1975;112,377);自己免疫疾患(Lyman et al.,J Neuroimmunol.1989 Jun;23(1):73-81);細菌感染症(Nissen et al.,Fitoterapia.2010 Jul;81(5):413-9);骨量減少(Bab et al.,Ann Med.2009;41(8):560-7);脳損傷/脳卒中(Shohami et al.,Br J Pharmacol.2011 Aug;163(7):1402-10);がん(Guindon & Hohmann,Br J Pharmacol.2011 Aug;163(7):1447-63);心臓病(Walsh et al.,Br J Pharmacol.2010 Jul;160(5):1234-42);ハンチントン病(Lastres-Becker et al.,J Neurochem.2003 Mar;84(5):1097-109);炎症(AAPS J.2009 Mar;11(1):109-119);パーキンソン病(Sieradzan et al.,Neurology.2001 Dec 11;57(11):2108-11);及び乾癬(Trends Pharmacol Sci.2009 Aug;30(8):411-420)の治療がある。
【0014】
カンナビノイドに対する文書に記載された追加の使用には、後天性甲状腺機能低下症、急性胃炎、広場恐怖症、強直、関節炎、アスペルガー症候群、アテローム性動脈硬化、自閉症、双極性障害、血液疾患、悪液質、手根管症候群、脳性まひ、頸部椎間板疾患、頸腕症候群、慢性疲労症候群、慢性痛、群発性頭痛、結膜炎、クローン病、嚢胞性線維症、鬱病、皮膚炎、糖尿病、ジストニア、摂食障害、湿疹、てんかん、発熱、線維筋痛、流感、真菌感染症、消化器疾患、緑内障、神経膠腫、グレーブス病、肝炎、ヘルペス、高血圧、無気力、失禁、乳児死亡、炎症性腸疾患(IBD)、不眠症、肝線維症、狂牛病、更年期、片頭痛、乗り物酔い、MRSA、筋ジストロフィー、爪・膝蓋骨症候群、神経炎症、ニコチン中毒、肥満、強迫性障害(OCD)、膵炎、パニック障害、歯周病、幻肢痛、ツタウルシアレルギー(poison ivy allergy)、月経前症候群(PMS)、近位型筋強直性ミオパチー、心的外傷後ストレス障害(PTSD)、レイノー病、下肢静止不能症候群、統合失調症、強皮症、敗血性ショック、帯状疱疹、鎌状赤血球病、発作、睡眠時無呼吸、睡眠障害、ストレス、吃音、顎関節障害(TMJ)、緊張性頭痛、耳鳴り、トゥレット症候群、トラウマ的記憶、消耗症候群、及び離脱症候群の治療がある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0015】
【文献】Guzman M、Nat Rev Cancer.2003、3:745-55
【文献】Gaiffal E,et al.Allergy.2013、68(8):994-1000
【文献】Pharm.J.259、104、1997
【文献】Pharm.Sci.3、546、1997
【文献】Lancet、1995、345、579、Pharm.J.259、104、1997
【文献】Baker & Pryce,Expert Opin Investig Drugs.2003年4月、12(4):561-7
【文献】Zanelati T,et al.Journal of Pharmacology.2010.159(1):122-8
【文献】Resstel BM,et al.Br J Pharmacol.2009.156(1):181-188
【文献】Vuolo F,et al.Mediators of Inflammation.2015.538670
【文献】Campos AC,et al.Pharmacol Res.2016.112:119-127
【文献】De Vries,et al.,Psychopharmacology(Berl).2003 Jul;168(1-2):164-9
【文献】O’Connell and Che,Harm Reduction Journal.2007;4:16
【文献】Basavarajappa & Hungund,See comment in PubMed Commons belowAlcohol.2005 Jan-Feb;40(1):15-24
【文献】Eubanks et al.,Mol Pharm.2006 Nov-Dec;3(6):773-7
【文献】Raman et al.,Amyotroph Lateral Scler Other Motor Neuron Disord.2004 Mar;5(1):33-9
【文献】The British Journal of Psychiatry Feb 2001,178(2)107-115
【文献】Tashkin et al.,American Review of Respiratory Disease,1975;112,377
【文献】Lyman et al.,J Neuroimmunol.1989 Jun;23(1):73-81
【文献】Nissen et al.,Fitoterapia.2010 Jul;81(5):413-9
【文献】Bab et al.,Ann Med.2009;41(8):560-7
【文献】Shohami et al.,Br J Pharmacol.2011 Aug;163(7):1402-10
【文献】Guindon & Hohmann,Br J Pharmacol.2011 Aug;163(7):1447-63
【文献】Walsh et al.,Br J Pharmacol.2010 Jul;160(5):1234-42
【文献】Lastres-Becker et al.,J Neurochem.2003 Mar;84(5):1097-109
【文献】AAPS J.2009 Mar;11(1):109-119
【文献】Sieradzan et al.,Neurology.2001 Dec 11;57(11):2108-11
【文献】Trends Pharmacol Sci.2009 Aug;30(8):411-420
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本開示は、合成医薬化合物又は栄養補給剤を様々な担体と組み合わせて含む組成物を提供する。
【0017】
特定の実施形態において、組成物は、1つ以上の合成カンナビノイド及び1つ以上の担体を含む。
【0018】
特定の実施形態において、担体としては、N-アシル化脂肪アミノ酸、吸収促進剤並びに/又は界面活性剤、洗剤、アゾン、ピロリドン、グリコール及び胆汁塩のような様々な他の有益な担体が挙げられる。特定の実施形態において、N-アシル化脂肪アミノ酸は、直鎖、分岐鎖、環状、二環式又は芳香族であってもよく、例えば、1~50個の炭素原子を含む。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本明細書に提供される組成物は、治療上又は栄養上有効な量を様々な状態に提供する際に様々な投与便益を創出することができる。例示的な投与便益としては、増大した吸収、増大したバイオアベイラビリティー、より速い作用の発現、より高いピーク濃度、より速いピーク濃度までの時間、増大した主観的治療効果、増大した客観的治療効果、改良された味及び改良された口当たりが挙げられる。特定の実施形態において、1以上の投与便益は、投薬スケジュールに対する服薬順守を増大することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1A】水溶性と、分子の吸収を改良するSNACの能力との実証された相関性を示す。図1Aは、クロモリン、ビタミンB12、アトルバスタチン、及びイバンドロネートに対してプロットしたSNACに由来する改良の倍数(multiple)を、各分子の水溶解度と共に示す。プロットされたデータは、対数近似曲線に対して目立った一致を示し(R=0.998)、各々の水溶解度とSNACが吸収を改良する程度との対数関係を示している。分子の水溶性が増加すると、吸収を促進するSNACの能力も増加する。
図1B】水溶性と、分子の吸収を改良するSNACの能力との実証された相関性を示す。図1Bは、図1Aから誘導された対数近似曲線に従ってヘパリン、アシクロビル、rhGH、PTH、MT-II、GLP-1、カルシトニン、yyペプチド、及びTHCの水溶解度をプロットしたものである。
図2-1】合成由来であり得るカンナビノイドの例示的な構造(THC、ナビロン、CBD、7-OH-CBD、CBDV、7-OHCBDV及び式I~XVI)を示す。
図2-2】合成由来であり得るカンナビノイドの例示的な構造(THC、ナビロン、CBD、7-OH-CBD、CBDV、7-OHCBDV及び式I~XVI)を示す。
図2-3】合成由来であり得るカンナビノイドの例示的な構造(THC、ナビロン、CBD、7-OH-CBD、CBDV、7-OHCBDV及び式I~XVI)を示す。
図2-4】合成由来であり得るカンナビノイドの例示的な構造(THC、ナビロン、CBD、7-OH-CBD、CBDV、7-OHCBDV及び式I~XVI)を示す。
図2-5】合成由来であり得るカンナビノイドの例示的な構造(THC、ナビロン、CBD、7-OH-CBD、CBDV、7-OHCBDV及び式I~XVI)を示す。
図2-6】合成由来であり得るカンナビノイドの例示的な構造(THC、ナビロン、CBD、7-OH-CBD、CBDV、7-OHCBDV及び式I~XVI)を示す。
図3-1】化合物I~XXXVの修飾アミノ酸を示す。
図3-2】化合物I~XXXVの修飾アミノ酸を示す。
図3-3】化合物I~XXXVの修飾アミノ酸を示す。
図3-4】化合物I~XXXVの修飾アミノ酸を示す。
図4-1】式(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(f)、(g)、(h)、(i)、(j)、(k)、(l)、(m)、(n)、(o)、(p)、(q)、(r)、及び(s)の脂肪酸アミノ酸を示し、ここで、R1は5~19個の炭素原子を含むアルキル基であり、R2はH(すなわち水素)又はCH3(すなわちメチル基)であり、R3はHであり;R4はアミノ酸側鎖であるか又は(CH基を介してR2に共有結合するか;又はその塩若しくは遊離酸形態である。
図4-2】式(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(f)、(g)、(h)、(i)、(j)、(k)、(l)、(m)、(n)、(o)、(p)、(q)、(r)、及び(s)の脂肪酸アミノ酸を示し、ここで、R1は5~19個の炭素原子を含むアルキル基であり、R2はH(すなわち水素)又はCH3(すなわちメチル基)であり、R3はHであり;R4はアミノ酸側鎖であるか又は(CH基を介してR2に共有結合するか;又はその塩若しくは遊離酸形態である。
図5A】経口で投与された大麻/N-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]カプリレート(SNAC)製剤及び大麻(SNACなし)製剤の作用の発現及び持続時間を比較した試験の平均結果を示す。図5Aは、結果の棒グラフを示し、SNAC製剤の結果は、黒色棒で描写されており、SNACなしの製剤の結果は、白色棒で描写されている。
図5B】経口で投与された大麻/N-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]カプリレート(SNAC)製剤及び大麻(SNACなし)製剤の作用の発現及び持続時間を比較した試験の平均結果を示す。図5Bは、結果の折れ線グラフを示し、SNAC製剤の結果は、円形で描写されており、SNACなしの製剤の結果は、三角形で描写されている。
図6A】経口投与された大麻/N-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]カプリレート(SNAC)製剤及び大麻(SNACなし)製剤の作用の発現及び持続時間を比較した試験における各個人の参加者に対する結果を示す。図6Aは、試験参加者番号1(「S1」)の結果を示す。
図6B】経口投与された大麻/N-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]カプリレート(SNAC)製剤及び大麻(SNACなし)製剤の作用の発現及び持続時間を比較した試験における各個人の参加者に対する結果を示す。図6Bは、試験参加者番号2(「S2」)の結果を示す。
図6C】経口投与された大麻/N-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]カプリレート(SNAC)製剤及び大麻(SNACなし)製剤の作用の発現及び持続時間を比較した試験における各個人の参加者に対する結果を示す。図6Cは、試験参加者番号3(「S3」)の結果を示す。
図6D】経口投与された大麻/N-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]カプリレート(SNAC)製剤及び大麻(SNACなし)製剤の作用の発現及び持続時間を比較した試験における各個人の参加者に対する結果を示す。図6Dは、試験参加者番号4(「S4」)の結果を示す。
図6E】経口投与された大麻/N-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]カプリレート(SNAC)製剤及び大麻(SNACなし)製剤の作用の発現及び持続時間を比較した試験における各個人の参加者に対する結果を示す。図6Eは、試験参加者番号5(「S5」)の結果を示す。
図6F】経口投与された大麻/N-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]カプリレート(SNAC)製剤及び大麻(SNACなし)製剤の作用の発現及び持続時間を比較した試験における各個人の参加者に対する結果を示す。図6Fは、試験参加者番号6(「S6」)の結果を示す。
図7】高いSNAC薬量(200mg、「高薬量」)、低いSNAC薬量(100mg、「低薬量」)及びSNACなし(「対照」)で経口投与されたカンナビノイド製剤の作用の強度、持続時間及び発現の比較を示す。
図8】経口(「PO」)で投与されたSNACと共に配合されたカンナビノイドの作用の強度、持続時間及び発現を吸入(「INH」)により投与されたカンナビノイドと比較して示す。
図9】ラットへの単回経口投与後のTHC及びCBDのCmax及びAUCを示す。
図10】ラットへの単回経口投与後のTHC及びCBDのCmax(ng/ml)及びAUC(hrng/mL)を示す。
図11】経口投与された大麻/N-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]カプリル酸(NAC、「試験」)製剤及び大麻のみ(NACなし、「対照」)製剤の作用の強度、持続時間及び発現を示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本開示は、1つ以上の合成カンナビノイドを様々な担体と組み合わせて含む組成物を提供する。組成物は、医薬及び/又は栄養組成物であり得る。栄養組成物は、栄養補助剤であり得る。組成物中の合成カンナビノイドは、治療上の利益又は栄養上の利益を提供する。
【0022】
合成カンナビノイドとしては、化学的に生成されるカンナビノイドが挙げられる。合成カンナビノイドとしては、天然に見出されるが、化学的に生成されるカンナビノイドも挙げられる。合成カンナビノイドとしては、カンナビノイドの化学的に生成された誘導体及び類似体も挙げられる。
【0023】
化学における用語「誘導体」は、化学反応によって類似した化合物又は前駆体化合物から得られる化合物を意味する。
【0024】
用語「類似体」(また、「構造類似体」又は「化学類似体」)は、別の化合物に構造的に類似しているが、原子、官能基若しくは下位構造のような特定の成分に関して異なっている化合物を意味するために使用される。
【0025】
植物由来のカンナビノイドの例としては、カンナビゲロール(CBG)、カンナビクロメン(CBC)、カンナビジオール(CBD)、カンナビノール(CBN)、テトラヒドロカンナビノール(THC)、イソ-THC、カンナビエルソイン(CBE)、カンナビシクロール(CBL)、カンナビジバリン(CBDV)、テトラヒドロカンナビバリン(THCV)及びカンナビシトラン(CBT)が挙げられる。特定の実施形態において、合成カンナビノイドとしては、化学的に合成される天然のカンナビノイド並びにそれらの類似体及び誘導体も挙げられる。天然のカンナビノイドの誘導体には、国際公開第2015/198078号に開示されている、カンナビノイドの代謝産物を挙げることができる。例えば、CBDの代謝産物としては、7-OH-CBDが挙げられ、CBDVの代謝産物としては、7-OH-CBDVが挙げられる。
【0026】
【化1】
【0027】
合成カンナビノイドの他の例としては、米国特許出願第2008/0103139号に開示されている3-カルバモイル-2-ピリドン並びにこの誘導体及び/又は類似体;米国特許出願第2006/0293354号に開示されているピリミジン誘導体及び/又は類似体;米国特許第4,758,597号に開示されているカレナジオール並びにこの誘導体及び/又は類似体;国際公開第2013/045115号に開示されているカンナビノイドカルボン酸並びにこれらの誘導体及び/又は類似体;国際公開第2008/118414号に開示されているピリド[3,2-E][1,2,4]トリアゾロ[4,3-C]ピリミジン並びにこの誘導体及び/又は類似体;国際公開第2007/112399号に開示されているテトラヒドロ-ピラゾロ[3,4-C]ピリジン並びにこの誘導体及び/又は類似体;国際公開第2006/043260号に開示されているビシクロ[3.1.1]ヘプタン-2-オンカンナビノイド並びにこの誘導体及び/又は類似体;国際公開第2005/0123051号に開示されているレゾルシノール並びにこの誘導体及び/又は類似体;国際公開第2004/050011号に開示されているデキサナビノール化合物並びにこれらの誘導体及び/又は類似体;国際公開第2000/032200号に開示されている大麻類似性脂質アミド化合物並びにこれらの誘導体及び/又は類似体;米国特許出願第2010/0168066号に開示されているナビロン並びにこの誘導体及び/又は類似体;米国特許出願第2003/0191069号に開示されている2-オキソキノロン化合物並びにこれらの誘導体及び/又は類似体;米国特許出願第2011/0137040号に開示されている3,4-ジアリール-4,5-ジヒドロ-(h)-ピラゾール-1-カルボキサミド並びにこの誘導体及び/又は類似体が挙げられる。
【0028】
特定の実施形態において、3-カルバモイル-2-ピリドン並びにその誘導体及び/又は類似体としては、メチル3-メチル-2-{[2-オキソ-1-(2-オキソ-エチル)-1,2,5,6,7,8,9,10-オクタヒドロ-シクロオクタ[b]ピリジン-3-カルボニル]-アミノ}-ブチレート;ジメチル2-[(1-シクロヘキシルメチル-5,6-ジメチル-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリジン-3-カルボニル)-アミノ]-スクシネート;及びメチル2-{[1-(3-メトキシカルボニアミノ-プロピル)-2-オキソ-1,2,5,6,7,8,9,10-オクタヒドロ-シクロオクタ[b]ピリジン-3-カルボニル]-アミノ}-2-メチル-プロピオネートが挙げられる。
【0029】
特定の実施形態において、ピリミジン誘導体及び/又は類似体としては、式(I)を有する化合物(2-((2,4-ジクロロフェニル)アミノ)-N-((テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)メチル)-4-(トリフルオロメチル)ピリミジン-5-カルボキサミド)が挙げられる。
【0030】
【化2】
【0031】
他のピリミジン誘導体及び/又は類似体としては、2-(3-クロロフェニルアミノ)-4-トリフルオロメチルピリミジン-5-カルボン酸シクロヘキシルメチル-アミド;2-フェニルアミノ-4-トリフルオロメチルピリミジン-5-カルボン酸シクロヘキシルメチル-アミド;1-[2-(2,3-ジクロロフェニルアミノ)-4-トリフルオロメチルピリミジン-5-イル]-1-モルホリン-4-イル-メタノン;1-[2-(2,4-ジクロロフェニルアミノ)-4-トリフルオロメチルピリミジン-5-イル]-1-モルホリン-4-イル-メタノン;及び2-(3-クロロフェニルアミノ)-4-トリフルオロメチルピリミジン-5-カルボン酸シクロペンチルアミドが挙げられる。
【0032】
特定の実施形態において、カレナジオール並びにこの誘導体及び/又は類似体としては、式(II)を有する化合物が挙げられ、
【0033】
【化3】
式中、Rは、i-ブチル、n-ブチル及びt-ブチルのような異性体形態を含む、1~9個の炭素原子を有する低級アルキルである。特定の実施形態において、Rは、C11又は1,1-ジメチルヘプチルである。
【0034】
特定の実施形態において、カンナビノイドカルボン酸並びにこれらの誘導体及び/又は類似体としては、式(III)、(IV)、(V)又は(VI)を有する化合物が挙げられ、
【0035】
【化4】
式中、
は、1個のC原子~12個のC原子を有する直鎖、分岐鎖又は環状炭化水素残基であり、
は、NH 、一価、二価若しくは三価の金属イオン又は48個までのC原子を有し、更なる官能基を有し得る、第一級、第二級、第三級若しくは第四級有機アンモニウムイオンである。
【0036】
多価アンモニウムイオンの例としては、N,N-ジシクロ-ヘキシルアミン-H及びN,N-ジシクロヘキシル-N-エチルアミン-Hが挙げられる。Xは、例えば、モルヒネ、メタドン(若しくは、その鏡像異性体)又はヒドロモルフォンのような、少なくとも1個の塩基性窒素原子を有する薬学的活性物質の水素カチオンであってもよい。
【0037】
特定の実施形態において、ピリド[3,2-E][1,2,4]トリアゾロ[4,3-C]ピリミジン並びにこの誘導体及び/又は類似体としては、5-tert-ブチル-8-(2-クロロフェニル)-9-(4-クロロフェニル)ピリド[3,2-e][1,2,4]トリアゾロ[4,3-c]ピリミジン-3(2H)-オン;8-(4-ブロモ-2-クロロフェニル)-5-tert-ブチル-9-(4-クロロフェニル)ピリド[3,2-e][1,2,4]トリアゾロ[4,3-c]ピリミジン-3(2H)-オン;5-フェルト-ブチル-9-(4-クロロフェニル)-8-(2-メチルフェニル)ピリド[3,2-e][1,2,4]トリアゾロ[4,3-c]ピリミジン-3(2H)-オン;9-(4-ブロモフェニル)-5-tert-ブチル-8-(2-クロロフェニル)ピリド[3,2-e][1,2,4]トリアゾロ[4,3-c]ピリミジン-3(2H)-オン;及び5-tert-ブチル-8-(2-クロロフェニル)-9-(4-クロロフェニル)ピリド[3,2-e][l,2,4]トリアゾロ[4,3-c]ピリミジンが挙げられる。
【0038】
特定の実施形態において、テトラヒドロ-ピラゾロ[3,4-C]ピリジン並びにこの類似体及び/又は誘導体としては、式(VII)、(VIII)、(IX)、(X)又は(XI)を有する化合物が挙げられる。
【0039】
【化5】
【0040】
特定の実施形態において、ビシクロ[3.1.1]ヘプタン-2-オンカンナビノイド並びにこれらの誘導体及び/又は類似体としては、式(XII)を有する化合物が挙げられ、
【0041】
【化6】
C-4がSであり、C-1及びC-5のプロトンが互いにシスの関係であり、C-4及びC-5のプロトンがトランスである、特定の立体化学を有し、式中、
は、(a)O若しくはS、(b)C(R’)(ここでR’は、出現毎に、水素、シアノ、-OR”、-N(R”)、飽和若しくは不飽和、直鎖若しくは分岐鎖のC~Cアルキル、C~Cアルキル-OR”又はC~Cアルキル-N(R”)からなる群から独立して選択され、出現毎に、R”は、水素、C(O)R”’、C(O)N(R”’)、C(S)R”’、飽和若しくは不飽和、直鎖若しくは分岐鎖のC~Cアルキル、C~Cアルキル-OR”’及びC~Cアルキル-N(R”’)からなる群から独立して選択され、出現毎に、R”’は、水素又は飽和若しくは不飽和、直鎖、分岐鎖若しくは環状のC~C12アルキルからなる群から独立して選択される)又は(c)NR”
若しくはN-OR”(ここでR”は既に定義された通りである)であり;
及びRは、各々独立して、(a)-R”、-OR”、-N(R”)、-SR”、-S(O)(O)NR”(ここで、出現毎に、R”は既に定義された通りである)、(b)-S(O)R、-S(O)(O)R(ここで、Rは、水素、飽和若しくは不飽和、直鎖若しくは分岐鎖のC~Cアルキル、C~Cアルキル-OR”及びC~Cアルキル-N(R”)からなる群から独立して選択され、R”は既に定義された通りである)又は(c)-OC(O)OH、-OS(O)(O)OR、-OP(O)(OR、-OR又は-C(O)OH、-S(O)(O)OR若しくは-P(O)(ORで連鎖停止されている-OC(O)-R(ここで、Rは、飽和又は不飽和、直鎖又は分岐鎖のC~Cアルキルであり、Rは、出現毎に、水素及び既に定義された通りであるRからなる群から選択される)であり;
は、(a)R(ここで、Rは、水素、ハロゲン、OR”’、OC(O)R”’、C(O)OR”’、C(O)R”’、OC(O)OR”’、CN、N(R”’)、NC(O)R”’、NC(O)OR”’、C(O)N(R”’)、NC(O)N(R”’)及びSR”’からなる群から選択され、出現毎に、R”’は既に定義された通りである)、(b)飽和若しくは不飽和、直鎖、分岐鎖若しくは環状のC~C12アルキル-R(ここで、Rは既に定義された通りである)、(c)R(ここで、Rは既に定義された通りである)により任意の位置で更に置換され得る芳香族環、又は(d)(c)に定義されているように更に置換され得る芳香族環で任意選択的に停止されている、飽和若しくは不飽和、直鎖、分岐鎖若しくは環状のC~C12アルキルである。
【0042】
特定の実施形態において、レゾルシノール並びにこの誘導体及び/又は類似体としては、式(XIII)を有する化合物が挙げられ、
【0043】
【化7】
式中、
は、(a)炭素原子7~12個の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル鎖、(b)-O-R(ここで、Rは、1つのフェニル基で任意選択的に置換されている、炭素原子5~9個の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル鎖である)又は(c)-(CH-O-R(ここで、nは、1~7の整数であり、Rは、炭素原子1~5個の直鎖アルキル鎖である)であり;
は、炭素原子10~30個を含む非環状テルペノイドである。
【0044】
特定の実施形態において、レゾルシノール並びにこの誘導体及び/又は類似体としては、式(XIII)を有する化合物が挙げられ、式中、R及びRは以下の通りである。
【0045】
は、1つのメチル基で任意選択的に置換されている、炭素原子5~8個の直鎖アルキル鎖であり;
は、1つの-OHで任意選択的に置換されているゲラニル及び1つの-OHで任意選択的に置換されているファルネシルから選択される。
【0046】
特定の実施形態において、レゾルシノール並びにこの誘導体及び/又は類似体としては、式(XIII)を有する化合物が挙げられ、式中、
は、(a)炭素原子7~12個の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル鎖、(b)-O-R(ここで、Rは、1つのフェニル基で任意選択的に置換されている、炭素原子5~9個の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル鎖である)、又は(c)-(CH-O-R(ここで、nは、1~7の整数であり、Rは、炭素原子1~5個の直鎖アルキル鎖である)であり;
は、炭素原子10~30個を含む非環状テルペノイドであり、ただし、Rがイソノニルであり、Rがゲラニルではないことが条件である。
【0047】
特定の実施形態において、レゾルシノール並びにこの誘導体及び/又は類似体としては、式(XIII)を有する化合物が挙げられ、式中、Rは、(a)炭素原子7~12個の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル、(b)基-O-R(ここで、Rは、炭素原子5~9個の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル又はフェニル基で末端炭素原子が置換されている直鎖若しくは分岐鎖のアルキルである)又は(c)基-(CH-O-アルキル(ここで、nは、1~7の整数であり、アルキル基は、1~5個の炭素原子を含有する)である。
【0048】
特定の実施形態において、レゾルシノール並びにこの誘導体及び/又は類似体としては、式(XIII)の化合物が挙げられ、式中、Rは、ゲラニル、ファルネシル、関連する非環状テルペン及びこれらの異性体のような非環状テルペノイド炭素鎖、並びに他の非環状パラフィン炭素鎖又はオレフィン炭素鎖である。
【0049】
特定の実施形態において、レゾルシノール並びにこの誘導体及び/又は類似体としては、式(XIII)の化合物が挙げられ、式中、Rはジメチルヘプチルであり、Rはゲラニルである。
【0050】
特定の実施形態において、デキサナビノール化合物並びにこれらの誘導体及び/又は類似体としては、式(XIV):
【0051】
【化8】
【0052】
を有し、(3S,4S)立体配置を有し、(3R,4R)鏡像異性体に対する鏡像異性体過剰率が少なくとも99.90%を超える、高純度鏡像異性体化合物が挙げられる。
【0053】
特定の実施形態において、大麻類似性脂質アミド化合物並びにこれらの誘導体及び/又は類似体としては、式(XV)を有する化合物が挙げられ、
【0054】
【化9】
式中、
Xは、C=O及びNHからなる群のうちの一方であり、Yは、この群の他方である。別の言い方をすると、XはC=Oあってもよく、YはNHであってもよく又はYはC=Oあってもよく、XはNHであってもよく、しかしXとYが両方とも同じ基であることはない。
【0055】
は、H又はアルキル基である。特定の実施形態において、Rは、H、CH又は(CHである。
【0056】
は、アルキル、置換アルキル、アルケニル又はアルキニル基である。特定の実施形態において、Rは、CH(R)CHZ、CHCH(R)Z又はCH(R)(CH)nCHZであり、Rは、H、CH、CH、CHCH、CHCF又は(CHであり、Zは、H、ハロゲン、N、NCS又はOHであり、nは、0、1及び2からなる群から選択される。
【0057】
は、アルキル、置換アルキル、アリール、アルキルアリール、O-アルキル、O-アルキルアリール、環状基及び複素環基である。O-アルキル及びO-アルキルアリールとは、アナンダミド部分及び置換基の炭素原子の間に酸素原子が介在している基を意味する。そのようなR基の例としては、シクロヘキシル、シクロペンチル、アルキルシクロヘキシル、アルキルシクロペンチル、ピペリジニル、モルホリニル及びピリジニルが挙げられる。特定の実施形態において、Rは、n-C10Z’、n-C12Z’、n-C14Z’又は1’,1’-C(CH(CHCHZ’であり、Z’は、H、ハロゲン、CN、N、NCS又はOHである。
【0058】
特定の実施形態において、大麻類似性脂質アミド化合物並びにこれらの誘導体及び/又は類似体としては、式(XVI)を有する化合物が挙げられ、
【0059】
【化10】
式中、
Yは、C=O及びNHからなる群のうちの一方であり、Xは、この群の他方である。
【0060】
は、H又はアルキル基である。特定の実施形態において、Rは、H、CH又は(CHである。
【0061】
は、アルキル、置換アルキル、アルケニル、アルキニル、O-アルキル、環状基、多環式基又は複素環基である。特定の実施形態において、Rは、
【0062】
【化11】
CH=CH、CH=C(CH、C≡CH、CHOCH、CH(R)(CH)nCHZ又はCHCH(R)(CH)nZであり、Rは、H、CH又は(CHであり、Zは、H、ハロゲン、N、NCS、OH又はOAcであり、nは、0、1又は2であり;
は、アルキル、置換アルキル、アリール、アルキルアリール、O-アルキル、O-アルキルアリール、環状基又は複素環基である。特定の実施形態において、Rとしては、シクロヘキシル、シクロペンチル、アルキルシクロヘキシル、アルキルシクロペンチル、ピペリジニル、モルホリニル及びピリジニルが挙げられる。特定の実施形態において、Rは、n-C10Z’、n-C12Z’、n-C14Z’又は1’,1’-C(CH(CHCHZ’であり、Z’は、H、ハロゲン、CN、N、NCS又はOHである。
【0063】
特定の実施形態において、ナビロン並びにこの誘導体及び/又は類似体としては、式(XVII)を有する化合物が挙げられ、
【0064】
【化12】
式中、
~R36は、水素及び重水素からなる群から独立して選択される。ナビロン誘導体及び/又は類似体とは、R~R36のうちの少なくとも1つに重水素が挙げられる化合物を意味することができる。ナビロンの化学構造については、図1を参照すること。
【0065】
合成カンナビノイドは、医薬化合物であり得、及び/又は栄養補給剤と組み合わせて提供することができる。本開示の背景技術の欄に記載したもののような疾患を治療するために、合成カンナビノイドは治療上有効な量で提供される。合成カンナビノイドは栄養補給剤と組み合わせて古典的な栄養不足疾患に関連する便益を示し;補給が人体の構造又は機能にいかに影響を及ぼすことを意図しているのか説明し;補給剤がかかる構造又は機能を維持するように作用する際の確認された機構を特徴付け;及び/又は製品の消費に関連する一般的な健康状態を記載する。特定の実施形態において、栄養補給剤は特定の病気又は1群の病気を診断、軽減、治療、治癒、又は予防することはない。
【0066】
特定の実施形態において、本明細書に開示されている組成物は、修飾アミノ酸、界面活性剤、洗剤、アゾン、ピロリドン、グリコール、又は胆汁塩のような担体を含む。アミノ酸は少なくとも1個の遊離アミン基を有するあらゆるカルボン酸であり、天然、非天然及び合成のアミノ酸を含む。ポリアミノ酸は、ペプチド、又は、結合可能な他の基、例えばエステル、無水物、若しくは無水物結合により形成された結合によって結合された2個以上のアミノ酸である。ペプチドはペプチド結合により連結された2個以上のアミノ酸である。ペプチドは、長さが2個のアミノ酸をもつジペプチドから数百のアミノ酸をもつポリペプチドまで、ばらついていてもよい。Chambers Biological Dictionary,editor Peter M.B.Walker,Cambridge,England:Chambers Cambridge,1989,215頁参照。ジ-ペプチド、トリ-ペプチド、テトラ-ペプチド、及びペンタ-ペプチドも使用することができる。
【0067】
修飾アミノ酸である担体としては、アシル化された脂肪酸アミノ酸(FA-aa)又はその塩が挙げられ、通例、アミノ酸又はそのエステルをアシル化又はスルホン化により修飾することによって製造される。アシル化脂肪酸アミノ酸には、N-アシル化FA-aa又はアルファアミノ基が脂肪酸でアシル化されたアミノ酸が含まれる。
【0068】
代表的なN-アシル化脂肪アミノ酸塩としては、N-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]カプリル酸ナトリウム(SNAC)がある。SNACの他の名称としてN-サリチロイル-8-アミノカプリル酸ナトリウム、8-(N-サリチロイルアミノ)オクタン酸一ナトリウム、N-(サリチロイル)-8-アミノオクタン酸一ナトリウム塩、N-{8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ}オクタン酸一ナトリウム、又は8-[(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸一ナトリウムがある。SNACは次の構造を有する:
【0069】
【化13】
SNACの塩も担体として使用できる。
【0070】
SNACの他の形態は、次式のものを含む:
【0071】
【化14】
式中、X及びZは、独立して、H、一価のカチオン、二価の金属カチオン又は有機のカチオンである。一価のカチオンの例はナトリウム及びカリウムを含む。二価のカチオンの例はカルシウム及びマグネシウムを含む。有機のカチオンの例はアンモニウム及びテトラメチルアンモニウムを含む。
【0072】
N-アシル化FA-aaのような代表的な修飾アミノ酸は化合物I~XXXVとして提供される(図3参照)。これらの化合物の塩及びその他のN-アシル化FA-aaも担体として使用することができる。
【0073】
これらの化合物の多くは本開示に基づいて、アミノ酸から、当業者の技量の範囲内の方法によって容易に製造することができる。例えば、化合物I~VIIはアミノ酪酸から誘導される。化合物VIII~X及びXXXI~XXIIVはアミノカプロン酸から誘導される。化合物XI~XXVI及びXXXVはアミノカプリル酸から誘導される。例えば、上記修飾アミノ酸化合物は、単一のアミノ酸を、アミノ酸中に存在する遊離のアミノ部分と反応してアミドを形成する適当な修飾剤と反応させることによって製造することができる。当業者には公知のように望まれない副反応を避けるために保護基を使用し得る。
【0074】
アミノ酸を金属水酸化物、例えば水酸化ナトリウム又はカリウムの水性のアルカリ性溶液に溶解し、5℃~70℃、好ましくは10℃~40℃の範囲の温度に1時間~4時間の範囲、好ましくは2.5時間の期間加熱することができる。アミノ酸のNH基の当量当たり使用するアルカリの量は一般にNH1当量当たり1.25~3ミリモル、好ましくは1.5~2.25ミリモルの範囲である。溶液のpHは一般に8~13の範囲、好ましくは10~12の範囲である。
【0075】
その後、撹拌しながらアミノ酸溶液に適当なアミノ酸修飾剤を加える。混合物の温度を一般に5℃~70℃、好ましくは10℃~40℃の範囲の温度に1~4時間の範囲の期間維持する。アミノ酸の量に対して使用するアミノ酸修飾剤の量はアミノ酸中の遊離のNH全体のモルに基づく。一般に、アミノ酸修飾剤はアミノ酸中の全NH基の1モル当量当たり0.5~2.5モル当量、好ましくは0.75~1.25当量の範囲の量で使用する。
【0076】
混合物のpHを適切な酸、例えば濃塩酸で、pHが2~3に達するまで調節することによって反応をクエンチする。混合物は、室温で静置すると、分離して透明な上層及び白色又はオフホワイトの沈殿を形成する。上層を捨て、ろ過又はデカンテーションによって下層から修飾アミノ酸を集める。次いで粗製修飾アミノ酸を9~13、好ましくは11~13の範囲のpHの水に溶解する。不溶性の物質をろ過により除き、ろ液を真空中で乾燥する。修飾アミノ酸の収率は一般に30~60%の範囲であり、通常45%である。
【0077】
所望であれば、例えばアミノ酸化合物のベンジル、メチル、又はエチルエステルのようなアミノ酸エステルを使用して修飾アミノ酸を製造してもよい。ジメチルホルムアミド、ピリジン、又はテトラヒドロフランのような適切な有機溶媒に溶解させたアミノ酸エステルを適当なアミノ酸修飾剤と5℃~70℃の範囲の、好ましくは25℃の温度で7~24時間の範囲の期間反応させることができる。アミノ酸エステルに対して使用するアミノ酸修飾剤の量は、アミノ酸について上に記載したのと同じである。この反応は、例えばトリエチルアミン又はジイソプロピルエチルアミンのような塩基を用いて、又は用いないで行うことができる。
【0078】
その後、反応溶媒を負圧下で除去し、修飾アミノ酸エステルを適切なアルカリ性溶液、例えば1N水酸化ナトリウムで、50℃~80℃の範囲、好ましくは70℃の温度で、エステル基を加水分解し、遊離のカルボキシル基を有する修飾アミノ酸を形成するのに充分な時間の期間加水分解することによってエステル官能性を除去する。次いで加水分解混合物を室温に冷却し、例えば25%塩酸水溶液で2~2.5の範囲のpHに酸性化する。修飾アミノ酸は、溶液から沈殿し、ろ過又はデカンテーションのような慣用の手段によって回収される。ベンジルエステルは、有機溶媒中で遷移金属触媒を用いて水素化することにより除去することができる。
【0079】
修飾アミノ酸は、再結晶又は固体カラム支持体上での分別によって精製し得る。適切な再結晶溶媒系は、アセトニトリル、メタノール及びテトラヒドロフランを含む。分別は、アルミナのような適切な固体カラム支持体上でメタノール/n-プロパノール混合物を移動相として用いて;逆相カラム支持体でトリフルオロ酢酸/アセトニトリル混合物を移動相として用いて;そしてイオン交換クロマトグラフィーで水を移動相として用いて行うことができる。イオン交換クロマトグラフィーを実施するとき、好ましくは0~500mMの塩化ナトリウム勾配を使用する。
【0080】
特定の実施形態において、式
【0081】
【化15】
(式中、Yは
【0082】
【化16】
又はSOであり;
はC~C24アルキレン、C~C20アルケニレン、C~C20アルキニレン、シクロアルキレン、又はアリーレンのような芳香族であり;
は水素、C~Cアルキル、又はC~Cアルケニルであり;
はC~Cアルキル、C~C10シクロアルキル、アリール、チエニル、ピロロ、又はピリジルであり、
は任意に1個以上のC~Cアルキル基、C~Cアルケニル基、F、Cl、OH、OR、SO、COOH、COOR又は、SOHにより置換されている)
を有する修飾アミノ酸は、水中で、塩基の存在下、式
【0083】
【化17】
を有するラクタムを、式R-Y-X(式中、Y、R、R、及びRは上記の通りであり、Xは脱離基である)を有する化合物と反応させることによって製造できる。上記式で示されるラクタムは、例えばOlah et al.,Synthesis,537-538(1979)に記載されている方法によって製造することができる。
【0084】
特定の実施形態において、修飾アミノ酸はまた、そのアルファアミノ基が脂肪酸でアシル化されたアミノ酸も含み、これは一般式A-Xにより表すことができ、式中Aはアルファ-アミノ酸残基であり、Xはアシル化によりAのアルファ-アミノ基に結合された脂肪酸である。アミノ酸にはカチオン性及び非カチオン性のアミノ酸が含まれる。特定の実施形態において、用語「非カチオン性アミノ酸」とは、非極性の疎水性アミノ酸、極性の非荷電アミノ酸、及び極性の酸性アミノ酸からなる群から選択されるアミノ酸を意味する。特定の実施形態において、本明細書で使用される用語「非カチオン性アミノ酸」とは、アラニン(Ala)、バリン(Val)、ロイシン(Leu)、イソロイシン(Ile)、フェニルアラニン(Phe)、トリプトファン(Trp)、メチオニン(Met)、プロリン(Pro)、サルコシン、グリシン(Gly)、セリン(Ser)、スレオニン(Thr)、システイン(Cys)、チロシン(Tyr)、アスパラギン(Asn)、及びグルタミン(Gin)、アスパラギン酸(Asp)、及びグルタミン酸からなる群から選択されるアミノ酸を意味する。
【0085】
特定の実施形態において、アシル化FA-aaは、非極性の疎水性アミノ酸のアルファアミノ酸残基を含む。特定の実施形態において、アシル化FA-aaは一般式A-Xで表され、式中Aは非極性の疎水性アミノ酸のアミノ酸残基であり、Xはアシル化によりAのアルファ-アミノ基に結合された脂肪酸である。特定の実施形態において、本明細書で使用される用語「非極性の疎水性アミノ酸」とは当業者により使用されるアミノ酸のカテゴリー分類を意味する。特定の実施形態において、用語「非極性の疎水性アミノ酸」は、アラニン(Ala)、バリン(Val)、ロイシン(Leu)、イソロイシン(Ile)、フェニルアラニン(Phe)、トリプトファン(Trp)、メチオニン(Met)、プロリン(Pro)及びサルコシンからなる群から選択されるアミノ酸を意味する。
【0086】
特定の実施形態において、アシル化FA-aaは極性の非荷電アミノ酸のアミノ酸残基を含む。特定の実施形態において、アシル化FA-aaは一般式A-Xで表され、式中Aは極性の非荷電アミノ酸のアミノ酸残基であり、Xはアシル化によりAのアルファ-アミノ基に結合された脂肪酸である。特定の実施形態において、本明細書で使用される用語「極性の非荷電アミノ酸」とは当業者により使用されるアミノ酸のカテゴリー分類を意味する。特定の実施形態において、用語「極性の非荷電アミノ酸」は、グリシン(Gly)、セリン(Ser)、スレオニン(Thr)、システイン(Cys)、チロシン(Tyr)、アスパラギン(Asn)及びグルタミン(Gln)からなる群から選択されるアミノ酸を意味する。
【0087】
特定の実施形態において、アシル化FA-aaは、極性の酸性アミノ酸のアミノ酸残基を含む。特定の実施形態において、アシル化FA-aaは、一般式A-Xで表され、式中Aは極性の酸性アミノ酸のアミノ酸残基であり、Xはアシル化によりAのアルファ-アミノ基に結合された脂肪酸である。特定の実施形態において、本明細書で使用される用語「極性の酸性アミノ酸」は、当業者により使用されるアミノ酸のカテゴリー分類を意味する。特定の実施形態において、用語「極性の酸性アミノ酸」とは、アスパラギン酸(Asp)及びグルタミン酸(Glu)からなる群から選択されるアミノ酸を意味する。
【0088】
特定の実施形態において、アシル化FA-aaのアミノ酸残基は、遺伝コードによりコードされていないアミノ酸のアミノ酸残基を含む。アシル化によるアミノ酸の修飾は、アミノ酸の遊離のアルファ-アミノ基と反応することが当技術分野で公知のアシル化剤を用いて容易に行うことができる。
【0089】
特定の実施形態において、本発明でアルファ-アミノ酸又はアルファ-アミノ酸残基は、他に述べない限りL-形態である。
【0090】
特定の実施形態において、アミノ酸残基は、遊離酸形態及び/又はそのナトリウム(Na+)塩のようなその塩である。
【0091】
アシル化FA-aaの代表的な実施形態は、一般的なFa-aaの式Iで表すことができる。
【0092】
【化18】
式中、R1は5~19個の炭素原子を含むアルキル又はアリール基であり;R2はH(すなわち水素)、CH(すなわちメチル基)であるか、又は(CH基を介してR4に共有結合し;R3はH又は存在せず;R4はアミノ酸側鎖であるか又は(CH基を介してR2に共有結合する;又はその塩である。
【0093】
FA-aaは、5~19個の炭素原子からなる置換又は非置換のアルキル基を含む脂肪酸でアシル化することができる。特定の実施形態において、アルキル基は5~17個の炭素原子からなる。特定の実施形態において、アルキル基は5~15個の炭素原子からなる。特定の実施形態において、アルキル基は5~13個の炭素原子からなる。特定の実施形態において、アルキル基は6個の炭素原子からなる。
【0094】
特定の実施形態において、アシル化FA-aaは腸内pH値で、特にpH6.5~7.0の範囲のようなpH5.5~8.0の範囲で可溶性である。特定の実施形態において、アシル化FA-aaはpH9.0未満で可溶性である。
【0095】
特定の実施形態において、アシル化FA-aaは少なくとも5mg/mLの溶解度を有する。特定の実施形態において、アシル化FA-aaは少なくとも10mg/mLの溶解度を有する。特定の実施形態において、アシル化FA-aaは少なくとも20mg/mLの溶解度を有する。特定の実施形態において、アシル化FA-aaは少なくとも30mg/mLの溶解度を有する。特定の実施形態において、アシル化FA-aaは少なくとも40mg/mLの溶解度を有する。特定の実施形態において、アシル化FA-aaは少なくとも50mg/mLの溶解度を有する。特定の実施形態において、アシル化FA-aaは少なくとも60mg/mLの溶解度を有する。特定の実施形態において、アシル化FA-aaは少なくとも70mg/mLの溶解度を有する。特定の実施形態において、アシル化FA-aaは少なくとも80mg/mLの溶解度を有する。特定の実施形態において、アシル化FA-aaは少なくとも90mg/mLの溶解度を有する。特定の実施形態において、アシル化FA-aaは少なくとも100mg/mLの溶解度を有する。特定の実施形態において、アシル化FA-aaの溶解度は、37℃でFA-aaのpKaの上下1単位のpH値の水溶液中で決定される。特定の実施形態において、アシル化FA-aaの溶解度は37℃でpH8の水溶液中で決定される。特定の実施形態において、アシル化FA-aaの溶解度は、37℃でFA-aaのpIの上下1単位のpH値の水溶液中で決定される。特定の実施形態において、アシル化FA-aaの溶解度は37℃でFA-aaのpIの上下1単位のpH値の水溶液中で決定され、ここで前記FA-aaは反対の荷電をもつ2個以上のイオン化可能な基を有する。特定の実施形態において、FA-aaの溶解度は水性の50mMリン酸ナトリウム緩衝液、pH8.0中37℃で決定される。
【0096】
特定の実施形態において、アシル化FA-aaは式(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(f)、(g)、(h)、(i)、(j)、(k)、(l)、(m)、(n)、(o)、(p)、(q)、及び(r)からなる群から選択される[式中、R1は5~19個の炭素原子を含むアルキル基であり、R2はH(すなわち水素)又はCH(すなわちメチル基)であり、R3はHである]か、又はその塩若しくは遊離酸形態である。式(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(f)、(g)、(h)、(i)、(j)、(k)、(l)、(m)、(n)、(o)、(p)、(q)、及び(r)は図4に示されている。
【0097】
特定の実施形態において、アシル化FA-aaは、ナトリウムN-ドデカノイルアラニナート、N-ドデカノイル-L-アラニン、ナトリウムN-ドデカノイルイソロイシナート、N-ドデカノイル-L-イソロイシン、ナトリウムN-ドデカノイルロイシナート、N-ドデカノイル-L-ロイシン、ナトリウムN-ドデカノイルメチオニナート、N-ドデカノイル-L-メチオニン、ナトリウムN-ドデカノイルフェニルアラニナート、N-ドデカノイル-L-フェニルアラニン、ナトリウムN-ドデカノイルプロリナート、N-ドデカノイル-L-プロリン、ナトリウムN-ドデカノイルトリプトファナート、N-ドデカノイル-L-トリプトファン、ナトリウムN-ドデカノイルバリナート、N-ドデカノイル-L-バリン、ナトリウムN-ドデカノイルサルコシナート、N-ドデカノイル-L-サルコシン、ナトリウムN-オレオイルサルコシナート、ナトリウムN-デシルロイシン、ナトリウムN-デカノイルアラニナート、N-デカノイル-L-アラニン、ナトリウムN-デカノイルロイシナート、N-デカノイル-L-ロイシン、ナトリウムN-デカノイルフェニルアラニナート、N-デカノイル-L-フェニルアラニン、ナトリウムN-デカノイルバリナート、N-デカノイル-L-バリン、ナトリウムN-デカノイルイソロイシナート、N-デカノイル-L-イソロイシン、ナトリウムN-デカノイルメチオニナート、N-デカノイル-L-メチオニン、ナトリウムN-デカノイルプロリナート、N-デカノイル-L-プロリン、ナトリウムN-デカノイルスレオニナート、N-デカノイル-L-スレオニン、ナトリウムN-デカノイルトリプトファナート、N-デカノイル-L-トリプトファン、ナトリウムN-デカノイルサルコシナート、N-デカノイル-L-サルコシン、N-ドデカノイルアスパラギナート、N-ドデカノイル-L-アスパラギン、ナトリウムN-ドデカノイルアスパラギン酸、N-ドデカノイル-L-アスパラギン酸、ナトリウムN-ドデカノイルシステイナート、N-ドデカノイル-L-システイン、ナトリウムN-ドデカノイルグルタミナート、N-ドデカノイル-L-グルタミン、ナトリウムN-ドデカノイルグリシナート、N-ドデカノイル-L-グリシン、ナトリウムN-ドデカノイルセリナート、N-ドデカノイル-L-セリン、ナトリウムN-ドデカノイルスレオニナート、N-ドデカノイル-L-スレオニン、ナトリウムN-ドデカノイルチロシナート、N-ドデカノイル-L-チロシン、ナトリウムN-デカノイルアスパラギナート、N-デカノイル-L-アスパラギン、ナトリウムN-デカノイルアスパラギン酸、N-デカノイル-L-アスパラギン酸、ナトリウムN-デカノイルシステイナート、N-デカノイル-L-システイン、ナトリウムN-デカノイルグルタミナート、N-デカノイル-L-グルタミン、ナトリウムN-デカノイルグリシナート、N-デカノイル-L-グリシン、ナトリウムN-デカノイルセリナート、N-デカノイル-L-セリン、ナトリウムN-デカノイルチロシナート、N-デカノイル-L-チロシン、ナトリウムN-ドデカノイルアスパラギナート、ナトリウムN-ドデカノイルグルタミン酸、N-ドデカノイル-L-グルタミン酸、ナトリウムN-デカノイルグルタミン酸、N-デカノイル-L-グルタミン酸、Amisoft HS-11 P(ナトリウムステアロイルグルタマート)、Amisoft MS-11(ナトリウムミリストイルグルタマート)、Amisoft LS-11(ナトリウムドデカノイルグルタマート)、Amisoft CS-11(ナトリウムココイルグルタマート)、ナトリウムN-ココイルグルタマート、Amisoft HS-11 P、Amisoft HS-11 P(ナトリウムN-ステアロイルグルタマート)、(ナトリウムN-ミリストイルグルタマート))、(ナトリウムN-ドデカノイルグルタマート)、及びAmisoft HS-11 Pの1種以上から選択することができる。
【0098】
次のアシル化FA-aaは市販されている。
【0099】
【表1】
【0100】
特定の実施形態において、用語「脂肪酸N-アシル化アミノ酸」、「脂肪酸アシル化アミノ酸」、又は「アシル化アミノ酸」は本明細書では同義で使用されており、そのアルファ-アミノ基が脂肪酸でアシル化されているアミノ酸を意味する。
【0101】
特定の実施形態では、低い溶解性、又は非常に低い溶解性を有するカンナビノイドを利用する。特定の実施形態では、本質的に水不溶性のカンナビノイドを利用する。特定の実施形態において、低い溶解性は、0.2mg/ml未満の水若しくは水溶液に対する溶解度又は0.1mg/ml未満の水若しくは水溶液に対する溶解度を意味することができる。特定の実施形態において、水に対する溶解性は、米国薬局方(USP 32)により溶質1部の溶解に必要な水の量に従って、低い~不溶性;低い溶解性:溶質1部の溶解に必要な水100~1000部;非常に低い溶解性:必要な水1000~10000部;本質的に水不溶性:必要な水10 000部超として定義される。しかし、塩基性のpHで、SNAC及び他の修飾アミノ酸並びに本明細書に記載されているFA-aaは水可溶性である。したがって、本明細書に記載されている投与便益は当然に予測することはできないであろう。
【0102】
特定の実施形態において、N-アシル化脂肪アミノ酸は、吸収促進剤として作用し、これにより投与便益を生み出す。吸収促進剤とは、胃腸での吸収を促進する化合物を意味する。吸収促進剤は、吸収促進剤を含まない製剤と比較して、胃腸管内での薬物の溶解性を改良するか又は膜透過を増進することにより薬物吸収を改良することができる。吸収促進剤の追加の例には、界面活性剤、洗剤、アゾン、ピロリドン、グリコール又は胆汁塩がある。
【0103】
特定の実施形態において、N-アシル化脂肪アミノ酸は、バイオアベイラビリティー促進剤として作用する。バイオアベイラビリティーとは、対象により実際に吸収され血流に到達する活性成分の画分をいう。特定の実施形態において、バイオアベイラビリティー促進剤は、バイオアベイラビリティー促進剤を含まない製剤と比較して、血流中の活性成分の画分を増加させるか又は血流中の活性成分をより早い時期に検出させることになる。
【0104】
特定の実施形態において、吸収促進剤及び/又はバイオアベイラビリティー促進剤により生み出される追加の投与便益には、吸収促進剤及び/又はバイオアベイラビリティー促進剤を含まないことを除いてあらゆる面で同様であるものに基づく対照の合成カンナビノイド組成物又は経口製剤と比較して、より速い作用の発現、より高いピーク濃度、より速いピーク濃度までの時間、増大した主観的治療効果、及び/又は増大した客観的治療効果が含まれる。
【0105】
様々な生理学的状態に対処するように設計された多くの経口のカンナビノイド組成物が、遅延した作用の発現、及び低いバイオアベイラビリティーを特徴とするので不適切であることから、吸収促進剤及び/又はバイオアベイラビリティー促進剤(例えば、及び特定の実施形態において、N-アシル化脂肪アミノ酸)を利用する実施形態は、有益である可能性がある。遅延した作用の発現は迅速な治療効果を必要とする臨床的適応(例えば疼痛及び片頭痛)において困難な課題となり;低いバイオアベイラビリティーは別の投与形態(例えば煙を吸う、蒸気を吸う)で必要とされるよりもかなり高い薬量の摂取を患者に要求する。本明細書に開示されている特定の実施形態は改良されたバイオアベイラビリティー及び治療効果の発現までのより短い時間を有する本明細書で提供される組成物を含む経口製剤を提供する。
【0106】
前述のように、特定の実施形態において、N-アシル化脂肪アミノ酸は主観的治療促進剤として作用する。主観的な治療促進とは、対象により認識される症状の目立った軽減を意味する。特定の実施形態において、主観的治療促進剤は、主観的治療促進剤を含まない製剤と比較して、症状の軽減を増大するか又は症状をより迅速に軽減する。
【0107】
特定の実施形態において、N-アシル化脂肪アミノ酸は客観的治療促進剤として作用する。客観的な治療促進とは、医師により投与されたとき、血液若しくは唾液アッセイ又は健康の試験によって検出される栄養不足のような臨床的尺度の軽減を意味する。特定の実施形態において、客観的治療促進剤は、客観的治療促進剤を含まない製剤と比較して、客観的な臨床的尺度の軽減を増大するか又は軽減をより迅速にもたらす。
【0108】
特定の実施形態は合成カンナビノイド並びに吸収促進剤及び/又はバイオアベイラビリティー促進剤を含む。これらの実施形態は、現在入手可能な経口剤形により摂取されるカンナビノイドと比較して、より迅速なカンナビノイドの吸収及びより高いバイオアベイラビリティーを可能にすることができる。
【0109】
特定の実施形態において、本明細書に開示されている担体は、増大した吸収、増大したバイオアベイラビリティー、作用のより速い発現、より高いピーク濃度、より速いピーク濃度までの時間、増大した主観的治療効果、増大した客観的治療効果、改良された味、及び改良された口当たりから選択される投与便益を生み出す。増大した吸収、増大したバイオアベイラビリティー、作用のより速い発現、より高いピーク濃度、より速いピーク濃度までの時間に関連する投与便益は不利な状態をより迅速に軽減することができる(例えば、疼痛の軽減)。「口当たり」とは、経口剤形を摂取する(例えば、噛む又は飲み込む)際に人が感じる快さの味に関連しない様相を意味する。口当たりの態様には、組成物の硬さ及びもろさ、組成物に噛み応えがあるか、ザラザラするか、油っぽいか、クリーム状か、水っぽいか、粘つくか、容易に溶解するか、渋いか、発泡性か、などであるかどうか、並びに組成物の大きさ、形状、及び形態(錠剤、粉末、ゲル、等)がある。特定の実施形態において、投与便益は薬量依存性の投与便益である。薬量依存性の投与便益は、担体が、薬量の範囲内又は関連する(活性成分に関連する)薬量の範囲内であるときに現れる投与便益を意味し得る。特定の実施形態において、薬量依存性の投与便益は、担体が、活性成分の薬量の1~100倍又は1~20倍の薬量であるときに現れる。
【0110】
特定の実施形態において、本明細書で提供される組成物は、1種以上の合成カンナビノイド、投与便益を示す担体、及び1種以上の添加剤(excipient)を加え、混合し、懸濁し、溶解し、ブレンドし、造粒し、錠剤化し、カプセル化し、又は他の剤形特有の手法を実施した後、包装することによって、対象への投与用に製造することができる。明確にするために、担体は投与便益を示すように貢献する。添加剤は必ずしも必要ではないが投与便益に貢献することができる。
【0111】
特定の実施形態は経口製剤として製造された組成物を含む。代表的な経口製剤には、カプセル、被覆錠剤、食用、エリキシル剤、エマルション、ゲル、ゼラチンカプセル、顆粒、ガム、ジュース、液剤、油、ペースト、ペレット、丸薬、粉末、速溶性錠剤、サシェ、半固体、スプレー、溶液、懸濁液、シロップ、錠剤、等がある。
【0112】
代表的な添加剤の種類としては、結合剤、緩衝剤、キレート剤、コーティング剤、着色剤、錯体形成剤、希釈剤(すなわち、充填剤)、崩壊剤、乳化剤、香味料、流動促進剤、潤滑剤、保存料、放出剤、界面活性剤、安定剤、可溶化剤、甘味料、増粘剤、湿潤剤、及び賦形剤(vehicle)がある。
【0113】
結合剤は、造粒の際に粉末粒子の接着を起こすために使用される物質である。代表的な結合剤には、アカシア、圧縮性糖(compressible sugar)、ゼラチン、スクロース及びその誘導体、マルトデキストリン、セルロースポリマー、例えばエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム及びメチルセルロース、アクリルポリマー、例えば不溶性アクリレートアンモニオメタクリレートコポリマー、ポリアクリレート又はポリメタクリルコポリマー、ポビドン、コポビドン、ポリビニルアルコール、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、デンプン、アルファ化デンプン、グアーガム、並びにポリエチレングリコールがある。
【0114】
着色剤は、製剤に色を付けるために経口製剤に含ませることができる。代表的な着色剤には、ブドウ皮エキス、ビートレッドパウダー、ベータカロテン、アナトー、カルミン、ウコン、及びパプリカがある。追加の着色剤として、FD&C Red No.3、FD&C Red No.20、FD&C Yellow No.6、FD&C Blue No.2、D&C Green No.5、FD&C Orange No.5、D&C Red No.8、カラメル、及び酸化第二鉄がある。
【0115】
希釈剤は経口製剤の造粒を増進することができる。代表的な希釈剤として、微晶質セルロース、スクロース、リン酸二カルシウム、デンプン、ラクトース及び炭素原子13個未満のポリオール、例えばマンニトール、キシリトール、ソルビトール、マルチトール並びに薬学的に許容されるアミノ酸、例えばグリシンがある。
【0116】
崩壊剤も、溶解を容易にするために経口製剤に含ませることができる。崩壊剤(Disentegrant)、例えば透過促進(permeabilising)及びウィッキング剤(wicking agent)は、経口製剤の内部並びに外部から溶解を促進する水又は唾液を経口製剤中に引き込むことができる。使用できるかかる崩壊剤、透過促進及び/又はウィッキング剤には、デンプン、例えばトウモロコシデンプン、ジャガイモデンプン、そのアルファ化及び加工デンプン、セルロース作用剤(cellulosic agent)、例えばAc-di-sol、モンモリロナイト粘土、架橋PVP、甘味料、ベントナイト、微晶質セルロース、クロスカルメロースナトリウム、アルギン酸塩、デンプングリコール酸ナトリウム、ガム、例えば寒天、グアー、ローカストビーン、カラヤ、ペクチン、アラビア、キサンタン及びトラガカント、水性溶媒に対して高い親和性をもつシリカ、例えばコロイドシリカ、沈降シリカ、マルトデキストリン、ベータ-シクロデキストリン、ポリマー、例えばカーボポール、並びにセルロース作用剤、例えばヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース及びヒドロキシプロピルメチルセルロースがある。経口製剤の溶解は、使用する比較的小さい粒径の成分を含ませることにより容易にすることができる。
【0117】
代表的な分散又は懸濁剤としては、アカシア、アルギン酸塩、デキストラン、トラガカント(fragacanth)、ゼラチン、水素添加食用脂、メチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、ソルビトールシロップ、及び合成の天然ガムがある。
【0118】
代表的な乳化剤としてはアカシア及びレシチンがある。
【0119】
フレーバー剤(Flavorant)は、心地よい香味そしてしばしば香気を経口製剤に付与するために使用される天然又は人工の化合物である。代表的なフレーバー剤には、天然及び合成の香味油、香味芳香剤、植物、葉、花、及び果実の抽出物並びにこれらの組合せがある。かかるフレーバー剤としてアニス油、桂皮油、バニラ、バニリン、ココア、チョコレート、ナチュラルチョコレート香味、メントール、ブドウ、ペパーミント油、ウィンターグリーン油、丁子油、ベイ油、アニス油、ユーカリ、タイム油、ニオイヒバ油、ナツメグ油、セージ油、苦扁桃油、カッシア油;かんきつ油、例えばレモン、オレンジ、ライム及びグレープフルーツ油;並びに果実精、例えばリンゴ、セイヨウナシ、桃、ベリー、ワインドベリー、ナツメヤシ、ブルーベリー、キーウィ、イチゴ、ラズベリー、サクランボ、プラム、パイナップル、及びアンズがある。特定の実施形態において、使用できるフレーバー剤には天然のベリー抽出物及び天然の混合ベリー香味、並びにクエン及びリンゴ酸がある。
【0120】
流動促進剤は製造中の粉末ブレンドの流れを改良し、経口製剤重量変化を最小にする。代表的な流動促進剤には、二酸化ケイ素、コロイド状又はヒュームドシリカ、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸、トウモロコシデンプン、及びタルクがある。
【0121】
潤滑剤は、組成物の圧縮中の摩擦を低減する、経口製剤に使用される物質である。代表的な潤滑剤にはステアリン酸、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、タルク、鉱油及び植物油、安息香酸、ポリ(エチレングリコール)、ベヘン酸グリセリル、フマル酸ステアリル、及びラウリル硫酸ナトリウムがある。
【0122】
代表的な保存料としては、p-ヒドロキシ安息香酸メチル、p-ヒドロキシ安息香酸プロピル、及びソルビン酸がある。
【0123】
代表的な甘味料としては、アスパルテーム、デキストロース、フルクトース、異性化糖、マルトデキストリン、グリチルリチン酸一アンモニウム、ネオヘスペリジンジヒドロカルコン、アセスルファムカリウム、サッカリンナトリウム、ステビア、スクラロース、及びスクロースがある。
【0124】
特定の実施形態は飲み込める組成物を含む。飲み込める組成物は、口中に入れたとき容易には溶けず、噛むことなく又は不快感なく丸ごと飲み込むことができるものである。米国特許第5,215,754号及び同第4,374,082号は飲み込める組成物を製造する方法を記載している。特定の実施形態において、飲み込める組成物は、鋭い端を含有しない形状及び滑らかで均一かつ実質的に泡のない外側コーティングを有し得る。
【0125】
飲み込める組成物を製造するためには、慣用のコンパウンディング技術に従って、各々の成分を適切な担体と共に密な混和物として組み合わせるとよい。飲み込める組成物の特定の実施形態において、組成物の表面をポリマー性のフィルムでコートしてもよい。かかるフィルムコーティングはいくつかの有益な効果を有する。まず第1に、口の内面への組成物の接着が低減することにより、その対象の組成物を飲み込む能力を増大させる。第2に、フィルムはある種の成分の不快な味を隠す補助となり得る。第3に、フィルムコーティングは組成物を大気中の分解から保護することができる。飲み込める組成物を製造する際に使用できるポリマー性フィルムとしては、ビニルポリマー、例えばポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール及びアセテート、セルロース誘導体、例えばメチル及びエチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース及びヒドロキシルプロピルメチルセルロース、アクリレート及びメタクリレート、コポリマー、例えばビニル-マレイン酸及びスチレン-マレイン酸タイプ、及び天然のガム並びに樹脂、例えばゼイン、ゼラチン、シェラック及びアカシアがある。
【0126】
特定の実施形態において、経口製剤は噛むことができる組成物を含み得る。噛むことができる組成物は、快い味及び口当たりを有し、比較的に軟らかく、噛んだ後迅速により小さい破片に壊れ溶解し始めて、結果として実質的に溶液として飲み込まれるようになるものである。
【0127】
米国特許第6,495,177号は、改良された口当たりを有する噛むことができる組成物を製造する方法を記載している。米国特許第5,965,162号は、殊に噛んだとき、口内で迅速に崩壊する食べられるユニットを製造するためのキット及び方法を記載している。
【0128】
噛むことができる組成物を創出するためには、上に記載した属性を達成するようにある種の成分を含ませるべきである。例えば、噛むことができる組成物は、心地よい香味及び口当たりを生み出し、口内での相対的な軟らかさ及び溶解性を促進する成分を含むべきである。以下の考察はこれらの特性を達成する役に立ち得る成分を記載する。
【0129】
糖類、例えば白砂糖、コーンシロップ、ソルビトール(溶液)、マルチトール(シロップ)、オリゴ糖、イソマルトオリゴ糖、スクロース、フルクトース、ラクトース、グルコース、ライカシン(lycasin)、キシリトール、ラクチトール、エリスリトール、マンニトール、イソマルトース、デキストロース、ポリデキストロース、デキストリン、圧縮性セルロース、圧縮性蜂蜜、圧縮性糖蜜及びこれらの混合物を加えて口当たり及び嗜好性を改良してもよい。フォンダン又はガム、例えばゼラチン、寒天、アラビアガム、グアーガム、及びカラギーナンを加えて組成物の噛み応えを改良してもよい。使用できる脂肪質材料としては、植物油(例えば、ヤシ油、パーム硬化油、トウモロコシ胚芽硬化油、ヒマシ硬化油、綿実油、オリーブ油、ピーナッツ油、パームオレイン油、及びパームステアリン油)、動物油(例えば、融点が30°~42℃の範囲である精製油及び精製ラード)、カカオ脂、マーガリン、バター、及びショートニングがある。
【0130】
アルキルポリシロキサン(様々な分子量範囲及び様々な異なる置換パターンで市販されているポリマー)も、噛むことができる組成物の食感、口当たり、又は両方を高めるために使用することができる。「食感を高める」とは、アルキルポリシロキサンが、その噛むことができる組成物の堅さ、もろさ、及び噛み応えの1以上を、アルキルポリシロキサンを欠く同じ製剤と比べて改良することを意味する。「口当たりを高める」とは、アルキルポリシロキサンが、口内で液化されたときに噛むことができる組成物のザラザラする食感を、アルキルポリシロキサンを欠く同じ製剤と比べて低減することを意味する。
【0131】
アルキルポリシロキサンは、一般に、ケイ素及び酸素を含有するポリマー骨格を含み、1個以上のアルキル基が骨格のケイ素原子からぶら下がっている。それらはその等級に応じて、更にシリカゲルを含むことができる。アルキルポリシロキサンは一般に粘稠な油である。飲み込める、噛むことができる又は溶ける組成物に使用することができる代表的なアルキルポリシロキサンにはモノアルキル又はジアルキルポリシロキサンがあり、ここでアルキル基は任意にフェニル基により置換されていてもよいC-C-アルキル基から各々独立して選択される。使用できる特定のアルキルポリシロキサンはジメチルポリシロキサン(一般にシメチコンといわれる)である。より具体的には、シメチコンGSと指称される粒状のシメチコン製剤を使用できる。シメチコンGSは30%のシメチコンUSPを含有する製剤である。シメチコンUSPは90.5重量%以下の(CH-Si{OSi(CH}CHを4.0%~7.0重量%のSiOと混和して含有する。
【0132】
噛むことができる組成物で出現する可能性があるべたつきを予防し、また摂取の際の活性成分のエマルション又は懸濁液への変換を促進するために、組成物は更に乳化剤、例えばグリセリン脂肪酸エステル、モノステアリン酸ソルビタン、スクロース脂肪酸エステル、レシチン及びこれらの混合物を含んでいてもよい。特定の実施形態において、かかる乳化剤の1種以上は投与される製剤の重量で0.01%~5.0%の量で存在し得る。特定の実施形態において、乳化剤のレベルがそれより低いか又はそれより高いと、乳化が起こらないか、又はワックス値が上昇する。
【0133】
経口投与用の液体製剤は、例えば、溶液、シロップ若しくは懸濁液の形態をとることができ、又は使用前の水も若しくは他の適切な賦形剤による再構成用の乾燥生成物として存在してもよい。
【0134】
上記に加えて、飲み込める、噛むことができる及び/又は溶ける組成物又は本明細書に記載されている他のいずれかの経口製剤を製造する際、記載されている目的と適合する限り、あらゆる適当な充填剤及び添加剤を利用してもよい。
【0135】
経口製剤はまた、食用品も含む。食用品とは、食料又は飲料として消費することができるあらゆる製品を意味する。場合によって、食用品は、本明細書で提供される組成物の食材への注入により、製造されてもよい。使用に適した食用可能な食料の例には、キャンディー、キャンディーバー、パン、ブラウニー、ケーキ、チーズ、チョコレート、ココア、クッキー、グミ、ロリポップ、ミント、ペーストリー、ピーナッツバター、ポップコーン、プロテインバー、餅、ヨーグルト、等がある。厳密にいえば食用ではないが、ガムも使用することができる。食用飲料の例としては、ビール、ジュース、フレーバーミルク、フレーバーウォーター、リカー、ミルク、ポンチ、ミルクセーキ、ソーダ、茶、及び水がある。特定の実施形態において、食用品は、食用品を作成するのに使用される成分と合成カンナビノイド/担体組成物とを組み合わせることで作成される。例としてはバター及び油がある。代表的な油としては、ココナツオイル、グレープシードオイル、オリーブ油、ヤシ油、パパイヤシードオイル、ピーナッツ油、ゴマ油、発芽小麦油、小麦胚芽油、又はこれらのあらゆる組合せがある。
【0136】
経口製剤は個別に、任意の大きさの1以上のパッケージ、缶、バイアル、ブリスターパック、又は瓶に複合ユニットとして包むか又は包装することができる。薬量は治療上有効な量を提供するような大きさとする。
【0137】
特定の実施形態において、経口製剤は、経口製剤の少なくとも0.1%w/v若しくはw/w;経口製剤の少なくとも1%w/v若しくはw/w;経口製剤の少なくとも10%w/v若しくはw/w;経口製剤の少なくとも20%w/v若しくはw/w;経口製剤の少なくとも30%w/v若しくはw/w;経口製剤の少なくとも40%w/v若しくはw/w;経口製剤の少なくとも50%w/v若しくはw/w;経口製剤の少なくとも60%w/v若しくはw/w;経口製剤の少なくとも70%w/v若しくはw/w;経口製剤の少なくとも80%w/v若しくはw/w;経口製剤の少なくとも90%w/v若しくはw/w;経口製剤の少なくとも95%w/v若しくはw/w;又は経口製剤の少なくとも99%w/v若しくはw/wの合成カンナビノイド(例えば、ナビロン、CBD及び/又はTHC)を含む。
【0138】
特定の実施形態において、経口製剤は、経口製剤の少なくとも0.1%w/v若しくはw/w;経口製剤の少なくとも1%w/v若しくはw/w;経口製剤の少なくとも10%w/v若しくはw/w;経口製剤の少なくとも20%w/v若しくはw/w;経口製剤の少なくとも30%w/v若しくはw/w;経口製剤の少なくとも40%w/v若しくはw/w;経口製剤の少なくとも50%w/v若しくはw/w;経口製剤の少なくとも60%w/v若しくはw/w;経口製剤の少なくとも70%w/v若しくはw/w;経口製剤の少なくとも80%w/v若しくはw/w;経口製剤の少なくとも90%w/v若しくはw/w;経口製剤の少なくとも95%w/v若しくはw/w;又は経口製剤の少なくとも99%w/v若しくはw/wの担体を含む。
【0139】
特定の実施形態において、経口製剤は、経口製剤の少なくとも0.1%w/v若しくはw/w;経口製剤の少なくとも1%w/v若しくはw/w;経口製剤の少なくとも10%w/v若しくはw/w;経口製剤の少なくとも20%w/v若しくはw/w;経口製剤の少なくとも30%w/v若しくはw/w;経口製剤の少なくとも40%w/v若しくはw/w;経口製剤の少なくとも50%w/v若しくはw/w;経口製剤の少なくとも60%w/v若しくはw/w;経口製剤の少なくとも70%w/v若しくはw/w;経口製剤の少なくとも80%w/v若しくはw/w;経口製剤の少なくとも90%w/v若しくはw/w;経口製剤の少なくとも95%w/v若しくはw/w;又は経口製剤の少なくとも99%w/v若しくはw/wの添加剤を含む。
【0140】
特定の実施形態において、10gの本明細書で提供される組成物を150mlの水に対して使用できる。これにより、1~99%(w/w)、2~80%(w/w)、及び5~50%(w/w)の組成物の有効濃度が得られる。
【0141】
添加剤はAldrich Chemical Co.,FMC Corp,Bayer,BASF,Alexi Fres,Witco,Mallinckrodt,Rhodia,ISPなどのような会社から市販されている。
【0142】
追加の情報は、WADE & WALLER,HANDBOOK OF PHARMACEUTICAL EXCIPIENTS(2nd ed.1994)及びRemington’s Pharmaceutical Sciences,18th Ed.Mack Printing Company,1990に見ることができる。更に、製剤はU.S.FDA及び/又は他の関連のある外国の規制機関により要求される無菌状態、発熱性、一般的安全性、及び純度の標準規格を満たすように製造することができる。
【0143】
代表的な製剤方法。溶液製剤。
合成カンナビノイドと1種以上のN-アシル化脂肪アミノ酸を、水性/有機溶媒混合物中で混合する。得られたブレンドを1時間激しく撹拌する。溶解が不完全であれば、界面活性剤を加えることができ、撹拌を続けて最終の製剤を調製することができる。
【0144】
懸濁製剤。合成カンナビノイドと1種以上のN-アシル化脂肪アミノ酸を水、水性/有機溶媒混合物又は有機溶媒混合物中で混合する。得られたブレンドを撹拌して懸濁させることができる。
【0145】
溶液製剤。合成カンナビノイドと任意の1種以上の吸収促進剤を水性/有機溶媒混合物中で混合する。得られたブレンドを1時間激しく撹拌する。溶解が不完全であれば、界面活性剤を加えることができ、撹拌を続けて最終の製剤を調製することができる。
【0146】
懸濁製剤。合成カンナビノイドと任意の1種以上の吸収促進剤を水、水性/有機溶媒混合物又は有機溶媒混合物中で混合する。得られたブレンドを撹拌して懸濁させることができる。
【0147】
ゼラチンカプセル組成物。懸濁製剤又は溶液製剤をゼラチンカプセルに充填して1gまでの合成カンナビノイドを含ませることができる。ゼラチンカプセルは腸溶コーティングで処理することも、又はコーティングなしで使用することもできる。
【0148】
錠剤/カプセル組成物。溶液製剤及び懸濁製剤を蒸発、凍結乾燥、又は噴霧乾燥により乾燥させることができる。得られた乾燥製品を打錠添加剤と混合し、錠剤又はカプレットに圧縮して1gまでの合成カンナビノイドを含ませることができる。あるいは、乾燥製品をカプセルに充填することができる。
【0149】
本明細書に開示されている組成物は対象(ヒト、獣医学的動物(イヌ、ネコ、爬虫類、鳥類、等)、家畜(ウマ、ウシ、ヤギ、ブタ、ニワトリ、等)、及び研究動物(サル、ラット、マウス、魚類、等))を治療するのに使用することができる。対象を治療することは治療上有効な量を提供することを含む。治療上有効な量は、有効な量、予防的治療、及び/又は治療処置を提供するものを含む。
【0150】
「有効な量」は、対象において所望の生理学的変化を起こすのに必要な組成物の量である。有効な量はしばしば試験目的で投与される。本明細書に開示されている代表的な有効量は、動物モデルにおいて疼痛知覚(神経障害性疼痛、急性疼痛、内蔵疼痛)を低減することができ、動物モデルにおいて食欲を刺激することができ、動物モデルにおいて発作(例えば、てんかん性発作)を低減することができ、動物モデルにおいて骨量減少を逆転することができ、動物モデルにおいて片頭痛を軽減する(頭蓋血管を収縮させる)ことができ、動物モデルにおいて中毒を治療することができ、動物モデルにおいて不安を低減することができ、及び/又は動物モデルにおいて喘息の症状を低減することができる。
【0151】
「予防的治療」は、病気若しくは栄養不足の兆候若しくは症状を示していないか又は病気若しくは栄養不足の初期兆候若しくは症状のみを示す対象に、病気若しくは栄養不足を更に発症するリスクを小さくし、抑制し、若しくは減少させる目的で投与されるように投与される処置を含む。したがって、予防的治療は病気又は栄養不足の発症に対する予防処置として機能する。
【0152】
予防的治療の一例として、本明細書に開示されている経口製剤は、片頭痛を発症するリスクがある対象に投与することができる。片頭痛の有効な予防的治療は、対象が感じる1月当たりの片頭痛の数が少なくとも10%又は特定の実施形態において25%低下したときに現れる。
【0153】
予防的治療の別の例として、本明細書に開示されている経口製剤は、てんかん性発作を有するリスクがある対象に投与することができる。てんかん性発作の有効な予防的治療は、1月当たりの発作の数が少なくとも10%又は特定の実施形態において25%低下したときに現れる。
【0154】
予防的治療のもう1つ別の例として、本明細書に開示されている経口製剤は、神経障害性疼痛を患うリスクのある対象に投与することができる。神経障害性疼痛の有効な予防的治療は、神経障害性疼痛の出現が、標準の主観的又は客観的疼痛評価により測定して少なくとも10%、又は特定の実施形態において25%低下したときに現れる。
【0155】
予防的治療の別の例として、本明細書に開示されている経口製剤は、突出痛を発症するリスクがある対象に投与することができる。突出痛の有効な予防的治療は、突出痛の発生が標準の主観的又は客観的疼痛評価により10%、特定の実施形態において25%低下したときに現れる。
【0156】
予防的治療のもう1つ別の例として、本明細書に開示されている経口製剤は、化学療法により誘発される悪心及び嘔吐(CINV)を発症するリスクのある対象に投与することができる。CINVの有効な予防的治療は、CINVが標準の主観的又は客観的なCINV評価により測定して10%、特定の実施形態において25%低下するときに現れる。
【0157】
栄養不足の予防的治療の一例として、本明細書に開示されている経口製剤は、ビタミンC不足によるくる病を、食事に含まれる鉄の不足による貧血を、及び/又はカルシウム不足による骨量減少を発症するリスクのある対象に投与することができる。これらの状態の有効な予防的治療は、これらの状態が本明細書に開示されている経口製剤による栄養補給に起因して回避されたか又は遅延したときに現れる。
【0158】
「治療処置」は、病気又は栄養不足を有する対象に投与される処置を含み、病気又は栄養不足の重症度を治癒又は低減する目的で対象に投与される。
【0159】
治療処置の一例として、本明細書に開示されている経口製剤は、片頭痛を有する対象に投与することができる。片頭痛の有効な治療処置は、頭痛の重症度が、標準の主観的又は客観的な頭痛評価により測定して、完全に低減若しくは軽減し、及び/又は頭痛がより迅速に消散したときに現れる。
【0160】
治療処置の別の例は、CINVを感じている対象への本明細書に開示されている経口製剤の投与を含む。CINVの治療処置は、標準の主観的又は客観的なCINV評価により測定して、嘔吐が低減したかやんだ(又はより迅速にやんだ)か又は悪心が軽減したときに現れる。
【0161】
治療処置のもう1つ別の例は、骨粗しょう症を有する対象への開示されている経口製剤の投与を含む。骨粗しょう症の有効な治療処置は、骨密度が10%、特定の実施形態においては25%増大したときに現れる。
【0162】
治療処置のもう1つ別の例は、不安を有する対象への本明細書に開示されている経口製剤の投与を含む。不安の有効な治療処置は標準の主観的又は客観的な不安評価により測定して不安の重症度が完全に及び/又はより迅速に低減又は軽減したときに現れる。
【0163】
治療処置の別の例は多発性硬化症を有する対象への本明細書に開示されている経口製剤の投与を含む。多発性硬化症の有効な治療処置は、標準の歩行試験におけるスコアが10%、特定の実施形態においては25%改良したときに現れる。
【0164】
栄養不足の治療処置の一例として、本明細書に開示されている経口製剤は、ビタミンC不足によるくる病、食事に含まれる鉄不足による貧血、及び/又はカルシウム不足による骨量減少を有する対象に投与することができる。これらの状態の有効な治療処置はこれらの状態が本明細書に開示されている経口製剤による栄養補給に起因して低減又は消散したときに現れる。
【0165】
治療処置は、投与に対する研究成分の存否に基づく有効な量とは区別することができる。しかし、当業者には理解されるように、ヒトの臨床試験では有効な量、予防的治療及び治療処置が重なり合う可能性がある。
【0166】
投与のために、治療上有効な量(本明細書では薬量ともいう)は最初にインビトロアッセイ及び/又は動物モデル試験の結果に基づいて評価することができる。かかる情報は目的とする対象における有用な薬量をより的確に決定するために使用することができる。
【0167】
特定の対象に投与される実際の投薬量は、対象、医師、獣医、研究者が、対象の標的、体重、状態、以前又は同時に起こる治療的介入、及び/又は特発性疾患を含めて物理的、生理学的及び心理学的要因のようなパラメーターを考慮して決定することができる。
【0168】
有用な薬量は0.1~5μg/kg又は0.5~1μg/kgの範囲であることができる。別の非制限的な実施例において、薬量は1μg/kg、5μg/kg、10μg/kg、15μg/kg、20μg/kg、25μg/kg、30μg/kg、35μg/kg、40μg/kg、45μg/kg、50μg/kg、55μg/kg、60μg/kg、65μg/kg、70μg/kg、75μg/kg、80μg/kg、85μg/kg、90μg/kg、95μg/kg、100μg/kg、150μg/kg、200μg/kg、250μg/kg、350μg/kg、400μg/kg、450μg/kg、500μg/kg、550μg/kg、600μg/kg、650μg/kg、700μg/kg、750μg/kg、800μg/kg、850μg/kg、900μg/kg、950μg/kg、1000μg/kg、0.1~5mg/kg又は0.5~1mg/kgを含むことができる。別の非制限的な実施例において、薬量は、1mg/kg、5mg/kg、10mg/kg、15mg/kg、20mg/kg、25mg/kg、30mg/kg、35mg/kg、40mg/kg、45mg/kg、50mg/kg、55mg/kg、60mg/kg、65mg/kg、70mg/kg、75mg/kg、80mg/kg、85mg/kg、90mg/kg、95mg/kg、100mg/kg、150mg/kg、200mg/kg、250mg/kg、350mg/kg、400mg/kg、450mg/kg、500mg/kg、550mg/kg、600mg/kg、650mg/kg、700mg/kg、750mg/kg、800mg/kg、850mg/kg、900mg/kg、950mg/kg、1000mg/kg以上を含むことができる。
【0169】
特定の実施形態において、有用な薬量は、対象の体重当たりの重量で合成カンナビノイド又は活性成分を含む。特定の実施形態において、有用な薬量は、0.1mg/kg~100mg/kg又は0.5mg/kg~50mg/kgの範囲であり得る。特定の実施形態において、有用な薬量は、対象の体重当たり0.5mg/kg、1mg/kg、5mg/kg、10mg/kg、15mg/kg、20mg/kg、25mg/kg以上の合成カンナビノイド又は活性成分を含む。
【0170】
特定の実施形態において、有用な薬量は、対象の体重当たりの重量で担体(例えば、SNAC)を含む。特定の実施形態において、有用な薬量は、0.1mg/kg~100mg/kg又は0.5mg/kg~50mg/kgの範囲であり得る。特定の実施形態において、有用な薬量は、対象の体重当たり0.5mg/kg、1mg/kg、5mg/kg、10mg/kg、15mg/kg、20mg/kg、25mg/kg、30mg/kg、35mg/kg、40mg/kg、45mg/kg、50mg/kg、55mg/kg、60mg/kg、65mg/kg、70mg/kg、75mg/kg、80mg/kg、85mg/kg、90mg/kg、95mg/kg、100mg/kg以上の担体を含む。特定の実施形態において、担体(例えば、SNAC)の有用な薬量は、投与便益を提供することができる。
【0171】
特定の実施形態において、総投薬容量は、0.25mL~30mL又は0.5mL~20mLの範囲であり得る。特定の実施形態において、総投薬容量は、0.1mL、0.2mL、0.3mL、0.4mL、0.5mL、0.6mL、0.7mL、0.8mL、0.9mL、1mL、2mL、3mL、4mL、5mL、6mL、7mL、8mL、9mL、10mL、11mL、12mL、13mL、14mL、15mL、16mL、17mL、18mL、19mL、20mL、21mL、22mL、23mL、24mL、25mL、26mL、27mL、28mL、29mL、30mL以上を含むことができる。
【0172】
投薬濃度は、投薬容量当たりの合成カンナビノイド又は活性成分の重量(例えば、mg薬学的活性成分(API)/mL)と表すことができる。特定の実施形態において、投薬濃度は、1mg/mL~100mg/mL又は5mg/mL~50mg/mLの範囲であり得る。特定の実施形態において、投薬濃度は、1mg/mL、2mg/mL、3mg/mL、4mg/mL、5mg/mL、6mg/mL、7mg/mL、8mg/mL、9mg/mL、10mg/mL、11mg/mL、12mg/mL、13mg/mL、14mg/mL、15mg/mL、16mg/mL、17mg/mL、18mg/mL、19mg/mL、20mg/mL、21mg/mL、22mg/mL、23mg/mL、24mg/mL、25mg/mL、30mg/mL、35mg/mL、40mg/mL、45mg/mL、50mg/mL、55mg/mL、60mg/mL、65mg/mL、70mg/mL、75mg/mL、80mg/mL、85mg/mL、90mg/mL、95mg/mL、100mg/mL以上を含むことができる。
【0173】
投薬濃度は、投薬容量当たりの担体(例えば、SNAC)の重量(例えば、mg SNAC/mL)と表すことができる。特定の実施形態において、投薬濃度は、1mg/mL~500mg/mL又は50mg/mL~300mg/mLの範囲であり得る。特定の実施形態において、投薬濃度は、1mg/mL、5mg/mL、10mg/mL、15mg/mL、20mg/mL、25mg/mL、30mg/mL、35mg/mL、40mg/mL、45mg/mL、50mg/mL、55mg/mL、60mg/mL、65mg/mL、70mg/mL、75mg/mL、80mg/mL、85mg/mL、90mg/mL、95mg/mL、100mg/mL、125mg/mL、150mg/mL、175mg/mL、200mg/mL、225mg/mL、250mg/mL、275mg/mL、300mg/mL、325mg/mL、350mg/mL、375mg/mL、400mg/mL、425mg/mL、450mg/mL、475mg/mL、500mg/mL以上を含むことができる。
【0174】
特定の実施形態において、担体と合成カンナビノイド又は活性成分との比(w/w)は、1:1~100:1又は1:1~20:1の範囲であり得る。特定の実施形態において、比は、1:1、2:1、3:1、4:1、5:1、6:1、7:1、8:1、9:1、10:1、11:1、12:1、13:1、14:1、15:1、16:1、17:1、18:1、19:1、20:1、25:1、30:1、35:1、40:1、45:1、50:1、55:1、60:1、65:1、70:1、75:1、80:1、85:1、90:1、95:1、100:1以上を含むことができる。特定の実施形態において、比は10:1であり得る。特定の実施形態において、担体とカンナビノイドとの1:1~100:1の比(w/w)は、投与便益を提供することができる。特定の実施形態において、担体とカンナビノイドとの1:1~20:1の比(w/w)は、投与便益を提供することができる。
【0175】
治療上有効な量は、治療計画の過程において(例えば、1時間毎、2時間毎、3時間毎、4時間毎、6時間毎、9時間毎、12時間毎、18時間毎、毎日、2日毎、3日毎、4日毎、5日毎、6日毎、毎週、2週毎、3週毎、又は毎月一回)単一又は複数の薬量を投与することによって達成することができる。
【0176】
1種以上の活性薬剤を、同時に若しくは10分、1時間、3時間、10時間、15時間、24時間、若しくは48時間の時間窓内のような選択された時間窓内で、又は補完する活性薬剤が臨床的に関連のある治療濃度域内にあるとき投与することができる。
【0177】
用語「ハロゲン」又は「ハロ」又は「ハロゲン原子」は、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素を意味する。
【0178】
用語「アルキル基」は、飽和分岐鎖又は直鎖の炭化水素基を意味する。「アルキル」としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、t-ブチル、ペンチル、ヘキシル、イソヘキシル、ネオヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシルなどが挙げられる。
【0179】
用語「アリール基」は、6個以上の炭素原子の不飽和共役π電子の単環式又は多環式の炭化水素環系基又は連結基を意味する。アリール基は、単一の炭素環原子から1個の水素原子を除去することによって誘導される。アリーレン連結基は、2個の炭素環原子の各々から2個の水素原子を除去することによって誘導される。「アリール」としては、フェニル、ナフチル、フェナントリル、アントリル、ナフタレニル、アズレニル、アントラセニルなどが挙げられる。
【0180】
用語「ヘテロアリール基」は、1個以上の窒素原子、酸素原子及び/又は硫黄原子を有するアリールを意味する。
【0181】
用語「シクロアルキル基」は、飽和又は部分的に不飽和の単環式、多環式又は架橋炭化水素環系基又は連結基を意味する。「シクロアルキル」としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、シクロヘプチル、シクロオクチル又はシクロオキチル(cyclooxtyl)が挙げられる。
【0182】
用語「複素環基」は、O、S及びNから選択される1個以上のヘテロ原子を含む、飽和又は不飽和、環状又は多環式の炭化水素系鎖を意味する。用語「複素環基」としては「ヘテロアリール基」も挙げられる。
【0183】
用語「ヘテロアリール基」は、O、S及びNから選択される1個以上のヘテロ原子を含む、環状又は多環式の芳香族炭化水素系鎖のような、芳香族複素環基を意味する。したがって、ヘテロアリール基は、複素環基の一例である。例として、芳香族炭化水素系鎖は、3~10個の炭素原子及び/又はヘテロ原子、並びに1つ以上の二重結合を含むことができる。多環式芳香族炭化水素系鎖は、2つ以上の縮合芳香族環を含む。
【0184】
用語「アルケニル基」は、少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を含有し、かつ、直鎖若しくは分岐鎖又はこれらの組合せであり得る炭素鎖を意味する。「アルケニル」の例としては、ビニル、アリール、イソプロペニル、ペンテニル、ヘキセニル、ヘプテニル、1-プロペニル、2-ブテニル、2-メチル-2-ブテニルなどが挙げられる。
【0185】
用語「アラルキル基」は、「アルキル基」が「アリール基」に置き換えられている基を意味する。例えば、ベンジル、フェニルエチル(例えば、1-フェニルエチル、2-フェニルエチル)、フェニルプロピル(例えば、1-フェニルプロピル、2-フェニルプロピル、3-フェニルプロピル)、ナフチルメチル(例えば、1-ナフチルメチル、2-ナフチルメチル)などである。
【0186】
用語「アルキニル基」は、少なくとも1つの炭素-炭素三重結合を含有し、かつ、直鎖若しくは分岐鎖又はこれらの組合せであり得る炭素鎖を意味する。「アルキニル」の例としては、エチニル、プロパルギル、3-メチル-1-ペンチニル、2-ヘプチニル、プロピニル、ブチニル、2-ペンチニル、3-ペンチニル、2-ヘキシニル、3-ヘキシニル、ヘピニルなどが挙げられる。
【0187】
用語「アルキレン基」は、炭素原子の飽和分岐鎖又は直鎖の炭化水素連結基を意味し、連結基は、2個の炭素原子の各々から1個の水素原子を除去することによって誘導される。「アルキレン」としては、メチレン、エチレン、プロピレン、テトラメチレン、トリメチレン、イソプロピレン、n-ブチレン、t-ブチレン、ペンチレン、ヘキシレン、ヘプチレンなどが挙げられる。
【0188】
用語「アルケニレン基」は、1つ以上の二重結合を有する直鎖又は分岐鎖のアルキレンを意味する。例えば、ビニレン、1-プロペニレン、アリレン、プロペニレン、イソプロペニレン、1-ブテニレン、2-ブテニレン、3-ブテニレン、2-ペンテニレン、1,3-ブタジエニレン、3-メチル-2-ブテニレンなどを列挙することができる。炭素数が特定される場合、その数の範囲内の炭素数を有する「アルケニレン」が意図される。
【0189】
上記に記載された異なる基は、例えば、ハロゲン、ヒドロキシル基、アミノ基、アミド基、シアノ基、ニトロ、アルキル基、アルコキシ基、アルケニル基、カルボキシル基、アリール基、複素環基又はスルホニル基で任意選択的に置換され得る。
【0190】
以下の代表的な実施形態及び実施例は本開示の特定の実施形態を示すために含まれる。当業者であれば本開示に照らして認識されるように、本開示の思想及び範囲から逸脱することなく、本明細書に開示されている特定の実施形態に多くの変更を加えることができ、それでも類似又は同様な結果を得ることができる。
【0191】
代表的な実施形態
1.1つ以上の合成カンナビノイド又は1つ以上のこの塩及び1つ以上のN-アシル化脂肪酸又はこの塩を含む、組成物。
【0192】
2.1つ以上の合成カンナビノイドが、Δ9-テトラヒドロカンナビノール(THC)、カンナビジオール(CBD)、カンナビゲロール(CBG)、カンナビクロメン(CBC)、カンナビノール(CBN)、カンナビノジオール(CBDL)、カンナビシクロール(CBL)、カンナビバリン(CBV)、テトラヒドロカンナビバリン(THCV)、カンナビジバリン(CBDV)、カンナビクロメバリン(CBCV)、カンナビゲロバリン(CBGV)、カンナビゲロールモノメチルエーテル(CBGM)、カンナビネロール酸、カンナビジオール酸(CBDA)、カンナビノールプロピル変異体(CBNV)、カンナビトリオール(CBO)、テトラヒドロカンナビノール酸(THCA)又はテトラヒドロカンナビバリン酸(THCVA)を含む、実施形態1の組成物。
【0193】
3.1つ以上の合成カンナビノイドが、実施形態2の合成カンナビノイドの誘導体及び/若しくは類似体、又はこれらの混合物を含む、実施形態1の組成物。
【0194】
4.1つ以上の合成カンナビノイドが、3-カルバモイル-2-ピリドン又はこの誘導体及び/若しくは類似体;ピリミジン誘導体及び/又は類似体;カレナジオール又はこの誘導体及び/若しくは類似体;カンナビノイドカルボン酸又はこれらの誘導体及び/若しくは類似体;ピリド[3,2-E][1,2,4]トリアゾロ[4,3-C]ピリミジン又はこの誘導体及び/若しくは類似体;テトラヒドロ-ピラゾロ[3,4-C]ピリジン又はこの誘導体及び/若しくは類似体;ビシクロ[3.1.1]ヘプタン-2-オンカンナビノイド又はこの誘導体及び/若しくは類似体;レゾルシノール又はこの誘導体及び/若しくは類似体;デキサンビノール化合物又はこれらの誘導体及び/若しくは類似体;大麻類似性脂質アミド化合物又はこれらの誘導体及び/若しくは類似体;ナビロン又はこの誘導体及び/若しくは類似体;2-オキソキノロン化合物又は開示されているこれらの誘導体及び/若しくは類似体;又は3,4-ジアリール-4,5-ジヒドロ-(h)-ピラゾール-1-カルボキサミド又はこの誘導体及び/若しくは類似体を含む、実施形態1~3のいずれかの組成物。
【0195】
5.1つ以上のN-アシル化脂肪アミノ酸又はこれらの塩が、化合物I~XXXV又は式a~sの1つ以上を含む、実施形態1~4のいずれかの組成物。
【0196】
6.1つ以上のN-アシル化脂肪アミノ酸又はこれらの塩が、N-サリチロイル-8-アミノカプリル酸ナトリウム、8-(N-サリチロイルアミノ)オクタン酸一ナトリウム、N-(サリチロイル)-8-アミノオクタン酸一ナトリウム塩、N-{8-(2-フェノキシベンゾイル)アミノ}オクタン酸一ナトリウム又は8-[(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸ナトリウムを含む、実施形態1~4のいずれかの組成物。
【0197】
7.1つ以上のN-アシル化脂肪アミノ酸又はこれらの塩が、
【0198】
【化19】
(式中、X及びZは独立してH、一価のカチオン、二価の金属カチオン、又は有機のカチオンである)を含む、実施形態1~4のいずれかの組成物。
【0199】
8.一価のカチオンがナトリウム又はカリウムである、実施形態7の組成物。
【0200】
9.金属カチオンがカルシウム又はマグネシウムである、実施形態7又は8の組成物。
【0201】
10.有機のカチオンがアンモニウム又はテトラメチルアンモニウムである、実施形態7~9のいずれかの組成物。
【0202】
11.XがHである、実施形態7~10のいずれかの組成物。
【0203】
12.Xがナトリウム又はカリウムを含む一価のカチオンである、実施形態7~10のいずれかの組成物。
【0204】
13.Xがカルシウム又はマグネシウムを含む二価の金属カチオンである、実施形態7~10のいずれかの組成物。
【0205】
14.Xがアンモニウム又はテトラメチルアンモニウムを含む有機のカチオンである、実施形態7~10のいずれかの組成物。
【0206】
15.ZがHである、実施形態7~14のいずれかの組成物。
【0207】
16.Zがナトリウム又はカリウムを含む一価のカチオンである、実施形態7~14のいずれかの組成物。
【0208】
17.Zがカルシウム又はマグネシウムを含む二価のカチオンである、実施形態7~14のいずれかの組成物。
【0209】
18.XがHであり、ZがHである、実施形態7の組成物。
【0210】
19.XがHであり、Zがナトリウムである、実施形態7の組成物。
【0211】
20.Xがナトリウムであり、Zがナトリウムである、実施形態7の組成物。
【0212】
21.1種以上のN-アシル化脂肪アミノ酸又はこれらの塩が投与便益を提供する、実施形態1~20のいずれかの組成物。
【0213】
22.投与便益が薬量依存性の投与便益である、実施形態21の組成物。
【0214】
23.薬量依存性の投与便益が100~200mgの薬量におけるものである、実施形態22の組成物。
【0215】
24.薬量依存性の投与便益が100mg/mL~300mg/mLのN-アシル化脂肪アミノ酸又はこの塩の投薬濃度におけるものである、実施形態22の組成物。
【0216】
25.薬量依存性の投与便益が、1~500mg/mLのN-アシル化脂肪アミノ酸又はこの塩の投薬濃度におけるものである、実施形態22の組成物。
【0217】
26.薬量依存性の投与便益が、250mg/mLのN-アシル化脂肪アミノ酸又はこの塩の投薬濃度におけるものである、実施形態22の組成物。
【0218】
27.N-アシル化脂肪アミノ酸又はこの塩の薬量依存性の投与便益が、1つ以上の合成カンナビノイドの薬量の1~100倍の薬量におけるものである、実施形態22の組成物。
【0219】
28.組成物が医薬組成物である、実施形態1~27のいずれかの組成物。
【0220】
29.組成物が、栄養補助剤であり、少なくとも1種のビタミン及び/又はミネラルを更に含む、実施形態1~27のいずれかの組成物。
【0221】
30.組成物が、界面活性剤、洗剤、アゾン、ピロリドン、グリコール又は胆汁塩を更に含む、実施形態1~29のいずれかの組成物。
【0222】
31.組成物が、治療上有効な量の1つ以上の合成カンナビノイドを含む、実施形態1~30のいずれかの組成物。
【0223】
32.1種以上の合成カンナビノイドの治療上有効な量が、後天性甲状腺機能低下症、急性胃炎、依存症、ADHD、広場恐怖症、AIDS、AIDS関連食欲不振、アルコール依存症、アルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、強直、不安、関節炎、アスペルガー症候群、喘息、アテローム性動脈硬化、自閉症、自己免疫疾患、細菌感染症、双極性障害、骨量減少、血液疾患、脳損傷/脳卒中、悪液質、がん、手根管症候群、脳性まひ、頸部椎間板疾患、頸腕症候群、慢性疲労症候群、慢性痛、群発性頭痛、結膜炎、クローン病、嚢胞性線維症、鬱病、皮膚炎、糖尿病、ジストニア、摂食障害、湿疹、てんかん、発熱、線維筋痛、流感、真菌感染症、消化器疾患、緑内障、神経膠腫、グレーブス病、心臓病 肝炎、ヘルペス、ハンチントン病、高血圧、無気力、失禁、乳児死亡、炎症、炎症性腸疾患(IBD)、不眠症、肝線維症、狂牛病、更年期、代謝異常、片頭痛、乗り物酔い、MRSA、多発性硬化症(MS)、筋ジストロフィー、粘膜病変、爪・膝蓋骨症候群、がん化学療法に伴う悪心及び嘔吐、神経炎症、ニコチン中毒、肥満、強迫性障害(OCD)、骨粗しょう症、骨減少症、疼痛、膵炎、パニック障害、パーキンソン病、歯周病、末梢神経障害、幻肢痛、ツタウルシアレルギー、月経前症候群(PMS)、近位型筋強直性ミオパチー、心的外傷後ストレス障害(PTSD)、乾癬、レイノー病、下肢静止不能症候群、統合失調症、強皮症、敗血性ショック、帯状疱疹)、鎌状赤血球病、発作、睡眠時無呼吸、睡眠障害、脊髄損傷、ストレス、吃音、顎関節障害(TMJ)、緊張性頭痛、耳鳴り、トゥレット症候群、トラウマ的記憶、消耗症候群、又は離脱症候群の症状を治療する、実施形態31の組成物。
【0224】
33.更に1種以上のビタミン又は1種以上のミネラルを含む、実施形態1~32のいずれかの組成物。
【0225】
34.更に1種以上のビタミン及び1種以上のミネラルを含む、実施形態1~32のいずれかの組成物。
【0226】
35.1種以上のビタミンが、ビタミンA、ビタミンB1、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE、又はビタミンKを含む、実施形態33又は34の組成物。
【0227】
36.1種以上のミネラルが、カルシウム、クロム、ヨウ素、鉄、マグネシウム、セレン又は亜鉛を含む、実施形態33又は34の組成物。
【0228】
37.経口製剤が、実施形態1~36のいずれかの組成物を含む、経口製剤。
【0229】
38.経口製剤が、実施形態22~36のいずれかの組成物を含み、投与便益が、N-アシル化脂肪アミノ酸又はこの塩を含まない対照組成物と比較して、合成カンナビノイドの測定される成分の増大した吸収、合成カンナビノイドの測定される成分の増大したバイオアベイラビリティー、合成カンナビノイドの測定される成分の作用のより速い発現、合成カンナビノイドの測定される成分のより高いピーク濃度、合成カンナビノイドの測定される成分のより速いピーク濃度までの時間、増大した主観的治療効果、増大した客観的治療効果、改良された味及び改良された口当たりの1以上を含む、経口製剤。
【0230】
39.経口製剤が飲み込めるか又は噛むことができる、実施形態37又は38の経口製剤。
【0231】
40.経口製剤が液体又は固体である、実施形態37又は38の経口製剤。
【0232】
41.経口製剤が溶液、懸濁液、又はスプレーである、実施形態37~40のいずれかの経口製剤。
【0233】
42.経口製剤が錠剤、カプセル又はサシェである、実施形態37~40のいずれかの経口製剤。
【0234】
43.経口製剤が香味付けられている、実施形態37~42のいずれかの経口製剤。
【0235】
44.治療上有効な量の実施形態1~36のいずれかの組成物又は実施形態37~43のいずれかの製剤を対象に投与することによりそれを必要とする対象を治療することを含む、それを必要とする対象を治療する方法。
【0236】
45.治療上有効な量が有効な量、予防的治療、及び/又は治療処置を提供する、実施形態44の方法。
【0237】
46.ヒト対象において病気又は疾患の1以上の症状を低減又は撲滅する方法であって、前記方法が治療上有効な量の実施形態1~36のいずれかの組成物又は実施形態37~45のいずれかの経口製剤を対象に送達することにより病気又は疾患の1以上の症状を低減又は撲滅することを含み、前記病気又は疾患が後天性甲状腺機能低下症、急性胃炎、依存症、ADHD、広場恐怖症、AIDS、AIDS関連食欲不振、アルコール依存症、アルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、強直、不安、関節炎、アスペルガー症候群、喘息、アテローム性動脈硬化、自閉症、自己免疫疾患、細菌感染症、双極性障害、骨量減少、血液疾患、脳損傷/脳卒中、悪液質、がん、手根管症候群、脳性まひ、頸部椎間板疾患、頸腕症候群、慢性疲労症候群、慢性痛、群発性頭痛、結膜炎、クローン病、嚢胞性線維症、鬱病、皮膚炎、糖尿病、ジストニア、摂食障害、湿疹、てんかん、発熱、線維筋痛、流感、真菌感染症、消化器疾患、緑内障、神経膠腫、グレーブス病、心臓病 肝炎、ヘルペス、ハンチントン病、高血圧、無気力、失禁、乳児死亡、炎症、炎症性腸疾患(IBD)、不眠症、肝線維症、狂牛病、更年期、代謝異常、片頭痛、乗り物酔い、MRSA、多発性硬化症(MS)、筋ジストロフィー、粘膜病変、爪・膝蓋骨症候群、がん化学療法に伴う悪心及び嘔吐、神経炎症、ニコチン中毒、肥満、強迫性障害(OCD)、骨粗しょう症、骨減少症、疼痛、膵炎、パニック障害、パーキンソン病、歯周病、末梢神経障害、幻肢痛、ツタウルシアレルギー、月経前症候群(PMS)、近位型筋強直性ミオパチー、心的外傷後ストレス障害(PTSD)、乾癬、レイノー病、下肢静止不能症候群、統合失調症、強皮症、敗血性ショック、帯状疱疹)、鎌状赤血球病、発作、睡眠時無呼吸、睡眠障害、脊髄損傷、ストレス、吃音、顎関節障害(TMJ)、緊張性頭痛、耳鳴り、トゥレット症候群、トラウマ的記憶、消耗症候群、又は離脱症候群である、方法。
【0238】
47.治療上有効な量の組成物が、(i)N-アシル化脂肪アミノ酸又はこの塩の量及び(ii)1つ以上の合成カンナビノイドの量を1:1~100:1の比(w/w)で含む、実施形態46の方法。
【0239】
48.より速い作用の発現を有する合成カンナビノイドの経口製剤を製造する方法であって、合成カンナビノイドに吸収促進剤を添加することを含み、合成カンナビノイドの経口製剤が、吸収促進剤を含まない合成カンナビノイドの経口製剤より速い作用の発現を有する、方法。
【0240】
49.吸収促進剤が、N-アシル化脂肪アミノ酸又はこの塩を含む、実施形態48の方法。
【0241】
50.N-アシル化脂肪アミノ酸がN-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]カプリレートを含む、実施形態49の方法。
【0242】
51.吸収促進剤及び合成カンナビノイドが、1:1~100:1の比(w/w)で存在する、実施形態48の方法。
【0243】
52.吸収促進剤及び合成カンナビノイドが、1:1~20:1の比(w/w)で存在する、実施形態48の方法。
【実施例
【0244】
[実施例1] 経口投与した大麻/SNAC組成物の作用の発現及び持続時間。この試験は、大麻の即効性の経口形態を可能にする際のSNACの有用性を評価するために設計された。
【0245】
参加者の選択。6人の試験参加者を採用して、大麻組成物を摂取させ、大麻に誘発される多幸感及び/又は不快の発現、持続時間、及び強度を記録した。試験参加者は、2つの別々の試験に参加した:1)水性エタノールに溶解した液体大麻抽出物を含む対照物質の使用、及び2)水性エタノールに溶解した液体大麻抽出物、並びにSNACを含む試験物質の使用。
【0246】
製剤。選択された大麻濃縮物は市販されており、エタノール溶液として参加者に与えた。濃縮物は薬量当たり8mgのTHCを含有する。これは、高い割合のTHCを含有しており、使用者が報告した「多幸感」に対して目立った作用を示すので選択された。水性エタノールは大麻抽出物並びにSNACを効果的に溶解するので溶媒として使用した。
【0247】
方法。対照実験では、各参加者は大麻濃縮物を15ml(大さじ一杯)の水性エタノールと混合し、すぐにその混合物を飲み込んだ。
【0248】
試験実験では、各参加者は水性エタノール及び200mgのSNACの予め混合した溶液と大麻濃縮物を混合し、溶解した混合物をすぐに飲み込んだ。
【0249】
対照実験及び試験実験で、各参加者は投薬の時間、多幸感及び/又は不快の発現の時間、及び大麻薬量の投与後5時間の間15分間隔で多幸感及び/又は不快の観察されたレベルを記録した。多幸感及び不快は1~10の範囲の尺度値を用いて報告された。
【0250】
表1に、各尺度値に対する多幸感及び不快レベルを記載する。
【0251】
【表2】
【0252】
結果。以下に示されている結果は全部で6人の参加者で得られた平均の尺度値である(図5A及び5Bにも示されている)。
【0253】
【表3】
【0254】
【表4】
【0255】
発現:6人の参加者全員が大麻/SNAC製剤(試験)の摂取後5分以内に多幸感を報告し、発現の時間は2~5分の範囲であった。対照的に、大麻のみの製剤(対照)の摂取後参加者により報告された多幸感の最初の時点は摂取後15分であり、発現の時間は15分~1時間15分の範囲であった(個々の参加者の結果については図6A~6F参照)。摂取後15分までで平均の報告された多幸感尺度値は大麻/SNAC製剤(試験)の場合3.8であった。対照的に、大麻のみの製剤(対照)の摂取後15分で、平均の報告された多幸感尺度値は0.17であった(各時点での平均については図5A及び5B参照)。
【0256】
強度:大麻/SNAC製剤(試験)の摂取後平均のピーク多幸感尺度値は4.7であり、これは摂取後30分であった。対照的に、大麻のみの製剤(対照)の摂取後最高の平均多幸感尺度値は2.2であり、これは2時間15分の時点であった(図5A及び5B参照)。したがって、大麻/SNAC製剤の摂取はより高いピーク強度の多幸感に至り、これは大麻のみの製剤を摂取したときより平均1時間45分速く起こった。観察された不快の強度は試験及び対照の両方で最小限度であり、ピークの平均尺度値は両方の実験で0.83であった。
【0257】
持続時間:結果は、吸収促進剤の添加が大麻の作用の持続時間を短縮しないことを示している。
【0258】
要約すると、SNACのような吸収促進剤を経口投薬カンナビノイド製剤に加えると、作用のより速い発現及びピーク活性レベルで作用のより高い強度を示す。なお、吸収促進剤はカンナビノイドの作用の持続時間に影響を及ぼさない。
【0259】
[実施例2] 経口投与された低いSNAC薬量の大麻/SNAC組成物の作用の発現及び持続時間。この試験は、大麻の即効性の経口形態を可能にする際の低い薬量でのSNACの有用性を評価するために設計された。
【0260】
参加者の選択。3人の試験参加者を採用し、大麻組成物を摂取させ、大麻により誘発される多幸感及び/又は不快の発現、持続時間、及び強度を記録した。試験参加者は2つの別々の試験に参加した:1)水性エタノールに溶解した液体大麻抽出物を含む対照物質の使用、及び2)水性エタノールに溶解した液体大麻抽出物並びにSNACを含む試験物質の使用。
【0261】
製剤。選択された大麻濃縮物は市販されており、エタノール溶液として参加者に与えた。濃縮物は薬量当たり8mgのTHCを含有する。これは、高い割合のTHCを含有しており、使用者により報告される「多幸感」に対して目立った作用を示すので選択された。水性エタノールは大麻抽出物並びにSNACを効果的に溶解するので溶媒として使用された。
【0262】
方法。対照実験では、各参加者は大麻濃縮物を15ml(大さじ一杯)の水性エタノールと混合し、その混合物をすぐに飲み込んだ。
【0263】
試験実験では、各参加者は水性エタノール及び100mgのSNACの予め混合した溶液と大麻濃縮物を混合し、溶解した混合物をすぐに飲み込んだ。
【0264】
対照実験及び試験実験の両方で、各参加者は薬量投与の時間、多幸感及び/又は不快の発現の時間、及び大麻薬量の投与後5時間の間15分間隔で多幸感及び/又は不快の観察されたレベルを記録した。多幸感及び不快は1~10の範囲の尺度値を用いて報告された。表1に、各尺度値に対する多幸感及び不快のレベルを記載した。
【0265】
結果。結果は、実施例1のデータと合わせて全ての参加者に対して図7に示されている。
【0266】
発現:3人の参加者全員が大麻/SNAC製剤(試験)を摂取して5分以内に多幸感を報告し、発現の時間は2~5分の範囲であった。対照的に、大麻のみの製剤(対照)の摂取後参加者により報告された多幸感の最初の時点は摂取後15分であり、発現の時間は15分~1時間15分の範囲であった。摂取後15分まで、平均の報告された多幸感尺度値は大麻/SNAC製剤(試験)の場合3.0であった。対照的に、大麻のみの製剤(対照)の摂取の15分後、平均の報告された多幸感尺度値は0.25であった。
【0267】
強度:大麻/SNAC製剤(試験)の摂取後平均のピーク多幸感尺度値は3.4であり、これは摂取後30分で起こった。対照的に、大麻のみの製剤(対照)の摂取後最高の平均多幸感尺度値は2.2であり、これは2時間15分の時点であった。SNAC薬量が200mgであった実施例1と比較して、実施例2の参加者はたった100mgのSNACを実施例1で使用したのと同じ量の大麻と組み合わせて摂取した。この低下した量のSNACの結果大麻作用が低下し、観察された大麻作用(多幸感)とSNAC薬量との間の明らかな薬量反応関係を示している。実施例1と同じく、大麻/SNAC製剤の摂取は多幸感のより高いピーク強度を示し、これは大麻のみの製剤を摂取したときより平均1時間45分速く起こった。
【0268】
持続時間:結果は、吸収促進剤の添加が大麻の作用の持続時間を短縮しないことを示している。
【0269】
要約すると、SNACのような吸収促進剤をカンナビノイドの経口投薬製剤に加えると、作用のより速い発現及びカンナビノイドのピーク活性レベルでの作用のより高い強度を示す。なお、吸収促進剤は作用の持続時間に影響しない。様々な量のSNACは、観察されるカンナビノイド作用(多幸感)とSNAC薬量との間の明らかな薬量反応関係を生じる。
【0270】
[実施例3] 吸入対経口群反応(図8)。対象が報告した多幸感として測定された吸入及び経口大麻の薬物力学反応の比較。経口及び吸入群は、両方とも類似したピーク効果までの時間(15~30分間)を報告した。これは、カンナビノイドの経口剤形がピーク効果までの時間が伝統的に非常にゆっくりであること(4時間まで)を特徴とするので、非常に驚くべきことである。
【0271】
[実施例4] 大麻/SNAC経口ラット薬物動態(PK)試験のまとめ。この試験は、ラットへの単回強制経口投与後の、賦形剤のSNACを有する及び有さない、1:1比(重量に基づいた)で56%のTHC/CBDを含有する大麻抽出物の薬物動態プロファイルを特徴付けるために設計された。この試験において、大麻とSNACの2つの薬量及び大麻とSNACの2つの比を試験した。実験の設計を下記の表4に表す。
【0272】
【表5】
【0273】
方法。1日目に動物に投薬し、薬物動態評価のために一連の血液試料を投与後の4時間にわたって収集した。動物を、最後の血液試料の収集後に安楽死させた。
【0274】
結果。25mgの抽出物/kg及び250mgのSNAC/kg(群3)、25mgの抽出物/kg及び500mgのSNAC/kg(群4)又は50mgの抽出物/kg及び500mgのSNAC/kg(群5)による、吸収促進賦形剤(SNAC)と組み合わせた1:1比のTHC/CBDを含有する大麻抽出物の単回経口投与の後、平均最大濃度Cmaxは、CBDでは31.7~159.3ng/mLの範囲であり、THCでは111.5~546.17ng/mLの範囲であった。平均最大血漿中濃度に到達するまでの時間(Tmax)は、CBDでは投薬後の0.25~1時間の範囲であり、THCにおいて、低及び中投薬群では投薬後の1時間で到達し、高投薬群では投薬後の2時間で到達した。AUC0-Tlastは、CBDでは13.17~382.14hrng/mLの範囲であり、THCでは170.64~1256.49hrng/mLの範囲であった。
【0275】
試験した投薬範囲において、THCのCmax及びAUC0-TlastはCBDより高かった。SNACを有する及び有さない同じ大麻抽出物(THC/CBD)薬量(25mg/kgの大麻の総薬量、12.5mg/kgのTHC/12.5mg/kgのCBD)を投与すると、THCでは、大麻単独より1.4倍のCmaxの増加が、250又は500mg/kgのいずれかのSNAC薬量において観察された。AUCは、大麻単独の群と比較して、250mg/kgのSNAC群では1.1倍大きかったが、500mg/kgのSNAC群では低かった。CBDでは、大麻単独より2.9倍及び2.8倍のCmaxの増加が、250又は500mg/kgのいずれかのSNAC薬量において観察された。AUCは、大麻単独と比較して、両方の群において低かった。500mg/kgのSNAC及び50mg/kgの大麻抽出物(25mg/kgのTHC/25mg/kgのCBD)に対して、大麻及びSNACの両方の薬量を2倍に増加することは、CBDのCmaxに14.2倍の増加をもたらし、THCのCmaxに6.9倍の増加をもたらした。CBD及びTHCのAUC0-Tlastは、それぞれ22.1倍及び6.3倍増加した(図9及び図10)。試験した投薬範囲において、THCのCmax及びAUC0-TlastはCBDより高かった。SNAC(250mg/kg又は500mg/kg)の存在下で同じ大麻抽出物(THC/CBD)薬量を投与すると、THCとCBDの両方のCmaxは、大麻単独群より、それぞれ1.4倍及び2.8倍増加した。AUC0-Tlastは同等であった。この観察は、大麻とSNACとの比の10:1がCmaxの増加を促進するが、20:1に比を増加させると、追加的な便益を提供しないことを示唆している。大麻とSNACの両方の薬量を2倍に増加すると、大麻単独群より、それぞれ6.9倍及び14.2倍のTHC及びCBDのCmaxの増加をもたらした。THC及びCBDのAUC0-Tlastは、大麻単独群より、それぞれ6.3倍及び22.1倍増加した。これは、経口大麻において観察された近線形薬量反応(Information for Health Care Providers-Cannabis and the Cannabinoids;Health Canada February 2013)に基づいて予測された増加よりも大きい。全体として、これらのデータは、強制経口によりラットに投与されたとき、SNACがカンナビノイドの吸収を促進することを示唆している。
【0276】
[実施例5] 経口投与した大麻/NAC組成物の作用の発現及び持続時間。この試験は、大麻の即効性の経口形態を可能にする際のSNACの酸形態であるN-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]カプリル酸(NAC)の有用性を評価するために設計された。
【0277】
試験参加者。1人の試験参加者を採用して、大麻組成物を摂取させ、大麻に誘発される多幸感及び/又は不快の発現、持続時間及び強度を記録した。試験参加者は、2つの別々の試験に参加した:1)水性エタノールに溶解したハーブ抽出物ブレンド中の大麻濃縮物の油を含む対照物質の使用、及び2)水性エタノールに溶解したハーブ抽出物ブレンド中の大麻濃縮物の油と、NACとを含む試験物質の使用。
【0278】
製剤。選択された大麻濃縮物の油はカプセル剤で市販されており、カプセル剤の内容物をエタノール溶液として参加者に与えた。1つのカプセル剤は、9mgのCBD、7.7mgのTHC、ハーブ抽出物ブレンド(コウボク、アシュワガンダ、ゲンゲ)及びステアリン酸(植物油由来)を含有し、カプセル当たりの規定力価は、CBD 9.0mg、THCA 0.0mg及びTHC 7.6mgである。この製剤は、使用者が報告した「多幸感」に対して目立った作用を示すので選択され、試験2が非常に高い薬量の大麻を送達する場合には、CBDの含有量が不快作用を寛解させるはずである。
【0279】
方法。対照実験では、参加者は大麻濃縮物を15ml(大さじ一杯)の水性エタノールと混合し、すぐにその混合物を飲み込んだ。
【0280】
試験実験では、参加者は水性エタノール及び100mgのNACの予め混合した5mlの溶液と大麻濃縮物を混合し、すぐにその溶解した混合物を飲み込んだ。
【0281】
対照実験及び試験実験で、参加者は投薬の時間、多幸感及び/又は不快の発現の時間、並びに大麻薬量の投与後5時間の間15分間隔で多幸感及び/又は不快の観察されたレベルを記録した。多幸感及び不快は1~5の範囲の尺度値を用いて報告された。表5に、各尺度値に対する多幸感及び不快レベルを記載する。
【0282】
【表6】
【0283】
結果。以下に示される結果は、対照実験(表6)及び試験実験(表7)における参加者から得られた尺度値である。値は図11にプロットされている。
【0284】
【表7】
【0285】
【表8】
【0286】
発現:参加者は、大麻/NAC製剤(試験、表7及び図11)の摂取後6分以内に多幸感を報告した。対照的に、大麻のみの製剤(対照、表6及び図11)の摂取後参加者により報告された多幸感の最初の時点は、摂取後45分であった。摂取後30分までに、参加者は大麻/NAC製剤で強い多幸感(尺度値の4)を報告した。対照的に、大麻のみの製剤の摂取後30分で、参加者は、おそらく心理的なものである軽度の作用(尺度値の1)のみを認めた。
【0287】
強度:大麻のみ(対照)及び大麻/NAC製剤(試験)の両方の摂取後のピーク多幸感の尺度値は、4であった。しかし、多幸感のピーク強度は、大麻/NAC製剤(試験)では摂取後30分で到達したが、多幸感のピーク強度は、大麻のみの製剤(対照)では摂取後2時間で到達した。したがって、大麻/NAC製剤の摂取は、ピーク強度が大麻のみの製剤を摂取したときより1時間30分速く起こった多幸感をもたらした。観察された不快の強度は試験及び対照の両方で最小限度であったが、参加者は、大麻のみの製剤(対照)によるよりも、軽度な不快作用を認めた。
【0288】
要約すると、SNACの酸形態であるNACは、経口投薬カンナビノイド製剤に含めると、SNACと同じ様に機能する。カンナビノイド/NAC製剤は、カンナビノイドのみの製剤と比較してより速い作用の発現を提供する。
【0289】
当業者には理解されるように、本明細書に開示されている各々の実施形態はその特定の述べられている要素、ステップ、成分又は構成部分を含む(comprise)、から本質的になる(consist essentially of)、又はからなる(consist of)ことができる。したがって、用語「包含する(include)」又は「包含している(including)」は「含む、からなる、又はから本質的になる」を意味するものと解されたい。本明細書で使用されるとき、移行用語「含む」は包含することを意味するが、これに限定されることはなく、主要量であるとしても、特記されていない要素、ステップ、成分、又は構成部分を含有することも可能である。移行句「からなる」は特記されてない要素、ステップ、成分又は構成部分を排除する。移行句「から本質的になる」は実施形態の範囲を特記されている要素、ステップ、成分又は構成部分及びその実施形態に実質的に影響を及ぼさないものに限定する。本明細書で使用されるように、重大な影響は本明細書に開示されている動物モデルで評価したとき投与便益の統計的に有意な低減を起こすであろう。
【0290】
他に示さない限り、本明細書及び特許請求の範囲で使用される成分の量、分子量のような特性、反応条件、などを表す全ての数はいかなる場合も用語「約」により修飾されているものと理解されたい。したがって、反対に示されない限り、本明細書及び添付の特許請求の範囲に記載されている数値パラメーターは本発明によって得ることが求められる所望の性質に応じて変化し得る近似値である。少なくとも、そして特許請求の範囲の範囲に対する均等論の適用を制限する意図はなく、各々の数値パラメーターは少なくとも報告されている有効数字の数に照らして、そして通常の丸め方を使用することによって解するべきである。更に明確さが必要な場合、用語「約」は、述べられている数値又は範囲と共に使用されているとき当業者が当然に考える意味を有し、すなわち、述べられている値若しくは範囲よりいくらか大きいか又はいくらか小さい値、述べられている値の±20%;述べられている値の±19%;述べられている値の±18%;述べられている値の±17%;述べられている値の±16%;述べられている値の±15%;述べられている値の±14%;述べられている値の±13%;述べられている値の±12%;述べられている値の±11%;述べられている値の±10%;述べられている値の±9%;述べられている値の±8%;述べられている値の±7%;述べられている値の±6%;述べられている値の±5%;述べられている値の±4%;述べられている値の±3%;述べられている値の±2%;又は述べられている値の±1%の範囲内の値を意味する。
【0291】
本発明の広い範囲を記載する数値範囲及びパラメーターは近似値であるにもかかわらず、特定の実施例に記載されている数値はできる限り正確に報告されている。しかし、いかなる数値も本来、それぞれの試験測定値に見られる標準偏差から必然的に生じるいくらかの誤差を含有する。
【0292】
本発明を説明する上で(殊に以下の特許請求の範囲で)使用されている用語「a」、「an」、「the」及び同様な指示語は、本明細書中で他に示されない限り、又は文脈から明らかに矛盾しない限り、単数と複数の両方を含むものと解されたい。本明細書中値の範囲の記述は、単に、その範囲内に入る各々別々の値に個別に言及する代わりの略記法として意図されている。本明細書中で他に示されない限り、各々個々の値は本明細書中で個別に記載されているかのように本明細書に組み込まれる。本明細書に記載されている全ての方法は、本明細書中で他に示されない限り、又は文脈から明らかに矛盾しない限り、任意の適切な順序に実施することができる。本明細書に挙げられているいずれか及び全ての例、又は例となる言葉(例えば、「のような」)の使用は単に本発明の理解をより容易にすることを意図したものであり、特許請求の範囲に記載されている本発明の範囲に限定を課すものではない。本明細書のいかなる言葉も、特許請求の範囲に記載されていないが本発明の実施に必須のいずれかの要素を意味すると解してはならない。
【0293】
本明細書に開示されている本発明の代わりの要素又は実施形態のグループは限定と考えるべきではない。各グループメンバーは個別に、又はそのグループの他のメンバー若しくは本明細書中に見出される他の要素と任意に組み合わせて参照され要求され得る。あるグループの1以上のメンバーが便宜上及び/又は特許性のためにあるグループに含まれてもよいし、又は省略されてもよいと考えられる。かかる包含又は省略が起こるとき、本明細書は、そのグループを、添付の特許請求の範囲で使用される全てのマーカッシュグループの記載要件を満たすように修飾されているものとして含むと考えられる。
【0294】
本発明を実施する上で本発明者が知る最良の態様を含めて本発明のいくつかの実施形態が本明細書に記載されている。もちろん、これらの記載されている実施形態に対する変形は以上の説明を読んだ当業者には明らかであろう。本発明者は当業者がかかる変形を適宜使用すると予想しており、また本発明者は本発明が本明細書に具体的に記載されているのとは異なって実施されることを意図している。したがって、本発明は、適用法令により許容されるように添付の特許請求の範囲に記載の対象の全ての改変品及び等価物を包含する。更に、上記要素のあらゆる可能な変化のいかなる組合せも、本明細書中で他に示されない限り、又はその他文脈から明らかに矛盾しない限り、本発明に包含される。
【0295】
また、本明細書を通じて数多くの特許、刊行物、学術論文その他文書(参考資料)を参照した。これら参考資料は各々参照によりその全体が参照された教示のために個別に本明細書に組み込まれる。
【0296】
締めくくりに、本明細書に開示されている本発明の実施形態は本発明の原理の例示であると理解されたい。使用し得る他の改変品は本発明の範囲内である。このように、例として、限定ではなく、本発明の別の態様も本明細書の教示に従って利用することができる。したがって、本発明は、上に正に示され記載されているものに限定されない。
【0297】
本明細書に示されている詳細は例として本発明の好ましい実施形態の説明の目的のみのものであり、本発明の様々な実施形態の原理及び概念的見地の最も有用で容易に理解される説明と考えられるものを示すために挙げるものである。この点、本発明の基礎的理解に必要なものより詳細に本発明の構造細部を示すことを意図したものではなく、図面及び/又は実施例と合わせた記載により、本発明のいくつかの形態が実施の際にいかに具現化され得るかが当業者に明らかにされる。
【0298】
本開示で使用されている定義及び説明は、次の例で明白かつ一義的に改変されない限り、又はその意義の適用がいずれかの構成を無意味若しくは本質的に無意味にするとき、将来の構成において統制することを意味し、意図している。その用語の構成がそれを無意味又は本質的に無意味にする場合、その定義はWebster’s Dictionary,3rd Edition、又はOxford Dictionary of Biochemistry and Molecular Biology(Ed.Anthony Smith,Oxford University Press,Oxford,2004)のような当業者に知られた辞書に由来するべきである。
図1A
図1B
図2-1】
図2-2】
図2-3】
図2-4】
図2-5】
図2-6】
図3-1】
図3-2】
図3-3】
図3-4】
図4-1】
図4-2】
図5A
図5B
図6A
図6B
図6C
図6D
図6E
図6F
図7
図8
図9
図10
図11