(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-18
(45)【発行日】2023-05-26
(54)【発明の名称】走行車両
(51)【国際特許分類】
B60B 19/00 20060101AFI20230519BHJP
【FI】
B60B19/00 D
(21)【出願番号】P 2021534435
(86)(22)【出願日】2019-07-22
(86)【国際出願番号】 JP2019028706
(87)【国際公開番号】W WO2021014543
(87)【国際公開日】2021-01-28
【審査請求日】2022-06-01
(73)【特許権者】
【識別番号】517334883
【氏名又は名称】紫紘株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100196003
【氏名又は名称】石川 太郎
(72)【発明者】
【氏名】田村 千晴
【審査官】上谷 公治
(56)【参考文献】
【文献】特開昭54-131209(JP,A)
【文献】実開昭58-030508(JP,U)
【文献】特開平04-092786(JP,A)
【文献】特開平10-181330(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60B 19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両本体と、
複数の車輪と、
左側車輪連結機構と、
右側車輪連結機構と、
前記左側車輪連結機構と、前記右側車輪連結機構とを連結する横連結部材と
を具備し、
前記複数の車輪は、第1車輪、第2車輪、第3車輪、第4車輪、第5車輪、および、第6車輪を含み、
前記左側車輪連結機構は、
第1リンク部材と、
第2リンク部材と、
前記第1リンク部材と前記第2リンク部材とを連結する第3リンク部材と
を含み、
前記第1リンク部材は、第1領域において前記第1車輪を回転可能に支持する第1支持部材に接続され、第2領域において前記第2車輪を回転可能に支持する第2支持部材に接続され、前記第1リンク部材は、前記第1領域と前記第2領域との間に位置する第1回転軸のまわりを回転可能であり、
前記第2リンク部材は、第3領域において前記第3リンク部材に接続され、第4領域において前記第3車輪を回転可能に支持する第3支持部材に接続され、前記第2リンク部材は、前記第3領域と前記第4領域との間に位置する第2回転軸のまわりを回転可能であ
り、
前記第1リンク部材は、第1ボールジョイントを介して前記第3リンク部材に接続され、前記第3リンク部材は、第2ボールジョイントを介して前記第2リンク部材に接続されている
走行車両。
【請求項2】
前記横連結部材は、ロール運動可能である
請求項1に記載の走行車両。
【請求項3】
車両本体と、
複数の車輪と、
左側車輪連結機構と、
右側車輪連結機構と、
前記左側車輪連結機構と、前記右側車輪連結機構とを連結する横連結部材と
を具備し、
前記複数の車輪は、第1車輪、第2車輪、第3車輪、第4車輪、第5車輪、および、第6車輪を含み、
前記左側車輪連結機構は、
第1リンク部材と、
第2リンク部材と、
前記第1リンク部材と前記第2リンク部材とを連結する第3リンク部材と
を含み、
前記第1リンク部材は、第1領域において前記第1車輪を回転可能に支持する第1支持部材に接続され、第2領域において前記第2車輪を回転可能に支持する第2支持部材に接続され、前記第1リンク部材は、前記第1領域と前記第2領域との間に位置する第1回転軸のまわりを回転可能であり、
前記第2リンク部材は、第3領域において前記第3リンク部材に接続され、第4領域において前記第3車輪を回転可能に支持する第3支持部材に接続され、前記第2リンク部材は、前記第3領域と前記第4領域との間に位置する第2回転軸のまわりを回転可能であり、
前記複数の車輪の懸架装置は、非整形地の起伏に追従して前記第1車輪、前記第2車輪、前記第3車輪、前記第4車輪、前記第5車輪、および、前記第6車輪が地面に接地するように、3つの自由度を有し、かつ、ホイールストロークが可能な範囲において、前記車両本体に作用する荷重を、前記第1車輪、前記第2車輪、前記第3車輪、前記第4車輪、前記第5車輪、および、前記第6車輪に等分配する
走行車両。
【請求項4】
車両本体と、
複数の車輪と、
左側車輪連結機構と、
右側車輪連結機構と、
前記左側車輪連結機構と、前記右側車輪連結機構とを連結する横連結部材と
を具備し、
前記複数の車輪は、第1車輪、第2車輪、第3車輪、第4車輪、第5車輪、および、第6車輪を含み、
前記左側車輪連結機構は、
第1リンク部材と、
第2リンク部材と、
前記第1リンク部材と前記第2リンク部材とを連結する第3リンク部材と
を含み、
前記第1リンク部材は、第1領域において前記第1車輪を回転可能に支持する第1支持部材に接続され、第2領域において前記第2車輪を回転可能に支持する第2支持部材に接続され、前記第1リンク部材は、前記第1領域と前記第2領域との間に位置する第1回転軸のまわりを回転可能であり、
前記第2リンク部材は、第3領域において前記第3リンク部材に接続され、第4領域において前記第3車輪を回転可能に支持する第3支持部材に接続され、前記第2リンク部材は、前記第3領域と前記第4領域との間に位置する第2回転軸のまわりを回転可能であり、
前記車両本体の後方から前記車両本体の前方に向かう方向を第1方向と定義する時、
前記第2領域と前記第1回転軸との間の前記第1方向に沿う方向における距離は、前記第1領域と前記第1回転軸との間の前記第1方向に沿う方向における距離の約2倍であり、
前記第3領域と前記第2回転軸との間の前記第1方向に沿う方向における距離は、前記第4領域と前記第2回転軸との間の前記第1方向に沿う方向における距離の約2倍である
走行車両。
【請求項5】
車両本体と、
複数の車輪と、
左側車輪連結機構と、
右側車輪連結機構と、
前記左側車輪連結機構と、前記右側車輪連結機構とを連結する横連結部材と
を具備し、
前記複数の車輪は、第1車輪、第2車輪、第3車輪、第4車輪、第5車輪、および、第6車輪を含み、
前記左側車輪連結機構は、
第1リンク部材と、
第2リンク部材と、
前記第1リンク部材と前記第2リンク部材とを連結する第3リンク部材と
を含み、
前記第1リンク部材は、第1領域において前記第1車輪を回転可能に支持する第1支持部材に接続され、第2領域において前記第2車輪を回転可能に支持する第2支持部材に接続され、前記第1リンク部材は、前記第1領域と前記第2領域との間に位置する第1回転軸のまわりを回転可能であり、
前記第2リンク部材は、第3領域において前記第3リンク部材に接続され、第4領域において前記第3車輪を回転可能に支持する第3支持部材に接続され、前記第2リンク部材は、前記第3領域と前記第4領域との間に位置する第2回転軸のまわりを回転可能であり、
前記第1車輪、前記第2車輪、前記第3車輪、前記第4車輪、前記第5車輪、および、前記第6車輪が、基準面に接地する第1状態から、
前記第2車輪、前記第3車輪、前記第4車輪、前記第5車輪、および、前記第6車輪が、前記基準面に接地し、前記第1車輪が、前記基準面よりも高さHだけ高い面に接地する第2状態に変化するとき、
前記車両本体の中央部の高さは、H×1/6だけ高くなるように構成されている
走行車両。
【請求項6】
前記第1リンク部材および前記第2リンク部材のうちの少なくとも1つのリンク部材は、
第1部分と、
前記第1部分に対して相対的に角度変化可能な第2部分と、
前記第1部分と前記第2部分との間の角度変化に抗する付勢力を付与する付勢部材と
を含む
請求項1乃至
5のいずれか一項に記載の走行車両。
【請求項7】
前記第1部分および前記第2部分に作用する作用トルクが、設定トルクを越えるまでは、前記第1部分と前記第2部分との間の角度は、所定の角度に維持される
請求項
6に記載の走行車両。
【請求項8】
車両本体と、
複数の車輪と、
左側車輪連結機構と、
右側車輪連結機構と、
前記左側車輪連結機構と、前記右側車輪連結機構とを連結する横連結部材と
を具備し、
前記複数の車輪は、第1車輪、第2車輪、第3車輪、第4車輪、第5車輪、および、第6車輪を含み、
前記左側車輪連結機構は、
第1リンク部材と、
第2リンク部材と、
前記第1リンク部材と前記第2リンク部材とを連結する第3リンク部材と
を含み、
前記第1リンク部材は、第1領域において前記第1車輪を回転可能に支持する第1支持部材に接続され、第2領域において前記第2車輪を回転可能に支持する第2支持部材に接続され、前記第1リンク部材は、前記第1領域と前記第2領域との間に位置する第1回転軸のまわりを回転可能であり、
前記第2リンク部材は、第3領域において前記第3リンク部材に接続され、第4領域において前記第3車輪を回転可能に支持する第3支持部材に接続され、前記第2リンク部材は、前記第3領域と前記第4領域との間に位置する第2回転軸のまわりを回転可能であり、
前記第1車輪、前記第2車輪、および、前記第3車輪のうちの少なくとも1つの車輪である特定車輪が地面と接触していた接地点が、前記車両本体の前後方向に移動することを抑制する補助リンク部材を更に具備
し、
前記特定車輪を支持する支持部材は、前記特定車輪の車軸まわりに回転可能な回転部を含み、
前記補助リンク部材は、前記車両本体または前記横連結部材に回転可能に接続されるとともに、前記回転部に回転可能に接続される
走行車両。
【請求項9】
前記特定車輪が第1水平面と接触していた前記接地点の移動軌跡の瞬間中心が、前記第1水平面の近傍に位置するように、前記補助リンク部材が配置されている
請求項8に記載の走行車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、走行車両、より具体的には、不整地を走行可能な走行車両に関する。
【背景技術】
【0002】
不整地を走行可能な走行車両が知られている。
【0003】
関連する技術として、特許文献1には、不整地走行6輪車が開示されている。特許文献1に記載の不整地走行6輪車において、前輪は中央輪に対してローリング自在に取付けられている。また、後輪は中央輪に対してローリング自在に取付けられると共にピッチングおよびヨーイング自在に取付けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【0005】
本発明の目的は、不整地を安定的に走行可能な走行車両を提供することである。
【0006】
いくつかの実施形態における走行車両は、車両本体と、複数の車輪と、左側車輪連結機構と、右側車輪連結機構と、前記左側車輪連結機構と、前記右側車輪連結機構とを連結する横連結部材とを具備する。前記複数の車輪は、第1車輪、第2車輪、第3車輪、第4車輪、第5車輪、および、第6車輪を含む。前記左側車輪連結機構は、第1リンク部材と、第2リンク部材と、前記第1リンク部材と前記第2リンク部材とを連結する第3リンク部材とを含む。前記第1リンク部材は、第1領域において前記第1車輪を回転可能に支持する第1支持部材に接続され、第2領域において前記第2車輪を回転可能に支持する第2支持部材に接続され、前記第1リンク部材は、前記第1領域と前記第2領域との間に位置する第1回転軸のまわりを回転可能である。前記第2リンク部材は、第3領域において前記第3リンク部材に接続され、第4領域において前記第3車輪を回転可能に支持する第3支持部材に接続され、前記第2リンク部材は、前記第3領域と前記第4領域との間に位置する第2回転軸のまわりを回転可能である。
【0007】
本発明により、不整地を安定的に走行可能な走行車両を提供することができる。なお、本発明のその他の効果は、発明を実施する形態にて明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、第1の実施形態における走行車両を模式的に示す概略2面図である。
【
図2】
図2は、第1の実施形態における走行車両が、凸部を乗り越える様子を模式的に示す概略側面図である。
【
図3】
図3は、第1の実施形態における走行車両を模式的に示す概略斜視図である。
【
図4】
図4は、第1の実施形態における走行車両を模式的に示す概略斜視図である。
【
図5A】
図5Aは、左側車輪連結機構を模式的に示す概略側面図である。
【
図5B】
図5Bは、右側車輪連結機構を模式的に示す概略側面図である。
【
図6】
図6は、第2の実施形態における走行車両を模式的に示す概略側面図である。
【
図7】
図7は、リンク部材の構造を模式的に示す概略2面図である。
【
図9A】
図9Aは、第1カム部材の一例を模式的に示す概略斜視図である。
【
図9B】
図9Bは、第2カム部材の一例を模式的に示す概略斜視図である。
【
図10】
図10は、リンク部材の第1部分とリンク部材の第2部分との間の相対回転角度と、第1部分および第2部分に作用する作用トルクとの間の関係を模式的に示すグラフである。
【
図11】
図11は、第3の実施形態における走行車両を模式的に示す概略2面図である。
【
図12】
図12は、第3の実施形態における走行車両を模式的に示す概略側面図である。
【
図13】
図13は、第3の実施形態における走行車両を模式的に示す概略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施形態における走行車両1に関して、添付図面を参照して説明する。なお、以下の説明において、同じ機能を有する部材、部位については、同一の符号が付され、同一の符号が付されている部材、部位について、繰り返しの説明は省略される。
【0010】
(第1の実施形態)
図1を参照して、第1の実施形態における走行車両1Aについて説明する。
図1は、第1の実施形態における走行車両1Aを模式的に示す概略2面図である。
図1の上側には概略側面図が記載され、
図1の下側には概略底面図が記載されている。なお、
図1の上側の側面図において、左側車輪連結機構LCの構造を把握できるようにするために、左側の車輪の記載は省略されている。
図2は、第1の実施形態における走行車両1Aが、凸部Tを乗り越える様子を模式的に示す概略側面図である。なお、
図2において、左側車輪連結機構LCの構造を把握できるようにするために、車輪は、一点鎖線によって表されている。そして、車輪の奥に位置する部材が見えるように図示されている。
図3および
図4は、第1の実施形態における走行車両1Aを模式的に示す概略斜視図である。なお、
図3および
図4において、車輪の懸架装置(suspension system)の構造を把握できるようにするために、車輪の懸架装置のみが実線で記載され、その他の部材は、破線で表現されているか、あるいは、記載自体が省略されている。そして、破線で表現された部材の奥に位置する部材が見えるように図示されている。
図5Aは、左側車輪連結機構LCを模式的に示す概略側面図である。
図5Bは、右側車輪連結機構RCを模式的に示す概略側面図である。
【0011】
第1の実施形態における走行車両1Aは、車両本体10と、複数の車輪Wと、左側車輪連結機構LCと、右側車輪連結機構RCと、横連結部材CCとを具備する。
【0012】
車両本体10は、例えば、運搬対象物を収容する収容スペースSPを備える。
図1に記載の例では、収容スペースSPは、平面視(あるいは、底面視)で、走行車両1Aの中央部ACに配置されている。
【0013】
収容スペースSPには、例えば、センサSが収容される。センサSは、車両本体10の位置を取得する位置情報取得センサ(例えば、GPSセンサ)を含んでいてもよく、車両本体10の姿勢、角速度、あるいは、角加速度を測定するジャイロセンサを含んでいてもよく、車両本体10の周囲の物体(障害物または観察対象物等)を撮像する画像センサ(例えば、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ等)を含んでいてもよく、車両本体10の周囲の障害物の有無を検出する超音波センサを含んでいてもよく、車両本体10の周囲の気温を測定する温度センサ、または、車両本体10の周囲の湿度を測定する湿度センサを含んでいてもよい。収容スペースSPの少なくとも一部は、透明部材11(例えば、透明のドーム部材)によって覆われていてもよい。
【0014】
走行車両1Aが有人走行車両である場合には、収容スペースSPには、座席が配置されていてもよい。他方、走行車両1Aが無人走行車両である場合には、当該座席は省略可能である。
【0015】
図1に記載の例では、車両本体10には、バッテリ14が搭載されている。代替的に、あるいは、付加的に、車両本体10には、内燃機関、燃料電池または太陽電池パネルが搭載されていてもよい。さらに、車両本体10には、複数の車輪Wの動作、および/または、センサSの動作を制御する制御装置12が搭載されていてもよい。また、車両本体10には、通信装置15が搭載されてもよい。通信装置15は、例えば、少なくとも1つの基地局および/またはGPS衛星と通信可能である。走行車両1Aの通信装置15は、少なくとも1つの基地局および/またはGPS衛星から、走行車両1Aの位置を算出するために使用される電波を受信してもよい。代替的に、あるいは、付加的に、走行車両1Aの通信装置15は、センサSによって取得されたデータ(例えば、画像データ、あるいは、各種の測定データ)を、基地局に送信するようにしてもよい。
【0016】
車両本体10に、バッテリ14、制御装置12、および/または、通信装置15が搭載される場合には、車両本体10は、バッテリ14、制御装置12、および/または、通信装置15を囲む筐体100を備えることが好ましい。
【0017】
複数の車輪Wには、少なくとも6個の車輪が含まれる。
図1に記載の例では、走行車両1Aは、第1車輪W1、第2車輪W2、第3車輪W3、第4車輪W4、第5車輪W5、および、第6車輪W6を含む。
【0018】
図1に記載の例では、第1車輪W1、第2車輪W2、第3車輪W3は、左側の車輪である。より具体的には、第1車輪W1、第2車輪W2、第3車輪W3は、車両本体10の長手方向中心軸CLよりも左側に配置された車輪である。
図1に記載の例では、平面視(あるいは、底面視)で、第1車輪W1、第2車輪W2、第3車輪W3は、車両本体10の左端よりも左側に配置されている。ただし、第1車輪W1、第2車輪W2、第3車輪W3の配置は、
図1に記載の例に限定されない。
【0019】
図1に記載の例では、第4車輪W4、第5車輪W5、第6車輪W6は、右側の車輪である。より具体的には、第4車輪W4、第5車輪W5、第6車輪W6は、車両本体10の長手方向中心軸CLよりも右側に配置された車輪である。
図1に記載の例では、平面視(あるいは、底面視)で、第4車輪W4、第5車輪W5、第6車輪W6は、車両本体10の右端よりも右側に配置されている。ただし、第4車輪W4、第5車輪W5、第6車輪W6の配置は、
図1に記載の例に限定されない。
【0020】
図1に記載の例では、第1車輪W1および第4車輪W4が、車両の前方側に配置される前車輪である。また、第3車輪W3および第6車輪W6が、車両の後方側に配置される後車輪である。また、第2車輪W2が、第1車輪W1と第3車輪W3との間に配置される中間車輪であり、第5車輪W5が、第4車輪W4と第6車輪W6との間に配置される中間車輪である。なお、第1車輪W1および第4車輪W4が後車輪であり、第3車輪W3および第6車輪W6が前車輪であっても構わない。
【0021】
図1に記載の例では、第1車輪W1は、車軸AX1まわりを回転可能なように、第1支持部材G1によって支持され、第2車輪W2は、車軸AX2まわりを回転可能なように、第2支持部材G2によって支持され、第3車輪W3は、車軸AX3まわりを回転可能なように、第3支持部材G3によって支持され、第4車輪W4は、車軸AX4まわりを回転可能なように、第4支持部材G4によって支持され、第5車輪W5は、車軸AX5まわりを回転可能なように、第5支持部材G5によって支持され、第6車輪W6は、車軸AX6まわりを回転可能なように、第6支持部材G6によって支持されている。
【0022】
本明細書において、車両本体10の後方から車両本体10の前方に向かう方向を第1方向DR1と呼ぶ。第1方向DR1は、例えば、走行車両1Aが直進移動するときの移動方向と平行な方向である。
【0023】
本明細書において、車両本体10の左側から車両本体10の右側に向かう方向を第2方向DR2と呼ぶ。第2方向DR2は、第1方向DR1に垂直な方向である。
図1に記載の例では、第1車輪W1から第4車輪W4に向かう方向は、第2方向DR2と平行であり、第2車輪W2から第5車輪W5に向かう方向は、第2方向DR2と平行であり、第3車輪W3から第6車輪W6に向かう方向は、第2方向DR2と平行である。なお、「左側」とは、車両本体10の後方から車両本体10の前方に向かう方向に見た時の「左側」を意味し、「右側」とは、車両本体10の後方から車両本体10の前方に向かう方向に見た時の「右側」を意味する。
【0024】
本明細書において、車両本体10の下側から車両本体10の上側に向かう方向を第3方向DR3と呼ぶ。第3方向DR3は、第1方向DR1および第2方向DR2に垂直な方向である。
【0025】
図1に記載の例では、左側車輪連結機構LCは、第1リンク部材21と、第2リンク部材22と、第1リンク部材21と第2リンク部材22とを連結する第3リンク部材23とを含む。
【0026】
第1リンク部材21は、第1領域21fにおいて第1車輪W1を回転可能に支持する第1支持部材G1に接続され、第2領域21rにおいて第2車輪W2を回転可能に支持する第2支持部材G2に接続されている。
図1に記載の例では、第1領域21fは、第1リンク部材21の一方側の端部領域であり、第2領域21rは、第1リンク部材21の他方側の端部領域である。なお、
図1に記載の例では、第1リンク部材21と第1支持部材G1とは別体であるが、第1リンク部材21と第1支持部材G1とは、一体的に成形された1つの部材であっても構わない。同様に、
図1に記載の例では、第1リンク部材21と第2支持部材G2とは別体であるが、第1リンク部材21と第2支持部材G2とは、一体的に成形された1つの部材であっても構わない。
【0027】
第1リンク部材21は、第1領域21fと第2領域21rとの間に位置する第1回転軸R1まわりを回転可能である。より具体的には、第1リンク部材21は、車両本体10(例えば、第1リンク支持部材N1)に、第1回転軸R1まわりを回転可能(pivotable)なように取り付けられている。なお、本明細書において、「回転可能」には、360度未満の所定角度だけ回転可能であることも包含される。
【0028】
図1に記載の例では、第1車輪W1は、第1領域21fを通過する車軸AX1まわりを、第1支持部材G1に対して相対回転可能である。また、第1リンク部材21が、第1回転軸R1まわりを回転可能であることにより、第1車輪W1は、第1回転軸R1まわりを揺動運動可能である。
【0029】
図1に記載の例では、第2車輪W2は、第2領域21rを通過する車軸AX2まわりを、第2支持部材G2に対して相対回転可能である。また、第1リンク部材21が、第1回転軸R1まわりを回転可能であることにより、第2車輪W2は、第1回転軸R1まわりを揺動運動可能である。
【0030】
第2リンク部材22は、第3領域22fにおいて第3リンク部材23に接続され、第4領域22rにおいて第3車輪W3を回転可能に支持する第3支持部材G3に接続されている。
図1に記載の例では、第3領域22fは、第2リンク部材22の一方側の端部領域であり、第4領域22rは、第2リンク部材22の他方側の端部領域である。なお、
図1に記載の例では、第2リンク部材22と第3支持部材G3とは別体であるが、第2リンク部材22と第3支持部材G3とは、一体的に成形された1つの部材であっても構わない。
【0031】
また、第2リンク部材22は、第3領域22fと第4領域22rとの間に位置する第2回転軸R2まわりを回転可能である。より具体的には、第2リンク部材22は、横連結部材CCに、第2回転軸R2まわりを回転可能(pivotable)なように取り付けられている。
【0032】
図1に記載の例では、第3車輪W3は、第4領域22rを通過する車軸AX3まわりを、第3支持部材G3に対して相対回転可能である。また、第2リンク部材22が、第2回転軸R2まわりを回転可能であることにより、第3車輪W3は、第2回転軸R2まわりを揺動運動可能である。
【0033】
なお、
図1に記載の例では、第1リンク部材21が、第1回転軸R1まわりを回転可能(pivotable)なように、車両本体10に取り付けられており、第2リンク部材22が、第2回転軸R2まわりを回転可能(pivotable)なように横連結部材CCに取り付けられている。代替的に、第1リンク部材21が、第1回転軸R1まわりを回転可能(pivotable)なように、横連結部材CCに取り付けられ、第2リンク部材22が、第2回転軸R2まわりを回転可能(pivotable)なように、車両本体10に取り付けられてもよい。
【0034】
図1に記載の例では、走行車両1Aは、第1リンク部材21の第2領域21rと、第2リンク部材の第3領域22fとを連結する第3リンク部材23を備える。
【0035】
図1に記載の例では、第1リンク部材21の第2領域21rが、第3リンク部材23の第1部分23bに第1ボールジョイントB1を介して連結されている。この場合、第1リンク部材21は、第1ボールジョイントB1を中心として、第3リンク部材23に対して、任意の方向に相対回転可能である。なお、
図1に記載の例では、第1ボールジョイントB1の中心は、車軸AX2上にある。
【0036】
また、
図1に記載の例では、第2リンク部材22の第3領域22fが、第3リンク部材23の第2部分23uに第2ボールジョイントB2を介して連結されている。この場合、第2リンク部材22は、第2ボールジョイントB2を中心として、第3リンク部材23に対して、任意の方向に相対回転可能である。なお、
図1に記載の例では、第2部分23uが第1部分23bよりも上方に配置されているが、第2部分23uは第1部分23bよりも下方に配置されてもよい。
【0037】
第1の実施形態における左側車輪連結機構LCは、第1車輪W1と第2車輪W2とを連結する第1リンク部材21と、第1リンク部材21に第1ボールジョイントB1を介して連結された第3リンク部材23と、第3リンク部材23に第2ボールジョイントB2を介して連結され、第3リンク部材23と第3車輪W3とを連結する第2リンク部材22とを含む。このため、
図2(b)に示されるように、第1車輪W1が凸部Tを乗り越える場合に、第1車輪W1、第2車輪W2、および、第3車輪W3と、地面との間の接触状態が維持される。また、
図2(c)に示されるように、第2車輪W2が凸部Tを乗り越える場合に、第1車輪W1、第2車輪W2、および、第3車輪W3と、地面との間の接触状態が維持される。また、
図2(d)に示されるように、第3車輪W3が凸部Tを乗り越える場合に、第1車輪W1、第2車輪W2、および、第3車輪W3と、地面との間の接触状態が維持される。
【0038】
図3に記載の例では、右側車輪連結機構RCは、第4リンク部材31と、第5リンク部材32と、第4リンク部材31と第5リンク部材32とを連結する第6リンク部材33とを含む。
【0039】
第4リンク部材31は、第5領域31fにおいて第4車輪W4を回転可能に支持する第4支持部材G4に接続され、第6領域31rにおいて第5車輪W5を回転可能に支持する第5支持部材G5に接続されている。
【0040】
第4リンク部材31は、第5領域31fと第6領域31rとの間に位置する第3回転軸R3まわりを回転可能である。より具体的には、第4リンク部材31は、車両本体10(例えば、第4リンク支持部材N4)に、第3回転軸R3まわりを回転可能(pivotable)なように取り付けられている。なお、
図1に記載の例では、第3回転軸R3は、第1回転軸R1と同軸である。また、第4リンク支持部材N4と第1リンク支持部材N1とは、一体成形された一つの部品である。
【0041】
第4リンク部材31の機能は、第1リンク部材21の機能と同様であるため、第4リンク部材31の機能についての繰り返しとなる説明は省略する。
【0042】
第5リンク部材32は、第7領域32fにおいて第6リンク部材33に接続され、第8領域32rにおいて第6車輪W6を回転可能に支持する第6支持部材G6に接続されている。
【0043】
第5リンク部材32は、第7領域32fと第8領域32rとの間に位置する第4回転軸R4まわりを回転可能である。より具体的には、第5リンク部材32は、横連結部材CCに、第4回転軸R4まわりを回転可能(pivotable)なように取り付けられている。なお、
図1に記載の例では、第4回転軸R4は、第2回転軸R2と同軸である。
【0044】
第5リンク部材32の機能は、第2リンク部材22の機能と同様であるため、第5リンク部材32の機能についての繰り返しとなる説明は省略する。
【0045】
図3に記載の例では、第4リンク部材31が、第3回転軸R3まわりを回転可能なように車両本体10に取り付けられており、第5リンク部材32が、第4回転軸R4まわりを回転可能なように、横連結部材CCに取り付けられている。代替的に、第4リンク部材31が、第3回転軸R3まわりを回転可能なように、横連結部材CCに取り付けられ、第5リンク部材32が、第4回転軸R4まわりを回転可能なように、車両本体10に取り付けられてもよい。
【0046】
図3に記載の例では、走行車両1Aは、第4リンク部材31の第6領域31rと、第5リンク部材32の第7領域32fとを連結する第6リンク部材33を備える。
【0047】
図3に記載の例では、第4リンク部材31の第6領域31rが、第6リンク部材33の第1部分33bに第3ボールジョイントB3を介して連結されている。この場合、第4リンク部材31は、第3ボールジョイントB3を中心として、第6リンク部材33に対して、任意の方向に相対回転可能である。
【0048】
また、
図3に記載の例では、第5リンク部材32の第7領域32fが、第6リンク部材33の第2部分33uに第4ボールジョイントB4を介して連結されている。この場合、第5リンク部材32は、第4ボールジョイントB4を中心として、第6リンク部材33に対して、任意の方向に相対回転可能である。
【0049】
第1の実施形態における右側車輪連結機構RCは、第4車輪W4と第5車輪W5とを連結する第4リンク部材31と、第4リンク部材31に第3ボールジョイントB3を介して回転可能に連結された第6リンク部材33と、第6リンク部材33に第4ボールジョイントB4を介して連結され、第6リンク部材33と第6車輪W6とを連結する第5リンク部材32とを含む。このため、第4車輪W4、第5車輪W5、第6車輪W6のいずれかが凸部Tを乗り越える場合に、第4車輪W4、第5車輪W5、および、第6車輪W6と、地面との間の接触状態が維持される。
【0050】
(任意付加的な構成例)
図1乃至
図5を参照して、第1の実施形態において採用可能な任意付加的な構成例について説明する。
【0051】
(構成例1)
図4に示されるように、構成例1では、横連結部材CCは、車両本体10に対してロール運動可能である。より具体的には、横連結部材CCは、第5回転軸R5(具体的には、第1方向DR1に平行な軸)まわりに回転可能である。
図4に記載の例では、横連結部材CCは、車両本体10に一体的に設けられた第1部材18(換言すれば、車両本体10の一部を構成する第1部材18)に対して回転可能なように、第1部材18に接続されている。
【0052】
横連結部材CCがロール運動可能であることにより、地面の起伏状態が、左右方向で異なる場合であっても、地面と6つの車輪との間の接触状態が効果的に維持される。例えば、第1車輪W1乃至第6車輪W6のいずれか1つが凸部Tを乗り越える場合に、第1車輪W1、第2車輪W2、第3車輪W3、第4車輪W4、第5車輪W5、および、第6車輪W6の各々と、地面との間の接触状態が維持される。
【0053】
図4に記載の例では、車輪の懸架装置(suspension system)は、7つの要素、より具体的には、第1リンク部材21、第2リンク部材22、第3リンク部材23、第4リンク部材31、第5リンク部材32、第6リンク部材33、および、横連結部材CCを含む。当該7つの要素の各々が全く拘束されていない場合の当該7つの要素の全自由度は、6(自由度)×7(結合要素の数)=42自由度である。
【0054】
第1リンク部材21が第1リンク支持部材N1によって支持されているポイントP1において、5つの自由度(X方向直線運動、Y方向直線運動、Z方向直線運動、および、2つの回転運動)が拘束されている。同様に、第2リンク部材22が横連結部材CCによって支持されているポイントP2において、5つの自由度が拘束され、第4リンク部材31が第4リンク支持部材N4によって支持されているポイントP3において、5つの自由度が拘束され、第5リンク部材32が横連結部材CCによって支持されているポイントP4において、5つの自由度が拘束され、横連結部材CCが第1部材18によって支持されているポイントP5において、5つの自由度が拘束されている。換言すれば、25(=5×5)の自由度は拘束されている。
【0055】
また、第1リンク部材21と第3リンク部材23との間の回転可能な接続(すなわち、ボールジョイントを介した接続)において、3つの自由度が拘束されている。同様に、第2リンク部材22と第3リンク部材23との回転可能な接続(すなわち、ボールジョイントを介した接続)において、3つの自由度が拘束され、第4リンク部材31と第6リンク部材33との間の回転可能な接続(すなわち、ボールジョイントを介した接続)において、3つの自由度が拘束され、第5リンク部材32と第6リンク部材33との間の回転可能な接続(すなわち、ボールジョイントを介した接続)において、3つの自由度が拘束されている。換言すれば、12(=3×4)の自由度が拘束されている。
【0056】
さらに、第3リンク部材23の1つの回転自由度(第3リンク部材23の長手中心軸まわりの回転に関する自由度)は、車輪の懸架装置の動きに何ら影響を与えない自由度であり、第6リンク部材33の1つの回転自由度(第6リンク部材33の長手中心軸まわりの回転に関する自由度)は、車輪の懸架装置の動きに何ら影響を与えない自由度である。換言すれば、2(=1×2)の自由度は、車輪の懸架装置の動きに何ら影響を与えない。
【0057】
以上のことから、第1の実施形態における車輪の懸架装置(suspension system)の実際の自由度は3(=42-25-12-2)であり、第1の実施形態における走行車両1Aが非整形地を走る際に6つの車輪Wの全てが地面に接地するために必要な自由度「3」と一致する。以上のことから、第1の実施形態における走行車両では、非整形地の起伏に追従して6つの車輪Wの全てが地面に接地する。なお、下記の構成例2に例示されるように、ホイールストロークが可能な範囲(換言すれば、各車輪の上限可動位置と下限可動位置との間の範囲)において、車両本体10に作用する荷重が、第1車輪W1、第2車輪W2、第3車輪W3、第4車輪W4、第5車輪W5、および、第6車輪W6に等分配されてもよい。
【0058】
(構成例2)
図5Aに示されるように、第2領域21r(より具体的には、車軸AX2)と第1回転軸R1との間の水平距離(第1方向DR1に沿う方向における距離)を距離L2と定義し、第1領域21f(より具体的には、車軸AX1)と第1回転軸R1との間の水平距離(第1方向DR1に沿う方向における距離)を距離L1と定義し、第3領域22f(より具体的には、第2ボールジョイントB2の中心)と第2回転軸R2との間の水平距離(第1方向DR1に沿う方向における距離)を距離L3と定義し、第4領域22r(より具体的には、車軸AX3)と第2回転軸R2との間の水平距離(第1方向DR1に沿う方向における距離)を距離L4と定義する。
【0059】
また、
図5Bに示されるように、第6領域31r(より具体的には、車軸AX5)と第3回転軸R3との間の水平距離(第1方向DR1に沿う方向における距離)を距離L6と定義し、第5領域31f(より具体的には、車軸AX4)と第3回転軸R3との間の水平距離(第1方向DR1に沿う方向における距離)を距離L5と定義し、第7領域32f(より具体的には、第4ボールジョイントB4の中心)と第4回転軸R4との間の水平距離(第1方向DR1に沿う方向における距離)を距離L7と定義し、第8領域32r(より具体的には、車軸AX6)と第4回転軸R4との間の水平距離(第1方向DR1に沿う方向における距離)を距離L8と定義する。
【0060】
構成例2では、距離L1と距離L2との比率、および/または、距離L3と距離L4との比率を適切に設定することにより、左側車輪連結機構LCに作用する荷重を、第1車輪W1、第2車輪W2、第3車輪W3に好適に分配することが可能である。例えば、L1:L2=1:1、L3:L4=1:1に設定した場合、左側車輪連結機構LCに作用する荷重が、第1車輪W1、第2車輪W2、第3車輪W3に、1:2:1の比率で分配される。また、距離L2を距離L1よりも長くし、距離L3を距離L4よりも長くすれば、第2車輪W2に作用する荷重を低減することができる。その結果、第1車輪W1、第2車輪W2、第3車輪W3に分配される荷重が、より均一化される。特に、距離L2を距離L1の約2倍に設定し、距離L3を距離L4の約2倍に設定した場合には、左側車輪連結機構LCに作用する荷重が、第1車輪W1、第2車輪W2、第3車輪W3に等分配される。なお、本明細書において、「約2倍」には、「1.5倍以上2.5倍以下」が包含される。「約2倍」には、「1.8倍以上2.2倍以下」も当然包含される。また、本明細書において、「等分配」には、厳密な等分配に加えて、概ね等分配も包含される(換言すれば、多少の誤差は、許容される。)。
【0061】
また、構成例2では、距離L5と距離L6との比率、および/または、距離L7と距離L8との比率を適切に設定することにより、右側車輪連結機構RCに作用する荷重を、第4車輪W4、第5車輪W5、第6車輪W6に好適に分配することが可能である。例えば、L5:L6=1:1、L7:L8=1:1に設定した場合、右側車輪連結機構RCに作用する荷重が、第4車輪W4、第5車輪W5、第6車輪W6に、1:2:1の比率で分配される。また、距離L6を距離L5よりも長くし、距離L7を距離L8よりも長くすれば、第5車輪W5に作用する荷重を低減することができる。その結果、第4車輪W4、第5車輪W5、第6車輪W6に分配される荷重が、より均一化される。特に、距離L6を距離L5の約2倍に設定し、距離L7を距離L8の約2倍に設定した場合には、右側車輪連結機構RCに作用する荷重が、第4車輪W4、第5車輪W5、第6車輪W6に等分配される。
【0062】
さらに、距離L2を距離L1の約2倍に設定し、距離L3を距離L4の約2倍に設定した場合には、第1車輪W1、第2車輪W2、第3車輪W3のいずれかの車輪の高さが変動したときに、当該車輪の高さの変動と比較して、車両本体10の中央部ACの高さの変動が抑制される。同様に、距離L6を距離L5の約2倍に設定し、距離L7を距離L8の約2倍に設定した場合には、第4車輪W4、第5車輪W5、第6車輪W6のいずれかの車輪の高さが変動したときに、当該車輪の高さの変動と比較して、車両本体10の中央部ACの高さの変動が抑制される。
【0063】
例えば、
図2(a)に例示されるように、第1車輪W1乃至第6車輪W6が水平面である基準面GP上にある時の中央部ACの基準面GPからの高さを高さH1と定義し、
図2(b)に例示されるように、第1車輪W1および第4車輪W4が、基準面GPからの高さが高さHである凸部T上にあり、第2車輪W2、第3車輪W3、第5車輪W5、第6車輪W6が基準面GP上にある時の中央部ACの基準面GPからの高さを高さH2と定義する。この時、距離L2が距離L1の約2倍であり、距離L3が距離L4の約2倍である場合、中央部ACの高さの変動(すなわち、H2-H1)は、凸部Tの高さHの1/3に抑制される。なお、本明細書において、「1/3」には、厳密な1/3に加えて、約1/3も包含される(換言すれば、多少の誤差は、許容される。)。
【0064】
同様に、
図2(c)に例示されるように、第2車輪W2および第5車輪W5が、基準面GPからの高さが高さHである凸部T上にあり、第1車輪W1、第3車輪W3、第4車輪W4、第6車輪W6が基準面GP上にある時の中央部ACの基準面GPからの高さを高さH3と定義する。距離L2が距離L1の約2倍であり、距離L3が距離L4の約2倍である場合、中央部ACの高さの変動(すなわち、H3-H1)は、凸部Tの高さの1/3に抑制される。
【0065】
同様に、
図2(d)に例示されるように、第3車輪W3および第6車輪W6が、基準面GPからの高さが高さHである凸部T上にあり、第1車輪W1、第2車輪W2、第4車輪W4、第5車輪W5が基準面GP上にある時の中央部ACの基準面GPからの高さを高さH4と定義する。距離L2が距離L1の約2倍であり、距離L3が距離L4の約2倍である場合、中央部ACの高さの変動(すなわち、H4-H1)は、凸部Tの高さの1/3に抑制される。
【0066】
更に、
図5Bに例示されるように、第6領域31r(より具体的には、車軸AX5)と第3回転軸R3との間の水平距離である距離L6が、第5領域31f(より具体的には、車軸AX4)と第3回転軸R3との間の水平距離である距離L5の約2倍であり、第7領域32f(より具体的には、第4ボールジョイントB4の中心)と第4回転軸R4との間の水平距離である距離L7が、第8領域32r(より具体的には、車軸AX6)と第4回転軸R4との間の水平距離である距離L8の約2倍であり、かつ、横連結部材CCがロール運動可能である場合には、ホイールストロークが可能な範囲内で6輪を常時地面に接地させることが可能となり、かつ、1つの車輪が凸部Tを乗り越える時の車両本体10の中央部ACの高さの変動がより一層効果的に抑制される。
【0067】
より具体的には、第1車輪W1が、基準面GPからの高さが高さHである凸部T上にあり、第2車輪W2、第3車輪W3、第4車輪W4、第5車輪W5、第6車輪W6が基準面GP上にある時の中央部ACの基準面GPからの高さを高さH5(図示されず。)と定義する。この場合、中央部ACの高さの変動(すなわち、H5-H1)は、凸部Tの高さの1/6に抑制される。
【0068】
また、第2車輪W2が、基準面GPからの高さが高さHである凸部T上にあり、第1車輪W1、第3車輪W3、第4車輪W4、第5車輪W5、第6車輪W6が基準面GP上にある時の中央部ACの基準面GPからの高さを高さH6(図示されず。)と定義する。この場合、中央部ACの高さの変動(すなわち、H6-H1)は、凸部Tの高さの1/6に抑制される。同様に、第3車輪W3が、基準面GPからの高さが高さHである凸部T上にあり、第1車輪W1、第2車輪W2、第4車輪W4、第5車輪W5、第6車輪W6が基準面GP上にある時の中央部ACの基準面GPからの高さを高さH7(図示されず。)と定義する。この場合、中央部ACの高さの変動(すなわち、H7-H1)は、凸部Tの高さの1/6に抑制される。
【0069】
換言すれば、距離L2が距離L1の約2倍となり、距離L3が距離L4の約2倍となり、距離L6が距離L5の約2倍となり、距離L7が距離L8の約2倍となるように設定し、かつ、横連結部材CCをロール運動可能とした場合には、第1車輪W1、第2車輪W2、第3車輪W3、第4車輪W4、第5車輪W5、および、第6車輪W6が、第1水平面(より具体的には、基準面GP)に接地する第1状態から、第K車輪(「K」は、「1」以上「6」以下の任意の自然数。)が第1水平面よりも高さHだけ高い面に接地し、第K車輪以外の5つの車輪が第1水平面に接地する第2状態に変化するとき、車両本体10の中央部ACの高さは、H×1/6だけ高くなる。なお、本明細書において、「1/6」には、厳密な1/6に加えて、約1/6も包含される(換言すれば、多少の誤差は、許容される。)。
【0070】
なお、
図4に記載の例において、横連結部材CCを介して車両本体10に連結された2つの車輪(
図4に記載の例では、第3車輪W3および第6車輪W6)のうちの一方が凸部を乗り越える場合には、車両本体10の左右方向の傾斜が実質的に抑制された状態で、当該2つの車輪が横連結部材CCとともに、第5回転軸R5まわりをロール運動する。その結果、横連結部材CCおよび当該2つの車輪は、車両本体10に対して、第5回転軸R5まわりを相対回転する。なお、横連結部材CCがロール運動する際に、車両本体10と横連結部材CCとが互いに干渉することを回避するために、車両本体10には、横連結部材CCを受容可能な凹部が設けられていることが好ましい。また、
図4に記載の例において、横連結部材CCを介さずに車両本体10に連結された4つの車輪(
図4に記載の例では、第1車輪W1、第2車輪W2、第4車輪W4、および、第5車輪W5)のうちのいずれか1つの車輪が凸部を乗り越える場合には、車両本体10が実質的に左右方向に傾斜した状態で、当該1つの車輪が凸部を乗り越えることとなる。
【0071】
第1の実施形態における走行車両1Aでは、上述の構成例1が採用されてもよいし、上述の構成例2が採用されてもよいし、上述の構成例1および構成例2が組み合わせられて採用されてもよい。
【0072】
(第2の実施形態)
図6乃至
図10を参照して、第2の実施形態における走行車両1Bについて説明する。
図6は、第2の実施形態における走行車両1Bを模式的に示す概略側面図である。なお、
図6において、左側車輪連結機構LCの構造を把握できるようにするために、左側の車輪の記載は省略されている。
図7は、リンク部材Dの構造を模式的に示す概略2面図である。
図7の上側には、概略平面図が記載され、
図7の下側には概略側面図が記載されている。
図8は、
図7のA-A矢視断面図である。
図9Aは、第1カム部材84の一例を模式的に示す概略斜視図である。
図9Bは、第2カム部材85の一例を模式的に示す概略斜視図である。
図10は、リンク部材Dの第1部分D1と第2部分D2との間の相対回転角度と、第1部分D1および第2部分D2に作用する作用トルクとの間の関係を模式的に示すグラフである。
【0073】
図6乃至
図8に例示されるように、第2の実施形態における走行車両1Bは、第1リンク部材21、第2リンク部材22、第4リンク部材31、第5リンク部材32のうちの少なくとも1つのリンク部材Dが、第1部分D1と、第2部分D2と、付勢部材D3とを備える点において、第1の実施形態における走行車両1Aとは異なる。その他の点では、第2の実施形態における走行車両1Bは、第1の実施形態における走行車両1Aと同様である。このため、第2の実施形態では、第1部分D1、第2部分D2、および、付勢部材D3を中心に説明し、その他の構成についての繰り返しとなる説明は省略する。よって、第2の実施形態において明示的に説明しなかったとしても、第2の実施形態において、第1の実施形態で説明した技術的事項を採用可能であることは言うまでもない。例えば、第2の実施形態においても、上述の構成例1および/または構成例2を採用可能である。
【0074】
図7に記載の例では、リンク部材Dは、第1部分D1と、第1部分D1に対して相対的に角度変化可能な第2部分D2とを備える。より具体的には、第2部分D2は、第2方向DR2に平行な回転軸R8まわりに、第1部分D1に対して相対回転可能であり、当該相対回転により、第1部分D1と第2部分D2との間の角度が変化する。第1部分D1は、例えば、第1アーム部材によって構成される。第2部分D2は、例えば、第2アーム部材によって構成される。
図7に記載の例では、第1部分D1(すなわち、第1アーム部材)の第1端部61が、第2部分D2(すなわち、第2アーム部材)の第1端部71に対して、相対回転可能に連結されている。
【0075】
図7に記載の例では、走行車両1Bは、第1部分D1と第2部分D2とを相対回転可能なように支持するリンク支持部材Nを含む。
図8に例示されるように、リンク支持部材Nは、第1部分D1および/または第2部分D2を回転可能に支持する軸部81を備えていてもよい。
【0076】
付勢部材D3は、第1部分D1と第2部分D2との間の角度変化に抗する付勢力を第1部分D1および/または第2部分D2に付与する。
図8に記載の例では、付勢部材D3は、第1部分D1と第2部分D2との間に介在するばね部材である。
【0077】
図8に記載の付勢部材D3は、第1部分D1と第2部分D2との間の角度が、所定の角度(例えば、初期角度あるいはデフォルト角度)となる方向に向けて、第1部分D1および/または第2部分D2に付勢力を付与する。例えば、
図7に記載の例では、付勢部材D3は、第1部分D1と第2部分D2との間の角度αが拡大する方向に、地面等から力が作用するとき、角度αを縮小する方向の付勢力を付与する。また、
図7に記載の例では、付勢部材D3は、第1部分D1と第2部分D2との間の角度αが縮小する方向に、地面等から力が作用するとき、角度αを拡大する方向の付勢力を付与する。
【0078】
図8に記載の例では、付勢部材D3は、ハウジング部83に収容されている。
図8に記載の例では、第1部分D1の一部と第2部分D2の一部とによってハウジング部83が構成されている。
【0079】
走行車両1Bは、第1部分D1と第2部分D2との間の角度の変化に応じて、付勢部材D3の付勢力(例えば、ばね部材の圧縮量)を変化させるカム部材(より具体的には、第1カム部材84、および、第2カム部材85)を含んでいてもよい。
【0080】
図8に記載の例では、第1カム部材84は、第1部分D1と第2部分D2との間の相対回転軸Rに沿う方向にスライド移動可能である。また、第1カム部材84は、第1部分D1に対して相対回転不能である。例えば、第1カム部材84(より具体的には、第1カム部材84の内周面)に形成された係合部84a(相対的にスライド可能な係合部)と、第1部分D1(より具体的には、第1部分D1の外周面)に形成された係合部D1a(相対的にスライド可能な係合部)とが互いに嵌合するように構成することにより、第1カム部材84を、第1部分D1に対してスライド移動可能、かつ、相対回転不能とすることができる。
【0081】
図8に記載の例では、第2カム部材85は、第2部分D2に対して相対回転不能である。第2カム部材85は、第2部分D2に固着されていてもよいし、第2部分D2に対して相対回転不能なように第2部分D2に嵌合されていてもよい。
図8に記載の例では、第2カム部材85(より具体的には、第2カム部材85の外周面)に形成された係合部85a(相対的にスライド可能な係合部)と、第2部分D2(より具体的には、第2部分D2の内周面)に形成された係合部D2a(相対的にスライド可能な係合部)とが互いに嵌合するように構成されている。その結果、第2カム部材85は、第2部分D2に対して相対回転不能である。
【0082】
図8に記載の例において、第1部分D1と第2部分D2とが、相対回転軸Rまわりに互いに対して相対回転すると、第1部分D1に対して相対回転不能な第1カム部材84が、第2部分D2に対して相対回転不能な第2カム部材85に対して相対回転する。また、第1カム部材84が、第2カム部材85に対して相対回転すると、第1カム部材84は、相対回転軸Rに沿う方向にスライド移動する。第1カム部材84がスライド移動すると、第1カム部材84は付勢部材D3を圧縮方向に押圧する。その結果、付勢部材D3の付勢力(例えば、ばね部材の圧縮量)が変化する。
【0083】
図8に記載の例では、第2部分D2が、第1部分D1に対して、デフォルト状態(初期状態)から第1回転方向に相対回転した場合に、付勢部材D3の付勢力(例えば、ばね部材の圧縮量)が増加する。また、第2部分D2が、第1部分D1に対して、デフォルト状態(初期状態)から第2回転方向(第1回転方向とは反対の方向)に相対回転した場合にも、付勢部材D3の付勢力(例えば、ばね部材の圧縮量)が増加する。換言すれば、
図8に記載の例では、第2部分D2が、第1部分D1に対して、デフォルト状態(初期状態)からどちらの方向に回転しても、付勢部材D3の付勢力(例えば、ばね部材の圧縮量)が増加する。
【0084】
第2部分D2が第1部分D1に対してどちらの方向に回転しても、付勢部材D3の付勢力(例えば、ばね部材の圧縮量)が増加するようにするためのメカニズムの一例について説明する。
【0085】
図9Aに記載の例では、第1カム部材84は、第2カム部材85に対向する凸部841と、第2カム部材85に対向する凹部842とを含む。なお、第1カム部材84の第2カム部材85に対向する表面S1は、凸部841と凹部842とが交互に配置された波形表面であることが好ましい。また、
図9Bに記載の例では、第2カム部材85は、第1カム部材84に対向する凸部851と、第1カム部材84に対向する凹部852とを含む。なお、第2カム部材85の第1カム部材84に対向する表面S2は、凸部851と凹部852とが交互に配置された波形表面であることが好ましい。
【0086】
図8に示されるデフォルト状態(初期状態)では、第2カム部材85の凸部851と第1カム部材84の凹部842とが対向配置されている。このとき、第2カム部材85と第1カム部材84との合計高さTHは、初期高さ(最も小さい高さ)である。
図8に示されるデフォルト状態(初期状態)から、第2部分D2が、第1部分D1に対して第1回転方向に相対回転すると、第2カム部材85の凸部851は、第1カム部材84の凹部842から凸部841aに向かう方向に相対移動する。その結果、第2カム部材85および第1カム部材84の合計高さTHは増加する。合計高さTHが増加すると、付勢部材D3が第1カム部材84によって押圧されることにより、付勢部材D3の付勢力(例えば、ばね部材の圧縮量)が増加する。他方、
図8に示されるデフォルト状態(初期状態)から、第2部分D2が、第1部分D1に対して第2回転方向に相対回転すると、第2カム部材85の凸部851は、第1カム部材84の凹部842から凸部841bに向かう方向に相対移動する。その結果、第2カム部材85と第1カム部材84との合計高さTHは増加する。合計高さTHが増加すると、付勢部材D3が第1カム部材84によって押圧されることにより、付勢部材D3の付勢力(例えば、ばね部材の圧縮量)が増加する。
【0087】
図8に記載の例において、第1カム部材84および第2カム部材85の合計高さTHが最小であるときの付勢部材D3の付勢力は、予圧縮荷重(換言すれば、最小の付勢力)に対応する。
【0088】
図10に記載の例では、第1部分D1と第2部分D2との間の角度を増大させる方向に作用する作用トルクが、予圧縮荷重に対応する第1設定トルクTR1を越えるまでは、第1部分D1と第2部分D2との間の角度は、所定の角度(例えば、初期角度あるいはデフォルト角度)に維持される。また、第1部分D1と第2部分D2との間の角度を増大させる方向に作用する作用トルクが、第1設定トルクTR1を超えると、作用トルクの増加に応じて、第1部分D1と第2部分D2との間の角度αが増加し、付勢部材D3の付勢力が増加する。
【0089】
また、
図10に記載の例では、第1部分D1と第2部分D2との間の角度を減少させる方向に作用する作用トルクが、予圧縮荷重に対応する第2設定トルクTR2を越えるまでは、第1部分D1と第2部分D2との間の角度は、所定の角度(例えば、初期角度あるいはデフォルト角度)に維持される。また、第1部分D1と第2部分D2との間の角度を減少させる方向に作用する作用トルクが、第2設定トルクTR2を超えると、作用トルクの増加に応じて、第1部分D1と第2部分D2との間の角度αが減少し、付勢部材D3の付勢力が増加する。第1設定トルクTR1の大きさ、および/または、第2設定トルクTR2の大きさは、第1カム部材84の形状(より具体的には、第1カム部材84の波形表面の形状)および/または第2カム部材85の形状(より具体的には、第2カム部材85の波形表面の形状)を変えることにより、任意の大きさに設定することができる。例えば、第2設定トルクTR2の大きさが、第1設定トルクTR1の大きさと同一となるように設定されてもよい。
【0090】
第2の実施形態では、リンク部材Dが、第1部分D1と、第2部分D2と、第1部分D1と第2部分D2との間の角度変化に抗する付勢力を付与する付勢部材D3とを備える。この場合、地面から車輪Wに伝わる力が急激に変化する場合に、当該力の変化が、リンク部材Dによって緩衝されて、車両本体10に伝わる。よって、車両本体10の振動等が効果的に抑制される。また、
図10に記載の例では、第1部分D1と第2部分D2との間の角度を増大させる方向に作用する作用トルクが、予圧縮荷重に対応する第1設定トルクTR1を越えるまでは、第1部分D1と第2部分D2との間の角度が、所定の角度(例えば、初期角度あるいはデフォルト角度)に維持される。この場合、地面から車輪Wに伝わる力が多少変化しても、第1部分D1と第2部分D2との間の角度が変化しない。よって、第1部分D1と第2部分D2との間の連結構造の関係性(ひいては、6輪接地の状態)が維持される。
【0091】
なお、上述のリンク部材Dが、
図6に例示される第1リンク部材21である場合には、第1部分D1は第1領域21fを備え、第2部分D2は第2領域21rを備え、第1部分D1と第2部分D2との間の相対回転軸Rは、第1回転軸R1に一致することが好ましい。また、上述のリンク支持部材Nは、第1リンク支持部材N1に対応することが好ましい。
【0092】
代替的に、あるいは、付加的に、上述のリンク部材Dが、
図6に例示される第2リンク部材22である場合には、第1部分D1は第4領域22rを備え、第2部分D2は第3領域22fを備え、第1部分D1と第2部分D2との間の相対回転軸Rは、第2回転軸R2に一致することが好ましい。また、上述のリンク支持部材Nは、横連結部材CCに対応することが好ましい。
【0093】
代替的に、あるいは、付加的に、上述のリンク部材Dは、第4リンク部材31であってもよいし、第5リンク部材32であってもよい。
【0094】
上述のリンク部材Dは、第1部分D1と、第2部分D2と、付勢部材D3に加えて、第1部分D1と第2部分D2との間の角度の変化の速度を低減するダンパー機構を備えていてもよい。ダンパー機構は、油圧形式のダンパー機構であってもよいし、その他の形式のダンパー機構であってもよい。
【0095】
(第3の実施形態)
図11乃至
図13を参照して、第3の実施形態における走行車両1Cについて説明する。
図11は、第3の実施形態における走行車両1Cを模式的に示す概略2面図である。
図11の上側には概略側面図が記載され、
図11の下側には概略底面図が記載されている。
図12および
図13は、第3の実施形態における走行車両1Cを模式的に示す概略側面図である。なお、
図11の上側の側面図、
図12、
図13において、左側車輪連結機構LCの構造を把握できるようにするために、左側の車輪が一点鎖線によって表されている。そして、左側の車輪の奥に位置する部材が見えるように図示されている。
【0096】
図11に例示されるように、第3の実施形態における走行車両1Cは、第1車輪W1、第2車輪W2、第3車輪W3、第4車輪W4、第5車輪W5、および、第6車輪W6のうちの少なくとも1つの車輪(すなわち、特定車輪WS)が地面と接触していた接地点が、車両本体10の前後方向(すなわち、第1方向DR1に平行な方向)に移動することを抑制する補助リンク部材ALを備える点において、第1の実施形態における走行車両1Aおよび第2の実施形態における走行車両1Bとは異なる。その他の点では、第3の実施形態における走行車両1Cは、第1の実施形態における走行車両1Aまたは第2の実施形態における走行車両1Bと同様である。
【0097】
第3の実施形態では、第1の実施形態または第2の実施形態において説明済みの事項についての繰り返しとなる説明は省略する。よって、第3の実施形態において明示的に説明しなかったとしても、第3の実施形態における走行車両1Cにおいて、第1の実施形態または第2の実施形態で説明済みの技術的事項を採用可能であることは言うまでもない。
【0098】
第3の実施形態(
図11を参照。)において、仮想的に、走行車両1Cが補助リンク部材ALを有していない場合を想定する。
図11に記載の例において、走行車両1Cが補助リンク部材ALを有していない場合、第1車輪W1が地面と接触していた接地点C1の移動軌跡の瞬間中心は第1回転軸R1上にあり、第2車輪W2が地面と接触していた接地点C2の移動軌跡の瞬間中心は第1回転軸R1上にあり、第3車輪W3が地面と接触していた接地点C3の移動軌跡の瞬間中心は第2回転軸R2上にある。この場合、第1リンク部材21が第1回転軸R1まわりに回転すると、接地点C1は、矢印AR1に沿う方向に移動し、接地点C2は、矢印AR2に沿う方向に移動する。また、第2リンク部材22が第2回転軸R2まわりに回転すると、接地点C3は、矢印AR3に沿う方向に移動する。走行車両1Cの加速時に、接地点C1、C2、C3が、斜め前方(または、斜め後方)に移動すると、加速力の一部が、車両本体10を持ち上げる力(または、沈ませる力)に変換されてしまう。
【0099】
これに対し、第3の実施形態では、第1リンク部材21(または第2リンク部材22)が第1回転軸R1(または第2回転軸R2)まわりを回転するときに、車輪Wが地面と接触していた接地点が車両本体10の前後方向に移動することを抑制するように補助リンク部材ALが配置される。
【0100】
より具体的に説明する。
図11に記載の例では、第1車輪W1を支持する第1支持部材G1は、第1車輪W1の車軸AX1まわりに回転可能な回転部Ga1を含む。回転部Ga1は、第1支持部材G1の基部Gb1(より具体的には、第1リンク部材21に接続される部分)に対して相対回転可能である。また、第1補助リンク部材AL1は、当該回転部Ga1の車軸AX1まわりの回転を拘束あるいは制限する。
【0101】
更に具体的には、
図11に記載の例では、第1補助リンク部材AL1の第1端部AL11が回転部Ga1(例えば、第1モータM1のステータ側の部分)に回転可能に連結され、第1補助リンク部材AL1の第2端部AL12が車両本体10に回転可能に連結されている。なお、第1端部AL11と回転部G1aとの間の連結は、ボールジョイントB11を介した連結であることが好ましく、第2端部AL12と車両本体10との間の連結は、ボールジョイントB12を介した連結であることが好ましい。
【0102】
第1リンク部材21が第1回転軸R1まわりを回転すると、第1補助リンク部材AL1は、ボールジョイントB12を中心として車両本体10に対して相対回転する。その結果、第1補助リンク部材AL1に連結された回転部G1aが車軸AX1まわりを回転して、接地点C1の移動方向が変化する。
図11に記載の例では、第1車輪W1が地面と接触していた接地点C1は、矢印AR4に沿う方向(所定の条件を満たす場合には、矢印AR4に沿う方向は、第3方向DR3に平行な方向となる。)に移動することとなる。接地点C1が移動した後の状態の一例が、
図12に例示されている。
【0103】
図12に記載の例では、第1補助リンク部材AL1は、第1リンク部材21が第1回転軸R1まわりを回転するときに、第1車輪W1が地面と接触していた接地点C1が車両本体10に対して相対的に前方向あるいは後方向に移動することを抑制する。より具体的には、
図11に記載の状態から
図12に記載の状態に変化する時、第1リンク部材21は、第1回転軸R1まわりを時計回りに回転し、第1補助リンク部材AL1は、ボールジョイントB12を中心として時計回りに回転し、第1車輪W1を支持する回転部G1a(例えば、第1モータM1のステータ側の部分)は、車軸AX1まわりを反時計まわりに回転する。その結果、第1車輪W1が地面と接触していた接地点C1が、車両本体10の後方から前方に向かう方向(換言すれば、第1方向DR1)に移動することが抑制される。
【0104】
また、
図11に記載の例では、第2車輪W2を支持する第2支持部材G2は、第2車輪W2の車軸AX2まわりに回転可能な回転部Ga2を含む。回転部Ga2は、第2支持部材G2の基部Gb2(より具体的には、第1リンク部材21に接続される部分)に対して相対回転可能である。また、第2補助リンク部材AL2は、当該回転部Ga2の車軸AX2まわりの回転を拘束あるいは制限する。
【0105】
より具体的には、
図11に記載の例では、第2補助リンク部材AL2の第1端部AL21が回転部Ga2(例えば、第2モータM2のステータ側の部分)に回転可能に連結され、第2補助リンク部材AL2の第2端部AL22が車両本体10に回転可能に連結されている。なお、第1端部AL21と回転部Ga2との間の連結は、ボールジョイントB13を介した連結であることが好ましく、第2端部AL22と車両本体10との間の連結は、ボールジョイントB14を介した連結であることが好ましい。
【0106】
第1リンク部材21が第1回転軸R1まわりを回転すると、第2補助リンク部材AL2は、ボールジョイントB14を中心として車両本体10に対して相対回転する。その結果、第2補助リンク部材AL2に連結された回転部G2aが車軸AX2まわりを回転して、接地点C2の移動方向が変化する。
図11に記載の例では、第2車輪W2が地面と接触していた接地点C2は、矢印AR5に沿う方向(所定の条件を満たす場合には、矢印AR5に沿う方向は、第3方向DR3に平行な方向となる。)に移動することとなる。接地点C2が移動した後の状態の一例が、
図12に例示されている。
【0107】
図12に記載の例では、第2補助リンク部材AL2は、第1リンク部材21が第1回転軸R1まわりを回転するときに、第2車輪W2が地面と接触していた接地点C2が車両本体10に対して相対的に前方向あるいは後方向に移動することを抑制する。より具体的には、
図11に記載の状態から
図12に記載の状態に変化する時、第1リンク部材21は、第1回転軸R1まわりを時計回りに回転し、第2補助リンク部材AL2は、ボールジョイントB14を中心として時計回りに回転し、第2車輪W2を支持する回転部G2aは、車軸AX2まわりを反時計まわりに回転する。その結果、第2車輪W2が地面と接触していた接地点C2が、車両本体10の後方から前方に向かう方向(換言すれば、第1方向DR1)に移動することが抑制される。
【0108】
また、
図11に記載の例では、第3車輪W3を支持する第3支持部材G3は、第3車輪W3の車軸AX3まわりに回転可能な回転部G3aを含む。回転部Ga3は、第3支持部材G3の基部Gb3(より具体的には、第2リンク部材22に接続される部分)に対して相対回転可能である。また、第3補助リンク部材AL3は、当該回転部Ga3の車軸AX3まわりの回転を拘束あるいは制限する。
【0109】
より具体的には、
図11に記載の例では、第3補助リンク部材AL3の第1端部AL31が回転部G3a(例えば、第3モータM3のステータ側の部分)に回転可能に連結され、第3補助リンク部材AL3の第2端部AL32が横連結部材CCに回転可能に連結されている。
図11に記載の例では、第2端部AL32と横連結部材CCとの間の連結は、ブラケット等の補助部材90を介した連結である。第1端部AL31と回転部Ga3との間の連結は、ボールジョイントB15を介した連結であることが好ましく、第2端部AL32と横連結部材CCとの間の連結は、ボールジョイントB16を介した連結であることが好ましい。
【0110】
第2リンク部材22が第2回転軸R2まわりを回転すると、第3補助リンク部材AL3は、ボールジョイントB16を中心として横連結部材CCに対して相対回転する。その結果、第3補助リンク部材AL3に連結された回転部G3aが車軸AX3まわりを回転して、接地点C3の移動方向が変化する。
図11に記載の例では、第3車輪W3が地面と接触していた接地点C3は、矢印AR6に沿う方向(所定の条件を満たす場合には、矢印AR6に沿う方向は、第3方向DR3に平行な方向となる。)に移動することとなる。接地点C3が移動した後の状態の一例が、
図12に例示されている。
【0111】
図12に記載の例では、第3補助リンク部材AL3は、第2リンク部材22が第2回転軸R2まわりを回転するときに、第3車輪W3が地面と接触していた接地点C3が車両本体10に対して相対的に前方向あるいは後方向に移動することを抑制する。より具体的には、
図11に記載の状態から
図12に記載の状態に変化する時、第2リンク部材22は、第2回転軸R2まわりを反時計回りに回転し、第3補助リンク部材AL3は、ボールジョイントB16を中心として反時計回りに回転し、第3車輪W3を支持する回転部G3aは、車軸AX3まわりを時計まわりに回転する。その結果、第3車輪W3が地面と接触していた接地点C3が、車両本体10の前方から後方に向かう方向(換言すれば、第1方向DR1と反対方向)に移動することが抑制される。
【0112】
以上のとおり、第3の実施形態では、特定車輪WS(例えば、第1車輪W1、第2車輪W2、第3車輪W3)が地面と接触していた接地点が、車両本体10の前後方向に移動することが抑制される。その結果、走行車両1Cの加速力の一部が、車両本体10を持ち上げる力(または、沈ませる力)に変換されることが抑制される。
【0113】
(接地点C1、C2、C3を第3方向DR3に平行な方向に移動させるための条件)
走行車両1Cが第1補助リンク部材AL1を含む場合、接地点C1の移動軌跡の瞬間中心を第1回転軸R1上にはない他のポイントに設定することが可能であり、その結果、接地点C1の動きを比較的自由に設定することができる。また、走行車両1Cが第2補助リンク部材AL2を含む場合、接地点C2の移動軌跡の瞬間中心を第1回転軸R1上にはない他のポイントに設定することが可能であり、その結果、接地点C2の動きを比較的自由に設定することができる。また、走行車両1Cが第3補助リンク部材AL3を含む場合、接地点C3の移動軌跡の瞬間中心を第2回転軸R2上にはない他のポイントに設定することが可能であり、その結果、接地点C3の動きを比較的自由に設定することができる。
【0114】
図13に示されるように、第1車輪W1、第2車輪W2、第3車輪W3が、第1水平面HPに接地している状態を想定する。
【0115】
図13に記載の例では、第1リンク部材21は、第1回転軸R1まわりに回転可能であり、第1補助リンク部材AL1は、ボールジョイントB12を中心として回転可能である。この場合、第1車輪W1が地面と接触していた接地点C1の移動軌跡の瞬間中心F1は、第1回転軸R1と車軸AX1とを結ぶ直線と、ボールジョイントB12とボールジョイントB11とを結ぶ直線との交点となる。よって、当該瞬間中心F1が、第1水平面HPの近傍に位置するように設定されれば、接地点C1は、瞬間的には、第1水平面HPと垂直な方向(換言すれば、第3方向DR3に平行な方向)に移動することとなる。換言すれば、接地点C1が第3方向DR3に平行な方向に移動するようにするためには、瞬間中心F1が、第1水平面HPの近傍に位置するように、第1補助リンク部材AL1を配置すればよい。より具体的には、瞬間中心F1が、第1水平面HPの近傍に位置するように、第1補助リンク部材AL1の第1端部AL11と回転部Ga1との間の接続点、および、第1補助リンク部材AL1の第2端部AL12と車両本体10との間の接続点を設定すればよい。
【0116】
図13に記載の例では、第1リンク部材21は、第1回転軸R1まわりに回転可能であり、第2補助リンク部材AL2は、ボールジョイントB14を中心として回転可能である。この場合、第2車輪W2が地面と接触していた接地点C2の移動軌跡の瞬間中心F2は、第1回転軸R1と車軸AX2とを結ぶ直線と、ボールジョイントB14とボールジョイントB13とを結ぶ直線との交点となる。よって、当該瞬間中心F2が、第1水平面HPの近傍に位置するように設定されれば、接地点C2は、瞬間的には、第1水平面HPと垂直な方向(換言すれば、第3方向DR3に平行な方向)に移動することとなる。換言すれば、接地点C2が第3方向DR3に平行な方向に移動するようにするためには、瞬間中心F2が、第1水平面HPの近傍に位置するように、第2補助リンク部材AL2を配置すればよい。より具体的には、瞬間中心F2が、第1水平面HPの近傍に位置するように、第2補助リンク部材AL2の第1端部AL21と回転部Ga2との間の接続点、および、第2補助リンク部材AL2の第2端部AL22と車両本体10との間の接続点を設定すればよい。
【0117】
図13に記載の例では、第2リンク部材22は、第2回転軸R2まわりに回転可能であり、第3補助リンク部材AL3は、ボールジョイントB16を中心として回転可能である。この場合、第3車輪W3が地面と接触していた接地点C3の移動軌跡の瞬間中心F3は、第2回転軸R2と車軸AX3とを結ぶ直線と、ボールジョイントB16とボールジョイントB15とを結ぶ直線との交点となる。当該瞬間中心F3が、第1水平面HPの近傍に位置するように設定されれば、接地点C3は、瞬間的には、第1水平面HPと垂直な方向(換言すれば、第3方向DR3に平行な方向)に移動することとなる。換言すれば、接地点C3が第3方向DR3に平行な方向に移動するようにするためには、瞬間中心F3が、第1水平面HPの近傍に位置するように、第3補助リンク部材AL3を配置すればよい。より具体的には、瞬間中心F3が、第1水平面HPの近傍に位置するように、第3補助リンク部材AL3の第1端部AL31と回転部Ga3との間の接続点、および、第3補助リンク部材AL3の第2端部AL32と横連結部材CCとの間の接続点を設定すればよい。
【0118】
なお、上述の特定車輪WSは、第4車輪W4、第5車輪W5、または、第6車輪W6であってもよい。換言すれば、第3の実施形態における走行車両1Cは、第4車輪W4が地面と接触していた接地点が車両本体10の前後方向に移動することを抑制する第4補助リンク部材AL4を備えていてもよく、第5車輪W5が地面と接触していた接地点が車両本体10の前後方向に移動することを抑制する第5補助リンク部材AL5を備えていてもよく、第6車輪W6が地面と接触していた接地点が車両本体10の前後方向に移動することを抑制する第6補助リンク部材AL6を備えていてもよい。
【0119】
(走行車両1の駆動部)
第1の実施形態乃至第3の実施形態における走行車両1の駆動部は、例えば、モータを含む。
図1、
図6、
図11に例示されるように、走行車両1は、第1車輪W1を駆動する第1モータM1、第2車輪W2を駆動する第2モータM2、第3車輪W3を駆動する第3モータM3、第4車輪を駆動する第4モータM4、第5車輪W5を駆動する第5モータM5、および、第6車輪W6を駆動する第6モータM6を含んでいてもよい。例えば、第1車輪W1を支持する第1支持部材G1が第1モータM1を含み、第2車輪W2を支持する第2支持部材G2が第2モータM2を含み、第3車輪W3を支持する第3支持部材G3が第3モータM3を含み、第4車輪W4を支持する第4支持部材G4が第4モータM4を含み、第5車輪W5を支持する第5支持部材G5が第5モータM5を含み、第6車輪W6を支持する第6支持部材G6が第3モータM3を含んでいてもよい。
【0120】
走行車両1の複数の車輪Wが、複数のモータ(例えば、複数の車輪の各々に配置されたインホイールモータ)によって、それぞれ独立駆動される場合、各車輪が地面に対してスリップすることが抑制される。また、走行車両1の複数の車輪Wが、複数のモータによって、それぞれ独立駆動される場合、車輪の向きを変化させるステアリング機構がなくても走行車両を左旋回(または、右旋回)させることが可能となる。換言すれば、制御装置12が、複数のモータ(例えば、第1モータM1乃至第6モータM6)を独立制御することにより、走行車両1を前方向に直進させることができ、走行車両1を後方向に直進させることができ、走行車両1を左前方に向けて左旋回させることができ、走行車両1を右前方に向けて右旋回させることができる。なお、実施形態における走行車両1において、車輪の向きを変化させるステアリング機構が採用されても構わない。
【0121】
また、走行車両1の複数の車輪Wが、複数のモータ(例えば、複数の車輪の各々に配置されたインホイールモータ)によって、それぞれ独立駆動される場合、地面の凹凸、および/または、地面と車輪との間の摩擦係数の変化に対応して、各車輪(W1、W2、W3、W4、W5、W6)の回転数または駆動トルクを独立して制御することもできる。この場合、各車輪と地面との間のスリップを低減して、燃費の向上を図ることができる。
【0122】
複数のモータを制御する制御装置12は、車両本体10に搭載された集中制御装置であってもよいし、複数のモータに対応してそれぞれ配置された複数の分散型の制御装置であってもよい。
【0123】
代替的に、あるいは、付加的に、走行車両1の駆動部は、エンジンを含んでいてもよい。
【0124】
(走行車両1が走行する場所)
第1の実施形態乃至第3の実施形態における走行車両1は、地面の起伏に追従して、少なくとも6個の車輪が地面に接地する。よって、走行車両1は、非整形地を走行することに適している。走行車両1は、農地(あるいは、耕作地)を走行する農作物監視車両であってもよいし、ゴルフ場を走行する走行車両(例えば、芝生等の状態を監視する監視車両)であってもよいし、地球以外の惑星あるいは衛星上を走行する走行車両(例えば、惑星探査車両または衛星探査車両)であってもよいし、非整形地を走行可能な軍用車両であってもよい。もちろん、実施形態において、走行車両1が、舗装道路等の整形地を走行することは排除されない。
【0125】
本発明は上記各実施形態に限定されず、本発明の技術思想の範囲内において、各実施形態は適宜変形又は変更され得ることは明らかである。また、各実施形態又は構成例で用いられる種々の技術は、技術的矛盾が生じない限り、他の実施形態又は構成例にも適用可能である。さらに、各実施形態又は構成例における任意付加的な構成は、適宜省略可能である。
【0126】
例えば、上述の実施形態では、少なくとも6輪を有する走行車両が単独で使用される例について例示された。代替的に、実施形態における走行車両は、他の走行車両(例えば、4輪を有する走行車両、6輪を有する走行車両)と組み合わせられて使用されてもよい。例えば、実施形態における走行車両と他の走行車両とが、第1方向DR1に平行な方向に沿って、連結されていてもよい。
【符号の説明】
【0127】
1、1A、1B、1C…走行車両、10…車両本体、11…透明部材、12…制御装置、14…バッテリ、15…通信装置、18…第1部材、21…第1リンク部材、21f…第1領域、21r…第2領域、22…第2リンク部材、22f…第3領域、22r…第4領域、23…第3リンク部材、23b…第1部分、23u…第2部分、31…第4リンク部材、31f…第5領域、31r…第6領域、32…第5リンク部材、32f…第7領域、32r…第8領域、33…第6リンク部材、33b…第1部分、33u…第2部分、61…第1端部、71…第1端部、81…軸部、83…ハウジング部、84…第1カム部材、84a…係合部、85…第2カム部材、85a…係合部、90…補助部材、100…筐体、841、841a、841b…凸部、842…凹部、851…凸部、852…凹部、AC…中央部、AL…補助リンク部材、AL1…第1補助リンク部材、AL11…第1端部、AL12…第2端部、AL2…第2補助リンク部材、AL21…第1端部、AL22…第2端部、AL3…第3補助リンク部材、AL31…第1端部、AL32…第2端部、AL4…第4補助リンク部材、AL5…第5補助リンク部材、AL6…第6補助リンク部材、AX1、AX2、AX3、AX4、AX5、AX6…車軸、B1…第1ボールジョイント、B2…第2ボールジョイント、B3…第3ボールジョイント、B4…第4ボールジョイント、B11、B12、B13、B14、B15、B16…ボールジョイント、C1、C2、C3…接地点、CC…横連結部材、CL…長手方向中心軸、D…リンク部材、D1…第1部分、D1a…係合部、D2…第2部分、D2a…係合部、D3…付勢部材、F1、F2、F3…瞬間中心、G1…第1支持部材、G2…第2支持部材、G3…第3支持部材、G4…第4支持部材、G5…第5支持部材、G6…第6支持部材、Ga1、Ga2、Ga3…回転部、Gb1、Gb2、Gb3…基部、GP…基準面、HP…第1水平面、LC…左側車輪連結機構、M1…第1モータ、M2…第2モータ、M3…第3モータ、M4…第4モータ、M5…第5モータ、M6…第6モータ、N…リンク支持部材、N1…第1リンク支持部材、N4…第4リンク支持部材、R…相対回転軸、R1~R5、R8…回転軸、RC…右側車輪連結機構、S…センサ、S1、S2…表面、SP…収容スペース、T…凸部、W…車輪、W1…第1車輪、W2…第2車輪、W3…第3車輪、W4…第4車輪、W5…第5車輪、W6…第6車輪、WS…特定車輪