(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-18
(45)【発行日】2023-05-26
(54)【発明の名称】塗布装置
(51)【国際特許分類】
B05C 5/00 20060101AFI20230519BHJP
B05C 11/10 20060101ALI20230519BHJP
B05B 12/00 20180101ALI20230519BHJP
【FI】
B05C5/00 101
B05C11/10
B05B12/00 A
(21)【出願番号】P 2021575297
(86)(22)【出願日】2021-10-25
(86)【国際出願番号】 JP2021039204
【審査請求日】2021-12-17
(73)【特許権者】
【識別番号】506329292
【氏名又は名称】スターテクノ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100134326
【氏名又は名称】吉本 聡
(72)【発明者】
【氏名】菱川 辰巳
【審査官】鏡 宣宏
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-112092(JP,A)
【文献】特開2003-311197(JP,A)
【文献】特開2006-289295(JP,A)
【文献】特開2020-133323(JP,A)
【文献】特開2014-205140(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05B 1/00-17/08
B05C 1/00-21/00
B05D 1/00-7/26
B32B 1/00-43/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
多関節ロボットと、
その多関節ロボットの先端に接続され、第1の材料を部材の表面に塗布する第1の塗布部と、
前記多関節ロボットの先端に前記第1の塗布部と並行して接続され、前記第1の材料とは異なる第2の材料を前記第1の材料の表面に塗布する第2の塗布部と、
を備え、
前記第2の塗布部は、前記第2の材料を浸透可能な回転ローラ、または刷毛
を備えて構成されていることを特徴とする塗布装置。
【請求項2】
前記回転ローラの幅、または前記刷毛の幅は、前記第1の塗布部
に備えられたノズルの幅よりも大きく構成されていることを特徴とする請求項1に記載の塗布装置。
【請求項3】
多関節ロボットと、
その多関節ロボットの先端に接続され、第1の材料を部材の表面に塗布する第1の塗布部と、
前記多関節ロボットの先端に前記第1の塗布部と並行して接続され、前記第1の材料とは異なる第2の材料を前記第1の材料の表面に塗布する第2の塗布部と、
を備え、
前記第2の塗布部は、前記第2の材料を保持可能な溝が形成された転写板
を備えて構成されていることを特徴とする塗布装置。
【請求項4】
多関節ロボットと、
その多関節ロボットの先端に接続され、第1の材料を部材の表面に塗布する第1の塗布部と、
前記多関節ロボットの先端に前記第1の塗布部と並行して接続され、前記第1の材料とは異なる第2の材料を前記第1の材料の表面に塗布する第2の塗布部と、
を備え、
前記第2の塗布部は、前記第1の材料の表面に前記第2の材料を滴下可能な滴下部と、
その滴下部に隣接して配置された回転ローラと、
を備えて構成されていることを特徴とする塗布装置。
【請求項5】
多関節ロボットと、
その多関節ロボットの先端に接続され、第1の材料を部材の表面に塗布する第1の塗布部と、
前記多関節ロボットの先端に前記第1の塗布部と並行して接続され、前記第1の材料とは異なる第2の材料を前記第1の材料の表面に塗布する第2の塗布部と、
を備え、
前記第2の塗布部は、その第2の塗布部に連通され、前記第2の塗布部よりも高い位置に配置されたシリンジに収納された前記第2の材料を塗布するものであって、
前記シリンジ
内は、負圧に設定されていることを特徴とする塗布装置。
【請求項6】
前記第2の塗布部は、その第2の塗布部に連通され、前記第2の塗布部よりも高い位置に配置されたシリンジに収納された前記第2の材料を塗布するものであって、
前記シリンジ
内は、負圧に設定されていることを特徴とする請求項1
乃至請求項
4の何れかに記載の塗布装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部材の表面に第1の材料と、その第1の材料を覆い、第1の材料とは異なる第2の材料と、を塗布する塗布装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、部材の表面にペーストを塗布するための塗布装置が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、ロボットアーム5の先端に塗布ヘッド7を設け、その塗布ヘッド7のノズル25から導電ペーストを放出して、部材である樹脂ガラス45の表面に導電ペーストを塗布するデフォッガー線塗布装置1が記載されている(
図1等参照)。
【0004】
また、特許文献1には、ロボットアーム5の先端にブラケット221を設け、そのブラケット221に2つのノズル25を設けたデフォッガー線塗布装置1が記載されている(
図4等参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一方、従来から、部材の周囲にスポンジを貼付して止水用及び緩衝用として使用する組部材があるが、このような組部材は、手作業によって部材の周囲にスポンジを貼付するものであるため、組部材の製造に手間が掛かるという問題があった。
【0007】
かかる組部材を効率良く製造する手段として、特許文献1に記載の塗布装置のような装置を使用することが考えられるが、特許文献1に記載の塗布装置は、線幅が細く、かつ厚みの薄いデフォッガー線のような線を樹脂ガラス上に描画する場合には問題ないものの、スポンジのようなある程度幅が太く、かつ厚みが厚い形態の弾性体を部材上に形成する場合には、弾性体と部材との接着性が十分でないという問題があった。
【0008】
また、部材上に形成されたスポンジ等の弾性体については、その後の組付け時に作業者が触る可能性が高いため、スポンジ等の弾性体の表面が作業者の手等にくっ付かないようにすることが望ましい。
【0009】
本発明は、従来技術が有する上述した問題に対応してなされたものであり、部材と弾性体とからなる組部材の製造に手間が掛からず、弾性体と部材との接着性を向上させ、弾性体の表面が作業者の手等にくっ付かないようにした塗布装置、また、その上位概念として、部材と第1の材料とによって接合状態を維持しながら、組部材の表面を第2の材料によって、第1の材料とは異なる状態とすることができる塗布装置及びその塗布装置によって製造された組部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決するために、本発明の第1の態様の塗布装置は、多関節ロボットと、その多関節ロボットの先端に接続され、第1の材料を部材の表面に塗布する第1の塗布部と、前記多関節ロボットの先端に前記第1の塗布部と並行して接続され、前記第1の材料とは異なる第2の材料を前記第1の材料の表面に塗布する第2の塗布部と、を備え、前記第2の塗布部は、前記第2の材料を浸透可能な回転ローラ、または刷毛を備えて構成されていることを特徴とする。
【0011】
また、本発明の第2の態様は、第1の態様の塗布装置において、前記回転ローラの幅、または前記刷毛の幅は、前記第1の塗布部に備えられたノズルの幅よりも大きく構成されていることを特徴とする。
【0012】
また、本発明の第3の態様は、多関節ロボットと、その多関節ロボットの先端に接続され、第1の材料を部材の表面に塗布する第1の塗布部と、前記多関節ロボットの先端に前記第1の塗布部と並行して接続され、前記第1の材料とは異なる第2の材料を前記第1の材料の表面に塗布する第2の塗布部と、を備え、前記第2の塗布部は、前記第2の材料を保持可能な溝が形成された転写板を備えて構成されていることを特徴とする。
【0013】
また、本発明の第4の態様は、多関節ロボットと、その多関節ロボットの先端に接続され、第1の材料を部材の表面に塗布する第1の塗布部と、前記多関節ロボットの先端に前記第1の塗布部と並行して接続され、前記第1の材料とは異なる第2の材料を前記第1の材料の表面に塗布する第2の塗布部と、を備え、前記第2の塗布部は、前記第1の材料の表面に前記第2の材料を滴下可能な滴下部と、その滴下部に隣接して配置された回転ローラと、を備えて構成されていることを特徴とする。
【0014】
また、本発明の第5の態様は、多関節ロボットと、その多関節ロボットの先端に接続され、第1の材料を部材の表面に塗布する第1の塗布部と、前記多関節ロボットの先端に前記第1の塗布部と並行して接続され、前記第1の材料とは異なる第2の材料を前記第1の材料の表面に塗布する第2の塗布部と、を備え、前記第2の塗布部は、その第2の塗布部に連通され、前記第2の塗布部よりも高い位置に配置されたシリンジに収納された前記第2の材料を塗布するものであって、前記シリンジ内は、負圧に設定されていることを特徴とする。
【0015】
さらに、本発明の第6の態様は、第1の態様乃至第4の態様の何れかの塗布装置において、前記第2の塗布部は、その第2の塗布部に連通され、前記第2の塗布部よりも高い位置に配置されたシリンジに収納された前記第2の材料を塗布するものであって、前記シリンジ内は、負圧に設定されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明の第1の態様の塗布装置によれば、多関節ロボットと、その多関節ロボットの先端に接続され、第1の材料を部材の表面に塗布する第1の塗布部と、多関節ロボットの先端に第1の塗布部と並行して接続され、第1の材料とは異なる第2の材料を第1の材料の表面に塗布する第2の塗布部と、を備え、第2の塗布部は、第2の材料を浸透可能な回転ローラ、または刷毛を備えて構成されているので、1台の多関節ロボットを使用し、かつ簡単な構成によって、塗布装置に設置した部材の表面に第1の材料を塗布し、部材と第1の材料とによってそれらの当接状態を維持しながら、第1の材料の表面を第2の材料によって、第1の材料とは異なる状態とすることができる。
【0017】
また、本発明の第2の態様によれば、第1の態様の塗布装置において、回転ローラの幅、または刷毛の幅は、第1の塗布部に備えられたノズルの幅よりも大きく構成されているので、第1の態様の塗布装置の効果に加え、少ない回数によって、第1の材料の上に第2の材料を塗布することができる。
【0018】
また、本発明の第3の態様によれば、多関節ロボットと、その多関節ロボットの先端に接続され、第1の材料を部材の表面に塗布する第1の塗布部と、多関節ロボットの先端に第1の塗布部と並行して接続され、第1の材料とは異なる第2の材料を第1の材料の表面に塗布する第2の塗布部と、を備え、第2の塗布部は、第2の材料を保持可能な溝が形成された転写板を備えて構成されているので、第1の材料の上に第2の材料を迅速に塗布することができる。
【0019】
また、本発明の第4の態様によれば、多関節ロボットと、その多関節ロボットの先端に接続され、第1の材料を部材の表面に塗布する第1の塗布部と、多関節ロボットの先端に第1の塗布部と並行して接続され、第1の材料とは異なる第2の材料を第1の材料の表面に塗布する第2の塗布部と、を備え、第2の塗布部は、第1の材料の表面に第2の材料を滴下可能な滴下部と、その滴下部に隣接して配置された回転ローラと、を備えて構成されているので、簡単な構成によって、第1の材料の上に第2の材料を塗布することができる。
【0020】
また、本発明の第5の態様によれば、多関節ロボットと、その多関節ロボットの先端に接続され、第1の材料を部材の表面に塗布する第1の塗布部と、多関節ロボットの先端に第1の塗布部と並行して接続され、第1の材料とは異なる第2の材料を第1の材料の表面に塗布する第2の塗布部と、を備え、第2の塗布部は、その第2の塗布部に連通され、第2の塗布部よりも高い位置に配置されたシリンジに収納された第2の材料を塗布するものであって、シリンジ内は、負圧に設定されているので、簡単な構成によって、第2の塗布部から適度な量の第2の材料を塗布することができる。
【0021】
さらに、本発明の第6の態様によれば、第1の態様乃至第4の態様の何れかの塗布装置において、第2の塗布部は、その第2の塗布部に連通され、第2の塗布部よりも高い位置に配置されたシリンジに収納された第2の材料を塗布するものであって、シリンジ内は、負圧に設定されているので、第1の態様乃至第4の態様の何れかの塗布装置の効果に加え、簡単な構成によって、第2の塗布部から適度な量の第2の材料を塗布することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の第1実施形態の塗布装置の全体斜視図である。
【
図2】第1実施形態の塗布装置に使用される多関節ロボット、コンプレッサー及び制御盤の正面図である。
【
図3】第1実施形態の塗布装置に使用される第1の塗布部及び第2の塗布部の左側面図である。
【
図4】第1実施形態の塗布装置に使用されるシリンジ部の全体斜視図である。
【
図5】第1実施形態の塗布装置のブロック図である。
【
図6】第1実施形態の塗布装置のメインコントローラのブロック図である。
【
図7】第1実施形態の塗布装置における部材塗布プログラムのフローチャートである。
【
図8】第1実施形態の塗布装置の第1段階における動作状態を示す左側面図である。
【
図9】第1実施形態の塗布装置の第1段階終了時の部材の状態を示した平面図である。
【
図10】第1実施形態の塗布装置の第1段階終了時の部材の状態を示した部分断面図である。
【
図11】第1実施形態の塗布装置の第2段階における動作状態を示す左側面図である。
【
図12】第1実施形態の塗布装置の第2段階における動作状態を示す背面図である。
【
図13】第1実施形態の塗布装置の第2段階終了時の部材の状態を示した平面図である。
【
図14】第1実施形態の塗布装置の第2段階終了時の部材の状態を示した部分断面図である。
【
図15】第2実施形態の塗布装置の第2段階における動作状態を示す背面図である。
【
図16】第2実施形態の塗布装置の第2段階終了時の部材の状態を示した部分断面図例である。
【
図17】第3実施形態の塗布装置の第1段階における動作状態を示す左側面図である。
【
図18】第3実施形態の塗布装置の第2段階における動作状態を示す左側面図である。
【
図19】第3実施形態の塗布装置の第2段階における動作状態を示す背面図である。
【
図20】第4実施形態の塗布装置の第2段階における動作状態を示す背面図である。
【
図21】第5実施形態の塗布装置に使用する第2の塗布部の全体斜視図である。
【
図22】第5実施形態の塗布装置に使用するスタンプ板の裏面図である。
【
図23】第5実施形態の塗布装置に使用するスタンプ板の横断面図である。
【
図24】第5実施形態の塗布装置の第1段階における動作状態を示す背面図である。
【
図25】第5実施形態の塗布装置の第2段階における動作状態を示す背面図である。
【
図26】第6実施形態の塗布装置の第2段階における動作状態を示す左側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0024】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態の塗布装置の全体斜視図であり、
図2は、第1実施形態の塗布装置に使用される多関節ロボット、コンプレッサー及び制御盤の正面図である。
【0025】
図1及び
図2に示すように、本実施形態の塗布装置1は、多関節ロボット3と、その多関節ロボット3の正面左側に隣接して配置された多関節ロボット等の動作を制御する制御盤7と、多関節ロボット3の正面右側に隣接して配置されたコンプレッサー9と、多関節ロボット3の前方に配置された処理対象物である部材Wを載置するためのテーブル65と、装置全体を覆う筐体63と、から構成されている。
【0026】
多関節ロボット3は、制御盤7内に配置されたロボットコントローラ4(
図5参照)からの指令によって動作する一般の5軸の多関節ロボットであり、位置及び角度を自在に変えて、部材Wに対向するものである。
【0027】
多関節ロボット3は、第1の基台31と、その第1の基台31に対して旋回する第2の基台33と、その第2の基台33に対して前後に回動する下腕部(下アーム部)35と、その下腕部35に対して上下に回動する中腕部(中アーム部)37と、その中腕部37に対して上下に回動する上腕部(上アーム部)39と、その上腕部39に対して同軸に回転する回転部41と、その回転部41に接続された第1の塗布部10と、回転部41に第1の塗布部10と並行して接続された第2の塗布部20と、を備える。
【0028】
多関節ロボット3は、ケーブル(図示せず)によってロボットコントローラ4(
図5参照)に電気的に接続されており、ロボットコントローラ4は、同じく制御盤7内に配置されたメインコントーラ2(
図5参照)に電気的に接続されている。
【0029】
図3は、本実施形態の塗布装置1に使用される第1の塗布部及び第2の塗布部の左側面図である。
【0030】
図3において、第1の塗布部10は、回転部41に接続された柱状のロッド19に対して上下方向(
図3において+Z・-Z方向)に移動可能に取付けられた電磁弁コントローラ25と、その電磁弁コントローラ25の下部に設けられた電磁弁23と、その電磁弁23の下部に設けられたノズル21と、電磁弁23に粘着性のホットメルト材料(流体)である第1の材料を供給する第1の材料供給口44と、その第1の材料供給口44に粘着性の第1の材料を供給する第1の材料供給管43と、その第1の材料供給管43に第1の材料を供給するコンプレッサー9と、ノズル21から粘着性の第1の材料を突出するためのエアを吸入するための第1の材料吐出エア吸入口29と、ロッド19に対して第1の塗布部10の高さを変更させるノズル高さ移動用モータ27と、を備える。
【0031】
また、
図3において、第2の塗布部20は、回転部41に接続された柱状のロッド19に対して上下方向(
図3において+Z・-Z方向)に移動可能に取付けられ、ロッド19に対して第2の塗布部20の高さを変更させるローラ高さ移動用モータ17と、そのローラ高さ移動用モータ17の下部に設けられ、流体からなる非粘着性の第2の材料を後述するスポンジまたはフェルトからなるローラ11に供給する材料供給管15と、その材料供給管15の下部に設けられたローラ11と、そのローラ11を回転可能に保持するローラ軸受け13と、材料供給管15に非粘着性の第2の材料を供給する材料下流側チューブ61を含むシリンジ部5と、を備える。
【0032】
次に、シリンジ部5について説明する。
図4は、第1実施形態の塗布装置1に使用されるシリンジ部の全体斜視図である。
【0033】
シリンジ部5は、第2の塗布部20よりも高い位置で筐体63に固定されており、シリンジ48と、そのシリンジ48の上部に設けられ、シリンジ48の上部に連通したシリンジ減圧口51と、シリンジ48の下部に設けられ、シリンジ48の下部に連通した材料吸入口53と、その材料吸入口53に液量調節レバー52を介して連通する材料排出口55と、シリンジ減圧口51に接続されたシリンジ減圧チューブ57と、材料吸入口53に接続された材料上流側チューブ59と、材料排出口55に接続された材料下流側チューブ61と、シリンジ減圧チューブ57の端部に接続された減圧タンク67と、材料上流側チューブ59の端部に接続された非延着性の第2の材料M2を貯留したタンク69と、を備える。
【0034】
このように構成されたシリンジ部5は、シリンジ減圧チューブ57及びシリンジ減圧口51を介して、減圧タンク67への圧力f1によってシリンジ48内のエア部47の圧力が負圧に設定されている。
【0035】
したがって、容量L1の第2の材料M2がタンク69から材料上流側チューブ59及び材料吸入口53を介して、シリンジ48内の液体部49に貯留されるものの、エア部47の負圧と、液量調節レバー52の調整とによって、適量である容量L2の第2の材料M2が材料排出口55及び材料下流側チューブ61を介して、ローラ11に供給されるようになっている。
【0036】
コンプレッサー9は、多関節ロボット3の正面右側に隣接して配置され、第1の材料供給管43及び第1の材料供給口44を介して、多関節ロボット3の第1の塗布部10に粘着性の第1の材料M1を供給するとともに、第1の材料吐出エア吸入口29を介して、ノズル21から粘着性の第1の材料M1を突出するためのエアを供給するものである。
【0037】
テーブル65は、多関節ロボット3の前方に配置され、中央に処理対象物である部材Wを載置するための載置台79を備える。なお、本実施形態では、装置の使用者Hが載置台79に部材Wを載置するものとして説明する。
【0038】
また、本実施形態の載置台79には、部材Wを固定する部材として、4つのピン(P1、P2、P3、P4)が備えられているものとして説明するが、部材Wの固定方法については特に限定されるものではなく、部材Wの形状等によって、適宜変更され得るものである。
【0039】
筐体63は、
図1に示すように、装置全体を覆うものであって、上述したシリンジ部5の固定部としての役割、また、多関節ロボット3の動作を妨害しないように、後述するコンプレッサー9から延びる第1の材料供給管43を筐体63に設けられたバランサ45に吊るす役割、さらには、装置の使用者H以外の者が近くに立ち入らないようにする安全柵の役割を果たしている。
【0040】
なお、本実施形態に使用する第1の材料M1は、乾燥した場合に弾性を有する弾性体であり、また、乾燥した状態においても、表面は粘着性を有するものである。
【0041】
そして、本実施形態に使用する粘着性を有する第1の材料M1としては、スチレンゴム、ウレタンゴム、クロロプレンゴム等の合成ゴムその他の弾性体のうち粘着性を有するものが使用可能であり、非粘着性を有する第2の材料M2としては、シリコンオイル、シリコンゴム、エマルジョンタイプの木工用接着剤・アクリル絵の具・アスファルト舗装に使用されるシール剤等、水分散タイプのポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリ塩化ビニル(PVC)等の非粘着性のものが使用可能である。
【0042】
次に、制御盤7について説明する。
図5は、第1実施形態の塗布装置のブロック図であり、
図6は、第1実施形態の塗布装置のメインコントローラのブロック図である。
【0043】
図5において、制御盤7は、電源6と、その電源6、コンプレッサー9及び電磁弁コントローラー25に電気的に接続されたメインコントローラ2と、そのメインコントローラ2に電気的に接続され、多関節ロボット3を駆動するためのロボットコントローラ4と、メインコントローラ2に電気的に接続され、ノズル高さ移動用モータ27及びローラ高さ移動用モータ17を駆動するためのドライバー回路12と、装置の使用者Hからの入力を受け付ける操作パネル8と、を備える。
【0044】
また、
図6において、メインコントローラ2は、CPU(中央演算処理装置)14と、そのCPU14に入出力可能に接続されたRAM(Random Access Memory)16と、CPU14に入出力可能に接続されたROM(Read Only Memory)18とを備える。
【0045】
RAM16は、部材Wの塗布位置及び塗布順序を記憶した塗布情報データテーブル16aと、第2の塗布部20の構成によって異なる塗布方法を記憶した塗布モードデータテーブル16bと、を備え、ROM18は、本実施形態の塗布装置1全体の動作を司る部材塗布プログラム18aを備える。
【0046】
次に、上述した構成の塗布装置1の動作について説明する。
図7は、第1実施形態の塗布装置における部材塗布プログラムのフローチャートである。
【0047】
図7において、先ず、装置の使用者Hが装置の電源スイッチを入れた後、操作パネル8上の操作ボタンによって処理対象である部材Wの形状、部材Wの処理個数及び塗布モード(本実施形態では、第2の塗布部20がローラ形態での塗布モードとする)を入力して、スタートボタンを押下すると、塗布装置1は、初期状態にセットされ(S1)、処理個数がセットされ(S3)、RAM16の塗布情報データテーブル16aに記憶された塗布情報及び塗布モードデータテーブル16bに記憶された塗布モードを取得する(S5及びS7)。
【0048】
なお、初期状態において、第1の塗布部10及び第2の塗布部20は、部材Wから+Z方向(
図8参照)に離間した位置にセットされている。
【0049】
そして、装置の使用者Hによって部材Wが載置台79にセットされたか否かが判断され(S9)、部材Wが載置台79にセットされていない場合には(S9:No)、そのまま待ち、部材Wが載置台79にセットされている場合には(S9:Yes)、第1の塗布部10による塗布が開始される(S11)。
【0050】
すなわち、第1段階の塗布として、第2の塗布部20が部材Wから+Z方向に離間したまま、第1の塗布部10が部材Wの表面に向かって-Z方向に下降し、部材Wの表面に粘着性の第1の材料M1を塗布する。
図8は、第1実施形態の塗布装置1の第1段階における動作状態を示す左側面図である。
【0051】
なお、本実施形態においては、部材Wを平面視略矩形の薄板とし、部材Wの4つ角部には、載置台79のピン位置(P1、P2、P3、P4)に合わせて4つのピン孔h1、h2、h3及びh4が形成されているものとするが、部材Wの形状等は特にこの形状に限定されるものではなく、どのような形状であっても良い。
【0052】
また、本実施形態においては、部材Wの塗布領域を平面視略矩形状とするが、この点は、特に限定されるものではなく、塗布領域については、設計事情に合わせ任意に設定することができる。
【0053】
第1段階における塗布が完了した状態を
図9及び
図10に示す。
図9は、第1実施形態の塗布装置1の第1段階終了時の部材Wの状態を示した平面図であり、
図10は、第1実施形態の塗布装置1の第1段階終了時の部材Wの状態を示した部分断面図である。
【0054】
図10に示すように、本実施形態における第1の材料M1は、部材Wの表面にある程度の厚みが形成されるよう断面半円状に塗布され、乾燥した状態においても粘着性を有するものである。
【0055】
第1の塗布部10による塗布が終了すると、ノズル高さ移動用モータ27によって第1の塗布部10を部材Wから上方へ移動させるとともに(S13)、ローラ高さ移動用モータ17によって第2の塗布部20を部材Wに対向させるように下降させて(S15)、第2段階の塗布として、第2の塗布部20による塗布が開始される(S17)。
【0056】
なお、
図11は、第1実施形態の塗布装置の第2段階における動作状態を示す左側面図であり、
図12は、第1実施形態の塗布装置の第2段階における動作状態を示す背面図である。
【0057】
図11において、第2の塗布部20が、ローラ11を第1の材料M1に当接させながら、部材Wに対して-X方向に移動することによって、ローラ11が従動回転し、
図12に示すように、ローラ11内にしみ込んだ第2の材料M2が第1の材料M1上を覆うように形成される。
【0058】
なお、第2段階における塗布が完了した状態を
図13及び
図14に示す。
図13は、第1実施形態の塗布装置の第2段階終了時の部材の状態を示した平面図であり、
図14は、第1実施形態の塗布装置の第2段階終了時の部材の状態を示した部分断面図である。
【0059】
図13及び
図14に示すように、本実施形態における組部材C1は、第2の材料M2が、部材Wの表面にある程度の厚みが形成された第1の材料M1の上に断面半円状に塗布され、乾燥した状態においては、粘着性を有しないものである。
【0060】
第2の塗布部20による塗布が終了すると、部材Wの処理個数が終了したか否かが判断され(S19)、部材Wの処理個数が終了していない場合には(S19:No)、S9の処理に戻り、部材Wの処理個数が終了している場合には(S19:Yes)、第1の塗布部10及び第2の塗布部20を初期位置に移動させた後(S21)、処理を終了する(S23)。
【0061】
本実施形態の塗布装置1によれば、多関節ロボット3と、その多関節ロボット3の先端に接続され、第1の材料M1を部材Wの表面に塗布する第1の塗布部10と、多関節ロボット3の先端に第1の塗布部10と並行して接続され、第1の材料M1とは異なる第2の材料M2を部材Wの表面に塗布する第2の塗布部20と、を備え、第2の塗布部20は、第1の材料M1を覆うように第2の材料M2を塗布可能であるので、1台の多関節ロボット3を使用して、塗布装置1に設置した部材Wの表面に第1の材料M1を塗布し、部材Wと第1の材料M1とによってそれらの当接状態を維持しながら、第2の材料M2によって、部材Wの表面を第1の材料M1とは異なる状態とすることができる。
【0062】
また、本実施形態の塗布装置1によれば、第2の塗布部20は、第2の材料M2を浸透可能な回転ローラ11によって構成されているので、簡単な構成によって、第1の材料M1の上に第2の材料M2を塗布することができる。
【0063】
また、本実施形態の塗布装置1によれば、第2の塗布部20は、その第2の塗布部20に連通され、第2の塗布部20よりも高い位置に配置されたシリンジ部5に収納された第2の材料M2を塗布するものであって、シリンジ5内は、負圧に設定されているので、簡単な構成によって、第2の塗布部20から適度な量の第2の材料M2を塗布することができる。
【0064】
また、本実施形態の塗布装置1によれば、第1の材料M1は、表面が粘着性の弾性材料であって、第2の材料M2は、表面が非粘着性の材料であるので、塗布装置1に設置された部材Wと弾性材料からなる第1の材料M1とからなる組部材の製造に手間がかからず、部材Wとの接着性を向上させ、かつ表面が作業者の手等にくっ付かないようにすることができる。
【0065】
さらに、本実施形態の塗布装置1によって製造された組部材C1によれば、部材Wと、その部材Wの表面に形成された粘着性の第1の材料M1と、その第1の材料M1を覆うように部材Wの表面に形成された非粘着性の第2の材料M2と、を備えているので、部材Wとの接着性を向上させ、作業者の手等にくっ付き難くすることができる。
【0066】
(第2実施形態)
図15は、第2実施形態の塗布装置の第2段階における動作状態を示す背面図である。
【0067】
以下、本発明の第2実施形態を説明するが、第1実施形態と共通する部分については、同じ符号を付し説明を省略する。
【0068】
図15に示すように、本実施形態の塗布装置100は、第1実施形態の塗布装置1と比較して、第2の塗布部のローラの形状が異なる。すなわち、本実施形態の第2の塗布部22のローラ71の幅W3は、第1実施形態の第2の塗布部20のローラ11の幅W2よりも広く、部材Wの表面に形成された第1の部材M1の幅よりも広くなるように、ノズル21の幅W1よりも大きな幅に設定されており、ローラ軸受け73もローラ71の幅に合わせて拡幅されている。
【0069】
また、本実施形態の塗布装置100は、第2の塗布装置22を部材W側に押し付けながら移動させるため、ローラ71の断面が部材Wの表面に形成された第1の材料M1の断面形状に沿うように、断面鼓形状となっている。
【0070】
本実施形態の塗布装置100によれば、
図16に示すように、第1の材料M1の断面を略楕円形状とし、第2の材料M2を、第1の材料M1の略楕円形状を覆って部材Wの表面に形成されるような形態の組部材C2とすることもできる。なお、
図16は、第2実施形態の塗布装置100の第2段階終了時の部材の状態を示した部分断面図例である。
【0071】
本実施形態の塗布装置100によれば、多関節ロボット3と、その多関節ロボット3の先端に接続され、第1の材料M1を部材Wの表面に塗布する第1の塗布部10と、多関節ロボット3の先端に第1の塗布部10と並行して接続され、第1の材料M1とは異なる第2の材料M2を部材Wの表面に塗布する第2の塗布部22と、を備え、第2の塗布部22は、第1の材料M1を覆うように第2の材料M2を塗布可能であるので、1台の多関節ロボット3を使用して、塗布装置100に設置した部材Wの表面に第1の材料M1を塗布し、部材Wと第1の材料M1とによってそれらの当接状態を維持しながら、第2の材料M2によって、部材Wの表面を第1の材料M1とは異なる状態とすることができる。
【0072】
また、本実施形態の塗布装置100によれば、第2の塗布部22は、第2の材料M2を浸透可能なローラ71によって構成されているので、簡単な構成によって、第1の材料M1の上に第2の材料M2を塗布することができる。
【0073】
また、本実施形態の塗布装置100によれば、ローラ71の幅W3は、第1の塗布部10の幅W1よりも大きく構成されているので、少ない回数によって、第1の材料M1の上に第2の材料M2を塗布することができる。
【0074】
また、本実施形態の塗布装置100によれば、第2の塗布部22は、その第2の塗布部22に連通され、第2の塗布部22よりも高い位置に配置されたシリンジ部5に収納された第2の材料M2を塗布するものであって、シリンジ5内は、負圧に設定されているので、簡単な構成によって、第2の塗布部22から適度な量の第2の材料M2を塗布することができる。
【0075】
また、本実施形態の塗布装置100によれば、第1の材料M1は、表面が粘着性の弾性材料であって、第2の材料M2は、表面が非粘着性の材料であるので、塗布装置100に設置された部材Wと弾性材料からなる第1の材料M1とからなる組部材の製造に手間がかからず、部材Wとの接着性を向上させ、かつ表面が作業者の手等にくっ付かないようにすることができる。
【0076】
さらに、本実施形態の塗布装置1によって製造された組部材C2によれば、第1の材料M1の断面は、略楕円形状であって、第2の材料M2は、第1の材料M1の略楕円形状を覆って部材Wの表面に形成されているので、作業者の手等にさらにくっ付き難くすることができる。
【0077】
(第3実施形態)
図17は、第3実施形態の塗布装置の第1段階における動作状態を示す左側面図であり、
図18は、第3実施形態の塗布装置の第2段階における動作状態を示す左側面図であり、
図19は、第3実施形態の塗布装置の第2段階における動作状態を示す背面図である。
【0078】
以下、本発明の第3実施形態を説明するが、第1実施形態と共通する部分については、同じ符号を付し説明を省略する。
【0079】
図17乃至
図19に示すように、本実施形態の塗布装置110は、第1実施形態の塗布装置1と比較して、第2の塗布部の構成が異なる。すなわち、本実施形態の第2の塗布部30の先端が刷毛(筆)の形態である点で、第1実施形態の第2の塗布部20のローラの形態と異なる。
【0080】
図17において、第2の塗布部30は、回転部41に接続された柱状のロッド19に対して上下方向(
図17において+Z・-Z方向)に移動可能に取付けられ、ロッド19に対して第2の塗布部30の高さを変更させるローラ高さ移動用モータ17と、そのローラ高さ移動用モータ17の下部に設けられ、非粘着性の第2の材料を後述する刷毛75に供給する材料供給管15と、その材料供給管15の下部に設けられた第2の材料供給管77と、その第2の材料供給管77の下部に設けられた刷毛75と、材料供給管15に非粘着性の第2の材料を供給する材料下流側チューブ61を含むシリンジ部5と、を備える。
【0081】
次に、上述した構成の塗布装置110の動作について説明するが、その動作は、前述の第1実施形態の塗布装置1における部材塗布プログラムのフローチャートとほぼ同一であるため、
図7を利用して説明する。
【0082】
図7において、先ず、装置の使用者Hが装置の電源スイッチを入れた後、操作パネル8上の操作ボタンによって処理対象である部材Wの形状、部材Wの処理個数及び塗布モード(本実施形態では、第2の塗布部30が刷毛形態での塗布モードとする)を入力して、スタートボタンを押下すると、塗布装置110は、初期状態にセットされ(S1)、処理個数がセットされ(S3)、RAM16の塗布情報データテーブル16aに記憶された塗布情報及び塗布モードデータテーブル16bに記憶された塗布モードを取得する(S5及びS7)。
【0083】
なお、初期状態において、第1の塗布部10及び第2の塗布部30は、部材Wから+Z方向に離間した位置にセットされている。
【0084】
そして、装置の使用者Hによって部材Wが載置台79にセットされたか否かが判断され(S9)、部材Wが載置台79にセットされていない場合には(S9:No)、そのまま待ち、部材Wが載置台79にセットされている場合には(S9:Yes)、第1の塗布部10による塗布が開始される(S11)。
【0085】
すなわち、第1段階の塗布として、第2の塗布部30が部材Wから+Z方向に離間したまま、第1の塗布部10が部材Wの表面に向かって-Z方向に下降し、部材Wの表面に粘着性の第1の材料M1を塗布する。
図17は、第3実施形態の塗布装置110の第1段階における動作状態を示す左側面図である。
【0086】
なお、本実施形態においても、部材Wを平面視略矩形の薄板とし、部材Wの4つ角部には、載置台79のピン位置(P1、P2、P3、P4)に合わせ4つのピン孔h1、h2、h3及びh4が形成されているものとするが、部材Wの形状等は特にこの形状に限定されるものではなく、どのような形状であっても良い。
【0087】
また、本実施形態においては、部材Wの塗布領域を平面視略矩形状とするが、この点も、特に限定されるものではなく、塗布領域においては、設計事情に合わせ任意に設定することができる。
【0088】
なお、第1段階における塗布が完了した状態は、
図9及び
図10と同様である。
【0089】
第1の塗布部10による塗布が終了すると、ノズル高さ移動用モータ27によって第1の塗布部10を部材Wから上方へ移動させるとともに(S13)、ローラ高さ移動用モータ17によって第2の塗布部30を部材Wに対向させるように下降させて(S15)、第2段階の塗布として、第2の塗布部30による塗布が開始される(S17)。
【0090】
なお、
図18は、第3実施形態の塗布装置の第2段階における動作状態を示す左側面図であり、
図19は、第3実施形態の塗布装置の第2段階における動作状態を示す背面図である。
【0091】
図18において、第2の塗布部30が、刷毛75を第1の材料M1に当接させながら、部材Wに対して-X方向に移動することによって、
図19に示すように、刷毛75内にしみ込んだ第2の材料M2が第1の材料M1上を覆うように形成されることとなる。
【0092】
なお、第2段階における塗布が完了した状態は、
図13及び
図14と同様である。
【0093】
第2の塗布部30による塗布が終了すると、部材Wの処理個数が終了したか否かが判断され(S19)、部材Wの処理個数が終了していない場合には(S19:No)、S9の処理に戻り、部材Wの処理個数が終了している場合には(S19:Yes)、第1の塗布部10及び第2の塗布部30を初期位置に移動させた後(S21)、処理を終了する(S23)。
【0094】
本実施形態の塗布装置110によれば、多関節ロボット3と、その多関節ロボット3の先端に接続され、第1の材料M1を部材Wの表面に塗布する第1の塗布部10と、多関節ロボット3の先端に第1の塗布部10と並行して接続され、第1の材料M1とは異なる第2の材料M2を部材Wの表面に塗布する第2の塗布部30と、を備え、第2の塗布部30は、第1の材料M1を覆うように第2の材料M2を塗布可能であるので、1台の多関節ロボット3を使用して、塗布装置110に設置した部材Wの表面に第1の材料M1を塗布し、部材Wと第1の材料M1とによってそれらの当接状態を維持しながら、第2の材料M2によって、部材Wの表面を第1の材料M1とは異なる状態とすることができる。
【0095】
また、本実施形態の塗布装置110によれば、第2の塗布部30は、第2の材料M2を浸透可能な刷毛75によって構成されているので、簡単な構成によって、第1の材料M1の上に第2の材料M2を塗布することができる。
【0096】
また、本実施形態の塗布装置110によれば、第2の塗布部30は、その第2の塗布部30に連通され、第2の塗布部30よりも高い位置に配置されたシリンジ部5に収納された第2の材料M2を塗布するものであって、シリンジ5内は、負圧に設定されているので、簡単な構成によって、第2の塗布部30から適度な量の第2の材料M2を塗布することができる。
【0097】
また、本実施形態の塗布装置110によれば、第1の材料M1は、表面が粘着性の弾性材料であって、第2の材料M2は、表面が非粘着性の材料であるので、塗布装置110に設置された部材Wと弾性材料からなる第1の材料M1とからなる組部材の製造に手間がかからず、部材Wとの接着性を向上させ、かつ表面が作業者の手等にくっ付かないようにすることができる。
【0098】
さらに、本実施形態の塗布装置110によって製造された組部材C1によれば、部材Wと、その部材Wの表面に形成された粘着性の第1の材料M1と、その第1の材料M1を覆うように部材Wの表面に形成された非粘着性の第2の材料M2と、を備えているので、部材Wとの接着性を向上させ、作業者の手等にくっ付き難くすることができる。
【0099】
(第4実施形態)
図20は、第4実施形態の塗布装置の第2段階における動作状態を示す背面図である。
【0100】
以下、本発明の第4実施形態を説明するが、第3実施形態と共通する部分については、同じ符号を付し説明を省略する。
【0101】
図20に示すように、本実施形態の塗布装置120は、第3実施形態の塗布装置110と比較して、第2の塗布部の刷毛の形状が異なる。すなわち、本実施形態の第2の塗布部40の刷毛81の幅W5は、第3実施形態の第2の塗布部30の刷毛75の幅W4よりも広く、部材Wの表面に形成された第1の部材M1の幅よりも広くなるように、ノズル21の幅W1よりも大きな幅に設定されており、第2の材料供給管83も刷毛81の幅に合わせて拡幅されている。
【0102】
本実施形態の塗布装置120によれば、多関節ロボット3と、その多関節ロボット3の先端に接続され、第1の材料M1を部材Wの表面に塗布する第1の塗布部10と、多関節ロボット3の先端に第1の塗布部10と並行して接続され、第1の材料M1とは異なる第2の材料M2を部材Wの表面に塗布する第2の塗布部40と、を備え、第2の塗布部40は、第1の材料M1を覆うように第2の材料M2を塗布可能であるので、1台の多関節ロボット3を使用して、塗布装置120に設置した部材Wの表面に第1の材料M1を塗布し、部材Wと第1の材料M1とによってそれらの当接状態を維持しながら、第2の材料M2によって、部材Wの表面を第1の材料M1とは異なる状態とすることができる。
【0103】
また、本実施形態の塗布装置120によれば、第2の塗布部40は、第2の材料M2を浸透可能な刷毛81によって構成されているので、簡単な構成によって、第1の材料M1の上に第2の材料M2を塗布することができる。
【0104】
また、本実施形態の塗布装置120によれば、刷毛81の幅W5は、第1の塗布部10の幅W1よりも大きく構成されているので、少ない回数によって、第1の材料M1の上に第2の材料M2を塗布することができる。
【0105】
また、本実施形態の塗布装置120によれば、第2の塗布部40は、その第2の塗布部40に連通され、第2の塗布部40よりも高い位置に配置されたシリンジ部5に収納された第2の材料M2を塗布するものであって、シリンジ5内は、負圧に設定されているので、簡単な構成によって、第2の塗布部40から適度な量の第2の材料M2を塗布することができる。
【0106】
また、本実施形態の塗布装置120によれば、第1の材料M1は、表面が粘着性の弾性材料であって、第2の材料M2は、表面が非粘着性の材料であるので、塗布装置120に設置された部材Wと弾性材料からなる第1の材料M1とからなる組部材の製造に手間がかからず、部材Wとの接着性を向上させ、かつ表面が作業者の手等にくっ付かないようにすることができる。
【0107】
さらに、本実施形態の塗布装置120によって製造された組部材C1によれば、部材Wと、その部材Wの表面に形成された粘着性の第1の材料M1と、その第1の材料M1を覆うように部材Wの表面に形成された非粘着性の第2の材料M2と、を備えているので、部材Wとの接着性を向上させ、作業者の手等にくっ付き難くすることができる。
【0108】
(第5実施形態)
図21は、第5実施形態の塗布装置に使用する第2の塗布部の全体斜視図であり、
図22は、第5実施形態の塗布装置に使用するスタンプ板の裏面図であり、
図23は、第5実施形態の塗布装置に使用するスタンプ板の横断面図である。
【0109】
また、
図24は、第5実施形態の塗布装置の第1段階における動作状態を示す背面図であり、
図25は、第5実施形態の塗布装置の第2段階における動作状態を示す背面図である。
【0110】
以下、本発明の第5実施形態を説明するが、第1実施形態と共通する部分については、同じ符号を付し説明を省略する。
【0111】
図21乃至
図25に示すように、本実施形態の塗布装置130は、第1実施形態の塗布装置1と比較して、第2の塗布部の構成が異なる。すなわち、本実施形態の第2の塗布部50がスタンプ形式の形態であり、第1実施形態の第2の塗布部20がローラの形態である。
【0112】
図21乃至
図25において、第2の塗布部50は、回転部41に接続された柱状のロッド19に対して上下方向(
図24において+Z・-Z方向)に移動可能に取付けられ、ロッド19に対して第2の塗布部50の高さを変更させるローラ高さ移動用モータ17と、そのローラ高さ移動用モータ17の下部に設けられ、非粘着性の第2の材料を後述するスタンプ板90に供給する材料供給管15と、その材料供給管15の下部に設けられたスタンプ板90と、材料供給管15に非粘着性の第2の材料を供給する材料下流側チューブ61を含むシリンジ部5と、を備える。
【0113】
また、スタンプ板90は、その外径が平面視略矩形状の板状部材であるスタンプ本体91と、スタンプ本体91の底面に形成された平面視略矩形状に所定の深さで掘られた溝部93と、その溝部93に沿ってはめ込まれたフェルト95とから構成されている。
【0114】
なお、本実施形態では、溝部93の内部に第2の材料M2を保持するために、フェルト95を配置したが、第2の材料M2がその表面張力で溝部93内に保持可能であるならば、フェルト95は無くても良い。
【0115】
次に、上述した構成の塗布装置130の動作について説明するが、その動作は、前述の第1実施形態の塗布装置1における部材塗布プログラムのフローチャートとほぼ同一であるため、
図7を利用して説明する。
【0116】
図7において、先ず、装置の使用者Hが装置の電源スイッチを入れた後、操作パネル8上の操作ボタンによって処理対象である部材Wの形状、部材Wの処理個数及び塗布モード(本実施形態では、第2の塗布部50がスタンプ形態での塗布モードとする)を入力して、スタートボタンを押下すると、塗布装置130は、初期状態にセットされ(S1)、処理個数がセットされ(S3)、RAM16の塗布情報データテーブル16aに記憶された塗布情報及び塗布モードデータテーブル16bに記憶された塗布モードを取得する(S5及びS7)。
【0117】
なお、初期状態において、第1の塗布部10及び第2の塗布部50は、部材Wから+Z方向に離間した位置にセットされている。
【0118】
そして、装置の使用者Hによって部材Wが載置台79にセットされたか否かが判断され(S9)、部材Wが載置台79にセットされていない場合には(S9:No)、そのまま待ち、部材Wが載置台79にセットされている場合には(S9:Yes)、第1の塗布部10による塗布が開始される(S11)。
【0119】
すなわち、第1段階の塗布として、第2の塗布部50が部材Wから+Z方向に離間したまま、第1の塗布部10が部材Wの表面に向かって-Z方向に下降し、部材Wの表面に粘着性の第1の材料M1を塗布する。
図24は、第5実施形態の塗布装置130の第1段階における動作状態を示す背面図である。
【0120】
なお、本実施形態においても、部材Wを平面視略四角形の薄板とし、部材Wの4つ角部には、載置台79のピン位置(P1、P2、P3、P4)に合わせ4つのピン孔h1、h2、h3及びh4が形成されているものとするが、部材Wの形状等は特にこの形状に限定されるものではなく、どのような形状であっても良い。
【0121】
また、本実施形態においては、部材Wの塗布領域を平面視略矩形状とするが、この点も、特に限定されるものではなく、塗布領域においては、設計事情に合わせ任意に設定することができる。
【0122】
なお、第1段階における塗布が完了した状態は、
図9及び
図10と同様である。
【0123】
第1の塗布部10による塗布が終了すると、ノズル高さ移動用モータ27によって第1の塗布部10を部材Wから上方へ移動させるとともに(S13)、ローラ高さ移動用モータ17によって第2の塗布部50を部材Wに対向させるように下降させて(S15)、
図25に示すように、溝部93を部材Wの表面に形成された第1の材料M1の形状に合わせながら、スタンプ板90を部材Wに当接させると、溝部93内に保持された第2の材料M2が第1の材料M1を覆うように転写される(S17)。
【0124】
なお、
図25は、第5実施形態の塗布装置の第2段階における動作状態を示す背面図であり、第2段階における塗布が完了した状態は、
図13及び
図14、または
図13及び
図16と同様である。
【0125】
第2の塗布部50による転写が終了すると、部材Wの処理個数が終了したか否かが判断され(S19)、部材Wの処理個数が終了していない場合には(S19:No)、S9の処理に戻り、部材Wの処理個数が終了している場合には(S19:Yes)、第1の塗布部10及び第2の塗布部50を初期位置に移動させた後(S21)、処理を終了する(S23)。
【0126】
本実施形態の塗布装置130によれば、多関節ロボット3と、その多関節ロボット3の先端に接続され、第1の材料M1を部材Wの表面に塗布する第1の塗布部10と、多関節ロボット3の先端に第1の塗布部10と並行して接続され、第1の材料M1とは異なる第2の材料M2を部材Wの表面に塗布する第2の塗布部50と、を備え、第2の塗布部50は、第1の材料M1を覆うように第2の材料M2を塗布可能であるので、1台の多関節ロボット3を使用して、塗布装置130に設置した部材Wの表面に第1の材料M1を塗布し、部材Wと第1の材料M1とによってそれらの当接状態を維持しながら、第2の材料M2によって、部材Wの表面を第1の材料M1とは異なる状態とすることができる。
【0127】
また、本実施形態の塗布装置130によれば、第2の塗布部50は、第2の材料M2を保持可能な溝93が形成されたスタンプ板90によって構成されているので、第1の材料M1の上に第2の材料M2を迅速に塗布することができる。
【0128】
また、本実施形態の塗布装置130によれば、第2の塗布部50は、その第2の塗布部50に連通され、第2の塗布部50よりも高い位置に配置されたシリンジ部5に収納された第2の材料M2を塗布するものであって、シリンジ5内は、負圧に設定されているので、簡単な構成によって、第2の塗布部50から適度な量の第2の材料M2を塗布することができる。
【0129】
また、本実施形態の塗布装置130によれば、第1の材料M1は、表面が粘着性の弾性材料であって、第2の材料M2は、表面が非粘着性の材料であるので、塗布装置130に設置された部材Wと弾性材料からなる第1の材料M1とからなる組部材の製造に手間がかからず、部材Wとの接着性を向上させ、かつ表面が作業者の手等にくっ付かないようにすることができる。
【0130】
また、本実施形態の塗布装置130によって製造された組部材C1によれば、部材Wと、その部材Wの表面に形成された粘着性の第1の材料M1と、その第1の材料M1を覆うように部材Wの表面に形成された非粘着性の第2の材料M2と、を備えているので、部材Wとの接着性を向上させ、作業者の手等にくっ付き難くすることができる。
【0131】
さらに、本実施形態の塗布装置130によって製造された組部材C2によれば、第1の材料M1の断面は、略楕円形状であって、第2の材料M2は、第1の材料M1の略楕円形状を覆って部材Wの表面に形成されているので、作業者の手等にさらにくっ付き難くすることができる。
【0132】
(第6実施形態)
図26は、第6実施形態の塗布装置の第2段階における動作状態を示す左側面図である。
【0133】
以下、本発明の第6実施形態を説明するが、第1実施形態と共通する部分については、同じ符号を付し説明を省略する。
【0134】
図26に示すように、本実施形態の塗布装置140は、第1実施形態の塗布装置1と比較して、第2の塗布部の構成が異なる。すなわち、第1実施形態の第2の塗布部20は、材料供給管15からローラ11に第2の材料M2を浸透させ、ローラ11の回転によってローラ11から直接第2の材料M2を第1の材料M1上に塗布するものであったが、本実施形態の第2の塗布部60は、滴下部97から第2の材料M2を第1の材料M1上に滴下させ、その後、滴下部97によって第1の材料M1上に滴下された第2の材料M2を、ローラ11によって第1の材料M1を覆うようにならすものである。
【0135】
図26において、第2の塗布部60は、回転部41に接続された柱状のロッド19に対して上下方向(
図26において+Z・-Z方向)に移動可能に取付けられ、ロッド19に対して第2の塗布部60の高さを変更させるローラ高さ移動用モータ17と、そのローラ高さ移動用モータ17の下部に設けられ、非粘着性の第2の材料を滴下する滴下部97と、その滴下部97に対して塗布方向下流側に設けられたローラ11と、そのローラ11を回転可能に保持するローラ軸受け13と、滴下部97に非粘着性の第2の材料M2を供給する材料下流側チューブ61を含むシリンジ部5と、を備える。
【0136】
次に、上述した構成の塗布装置140の動作について説明するが、その動作は、前述の第1実施形態の塗布装置1における部材塗布プログラムのフローチャートとほぼ同一であるため、
図7を利用して説明する。
【0137】
図7において、先ず、装置の使用者Hが装置の電源スイッチを入れた後、操作パネル8上の操作ボタンによって処理対象である部材Wの形状、部材Wの処理個数及び塗布モード(本実施形態では、第2の塗布部が滴下とローラとによる塗布モードとする)を入力して、スタートボタンを押下すると、塗布装置140は、初期状態にセットされ(S1)、処理個数がセットされ(S3)、RAM16の塗布情報データテーブル16aに記憶された塗布情報及び塗布モードデータテーブル16bに記憶された塗布モードを取得する(S5及びS7)。
【0138】
なお、初期状態において、第1の塗布部10及び第2の塗布部60は、部材Wから+Z方向に離間した位置にセットされている。
【0139】
そして、装置の使用者Hによって部材Wが載置台79にセットされたか否かが判断され(S9)、部材Wが載置台79にセットされていない場合には(S9:No)、そのまま待ち、部材Wが載置台79にセットされている場合には(S9:Yes)、第1の塗布部10による塗布が開始される(S11)。
【0140】
すなわち、第1段階の塗布として、第2の塗布部60が部材Wから+Z方向に離間したまま、第1の塗布部10が部材Wの表面に向かって-Z方向に下降し、部材Wの表面に粘着性の第1の材料M1を塗布する。
【0141】
なお、本実施形態においても、部材Wを平面視略矩形の薄板とし、部材Wの4つ角部には、載置台79のピン位置(P1、P2、P3、P4)に合わせ4つのピン孔h1、h2、h3及びh4が形成されているものとするが、部材Wの形状等は特にこの形状に限定されるものではなく、どのような形状であっても良い。
【0142】
また、本実施形態においては、部材Wの塗布領域を平面視略矩形状とするが、この点も、特に限定されるものではなく、塗布領域においては、設計事情に合わせ任意に設定することができる。
【0143】
なお、第1段階における塗布が完了した状態は、
図9及び
図10と同様である。
【0144】
第1の塗布部10による塗布が終了すると、ノズル高さ移動用モータ27によって第1の塗布部10を部材Wから上方へ移動させるとともに(S13)、ローラ高さ移動用モータ17によって第2の塗布部60を部材Wに対向させるように下降させて(S15)、第2段階の塗布として、第2の塗布部60による塗布が開始される(S17)。
【0145】
なお、
図26は、第6実施形態の塗布装置の第2段階における動作状態を示す左側面図である。
【0146】
図26において、第2の塗布部60は、第2の材料M2を滴下部97から第1の材料M1上に一滴ずつまたは連続して滴下させながら、部材Wに対して-X方向に移動することによって、第1の材料M1上に滴下された第2の材料M2を、ローラ11によって第1の材料M1を覆うようにならすものである。
【0147】
なお、第2段階における塗布が完了した状態は、
図13及び
図14と同様である。
【0148】
第2の塗布部60による塗布が終了すると、部材Wの処理個数が終了したか否かが判断され(S19)、部材Wの処理個数が終了していない場合には(S19:No)、S9の処理に戻り、部材Wの処理個数が終了している場合には(S19:Yes)、第1の塗布部10及び第2の塗布部60を初期位置に移動させた後(S21)、処理を終了する(S23)。
【0149】
本実施形態の塗布装置140によれば、多関節ロボット3と、その多関節ロボット3の先端に接続され、第1の材料M1を部材Wの表面に塗布する第1の塗布部10と、多関節ロボット3の先端に第1の塗布部10と並行して接続され、第1の材料M1とは異なる第2の材料M2を部材Wの表面に塗布する第2の塗布部60と、を備え、第2の塗布部60は、第1の材料M1を覆うように第2の材料M2を塗布可能であるので、1台の多関節ロボット3を使用して、塗布装置140に設置した部材Wの表面に第1の材料M1を塗布し、部材Wと第1の材料M1とによってそれらの当接状態を維持しながら、第2の材料M2によって、部材Wの表面を第1の材料M1とは異なる状態とすることができる。
【0150】
また、本実施形態の塗布装置140によれば、第2の塗布部60は、第1の材料M1の表面に第2の材料M2を滴下する滴下部97と、その滴下部97に隣接して配置されたローラ11と、によって構成されているので、簡単な構成によって、第1の材料M1の上に第2の材料M2を塗布することができる。
【0151】
また、本実施形態の塗布装置140によれば、第2の塗布部60は、その第2の塗布部60に連通され、第2の塗布部60よりも高い位置に配置されたシリンジ部5に収納された第2の材料M2を塗布するものであって、シリンジ5内は、負圧に設定されているので、簡単な構成によって、第2の塗布部60から適度な量の第2の材料M2を塗布することができる。
【0152】
また、本実施形態の塗布装置140によれば、第1の材料M1は、表面が粘着性の弾性材料であって、第2の材料M2は、表面が非粘着性の材料であるので、塗布装置140に設置された部材Wと弾性材料からなる第1の材料M1とからなる組部材の製造に手間がかからず、部材Wとの接着性を向上させ、かつ表面が作業者の手等にくっ付かないようにすることができる。
【0153】
さらに、本実施形態の塗布装置140によって製造された組部材C1によれば、部材Wと、その部材Wの表面に形成された粘着性の第1の材料M1と、その第1の材料M1を覆うように部材Wの表面に形成された非粘着性の第2の材料M2と、を備えているので、部材Wとの接着性を向上させ、作業者の手等にくっ付き難くすることができる。
【0154】
以上、本発明の実施形態における塗布装置について説明してきたが、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更して実施することが可能である。
【0155】
例えば、上述の実施形態の塗布装置においては、第1の塗布部は、ノズル高さ移動用モータ27によってその高さを変更するものとし、第2の塗布部は、ローラ高さ移動用モータ17によってその高さを変更するものとしたが、上述の実施形態の塗布装置においては、2つのモータを必ず必要とするものではなく、ノズル高さ移動用モータ27により第1の塗布部の高さのみを変えることによって、第1の塗布部の高さと第2の塗布部の高さとの間に差を設けるようにしても良く、ローラ高さ移動用モータ17により第2の塗布部の高さのみを変えることにより、第1の塗布部の高さと第2の塗布部の高さとの間に差を設けるようにしても良い。
【0156】
また、上述の実施形態の塗布装置においては、第1の材料をその表面が粘着性を有する材料とし、第2の材料をその表面が非粘着性の材料として説明してきたが、それに限定されるものではなく、第1の材料と第2の材料が異なるものであれば良い。
【0157】
しかしながら、本願は、第1の材料がその表面が粘着性を有し、取扱いに難儀を要していた際に発明されたものであることから、第1の材料をその表面が粘着性を有する材料とし、第2の材料をその表面が非粘着性の材料とした場合の方が本願の目的をより効果的に達成するものである。
【0158】
また、上述の実施形態の塗布装置においては、第1の材料M1及び第2の材料M2を部材Wに対して垂直な方向に塗布する形態のみについて説明してきたが、第1の塗布部及び第2の塗布部は、多関節ロボット3の先端に接続されているものであり、部材Wが傾いて傾斜している場合には、その傾斜に対して垂直な方向に塗布することもでき、その傾斜に対して任意の角度で塗布することもできる。
【0159】
さらに、部材Wにアンダーカットの部分があったとしても、第1の塗布部及び第2の塗布部は、多関節ロボット3を傾けながら、そのアンダーカットの部分に塗布することもできる。
【符号の説明】
【0160】
1,100,110,120,130・・・塗布装置
2・・・メインコントローラ
3・・・多関節ロボット
4・・・ロボットコントローラ
5・・・シリンジ部
6・・・電源
7・・・制御盤
8・・・操作パネル
9・・・コンプレッサー
10・・・第1の塗布部
11,71・・・ローラ
12・・・ドライバー回路
13,73・・・ローラ軸受け
15・・・材料供給管
17・・・ローラ高さ移動用モータ
20,22,30,40,50・・・第2の塗布部
21・・・ノズル
23・・・電磁弁
25・・・電磁弁コントローラ
27・・・ノズル高さ移動用モータ
29・・・第1の材料吐出エア吸入口
31・・・第1の基台(多関節ロボット)
33・・・第2の基台(多関節ロボット)
35・・・下腕部(多関節ロボット)
37・・・中腕部(多関節ロボット)
39・・・上腕部(多関節ロボット)
41・・・回転部(多関節ロボット)
43・・・第1の材料供給管
44・・・第1の材料供給口
45・・・バランサ
48・・・シリンジ
51・・・シリンジ減圧口
52・・・液量調節レバー
53・・・材料吸入口
55・・・材料排出口
57・・・シリンジ減圧チューブ
59・・・材料上流側チューブ
61・・・材料下流側チューブ
63・・・筐体
67・・・減圧タンク
69・・・タンク
75,81・・・刷毛
77,83・・・第2の材料供給管
79・・・載置台
90・・・スタンプ板
91・・・スタンプ本体
93・・・溝部
95・・・フェルト
C1,C2・・・組部材
H・・・装置の使用者
h1,h2,h3,h4・・・ピン孔(部材)
M1・・・第1の材料(流体)
M2・・・第2の材料(流体)
P1,P2,P3,P4・・・ピン(載置台)
W・・・部材
【要約】
【課題】 部材と第1の材料とによって接合状態を維持しながら、組部材の表面を第2の材料によって、第1の材料とは異なる状態とすることができる塗布装置、及びその塗布装置によって製造された組部材を提供を提供する。
【解決手段】 塗布装置1は、多関節ロボット3と、その多関節ロボット3の先端に接続され、第1の材料M1を部材Wの表面に塗布する第1の塗布部10と、多関節ロボット3の先端に第1の塗布部10と並行して接続され、第1の材料M1とは異なる第2の材料M2を部材Wの表面に塗布する第2の塗布部20と、を備え、第2の塗布部20は、第1の材料M1を覆うように第2の材料20を塗布する。
【選択図】
図11