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▶ レジーナ ミラクル インターナショナル(グループ) リミテッドの特許一覧

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  • 特許-下着用バストカップおよびその製造方法 図1
  • 特許-下着用バストカップおよびその製造方法 図2
  • 特許-下着用バストカップおよびその製造方法 図3A
  • 特許-下着用バストカップおよびその製造方法 図3B
  • 特許-下着用バストカップおよびその製造方法 図4
  • 特許-下着用バストカップおよびその製造方法 図5
  • 特許-下着用バストカップおよびその製造方法 図6
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-18
(45)【発行日】2023-05-26
(54)【発明の名称】下着用バストカップおよびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   A41C 3/12 20060101AFI20230519BHJP
【FI】
A41C3/12 A
【請求項の数】 9
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2018123384
(22)【出願日】2018-06-28
(65)【公開番号】P2019011545
(43)【公開日】2019-01-24
【審査請求日】2021-06-25
(31)【優先権主張番号】201710523535.0
(32)【優先日】2017-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】510166308
【氏名又は名称】レジーナ ミラクル インターナショナル(グループ) リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジェンチアン リウ
【審査官】山尾 宗弘
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-086503(JP,A)
【文献】特開2012-233287(JP,A)
【文献】特開平09-078310(JP,A)
【文献】特開平07-292505(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41C 1/00-5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の表面および前記第1の表面の反対側の第2の表面を有するカップ芯であって、前記第1の表面は、複数の第1の溝が付いて形成され、および前記第2の表面、複数の第2の溝が付いて形成され、各溝は、細長い開口部、細長い底部、および前記溝の2つの長手方向側部の各々の上の側壁を有する、カップ芯、
前記カップ芯の前記第1の表面を被覆する第1の布層、
前記カップ芯の第2の表面を被覆する第2の布層、
を含み、
前記複数の第1の溝および前記複数の第2の溝は交互に配置されており、
前記複数の前記第1の溝のうちの1つまたは複数の前記側壁の頂部部分は、前記第1の布層に取り付けられており、一方、前記複数の前記第1の溝のうちの前記1つまたは複数の前記底部の少なくとも一部は、前記第1の布層に取り付けられていないことを特徴とするバストカップ。
【請求項2】
前記複数の前記第2の溝のうちの1つまたは複数の前記側壁の頂部部分は、前記第2の布層に取り付けられており、一方、前記複数の前記第2の溝のうちの前記1つまたは複数の前記底部の少なくとも一部は、前記第2の布層に取り付けられていないことを特徴とする請求項1に記載のバストカップ。
【請求項3】
複数の開孔は、前記複数の第1の溝および前記複数の第2の溝のうちの前記1つまたは複数の前記底部の少なくとも一部内に形成されていることを特徴とする請求項1に記載のバストカップ。
【請求項4】
前記開孔は、貫通穴であること特徴とする請求項3に記載のバストカップ。
【請求項5】
前記複数の第1の溝および前記複数の第2の溝は、実質的に平行な溝であることを特徴とする請求項1に記載のバストカップ。
【請求項6】
前記複数の第1の溝および前記複数の第2の溝は実質的に直線状の溝であることを特徴とする請求項5に記載のバストカップ。
【請求項7】
前記複数の第1の溝および前記複数の第2の溝は湾曲しており、および各湾曲した溝は、単一の凸形状を含むことを特徴とする請求項5に記載のバストカップ。
【請求項8】
前記第1の表面の前記複数の第1の溝は、前記第2の表面上の突出部として現れ、および前記第2の表面の前記複数の第2の溝は、前記第1の表面上の突出部として現れることを特徴とする請求項1に記載のバストカップ。
【請求項9】
前記カップ芯は射出成形によって形成されることを特徴とする請求項1に記載のバストカップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブラジャーのような肌着用のバストカップ、およびそのようなバストカップを製造するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
下着用バストカップは、大抵、バストカップ芯およびバストカップ芯の両側を被覆する布層を含む。通常の下着は、大抵、良好なビジュアル効果を得るために、着用者の体に密接にフィットする。しかしながら、特に、暑い天気または運動の間、下着の体との密接なフィットは、熱を放散することを困難にし、着用者に不快感をもたらす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本出願は、上記の問題を克服するためのバストカップおよびその製造方法を提案することを対象とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の1つの態様により、肌着バストカップが提供される。バストカップは、第1の表面および第1の表面の反対側の第2の表面を有するカップ芯を含む。第1および第2の表面の各々は、複数の溝が付いて形成され、各溝は、細長い開口部、細長い底部、および溝の2つの長手方向側部の各々の上の側壁を有する。第1の布層は、カップ芯の第1の表面上を覆いまたは被覆し、および第2の布層は、カップ芯の第2の表面上を覆いまたは被覆する。複数の第1の溝のうちの1つまたは複数の側壁の頂部部分は、第1の布層に取り付けられており、一方、複数の第1の溝のうちの1つまたは複数の底部の少なくとも一部は、第1の布層に取り付けられていない。
【0005】
本発明の別の態様により、肌着バストカップを製造するための方法が提供される。方法は、金型で、好ましくは射出成形によって、バストカップ芯を形成する工程を含む。そのように形成されたバストカップ芯は、第1の表面および第1の表面の反対側の第2の表面を有するカップ芯を含む。第1および第2の表面の各々は、複数の溝が付いて形成され、各溝は、細長い開口部、細長い底部、および溝の2つの長手方向側部の各々の上の側壁を有する。第1の布層は、カップ芯の第1の表面上を覆いまたは被覆し、および第2の布層は、カップ芯の第2の表面上を覆いまたは被覆する。複数の第1の溝のうちの1つまたは複数の側壁の頂部部分は、第1の布層に取り付けられており、一方、複数の第1の溝のうちの1つまたは複数の底部の少なくとも一部は、第1の布層に取り付けられていない。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1および図2は、本発明の例示的な実施形態によるバストカップ芯を形成するための装置および方法の概略図である。
図2図1および図2は、本発明の例示的な実施形態によるバストカップ芯を形成するための装置および方法の概略図である。
図3A図3Aおよび図3Bは、本発明の例示的な実施形態による、図1および図2に示される装置及び方法によって形成されたバストカップ芯の正面図および側面図をそれぞれ示す。
図3B図3Aおよび図3Bは、本発明の例示的な実施形態による、図1および図2に示される装置及び方法によって形成されたバストカップ芯の正面図および側面図をそれぞれ示す。
図4】本発明の例示的な実施形態によるバストカップの構成の概略図である。
図5】本発明の例示的な実施形態により形成されたバストカップの断面図である。
図6】本発明の例示的な実施形態により形成されたブラジャーの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本出願の発明は、例示的な実施形態と併せて添付図面を参照して以下に記載される。
【0008】
以下の記載において、ブラジャーを例として用いて、ブラジャー用のバストカップを製造するための方法およびそれによって得られたブラジャーの実施形態が記載される。しかしながら、本出願の発明は、ブラジャー用のバストカップに限定されず、バストカップを含む他の衣類または下着用のバストカップにも同様に適用されてもよいことは認められるべきである。
【0009】
この記載において、内側および外側は着用者の体に関して定義されることは理解されるべきである。従って、内側は、衣類が着用されたときに着用者の体により近い側であり、外側は、衣類が着用されたときに着用者の体からより離れた側である。
【0010】
図6を参照して、ブラジャーは、大抵、コネクタまたは中心のまちによって接続された2つのバストカップ、ならびにバストカップに取り付けられた肩紐およびサイドウィングを含む。本発明の実施形態のバストカップは、バストカップ芯、バストカップ芯の内側に取り付けられた内層、およびバストカップ芯の外側に取り付けられた外層を含む。バストカップ芯は、典型的には、ポリウレタンフォームまたは任意の他の適当な成形可能な材料から形成される。それは、好ましくは、射出成形される。バストカップの形状は、実質的には、バストカップ芯によって規定される。
【0011】
図1および図2は、本発明の例示的な実施形態によるバストカップ芯を形成するための装置および方法の概略図を示す。示されるように、上部または凸状金型ポーション110および下部または凹状金型ポーション120を含む金型が使用されてもよい。凸状金型ポーション110および凹状金型ポーション120は、互いに向かって閉じたときに、バストカップ芯にとって望ましい形状に対応する形状または空洞を画定する。液体発泡材料130は、凹状金型ポーション120内に形成された空間または空洞内に射出ヘッドを通って射出される。発泡材料130の所望の量が射出された後に、凸状金型ポーション110および凹状金型ポーション120は閉じられ、および射出された発泡材料130は、所望の形状を有するバストカップ芯140内に射出成形される。金型ポーション110および120は、成形すると、成形されたバストカップ芯140は、その内表面および外表面のうちの一方または両方上に、複数の溝形状の凹部または窪み142、および凹部142内の複数の穴または開孔141を含むように設計されている。
【0012】
図3Aおよび図3Bは、本発明の例示的な実施形態による、図1および図2に示される装置および方法によって形成されたバストカップ芯の正面図および側面図をそれぞれ示す。図3Aおよび図3Bは、左カップ部分および右カップ部分の両方を含むカップ芯を示すが、本発明のバストカップ芯は、単一のカップ部分または2つのカップ部分を含んでいてもよいことは認められるべきである。図3Bに示されるような実施形態において、複数の溝または溝形状の凹部142-1は、バストカップ芯140の外表面1410上に形成されており、およびまた、複数の溝または溝形状の凹部142-2は、芯140の内表面1420上に形成されている。外表面1410上の溝142-1および内表面1420上の溝142-2は、内表面1420上の溝または凹部142-2が外表面1410上の突出部としても現れ、および逆もまた同様となるように、交互に形成されている。図3Bに示される側面図は、バストカップ芯140の外表面1410および外表面1410上の複数の溝形状の凹部142-1を示し、また、外表面1410上の突出部として現れる、内表面1420上に形成された複数の溝形状の凹部142-2を示す。外表面1410上の溝142-1を例に取って、および内表面1420上の溝142-2にも同じことが当てはまることを認めて、各溝142-1は、細長い開口部1421、細長い開口部に対応する細長い底部またはチャネル1422、および、細長い底部から上方に延びる、溝の2つの長手方向側部の各々の上の側壁1423を含む。側壁1423は、底部1422から上へ延びまたは盛り上がり、および頂部部分または頂点1423Aを有する。溝142-1および/または溝142-2の少なくとも底部1422において、複数の穴または開孔141が形成されていてもよい。開孔141は、貫通穴として形成されていてもよい。溝142-1および142-2の各々に関して、開孔141のサイズは、溝142-1または142-2の細長い開口部1421のサイズよりも小さい。溝142-1、142-2および開孔141は、それらを通る空気循環を可能にする。バストカップ芯140のそのような構造を用いて、バストカップ内の空気循環効果が高められる。また、開孔141無しに溝単独で空気循環を増強させることができ、および従って、開孔141は任意選択的であることは認められるべきである。しかしながら、溝内の開孔141の存在は、空気循環効果をさらに向上させることができ、好ましい。
【0013】
図3Aおよび図3Bに図示されるような例示的な実施形態において、それぞれバストカップ芯140の外表面1410上の複数の溝142-1および内表面1420上の複数の溝142-2は、実質的には、互いに実質的に平行に走る直線状の溝である。溝は、概して、バストカップのネックラインおよび/またはサイドラインからバストカップの底部に走り、衣類または下着が着用されたときにそれらが鉛直方向に走るように配向されている。あるいはまた、溝は、衣類または下着が着用されたときにそれらが水平方向に走るように配向されていてもよい。また、溝は、外側に、すなわち腋窩に向かって、凸形状に湾曲していてもよい。あるいはまた、溝は、また、外側に、すなわち中心のまちに向かって、凸形状に湾曲していてもよい。図3Aは、腋窩に向かってわずかに外側に湾曲した右カップ部分上の溝、および他の腋窩に向かってわずかに外側に湾曲した左カップ部分上の溝を示す。実質的に直線状またはわずかに湾曲した溝は、波状の様式で走る溝よりも良い換気を提供することが分かる。好ましくは、湾曲した溝の各々は、単一の曲率中心を有し、または単一の凸形状を含む。
【0014】
図4は、本発明の例示的な実施形態によるバストカップの構成の概略図を示す。図示されるように、バストカップ芯140、バストカップ芯140の第1のまたは外表面1410上を覆う第1のまたは外側布層440、およびバストカップ芯の第2のまたは内表面1420上を覆う第2のまたは内側布層430は、凸状金型ポーション410と凹状金型ポーション420との間で加熱および加圧下で一緒に成形される。具体的には、第1の布層440はバストカップ芯140と凹状金型ポーション420との間に配置されてもよく、および第2の布層430はバストカップ芯140と凸状金型ポーション410との間に配置されてもよい。接着剤460は、バストカップ芯140と第1の布層440との間に提供されていてもよく、およびまた、接着剤450は、バストカップ芯140と第2の布層430との間に提供されていてもよい。加熱および加圧下で成形すると、第1の布層440および第2の布層430は、バストカップ芯140の外表面および内表面にそれぞれ付着する。本発明の実施形態によると、凸状金型ポーションおよび凹状金型ポーションは、成形プロセスの間、バストカップ芯はプレス加工されるが第1および第2の布層は互いに対してプレス加工されないように、金型ポーションが閉じられたときに、互いに面する凹状金型および凸状金型の表面間に特定の距離または間隙があるように設計されている。その結果、成形後、布層(それが第1の布層であろうと第2の布層であろうと)と布層に面する溝の底部との間に特定の距離または間隙が残る。ここで使用される際の単語「面する(facing)」は、溝の底部は布層からより離れて位置付けられており、一方で溝の頂部は布層により近く位置付けられていることを意味する。換言すれば、成形プロセスの後、溝の頂部は、溝の底部に面している布層に取り付けられていてもよいが、溝の底部は、溝の底部に面している布層に取り付けられていない。これは、全てのまたは少なくとも複数の溝に当てはまり、およびそれによって、複数の溝を通る、すなわち第1または第2の布層と布層に面する複数の溝の底部との間の間隙を通る、複数の空気通路または空気チャネルチャネルを創り出し、その結果として、そのように形成されたバストカップの空気換気効果を増強させる。この構造は、図5の断面図から明らかである。布層と布層に面する溝の底部との間の空気チャネルの構成をさらに保証するために、好ましくは、溝の側壁の頂部のみに接着剤が付けられていてもよく、および、溝の底部には接着剤が何ら付けられていない。接着剤のこの選択的な適用を保証するために、接着剤は、例えば手作業でまたは噴霧によって付与されてもよい。
【0015】
また、図4は、バストカップ芯140の外表面および内表面にそれぞれ取り付けられる布層440、430との熱プレス成形後に得られる前駆体バストカップ150、ならびにトリミング後に得られる最終的なバストカップ160をそれぞれ示す。
【0016】
図5は、本発明の例示的な実施形態によるバストカップ160の線A-Aに沿って取った断面図を示す。図5に示されるように、第1の布層440は、複数の第1の溝142-1の各々の盛り上げられた側壁1423の頂部部分1423Aの少なくとも一部は第1の布層440に取り付けられ、一方ではそのような第1の溝142-1の各々の底部1422またはそのような第1の溝142-1の各々の底部1422の少なくとも一部は第1の布層440に取り付けられず、その結果、第1の布層440とバストカップ芯140のそのような第1の溝142-1の底部1422との間の間隙が換気を増強させ得る空気チャネルを形成するように、バストカップ芯140の外表面1410に取り付けられている。
【0017】
同様に、第2の布層430もまた、複数の第2の溝142-2の各々の盛り上げられた側壁1423の頂部部分1423Aの少なくとも一部は第2の布層430に取り付けられ、一方ではそのような第2の溝142-2の各々の底部1422または底部1422の少なくとも一部は第2の布層430に取り付けられず、その結果、第2の布層430とバストカップ芯140のそのような第2の溝142-2の底部1422との間の間隙が換気を増強させ得る空気チャネルを形成するように、バストカップ芯140の内表面1420に取り付けられていてもよい。
【0018】
先述の記載において、第1の布層は外側布層を指しおよび第2の布層は内側布層を指す一方で、それらは代わりに内側布層および外側布層をそれぞれ指してもよいことは理解されるべきである。加えて、第1および第2の布層のいずれかまたは両方は、先述のものにおいて記載されたような方法で、すなわち第1の布層および/または第2の布層と布層に面する溝の底部との間に形成された空気チャネルを含んで、バストカップ芯に取り付けられていてもよい。
【0019】
図6は、本発明により形成されたバストカップ160を含むブラジャーの概略図を示す。
【0020】
本発明のバストカップの実施形態によると、空気チャネルおよび/または換気穴は、内側および/または外側布層の下に位置付けられた溝内に形成され、それによって運動または暑い天気の間、着用者の熱放散を促進する。
【0021】
本開示の具体的な実施形態の先述の記載は、例示および説明の目的のために提示されてきた。それらは、網羅的であることまたは本開示を開示された正確な形態に限定することは意図されておらず、および上記教示に照らして、明らかに、多くの修正および変形が可能である。例示的な実施形態は、本開示の原理およびその実際的適用を最もよく説明するために選択および記載され、それによって他の当業者が本開示および予期される特定の使用に適するような様々な修正を伴う様々な実施形態を最もよく利用することを可能にする。
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6