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  • 特許-化粧パネルおよび化粧パネルの製造方法 図1
  • 特許-化粧パネルおよび化粧パネルの製造方法 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-18
(45)【発行日】2023-05-26
(54)【発明の名称】化粧パネルおよび化粧パネルの製造方法
(51)【国際特許分類】
   H05K 5/02 20060101AFI20230519BHJP
   G08B 17/00 20060101ALI20230519BHJP
   F16B 5/10 20060101ALI20230519BHJP
【FI】
H05K5/02 A
G08B17/00 G
F16B5/10 M
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2018133312
(22)【出願日】2018-07-13
(65)【公開番号】P2020013818
(43)【公開日】2020-01-23
【審査請求日】2021-05-12
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 刊行物名:中・大規模建物用[アナログ式]複合GR型システムR-26C Integrated Analog GR System 公開者名:能美防災株式会社 カタログ配布日:平成30年 5月 7日 展示会名称:東京国際消防災展2018 公開者名:能美防災株式会社 開催場所:東京ビックサイト(東京都江東区有明3丁目11-1) 開催日:平成30年 5月30日~平成30年 6月 3日
(73)【特許権者】
【識別番号】000233826
【氏名又は名称】能美防災株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100147566
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100161171
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 潤一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100188514
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 隆裕
(74)【代理人】
【氏名又は名称】別所 公博
(74)【代理人】
【識別番号】100206782
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 彰洋
(72)【発明者】
【氏名】村尾 修一
(72)【発明者】
【氏名】後藤 大祐
【審査官】佐久 聖子
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-228552(JP,A)
【文献】特開2006-120704(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0268496(US,A1)
【文献】実開昭61-141904(JP,U)
【文献】特開2006-295885(JP,A)
【文献】特開昭62-189492(JP,A)
【文献】実開昭57-168275(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 5/02
G08B 17/00
F16B 5/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
主部と、前記主部の外周辺に配置されたリブと、を有して構成される化粧パネルであって、
前記主部は、矩形形状で形成され、
前記リブの板厚は、前記主部の板厚よりも薄く、
前記リブは、
前記矩形形状で形成された前記主部の上辺に配置され、複数に分割された第1リブと、
前記主部の前記上辺以外に配置された第2リブと
で構成され、
前記第1リブは、パネルユニットの固定枠に差し込まれ、
前記固定枠に前記第1リブが差し込まれた後の前記パネルユニットを、開口部を有する扉の裏面側から前記開口部に取り付けた際に、前記主部の前記上辺以外に配置されるとともに前記主部の板厚よりも薄く形成された前記第2リブが、前記開口部の周囲における前記扉の裏面と接触することにより、前記矩形形状で形成された前記主部が前記固定枠に押し付けられて固定される
化粧パネル。
【請求項2】
主部と、前記主部の外周辺に配置されたリブと、を有して構成される化粧パネルを製造するための成形工程を備えた化粧パネルの製造方法であって、
前記リブは、
パネルユニットの固定枠に差し込まれる第1リブと、
前記固定枠に前記第1リブが差し込まれた後の前記パネルユニットを、開口部を有する扉の裏面側から前記開口部に取り付けた際に、前記扉の裏面により前記固定枠に押し付けられて固定される第2リブと
で構成され、
前記成形工程は、
前記主部を矩形形状とし、前記矩形形状を有する前記主部の上辺に複数に分割された前記第1リブを配置し、前記主部の前記上辺以外に前記第2リブを配置し、前記第1リブの板厚および前記第2リブの板厚を前記主部の板厚よりも薄く形成する工程と、
前記形成する工程の後に、前記化粧パネルを冷却する工程と
前記冷却する工程の後に、前記固定枠に前記第1リブが差し込まれた後の前記パネルユニットを、開口部を有する扉の裏面側から前記開口部に取り付けることで、前記主部の前記上辺以外に配置されるとともに前記主部の板厚よりも薄く形成された前記第2リブを、前記開口部の周囲における前記扉の裏面に接触させ、前記矩形形状で形成された前記主部が前記固定枠に押し付けられて固定される工程と
を有する化粧パネルの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、パネルユニットに取り付けられる化粧パネルおよび化粧パネルの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
火災受信機、消火システム制御盤等には、液晶パネルが搭載されたパネルユニットが扉に取り付けられている。このようなパネルユニットの取付方法の一例としては、筐体に設けた開口部に対して、パネルユニットを、筐体の正面側から嵌め込むようにして取り付けたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
従来、液晶パネルの固定枠に貼り付ける化粧パネルは、厚みのある主部と、主部の上辺に設けられ、パネルユニットに差し込まれるリブと、により構成されている。ここで、リブの長さは、化粧パネルの上辺と同じ長さとして形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平7-274317号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、化粧パネルは、主部の板厚と、リブの板厚とが異なっている。具体的には、リブの板厚は、主部の板厚よりも薄く形成されている。このため、成形工程の冷却時に、化粧パネルの材料が冷え固まるまでの時間が、主部とリブとで異なる。化粧パネルの材料であるアクリルは、固まる際に収縮する。このため、リブが固まった後も、リブよりも厚みのある主部は、さらに収縮することになる。
【0006】
この結果、主部にゆがみが生じ、反りが発生することとなる。特に、液晶パネルのサイズが大きくなった場合には、反りの発生に起因するゆがみの問題が、より顕著となり、ゆがみ量を極力抑制することが望まれている。
【0007】
本発明は、このような問題を解決するためになされたものであり、成形工程の冷却時に、リブの硬化後に収縮が続く主部のゆがみ量を抑制することができる化粧パネルおよび化粧パネルの製造方法を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明に係る化粧パネルは、主部と、主部の外周辺に配置されたリブと、を有して構成される化粧パネルであって、主部は、矩形形状で形成され、リブの板厚は、主部の板厚よりも薄く、リブは、矩形形状で形成された主部の上辺に配置され、複数に分割された第1リブと、主部の上辺以外に配置された第2リブとで構成され、第1リブは、パネルユニットの固定枠に差し込まれ、固定枠に第1リブが差し込まれた後のパネルユニットを、開口部を有する扉の裏面側から開口部に取り付けた際に、主部の上辺以外に配置されるとともに主部の板厚よりも薄く形成された第2リブが、開口部の周囲における扉の裏面と接触することにより、矩形形状で形成された主部が固定枠に押し付けられて固定されるものである。
また、本発明に係る化粧パネルの製造方法は、主部と、主部の外周辺に配置されたリブと、を有して構成される化粧パネルを製造するための成形工程を備えた化粧パネルの製造方法であって、リブは、パネルユニットの固定枠に差し込まれる第1リブと、固定枠に第1リブが差し込まれた後のパネルユニットを、開口部を有する扉の裏面側から開口部に取り付けた際に、扉の裏面により固定枠に押し付けられて固定される第2リブとで構成され、成形工程は、主部を矩形形状とし、矩形形状を有する主部の上辺に複数に分割された第1リブを配置し、主部の上辺以外に第2リブを配置し、第1リブの板厚および第2リブの板厚を主部の板厚よりも薄く形成する工程と、形成する工程の後に、化粧パネルを冷却する工程と、冷却する工程の後に、固定枠に第1リブが差し込まれた後のパネルユニットを、開口部を有する扉の裏面側から開口部に取り付けることで、主部の上辺以外に配置されるとともに主部の板厚よりも薄く形成された第2リブを、開口部の周囲における扉の裏面に接触させ、矩形形状で形成された主部が固定枠に押し付けられて固定される工程とを有するものである。
【発明の効果】
【0009】
この発明によれば、化粧パネルに設けられるリブを、複数に分割して形成する構成を備えている。この結果、成形工程の冷却時に、リブの硬化後に収縮が続く主部のゆがみ量を抑制することができる化粧パネルおよび化粧パネルの製造方法を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施の形態1に係る化粧パネルを備えたパネルユニットを、火災受信機に適用した場合の全体構成図である。
図2】本発明の実施の形態1に係るパネルユニットにおいて、化粧パネルを固定枠に取り付ける様子を示した説明図である。
図3】本発明の実施の形態1に係る化粧パネルの形状を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の化粧パネルおよび化粧パネルの製造方法の好適な実施の形態につき、図面を用いて説明する。なお、以下の説明では、本発明に係るパネルユニットを、火災受信機に適用する場合を具体例として、詳細に説明する。
【0012】
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1に係る化粧パネルを備えたパネルユニットを、火災受信機に適用した場合の全体構成図である。図1に示すように、火災受信機1は、内部に制御機器等が収納される本体2と、本体2の正面側に開閉可能に取り付けられる扉3とを有している。扉3には開口部3aが形成される。扉3の開口部3aには、パネルユニット10が取り付けられる。
【0013】
パネルユニット10は、固定枠11に対して、操作部20および表示部30が取り付けられて構成されている。ここで、表示部30は、長方形状の表示画面部に相当する液晶パネル31と、液晶パネル31の外周の四辺に亘って設けられる帯状のフランジ32とを有する。液晶パネル31は、火災関連情報等を表示する液晶画面を有しており、この液晶パネル31としては、既製品を用いることが一般的である。
【0014】
また、操作部20は、表示部30の下に一体的に設けられている。操作部20には、使用者が液晶パネル31の表示内容を見ながら操作することが可能なタッチキー21および化粧パネル22が設けられる。なお、タッチキー21および化粧パネル22に関しては、図1では省略しているが、後述する図2図3を用いて詳述する。
【0015】
また、以下の説明において、火災受信機1の本体2に対してパネルユニット10が取り付けられている側を正面側X1とし、正面側X1の反対側を裏面側X2とする。
【0016】
本実施の形態1に係る化粧パネル22は、リブの配置および形状を工夫することで、成形工程の冷却時において発生する主部のゆがみ量を抑制することを技術的特徴としている。そこで、この技術的特徴に関する具体的な構成について、図2図3を用いて詳細に説明する。
【0017】
図2は、本発明の実施の形態1に係るパネルユニット10において、化粧パネル22を固定枠11に取り付ける様子を示した説明図である。また、図3は、本発明の実施の形態1に係る化粧パネル22の形状を示す説明図である。図3(a)は、化粧パネル22の上面図、図3(b)は、化粧パネル22の正面図、図3(c)は、化粧パネル22の下面図をそれぞれ示している。
【0018】
図2に示すように、化粧パネル22は、正面側X1から裏面側X2の方向で、固定枠11に取り付けられることで、タッチキー21が設けられた操作部20の前面を覆う状態となる。このような化粧パネル22の取り付けの際には、化粧パネル22の上部に設けられた複数のリブ24が、固定枠11に差し込まれることとなる。
【0019】
本実施の形態1に係る化粧パネル22は、図3に示すように、主部23と、上部に設けられた複数のリブ24と、左右に設けられた複数のリブ25と、下部に設けられた複数のリブ26と、を有して構成されている。ここで、上部に設けられた複数のリブ24は、固定枠11に対して化粧パネル22を取り付ける際に利用される。
【0020】
一方、その他のリブ25、26は、化粧パネル22が固定枠11に取り付けられた後のパネルユニット10を、扉3の開口部3aに裏面側から取り付ける際に利用される。すなわち、リブ25、26は、扉3の裏面により固定枠11に押し付けられる形となる。このようにして、リブ24~26を利用することで、販売後におけるパネルユニット10の温度変化等による反りを抑制することができる。
【0021】
なお、図2図3に示したように、化粧パネル22は、一般的に矩形形状を有している。そして、矩形形状の外周辺のうち、上辺に設けられた複数のリブ24は、第1リブに相当する。また、矩形形状の外周辺のうち、上辺以外に設けられた複数のリブ25、26は、第2リブに相当する。
【0022】
リブ24~26の板厚は、主部23の板厚よりも薄く形成される。従って、成形工程の冷却時に、リブ24~26が固まった後も、リブよりも厚みのある主部23は、さらに収縮することになる。従来は、リブ24~26が、化粧パネル22の各外周辺に沿って、それぞれの辺と同じ長さで形成されていた。この場合には、成形工程の冷却時に、主部23にゆがみが生じ、反りが発生する問題があった。
【0023】
これに対して、本実施の形態1では、化粧パネル22の各辺に設けるリブが複数に分割されており、それぞれの辺において、複数のリブが複数の固定片として機能するように配置されている。このように、リブ24~26のそれぞれを、複数の固定片に分割することで、成形工程の冷却時に発生する主部23の反りを抑制することができる。すなわち、各辺のリブを複数に分割することで、成形工程の冷却時に、複数のリブ24~26が硬化した後に続く主部23のゆがみを抑制することができる。
【0024】
以上のように、実施の形態1によれば、化粧パネルに設けられるリブを、各辺で複数に分割して形成している。この結果、成形工程の冷却時に、複数に分割されたリブの硬化後に収縮が続く主部にゆがみが発生することを抑制することができる。
【0025】
なお、リブに関しては、すべての辺のリブを複数に分割する必要はなく、例えば、固定枠11に差し込まれるリブ24を分割配置することで、主部23に発生するゆがみ量を抑制することができる。
【符号の説明】
【0026】
10 パネルユニット、11 固定枠、20 操作部、21 タッチキー、22 化粧パネル、23 主部、24~26 リブ、30 表示部、31 液晶パネル。
図1
図2
図3