(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-18
(45)【発行日】2023-05-26
(54)【発明の名称】車両用灯具
(51)【国際特許分類】
F21S 43/239 20180101AFI20230519BHJP
F21S 43/14 20180101ALI20230519BHJP
F21S 43/237 20180101ALI20230519BHJP
F21S 43/245 20180101ALI20230519BHJP
F21S 43/27 20180101ALI20230519BHJP
F21S 43/241 20180101ALI20230519BHJP
F21V 8/00 20060101ALI20230519BHJP
F21S 43/145 20180101ALI20230519BHJP
F21W 103/00 20180101ALN20230519BHJP
F21W 103/35 20180101ALN20230519BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20230519BHJP
F21Y 115/15 20160101ALN20230519BHJP
【FI】
F21S43/239
F21S43/14
F21S43/237
F21S43/245
F21S43/27
F21S43/241
F21V8/00 310
F21S43/145
F21W103:00
F21W103:35
F21Y115:10
F21Y115:15
(21)【出願番号】P 2018151596
(22)【出願日】2018-08-10
【審査請求日】2021-07-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000001133
【氏名又は名称】株式会社小糸製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【氏名又は名称】森下 賢樹
(74)【代理人】
【識別番号】100109047
【氏名又は名称】村田 雄祐
(74)【代理人】
【識別番号】100109081
【氏名又は名称】三木 友由
(72)【発明者】
【氏名】本村 憲一
【審査官】野木 新治
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-024899(JP,A)
【文献】特表2013-513912(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0178152(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 43/239
F21S 43/14
F21S 43/237
F21S 43/245
F21S 43/27
F21S 43/241
F21V 8/00
F21S 43/145
F21W 103/00
F21W 103/35
F21Y 115/10
F21Y 115/15
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源と、前記光源からの光を導光して第1発光面から出射する板状導光体と、を有する第1板状発光体と、
光を第2発光面から出射する第2板状発光体と、
を備える車両用灯具であって、
前記板状導光体は、当該板状導光体の一側面に設けられた、前記光源からの光を当該板状導光体内に入射する入射面と、当該板状導光体の前面に設けられた前記第1発光面と、当該板状導光体の前記前面と対向する後面であって、当該板状導光体の内部を進行する光の一部を前記第1発光面から出射させるための複数のステップが設けられた後面と、を有し、
当該車両用灯具を正対した場合に、前記第1発光面に前記第2発光面の発光が虚像として映り込んで見える角度で、前記第1板状発光体と前記第2板状発光体が配置されており、
前記第1板状発光体と前記第2板状発光体は、前記第1発光面と前記第2発光面とが対向するように配置されており、
前記第1板状発光体の前記第1発光面から照射された光と、前記第2板状発光体の前記第2発光面から照射された後、前記第1板状発光体の前記第1発光面で反射された光とが灯具前方に照射される、ことを特徴とする車両用灯具。
【請求項2】
前記第1発光面にハーフ蒸着処理が施されていることを特徴とする請求項1に記載の車両用灯具。
【請求項3】
前記第2板状発光体は、第2の光源と、前記第2の光源からの光を導光して前記第2発光面から出射する第2の板状導光体と、を有することを特徴とする請求項1または2に記載の車両用灯具。
【請求項4】
前記光源と前記第2の光源は共通の光源であることを特徴とする請求項3に記載の車両用灯具。
【請求項5】
前記共通の光源は、ライトパイプを備えることを特徴とする請求項4に記載の車両用灯具。
【請求項6】
前記第1発光面は、三次元曲面から成ることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の車両用灯具。
【請求項7】
前記第1発光面と前記第2発光面は、異なるパターンで発光することを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の車両用灯具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用灯具に関し、特に板状の発光体を灯室内に収容した車両用灯具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、車両用灯具等の発光装置を薄く小型化するために、光源に有機ELパネルを使用すること提案されている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
有機ELパネルは、通常、平面的な発光面を有するため、有機ELパネルを光源として用いた発光装置は画一的な意匠となりがちである。
【0005】
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、車両用灯具の意匠性を向上することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の車両用灯具は、光源と、光源からの光を導光して第1発光面から出射する板状導光体と、を有する第1板状発光体と、光を第2発光面から出射する第2板状発光体と、を備える。当該車両用灯具を正対した場合に、第1発光面に第2発光面の発光が虚像として映り込んで見える角度で、第1板状発光体と第2板状発光体が配置されている。
【0007】
第1発光面にハーフ蒸着処理が施されていてもよい。
【0008】
第2板状発光体は、第2の光源と、第2の光源からの光を導光して第2発光面から出射する第2の板状導光体と、を有してもよい。
【0009】
光源と第2の光源は共通の光源であってもよい。
【0010】
共通の光源は、ライトパイプを備えてもよい。
【0011】
第1発光面は、三次元曲面から成ってもよい。
【0012】
第1発光面と第2発光面は、異なるパターンで発光してもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、車両用灯具の意匠性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の実施形態に係る発光装置を用いた車両用灯具の概略正面図である。
【
図4】
図1に示す灯具ユニットのA-A断面図である。
【
図5】
図1に示す灯具ユニットのB-B断面図である。
【
図6】本実施形態に係る灯具ユニットの発光の様子を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して本発明の実施形態に係る車両用灯具について詳細に説明する。なお、本明細書において「上」、「下」、「前」、「後」、「左」、「右」、「内」、「外」等の方向を表す用語が用いられる場合、それらは車両用灯具が車両に装着されたときの姿勢における方向を意味する。また、各図面は各部材の位置関係を説明することを目的としているため、必ずしも実際の各部材の寸法関係を表すものではない。また、各実施形態の説明において、同一または対応する構成要素には同一の符号を付し、重複する説明は適宜省略する。
【0016】
図1は、本発明の実施形態に係る車両用灯具100の概略正面図である。車両用灯具100は、例えば車両後部に設けられるテールランプやストップランプに用いることができる。
【0017】
図1に示すように、車両用灯具100は、ランプボディ102と、ランプボディ102の前面開口部を覆う透明なカバー104と、ランプボディ102およびカバー104により形成された灯室106内に設けられた灯具ユニット10とを備える。
【0018】
図2は、灯具ユニット10の平面図である。
図3は、灯具ユニット10の左側面図である。
図4は、
図1に示す灯具ユニット10のA-A断面図である。
図5は、
図1に示す灯具ユニット10のB-B断面図である。
【0019】
図1~
図5に示すように、灯具ユニット10は、LED11と、ライトパイプ12と、第1板状発光体14と、第2板状発光体16とを備える。
【0020】
ライトパイプ12は、棒状の導光体であり、その延出方向に垂直な断面形状は略円形である。略円形とは、円形のほかに楕円形状や円形を崩した形状を含む。ライトパイプ12は、LED11からの光を端面に設けられた入射端面12aから内部に入射する。ライトパイプ12は、内部に入射した光を導光しながら、ライトパイプ12の延出方向に沿った出射面12bから外部に出射する。
【0021】
第1板状発光体14は、三次元曲面から成る板状導光体である。第1板状発光体14は、その下側面に設けられた入射面14aと、その前面に設けられた第1発光面14bと、その後面に設けられた複数のステップ14cとを有する。第1板状発光体14は、入射面14aから入射した光を内部で導光しながら、第1発光面14bから灯具前方に向けて出射する。ステップ14cは、第1板状発光体14の内部を進行する光の一部を屈折して灯具前方に出射させる役割を有する。本実施形態では、ステップ14cは、第1板状発光体14の後面に形成された断面が三角形の凹状のステップであるが、ステップ14cの形状は特に限定されず、例えば凸状のステップであってもよい。
【0022】
第1発光面14bは、三次元曲面を有する。また、第1発光面14bには、アルミなどによりハーフ蒸着処理が施されている。
【0023】
第2板状発光体16は、平板状の導光体である。第2板状発光体16は、その後側面に設けられた入射面16aと、その上面に設けられた第2発光面16bと、その下面に設けられた複数のステップ16cとを有する。第2板状発光体16は、入射面16aから入射した光を内部で導光しながら、第2発光面16bから上方に向けて出射する。ステップ16cは、第2板状発光体16の内部を進行する光の一部を屈折して上方に出射させる役割を有する。本実施形態では、ステップ16cは、第2板状発光体16の下面に形成された断面が三角形の凹状のステップであるが、ステップ16cの形状は特に限定されず、例えば凸状のステップであってもよい。
【0024】
本実施形態において、ライトパイプ12は、第1板状発光体14および第2板状発光体16に関して共通の光源となっている。しかしながら、別の実施形態では、第1板状発光体14と第2板状発光体16のそれぞれに対して別々の光源(ライトパイプ)が設けられてもよい。
【0025】
第1板状発光体14と第2板状発光体16は、それぞれの発光面の向きが異なるように隣接して配置される。本実施形態において、第1板状発光体14と第2板状発光体16は、車両用灯具100(灯具ユニット10)を正対した場合に、第1板状発光体14の第1発光面14bに第2板状発光体16の第2発光面16bの発光が虚像として映り込んで見える角度で、配置されている。本実施形態では、
図4の断面図に示すように、第1板状発光体14と第2板状発光体16は、発光面同士が45度の角度をもって対向するように配置されている。
【0026】
図6は、本実施形態に係る灯具ユニット10の発光の様子を説明するための図である。LED11に電流が与えられとLED11が発光する。LED11から発光した光は、入射端面12aからライトパイプ12内に入射する。ライトパイプ12内に入射した光は、全反射を繰り返しながらライトパイプ12内を進行する。ライトパイプ12内を進行する間に、光は出射面12bから出射する。
【0027】
ライトパイプ12の出射面12bから出射した光の一部は、入射面14aから第1板状発光体14内に入射する。第1板状発光体14内に入射した光は、第1板状発光体14内を進行しながら、第1板状発光体14の後面に形成されたステップ14cで屈折されて前面の第1発光面14bから灯具前方に照射される(光線L1,L2参照)。
【0028】
一方、ライトパイプ12の出射面12bから出射した光の別の一部は、入射面16aから第2板状発光体16内に入射する。第2板状発光体16内に入射した光は、第2板状発光体16内を進行しながら、第2板状発光体16の下面に形成されたステップ16cで屈折されて上面の第2発光面16bから上方に照射される。第2発光面16bから照射された光は、ハーフ蒸着処理が施された第1板状発光体14の第1発光面14bで灯具前方に向かって反射される(光線L3,L4参照)。
【0029】
このように、本実施形態に係る車両用灯具100では、第1板状発光体14の第1発光面14bから照射された光(光線L1,L2参照)と、第2板状発光体16の第2発光面16bから照射された後、第1板状発光体14の第1発光面14bで反射された光(光線L3,L4)とが灯具前方に照射される。
【0030】
また、本実施形態に係る車両用灯具100では、車両用灯具100を正対したときに、第1板状発光体14の第1発光面14bに、第2板状発光体16の第2発光面16bの発光が虚像として映り込んで見える。例えば、実際には第2板状発光体16の第2発光面16bの所定位置Paから出射される光線L3が、第1板状発光体14の第1発光面14bの奥行き方向の位置Pa’から出射されているのように見え、実際には第2板状発光体16の第2発光面16bの別の所定位置Pbから出射される光線L4が、第1板状発光体14の第1発光面14bの奥行き方向の別の位置Pb’から出射されているように見える。すなわち、第1板状発光体14の奥行き方向にあたかも虚像16’としての発光体が存在し、該虚像16’から光が照射されているかのように見える。
【0031】
このように、本実施形態に係る車両用灯具100によれば、車両用灯具100を正面から見たときに、手前側の第1板状発光体14の第1発光面14bからの発光(光線L1,L2参照)と、奥側の虚像16’からの発光(光線L3,L4参照)とが重なり合うので、奥行き感のある立体的な発光状態を視認者に提示することができる。従って、本実施形態によれば、意匠性を向上した車両用灯具100を実現できる。
【0032】
奥行き感のある発光状態を視認者に提示するためには、他にも例えば、2つの板状発光体を前後方向に間隔を空けて配置する方法が考えられる。しかしながら、この場合は、非点灯時に一方の発光体の後に他方の板状発光体が見えるため、奥行き感のある発光状態がある程度視認者に予見されてしまい、点灯時に驚き感を視認者に与えることが難しい。
【0033】
一方、本実施形態に係る車両用灯具100では、正面視において、非点灯時には第1板状発光体14しか見えず、点灯時に第1板状発光体14の奥側に第2板状発光体16の虚像16’が映し出されることから、視認者に驚き感を与えることができる。
【0034】
また、本実施形態に係る車両用灯具100は、第1板状発光体14の第1発光面14bと第2板状発光体16の第2発光面16bが異なるパターンで発光するように構成されている。板状発光体の発光パターンは、板状発光体に形成されたステップのパターンによって決まる。このように、第1発光面14bと第2発光面16bとが異なるパターンで発光することにより、2つの異なる発光パターンが奥行き方向で重なり合った斬新な発光パターンを提示することができる。
【0035】
また、本実施形態に係る車両用灯具100では、第1板状発光体14として、有機ELパネルではなく、板状導光体を用いている。有機ELパネルは三次元曲面とすることができないが、板状導光体であれば三次元曲面とすることが用意である。したがって、本実施形態によれば、形状の自由度の高い車両用灯具100を実現できる。なお、別の実施形態では、第2板状発光体16として、板状導光体に代えて有機ELパネルを用いてもよい。
【0036】
以上、実施の形態をもとに本発明を説明した。これらの実施形態は例示であり、各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0037】
上述の実施形態では、第1板状発光体14、第2板状発光体16に向けて光を出射する光源としてライトパイプ12を用いたが、LEDからの光を直接的に第1板状発光体14、第2板状発光体16の入射面に入射させてもよい。
【符号の説明】
【0038】
10 灯具ユニット、 11 LED、 12 ライトパイプ、 14 第1板状発光体、 16 第2板状発光体、 100 車両用灯具。