(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-18
(45)【発行日】2023-05-26
(54)【発明の名称】排気システムにおいて還元剤インジェクタの目詰まりを診断・低減する方法
(51)【国際特許分類】
F01N 3/18 20060101AFI20230519BHJP
F01N 11/00 20060101ALI20230519BHJP
F01N 3/08 20060101ALI20230519BHJP
【FI】
F01N3/18 C ZAB
F01N11/00
F01N3/08 B
(21)【出願番号】P 2018159893
(22)【出願日】2018-08-29
【審査請求日】2021-08-23
(32)【優先日】2017-08-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】391020193
【氏名又は名称】キャタピラー インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】CATERPILLAR INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ブライアン・コール
(72)【発明者】
【氏名】サンケット・ヨール
(72)【発明者】
【氏名】ダリン・マッコイ
(72)【発明者】
【氏名】ジョナサン・トランド
(72)【発明者】
【氏名】ウェイン・デイヴィ
【審査官】鷲巣 直哉
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-249801(JP,A)
【文献】国際公開第2012/090555(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0010529(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0083424(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0269418(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01N 3/18
F01N 11/00
F01N 3/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジン排気システムにおいて排出物を処理するための還元剤送達システムであって:
前記排気システム内で排気コンジットと連結する構造を持つ電子制御還元剤インジェクタと;
前記電子制御還元剤インジェクタに連結された電子制御ポンプと;
前記電子制御還元剤インジェクタおよび前記電子制御ポンプの各々に連結された電子制御ユニットとを含み、前記電子制御ユニットは:
複数のモニタリング期間の各々において、前記電子制御ポンプのポンプデューティサイクルを示すデータを受信し;
複数モニタリング期間中の前記還元剤の第1量が注入される第1モニタリング期間と、複数モニタリング期間中の前記還元剤の第2量が注入される第2モニタリング期間と、における前記ポンプデューティサイクル間の階差に基づいて診断値を計算し;
前記診断値をしきい値と比較し;および
前記診断値と該しきい値の前記比較ステップに基づいて前記還元剤インジェクタの目詰まりを示すエラー信号を出力する、構造を持
ち、
前記電子制御ポンプのポンプデューティサイクルを示す前記データは、ポンプデューティサイクル平均値を含み、および前記電子制御ユニットはさらに、複数のモニタリング期間の各々において、前記電子制御還元剤インジェクタのインジェクタデューティサイクル平均値を示すデータを受信する構造を持ち;
前記ポンプデューティサイクル平均値は、平均ポンプデューティサイクルを含み、および前記インジェクタデューティサイクル平均値は平均インジェクタデューティサイクルを含み;
前記電子制御ユニットはさらに、インジェクタデューティサイクル平均値を示す前記データに基づいて、複数モニタリング期間中の前記第1モニタリング期間と、複数モニタリング期間中の前記第2モニタリング期間と、を決定する構造を持つ、ことを特徴とする、エンジン排気システムにおいて排出物を処理するための還元剤送達システム。
【請求項2】
前記還元剤の極小量は複数モニタリング期間のうちの前記第1モニタリング期間中に注入され、および前記還元剤の極大量は複数モニタリング期間のうちの前記第2モニタリング期間に注入され;および
前記電子制御ユニットはさらに、複数モニタリング期間のうちの前記第1モニタリング期間における前記ポンプデューティサイクル平均値を、複数モニタリング期間のうちの前記第2モニタリング期間における前記ポンプデューティサイクル平均値から減算する構造を持つ、
請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記電子制御ユニットはさらに、ポンプ磨耗またはフィルター負荷の少なくとも1つを補正する補正係数を計算し、および前記補正係数に基づいて前記診断値を計算する構造をもち;
前記電子制御ユニットはさらに、前記インジェクタデューティサイクルのゼロ状態を検出し、および前記インジェクタデューティサイクルが前記ゼロ状態の間にポンプデューティサイクル平均値に基づいて前記補正係数を計算する構造を持ち;および
前記補正係数は乗数を含み、および前記電子制御ユニットはさらに、前記ポンプデューティサイクル平均値
の指数と目標値とを計算することで前記補正係数を計算する構造を持つ、
請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記電子制御ユニットはさらに:
前記還元剤送達システム内の還元剤タンクの
還元剤温度に基づいて前記しきい値を決定し;および
前記還元剤インジェクタまたは前記還元剤インジェクタを受け入れる排気コンジットに排気ガスを供給する内燃機関の少なくとも1つが稼働している時に、変更のコマンドを発行する、構造を持つ請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
内燃機関の排気システム中の還元剤インジェクタの目詰まりを低減させる方法であって、前記方法は:
前記排気システム中の排気コンジットと連結する構造を持つ還元剤インジェクタのデューティサイクルをモニタリングするステップと;
還元剤を前記還元剤インジェクタに供給するように動作するポンプのデューティサイクルをモニタリングするステップと;
複数モニタリング期間のうち還元剤の第1量が前記排気コンジットに送達される第1モニタリング期間における前記ポンプのデューティサイクルと、複数モニタリング期間のうち前記還元剤の第2量が前記排気コンジットに投入される第2モニタリング期間における前記ポンプのデューティサイクルとの間の階差に基づいて診断値を計算するステップと;
前記診断値に基づいてエラー信号を出力するステップと;および
前記エラー信号に応答して目詰まりしたインジェクタの低減処置を起動するステップと、を含
み、
前記目詰まりしたインジェクタの低減処置を起動するステップは、排気ガスを前記排気コンジットに供給するか、前記還元剤インジェクタ内の高流量ルーチンに供給する内燃機関において、熱管理ルーチンの少なくとも1つを開始するコマンドを発行するステップを含み;および
前記方法はさらに、ポンプ磨耗またはフィルター負荷の少なくとも1つに基づく補正係数を計算するステップと、および前記補正係数に基づいて前記診断値を計算するステップと、を含む、目詰まりを低減させる方法。
【請求項6】
複数モニタリング期間のうちの前記第1モニタリング期間における前記ポンプの前記デューティサイクルと複数モニタリング期間のうちの前記第2モニタリング期間における前記ポンプの前記デューティサイクルは各々デューティサイクル平均値を含み;
前記方法はさらに:
複数モニタリング期間のうちの前記第1モニタリング期間における前記デューティサイクル平均値と、複数モニタリング期間のうちの前記第2モニタリング期間における前記デューティサイクル平均値との間の階差を前記補正係数で乗算するステップと;
前記診断値をしきい値と比較するステップと、および前記診断値をしきい値と前記比較するステップに基づいて前記エラー信号を出力するステップと;および
還元剤温度座標と、複数モニタリング期間のうちの前記第1モニタリング期間と複数モニタリング期間のうちの前記第2モニタリング期間との間の、前記還元剤インジェクタのデューティサイクルの階差に対応するインジェクタデューティサイクル座標と、を有する多次元マップにおいて、前記しきい値を検索するステップと、を含む、
請求項5に記載の方法。
【請求項7】
内燃機関用の排気システムであって:
還元剤タンク;
排気コンジット;
前記排気コンジットと連結する構造を持つ電子制御還元剤インジェクタ;
前記還元剤タンクから前記電子制御還元剤インジェクタに還元剤を供給する構造を持つ電子制御ポンプ;
前記電子制御還元剤インジェクタおよび前記電子制御ポンプの各々に連結された電子制御ユニットと、を含み、前記電子制御ユニットは:
前記電子制御還元剤インジェクタのデューティサイクルを示すデータと、および前記電子制御ポンプのデューティサイクルを示すデータと、を受信し;
複数モニタリング期間中の還元剤の第1量が前記排気コンジットに送達される第1モニタリング期間における前記電子制御ポンプのデューティサイクルと、複数モニタリング期間中の前記還元剤の第2量が前記排気コンジットに送達される第2モニタリング期間における前記電子制御ポンプのデューティサイクルと、の間の階差に基づいて診断値を計算し;
前記診断値をしきい値と比較し;
前記診断値としきい値との前記比較に基づいてエラー信号を出力し;および
前記エラー信号に応答して目詰まりしたインジェクタの低減処置を起動する、構造を持
ち、
前記電子制御ポンプのポンプデューティサイクルを示す前記データは、ポンプデューティサイクル平均値を含み、および前記電子制御ユニットはさらに、複数のモニタリング期間の各々において、前記電子制御還元剤インジェクタのインジェクタデューティサイクル平均値を示すデータを受信する構造を持ち;
前記ポンプデューティサイクル平均値は、平均ポンプデューティサイクルを含み、および前記インジェクタデューティサイクル平均値は平均インジェクタデューティサイクルを含み;
前記電子制御ユニットはさらに、インジェクタデューティサイクル平均値を示す前記データに基づいて、複数モニタリング期間中の前記第1モニタリング期間と、複数モニタリング期間中の前記第2モニタリング期間と、を決定する構造を持つ、ことを特徴とする、エンジン排気システムにおいて排出物を処理するための、排気システム。
【請求項8】
さらに、前記還元剤タンクに連結された温度センサーを含み、および前記電子制御ユニットはさらに、前記
温度センサーによって生み出され、前記還元剤タンク内の還元剤の温度を示すデータを受信し、および前記温度センサーによって生み出された前記データに基づいて前記しきい値を決定する構造を持つ、
請求項7に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は概してエンジン排気ガス処理に関し、およびより詳細にはエンジン排気システムにおける還元剤インジェクタの目詰まり診断に関する。
【背景技術】
【0002】
内燃機関は周知であり、電気エネルギーと、陸上や海上、空中のための乗り物や、およびポンプ、コンプレッサ、コンベヤなど回転トルクを使用する他の多様な用途のために推進力とを作り出すために広く使用されている。技術者たちは最近数十年間、エンジン排気ガスの特定の成分の量を減らす努力を続けてきた。エンジンのタイプ、用途、動作環境、法制上の要求、およびその他の要因によって、排気ガス成分または関心対象の排出物は、一括して「NOx」と呼ばれる窒素酸化物、ススや灰の本性である粉状物質、一酸化炭素、および未燃炭化水素を含む。現代の圧縮点火ディーゼルエンジンのNOxおよび粒状物質の除去方法は、大きなコストおよび/または複雑さを使わずに実現する挑戦であることをしばしば証明した。
【0003】
エンジン排気流から好ましくない排出物を除去することに役立つ様々な化学的および物理的「トラップ」、フィルター、および触媒が開発されてきた。特定の排出物を制限または取り除く他の試みは、ポスト噴射方法、可変ジオメトリータービンまたはウエストゲート、およびさらにその他を含む排気ガスを作り出すエンジンシステムの動作に注目してきた。最近、選択触媒還元、または「SCR」モジュールとして公知のメカニズムが開発され、このメカニズムはエンジン排気システムと連結されたり、その装置に一体化されており、および特にとりわけ液状還元剤を排気流に注入する装置を含む。一般に使用されている液状還元剤は、いわゆる尿素水、またはより一般にはディーゼル排気流体、またはDEFを含み、および時には炭化水素燃料を含む。還元剤注入はSCRモジュールその他で使用され、よく特徴づけられた化学的経路に従ってNOxを減少させる。
【0004】
尿素の注入システムおよび同種のものは機能が実証されているが、問題がない訳ではない。例えば、内部に配置されて排気流状態にさらされた還元剤インジェクタまたは「ドージングバルブ」は固形付着物によって詰まり得ることが観察されている。還元剤インジェクタにとって使用可能な流れ範囲の制限は、関連するNOx削減制御技術をより効果が弱くまたはより非効率にする。Wang外に付与された米国特許出願公開第2012/0286063号は、スペクトル解析を使用した尿素インジェクタ診断に関する。Wang外は、尿素ドージングモジュールの制御コマンドをモニターし、制御コマンドの搬送周波数を決定し、および次いで搬送周波数でライン圧を評価して尿素ドージングモジュールでインジェクタ障害を示すことで、尿素ドージングモジュールでインジェクタ障害を示すステップを提案する。Wang外その他は、尿素ドージングモジュール診断の技術においていくつかの発展を証明しているが、優れた代替技術の余地が十分にある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一態様では、エンジン排気システムにおいて排出物を処理するための還元剤送達システムは、排気システム内で排気コンジットと連結する構造を持つ電子制御還元剤インジェクタと、および該電子制御還元剤インジェクタに連結された電子制御ポンプとを含む。該システムはさらに、電子制御還元剤インジェクタおよび電子制御ポンプの各々に連結された電子制御ユニットを含み、該電子制御ユニットは、複数のモニタリング期間の各々において、該電子制御ポンプのポンプデューティサイクルを示すデータを受信し、およびポンプデューティサイクルと、複数モニタリング期間中の還元剤の第1量が注入される第1モニタリング期間と、複数モニタリング期間中の還元剤の第2量が注入される第2モニタリング期間との間の階差に基づいて診断値を計算する構造を持つ。該電子制御ユニットはさらに、該診断値をしきい値と比較し、および診断値としきい値との該比較に基づいて還元剤インジェクタの目詰まりを示すエラー信号を出力する構造を持つ。
【0006】
別の態様では、内燃機関の排気システムにおいて還元剤インジェクタの目詰まりを低減する方法は、該排気システム内で排気コンジットに連結する構造を持つ還元剤インジェクタのデューティサイクルをモニターするステップと、および還元剤を該還元剤インジェクタに供給するように動作するポンプのデューティサイクルをモニターするステップとを含む。該方法はさらに、複数モニタリング期間のうち還元剤の第1量が排気コンジットに送達される第1モニタリング期間におけるポンプのデューティサイクルと、複数モニタリング期間のうち還元剤の第2量が排気コンジットに送達される第2モニタリング期間におけるポンプのデューティサイクルとの間の階差に基づいて診断値を計算するステップを含む。該方法はさらに、該診断値に基づいてエラー信号を出力するステップと、および該エラー信号に応答して目詰まりしたインジェクタの低減処置を起動するステップとを含む。
【0007】
さらに別の態様では、内燃機関用の排気システムは還元剤タンク、排気コンジット、該排気コンジットに連結された電子制御還元剤インジェクタ、および該還元剤タンクから該電子制御還元剤インジェクタに還元剤を供給する構造を持つ電子制御ポンプを含む。該システムはさらに、電子制御還元剤インジェクタと電子制御ポンプの各々に連結された電子制御ユニットを含む。該電子制御ユニットは、電子制御還元剤インジェクタのデューティサイクルを示すデータと、および電子制御ポンプのデューティサイクルを示すデータとを受信する構造を持つ。該電子制御ユニットはさらに、複数モニタリング期間中の還元剤の第1量が排気コンジットに送達される第1モニタリング期間における電子制御ポンプのデューティサイクルと、複数モニタリング期間中の還元剤の第2量が排気コンジットに送達される第2モニタリング期間における電子制御ポンプのデューティサイクルとの間の階差に基づいて診断値を計算する構造を持つ。該電子制御ユニットはさらに、該診断値をしきい値と比較し、該診断値としきい値との該比較に基づいてエラー信号を出力し、および該エラー信号に応答して目詰まりしたインジェクタの低減処置を起動する構造を持つ。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】一実施形態に従って還元剤送達システムを含むエンジン装置のダイヤグラム;
【
図2】一実施形態に従って還元剤送達システムの概略図;
【
図3】一実施形態に従って実施例の制御ロジックフローを図示するフローチャート;
【
図4】一実施形態に従って実施例の制御ロジックフローを図示する別のフローチャート;
【
図6】インジェクタの階差に関するポンプの階差と、および還元剤インジェクタが目詰まりしているか決定するための診断用しきい値を図示するグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1を参照すると、一実施形態に従って、その中に複数の燃焼シリンダー24が形成されて付属するエンジンハウジング30を有するエンジン12を含む内燃機関システム10(以下「エンジンシステム10」と呼ぶ)が示される。燃焼シリンダー24は、クランクシャフト38を概して従来の方法で回転させる構造を持つ往復運動するピストンを備えるだろう。エンジンシステム10は、燃焼シリンダー24の中で燃料と空気の混合が圧縮されて自己着火しきい値に達し、およびディーゼル留出油燃料、バイオディーゼル、およびその他などのさまざまな燃料で動作する構造を持つ圧縮点火内燃ディーゼルエンジンを含み得る。吸気コンジット14につながる空気吸入口21は、燃焼用吸気を吸気マニホールド26に供給し、ターボチャージャ16内のコンプレッサ18を通って吸気は圧縮され、およびアフタークーラー22を通って冷却される。排気マニホールド28は吸気と燃料の燃焼から排気ガスを受け入れて、およびエンジンハウジング30からターボチャージャ16のタービン20を通って排気ガスを排気システム40内の排気コンジット41の中に供給する。エンジン12は直接噴射式であり得るが、本開示はそれによって制限されない。
【0010】
排気システム40は、排気コンジット41に関連する複数の後処理エレメント31、32、34、および35を含み得る。一実施形態において後処理エレメント32は、ディーゼル酸化触媒(DOC)を含み得、および後処理エレメント34は選択触媒還元モジュールを含み得る。後処理エレメント35は後処理エレメント34の下流に配置され得、およびディーゼル微粒子フィルター(DPF)を含み得る。後処理エレメント31は、いわゆる連続再生システムなどのフィルター再生メカニズムを含み得、後処理エレメント32の上流に配置される。連続再生システムまたは類似のメカニズムを持たない実施形態、フィルターを使用しない設計、およびさらにその他の実施形態を含む、異なる配列および構成の後処理エレメントが付属する諸実施形態が意図される。
【0011】
エンジンシステム10はさらに、排気ガス処理および排出削減のために、還元剤送達システム42を含む、排気システム40と組み合わせてまたはその一部として動作する構成部品およびメカニズムを含む。還元剤送達システム42は、少なくとも部分的に排気システム40内の排気コンジット41の中に配置される構造を持つ、電子制御還元剤インジェクタまたはドージングバルブ46と、および電子制御還元剤インジェクタ46と連結され、および還元剤タンク48から電子制御還元剤インジェクタ46に還元剤を供給する構造を持つ電子制御ポンプ44とを含み得る。電子制御還元剤インジェクタ46(以下「インジェクタ46」と呼ぶ)は、電磁石という本性において電動アクチュエータなどの電子制御エレメント47を含み得る。直動型電動アクチュエータなどの別の電子制御エレメント、または電子制御の油圧または空圧アクチュエータ、または還元剤インジェクタ46内部またはその上流に位置するさらに他のいくつかのメカニズムは、尿素水などの液状還元剤または潜在的に液状の炭化水素燃料が排気コンジット41の中に投入するバルブ(図示せず)の開閉を制御するために使用され得る。電子制御ポンプ44(以下「ポンプ44」と呼ぶ)はまた電子制御エレメント45を含み、このエレメントはポンプ44内のポンピングエレメントを回転または往復運動させる構造を持つ電動モーターなどの電動アクチュエータを含み得る。
【0012】
還元剤送達システム42はさらに、還元剤インジェクタ46とポンプ44の各々に連結された電子制御ユニット52を含む。ここでさらに論じる目的のために、還元剤送達システム42はまた、電子制御ユニット52によって処理され、作用されるデータを生み出す構造を持つ、様々なモニタリングおよび/または感知する構成部品を含み得る。この目的のため還元剤送達システム42は、還元剤タンク48に連結されまたはその中に配置され、還元剤タンク48内の還元剤の温度を示すデータを生み出す構造を持つ温度センサー50を含み得る。尿素水および同種のものなどの還元剤の粘度は温度とともに変化し得るので、温度に関する情報は以下の説明からさらに明らかなように本文脈の中で有益に利用できる。また還元剤送達システム42は、ポンプ44と還元剤インジェクタ46の間に流体的に、またはポンプ44の中に配置されて、排気コンジット41の中に注入/投与するために供給される該還元剤の流体圧力を示すデータを生み出す圧力センサー72を含み得る。還元剤送達システム42、またはエンジン装置10はさらに概して、例えば燃料アクチュエータ54または他の燃料制御エレメントと、タービンウエストゲートまたは可変容量タービンアクチュエータ56と、および/または後処理エレメント31に連結されるか、またはさもなければ排気装置40内にある燃料送達システムアクチュエータ58とを含み得る。
【0013】
構成部品54、56、および58の各々は、電子制御ユニット52または別の電子制御ユニットによって生み出された制御コマンドによって制御され得、低減処置を開始および実行して、例えば排気コンジット41内の還元剤インジェクタ46を通って搬送された気体流の温度に影響を及ぼし得る。当業者は、燃料噴射時期の変更、可変容量タービンの調整、タービンウエストゲートの調整、燃料の該排気流への噴射、または他の様々な技術が使用され得て排気ガスの温度を上昇させて燃焼させ、気化させ、またはさもなければ還元剤インジェクタ46のチップにおいて、ノズル開口部を詰まらせるまたはさもなければ目詰まりさせる可能性のある尿素または尿素由来物質の蓄積された付着物を処理することを理解するであろう。
【0014】
エンジン熱管理、および還元剤インジェクタを通じて最大の還元剤を吹き付ける高流量還元剤投入などの様々な技術は、目詰まりした還元剤インジェクタをきれいにするまたは少なくとも部分的にきれいにするために使用できることが認識されているが、そのような目詰まり状態は検出が困難であることが実証されている。一般的適用において、還元剤送達ポンプはPID制御などの閉ループでシステム圧に制御されている。該還元剤インジェクタの動作は概して開ループであり、バルブ開時間とバルブ閉時間、バルブの開期間、または他の要因などの要因に基いて還元剤の所望のドーズを生み出す。該還元剤インジェクタが目詰まりしているなど注入される還元剤の量が不十分の場合、その結果NOx変換に否定的な影響を及ぼし得る。そのようなシステムにおいて還元剤インジェクタの目詰まりを検出するための共通したまたは概して実用的な直接の方法はないので、還元剤インジェクタが目詰まりした際に発生し得る診断の誤りは、一般に問題の根本原因を識別せず、および排気システムの分解、または他の望ましくない高価なまたは労働集約的低減技術などの人手の介入なしに少なくともクリアできない。本開示は、還元剤インジェクタのデューティサイクルとポンプのデューティサイクル間の関係についての洞察を反映し、この洞察は還元剤インジェクタの目詰まりのための診断方法の改善ならびに低減に利用し得る。
【0015】
またここで
図2を参照すると、その中にポンプ44のポンピングエレメント68と、ならびに還元剤を還元剤インジェクタ46に供給する供給ライン66にポンピングエレメント68を選択的に結合する制御バルブ70とを有するポンプハウジング60を含む、還元剤送達システム42についての追加の詳細が示される。またポンプハウジング60の中に、圧力センサー72と電子制御エレメント45が示される。フィルターと増設バルブ(いずれも番号なし)などの構成部品を含む、このようなおよび他の構成部品、およびさらにその他メカニズムが、ポンプハウジングの中に提供され得ることが理解されよう。代替としてそのような構成部品は、ポンプハウジングの外部に配置され得る。供給ライン62は還元剤タンク48から還元剤をポンプハウジング60に供給し、および戻りライン64はポンプ44から還元剤タンク48に送り出された還元剤を戻し得る。ポンプ44は、例えば圧力センサー72によって生み出されたデータに基づいて閉ループの方法で制御され得るので、その結果所望の還元剤の圧力は多少ともいつでも供給ライン66を通って使用可能であることを想起しよう。還元剤インジェクタ46が目詰まりした場合、ポンプ44は所望の圧力を維持する動作頻度が低くなり得る。デューティサイクルは、メカニズムが動作する相対的な時間量として理解できる。ポンプ44のデューティサイクルはそれゆえ、還元剤インジェクタ46が目詰まりしていない状態の所定セットに対して一貫した割合またはパーセンテージであると想定できる。ただし還元剤インジェクタ46が目詰まりした場合、予定された各投与による還元剤流量の低下により圧力損失の発生は少なくなるので、ポンプ44の観察された該デューティサイクルは予想を下回り得る。予想デューティサイクルとポンプ44の実際のまたは観察されたデューティサイクルとの間の該階差は、還元剤インジェクタ46が目詰まりした場合に見つかる他の要因と共に、本文脈において利用し得る。
【0016】
また
図2では、還元剤タンク48中のフィルター74と、および供給ライン66中のポンプ44と還元剤インジェクタ46の間に流体的にある少なくとも1つのフィルター76とが示される。また、フィルターはポンプハウジング60の中でもあり得ることを想起しよう。ポンプデューティサイクルは還元剤インジェクタ46が目詰まりした場合に想定を下回ることがあり得るという観察に加えて、本開示はまた、フィルターのロード状態およびポンプ44の磨耗状態に基づいてポンプ性能が変化し得るという洞察、および想定を下回るポンプのデューティサイクルに基づいて目詰まりした還元剤インジェクタを診断する場合に、このような要因は修正され得るという洞察を反映する。ポンプの磨耗状態または老化状態、およびフィルターの負荷は、ポンプの設計とフィルターの配列および構成に基づいてポンプデューティサイクルと正の相関があり得ることが予想され得るが、本開示はそれによって限定されない。該相関関係が経験的に決定されるような実施形態が考えられる。
【0017】
本開示はさらに、特定の動作条件は、他の動作条件より信頼性の高いまたはより特色のあるデューティサイクルについてのデータを生み出し得、システムの特定の条件または状態をほとんどまたはまったく考慮しないでポンプの動作またはデューティサイクルを評価しようと試みる他の診断方法に対して概して改善し得るという洞察を反映する。以下の説明からさらに明らかなように、作用を受ける該ポンプデューティサイクルデータは、還元剤の異なる注入量に関連するポンプのデューティサイクルデータを含み得る。一具現例において考慮対象の該ポンプデューティサイクルデータは、還元剤の極小量が複数モニタリング期間のうちの第1モニタリング期間に注入されることに対して、還元剤の極大量が複数モニタリング期間のうちの第2モニタリング期間に注入されることなどの、極端な動作に関連するポンプデューティサイクルデータであり得る。電子制御ユニット52は、対応する平均インジェクタデューティサイクルによって示されたように、およびさらに本開示で論じられるように、このモニタリング期間において注入する目的の還元剤量に基づいて、関心対象のポンプデューティサイクルデータに関連する該モニタリング期間を決定できる。
【0018】
図2はまた、還元剤送達システム42の様々なセンサーから、または別の電子制御ユニットから、入力を受信し、ならびに還元剤送達システム42の様々な電子制御メカニズムに、およびできる限りエンジンシステム10の他の部分にも、制御信号を出力する構造を持つ入出力インターフェース78を含む、電子制御ユニット52の追加構造と構成を図示する。電子制御ユニット52は、エンジン制御ユニットまたは還元剤送達システム42の動作専用制御ユニットを含み得る。電子制御ユニット52はまたプロセッサ80を含み、このプロセッサはマイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)または更に別のコンピュータなどの、任意の好適なコンピュータプロセッサを含み得る。プロセッサ80はメモリーに連結されるが、このメモリーはRAM、ROM、DRAM、SDRAM、FLASH、ハードドライブ、または別のタイプのメモリーを含むことができ、その中にコンピュータ実行可能命令ならびにデータ構造を保存する。図示された実施形態において、メモリー82は複数のソフトウェアモジュールまたは制御ルーチンを含み、これらは別のモジュールとして図示されているが単一モジュールに一体化させ得る。特に、ポンプ制御モジュールを84に示し、目詰まりしたインジェクタ診断モジュールを86に示し、および低減モジュールを88に示す。本開示でさらに論じられるマップは90に示す。モジュール84は、ポンピングエレメント68をオン/オフするか、またはさもなければポンプ44のポンピング出力を変化させる、閉ループ制御ソフトウェアであり得る。診断モジュール86は、本開示で論じたように還元剤インジェクタの目詰まりに関して還元剤送達システム42の診断を実行するための制御ソフトウェアを含み得、および低減モジュール88は還元剤インジェクタ46の目詰まりした状態が診断された場合に処置を行う制御ソフトウェアを含み得る。マップ90は、本開示でさらに説明されるように、目詰まりしたインジェクタの診断に関してしきい値の検索を有効にするように構成され得る。当業者は、電子制御ユニット52の異なるさまざまな構成、同様に該制御機能の複数制御ユニットへの分散、いくつかの制御機能の省略または他の制御機能の追加が可能であることを理解しよう。
【0019】
ここで
図5を参照すると、マップ90の図表示300が示される。マップ90は多次元マップであり得、そのマップでは複数のしきい値340がしきい値座標320、還元剤温度座標310、およびインジェクタ階差座標330によって決定された場所に保存される。本開示でさらに論じられるように、電子制御ユニット52は還元剤温度データを受信してインジェクタ階差を計算し、および計算された診断値と比較するためにしきい値を検索して、還元剤インジェクタ46の目詰まりした状態を検出し得る。該標記しきい値は、インジェクタ階差と正の相関を持ち、および還元剤温度と負の相関を持つと想定され得る。
図6は、インジェクタ階差との比較において、ポンプ階差のグラフにプロットされたしきい値340を図示する。
図5および
図6に掲げる様々な期間の階差、および関係と原理の具現例は、以下により詳細に論じられる。
【0020】
産業上の利用可能性
またここで
図4を参照すると、本開示に従って実施例の制御ロジックフローを図示するフローチャート200が示される。ブロック205では電子制御ユニット52は、目詰まりした還元剤インジェクタ診断の状態が真であるか問い合わせし得る。いいえの場合、例えば該ロジックはループバックするか、終了し得る。はいの場合、該ロジックはブロック210に進んで、ここで論じたように、補正係数を取得するか計算し得る。該ロジックはブロック210から、ブロック215に進み得、インジェクタデューティサイクルおよびポンプデューティサイクルをモニターし得る。一具現例においてインジェクタデューティサイクルおよびポンプデューティサイクルは、複数のモニタリング期間の間モニターされて、ポンプデューティサイクルを示すデータとインジェクタデューティサイクルを示すデータを受信し、複数のモニタリング期間の各々の期間のあいだ、保存される。さらなる具現例において、複数モニタリング期間の各々の期間において、ポンプ44のポンプデューティサイクルを示す該データは、ポンプデューティサイクル平均値を含み、還元剤インジェクタ46のインジェクタデューティサイクルを示す該データは、インジェクタデューティサイクル平均値を含む。該ポンプデューティサイクル平均値は、平均ポンプデューティサイクルを含み得、およびインジェクタデューティサイクル平均値は平均インジェクタデューティサイクルを含み得る。従って、複数のモニタリング期間の各々の期間について、ポンプ44がオンである時間の平均パーセンテージおよび還元剤インジェクタ46がオンである時間の平均パーセンテージに対応する平均値の数値を保存し得る。他の具現例において、可能性としてメディアン、モード、またはいくつかの他の尺度など、該平均値とは異なる中心傾向の尺度を使用し得る。それゆえ電子制御ユニット52は、複数のモニタリング期間またはサンプリング期間中のデータを収集して、このモニタリング期間の各々の期間のデューティサイクル平均値を計算すると理解され得る。該モニタリング期間は所要期間が約10秒以下の場合があり、および複数モニタリング期間の数は、例えば約50以下などの数十の場合がある。
【0021】
該ロジックはブロック215からブロック225に進んで、複数のモニタリング期間の中からインジェクタデューティサイクル最小値とインジェクタデューティサイクル最大値を決め得る。該ロジックはブロック225で、複数のモニタリング期間のうちどの期間が、還元剤インジェクタ46が活性化された時間の相対的比率によって示されるように、還元剤注入最小量に関連するかを決定するステップと理解され得る。インジェクタデューティサイクル最大値も、同様に決定される。使用可能データセットは複数のモニタリング期間からのデータセットのみであるので、該インジェクタデューティサイクル最小値と該インジェクタデューティサイクル最大値は、極小と極大を表すと理解する必要がある。該ロジックはブロック225からブロック230に進んで、対応するポンプデューティサイクルを検索し得る。このポイントで、該ロジックはインジェクタデューティサイクル最小値とインジェクタデューティサイクル最大値に対応するポンプデューティサイクルを決定するものと理解され得る。該ロジックはブロック230からブロック235に進み得る。
【0022】
該ロジックはブロック235でポンプ階差を計算する。該ポンプ階差は、インジェクタデューティサイクル最大値に関連する複数モニタリング期間のうちの1モニタリング期間のポンプデューティサイクルから、インジェクタデューティサイクル最小値に関連する複数モニタリング期間のうちの1モニタリング期間のポンプデューティサイクルを減算することで決定される数値を含み得る。また、ポンプ階差を計算するために使用されるだろうポンプデューティサイクルを厳密に規定するインジェクタデューティサイクル最小値とインジェクタデューティサイクル最大値ではなく、他の事例において、注入される還元剤の第1量と注入される還元剤の第2量が、関心対象の該ポンプデューティサイクルデータを生み出し得ることを理解する必要がある。別の言い方をすれば、該ポンプ階差の計算は、複数モニタリング期間のうち還元剤の第1量が注入される第1モニタリング期間と複数モニタリング期間のうち還元剤の第2量が注入される第2モニタリング期間との間のポンプデューティサイクルの階差を計算するステップを含み得る。該ポンプ階差は、複数モニタリング期間のうちの第1モニタリング期間におけるポンプデューティサイクル平均値を、複数モニタリング期間のうちの第2モニタリング期間におけるポンプデューティサイクル平均値から減算することで計算された階差を含み得ることをさらに理解する必要がある。該インジェクタデューティサイクルデータと類似して、平均ポンプデューティサイクルまたは更に別の中心傾向の尺度が使用され得る。
【0023】
該ロジックは、ブロック235からブロック240に進んで、該ポンプ階差を該補正係数で乗算することで、診断値を決定し得る。該ロジックはブロック240からブロック245に進んで、対応するしきい値を検索し得る。ブロック250で、マップ検索の値および/またはデータが読み取られるか計算される。さらなる具現例において該しきい値は、還元剤温度座標とインジェクタデューティサイクル座標を有する、上述のマップ90などの多次元マップにおいて検索され得る。電子制御ユニット52は、センサー50から還元剤の温度を示すデータを受信することを想起しよう。該インジェクタデューティサイクル座標は、インジェクタデューティサイクル最大値からインジェクタデューティサイクル最小値を減算することによって計算され得る階差などのインジェクタ階差を含み得る。還元剤の粘度は温度とともに変化し得、したがってポンプデューティサイクルは還元剤温度と負に相関し得ることをさらに想起しよう。
【0024】
該ロジックは、該しきい値を決定し該診断値を決定し、ブロック245からブロック255に進み、該診断値を該しきい値と比較する。該ロジックはブロック255からブロック260に進んで、エラー信号を出力し得る。該エラー信号は、還元剤インジェクタ46の目詰まりを示し得る。診断値としきい値との比較の結果エラー信号が出力される一事例は、補正ポンプ階差としても理解される診断値が、しきい値を下回る場合である。
図6の図示に関連して、値340によって規定されたしきい値カーブを下回る診断値は、故障状態と解釈され得る。該診断値が該しきい値を下回る場合、ポンプ44は、還元剤インジェクタ46が目詰まりしない健全なシステムに想定されるものを下回るデューティサイクルで動作していると言えよう。例えば
図6のカーブを上回るなど、該診断値が該しきい値と等しいかより大きい場合、該ポンプデューティサイクルはエラーまたは故障が存在しないと想定される状態に十分に近いと言えよう。他の特定の条件は、インジェクタ階差が例えば約10%以下などの数値目標を下回るなど、結果としてロジックは終了またはループバックになり得る。
【0025】
エラー信号に応答して処置を取り得るか、またはエラー信号は後の評価および/または整備のために、単純にログに記録することがさらに考えられる。一具現例において、
図4で図示された該ロジック、または低減モジュール88によって表わされるロジックなどの異なる制御ロジックは、該エラー信号に応答して目詰まりしたインジェクタの低減処置を起動し得る。そのような処置の起動は、エンジン12における熱管理ルーチンの少なくとも1つを開始するコマンドを発行するステップを含み得、このルーチンは排気ガスを排気コンジット41に供給するか、または例えば還元剤インジェクタ46内の高流量ルーチンに供給する。エンジン12は、該目詰まりを改善または取り除くために十分に高温の排気ガスを生み出すように動作させることができ、還元剤インジェクタ46を比較的長期間のあいだ開いて、過剰還元剤を流出させたりでき、または更に別の処置を取り得る。
【0026】
ここで
図3を参照すると、該補正係数の計算に使用され得る制御ロジックフローを図示するフローチャート100が示される。該補正係数は、例えば生のポンプ階差に乗算してポンプ磨耗および/またはフィルター負荷を補正するような乗数を含み得る。ブロック110で、補正係数計算の条件が真か否かの問合わせを行うことができる。いいえの場合、該ロジックはループバックするか、終了し得る。はいの場合、該ロジックはブロック120に進んで、該ポンプデューティサイクルをモニターし得る。ポンプ44の動作と同時であるか重複する還元剤インジェクタ46の動作は、このようなポンプ磨耗および/またはフィルター負荷の係数に対するポンプ性能の評価において、潜在的にポンプデューティサイクルの有効性または信頼性を危険にさらすと想定し得るので、補正係数計算について真でなければならない条件は該還元剤インジェクタデューティサイクルのゼロ状態の検出を含み得ると考えられる。ポンプデューティサイクルは、ブロック120でモニターされ得、および該ロジックはブロック130に進んで、平均ポンプデューティサイクルなどの受信したポンプデューティサイクルデータに基づいて、ポンプデューティサイクル平均値を計算し得る。該ロジックはブロック130からブロック140に進んで、目標値を該ポンプデューティサイクル平均値で除算し得る、換言すれば目標値の指数とポンプデューティサイクル平均値を計算する。該目標値は、還元剤インジェクタが動作していない場合にポンプをオンにすると想定され得る時間のパーセンテージなどの数値であり得る。したがって、この方法で計算された場合の該補正係数は通常、1より大きい値であると理解されるだろう。該ロジックはブロック140からブロック150に進んで、計算された補正係数を、本開示で意図する目詰まりしたインジェクタの診断ロジックを実行するときに使用するために出力または保存し得る。該補正係数は該診断ロジックの実行時に、いつでも計算され得る。他の事例において、補正係数の計算に好適な条件が検出された場合、またはいくつかの他の要因を基準にして決定された時に、該補正は還元剤送達システム42の使用寿命中に定期的に計算され得る。
【0027】
本説明は説明する目的のみで記述されており、および決して本開示の幅を絞り込むためであると解釈すべきでない。したがって当業者は、本開示の実施形態は本開示の完全で公平な範囲と精神を逸脱せずに様々な変更を行い得ることを理解しよう。他の態様、特徴、および有益は、該添付図と特許請求の範囲を検討する中で明らかになるであろう。本開示に言う冠詞「a」および「an」は、1つ以上のアイテムを含むことを想定しており、および「one or more」と互換的に使用され得る。唯一のアイテムのみを目的とする場合は、用語「one」または類似の文言が使用される。また本開示に言う用語「has」、「have」、「having」、および同種のものは、制限のない用語として意図されている。さらに成句「based on」は、明示的に別の記載がない限り、「based, at least in part, on」を意味するよう意図されている。