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特許7281889易剥離部の開封表示付包装袋および易剥離部の開封確認方法
<図1>
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-18
(45)【発行日】2023-05-26
(54)【発明の名称】易剥離部の開封表示付包装袋および易剥離部の開封確認方法
(51)【国際特許分類】
   B65D 75/60 20060101AFI20230519BHJP
   B65D 33/00 20060101ALI20230519BHJP
【FI】
B65D75/60
B65D33/00 A
B65D33/00 C
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018198256
(22)【出願日】2018-10-22
(65)【公開番号】P2020066436
(43)【公開日】2020-04-30
【審査請求日】2021-10-01
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 ▲1▼2018 日本パッケージングコンテスト表彰式 2018年8月29日 ▲2▼2018 日本パッケージングコンテスト 受賞製品冊子(TOKYO PACK 2018 東京国際包装展) 2018年10月2日~5日
(73)【特許権者】
【識別番号】000206233
【氏名又は名称】大成ラミック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001542
【氏名又は名称】弁理士法人銀座マロニエ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】上林 彰宏
(72)【発明者】
【氏名】芳賀 陽一
(72)【発明者】
【氏名】長須 由惟
【審査官】杉田 剛謙
(56)【参考文献】
【文献】特許第6128623(JP,B1)
【文献】特開2004-159778(JP,A)
【文献】特開2004-292041(JP,A)
【文献】特開2003-208100(JP,A)
【文献】特開平04-242552(JP,A)
【文献】特開2010-110385(JP,A)
【文献】特開2006-181251(JP,A)
【文献】特開2005-059853(JP,A)
【文献】米国特許第4876123(US,A)
【文献】米国特許第5103979(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 75/60-75/62
B65D 81/32
B65D 30/00-33/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベースフィルム層とシーラント層とを具える包装用フィルムを、該シーラント層が内面側になるように重ね合わせ、該包装用フィルムどうしを、被包装物の充填スペースへの押圧によって剥離可能に融着接合してなる易剥離部を具える包装袋であって、
前記包装用フィルムはそれぞれ、前記易剥離部被包装物の注出通路部および前記易剥離部の剥離により進入した被包装物を一時的に滞留させる滞留部の少なくともの形成位置の、前記ベースフィルム層とシーラント層との間に文字、記号、絵柄もしくは図柄またはこれらの二種以上の組み合わせで構成された模様からなる印刷層を有し、
該印刷層の模様は、前記包装用フィルムどうしを重ね合わせた際に隠蔽されるように構成されている一方、重ね合わせた包装用フィルム間への被包装物の進入にしたがって徐々に浮かび上がるように構成されていることを特徴とする易剥離部の開封表示付包装袋。
【請求項2】
前記包装用フィルムのそれぞれに設けられた印刷層の模様は、互いに異なる形態であること、および/または互いに表示の方向が異なること、および/または互いに位置がずれて設けられていることを特徴とする請求項1に記載の易剥離部の開表示付包装袋。
【請求項3】
包装袋を構成するベースフィルム層とシーラント層とを具える包装用フィルムを、該シーラント層が内面側になるように重ね合わせ、該重なり合う包装用フィルムどうしを、被包装物の充填スペースへの押圧によって剥離可能に融着接合して設けてなる易剥離部の開封を確認する方法であって、
前記重なり合う包装用フィルムの、前記易剥離部被包装物の注出通路部および前記易剥離部の剥離により進入した被包装物を一時的に滞留させる滞留部の少なくともの形成位置の、前記ベースフィルム層とシーラント層との間にそれぞれ文字、記号、絵柄もしくは図柄またはこれらの二種以上の組み合わせで構成された模様からなる印刷層を設け、
該印刷層の模様を、前記包装用フィルムどうしを重ね合わせた際には、その態様が隠蔽されるように構成する一方、前記易剥離部の剥離による被包装物の進入によって前記包装用フィルムどうしが相互に離間した際には、該包装用フィルム間への被包装物の進入にしたがって徐々にその態様が視認できるように構成することを特徴とする易剥離部の開封確認方法。
【請求項4】
前記包装用フィルムのそれぞれに設けられた印刷層の模様は、互いに異なる形態であること、および/または互いに表示の方向が異なること、および/または互いに位置がずれて設けられていることを特徴とする請求項3に記載の易剥離部の開確認方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、液体、粘稠物等の被包装物を充填包装するための包装用フィルムからなる包装袋に設けられた易剥離部の開封の有無を、目視で簡単に確認することのできる開封表示機能を有する包装袋と、前記易剥離部の開封を確認する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、飲食品や化粧品、薬剤、溶剤等の液状あるいは粘稠状の被包装物をプラスチックフィルムからなる包装袋に充填包装した製品が広く販売されている。
出願人は先に、挟持力の弱い子供や老人等であっても簡単に液状被包装物の注出を行うことのできる包装袋として、特許文献1および特許文献2において、背貼り接合部に狭幅の注出通路を設けると共に、該注出通路に易剥離部分を設けてなる包装袋を提供した。この包装袋は、注出通路が設けられた背貼り接合部を境として二つに山折りとして包装袋の厚みを約2倍とし、この状態で、液状被包装物の充填スペースを厚み方向に押圧することで、注出通路に設けた易剥離部分を液状被包装物による小さな押圧力の作用の下で開封することができるため、老若男女を問わず、包装袋からの液状被包装物の注出を簡単に行うことができるものである。
【0003】
また、易剥離部を設けた包装袋としては、特許文献3等において包装袋の被包装物の充填スペースを易剥離部によって複数の収容室に分割し、各収容室内に充填された複数の粉体や液体からなる被包装物を、使用開始にあたって前記充填スペースを手指等によって押圧して前記易剥離部を剥離することで混合できるようにした包装袋が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第5731423号公報
【文献】特許第6128623号公報
【文献】特開昭63-19149号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1~3の包装袋では、上記したように被包装物の充填スペースを手指によって押圧することで、加圧された被包装物による押圧によって易剥離部を剥離させることができる。しかしながら、このような包装袋を初めて使用する者にとっては、易剥離部を開封するために手指によってどの程度、押圧すれば良いか分からず不安を覚えたり、易剥離部が開封されたことに気付かず、被包装物が意図せず漏れ出して周囲を汚損する等といった問題点があった。
【0006】
そこで本発明は、包装袋に設けた易剥離部の開封の有無を目視によって簡単に確認できる開封表示機能を有する包装袋と、該易剥離部の開封を確認する方法について提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を実現するために開発した本発明の易剥離部の開封表示付包装袋は、ベースフィルム層とシーラント層とを具える包装用フィルムを、該シーラント層が内面側になるように重ね合わせ、該包装用フィルムどうしを、被包装物の充填スペースへの押圧によって剥離可能に融着接合してなる易剥離部を具える包装袋であって、
前記包装用フィルムはそれぞれ、前記易剥離部被包装物の注出通路部および前記易剥離部の剥離により進入した被包装物を一時的に滞留させる滞留部の少なくともの形成位置の、前記ベースフィルム層とシーラント層との間に文字、記号、絵柄もしくは図柄またはこれらの二種以上の組み合わせで構成された模様からなる印刷層を有し、
該印刷層の模様は、前記包装用フィルムどうしを重ね合わせた際に隠蔽されるように構成されている一方、重ね合わせた包装用フィルム間への被包装物の進入にしたがって徐々に浮かび上がるように構成されていることを特徴としている。
【0008】
また、本発明は易剥離部の開封確認方法に関し、包装袋を構成するベースフィルム層とシーラント層とを具える包装用フィルムを、該シーラント層が内面側になるように重ね合わせ、該重なり合う包装用フィルムどうしを、被包装物の充填スペースへの押圧によって剥離可能に融着接合して設けてなる易剥離部の開封を確認する方法であって、前記重なり合う包装用フィルムの、前記易剥離部被包装物の注出通路部および前記易剥離部の剥離により進入した被包装物を一時的に滞留させる滞留部の少なくともの形成位置の、前記ベースフィルム層とシーラント層との間にそれぞれ文字、記号、絵柄もしくは図柄またはこれらの二種以上の組み合わせからなる模様からなる印刷層を設け、該印刷層の模様を、前記包装用フィルムどうしを重ね合わせた際には、その態様が隠蔽されるように構成する一方、前記易剥離部の剥離による被包装物の進入によって前記包装用フィルムどうしが相互に離間した際には、該包装用フィルム間への被包装物の進入にしたがって徐々にその態様が視認できるように構成することを特徴としている。
【0009】
上記本発明の易剥離部の開封表示付包装袋および易剥離部の開封確認方法においては、前記包装用フィルムのそれぞれに設けられた印刷層の模様は、互いに異なる形態であること、および/または互いに表示の方向が異なること、および/または互いに位置がずれて設けられていること、がより好ましい解決手段である。
【発明の効果】
【0010】
本発明では、包装袋を構成する重なり合う包装用フィルムの、例えば、易剥離部の形成位置にそれぞれ模様からなる印刷層を設け、該印刷層の模様を、例えば相互に異なる文字からなるものにする等して、それらを重ね合わせた際に表示として認識できない(隠蔽される)ように構成する。これにより、前記易剥離部が開封されていない状態においては、該易剥離部に設けられた模様を表示として認識することができないが、包装袋の被包装物の充填スペースを手指で押圧し、加圧された被包装物によって前記易剥離部を押圧して徐々に剥離させると、該剥離部分では重なり合う包装用フィルムの間への被包装物の進入にしたがって包装用フィルムが相互に離隔することで、該部分に設けられた印刷層の模様がそれぞれ表示として認識できるようになり、易剥離部が開封されたことを目視によって確認することができる。
【0011】
また、本発明では、包装用フィルムに設ける印刷層の模様を、文字、記号、絵柄もしくは図柄またはこれらの二種以上の組合せとすることで、例えば、商品名や広告、注意事項を文字やマーク等で表示する等、商品の種類や用途などによって適宜、選択することができ、商品の識別性や使い勝手を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】この発明の易剥離部の開封表示付包装袋の一実施形態を示す平面図である。
図2図1の包装袋を構成する包装用フィルムを示す平面図である。
図3】(a)は図1の包装袋の易剥離部を拡大して示す図であり、(b)は易剥離部を剥離した状態を示す拡大図である。
図4】易剥離部に設けられる印刷層の模様の他の例であり、(a)は表裏の包装用フィルムに異なる文字の模様を同一方向で設けたもの、(b)は表裏の包装用フィルムに同一の文字からなる模様を互いに上下左右で交差するように設けたものである。
図5】この発明の易剥離部の開封表示付包装袋の他の一実施形態であり(a)は平面図であり、(b)は易剥離部を剥離した状態を示す図である。
図6】この発明の易剥離部の開封表示付包装袋の他の一実施形態であり(a)は全体斜視図であり、(b)は開封方法を説明する図である。
図7図6の包装袋の参考写真であり、(a)は易剥離部の剥離前の状態、(b)は易剥離部の剥離後の状態を示す。
図8】包装袋の背貼り部を拡大して示す図であり、(a)は易剥離部の剥離前の状態、(b)は易剥離部の剥離後の状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下にこの発明の実施形態を図面に示すところに基づいて説明する。
図1に示す包装袋の実施形態において、包装袋1は、シーラント層を含む二層以上の積層構造を持つ2枚の包装用フィルムを、シーラント層が内面側になるように重ね合わせ、該シーラント層同士の融着接合によって、縁部に側部シール部2a、2b、上部シール部3および下部シール部4を有すると共に、該シール部2a、2b、3、4に囲まれた液状被包装物の充填スペース5を有する。なお、側部シール部2a、2b、上部シール部3および下部シール部4は、ヒートシール、インパルスシール、高周波ウエルダーシール、超音波シール、その他によって形成することができる。前記シーラント層としては、ポリオレフィン、エチレン酢酸ビニル共重合体、エチレンエチルアクリレート共重合体、エチレンアクリル酸共重合体、エチレンメタクリル酸共重合体、エチレンメチルメタクリル酸共重合体、アイオノマーなどを用いることが好ましい。
【0014】
また、充填スペース5の図1の左右方向中央位置には、該充填スペース5の図1の上下方向に延在する易剥離部6を有し、該易剥離部6によって充填スペース5が2つの収納室5a、5bに分割されている。なお、使用開始にあたっては、液状被包装物の充填された収納室5aおよび/または収納室5bを手指で押圧し、これによって加圧された液状被包装物によって易剥離部6を剥離することで2つの収納室5a、5bを連通させることにより、液状被包装物を混合することができる。
【0015】
易剥離部6は、側部シール部2a、2b、上部シール部3および下部シール部4に比して接合強度が相対的に低い部分であり、例えば加熱温度および加圧力の少なくとも一方を相対的に小さくしてヒートシール等することにより形成することができる。なお、易剥離部6のシール強度は、充填スペース5への手指による押圧による液状物の圧力によって剥離可能なものとし、好ましくは2~20N/15mm幅、より好ましくは5~15N/15mm幅とする。また、易剥離部6のシール幅は、とくに限定されるものではないが、1mm以上、好ましくは3~10mmとすることで、充填スペース5を手指で押圧して剥離させる際の、押圧力の調整が容易となる。
【0016】
図2に、包装袋1を構成する包装用フィルムの一例を示す。この包装用フィルムFには、幅方向中央部に易剥離部6の形成予定位置に合わせて、文字(OPEN)で構成された模様からなる帯状の印刷層7が設けられている。
なお、印刷層7は、例えば、積層構造からなる包装用フィルムFの、包装袋1の最外層となるベースフィルム層の内側の面に、凸版印刷(フレキソ)、凹版印刷(グラビア)、平版印刷(オフセット)等によって印刷形成する他、ベースフィルム層とシーラント層との間に設けた中間層等に印刷形成してもよい。
【0017】
包装袋1は、この印刷層7を有する2枚の包装用フィルムFを、例えば、該印刷層7どうしが重なるように二枚重ねにし、側部シール部2a、2bおよび下部シール部4を形成して袋状にすると共に、印刷層7位置に沿って、充填スペース5を延在するように2枚の包装用フィルムFの内表面同士を融着接合させることで易剥離部6を形成して、充填スペース5を2つの収納室5a、5bに分割し、該収納室5a、5b内に上部開口部から所要量の液状被包装物をそれぞれ充填した後、該上部開口部に上部シール部3を設けることで形成することができる。
【0018】
易剥離部6の位置に設けられた印刷層7には、同一の文字“OPEN”からなる模様が表示されているものの、図3(a)に拡大して示すように、二枚の包装用フィルムFはシーラント層どうしが対向するように表裏に重ねられているため、一方の文字が反転した状態で重なり合っているので、目視では模様を文字表示として判別することができない。
【0019】
この易剥離部6を、上記したように手指による押圧によって加圧された液状被包装物による圧力により、側縁部から徐々に剥離させると、図3(b)に示すように剥離した部分では、表裏の包装用フィルムFが相互に離隔し、該剥離部分に液状被包装物が進入することで印刷層7の文字が浮かびあがり、文字表示として認識できるようになる。したがって、易剥離部6に印刷層7が設けられてなる包装袋1によれば、該印刷層7の表示を観察することで、消費者が易剥離部6の開封状態を目視で確認することができるようになり、安心して使用することができる。
【0020】
なお、印刷層7の模様は、文字の他、記号や絵柄、図柄またはこれらの二種以上の組合せによって構成することもでき、例えば、商品名や広告を表示したり、開封手順や使用方法などの注意事項を表示することもできるため、商品の識別性が向上すると共に、使い勝手が良くなるという効果が期待できる。
また、印刷層7の模様の色は、被包装物の色の反対色にする等、該模様が目立つように被包装物に合わせて適宜、選択することが好ましい。
【0021】
なお、印刷層7は、表裏の包装用フィルムFに形成された模様が重なり合うことで判別できない(隠蔽される)ものであればどのようなものであってもよく、図3(a)に示すように同一の文字を表裏の包装用フィルムFに同一方向で表示させる他、例えば、図4(a)に示すように表裏の包装用フィルムFにそれぞれ異なる文字を表示したり、図4(b)に示すように表裏の包装用フィルムFで文字の表示方向を変える等、とすることができる。
【0022】
また、上記したように印刷層7の模様は、易剥離部6が剥離されるまで認識できないため、該模様の表示を観察することで、易剥離部6のシール不良を目視によって確認することができるという効果も期待でき、消費者だけでなく生産者にも優利な効果が得られる。
【0023】
また、上記実施形態の包装袋1では、易剥離部6を充填スペース5の左右方向中央部に設けているが、充填スペース5を囲繞する側部シール部2a、2b、上部シール部3および下部シール部4のうちの1つまたは複数を易剥離部6とし、充填スペース5への手指による押圧によって加圧された液状被包装物によって該易剥離部6を剥離させると共に、易剥離部6位置に設けた印刷層7を表示させるようにしてもよい。
【0024】
次に、包装袋1の他の実施形態を図5に示す。
この実施形態の包装袋1は、図5(a)に示すように、シーラント層を含む二層以上の積層構造を持つ1枚の包装用フィルムを、シーラント層が内面側になるように幅方向に折り返して二つ折りにした後、その重なり合う包装用フィルムの上端部、下端部および左側端部をヒートシール等して上部シール部3、下部シール部4および側部シール部2aを形成した三方シール形の包装袋である。
【0025】
この包装袋1は、包装用フィルムの折返し辺8近傍位置に、包装袋1の長さ方向に延在するように第1の易剥離部6を有し、該第1の易剥離部6によって上部シール部3、下部シール部4および側部シール部2aによって囲まれた液状被包装物の充填スペース5と上部シール部3、下部シール部4および折返し辺8によって囲まれた滞留部12とに区画されている。また、滞留部12を区画する上部シール部3は、少なくとも一部(図では中央部)が剥離可能(第2易剥離部9)に形成されている。使用開始にあたって、液状被包装物の充填された充填スペース5を手指で押圧すると、これによって加圧された液状被包装物によって第1の易剥離部6が剥離すると共に、充填スペース5内の液状被包装物が滞留部12へと進入し、さらに充填スペース5を押圧して上部シール部3に設けた第2易剥離部9を剥離させることで液状被包装物を注出することができる。
【0026】
この包装袋1では、図5(a)に示すように、重なり合う包装用フィルムFのそれぞれに対し、滞留部12の形成位置に文字(OPEN)で構成された印刷層7が設けられている。
【0027】
この印刷層7は、易剥離部6の剥離前(滞留部12内への液状被包装物の進入前)には、表裏の模様が重なり、文字を認識することができないのに対し、図5(b)に示すように、易剥離部6を剥離させて液状被包装物が滞留部12に進入すると、表裏の包装用フィルムFが相互に離隔し、該滞留部12に設けた印刷層7の文字が浮かびあがり、文字表示として認識できるようになる。
【0028】
これによれば、消費者が充填スペース5への押圧によって易剥離部6が剥離し、液状被包装物が滞留部12に進入する様子が目視によって確認することができ、安心して充填スペース5への押圧操作を行うことができる。また、印刷層7は、滞留部12の他、上部シール部3の第2易剥離部9の形成位置に設けることが好ましく、これによれば、該第2易剥離部9が剥離して液状被包装物が注出する様子を目視によって確認することができる。
【0029】
次に、包装袋1の他の実施形態を図6に示す。
この実施形態の包装袋1は、図6(a)に示すように、シーラント層を含む二層以上の積層構造を持つ包装用フィルムを、シーラント層が内面側になるように折り返した後、その両側部どうしを合掌状に重ね合わせて形成した背貼り部10を有すると共に、該背貼り部10と、ヒートシール等によって図に斜線を施して示すように形成された上部シール部3および下部シール部4とによって囲まれた液状被包装物の充填スペース5を有する。
【0030】
背貼り部10は、包装袋1の両側部間の中間に位置し、その周縁が内縁シール部10a、外縁シール部10b、上縁シール部10c、下縁シール部10dによりシールされており、それらのシール部10a~10dの内側の部分は、表裏の包装用フィルムをヒートシール等することにより形成したシール部からなる隔壁11によって滞留部12と注出通路部13とに区画されている。
【0031】
充填スペース5と背貼り部10の境界位置となる内縁シール部10aは、易剥離部6からなり、背貼り部10の他の周縁シール部10b~10dに比して接合強度が相対的に低い部分であり、例えば加熱温度および加圧力の少なくとも一方を相対的に小さくしてヒートシール等することにより形成することができる。また、内縁シール部10aは、充填スペース5に液状被包装物を充填包装した状態で、平坦な姿勢で保管や運搬等した際には、該充填スペース5を押圧しても剥離も破袋もしないが、例えば、背貼り部10を境として包装袋1を二つに山折りとし、該充填スペース5を厚み方向に押圧した際には剥離することができるような接合強度とすることが好ましい。
【0032】
このような包装袋1に対して、図6(b)に示すように背貼り部10を境にして二つに折り畳み、充填スペース5を押圧(第1押圧)し、液状被包装物による圧力を内縁シール部10aに作用させると、内縁シール部10aの上部および下部は包装袋1の上部シール部3および下部シール部4によって拘束されているため、開く(剥離する)方向への自由度が低いのに対し、中央部は上記のような拘束力が働かないために自由度が高く、内縁シール部10aが該中央部から剥離し始めることになり、充填スペース5からその剥離部分を通って液状被包装物がまず、滞留部12へと吐出される。
そして、さらに充填スペース5を押圧(第2押圧)すると、内縁シール部10aが徐々に剥離された後、滞留部12および充填スペース5内の液状被包装物が、ゆっくりと注出通路部13へと誘導され、これにより液状被包装物が穏やかに注出通路部13から注出されることになる。
【0033】
この実施形態では、図7(a)の写真および図8(a)の背貼り部10の拡大図に示すように、背貼り部10の内縁シール部10a(易剥離部6)位置および滞留部12位置の包装用フィルムFに、模様からなる印刷層7が設けられている。印刷層7の模様は、白色の格子状の図柄と文字との組み合わせからなり、充填スペース5内には醤油等の褐色の液状被包装物が充填されている。
【0034】
図7(a)および図8(a)から分かるように、内縁シール部10aの剥離前(滞留部部12内への液状被包装物の進入前)には、表裏の模様が重なり、とくに文字を認識することができないのに対し、図7(b)および図8(b)に示すように、液状被包装物によって内縁シール部10aを剥離させて、滞留部12内に液状被包装物を進入させると、褐色の液状被包装物によって白色の図柄と文字が浮かびあがり、表示として認識することができるようになる。
【0035】
これによれば、消費者が充填スペース5を押圧しながら内縁シール部10aが剥離したことを目視によって確認することができ、安心して充填スペース5への押圧操作を行うことができる。しかも、図6に示す実施形態では、内縁シール部10a位置のみならず、滞留部12位置にも模様からなる印刷層7を設けたことで、液状被包装物が滞留部12および注出通路部13を通過する様子を目視で把握することができるため、液状被包装物が注出通路部13から不測に飛び散る等の不安を抱くことがなくなる。さらに、例えば滞留部12位置の印刷層7に、開封手順や注意喚起を表示させることもできるため、使い勝手がよくなる等の効果も期待できる。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明の易剥離部の開封表示付包装袋および易剥離部の開封確認方法は、上記実施形態の四方シール形、三方シール形および背貼りシール形の包装袋のみならず、パウチやスタンディングパウチ、ガゼット袋、ピロー袋などの各種の包装袋に利用することができる。
【符号の説明】
【0037】
1 包装袋
2a、2b 側部シール部
3 上部シール部
4 下部シール部
5 充填スペース
5a、5b 収納室
6 易剥離部
7 印刷層
8 折返し辺
9 第2の易剥離部
10 背貼り部
10a 内縁シール部
10b 外縁シール部
10c 上縁シール部
10d 下縁シール部
11 隔壁
12 滞留部
13 注出通路部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8