(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-18
(45)【発行日】2023-05-26
(54)【発明の名称】MEMSデバイス内の気密封止を形成するための方法
(51)【国際特許分類】
B81C 3/00 20060101AFI20230519BHJP
H01L 23/02 20060101ALI20230519BHJP
【FI】
B81C3/00
H01L23/02 C
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2018224625
(22)【出願日】2018-11-30
【審査請求日】2021-11-26
(32)【優先日】2017-12-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】512169604
【氏名又は名称】エルビット システムズ オブ アメリカ,エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】アーリン ダブリュ.スミス
(72)【発明者】
【氏名】ダン チルコット
【審査官】石田 宏之
(56)【参考文献】
【文献】特表2007-503622(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0175084(US,A1)
【文献】特表平11-508084(JP,A)
【文献】米国特許第05940694(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0074590(US,A1)
【文献】特開2005-066727(JP,A)
【文献】特開2012-148342(JP,A)
【文献】特開2010-171203(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0050841(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第102786026(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B81C 3/00
H01L 23/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウェハ間の低温結合を形成するための方法であって、
第1のウェハの第1の面上にレジストをスピンすることと、
前記第1のウェハの前記第1の面の一部を露出するように前記レジスト内に1つ以上の経路を形成することと、
前記経路と整列する1つ以上の凹部であって前記1つ以上の凹部のそれぞれが平坦な表面およびエッジを有する凹部を形成するように、前記1つ以上の経路を介して前記第1のウェハの前記第1の面をエッチングすることと、
1つ以上の接着金属が前記1つ以上の凹部のそれぞれの内部に蒸着されるように、前記レジスト上に前記1つ以上の接着金属を蒸着することと、
前記レジストを除去することと、
高温結合を用いて前記第1のウェハの第2の面に第2のウェハを結合することと、
前記1つ以上の凹部内に蒸着された前記1つ以上の接着金属上にインジウムを蒸着することと、
第
3のウェハと前記第1のウェハとの間に低温結合を形成するように前記第
3のウェハと前記第1のウェハの前記第1の面との間で前記インジウムを圧縮することとを含
み、
前記高温結合は所定の温度での接合プロセスによる結合であり、前記低温結合は前記所定の温度より低い温度での接合プロセスによる結合である、方法。
【請求項2】
前記1つ以上の凹部が、前記第1のウェハと同心である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記1つ以上の凹部のそれぞれが、前記第1のウェハの前記第1の面の周囲領域の周囲に連続的に延びている、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記1つ以上の接着金属が、
チタンの第1の接着金属と、
金の第2の接着金属とを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記インジウムが圧縮されるときに、前記1つ以上の凹部のエッジが前記インジウムについてのせん断点を形成する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記第
3のウェハと前記第1のウェハの前記第1の面との間の結合が気密結合であり、前記第1のウェハへの前記第
2のウェハの結合は、前記第1のウェハと前記
3のウェハに加わる圧力を用いて形成される、請求項
1に記載の方法。
【請求項7】
前記第2および第3のウェハがシリコンウェハである、請求項
1に記載の方法。
【請求項8】
前記第1のウェハがガラスウェハである、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記1つ以上の凹部が等方性エッチングにより前記第1のウェハの前記第1の面にエッチングされる、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
微小電気機械システムであって、
第1のウェハであって、
中央領域を取り囲む周囲領域を有する第1の面と、
前記第1の面に対向する第2の面と、
前記第1のウェハの前記第1の面の周囲領域内で全体的に且つ周囲に連続的に配置された1つ以上の凹部であって前記1つ以上の凹部のそれぞれがエッジを含む凹部と、を含む第1のウェハと、
前記1つ以上の凹部内に配置された1つ以上の接着金属と、
前記第1のウェハの前記第2の面に結合された第2のウェハと、
前記1つ以上の接着金属上に配置されたインジウムと、
前記インジウムを介して前記第1のウェハの前記第1の面に結合された第
3のウェハとを含む、微小電気機械システム。
【請求項11】
前記第2および第3のウェハがシリコンウェハであり、前記第1のウェハがガラスウェハである、請求項
10に記載の微小電気機械システム。
【請求項12】
前記第
3のウェハが前記第1のウェハの前記第1の面に気密結合される、請求項
11に記載の微小電気機械システム。
【請求項13】
前記凹部のそれぞれが第1の深さを有し、前記接着金属が第1の高さを有し、前記第1の深さが前記第1の高さよりも大きい、請求項
10に記載の微小電気機械システム。
【請求項14】
前記1つ以上の凹部から外方に延びる前記1つ以上の接着金属に蒸着され且つ前記1つ以上の凹部のエッジから隔てられているインジウムをさらに含む、請求項
10に記載の微小電気機械システム。
【請求項15】
ウェハ間の低温結合を形成するための方法であって、
第1のウェハの第1の面の周囲領域上にレジストをスピンすることと、
前記レジストに1つ以上の経路を形成することと、
前記1つ以上の経路を介して前記第1のウェハの前記第1の面に1つ以上の凹部をエッチングすることと、
前記1つ以上の凹部に1つ以上の接着金属を蒸着することと、
高温結合により前記第1のウェハの第2の面に第2のウェハを結合することと、
インジウムが前記1つ以上の凹部から外方に延びるように、前記凹部内におよび前記凹部内に蒸着された前記接着金属上に前記インジウムを蒸着することと、
第3のウェハと前記第1のウェハの前記第1の面との間で前記インジウムを圧縮することによって前記第1のウェハの前記第1の面に前記第3のウェハを結合することとを含
み、
前記高温結合は所定の温度での接合プロセスによる結合であり、前記低温結合は前記所定の温度より低い温度での接合プロセスによる結合である、方法。
【請求項16】
前記第3のウェハが気密結合により前記第1のウェハに結合される、請求項
15に記載の方法。
【請求項17】
前記第2および第3のウェハがシリコンウェハであり、前記第1のウェハがガラスウェハである、請求項
16に記載の方法。
【請求項18】
前記1つ以上の凹部が、前記第1のウェハの周囲領域の周囲に連続的に延びている、請求項
15に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、気密封止型微小電気機械システム(MEMS)に関する。より具体的には、本発明は、気密封止された空洞を必要とするMEMSデバイス内で複数のウェハをともに低温接合する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
イメージインテンシファイア装置は、低光景をユーザに増幅するように夜間視野ゴーグルにおいて利用されることができる。MEMSイメージインテンシファイアを利用することは、夜間視野ゴーグルのサイズおよび重量の低減を可能にすることができる。MEMSイメージインテンシファイアデバイスは、相互に気密封止された複数の異なるウェハから構成されることができる。MEMSイメージインテンシファイアデバイスの従来のウェハ製造プロセスでは、第1のウェハは、両面処理を必要とし、第1のウェハの面の1つは、第2のウェハを第1のウェハに接合するために低温気密を利用することが必要とされることがある。この低温気密は、大抵の場合、インジウムと、インジウムの基礎をなす1つ以上の接着金属とを利用する。従来のウェハ製造プロセスでは、低温気密シールを達成するために、インジウムおよび接着金属がウェハ基板の平坦な表面上に配置される。インジウムは、非常に柔らかい粘着性の金属であり、容易に損傷を受けたり、工具に固着する可能性がある。ウェハ製造プロセス全体を通してインジウムを取り扱うことを避けるために、材料は、ウェハ表面上の接着金属上にプロセスの後期に蒸着される。しかしながら、両面ウェハは、ウェハの製造プロセス中に、繰り返し処理され、半導体装置(例えば、チャックなど)の内外に配置される。これは、大抵の場合、ウェハ製造プロセス中に接着金属が傷ついたり損傷したりする結果となる。接着金属が損傷すると、気密封止は、インジウムが損傷領域を濡らさないことから、接着金属の隙間または引っかき傷によって形成するのが防止される。さらにまた、インジウムが酸化されると、接合および気密封止を提供するために、新しいインジウムが露出されなければならない。したがって、従来のウェハ構造では大抵の場合にそうであるように、第2のウェハの接合面は、他のウェハの平坦な表面の接着金属上に配置された新しいインジウムを貫通して露出させるために、突起を有しなければならない。
【0003】
したがって、必要とされるのは、接着金属を損傷せずにインジウムの連続パターンがウェハ間の適切な気密封止を形成することを可能にするMEMSデバイスの複数のウェハの低温/接合のプロセスである。さらにまた、必要とされるものはまた、低温接合された接合ウェハ対の両面加工を可能にするプロセスである。必要とされるものはまた、封止領域が減少した低温接合とともにウェハを気密封止するプロセスである。
【発明の概要】
【0004】
微小電気機械デバイスの両面ウェハを処理する方法は、第1のウェハの第1の面上にレジストをスピンすることを含む。本方法は、さらに、レジスト内に1つ以上の経路を形成して、第1のウェハの第1の面の一部を露出させることを含む。1つ以上の経路は、円形、楕円形または丸みのある矩形である同心円状パターンとして形成されることができる。本方法はまた、第1のウェハの第1の面に1つ以上の凹部をエッチングすることを含み、1つ以上の凹部のそれぞれは、平坦な表面およびエッジのセットを含む。さらにまた、本方法は、1つ以上の接着金属が1つ以上の凹部内に蒸着されるように、レジスト上に1つ以上の接着金属を蒸着し、そして第1のウェハからレジストを除去することを含む。本方法は、最終的に、凹部内に蒸着した接着金属上にインジウムを蒸着し、そして、第2のウェハと第1のウェハとの間でインジウムを圧縮することによって第2のウェハを第1のウェハに接合することを含む。
【0005】
別の実施形態では、微小電気機械システムは、第1のウェハと、1つ以上の接着金属と、1つ以上のインジウムの蒸着物と、第2のウェハとを含む。第1のウェハは、第1の面および第2の面を含み、第1の面は、中央領域を取り囲む周辺領域を有する。第1のウェハは、さらに、第1のウェハの第1の面の周辺領域に形成された1つ以上の凹部を含む。1つ以上の凹部のそれぞれは、エッジのセットを含む。1つ以上の接着金属は、1つ以上の接着金属が1つ以上の凹部を超えて延びないように1つ以上の凹部内に配置される。第2のウェハは、1つ以上の接着金属上に配置されたインジウムを圧縮することによって第1のウェハの第1の面に接合される。圧縮されると、1つ以上の凹部のそれぞれのエッジは、インジウムのせん断点を形成し、低温接着を可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】
図1は、本発明にかかる複数のウェハをともに接合する方法のフローチャートを示している。
【0007】
【
図2A】
図2Aは、
図1に示された方法にしたがって第1のウェハの上面の周辺領域の周りにスピンされたレジストを有する第1のウェハの平面図を示している。
【0008】
【0009】
【
図3A】
図3Aは、
図1に示された方法にしたがってレジスト内に配置された経路を有する第1のウェハの平面図を示している。
【0010】
【0011】
【
図4】
図4は、
図1に示された方法にしたがって凹部が通路を通って第1のウェハの上面にエッチングされた、
図2A、
図2B、
図3Aおよび
図3Bに示される第1のウェハの断面図を示している。
【0012】
【0013】
【0014】
【0015】
【0016】
【
図9】
図9は、
図1に示された方法にしたがって第3のウェハがインジウムを介して第1のウェハの上面に結合された、
図2A、
図2B、
図3Aおよび
図3Bに示された第1のウェハの断面図を示している。
【0017】
本開示を通して、同様の要素を識別するために、同様の参照符号が使用されている。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明にかかる夜間視野ゴーグルのイメージインテンシファイアとして利用されるMEMSデバイスのウェハ処理の例示的な方法が、
図1、
図2A、
図2B、
図3A、
図3B、および
図4-
図9に示されている。本明細書に開示された方法100は、接着金属を損傷することなく両面ウェハ処理を可能にして、封止面積が低減された低温気密の形成を可能にする。
【0019】
図1に示されるように、方法100の第1のステップ105は、第1のウェハの第1の面の領域上にレジストを配置することである。
図2Aおよび
図2Bに示されるものは、その領域の周りで第1のウェハ200上に配置またはスピンされたレジスト210を有する第1のウェハ200の領域である。第1のウェハ200は、限定されるものではないが、ガラスウェハ、シリコンウェハなどを含む任意の種類のウェハとすることができる。第1のウェハ200は、第1のまたは上面202および第2のまたは下面204を含む。
図2Aに示されるように、第1のウェハ200の領域は、略矩形であるが、第1のウェハは、限定されるものではないが、円形、五角形、八角形などを含む任意の他の形状であってもよい。
【0020】
レジスト210は、スピンコーティングによって第1のウェハ200の第1の面202の表面上に配置されるフォトレジストであってもよい(例えば、フォトレジストの粘性のある液体溶液は、第1のウェハ200上に分配され、第1のウェハ200は、均一に厚い層を生成するために急速にスピンされる)。
図2Aに最もよく示されるように、レジスト210は、レジスト210が第1のウェハ200の領域のエッジ206に近接した第1のウェハ200の領域の周囲に配置されるように、第1のウェハ200の第1の面202の表面上に配置されることができる。さらに、レジスト210は、第1のウェハ200の第1の側面202の中央部208を露出させたままにし、別のウェハが第1のウェハ200に接合されたときに真空キャビティの一部を後に形成する。レジスト210は、第1のウェハ200の第1の面202の表面上に配置されたとき、第1のまたは上面212および第2のまたは下面214を含むことができる。レジスト210の第2の面214は、第1のウェハ200の第1の面202と当接している。
図2Aに示されるように、レジスト210によって占められる第1のウェハの第1の面202の面積と中央部208との比は、説明の目的のみのためのものである。したがって、中央部208は、レジスト210よりも第1のウェハ200のより大きな領域を占めてもよい。
【0021】
図1に戻ると、方法100の第2のステップ110は、レジスト210の部分を除去して、レジスト210を通る経路を開けることであり、経路は、後で蒸着される所望の幅の接着金属である。
図3Aおよび
図3Bに示されるように、第1のウェハ200の第1の面202の表面の以前に被覆された部分を露出するように各経路300、310、320が第1の面212から第2の面214までレジスト210を通って延びるように、一連の経路300、310、320がレジスト210に形成される。さらに、経路300、310、320は、互いに同心であり、第1のウェハ200および第1のウェハ200の中央部208とも同心とすることができる。第1の経路300は、最も外側の経路であり、第3の経路320は、最も内側の経路であり、第2の経路310は、第1の経路300と第3の経路320との間に配置される。さらに、各経路300、310、320は、第1のウェハ200の領域の周囲にレジスト210を通って連続的に延びる。
【0022】
経路300、310、320は、レジスト220を化学的に変化させる光のパターンにレジスト210を曝すことによってレジスト210に形成されることができ、レジスト210の露光部が特殊な溶液によって除去されることを可能にする。いくつかの実施形態では、使用されるレジスト210のタイプに応じて、結果として生じるウェハが焼き付けられて残留レジスト210を固化させることができる。さらにまた、任意数の経路300、310、320がレジスト210内に形成されてもよく、これらの経路300、310、320は、任意の幅とすることができる。
【0023】
図1に戻ると、方法100の第3のステップ115は、レジスト210の経路300、310、320を通って第1のウェハ200の第1の面202の表面に凹部をエッチングし、第1のウェハ200の第1の面202の表面に凹状空洞または凹部を形成することである。
図4に示されるように、各凹部400、410、420が通路300、310、320と整列するように、一連の凹部400、410、420が第1のウェハ200の第1の面202の表面に形成される。より具体的には、第1の凹部400は、第1の経路300と整列し、第2の凹部410は、第2の経路310と整列し、第3の凹部420は、第3の経路320と整列する。経路300、310、320と同様に、凹部400、410、420は、互いに同心であり、第1のウェハ200および第1のウェハ200の中央部208と同心である。したがって、第1の凹部400は、最も外側の凹部であり、第3の凹部420は、最も内側の凹部であり、第2の凹部410は、第1の凹部400と第3の凹部420との間に配置される。さらに、凹部400、410、420が第1のウェハ200の中央部208と同心であるように、各凹部400、410、420は、第1のウェハ200の第1の面202の領域の周囲に連続して延びている。
【0024】
さらに
図4に示されるように、各凹部400、410、420は、それぞれ、平坦部402、412、422を含むように形成されることができる。さらにまた、凹部400、410、420は、第1のウェハ200の第1の面202の表面とともに、それぞれエッジ404、414、424を形成する。いくつかの実施形態では、各凹部400、410、420が、第1のウェハ200の第1の面202の表面と平坦部402、412、422との間に複数の段付きエッジ404、414、424をそれぞれ含むように、凹部400、410、420が第1のウェハ200の第1の面202の表面にエッチングされる。
図4に示されるように、凹部400、410、420のエッジ404、414、424がそれぞれレジスト210の残りの部分の下方に配置されるように、凹部400、410、420が第1のウェハ200の第1の面202にエッチングされる(すなわち、凹部は、エッジ404、414、424がそれぞれ経路300、310、320の外側に配置されるように過剰にエッチングされる)。換言すれば、凹部400、410、420がレジスト210をアンダーカットするように、凹部400、410、420が第1のウェハ200の第1の面202にエッチングされる。
【0025】
第1ウェハ200の第1の面202の表面は、経路300、310、320を介してエッチングされて、凹部400、410、420を形成することができる。1つの実施形態では、エッチングは、液体または「湿式」エッチング(すなわち、等方性エッチング)によって完了させることができる。別の実施形態では、エッチングは、プラズマまたは「ドライ」エッチングによって完了させることができる。
図4に示されるように、エッチングは、レジスト210に形成された経路300、310、320をアンダーカットすることをもたらすことができる。
【0026】
図1に戻ると、方法100の第4のステップ120は、中央領域208の外側の第1のウェハ200の第1の面202に接着金属を蒸着させることである。したがって、接着金属は、レジスト210、経路300、310、320、および凹部400、410、420上に蒸着される。換言すれば、接着金属は、第1のウェハ200の中央領域208に配置されていない。
図5に示される実施形態では、2つの接着金属500、510が蒸着される。さらに、一度蒸着された経路300、310、320のために、接着金属500、510は、レジスト210と凹部400、410、420内の双方に配置される。
【0027】
図5にさらに示されるように、第1の接着金属500がレジスト210の第1の面212上に配置または載置され且つ凹部400、410、420の平坦な表面402、412、422上に直接配置または載置されるように、第1の接着金属500が最初に蒸着された。そして、第2の接着金属510がレジスト210上に配置された第1の接着金属500の蒸着物および凹部400、410、420内に配置された第1の接着金属500の蒸着物上に配置または載置されるように、第2の接着金属510が第1の接着金属500の上に蒸着される。第1および第2の接着金属500、510は、それぞれ、凹部400、410、420の平坦な表面402、412、422の全体に沿って蒸着されてもよい。さらに、凹部400、410、420は、凹部400、410、420内に蒸着されたときに、接着金属500、510の蒸着物が第1のウェハ200の上面202を超えて延びない深さからなる。図示されるように、レジスト210は、凹部400、410、420の形成を可能にするために使用されることができるだけでなく、接着金属500、510が凹部400、410、420の外側の第1のウェハ200の第1の面202の表面上に蒸着されるのを防止する。
【0028】
先に説明したように、
図5に示される実施形態では、2つの接着金属が第1のウェハ200上に蒸着される。他の実施形態では、任意数の接着金属が蒸着されてもよい。さらにまた、限定されるものではないが、クロム、金、ニッケル、チタンなどを含む任意のタイプの接着金属が蒸着されてもよい。図示された実施形態では、第1の接着金属500は、チタンとすることができ、第2の接着金属510は、金とすることができる。
【0029】
図1に戻ると、方法100の第5のステップ125は、第1のウェハ200の第1の面202からレジスト210を除去することである。
図6に示されるように、レジスト210が除去されると、レジスト210の第1の面212に配置された接着金属500、510の蒸着物もまた除去される。したがって、先にレジスト210によって被覆された第1のウェハ200の第1の側202の部分が露出される。さらにまた、第1のウェハ200上に配置されたままである接着金属500、510の蒸着物のみが、それぞれ、平坦な表面402、412、422上の凹部400、410、420内に配置された接着金属500、510の蒸着物である。先に説明したように、レジスト210は、凹部400、410、420の形成を可能にするとともに、凹部400、410、420の外側の第1のウェハ200の第1の面202の表面上に接着金属500、510が蒸着されるのを防止する。
【0030】
図1に示されるように、方法100の第6のステップ130は、第1のウェハ200の第2の面204に第2のウェハを接合することである。
図7に示されるように、第2のウェハ700は、第1のウェハ200の第2の面204に接合される。第2のウェハ700は、限定されるものではないが、シリコン、ガラスなどを含む任意のタイプのウェハとすることができる。しかしながら、
図7に示される実施形態では、第2のウェハ700は、シリコンウェハである。第2のウェハ700は、第1の面702および第2の面704を含むことができる。図示されるように、第2のウェハ700の第1の面702の表面は、第1のウェハ200の第2の面204の表面に直接的または間接的に接合される。第1のウェハ200に対する第2のウェハ700の接合は、接合プロセス中に第1のウェハ200の第1の面202および第2のウェハ700の第2の面704に加えられる力を必要とする任意のタイプの高温接合とすることができる。したがって、ツールは、第2のウェハ700の第2の面704に接触して力を加えると同時に、第1のウェハ200の第1の面202に接触して力を加えることが要求される。ツールが第1のウェハ200の第1の面202に接合力を加えるとき、接着金属500、510が凹部400、410、420内に配置されることから、および接着金属500、510が第1のウェハ200の第1の面202を越えて延びないことから、接着金属500、510は、第1のウェハ200に対する第2のウェハ700の高温接合中にツールによって接触されることはない。したがって、ツールを第1のウェハ200の第1の面202に適用することは、高温接合プロセス中に接着金属500、510を損傷することはない。
【0031】
図1に戻ると、方法100の第7のステップ135は、凹部400、410、420内に配置された接着金属500、510上にインジウムを蒸着させることである。
図8に示されるように、インジウム800、810、820が凹部400、410、420内の接着金属500、510上にそれぞれ配置されるとき、蒸着されたインジウム800、810、820は、それよりも高くて広い。これは、蒸着されたインジウム800、810、820が凹部400、410、420からそれぞれ第1のウェハ200の第1の面202を越えて延びることを可能にする。さらに、
図8に示される状態では、インジウム蒸着物800、810、820のそれぞれは、凹部400、410、420のエッジ404、414、424からそれぞれ離間している。蒸着されたインジウム800、810、820は、それぞれ、蒸着されたインジウム800、810、820が、凹部400、410、420と同様に、第1のウェハ200の第1の面202の領域の周囲に同心矩形を形成するように、凹部400、410、420にわたって蒸着される。凹部400、410、420と同様に、蒸着されたインジウム800、810、820はまた、第1のウェハ200および第1のウェハ200の中央部208と同心とすることができる。したがって、第1のインジウム蒸着物800は、最も外側のインジウム蒸着物であり、第3のインジウム蒸着物820は、最も内側のインジウム蒸着物であり、第2のインジウム蒸着物810は、第1および第3のインジウム蒸着物800、820の間に配置される。さらにまた、インジウム蒸着物800、810、820のそれぞれは、凹部400、410、420をそれぞれ通って連続的に延びている。
【0032】
インジウム800、810、820は、複数の方法で凹部400、410、420内に、および接着金属500、510上に蒸着されることができる。1つの実施形態では、インジウム800、810、820は、紙などの基材上に予め形成されてもよい。そして、予め形成されたインジウム800、810、820を有する紙は、予め形成されたインジウム800、810、820が各凹部400、410、420内に配置されるように、凹部400、410、420の上にそれぞれ配置される。そして、
図8に示されるように、インジウム800、810、820が紙から剥離された後に紙が除去され、インジウム800、810、820を凹部400、410、420内の接着金属500、510の上に残す。別の実施形態では、インジウム800、810、820は、
図8に示されるように、インジウム800、810、820が接着金属500、510の上に位置するように、3次元プリンタによって凹部400、410、420にそれぞれ3次元的に印刷されることができる。さらに別の実施形態では、インジウム800、810、820は、凹部400、410、420を形成して接着金属500、510を蒸着するために上述したものと同様のリソグラフィプロセスを使用して、凹部400、410、420内にそれぞれ蒸着されることができる。インジウム800、810、820を凹部400、410、420内にそれぞれ蒸着させる方法にかかわらず、蒸着されたインジウム800、810、820は、蒸着ツールから除去された後、大気に曝されると酸化されることがある。
【0033】
図1に戻ると、インジウム800、810、820が蒸着されると、方法100の第8の最終ステップ140が実行されることができ、第3のウェハと第1のウェハ200の第1の面202との間に低温接合を形成する。
図9に示されるように、第3のウェハ900は、限定されるものではないが、シリコン、ガラスなどを含む任意のタイプのウェハとすることができる。さらにまた、
図9に示される実施形態では、第3のウェハ900は、第2のウェハ700と同様のシリコンウェハである。第3のウェハ900は、第1の面902および第2の面904を含むことができる。低温接合プロセスの間、第3のウェハ900は、第3のウェハ900の第2の面904が第1のウェハ200の第1の面202に向かって推進または付勢されるように、第1のウェハ200に押し付けられる。第3のウェハ900が第1のウェハ200に向かって推進されるにつれて、第3のウェハ900の第2の面904は、蒸着されたインジウム800、810、820と接触する。第3のウェハ900を第1のウェハ200に向かって推進するために使用される力は、第1のウェハ200と第3のウェハ900との間でインジウム800、810、820を圧縮させる。
図9に示されるように、インジウム蒸着物800、810、820の形状のために(すなわち、インジウム蒸着物800、810、820は、それらよりも高くて広いことから)、インジウム蒸着物800、810、820が圧縮されると、インジウム800、810、820は、凹部400、410、420の各エッジ404、414、424にわたって、且つ第1のウェハ200の第1の面202の表面に少なくとも部分的に沿って、各凹部400、410、420にわたって広がる。
図9にさらに示されるように、インジウム蒸着物800、810、820は、圧縮されたときに、間隙910、920が形成される(すなわち、圧縮されたときに、圧縮されたインジウム蒸着物800、810、820がともに延びない)ような大きさおよび形状とされる。凹部400、410、420のエッジ404、414、424は、圧縮されたインジウム800、810、820のせん断点を提供し、接触点を形成する非酸化インジウムを露出させて、第3のウェハ900と第1のウェハ200との間に低温接合を形成する。凹部400、410、420がより多くのエッジ404、414、424(すなわち、上述した複数の段付きエッジ構造)によって形成されるとき、圧縮されたときにインジウム蒸着物800、810、820の非酸化部分を露出するようにより多くのせん断点が提供され、したがって、ウェハ200、900の間のより強い低温接合を形成する。
【0034】
説明および図示された方法および構造は、接着金属に損傷を与えずにウェハが処理されることができるように、ウェハ上に接着金属を蒸着するための凹部およびリソグラフィマスクを作製する自己整合方法を提供する。これは、低温接合プロセスを使用する場合に、第1のウェハが第2のウェハとのより良好で且つより保証された気密封止を形成することを可能にする。記載された方法はまた、気密性のために最大の接合面積を提供するために、流れるインジウム中に複数のせん断点を生じさせることができる構造を提供する。複数のせん断点は、接合ライン(すなわち、凹部)の数を減少させることができ、それにより、ウェハあたりのより多くのダイを可能にする全体的な封止ライン幅を減少させる。
【0035】
本明細書で使用されることがある「左(left)」、「右(right)」、「上(top)」、「下(bottom)」、「前(front)」、「後(rear)」、「側(side)」、「高さ(height)」、「長さ(length)」、「幅(width)」、「上方(upper)」、「下方(lower)」、「内部(interior)」、「外部(exterior)」、「内側(inner)」、「外側(outer)」などの用語は、単に参照点または参照部分を記載しているにすぎず、いずれかの特定の向きまたは構成に本発明を限定するものではないことが理解されるべきである。さらに、用語「例示的(exemplary)」は、本明細書では例または説明を記載するために使用される。例示として本明細書に記載されたいかなる実施形態も、好ましいまたは有利な実施形態として解釈されるべきではなく、むしろ本発明の可能な実施形態の1つの例または説明として解釈されるべきである。
【0036】
開示された発明は、1つ以上の特定の例で具体化されるように本明細書において図示されて記載されているが、それにもかかわらず、本発明の範囲から逸脱することなく且つ特許請求の範囲の均等物の範囲内で様々な変更および構造的変更が行われることができるため、示された詳細に限定されるように意図されるものではない。さらに、実施形態の1つからの様々な特徴は、他の実施形態に組み込むことができる。したがって、添付の特許請求の範囲は、広く且つ以下の特許請求の範囲に記載された本開示の範囲に一致する方法で解釈されることが適切である。