(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-18
(45)【発行日】2023-05-26
(54)【発明の名称】電磁弁、方向切換弁及び建設機械
(51)【国際特許分類】
F16K 27/00 20060101AFI20230519BHJP
F16K 31/06 20060101ALI20230519BHJP
【FI】
F16K27/00 B
F16K31/06 305K
(21)【出願番号】P 2018234646
(22)【出願日】2018-12-14
【審査請求日】2021-11-15
(73)【特許権者】
【識別番号】503405689
【氏名又は名称】ナブテスコ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【氏名又は名称】佐藤 泰和
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100130719
【氏名又は名称】村越 卓
(72)【発明者】
【氏名】岩崎 仁
【審査官】笹岡 友陽
(56)【参考文献】
【文献】実開昭62-134972(JP,U)
【文献】特開2017-020541(JP,A)
【文献】特開2003-065459(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 27/00
F16K 31/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
油圧装置に接続される第1接続ポートを有し、該油圧装置の接続部に固着可能な第1固着部と、
油圧供給源に接続される第2接続ポートを有し、該油圧供給源の接続部に固着可能な第2固着部と、
タンクに接続される第3接続ポートを有し、該タンクの接続部に固着可能な第3固着部と、
ソレノイド部に印加する励磁電流により、前記第1接続ポートに直接または間接に接続された流路と前記第2接続ポートに直接または間接に接続された他の流路との合流部の断面積を変える駆動部と、
を備える電磁弁。
【請求項2】
前記油圧装置が方向切換弁である請求項1に記載の電磁弁。
【請求項3】
前記油圧供給源が油圧ポンプである請求項1に記載の電磁弁。
【請求項4】
前記第2接続ポートが前記第1接続ポートと直角をなす請求項1~3のいずれか1項に記載の電磁弁。
【請求項5】
前記第1固着部は、ネジ構造を有する請求項1~4のいずれか1項に記載の電磁弁。
【請求項6】
前記第1接続ポートは、取付部の取付面を介して前記駆動部とは反対側に位置している請求項1~5のいずれか1項に記載の電磁弁。
【請求項7】
前記第1接続ポートは、取付部の取付面に対して前記駆動部と同じ側に位置している請求項1~5のいずれか1項に記載の電磁弁。
【請求項8】
前記第2接続ポートは、取付部の取付面に対して前記駆動部と同じ側に位置している請求項1~7のいずれか1項に記載の電磁弁。
【請求項9】
前記第3接続ポートは、取付部の取付面に対して前記駆動部と同じ側に位置している請求項
1~8のいずれか1項に記載の電磁弁。
【請求項10】
油圧装置に接続される第1接続ポートを有し、該油圧装置の接続部に固着可能な第1固着部と、
油圧供給源に接続される第2接続ポートを有し、該油圧供給源の接続部に固着可能な第2固着部と、
タンクに接続される第3接続ポートを有し、該タンクの接続部に固着可能な第3固着部と、
ソレノイド部に印加する励磁電流により、前記第1接続ポートに直接または間接に接続された流路と前記第2接続ポートに直接または間接に接続された他の流路との合流部、及び、前記第1接続ポートに直接または間接に接続された流路と前記第3接続ポートに直接または間接に接続されたさらに他の流路との合流部のうちの少なくとも一方の断面積を変える駆動部と、
を備える電磁弁。
【請求項11】
請求項1~
10のいずれか1項に記載の電磁弁を備える方向切換弁。
【請求項12】
請求項
11に記載の方向切換弁を備える建設機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電磁弁、方向切換弁及び建設機械に関する。
【背景技術】
【0002】
油圧装置において、圧油の流れを制御する弁体として、応答速度に優れる電磁弁が広く使用されている。特に、近年では、油圧装置を電気的に駆動することの要望が高まっており、電磁弁の活用は今後益々広がることが期待されている。
【0003】
特許文献1は、電磁弁の一種である電磁比例弁を開示する。この電磁比例弁は、ソレノイドコイル及び駆動ロッドを有する駆動装置と、駆動装置によって流路構成が変えられる弁と、取付孔を有するフランジ部と、を備える。特許文献1の電磁比例弁は、フランジ部の取付孔に挿入される取付具(ネジ等)によって、方向切換弁等の取付対象に取り付けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017-20541号公報
【文献】特開平08-170353号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
通常の電磁弁は、特許文献1の電磁比例弁のように、フランジ部を介して方向切換弁等の取付対象に取り付けられる。そのため電磁弁を設計する際には、フランジ部の大きさ及び形状も考慮することが必要である。またフランジ部に取付孔を形成する際にも、取付孔の位置及び大きさに関して高い加工精度が求められる。
【0006】
また例えば、電磁弁の配置スペースが限られておりフランジ部のための十分なスペースを確保できない場合や、取付対象がフランジ部に適合しない場合には、取付対象に対して電磁弁を取り付けることができない。
【0007】
本発明は上述の事情に鑑みてなされたものであり、取り付けのためのフランジ部を必要としない電磁弁、及びそのような電磁弁を備える方向切換弁及び建設機械を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様は、油圧装置に接続される第1接続ポートを有し、該油圧装置の接続部に固着可能な第1固着部と、油圧供給源に接続される第2接続ポートを有し、該油圧供給源の接続部に固着可能な第2固着部と、ソレノイド部に印加する励磁電流により、第1接続ポートに直接または間接に接続された流路と第2接続ポートに直接または間接に接続された他の流路との合流部の断面積を変える駆動部と、を備える電磁弁に関する。
【0009】
油圧装置が方向切換弁であってもよい。
【0010】
油圧供給源が油圧ポンプであってもよい。
【0011】
第2接続ポートが第1接続ポートと直角をなしてもよい。
【0012】
第1固着部は、ネジ構造を有してもよい。
【0013】
第1接続ポートは、取付部の取付面を介して駆動部とは反対側に位置していてもよい。
【0014】
第1接続ポートは、取付部の取付面に対して駆動部と同じ側に位置していてもよい。
【0015】
第2接続ポートは、取付部の取付面に対して駆動部と同じ側に位置していてもよい。
【0016】
電磁弁は、タンクに接続される第3接続ポートを有し、該タンクの接続部に固着可能な第3固着部を備えてもよい。
【0017】
第3接続ポートは、取付部の取付面に対して駆動部と同じ側に位置していてもよい。
【0018】
本発明の他の態様は、油圧装置に接続される第1接続ポートを有し、該油圧装置の接続部に固着可能な第1固着部と、油圧供給源に接続される第2接続ポートを有し、該油圧供給源の接続部に固着可能な第2固着部と、タンクに接続される第3接続ポートを有し、該タンクの接続部に固着可能な第3固着部と、ソレノイド部に印加する励磁電流により、第1接続ポートに直接または間接に接続された流路と第2接続ポートに直接または間接に接続された他の流路との合流部、及び、第1接続ポートに直接または間接に接続された流路と第3接続ポートに直接または間接に接続されたさらに他の流路との合流部のうちの少なくとも一方の断面積を変える駆動部と、を備える電磁弁に関する。
【0019】
本発明の他の態様は、上記の電磁弁を備える方向切換弁に関する。
【0020】
本発明の他の態様は、上記の方向切換弁を備える建設機械に関する。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、取り付けのためのフランジ部を必要としない電磁弁、及びそのような電磁弁を備える方向切換弁及び建設機械を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】
図1は、電磁弁の一例の概略構成を示す側方図である。
【
図2】
図2は、電磁弁の他の例の概略構成を示す側方図である。
【
図3】
図3は、電磁弁の他の例の概略構成を示す側方図である。
【
図4】
図4は、電磁弁の具体的な構成の一例を示す側方図である。
【
図5】
図5は、電磁弁の具体的な構成の他の例を示す側方図である。
【
図6】
図6は、電磁弁の具体的な構成の他の例を示す側方図である。
【
図7】
図7は、方向切換弁の一例を示す断面図である。
【
図8】
図8は、油圧ショベルの典型的な構成例の概略を示す外観図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
【0024】
まず、電磁弁の典型例の概略構成について説明する(
図1~
図3参照)。その後、電磁弁のより具体的な構成例について説明する(
図4~
図6参照)。なお
図1~
図6には、電磁弁を構成する各要素が概略的に示されており、
図1~
図6に示された各要素は、必ずしも正確な形状及びサイズでは図示されていない。
【0025】
[電磁弁の概略構成例]
図1は、電磁弁10の一例の概略構成を示す側方図である。
【0026】
図1に示された電磁弁10は、駆動部11、油圧部12及び取付部13を備える。
【0027】
駆動部11は、取付部13に対して一方側(
図1の上側)に配置され、ソレノイド部20及びプランジャー(可動鉄心)21を有する。ソレノイド部20は、印加される励磁電流に応じた磁力を発生する磁力発生デバイスであり、ソレノイドコイルによって構成されている。ソレノイド部20に印加される電流に応じて、プランジャー21の第1方向D1に関する位置が変えられ、プランジャー21のソレノイド部20からの移動量が変動する。プランジャー21は、第1方向D1に延びる電磁弁10の中心軸線(図示省略)上に配置され、ソレノイド部20からの磁力の影響を受けて第1方向D1へ往復移動可能に設けられている。このように第1方向D1は、プランジャー21が移動する方向に対応する。
【0028】
プランジャー21は、単一部材によって構成されていてもよいし、複数の部材が組み合わされて構成されていてもよい。単一部材によってプランジャー21が構成される場合、ソレノイド部20からの磁力の影響を受けたプランジャー21は、直接的に、油圧部12(例えば後述のスプール)に接触することが可能である。複数の部材によってプランジャー21が構成される場合、ソレノイド部20からの磁力の影響を直接的に受ける部材と、油圧部12(例えば後述のスプール)に接触する部材とを異ならせることが可能である。この場合、油圧部12に接触するプランジャー21の部材は、ソレノイド部20からの磁力の影響を直接的に受けるプランジャー21の部材から力を受けて、油圧部12側に移動することが可能である。
【0029】
ソレノイド部20及びプランジャー21の具体的な構成は限定されない。駆動部11は、主としてソレノイド部20によってもたらされる磁力によりプランジャー21を動作させる方式(いわゆるプル型駆動方式)を採用してもよい。また駆動部11は、ソレノイド部20によってもたらされる磁力とプッシュバーから加えられる物理的な力とのバランスに応じてプランジャー21を動作させる方式(いわゆるプッシュ型駆動方式)を採用してもよい。
【0030】
ソレノイド部20に流される電流は、図示しない制御部によって制御される。制御部には、電磁弁が搭載される油圧装置(例えば建設機械等の作業機械)の操作者によって直接的に操作される操作部(例えば操作レバー部、操作パネル等)が接続されており、操作部の状態に応じた操作指令信号が操作部から入力される。制御部は、操作者により操作部を介して入力される操作指令信号に応じて、ソレノイド部20に流す電流を制御する。このように駆動部11の動作(すなわちプランジャー21の位置)は制御部によって制御され、駆動部11は油圧部12の流路の構造を変える。
【0031】
図1に示すソレノイド部20はハウジング部23によって覆われ且つ取り囲まれている。なお、ソレノイド部20だけではなく、油圧部12の少なくとも一部分も、ハウジング部(図示省略)によって取り囲まれていてもよい。例えば、筒状(例えば円筒状)の側壁部を有する部材によってハウジング部を構成することができ、このハウジング部の内側に、ソレノイド部20、プランジャー21、及び油圧部12の少なくとも一部分を配置することができる。ハウジング部の内側に配置される駆動部11の要素及び油圧部12の要素(例えばソレノイド部20、プランジャー21及び弁本体60)は、直接的に又は間接的にハウジング部に対して取り付けられている。このようにハウジング部は、駆動部11を構成する要素の1つとして設けられてもよく、油圧部12を構成する要素の1つとして設けられてもよい。
【0032】
油圧部12は、弁本体60に設けられている流路形成部25を有する。流路形成部25には流路(
図1では図示省略)が設けられており、プランジャー21の油圧部12に対する位置に応じて、流路形成部25が有する流路の構造は変えられる。ここでいう流路形成部25が有する流路には、弁本体60よりも内側に位置する流路だけではなく、弁本体60に形成されている流路も含まれる。流路形成部25における流路構成の変更方式は特に限定されず、例えばプランジャー21に押されて移動可能に設けられるスプールを利用することによって、流路形成部25の流路構成を変更することが可能である。
【0033】
油圧部12は、第1固着部34、第2固着部35及び第3固着部36を有する。第1固着部34、第2固着部35及び第3固着部36の各々は、対応の取付対象(例えば油圧装置)の接続部に固着可能に設けられている。
図1に示す第1固着部34は、ネジ構造(特に雄ネジ構造)を持つ第1ネジ部37を有する。第1ネジ部37は、第1固着部34の外周部の少なくとも一部を構成し、
図1に示す第1ネジ部37は、第1固着部34の側面の全体を構成する。第1固着部34は、第1ネジ部37を介し、対応の取付対象の接続部に対してネジ留めにより固着されることが可能である。
図1に示す第1ネジ部37は雄ネジ構造を持つため、第1固着部34に固着される取付対象の接続部は雌ネジ構造を持つことが求められる。
図1には示されていないが、第2固着部35及び第3固着部36の各々も、対応の取付対象の接続部に固着可能な固着部(例えばネジ構造(雄ネジ構造又は雌ネジ構造))を具備することができる。
【0034】
第1固着部34、第2固着部35及び第3固着部36は、それぞれ油圧部12の流路(特に流路形成部25が有する流路)に接続されている第1接続ポートP1、第2接続ポートP2及び第3接続ポートP3を具備する。第1固着部34、第2固着部35及び第3固着部36の各々が対応の取付対象の接続部に固着している状態で、第1接続ポートP1、第2接続ポートP2及び第3接続ポートP3の各々は、対応の取付対象が有するポート及び流路に接続されている。
【0035】
第1接続ポートP1、第2接続ポートP2及び第3接続ポートP3が接続される対象は基本的には限定されないが、典型的にはアクチュエータ(例えば方向切換弁等の油圧装置)A、ポンプ(例えば油圧ポンプ等の油圧供給源)P及びタンク(圧油排出部)Tに対して第1接続ポートP1、第2接続ポートP2及び第3接続ポートP3を接続することができる。
図1の電磁弁10では、第1接続ポートP1がアクチュエータAに接続されるアクチュエータポートとして働き、第2接続ポートP2がポンプPに接続されるポンプポートとして働き、第3接続ポートP3がタンクTに接続されるタンクポートとして働く。なお、油圧部12が有するポートの数は限定されず、第1接続ポートP1、第2接続ポートP2及び第3接続ポートP3に加えて更に1以上のポートを油圧部12は有していてもよい。
【0036】
第1固着部34、第2固着部35及び第3固着部36の各々は、弁本体60と一体に設けられていてもよいし、別体として設けられていてもよい。すなわち、基本的に分離できない単一部材によって弁本体60と第1固着部34、第2固着部35及び第3固着部36の各々とが構成されていてもよいし、分離可能な複数の部材によって弁本体60と第1固着部34、第2固着部35及び第3固着部36の各々とが構成されていてもよい。分離可能な複数の部材によって弁本体60と第1固着部34、第2固着部35及び第3固着部36の各々とを構成する場合、これらの複数の部材はお互いに固定されており、第1固着部34、第2固着部35及び第3固着部36の各々は、弁本体60に対して固定的に設けられている。
図1に示す油圧部12は、第2固着部35及び第3固着部36は弁本体60によって構成されているが、第1固着部34は弁本体60とは異なる部材によって構成されており、第1固着部34を構成する部材は固定手段(例えばネジ留め)によって弁本体60に固定されている。
【0037】
第1接続ポートP1、第2接続ポートP2及び第3接続ポートP3の構成及び配置は限定されず、第1接続ポートP1、第2接続ポートP2及び第3接続ポートP3の向きは限定されない。第1接続ポートP1、第2接続ポートP2及び第3接続ポートP3のうちの少なくともいずれかは、第1方向D1(特にプランジャー21が油圧部12に向かって移動する方向)へ向けられていてもよい。
図1に示された電磁弁10では、第1接続ポートP1が第1方向D1へソレノイド部20とは逆側に(すなわち
図1の下方向に)向けられ、第2接続ポートP2及び第3接続ポートP3の各々が第1方向D1と直角を成す第2方向D2へ向けられており、第2接続ポートP2及び第3接続ポートP3の各々は第1接続ポートP1と直角を成す。
【0038】
なお第1接続ポートP1、第2接続ポートP2及び第3接続ポートP3のうちの少なくとも2以上が、第1方向D1へ向けられていてもよい。この場合、第1方向D1へ向けられている少なくとも2以上の接続ポートは複数の並列配置ポートを含み、当該複数の並列配置ポートはお互いの外側に位置していてもよい。例えば、第1接続ポートP1、第2接続ポートP2及び第3接続ポートP3の全てが、第1方向D1へソレノイド部20とは逆側に(すなわち
図1の下方向に)向けられる並列配置ポートとして設けられてもよく、お互いの外側に位置づけられていてもよい。また並列配置ポートとして設けられる第1接続ポートP1、第2接続ポートP2及び第3接続ポートP3は、一列に直線上に並べられていてもよく、等間隔に並べられていてもよい。また第1接続ポートP1、第2接続ポートP2及び第3接続ポートP3のうちの少なくとも2以上が、第1方向D1に延びる共通の中心軸線を有していてもよい。このように1つの固着部(例えば第1固着部34)が複数の接続ポートを具備していてもよい。
【0039】
また第1接続ポートP1、第2接続ポートP2及び第3接続ポートP3の断面形状及び断面サイズ(すなわち断面径)は限定されない。第1接続ポートP1、第2接続ポートP2及び第3接続ポートP3は、お互いに同じ断面形状及び/又は断面サイズを有していてもよいし、お互いに異なる断面形状及び/又は断面サイズを有していてもよい。
【0040】
取付部13は、第1固着部34に取付対象(例えば油圧装置)が固着された場合に、当該取付対象に面する取付面13aを有する。第1固着部34に取付対象が固着されている状態で、取付面13aは取付対象に接触していてもよいし、接触していなくてもよい。第1固着部34に取付対象が固着されている状態で取付対象を取付面13aに接触させることによって、取付対象を正確に位置決めすることができる。
【0041】
上述のようにソレノイド部20及び油圧部12は、第1方向D1に関し、お互いに異なる位置に設けられている。また駆動部11、油圧部12及び取付部13は、第1方向D1に延びる電磁弁10の中心軸線によって貫通されるように設けられている。また上述の
図1に示す電磁弁10において、第1接続ポートP1は、取付面13aを介して駆動部11とは反対側に位置している。すなわち第1接続ポートP1を具備する第1固着部34は、取付面13aを介して駆動部11とは反対側に位置している。
【0042】
また油圧部12は、第1接続ポートP1とは異なり且つ油圧部12(特に流路形成部25)の流路に接続されている他の1以上の接続ポート(すなわち第2接続ポートP2及び第3接続ポートP3)を有する。これらの他の1以上の接続ポート(すなわち第2接続ポートP2及び第3接続ポートP3)は、取付面13aに対して駆動部11と同じ側に位置している。また油圧部12は、第1固着部34とは異なり且つ対応の取付対象の接続部に固着可能な他の1以上の固着部(すなわち第2固着部35及び第3固着部36)を有し、当該他の1以上の固着部(すなわち第2固着部35及び第3固着部36)は、他の1以上の接続ポート(すなわち第2接続ポートP2及び第3接続ポートP3)を具備する。
【0043】
また、油圧部12の一部は取付部13よりも駆動部11側に配置されている。取付面13aを介して駆動部11とは反対側に設けられる油圧部12の部分は、第1接続ポートP1につながる流路を有する。取付面13aに対して駆動部11と同じ側に設けられる油圧部12の部分は、第2接続ポートP2及び第3接続ポートP3につながる流路を有する。第1接続ポートP1、第2接続ポートP2及び第3接続ポートP3のうちの少なくともいずれか(例えば第1接続ポートP1、第2接続ポートP2及び第3接続ポートP3の全て)は、取付部13(特に取付面13a)を介してソレノイド部20(駆動部11)とは反対側の位置に設けられていなくてもよいし、設けられていてもよい。
【0044】
図2は、電磁弁10の他の例の概略構成を示す側方図である。
図2に示された電磁弁10において、上述の
図1に示された電磁弁10と同一又は類似の要素には同一の符号が付されており、その詳細な説明は省略する。
【0045】
図2に示された電磁弁10では、第1接続ポートP1が、取付面13aに対して駆動部11と同じ側に位置している。また第1固着部34が有する第1ネジ部37は雌ネジ構造を持つ。そのため、第1固着部34に固着される対応の取付対象の接続部は、雄ネジ構造を持つことが求められる。また
図2の取付部13は第1固着部34によって構成され、取付面13aは第1固着部34の端面によって構成されている。また第1固着部34は弁本体60によって構成されている。
【0046】
上述の構成を有する電磁弁10において、油圧部12の流路は全体的に取付面13aよりも駆動部11側に配置されており、油圧部12は、取付面13aを介して駆動部11とは反対側に配置されていない。したがって
図2に示す電磁弁10は、取付面13aから第1方向D1(特に駆動部11とは反対側の方向)へ突出する部材を持たず、第1固着部34は、第1ネジ部37及び取付対象の雄ネジ部を介して取付対象に対して取り付けられることが可能である。この場合、第1ネジ部37と取付面13aとの境界部に又は当該境界部の近傍にOリングRを配置することも可能であり、電磁弁10と取付対象との間からの圧油の漏出を当該OリングRによって防ぐことができる。
【0047】
図3は、電磁弁10の他の例の概略構成を示す側方図である。
図3に示された電磁弁10において、上述の
図1及び
図2に示された電磁弁10と同一又は類似の要素には同一の符号が付されており、その詳細な説明は省略する。
【0048】
図3に示された電磁弁10の第1固着部34は、弁本体60が有する流路形成部25を介し、駆動部11とは反対側に位置している。第1固着部34は、第1継手体77及び第2継手体78を有する。第1継手体77は、弁本体60に対して固定されており、弁本体60と一体的に設けられていてもよいし、別体として設けられていてもよい。第2継手体78は、第1継手体77に対して固定されている。
図3に示す例では、第1継手体77のうちの第2方向D2に延びる突起部と、第2継手体78のうちの第2方向D2に延びる突起部とがお互いに引っ掛けられることによって、第2継手体78は第1継手体77に対して固定されている。また第1固着部34の第2継手体78が有する第1ネジ部37は雌ネジ構造を持つ。したがって
図3に示す第1固着部34に固着される取付対象の接続部は、雄ネジ構造を持つことが求められる。また図示の取付部13は第1固着部34(特に第1継手体77)によって構成されており、取付面13aは第1固着部34(特に第1継手体77)の端面によって構成されている。したがって、第1固着部34が有する第1接続ポートP1は、取付面13aに対して駆動部11と同じ側に位置している。
【0049】
なお取付部13及び取付面13aは必ずしも第1継手体77によって構成されていなくてもよい。例えば、
図3において符号「13’」及び「13’a」により示されているように、弁本体60によって取付部及び取付面が構成されていてもよい。この場合、第1固着部34に固着されている取付対象(例えば油圧装置)は、取付面13’aに接触してもよいし、取付面13’aの近傍に配置されつつ取付面13’aから離れていてもよい。このように
図3に示す電磁弁10において弁本体60によって取付部13’及び取付面13’aが構成される場合、第1固着部34が有する第1接続ポートP1は、取付面13’aを介して駆動部11とは反対側に位置する。
【0050】
図1~
図3を参照して上述したように、接続ポート(例えば第1接続ポートP1)を具備する固着部(例えば第1固着部34)を、取付対象(例えば油圧装置)の接続部に対して直接的に固着可能に設けることによって、優れた取り付け性能を有する電磁弁10を提供することができる。特に、上述の電磁弁10によれば、電磁弁を取付対象に取り付けるために従来使用されていたフランジ部が不要になり、電磁弁10を容易に小型化及び軽量化することが可能である。また電磁弁10を設計する際にフランジ部のサイズや形状を考慮する必要がなく、フランジ部のネジ孔の形成加工も不要になる。
【0051】
また第1固着部34(特に第1ネジ部37)は、
図1及び
図3に示すように弁本体60とは異なる部材によって構成されることも可能であり、
図2に示すように弁本体60の一部によって構成されることも可能である。また第1ネジ部37は、
図1に示すように雄ネジ構造を有することも可能であり、
図2及び
図3に示すように雌ネジ構造を有することも可能である。このように第1固着部34(特に第1ネジ部37)の固着構造は自由度が高く、第1ネジ部37は、取付対象の接続部の構造に応じた固着構造(ネジ構造)を柔軟に持つことができる。したがって上述の電磁弁10は、様々な形態の取付対象に対して適切に取り付けられることが可能であり、既存の取付対象に対しても取り付けられることが可能である。また上述の第1固着部34及び第1ネジ部37の固着構造(ネジ構造)は、様々な形態の電磁弁に対して適用可能であり、既存の電磁弁に対しても付加可能である。
【0052】
このように上述の実施形態に係る電磁弁10は、様々な取付対象(例えばコントロールバルブ等の油圧装置)に対して柔軟且つ簡単に取り付けられることができ、当該電磁弁10を使って様々な取付対象の電気駆動を実現することが可能である。
【0053】
[電磁弁の具体的な構成例]
次に、電磁弁10の具体的な構成例について説明する。以下に説明する電磁弁10の構成は一例に過ぎず、電磁弁10は他の任意の構成を有することができる。
【0054】
図4は、電磁弁10の具体的な構成の一例を示す側方図である。
図4では、電磁弁10の構成要素の一部については断面が示されている。また
図4では、電磁弁10の構成要素の一部の図示が省略されており、例えば駆動部11の一部(特にソレノイド部20)の図示が省略されている。
図4に示された電磁弁10を構成する要素のうち、上述した要素については、その詳細な説明を省略する。
【0055】
図4に示された電磁弁10は電磁比例弁として構成されており、スプール62の第1方向D1への移動が利用されて、油圧部12(特に弁本体60の流路形成部25)の流路構成が変更される。
【0056】
図4に示す油圧部12は、弁本体60と、弁本体60に固定的に取り付けられている継手体70と、を含む。弁本体60の内側には、複数のOリングRを介して保持体61が固定的に設けられている。各OリングRはシール機能を発揮し、圧油の漏出を防ぐ。なお
図4において、表示が煩雑になることを防ぐため、OリングRの全てには符号「R」が付されていない。なお継手体70は弁本体60と一体的に設けられていてもよい。この場合、後述の取付ネジ部65が不要になり、また弁本体60と継手体70との間に配置されるOリングRが不要になり、装置構成を小型化することも可能である。
【0057】
スプール62は、保持体61の内壁面によって区画されている収容孔に配置されており、保持体61の内壁面に密着しつつ第1方向D1へ移動可能に設けられている。スプール62が弁本体60に密着している箇所は液密構造を有し、圧油は、スプール62と弁本体60との間の密着部分を基本的に通過できない。
【0058】
スプール62の第1方向D1に関する一方の端部(
図4の上方端部)は、駆動部11のプランジャー21によって押される部分である。プランジャー21が複数の部材によって構成される場合、プランジャー21のうちソレノイド部20からの磁力の影響を直接的に受ける部材とは異なる他の部材であって、ソレノイド部20からの磁力の影響を直接的に受ける部材と連動する他の部材を、スプール62の端部に接触させることができる。スプール62の第1方向D1に関する他方の端部(
図4の下方端部)は、圧縮ばね63により押されている。圧縮ばね63は、保持体61とスプール62とによって囲まれている第4流路C4に配置されており、スプール62と保持体61との間で第1方向D1に圧縮された状態で設けられている。
【0059】
スプール62は、第1流路C1、第2流路C2及び第3流路C3を有する。第1流路C1は第1方向D1に延び、第2流路C2及び第3流路C3の各々は第2方向D2に延び且つ第1流路C1に接続されている。スプール62のプランジャー21側の端部(
図4の上方の端部)には貫通孔が設けられており、当該貫通孔は第1流路C1に接続されている。スプール62の他方の端部(
図4の下方の端部)にも貫通孔が設けられており、当該貫通孔は第1流路C1の一部として構成され、第4流路C4に面している。第2流路C2及び第3流路C3の各々の一方の端部は、第1流路C1に接続されており、第2流路C2及び第3流路C3の各々の他方の端部は、保持体61に向かって開口している。
【0060】
第4流路C4は、スプール62が配置される保持体61の収容孔の一部として構成されており、スプール62の第1方向D1の位置に応じて第4流路C4の大きさ(特に第1方向D1の長さ)は変わる。第4流路C4は、弁本体60及び継手体70が有する流路Cを介して第1接続ポートP1に接続されている。なお、プランジャー21、第1流路C1、第4流路C4、弁本体60及び継手体70が有する流路C、及び第1接続ポートP1は、電磁弁10の中心軸線によって貫通される位置に配置されている。
【0061】
保持体61は、第2方向D2に延びる第5流路C5及び第6流路C6を有する。また保持体61と弁本体60との間のスペースによって、第7流路C7及び第8流路C8が構成されている。第5流路C5は、第7流路C7を介して第3接続ポートP3に接続されており。第6流路C6は、第8流路C8を介して第2接続ポートP2に接続されている。第1接続ポートP1は第1方向D1(特に駆動部11に対して反対側方向)に向けられており、アクチュエータAに接続される。第2接続ポートP2は第2方向D2に開口し、ポンプPに接続される。第3接続ポートP3は第2方向D2に開口し、タンクTに接続される。第3固着部36は、タンクTの接続部に固着可能に設けられている。
【0062】
第1接続ポートP1を有する第1固着部34は、雄ネジ構造を持つ第1ネジ部37を具備する。第2接続ポートP2を有する第2固着部35は、雌ネジ構造を持つ第2ネジ部38を具備する。第3接続ポートP3を有する第3固着部36は、雌ネジ構造を持つ第3ネジ部39を具備する。第1固着部34は継手体70によって構成され、第2固着部35及び第3固着部36は弁本体60によって構成されている。なお図示の例では、第1固着部34が、弁本体60とは別体として設けられる継手体70によって構成されているが、継手体70を弁本体60と一体的に構成し、第1固着部34を弁本体60によって構成してもよい。
【0063】
継手体70は、第1方向D1に延びる管状部材であり、第1方向D1に延びる流路Cが継手体70を貫通している。継手体70は、一方の端部に位置している本体接続ネジ部72と、他方の端部に位置している外部接続ネジ部74と、本体接続ネジ部72と外部接続ネジ部74との間に位置している調整ネジ部73と、本体接続ネジ部72と調整ネジ部73との間に位置しているストッパー部75と、を有する。本体接続ネジ部72、調整ネジ部73及び外部接続ネジ部74は雄ネジ構造を有する。
【0064】
弁本体60は、雌ネジ構造を持つ取付ネジ部65を有する。本体接続ネジ部72が取付ネジ部65にネジ留めされることによって、継手体70は弁本体60に固定される。継手体70が弁本体60に固定されている状態で、継手体70の流路Cは弁本体60の流路Cに接続されている。第1接続ポートP1は、これらの継手体70及び弁本体60の流路Cを介して、第4流路C4及び第1流路C1に接続されている。また継手体70が弁本体60に固定されている状態で、弁本体60と継手体70との間にはOリングRが配置されている。ストッパー部75は、弁本体60の流路Cよりも大きな径を有する。ストッパー部75が弁本体60と接触することによって、弁本体60に対する継手体70の挿入の程度が決められる。
【0065】
外部接続ネジ部74は第1ネジ部37を有する。外部接続ネジ部74の第1ネジ部37には、対応の取付対象の接続部がネジ留めされる。これにより、電磁弁10は対応の取付対象に固定され、第1接続ポートP1は、取付対象の接続部が有するポート及び流路に接続される。
【0066】
調整ネジ部73には、雌ネジ構造を持つ調整ナット71がネジ留めされている。調整ナット71と外部接続ネジ部74との間にはワッシャー76が設けられている。外部接続ネジ部74の第1ネジ部37に対してネジ留めされる取付対象は、ワッシャー76に接触し、ワッシャー76を介して調整ナット71に押し当てられる。したがって本例では、ワッシャー76が取付部13及び取付面13aとして働く。調整ナット71を調整ネジ部73に対して相対的に回転させることにより、調整ナット71及びワッシャー76の第1方向D1の位置を調整することができる。このように調整ナット71及びワッシャー76の第1方向D1の位置を調整することによって、取付対象の接続部に対する外部接続ネジ部74の挿入の程度が決められる。
【0067】
上述の構成を有する電磁弁10においてプランジャー21は、ソレノイド部20からの磁力の影響を受け、スプール62を介して圧縮ばね63とは反対側において、第1方向D1へ往復移動可能に設けられている。したがって、プランジャー21からスプール62に付与される力と圧縮ばね63からスプール62に付与される力とはお互いに対向し、これらの力のバランスによって(すなわちプランジャー21の先端位置によって)、スプール62の第1方向D1に関する位置が定まる。
図4に示されたスプール62は、プランジャー21に接触し、ソレノイド部20に最も近接した位置(すなわち第1接続ポートP1から最も離れた位置)に配置されている。この状態から、制御部(図示省略)によって駆動部11が駆動されてプランジャー21がスプール62側に移動するのに伴って、スプール62はプランジャー21によって押されて移動し、圧縮ばね63はスプール62の移動によって圧縮される。これにより、スプール62が有する第2流路C2及び第3流路C3の第1方向D1に関する位置が変わり、第5流路C5及び第6流路C6に対する第2流路C2及び第3流路C3の接続状態(すなわち流路形成部25の流路の大きさ)を変えることができる。
【0068】
このように駆動部11のプランジャー21によって油圧部12のスプール62を駆動することにより、アクチュエータA、ポンプP及びタンクTの第1流路C1に対する接続及び非接続を柔軟に変えることができる。これにより、ポンプPから第1流路C1に対する圧油の供給及び供給停止の切り替えと、第1流路C1とアクチュエータAとの間における圧油の供給及び排出の切り替えと、第1流路C1からタンクTに対する圧油の排出及び排出停止の切り替えとを、電気的な制御下で行うことが可能である。
【0069】
図5は、電磁弁10の具体的な構成の他の例を示す側方図である。
図5では、電磁弁10の構成要素の一部については断面が示されている。また
図5では、電磁弁10の構成要素の一部の図示が省略されている。
図5に示された電磁弁10を構成する要素のうち、
図4に示される要素と同一又は類似の要素については、その詳細な説明を省略する。
【0070】
図5に示す電磁弁10の構成は、
図4に示す電磁弁10の構成に類似するが、
図4に示す継手体70を備えていない。
図5に示す電磁弁10の第1固着部34は弁本体60によって構成されており、第1固着部34の第1ネジ部37は雌ネジ構造を有する。第1ネジ部37に対してネジ留めされる取付対象の接続部は、雄ネジ構造を有する。
【0071】
本例の取付部13は弁本体60により構成されており、取付面13aは弁本体60の端面により構成されている。第1接続ポートP1は、弁本体60の端部が有する凹部によって構成されており、第1方向D1(特に駆動部11とは反対側の方向)に開口し、弁本体60が有する流路を介して第4流路C4及び第1流路C1に接続されている。第1固着部34に取付対象が固着されている状態で、第1接続ポートP1は、当該取付対象の接続部が有するポート及び流路に接続される。
【0072】
なお
図5におけるプランジャー21の駆動と流路形成部25の流路構造との関係は、
図4に示す関係と同じである。
【0073】
図6は、電磁弁10の具体的な構成の他の例を示す側方図である。
図6では、電磁弁10の構成要素の一部については断面が示されている。また
図6では、電磁弁10の構成要素の一部の図示が省略されている。
図6に示された電磁弁10を構成する要素のうち、
図4~
図5に示される要素と同一又は類似の要素については、その詳細な説明を省略する。
【0074】
図6に示す電磁弁10の構成は、
図4に示す電磁弁10の構成に類似するが、
図4に示す継手体70の代わりに、第1継手体77及び第2継手体78を備える。すなわち
図6に示す油圧部12は、弁本体60と、弁本体60に固定的に取り付けられる第1継手体77と、第1継手体77に取り付けられる第2継手体78とを含む。
【0075】
第1継手体77は、第1方向D1に延びる管状部材であり、第1方向D1に延びる流路Cが第1継手体77を貫通している。第1継手体77は、一方の端部に位置している本体接続ネジ部72と、他方の端部側に位置している嵌合溝79と、本体接続ネジ部72と嵌合溝79との間に位置しているストッパー部75と、を有する。本体接続ネジ部72は雄ネジ構造を有する。嵌合溝79は、第2継手体78の嵌合爪80を嵌め込み可能な凹形状を有する。
【0076】
第2継手体78は、筒状形状を有し、第1固着部34を構成する。第2継手体78は、一方の端部に位置している嵌合爪80と、他方の端部側に位置している第1ネジ部37と、を具備する。嵌合爪80が嵌合溝79に嵌め込まれることによって、第2継手体78は第1継手体77に取り付けられる。なお第2継手体78は、第1継手体77に対して相対的に回転可能に設けられている。第1接続ポートP1は、第2継手体78の端部(
図6の下方側の端部)が有する凹部によって構成されており、第1方向D1(特に駆動部11とは反対側の方向)に開口し、第1継手体77及び弁本体60が有する流路Cを介して第4流路C4及び第1流路C1に接続されている。
【0077】
本例の取付部13は第1継手体77により構成されており、取付面13aは第1継手体77の端面により構成されている。なお取付部13及び取付面13aは必ずしも第1継手体77によって構成されていなくてもよい。例えば、
図6において符号「13’」及び「13’a」により示されているように、弁本体60によって取付部及び取付面が構成されていてもよい。また
図6において符号「13”」及び「13”a」により示されているように、第2継手体78によって取付部及び取付面が構成されていてもよい。
【0078】
なお
図6におけるプランジャー21の駆動と流路形成部25の流路構造との関係は、
図4及び
図5に示す関係と同じである。
【0079】
上述のように駆動部11は、ソレノイド部20に印加される励磁電流に応じて、第1接続ポートP1に直接または間接に接続された流路(図示の例で第3流路C3)と第2接続ポートP2に直接または間接に接続された他の流路(図示の例では第6流路C6)との合流部の断面積(すなわち流路断面積)を変える。同様に、駆動部11は、第1接続ポートP1に直接または間接に接続された流路(図示の例で第2流路C2)と第3接続ポートP3に直接または間接に接続されたさらに他の流路(図示の例で第5流路C5)との合流部の断面積を変える。
【0080】
なお電磁弁10は
図4~
図6に示される構造には限定されない。例えば、駆動部11は、ソレノイド部20に印加される励磁電流に応じて、第1接続ポートP1に接続された流路と第2接続ポートP2に接続された他の流路との合流、及び、第1接続ポートP1に接続された流路と第3接続ポートP3に接続された他の流路との合流部のうちの少なくともいずれか一方の断面積を変えることができればよい。
【0081】
[応用例]
上述の電磁弁10は、各種の装置(例えば油圧装置)に搭載することが可能である。例えば、方向切換弁が上述の電磁弁10を備えていてもよい。また油圧ショベル等の建設機械やその他の作業機械が、上述の電磁弁10を具備する方向切換弁を備えていてもよい。
【0082】
[方向切換弁]
図7は、方向切換弁90の一例を示す断面図である。
図7に示す方向切換弁90は既知の構造を有しており、例えば特開平08-170353号公報を参考にすることによって、
図7に示す方向切換弁90の具体的な構成及び動作を容易に理解することができる。したがって本明細書では、
図7に示す方向切換弁90の詳細な説明は省略する。
【0083】
図7に示す方向切換弁90では、弁ブロック95のスプール孔96における方向切換スプール91の位置(すなわち
図7の左右方向の位置)に応じて、弁ブロック95が有する流路(特に第1負荷通路92及び第2負荷通路93)における作動油の流れ及び流れ方向が変えられる。例えば、共通の油圧機器(例えば油圧モータ、油圧ピストン等)に対して第1負荷通路92及び第2負荷通路93が接続されている状態で、弁ブロック95に対する方向切換スプール91の位置を変えることによって、油圧機器に対する作動油の供給及び排出を切り替えられるだけではなく、油圧機器の駆動状態を順方向駆動と逆方向駆動との間で切り替えることもできる。
【0084】
この方向切換スプール91の位置は、方向切換スプール91の両端に対して加えられるパイロット圧のバランスによって決められる。図示の方向切換弁90の弁ブロック95には、第1パイロット圧導入部98及び第2パイロット圧導入部99が取り付けられている。第1パイロット圧導入部98の内側には、圧縮ばね等によって構成される駆動弾性体94が配置されている。駆動弾性体94は、第1パイロット圧導入部98及び方向切換スプール91から力を受けて圧縮されている。方向切換スプール91の一端部(
図7の右側の端部)に対しては、第1パイロット圧導入部98に供給される圧油の圧力と、駆動弾性体94の弾性力と、が加えられる。方向切換スプール91の他端部(
図7の左側の端部)に対しては、第2パイロット圧導入部99に供給される圧油の圧力が加えられる。
【0085】
第1パイロット圧導入部98及び第2パイロット圧導入部には雌ネジ部が形成されており、第1パイロット圧導入部98及び第2パイロット圧導入部99のうちの少なくとも一方に対して例えば
図4に示す電磁弁10を取り付けて、電磁弁10を電気的に制御することによって、方向切換スプール91の位置を調整することが可能である。すなわち、上述の電磁弁10の第1接続ポートP1を介して第1パイロット圧導入部98及び/又は第2パイロット圧導入部99に供給される圧油の圧力を、方向切換スプール91を移動させるためのパイロット圧として利用することで、スプール孔96において方向切換スプール91を所望位置に配置することが可能である。なお、第1パイロット圧導入部98及び第2パイロット圧導入部99のうちの一方にのみ電磁弁10が取り付けられる場合、電磁弁10が取り付けられない他方の導入部には、通常の配管を介し、パイロット圧を提供する圧油を導入することが可能である。
【0086】
なお上述の電磁弁10を搭載可能な方向切換弁は、
図7に示される方向切換弁90には限定されない。また方向切換弁以外の油圧機器やその他の機器に対しても、上述の電磁弁10を搭載することが可能である。
【0087】
[油圧ショベル]
図8は、油圧ショベル110の典型的な構成例の概略を示す外観図である。油圧ショベル110は、一般に、クローラを具備する下部フレーム144と、下部フレーム144に対して旋回可能に設けられる上部フレーム145と、上部フレーム145に取り付けられるブーム147と、ブーム147に取り付けられるアーム148と、アーム148に取り付けられるバケット149とを備える。アクチュエータとしての油圧シリンダ167、168、169は、ブーム用、アーム用、バケット用の油圧シリンダであり、それぞれブーム147、アーム148及びバケット149を駆動する。旋回モータ146によって上部フレーム145が旋回させられるように、上部フレーム145には旋回モータ146からの回転駆動力が伝達される。また走行モータ151によりクローラが駆動されて油圧ショベル110が走行するように、下部フレーム144のクローラには走行モータ151からの回転駆動力が伝達される。
【0088】
この油圧ショベル110において、例えば油圧シリンダ167、168、169、旋回モータ146及び/又は走行モータ151に含まれ或いは接続される油路のうちの適切な箇所に、上述の電磁弁10を備える方向切換弁90が設置されていてもよい。
【0089】
本発明は、上述の実施形態及び変形例には限定されない。例えば、上述の実施形態及び変形例の各要素に各種の変形が加えられてもよいし、実施形態及び変形例が部分的に組み合わせられてもよい。また、本発明によって奏される効果も上述の効果に限定されず、具体的な構成に応じた特有の効果が発揮される。
【符号の説明】
【0090】
10 電磁弁、11 駆動部、12 油圧部、13 取付部、13a 取付面、20 ソレノイド部、21 プランジャー、23 ハウジング部、25 流路形成部、34 第1固着部、35 第2固着部、36 第3固着部、37 第1ネジ部、38 第2ネジ部、39 第3ネジ部、60 弁本体、61 保持体、62 スプール、63 圧縮ばね、65 取付ネジ部、70 継手体、71 調整ナット、72 本体接続ネジ部、73 調整ネジ部、74 外部接続ネジ部、75 ストッパー部、76 ワッシャー、77 第1継手体、78 第2継手体、79 嵌合溝、80 嵌合爪、90 方向切換弁、91 方向切換スプール、92 第1負荷通路、93 第2負荷通路、94 駆動弾性体、95 弁ブロック、96 スプール孔、98 第1パイロット圧導入部、99 第2パイロット圧導入部、110 油圧ショベル、144 下部フレーム、145 上部フレーム、146 旋回モータ、147 ブーム、148 アーム、149 バケット、151 走行モータ、167 油圧シリンダ、168 油圧シリンダ、169 油圧シリンダ、A アクチュエータ、C 流路、C1 第1流路、D1 第1方向、P1 第1接続ポート、C2 第2流路、D2 第2方向、P2 第2接続ポート、C3 第3流路、P3 第3接続ポート、C4 第4流路、C5 第5流路、C6 第6流路、C7 第7流路、C8 第8流路、P ポンプ、R Oリング、T タンク