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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-18
(45)【発行日】2023-05-26
(54)【発明の名称】荷受台昇降装置
(51)【国際特許分類】
   B60P 1/44 20060101AFI20230519BHJP
【FI】
B60P1/44 E
B60P1/44 B
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019007097
(22)【出願日】2019-01-18
(65)【公開番号】P2020116969
(43)【公開日】2020-08-06
【審査請求日】2021-10-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000163095
【氏名又は名称】極東開発工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】弁理士法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】安部 慎二
(72)【発明者】
【氏名】清藤 英樹
(72)【発明者】
【氏名】水谷 文昭
【審査官】結城 健太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-137712(JP,A)
【文献】特開平10-6842(JP,A)
【文献】米国特許第4147261(US,A)
【文献】特開2011-105218(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60P 1/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷台を備えた車両に備えられ、荷受台を備え、動力源に接続された平行リンク機構部を駆動させることで前記荷受台を水平状態で昇降させて、地上と前記荷台との間で荷物の積み降ろしをするために用いられる荷受台昇降装置であって、
前記平行リンク機構部は、先部が前記荷受台に回動可能に接続され、基部が前記車両のシャシに接続されて前記基部を中心に回動する上アームと、該上アームの下方に配置され、該上アームとともに回動する下アームと、
前記荷受台を、地上と前記荷台との間で昇降させる昇降駆動装置とを備え、
前記上アームは、前記上アームにおける少なくとも先部において幅方向に対向して配置される一対のアームプレートと、該一対のアームプレートに接合されるボス部とを備え、
前記ボス部は、幅方向に沿う軸であって前記上アームを前記荷受台に接続する軸に遊嵌され、前記一対のアームプレートの基部に向けて延びる延長部を一体に備え、該延長部は前記一対のアームプレートの上面より下側位置に配置された状態で、該一対のアームプレートの内面のそれぞれに溶接されていることを特徴とする荷受台昇降装置。
【請求項2】
前記ボス部の前記延長部には、前記上アームの基部に向かって分離するよう一対の分離部が形成されており、該一対の分離部は、それぞれ前記一対のアームプレートに溶接されている請求項1記載の荷受台昇降装置。
【請求項3】
前記ボス部の前記延長部は、前記アームプレートの上端より下側において延びる請求項1または請求項2に記載の荷受台昇降装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、荷台を備えた貨物自動車等の車両に装着され、地上と荷台との間で荷物の積み降ろしをするために用いられる荷受台昇降装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の荷受台昇降装置が特許文献1に提案されている。特許文献1には、貨物自動車の車両上に荷台が搭載され、車両の後部に荷受台昇降装置を備えた構成が記載されている。荷受台昇降装置は、地面と荷台の床面との間で荷受台を昇降させることにより、荷物を積み降ろすことができる。
【0003】
荷受台昇降装置は、車両のシャシに対し支持装置を介して荷受台を昇降させるものである。支持装置は、平行リンク機構部を備える。平行リンク機構部は、上アーム、下アーム、リフトシリンダを備える。上アームおよび下アームは、それぞれ車両側および荷受台側において車幅方向に沿う軸(ピン)により連結され、リフトシリンダを用いて、上アームおよび下アームを回動させ、荷受台を昇降させる。
【0004】
また、支持装置のうち、上アームは車幅方向に対向する二枚のアームプレートを一対に備え、アームプレートの一端は、アーム連結部を介して荷受台側の軸(特許文献1の図3の符号25を参照)に取付けられている。また、リフトシリンダのピストンロッド側端部は、荷受台側の軸(特許文献1の図3の符号23を参照)に取付けられている。
【0005】
ところで、荷物の積み降ろし作業において、荷受台に荷物が載置されると、支持装置には荷物の荷重に応じた負荷が働く。一方、特許文献1に記載のアーム連結部では、二枚のアームプレートのうち、一枚のアームプレートに対してのみ溶接されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特許第5137713号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
アーム連結部は、上アームの対向する二枚のアームプレートのうち一枚にのみ溶接して連結されている。しかしながら、荷物の積み降ろし作業において、荷受台に荷物が載置されたことにより荷重(引張力)が、アーム連結部が溶接された一枚のアームプレートに集中してしまい、アーム連結部の溶接されていない一枚のアームプレートは、荷重負荷に貢献できていなかった。
【0008】
そこで本発明は、上アームが車幅方向に対向する二枚のアームプレートを備えていた場合に、荷受台に荷物が載置されても、二枚のアームプレートで均等に荷受台および荷物が分散して負担される荷受台昇降装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、荷台を備えた車両に備えられ、荷受台を備え、動力源に接続された平行リンク機構部を駆動させることで前記荷受台を水平状態で昇降させて、地上と前記荷台との間で荷物の積み降ろしをするために用いられる荷受台昇降装置であって、前記平行リンク機構部は、先部が前記荷受台に回動可能に接続され、基部が前記車両のシャシに接続されて前記基部を中心に回動する上アームと、該上アームの下方に配置され、該上アームとともに回動する下アームと、前記荷受台を、地上と前記荷台との間で昇降させる昇降駆動装置とを備え、前記上アームは、前記上アームにおける少なくとも先部において幅方向に対向して配置される一対のアームプレートと、該一対のアームプレートに接合されるボス部とを備え、前記ボス部は、幅方向に沿う軸であって前記上アームを前記荷受台に接続する軸に遊嵌され、前記一対のアームプレートの基部に向けて延びる延長部を一体に備え、該延長部は前記一対のアームプレートのそれぞれに溶接されていることを特徴としている。
【0010】
上記構成を有する荷受台昇降装置では、荷受台に荷物を載置して地上と荷台との間で荷物を積み降ろす際に、荷受台に載置される荷物の荷重による負荷が平行リンク機構部に働くと、アームプレートを支持する軸に対してボス部が連結された延長部は、アームプレートの基部に向けて延びており、延長部は一対のアームプレートにそれぞれ溶接されているから、一対のアームプレートに荷重(引張力)を均等に伝えることができる。
【0011】
本発明の荷受台昇降装置は、前記ボス部の前記延長部には、前記上アームの基部に向かって分離するよう一対の分離部が形成されており、該一対の分離部は、それぞれ前記一対のアームプレートに溶接されている構成を採用できる。
【0012】
上記構成を有する荷受台昇降装置では、一対のアームプレートのそれぞれに延長部の分離部が溶接されているので、荷重によって一対のアームプレートに、捻じれて変形するような力が働いた場合でも、分離部どうしがそれぞれのアームプレートの変形に追従しやすいため、アームプレートと分離部との間の溶接に損傷が生じにくい。
【0013】
本発明の荷受台昇降装置は、前記ボス部の前記延長部は、前記アームプレートの上端より下側において延びる構成を採用できる。
【0014】
上記構成を有する荷受台昇降装置では、ボス部の延長部は、アームプレートの上端よりも下側において延びることにより、荷受台を荷台に格納する際に、車両のシャシとの干渉が防止できる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の荷受台昇降装置によれば、上アームが車幅方向に対向する二枚のアームプレートを備えていた場合に、荷受台に荷物が載置されても、二枚のアームプレートで均等に荷受台および荷物を分散して負担させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施形態に係る荷受台昇降装置の側面図である。
図2】同荷受台昇降装置の駆動部の平面図である。
図3】同荷受台昇降装置の一部拡大側面図である。
図4】同荷受台昇降装置の平行リンク機構部を表した組立図である。
図5】同荷受台昇降装置の上アームとボス部の平面図である。
図6】同荷受台昇降装置の上アームとボス部の断面図であり、図5におけるX-X線矢視断面図である。
図7】同荷受台昇降装置の上アームとボス部の取付け状態を表す背面図である。
図8】同ボス部の上方からの斜視図である。
図9】同ボス部の下方からの斜視図である。
図10】同ボス部の側面図である。
図11】同ボス部の底面図である。
図12】同ボス部の断面図であり、図10のY-Y線断矢視面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一実施形態に係る荷受台昇降装置を、図1ないし図12を参照しつつ説明する。なお、以下の方向の特定において、前後方向Pとは、貨物車両1の前後方向であり、車幅方向Wとは貨物車両1の前方から見た場合の左右方向である。
【0018】
本実施形態では、図1に示すように、貨物車両1上の後部に、荷台として床面2aを備えた荷箱2が搭載されており、貨物車両1の後部に荷受台昇降装置3が取付けられている。貨物車両1は、シャシと荷受台昇降装置3とで構成されている。荷受台昇降装置3は、荷受台4と駆動部5を備えている。駆動部5は、貨物車両1と荷受台4を連結するよう構成されている。そして、駆動部5を駆動して荷受台4を水平状態で昇降させ、地上Gと荷箱2との間で荷物の積み降ろしをすることが可能である。
【0019】
貨物車両1のシャシは、前後方向Pに延びる一対のシャシフレーム6を、図2に示すように、車幅方向Wの両端に備え、各シャシフレーム6上に固定されたサブフレーム7を備えている。各サブフレーム7の上面には、荷箱2が搭載されている。
【0020】
荷受台4の荷物載置部8は、荷物を積むことができるように平板状に形成され、荷物載置部8の裏側には、スチフナ9が配置されている。スチフナ9は先部を鋭角とする略三角形状に形成されており、荷物載置部8が水平な姿勢の際に、スチフナ9の先部は、貨物車両1側に対して地上Gから離れる位置にある(例えば、荷受台4が最下方にある状態)。また、荷受台4において、スチフナ9の貨物車両1側に、荷受台4と、駆動部5の一部を構成する平行リンク機構部10(後に詳述する)を連結するための連結部材11が溶接されている。
【0021】
図3に示すように、各シャシフレーム6の後側の外側面には、取付ブラケット12,13が溶接により固定されている。取付ブラケット12,13は、前後一対に配置されている。また、取付ブラケット12,13には、荷受台4の荷重を支持するための支持フレーム(図示省略)が連結されている。また、前側の取付ブラケット12において、シャシフレーム6の下方に、車幅方向に延びる、ボックス状のクロスメンバ14が固定されている。このクロスメンバ14には、駆動部5を駆動するための動力源であるパワーユニット15が設けられている。
【0022】
図2に示すように、クロスメンバ14の車幅方向外側には、駆動部5の一部を構成する内側支持ブラケット16および外側支持ブラケット17が、それぞれ固定されている。図4に示すように、内側支持ブラケット16には、左右一対の上アーム(リフトアーム)21、リフトシリンダ(昇降駆動装置)25の基端部を回動自在に取付けるためのチルトリンク18が設けられている。なお、上下方向の特定とは、図1の仮想線に示すように、荷受台4の荷物載置部8および平行リンク機構部10が略平行な状態における上下を指す。
【0023】
チルトリンク18は、一対の上アーム21の間に配置され、チルトリンク18の上端部は、第一ピン20により回動可能に取付けられている。チルトリンク18には、上アーム21の基端部が第二ピン22により回動可能に取付けられている。上アーム21の構成に関しては、後に詳述する。
【0024】
外側支持ブラケット17には、杆状の下アーム(コンプレッションアーム)23の基端部が、第三ピン24により回動可能に取付けられている。さらに、チルトリンク18の下部には、上アーム21と下アーム23を上下回動させるリフトシリンダ25のピストンロッド側端部が、第四ピン26により回動可能に取付けられている。これら、第一ピン20ないし第四ピン26は、何れも車幅方向に沿った軸である。
【0025】
荷受台4側に配置した連結部材11に、上アーム21の先部(後述する拡大部35A)に形成された上突出部27に溶接したボス部28が、第五ピン30により回動可能に取付けられている。また、上アーム21の拡大部35Aに形成された下突出部31に、リフトシリンダ25のチューブ側端部が、第六ピン32により回動可能に取付けられている。
【0026】
上アーム21の拡大部35Aおよび下アーム23の先部を回動自在に取付けるためのコネクティングリンク33が設けられている。コネクティングリンク33はその上部に、一対の上アーム21(拡大部35A)の間に配置されるコネクト軸部33Aを備えている。コネクト軸部33Aは、第五ピン30に回動可能に取付けられ、コネクティングリンク33の下部は、下アーム23の先部が第7ピン33aに回動可能に取付けられている。
【0027】
第7ピン33aには、荷受台4を回動するための開閉シリンダ34のピストンロッド側端部が取付けられており、この開閉シリンダ34のシリンダチューブ側端部はスチフナ9側に設けられたピン(図示せず)により、荷受台4に取付けられている。
【0028】
駆動部5は、前記内側支持ブラケット16、外側支持ブラケット17、チルトリンク18、コネクティングリンク33、上アーム21、下アーム23、リフトシリンダ25、連結部材11、開閉シリンダ34、および第一ピン20~第7ピン33aを備える。特に、平行リンク機構部10は、内側支持ブラケット16、外側支持ブラケット17、チルトリンク18、コネクティングリンク33、上アーム21、下アーム23、リフトシリンダ25、連結部材11、および第一ピン20~第7ピン33aを備えている。これらの構成により、パワーユニット15により油圧回路で駆動させて、リフトシリンダ25を伸縮させ、平行リンク機構部10を介して荷受台4を昇降させることができる。
【0029】
なお、図1に示すように、パワーユニット15により開閉シリンダ34を駆動させることで、平行リンク機構部10に対して荷物載置部8を、水平方向の姿勢から垂直方向の姿勢となるよう姿勢を切替えることができる。
【0030】
〔上アームの構成〕
上アーム21の構成について詳述する。図2に示すように、各上アーム21は、アームプレート35と、前述の拡大部35Aを備える。アームプレート35は平行リンク機構部10が略水平な状態において前後方向に長いプレートである。拡大部35Aは、アームプレート35の先部を上下に突出させて、上方に突出する上突出部27、および下方に突出する下突出部31を一体的に形成している。
【0031】
上突出部27、下突出部31の間に、プレート孔37が、一対のアームプレート35に貫通するよう形成されている。また、上突出部27には、前述のようにボス部28が取付けられている。図4に示すように、アームプレート35は、シャシフレーム6側に配置される荷受台幅方向(車幅方向)のピン(第二ピン22)を介して回動自在であり、上アーム21の拡大部35Aに取付けられたボス部28は、荷受台4側に配置されたピン(第五ピン30)を介して回動自在である。なお、「荷受台幅方向」とは、荷受台4の先部から基部に向かう前後方向に直交する、荷受台4の一方の側部から他方の側部に向かう方向(図1における紙面手前側から奥に向かう方向)である。
【0032】
図5ないし図12に示すように、各上アーム21は、一対のアームプレート35に接合されるボス部28を備えている。ボス部28は、車幅方向Wのボス孔28aを有して略円形のボス部本体40と、ボス部本体40を一対のアームプレート35に取付ける取付部41と、取付部41からアームプレート35の基端部側に延びる延長部42とを一体的に備えている。
【0033】
ボス部本体40は、第五ピン30に外嵌(遊嵌)するものであり、上突出部27の上部に突出されている(図4参照)。ボス部本体40の車幅方向寸法は、一対のアームプレート35の外側端間の寸法よりわずかに大きな寸法である。
【0034】
取付部41は平面視および底面視にて外形が長方形に形成され、取付部41は、連結軸38(プレート孔37)を回避するようにして、一対のアームプレート35のプレート内面35aに溶接されている。延長部42も同様にプレート内面35aに溶接されている。なお、ボス部本体40の下面41aは、アームプレート35のプレート上面35bの上方に位置する。取付部41の中心部には、ボス部本体40には至らない有底の長孔43が形成されて軽量化が図られている。
【0035】
延長部42は、一対のアームプレート35の基端部(前後方向の前側)に向けて、取付部41から延長されている。延長部42は、第二ピン22と第五ピン30とを結ぶ方向と平行に延長されている(図3参照)。このため、荷受台4上に荷重がかかったときに第五ピン30に加わる引張方向(この方向は荷受台4の昇降位置が変わっても略同一である)と平行に、延長部42をアームプレート35に溶接できる。このため、延長部42の溶接に割れが生じにくい。また、アームプレート35は第二ピン22と第五ピン30とを結ぶ方向と平行に延びている。延長部42は、対向するアームプレート35の基端部側に向かって車幅方向Wで二又に分離するよう、板状の分離部44,44から形成される。分離部44,44の間は空間である。
【0036】
図6に示すように、分離部44,44は、前後方向の中心が厚く形成され(符号Hで示す)、基端部側が薄く形成され(符号hで示す)ている。各分離部44,44は、延長部42側の端部がアームプレート35のプレート上面35bに配置され、アームプレート35の基端部側へ移動するほど、アームプレート35のプレート上面35b(上端部)から奥まった位置(下側位置)に配置されている。したがって、各分離部44,44の先端部分44aは、アームプレート35の途中まで延長されている。
【0037】
一対のアームプレート35の先部どうしは、プレート孔37を避けるように、板状の補強板35eによって溶接されている。また、一対のアームプレート35の基端部側には、アームプレート35を補強する杆状の補強板36aが溶接されている。
【0038】
荷受台昇降装置3は、上記のような駆動部5を車幅方向に二組備えている。また、二組のアームプレート35の拡大部35Aのプレート孔37には、荷受台4の荷物載置部8の荷重を均等に上アーム21に分散させるための連結軸38が固定されている(図2参照)。
【0039】
なお、図2において、符号45は、クロスメンバ14に支持されたバンパアーム、符号46は、バンパである。バンパアーム45およびバンパ46は、駆動部5の内方に設けられている。
【0040】
上記構成の荷受台昇降装置を備えた貨物車両1では、図1に示すように、荷受台4が荷箱2の背面にある格納状態から、動力源であるパワーユニット15に接続される油圧回路により、開閉シリンダ34を縮小するよう駆動して、荷受台4の荷物載置部8を垂直状態から水平状態に切替え、荷受台4の荷物載置部8を、荷箱2の床面2aに一致させた荷箱側状態とする。
【0041】
荷受台4が格納状態であるとき、ボス部28の各分離部44,44は、延長部42側の端部がアームプレート35のプレート上面35bに配置され、アームプレート35の基端部側へ移動するほど、アームプレート35のプレート上面35bから奥まった位置に配置されていて、プレート上面35bから飛び出ていない。このため、各分離部44,44はシャシフレーム6の後端と干渉することがない。
【0042】
このような荷箱側状態とした上で、荷箱2の床面2aに載置された荷物を移動させて、荷受台4の荷物載置部8に乗せ、パワーユニット15に接続される油圧回路により、リフトシリンダ25を縮小するよう駆動し、図1に示すように、平行リンク機構部10によって荷物載置部8を水平な状態としたままで、荷受台4を地面に下降させる。
【0043】
荷物載置部8が水平な姿勢の際に、スチフナ9の先部は、貨物車両1側に対して地上Gから離れる位置にある。このため、開閉シリンダ34をさらに縮小するよう駆動して、荷物載置部8を地面に倣わせて地上側状態とし、わずかに傾斜している荷物載置部8から、荷物を地上Gに降ろす。上記のような荷箱側状態と地上側状態とを繰返すことにより、荷物を荷箱2から地上Gに降ろす。
【0044】
また、荷物を荷箱2に積み上げる際は、荷受台4の荷物載置部8を地面に倣わせた状態である地上側状態として荷物載置部8に荷物を載せ、開閉シリンダ34を伸長させて荷物載置部8を水平とし、リフトシリンダ25を伸長させて、平行リンク機構部10を用いて荷物載置部8を水平としたままで、荷受台4を上昇させて荷箱側状態とし、荷物を移動させて荷箱2の床面2aに載置する。上記のような地上側状態と荷箱側状態とを繰返すことにより、荷物を荷箱2の床面2aに載置する。
【0045】
ところで、荷箱側状態や、荷箱側状態から地上側状態、あるいは地上側状態から荷箱側状態までの間において、荷受台4の荷物載置部8に荷物が載置されると、貨物車両1と荷受台4を連結する駆動部5に、荷物の荷重に応じた負荷が働く。
【0046】
特に平行リンク機構部10における上アーム21は、図4に示すように、荷受台4の連結部材11に対して第五ピン30を介して直接連結されているから、荷物の荷重に応じた負荷が、大きく働く。具体的には、荷受台4に荷物の荷重が載置されると、各上アーム21のアームプレート35には、引張力が働く。
【0047】
これに対して本実施形態では、一対のアームプレート35に接合されるボス部28を備える。また、ボス部28において第五ピン30に外嵌するボス部本体40は、上突出部27の上部に接合され、ボス部本体40を一対のアームプレート35に取付ける取付部41が、一対のアームプレート35のプレート内面35aにそれぞれ溶接されている。このように、取付部41が一対のアームプレート35のプレート内面35aにそれぞれ溶接されることで、荷物の荷重に応じた負荷(引張力)に耐えることができる。
【0048】
しかも本実施形態では、取付部41に対して、アームプレート35の基端部に延びる延長部42が一体的に形成され、延長部42の両側は、一対のアームプレート35のプレート内面35aに溶接されている。この構成によって、一対のアームプレート35には、ボス部28から荷物の荷重による負荷(引張力)が均等に働く。このため、一対のアームプレート35を、負荷の負担のために有効に作用させられる。
【0049】
また、延長部42は、対向するアームプレート35の基端部に向かって二又に分離するよう、板状の分離部44,44から形成されている。そして、分離部44,44の各アームプレート35側の端部は、アームプレート35のプレート内面35aに溶接されている。このため、一対のアームプレート35は、荷物に応じた負荷に耐えうるとともに、一対のアームプレート35に対し、均等に負荷を与えることができる。
【0050】
また、一対のアームプレート35間の距離を変形させる荷重が働いた場合、例えば、荷物の荷重により、一対のアームプレート35のプレート上面35bどうしの間隔を短く、一対のアームプレート35のプレート下面35cどうしの間隔を長くするような捻じれが生じた場合を考える。この場合、各アームプレート35には、それぞれ分離部44,44が溶接され、分離部44,44の間は空間である。よって、一対のアームプレート35に捻じれて変形するような力が働いた場合でも、分離部44,44どうしがアームプレート35,35に追従しやすい。このため、分離部44,44の溶接が保護されて、延長部42に損傷が生じない。
【0051】
本発明のボス部28は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、上記各実施形態では、延長部42には、分離部44,44が形成されていた。しかしながら、分離部44,44を形成せず、例えば延長部42を一枚の板状体として、一対のアームプレート35の内面間どうしに溶接されるよう形成することもできる。
【0052】
上記実施形態では、上アーム21は、全長に亘って一対のアームプレート35から形成されていたが、基端部側は一対のアームプレート35を一体に形成し、先部側でのみ、二又に分離することもできる。
【0053】
上記各実施形態では、下アーム23は杆状とされた。しかしながら、シリンダ装置とすることもできる。このシリンダ装置を伸縮することにより、荷受台4を回動できるため、このシリンダ装置が開閉シリンダ34を兼用できる。
【0054】
上記各実施形態では、リフトシリンダ25は油圧によって駆動されたが、電動式のリフトシリンダ25であってもよい。
【0055】
また、上記実施形態では、荷受台昇降装置3が貨物車両1の後部に取付けられていたが、貨物車両1の側部に取付けられていてもよい。
【0056】
また、上記実施形態の荷受台昇降装置3は、図1に示すように、貨物車両1の後部に荷受台4を起立させて格納する、いわゆる起立格納式であった。しかしながら、貨物車両1の荷台の床下に格納する方式であってもよい。この場合、平行リンク機構部10はその基部が荷台の床下に固定されたレールを介してシャシに接続される。
【符号の説明】
【0057】
1…貨物車両、2…荷箱、3…荷受台昇降装置、4…荷受台、5…駆動部、6…シャシフレーム、8…荷物載置部、9…スチフナ、10…平行リンク機構部、11…連結部材、14…クロスメンバ、15…パワーユニット、16…内側支持ブラケット、17…外側支持ブラケット、18…チルトリンク、21…上アーム(リフトアーム)、23…下アーム(コンプレッションアーム)、25…リフトシリンダ(昇降駆動装置)、27…上突出部、28…ボス部、28a…ボス孔、31…下突出部、33…コネクティングリンク、35,35…アームプレート、40…ボス部本体、41…取付部、42…延長部、44,44…分離部、44a…先端部分
図1
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図12