(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-18
(45)【発行日】2023-05-26
(54)【発明の名称】非水系毛髪化粧料及び毛髪処理方法
(51)【国際特許分類】
A61K 8/31 20060101AFI20230519BHJP
A61K 8/34 20060101ALI20230519BHJP
A61K 8/37 20060101ALI20230519BHJP
A61K 8/891 20060101ALI20230519BHJP
A61K 8/892 20060101ALI20230519BHJP
A61K 8/92 20060101ALI20230519BHJP
A61Q 5/06 20060101ALI20230519BHJP
A61Q 5/12 20060101ALI20230519BHJP
【FI】
A61K8/31
A61K8/34
A61K8/37
A61K8/891
A61K8/892
A61K8/92
A61Q5/06
A61Q5/12
(21)【出願番号】P 2019024281
(22)【出願日】2019-02-14
【審査請求日】2022-02-08
(73)【特許権者】
【識別番号】592255176
【氏名又は名称】株式会社ミルボン
(74)【代理人】
【識別番号】100165685
【氏名又は名称】田中 信治
(72)【発明者】
【氏名】松本 尚人
(72)【発明者】
【氏名】明比 薫
【審査官】松元 麻紀子
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-100244(JP,A)
【文献】特開2009-221143(JP,A)
【文献】特開2018-076311(JP,A)
【文献】特開2019-178108(JP,A)
【文献】特開2019-202960(JP,A)
【文献】特開2019-202959(JP,A)
【文献】特開2019-178107(JP,A)
【文献】特開2019-099533(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/31
A61K 8/34
A61K 8/37
A61K 8/891
A61K 8/892
A61K 8/92
A61Q 5/06
A61Q 5/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)
平均重合度が650以上の高重合メチルポリシロキサン、(B)
平均重合度が650以上の高重合ジメチコノール
、(C)
エステル、油脂、高級アルコール、及び炭化水素から選ばれる1種又は2種以上の25℃で液状の不揮発性油
、及び(D)揮発性シリコーンが配合され、
前記(C)
エステル、油脂、高級アルコール、及び炭化水素から選ばれる1種又は2種以上の25℃で液状の不揮発性油の配合量に対する前記(A)
平均重合度が650以上の高重合メチルポリシロキサンの配合量と前記(B)
平均重合度が650以上の高重合ジメチコノールの配合量との合計配合量の質量比([(A)+(B)]/(C))が0.8以上
1.43以下であ
り、
前記(D)揮発性シリコーンの配合量が75質量%以上である非水系毛髪化粧料。
【請求項2】
水の含有量が1質量%以下であるか、又は、水を含有しない請求項1に記載の非水系毛髪化粧料。
【請求項3】
前記(C)
エステル、油脂、高級アルコール、及び炭化水素から選ばれる1種又は2 種以上の25℃で液状の不揮発性油の配合量に対する前記(A)
平均重合度が650以上の高重合メチルポリシロキサンの配合量と前記(B)
平均重合度が650以上の高重合ジメチコノールの配合量との合計配合量の質量比([(A)+(B)]/(C))が、1.3以下である請求項1又は請求項2に記載の非水系毛髪化粧料。
【請求項4】
トリートメント剤又はスタイリング剤である請求項1~3のいずれか1項に記載の非水系毛髪化粧料。
【請求項5】
濡れた毛髪に塗布されて洗い流されずに毛髪を乾燥させる態様で用いられる請求項1~4のいずれか1項に記載の非水系毛髪化粧料。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載の非水系毛髪化粧料を用いた毛髪処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非水系毛髪化粧料及び非水系毛髪化粧料を用いた毛髪処理方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
各種の成分が配合された毛髪化粧料が、種々の目的に応じて提供されている。毛髪化粧料の中でも、非水系毛髪化粧料は、毛髪に油分を与えてツヤ等の毛髪状態を整える目的で用いられている。
上記非水系毛髪化粧料の一例として、カチオン性界面活性剤、揮発性シリコーン、及び液状アルコールを含有した非水系毛髪化粧料によって、透明で美しい外観を有し、かつ毛髪に充分な柔軟性を付与することができる技術(特許文献1)が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、非水系毛髪化粧料に配合される成分の種類によっては、濡れた毛髪に非水系毛髪化粧料を塗布した後、毛髪を乾燥させる操作において、毛髪同士が絡まることで毛髪の指通りが悪くなり、毛髪が乾燥させにくくなる問題が生じることがあった。
特に、25℃で液状の不揮発性油を配合した非水系毛髪化粧料を濡れた毛髪に塗布すると、毛髪同士が絡まることで毛髪の指通りが悪くなり、毛髪が乾燥させにくくなる問題がより生じやすくなる傾向があった。
そのため、上記問題を解決した非水系毛髪化粧料、及びそれを用いた毛髪処理方法が要望されている。
【0005】
本発明の目的は、濡れた毛髪の乾燥させやすさに優れる非水系毛髪化粧料の提供である。また、本発明の別の目的は、濡れた毛髪の乾燥させやすさに優れる非水系毛髪化粧料を用いた毛髪処理方法の提供である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者等が上記課題に対して鋭意検討したところ、(C)25℃で液状の不揮発性油が配合された非水系毛髪化粧料に、(A)高重合メチルポリシロキサン及び(B)高重合ジメチコノールを配合し、且つ、前記(C)25℃で液状の不揮発性油の配合量に対する前記(A)高重合メチルポリシロキサンの配合量と前記(B)高重合ジメチコノールの配合量との合計配合量の質量比([(A)+(B)]/(C))を0.8以上とすれば、濡れた毛髪の乾燥させやすさに優れることを見出した。
【0007】
すなわち、本発明の非水系毛髪化粧料は、(A)高重合メチルポリシロキサン、(B)高重合ジメチコノール、及び(C)25℃で液状の不揮発性油が配合され、前記(C)25℃で液状の不揮発性油の配合量に対する前記(A)高重合メチルポリシロキサンの配合量と前記(B)高重合ジメチコノールの配合量との合計配合量の質量比([(A)+(B)]/(C))が0.8以上である。
【0008】
本発明の非水系毛髪化粧料は、前記(B)25℃で液状の不揮発性油が、例えば、エステル、油脂、高級アルコール、及び炭化水素から選ばれる1種又は2種以上である。
【0009】
本発明の非水系毛髪化粧料は、前記(C)25℃で液状の不揮発性油の配合量に対する前記(A)高重合メチルポリシロキサンの配合量と前記(B)高重合ジメチコノールの配合量との合計配合量の質量比([(A)+(B)]/(C))が1.3以下であれば、毛髪の中間部分のおさまりに優れるため好ましい。
【0010】
本発明の非水系毛髪化粧料は、(D)揮発性シリコーンが配合されたものであれば、濡れた毛髪の乾燥させやすさに優れるため好ましい。
【0011】
本発明の非水系毛髪化粧料は、例えば、濡れた毛髪に塗布されて洗い流されずに毛髪を乾燥させる態様で用いられるものである。
【0012】
本発明の非水系毛髪化粧料を用いた毛髪処理方法は、濡れた毛髪の乾燥させやすさに優れる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の非水系毛髪化粧料によれば、濡れた毛髪の乾燥させやすさに優れた非水系毛髪化粧料を提供できる。また、本発明の非水系毛髪化粧料を用いた毛髪処理方法によれば、濡れた毛髪の乾燥させやすさに優れた毛髪処理方法を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の実施形態に基づき、本発明を以下に説明する。
【0015】
本実施形態の非水系毛髪化粧料は、(A)高重合メチルポリシロキサン、(B)高重合ジメチコノール、及び(C)25℃で液状の不揮発性油が配合され、前記(C)25℃で液状の不揮発性油の配合量に対する前記(A)高重合メチルポリシロキサンの配合量と前記(B)高重合ジメチコノールの配合量との合計配合量の質量比([(A)+(B)]/(C))が0.8以上である。
【0016】
以下の記載において、高重合メチルポリシロキサンを(A)成分、高重合ジメチコノールを(B)成分、25℃で液状の不揮発性油を(C)成分と表記することがある。
【0017】
<(A)高重合メチルポリシロキサン>
本実施形態の非水系毛髪化粧料に高重合メチルポリシロキサンが配合されたものとすれば、濡れた毛髪の指通りに優れ、乾燥後の毛髪に滑らかな手触りが付与できる。本実施形態の非水系毛髪化粧料には、1種又は2種以上の高重合メチルポリシロキサンを配合することができる。
本実施形態の非水系毛髪化粧料に配合される高重合メチルポリシロキサンは、下記一般式(1)で表される直鎖状のものである。
【化1】
[上記一般式(1)において、aは、平均重合度が650以上であることを表す。]
【0018】
上記高重合メチルポリシロキサンは、例えば、デカメチルシクロペンタシロキサンに15質量%含ませたときの粘度が4000mPa・s以上10000mPa・s以下になるもの、又は、デカメチルシクロペンタシロキサンに20質量%含ませたときの粘度が1000mPa・s以上50000mPa・s以下になるもの等を使用できる。上記粘度は、B型粘度計を使用し、ローターNo.4を用いて、25℃、ローター回転数12rpm、計測開始から60秒後の値である。
【0019】
高重合メチルポリシロキサンを15質量%含有するデカメチルシクロペンタシロキサン混合物として市販のものとしては、信越化学工業株式会社製の「KF-9014」、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製の「XF49-601」、「XF49-A3818」等が挙げられる。また、高重合メチルポリシロキサンを20質量%含有するデカメチルシクロペンタシロキサン混合物として市販のものとしては、信越化学工業株式会社製の「KF-9008」、「KF-9028」等が挙げられる。
【0020】
本実施形態の非水系毛髪化粧料に配合される前記高重合メチルポリシロキサンの配合量の下限は、濡れた毛髪の指通りがより優れたものとなる観点から、0.5質量%以上が好ましく、1質量%以上がより好ましい。また、前記高重合メチルポリシロキサンの配合量の上限は、乾燥後の毛髪のべたつきを抑える観点から、10質量%以下が好ましく、8質量%以下がより好ましい。
【0021】
<(B)高重合ジメチコノール>
本実施形態の非水系毛髪化粧料に高重合ジメチコノールが配合されたものとすれば、乾燥後の毛髪のおさまりに優れる。本実施形態の非水系毛髪化粧料には、1種又は2種以上の高重合ジメチコノールを配合することができる。
本実施形態の非水系毛髪化粧料に配合される高重合ジメチコノールは、下記一般式(2)で表される直鎖状のものである。
【化2】
[上記一般式(2)において、bは、平均重合度が650以上であることを表す。]
【0022】
上記高重合ジメチコノールは、例えば、デカメチルシクロペンタシロキサンに15質量%含ませたときの粘度が2000mPa・s以上10000mPa・s以下になるもの、又は、動粘度5mm2/sのジメチルポリシロキサンに12質量%含ませたときの粘度が1000mPa・s以上5000mPa・s以下になるもの等を使用できる。上記粘度は、B型粘度計を使用し、ローターNo.4を用いて、25℃、ローター回転数12rpm、計測開始から60秒後の値である。
【0023】
高重合ジメチコノールを15質量%含有するデカメチルシクロペンタシロキサン混合物として市販のものとしては、東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社製の「XIAMETER PMX-1501 FLUID」等が挙げられる。また、高重合ジメチコノールを12質量%含有する動粘度5mm2/sのジメチルポリシロキサン混合物として市販のものとしては、東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社製の「XIAMETER PMX-1503 FLUID」等が挙げられる。
【0024】
本実施形態の非水系毛髪化粧料に配合される前記高重合ジメチコノールの配合量の下限は、乾燥後の毛髪のおさまりがより優れたものとなる観点から、0.1質量%以上が好ましく、0.5質量%以上がより好ましい。また、前記高重合ジメチコノールの配合量の上限は、乾燥後の毛髪が硬い手触りとなるのを抑える観点から、7質量%以下が好ましく、5質量%以下がより好ましい。
【0025】
<(C)25℃で液状の不揮発性油>
本実施形態の非水系毛髪化粧料に配合される25℃で液状の不揮発性油は、乾燥後の毛髪にまとまりを与えるものである。ここで、「25℃で液状」とは、25℃で流動性を示すことを意味し、「不揮発性油」とは引火点が100℃以上の油を意味する。引火点は、クリーブランド開放法による引火点測定方法を用いて測定できる。
【0026】
本実施形態の非水系毛髪化粧料に配合される25℃で液状の不揮発性油として、例えば、エステル、油脂、高級アルコール及び炭化水素から選ばれる1種又は2種以上の25℃で液状の不揮発性油を配合してよい。
【0027】
[エステル]
本実施形態の非水系毛髪化粧料には、(C)成分として、25℃で液状の不揮発性油であるエステルを1種又は2種以上配合することができる。
そのようなエステル(エステルの総炭素数としては、例えば8以上60以下)としては、例えば、直鎖又は分岐脂肪酸と1価の直鎖又は分岐アルコールとのエステル、直鎖又は分岐脂肪酸と多価のアルコールとのエステル、1価の直鎖又は分岐アルコールと1価又は多価のカルボン酸とのエステル、ヒドロキシル基を有する直鎖又は分岐脂肪酸と直鎖又は分岐脂肪酸とのエステル化合物と1価の直鎖又は分岐アルコールとのエステル等が挙げられる。
【0028】
前記直鎖又は分岐脂肪酸と1価の直鎖又は分岐アルコールとのエステルとしては、直鎖脂肪酸と1価の直鎖アルコールとのエステル、直鎖脂肪酸と1価の分岐アルコールとのエステル、分岐脂肪酸と1価の直鎖アルコールとのエステル、分岐脂肪酸と1価の分岐アルコールとのエステルが挙げられる。
前記直鎖脂肪酸と1価の直鎖アルコールとのエステルとしては、例えば、オレイン酸と1価の直鎖アルコールのエステル(オレイン酸エチル、オレイン酸デシル、オレイン酸オレイル等)等が挙げられる。
前記直鎖脂肪酸と1価の分岐アルコールとのエステルとしては、例えば、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、又はリノール酸から選ばれる直鎖脂肪酸と1価の分岐アルコールとのエステル(例えば、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、リノール酸イソプロピル、ミリスチン酸2-オクチルドデシル、パルミチン酸2-エチルヘキシル、パルミチン酸イソステアリル、ステアリン酸2-エチルヘキシル、ステアリン酸2-ヘキシルデシル、オレイン酸2-オクチルドデシル等)等が挙げられる。
前記分岐脂肪酸と1価の直鎖アルコールとのエステルとしては、例えば、2-エチルヘキサン酸と1価の直鎖アルコールとのエステル(例えば、2-エチルヘキサン酸セチル、2-エチルヘキサン酸セトステアリル等)、イソステアリン酸と1価の直鎖アルコールとのエステル(例えば、イソステアリン酸ヘキシル等)等が挙げられる。
前記分岐脂肪酸と1価の分岐アルコールとのエステルとしては、例えば、イソステアリン酸、ネオペンタン酸、イソノナン酸、又は2-エチルヘキサン酸と1価の分岐アルコールとのエステル(例えば、イソステアリン酸イソプロピル、ネオペンタン酸2-オクチルドデシル、イソノナン酸2-エチルヘキシル、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸イソトリデシル、2-エチルヘキサン酸2-エチルヘキシル、イソステアリン酸2-ヘキシルデシル、イソステアリン酸イソステアリル等)等が挙げられる。
【0029】
前記直鎖又は分岐脂肪酸と多価のアルコールとのエステルとしては、例えば、直鎖又は分岐脂肪酸とグリセリンとのエステル(トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル、トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリル、トリイソステアリン酸グリセリル、イソステアリン酸グリセリル等)、直鎖又は分岐脂肪酸とプロピレングリコールとのエステル(ジラウリン酸PG、ジオレイン酸PG等)、直鎖又は分岐脂肪酸とペンタエリスリトールとのエステル(テトラ2-エチルヘキサン酸ペンタエリトリット、テトライソステアリン酸ペンタエリトリット、トリポリヒドロキシステアリン酸ジペンタエリスリチル等)、直鎖又は分岐脂肪酸とアスコルビン酸とのエステル(例えば、テトラ2-ヘキシルデカン酸アスコルビル等)等が挙げられる。
【0030】
前記1価の直鎖又は分岐アルコールと1価又は多価のカルボン酸とのエステルとしては、例えば、1価の直鎖又は分岐アルコールと乳酸とのエステル(例えば、乳酸イソステアリル等)、1価の直鎖又は分岐アルコールと炭酸とのエステル(例えば、炭酸ジカプリリル、炭酸ジエチルヘキシル等)、1価の直鎖又は分岐アルコールとクエン酸とのエステル(例えば、クエン酸トリ2-エチルヘキシル、クエン酸トリイソセチル、クエン酸トリ2-オクチルドデシル等)、1価の直鎖又は分岐アルコールとリンゴ酸とのエステル(例えば、リンゴ酸ジステアリル等)、1価の直鎖又は分岐アルコールとコハク酸とのエステル(例えば、コハク酸ジ2-エチルヘキシル、コハク酸ジエトキシエチル等)、1価の直鎖又は分岐アルコールとアジピン酸とのエステル(例えば、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジイソブチル、アジピン酸ジ2-エチルヘキシル等)、1価の直鎖又は分岐アルコールとマレイン酸とのエステル(例えば、マレイン酸ジ2-エチルヘキシル等)、1価の直鎖又は分岐アルコールとセバシン酸とのエステル(例えば、セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジ2-エチルヘキシル等)、1価の直鎖又は分岐アルコールと安息香酸とのエステル(例えば、安息香酸アルキル(C12-15)、安息香酸2-エチルヘキシル、パラジメチルアミノ安息香酸2-エチルヘキシル等)、1価の直鎖又は分岐アルコールとサリチル酸とのエステル(例えば、サリチル酸2-エチルヘキシル等)、1価の直鎖又は分岐アルコールとケイヒ酸とのエステル(例えば、パラメトキシケイヒ酸2-エチルヘキシル等)等が挙げられる。
【0031】
前記ヒドロキシル基を有する直鎖又は分岐脂肪酸と直鎖又は分岐脂肪酸とのエステル化合物と1価の直鎖又は分岐アルコールとのエステルとしては、例えば、12-ヒドロキシステアリン酸とステアリン酸とのエステル化合物と1価の直鎖又は分岐アルコールとのエステル(例えば、12-ステアロイルヒドロキシステアリン酸イソセチル、12-ステアロイルヒドロキシステアリン酸ステアリル等)等が挙げられる。
【0032】
[油脂]
本実施形態の非水系毛髪化粧料には、(C)成分として、25℃で液状の不揮発性油である油脂を1種又は2種以上配合することができる。そのような油脂の具体例としては、例えば、コメヌカ油、ホホバ油、シア脂油、ローズヒップ油、ヒマワリ種子油、綿実油、アルガン油、ツバキ油、サザンカ油、アボカド油、アーモンド油、オリーブ油、ゴマ油、サフラワー油、大豆油、トウモロコシ油、ナタネ油、ヒマシ油、グレープシード油、ヤシ油、杏仁油、アマニ油等の植物油;オレンジラフィー油等の動物油;が挙げられる。
【0033】
[高級アルコール]
本実施形態の非水系毛髪化粧料には、(C)成分として、25℃で液状の不揮発性油である高級アルコールを1種又は2種以上配合することができる。高級アルコールとしては、炭素数が12~24の高級アルコールを用いると良い。
25℃で液状の不揮発性油である高級アルコールの具体例としては、例えば、ヘキシルデカノール、オレイルアルコール、オクチルドデカノール、イソステアリルアルコール等が挙げられる。
【0034】
[炭化水素]
本実施形態の非水系毛髪化粧料には、(C)成分として、25℃で液状の不揮発性油である炭化水素を1種又は2種以上配合することができる。
そのような炭化水素の具体例としては、スクワラン、流動パラフィン、流動イソパラフィン、重質流動イソパラフィン、炭素数20以下のアルカンの混合物(例えば、(C13-15)アルカン、(C15-19)アルカン等)、ポリブテン等が挙げられる。
【0035】
本実施形態の非水系毛髪化粧料に配合される25℃で液状の不揮発性油の配合量の下限は、乾燥後の毛髪のまとまりがより優れたものとなる観点から、1質量%以上が好ましく、3質量%以上がより好ましい。また、前記25℃で液状の不揮発性油の配合量の上限は、濡れた毛髪の指通りがより優れたものとなる観点から、10質量%以下が好ましく、8質量%以下がより好ましい。
【0036】
([(A)+(B)]/(C))
本実施形態の非水系毛髪化粧料は、(C)成分の配合量に対する(A)成分の配合量と(B)成分の配合量との合計配合量の質量比([(A)+(B)]/(C))を、0.8以上とすることで濡れた毛髪の乾燥させやすさに優れたものとなる。また、濡れた毛髪の乾燥させやすさをより優れたものとするためには、上記質量比[(A)+(B)]/(C)の下限値としては、0.85以上が好ましく、0.9以上がより好ましい。
上記質量比[(A)+(B)]/(C)の上限値は、毛髪の中間部分のおさまりに優れる観点から、1.3以下が好ましく、1.2以下がより好ましい。また、毛髪の中間部分のおさまりが毛髪の乾燥後も良好に持続できる観点から、1.15以下が好ましい。
【0037】
(非水系)
本実施形態の非水系毛髪化粧料における、「非水系」とは、毛髪化粧料の最外相が水系ではないものを意味する。そのため、水を全く含有しないものであってもよく、最外相が水系でない限りにおいて水を含有するものであってもよい。本実施形態の非水系毛髪化粧料における水の含有量は、例えば、1質量%以下である。
【0038】
<任意成分>
本実施形態の非水系毛髪化粧料に配合される上記(A)成分、(B)成分、(C)成分以外の任意成分は、公知の毛髪化粧料に配合される成分の中から、毛髪化粧料の用途、目的に応じて適宜に選定される。上記任意成分としては、揮発性シリコーン((D)成分)、揮発性の炭化水素、(A)成分及び(B)成分以外の不揮発性のシリコーン油、アニオン界面活性剤、両性界面活性剤、カチオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤、多価アルコール、糖類、25℃で固形の油(例えば、エステル、油脂、脂肪酸、ロウ、高級アルコール等)、高分子化合物、アミノ酸、動植物抽出物、微生物由来物、無機化合物、粉体、酸、アルカリ、香料、防腐剤、金属イオン封鎖剤等である。
【0039】
((D)揮発性シリコーン)
本実施形態の非水系毛髪化粧料は、1種又は2種以上の揮発性シリコーンが配合されたものとすれば、濡れた毛髪の指通りが向上し、濡れた毛髪の乾燥させやすさに優れる。
揮発性シリコーンとしては、例えば、直鎖状シリコーン(例えば、動粘度5mm2/s以下のメチルポリシロキサン等)、環状シリコーン(例えば、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン等)が挙げられる。
上記揮発性シリコーンの配合量の下限は、濡れた毛髪の指通りをより向上させたものとするため、75質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましい。また、上記揮発性シリコーンの配合量の上限は、例えば、95質量%以下である。
【0040】
本実施形態の非水系毛髪化粧料は、揮発性の炭化水素を1種又は2種以上配合しても良い。揮発性の炭化水素とは、引火点が100℃未満の炭化水素を意味する。
揮発性の炭化水素としては、例えば、軽質流動パラフィン、軽質流動イソパラフィン、軽質イソパラフィン、イソドデカン等が挙げられる。
上記揮発性の炭化水素の配合量は、例えば、75質量%以上95質量%以下である。
【0041】
本実施形態の非水系毛髪化粧料は、(A)成分及び(B)成分以外の不揮発性のシリコーン油を1種又は2種以上配合しても良い。
(A)成分及び(B)成分以外の不揮発性のシリコーン油としては、例えば、ジメチルシリコーン(動粘度5mm2/sを超えるメチルポリシロキサン等)、メチルフェニルシリコーン、アミノ変性シリコーン(アミノエチルアミノプロピルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体、アミノエチルアミノプロピルメチルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体等)、ポリエーテル変性シリコーン、長鎖アルキル変性シリコーンが挙げられる。(A)成分及び(B)成分以外の不揮発性のシリコーン油の配合量は、適宜設定されるものであるが、例えば0.05質量%以上10質量%以下である。
【0042】
本実施形態の非水系毛髪化粧料は、25℃で固形の油を1種又は2種以上配合しても良い。上記「25℃で固形」とは、25℃において流動性を有さないことを意味する。
25℃で固形の油としては、例えば、パルミチン酸セチル、ミリスチン酸ミリスチル等のエステル;カカオ脂、シア脂等の油脂;ステアリン酸、パルミチン酸、ベヘン酸等の脂肪酸;キャンデリラロウ、ミツロウ、カルナウバロウ等のロウ;セタノール、ステアリルアルコール等の高級アルコール;が挙げられる。25℃で固形の油の配合量は、適宜設定されるものであるが、例えば、1質量%以下である。
【0043】
(製造方法)
本実施形態の非水系毛髪化粧料の製造方法としては、公知の製造方法を採用すれば良い。製造方法の一例としては、例えば、所定量の(A)成分、(B)成分、及び(C)成分を混合し、(C)成分の配合量に対する(A)成分の配合量と(B)成分の配合量との合計配合量の質量比([(A)+(B)]/(C))が0.8以上となるように製造する方法がある。
【0044】
(剤型)
本実施形態の非水系毛髪化粧料の剤型は、特に限定されないが、例えば、液状、ゲル状が挙げられる。
また、上記剤型の形態は、特に限定されないが、例えば、無水、W/O型エマルジョンが挙げられる。
【0045】
(非水系毛髪化粧料の用途)
本実施形態の非水系毛髪化粧料は、例えば、濡れた毛髪に塗布されて洗い流されずに毛髪を乾燥させる態様で用いるものである。
本実施形態の非水系毛髪化粧料の用途の具体例としては、例えば、トリートメント剤、スタイリング剤である。上記トリートメント剤としては、ヘアオイル、ヘアローションが挙げられる。スタイリング剤としては、セットローションが挙げられる。
【0046】
(粘度)
本実施形態の非水系毛髪化粧料の25℃での粘度は、例えば、3000mPa・s以下である。なお、上記粘度は、B型粘度計を使用し、適宜なローターを用いて、25℃でローター回転数30rpmとして計測したときの、計測開始から60秒後の値を意味している。
【0047】
(非水系毛髪化粧料の使用方法)
本実施形態の非水系毛髪化粧料の使用方法は、特に限定されないが、例えば、水で濡れた毛髪に本実施形態の非水系毛髪化粧料を塗布し、当該非水系毛髪化粧料を洗い流さずに毛髪を乾燥させる方法で使用することができる。
【実施例】
【0048】
以下、実施例に基づき本発明を詳述するが、この実施例の記載に基づいて本発明が限定的に解釈されるものではない。
【0049】
(非水系毛髪化粧料の調製)
表1に示す成分とデカメチルシクロペンタシロキサン(D成分)とを混合することにより、実施例1~4、比較例1の非水系毛髪化粧料を調製した。
なお、表1に示す高重合メチルポリシロキサン(※1)、高重合メチルポリシロキサン(※2)及び高重合ジメチコノール(※3)は以下のものを用いた。
・高重合メチルポリシロキサン(※1):デカメチルシクロペンタシロキサンに20質量%含ませたときの粘度が34000mPa・s。
・高重合メチルポリシロキサン(※2):デカメチルシクロペンタシロキサンに15質量%含ませたときの粘度が5800mPa・s。
・高重合ジメチコノール(※3):デカメチルシクロペンタシロキサンに15質量%含ませたときの粘度が6000mPa・s。
【0050】
(実施例1~4、比較例1の評価)
調製した実施例1~4、比較例1の非水系毛髪化粧料を用いて、次に示す「毛髪の乾燥させやすさ」、「毛髪の毛先部分のまとまり」、及び「毛髪の中間部分のおさまり」の評価を行った。
【0051】
(評価方法)
肩よりも長い毛髪を有する40~60歳代の日本人女性に対して、頭髪を温水ですすいだ後、女性の頭部の左半分と右半分の頭髪に異なる非水系毛髪化粧料を塗布した。具体的には、一方の濡れた頭髪に基準とした非水系毛髪化粧料(比較例1)を0.5g塗布し、もう一方の濡れた頭髪に実施例1~4の非水系毛髪化粧料のいずれかを0.5g塗布した。そして、濡れた毛髪をドライヤーで乾燥させる際の乾燥させやすさを「毛髪の乾燥させやすさ」として官能評価した。さらに、ドライヤーによる乾燥後の毛髪について、乾燥した毛髪の毛先部分(毛先の先端から10cmまでの毛髪)のまとまりを「毛髪の毛先部分のまとまり」として目視により官能評価し、乾燥した毛髪の中間部分(側頭部周辺)のおさまりを「毛髪の中間部分のおさまり」として目視により官能評価した。各評価結果は、次に示す評価基準に従って、日常的に毛髪化粧料の評価を行うパネラー3名による合議で得た。
【0052】
(毛髪の乾燥させやすさ)
◎ :基準と比較して、濡れた毛髪が乾燥させやすい(基準と比較して、濡れた毛髪を乾燥させる操作において、根元から毛先まで手を通した際の指通りが優れることで、乾燥させやすい)。
○ :基準と比較して、濡れた毛髪がやや乾燥させやすい(基準と比較して、濡れた毛髪を乾燥させる操作において、根元から毛先まで手を通した際の指通りがやや優れることで、やや乾燥させやすい)。
同等 :濡れた毛髪の乾燥させやすさが、基準と同等(基準と比較して、濡れた毛髪を乾燥させる操作において、根元から毛先まで手を通した際の指通りが基準と同等であり、乾燥させやすさが同等)。
△ :基準と比較して、濡れた毛髪がやや乾燥させにくい(基準と比較して、濡れた毛髪を乾燥させる操作において、根元から毛先まで手を通した際の指通りがやや劣ることで、やや乾燥させにくい)。
× :基準と比較して、濡れた毛髪が乾燥させにくい(基準と比較して、濡れた毛髪を乾燥させる操作において、根元から毛先まで手を通した際の指通りが劣ることで、乾燥させにくい)。
【0053】
(毛髪の毛先部分のまとまりの評価基準)
○:基準と比較して、乾燥後の毛髪の毛先部分のまとまりに優れる(基準と比較して、毛先部分の毛髪が一方向に揃っている)。
同等:乾燥後の毛髪の毛先部分のまとまりが、基準と同等(毛先部分の毛髪の状態が基準と同等)。
× : 基準と比較して、乾燥後の毛髪の毛先部分のまとまりに劣る(基準と比較して、毛先部分の毛髪が一方向に揃っていない)。
【0054】
(毛髪の中間部分のおさまりの評価基準)
○ :基準と比較して、乾燥後の毛髪の中間部分のおさまりに優れる(基準と比較して、毛髪の中間部分(側頭部周辺)の浮き毛が少なく、外表面が整っている)。
同等 :乾燥後の毛髪の中間部分のおさまりが、基準と同等(毛髪の中間部分(側頭部周辺)の浮き毛の状態が基準と同等であり、外表面の状態が基準と同等)。
× :基準と比較して、乾燥後の毛髪の中間部分のおさまりに劣る(基準と比較して、毛髪の中間部分(側頭部周辺)の浮き毛が多く、外表面が整っていない)。
【0055】
(評価結果)
下記表1に、配合した成分と共に、実施例1~4、比較例の非水系毛髪化粧料の評価結果を示す。なお、表1における各成分の数値は質量%であり、「-」の表記は未配合であることを表す。
【0056】
【0057】
表1に示す結果より、比較例1の非水系毛髪化粧料に比べて、実施例1~4の非水系毛髪化粧料は毛髪の乾燥させやすさの評価において優れていた。そのため、非水系毛髪化粧料において、質量比[(A)+(B)]/(C))を0.8以上とすれば、濡れた毛髪の乾燥させやすさに優れることが理解できる。
また、実施例1~3の非水系毛髪化粧料は、比較例1の非水系毛髪化粧料に比べて、毛髪の中間部分のおさまりの評価において優れていた(毛髪の毛先部分のまとまりは同等であった)。また、実施例4の非水系毛髪化粧料は比較例1の非水系毛髪化粧料に比べて、毛髪の毛先部分のまとまりの評価と毛髪の中間部分のおさまりの評価において劣っていた。