(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-18
(45)【発行日】2023-05-26
(54)【発明の名称】チャージポンプ回路、及び、チャージポンプ回路の制御方法
(51)【国際特許分類】
H02M 3/07 20060101AFI20230519BHJP
【FI】
H02M3/07
(21)【出願番号】P 2019080360
(22)【出願日】2019-04-19
【審査請求日】2022-03-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000002037
【氏名又は名称】新電元工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137523
【氏名又は名称】出口 智也
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【氏名又は名称】朝倉 悟
(72)【発明者】
【氏名】木村 俊介
【審査官】町田 舞
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-153045(JP,A)
【文献】特開平10-270993(JP,A)
【文献】米国特許第06215159(US,B1)
【文献】米国特許第08314632(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 1/00-7/98
G05F 1/12-1/44
G05F 1/45-7/00
H01L 21/822
H01L 27/04
H03K 17/00-17/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力電圧端子に印加された直流の入力電圧を昇圧し、得られた昇圧電圧を出力電圧端子に出力するチャージポンプ回路であって、
前記入力電圧端子と共通電圧端子に接続され、前記入力電圧端子と前記共通電圧端子との間の電位差である基準電圧が供給され、前記基準電圧に応じた振幅の発振信号を出力する発振回路と、
前記入力電圧端子と前記共通電圧端子に接続され、前記発振信号に応じて駆動し、前記基準電圧を等倍に昇圧し、得られた電圧を前記昇圧電圧として前記出力電圧端子に出力する昇圧回路と、
前記入力電圧端子と前記共通電圧端子との間に所定の電位差を生成させるために、前記入力電圧よりも予め設定された設定値だけ低い設定電圧を前記共通電圧端子に出力する電位差生成回路と、
前記共通電圧端子と前記入力電圧よりも低い固定電位である固定電位端子との間に接続されるとともに、オフすることにより、前記共通電圧端子と前記固定電位端子との間を遮断し、一方、オンすることにより、前記共通電圧端子と前記固定電位端子との間を導通する電圧制御スイッチと、
前記入力電圧端子に印加された前記入力電圧と前記共通電圧端子の電圧との
前記電位差を検出し、検出した前記電位差の値に基づいて、前記電圧制御スイッチをオン又はオフに制御する制御部と、を備える
ことを特徴とするチャージポンプ回路。
【請求項2】
前記制御部は、
検出した前記電位差が予め設定した比較用閾値電圧以上である場合には、前記電圧制御スイッチをオフし、
一方、検出した前記電位差が前記比較用閾値電圧未満である場合には、前記電圧制御スイッチをオンする
ことを特徴とする請求項1に記載のチャージポンプ回路。
【請求項3】
前記電圧制御スイッチがオフしている場合には、前記基準電圧は、前記電位差生成回路が生成する前記電位差になっており、
一方、前記電圧制御スイッチがオンしている場合には、強制的に前記共通電圧端子の電位が前記固定電位になり、前記基準電圧は、前記入力電圧と前記固定電位との電位差になる
ことを特徴とする請求項2に記載のチャージポンプ回路。
【請求項4】
前記電位差生成回路は、
カソードが前記入力電圧端子に接続されたツェナーダイオードと、
一端が前記ツェナーダイオードのアノードに接続され、他端が前記固定電位端子に接続され、前記一端から前記他端に向けて定電流を流す定電流源と、
入力が前記ツェナーダイオードのアノードに接続され、出力が前記共通電圧端子に接続され、前記ツェナーダイオードのアノードの電圧に応じた電圧を出力するボルテージフォロア回路と、備える
ことを特徴とする請求項3に記載のチャージポンプ回路。
【請求項5】
前記ボルテージフォロア回路は、
非反転入力が前記ツェナーダイオードのアノードに接続され、反転入力及び出力が前記共通電圧端子に接続されたアンプ回路である
ことを特徴とする請求項4に記載のチャージポンプ回路。
【請求項6】
前記比較用閾値電圧の値は、前記ツェナーダイオードの降伏電圧の値であることを特徴とする請求項4に記載のチャージポンプ回路。
【請求項7】
前記電圧制御スイッチは、
一端が前記共通電圧端子に接続され、他端が前記固定電位端子に接続され、前記制御部によりゲート電圧が制御されるMOSトランジスタである
ことを特徴とする請求項4に記載のチャージポンプ回路。
【請求項8】
前記MOSトランジスタの耐圧は、前記昇圧回路を構成するトランジスタの耐圧よりも、高くなるように設定されている
ことを特徴とする請求項7に記載のチャージポンプ回路。
【請求項9】
前記比較用閾値電圧は、前記昇圧回路が出力する前記昇圧電圧が予め設定された目標値になるように、設定されている
ことを特徴とする請求項3に記載のチャージポンプ回路。
【請求項10】
前記昇圧回路は、
入力が前記入力電圧端子に接続された第1の整流素子と、
入力が前記第1の整流素子の出力に接続された第2の整流素子と、
入力が前記第2の整流素子の出力に接続され、出力が前記出力電圧端子に接続された第3の整流素子と、
前記発振信号が入力されるとともに、前記発振信号の波形を反転した信号であって前記基準電圧に基づいた振幅を有する第1の信号を、出力する第1のインバータと、
一端が前記第1のインバータの出力に接続され、他端が前記第2の整流素子の入力に接続された第1のコンデンサと、
前記発振信号が入力されるとともに、前記発振信号の波形を反転した信号であって前記基準電圧に基づいた振幅を有する第2の信号を、出力する第2のインバータと、
前記第2の信号が入力されるとともに、前記第2の信号の波形を反転した信号であって前記基準電圧に基づいた振幅を有する第3の信号を、出力する第3のインバータと、
一端が前記第3のインバータの出力に接続され、他端が前記第3の整流素子の入力に接続された第2のコンデンサと、を備える
ことを特徴とする請求項7に記載のチャージポンプ回路。
【請求項11】
前記MOSトランジスタの耐圧は、前記第1ないし第3のインバータを構成するトランジスタの耐圧よりも、高くなるように設定されている
ことを特徴とする請求項10に記載のチャージポンプ回路。
【請求項12】
前記第1のコンデンサの容量は、前記第2のコンデンサの容量と同じであることを特徴とする請求項10に記載のチャージポンプ回路。
【請求項13】
前記第1の整流素子は、アノードが前記入力電圧端子に接続され、カソードが前記第1のコンデンサの他端に接続された第1のダイオードであり、
前記第2の整流素子は、アノードが前記第1のダイオードのカソードに接続され、カソードが前記第2のコンデンサの他端に接続された第2のダイオードであり、
前記第3の整流素子は、アノードが前記第2のダイオードのカソードに接続され、カソードが前記出力電圧端子に接続されたに接続された第3のダイオードである
ことを特徴とする請求項10に記載のチャージポンプ回路。
【請求項14】
前記固定電位は、接地電位であることを特徴とする請求項1に記載のチャージポンプ回路。
【請求項15】
入力電圧端子に印加された直流の入力電圧を昇圧し、得られた昇圧電圧を出力電圧端子に出力するチャージポンプ回路であって、前記入力電圧端子と共通電圧端子に接続され、前記入力電圧端子と前記共通電圧端子との間の電位差である基準電圧が供給され、前記基準電圧に応じた振幅の発振信号を出力する発振回路と、前記入力電圧端子と前記共通電圧端子に接続され、前記発振信号に応じて駆動し、前記基準電圧を等倍に昇圧し、得られた電圧を前記昇圧電圧として前記出力電圧端子に出力する昇圧回路と、前記入力電圧端子と前記共通電圧端子との間に所定の電位差を生成させるために、前記入力電圧よりも予め設定された設定値だけ低い設定電圧を前記共通電圧端子に出力する電位差生成回路と、前記共通電圧端子と前記入力電圧よりも低い固定電位である固定電位端子との間に接続されるとともに、オフすることにより、前記共通電圧端子と前記固定電位端子との間を遮断し、一方、オンすることにより、前記共通電圧端子と前記固定電位端子との間を導通する電圧制御スイッチと、前記入力電圧端子に印加された前記入力電圧と前記共通電圧端子の電圧との
前記電位差を検出し、検出した前記電位差の値に基づいて、前記電圧制御スイッチをオン又はオフに制御する制御部と、を備えるチャージポンプ回路の制御方法であって、
前記制御部は、
検出した前記電位差が予め設定した比較用閾値電圧以上である場合には、前記電圧制御スイッチをオフし、
一方、検出した前記電位差が前記比較用閾値電圧未満である場合には、前記電圧制御スイッチをオンすることを特徴とするチャージポンプ回路の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チャージポンプ回路、及び、チャージポンプ回路の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、入力電圧端子に印加された直流の入力電圧を昇圧し、得られた昇圧電圧を出力電圧端子に出力するチャージポンプ回路が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
ここで、
図5は、従来のチャージポンプ回路100Aの回路構成の一例を示す回路図である。
【0004】
例えば、
図5に示すように、従来のチャージポンプ回路100Aでは、電位差生成回路により設定される基準電圧を等倍していくが、入力電圧Vinが低い場合には、当該基準電圧が低くなってしまう(
図3、
図4)。
【0005】
さらに、基準電圧の下限をVin‐ΔVとしている場合、入力電圧Vinが低下することで基準電圧がより低くなってしまい(基準電圧ΔV‘)、結果としてチャージポンプ回路の出力開始電圧および入力電圧Vinが低い時の出力可能な電圧が低く(Vout-Vin=3*ΔV‘)なってしまう(
図3、
図4)。
【0006】
このように、従来のチャージポンプ回路100Aでは、入力電圧Vinが低下した場合に基準電圧が低下することにより、昇圧電圧が低下し、発振回路や昇圧回路の電源を確保できず、動作可能な電圧範囲が狭くなる問題がある(
図3、
図4)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで、本発明は、入力電圧が低下した場合にも基準電圧を所定範囲内に維持して昇圧電圧の低下を抑制しつつ、発振回路や昇圧回路の電源を確保して動作可能な電圧範囲を広くすることが可能なチャージポンプ回路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様に係るチャージポンプ回路は、
入力電圧端子に印加された直流の入力電圧を昇圧し、得られた昇圧電圧を出力電圧端子に出力するチャージポンプ回路であって、
前記入力電圧端子と共通電圧端子に接続され、前記入力電圧端子と前記共通電圧端子との間の電位差である基準電圧が供給され、前記基準電圧に応じた振幅の発振信号を出力する発振回路と、
前記入力電圧端子と前記共通電圧端子に接続され、前記発振信号に応じて駆動し、前記基準電圧を等倍に昇圧し、得られた電圧を前記昇圧電圧として前記出力電圧端子に出力する昇圧回路と、
前記入力電圧端子と前記共通電圧端子との間に所定の電位差を生成させるために、前記入力電圧よりも予め設定された設定値だけ低い設定電圧を前記共通電圧端子に出力する電位差生成回路と、
前記共通電圧端子と前記入力電圧よりも低い固定電位である固定電位端子との間に接続されるとともに、オフすることにより、前記共通電圧端子と前記固定電位端子との間を遮断し、一方、オンすることにより、前記共通電圧端子と前記固定電位端子との間を導通する電圧制御スイッチと、
前記入力電圧端子に印加された前記入力電圧と前記共通電圧端子の電圧との電位差を検出し、検出した前記電位差の値に基づいて、前記電圧制御スイッチをオン又はオフに制御する制御部と、を備える
ことを特徴とする。
【0010】
前記チャージポンプ回路において、
前記制御部は、
検出した前記電位差が予め設定した比較用閾値電圧以上である場合には、前記電圧制御スイッチをオフし、
一方、検出した前記電位差が前記比較用閾値電圧未満である場合には、前記電圧制御スイッチをオンする
ことを特徴とする。
【0011】
前記チャージポンプ回路において、
前記電圧制御スイッチがオフしている場合には、前記基準電圧は、前記電位差生成回路が生成する前記電位差になっており、
一方、前記電圧制御スイッチがオンしている場合には、強制的に前記共通電圧端子の電位が前記固定電位になり、前記基準電圧は、前記入力電圧と前記固定電位との電位差になる
ことを特徴とする。
【0012】
前記チャージポンプ回路において、
前記電位差生成回路は、
カソードが前記入力電圧端子に接続されたツェナーダイオードと、
一端が前記ツェナーダイオードのアノードに接続され、他端が前記固定電位端子に接続され、前記一端から前記他端に向けて定電流を流す定電流源と、
入力が前記ツェナーダイオードのアノードに接続され、出力が前記共通電圧端子に接続され、前記ツェナーダイオードのアノードの電圧に応じた電圧を出力するボルテージフォロア回路と、備える
ことを特徴とする。
【0013】
前記チャージポンプ回路において、
前記ボルテージフォロア回路は、
非反転入力が前記ツェナーダイオードのアノードに接続され、反転入力及び出力が前記共通電圧端子に接続されたアンプ回路である
ことを特徴とする。
【0014】
前記チャージポンプ回路において、
前記比較用閾値電圧の値は、前記ツェナーダイオードの降伏電圧の値であることを特徴とする。
【0015】
前記チャージポンプ回路において、
前記電圧制御スイッチは、
一端が前記共通電圧端子に接続され、他端が前記固定電位端子に接続され、前記制御部によりゲート電圧が制御されるMOSトランジスタである
ことを特徴とする。
【0016】
前記チャージポンプ回路において、
前記MOSトランジスタの耐圧は、前記昇圧回路を構成するトランジスタの耐圧よりも、高くなるように設定されている
ことを特徴とする。
【0017】
前記チャージポンプ回路において、
前記比較用閾値電圧は、前記昇圧回路が出力する前記昇圧電圧が予め設定された目標値になるように、設定されている
ことを特徴とする。
【0018】
前記チャージポンプ回路において、
前記昇圧回路は、
入力が前記入力電圧端子に接続された第1の整流素子と、
入力が前記第1の整流素子の出力に接続された第2の整流素子と、
入力が前記第2の整流素子の出力に接続され、出力が前記出力電圧端子に接続された第3の整流素子と、
前記発振信号が入力されるとともに、前記発振信号の波形を反転した信号であって前記基準電圧に基づいた振幅を有する第1の信号を、出力する第1のインバータと、
一端が前記第1のインバータの出力に接続され、他端が前記第2の整流素子の入力に接続された第1のコンデンサと、
前記発振信号が入力されるとともに、前記発振信号の波形を反転した信号であって前記基準電圧に基づいた振幅を有する第2の信号を、出力する第2のインバータと、
前記第2の信号が入力されるとともに、前記第2の信号の波形を反転した信号であって前記基準電圧に基づいた振幅を有する第3の信号を、出力する第3のインバータと、
一端が前記第3のインバータの出力に接続され、他端が前記第3の整流素子の入力に接続された第2のコンデンサと、を備える
ことを特徴とする。
【0019】
前記チャージポンプ回路において、
前記MOSトランジスタの耐圧は、前記第1ないし第3のインバータを構成するトランジスタの耐圧よりも、高くなるように設定されている
ことを特徴とする。
【0020】
前記チャージポンプ回路において、
前記第1のコンデンサの容量は、前記第2のコンデンサの容量と同じであることを特徴とする。
【0021】
前記チャージポンプ回路において、
前記第1の整流素子は、アノードが前記入力電圧端子に接続され、カソードが前記第1のコンデンサの他端に接続された第1のダイオードであり、
前記第2の整流素子は、アノードが前記第1のダイオードのカソードに接続され、カソードが前記第2のコンデンサの他端に接続された第2のダイオードであり、
前記第3の整流素子は、アノードが前記第2のダイオードのカソードに接続され、カソードが前記出力電圧端子に接続されたに接続された第3のダイオードである
ことを特徴とする。
【0022】
前記チャージポンプ回路において、
前記固定電位は、接地電位であることを特徴とする。
【0023】
本発明の一態様に係るチャージポンプ回路の制御方法は、
入力電圧端子に印加された直流の入力電圧を昇圧し、得られた昇圧電圧を出力電圧端子に出力するチャージポンプ回路であって、前記入力電圧端子と共通電圧端子に接続され、前記入力電圧端子と前記共通電圧端子との間の電位差である基準電圧が供給され、前記基準電圧に応じた振幅の発振信号を出力する発振回路と、前記入力電圧端子と前記共通電圧端子に接続され、前記発振信号に応じて駆動し、前記基準電圧を等倍に昇圧し、得られた電圧を前記昇圧電圧として前記出力電圧端子に出力する昇圧回路と、前記入力電圧端子と前記共通電圧端子との間に所定の電位差を生成させるために、前記入力電圧よりも予め設定された設定値だけ低い設定電圧を前記共通電圧端子に出力する電位差生成回路と、前記共通電圧端子と前記入力電圧よりも低い固定電位である固定電位端子との間に接続されるとともに、オフすることにより、前記共通電圧端子と前記固定電位端子との間を遮断し、一方、オンすることにより、前記共通電圧端子と前記固定電位端子との間を導通する電圧制御スイッチと、前記入力電圧端子に印加された前記入力電圧と前記共通電圧端子の電圧との電位差を検出し、検出した前記電位差の値に基づいて、前記電圧制御スイッチをオン又はオフに制御する制御部と、を備えるチャージポンプ回路の制御方法であって、
前記制御部は、
検出した前記電位差が予め設定した比較用閾値電圧以上である場合には、前記電圧制御スイッチをオフし、
一方、検出した前記電位差が前記比較用閾値電圧未満である場合には、前記電圧制御スイッチをオンすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0024】
本発明の一態様に係るチャージポンプ回路は、入力電圧端子に印加された直流の入力電圧を昇圧し、得られた昇圧電圧を出力電圧端子に出力するチャージポンプ回路であって、入力電圧端子と共通電圧端子に接続され、入力電圧端子と共通電圧端子との間の電位差である基準電圧が供給され、基準電圧に応じたに応じた振幅の発振信号を出力する発振回路と、入力電圧端子と共通電圧端子に接続され、発振信号に応じて駆動し、基準電圧を等倍に昇圧し、得られた電圧を昇圧電圧として出力電圧端子に出力する昇圧回路と、入力電圧端子と共通電圧端子との間に所定の電位差を生成させるために、入力電圧よりも予め設定された設定値だけ低い設定電圧を共通電圧端子に出力する電位差生成回路と、共通電圧端子と入力電圧よりも低い固定電位である固定電位端子との間に接続されるとともに、オフすることにより、共通電圧端子と固定電位端子との間を遮断し、一方、オンすることにより、共通電圧端子と固定電位端子との間を導通する電圧制御スイッチと、入力電圧端子に印加された入力電圧と共通電圧端子の電圧との電位差を検出し、検出した電位差の値に基づいて、電圧制御スイッチをオン又はオフに制御する制御部と、を備える。
【0025】
特に、制御部は、入力電圧が予め設定した比較用閾値電圧以上である場合には、電圧制御スイッチをオフし、一方、入力電圧が比較用閾値電圧未満である場合には、電圧制御スイッチをオンする。
【0026】
これにより、電圧制御スイッチがオフしている場合には、基準電圧は、電位差生成回路が生成する電位差であり、一方、電圧制御スイッチがオンしている場合には、強制的に共通電圧端子の電位が固定電位になり、基準電圧は、入力電圧と固定電位との電位差になる。
【0027】
すなわち、本発明の一態様に係るチャージポンプ回路によれば、入力電圧が低下した場合にも基準電圧を所定範囲内に維持して昇圧電圧の低下を抑制しつつ、発振回路や昇圧回路の電源を確保して動作可能な電圧範囲を広くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態に係るチャージポンプ回路100の回路構成の一例を示す回路図である。
【
図2】
図2は、
図1に示すチャージポンプ回路100の電位差生成回路Xの構成の一例を示す回路図である。
【
図3】
図3は、実施例1に係るチャージポンプ回路および従来のチャージポンプ回路の電位差ΔVと出力電圧Voutとの関係の一例を示す特性図である。
【
図4】
図4は、実施例1に係るチャージポンプ回路および従来のチャージポンプ回路の各電圧を比較する図である。
【
図5】
図5は、従来のチャージポンプ回路100Aの回路構成の一例を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明に係るチャージポンプ回路について、図面とともに説明する。
【実施例1】
【0030】
図1は、本発明の実施形態に係るチャージポンプ回路100の回路構成の一例を示す回路図である。また、
図2は、
図1に示すチャージポンプ回路100の電位差生成回路Xの構成の一例を示す回路図である。
【0031】
図1に示すチャージポンプ回路100は、入力電圧端子TINに印加された直流の入力電圧Vinを昇圧し、得られた昇圧電圧Voutを出力電圧端子TOUTに出力するようになっている。
【0032】
このチャージポンプ回路100は、例えば、
図1に示すように、入力電圧端子TINと、固定電位端子(接地電位端子)TGNDと、共通電圧端子TMと、出力電圧端子TOUTと、発振回路OSCと、昇圧回路Bと、電位差生成回路Xと、電圧制御スイッチSWと、制御部CNTと、を備える。
【0033】
そして、入力電圧端子TINは、既述のように、入力電圧VINが印加されるようになっている。
【0034】
また、固定電位端子TGNDは、その電位が固定電位VGNDになっている。なお、当該固定電位VGNDは、本実施例では、例えば、接地電位である。
【0035】
また、共通電圧端子TMは、後述のように、電圧制御スイッチSWのオン/オフにより、固定電位端子(接地電位端子)TGNDと導通/遮断されるようになっている。
【0036】
また、出力電圧端子TOUTは、既述のように、チャージポンプ回路100の出力電圧として、昇圧電圧Voutが出力されるようになっている。
【0037】
また、発振回路OSCは、例えば、
図1に示すように、入力電圧端子TINと共通電圧端子TMに接続されている。
【0038】
そして、この発振回路OSCは、入力電圧端子TINと共通電圧端子TMとの間の電位差ΔVである基準電圧が供給され、当該基準電圧に応じた振幅の発振信号SAを出力するようになっている。
【0039】
また、昇圧回路Bは、例えば、
図1に示すように、入力電圧端子TINと共通電圧端子TMに接続されている。
【0040】
この昇圧回路Bは、発振信号SAに応じて駆動し、当該基準電圧を等倍に昇圧し、得られた電圧を昇圧電圧Voutとして出力電圧端子TOUTに出力するようになっている。
【0041】
この昇圧回路Bは、例えば、
図1に示すように、第1の整流素子(第1のダイオード)D1と、第2の整流素子(第2のダイオード)D2と、第3の整流素子(第3のダイオード)D3と、第1のインバータINV1と、第1のコンデンサC1と、第2のインバータINV2と、第3のインバータINV3と、第2のコンデンサC2と、を備える。
【0042】
そして、第1の整流素子D1は、例えば、
図1に示すように、入力が入力電圧端子TINに接続されている。
【0043】
この第1の整流素子D1は、例えば、
図1に示すように、アノードが入力電圧端子TINに接続され、カソードが第1のコンデンサC1の他端に接続された第1のダイオードD1である。
【0044】
また、第2の整流素子D2は、例えば、
図1に示すように、入力が第1の整流素子D1の出力に接続されている。
【0045】
この第2の整流素子D2は、例えば、
図1に示すように、アノードが第1のダイオードD1のカソードに接続され、カソードが第2のコンデンサC2の他端に接続された第2のダイオードD2である。
【0046】
また、第3の整流素子D3は、例えば、
図1に示すように、入力が第2の整流素子D2の出力に接続され、出力が出力電圧端子TOUTに接続されている。
【0047】
この第3の整流素子D3は、例えば、
図1に示すように、アノードが第2のダイオードD2のカソードに接続され、カソードが出力電圧端子TOUTに接続されたに接続された第3のダイオードである。
【0048】
また、第1のインバータINV1は、例えば、
図1に示すように、発振信号SAが入力されるとともに、発振信号SAの波形を反転した信号であって基準電圧に基づいた振幅を有する第1の信号S1を、出力するようになっている。
【0049】
また、第1のコンデンサC1は、例えば、
図1に示すように、一端が第1のインバータINV1の出力に接続され、他端が第2の整流素子D2の入力に接続されている。
【0050】
また、第2のインバータINV2は、例えば、
図1に示すように、発振信号SAが入力されるとともに、当該発振信号SAの波形を反転した信号であって基準電圧に基づいた振幅を有する第2の信号S2を、出力するようになっている。
【0051】
また、第3のインバータINV3は、例えば、
図1に示すように、第2の信号S2が入力されるとともに、当該第2の信号S2の波形を反転した信号であって基準電圧に基づいた振幅を有する第3の信号を、出力するようになっている。
【0052】
また、第2のコンデンサC2は、例えば、
図1に示すように、一端が第3のインバータINV3の出力に接続され、他端が第3の整流素子D3の入力に接続されている。
【0053】
なお、第1のコンデンサC1の容量は、例えば、第2のコンデンサC2の容量と同じになるように設定されている。
【0054】
このような構成を有するこの昇圧回路Bは、既述のように、発振信号SAに応じて駆動し、当該基準電圧を等倍に昇圧し、得られた電圧を昇圧電圧Voutとして出力電圧端子TOUTに出力するようになっている。
【0055】
また、電位差生成回路Xは、例えば、
図1に示すように、入力電圧端子TIN、共通電圧端子TM、及び固定電位端子TGNDに接続されている。
【0056】
そして、この電位差生成回路Xは、入力電圧端子TINと共通電圧端子TMとの間に所定の電位差を生成させるために、入力電圧VINよりも予め設定された設定値だけ低い設定電圧を共通電圧端子TMに出力するようになっている。
【0057】
ここで、この電位差生成回路Xは、例えば、
図2に示すように、ツェナーダイオードX1と、定電流源X2と、ボルテージフォロア回路X3と、備える。
【0058】
そして、ツェナーダイオードX1は、例えば、
図2に示すように、カソードが入力電圧端子TINに接続されている。
【0059】
また、定電流源X2は、例えば、
図2に示すように、一端がツェナーダイオードX1のアノードに接続され、他端が固定電位端子TGNDに接続されている。
【0060】
この定電流源X2は、例えば、当該一端から当該他端に向けて定電流を流すようになっている。
【0061】
また、ボルテージフォロア回路X3は、例えば、
図2に示すように、入力がツェナーダイオードX1のアノードに接続され、出力が共通電圧端子TMに接続されている。
【0062】
このボルテージフォロア回路X3は、ツェナーダイオードのアノードの電圧に応じた電圧を出力するようになっている。
【0063】
このボルテージフォロア回路X3は、例えば、
図2に示すように、非反転入力がツェナーダイオードX1のアノードに接続され、反転入力及び出力が共通電圧端子TMに接続されたアンプ回路である。
【0064】
このような構成を有する電位差生成回路Xは、既述のように、入力電圧端子TINと共通電圧端子TMとの間に所定の電位差を生成させるために、入力電圧VINよりも予め設定された設定値だけ低い設定電圧を共通電圧端子TMに出力するようになっている。
【0065】
また、電圧制御スイッチSWは、例えば、
図1に示すように、共通電圧端子TMと入力電圧VINよりも低い固定電位VGNDである固定電位端子(接地電位端子)TGNDとの間に接続されている。
【0066】
そして、例えば、この電圧制御スイッチSWは、オフすることにより、共通電圧端子TMと固定電位端子TGNDとの間を遮断するようになっている。
【0067】
一方、この電圧制御スイッチSWは、オンすることにより、共通電圧端子TMと固定電位端子TGNDとの間を導通するようになっている。
【0068】
この電圧制御スイッチSWは、例えば、
図1に示すように、一端(ドレイン)が共通電圧端子TMに接続され、他端(ソース)が固定電位端子TGNDに接続され、制御部によりゲート電圧が制御されるMOSトランジスタSWである。
【0069】
このMOSトランジスタSWの耐圧は、例えば、昇圧回路Bを構成するトランジスタ(図示せず)の耐圧よりも、高くなるように設定されている。
【0070】
特に、MOSトランジスタの耐圧は、昇圧回路Bの第1ないし第3のインバータINV1、INV2、INV3を構成するトランジスタ(図示せず)の耐圧よりも、高くなるように設定されている。
【0071】
このように、共通電圧端子TMの電位を制御するための電圧制御スイッチSWとして、耐圧が高く設定されたMOSトランジスタを用いることで、チャージポンプ回路100の破壊を抑制しつつ、所定の動作を実行されることができる。
【0072】
また、制御部CNTは、例えば、
図1に示すように、入力電圧端子TIN及び共通電圧端子TMに接続されている。
【0073】
そして、この制御部CNTは、入力電圧端子TINに印加された入力電圧VINと共通電圧端子TMの電圧との電位差を検出するようになっている。
【0074】
そして、この制御部CNTは、検出した電位差の値に基づいて、電圧制御スイッチSWをオン又はオフに制御するようになっている。
【0075】
より詳しくは、この制御部CNTは、検出した電位差の値と予め設定した比較用閾値電圧とを比較した結果に基づいて、電圧制御スイッチSWをオン又はオフに制御するようになっている。
【0076】
例えば、この制御部CNTは、検出した電位差が予め設定した比較用閾値電圧以上である場合には、電圧制御スイッチSWをオフするようになっている。
【0077】
そして、このように電圧制御スイッチSWがオフしている場合には、当該基準電圧は、電位差生成回路Xが生成する電位差ΔVになる。
【0078】
一方、制御部CNTは、検出した電位差が当該比較用閾値電圧未満である場合には、電圧制御スイッチSWをオンするようになっている。
【0079】
そして、このように電圧制御スイッチSWがオンしている場合には、強制的に共通電圧端子TMの電位が固定電位VGNDになり、当該基準電圧は、入力電圧VINと固定電位VGNDとの電位差(Vin-VGND)になる。
【0080】
なお、既述の比較用閾値電圧は、例えば、昇圧回路Bが出力する昇圧電圧Voutが予め設定された目標値になるように、設定されている。
【0081】
この比較用閾値電圧の値は、本実施例では、例えば、電位差生成回路Xを構成するツェナーダイオードX1の降伏電圧の値であるが、必要に応じて、他の値に設定されていてもよい。
【0082】
次に、以上のような構成を有するチャージポンプ回路100の制御方法の例について説明する。
【0083】
ここで、
図3は、実施例1に係るチャージポンプ回路および従来のチャージポンプ回路の電位差ΔVと出力電圧Voutとの関係の一例を示す特性図である。また、
図4は、実施例1に係るチャージポンプ回路および従来のチャージポンプ回路の各電圧を比較する図である。
【0084】
既述のように、制御部CNTは、入力電圧端子TINに印加された入力電圧VINと共通電圧端子TMの電圧との電位差を検出する。
【0085】
そして、この制御部CNTは、検出した電位差の値に基づいて、電圧制御スイッチSWをオン又はオフに制御する。
【0086】
より詳しくは、この制御部CNTは、検出した電位差の値と予め設定した比較用閾値電圧とを比較した結果に基づいて、電圧制御スイッチSWをオン又はオフに制御する。
【0087】
例えば、この制御部CNTは、検出した電位差が予め設定した比較用閾値電圧以上である場合には、電圧制御スイッチSWをオフする(
図3)。
【0088】
そして、このように電圧制御スイッチSWがオフしている場合には、当該基準電圧は、電位差生成回路Xが生成する電位差ΔVになる(
図3、
図4)。
【0089】
一方、制御部CNTは、検出した電位差が当該比較用閾値電圧未満である場合には、電圧制御スイッチSWをオンする(
図3)。
【0090】
そして、このように電圧制御スイッチSWがオンしている場合には、強制的に共通電圧端子TMの電位が固定電位VGNDになり、当該基準電圧は、入力電圧VINと固定電位VGNDとの電位差(Vin-VGND)になる(
図3、
図4)。
【0091】
すなわち、チャージポンプ回路100によれば、入力電圧VINが低下した場合にも基準電圧を所定範囲内に維持して昇圧電圧Voutの低下を抑制しつつ、発振回路や昇圧回路Bの電源を確保して動作可能な電圧範囲を広くすることができる。
【0092】
以上のように、本実施例1に係るチャージポンプ回路は、本発明の一態様に係るチャージポンプ回路は、入力電圧端子TINに印加された直流の入力電圧Vinを昇圧し、得られた昇圧電圧Voutを出力電圧端子TOUTに出力するチャージポンプ回路であって、入力電圧端子TINと共通電圧端子TMに接続され、入力電圧端子TINと共通電圧端子TMとの間の電位差である基準電圧が供給され、基準電圧に応じたに応じた振幅の発振信号SAを出力する発振回路OSCと、入力電圧端子TINと共通電圧端子TMに接続され、発振信号SAに応じて駆動し、基準電圧を等倍に昇圧し、得られた電圧を昇圧電圧Voutとして出力電圧端子TOUTに出力する昇圧回路Bと、入力電圧端子TINと共通電圧端子TMとの間に所定の電位差を生成させるために、入力電圧VINよりも予め設定された設定値だけ低い設定電圧を共通電圧端子TMに出力する電位差生成回路Xと、共通電圧端子TMと入力電圧VINよりも低い固定電位(接地電位VGND)である固定電位端子(接地電位端子)TGNDとの間に接続されるとともに、オフすることにより、共通電圧端子TMと固定電位端子TGNDとの間を遮断し、一方、オンすることにより、共通電圧端子TMと固定電位端子TGNDとの間を導通する電圧制御スイッチSWと、入力電圧端子TINに印加された入力電圧VINと共通電圧端子TMの電圧との電位差を検出し、検出した電位差の値に基づいて、電圧制御スイッチSWをオン又はオフに制御する制御部CNTと、を備える。
【0093】
特に、制御部CNTは、入力電圧Vinが予め設定した比較用閾値電圧以上である場合には、電圧制御スイッチSWをオフし、一方、入力電圧VINが比較用閾値電圧未満である場合には、電圧制御スイッチSWをオンする。
【0094】
これにより、電圧制御スイッチSWがオフしている場合には、基準電圧は、電位差生成回路Xが生成する電位差ΔVであり、一方、電圧制御スイッチSWがオンしている場合には、強制的に共通電圧端子TMの電位が固定電位VGNDになり、基準電圧は、入力電圧VINと固定電位との電位差(Vin-VGND)になる。
【0095】
すなわち、本発明の一態様に係るチャージポンプ回路によれば、入力電圧VINが低下した場合にも基準電圧を所定範囲内に維持して昇圧電圧Voutの低下を抑制しつつ、発振回路や昇圧回路Bの電源を確保して動作可能な電圧範囲を広くすることができる。
【0096】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0097】
100 チャージポンプ回路
TIN 入力電圧端子
TGND 固定電位端子(接地電位端子)
TM 共通電圧端子
TOUT 出力電圧端子
OSC 発振回路
B 昇圧回路
X 電位差生成回路
SW 電圧制御スイッチ
CNT 制御部
D1 第1の整流素子(第1のダイオード)
D2 第2の整流素子(第2のダイオード)
D3 第3の整流素子(第3のダイオード)
INV1 第1のインバータ
C1 第1のコンデンサ
INV2 第2のインバータ
INV3 第3のインバータ
C2 第2のコンデンサ
X1 ツェナーダイオード
X2 定電流源
X3 ボルテージフォロア回路