(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-18
(45)【発行日】2023-05-26
(54)【発明の名称】付け替え容器
(51)【国際特許分類】
B65D 43/04 20060101AFI20230519BHJP
B65D 47/34 20060101ALI20230519BHJP
F04B 9/14 20060101ALI20230519BHJP
【FI】
B65D43/04 BRG
B65D47/34 100
F04B9/14 B
(21)【出願番号】P 2019096992
(22)【出願日】2019-05-23
【審査請求日】2021-12-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000113470
【氏名又は名称】ポーラ化成工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【氏名又は名称】鈴木 三義
(74)【代理人】
【識別番号】100140718
【氏名又は名称】仁内 宏紀
(72)【発明者】
【氏名】大久保 威人
(72)【発明者】
【氏名】神▲崎▼ 和也
(72)【発明者】
【氏名】古原 裕嗣
【審査官】長谷川 一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-232779(JP,A)
【文献】特開2018-122901(JP,A)
【文献】特開2014-069870(JP,A)
【文献】特開2016-078900(JP,A)
【文献】特開2011-116423(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2015-0134160(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 43/04
B65D 47/34
F04B 9/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物が収容される容器本体と、
前記容器本体内に上方移動可能に嵌合され、内容物の減少に伴い上方移動する中皿と、
前記容器本体の口部内に配設された有底筒状の収容体と、
前記容器本体の口部に離脱可能に装着された蓋体と、を備え、
前記収容体の底壁部に、前記容器本体内に開口する連通孔が形成され、
前記蓋体に、前記連通孔に離脱可能に嵌合された栓部が設けられ、
前記容器本体内の内容物が下端開口を通して内部に供給されるシリンダを有し、かつ前記シリンダ内の内容物を吐出孔から吐出する吐出器が、
前記蓋体が取り外された前記口部に装着されることにより、前記シリンダが前記収容体内に収容されるとともに、このシリンダの下端開口の周縁部から下方に向けて突出した連結筒が、前記連通孔に密に嵌合される、付け替え容器。
【請求項2】
前記吐出器は、前記シリンダを径方向の外側から囲う外筒を備え、
前記収容体の底壁部に、内周面が前記外筒の外周面に当接、若しくは近接する案内筒が設けられている、請求項1に記載の付け替え容器。
【請求項3】
前記吐出器は、
前記口部の上端開口縁に支持される支持フランジ部と、
前記支持フランジ部から下方に向けて突出した被案内筒と、を備え、
前記収容体の周壁部の内周面は、前記被案内筒の外周面に当接、若しくは近接する、請求項1または2に記載の付け替え容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、付け替え容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば下記特許文献1に記載された吐出容器が知られている。この吐出容器は、容器本体と、吐出器と、を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記従来の吐出容器では、容器本体内の内容物を使い切った後に、吐出器を、内容物が充填されている新たな容器本体に付け替えて再利用することがある。
しかしながら、吐出容器では、吐出器のシリンダが容器本体内に位置していることから、シリンダの外面に内容物が付着している吐出器を付け替えなければならない。そのため、例えば、付け替え操作の過程で内容物が手に付着したり、使用できない内容物が生じたりする等のおそれがある。
【0005】
本発明は、このような事情を考慮してなされたもので、吐出器の外面への内容物の付着を抑えることができる付け替え容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決して、このような目的を達成するために、本発明の付け替え容器は、内容物が収容される容器本体と、前記容器本体内に上方移動可能に嵌合され、内容物の減少に伴い上方移動する中皿と、前記容器本体の口部内に配設された有底筒状の収容体と、前記容器本体の口部に離脱可能に装着された蓋体と、を備え、前記収容体の底壁部に、前記容器本体内に開口する連通孔が形成され、前記蓋体に、前記連通孔に離脱可能に嵌合された栓部が設けられ、前記容器本体内の内容物が下端開口を通して内部に供給されるシリンダを有し、かつ前記シリンダ内の内容物を吐出孔から吐出する吐出器が、前記蓋体が取り外された前記口部に装着されることにより、前記シリンダが前記収容体内に収容されるとともに、このシリンダの下端開口の周縁部から下方に向けて突出した連結筒が、前記連通孔に密に嵌合される。
【0007】
この発明によれば、蓋体を容器本体の口部から外し、栓部を連通孔から外した状態で、吐出器のシリンダを収容体内に進入させるとともに、連結筒を収容体の連通孔に密に嵌合することにより、吐出器が口部に装着される。吐出器を作動させると、中皿が容器本体内を上方移動しつつ、容器本体内の内容物が連結筒内を通してシリンダ内に供給されるとともに、シリンダ内の内容物が吐出孔から吐出される。
吐出器を容器本体の口部に装着したときに、連結筒が連通孔に密に嵌合するので、容器本体内の内容物が、連結筒の外周面と連通孔の内周面との間を通して、吐出器と収容体の底壁部の上面との間に進入するのを抑制することが可能になり、シリンダが収容体内に収容され、容器本体内に露呈するのを防止できることと相俟って、内容物が吐出器の外面に付着するのを抑制することができる。これにより、例えば、付け替え操作の過程で内容物が手に付着したり、使用できない内容物が生じたりするのを抑えることができる。
【0008】
ここで、前記吐出器は、前記シリンダを径方向の外側から囲う外筒を備え、前記収容体の底壁部に、内周面が前記外筒の外周面に当接、若しくは近接する案内筒が設けられてもよい。
【0009】
この場合、収容体の底壁部に、内周面が吐出器の外筒の外周面に当接、若しくは近接する案内筒が設けられているので、シリンダを収容体内に進入するときに、外筒の外周面を案内筒の内周面に摺接させることにより、吐出器および収容体の相対的な径方向の位置が決められることとなり、吐出器を口部に容易に装着することができる。
【0010】
また、前記吐出器は、前記口部の上端開口縁に支持される支持フランジ部と、前記支持フランジ部から下方に向けて突出した被案内筒と、を備え、前記収容体の周壁部の内周面は、前記被案内筒の外周面に当接、若しくは近接してもよい。
【0011】
この場合、収容体の周壁部の内周面が、吐出器の被案内筒の外周面に当接、若しくは近接するので、シリンダを収容体内に進入するときに、被案内筒の外周面を、収容体の周壁部の内周面に摺接させることにより、吐出器および収容体の相対的な径方向の位置が決められることとなり、吐出器を口部に容易に装着することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、吐出器の外面への内容物の付着を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明に係る一実施形態として示した付け替え容器の縦断面図である。
【
図2】
図1に示す付け替え容器に吐出器が装着された状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照し、本発明の一実施形態に係る付け替え容器1について説明する。
本実施形態の付け替え容器1は、
図1に示されるように、内容物が収容される容器本体11と、容器本体11内に上方移動可能に嵌合され、内容物の減少に伴い上方移動する中皿12と、容器本体11の口部13内に配設された収容体14と、容器本体11の口部13に離脱可能に装着された蓋体15と、を備えている。
【0015】
容器本体11および収容体14は、有底筒状に形成され、中皿12および蓋体15は、有頂筒状に形成されており、容器本体11、収容体14、中皿12、および蓋体15は、共通軸と同軸に配設されている。以下、この共通軸を中心軸線Oといい、中心軸線Oに沿う軸方向から見て、中心軸線Oに交差する方向を径方向といい、中心軸線O回りに周回する方向を周方向という。軸方向のうち、蓋体15の頂壁部31側を上側といい、容器本体11の底壁部32側を下側という。
【0016】
容器本体11は、本体筒33、および底壁部32を備えている。
本体筒33の上端部の外周面に、蓋体15が螺着される雄ねじ部が形成されており、本体筒33の上端部が、容器本体11の口部13となっている。
底壁部32は、有底筒状に形成され、本体筒33の下端部内に嵌合されている。底壁部32の底板32bに、軸方向に貫通する窓孔32aが形成されている。中皿12の上方移動に伴い、外気が窓孔32aを通して後述する遮断空間Yに導入される。
【0017】
中皿12は、容器本体11の内周面を上方に向けて密に摺動する摺動筒36を備えている。摺動筒36は、中皿12の周壁部から径方向の外側に向けて突出し、中皿12の周壁部のうちの軸方向の中間部を径方向の外側から囲っている。中皿12の頂壁部の下面に、下方に向けて突出した係合筒37が設けられている。係合筒37は、中心軸線Oと同軸に配設されている。容器本体11内において、中皿12の頂壁部の下面と、容器本体11の底板32bの上面と、の間に位置する部分は、内容物の収容空間Xに対して遮断された遮断空間Yとなっている。
【0018】
遮断空間Yに、固定部39、可動部40、および表示帯41が設けられている。
可動部40は、有底筒状に形成され、中皿12の係合筒37に外嵌されている。可動部40は、収容空間X内の内容物の減少に伴い、中皿12とともに上方移動する。
固定部39は、容器本体11の底板32bに固定されている。固定部39は、窓孔32aを上方から覆っている。固定部39は、巻回された表示帯41が収容された収容部39aと、表示帯41を通過させて可動部40に導くパス孔39bと、を備えている。
【0019】
表示帯41の一端部は可動部40に固定されている。表示帯41の一端部に貫通孔が形成され、可動部40に、この貫通孔に挿入された突部が設けられている。表示帯41は、可動部40の上方移動に伴い、収容部39aから繰り出されつつパス孔39bを通過する。この際、表示帯41は、固定部39と容器本体11の底板32bの上面との間のうち、窓孔32aが位置している部分を通過する。これにより、容器本体11の外部から、窓孔32a上に位置している表示帯41を視認することができる。
【0020】
ここで、表示帯41は、長手方向に沿う部分ごとで色彩が異なっており、窓孔32aから視認される表示帯41の色彩に応じて、容器本体11内の内容物の残量を確認できるようになっている。
なお、これに限らず例えば、表示帯41の長手方向に沿う部分ごとで、文字、図形、記号、および色彩等のうちの少なくとも1つを、異ならせてもよいし、あるいは表示したり、表示しなかったりしてもよい。
【0021】
収容体14の周壁部34は、容器本体11の口部13内に密に嵌合されている。周壁部34の上端部に、径方向の外側に向けて突出し、周方向の全長にわたって連続して延びる下フランジ部34aが形成されている。下フランジ部34aは、口部13の上端開口縁に配置されている。下フランジ部34aに、下方に向けて突出した外嵌筒34bが形成されている。外嵌筒34bは、口部13の上端部のうち、雄ねじ部より上方に位置する部分に外嵌されている。
【0022】
収容体14の底壁部16に、容器本体11内に開口する連通孔17が形成されている。底壁部16の下面における連通孔17の開口周縁部に、下方に向けて突出した導入筒35が設けられている。連通孔17、および導入筒35は、中心軸線Oと同軸に配設されている。
底壁部16の上下面は、中心軸線Oに直交する方向に延びる平坦面となっている。なお、底壁部16は、例えば径方向の外側から内側に向かうに従い、下方に向けて延びてもよい。
【0023】
底壁部16に、上方に向けて突出した案内筒25が設けられている。案内筒25は、底壁部16の外周縁部に配設されている。案内筒25の外周面と、収容体14の周壁部34の内周面と、の間に、径方向の隙間が設けられている。案内筒25の上端部は、収容体14の周壁部34の上端部より下方に位置している。
【0024】
蓋体15の周壁部の内周面に、口部13の雄ねじ部に螺合する雌ねじ部が形成されている。蓋体15の頂壁部31に、連通孔17に離脱可能に嵌合された栓部18が設けられている。栓部18は、筒状に形成され、中心軸線Oと同軸に配設されている。なお、栓部18は、中実に形成されてもよい。頂壁部31の下面における外周縁部が、収容体14の下フランジ部34aの上面に、周方向の全長にわたって連続して当接している。
【0025】
次に、上述した付け替え容器1に装着される吐出器22について、
図2を参照しつつ、付け替え容器1に装着された状態に基づいて説明する。
吐出器22は、装着キャップ43、吐出ヘッド44、上部弁体45、基部材46、ピストン47、ピストンガイド48、下部弁体49、スプリング受け50、スプリング51、操作部材52、およびオーバーキャップ53を備えている。
【0026】
装着キャップ43は、口部13に着脱可能に装着される。装着キャップ43は、有頂筒状に形成されている。装着キャップ43の天壁部43aは、環状に形成され、中心軸線Oと同軸に配設されている。
吐出ヘッド44は、装着キャップ43の天壁部43aの内側に、軸方向に移動可能に配設されている。吐出ヘッド44は、内側が内容物の吐出孔21とされたヘッド内筒44aと、ヘッド内筒44aを径方向の外側から囲うヘッド外筒44bと、ヘッド内筒44aおよびヘッド外筒44bそれぞれの上端部同士を連結する連結壁44cと、を備えている。ヘッド内筒44aの上端部の内周面に、径方向の内側に向けて突出した環状の弁座部44dが形成されている。弁座部44dの内周面に、径方向の内側に向けて突出した突起が、周方向に間隔をあけて複数形成されている。
【0027】
上部弁体45は、吐出ヘッド44の弁座部44d内に嵌合された軸部45aと、軸部45aの上端部から径方向の外側に向けて突出し、弁座部44d上に配置された傘部45bと、を備えている。
軸部45aの外周面と、弁座部44dの内周面のうち、突起の非形成部分と、の間に、内容物が通過可能な隙間が設けられている。
傘部45bは、吐出孔21と外部との連通を遮断している。傘部45bは弾性変形可能に形成されており、吐出孔21の内圧が上昇したときに、傘部45bが上方に向けて弾性変形し、吐出孔21が外部に開放される。
【0028】
基部材46は、支持フランジ部26、被案内筒27、外筒24、シリンダ20、連結筒23、基板56、および中間筒55を備えている。
【0029】
支持フランジ部26は、周方向の全長にわたって連続して延び、中心軸線Oと同軸に配設されている。支持フランジ部26は、収容体14の下フランジ部34aの上面に配置されている。支持フランジ部26は、下フランジ部34aを介して口部13の上端開口縁に支持されている。支持フランジ部26の外周部が、収容体14の下フランジ部34aの上面に配置されている。支持フランジ部26の外周面は、装着キャップ43の周壁部43bの内側に嵌合されている。
【0030】
被案内筒27は、支持フランジ部26から下方に向けて突出し、収容体14の周壁部34内に挿入されている。被案内筒27は、支持フランジ部26における径方向の中間部に設けられ、中心軸線Oと同軸に配設されている。被案内筒27の外周面は、収容体14の周壁部34の内周面に当接、若しくは近接している。被案内筒27の内径は、収容体14の案内筒25の外径以上となっている。
なお、被案内筒27の外周面を、収容体14の周壁部34の内周面に密に当接させ、被案内筒27の外周面と、収容体14の周壁部34の内周面と、の間をシールしてもよい。
【0031】
外筒24は、支持フランジ部26の内周面から上方および下方の双方向に突出している。外筒24の、支持フランジ部26に対する下方に向けた突出量は、外筒24の、支持フランジ部26に対する上方に向けた突出量より大きくなっている。外筒24は、中心軸線Oと同軸に配設されている。外筒24は、シリンダ20を径方向の外側から囲っている。外筒24の下端部は、収容体14の案内筒25の内側に挿入されている。外筒24の外周面は、案内筒25の内周面に当接、若しくは近接している。外筒24の内径は、装着キャップ43の天壁部43aの内径より大きくなっている。外筒24の外周面と、被案内筒27の内周面と、の間に、径方向の隙間が設けられている。
なお、外筒24の外周面を、案内筒25の内周面に密に当接させ、外筒24の外周面と、案内筒25の内周面と、の間をシールしてもよい。
【0032】
シリンダ20は、中心軸線Oと同軸に配設されている。シリンダ20の内径は、ヘッド内筒44aの外径より大きく、シリンダ20の外径は、ヘッド外筒44bの内径より小さくなっている。シリンダ20は、有底筒状に形成され、底壁部が環状に形成されている。この底壁部の内側、つまりシリンダ20の下端開口19を通して、容器本体11内の内容物がシリンダ20の内部に供給される。シリンダ20、および外筒24それぞれの上端部の軸方向の位置は互いに同等になっている。シリンダ20の上端部の内周面は、ヘッド内筒44aの下端部の外周面と径方向で対向している。
【0033】
連結筒23は、シリンダ20の下端開口19の周縁部から下方に向けて突出し、収容体14の連通孔17に密に嵌合されている。連結筒23は、中心軸線Oと同軸に配設されている。連結筒23の下端部は、収容体14の導入筒35の下端部より上方に位置している。
基板56は、シリンダ20、および外筒24の各下端部同士を連結している。基板56は、環状に形成され、中心軸線Oと同軸に配設されている。基板56の下面は、収容体14の底壁部16の上面に当接、若しくは近接している。
中間筒55は、シリンダ20と外筒24との間に配設され、基板56から上方に向けて突出している。中間筒55は、中心軸線Oと同軸に配設されている。中間筒55の内径は、ヘッド外筒44bの内径と同等になっている。中間筒55の上端部は、シリンダ20の上端部、およびヘッド外筒44bの下端部より下方に位置している。
【0034】
ピストンガイド48は、有底筒状に形成され、上端部が、ヘッド内筒44a内に嵌合されている。ピストンガイド48は、ヘッド内筒44aから下方に突出している。ピストンガイド48の下端部に、径方向の外側に向けて突出し、ヘッド内筒44aの下端開口縁と軸方向で対向した対向フランジ部48aが形成されている。ピストンガイド48の周壁部に、径方向に貫き、ピストンガイド48内とシリンダ20内とを連通可能な貫通孔48bが、周方向に間隔をあけて複数形成されている。
【0035】
ピストン47は、シリンダ20内に上下摺動可能に嵌合されている。ピストン47は、筒状に形成され、内側にピストンガイド48が挿通されている。ピストン47は、ピストンガイド48の対向フランジ部48a上に支持されている。ピストン47は、ヘッド内筒44aの下端部と、対向フランジ部48aと、の間に位置している。ピストン47は、吐出ヘッド44の下方移動時に、対向フランジ部48aに対して上方に離れた状態で、ヘッド内筒44aの下端部に押し込まれるとともに、吐出ヘッド44の上方移動時に、対向フランジ部48aに突き上げられることによって、吐出ヘッド44の上下動に連係する。
【0036】
下部弁体49は、シリンダ20の下端部内に配設されている。下部弁体49は、容器本体11内の内容物のシリンダ20への流入を許容する一方、シリンダ20内の内容物の容器本体11内への流出を規制する逆止弁となっている。
【0037】
スプリング受け50は、シリンダ20に外嵌された固定筒57と、固定筒57を径方向の外側から囲う規制筒58と、固定筒57および規制筒58の各下端部同士を連結した連結部59と、を備えている。
規制筒58の下部は、中間筒55の内側に挿入され、規制筒58の上部は、ヘッド外筒44bの内側に挿入されている。規制筒58の外周面と中間筒55の内周面との間、並びに、規制筒58の外周面とヘッド外筒44bの内周面との間にそれぞれ、回り止め部60、61が各別に設けられている。回り止め部60、61はそれぞれ、スプリング受け50および基部材46の相対的な回転移動、並びに、スプリング受け50および吐出ヘッド44の相対的な回転移動を各別に規制する。
【0038】
スプリング51の下部は、固定筒57の外周面と規制筒58の内周面との間に差し込まれ、スプリング51の上部は、ヘッド内筒44aの外周面とヘッド外筒44bの内周面との間に差し込まれている。スプリング51の上端部は、吐出ヘッド44に係止されており、スプリング51は、吐出ヘッド44を上方付勢状態で下方移動可能に支持している。
【0039】
操作部材52は、筒状に形成され、ヘッド外筒44bに、中心軸線O回りに回転可能に外嵌されている。
操作部材52は、装着キャップ43の天壁部43aの上面に当接、若しくは近接している。操作部材52に、下方に向けて突出し、装着キャップ43の天壁部43aの内側に挿入された脚片52aが形成されている。脚片52aは、装着キャップ43の天壁部43aの内周面と、ヘッド外筒44bの外周面と、の間に差し込まれている。脚片52aに、装着キャップ43の天壁部43aの下面に係止される抜け止め突起が形成されている。抜け止め突起が、装着キャップ43の天壁部43aの下面に係止されることにより、吐出ヘッド44の、装着キャップ43に対する上方移動が規制される。
操作部材52の内周面に、ヘッド外筒44bの外周面に形成された被ガイド突起62に係合するガイド突起63が周方向に沿って複数設けられている。
【0040】
オーバーキャップ53は、装着キャップ43の周壁部43bに着脱可能にアンダーカット嵌合されている。オーバーキャップ53の内側に、遮光体54が配設されている。遮光体54は、金属板により有頂筒状に形成され、吐出ヘッド44、上部弁体45、操作部材52、および装着キャップ43の天壁部43aを全域にわたって覆っている。
遮光体54が設けられているので、吐出ヘッド44におけるヘッド内筒44aの上端部、および連結壁44cの上面、並びに、上部弁体45の傘部45bの上面に残存した内容物が、光により劣化するのを抑制することができる。
【0041】
以上の構成において、オーバーキャップ53を、遮光体54とともに装着キャップ43から取り外した後に、操作部材52を、吐出ヘッド44に対して中心軸線O回りに回転させると、吐出ヘッド44の被ガイド突起62が、操作部材52のガイド突起63に摺接しつつ押し込まれ、吐出ヘッド44が、スプリング51の上方付勢力に抗して下方移動する。この際、ピストンガイド48の対向フランジ部48aが、ピストン47から下方に離間した状態で、ピストン47が、ヘッド内筒44aの下端部に押し込まれ、シリンダ20内を下方移動する。これにより、シリンダ20内の内容物が、ピストンガイド48の対向フランジ部48aとピストン47との間、ピストンガイド48の貫通孔48b、並びに、ピストンガイド48内を通過して吐出孔21に到達し、上部弁体45の傘部45bを上方に向けて弾性変形させることで、外部に吐出される。
【0042】
そして、操作部材52のガイド突起63が、吐出ヘッド44の被ガイド突起62を周方向に乗り越えると、スプリング51の上方付勢力により、吐出ヘッド44が上方に復元移動する。この過程において、ピストンガイド48の対向フランジ部48aが、ピストン47を突き上げて、ピストン47がシリンダ20内を上方移動し、シリンダ20内が負圧になることで、下部弁体49が開き、容器本体11内の内容物が、収容体14の導入筒35内、連結筒23内、およびシリンダ20の下端開口19を通してシリンダ20内に供給される。この際、中皿12が、可動部40とともに容器本体11内を上方移動する。これにより、表示帯41が、収容部39aから繰り出され、パス孔39b、および窓孔32a上を通過する。
【0043】
次に、付け替え容器1に吐出器22を装着する付け替え操作について説明する。
【0044】
まず、付け替え容器1において、蓋体15を容器本体11の口部13から外し、栓部18を連通孔17から外す。次に、吐出器22の装着キャップ43を口部13に螺着しつつ、シリンダ20、中間筒55、外筒24、および被案内筒27を収容体14内に進入させる。この際、外筒24が、収容体14の案内筒25内に挿入されるとともに、被案内筒27が、収容体14の周壁部34内に挿入されながら、支持フランジ部26の下面が、収容体14の下フランジ部34aの上面に配置されるとともに、連結筒23が収容体14の連通孔17に密に嵌合される。
【0045】
以上説明したように、本実施形態による付け替え容器1によれば、吐出器22を容器本体11の口部13に装着したときに、連結筒23が連通孔17に密に嵌合するので、容器本体11内の内容物が、連結筒23の外周面と連通孔17の内周面との間を通して、吐出器22と収容体14の底壁部16の上面との間に進入するのを抑制することが可能になり、シリンダ20が収容体14内に収容され、容器本体11内に露呈するのを防止できることと相俟って、内容物が吐出器22の外面に付着するのを抑制することができる。これにより、例えば、付け替え操作の過程で内容物が手に付着したり、使用できない内容物が生じたりするのを抑えることができる。
【0046】
収容体14の底壁部16に、内周面が吐出器22の外筒24の外周面に当接、若しくは近接する案内筒25が設けられているので、シリンダ20を収容体14内に進入するときに、外筒24の外周面を案内筒25の内周面に摺接させることにより、吐出器22および収容体14の相対的な径方向の位置が決められることとなり、吐出器22を口部13に容易に装着することができる。
【0047】
収容体14の周壁部34の内周面が、吐出器22の被案内筒27の外周面に当接、若しくは近接するので、シリンダ20を収容体14内に進入するときに、被案内筒27の外周面を、収容体14の周壁部34の内周面に摺接させることにより、吐出器22および収容体14の相対的な径方向の位置が決められることとなり、吐出器22を口部13に容易に装着することができる。
【0048】
本発明は上記した実施の形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0049】
例えば 前記実施形態では、吐出器22として、外筒24、支持フランジ部26、被案内筒27、および操作部材52等を有する構成を示したが、これらを有しない他の構成を採用してもよい。
収容体14として、下フランジ部34a、外嵌筒34b、および導入筒35を備える構成を示したが、これらを有しない他の構成を採用してもよい。
【0050】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上記した変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0051】
1 付け替え容器
11 容器本体
12 中皿
13 口部
14 収容体
15 蓋体
16 収容体の底壁部
17 連通孔
18 栓部
19 下端開口
20 シリンダ
21 吐出孔
22 吐出器
23 連結筒
24 外筒
25 案内筒
26 支持フランジ部
27 被案内筒
34 収容体の周壁部