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特許7281992二重加圧容器、吐出製品、その製造法、吐出部材および吐出装置
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  • 特許-二重加圧容器、吐出製品、その製造法、吐出部材および吐出装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-18
(45)【発行日】2023-05-26
(54)【発明の名称】二重加圧容器、吐出製品、その製造法、吐出部材および吐出装置
(51)【国際特許分類】
   B65D 83/14 20060101AFI20230519BHJP
   B65D 83/38 20060101ALI20230519BHJP
   B65D 83/40 20060101ALI20230519BHJP
   B05B 9/04 20060101ALI20230519BHJP
【FI】
B65D83/14
B65D83/38 100
B65D83/40
B05B9/04
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019139797
(22)【出願日】2019-07-30
(65)【公開番号】P2021020719
(43)【公開日】2021-02-18
【審査請求日】2022-07-05
(73)【特許権者】
【識別番号】391021031
【氏名又は名称】株式会社ダイゾー
(74)【代理人】
【識別番号】100100044
【弁理士】
【氏名又は名称】秋山 重夫
(74)【代理人】
【識別番号】100205888
【弁理士】
【氏名又は名称】北川 孝之助
(72)【発明者】
【氏名】目加多 聡
【審査官】宮崎 基樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-030493(JP,A)
【文献】特開2016-033038(JP,A)
【文献】特開2014-231357(JP,A)
【文献】特開2011-251710(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 83/00-83/76
B05B 9/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部容器と、
その外部容器の内部に収容されている可撓性を有する内部容器と、
前記外部容器と内部容器のうち、少なくとも一方に固着され、外部容器と内部容器の両方を封止するための蓋体とからなり、
前記内部容器の内部が加圧剤を充填するための加圧剤収容室であり、
前記外部容器と内部容器の間が原液を充填するための原液収容室であり、
前記蓋体が、外部容器に固着されて原液収容室を封止する外蓋と、内部容器に固着されて加圧剤収容室を封止する内蓋とに分かれており、
前記外蓋が原液収容室を開封するための被開封部を備えている、
二重加圧容器。
【請求項2】
前記外蓋が、外部容器の上端面を覆う環状円板部と、前記環状円板部の中央部に設けられる嵌合筒部と、嵌合筒部の底部に設けられる被開封部とを有し、
前記内蓋が、内部容器の開口を閉じる閉鎖部を有し、
前記外蓋と内蓋の間に、被開封部が開封されたときに嵌合筒部内と原液収容室とを連通する原液通路を備えている、
請求項1記載の二重加圧容器。
【請求項3】
前記外蓋が、前記内蓋を内挿する外筒部を備えている、請求項記載の二重加圧容器。
【請求項4】
前記外蓋が、外部容器の上端面を覆う環状円板部と、前記環状円板部の中央部に設けられる嵌合筒部と、嵌合筒部の底部に設けられる被開封部とを有し、
前記内蓋が内部容器の口部内に入り込む嵌合部と、その嵌合部の下端を閉じる閉鎖部を有し、
前記外蓋の嵌合筒部が前記内蓋の嵌合部内に入り込んでいる請求項または記載の二重加圧容器。
【請求項5】
請求項1~いずれか記載の二重加圧容器と、
前記原液収容室に充填された原液と、
前記加圧剤収容室に充填された加圧剤とからなり、
前記外蓋および内蓋が外部容器および内部容器にそれぞれ気密に溶着されている
吐出製品。
【請求項6】
請求項記載の二重加圧容器を準備し、
加圧剤収容室に加圧剤を充填して内蓋を内部容器に溶着し、
原液収容室に原液を充填して外蓋を外部容器に溶着する
吐出製品の製造法。
【請求項7】
請求項記載の吐出製品に用いられる吐出部材であって、
前記二重加圧容器に着脱自在に装着される装着部と、
前記外蓋の被開封部を開封する開封部と、
前記開封部を介して原液収容室と連通し、外部との連通/遮断を切り換える弁と、
その弁に取り付けられ、操作により原液を吐出する操作部とを備えている
吐出部材。
【請求項8】
請求項記載の吐出製品と、その吐出製品に着脱自在に取り付けられる請求項載の吐出部材とからなる吐出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は二重加圧容器、吐出製品、その製造法、吐出部材および吐出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1の図11には、上端に開口部を有する容器本体と、その開口部を閉じ、容器本体に固定されるバルブ収容部とからなり、バルブ収容部が、筒状のハウジング部と、そのハウジング部の底面に形成した孔に脱落可能に嵌合する開封部とを備えた内容物収容容器が開示されている。また、特許文献1の図7には、バルブ収容部の底部に破断により開封する閉鎖部を設けた内容物収納容器が開示されている。これらはバルブ収容部にポンプのバルブあるいはエアゾールバルブを着脱自在に収容し、ネジキャップで固定することにより、ディップチューブで開封部を脱落させて、あるいは閉鎖部を破断して使用する。そのため、バルブは繰り返し使用することができ、内容物収容容器は安価に製造できる利点がある。
【0003】
特許文献2には、外部容器と、その外部容器に収容される内部容器と、前記外部容器および内部容器を閉じるバルブアッセンブリとからなる二層吐出容器が開示されている。この特許文献2には、内部容器に加圧剤を充填し、内部容器と外部容器の間に原液を充填する技術および外部容器と内部容器を二軸延伸ブロー成形で同時に成形する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】WO2015/80252号公報
【文献】特開2016-16896号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の内容物収容容器は、ディップチューブを備えたバルブを螺着することにより開封するので、ディップチューブの湾曲により先端が開封部の位置からずれ易い。またディップチューブは柔らかい素材のため開封時に折れ曲がりやすく、開封操作しにくい。また、誤って上下を逆にして吐出すると、加圧剤のみが吐出し、残りの原液を吐出することができなくなる。容器が合成樹脂製の場合、輸送時、倉庫保管時、店頭陳列時などの流通過程で落下したときに破損して加圧剤や原液が漏れることがある。
【0006】
特許文献2の二層吐出容器は、原液と加圧剤が別々に充填されているので、ディップチューブを用いる必要がなく、吐出部材は簡易である。しかしバルブが吐出容器から突出しているため、流通過程でバルブが作動しないように厳重に保護する必要がある。さらにバルブ付きで流通するので、バルブを通して内容物が漏れる可能性がある。
【0007】
本発明は、流通時の安全性が高く、消費者が使いやすく、安全で環境にやさしい、二重加圧容器、吐出製品、その製造法、吐出部材および吐出装置を提供することを技術課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の二重加圧容器11は、外部容器13と、その外部容器13の内部に収容されている可撓性を有する内部容器14と、前記外部容器13と内部容器14のうち、少なくとも一方に固着され、外部容器13と内部容器14の両方を封止するための蓋体15とからなり、前記内部容器14の内部が加圧剤Pを充填するための加圧剤収容室Spであり、前記外部容器13と内部容器14の間が原液Cを充填するための原液収容室Scであり、前記蓋体15が、原液収容室Scを開封するための被開封部15dを備えていることを特徴としている。
【0009】
このような二重加圧容器11においては、前記蓋体15が、外部容器の上端面を覆う環状円板部15bと、内部容器14の開口を閉じる閉鎖部152bと、前記環状円板部15bの中央部に設けられる嵌合筒部15b1と、嵌合筒部15b1の底部(15c)に設けられる被開封部15dと、被開封部15dが開封されたときに嵌合筒部15b1内と原液収容室Scとを連通する原液通路Gとを備えているものが好ましい。
【0010】
前記蓋体15が、前記環状円板部15b、嵌合筒部15b1および被開封部15dを備え、外部容器13に固着されて原液収容室Scを封止する外蓋151と、前記閉鎖部152bを備え、内部容器14に固着されて加圧剤収容室Spを封止する内蓋152とに分かれており、前記外蓋151と内蓋152の間に前記原液通路Gが形成されるものが好ましい。
【0011】
前記外蓋151が、前記内蓋152を内挿する外筒部15aを備えているものが好ましい。また、前記内蓋152が内部容器14の口部内に入り込む嵌合部152aと、その嵌合部152aの下端を閉じる閉鎖部152bを有し、前記外蓋151の嵌合筒部15b1が前記内蓋152の嵌合部152a内に入り込んでいるものが好ましい。
【0012】
本発明の吐出製品11aは、前述のいずれかの二重加圧容器11と、前記原液収容室Scに充填された原液Cと、前記加圧剤収容室Spに充填された加圧剤Pとからなり、前記蓋体15が外部容器13および内部容器14に気密に溶着されている。
【0013】
本発明の吐出製品11aの製造法は、前述の蓋体15が内蓋152と外蓋151に分かれている二重加圧容器11を準備し、加圧剤収容室Spに加圧剤Pを充填して内蓋152を内部容器14に溶着し、原液収容室Scに原液Cを充填して外蓋151を外部容器13に溶着することを特徴としている。
【0014】
本発明の吐出部材12は、前記吐出製品11aに用いられる吐出部材12であって、前記二重加圧容器に着脱自在に装着される装着部(20)と、前記蓋体15の被開封部15dを開封する開封部27と、前記開封部27を介して原液収容室Scと連通し、外部との連通/遮断を切り換える弁(21)と、その弁(21)に取り付けられ、操作により原液Cを吐出する操作部(23)とを備えていることを特徴としている。
【0015】
本発明の吐出装置10、10A、10Bは、前記吐出製品11aと、その吐出製品11aに着脱自在に取り付けられる前述の吐出部材12とからなる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の二重加圧容器は、加圧剤収容室に加圧剤を充填し、原液収容室に原液を充填して用いる。そして蓋体が、原液収容室を封止すると共に、開封可能な被開封部を備えているため、被開封部を開封する専用の吐出部材がなければ吐出することができない。そのため流通時に誤噴射されることがなく、安全性が高い。また、外部容器および内部容器が共に合成樹脂製の場合は、原液収容室に原液を充填し、加圧剤収容室に加圧剤を充填すると外部容器は加圧剤の圧力により弾力性が高くなり、落下などの衝撃に強く、内部容器への衝撃などの影響が少なくなる。
【0017】
このように二重加圧容器の安全性が高いため、危険品を送るような強固な専用コンテナが不要になり、輸送しやすくなる。また消費者がインターネット販売で購入しやすくなる。
【0018】
前記蓋体が、外部容器の上端面を覆う環状円板部と、内部容器の開口を閉じる閉鎖部と、前記環状円板部の中央部に設けられる嵌合筒部と、嵌合筒部の底部に設けられる被開封部と、被開封部が開封されたときに嵌合筒部内と原液収容室とを連通する原液通路とを備えている二重加圧容器は、被開封部が奥の方にあるため、専用の吐出部材なしでは消費者は一層開封・吐出しにくくなる。そのためさらに安全性が高い。
【0019】
前記蓋体が、前記環状円板部、嵌合筒部および被開封部を備え、外部容器に固着されて原液収容室を封止する外蓋と、前記閉鎖部を備え、内部容器に固着されて加圧剤収容室を封止する内蓋とに分かれており、外部容器に固着された外蓋と内部容器に固着された内蓋の間に前記原液通路が形成される場合は、内部容器と外部容器を別々に封止できるので、加圧剤や原液の充填作業が容易である。
【0020】
前記外蓋が、前記内蓋を内挿する外筒部を備えている場合は、溶着などのときに各蓋体の位置決めが容易である。また、前記内蓋が内部容器の口部内に入り込む嵌合部と、その嵌合部の下端を閉じる閉鎖部を有し、前記外蓋の嵌合筒部が前記内蓋の嵌合部内に入り込んでいる場合は、吐出製品の上端に突出部がないため、製造時及び使用時の取り扱いが容易である。
【0021】
本発明の吐出製品は、前述の二重加圧容器を用いているので、内部容器に充填された加圧剤は、その外部の原液収容室に充填されている原液により外部への透過が抑制される。また、内部容器に気体が充填されているため、吐出製品を落としたときのように衝撃が加わっても原液が移動することができ、外部容器が破損しにくくなる。本発明の吐出製品の製造法は、加圧剤を密封する溶着と原液を密封する溶着を別工程で順次行うことができるので、製造工程が簡易で容易に製造することができる。特に、外蓋が、内蓋を内挿する外筒部を備えているため、先に溶着した内蓋と内部容器により、外部容器との溶着を阻害されない。
【0022】
本発明の吐出部材は、二重加圧容器に着脱自在に装着される装着部と、蓋体の被開封部を開封する開封部とを備えているので、消費者の意思で前述の吐出製品を開封することができる。また、原液を使い切って容器が空になると吐出部材を取り外し、取り外した吐出部材を新しい吐出製品に付け替えることができる。そのため、資源の節約に寄与する。
【0023】
本発明の吐出装置は、前述の吐出製品と吐出部材を用いているので、それらによる効果が奏される。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1図1Aおよび図1Bはそれぞれ本発明の吐出装置の一実施形態を示す開封後および開封前の概略断面図である。
図2図2Aおよび図2Bは本発明の吐出製品の製造法の一実施形態を工程順に示す要部断面図である。
図3図3Aおよび図3Bは本発明の吐出装置の開封後および使用後を示す概略断面図である。
図4図4A図4Bおよび図4Cは本発明の吐出装置の他の実施形態の開封前、開封後および使用後を示す概略断面図である。
図5図5Aおよび図5Bは本発明の吐出装置のさらに他の実施形態の開封前および開封後を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
始めに図1A図1Bを参照して本発明の吐出装置の概略を説明する。図1Aに示す吐出装置10は、二重加圧容器11と、吐出部材12と、二重加圧容器11に充填された原液Cおよび加圧剤(プロペラント)Pとからなる。二重加圧容器11に原液Cと加圧剤Pを充填したものが吐出製品11aである(図1B参照)。吐出製品11aと吐出部材12は組み立て前のセット品として(図1B参照)、あるいは半分組み立てた未開封の状態で(図3A参照)販売される。吐出製品11aは吐出部材12と共に販売されるほか、交換用として単独でも販売される。吐出部材12についても単独で販売されることがある。
【0026】
前記二重加圧容器11は外部容器13と、その内部に収容されている可撓性を有する内部容器14と、外部容器13と内部容器14を封止する蓋体15とからなる。バルブやポンプは備えていない。内部容器14の内部は加圧剤Pを充填する加圧剤収容室Spであり、外部容器13と内部容器14の隙間の空間は原液Cを充填する原液収容室Scである。それらは蓋体15によって封止されている。この実施形態では蓋体15は、外部容器13を封止する外蓋151と、内部容器14を封止する内蓋152とに分けている。外蓋151と内蓋152の間には原液通路Gを介在させている。
【0027】
外部容器13は底部13aと、その周囲から連続して立ち上がる円筒状の胴部13bと、その上端から連続する肩部13cと、その上端から上向きに突出する厚肉円筒状の首部13dとからなる。首部13dの外周には雄ねじ13eが形成されている。首部13dの上端面13fは蓋体15(外蓋151)を固着できるように略平坦にしている。なお、上端面13fに超音波溶着のときに蓋体15との当接圧を高くしてシールポイントをつくるための環状突起(図2Aの符号13g参照)が形成されている。蓋体15側に環状突起を設けてもよく、両方に設けてもよい。そして上端面13fの内部側には傾斜部13f1が複数個設けられており、超音波溶着のときに溶けた樹脂が冷やされてできた樹脂片がはみ出ないように収容するための空間となる。底部13aには中央部を上向きに湾曲しながら容器の内部側に突出させた突出部13a1を設けている。それにより耐圧性が向上し、落下時などの耐衝撃性も向上する。そのため、単品での流通や宅配便による配送時にも安全である。なお、外部容器下向きに半球状に突出する底部とすることもできる。
【0028】
内部容器14も外部容器13と同様に、底部14a、胴部14b、肩部14cおよび首部14dからなる。内部容器14の首部14dの内面は滑らかな円筒面である。内部容器14の首部14dの上端面14eも、蓋体15(内蓋152)を固着できるように略平坦にしている。この上端面14eにも溶着時に溶けて拡がる環状突起(図2Aの符号14g参照)を設けてもよい。さらに外部容器13の首部13dの上端面13fに係合するフランジを設けてもよい。
【0029】
この実施形態では、内部容器14の首部14dの上端部は外部容器13の首部13dの上端面13fから突出している。それにより後述する内蓋152の溶着が容易になる。前記内部容器14の溶着用の環状突起14gは、蓋体15(内蓋152)側に設けてもよく、両方に設けてもよい。
【0030】
内部容器14の首部14dの外周面には、原液収容室Scと原液通路Gを連通する縦溝14iが形成されている。内部容器14の首部14dは、縦溝14iを除き、外部容器13の首部13dの内周面と嵌合している。また、同時ブロー成形の場合は、内部容器14の肩部14cの外面が外部容器13の肩部13cの内面と密着して原液Cが流れにくくなることがある。内部容器14には加圧剤(気体)Pを充填するため、外蓋151を溶着する際に内部容器14の首部14dの上端を外部容器13の首部13d内に押し込むことにより首部14dから肩部14cにかけて下方に変形し、内部容器14の肩部14cの外面を外部容器13の肩部13cの内面から引き剥がし、原液Cの流路が詰まりにくいように拡げることができる。
【0031】
内部容器14の底部14aには、外部容器13の底部13aと同様に、中央部を上向きに湾曲しながら突出させた突出部14a1を設けている。内部容器14の底部14aは外部容器13の底部13aと当接しており、加圧剤Pを充填するときや蓋体15を固着するときは、内部容器14が下がらないように支持される。
【0032】
外部容器13および内部容器14はいずれも合成樹脂製、とくにポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレンなどの熱可塑性樹脂製であり、たとえば外部容器用のプリフォームの中に内部容器用のプリフォームを入れ、肩部13c、14cより下側を同時にブロー成形することにより製造することができる。とくに所定形状のプリフォームをインジェクション成形し、ついでブロー成形するインジェクション・ブロー成形法が好ましい。前述のように同時にブロー成形することにより、外部容器13と内部容器14は、首部13d、14dを除いてほぼ同一の形状に成形することができる。外部容器13は厚肉にして耐圧性をもたせており、内部容器14は薄肉にして可撓性ないし可壊性をもたせている。
【0033】
なお、外部容器13は、微細な気泡が混入しているプリフォームを用いてブロー成形すると、気泡が延伸されて外部容器13が白色不透明になる。それにより内部容器14の形状を隠すことができる。この場合、顔料を含有していないため、リサイクルしやすい。なお、有色ないし不透明の原液Cを採用することによっても内部容器14の形状を隠すことができる。
【0034】
図2Aに示すように、前記内蓋152は内部容器14の首部14d内に挿入され、嵌合される筒状の嵌合部152aと、その上端の開口を塞ぐ円板状の閉鎖部152bと、嵌合部152aの上端から外向きに拡がるフランジ152cとからなる。嵌合部152aと閉鎖部152bの付け根に溶着用の隅肉を設けてもよい。
【0035】
前記外蓋151は外部容器13の首部13dの上端面13fに溶着される円筒状の外筒部15aと、その上端の開口を塞ぐ環状円板部15bと、その中央部から立ち上がる嵌合筒部15b1とを有する。外筒部15aは内蓋152のフランジ152cの外周を隙間をもって内挿している。嵌合筒部15b1の下部の開口は、底板15cによって塞がれており、その底板15cに使用時に開封される被開封部15dが設けられている。被開封部15dの周囲は、環状の薄肉部あるいは弱め線15fによって囲まれている。弱め線15fは未開封では充分なシール機能があり、かつ、容易に破断できる形状とする。この実施形態では、弱め線15fはV溝で形成している。底板15cを環状円板部15bより上側に設けて下方に空間を形成しているのは、被開封部15dを脱落ないし下向きに変形しやすくするためである。また、外蓋151を外部容器の上端面13fに溶着する際、超音波振動を与えるホーンH2を環状円板部15bに押し当てるが、底板の被開封部15dを環状円板部15bよりも上側に設けているため、超音波振動が被開封部15dに流れにくく、薄肉になっている被開封部の弱め線15fの溶解を防止することができる。
【0036】
被開封部15dの上面側は、開封時に撓みにくいように厚肉にした受圧部15d1を設けている。さらに開封後に被開封部15dの脱落、遊離を防ぐため、弱め線15fを横切るように半径方向に延びる補強部15gを設けている。また、嵌合筒部15b1や被開封部15dは、成形時の冷却条件などで部分的に硬くし、開封時の延伸を抑制し、破断しやすくしてもよい。
【0037】
前記嵌合筒部15b1の内周面は、被開封部15dを開封する際に原液Cが漏出しないように吐出部材12のシール材28が当接する部位であり、滑らかな円筒面にすることが好ましく、下に向かって縮径されるテーパー状としてもよい。外蓋151の外筒部15aの内周面と内蓋152の外周面との間には、原液Cを通すための隙間からなる縦通路G1が設けられている。外蓋151の外筒部15aの高さは、内部容器14および外部容器13への内蓋152および外蓋151の溶着後に、環状円板部15bの下面と内蓋152の閉鎖部152bの上面との間に原液Cを通すための隙間(横通路G2)を残す寸法としている。上記の縦通路G1と横通路G2とで原液通路Gとなる。
【0038】
つぎに図2A図2Bを参照して二重加圧容器11に加圧剤Pおよび原液Cを充填する手順を説明する。加圧剤収容室Spに加圧剤Pを充填するには、図2Aに示すように、まず内部容器14に内蓋152を被せ、フランジ152cと内部容器14の首部14dの上端面14eの隙間から加圧剤Pを充填する(矢印E1参照)。ついで内蓋152の上面に超音波溶着のホーンH1を押し当ててフランジ152cを首部14dの上端面14eに熱溶着する(図2B参照)。それにより内蓋152が内部容器14に固着され、加圧剤収容室Spが封止される。
【0039】
ついで図2Bに示すように外部容器13に外蓋151を被せ、外筒部15aの下面と外部容器13の首部13dの上端面13fの隙間から原液収容室Scに原液Cを充填する(矢印E2参照)。このとき、原液収容室Scが拡がっていく(図1B参照)。つぎに外蓋151の上面に超音波溶着のホーンH2を押し当てて外筒部15aの下面を外部容器13の首部13dの上端面13fに熱溶着する。それにより原液収容室Scが封止される。このとき、外蓋151と内蓋152の間に原液通路G(縦通路G1、横通路G2)が形成される。
【0040】
上記の製造法では、加圧剤Pを内部容器14に充填し、内部容器14を密封する溶着を行い、その後に原液Cを充填し、原液収容室Scを密封する溶着を行うので、製造工程が簡易で容易になる。特に、外蓋151が、内蓋152を内挿する外筒部15aを備えているため、先に溶着した内蓋152と内部容器14により、外部容器13との溶着を阻害しない。
【0041】
外部容器13の首部13dの下部に公知のサポート部30が設けられており、上記の加圧剤Pおよび原液Cの充填工程のとき、充填装置の支持板31によってサポート部30が支持され、内部容器14は底部14aが当接している外部容器13によって支えられる。溶着時には、内部容器14の首部14dの上端面14fの環状突起14gが溶融し、接着面に拡がり、温度の低下と共に硬化する。外部容器13の首部13dの上端面13fの環状突起13gについても同様である。超音波溶着に代えて、レーザー溶着、高周波溶着、スピン溶着などで溶着してもよい。
【0042】
外蓋151や内蓋152の材料は外部容器13や内部容器14との熱接合性が高い熱可塑性樹脂が用いられる。溶着で固着する場合は外部容器13や内部容器14と同じ材料を用いることが好ましい。外蓋151および内蓋152は、それぞれ外部容器13および内部容器14に溶着するほか、接着剤で接着してもよい。外蓋151および内蓋152で原液収容室Scと加圧剤収容室Spを封止すると共に、内部容器14または外部容器13のいずれか、あるいは両方に固着することにより、内容物(原液C、加圧剤P)を長期間安全に、漏れないように保管しておくことができる。
【0043】
原液Cとしては、洗顔剤、洗浄剤、入浴剤、保湿剤、クレンジング剤、日焼け止め、化粧水、シェービング剤、脱毛剤、制汗剤、殺菌消毒剤、害虫忌避剤などの皮膚用品、トリートメント剤、スタイリング剤、染毛剤などの頭髪用品などの人体用品、ホイップクリームなどの食品、消臭剤、芳香剤、殺虫剤、防虫剤、花粉除去剤、殺菌剤などの家庭用品などである。但し、これらの用途に限られるわけではない。
【0044】
加圧剤Pとしては窒素ガス、圧縮空気、炭酸ガスなどの圧縮ガスが好ましい。加圧剤により二重加圧容器内の圧力を0.1~0.5MPa(25℃、ゲージ圧)、とくに炭酸飲料と同程度の圧力0.3~0.5MPa(25℃、ゲージ圧)にするのが好ましい。また、外部容器の容量は30~500mlであることが好ましい。内部容器(加圧剤収容室Sp)14の容量は10~250ml程度が好ましい。原液収容室Scの容量は20~250ml程度が好ましい。
【0045】
上記のように、二重加圧容器11は部品数が少なく、バルブのような動作する部位がないので、安価に製造することができる。そして二重加圧容器11の圧力が低く、炭酸飲料などと同程度であるので、消費者が持ち運んだり、流通業者が配送したりするときに安全である。
【0046】
図3Aを参照して、吐出製品11aの使用方法について説明する。前記吐出部材12は、外部容器13の首部13dの雄ねじ13eと螺合するキャップ(装着部)20と、そのキャップ20によって保持されるバルブ(弁)21とからなる。バルブ21のステム22には、ノズルを備えた操作ボタン(図1Aの符号23、操作部)あるいは操作レバーで吐出する操作装置が装着される。キャップ20は有底筒状で、内周面に雌ねじが形成されている。そして上底20aに外蓋151の嵌合筒部15b1を収容する有底筒状の中央筒部20a1が上向きに突出するように設けられている。中央筒部20a1の上端はバルブ21のハウジング24を保持するバルブ保持部20bである。バルブ保持部20bの上底20b1の中央にステム22を通す孔20cが形成されている。
【0047】
バルブ21は、有底筒状のハウジング24と、その内部に上下移動自在に収容されるステム22と、そのステム22を上向きに付勢するバネ25と、ハウジング24の上端とバルブ保持部20bの上底20b1の間に介在されるステムラバー26とからなる公知の基本構造を有する。さらにこの実施形態では、ハウジング24の下端に下向きに突出する開封部27が設けられており、ハウジング24の下部外周にOリングなどのシール部材28が装着されている。開封部27は被開封部15dを破り易いように小径の棒状である。また、開封部15dを囲むように薄板の三角形状の補強リブが複数枚設けられている。開封部27は、単に下に向かって細くなる円錐ないし円錐台としてもよい。シール部材28は、開封時および開封後に外蓋151の嵌合筒部15b1の内周面とハウジング24の間をシールするものである。
【0048】
開封部27には図3Bに示すように、開封後にハウジング24内と原液通路G内とを連通する連通孔27aおよび縦溝27bが形成されている。連通孔27aおよび縦溝27bは1カ所でよいが、複数設けることもできる。複数設けることにより、1個所が詰まっても他の連通孔27aから原液を吐出させることができる。なお、連通孔27aは開封部27の中心に形成することもできる。
【0049】
開封部27の下端27cには、被開封部15dの上面、すなわち受圧部15d1の上面と接近ないし当接する平坦な端面が形成されている。下端27cを平坦にすることにより、複数回使い回しても下端が潰れにくくなる。下端27cの位置は、図3Aに示すように、キャップ20を外部容器33の雄ねじに1~2回程度螺合させたときに被開封部44と当接する位置である。したがって出荷時にはキャップ20を緩く螺合させて被開封部15dを破断せず、シール状態のまま吐出部材12と二重加圧容器11とを結合させた仮装着とすることができる。
【0050】
流通、販売時に、図3Aに示すようにキャップ20を外部容器13に取り付けて、緩く螺合して仮に結合しておくと、購入した消費者は容易に開封操作をすることができる。なお図1Bのように、吐出製品11aと吐出部材12を組み立てずにセットとして販売、流通することもある。
【0051】
使用者がキャップ20を回転させると、キャップ20全体およびバルブ21が下降し、図3Bに示すように、開封部27の下端27cが被開封部15dを押し込み、弱め線15fで破断して開封する。しかし補強部15gでは破れないので被開封部15dが脱落せず、底板15cからぶら下がった状態となって残る。そのため、開封した穴などが被開封部15dによって詰まりにくい。補強部15gを設けることに代えて、弱め線15fを1カ所だけ形成しないか、あるいはV溝を浅くしておいてもよい。原液通路を介してハウジング24内と原液収容室Scとを連通する(図3B参照)。
【0052】
被開封部15dが破られたとき、被開封部15dの内周と開封部27の外周の隙間から原液Cが漏れる場合がある。しかし嵌合筒部15b1とハウジング24の間はシール部材28でシールされているので、原液Cは嵌合筒部15b1内に留まり、外部に漏れることがない。また、内圧がハウジング24を押し上げるように作用するが、キャップ20と外部容器13とが螺合しているので、吐出部材12の飛び出しが抑制される。
【0053】
原液収容室内Scの原液Cは内部容器14を介して加圧剤Pによって加圧されているので、使用者がステム22に取り付けた操作ボタン23を押すと、ステム22が下降してステムラバー26が撓み、ステム孔が開き、原液収容室内Scの原液Cが内部容器14の首部14dの縦溝14i、縦通路G1、横通路G2、開封部27、ハウジング24、ステム22および操作ボタン23を経由して外部に吐出される。押すのをやめるとステム22が上昇し、吐出が停止する。加圧剤Pを充填している加圧剤収容室Spは内蓋152によって閉じられ、外部や原液収容室Scと連通していないので、加圧剤Pは外部に漏れない。
【0054】
原液Cが少なってくると、内部容器14が拡がって原液収容室Scが収縮していく。そして吐出するたびに元の形状に近づくように拡がり、全量吐出した後は、内部容器14は皺や捻じれなどがなくなり、外部容器13の内面にほぼ密着する。そのとき、外観は原液Cから透明に変化するため、吐出部材12を取り外す時期がわかりやすい。この状態でキャップ20を外部容器13から取り外す。二重加圧容器11は、加圧剤Pとして圧縮ガスを使用しているため、原液Cがなくなると圧力は0.01~0.2MPa(ゲージ圧)程度に低くなるが、内部容器14内の加圧剤Pを放出するために、内蓋152にガス抜き用の被開封部を設けることが好ましい。これにより、外部容器13内の加圧剤Pを安全に放出することができ、外部容器13を押しつぶして減容し、廃棄することができる。なお、取り外した吐出部材12は新しい吐出製品11aに装着して再利用する。
【0055】
図4Aに示す吐出装置10Aは、前述の吐出装置10とほぼ同様であり、二重加圧容器11と、その二重加圧容器11に着脱自在に装着される吐出部材12とからなる。二重加圧容器11は、図2Aの二重加圧容器11と同様に、外部容器13と、その内部に収容される内部容器14と、外部容器13を閉じる外蓋151と、内部容器14を閉じる内蓋152とからなる。前記外部容器13の首部13dは短く、雄ねじ(図3Aの13e)を設けていない。首部13dの上端に溶着した外蓋151の嵌合筒部15b1の外周に雄ねじ15b2を形成すると共に、吐出部材12のキャップ20に前記雄ねじ15b2と螺合する雌ねじを設けている。
【0056】
キャップ20は図3Aのキャップ20と同様であり、有底筒状で内周面に雌ねじが形成されている。ただし外部容器13の外周および上底20aを囲む部分を省略し、中央筒部20a1に相当する部分のみから構成されている。他の点、たとえばバルブ保持部20b、その上底20b1に形成されるステム22を通す孔20cは、図3Aのキャップと同様である。
【0057】
図4Aの吐出装置10Aにおいても、図3Aの吐出装置10と同様に、外蓋151の嵌合筒部15b1の底部15cに弱め線15fで囲まれた被開封部15d、その上面の受圧部15d1、弱め線15fを横切る補強部15gを設けている。なお、受圧部15d1、補強部15gは設けなくてもよい。内蓋152は、図3Aの内蓋152とほぼ同様であるが、閉鎖部152bの中央に開封後の被開封部15dが入る凹所152dが設けられている。
【0058】
上記のように構成される吐出装置10Aの使用方法は、基本的に図3Aの吐出装置10と同様である。すなわち、まず図4Aに示す仮装着の状態からキャップ20を回転してバルブ21の開封部27を下降させる。それにより吐出部材12が本来の装着位置まで下降する。ついで図4Bに示すように、開封部27が被開封部15dを押し下げて弱め線15fを破断し、原液通路Gと嵌合筒部15b1の内部とを連通する。被開封部15dは補強部15gを残して周囲が破断される。このとき内蓋152の凹所152dがあるので、横通路G2が詰まりにくい。開封後はバルブ21のハウジング24の内部と原液収容室Scとが連通し、使用可能な状態になる。したがって操作部材(図1の符号23)を介してバルブ21のステム22を押し下げると原液Cが吐出され、押し下げ力を緩めると吐出が停止する。
【0059】
ほとんどの原液Cが吐出されると、内部容器14が外部容器13の内面と密着する。この状態でキャップ20を回転させて開封部27をさらに下降させると、図4Cに示すように、開封部27が直接あるいは破断された被開封部15dを介して、内蓋152の凹所152dの底板152eを破断し、内部容器152を開封する。それにより、バルブ21の操作によって内部容器152内の加圧剤Pが外部に排出することができる。したがって使用後の二重加圧容器11を安全に廃棄することができる。
【0060】
前記凹所152dの底板152eの周囲には、外蓋151の被開封部15dと同様の弱め線や受圧部を設けてもよく、それにより加圧剤Pを排出する開口の形成が確実になる。また、凹所152dを設けずに平坦にしてもよい。その場合は弱め線や受圧部を設けるのが好ましく、加圧剤Pを収容する内部容器14の開封が容易になる。
【0061】
図5Aに示す吐出装置10Bは、図1A図3Bの吐出装置10とほぼ同様であり、二重加圧容器11と、その二重加圧容器11に充填されている原液Cおよび加圧剤Pと、二重加圧容器11に着脱自在に装着される吐出部材12とからなる。二重加圧容器11は、外部容器13と、その内部に収容される内部容器14と、外部容器13を閉じる外蓋151と、内部容器14を閉じる内蓋152とからなる。図5Aの吐出装置10Bでは、外蓋151の嵌合筒部15b1が環状円板部15bから上向きに突出せず、下側に突出している。ただし上下両方向に突出していてもよい。嵌合筒部15b1の底板15cに被開封部15dが設けられていること、被開封部15dが弱め線15fで周囲と区切られていること、環状円板部15bの外周縁から下向きに外筒部15aが延びていることは、図2Bの外蓋151と同様である。
【0062】
そして図5Aの吐出装置10Bでは、前述と同様に内部容器14の首部14dに内蓋152の嵌合部152aが嵌合しているが、嵌合部152aの下端は閉鎖部152bによって閉じられ、上端は開口している。そのため、内蓋152は全体として、有底筒状ないしカップ状を呈している。それにより外蓋151の嵌合筒部15b1を嵌合部152aの内部に収容することができる。嵌合筒部15b1の外周面と嵌合部152aの内周面の間には原液通路となる隙間が設けられており、嵌合筒部15b1の下端と閉鎖部152bの間にも、原液通路となる隙間が設けられている。
【0063】
嵌合部152aの上端外周には、図2Aと同様、内部容器14の首部14dの上端14eに係合および溶着されるフランジ152cが設けられている。外蓋151の外筒部15aは外部容器13の首部13dの上端13eに溶着などで固定される。内蓋152の周囲や内蓋152を内部容器14の上端に固定する方法、外蓋151を外部容器13に固定する方法についても、図2A図2Bに示す超音波溶着など、前述と同様の方法で行うことができ、二重加圧容器11や吐出製品11aを製造することができる。吐出製品を製造するには、まず内部容器14内の加圧剤収容室Spに加圧剤Pをアンダーカップ充填して内蓋152を内部容器14に溶着などで密封固定し、ついで原液収容室Scを押し広げながら原液Cを充填し、外蓋151を外部容器13に溶着などで密封固定する。これらは図3Aの吐出製品の製造方法と同様である。
【0064】
図5A図5Bに示す吐出部材15Bは、キャップ20の上板20aから上向きにバルブ保持部20bが突出しているが、図3Aのような中央筒部20a1は設けていない。バルブ保持部20bはバルブ21のハウジング24の上端を把持しており、ハウジング24は上板20aから下方に突出している。このハウジング24は、吐出部材12を吐出製品11aに装着するとき、嵌合筒部15b1内に挿入される。ハウジング24の周囲には、嵌合筒部15b1の内面との間をシールするためのシール部材28が設けられている。ハウジング24の下端には、外蓋151の被開封部15dを破って原液収容部Scを開封する開封部27が設けられている点、キャップ20の内周に外部容器13の雄ねじ13eと螺合する雌ねじが形成されている点についても、図3A図3Bの吐出装置と同様であるので、対応する部位に同一の符号を付して説明を省略する。
【0065】
図5A図5Bの吐出装置10Bを使用する方法は図3Aの吐出装置10と同様であり、図5Aの仮装着状態の吐出装置10Bのキャップ20を回転させてバルブ21を下降させ、ハウジング24の下端の開封部27で外蓋151の被開封部15dを押圧し、その周囲の弱め線15fを破断する。それにより底部15cに被開封部15dが抜けた穴が開き、外部容器13と内部容器14の間の原液収容室Scとハウジング24内部とが連通する。原液収容室Scは内部容器14を介して加圧剤Pによって加圧されているので、ステム22の操作によって原液Cを吐出することができる。原液Cを使い切った後は、吐出部材12を取り外し、新たな吐出製品に付け替える。図5A図5Bの吐出装置10Bにおいても、吐出部材12の再利用による環境保護、保管時や輸送時の安全性の向上など、図3A、3Bの吐出装置10と同様の利点が達成される。
【0066】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、発明の範囲内で種々の変形を行うことができる。前記実施形態では、蓋体(下蓋と上蓋)は内部容器と外部容器の両方に溶着しているが、いずれか一方に固着し、他方とは単にOリングなどで封止(シール)するだけでもよい。外部容器と外蓋をOリングでシールし、外蓋を内蓋に溶着してもよい。前記実施形態では、内部容器と外部容器を同時にブロー成形して製造するとしているが、別々に製造し、その後、内部容器を外部容器の内部に収容するようにしてもよく、成形した外部容器の中で、内部容器をブロー成形してもよい。図3Aなどのシールポイントを確実にできる環状突起13g、14gは、図1A図4A図5Aの外部容器13、内部容器14、蓋体15に設けることもできる。
【符号の説明】
【0067】
10、10A、10B 吐出装置
11 二重加圧容器
11a 吐出製品
12 吐出部材
C 原液
P 加圧剤
Sc 原液収容室
Sp 加圧剤収容室
13 外部容器
13a 底部
13a1 突出部
13b 胴部
13c 肩部
13d 首部
13e 雄ねじ
13f 上端面
13f1 傾斜部
13g 環状突起
14 内部容器
14a 底部
14a1 突出部
14b 胴部
14c 肩部
14d 首部
14e 上端面
14g 環状突起
14i 縦溝
15 蓋体
151 外蓋
152 内蓋
152a 嵌合部
152b 閉鎖部
152c フランジ
152d 凹所
152e 凹所の底板
G 原液通路
G1 縦通路
G2 横通路
15a 外筒部
15b 環状円板部
15b1 嵌合筒部
15b2 雄ねじ
15c 底板
15d 被開封部
15d1 受圧部
15f 弱め線
15g 補強部
20 キャップ
20a 上底
20a1 中央筒部
20b バルブ保持部
20b1 上底
20c ステムを通す孔
21 バルブ
22 ステム
23 操作ボタン
24 ハウジング
25 バネ
26 ステムラバー
27 開封部
27a 連通孔
27b 縦溝
27c 下端
28 シール部材
30 サポート部
31 支持板
図1
図2
図3
図4
図5