(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-18
(45)【発行日】2023-05-26
(54)【発明の名称】地盤注入用薬液組成物
(51)【国際特許分類】
C09K 17/30 20060101AFI20230519BHJP
C09K 17/12 20060101ALI20230519BHJP
C09K 17/48 20060101ALI20230519BHJP
C09K 17/46 20060101ALI20230519BHJP
E02D 3/12 20060101ALI20230519BHJP
C09K 103/00 20060101ALN20230519BHJP
【FI】
C09K17/30 P
C09K17/12 P
C09K17/48 P
C09K17/46 P
E02D3/12 101
C09K103:00
(21)【出願番号】P 2019198411
(22)【出願日】2019-10-31
【審査請求日】2022-08-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000117102
【氏名又は名称】旭有機材株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078190
【氏名又は名称】中島 三千雄
(74)【代理人】
【識別番号】100115174
【氏名又は名称】中島 正博
(72)【発明者】
【氏名】本村 勇太
(72)【発明者】
【氏名】▲柳▼ 智裕
【審査官】中野 孝一
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-132633(JP,A)
【文献】特開2001-011444(JP,A)
【文献】特開平11-256162(JP,A)
【文献】特開2001-031970(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0093566(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09K17/00-17/52
E02D3/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケイ酸塩水溶液と活性水素基含有化合物と触媒とを必須の成分として含有するA液と、ポリイソシアネートを必須の成分として含有するB液とからなる地盤注入用薬液組成物において、
前記ポリイソシアネートとして、脂肪族ポリイソシアネートプレポリマーが、前記B液に含有せしめられると共に、前記活性水素基含有化合物として、少なくとも、1級及び/又は2級アミノ基含有化合物を、前記A液に含有せしめてなることを特徴とする地盤注入用薬液組成物。
【請求項2】
前記1級及び/又は2級アミノ基含有化合物が、1分子内に2つ以上の1級及び/又は2級アミノ基を有するポリアミン化合物であることを特徴とする請求項1に記載の地盤注入用薬液組成物。
【請求項3】
前記ポリアミン化合物が、芳香環を有していることを特徴とする請求項2に記載の地盤注入用薬液組成物。
【請求項4】
前記1級及び/又は2級アミノ基含有化合物が、前記脂肪族ポリイソシアネートプレポリマーの100質量部に対して0.5~50質量部の割合において、含有せしめられていることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の地盤注入用薬液組成物。
【請求項5】
前記触媒が、3級アミン触媒であることを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載の地盤注入用薬液組成物。
【請求項6】
前記触媒が、前記脂肪族ポリイソシアネートプレポリマーの100質量部に対して0.1~30質量部の割合において、含有せしめられていることを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れか1項に記載の地盤注入用薬液組成物。
【請求項7】
前記脂肪族ポリイソシアネートプレポリマーのモノマー含有率が、5質量%未満であることを特徴とする請求項1乃至請求項6の何れか1項に記載の地盤注入用薬液組成物。
【請求項8】
前記脂肪族ポリイソシアネートプレポリマーが、ペンタメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、オクタメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、及びビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンからなる群より選ばれた脂肪族ポリイソシアネート化合物より誘導されたアダクト体、ビウレット体、アロファネート体及びイソシアヌレート体の何れかであることを特徴とする請求項1乃至請求項7の何れか1項に記載の地盤注入用薬液組成物。
【請求項9】
前記A液及び前記B液が、それぞれ、25℃の温度下において5000mPa・s以下の粘度を有していることを特徴とする請求項1乃至請求項8の何れか1項に記載の地盤注入用薬液組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地盤注入用薬液組成物に係り、特に、脂肪族系ポリイソシアネート化合物のプレポリマーを用いて、高強度の固結体を与え得る、反応活性に優れた、環境汚染の少ないウレタン系地山固結用薬液に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、地山の不安定な岩盤や地盤の安定強化のための地盤改良用途や、人工構造物のクラックや空隙を充填する空洞充填用途において採用される方策の一つとして、無機乃至有機系グラウトを注入して、地山等を固結せしめる方法が知られており、例えば、特開平4-283290号公報においては、そのようなグラウトの一つとして、ケイ酸ソーダ水溶液(A)と、ポリイソシアネート及び、ポリイソシアネートとは反応しないが、ケイ酸ソーダ水溶液で加水分解されて、ケイ酸ソーダ水溶液及び/又はポリイソシアネートと反応する反応性希釈剤からなるポリイソシアネート組成物(B)とからなる注入薬液組成物が、知られている。また、特開平5-78667号公報においては、岩盤固結用薬液として、水及びケイ酸のアルカリ金属塩を主成分とするA液と、イソシアネートプレポリマーを主成分とするB液とを組み合わせてなる二液発泡ウレタン樹脂が明らかにされ、更に、特開2016-175982号公報においては、水ガラスとポリオールとを配合し、更に水を加えて調製されるA液と、ポリイソシアネートを必須成分とするB液とからなる二液型の地山固結用薬液において、かかるA液中の水含有量を規制し、また、水とポリオールとが所定割合となるように調製すると共に、分散剤を更に添加してなる構成のものが、提案されている。
【0003】
そして、それら固結用薬液におけるB液の主成分であるポリイソシアネートとしては、分子中に2個以上のイソシアネート基を有する各種の有機系イソシアネート化合物やその変性体(プレポリマー)が使用され得るとされているのであるが、反応活性や得られる固結体の強度等の観点から、実用的には、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート(クルードMDI)、ポリメリックMDI、トリレンジイソシアネート(TDI)等の芳香族系のポリイソシアネート化合物が用いられているのである。けだし、ヘキサメチレンジイソシアネートやイソホロンジイソシアネート等の脂肪族系のポリイソシアネート化合物をポリイソシアネート成分として用いて構成したB液を、前述の如きA液と組み合わせて、固結用薬液を構成した場合にあっては、それらA液とB液との反応が遅く、そのために、大量の漏水や湧水を止水する際に、注入した薬液の一部が漏水や湧水と共に流出することで、水の白濁や泡立ち等の問題が惹起されて、環境に悪影響をもたらすようになることに加えて、A液とB液の反応によって形成される固結体の強度も充分ではなく、そのために、地山の安定強化や空洞充填の目的に充分に応え得るものではなかったのである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平4-283290号公報
【文献】特開平5-78667号公報
【文献】特開2016-175982号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述の如き事情を背景にして、本発明者らが、ポリイソシアネートとして脂肪族イソシアネート化合物を用いてなる固結用薬液について種々検討した結果、かかる脂肪族イソシアネート化合物を変性して、プレポリマーとして用いると共に、A液における活性水素基含有化合物として、少なくとも1級及び/又は2級アミノ基含有化合物を用いることによって、上述の如き脂肪族イソシアネート化合物を用いた際における問題が、悉く解消され得ることを見出し、本発明を完成するに至ったのである。
【0006】
従って、本発明の解決課題とするところは、反応活性に優れ、環境汚染の少ないウレタン系の地盤注入用薬液組成物を提供することにあり、また他の課題とするところは、高強度の固結体を形成し得る、漏水や湧水等の水に接触した際の白濁化や泡立ちの如き問題を惹起することのない、ウレタン系地山固結用薬液を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そして、本発明は、上記した課題を解決するために、以下に列挙せる如き各種の態様において、好適に実施され得るものであるが、また、以下に記載の各態様は、任意の組合せにおいて、採用可能である。なお、本発明の態様乃至は技術的特徴は、以下に記載のものに何等限定されることなく、明細書全体の記載から把握される発明思想に基づいて理解されるものであることが、考慮されるべきである。
【0008】
先ず、本発明の第一の態様は、ケイ酸塩水溶液と活性水素基含有化合物と触媒とを必須の成分として含有するA液と、ポリイソシアネートを必須の成分として含有するB液とからなる地盤注入用薬液組成物において、前記ポリイソシアネートとして、脂肪族ポリイソシアネートプレポリマーが、前記B液に含有せしめられると共に、前記活性水素基含有化合物として、少なくとも、1級及び/又は2級アミノ基含有化合物を、前記A液に含有せしめてなることを特徴とする地盤注入用薬液組成物にある。
【0009】
また、本発明の第二の態様は、前記1級及び/又は2級アミノ基含有化合物として、1分子内に2つ以上の1級及び/又は2級アミノ基を有するポリアミン化合物を用いることにある。
【0010】
さらに、本発明に従う第三の態様は、前記ポリアミン化合物が、芳香環を有していることにある。
【0011】
加えて、本発明の第四の態様は、前記1級及び/又は2級アミノ基含有化合物が、前記脂肪族ポリイソシアネートプレポリマーの100質量部に対して0.5~50質量部の割合において、含有せしめられていることにある。
【0012】
そして、本発明に従う第五の態様は、前記触媒として、3級アミン触媒が用いられるようにすることにある。
【0013】
また、本発明の第六の態様は、前記触媒が、前記脂肪族ポリイソシアネートプレポリマーの100質量部に対して0.1~30質量部の割合において含有せしめられていることにある。
【0014】
さらに、本発明の第七の態様は、前記脂肪族ポリイソシアネートプレポリマーのモノマー含有率が、5質量%未満であるように構成されている。
【0015】
加えて、本発明に従う第八の態様は、前記脂肪族ポリイソシアネートプレポリマーが、ペンタメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、オクタメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、及びビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンからなる群より選ばれたポリイソシアネート化合物より誘導されたアダクト体、ビウレット体、アロファネート体及びイソシアヌレート体の何れかであることである。
【0016】
更にまた、本発明の第九の態様は、前記A液及び前記B液が、それぞれ、25℃の温度下において5000mPa・s以下の粘度を有していることにある。
【発明の効果】
【0017】
そして、このような本発明に従う地盤注入用薬液組成物の構成によれば、以下に列挙せる如き各種の効果が奏され得ることとなるのである。
(1)反応活性に優れ、環境汚染の少ないウレタン系地山固結用薬液が提供され、そのような薬液の使用によって、高強度な固結体が有利に形成され得ることとなる。
(2)薬液の注入後、直ちに、硬化反応が進行するようになるところから、環境への薬液の流出を抑えて、漏水や湧水の白濁や泡立ちを有利に低減することが出来る。
(3)薬液は、ケイ酸塩を含むものであるところから、難燃性に優れ、施工時の安全性に優れていると共に、生じた固結体の難燃性も高いものとなる。
(4)B液の必須成分であるポリイソシアネートとして、脂肪族ポリイソシアネートプレポリマーを使用することにより、強固な固結体を形成することが出来ると共に、注入現場における作業環境の汚染も、効果的に抑制乃至は回避することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
要するに、本発明は、A液とB液とからなる二液型のウレタン系薬液組成物において、かかるA液の必須の成分たる、ケイ酸塩水溶液や触媒と共に、活性水素基含有化合物として、1級及び/又は2級アミノ基含有化合物を、少なくとも含有せしめる一方、B液における必須の成分であるポリイソシアネートとして、脂肪族ポリイソシアネートプレポリマーを含有せしめるようにしたことにより、脂肪族系のポリイソシアネート化合物であっても、優れた反応活性が効果的に実現され得ると共に、高強度な固結体が有利に形成され得ることとなったのであり、以て、所期の目的を有利に達成し得たところに、大きな特徴を有しているのである。
【0019】
そして、そのような本発明に従う薬液組成物を構成する二液のうちの一つであるA液において、その必須の成分の一つとして含有せしめられるケイ酸塩水溶液は、可溶性のケイ酸化合物の水溶液であって、所謂水ガラスとも、称されるものである。ここで、かかるケイ酸化合物としては、例えば、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、メタケイ酸ナトリウム、メタケイ酸カリウム、ケイ酸リチウム、ケイ酸アンモニウム等を挙げることが出来るが、その中でも、本発明にあっては、入手が容易で、安価なケイ酸ナトリウム(ケイ酸ソーダ)が、好適に用いられることとなる。そして、ケイ酸ナトリウムを用いる場合においては、SiO2/Na2Oのモル比は、2.0~4.0の範囲内であることが望ましい。このモル比が2.0よりも小さくなると、活性水素基含有化合物や反応触媒等の添加剤との相溶性が悪化し、ゲル状物の生成等が惹起され易くなるところから、長期保存が困難となるのである。また、モル比が4.0よりも大きくなると、液の分散安定性も低下し、更に凝固点が高くなって、冬季に使用出来なくなる等の問題を惹起する恐れがある。
【0020】
ところで、上述の如きケイ酸ナトリウム水溶液である水ガラスとしては、各種のものが市販されており、本発明にあっては、そのような市販品を適宜に選択して用いることが出来る。なお、ケイ酸ナトリウムの水溶液に関しては、JIS規格(JIS K 1408)にて規定され、1号、2号、3号等として知られているところであるが、また、このJIS規格に準拠して配合されたものであれば、4号や5号等や、1.5号や2.5号等の配合のものであっても、それらを用いることが可能である。更に、そのような水溶液の形態にある水ガラス中における固形成分の割合は、JIS規格の各号や、水ガラスの種類等に応じて種々異なるものとなるが、A液の安定性や固結特性等の観点から、一般に、20~60質量%程度とされ、好ましくは30~50質量%の割合の固形成分を含有する水ガラスが、有利に用いられることとなる。
【0021】
また、A液を構成する必須成分の他の一つとして、活性水素基含有化合物が、更に用いられることとなるが、本発明にあっては、そのような活性水素基含有化合物のうちの少なくとも1つとして、1級及び/又は2級のアミノ基を有するアミン化合物である、1級及び/又は2級アミノ基含有化合物が、用いられることとなる。ここで、1級及び/又は2級アミノ基含有化合物としては、1級及び/又は2級アミノ基を含有する化合物であれば、特に限定されるものではなく、例えば、脂肪族アミン化合物、脂肪族ポリアミン化合物、芳香族アミン化合物、芳香族ポリアミン化合物、アミノ酸、アルカノールアミン等を挙げることが出来る。
【0022】
具体的には、脂肪族アミン化合物としては、ブチルアミン、オクチルアミン、ドデシルアミン等の直鎖状アミノ基含有化合物や、シクロヘキシルアミン等の脂環式アミノ基含有化合物、ピペリジン等の環状アミノ基含有化合物を挙げることが出来、また、脂肪族ポリアミンとしては、ブタンジアミン、へキサンジアミン、オクタンジアミン、ポリエーテルアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン等の直鎖状アミノ基含有化合物や、シクロヘキサンジアミン、ノルボルネンジアミン等の脂環式アミノ基含有化合物、ピペラジン等の環状アミノ基含有化合物、キシリレンジアミン等の芳香環を有する脂肪族アミノ基含有化合物を挙げることが出来る。芳香族アミン化合物としては、アニリン、トルイジン、アニシジン、メチルアニリン等のアミノ基含有化合物を挙げることが出来る。また、芳香族ポリアミン化合物としては、トルエンジアミン、メチレンジアニリン、ジアミノジフェニルエーテル、トリメチルフェニレンジアミン、ジエチルトルエンジアミン、ジメチルチオトルエンジアミン、N,N’-ビス(sec-ブチルアミノ)ジフェニルメタン、アミノベンジルアミン、メチレンビス(エチルメチルアニリン)等のアミノ基含有化合物を挙げることが出来る。更に、アミノ酸としては、リシン、バリン、アスパラギン等の分子内にカルボキシル基とアミノ基を含有する化合物を挙げることが出来、加えて、アルカノールアミン化合物としては、エタノールアミン、ヘキサノールアミン、ジエタノールアミン等の、分子内にアミノ基とヒドロキシル基を有する化合物を挙げることが出来る。そして、これら1級及び/又は2級のアミノ基を有するアミン化合物は、単独で用いられる他、2種類以上を組み合わせて用いることも出来る。
【0023】
また、本発明にあっては、上述の如き1級及び/又は2級アミノ基含有化合物は、架橋剤としての機能を有効に発揮せしめる上において、1分子内に2つ以上の1級及び/又は2級アミノ基を有するポリアミン化合物であることが望ましく、特に、その反応性と難燃性等の特性を向上せしめる上において、芳香環を有するアミン化合物であることが好ましく、より望ましくは、芳香族ポリアミン化合物であり、中でも、芳香環に結合しているアミノ基の隣の位置の少なくとも一方が、アルキル基で置換されてなる構造の芳香族ポリアミン化合物が、特に好ましく用いられることとなる。
【0024】
さらに、かくの如き1級及び/又は2級アミノ基含有化合物は、一般に、B液中の脂肪族ポリイソシアネートプレポリマーの100質量部に対して0.5~50質量部の割合となるように、A液中に含有せしめられることが好ましく、より好ましくは0.8~40質量部、更に望ましくは1~30質量部の割合となるように含有せしめられることとなる。なお、その含有量が、0.5質量部よりも少なくなると、1級及び/又は2級アミノ基含有化合物におけるアミノ基と、脂肪族ポリイソシアネートプレポリマーにおけるイソシアネート基との反応が不充分となり、得られる固結体の強度が不充分となったり、かかる反応が充分に進行しないことによって、漏液や流水中に薬液が流出したりする等の問題が惹起されるようになる。また、その含有量が50質量部を超えるようになると、脂肪族ポリイソシアネートプレポリマーに対して過剰となり、環境中への流出が惹起される恐れがあると共に、1級及び/又は2級アミノ基含有化合物自体が高価であるために、経済性に劣る問題を惹起する。
【0025】
なお、活性水素基含有化合物としては、上述の如きアミン化合物に加えて、更に、公知の各種の活性水素基含有化合物を用いることが出来、中でも、ポリイソシアネート成分と反応し得る、公知の各種のポリオールが、好適に用いられることとなる。
【0026】
そして、そのようなポリオールとしては、特に限定されるものではなく、従来から地山固結用薬液におけるポリオール成分として用いられているものが、同様に使用され得るところであり、例えば、公知のポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール等を挙げることが出来る。それらのポリオールは、単独で使用することが出来る他、適宜に組み合わせて併用することも可能である。なお、このポリエーテルポリオールとしては、特に限定されるものではないが、例えば、少なくとも2個以上の活性水素基を有する、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の多価アルコール類;エチレンジアミン等のアミン類;エタノールアミン、ジエタノールアミン等のアルカノールアミン類等の化合物を出発原料として、これとエチレンオキサイドやプロピレンオキサイド等のアルキレンオキサイドとの付加反応により製造されたもの等を用いることが出来る。また、ポリエステルポリオールにあっても、特に限定されるものではないが、例えば、多価アルコールと、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、マレイン酸、フタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、ダイマー酸等のポリカルボン酸とを反応させて得られるポリカルボン酸系ポリエステルポリオール、ラクトン等を開環重合させて得られるラクトン系ポリエステルポリオール、ひまし油系ポリエステルポリオール等を挙げることが出来る。
【0027】
加えて、本発明に従うA液には、公知の各種の触媒、即ち、反応触媒が必須の成分として含有せしめられるのであるが、本発明にあっては、特に、3級アミン触媒が有利に用いられることとなる。
【0028】
ここで、3級アミン触媒としては、水との接触により発泡が意図される場合において、ポリイソシアネートと水との反応を促進する作用を有する泡化触媒、ポリイソシアネートとポリオールとの反応を促進する作用を有する樹脂化触媒、更には、ポリイソシアネートの三量化を促進する作用を有するイソシアヌレート化触媒等があり、それらは、何れも、公知のものの中から、適宜に選択されることとなる。
【0029】
具体的には、泡化触媒としては、N,N,N’,N”,N”-ペンタメチルジエチレントリアミン、N,N,N’-トリエチルアミノエチルエタノールアミン、ビス(ジメチルアミノエチル)エーテル、N,N,N’-トリメチルアミノエチルピペラジン、N,N-ジメチルアミノエトキシエタノール、トリエチルアミン等を挙げることが出来る。また、樹脂化触媒には、N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’-テトラメチルプロパンジアミン、N,N,N’,N’-テトラメチルヘキサンジアミン、トリエチレンジアミン、33%トリエチレンジアミン・67%ジプロピレングリコール、N,N-ジメチルアミノヘキサノール、N,N-ジメチルアミノエタノール、N-メチル-N’-ヒドロキシエチルピペラジン、N-メチルモルフォリン、1-メチルイミダゾール、1,2-ジメチルイミダゾール等が挙げられる。更に、イソシアヌレート化触媒としては、2,4,6-トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、N,N’,N”-トリス(ジメチルアミノプロピル)-ヘキサヒドロ-s-トリアジン等が挙げられる。これらの触媒は、単独で使用しても、又は2種以上を併用しても、何等差し支えない。更に、これらの中でも、泡化触媒又は樹脂化触媒が好適に用いられる。
【0030】
また、A液に含有せしめられる触媒としては、上記した3級アミン触媒に加えて、更に金属触媒や第四アンモニウム塩等を用いることも可能である。そこにおいて、金属触媒としては、公知のものを特に制限なく用いることが出来、例えば、ナトリウム、カリウム、カルシウム、錫、鉛、ビスマス、亜鉛、鉄、ニッケル、ジルコニウム、コバルト等の有機酸金属塩や有機金属錯体を用いることが出来る。そして、その中で、有機酸金属塩としては、酢酸、オクチル酸、ネオデカン酸、ナフテン酸、ロジン酸等と上記金属との塩が挙げられ、また有機金属錯体としては、アセチルアセトン等と上記金属との錯体が挙げられる。具体的には、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、オクチル酸カリウム、オクチル酸ビスマス、オクチル酸鉛、オクチル酸鉄、オクチル酸錫、オクチル酸カルシウム、オクチル酸亜鉛、オクチル酸ジルコニウム、ネオデカン酸ビスマス、ネオデカン酸亜鉛、ネオデカン酸鉛、ネオデカン酸コバルト、ジブチル錫ジオクテート、ジブチル錫ジラウリレート;アセチルアセトン鉄、アセチルアセトン亜鉛、アセチルアセトンジルコニウム、アセチルアセトンニッケル、アセチルアセトン錫等を挙げることが出来る。これらの金属塩や金属錯体は、その取扱い性の向上のため、ミネラルスピリット、有機酸、グリコール類、エステル類等の希釈剤に溶解させたものとして、用いてもよい。また、これらの金属触媒は、単体で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。これらの中でも、好ましくは、カリウム、錫、鉛、ビスマス又は亜鉛の酢酸塩、オクチル酸塩、ネオデカン酸塩、ラウリル酸塩や、アセチルアセトン錯体が挙げられ、より好ましくはカリウム、錫、ビスマスを金属として用いた触媒が、好適に用いられることとなる。
【0031】
また、第四アンモニウム塩としては、テトラメチルアンモニウム、メチルトリエチルアンモニウム、エチルトリメチルアンモニウム、プロピルトリメチルアンモニウム、ブチルトリメチルアンモニウム、ペンチルトリメチルアンモニウム、ヘキシルトリメチルアンモニウム、ヘプチルトリメチルアンモニウム、オクチルトリメチルアンモニウム、ノニルトリメチルアンモニウム、デシルトリメチルアンモニウム、ウンデシルトリメチルアンモニウム、ドデシルトリメチルアンモニウム、トリデシルトリメチルアンモニウム、テトラデシルトリメチルアンモニウム、ヘプタデシルトリメチルアンモニウム、ヘキサデシルトリメチルアンモニウム、ヘプタデシルトリメチルアンモニウム、オクタデシルトリメチルアンモニウム等の脂肪族アンモニウム化合物、(2-ヒドロキシプロピル)トリメチルアンモニウム、ヒドロキシエチルトリメチルアンモニウム、トリメチルアミノエトキシエタノール等のヒドロキシアンモニウム化合物、1-メチル-1-アザニア-4-アザビシクロ[2,2,2]オクタニウム、1,1-ジメチル-4-メチルピペリジニウム、1-メチルモルホリニウム、1-メチルピペリジニウム等の脂環式アンモニウム化合物等が、挙げられる。これらの中でも、触媒活性に優れ、工業的に入手可能なところから、テトラメチルアンモニウム、メチルトリエチルアンモニウム、エチルトリメチルアンモニウム、ブチルトリメチルアンモニウム、ヘキシルトリメチルアンモニウム、オクチルトリメチルアンモニウム、デシルトリメチルアンモニウム、ドデシルトリメチルアンモニウム、テトラデシルトリメチルアンモニウム、ヘキサデシルトリメチルアンモニウム、オクタデシルトリメチルアンモニウム、(2-ヒドロキシプロピル)トリメチルアンモニウム、ヒドロキシエチルトリメチルアンモニウム、1-メチル-1-アザニア-4-アザビシクロ[2,2,2]オクタニウム、及び1,1-ジメチル-4-メチルピペリジニウムが、好ましく用いられることとなる。
【0032】
なお、かくの如き第四アンモニウム塩を構成する有機酸基又は無機酸基としては、例えば、ギ酸基、酢酸基、オクチル酸基、蓚酸基、マロン酸基、コハク酸基、グルタル酸基、アジピン酸基、安息香酸基、トルイル酸基、エチル安息香酸基、メチル炭酸基、フェノール基、アルキルベンゼンスルホン酸基、トルエンスルホン酸基、ベンゼンスルホン酸基、リン酸エステル基等の有機酸基や、ハロゲン基、水酸基、炭酸水素基、炭酸基等の無機酸基が挙げられる。これらの中でも、触媒活性に優れ且つ工業的に入手可能なことから、ギ酸基、酢酸基、オクチル酸基、メチル炭酸基、ハロゲン基、水酸基、炭酸水素基、炭酸基が好ましい。
【0033】
また、このような第四アンモニウム塩からなる触媒としては、各種のものが市販されており、例えば、U-CAT18X、U-CAT2313(サンアプロ社製)、カオーライザーNo.410、カオーライザーNo.420(花王株式会社製)等を挙げることが出来る。
【0034】
ところで、かくの如きA液に含有せしめられる触媒量としては、一般に、脂肪族ポリイソシアネートプレポリマーの100質量部に対して0.1~30質量部の割合において、好ましくは0.5~20質量部の割合において決定されることとなる。なお、この触媒含有量が0.1質量部よりも少なくなると、反応に対する寄与が低下し、強度発現が遅くなる問題があり、一方30質量部よりも多くなると、反応が速くなり過ぎて、反応速度の制御が困難となる問題が惹起されるようになる。
【0035】
一方、本発明の対象とする地盤注入用薬液組成物を構成する二液のうちの、他の一つであるB液の必須の構成成分であるポリイソシアネートとしては、本発明にあっては、脂肪族ポリイソシアネート化合物そのものを用いるものではなく、かかる脂肪族ポリイソシアネート化合物から誘導される脂肪族ポリイソシアネートプレポリマーが用いられることとなるのである。ここで、脂肪族ポリイソシアネートプレポリマーとしては、特に限定されるものではないが、例えば、ペンタメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、オクタメチレンジイソシアネート、ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、イソホロンジイソシアネート等のポリイソシアネート化合物を、活性水素基含有化合物と反応させて得られるアダクト体、ビウレット体、アロファネート体や、そのようなポリイソシアネート化合物を三量化して得られるイソシアヌレート体等が、好適に用いられることとなる。なお、イソシアヌレート体には、二量体のウレトジオン体が含まれていても、何等差支えない。そして、そのような脂肪族ポリイソシアネートプレポリマーには、固結体の強度や難燃性等の特性を考慮して、イソシアヌレート体が、より好適に用いられることとなる。
【0036】
そして、そのような脂肪族ポリイソシアネートプレポリマーは、B液中に、一般に50~100質量%の割合において、好ましくは70~100質量%、より好ましくは80~100質量%の割合において含有せしめられることとなる。この脂肪族ポリイソシアネートプレポリマーの含有量が50質量%よりも少なくなると、固結体の強度が低下する問題があり、そのために、B液における脂肪族ポリイソシアネートプレポリマーの割合は高い方が望ましく、そのような脂肪族ポリイソシアネートプレポリマーのみにて、B液を構成することも可能である。
【0037】
また、かかる脂肪族ポリイソシアネートプレポリマーは、上述の如き脂肪族ポリイソシアネート化合物を用い、それを変性して得られたものであるところから、その変性物であるプレポリマー中には、原料たる脂肪族ポリイソシアネート化合物がモノマー成分として残留することとなるのであるが、本発明にあっては、そのような残留モノマー成分は、5質量%以下であることが好ましく、特に、1質量%以下となるように、脂肪族ポリイソシアネートプレポリマーが調整されることとなる。なお、かかる残留モノマー成分が多くなると、固結体の強度等の物性の低下を惹起する他、施工時にモノマー成分が揮発して、作業環境を悪化せしめる等の問題が惹起されるようになる。
【0038】
ところで、本発明に従う地山固結用薬液を構成する、上述の如きA液及びB液には、その使用目的に応じて、従来と同様な添加剤を添加せしめることが可能である。例えば、A液に対する添加剤としては、発泡剤、整泡剤、難燃剤、減粘剤等を挙げることが出来る。A液に対する添加剤としては、脂肪族ポリイソシアネートプレポリマーの100質量部に対して0.1~30質量部、好ましくは0.5~20質量部の割合において、用いられることとなる。また、B液に対する添加剤としては、整泡剤、難燃剤、減粘剤等を挙げることが出来、その中で、整泡剤は、脂肪族ポリイソシアネートプレポリマーの100質量部に対して0.05~5質量部、好ましくは0.1~3質量部の割合となるように用いられ、減粘剤は、脂肪族ポリイソシアネートプレポリマーの100質量部に対して0.5~60質量部、好ましくは1~40質量部の割合となるように用いられ、また難燃剤は、脂肪族ポリイソシアネートプレポリマーの100質量部に対して1~50質量部、好ましくは5~40質量部の割合となるように用いられることとなる。
【0039】
それら添加剤の中で、発泡剤としては、水、炭化水素、ハイドロフルオロカーボン、ハイドロフルオロオレフィン、ハイドロクロロフルオロオレフィン等の公知のものを用いることが可能である。この発泡剤は、特に限定されるものではないが、水が好適に用いられる。この水は、A液を構成するケイ酸塩水溶液からも供給されるものであって、B液のポリイソシアネートと反応して、炭酸ガスを発生するものであるところから、発泡剤として機能するものである。
【0040】
また、整泡剤は、A液とB液との反応によって形成されるフォームのセル構造を均一に整えるために用いられるものである。この整泡剤としては、例えばシリコーン、非イオン系界面活性剤、ポリオキシアルキレン変性ジメチルポリシロキサン、ポリシロキサンオキシアルキレン共重合体、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ヒマシ油エチレンオキシド付加物、ラウリル脂肪酸エチレンオキシド付加物等が挙げられ、これらの中でも、シリコーン及び非イオン系界面活性剤が好ましく用いられる。これらは、単独で用いられてもよく、2種以上を併用して、用いられてもよい。また、整泡剤の中では、シリコーン系整泡剤がより好ましく、ポリオキシアルキレン変性ジメチルポリシロキサン、ポリシロキサンオキシアルキレン共重合体等が好ましい。
【0041】
さらに、難燃剤としては、例えば臭素系難燃剤、塩素系難燃剤、リン系難燃剤、ハロゲン化リン酸エステル、無機系難燃剤等が挙げられる。これらは、単独で用いられてもよく、2種以上を併用して用いられてもよい。これらの中でも、環境への負荷が少なく、発泡性組成物の減粘剤としても機能する点で、リン酸エステルおよびハロゲン化リン酸エステルが好ましく用いられる。なお、リン酸エステルとしては、例えば、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリキシレニルホスフェート等が挙げられる。また、ハロゲン化リン酸エステルとしては、例えば、トリス(クロロエチル)ホスフェート、トリス(2クロロプロピル)ホスフェート、トリス(ジクロロプロピル)ホスフェート、テトラキス(2クロロエチル)ジクロロイソペンチルジホスフェート、ポリオキシアルキレンビス(ジクロロアルキル)ホスフェート等が挙げられる。
【0042】
加えて、減粘剤は溶剤として用いられ、A液又はB液に溶解されて、それらの液を減粘する働きを有するものであって、そのような機能を有するものである限りにおいて、特に限定されるものではなく、例えば、メタノール、エタノール等のアルコール類、エチルセルソルブ、ブチルセルソルブ等のエーテル類、プロピレンカーボネート等の環状エステル類、ジカルボン酸メチルエステル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のエステル類、石油系炭化水素類等が挙げられる。これらは、単独で用いられてもよく、2種以上を併用して、用いられてもよい。
【0043】
ところで、本発明に従って調製されるA液及びB液は、それぞれ、25℃の温度下における粘度が5000mPa・s以下、好ましくは20~3000mPa・sとなるように、調整されることとなる。この粘度が5000mPa・sよりも高くなると、A液やB液が粘調な液となり、混合時の流動性が悪くなる他、圧送時の流動性も悪くなり、注入圧の上昇を引き起こす恐れがある等の問題を惹起するようになる。なお、そのような粘度が20mPa・sよりも低くなると、水に希釈され易くなり、排水の白濁等の問題が惹起され易くなる。また、それらA液やB液は、そのポンプ圧送時において、粘度を低減させるべく、ヒーターを用いて温度調整されてもよく、外気温に応じて0~50℃に加温されるようにすることも、可能である。
【0044】
また、かくの如きA液とB液とから構成される本発明に従う地盤注入用薬液組成物の使用に際しては、それら両液が、使用時に混合されて、目的とする地盤、岩盤等に対して、公知の手法に従って注入され、反応硬化せしめられることにより、高強度の固結体が形成されることとなるのである。なお、かかるA液とB液との混合比(A:B)は、A液中の水酸基含有量とB液中のNCO基含有量によって適宜に変化せしめられることとなるが、一般に、質量基準にて、A:B=2:1~1:3、好ましくは、1:1~1:2の範囲内において、採用されることとなる。また、それらA液やB液の使用方法についても、それらの使用の直前に、二液の混合が確実に行なわれ得る手法であれば、特に制限はなく、従来から公知の各種の注入手法が、適宜に採用されることとなる。
【0045】
さらに、A液とB液とを混合したときの反応時間(混合から硬化するまでの時間)は、300秒以内であることが好ましく、より好ましくは20~240秒である。この反応時間が300秒よりも長くなると、地山に注入後、固結するまでに、薬液が湧水中に流出して、水の白濁や泡立ちを惹起する等の問題が生じるようになる。なお、反応時間が余りにも短く、例えば、20秒よりも短くなると、反応が進み過ぎて、薬液の注入管を閉塞させる問題や、充分に地山に浸透させ難くなる等の問題が惹起されるようになる。
【実施例】
【0046】
以下に、本発明の実施例や比較例を幾つか示し、本発明を更に具体的に明らかにすることとするが、本発明が、そのような実施例の記載によって、何等の制約をも受けるものでないことは、言うまでもないところである。また、本発明には、以下の実施例の他にも、更には上記した具体的記述以外にも、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づいて、種々なる変更、修正、改良等を加え得るものであることが、理解されるべきである。
【0047】
なお、以下の実施例及び比較例において得られたA液とB液の特性(粘度)と共に、それらA液とB液とを混合して反応硬化せしめたときの反応生成物の発泡倍率とその反応時間、反応生成物の燃焼性、反応生成物の圧縮強度、水中で反応・発泡せしめた後の水の白濁度合い、更には水中での反応・発泡後に得られた排液の泡立ち具合については、それぞれ、以下の手法に従って、測定乃至は評価した。また、以下に示す「%」及び「部」は、何れも、質量基準である。
【0048】
(1)粘度の測定
実施例及び比較例において得られたA液及びB液の粘度を、それぞれ、JIS-K-7117-1に準拠して、B型粘度測定装置を用いて、測定した。
【0049】
(2)発泡倍率の測定
20℃の温度に調整されたA液とB液とを、下記表1~表4に示される所定の混合比において、全量が100mlとなるようにそれぞれ計量して、それらを、2Lのディスカップに収容し、充分に混合撹拌して、硬化せしめた。そして、硬化反応終了後の反応生成物の発泡高さを測定し、発泡倍率を求めた。
【0050】
(3)反応時間の測定
20℃の温度に調整されたA液とB液とを、表1~表4に示される混合比で混合して、反応を開始させた後、その形成される反応生成物からガスが発生し、発泡高さが変化しなくなるまでの時間、又は反応生成物に串を刺して、内部まで刺さらなくなるまでの時間を測定し、その何れか遅い方を、反応時間とした。
【0051】
(4)水中発泡下での白濁試験
20℃の温度に調整されたA液とB液とを、表1~表4に示される混合比で、全量が100mlとなるよう計量して、混合した。次いで、その混合の後、直ちに、2Lのディスカップに収容された20℃の水1L中に、それらA液及びB液の混合物を投入し、反応が収まるまで静置した。そして、かかる反応が終了した後、目視にて水の様子を観察し、反応が収まった直後において白濁が認められない場合を◎、反応が収まって5分以内に白濁が認められなくなった場合を○、反応が収まって5分以上経過後においても白濁が認められる場合を×として、それぞれ評価した。
【0052】
(5)圧縮強度試験
20℃の温度に調整されたA液とB液とを、表1~表4に示される混合比で、全量が100mlとなるよう計量して、混合した。次いで、かかる混合の後、直ちに、内径:50mm、高さ:100mmの有底円筒型内に、発泡倍率が3倍量となるように、所定量のA液及びB液の混合物を投入し、蓋をした後、2時間以上養生した。その後、脱型した反応生成物を、20℃にて24時間以上養生し、JIS-K-7220:2006に準拠して、圧縮強度の測定を行なった。
【0053】
(6)燃焼試験(難燃性評価)
20℃の温度に調整されたA液とB液とを、表1~表4に示される混合比で混合して、得られた薬液の所定量を、200mm×200mm×50mmの型に注ぎ込み、自由発泡させた。そして、24時間以上養生した後、得られた反応生成物から、厚さ:13mm、長さ:150mm、幅:50mmの試験体を切り出し、JIS-A-9511:2017の6.13燃焼性の試験方法Bに準拠して、燃焼試験を実施した。なお、その評価に際しては、燃焼時間90秒以内、且つ燃焼長さが60mm以下であるものを◎、燃焼時間120秒以内、且つ燃焼長さが60mm以下であるものを○、燃焼時間120秒以上又は燃焼長さが60mm以上であるものを×として、それぞれ評価した。
【0054】
(7)排水の泡立ち試験
20℃の温度に調整されたA液とB液とを、表1~表4に示される混合比で、全量が100mlとなるよう計量して混合した。次いで、かかる混合の後、直ちに、2Lのディスカップに収容された20℃の水1L中に、それらA液及びB液の混合物を投入し、2時間静置した。更に、この静置後、ディスカップ内にある反応生成物と接触した水を排水として採取して、その排液を100倍の濃度に希釈してから、スクリュー管に収容して、10秒間振とうした。そして、この振とう終了後、30秒以内に、かかるスクリュー管内に泡が確認されない場合は◎、60秒以内に泡が確認されない場合は○、60秒以上泡が確認出来る場合は×として、評価した。
【0055】
先ず、以下の実施例及び比較例において用いられるA液又はB液の構成成分として、以下の各種原料を、準備した。
ケイ酸塩水溶液:2号ケイ酸ソーダ(富士化学株式会社製、モル比:2.5、固形分: 40%)
:1号ケイ酸ソーダ(富士化学株式会社製、モル比:2.1、固形分: 48%)
活性水素基含有化合物(1級又は2級アミノ化合物)
:ジエチルトルエンジアミン(アルベマール社製エタキュア100、1 級アミノ基含有)
:ジメチルチオトルエンジアミン(アルベマール社製エタキュア300 、1級アミノ基含有)
:2,6-ジアミノトルエン(東京化成工業株式会社製、1級アミノ基 含有)
:4,4’-メチレンビス(N-sec-ブチルアニリン)(アルベマー ル社製エタキュア420、2級アミノ基含有)
:N,N’-ジベンジルエチレンジアミン(東京化成工業株式会社製、 2級アミノ基含有)
:ポリエーテルアミン(BASF社製BaxxodurEC310、1 級アミノ基含有)
ポリオール:ポリオキシプロピレグリコール(プロピレングリコール系ポリエーテルポ リオール:三洋化成工業株式会社製PP2000、分子量:2000、水 酸基価:110mgKOH/g)
:エチレンジアミン系ポリエーテルポリオール(三洋化成工業株式会社製N P300、分子量:300、水酸基価:750mgKOH/g)
触媒:N,N,N’,N'',N''-ペンタメチルジエチレントリアミン(花王株式会社 製カオーライザーNo.3)
:70%ビス(ジメチルアミノエチル)エーテル・30%ジプロピレングリコール (花王株式会社製カオーライザーNo.12)
:N,N-ジメチルアミノヘキサノール(花王株式会社製カオーライザーNo.2 5)
脂肪族イソシアネート化合物
:HDI(1)(三井化学株式会社製タケネートD-170N、ヘキサメチレン ジアミンジイソシアネートのイソシアヌレート体)
:HDI(2)(三井化学株式会社製タケネートD-160N、75%ヘキサメ チレンジアミンジイソシアネートのTMPアダクト体・25%酢酸エチル溶液 )
:HDI(3)(三井化学株式会社製タケネートD-165N、ヘキサメチレン ジアミンジイソシアネートのビウレット体)
:HDI(4)(三井化学株式会社製タケネートD-178NL、ヘキサメチレ ンジアミンジイソシアネートのアロファネート体)
:PDI(三井化学株式会社製スタビオD-376N、ペンタメチレンジアミン ジイソシアネートのイソシアヌレート体)
:H6XDI (三井化学株式会社製タケネートD-127N、75%ビス(イソ
シアナトメチル)シクロヘキサンのイソシアヌレート体・25%酢酸エチル溶
液)
:IPDI(三井化学株式会社製タケネートD-140N、イソホロンジイソシ アネートのトリメチロールプロパンアダクト体・25%酢酸エチル溶液)
:HDI(5)(東京化成工業株式会社製、ヘキサメチレンジイソシアネート)
難燃剤:TMCPP(大八化学株式会社製、トリス(2-クロロプロピル)ホスフェー ト)
整泡剤:ポリエーテル変性シロキサン(東レダウコーニング・シリコーン株式会社製S Z-1671)
【0056】
(実施例1~27)
-A液の調製-
上記で準備した各種の原料、即ち、ケイ酸塩水溶液、活性水素基含有化合物、ポリオール化合物、及び触媒を、それぞれ、下記表1~表4に示される各種の組み合わせ及び配合割合において、均一に混合せしめて、実施例1~27に係る各種のA液配合組成物を、それぞれ、調製した。そして、その得られたA液配合組成物の粘度を測定し、その結果を、下記表1~4に示した。
【0057】
-B液の調製-
上記で準備した各種の原料、即ち脂肪族イソシアネート化合物、整泡剤及び難燃剤を、下記表1~表4に示される各種の組み合わせ及び配合割合において、均一に混合せしめて、実施例1~27に係る各種のB液配合組成物を、それぞれ、調製した。そして、この得られたB液配合組成物の粘度を測定し、その結果を、下記表1~4に示した。
【0058】
-A液とB液の反応-
上記で得られたA液とB液とを、表1~4に示される質量部において組み合わせて、常温下で、均一に混合して、反応せしめた後、前述の評価手法に従って、各種評価試験を行ない、それらの結果を、下記表1~4に示した。
【0059】
(比較例1)
実施例1において、1級又は2級アミン化合物を添加しないこと以外は、実施例1と同様の手法に従って、それぞれ試験を行なった。そして、その得られた結果を、下記表4に示した。
【0060】
(比較例2)
比較例1において、ポリオール化合物として、ポリオキシプロピレングリコールを5部加えたこと以外は、比較例1と同様の手法に従って、それぞれ試験を行なった。そして、その得られた結果を、下記表4に示した。
【0061】
(比較例3)
実施例1において、反応触媒を添加しないこと以外は、実施例1と同様の手法に従って、それぞれ試験を行なった。そして、その得られた結果を、下記表4に示した。
【0062】
(比較例4)
実施例1において、脂肪族ポリイソシアネートプレポリマーを、その原料であるヘキサメチレンジイソシアネート(モノマー)に代えたこと以外は、実施例1と同様の手法に従って、それぞれ試験を行なった。そして、その得られた結果を、下記表4に示した。
【0063】
【0064】
【0065】
【0066】
【0067】
かかる表1~表4の結果より明らかなように、実施例1~27における、本発明に従うA液とB液からなる薬液組成物にあっては、何れも、反応時間が300秒以下となる、反応活性に優れたものであると共に、約3倍以上の発泡倍率において、高い圧縮強度と難燃性に優れた固結体を形成し得るものであり、しかも、白濁試験や泡立ち試験において、優れた結果を示すものであった。
【0068】
これに対して、比較例1~4において調製された、A液とB液からなる薬液組成物にあっては、硬化反応に時間がかかり、反応活性に劣るものであることが認められた。また、比較例1及び2に係る薬液組成物にあっては、架橋剤としての1級及び/又は2級アミン化合物が、A液に添加されていないために、A液とB液を混合しても、架橋増粘せず、そのために、水中に投入して、反応させた場合において、薬液が水中に溶け出して、水の白濁化や泡立ちを惹起するものとなった。更に、比較例3に係る薬液組成物にあっては、反応触媒(3級アミン)が添加されていないために、得られた固結体は崩れ易くて、脆い状態のものとなり、更には、比較例4の薬液組成物にあっては、ポリイソシアネートとして、脂肪族ポリイソシアネートプレポリマーではなく、その原料モノマーである脂肪族ポリイソシアネート化合物が、そのまま、用いられているところから、架橋剤としての1級又は2級アミン化合物が添加されていても、架橋が進行せず、比較例3の場合と同様な、崩れ易くて、脆い状態の固結体が形成されるに過ぎないものであることを認めた。