(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-18
(45)【発行日】2023-05-26
(54)【発明の名称】色彩選別機
(51)【国際特許分類】
B07C 5/342 20060101AFI20230519BHJP
G01N 21/85 20060101ALI20230519BHJP
【FI】
B07C5/342
G01N21/85 A
(21)【出願番号】P 2019227661
(22)【出願日】2019-12-17
【審査請求日】2021-12-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】井上 浩典
(72)【発明者】
【氏名】黒水 泰守
(72)【発明者】
【氏名】稲井 慎也
【審査官】福島 和幸
(56)【参考文献】
【文献】特許第6410199(JP,B1)
【文献】特開平10-202204(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B07C 5/342
G01N 21/85
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
粒状体を所定方向に通過させる通過経路と、
前記通過経路に形成された検査領域と、
前記検査領域を照明する照明ユニットと、
前記検査領域を通過する前記粒状体を撮影するカメラユニットと、
前記カメラユニットからの撮影画像に基づいて前記粒状体の良否を判定する判定部とを備えた色彩選別機であって、
前記照明ユニットは、周波数帯域が異なる少なくとも2種類の発光素子群として、第1発光素子からなる第1発光素子群と第2発光素子からなる第2発光素子群とを備え、前記第1発光素子群と前記第2発光素子群とは独立してオンオフ制御され
、
前記第1発光素子群と前記第2発光素子群とのいずれかがオン制御されても前記検査領域を一様な光量で照明するように、前記第1発光素子と前記第2発光素子とは、2次元配列で前記第1発光素子と前記第2発光素子とが混在する規則的な二色配置パターンを繰り返すように配置され、
前記照明ユニットは、前記第1発光素子及び前記第2発光素子のそれぞれと周波数帯域が異なる第3発光素子からなる第3発光素子群を備え、
前記第1発光素子と前記第2発光素子と前記第3発光素子とは、2次元配列で前記第1発光素子と前記第2発光素子と前記第3発光素子とが混在する規則的な三色配置パターンを繰り返すように配置され、前記三色配置パターンにおいて、前記第1発光素子群と前記第2発光素子群と前記第3発光素子群とのいずれか1つの発光素子群の発光素子の数は他の発光素子群の発光素子の数より多くなっている色彩選別機。
【請求項2】
粒状体を所定方向に通過させる通過経路と、
前記通過経路に形成された検査領域と、
前記検査領域を照明する照明ユニットと、
前記検査領域を通過する前記粒状体を撮影するカメラユニットと、
前記カメラユニットからの撮影画像に基づいて前記粒状体の良否を判定する判定部とを備えた色彩選別機であって、
前記照明ユニットは、周波数帯域が異なる少なくとも2種類の発光素子群として、第1発光素子からなる第1発光素子群と第2発光素子からなる第2発光素子群とを備え、前記第1発光素子群と前記第2発光素子群とは独立してオンオフ制御され、
前記第1発光素子群と前記第2発光素子群とのいずれかがオン制御されても前記検査領域を一様な光量で照明するように、前記第1発光素子と前記第2発光素子とは、2次元配列で前記第1発光素子と前記第2発光素子とが混在する規則的な二色配置パターンを繰り返すように配置され、
前記照明ユニットは、前記第1発光素子及び前記第2発光素子のそれぞれと周波数帯域が異なる第3発光素子からなる第3発光素子群を備え、
前記第1発光素子と前記第2発光素子と前記第3発光素子とは、行数が4行で、列数が前記粒状体の通過幅を超える長さとなるように設定された2次元配列で配置されており、少なくとも1つの行には、前記第1発光素子と前記第2発光素子と前記第3発光素子のいずれかが90%以上含まれてい
る色彩選別機。
【請求項3】
前記2次元配列のうち前記粒状体の通過幅に対応する中央領域では、前記第1発光素子と前記第2発光素子と前記第3発光素子とは、前記検査領域を一様な光量で照明するように前記三色配置パターンを繰り返すように配置され、前記中央領域の左右両側の領域では前記三色配置パターンとは異なる配置パターンで配置されている請求項
1に記載の色彩選別機。
【請求項4】
前記粒状体が穀粒であり、前記第1発光素子が赤色発光素子であり、前記第2発光素子が緑色発光素子であり、前記第3発光素子が青色発光素子であり、
未成熟玄米の判定時には前記第1発光素子群がオン制御され、前記未成熟玄米以外の玄米良否判定時には前記第1発光素子群及び前記第2発光素子群がオン制御され、白米の良否判定時には前記第1発光素子群及び前記第2発光素子群及び前記第3発光素子群がオン制御される請求項
1から
3のいずれか一項に記載の色彩選別機。
【請求項5】
前記照明ユニットの光出光方向側には前記発光素子群からの光を集光する集光部材が備えられている請求項1から
4のいずれか一項に記載の色彩選別機。
【請求項6】
前記照明ユニットの光出光方向側には前記発光素子群からの光を拡散する光拡散部材が備えられている請求項1から
5のいずれか一項に記載の色彩選別機。
【請求項7】
前記照明ユニットには前記発光素子群からの光の配光方向を限定する遮蔽部材が備えられている請求項1から
6のいずれか一項に記載の色彩選別機。
【請求項8】
前記遮蔽部材は、前記発光素子群からの光を挟むように配置された上下一対の遮蔽板であり、それぞれの内側面は白色系で着色され、外側面は黒色系で着色されている請求項
7に記載の色彩選別機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通過経路を通過する粒状体の品質状態を光学的に評価して粒状体を選別する色彩選別機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1による色彩選別機は、通過経路を所定方向で流れてくる粒状体に対して、照明ユニットにより光を照射し、粒状体から反射した反射光や粒状体を透過した透過光等の光量を示す撮影画像に基づいて粒状体の良否判定を行ない、その判定結果に基づいて粒状体を判別する。
【0003】
作業効率を上げるため、粒状体は所定の幅をもって通過経路を流れてくるので、照明ユニットによる照明光は、広い幅にわたって均一な光量を有する必要がある。このため、照明ユニットとしてLEDリニアアレイ(ライン状に並べられたLED素子群)が用いられている。
【0004】
粒状体から反射した反射光や粒状体を透過した透過光の光量に基づいて粒状体の判定が行われるので、精密な判定を行うためには適切な周波数帯域の照明光を用いることが重要である。判定すべき粒状体の種類及び判定すべき欠陥の種類に適する周波数帯域が異なる。例えば、白米の良否判定には青色光が適しており、玄米の良否判定には緑色光や赤色光が適している。このことから、従来の色彩選別機の照明ユニットは白色光を照射するように構成されるか、各単色光を照射する複数の単色照明ユニットを用意し、良否判定すべき対象によってこの単色照明ユニットを交換するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
高精度の良否判定を行うために、各単色光を照射する複数の単色照明ユニットを用意し、良否判定すべき対象によってこの単色照明ユニットを交換する構成はコスト上昇の要因となる。その交換作業は煩わしく、作業性を悪くする。このことから、判定すべき粒状体の種類及び判定すべき欠陥の種類に適した照明光を粒状体に照射することができる簡単な構成の色彩選別機が要望されている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明による色彩選別機は、粒状体を所定方向に通過させる通過経路と、前記通過経路に形成された検査領域と、前記検査領域を照明する照明ユニットと、前記検査領域を通過する前記粒状体を撮影するカメラユニットと、前記カメラユニットからの撮影画像に基づいて前記粒状体の良否を判定する判定部とを備え、前記照明ユニットは、周波数帯域が異なる少なくとも2種類の発光素子群として、第1発光素子からなる第1発光素子群と第2発光素子からなる第2発光素子群とを備え、前記第1発光素子群と前記第2発光素子群とは独立してオンオフ制御され、
前記第1発光素子群と前記第2発光素子群とのいずれかがオン制御されても前記検査領域を一様な光量で照明するように、前記第1発光素子と前記第2発光素子とは、2次元配列で前記第1発光素子と前記第2発光素子とが混在する規則的な二色配置パターンを繰り返すように配置され、
前記照明ユニットは、前記第1発光素子及び前記第2発光素子のそれぞれと周波数帯域が異なる第3発光素子からなる第3発光素子群を備え、
前記第1発光素子と前記第2発光素子と前記第3発光素子とは、2次元配列で前記第1発光素子と前記第2発光素子と前記第3発光素子とが混在する規則的な三色配置パターンを繰り返すように配置され、前記三色配置パターンにおいて、前記第1発光素子群と前記第2発光素子群と前記第3発光素子群とのいずれか1つの発光素子群の発光素子の数は他の発光素子群の発光素子の数より多くなっている。
【0008】
この構成によれば、検査対象となる粒状体に生じている欠陥の検出に適している周波数帯域を有する照明光が第1発光素子から照射される照明光である場合には、第1光源群がオン制御され、検査対象となる粒状体に生じている欠陥の検出に適している周波数帯域を有する照明光が第2発光素子から照射される照明光である場合には、第2光源群がオン制御される。つまり、このオンオフ制御だけで、物理的に照明ユニットを交換することなしに、判定すべき粒状体の種類及び判定すべき欠陥の種類に適した照明光を粒状体に照射することができる。
【0009】
2種類の単色発光素子である第1発光素子と第2発光素子とを1つの照明ユニットに配置するには、各集合体である第1発光素子群及び第2発光素子群がそれぞれオン制御された際(点灯された際)、粒状体に対する照射領域において可能な限り一様な光量分布が作り出されることが重要である。このため、本発明では、前記第1発光素子群と前記第2発光素子群とのいずれかがオン制御されても前記検査領域を一様な光量で照明するように、前記第1発光素子と前記第2発光素子とは、2次元配列で前記第1発光素子と前記第2発光素子とが混在する規則的な二色配置パターンを繰り返すように配置されている。
【0010】
色彩における三原色は、赤色、緑色、青色であり、色彩選別においても、これらの単色及びそれらの組み合わせ(特に三色を組み合わせた白色)の照明光が多く用いられる。色彩選別される粒状体によって用いられる照明光が異なるだけではなく、各色の発光素子(主にLED素子)によって照射する光量が異なるので、そのような場合には、特定色の発光素子の数を多くすることも好適である。このことから、本発明の他の1つでは、色彩選別機は、粒状体を所定方向に通過させる通過経路と、前記通過経路に形成された検査領域と、前記検査領域を照明する照明ユニットと、前記検査領域を通過する前記粒状体を撮影するカメラユニットと、前記カメラユニットからの撮影画像に基づいて前記粒状体の良否を判定する判定部とを備え、前記照明ユニットは、周波数帯域が異なる少なくとも2種類の発光素子群として、第1発光素子からなる第1発光素子群と第2発光素子からなる第2発光素子群とを備え、前記第1発光素子群と前記第2発光素子群とは独立してオンオフ制御され、
前記第1発光素子群と前記第2発光素子群とのいずれかがオン制御されても前記検査領域を一様な光量で照明するように、前記第1発光素子と前記第2発光素子とは、2次元配列で前記第1発光素子と前記第2発光素子とが混在する規則的な二色配置パターンを繰り返すように配置され、
前記照明ユニットは、前記第1発光素子及び前記第2発光素子のそれぞれと周波数帯域が異なる第3発光素子からなる第3発光素子群を備え、前記第1発光素子と前記第2発光素子と前記第3発光素子とは、2次元配列で前記第1発光素子と前記第2発光素子と前記第3発光素子とが混在する規則的な三色配置パターンを繰り返すように配置され、前記三色配置パターンにおいて、前記第1発光素子群と前記第2発光素子群と前記第3発光素子群とのいずれか1つの発光素子群の発光素子の数は他の発光素子群の発光素子の数より多くなっている。
【0011】
特定の粒状体の色彩選別に適した特定色が分かっている場合、粒状体に対する照射領域においてその特定色の一様な光量分布が作り出されることを条件としながらも、特定色の光量を十分に得るには、特定色の発光素子が過半数以上となるのが好都合である。このような場合における、本発明の好適な実施形態の1つとして、前記照明ユニットは、前記第1発光素子及び前記第2発光素子のそれぞれと周波数帯域が異なる第3発光素子からなる第3発光素子群を備え、前記第1発光素子と前記第2発光素子と前記第3発光素子とは、行数が4行で、列数が前記穀粒の通過幅を超える長さとなるように設定された2次元配列で配置されており、少なくとも1つの行には、前記第1発光素子と前記第2発光素子と前記第3発光素子のいずれかが90%以上含まれている構成が提案される。
【0012】
穀粒に対する照射領域において可能な限り一様な光量分布が作り出されるためには、穀粒の通過幅を超える長さの発光素子リニアアレイが必要になるが、できるだけ発光素子リニアアレイの長さ短くするためには、発光素子リニアアレイの両端領域の発光素子は、中央領域の発光素子の配置パターンとは異なる配置パターンを採用することが好適である。この両端領域の発光素子の配置パターンは実験を繰り返して決定される。このため、本発明の好適な実施形態の1つでは、前記2次元配列のうち前記穀粒の通過幅に対応する中央領域では、前記第1発光素子と前記第2発光素子と前記第3発光素子とは、前記検査領域を一様な光量で照明するように前記三色配置パターンを繰り返すように配置され、前記中央領域の左右両側の領域では前記三色配置パターンとは異なる配置パターンで配置されている。
【0013】
粒状体としての穀粒、特に玄米の良否判定には緑色照明や赤色照明が適しており(特に生き青米(未成熟玄米)には赤色照明が適している)、白米の良否判定には青色照明が適している。このため、本発明の好適な実施形態の1つでは、前記粒状体が穀粒であり、前記第1発光素子が赤色発光素子であり、前記第2発光素子が緑色発光素子であり、前記第3発光素子が青色発光素子であり、未成熟玄米の判定時には前記第1発光素子群がオン制御され、前記未成熟玄米以外の玄米良否判定時には前記第1発光素子群及び前記第2発光素子群がオン制御され、白米の良否判定時には前記第1発光素子群及び前記第2発光素子群及び前記第3発光素子群がオン制御される。
【0014】
本発明の好適な実施形態の1つでは、前記照明ユニットの光出光方向側には前記発光素子群からの光を集光する集光部材が備えられている。この構成では、レンズなどの集光部材により、発光素子群からの光は、この光を必要とする照明領域にフォーカシングされるので、発光素子群から出る光は有効活用される。
【0015】
本発明の好適な実施形態の1つでは、前記照明ユニットの光出光方向側には前記発光素子群からの光を拡散する光拡散部材が備えられている。この構成では、すりガラスのような光拡散部材により、発光素子群からの光は一様化されるので、照明領域はむらなく照明される。複数の発光素子から構成された照明ユニットの場合、光拡散部材の働きにより、広い範囲を一様な光強度分布で照明することができるので、特に有利である。
【0016】
集光部材と光拡散部材とは、相反する効果をもたらすので、照射光のフォーカシングが必要な照明ユニットには集光部材を設け、一様な光強度分布が必要な照明ユニットには光拡散部材を設けるというような使い分けを行うことが好ましい。
【0017】
本発明の好適な実施形態の1つでは、前記照明ユニットには前記発光素子群からの光の配光方向を限定する遮蔽部材が備えられている。この構成では、遮蔽部材が発光素子群からの光を不要とする領域への照射を遮ることができる。特に、カメラユニットに不要な光が入射することが抑制され、好都合である。このような遮蔽部材の好適な形態の1つは、前記遮蔽部材が前記発光素子群からの光を挟むように配置された上下一対の遮蔽板であり、それぞれの内側面は白色系で着色され、外側面は黒色系で着色されていることである。内側面が白色系で着色されているので、発光素子群からの光を良好に導波する効果が得られる。また、外側面が黒色系で着色されているので、外側面に入射した光を不測に反射させて、カメラユニットにようる撮影に悪影響を与えることが回避される。なお、遮蔽部材として、筒状の遮蔽体が用いられてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図2】色彩選別機における光学検査の原理を示す模式図である。
【
図3】色彩選別機の制御系を示す機能ブロック図である。
【
図4】カメラユニットによる撮影画像と穀粒との関係を示す模式図である。
【
図6】光源素子の三色配置パターンの一例を示す説明図である。
【
図7】三色配置パターンの別例を示す説明図である。
【
図8】三色配置パターンの別例を示す説明図である。
【
図9】三色配置パターンの別例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明に係る実施形態を図面に基づいて説明する。
図1には、色彩選別機の縦断面図が示され、
図2には、色彩選別機における光学検査の原理を示す模式図が示されている。この実施形態の色彩選別機によって良否判定される粒状体は玄米や白米などの穀粒である。多数の玄米や白米(以下単に穀粒と称する)が色彩選別機に投入されると、正常物であるか不良物であるかを光学的に評価され、正常物と不良物とが選別される。
【0020】
図1に示すように、穀粒を一層で且つ幅広状態で流下案内する搬送部材として傾斜姿勢のシュータ11が備えられている。このシュータ11が穀粒を所定方向に通過させる通過経路として機能する。穀粒を検査する検査領域IAは通過経路に形成されている。穀粒は、通過経路を形成するシュータ11の上部側に設けられた貯留ホッパ12から振動フィーダ13によって振動搬送され、シュータ11に投入される。投入された穀粒はシュータ11の上面(表面)を流下しながら、検査領域IAの手前で放出され、検査領域IAを通過し、分岐点TPで正常物と異常物とに選別される。シュータ11の底面は、幅方向全幅に亘って平坦な流下案内面を形成している。これにより、穀粒は、シュータ11の(横断方向)幅方向全幅に亘って実質的に一層状態で広がって、検査領域IAを通過する。
【0021】
一層状態で広がって流下する穀粒は、検査領域IAにおいて、光学的な方法で良否判定される。検査領域IAの下方には、空気吹き付け装置15が配置されている。検査領域IAを通過した正常な穀粒は下方側の正常物回収部16にそのまま落下して回収される。
図2に示すように、異常穀粒は、空気吹き付け装置15の噴射ノズル15aによる吹き付け作用によって分岐され、異常物回収部17に回収される。
【0022】
図2に、検査領域IAにおいて穀粒(玄米や白米など)の良否判定を行う光学検査の原理が模式的に示されている。
図3には、色彩選別機における光学検査の制御ブロック図が示されている。色彩選別機には、検査領域IAを照明する照明ユニット4と、照明ユニット4からの照明光によって照射されながら検査領域IAを通過する穀粒を撮影するカメラユニット3とが含まれている。制御装置6には、照明ユニット4を制御する照明制御部61、カメラユニット3から撮影画像(受光ライン信号)を取得する画像取得部62、取得した撮影画像に基づいて穀粒の良否を判定する判定部63、判定部63の判定結果に基づいて空気吹き付け装置15を制御する選別制御部64が含まれている。
【0023】
図2に示すように、検査領域IAには、穀粒の流下方向に沿って第1検査ラインPaと第2検査ラインPbが設定されている。カメラユニット3は、ラインセンサカメラで構成されている。カメラユニット3から出力される検出信号である撮影画像は、数十分の1mmの縦幅とその半分程度の横幅を1画素として、検査領域IAを通過する穀粒の通過幅以上の長さを有する。
図4では、1つの穀粒が写されている瞬間の撮影画像が模式的に示されている。カメラユニット3がラインセンサカメラであるので、1つの撮影画像は、
図4の太線で囲われた領域を含む。カメラユニット3は、第1カメラ3A、第2カメラ3B、第3カメラ3Cを備えている。第1カメラ3Aは、検査領域IAを挟んで、第2カメラ3B及び第3カメラ3Cに向き合って配置されている。
【0024】
第1カメラ3A、第2カメラ3B、第3カメラ3Cのそれぞれのライン状光軸は、複数のミラーによって方向変更され、検査領域IAを通過する。検査領域IAを通過した各ライン状光軸の先には、撮影背景部材30が配置されている。この撮影背景部材30は、背面照明部材として機能し、非図示の発光体からの光を伝播する導光板から作製されている。さらに、検査領域IAにおいて各ライン状光軸が交差する領域には、照明光やその反射光が検査妨害光となることを避けるための遮光部材31が配置されている。
【0025】
検査領域IAを照明する照明ユニット4として、第1カメラ3A側に、第1照明ユニット4Uと第2照明ユニット4Vとが備えられ、第2カメラ3B側(第3カメラ3C側)に、第3照明ユニット4Wと第4照明ユニット4Xとが設けられている。各照明ユニット4はLEDラインアレイで構成されている。この実施形態では、各照明ユニット4には、遮蔽部材50が備えられている。遮蔽部材50は、ライン光源である照明ユニット4から出た照明光ができるだけ線状ビーム形状を保つように上下一対の遮蔽板からなる配光方向限定手段として構成されている。各遮蔽板の内側面は白色系で着色され、外側面は黒色系で着色されている。
【0026】
さらに、この実施形態では、第2照明ユニット4Vには、第2照明ユニット4Vからの照明光を集光する集光部材52が遮蔽部材50に取り付けられている。なお、この集光部材52は、モールド工法によりLEDラインアレイを構成しているLEDに直接組み込まれてもよい。第3照明ユニット4Wには、第3照明ユニット4Wからの照明光を拡散する光拡散部材51が遮蔽部材50に取り付けられている。光拡散部材51がすりガラスのように、表面と裏面とで反射率が異なる場合、反射率の高い方の面を照明ユニット4に向ける配置が好ましい。
【0027】
この実施形態では、
図5に示すように、各照明ユニット4は、ケーシングされた帯状基板40からなり、4行63列で二次元配置(横長行列配置)された252個の発光素子(LED素子)の発光面が表面に露出している。発光素子には、第1発光素子である赤色の周波数帯域を有する赤色発光素子4Rと、第2発光素子である緑色の周波数帯域を有する緑色発光素子4Gと、第3発光素子である青色の周波数帯域を有する青色発光素子4Bとが含まれている。なお、この明細書では、赤色発光素子4R全体を赤色発光素子群(第1発光素子群)と称し、緑色発光素子4G全体を緑色発光素子群(第2発光素子群)と称し、青色発光素子4B全体を青色発光素子群(第3発光素子群)と称する。
【0028】
赤色発光素子群と緑色発光素子群と青色発光素子群とは、それぞれ、照明制御部61により、独立してオンオフ制御(点灯制御)される。したがって、赤色発光素子群だけが点灯された場合には、照明ユニット4は赤色照明として機能し、緑色発光素子群だけが点灯された場合には、照明ユニット4は緑色照明として機能し、青色発光素子群だけが点灯された場合には、照明ユニット4は青色照明として機能する。さらに、任意の組み合わせ(例えば赤と緑)で点灯された場合には、照明ユニット4は対応する混合色の照明として機能する。
【0029】
細長い領域である検査領域IAにわたって均質な光度が得られるように、赤色発光素子4Rと緑色発光素子4Gと青色発光素子4Bとは、2次元配列で赤色発光素子4Rと緑色発光素子4Gと青色発光素子4Bとが混在する規則的な三色配置パターンを繰り返すように配置されている。本発明では、好適な三色配置パターン例が以下に説明するように提案される。以下の配置パターンの説明では、赤色発光素子4Rは単にRと略称され、緑色発光素子4Gは単にGと略称され、青色発光素子4Bは単にBと略称される。なお、図面では、赤色発光素子4Rが緑色発光素子4Gや青色発光素子4Bより少し大きなサイズで描かれているが、これは、この実施形態での照明ユニット4の特徴であり、本発明では、各発光素子のサイズは限定されていない。
【0030】
第1の三色配置パターンが
図6に示されている。第1の三色配置パターンの基本パターンは、点線が囲まれているように4行4列であり、一行目はR・G・R・Bの並びであり、2行目はB・R・G・Rの並びであり、3行目はR・B・R・Gの並びであり、4行目はG・R・B・Rの並びである。この基本パターンが照明ユニット4の長さにわたって繰り返される。この三色配置パターンでは、赤色発光素子4Rの数が緑色発光素子4G及び青色発光素子4Bの数に比べて多く、全体のほぼ半分を占めている。しかしながら、
図6から明らかなように、赤色発光素子4Rと緑色発光素子4Gと青色発光素子4Bとは、規則的に分散して配置されており、そのいずれかの発光素子群あるいは任意の発光素子群の組み合わせが点灯制御(オン制御)されても検査領域IAを一様な光量で照明する。
【0031】
第1の三色配置パターンの変形例である第2の三色配置パターンの基本パターンが
図7に示されている。この基本パターンでは、一行目はR・G・R・Gの並びであり、2行目はB・R・B・Rの並びであり、3行目はR・G・R・Gの並びであり、4行目はB・R・B・Rの並びである。この基本パターンでは、赤色発光素子4R、緑色発光素子4G、青色発光素子4Bのそれぞれの数、及び赤色発光素子4Rの配置は第1の三色配置パターンの基本パターンと同じであるが、緑色発光素子4G及び青色発光素子4Bの配置が異なっている。
【0032】
第3の三色配置パターンの基本パターンが
図8に示されている。この基本パターンも4行4列であり、一行目はG・B・G・Bの並びであり、2行目はR・R・R・Rの並びであり、3行目もR・R・R・Rの並びであり、4行目はB・G・B・Gの並びである。つまり、一行目と4行目は、順序が逆であるが、緑色発光素子4Gと青色発光素子4Bとの繰り返し配置であり、2行目と3行目とは、赤色発光素子4Rのみの並びである。
【0033】
第4の三色配置パターンの基本パターンが
図9に示されている。この基本パターンでは、一行目はR・R・R・Rの並びであり、2行目はG・G・G・Gの並びであり、3行目はG・G・B・Bの並びであり、4行目はR・R・R・Rである。この基本パターンでは、赤色発光素子4Rの数が青色発光素子4Bの数の4倍、緑色発光素子4Gの数が青色発光素子4Bの数の3倍となっている。この第4の三色配置パターンを用いた照明ユニット4は、赤色照明光と緑色照明光との光量を多く必要とする検査に適している。
【0034】
第3の三色配置パターン及び第4の三色配置パターンでは、赤色発光素子4Rまたは緑色発光素子4Gだけが並んでいる行は少なくとも1つある。
図8及び
図9の例では赤色発光素子4Rだけが並んだ行が2つあり、
図9の例では赤色発光素子4Rだけが並んだ行が2つあり、
図9の例では緑色発光素子4Gだけが並んだ行も1つある。もちろん、1種類の発光素子を並べる際に、10個のうちの1個か2個程度は他の種類の発光素子と置き換わってもよい。
【0035】
以上の4種類の三色配置パターンを用いた照明ユニット4は、強い赤色照明光が必要な未成熟玄米の検出と、赤色と緑色との混合色照明光が必要な玄米の欠陥(カメムシ被害など)の検出とに適している。もちろん、全ての発光素子群を点灯することによりほぼ白色光が得られるので、この白色光を用いた白米の欠陥検出にも利用することができる。赤色発光素子4Rの光量は緑色発光素子4Gや青色発光素子4Bの光量に比べて弱いので、赤色照明光の必要光量に応じて、適切な三色配置パターンを用いた照明ユニット4が採用される。
【0036】
図10には、照明ユニット4の別な実施形態が模式的に示されている。この照明ユニット4では、発光素子群が検査領域IAにおける穀粒の通過幅を超える長さまで延びている。このため、発光素子群の配置領域が、穀粒の通過幅にほぼ相当する長さの中央領域41とその両側に位置する端領域42とに区分けされている。中央領域41では、上述した第1から第4までの三色配置パターンのいずれかで赤色発光素子4Rと緑色発光素子4Gと青色発光素子4Bとが配置されている。端領域42では、中央領域41で用いられた三色配置パターンとは異なる配置パターンで赤色発光素子4Rと緑色発光素子4Gと青色発光素子4Bとが配置されている。
【0037】
以上に述べたような照明ユニット4で照明され、カメラユニット3で取得された通過穀粒の撮影画像は、
図3に示す制御装置6の判定部63での穀粒良否判定に用いられる。判定部63では、
図4で模式的に示されている撮影画像の各画素の値を、予め設定されている適正範囲に入っているかどうかチェックされている。適正範囲にはいっていない画素があれば、異常画素と判定し、そのような異常画素が横方向及び縦方向で所定個だけ続いていれば、その穀粒が異常である判定される。選別制御部64は、異常と判定された穀粒が、空気吹き付け装置15の噴射ノズル15aの前を通過するタイミングで噴射ノズル15aから空気を噴射させて、穀粒を異常物回収部17に通じる経路に分岐させる。
【0038】
〔別実施の形態〕
(1)上述した実施形態では、行数が4行の行列配置で発光素子が配置されていたが、本発明の目的を逸脱しない範囲内において、4行以外の行数でもよいし、千鳥配置でもよい。
(2)上述した実施形態では、三色配置パターンにおいて、赤色発光素子4Rの個数が他の発光素子より多かったが、赤色、緑色、青色の各発光素子は、自由に交換してもよい。(3)また、赤色、緑色、青色の各発光素子のうち2種類だけを配置した二色配置パターンで照明ユニット4を構成してもよい。
(4)上述した実施形態では、粒状体として穀粒が取り扱われたが、この色彩選別機は、穀粒以外、樹脂ペレットなどの粒状体の選別にも利用可能である。
【0039】
なお、上記実施形態(別実施形態を含む、以下同じ)で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することが可能であり、また、本明細書において開示された実施形態は例示であって、本発明の実施形態はこれに限定されず、本発明の目的を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明は、ラインアレイ状の照明ユニットを用いた色彩選別機に適用可能である
【符号の説明】
【0041】
3 :カメラユニット
3A :第1カメラ
3B :第2カメラ
3C :第3カメラ
4 :照明ユニット
4B :青色発光素子(第3発光素子)
4G :緑色発光素子(第2発光素子)
4R :赤色発光素子(第1発光素子)
6 :制御装置
11 :シュータ
12 :貯留ホッパ
13 :振動フィーダ
15 :空気吹き付け装置
15a :噴射ノズル
16 :正常物回収部
17 :異常物回収部
40 :帯状基板
41 :中央領域
42 :端領域
50 :遮蔽部材
51 :光拡散部材
52 :集光部材
61 :照明制御部
62 :画像取得部
63 :判定部
64 :選別制御部
IA :検査領域
Pa :第1検査ライン
Pb :第2検査ライン
TP :分岐点