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  • 特許-シリカガラスの製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-18
(45)【発行日】2023-05-26
(54)【発明の名称】シリカガラスの製造方法
(51)【国際特許分類】
   C03B 20/00 20060101AFI20230519BHJP
   C03B 32/00 20060101ALI20230519BHJP
【FI】
C03B20/00 E
C03B20/00 F
C03B20/00 K
C03B32/00
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2019232263
(22)【出願日】2019-12-24
(65)【公開番号】P2021098639
(43)【公開日】2021-07-01
【審査請求日】2021-11-30
(73)【特許権者】
【識別番号】507182807
【氏名又は名称】クアーズテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101878
【弁理士】
【氏名又は名称】木下 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100187506
【弁理士】
【氏名又は名称】澤田 優子
(72)【発明者】
【氏名】小澤 恒太
【審査官】永田 史泰
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-326827(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C03B20/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリカガラスの表面に濃度0.04g/mL以上0.1g/mL以下の硝酸アルミニウム溶液を塗布する工程1と、
硝酸アルミニウム溶液を塗布したシリカガラスを、1200~1500℃で10~30時間、真空雰囲気下で加熱することにより、失透させる工程2と、
失透シリカガラスの表層を除去する工程3と、を有するシリカガラスの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体製造装置に用いられる高純度シリカガラスにおいて、アルカリ金属などの軽元素の不純物含量を低減したシリカガラスの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
シリカガラスは、その耐熱性および高純度の点から、半導体製造の熱処理工程において、炉心管およびボートなどの治具やその他の熱処理部材に使用されている。
【0003】
しかしながら、従来の熱処理用治具には、水晶の粉末を酸水素炎または電気炉で融解して作製された溶融石英ガラスが使用されているため、熱処理される半導体ウエハに、該熱処理用治具に含まれるアルミニウム、アルカリ金属およびアルカリ土類金属などの微量不純物が1~3ppm程度混入してしまうという問題があった。
【0004】
また、このような溶融石英ガラスで作製した、例えば、炉心管などの熱処理部材を高温下で使用した場合、粘性が低下して炉心管が変形したり、溶融石英ガラス部分の失透が促進されたりして、長時間の使用が困難という問題もあった。
【0005】
このような変形や失透を起こす原因も、溶融石英ガラスに含まれる微量不純物にある。特に、リチウム、ナトリウムおよびカリウムなどのアルカリ金属がシリカガラスの網目構造の中に取り込まれると、シリカガラスの粘性を下げ、変形を引き起こすことがわかっている。そのため、例えば、特許文献1では、天然の水晶から得られた溶融石英ガラスに加熱下で10~50kVの直流電圧を印加することによって、溶融石英ガラス中のリチウム、ナトリウムおよびカリウムなどのアルカリ金属と銅とを移動させて、アルカリ金属の含有量を0.5ppm以下、Cuの含有量を0.03ppmに低減するとともに、1200℃における粘性を1012ポアズ以上にすることにより、石英ガラスを純化する方法が開示されている。特許文献1では、天然の水晶に含まれる不純物のうち、高温において石英ガラス中を移動しやすい前記アルカリ金属と銅とに着目し、アルカリ金属および銅の含有量を低減している。
【0006】
また、石英ガラス中のリチウムは拡散移動が速く、加熱処理開始と同時に外方拡散することを利用して、特許文献2では、リチウム濃度が0.2ppm以下である石英ガラスを塩化水素ガス雰囲気で加熱処理することにより、塩素(Cl)と石英ガラス表面の金属元素とを反応させて、低沸点の塩化物を形成させ、表面より飛散させる方法が開示されている。この加熱処理方法によると、石英ガラス内部に拡散進入した塩化物イオン(Cl-)は表面から100μm以上の深さ部位まで到達して、内部にある拡散速度の小さい金属元素と反応して塩化物を形成して、該金属元素を外方拡散により除去することができる。よって、純化処理後の治具表面から100μm以上の深さ部位のナトリウムまたはカリウムの含量の増加も防止することができる。
【0007】
一方、使用後の熱処理用治具を再生する技術も報告されている。半導体製造工程で石英ガラス製治具に付着した不純物は、表面のみならず、表面に発生した微小クラックに浸透して、少なくとも表面から1μmの深さまで浸透している。特許文献3は、このような使用済み石英ガラス製治具を必要に応じてフッ酸などで洗浄した後、400~1300℃で塩化水素ガス雰囲気にさらすことにより、表面付着不純物と内部拡散不純物とを除去する方法を開示している。
【0008】
また、石英ガラス製治具などの石英ガラス加工品の表層クリーン度を向上させる装置も開示されている(特許文献4)。特許文献4の技術では、900~1300℃に加熱した純化処理容器内で、純化処理ガスとして塩化水素ガスや塩素原子を含むその他のガスに石英ガラス加工品をさらして、石英ガラス加工品の表層汚染を除去している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】特開平5-301731号公報
【文献】特開2006-315886号公報
【文献】特開2006-306675号公報
【文献】特開2011-6278号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、前記したように、アルカリ金属などの軽元素は加熱されると石英ガラス内で拡散しやすく、従来技術によってはこれらの軽元素を充分に除去することができず、未だ被熱処理加工品の品質を低下させるなどの影響を及ぼしていた。
本発明では、シリカガラスの表層領域にあるアルカリ金属などの軽元素汚染を低減する、シリカガラスの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、前記した従来技術における課題を解決するものであり、以下の事項からなる。
本発明のシリカガラスの製造方法は、シリカガラスの表面に濃度0.04g/mL以上0.1g/mL以下の硝酸アルミニウム溶液を塗布する工程1と、硝酸アルミニウム溶液を塗布したシリカガラスを、1200~1500℃で10~30時間、真空雰囲気下で加熱することにより、失透させる工程2と、失透シリカガラスの表層を除去する工程3とを有することを特徴とする。
すなわち、シリカガラスの外層部にAl-同形置換により形成されたゲッタリングサイトにアルカリ金属などの軽元素を偏析させ、その後に該外層部を除去することで、シリカガラスの表層領域の軽元素汚染を低減することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、アルカリ金属など、軽元素の偏析現象を利用して、シリカガラスに含まれる軽元素を偏析させ、該シリカガラス内の外側部である表層領域を除去することで、特別な装置を用いなくても、安価に、該シリカガラスの表層領域の軽元素汚染を低減することができる。
本発明では、工程1および2で汚染を受けた場合であっても、最終工程である工程3で汚染除去ができるので、高純度なシリカガラスを製造することができる。
かかる方法により得られるシリカガラスは、熱処理用治具などの半導体製造装置に好適に用いられる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、シリカガラスの内側部、中間部および外側部に含まれるアルミニウムの濃度差を示す散布図を示す。
図2図2は、アルミニウムの使用前および使用後で、シリカガラスの中間部および外側部に含まれるカリウム、リチウムおよびナトリウムのそれぞれの濃度(ppb)の散布図を示す。図2中、(a1)および(a2)はカリウム濃度の散布図、(b1)および(b2)はリチウム濃度の散布図、(c1)および(c2)はナトリウム濃度の散布図である。
図3図3は、シリカガラスの表面に35ppm/m2、50ppm/m2、65ppm/m2、80ppm/m2、95ppm/m2の硝酸アルミニウムを均一に塗布したときの、熱処理時間(h)および外表面失透面積比率(%)の関係(a)と、熱処理時間(h)および失透層厚さ(mm)の関係(b)とを表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明のシリカガラスの製造方法について詳細に説明する。
本発明のシリカガラスは、シリカガラスの表面に単位面積当たり40ppm/m2以上100ppm/m2以下の硝酸アルミニウムを塗布する工程1と、硝酸アルミニウムを塗布したシリカガラスを1200~1500℃で10~30時間、真空雰囲気下で加熱することにより、失透させる工程2と、失透シリカガラスの表層を除去する工程3とを経て製造される。かかる方法により得られる本発明のシリカガラスは、石英ガラスとも呼ばれる高純度のシリカガラスである。
【0015】
工程1では、シリカガラスの表面に単位面積当たり40ppm/m2以上100ppm/m2以下の硝酸アルミニウムを塗布する。シリカガラスには、水晶の粉末を溶解して作製される溶融石英ガラスと、化学的に合成した不純物の少ない材料を加水分解して作製する合成石英ガラスとがある。溶融石英ガラスは耐熱性に優れ、前記のとおり半導体製造用治具類に使用されるが、原料が水晶のため金属不純物を比較的多く含む。一方、合成石英ガラスは、金属不純物をほとんど含まないことから、光学的に高い均質性が必要なレンズやプリズムなどの光学部品などに使用される。本発明では、溶融石英ガラスおよび合成石英ガラスのいずれを用いてもよいが、治具などの半導体装置の用途においては、通常は溶融石英ガラスが用いられる。
【0016】
硝酸アルミニウムは、通常は9水和物であるAl(NO33・9H2Oとして存在する。硝酸アルミニウムは水や、エタノールなどの水溶性の有機溶媒に溶解させて、硝酸アルミニウム溶液をシリカガラスの表面に塗布する。硝酸アルミニウム溶液の濃度は、シリカガラスの表面に単位面積当たり40ppm/m2以上100ppm/m2以下の硝酸アルミニウムを均一に塗布することができる量、すなわち、0.04g/mL以上0.1g/mL以下が好ましい。
【0017】
なお、硝酸アルミニウムに代えて、例えば、硫酸アルミニウムまたはその他のアルミニウムを含む水溶液などを使用しても、硝酸アルミニウムを使用する場合と同様に、シリカガラス表面にアルミニウム成分を塗布することができる。
【0018】
塗布方法は、バルク塗布およびスプレー塗布などの溶液塗布、ならびに、粉体塗布のいずれでもよい。溶液塗布のうち、バルク塗布には、はけ塗り、カーテンフローコーティング、電着塗装、ローラーブラシ塗り、浸漬塗装およびロールコーティングなどがあり、スプレー塗布には、エアスプレー、静電塗装、エアレススプレーおよびエアエアレススプレーなどがある。
【0019】
溶液塗布の場合、常温乾燥または加熱乾燥により、シリカガラス上に塗布した硝酸アルミニウム溶液を硝酸アルミニウムの塗膜に変化させる。常温乾燥には、自然乾燥および紫外線・電子線を照射する方法がある。一方、加熱乾燥は、焼付乾燥とも呼ばれ、熱風、赤外線または電磁誘導などで加熱して乾燥させる方法である。
【0020】
硝酸アルミニウムは水溶液の形態にせず、粉体のまま塗布してもよい。その場合の塗布方法には、流動浸漬法および静電粉体塗装などがある。
【0021】
本発明では、硝酸アルミニウム膜の厚さや均一性の点から、溶液塗布が好ましく、さらに安全、簡便および低コストの点から、塗布後は自然乾燥させるのが好ましい。
【0022】
硝酸アルミニウムの塗布量は、単位面積当たり40ppm/m2以上100ppm/m2以下、より好ましくは50ppm/m2以上95ppm/m2以下である。硝酸アルミニウムの塗布量が、単位面積当たり40ppm/m2未満となると、失透面積比率は小さくなり、かつ失透層厚さも薄くなる。図3は、シリカガラスの表面に35ppm/m2、50ppm/m2、65ppm/m2、80ppm/m2および95ppm/m2の硝酸アルミニウムを均一に塗布したときの、熱処理時間(h)および外表面失透面積比率(%)の関係(a)と、熱処理時間(h)および失透層厚さ(mm)の関係(b)とを表す。熱処理時間が10時間までは、硝酸アルミニウムの塗布量が50ppm/m2~95ppm/m2のほうが35ppm/m2の場合に比べて、外表面の失透面積比率が大きく、また失透層が厚くなることがわかる。なお、熱処理時間が10時間を超えると、硝酸アルミニウムの塗布量が35ppm/m2と少なくても、徐々に失透が進行する。
【0023】
工程2では、工程1で硝酸アルミニウムを表面全体に均一に塗布したシリカガラスを真空炉に入れて、102~105Paの減圧下、1200~1500℃で10~30時間加熱する。1200~1500℃の高温にさらされると、本発明のシリカガラスは、失透と呼ばれる、ガラス状態(非晶質)から安定なクリストバライト(結晶質)への転移を起こす。熱処理温度が1200℃を下回る場合、または、熱処理時間が10時間を下回る場合、アルカリ金属をシリカガラス表面まで移動させることが困難となることがある。一方、熱処理時間が1500℃を上回り、さらにシリカガラスの軟化点を超える場合、シリカガラスの形状が歪みやすくなる。なお、熱処理温度がシリカガラスの軟化点を超え、かつ、熱処理時間が30時間を超えると、シリカガラスが溶融揮発し始めるため、重量が減少する。
熱処理温度は1400℃以上1470℃以下が好ましく、熱処理時間は10~20時間が好ましい。
【0024】
一般に、シリカガラスの失透は1000~1710℃で起こる。室温におけるシリカガラスは、SiO4四面体同士がランダムに結合して、四面体の連結角(Si-O-Si結合角)が145±10°に縮小した構造を持っている。シリカガラスを加熱すると、1550℃を超えるあたりから、部分的なSi-O-Si結合の切断が開始され、約1600℃で結晶化が最大となる。
【0025】
本発明の場合、シリカガラスの表面に付着した硝酸アルミニウムが失透を促進するため、結晶化が最大となる温度は1600℃より低い1400~1470℃である。硝酸アルミニウムが失透を促進するのは、硝酸アルミニウム中のアルミニウムがガラスの網目構造を切断し、結晶の再配列を促進するためである。つまり、加熱によってSi-O-Si結合が弱くなるとともに、アルミニウムがSi-O-Si結合に接近し、アルミニウムイオン(Al3+)がシリカ(SiO2)中のケイ素イオン(Si4+)と同形置換される。SiO4四面体でSi4+→Al3+の同形置換が起こると、本来+4の電荷があるべきところに+3の電荷しかないため、周囲のO2-やOH-の負電荷が完全に中和されず、その差-1の負電荷が発生する。こうして発生した電荷が、電気的中性を保つためにゲッタリングサイトとして機能し、1価のイオンであるアルカリ金属イオン(Li+、Na+およびK+など)などの軽元素のイオンを取り込むこととなる。
【0026】
図1に、硝酸アルミニウムを塗布したシリカガラスの熱処理後のシリカガラスの内側部、中間部および外側部に含まれるアルミニウムの濃度を示す。図1より、シリカガラスの外側から中間部および内側部に向かってアルミニウム濃度が漸減していることから、硝酸アルミニウムの塗布面に近い外側部では、Al-同形置換が最も進み、ゲッタリングサイトが多く形成されるため、アルカリ金属イオンが多く取り込まれるが、中間部から内側部に向かってAl-同形置換が少なくなるため、アルカリ金属イオンの取り込み量も少なくなることがわかる。
【0027】
図2は、表面に硝酸アルミニウムを塗布して製造したシリカガラス(図2中、「使用後」と表示)と、塗布しないシリカガラス(図2中、「使用前」と表示)とにおいて、シリカガラス外側部および中間部におけるリチウム、ナトリウムおよびカリウムの含有量を示している。アルミニウムを使用しないシリカガラスでは、シリカガラス外側部および中間部のいずれにもリチウム、ナトリウムおよびカリウムが満遍なく散在するのに対して、アルミニウムを使用したシリカガラスでは、Al-同形置換によって形成されたゲッタリングサイトに、リチウム、ナトリウムおよびカリウムが引き寄せられて取り込まれる、いわゆる偏析現象を生じるため、中間部に比べて外側部に、リチウム、ナトリウムおよびカリウムが多く存在する傾向にある。つまり、本発明のシリカガラスでは、リチウム、ナトリウムおよびカリウムが中間部に少なく、外側部に多く存在している。
【0028】
なお、前記失透化処理は真空炉内で行う。硝酸アルミニウムを表面全体に均一に塗布したシリカガラスを真空炉に入れることで、シリカガラス表面の酸化や浸炭といった雰囲気からのシリカガラスへの汚染がなく、清浄な表面をもつシリカガラスが得られるためである。
【0029】
加熱後、真空炉内から失透シリカガラスを取り出して、その表層を除去する。工程3は、ゲッタリングによってアルカリ金属が多く取り込まれた失透シリカガラスの外側部を除去する工程である。工程3を行うために、本発明に係るシリカガラスは規格より多少肉厚なものであることが好ましい。具体的には、失透シリカガラスのうち、アルカリ金属が多く取り込まれた外側部をウォータージェットを用いて研削する。このようにして得られた本発明のシリカガラスは、その外側表面から内側までのナトリウム、リチウムおよびカリウムKなどのアルカリ金属の濃度が0.01ppm以下であり、かつ、外側表面から内側に向かって漸増する濃度分布を有する。アルカリ金属の濃度はレーザーアブレーションICP質量分析法(LA-ICP-MS)により測定する。
【0030】
前記のとおり、本発明のシリカガラスの製造方法では、シリカガラスに含まれるアルカリ金属を偏析させ、該シリカガラス内の表層領域である外側部を除去することで、特別な装置を用いることなく、安価に、該シリカガラス内の外側部のアルカリ金属による汚染を低減することができる。かかる方法により得られるシリカガラスは高純度であり、熱処理用治具などの半導体製造装置に好適に用いられる。
【実施例
【0031】
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明は、下記実施例により制限されるものではない。
[実施例1]
シリカガラスの表面に、硝酸アルミニウム・9水和物(Al(NO3)3・9H2O)5gを純水100mLに溶解させた0.05g/mL水溶液をスプレー噴射により塗布して乾燥させた後、真空炉内に入れて、10Pa下に1400℃で3時間加熱した。
【0032】
次いで、加熱後のシリカガラスで発生した失透について、失透発生部および失透未発生部にレーザーアブレーション(Laser Ablation)によるICP質量分析により評価した。
失透部はアルミニウムが付着しており、同失透部からはアルミニウム以外に、シリカガラス中の移動速度が速いアルカリ金属であるナトリウムおよびリチウムが失透前よりも増加していることが確認された。
【0033】
[実施例2~4]
実施例1と同様に、シリカガラスの表面に硝酸アルミニウム濃度を0.065g/mL、0.08g/mL、0.095g/mLと変化させた水溶液をスプレー噴射により塗布して乾燥させた後、真空炉内に入れて、105Pa下に1400℃で3時間加熱した。
【0034】
実施例1と同様に評価したところ、失透部はアルミニウムが付着しており、同失透部からはアルミニウム以外に、シリカガラス中の移動速度が速いアルカリ金属であるナトリウムおよびリチウムが失透前よりも増加していることが確認された。
【0035】
[比較例1]
シリカガラスの表面に、硝酸アルミニウム濃度0.035g/mL水溶液をスプレー噴射により塗布して乾燥させた後、真空炉内に入れて、105Pa下に1400℃で3時間加熱した。
【0036】
実施例1と同様に評価したところ、失透部の厚さが薄く、同失透部からはアルミニウム、ナトリウムおよびリチウムは失透前と同程度の量しか検出されなかった。
【0037】
[比較例2]
シリカガラスの表面に、硝酸アルミニウム濃度0.11g/mL水溶液をスプレー噴射により塗布して乾燥させた後、真空炉内に入れて、105Pa下に1400℃で3時間加熱した。
【0038】
実施例1と同様に評価したところ、失透部の厚さが厚くなり過ぎ、クラックが生じていた。
図1
図2
図3