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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-18
(45)【発行日】2023-05-26
(54)【発明の名称】多層フィルムを含む物品
(51)【国際特許分類】
   B32B 5/18 20060101AFI20230519BHJP
   B32B 3/26 20060101ALI20230519BHJP
   B29C 55/28 20060101ALI20230519BHJP
【FI】
B32B5/18
B32B3/26 B
B29C55/28
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019530663
(86)(22)【出願日】2017-12-04
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-12-19
(86)【国際出願番号】 US2017064401
(87)【国際公開番号】W WO2018106560
(87)【国際公開日】2018-06-14
【審査請求日】2020-12-02
(31)【優先権主張番号】62/432,337
(32)【優先日】2016-12-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】505005049
【氏名又は名称】スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100130339
【弁理士】
【氏名又は名称】藤井 憲
(74)【代理人】
【識別番号】100135909
【弁理士】
【氏名又は名称】野村 和歌子
(74)【代理人】
【識別番号】100133042
【弁理士】
【氏名又は名称】佃 誠玄
(74)【代理人】
【識別番号】100171701
【弁理士】
【氏名又は名称】浅村 敬一
(72)【発明者】
【氏名】エムスランダー,ジェフリー オー.
(72)【発明者】
【氏名】ヤング,ジャコブ ディー.
(72)【発明者】
【氏名】クレメンツ,ジョージ ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】ロザー,クリストファー ジェイ.
【審査官】深谷 陽子
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-229407(JP,A)
【文献】特開2002-225108(JP,A)
【文献】特開2012-218279(JP,A)
【文献】国際公開第2018/511669(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 1/00-43/00
B29C 44/00-44/60、55/00-55/30
B29C 61/00-61/10、67/20
C08J 9/00- 9/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の連続ポリマー層と、
第2の連続ポリマー層と、
前記第1の連続ポリマー層と前記第2の連続ポリマー層との間に配置されているポリマー多層フィルムと、
を有し、
前記ポリマー多層フィルムは、それぞれがストランドのランダムなネットワーク及び連結領域を示す複数のインフレーションポリマーフィルム層を有し、
前記ストランドのランダムなネットワークは、第1の光学濃度を有し、前記連結領域は、第2の光学濃度を有し、
前記第1の光学濃度は、前記第2の光学濃度よりも大きく、かつ
前記ポリマー多層フィルムの第1の主表面又は第2の主面のうちの少なくとも1つは、第1の連続ポリマー層及び/又は第2の連続ポリマー層をテクスチャ加工する、テクスチャ加工されたフィルム。
【請求項2】
前記複数のインフレーションポリマーフィルム層における少なくとも1つのポリマー層が、少なくとも20パーセントの開放気孔率を有する、請求項1に記載のフィルム。
【請求項3】
前記複数のインフレーションポリマーフィルム層における少なくとも1つのポリマー層が、残りのポリマー多層フィルムから分離可能である、請求項1又は2に記載のフィルム。
【請求項4】
グラフィック物品である、請求項1~のいずれか一項に記載のフィルム。
【請求項5】
テープである、請求項1~のいずれか一項に記載のフィルム。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2016年12月9日に出願された米国特許仮出願第62/432337号の優先権を主張するものであり、その開示の全容が参照により本明細書に組み込まれる。
構造及び/又はテクスチャを有する、ポリマーフィルム及びフィルム複合体を、製造し更なる機能性を得ることが、望まれている。このような機能性としては、テクスチャ加工された表面が平滑な表面に対してより広い表面積となることによる、光学的効果、及び/又は液体吸収若しくは固形分保持の増加を挙げることができる。
【0002】
テクスチャ又は構造は、例えば、パターニング処理されたチルロール上に溶融ポリマーをキャスティングすることによって、ポリマーフィルムに付加することができる。これには、各々の所望のテクスチャ又は構造化されたフィルムに対して、特定のパターニング処理されたロールを使用することが必要とされる。あるいは、パターニング処理されていないポリマーフィルムは、フィルム製造プロセスの後で、フィルム表面の少なくとも一部分を再加熱し、所望の反転のパターンを有するローラのうちの少なくとも1つにより、高圧ニップの間を通すことによって、エンボス加工することができる。この技術には、更なるプロセスのステップが必要とされ、各々の所望の最終的なテクスチャ又は構造のため、パターニング処理されたロールの生産及び使用が必要とされる。
【0003】
テクスチャ加工されたフィルムはまた、ポリマー層を不織布ウェブ上にコーティング又は貼り合わせすることによって製造することもできる。不織布層により、所望のテクスチャ又は構造が得られ、他方、フィルム層、例えばバリア層又は装飾層などにより、他の機能性が得られる。このプロセスには、所望の最終製品を製造するため、複数のプロセスのステップ、すなわち、不織布ウェブを製造するステップ、及び不織布上にポリマー層の貼り合わせ又はコーティングを施すための少なくとも第2のステップが必要とされる。
【0004】
独自のパターニング処理されたロールを必要とせずに、又はテクスチャ若しくは構造を製造するための副次的プロセスを必要とせずに製造することができる、構造化された及び/又はテクスチャ加工されたポリマーフィルム又はフィルム複合体を製造することが、なお必要とされている。
【発明の概要】
【0005】
本開示は、第1の連続ポリマー層と第2の連続ポリマー層との間に配置されているストランドのランダムなネットワーク(いくつかの実施形態では、伸びたストランド)及び連結領域(ランダムなネットワークは第1の光学濃度を有し、連結領域は第2の光学濃度を有し、第1の光学濃度は第2の光学濃度よりも高く、いくつかの実施形態では、連結領域の少なくとも一部に開口部が存在し、他方、いくつかの実施形態では、層内に開口部が存在しない(すなわち、層内に貫通穴(スルーホール)が存在しない。))を示す、少なくとも1つのポリマー層(いくつかの実施形態では、それぞれ、少なくとも2、3、4、5、6つ、又は更には少なくとも7つのポリマー層)を有する、第1の連続ポリマー層と第2の連続ポリマー層を含む物品を記載する。いくつかの実施形態では、ストランドのランダムなネットワーク及び連結領域をそれぞれが示す更なるポリマー層の全て、又は更なるポリマー層のいくつかは、ストランドのランダムなネットワーク及び連結領域を示す別の層に隣接している。いくつかの実施形態では、物品はポリマー多層フィルムである。
【0006】
本明細書に記載の実施形態の物品は、例えば、耐滑面を有するテープ及びポリマー多層フィルムに有用である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本明細書で説明される例示的物品の断面概略図である。
【0008】
図1A図1に示される例示的なポリマー多層フィルムを有する、本明細書に記載の例示的な物品の側面図である。
【0009】
図2】別の例示的なストランドのランダムなネットワーク及び連結領域の上面図である。
【0010】
図3】本明細書に記載のポリマー多層フィルムを製造するための例示的な装置である。
【0011】
図3A図3に示す装置で使用する例示的な環状ダイである。
【0012】
図4】実施例1のポリマー多層フィルムの光学画像である。
図4A】実施例1のポリマー多層フィルムの光学画像である。
【0013】
図5】実施例2のポリマー多層フィルムの光学画像である。
図5A】実施例2のポリマー多層フィルムの光学画像である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本開示は、第1の連続ポリマー層と第2の連続ポリマー層との間に配置されているストランドのランダムなネットワーク(いくつかの実施形態では、伸びたストランド)及び連結領域(ランダムなネットワークは第1の光学濃度を有し、連結領域は第2の光学濃度を有し、第1の光学濃度は第2の光学濃度よりも大きく、いくつかの実施形態では、連結領域の少なくとも一部に開口部が存在し、他方、いくつかの実施形態では、層内に開口部が存在しない(すなわち、層内に貫通穴(スルーホール)が存在しない。))を示す、少なくとも1つのポリマー層(いくつかの実施形態では、それぞれ、少なくとも2、3、4、5、6つ、又は更には少なくとも7つのポリマー層)を有する、第1の連続ポリマー層と第2の連続ポリマー層を含む物品を記載する。いくつかの実施形態では、ストランドのランダムなネットワーク及び連結領域をそれぞれが示す更なるポリマー層の全て、又は更なるポリマー層のいくつかは、ストランドのランダムなネットワーク及び連結領域を示す別の層に隣接している。いくつかの実施形態では、物品はポリマー多層フィルムである。
【0015】
図1及び図1Aを参照すると、例示的な物品99は、第1の連続ポリマー層及び第2の連続ポリマー層、それぞれ105及び106の間に配置された例示的なポリマー多層フィルム100を有する。ポリマー多層フィルム100は、ストランドのランダムなネットワーク103及び連結領域104を示す層101を有する。層101が見えるよう、連続層105を、図1には示していない。また、ポリマー多層フィルム100の層101のみが示されている。
【0016】
図2を参照すると、ストランド203のランダムなネットワーク及び連結領域204の別の例が示されている。
【0017】
いくつかの実施形態では、ストランドのランダムなネットワーク及び連結領域を示す層、並びに他の層は、独立して、ポリオレフィン材料(例えば、ポリプロピレン及び/又はポリエチレン)、変性ポリオレフィン材料、ポリビニルクロライド、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリエステル(コポリエステルを含む)、ポリ乳酸、ポリフッ化ビニリデン、(メタ)アクリル(例えば、ポリメチルメタクリレート)、ウレタン、アクリルウレタン、エチレンビニルアセテートコポリマー、アクリレート変性エチレンビニルアセテートポリマー、エチレンアクリル酸コポリマー、ナイロン、エンジニアリングポリマー(例えば、ポリケトン及び/又はポリメチルペンタン)、又はエラストマー(例えば、天然ゴム;合成ゴム;イソプレンブロック、ブタジエンブロック、若しくはエチレン(ブチレン)ブロックを含有するスチレンブロックコポリマー;メタロセン触媒によるポリオレフィン、ポリウレタン;若しくはポリジオルガノシロキサン)のうちの少なくとも1つを含む。
【0018】
いくつかの実施形態では、ストランドのランダムなネットワーク及び連結領域を示す層が、少なくとも1%(いくつかの実施形態では、少なくとも5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75%、又は更には少なくとも80%、いくつかの実施形態では、1~80%の範囲)の開放気孔率を有する。
【0019】
概して、本明細書に記載の、少なくとも1つの層を含み、ストランドのランダムなネットワーク及び連結領域を示すポリマー多層フィルムは、環状ダイを使用するインフレーションフィルムプロセスにて、層をオーバーフォーミングし、径方向に向いたフィルムの溶融チューブを「気泡」内の空気圧により形成することによって製造することができ、また、溶融領域内で長さ方向に引張り、フィルムを最終的な所望の厚さまで薄くすることもできる。例えば、図3を参照すると、本明細書に記載の、少なくとも2つの隣接する層を含み、ストランドのランダムなネットワーク及び連結領域を各々が示す、ポリマー多層フィルムを製造するための装置300は、ホッパ304、押出機306、環状ダイ308、空気リング310、押しつぶしフレーム314、ニップ317を形成するローラ316A、316B、スリットステーション323、及びアイドラーロール318、319を含む。図3Aを参照すると、積層ダイプレートを含む9層の環状ダイ308の更なる詳細が示されており、各々の個々のダイプレートの積層の層は、機械加工されたポリマーの流路309A、309B、309C、309D、309E、309F、309G、309H、309Iを有する。フィルム製造プロセス中、溶融ポリマーは、流路309A、309B、309C、309D、309E、309F、309G、309H、309Iを通って中央ダイシリンダー310に接触し、次いで、他の層と組み合わせて上向きに流れ、環状ダイ開口部311を出て、多層フィルムチューブ312を形成する。ポリマー多層フィルムにおける層の数は、環状ダイにおいてダイプレートを積層する数によって調整することができる。
【0020】
動作中、樹脂302(典型的にはペレットの形態)及び他の添加剤を、ホッパ304に添加する。溶融樹脂又は流動性の樹脂は、押出機306から出て環状ダイ308内に入る。空気リング310により、均一な空気流が溶融ポリマーの気泡上で得られ、ニップロール316Aと316Bとを接触させることによって形成された、ニップ317を通ることによって、ポリマーの気泡の冷却中に円形フィルムの気泡312が押しつぶされたフィルムチューブ320に形成されることを、安定化しそれに役立つ。押しつぶされたフィルムチューブはアイドラーロール318を横断し、スリットステーション323を通って、更なるアイドラーロール319を通る2枚の平坦なフィルム320A及び320Bが形成される。次いで、フィルム320A及び320Bは、それぞれ個々のロール321A及び321Bに巻き取られる。ポリマー多層フィルムの層は、例えば、押出機内の溶融ポリマー中にガスを導入することによって、フォーミング又はオーバーフォーミングすることができる。ガスは、押出プロセスの熱及び圧力下でポリマー中に容易に吸収される。溶融ポリマーが押出ダイから出る際、吸収された加圧ガスは急速に膨張し、空隙を形成する。適切なプロセス条件を調整することができ、これにより、ポリマーが固化する際、空隙構造が「ロックされ」、発泡構造がポリマーフィルム中で得られる。
【0021】
層のフォーミングは、例えば、その層のための樹脂中に発泡剤を含ませるか、又は注入することによって促進することができる。発泡剤は、当該技術分野において公知であり、溶融ポリマー中への注入ガス(例えば、窒素又は二酸化炭素)を含む。発泡剤は当該技術分野において公知であり、米国特許第8,563,621号(Lapierre)に記載されているアルカリ土類金属炭酸塩とアルカリ金属酸塩とのブレンドを含み、その開示が参照により本明細書に組み込まれる。例示的な市販の発泡剤としては、Polyfil Corp.(Rockaway,NJ)から商品名「ECOCELL H」で市販されているものが挙げられる。ポリマーのための他の例示的な化学的発泡剤は、当該技術分野において公知であり、ヒドラジン、ヒドラジド、及びアゾジカルボンアミド材料(例えば、4,4’-オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)(OBSH)(例えば、ChemPoint(Bellevue,WA)から商品名「CELOGEN OT」でマスターバッチの形態にて入手可能)を含む。別の例示的な化学的発泡剤は、RTP Company(Winona,MN)から商品名「FCX111263」でマスターバッチとして入手可能な吸熱発泡剤である。
【0022】
いくつかの実施形態では、成形剤を樹脂に添加し、押出機内に供給する。発泡剤及び他の処理条件を選択又は調整することで、ストランドのランダムなネットワーク及び連結領域を示す層を含む、所望の又は許容可能なポリマー多層フィルムが得られる。
【0023】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のポリマー多層フィルムの少なくとも1つの層は、紫外線(UV)吸収剤を含む。UV吸収層(例えばUV保護層)は、UV光(いくつかの実施形態では、任意のUV光)を吸収することにより、UV光が引き起こす経時的なダメージ/分解(degradation:劣化)から、他の層又は基材を保護することに役立ち得る。
【0024】
いくつかの実施形態では、UV吸収剤は、少なくとも70%(いくつかの実施形態では、少なくとも80%、又は更には90%)の180nm~400nmの波長領域においてUV光を吸収する、長波長にシフトしたUV吸収剤(RUVA)である。典型的には、RUVAは、ポリマー中で高溶解性であり、高吸収性であり、光耐久性であり、保護層の形成のための押出工程の少なくとも200~300℃の温度範囲で熱安定性であることが望ましい。いくつかの実施形態では、RUVAは、モノマーと共重合可能であり、フリーラジカル開始剤硬化、UV硬化、ガンマ線硬化、電子ビーム硬化、又は熱硬化プロセスのうちの少なくとも1つによって保護コーティング層を形成する。例示的なUVAは、例えば、国際公開第2014/10055(A1)号(Olsonら)、同第2014/100580(A1)号(Olsonら)、同第2015/200655号(Olsonら)、同第2015/200669号(Olsonら)、及び同第2015/200657号(Olsonら)に記載されるようなUVAオリゴマーであり、その開示が参考として本明細書に組み込まれる。
【0025】
RUVAは、典型的には、長波長UV領域(すなわち、300nm~400nm)において高まったスペクトル有効範囲を有し、ほとんどのポリマーにおいて黄変の原因となり得る長波長UV光を遮断することができる。典型的なUV保護層は、約13マイクロメートル(μm)~380μmの範囲の厚さを有し、RUVA担持濃度が約2~10重量%の範囲である。例示的なRUVAとしては、ベンゾトリアゾール化合物、5-トリフルオロメチル-2-(2-ヒドロキシ-3-α-クミル-5-tert-オクチルフェニル)-2H-ベンゾトリアゾール(BASF Corporation(Florham,NJ)から、商品名「CGL-0139」で入手可能)、ベンゾトリアゾール(例えば、2-(2-ヒドロキシ-3,5-ジ-α-クミルフェニル)-2H-ベンゾトリアゾール、5-クロロ-2-(2-ヒドロキシ-3-tert-ブチル-5-メチルフェニル)-2H-ベンゾチアゾール、5-クロロ-2-(2-ヒドロキシ-3,5-ジ-tert-ブチルフェニル)-2H-ベンゾトリアゾール、2-(2-ヒドロキシ-3,5-ジ-tert-アミルフェニル)-2H-ベンゾトリアゾール、2-(2-ヒドロキシ-3-α-クミル-5-tert-オクチルフェニル)-2H-ベンゾトリアゾール、2-(3-tert-ブチル-2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)-5-クロロ-2H-ベンゾトリアゾール)、及び2(-4,6-ジフェニル-1-3,5-トリアジン-2-イル)-5-ヘキシルオキシ-フェノールが挙げられる。更なる市販のRUVAとしては、BASF Corporationから、商品名「TINUVIN 1577」、「TINUVIN 1600」、及び「TINUVIN 777」で入手可能なものが挙げられる。他の例示的なUV吸収剤は、例えば、Sukano Polymers Corporation(Duncan,SC)から、商品名「TA11-10 MB03」で、ポリメチルメタクリレート(PMMA)UVAマスターバッチにて入手可能である。
【0026】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のポリマー多層フィルムの少なくとも1つの層は、ヒンダードアミン光安定剤(HALS)を含む。例示的なHALSとしては、BASF Corporationから、商品名「CHIMASSORB 944」及び「TINUVIN 123」で入手可能なものが挙げられる。別の例示的なHALSは、例えば、BASF Corp.から、商品名「TINUVIN 944」で入手可能である。
【0027】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のポリマー多層フィルムの少なくとも1つの層は、酸化防止剤を含む。例示的な酸化防止剤としては、BASF Corporationから、商品名「IRGANOX 1010」及び「ULTRANOX 626」で入手可能なものが挙げられる。
【0028】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のポリマー多層フィルムの少なくとも1つの層は、酸化防止剤を含む。酸化防止剤により、発色、並びにポリマー多層フィルムの物理的特性及び機械的特性の劣化を、低減又は防止することができる。例示的な酸化防止剤材料としては、例えば、Cytec Solvay Group(Woodland Park,NJ)から商品名「CYANOX 1790」及び「CYANOX 2777」で市販されているものが挙げられる。
【0029】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のポリマー多層フィルムの少なくとも1つの層は、少なくとも1つの帯電防止材料を含む。帯電防止材料により、例えば、仕上げた製品への塵埃及び埃の誘引を低減すること、放出物によるスパークを低減すること、可燃性液体及びガスの着火を低減すること、電子マイクロ回路へのダメージを低減すること、並びに搬送機器の詰まりを低減することができる。例示的な帯電防止材料としては、Cytec Solvay Group(Woodland Park,NJ)から商品名「CTASTAT 609」及び「CYASTAT SN」で入手可能なものが挙げられる。
【0030】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のポリマー多層フィルムの少なくとも1つの層は、剥離剤を含む。例示的な剥離剤が、アルキルジメチコン、ポリビニルオクタデシルカルバメート、又はエチレンビス-ステアラミドのうちの少なくとも1つを含む。アルキルジメチコンは、例えば、米国特許第9,187,678号(Boardmanら)に記載されている。ポリビニルオクタデシルカルバメートは、例えば、Mayzo,Inc.(Suwanee,GA)から商品名「ESCOAT P-77」(直鎖状低密度キャリア樹脂中のポリビニルオクタデシルカルバメート)で市販されている。エチレンビス-ステアラミドは、例えば、Ampacet Corporation(Tarrytown,NY)から商品名「AMPACET 100666」で入手可能である。感圧接着テープ又は接着テープは、多くの場合、ロール形態で得られ、テープ構造体は、バッキング、バッキングの一方の主面上の接着剤層、及びバッキングの他方の主面上の剥離層を含む。剥離層により、テープを、ロールから制御されたレベルで繰り出すことが可能になる。剥離特性を有する他の物品は、様々な用途で使用されている。テープ、ダイカット接着剤物品、及びラベルをはじめとする、任意の接着剤コーティング物品には、実用性の問題として、剥離コーティング又は別個の剥離ライナーが必要とされる。剥離コーティング又は剥離ライナーにより、物品が持続して接着しない表面が得られる。
【0031】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のポリマー多層フィルムの少なくとも1つの層は、滑剤又はブロッキング剤のうちの少なくとも1つを含む。滑剤により、フィルムの表面特性を改質し、フィルム層と他の表面との間の摩擦を低下させることができる。効果的にするために、滑剤は、ポリマーから表面に移る必要があり、したがって、ある程度のポリマーとの非相溶性を有することが必要となる。
【0032】
例示的な滑剤としては、エルカミド又はオレアミドなどの脂肪酸アミドが挙げられる。処理中、滑剤は非晶質溶融物中に可溶化するが、ポリマーが冷却及び結晶化するにつれ、脂肪酸、アミドは「絞り出され」、潤滑層がポリマー表面に形成される。滑剤の添加により、フィルムの粘着及び引張を低減又は防止することができ、スループットを高めるのに役立つ。例示的な滑剤は、例えば、Ampacet Corporation(Tarrytown,NY)から商品名「AMPACET 100497」(1%のエルカミドを低密度ポリエチレンキャリア樹脂中に含有するマスターバッチ)、及び「#10358」(5%のオレアミドのマスターバッチ、ポリエチレンキャリア中)で市販されている。
【0033】
ブロッキング剤により、層のブロッキングを低減又は防止することができる。ポリオレフィン及び他のプラスチックフィルムは、一緒に接着する傾向を有し、多くの場合、層を分離することが困難になる。ブロッキングと呼ばれるフィルム層間のこの接着は、いくつかのポリマーの固有の特性である。ブロッキング防止添加剤をフィルムに添加することにより、この接着を最小限に抑え、層間のブロッキング力を低下させることができる。プラスチック中に混錬されると、これらの添加剤により、微細粗面が生じ、フィルム層間の接着が低減され、ブロッキング傾向が低下する。例示的なブロッキング防止剤は、典型的には、珪藻土、タルク、炭酸カルシウム、粘土、雲母、及びセラミック球などの無機材料である。例示的なブロッキング防止剤は、例えば、Polyfil Corporation(Rockaway,NJ)から商品名「ABC5000」で、及びAmpacet Corp.から商品名「AMPACET 102077」で市販されている。
【0034】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のポリマー多層フィルムの少なくとも1つの層は、耐摩耗材料を含む。耐摩耗材料を添加することにより、仕上げた製品の掻き傷、損傷、及び摩耗を低減することができる。例示的な耐摩耗材料は、例えば、Dow Corming(Auburn,MI)から商品名「MB25-381」(シロキサンポリマーを含有するマスターバッチ)で市販されている。
【0035】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のポリマー多層フィルムの少なくとも1つの層は、染料又は顔料のうちの少なくとも1つを含む(例えば、白色、黄色、緑色、青色、赤色、橙色、褐色、黒色などの色を付与している)。例示的な染料としては、例えば、Clariant International AG(Muttenz,Switzerland)から商品名「CLARIANT REMAFIN PE63421213-ZN」(緑色染料マスターバッチ)で市販されているものが挙げられる。例示的な顔料としては、二酸化チタン、酸化亜鉛、及び二酸化ジルコニウムが挙げられる。例示的な顔料による、二酸化チタン顔料のポリオレフィンキャリア中の市販のマスターバッチには、Standridge Color Corporation(Social Circle,GA)からの商品名「#11937」がある。
【0036】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のポリマー多層フィルムの少なくとも1つの層は、インク又は塗料受容材料のうちの少なくとも1つを含む。インク受容材料は、フィルムの機能性又は美観を改善するために、表示要素又は装飾要素をフィルムに付加するのに望ましい場合がある。例示的な受容材料としては、例えば、米国特許第6,316,120号(Emslander)に記載されているような、エチレン/ビニルアセテート/一酸化炭素ターポリマーが挙げられ、その開示が参照により本明細書に組み込まれる。
【0037】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のポリマー多層フィルムの少なくとも1つの層は、金属(例えば、アルミニウム、青銅、ステンレス鋼、亜鉛、鉄、スズ、銀、金、及び/又はチタン)粒子を含む。金属粒子により、スパークル又は真珠光沢などの独特な装飾的態様をフィルムに施すことができる。例示的な金属粒子添加剤は、例えば、Cary Company(Addison,IL)から商品名「PELLEX A240-50」(金属グリッターマスターバッチ)で市販されている。
【0038】
例示的な連続層は、ポリオレフィン材料(例えば、ポリプロピレン及び/又はポリエチレン)、変性ポリオレフィン材料、ポリビニルクロライド、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリエステル(コポリエステルを含む)、ポリ乳酸、ポリフッ化ビニリデン、(メタ)アクリル(例えば、ポリメチルメタクリレート)、ウレタン、アクリルウレタン、エチレンビニルアセテートコポリマー、アクリレート変性エチレンビニルアセテートポリマー、エチレンアクリル酸コポリマー、ナイロン、エンジニアリングポリマー(例えば、ポリケトン及び/又はポリメチルペンタン)、又はエラストマー(例えば、天然ゴム;合成ゴム;イソプレンブロック、ブタジエンブロック、若しくはエチレン(ブチレン)ブロックを含有するスチレンブロックコポリマー;メタロセン触媒によるポリオレフィン、ポリウレタン;若しくはポリジオルガノシロキサン)のうちの少なくとも1つを含む。連続層は、連続層組成物の構成成分を含む押出可能な組成物のホットメルト押出などのもの、上述したように、当該技術分野で公知の技術によって得ることができるポリマーフィルムである。押出可能な連続層を製造するための例示的な方法は、例えば、Progelhof,R.C.,and Throne,J.L,「Polymer Engineering Principles,」Hanser/Gardner Publications,Inc.,Cincinnati,OH,1993に記載されており、その開示は参照により本明細書に組み込まれる。いくつかの実施形態では、ストランドのランダムなネットワーク及び連結領域を示す層に隣接する連続層は、ストランドのランダムなネットワーク及び連結領域からテクスチャ加工される(例えば、連続層は、ストランドのランダムなネットワーク及び連結領域のテクスチャに少なくとも部分的に適合し得る)。
【0039】
あるいは、例えば、少なくとも1つの層を別個のシートとして押し出し、一緒に貼り合わせしてもよい。いくつかの実施形態では、基材により、最も高価な樹脂の使用を最小限に抑えながら、様々な層内のいくつかの樹脂の最良の特性を有利に組み合わせることができ、画像受容媒体の価値の高度化及びコスト低減をもたらすことができる。例えば、基材層は、概して低コストの樹脂で製造することができ、多層フィルムに特に所望の物理的特性をもたらすように選択することができる。これらの特性としては、寸法安定性、耐引裂性、適合性、エラストマー特性、ダイカット性、剛性、及び耐熱性を挙げることができる。
【0040】
ストランドのランダムなネットワーク及び連結領域を示す2つ以上の層を含むいくつかの実施形態では、少なくとも2つのこのような層には、ストランド及び連結領域の異なるランダムなネットワークを示す。
【0041】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のポリマー多層フィルムの第1の主表面又は第2の主面の少なくとも1つ(いくつかの実施形態では、それぞれ)は、少なくとも0.4(いくつかの実施形態では、少なくとも0.5、0.6、0.7、又は更に少なくとも0.8、いくつかの実施形態では、0.4~0.8の範囲)の摩擦係数を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるポリマー多層フィルムの第1の主表面又は第2の主面のうちの少なくとも1つは、第1の及び第2の異なる摩擦係数を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のポリマー多層フィルムの第1の主面は、第1の及び第2の異なる摩擦係数を有し、ポリマー多層フィルムの第2の主面は、第3の及び第4の異なる摩擦係数を有する。いくつかの実施形態では、第1の及び第3の摩擦係数は同一であり、他の実施形態では異なっており、そして第2の及び第4の摩擦係数は同一であり、他の実施形態では異なっている。ポリマー面の摩擦係数は、いくつかの方法で制御又は修正することができる。共押出可能な樹脂は、固有の摩擦係数を有する傾向があるため、押出可能な樹脂の選択を変更することによって、摩擦係数を変化させることができる。ポリエチレンは、例えば典型的には、樹脂の密度が低下すると増加した係数を示す。同様の効果は典型的に、エチレンが、例えば、コポリマー、ブタン、ヘキセン、オクテンエン、酢酸ビニル、又はメチルアクリレートで重合されるときに生じる。摩擦係数はまた、上記の滑剤などの添加剤を使用することによって変化させることもできる。摩擦係数はまた、ストランドのランダムなネットワーク及び連結領域を示す下層によって調整することもできる。
【0042】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のポリマー多層フィルムは、1~1000μmの範囲の厚さ(いくつかの実施形態では、25~500μm、50~250μm、又は更には2~10μmの範囲の厚さ)を有する。
【0043】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のポリマー多層フィルムは、縦方向及び横方向を有し、ポリマー多層フィルムが、横方向において弾性を有する。
【0044】
本明細書に記載の実施形態の物品は、耐滑面及びテープを有するテープ及びポリマー多層フィルムを含む。
例示的実施形態
1.第1の連続ポリマー層と第2の連続ポリマー層との間に配置されているストランドのランダムなネットワーク(いくつかの実施形態では、伸びたストランド)及び連結領域(ランダムなネットワークは第1の光学濃度を有し、連結領域は第2の光学濃度を有し、第1の光学濃度は第2の光学濃度よりも高く、いくつかの実施形態では、連結領域の少なくとも一部に開口部が存在し、他方、いくつかの実施形態では、層内に開口部が存在しない(すなわち、層内に貫通穴(スルーホール)が存在しない。))を示す、少なくとも1つのポリマー層(いくつかの実施形態では、それぞれ、少なくとも2、3、4、5、6つ、又は更には少なくとも7つのポリマー層)を有する、第1の連続ポリマー層と第2の連続ポリマー層を含む、物品。いくつかの実施形態では、ストランドのランダムなネットワーク及び連結領域をそれぞれが示す更なるポリマー層の全て、又は更なるポリマー層のいくつかは、ストランドのランダムなネットワーク及び連結領域を示す別の層に隣接している。
2.ストランドのランダムなネットワーク及び連結領域を示す層が、独立して、ポリオレフィン材料(例えば、ポリプロピレン及び/又はポリエチレン)、変性ポリオレフィン材料、ポリビニルクロライド、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリエステル(コポリエステルを含む)、ポリ乳酸、ポリフッ化ビニリデン、(メタ)アクリル(例えば、ポリメチルメタクリレート)、ウレタン、アクリルウレタン、エチレンビニルアセテートコポリマー、アクリレート変性エチレンビニルアセテートポリマー、エチレンアクリル酸コポリマー、ナイロン、エンジニアリングポリマー(例えば、ポリケトン及び/又はポリメチルペンタン)、又はエラストマー(例えば、天然ゴム、合成ゴム、イソプレン、ブタジエン、若しくはエチレン(ブチレン)ブロックを含有するスチレンブロックコポリマー、メタロセン触媒ポリオレフィン、ポリウレタン;若しくはポリジオルガノシロキサン)のうちの少なくとも1つを含む、例示的実施形態1に記載の物品。
3.ストランドのランダムなネットワーク及び連結領域を示す少なくとも1つの層が、少なくとも1%(いくつかの実施形態では、少なくとも5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75%、又は更には少なくとも80%、いくつかの実施形態では、1~80%の範囲)の開放気孔率を有する、例示的実施形態1又は2に記載の物品。
4.ストランドのランダムなネットワーク及び連結領域を示す層が、残りのポリマー多層フィルムから分離可能である、例示的実施形態1~3のいずれか1つに記載の物品。
5.第1の連続層及び第2の連続層が、独立して、ポリオレフィン材料(例えば、ポリプロピレン及び/又はポリエチレン)、変性ポリオレフィン材料、ポリビニルクロライド、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリエステル(コポリエステルを含む)、ポリ乳酸、ポリフッ化ビニリデン、(メタ)アクリル(例えば、ポリメチルメタクリレート)、ウレタン、アクリルウレタン、エチレンビニルアセテートコポリマー、アクリレート変性エチレンビニルアセテートポリマー、エチレンアクリル酸コポリマー、ナイロン、エンジニアリングポリマー(例えば、ポリケトン及び/又はポリメチルペンタン)、又はエラストマー(例えば、天然ゴム、合成ゴム、イソプレン、ブタジエン、若しくはエチレン(ブチレン)ブロックを含有するスチレンブロックコポリマー、メタロセン触媒ポリオレフィン、ポリウレタン;若しくはポリジオルガノシロキサン)のうちの少なくとも1つを含む、例示的実施形態1~4のいずれか1つに記載の物品。
6.第1の連続層が、スキン層である、例示的な実施形態1~5のいずれか1つに記載の物品。
7.ストランドのランダムなネットワーク及び連結領域を示す第2の層を更に含む、例示的実施形態1~6のいずれか1つに記載の物品。
8.ストランドのランダムなネットワーク及び連結領域を示す第2の層が、ストランドのランダムなネットワーク及び連結領域を含む第1の層とは異なる、ストランドのランダムなネットワーク及び連結領域を有する、例示的実施形態7の物品。
9.1~1000μmの範囲の厚さ(いくつかの実施形態では、25~500μm、50~250μm、又は更には2~10μmの範囲の厚さ)を有する、例示的実施形態1~8のいずれか1つに記載の物品。
10.染料又は顔料のうちの少なくとも1つを更に含む(例えば、白色、黄色、緑色、青色、赤色、橙色、褐色、黒色などの色を付与している)、例示的実施形態1~9のいずれか1つに記載の物品。
11.少なくとも1つの帯電防止材料を更に含む、例示的実施形態1~10のいずれか1つに記載の物品。
12.インク又は塗料受容材料のうち少なくとも1つを更に含む、例示的実施形態1~11のいずれか1つに記載の物品。
13.金属(例えば、アルミニウム、青銅、ステンレス鋼、亜鉛、鉄、スズ、銀、金、及び/又はチタン)粒子を更に含む、例示的実施形態1~12のいずれか1つに記載の物品。
14.剥離剤を更に含む、例示的実施形態1~13のいずれか1つに記載の物品。
15.耐摩耗材料を更に含む、例示的実施形態1~14のいずれか1つに記載の物品。
16.滑剤又はブロッキング防止剤のうち少なくとも1つを更に含む、例示的実施形態1~15のいずれか1つに記載の物品。
17.ヒンダードアミン光安定剤(HALS)を更に含む、例示的実施形態1~16のいずれか1つに記載の物品。
18.UV安定剤を更に含む、例示的実施形態1~17のいずれか1つに記載の物品。
19.縦方向及び横方向を有し、ポリマー多層フィルムが、横方向において弾性を有する、例示的実施形態1~18のいずれか1つに記載の物品。
20.ポリマー多層フィルムの第1の主表面又は第2の主表面のいずれかに取り付けられた主表面を有するライナーを更に含む、例示的実施形態1~19のいずれか1つに記載の物品。いくつかの実施形態では、ポリマー多層フィルムの各々の主表面は、それに取り付けられたライナーを有する。
21.ライナーが、ストランドのランダムなネットワーク及び連結領域を示すポリマー多層フィルムを含む、例示的実施形態20に記載の物品。
22.本明細書に記載のポリマー多層フィルムの第1の主表面又は第2主面のうちの少なくとも1つ(いくつかの実施形態では、それぞれ)は、少なくとも0.4(いくつかの実施形態では、少なくとも0.5、0.6、0.7、又は更に少なくとも0.8、いくつかの実施形態では、0.4~0.8の範囲)の摩擦係数を有する、例示的実施形態1~21のいずれか1つに記載の物品。
23.テープである、例示的実施形態1~22のいずれか1つに記載の物品。
【0045】
本発明の利点及び実施形態を以降の実施例によって更に説明するが、これら実施例において述べられる特定の材料及びそれらの量、並びに他の条件及び詳細は、本発明を不当に制限するものと解釈されるべきではない。全ての部分及びパーセントは、特に指示のない限り、重量に基づく。
【0046】
実施例1
7層のフィルムを製造するには、7層環状積層ダイ(Labtech Engineering(Samut Prakan,Thailand)から商品名「COEX7層」(LF-400型)で入手)を使用して、7枚の積層ダイプレートのみが存在することを除き、図3及び図3Aに示される装置を使用した。ダイへの空気流を手動で制御し、約2:1のブローアップ比とした。続いて、気泡を、ダイの上で約3メートル(10フィート)に押しつぶし、巻き取った。供給材料を送り込むには、約30:1の長さ対直径比を有する、7個の独立した直径20mmの押出機によった。
【0047】
第1の押出機を使用し、低密度ポリエチレン(LyondellBasell(Houston,TX)から商品名「PETROTHENE NA217000 5.6 MFI」で入手)を溶融し、環状積層ダイの内部路内に押出した。溶融温度を180℃で維持した。第2及び第3の押出機を使用し、同じ樹脂を続く第1の樹脂の外層中に供給した。第4の押出機を使用し、96%の熱可塑性ポリオレフィン(LyondellBasell(Houston,TX)から商品名「ADFLEX X500F」として市販されている)と4%の化学的発泡剤(Polyfil Corp.(Rockaway,NJ)から商品名「ECOCELL H」で入手)とを含有する、ブレンドを供給した。215℃の溶融温度を維持した。第5、第6、及び第7の押出機を使用し、同じ低密度ポリエチレン樹脂を環状積層体ダイの外側層へ供給し、各層は180℃の温度を維持した。ダイ温度を180℃で維持した。30回転/分のスクリュー速度を用いた。
【0048】
得られたポリマー多層フィルムの画像を図4及び図4Aに示す(ストランド405のランダムなネットワーク及び連結領域406を御覧のこと)。
【0049】
実施例2
ポリマー多層フィルムは、低密度ポリエチレンのみを含有する第1、第2、第3、及び第4の押出機、同じ化学発泡剤とスチレンエチレンブチレンスチレン(SEBS)コポリマー(PolyOne(Avon Lake,OH)から商品名「KRATON G 1657」として市販されている)とのブレンドを含有していた第5の押出機、並びにエチレン酢酸ビニルコポリマー(Westlake Chemical Corporation(Houston,TX)から商品名「WESTLAKE EF446」で入手)を含有していた第6及び第7の押出機を除いて、実施例1に記載の通りに調整した。化学発泡剤を入れている層については、215℃の溶融温度を維持した。全ての他の層について、180℃の溶融温度を維持した。ダイを180℃で維持した。
【0050】
得られたポリマー多層フィルムの画像を図5及び図5Aに示す。
【0051】
本発明の範囲及び趣旨から外れることなく、本開示の予測可能な修正及び変更が当業者にとって自明であろう。本発明は、例示目的のために本出願に記載されている実施形態に限定されるものではない。
なお、以上の各実施形態に加えて以下の態様について付記する。
(付記1)
第1の連続ポリマー層及び第2の連続ポリマー層を含む物品であって、前記第1の連続ポリマー層と前記第2の連続ポリマー層との間に配置されているストランドのランダムなネットワーク及び連結領域を示す少なくとも1つのポリマー層を有する、物品。
(付記2)
ストランドのランダムなネットワーク及び連結領域を示す少なくとも1つのポリマー層が、少なくとも20パーセントの開放気孔率を有する、付記1に記載の物品。
(付記3)
ストランドのランダムなネットワーク及び連結領域を示す少なくとも1つのポリマー層が、残りのポリマー多層フィルムから分離可能である、付記1又は2に記載の物品。
(付記4)
ポリマー多層フィルムである、付記1~3のいずれか一項に記載の物品。
(付記5)
本明細書に記載のポリマー多層フィルムの前記第1の主表面又は第2の主面のうちの少なくとも1つは、少なくとも0.4の摩擦係数を有する、付記1~4のいずれか一項に記載の物品。
(付記6)
グラフィック物品である、付記1~5のいずれか一項に記載の物品。
図1
図1A
図2
図3
図3A
図4
図4A
図5
図5A