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特許7282033ロボットに取り付けられるクロージャー装置、及びロボット
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-18
(45)【発行日】2023-05-26
(54)【発明の名称】ロボットに取り付けられるクロージャー装置、及びロボット
(51)【国際特許分類】
   B25J 19/00 20060101AFI20230519BHJP
   F16J 15/10 20060101ALI20230519BHJP
   F16B 43/00 20060101ALI20230519BHJP
   F16B 5/10 20060101ALI20230519BHJP
   F16B 21/04 20060101ALI20230519BHJP
【FI】
B25J19/00 H
F16J15/10 T
F16J15/10 P
F16B43/00 A
F16B5/10 D
F16B21/04 H
【請求項の数】 23
(21)【出願番号】P 2019531174
(86)(22)【出願日】2017-12-01
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-01-16
(86)【国際出願番号】 EP2017081130
(87)【国際公開番号】W WO2018104161
(87)【国際公開日】2018-06-14
【審査請求日】2020-08-17
(31)【優先権主張番号】102016014660.5
(32)【優先日】2016-12-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】504389784
【氏名又は名称】デュール システムズ アーゲー
【氏名又は名称原語表記】Durr Systems AG
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 泰司
(72)【発明者】
【氏名】ヘーツェル、トーマス
(72)【発明者】
【氏名】ハース、ユルゲン
【審査官】神山 貴行
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-127073(JP,A)
【文献】特開平10-303571(JP,A)
【文献】特開2007-033316(JP,A)
【文献】仏国特許出願公開第02818252(FR,A1)
【文献】特開平04-346497(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第02632002(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 19/00
F16J 15/10
F16B 5/10
F16B 21/04
F16B 43/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コーティングロボットであるロボット(100)であって、前記ロボット(100)は、取り外し可能なカバー部材(1)によって過圧密閉されるキャビティ(101)を有し、及び前記ロボット(100)に取り付けられるクロージャー装置を有し、
前記クロージャー装置は、前記カバー部材(1)を前記ロボット(100)に締め付けるための回転可能なクロージャー部材(2)を有する締め付け装置(2、3)を備え、
前記締め付け装置(2、3)は、前記クロージャー部材(2)を部分的に受け入れて固定するためのクロージャーブッシング(3)を有し、前記クロージャーブッシング(3)は、前記ロボット(100)の上に又は前記ロボット(100)内に取り付けられ、前記ロボット(100)に固定され、
前記クロージャー部材(2)は、前記クロージャー部材(2)から突出した少なくとも1つのノーズ(2.1)を有し、前記少なくとも1つのノーズ(2.1)は、前記クロージャー部材(2)と共に回転可能であり、前記クロージャーブッシング(3)内で前記クロージャー部材(2)を締め付けるために機能し、
前記締め付け装置(2、3)は、45°から215°の間の回転閉鎖動作を有し、これにより、45°から215°の間の回転閉鎖動作によって閉鎖位置まで移動することができ、
前記キャビティ(101)は、少なくとも175mbar、200mbar又は225mbarの過圧まで、耐過圧密閉され、
前記クロージャーブッシング(3)は、前記クロージャー部材(2)の閉鎖ストロークを生成するための、前記少なくとも1つのノーズ(2.1)のための、少なくとも1つのスロープ構造(3.1)を有し、前記少なくとも1つのスロープ構造(3.1)は、前記少なくとも1つのノーズ(2.1)を係止するための係止窪み(3.5)につながる、
ことを特徴とするロボット(100)。
【請求項2】
前記締め付け装置(2、3)は、60°から120°、好ましくは80°から100°の間の回転閉鎖動作を有し、
これにより閉鎖位置まで60°から120°、好ましくは80°から100°の間の回転閉鎖動作によって移動することができる、
ことを特徴とする請求項1に記載のロボット(100)。
【請求項3】
請求項1に記載のロボット(100)のクロージャー装置であって、
a)前記ロボット(100)の前記キャビティ(101)を覆うように構成された取り外し可能な前記カバー部材(1)と、
b)回転可能な前記クロージャー部材(2)と前記クロージャーブッシング(3)とを含む、前記カバー部材(1)の前記締め付け装置(2、3)であって、前記クロージャー部材(2)は、前記少なくとも1つのノーズ(2.1)を有し、前記少なくとも1つのノーズ(2.1)は、前記クロージャー部材(2)と共に回転可能であり、前記クロージャー部材(2)を予めセンタリングするために、及び前記締め付け装置(2、3)のクロージャーブッシング(3)内で締め付けるために機能する前記締め付け装置(2、3)と、
を備え、
前記キャビティ(101)は、少なくとも175mbar、200mbar又は225mbarの過圧まで、耐過圧密閉され、
前記クロージャーブッシング(3)は、前記クロージャー部材(2)の閉鎖ストロークを生成するための、前記少なくとも1つのノーズ(2.1)のための、少なくとも1つのスロープ構造(3.1)を有し、前記少なくとも1つのスロープ構造(3.1)は、前記少なくとも1つのノーズ(2.1)を係止するための係止窪み(3.5)につながる、
ことを特徴とするクロージャー装置。
【請求項4】
前記クロージャー部材(2)は、間に前記カバー部材(1)が配置されうる第1のベアリングリング(2.2)と第2のベアリングリング(2.3)とを有する、
ことを特徴とする請求項3に記載のクロージャー装置。
【請求項5】
前記締め付け装置(2、3)は、前記クロージャー部材(2)を受け取る及び締め付けるための前記クロージャーブッシング(3)を有する、
ことを特徴とする請求項3又は4に記載のクロージャー装置。
【請求項6】
前記クロージャーブッシング(3)における前記少なくとも1つのノーズ(2.1)の係止は、摩擦によって得ることができる、
ことを特徴とする請求項5に記載のクロージャー装置。
【請求項7】
前記少なくとも1つのスロープ構造(3.1)は、高い又は転換する点(3.2)に向かうスロープを有し、
前記少なくとも1つのスロープ構造(3.1)は、前記高い又は転換する点(3.2)の後ろの前記クロージャー部材(2)の閉鎖回転方向(C)に減少する又は負のピッチを備えるサブセクション(3.3)を有する、
ことを特徴とする請求項3乃至6のいずれか1項に記載のクロージャー装置。
【請求項8】
前記少なくとも1つのスロープ構造(3.1)は、前記少なくとも1つのノーズ(2.1)を通過する間に作業者が触覚的に認識可能な少なくとも1つの不連続部(3.2、3.4)を有し、結果として、作業者は、前記クロージャー部材(2)の回転の間、前記閉鎖位置への到達及び/又は閉鎖プロセスの進行を、触覚的に顕著な方法で、伝えられることができる、
ことを特徴とする請求項3乃至7のいずれか1項に記載のクロージャー装置。
【請求項9】
サブセクション(3.3)の後ろの前記クロージャー部材(2)の閉鎖回転方向(C)において、及び/又は係止窪み(3.5)の前の前記クロージャー部材(2)の前記閉鎖回転方向(C)において、
少なくとも1つの不連続部(3.2、3.4)は高い又は転換する点(3.2)によって形成され、又は少なくとも2つの不連続部(3.2、3.4)は、前記高い又は転換する点(3.2)と付加的な転換点(3.4)とによって形成される、
ことを特徴とする請求項8に記載のクロージャー装置。
【請求項10】
前記少なくとも1つのノーズ(2.1)の内部係止及び/又は前記少なくとも1つのノーズ(2.1)のためのストッパ(3.6)の結果としての前記閉鎖位置への到達は作業者に触覚的に顕著である、
ことを特徴とする請求項3乃至9のいずれか1項に記載のクロージャー装置。
【請求項11】
係止窪み(3.5)は、高い又は転換する点(3.2)の後ろ、サブセクション(3.3)の後ろ、及び/又は付加的な転換点(3.4)の後ろの前記クロージャー部材(2)の閉鎖回転方向(C)において形成される、
ことを特徴とする請求項3乃至10のいずれか1項に記載のクロージャー装置。
【請求項12】
前記クロージャーブッシング(3)は、前記クロージャー部材(2)の閉鎖回転動作を制限するため、前記少なくとも1つのノーズ(2.1)のための、少なくとも1つのストッパ(3.6)を有する、
ことを特徴とする請求項3乃至11のいずれか1項に記載のクロージャー装置。
【請求項13】
前記クロージャーブッシング(3)は、前記クロージャー部材(2)の予めのセンタリングのための、前記少なくとも1つのノーズ(2.1)のための少なくとも1つのセンタリング開口(3.7)を備える、
ことを特徴とする請求項3乃至12のいずれか1項に記載のクロージャー装置。
【請求項14】
前記締め付け装置(2、3)は、前記カバー部材(1)の方向の力の生成のための作動部材(2.4)を有し、及び前記作動部材(2.4)は、閉鎖力増幅器として及び力が生成された場合にストローク補償機能として働く、
ことを特徴とする請求項3乃至13のいずれか1項に記載のクロージャー装置。
【請求項15】
前記作動部材(2.4)は、以下の、
バネ、
渦巻きバネ、
板バネ、
弾性変形可能なプラスチック部品、
の少なくとも1つを備える、
ことを特徴とする請求項14に記載のクロージャー装置。
【請求項16】
前記クロージャー装置は、前記カバー部材(1)の間に配置されるためのシール(102)を備え、
前記ロボット(100)及び前記シール(102)は、前記締め付け装置(2、3)によって押圧されることができる、及び/又は弾性変形する、
ことを特徴とする請求項3乃至1のいずれか1項に記載のクロージャー装置。
【請求項17】
前記シール(102)は、エアチャンバシールであり、少なくとも1つのシーリングリップを有する、及び/又は溝内に延びる、
ことを特徴とする請求項1に記載のクロージャー装置。
【請求項18】
前記シール(102)は、十分なシールコンタクトのために前記締め付け装置(2、3)から距離を有し、及び、
前記カバー部材(1)によって前記ロボット(100)の外側から遮蔽されている、
ことを特徴とする請求項1又は1に記載のクロージャー装置。
【請求項19】
前記クロージャー部材(2)及び/又は前記クロージャーブッシング(3)は、前記閉鎖位置に到達するため、ネジ山がないように実現されている、
ことを特徴とする請求項3乃至1のいずれか1項に記載のクロージャー装置。
【請求項20】
前記クロージャー部材(2)は、工具固定構造を備えるヘッド部とシャフト部とを有し、ここで、
前記少なくとも1つのノーズ(2.1)は、前記シャフト部から突出し、
前記第1のベアリングリング及び前記第2のベアリングリングは、前記シャフト部の周囲に配置され、及び/又は、
前記作動部材(2.4)は、前記シャフト部の周囲に配置される、
ことを特徴とする請求項4を引用する請求項14に記載のクロージャー装置。
【請求項21】
前記締め付け装置(2、3)は、インジケータを有し、その位置で前記締め付け装置(2、3)が閉鎖位置にあるか否かが光学的に明らかとなる、
ことを特徴とする請求項3乃至2のいずれか1項に記載のクロージャー装置。
【請求項22】
前記クロージャー装置は、加圧エンクロージャーを形成するために機能する、
ことを特徴とする請求項3乃至2のいずれか1項に記載のクロージャー装置。
【請求項23】
前記クロージャー装置は、加圧エンクロージャーが結果として形成されることができるように、ロボットアームまたはロボットハウジングを覆うために及び耐圧密閉をするために、前記カバー部材(1)と共に機能する、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のロボット(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロボットに取り付けられるクロージャー装置に関連し、好ましくはクイッククロージャー装置に関連する。クロージャー装置は、特に、少なくとも175、200又は225mbarまでのロボットのキャビティの耐過圧密閉に役立つ。ロボットは、例えば塗装又はコーティングロボットである。
【背景技術】
【0002】
産業ロボットは、一般にロボットハウジング又はキャビティを備えるロボットアームを有する。最適な剛性及び重量分散のため、ロボットハウジング及びロボットアームの材料の大部分は、力及びモーメントのプロファイルが外側のサポート構造を介して用いられるように、配置される。
【0003】
キャビティは、外側から一般にアクセス可能であり、ケーブルをガイドするため、部品等(例えばモータ、ギアボックス等)を受け取るため等に部分的に使用される。
【0004】
キャビティが外側に対して開放されているか否かの事実は、一般に溶接又は操作ロボットにとっては、下位の役割を果たす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、ロボットがコーティング、特に塗装のために使用される場合、例えば、爆発の防止という理由で、又はその中に配置されたケーブル、部品等を汚染又は摩耗から保護するため、キャビティが外側に対して閉じていることに利点がある又はほとんど本質的である。特に、塗装/ニスミスト、オーバースプレー及び他の汚れは、コーティング及び塗装ロボットにとって大きな問題となる。
【0006】
1つの大きな課題は、国固有の爆発防止要件が満たされるように、ロボット、特に塗装ロボットを開発することである。プロセス及び反応時間を可能な限り迅速及び正確とするように設計することが時間と共に益々重要性となっているため、この目的に必要な制御弁を塗布装置にできるだけ近い空間に配置することが重要である。例えば駆動装置、モーター、プラグ、端子等のような更なる必要な部品も同じ空間に配置することができる。
【0007】
これらの空間は、一般に気密な方法でカバーによって密閉されている。国固有の爆発保護の認可は、通常、加圧エンクロージャーを用いる、又は、気密性、防塵性、スプレーミスト抵抗性及び流体にも不浸透性があるキャビティ(特にロボットハウジング)を少なくとも用いる場合にのみ可能であることを経験が示している。
【0008】
上述の要求される特性に関してキャビティを覆う/閉じるためのカバーの構造的な実施形態がより良好であるほど、より良好な修理が実施されることができ、故障の頻度がより低くなる。
【0009】
実際には、カバーは、通常、柔軟性のあるシールが備え付けられる。耐圧性に優れたキャビティを生成する1つの大きな課題は、溶剤又は洗剤によるロボットのクリーニングの間にシールが剥がれない又は膨張しないこと、及び存在する可能性のある塗料の残留物が隙間に入り込まないこと、及びその結果として更にシールを詰まらせないことである。
【0010】
塗装ロボット用の加圧エンクロージャーのための爆発防止に関連し、以下の基準/要件が満たされるべきである。異なる操作フェーズ間で部分的に区別がある。
-操作前に爆発する可能性のある混合物を洗い流すための過圧での洗浄フェーズ
-わずかな過圧での操作フェーズ
-補償操作では、少量の漏れの場合には、要求される過圧は、空気制御と電気的な圧力監視による調節によって補われる。塗装システム及び要件によって、例えば、ATEX指令94及び/又は95ECに従って、更に異なる規格を遵守しなければならない。余剰性もある程度必要である。
【0011】
欧州での運用に関するすべての要件は、標準規格DIN EN 60079-2(加圧エンクロージャ「p」による機器保護)によって規制されている。
【0012】
要件と保護の程度とに応じて、ロボットを速やかに洗浄しなければならないため、洗浄フェーズの間は最大40mbarの過圧が発生し、内蔵のチェックバルブ付きのエア出口から一定の動圧が生ずる。1つの目的は、例えば、ロボットを200リットルの空気量で洗い流す、及び様々な分岐した空気領域を3分以内に空気又は不活性ガスで洗い流すことである。
【0013】
作業中の保護を達成するために、特定の機器群への分割に応じて、例えば、単純化されたシステム「2py」の場合は、50Paが恒久的に存在しなければならず、システム「pz」の場合は、25Paが恒久的に存在しなければならない(上記規格のそれぞれ7.1章)。
【0014】
圧力要件及び不浸透性に関する要件は、アメリカの爆発防止では更に高い。
【0015】
標準防火協会の米国規制NFPA 496-電気機器のための駆動及び加圧式エンクロージャーのための規格-は、欧州の規格と同じ方法で、選択された又は建設的に意図された最大圧力に対して5倍の過圧安全性を規定する。この過圧試験の場合、漏れ速度も一定の値を超えてはならない。
【0016】
他の様々な規格では、更に以下の要件が規定されている。
【0017】
DIN EN 60079-0 セクション20は、以下のように、例えば、過圧エンクロージャーを備える塗装ロボットのような過圧エンクロージャーシステムのカバーについて、ハウジングの開口(及びカバー)は、対応する工具(例えば六角穴付きネジ又はトルクネジ)を使用する必要性によって防止されなければならないことを規定する。
【0018】
EN13463-5-潜在的に爆発性の雰囲気での使用を目的とする非電気機器-パート5-構造上の安全性「c」による保護は、例えば対応する試験具を用いた落下試験を規定する。
【0019】
上記のアメリカの規制NFPA 496及びNFPA 33にも同様の要件が適用される。
【0020】
カバー及びそれらのロボットへの取り付けに関する要件は、主に上記の規格及びそれらの条件を遵守することにある。
【0021】
要件は特に、
A.工具だけで少なくとも一点を覆う開口、
B.著しい漏れのない最小200mbarの過圧までの耐圧キャビティ、
C.耐用年数の間のカバー及びシール品質の確保、又は定義された期間にわたる劣化へのシール耐性、NFPA 496を参照、
D.カバー及びクロージャー等の全ての部品が、定義された試験体を用いた1mからの落下試験に耐えなければならない、ATEX指令を参照。
【0022】
塗装ロボットに関連する様々な実験からの更なる目的又は特定の要件は、特に、
E.塗料の残留物がシールに到達する及び/又はシールに詰まらないように、耐溶剤性及び付加的に外部から保護されたシール、
F.カバー溝に固定されるが簡単に交換可能なシール、
G.明確及び定義されたカバーの閉鎖及び開錠プロセス、
H.迅速なメンテナンスのためにアクセスを必要とするカバー部材を、一人で30秒以内に開錠及び除去する、
I.各カバーのクロージャーを減らす、
J.カバーの開閉動作を片手で行うことができる、
K.開閉動作を素早く行うことができる、
L.クロージャーが開いているか閉じているかに関わらず、クロージャーの位置が光学的に明らかである、
M.交換可能なクロージャーシステム、
N.誤った使用又は摩耗の結果として開口部の機能が使用できない場合の補助工具による緊急開錠。
【0023】
実際には、カバーは通常ロボットにネジで搭載される。カバーのサイズによるが、通常は最大20本、又は更に20本以上のネジが使用される。サイズによって、1つのカバーは通常2本の手で保持され、第2の作業者が様々なステップで1つずつネジを締め付ける。それぞれの場合で、全てのネジが関連するネジ山に作用することが確実にされるべきである。ネジ山は通常は見えないため、ある程度の練習、技能及び経験が作業者に求められる。ネジは通常、初めに暫定的に締め付けられるだけである。その結果、全てのネジは、通常1つずつ通常のトルクで締め付けられ、再度点検される。仮に、例えばネジを締め付けている間にネジ山が損傷した場合、そもそも可能な場合は、損傷されたネジ山は交換又は修理されなければならない。
【0024】
ネジベースの搭載プロセスは、多くの時間が必要であり、多くの場合で2人の作業者が必要となるだけでなく、ある程度の練習、経験及び技能も必要である。
【0025】
実際には、カバーのためのシール、特にフラットシールが、ネジを締め付ける間の滑りを防ぐためにしばしば接着される。フラットシールのためのベアリング面は、通常比較的小さい。シールはネジの領域におけるネジ穴によって弱くなる。ネジ用の穴は、一般に自由に打ち抜かれ、シールを貫通する。仮にシールがわずかに摩耗していると、ネジの領域で漏れが一般に生ずる。いくつかのフラットシールは、不適切なカバーの搭載による、より過剰な圧力と、同時に溶剤及びUVの作用の結果としての端領域での接触との結果、劣化することがよくある。
【0026】
本発明の1つの目的は、簡易、迅速且つ確実に、特に耐圧にカバーする、及び特にロボットのキャビティをシールすることが可能な、ロボットを備え付けるためのクロージャー装置を生成することである。更には、例えば少なくとも1つを、しかしながら好ましくは、記載された基準A~Nの全てを満たすことが可能である。
【0027】
この目的は、主請求項の特徴で達成することができる。本発明の有利な更なる発展は、従属項及び本発明の好適な以下の説明から推測することができる。
【課題を解決するための手段】
【0028】
本発明は、ロボットに取り付けるためのクロージャー装置に関連し、好ましくは、ロボットのキャビティを、有利には特に著しい漏れがなく、少なくとも175mbar、200mbar又は225mbarの過圧まで、特に洗浄圧の少なくとも5倍まで、耐過圧密閉するためのクロージャー装置に関連する。
【0029】
クロージャー装置は、好ましくはクイッククロージャー装置として実現される。
【0030】
ロボットは、例えば塗装又はコーティングロボットであることができる。
【0031】
クロージャー装置は、ロボットのキャビティ(例えば、ロボットのハウジング又はアーム)を覆うための有利に除去可能なカバー部材(例えばカバー及び/又はハウジング板)と、カバー部材をロボットへ締め付けるための締め付け装置を備える。締め付け装置は、回転可能なクロージャー部材(例えば、クロージャーボルト)を備える。締め付け装置は、好ましくはクロージャー部材のためのクロージャーブッシングを備えることもできる。
【0032】
締め付け装置は、特に、45°から215°の間の回転可能な閉鎖動作を有し、これにより、好ましくはラッチ止め及び/又は摩擦固定され得る閉鎖位置まで45°から215°の間の回転閉鎖動作によって動くことができることを特徴とする。
【0033】
この結果として締め付け装置は、特に安全な閉鎖クイッククロージャー装置の実現を可能とする。
【0034】
締め付け装置は、60°から120°の間、好ましくは80°から100°の間の回転閉鎖動作を有し、これにより閉鎖位置まで60°から120°の間、好ましくは80°から100°の間の回転閉鎖動作によって移動可能であることが可能である。
【0035】
クロージャー部材は、少なくとも1つのノーズを有することができ、少なくとも1つのノーズはクロージャー部材と共に回転可能であることを特徴とする。少なくとも1つのノーズは、好ましくは、締め付け装置のクロージャーブッシングにおいて締め付けるために機能する。代替的に又は付加的に、少なくとも1つのノーズは、特に形状によって、好ましくは、クロージャー部材を予めセンタリングするために機能してもよい。従って、少なくとも1つのノーズの結果、クロージャー部材が、形状の結果としてそれ自体を予めセンタリングすることを利用して、クロージャーブッシングに対してそれぞれ正しい配列を見つけることが可能となる。
【0036】
クロージャー部材は、間にカバー部材を配置することが可能な第1のベアリングリング及び/又は第2のベアリングリングを有することが可能である。第1及び/又は第2のベアリングリングは、例えば実質的に円形のリング形状、実質的な正方形、又は方形等であることができ、例えば周方向において、任意に例えば閉じて、又は開いて、又はスロットに形成されることができる(「スロット付きリング」)。
【0037】
締め付け装置は、特に、部分的にクロージャー部材を受け取り及び締め付けるためのクロージャーブッシングを有してもよい。
【0038】
クロージャーブッシングは、好ましくは、有利にはロボット上又は内に搭載することができ、ロボットに固定することができるが、しかし好ましくは交換可能とすることができる。
【0039】
クロージャーブッシングは、クロージャー部材の閉鎖ストロークを生成するために少なくとも1つのノーズに対して特に少なくとも1つのスロープ構造(例えばランプ構造)を有することができる。
【0040】
特に、本発明の文脈内で、ラッチイン及び/又は摩擦固定可能な閉鎖位置が可能である。
【0041】
少なくとも1つのスロープ構造は、例えば、少なくとも1つのノーズを係止する(例えばラッチ止め)ための係止め深さ(例えば、ラッチ止め窪み)をもたらし得る。代替的又は付加的に、例えばクロージャーブッシングにおける少なくとも1つのノーズの係止は、摩擦によって得ることができる。
【0042】
少なくとも1つのスロープ構造は、高い又は転換する点(例えば変曲点)に向かうスロープを有することが可能である。少なくとも1つのスロープ構造は、例えば、高い又は転換する点の後ろでクロージャー部材の閉鎖回転方向において、低減する又は負のスロープを備えるサブセクションを有することができる。
【0043】
少なくとも1つのスロープ構造は、例えば少なくとも1つの不連続部(例えば、高い、低い、及び/又は転換する点、及び代替的に又は付加的にはピッチにおける増加及び/又はピッチにおける減少)を有することができ、不連続部は、少なくとも1つのノーズを通過する間、作業者によって触覚的に認識されることができる。この結果として、閉鎖位置への到達(例えば、ラッチ止め)及び/又はクロージャー部材の回転の間の閉鎖プロセスの進行について触覚的に顕著な方法で作業者に伝えることができることを可能とし得る。
【0044】
少なくとも1つのスロープ構造は、好ましくは少なくとも2つの不連続部を有することができる。
【0045】
少なくとも2つの不連続部は、サブ領域の後ろのクロージャー部材の閉鎖回転方向において、及び/又は係止窪みの前の閉鎖回転方向において、例えば高い又は転換する点及び付加的な転換点(例えば、変曲点)によって形成されることができる。
【0046】
少なくとも1つのノーズのラッチ止め及び/又は少なくとも1つノーズのための停止による閉鎖位置への到達は、作業者にとって触覚的に顕著であることが特に好適である。
【0047】
係止窪みは、好ましくは高い又は転換する点の後ろ、サブセクションの後ろ及び/又は付加的な転換点の後ろのクロージャー部材の閉鎖回転方向において形成されることができる。
【0048】
クロージャーブッシングは、特にクロージャー部材の閉鎖回転動作を制限するため、少なくとも1つのノーズのための少なくとも1つのストッパを有することができる。ストッパは、クロージャー部材の閉鎖回転方向において、少なくとも1つのスロープ構造を好ましくは区切る。
【0049】
クロージャーブッシングは、クロージャー部材を予めセンタリングするための少なくとも1つのノーズのための少なくとも1つのセンタリング開口を備えることができる。この目的のため、クロージャーブッシングの入口開口部は、少なくとも1つのセンタリング開口部によって非円形及び/又は回転非対称に形成されることができる。
【0050】
締め付け装置は、カバー部材の方向、従って特にロボットの方向に、追加の圧縮力を生じさせるための例えば作動部材を備えることができる。従って、作動部材は、上記の転換点の「超過」後に最低限に減少されたストロークを補償するために、好ましくは閉鎖力増幅器として及び補償要素として作用する。
【0051】
作動部材は、例えば、バネ、渦巻きバネ、板バネ及び/又は弾性変形可能なプラスチック部品を備えることができる。
【0052】
2つのノーズ、2つのスロープ構造及び/又は2つのセンタリング開口部は、好ましくはそれぞれの場合において反対方向に、例えば実質的に180°ずらした方向に向けられて設けられることができる。
【0053】
クロージャー装置は、カバー部材とロボット(例えばロボットハウジング、ロボットアーム等)との間に配置されるための、例えば弾性シールを備えることができ、シールは締め付け装置によって押圧されることができる。
【0054】
シールは、好ましくはプラスチックシールであり、例えば弾性材料で構成される。
【0055】
シールはエアチャンバシールであり、少なくとも1つのシーリングリップを有する、及び/又は溝内を延びることができる。溝は、カバー部材内、及び/又はロボット内に形成されることができる。
【0056】
クロージャー部材及び/又はクロージャーブッシングは、好ましくはネジ山のない方法で閉鎖位置を達成するように実現することができる。
【0057】
シールは、例えば、締め付け装置から離れて配置される、及び/又はカバー部材によってロボットの外側に対して遮蔽されることができる。
【0058】
クロージャー部材は、工具固定構造(例えば、三角形、正方形、五角形又は六角形又は他の好適な形状)を備えるヘッド部を有することが可能である。
【0059】
クロージャー部材はシャフト部を有し、少なくとも1つのノーズがシャフト部から突出し、第1のベアリングリング及び/又は第2のベアリングリングがシャフト部分の周りに配置される、及び/又は作動部材がシャフト部の周りに配置されることが可能である。
【0060】
締め付け装置は、例えばインジケータを有することができ、その位置で締め付け装置が閉鎖位置にいるか否かが光学的に明らかである。
【0061】
クロージャー装置は、好ましくは加圧エンクロージャーを形成するように実現される。カバー部材は、特にロボットのキャビティを覆うために、例えばロボットアーム又はロボットハウジングを覆う及び/又は密閉するために役立つ。
【0062】
少なくとも1つの不連続点、高い及び/又は転換する点は、例えば操作者によって実質的に急な変化として触覚的に気づかれるようにするため、好ましくは屈曲部又は境界の形で形成することができることに言及すべきである。そうであるが、少なくとも1つ不連続点、高点及び/または転換点は、例えば作業者によって実質的に「滑らか」である(例えば、平坦、流動的、曲がっている及び/又は曲がっていない)として触覚的に気づかれるようにするため、ピッチの増加及び/又はピッチの減少によって有利に実現することができる。
【0063】
締め付け装置は、好ましくは、時計方向への回転閉鎖動作によって閉鎖することができ、反時計方向への回転開放動作によって開放することができる、なお、その逆の変形例も可能である。
【0064】
キャビティは、例えば加圧エンクロージャーの一部であってもよい。
【0065】
本発明は、本明細書に開示されているような少なくとも1つのクロージャー装置を備えるロボット、好ましくは塗装又はコーティングロボットも備える。
【0066】
カバー部材を備えるクロージャー装置は、ロボットアーム又はロボットハウジングの被覆と耐圧性に優れた密閉との目的を果たすため、その結果として、例えば加圧エンクロージャーを形成することができる。
【0067】
本発明の上記の好適な実施形態及び特徴は、互いに組み合わせることができる。本発明の他の有利な変形例は、従属項において示されるか、又は添付の図面を組み合わせた本発明の好適な実施形態の以下の記載から明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0068】
図1図1は、本発明の1つの実施形態に従ったクロージャー装置を備えるロボットを示す。
図2図2は、カバー部材が除去された図1のロボットを示す。
図3図3は、図1のカバー部材の透視図を示す。
図4図4は、本発明の1つの実施形態に従ったクロージャー部材の側面図を示す。
図5図5は、クロージャー部材の透視図を示す。
図6図6は、本発明の一実施形態に従ったクロージャー装置のクロージャーブッシングの透視図を示す。
図7図7は、クロージャーブッシングの側面図を示す。
図8図8は、クロージャーブッシングの上面図を示す。
図9図9は、クロージャーブッシングの他の透視図を示す。
図10図10は、クロージャーブッシングの部分図を示す。
図11図11は、クロージャーブッシングの部分透視図を示す。
図12図12は、クロージャーブッシングの他の部分透視図を示す。
図13図13は、クロージャー部材の部分図を示す。
図14図14は、クロージャーブッシングの部分図を示す。
図15図15は、搭載された状態の本発明の1つの実施形態に係るクロージャー装置の部分図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0069】
図1は、ロボット100、特に本発明の1つの実施形態に係るクロージャー装置と、ロボット100上に搭載されたカバー部材1と、を備える塗装又はコーティングロボット100の透視図を示す。図2は、カバー部材1が除去された状態のロボット100を示し、図3はカバー部材1の透視図を示す。クロージャー装置は、図1図3を併せて参照して以下に説明する。
【0070】
クロージャー装置は、クイッククロージャー装置として実現され、特に、少なくとも200mbarまでのロボット100のキャビティ101(例えば、ロボットハウジングまたはロボットアーム)の耐過圧シールおよび被覆に役立つ。カバー部材1は、6つの締め付け装置2、3によってロボット100に締め付けられる。明確にするため、図1図3では、それぞれの場合にだけ2つの締め付け装置にのみ参照符号を付す。
【0071】
締め付け装置2、3は、回転可能なクロージャー部材(クロージャーボルト)2と、クロージャー部材2のために、特にクロージャー部材2を部分的に受け取り、締め付けるために、ロボット100上に又は内に搭載されるクロージャーブッシング3と、を備える。
【0072】
締め付け装置2、3は、実質的に90°の回転閉鎖動作を有し、それにより、実質的に90°の回転閉鎖動作によって閉鎖位置へと移動することができる。それにもかかわらず、より大きい又はより小さい回転閉鎖動作も、本発明の文脈において可能である。実質的に90°の回転閉鎖動作は、例えば、約3mmの閉鎖ストロークを生ずることができる。
【0073】
カバー部材1の搭載プロセスは、実質的に以下のように実施される。カバー部材1を作業者(労働者)によって両手でロボット100上、特にロボット100のハウジング又はロボットアーム上に配置する。そして、作業者は、カバー部材1をロボット100上で、片手で持ち、次に、もう片方の手で6つのクロージャー部材2を、約90°回転で徐々に閉じる。全閉鎖プロセスは、30秒以内に実現可能である。
【0074】
図4及び5は、クロージャー部材2の様々な図を示す。図6~12は、クロージャーブッシング3の様々な図を示す。クロージャー部材2及びクロージャーブッシング3は、図4~12を併せて参照して以下に説明し、図4~12において、明確さのために、全ての部分に部分的に参照符号を付しているわけではない。
【0075】
クロージャー部材2は、(図4及び図5における上部分で)工具係合構造(例えば、内部の六角形)を有するヘッド部と、(図4及び図5におけるその下)シャフト部と、を備える。
【0076】
クロージャー部材2から突出する2つのノーズ2.1は、クロージャー部材2と共に回転可能であり、クロージャーブッシング3内でのラッチ止め及び/又は摩擦固定締結の目的を果たす。
【0077】
クロージャー部材2は、第1のベアリングリング2.2及び第2のベアリングリング2.3が設けられており、それらの間にはカバー部材1が配置される。第1のベアリングリング2.2は、有利には、ヘッド部とは別に、又はヘッド部の一部として実現することができる。
【0078】
シャフト部の周囲に配置された作動部材2.4は、カバー部材1の方向に圧縮力を生じさせることに役立つ。更には、軸方向ストロークは、作動部材2.4によって、例えば誤差(tolerance)に関連して相殺することができる。作動部材2.4は、好ましくはバネ、例えば、渦巻きバネ又は板バネであるが、弾性変形可能なプラスチック部品であってもよい。
【0079】
クロージャーブッシング3は、2つのノーズ2.1に対して2つのスロープ構造3.1を備え、この結果としてクロージャー部材2の閉鎖ストロークを生成することができる。る。
【0080】
2つのスロープ構造3.1は、実質的に同じ設計であるが、実質的に180°ずらして実現されており、その結果、1つのスロープ構造3.1だけを以下に説明する。
【0081】
スロープ構造3.1は、ノーズ2.1を係止するため、特にラッチ止めするための係止窪み3.5において、開放されており、代替的に又は付加的に、摩擦によるノーズ2.1の係止も可能となる。
【0082】
スロープ構造3.1は、最初に高/転換点3.2に向かうスロープを備える。
【0083】
負のピッチを有するサブセクション3.3が、クロージャー部材2の閉鎖回転方向Cにおいて、高/転換点3.2の後方に形成される。
【0084】
更なる転換点3.4が、クロージャー部材2の閉鎖回転方向Cにおいて、サブセクション3.3の後方に形成される。
【0085】
係止窪み3.5は、クロージャー部材の2の閉鎖回転方向Cにおいて、更なる転換点3.4の後方に形成される。
【0086】
ノーズ2.1のためのストッパ3.6が、クロージャー部材2の閉鎖回転方向Cにおいて、係止窪み3.5の後方に形成され、クロージャー部材2の閉鎖回転動作を実際に制限するために形成されている。
【0087】
スロープ構造3.1は、高/転換点3.2及び更なる転換点3.4の結果として、2つの不連続部を備える。2つの不連続部3.2及び3.4は、クロージャー部材2の回転動作中にノーズ2.1を通過する間に、作業者によって触覚的に認識されることができる。この結果、操作者は、クロージャー部材2の回転の間、閉鎖プロセスの進行、特に閉鎖位置への到達、すなわち特にノーズ2.1が係止窪み3.5にラッチ止めされたことを、触覚的に伝達されることができる。
【0088】
不連続部3.2及び3.4は、作業者によって、実質的に急激な変化として触覚的に認知される、ここで、例えば、スロープ構造3.1のピッチにおける一様な又は連続する増加、又は減少の結果としての、「滑らかな」変化も本発明の文脈内で可能である。
【0089】
2つのノーズ2.1は、形状によって同時に事前センタリングクロージャー部材2として機能する。この目的のため、クロージャーブッシング3は2つのセンタリング開口3.7を有する。
【0090】
図13及び図14は、クロージャー部材2及びクロージャーブッシング3の部分図を示し、説明のため及び繰り返しを避けるため、上記の説明を参照する。
【0091】
図15は、図1図14を参照した説明によって実現されたクロージャー装置が搭載されたロボット100の部分図を示す。明確性のため、図15において、全てのパーツに参照符号が設けられてはいない。
【0092】
図15は、特にカバー部材1、クロージャー部材2及びクロージャーブッシング3を備えるクロージャー装置に加えて、エアチャンバシールとして実現されるシール102を示す。
【0093】
カバー部材1は、ロボット100のキャビティ101、例えばロボットハウジング又はロボットアームのキャビティ101を被覆するよう機能する。この結果として、加圧エンクロージャーを有利に形成することができる。
【0094】
シール102は、2つのシーリングリップを備え、シール102はカバー部材1とロボット100との間に配置され、カバー部材1の溝内に延びる。シール102は、締め付け装置2、3によってプレス(圧縮)されており、その結果として、少なくとも約200mbarまでの過圧にもかかわらず、キャビティ101は固く閉じられ、少なくとも注目すべき漏れは発生しない。
【0095】
シール102は、締め付け装置2、3から距離を有しており、ロボット100の外側に対してカバー部材によって遮蔽される。
【0096】
内側シーリングリップは、洗浄圧力の5倍までの過圧、実際には少なくとも200mbar、が外部に逃げることがないことを可能にする。カバー部材1はここで既にロボット100(例えばハウジング又はロボットアーム)に対して実質的にしっかりと耐えているが、外側シーリングリップは、汚れ、流体等の浸透から保護する。これにより、外側シーリングリップは有利に重複性を表し、付加的に圧力漏れから保護する。
【0097】
本発明は、1つのノーズ2.1だけ、1つのスロープ構造3.1だけ、及び任意に1つの中心開口3.7だけを有する実施形態も備えてもよい点に言及すべきである。
【0098】
以下の要件のいくつか又は全てが、クロージャー装置によって有利に充たされ得る点にも更に言及すべきである。
A.工具だけで少なくとも一点を覆う開口、
B.著しい漏れのない最小200mbarまでの耐圧キャビティ/加圧エンクロージャー(例えばロボットのハウジング又はアーム)、
C.耐用年数の間のカバー及びシール品質の確保、及び/又は定義された期間にわたる劣化へのシール耐性、NFPA 496を参照、
D.部品、特にカバー部材及び締め付け装置は、定義された試験体を用いた1mからの落下試験に耐えなければならない、例えばATEX指令を参照、
E.例えば塗料の残留物がシールに到達する及び/又はシールに詰まらないように、耐溶剤及び付加的に外部から保護されたシール、
F.カバー溝に固定されるが簡単に交換可能なシール、
G.明確及び定義されたカバーの閉鎖及び開錠プロセス、
H.迅速なメンテナンスのために、一人で30秒以内にカバー部材を開錠及び除去する、
I.各カバー部材のクロージャーを減らす、
J.カバー部材の開閉動作を片手で行うことができる、
K.開いた及び/又は閉じた状態が、片手の回転、例えば最大215°までの、好ましくは約90°までの回転でわかることができる、
L.クロージャーが開いているか閉じているかに関わらず、クロージャーの位置が光学的に明らかである、
M.例えば損傷が発生した場合、クロージャー部材及び/又はクロージャーブッシングが交換可能である、
N.誤った使用又は摩耗の結果として開口部の機能(例えば、工具固定構造)が使用できない場合の補助工具による緊急開錠。
【0099】
本発明は、上記の好ましい実施形態に限定されない。むしろ、本発明は、本発明の概念を利用し、保護の範囲内に入る多数の変形例及び修正例が可能である。更に、本発明は言及されている特徴と請求項とは独立して、従属項の特徴と主題とに関する保護を請求する。
【0100】
[付記]
[付記1]
ロボット(100)を取り付けるための、及び/又は前記ロボット(100)のキャビティ(101)を少なくとも175mbar、200mbar又は225mbarまで、特に洗浄圧の値の少なくとも5倍までの耐過圧で密閉するためのクロージャー装置、好ましくはクイッククロージャー装置であって、
前記ロボット(100)のキャビティ(101)を覆うための除去可能なカバー部材(1)と、前記カバー部材(1)を前記ロボット(100)へ締め付けるための締め付け装置(2、3)と、を備え、前記締め付け装置(2、3)は回転可能なクロージャー部材(2)を備え、
前記締め付け装置(2、3)は、45°から215°の間の回転閉鎖動作を有し、これにより、閉鎖位置まで45°から215°の間の回転閉鎖動作によって移動することができる、
ことを特徴とするクロージャー装置。
【0101】
[付記2]
前記締め付け装置(2、3)は、60°から120°、好ましくは80°から100°の間の回転閉鎖動作を有し、
これにより閉鎖位置まで60°から120°、好ましくは80°から100°の間の回転閉鎖動作によって移動することができる、
ことを特徴とする付記1に記載のクロージャー装置。
【0102】
[付記3]
前記クロージャー部材(2)は、少なくとも1つのノーズ(2.1)を有し、前記少なくとも1つのノーズ(2.1)は、前記クロージャー部材(2)と共に回転可能であり、前記クロージャー部材(2)を予めセンタリングし、及び/又は前記締め付け部材(2、3)のクロージャーブッシング(3)内で締め付けるために機能する、
ことを特徴とする付記1又は2に記載のクロージャー装置。
【0103】
[付記4]
前記クロージャー部材(2)は、間に前記カバー部材(1)が配置されうる第1のベアリングリング(2.2)と第2のベアリングリング(2.3)とを有する、
ことを特徴とする付記1乃至3のいずれか1つに記載のクロージャー装置。
【0104】
[付記5]
前記締め付け装置(2、3)は、前記クロージャー部材(2)を受け取る及び締め付けるためのクロージャーブッシング(3)を有する、
ことを特徴とする付記1乃至4のいずれか1つに記載のクロージャー装置。
【0105】
[付記6]
前記クロージャーブッシング(3)は、前記クロージャー部材(2)の閉鎖ストロークを生成するための、前記少なくとも1つのノーズ(2.1)ための、少なくとも1つのスロープ構造(3.1)を有する、
ことを特徴とする付記5に記載のクロージャー装置。
【0106】
[付記7]
前記少なくとも1つのスロープ構造(3.1)は、前記少なくとも1つのノーズ(2.1)を係止するための係止窪み(3.5)につながる、及び/又は、
前記クロージャーブッシング(3)における前記少なくとも1つのノーズ(2.1)の係止は、摩擦によって得ることができる、
ことを特徴とする付記5又は6に記載のクロージャー装置。
【0107】
[付記8]
前記少なくとも1つのスロープ構造(3.1)は、高い又は転換する点(3.2)に向かうスロープを有し、
前記少なくとも1つのスロープ構造(3.1)は、前記高い又は転換する点(3.2)の後ろの前記クロージャー部材(2)の閉鎖回転方向(C)に減少する又は負のピッチを備えるサブセクション(3.3)を有する、
ことを特徴とする付記6又は7に記載のクロージャー装置。
【0108】
[付記9]
前記少なくとも1つのスロープ構造(3.1)は、前記少なくとも1つのノーズ(2.1)を通過する間に作業者が触覚的に認識可能な少なくとも1つの不連続部(3.2、3.4)を有し、結果として、作業者は、前記クロージャー部材(2)の回転の間、前記閉鎖位置への到達及び/又は閉鎖プロセスの進行を、触覚的に顕著な方法で、伝えられることができる、
ことを特徴とする付記6乃至8のいずれか1つに記載のクロージャー装置。
【0109】
[付記10]
サブ領域(3.3)の後ろの前記クロージャー部材(2)の前記閉鎖回転方向(C)において、及び/又は前記係止窪み(3.5)の前の前記クロージャー部材(2)の前記閉鎖回転方向(C)において、
少なくとも1つの不連続部(3.2、3.4)は前記高い又は転換する点(3.2)によって形成され、又は少なくとも2つの不連続部(3.2、3.4)は、前記高い又は転換する点(3.2)と付加的な転換点(3.4)とによって形成される、
ことを特徴とする付記9に記載のクロージャー装置。
【0110】
[付記11]
前記少なくとも1つのノーズ(2.1)の内部係止及び/又は前記少なくとも1つのノーズ(2.1)のためのストッパ(3.6)の結果としての前記閉鎖位置への到達は作業者に触覚的に顕著である、
ことを特徴とする付記1乃至10のいずれか1つに記載のクロージャー装置。
【0111】
[付記12]
前記係止窪み(3.5)は、前記高い又は転換する点(3.2)の後ろ、前記サブセクション(3.3)の後ろ、及び/又は前記付加的な転換点(3.4)の後ろの前記クロージャー部材(2)の前記閉鎖回転方向(C)において形成される、
ことを特徴とする付記6乃至11のいずれか1つに記載のクロージャー装置。
【0112】
[付記13]
前記クロージャーブッシング(3)は、前記クロージャー部材(2)の閉鎖回転動作を制限するため、前記少なくとも1つのノーズ(2.1)のための、少なくとも1つのストッパ(3.6)を有する、
ことを特徴とする付記5乃至12のいずれか1つに記載のクロージャー装置。
【0113】
[付記14]
前記クロージャーブッシング(3)は、前記クロージャー部材(2)の予めのセンタリングのための、前記少なくとも1つのノーズ(2.1)のための少なくとも1つのセンタリング開口(3.7)を備える、
ことを特徴とする付記5乃至13のいずれか1つに記載のクロージャー装置。
【0114】
[付記15]
前記締め付け装置(2、3)は、前記カバー部材(1)の方向の力の生成のための作動部材(2.4)を有し、及び前記作動部材(2.4)は、好ましくは閉鎖力増幅器として及び生成された力の場合にストローク補償機能として働く、
ことを特徴とする付記1乃至14のいずれか1つに記載のクロージャー装置。
【0115】
[付記16]
前記作動部材(2.4)は、以下の、
バネ、
渦巻きバネ、
板バネ、
弾性変形可能なプラスチック部品、
の少なくとも1つを備える、
ことを特徴とする付記15に記載のクロージャー装置。
【0116】
[付記17]
以下の、
2つのノーズ(2.1)、
2つのスロープ構造(3.1)、
2つのセンタリング開口(3.6)、
の特徴の少なくとも1つによる、
ことを特徴とする付記1乃至16のいずれか1つに記載のクロージャー装置。
【0117】
[付記18]
前記クロージャー装置は、前記カバー部材(1)の間に配置されるためのシール(102)を備え、
前記ロボット(100)及び前記シール(102)は、前記締め付け装置(2、3)によって押圧されることができる、及び/又は弾性変形する、
ことを特徴とする付記1乃至17のいずれか1つに記載のクロージャー装置。
【0118】
[付記19]
前記シール(102)は、エアチャンバシールであり、少なくとも1つのシーリングリップを有する、及び/又は溝内に延びる、
ことを特徴とする付記18に記載のクロージャー装置。
【0119】
[付記20]
前記シール(102)は、十分なシールコンタクトのために前記締め付け装置(2、3)から距離を有し、及び、
前記カバー部材(1)によって前記ロボット(100)の外側から遮蔽されている、
ことを特徴とする付記18又は19に記載のクロージャー装置。
【0120】
[付記21]
前記クロージャー部材(2)及び/又は前記クロージャーブッシング(3)は、前記閉鎖位置に到達するため、ネジ山がないように実現されている、
ことを特徴とする付記1乃至20のいずれか1つに記載のクロージャー装置。
【0121】
[付記22]
前記クロージャー部材(2)は、工具固定構造を備えるヘッド部とシャフト部とを有し、ここで、
前記少なくとも1つのノーズ(2)は、前記シャフト部から突出し、
前記第1のベアリングリング及び前記第2のベアリングリングは、前記シャフト部の周囲に配置され、及び/又は、
前記作動部(2.4)は、前記シャフト部の周囲に配置される、
ことを特徴とする付記1乃至21のいずれか1つに記載のクロージャー装置。
【0122】
[付記23]
前記締め付け装置(2、3)は、インジケータを有し、その位置で前記締め付け装置(2、3)が閉鎖位置にあるか否かが光学的に明らかとなる、
ことを特徴とする付記1乃至22のいずれか1つに記載のクロージャー装置。
【0123】
[付記24]
前記クロージャー装置は、加圧エンクロージャーを形成するために機能する、
ことを特徴とする付記1乃至23のいずれか1つに記載のクロージャー装置。
【0124】
[付記25]
付記1乃至24のいずれか1つに記載の少なくとも1つのクロージャー装置を備え、好ましくは塗装又はコーティングロボットである、ロボット(100)。
【0125】
[付記26]
前記クロージャー装置は、加圧エンクロージャーが結果として形成されることができるように、ロボットアームまたはロボットハウジングを覆うために及び耐圧密閉をするために、前記カバー部材(1)と共に機能する、
ことを特徴とする付記25に記載のロボット(100)。
【0126】
1 カバー部材
2 締め付け装置、特にクロージャー部材、例えばクロージャーボルト
2.1 少なくとも1つのノーズ
2.2 第1のベアリングリング
2.3 第2のベアリングリング
2.4 作動部材
3 締め付け装置、特にクロージャーブッシング
3.1 少なくとも1つのスロープ/ランプ構造
3.2 高い又は転換する点
3.3 減少する又は負のピッチを備えるサブ領域
3.4 転換点
3.5 係止/ラッチ止め窪み
3.6 ストッパ
3.7 少なくとも1つのセンタリング開口
C クロージャー部材の閉鎖回転方向
100 ロボット、特に塗装又はコーティングロボット
101 キャビティ、特に、例えばロボットハウジング又はロボットアームの加圧エンクロージャー
102 シール、特に弾性プラスチックシール
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15