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特許7282045B型肝炎ウイルス感染を特徴とする肝細胞癌の治療
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-18
(45)【発行日】2023-05-26
(54)【発明の名称】B型肝炎ウイルス感染を特徴とする肝細胞癌の治療
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/4985 20060101AFI20230519BHJP
   A61K 31/44 20060101ALI20230519BHJP
   A61K 31/517 20060101ALI20230519BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20230519BHJP
   A61K 45/06 20060101ALI20230519BHJP
   A61P 1/16 20060101ALI20230519BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20230519BHJP
   G01N 33/569 20060101ALI20230519BHJP
【FI】
A61K31/4985
A61K31/44
A61K31/517
A61K39/395 N
A61K45/06
A61P1/16
A61P35/00
G01N33/569 L
【請求項の数】 25
(21)【出願番号】P 2019570538
(86)(22)【出願日】2018-06-21
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-08-20
(86)【国際出願番号】 US2018038697
(87)【国際公開番号】W WO2018237114
(87)【国際公開日】2018-12-27
【審査請求日】2021-06-18
(31)【優先権主張番号】62/523,688
(32)【優先日】2017-06-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】509307635
【氏名又は名称】セルジーン コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100097456
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 徹
(72)【発明者】
【氏名】エレン フィルバロフ
(72)【発明者】
【氏名】クリステン エム.ヘゲ
(72)【発明者】
【氏名】シャオイ リ
【審査官】春日 淳一
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-139742(JP,A)
【文献】特表2015-500236(JP,A)
【文献】特表2017-514806(JP,A)
【文献】特表2016-516821(JP,A)
【文献】特表2014-528450(JP,A)
【文献】国際公開第2017/004267(WO,A1)
【文献】A PHASE 1/2, MULTI-CENTER, OPEN-LABEL, DOSE FINDING STUDY TO ASSESS THESAFETY, TOLERABILITY, PHARMACOKINETICS AND PRELIMINARY EFFICACY OF THE MTORKINASE INHIBITOR CC-223 ADMINISTERED ORALLY TO SUBJECTS WITH ADVANCED SOLIDTUMORS, NONHODGKIN LYMPHOMA OR MULTIPLE MYELOMA,Protocol CC-223-ST-001,Celgene Corporation,2014年,p.1-86
【文献】Nature Reviews Cancer,2013年,Vol.13,p.123-135
【文献】PLOS ONE,2017年03月23日,Vol.12, No.3,p.1-12,doi:10.1371/journal.pone.0173252
【文献】GASTROENTEROLOGY,1986年,Vol.90,p.263-267
【文献】PLOS ONE,2012年,Vol.7, No.7,p.1-11,doi:10.1371/journal.pone.0041931
【文献】World Journal of Gastroenterology,2016年,Vol.22, No.33,p.7486-7499
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K31/00-33/44
A61P 1/00-43/00
Caplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS (STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
7-(6-(2-ヒドロキシプロパン-2-イル)ピリジン-3-イル)-1-((トランス)-4-メトキシシクロヘキシル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オンまたはその薬学的に許容される塩もしくは互変異性体を含む、患者におけるB型肝炎ウイルス(HBV)感染を特徴とする肝細胞癌(HCC)を治療または予防するための薬学的組成物。
【請求項2】
7-(6-(2-ヒドロキシプロパン-2-イル)ピリジン-3-イル)-1-((トランス)-4-メトキシシクロヘキシル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オンまたはその薬学的に許容される塩もしくは互変異性体を含む、患者におけるHBV感染を特徴とするHCCを治療または予防するための薬学的組成物であって、前記患者からの生体検査試料がHBV感染についてスクリーニングされ、該患者がHBV感染を特徴とするHCCを有する、前記薬学的組成物。
【請求項3】
7-(6-(2-ヒドロキシプロパン-2-イル)ピリジン-3-イル)-1-((トランス)-4-メトキシシクロヘキシル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オンまたはその薬学的に許容される塩もしくは互変異性体を含む、患者におけるHBV感染を特徴とするHCCを治療または予防するための薬学的組成物であって、前記患者が、a)前記患者から生体検査試料を得ることと、b)前記試料をHBV感染について分析することと、c)前記試料においてHBV感染が判定された場合、7-(6-(2-ヒドロキシプロパン-2-イル)ピリジン-3-イル)-1-((トランス)-4-メトキシシクロヘキシル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オンまたはその薬学的に許容される塩もしくは互変異性体による治療のための、HCCを有する前記患者を選択することと、を含む方法によって選択される、前記薬学的組成物
【請求項4】
-(6-(2-ヒドロキシプロパン-2-イル)ピリジン-3-イル)-1-((トランス)-4-メトキシシクロヘキシル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オンまたはその薬学的に許容される塩もしくは互変異性体を含む、患者におけるHBV感染を特徴とするHCCを治療または予防するための薬学的組成物であって、7-(6-(2-ヒドロキシプロパン-2-イル)ピリジン-3-イル)-1-((トランス)-4-メトキシシクロヘキシル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オンまたはその薬学的に許容される塩もしくは互変異性体による治療に対する反応が、a)前記患者から生体検査試料を得ることと、b)前記試料をHBV感染について分析することと、c)前記試料においてHBV感染が判定された場合、HCCを有する前記患者における7-(6-(2-ヒドロキシプロパン-2-イル)ピリジン-3-イル)-1-((トランス)-4-メトキシシクロヘキシル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オンまたはその薬学的に許容される塩もしくは互変異性体による治療に対する反応の可能性の増大を予測することと、を含む方法によって予測される、前記薬学的組成物
【請求項5】
-(6-(2-ヒドロキシプロパン-2-イル)ピリジン-3-イル)-1-((トランス)-4-メトキシシクロヘキシル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オンまたはその薬学的に許容される塩もしくは互変異性体を含む、患者におけるHBV感染を特徴とするHCCを治療または予防するための薬学的組成物であって、7-(6-(2-ヒドロキシプロパン-2-イル)ピリジン-3-イル)-1-((トランス)-4-メトキシシクロヘキシル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オンまたはその薬学的に許容される塩もしくは互変異性体の治療効果が、a)前記患者から生体検査試料を得ることと、b)前記試料をHBV感染について分析することと、c)前記試料においてHBV感染が判定された場合、HCCを有する前記患者における7-(6-(2-ヒドロキシプロパン-2-イル)ピリジン-3-イル)-1-((トランス)-4-メトキシシクロヘキシル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オンまたはその薬学的に許容される塩もしくは互変異性体の治療効果の可能性の増大を予測することと、を含む方法によって予測される、前記薬学的組成物
【請求項6】
請求項3~5のいずれか1項に記載の方法における使用のための、7-(6-(2-ヒドロキシプロパン-2-イル)ピリジン-3-イル)-1-((トランス)-4-メトキシシクロヘキシル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オンまたはその薬学的に許容される塩もしくは互変異性体を含む薬学的組成物であって、前記方法が、d)7-(6-(2-ヒドロキシプロパン-2-イル)ピリジン-3-イル)-1-((トランス)-4-メトキシシクロヘキシル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オンまたはその薬学的に許容される塩もしくは互変異性体を、HCCを有する前記患者に投与するステップを更に含む、前記薬学的組成物。
【請求項7】
HBV感染が、HBVの患者履歴、HBVに対する以前または現在の治療、HBVに起因する硬変、HBVタンパク質または抗原の存在、HBVタンパク質または抗原に対する抗体の存在、HBVウイルス負荷、及びHBV DNAの存在からなる群から選択される変数のうちの少なくとも1つによって判定される、請求項1、2及び6のいずれか1項に記載の薬学的組成物。
【請求項8】
HBV感染が、HBV表面抗原(HBsAG)の存在、HBVコア抗原(HBcAG)の存在、HBVエンベロープ抗原(HBeAg)の存在、HBVx抗原(HBxAg)の存在、HBVコア関連抗原(HBcrAg)の存在、HBV表面抗原に対する抗体(抗HBsAg)の存在、HBVコア抗原に対する抗体(抗HBcAg)の存在、HBVエンベロープ抗原に対する抗体(抗HBeAg)の存在、HBVx抗原に対する抗体(抗HBxAg)の存在、HBVコア関連抗原に対する抗体(抗HBcrAg)の存在、HBV薬物の使用、HBVウイルス負荷、HBV DNAの存在、HBV mRNAの存在、及びHBVタンパク質の存在からなる群から選択される変数のうちの少なくとも1つによって判定される、請求項1、2及び6のいずれか1項に記載の薬学的組成物。
【請求項9】
7-(6-(2-ヒドロキシプロパン-2-イル)ピリジン-3-イル)-1-((トランス)-4-メトキシシクロヘキシル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オンまたはその薬学的に許容される塩もしくは互変異性体が、第2の治療剤と組み合わせて、HBV感染を特徴とする前記HCC患者に投与されるように用いられることを特徴とする、請求項1、2及び6~8のいずれか1項に記載の薬学的組成物。
【請求項10】
前記第2の治療剤が、ソラフェニブである、請求項9に記載の薬学的組成物。
【請求項11】
前記第2の治療剤が、3-(5-アミノ-2-メチル-4-オキソ-4H-キナゾリン-3-イル)-ピペリジン-2,6-ジオン(化合物2)である、請求項9に記載の薬学的組成物。
【請求項12】
前記第2の治療剤が、免疫チェックポイント阻害剤である、請求項9に記載の薬学的組成物。
【請求項13】
7-(6-(2-ヒドロキシプロパン-2-イル)ピリジン-3-イル)-1-((トランス)-4-メトキシシクロヘキシル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オンまたはその薬学的に許容される塩もしくは互変異性体が、第2及び第3の治療剤と組み合わせて、HBV感染を特徴とする前記HCC患者に投与されるように用いられることを特徴とする、請求項1、2及び6~8のいずれか1項に記載の薬学的組成物。
【請求項14】
前記第2及び前記第3の治療剤が、ソラフェニブ、化合物2、及び免疫チェックポイント阻害剤からなる群から選択される、請求項13に記載の薬学的組成物。
【請求項15】
前記免疫チェックポイント阻害剤が、ニボルマブである、請求項14に記載の薬学的組成物。
【請求項16】
前記HCCが、切除不能なHCCである、請求項1、2及び6~15のいずれか1項に記載の薬学的組成物。
【請求項17】
前記HCCが、以前に治療されていないHCCである、請求項1、2及び6~16のいずれか1項に記載の薬学的組成物。
【請求項18】
前記HCCが、以前に治療されたHCCであり、前記以前の治療が、ソラフェニブを含む、請求項1、2及び6~16のいずれか1項に記載の薬学的組成物。
【請求項19】
前記HCCが、以前に治療されたHCCであり、前記以前の治療が、化学療法を含む、請求項1、2及び6~16のいずれか1項に記載の薬学的組成物。
【請求項20】
HBV感染が、HBVの患者履歴、HBVに対する以前または現在の治療、HBVに起因する硬変、HBVタンパク質または抗原の存在、HBVタンパク質または抗原に対する抗体の存在、HBVウイルス負荷、及びHBV DNAの存在からなる群から選択される変数のうちの少なくとも1つによって判定される、請求項3~5のいずれか1項に記載の薬学的組成物
【請求項21】
HBV感染が、HBV表面抗原(HBsAG)の存在、HBVコア抗原(HBcAG)の存在、HBVエンベロープ抗原(HBeAg)の存在、HBVx抗原(HBxAg)の存在、HBVコア関連抗原(HBcrAg)の存在、HBV表面抗原に対する抗体(抗HBsAg)の存在、HBVコア抗原に対する抗体(抗HBcAg)の存在、HBVエンベロープ抗原に対する抗体(抗HBeAg)の存在、HBVx抗原に対する抗体(抗HBxAg)の存在、HBVコア関連抗原に対する抗体(抗HBcrAg)の存在、HBV薬物の使用、HBVウイルス負荷、HBV DNAの存在、HBV mRNAの存在、及びHBVタンパク質の存在からなる群から選択される変数のうちの少なくとも1つによって判定される、請求項3~5のいずれか1項に記載の薬学的組成物
【請求項22】
前記HCCが、切除不能なHCCである、請求項3~5、20及び21のいずれか1項に記載の薬学的組成物
【請求項23】
前記HCCが、以前に治療されていないHCCである、請求項3~5、20、21及び22のいずれか1項に記載の薬学的組成物
【請求項24】
前記HCCが、以前に治療されたHCCであり、前記以前の治療が、ソラフェニブを含む、請求項3~5、20、21及び22のいずれか1項に記載の薬学的組成物
【請求項25】
前記HCCが、以前に治療されたHCCであり、前記以前の治療が、化学療法を含む、請求項3~5、20、21及び22のいずれか1項に記載の薬学的組成物
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2017年6月22日に出願された米国仮特許出願第62/523,688号の利益及び優先権を主張するものであり、このそれぞれの内容全体が、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
1.分野
本明細書では、患者におけるB型肝炎ウイルス(HBV)感染を特徴とする肝細胞癌(HCC)を治療及び/または予防するための方法であって、有効量の7-(6-(2-ヒドロキシプロパン-2-イル)ピリジン-3-イル)-1-((トランス)-4-メトキシシクロヘキシル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オンまたはその薬学的に許容される塩もしくは互変異生体(本明細書では「化合物1」と総称する)を、HBV感染を特徴とするHCCを有する患者に投与することを含む方法が提供される。本明細書では、そのような方法における使用のための化合物が更に提供される。特に本明細書では、そのような方法における使用のための7-(6-(2-ヒドロキシプロパン-2-イル)ピリジン-3-イル)-1-((トランス)-4-メトキシシクロヘキシル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オンまたはその薬学的に許容される塩もしくは互変異生体が提供される。
【背景技術】
【0003】
2.背景
異常なタンパク質リン酸化と疾患の原因または結果との関係は、20年にもわたって知られている。したがって、タンパク質キナーゼは、非常に重要な薬物標的群になっている。Cohen,Nat.Rev.Drug Disc.,2002,1:309-315、Grimmiger et al.,Nat.Rev.Drug Disc.,2010,9(12):956-970を参照されたい。様々なタンパク質キナーゼ阻害剤は、がん及び慢性炎症性疾患(糖尿病及び脳卒中を含む)などの多種多様な疾患の治療において臨床的に使用されている。Cohen,Eur.J.Biochem.,2001,268:5001-5010,Protein Kinase Inhibitors for the Treatment of Disease:The Promise and the Problems,Handbook of Experimental Pharmacology,Springer Berlin Heidelberg,2005,167を参照されたい。
【0004】
タンパク質キナーゼは、タンパク質リン酸化を触媒し、細胞シグナル伝達において重要な役割を果たす酵素の大きく多様なファミリーに属する。タンパク質キナーゼは、それらの標的タンパク質に応じて、正または負の調節効果を及ぼし得る。タンパク質キナーゼは、限定されないが、代謝、細胞周期進行、細胞接着、血管機能、アポトーシス、及び血管新生などの細胞機能を調節する特定のシグナル伝達経路に関与する。細胞シグナル伝達の不具合は、多くの疾患と関連しており、それらのうち最も特徴的なものには、がん及び糖尿病が含まれる。サイトカインによるシグナル伝達の調節及びシグナル分子とがん原遺伝子及び腫瘍抑制遺伝子との関連は、明確に文書化されている。同様に、糖尿病及び関連病態と脱調節レベルのタンパク質キナーゼとの間の関係も実証されている。例えば、Sridhar et al.,Pharm.Res.,2000,17(11):1345-1353を参照されたい。ウイルス感染及びそれに関連した病態もまた、タンパク質キナーゼの調節と関連している。Park et al.,Cell,2000,101(7):777-787。
【0005】
mTOR(哺乳類ラパマイシン標的)という名のタンパク質(FRAP、RAFTI、またはRAPT1とも呼ばれる)は、細胞の成長及び増殖を調節するmTOR/PI3K/Akt経路において最も重要なタンパク質のうちの1つであることが示された2549アミノ酸Ser/Thrタンパク質キナーゼである。Georgakis and Younes,Expert Rev.Anticancer Ther.,2006,6(1):131-140。mTORは、2つの複合体mTORC1及びmTORC2内に存在する。mTORC1は、ラパマイシン類似体(テムシロリムスまたはエベロリムスなど)に感受性であり、一方mTORC2は、主としてラパマイシン非感受性である。とりわけ、ラパマイシンは、TORキナーゼ阻害剤ではない。いくつかのmTOR阻害剤は、がんの治療のための臨床試験において評価されてきた、または評価されている。テムシロリムスは、2007年に腎細胞癌における使用に対して承認され、エベロリムスは、2009年に血管内皮成長因子受容体阻害剤で進行した腎細胞癌患者に対して承認された。更に、シロリムスは、1999年に腎移植拒絶反応の予防のために承認された。これらのmTORC1阻害化合物の興味深いが限定された臨床成功は、がん及び移植拒絶反応の治療におけるmTOR阻害剤の有用性、ならびにmTORC1及びmTORC2両方の阻害活性を有する化合物の能力の増大を実証する。
【0006】
HCCは、悪性ヘパトーマとしても知られており、肝臓で最も一般的な原発性悪性腫瘍であり、原発性肝臓腫瘍の80~90%を占めている。HCCは、世界で最も一般的で破壊的な悪性疾患の1つであり、世界で年間100万人を超える死亡の原因である(Parkin et al.,CA Cancer J.Clin.1999,49:33-64、Bruix et al.,Cancer Cell,2004,5:215-219)。
【0007】
HCC発症の主要な危険因子には、B型またはC型肝炎ウイルス感染及びアルコール性肝疾患が含まれる(Rustgi,Gastroenterol.Clin.North Am.1987,16,545-551、Bosch et al.,Semin.Liver Dis.,1999,19:271-285、Bosch et al.,Gastroenterology,2004,127:S5-S16、Moradpour et al.,Eur.J.Gastro&Hepatol.,2005,17:477-483、Koike et al.,J.Gastroenterol.Hepatol.,2008,23:S87-S91、de Oliveria Andrade,J.Glob.Infect.Dis.,2009,1:33-37)。HCCは、HBVまたはC型肝炎ウイルス(HCV)の感染後の硬変肝において最も発症しやすい(Liaw,Semin.Liver Dis.,2005,25:40-47、Koike,Clin.Gastroenterol.Hepatol.,2005,3:132-135)。HCCは、その約50%の症例がHBV感染症と関連している(Liaw,Semin.Liver Dis.,2005,25:40-47)。HCV感染は、日本におけるHCC症例の70%の原因である(Hasan,et al.,Hepatology,1990,12:589-591、El-Serag et al.,N.Engl.J.Med.,1999,340:745-750)。HCC罹患率は、HCV感染の広がり(El-Serag,Hepatology,2002,36:S74-83、Trevisani et al.,Carcinogenesis,2008,29:1299-1305)及び非アルコール性脂肪症の罹患率の増加(Torres et al.,Semin.Liver.Dis.,2012,32(1):30-38)により、欧米諸国で近年増加している。
【0008】
HCCは、不良な予後を有し、生存期間中央値は予後の日付から2年未満である。HCC生存率は、研究によって異なるが、一般に5年生存は10~20%である。HBV関連HCCは、極めて不良な予後を有し、生存期間中央値は16ヶ月未満である。HBV関連HCCの生存率は、診断の1年後に36%~67%及び5年後に15%~26%の範囲であった。(Nguyen et al.,J.Viral.Hepat.,2009,16(7):453-463)。
【0009】
様々な化学療法レジメンが使用可能であるが、伝統的に、化学療法は、HCCに対する有効な治療オプションとは考えられていない。10%の全身化学療法奏効率が見られ得て、動脈内化学療法を使用すると奏効率は最大20%である。切除不能なHCCを有する対象の治療オプションは、非常に限定されており、この疾患における有効な治療法に対する高いアンメットメディカルニーズが依然として存在する。
【0010】
本出願の第2節におけるいずれの参考文献の引用または特定も、その参考文献が本出願の先行技術であるという承認として解釈されるべきではない。
【発明の概要】
【0011】
3.要約
一態様では、有効量の化合物1を、HBV感染を特徴とするHCCを有する患者に投与することを含む、患者におけるHBV感染を特徴とするHCCを治療及び/または予防するための方法が、本明細書に提供される。患者におけるHBV感染を特徴とするHCCを治療及び/または予防するためのそのような方法における使用のための化合物1が、本明細書に提供される。ある特定の実施形態では、有効量の化合物1を、HBV感染を特徴とするHCCを有する患者に投与することを含む、患者におけるHBV感染を特徴とするHCCを治療するための方法が、本明細書に提供される。患者におけるHBV感染を特徴とするHCCを治療するためのそのような方法における使用のための化合物1が、本明細書に提供される。他の実施形態では、有効量の化合物1を、HBV感染を特徴とするHCCを有する患者に投与することを含む、患者におけるHBV感染を特徴とするHCCを予防するための方法が、本明細書に提供される。患者におけるHBV感染を特徴とするHCCを予防するためのそのような方法方法における使用のための化合物1が、本明細書に提供される。
【0012】
ある特定の実施形態では、HBV感染を特徴とするHCCは、HBV感染を特徴とする切除不能なHCCである。したがって、いくつかの実施形態では、有効量の化合物1を、HBV感染を特徴とするHCCを有する患者に投与することを含む、患者におけるHBV感染を特徴とする切除不能なHCCを治療するための方法が、本明細書に提供される。患者におけるHBV感染を特徴とする切除不能なHCCを治療するためのそのような方法における使用のための化合物1が、本明細書に提供される。他の実施形態では、有効量の化合物1を、HBV感染を特徴とするHCCを有する患者に投与することを含む、患者におけるHBV感染を特徴とする切除不能なHCCを予防するための方法が、本明細書に提供される。患者におけるHBV感染を特徴とする切除不能なHCCを予防するためのそのような方法における使用のための化合物1が、本明細書に提供される。
【0013】
別の態様では、患者からの生体検査試料をHBV感染についてスクリーニングすることと、有効量の化合物1を、HBV感染を特徴とするHCCを有する患者に投与することとを含む、患者におけるHBV感染を特徴とするHCCを治療及び/または予防するための方法が、本明細書に提供される。患者におけるHBV感染を特徴とするHCCを治療及び/または予防するためのそのような方法における使用のための化合物1が、本明細書に提供され、この方法は、患者からの生体検査試料をHBV感染についてスクリーニングすることと、有効量の化合物1を、HBV感染を特徴とするHCCを有する患者に投与することとを含む。ある特定の態様では、患者からの生体検査試料をHBV感染についてスクリーニングすることと、有効量の化合物1を、HBV感染を特徴とするHCCを有する患者に投与することとを含む、患者におけるHBV感染を特徴とするHCCを治療するための方法が、本明細書に提供される。患者におけるHBV感染を特徴とするHCCを治療するためのそのような方法における使用のための化合物1が、本明細書に提供され、この方法は、患者からの生体検査試料をHBV感染についてスクリーニングすることと、有効量の化合物1を、HBV感染を特徴とするHCCを有する患者に投与することとを含む。他の実施形態では、患者からの生体検査試料をHBV感染についてスクリーニングすることと、有効量の化合物1を、HBV感染を特徴とするHCCを有する患者に投与することとを含む、患者におけるHBV感染を特徴とするHCCを予防するための方法が、本明細書に提供される。患者におけるHBV感染を特徴とするHCCを予防するためのそのような方法における使用のための化合物1が、本明細書に提供され、この方法は、患者からの生体検査試料をHBV感染についてスクリーニングすることと、有効量の化合物1を、HBV感染を特徴とするHCCを有する患者に投与することとを含む。
【0014】
ある特定の実施形態では、HBV感染を特徴とするHCCは、HBV感染を特徴とする切除不能なHCCである。したがって、いくつかの実施形態では、患者からの生体検査試料をHBV感染についてスクリーニングすることと、有効量の化合物1を、HBV感染を特徴とする切除不能なHCCを有する患者に投与することとを含む、患者におけるHBV感染を特徴とする切除不能なHCCを治療するための方法が、本明細書に提供される。患者におけるHBV感染を特徴とする切除不能なHCCを治療するためのそのような方法における使用のための化合物1が、本明細書に提供され、この方法は、患者からの生体検査試料をHBV感染についてスクリーニングすることと、有効量の化合物1を、HBV感染を特徴とする切除不能なHCCを有する患者に投与することとを含む。更に他の実施形態では、患者からの生体検査試料をHBV感染についてスクリーニングすることと、有効量の化合物1を、HBV感染を特徴とするHCCを有する患者に投与することとを含む、患者におけるHBV感染を特徴とする切除不能なHCCを予防するための方法が、本明細書に提供される。患者におけるHBV感染を特徴とする切除不能なHCCを予防するためのそのような方法における使用のための化合物1が、本明細書に提供され、この方法は、患者からの生体検査試料をHBV感染についてスクリーニングすることと、有効量の化合物1を、HBV感染を特徴とするHCCを有する患者に投与することとを含む。
【0015】
更に別の態様では、a)患者から生体検査試料を得ることと、b)試料をHBV感染について分析することと、c)試料においてHBV感染が判定された場合、化合物1治療のためのHCCを有する患者を選択することとを含む、化合物1治療のためのHCCを有する患者を選択するための方法が、本明細書に提供される。ある特定の実施形態では、この方法は、d)有効量の化合物1を、HBV感染を特徴とするHCCを有する患者に投与するステップを更に含む。したがって、いくつかの実施形態では、a)患者から生体検査試料を得ることと、b)試料をHBV感染について分析することと、c)試料においてHBV感染が判定された場合、化合物1治療のためのHCCを有する患者を選択することと、d)有効量の化合物1を、HBV感染を特徴とするHCCを有する患者に投与することとを含む、化合物1治療のためのHCCを有する患者を選択するための方法が、本明細書に提供される。したがって、化合物1治療のためのHCCを有する患者を選択するための方法における使用のための化合物1もまた、本明細書に提供され、この方法は、a)患者から生体検査試料を得ることと、b)試料をHBV感染について分析することと、c)試料においてHBV感染が判定された場合、化合物1治療のためのHCCを有する患者を選択することと、d)有効量の化合物1を、HBV感染を特徴とするHCCを有する患者に投与することとを含む。
【0016】
ある特定の実施形態では、HCCは、切除不能なHCCである。したがって、いくつかの実施形態では、a)患者から生体検査試料を得ることと、b)試料をHBV感染について分析することと、c)試料においてHBV感染が判定された場合、化合物1治療のための切除不能なHCCを有する患者を選択することとを含む、化合物1治療のための切除不能なHCCを有する患者を選択するための方法が、本明細書に提供される。他の実施形態では、a)患者から生体検査試料を得ることと、b)試料をHBV感染について分析することと、c)試料においてHBV感染が判定された場合、化合物1治療のための切除不能なHCCを有する患者を選択することと、d)有効量の化合物1を、HBV感染を特徴とする切除不能なHCCを有する患者に投与することとを含む、化合物1治療のための切除不能なHCCを有する患者を選択するための方法が、本明細書に提供される。したがって、化合物1治療のための切除不能なHCCを有する患者を選択するための方法における使用のための化合物1もまた、本明細書に提供され、この方法は、a)患者から生体検査試料を得ることと、b)試料をHBV感染について分析することと、c)試料においてHBV感染が判定された場合、化合物1治療のための切除不能なHCCを有する患者を選択することと、d)有効量の化合物1を、HBV感染を特徴とする切除不能なHCCを有する患者に投与することとを含む。
【0017】
更に別の態様では、HCCを有する患者における化合物1による治療に対する反応を予測するための方法が、本明細書に提供され、この方法は、a)患者から生体検査試料を得ることと、b)試料をHBV感染について分析することと、c)試料においてHBV感染が判定された場合、患者のHCCの、化合物1治療に対する反応の可能性の増大を予測することとを含む。ある特定の実施形態では、この方法は、d)有効量の化合物1を、HBV感染を特徴とするHCCを有する患者に投与するステップを更に含む。したがって、いくつかの実施形態では、HCCを有する患者における化合物1による治療に対する反応を予測するための方法が、本明細書に提供され、この方法は、a)患者から生体検査試料を得ることと、b)試料をHBV感染について分析することと、c)試料においてHBV感染が判定された場合、患者のHCCの、化合物1治療に対する反応の可能性の増大を予測することと、d)有効量の化合物1を、HBV感染を特徴とするHCCを有する患者に投与することとを含む。したがって、HCCを有する患者における化合物1による治療に対する反応を予測するための方法における使用のための化合物1もまた、本明細書に提供され、この方法は、a)患者から生体検査試料を得ることと、b)試料をHBV感染について分析することと、c)試料においてHBV感染が判定された場合、患者のHCCの、化合物1治療に対する反応の可能性の増大を予測することと、d)有効量の化合物1を、HBV感染を特徴とするHCCを有する患者に投与することとを含む。
【0018】
ある特定の実施形態では、HCCは、切除不能なHCCである。したがって、いくつかの実施形態では、切除不能なHCCを有する患者における化合物1による治療に対する反応を予測するための方法が、本明細書に提供され、この方法は、a)患者から生体検査試料を得ることと、b)試料をHBV感染について分析することと、c)試料においてHBV感染が判定された場合、患者の切除不能なHCCの、化合物1治療に対する反応の可能性の増大を予測することとを含む。他の実施形態では、切除不能なHCCを有する患者における化合物1による治療に対する反応を予測するための方法が、本明細書に提供され、この方法は、a)患者から生体検査試料を得ることと、b)試料をHBV感染について分析することと、c)試料においてHBV感染が判定された場合、患者の切除不能なHCCの、化合物1治療に対する反応の可能性の増大を予測することと、d)有効量の化合物1を、HBV感染を特徴とする切除不能なHCCを有する患者に投与することとを含む。したがって、切除不能なHCCを有する患者における化合物1による治療に対する反応を予測するための方法における使用のための化合物1もまた、本明細書に提供され、この方法は、a)患者から生体検査試料を得ることと、b)試料をHBV感染について分析することと、c)試料においてHBV感染が判定された場合、患者の切除不能なHCCの、化合物1治療に対する反応の可能性の増大を予測することと、d)有効量の化合物1を、HBV感染を特徴とする切除不能なHCCを有する患者に投与することとを含む。
【0019】
別の態様では、HCCを有する患者における化合物1の治療効果を予測するための方法が、本明細書に提供され、この方法は、a)患者から生体検査試料を得ることと、b)試料をHBV感染について分析することと、c)試料においてHBV感染が判定された場合、患者のHCCにおける化合物1の治療効果の可能性の増大を予測することとを含む。ある特定の実施形態では、この方法は、d)有効量の化合物1を、HBV感染を特徴とするHCCを有する患者に投与するステップを更に含む。したがって、いくつかの実施形態では、HCCを有する患者における化合物1の治療効果を予測するための方法が、本明細書に提供され、この方法は、a)患者から生体検査試料を得ることと、b)試料をHBV感染について分析することと、c)試料においてHBV感染が判定された場合、患者のHCCにおける化合物1の治療効果の可能性の増大を予測することと、d)有効量の化合物1を、HBV感染を特徴とするHCCを有する患者に投与することとを含む。したがって、HCCを有する患者における化合物1の治療効果を予測するための方法における使用のための化合物1もまた、本明細書に提供され、この方法は、a)患者から生体検査試料を得ることと、b)試料をHBV感染について分析することと、c)試料においてHBV感染が判定された場合、患者のHCCにおける化合物1の治療効果の可能性の増大を予測することと、d)有効量の化合物1を、HBV感染を特徴とするHCCを有する患者に投与することとを含む。
【0020】
ある特定の実施形態では、HCCは、切除不能なHCCである。したがって、いくつかの実施形態では、切除不能なHCCを有する患者における化合物1の治療効果を予測するための方法が、本明細書に提供され、この方法は、a)患者から生体検査試料を得ることと、b)試料をHBV感染について分析することと、c)試料においてHBV感染が判定された場合、患者の切除不能なHCCにおける化合物1の治療効果の可能性の増大を予測することとを含む。他の実施形態では、切除不能なHCCを有する患者における化合物1の治療効果を予測するための方法が、本明細書に提供され、この方法は、a)患者から生体検査試料を得ることと、b)試料をHBV感染について分析することと、c)試料においてHBV感染が判定された場合、患者の切除不能なHCCにおける化合物1の治療効果の可能性の増大を予測することと、d)有効量の化合物1を、HBV感染を特徴とする切除不能なHCCを有する患者に投与することとを含む。したがって、切除不能なHCCを有する患者における化合物1の治療効果を予測するための方法における使用のための化合物1もまた、本明細書に提供され、この方法は、a)患者から生体検査試料を得ることと、b)試料をHBV感染について分析することと、c)試料においてHBV感染が判定された場合、患者の切除不能なHCCにおける化合物1の治療効果の可能性の増大を予測することと、d)有効量の化合物1を、HBV感染を特徴とする切除不能なHCCを有する患者に投与することとを含む。
【0021】
本実施形態は、非限定的な実施形態を例示することを目的とする詳細な説明及び実施例を参照することによって、更に十分に理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
4.図面の簡単な説明
図1】実施例6.1の臨床研究のパートBについての研究設計を描く。
【0023】
図2】バートB HCCコホートの患者特徴を示す。
【0024】
図3図3A及び3Bは、HCC-HBV陽性患者(n=12)及びHCC-HBV陰性患者(n=39)における化合物1(図3A)及びその代謝産物M1(図3B)の薬物動態(PK)データを示す。
【0025】
図4】HBV状態別のHCC治療した集団(TP)の性質を示す。
【0026】
図5】HCCコホートの全生存期間(OS)についてのカプラン・マイヤー曲線を示す。図5Aは、HBV感染患者と非HBV感染患者とを区別することなく、全てのHCC患者のOSを示す。図5Bは、HCCコホートのHBV状態別のOSを示す(p=0.19)。
【0027】
図6】HCCコホートの無憎悪生存期間(PFS)についてのカプラン・マイヤー曲線を示す。図6Aは、HBV感染患者と非HBV感染患者とを区別することなく、全てのHCC患者のPFSを示す。図6Bは、HCCコホートのHBV状態別のPFSを示す。
【0028】
図7】化合物1を受ける非HBV感染患者に対する有効性評価可能なHBV感染患者における標的病変の全長のベースラインからの最良変化率を示す。
【0029】
図8】化合物1を受ける非HBV感染患者に対するHBV感染患者の生存期間及び反応データを要約する。
【0030】
図9】化合物1で治療した2名のHBV感染HCC患者からの例示的な放射線反応を示す。患者Aは、ベースラインと比較した第1のオントリートメント再分類における胸腔内転位の退縮を示す。患者Bは、ベースラインと比較した第1のオントリートメント再分類における胸腔内腫瘍退縮を示す。
【0031】
図10】化合物1治療を受ける部分奏効(PR)を有する2名のHCC患者における例示的なα-フェトプロテイン(AFP)反応を示す。両患者は、ベースライン上昇レベルと比較して、治療中のAFPの早期の臨床的に有意な著しい低減を示す。
【発明を実施するための形態】
【0032】
5.詳細な説明
5.1 定義
「a」または「an」という単語の使用は、特許請求の範囲及び/または明細書中で「含む(comprising)」という用語と一緒に使用される場合、「1つの」を意味することが可能であるが、「1つ以上の」、「少なくとも1つの」、及び「1つまたは1つより多くの」という意味とも矛盾しない。
【0033】
本明細書で使用される場合、「含む(comprising)」及び「含む(including)」という用語は、同義で使用可能である。「含む(comprising)」及び「含む(including)」という用語は、表明された特長または構成要素が称されるとおりに存在することを指定すると解釈されるべきであるが、1つ以上の特長、または構成要素、またはそれらの群の存在または追加を排除しない。更に、「含む(comprising))」及び「含む(including」という用語は、「からなる(consisting of)」という用語により包含される例を含むものとする。したがって、「からなる(consisting of)」という用語は、本発明のより具体的な実施形態を提供するために「含む(comprising)」及び「含む(including)」という用語に代わって使用可能である。
【0034】
「からなる(consisting of)」という用語は、主題が、それを構成する表明された特長または構成要素を少なくとも90%、95%、97%、98%、または99%有することを意味する。別の実施形態では、「からなる(consisting of)」という用語は、その後に続くいかなる記述範囲からも、他のいかなる特長または構成要素も排除するが、ただし達成されるべき技術効果に対して必須ではないものは例外とする。
【0035】
本明細書で使用される場合、「または」という用語は、任意の1つまたは任意の組み合わせを意味する包括的な「または」と解釈される。したがって、「A、BまたはC」は、以下のいずれかを意味する。「A;B;C;A及びB;A及びC;B及びC;A、B、及びC」。この定義の例外は、要素、機能、工程、または作用の組み合わせが、何らかの形で、本質的に互いに相反する場合にのみ生じる。
【0036】
本明細書で使用される場合、「薬学的に許容される塩(複数可)」という用語は、無機酸及び塩基ならびに有機酸及び塩基を含めた薬学的に許容される非毒性の酸または塩基から調製される塩を指す。化合物1の好適な薬学的に許容される塩基付加塩としては、アルミニウム、カルシウム、リチウム、マグネシウム、カリウム、ナトリウム、及び亜鉛から製造される金属塩、またはリシン、N,N′-ジベンジルエチレンジアミン、クロロプロカイン、コリン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、メグルミン(N-メチルグルカミン)、及びプロカインから製造される有機塩が挙げられるが、これらに限定されない。好適な非毒性の酸としては、無機酸及び有機酸、例えば、酢酸、アルギン酸、アントラニル酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、カンファースルホン酸、クエン酸、エテンスルホン酸、ギ酸、フマル酸、フロン酸、ガラクツロン酸、グルコン酸、グルクロン酸、グルタミン酸、グリコール酸、臭化水素酸、塩酸、イセチオン酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、ムチン酸、硝酸、パモ酸、パントテン酸、フェニル酢酸、リン酸、プロピオン酸、サリチル酸、ステアリン酸、コハク酸、スルファニル酸、硫酸、酒石酸、及びp-トルエンスルホン酸が挙げられるが、これらに限定されない。具体的な非毒性の酸としては、塩酸、臭化水素酸、リン酸、硫酸、及びメタンスルホン酸が挙げられる。具体的な塩の例としては、したがって、塩酸塩及びメシル酸塩が挙げられる。他のものは当技術分野で周知であり、例えば、Remington′s Pharmaceutical Sciences,18th eds.,Mack Publishing,Easton PA(1990)またはRemington:The Science and Practice of Pharmacy,19th eds.,Mack Publishing,Easton PA(1995)を参照されたい。
【0037】
「互変異性体」は、互いに平衡状態にある化合物の異性体型を指す。異性体型の濃度は、化合物が見出される環境に依存し、例えば、当該化合物が固体であるか、または有機溶液もしくは水溶液中にあるのかどうかに応じて異なり得る。例えば、水溶液において、ピラゾールは、以下の異性体型を示す場合があり、これらは、互いの互変異性体と称される。
【化1】
【0038】
当業者に容易に理解されるように、多種多様な官能基及び他の構造が、互変異性を示し得、化合物1の全ての互変異性体は、本発明の範囲内にある。
【0039】
本明細書で使用される場合、「治療すること」とは、障害もしくは疾患(例えば、HBV感染を特徴とするHCC)に関連する症候の全体的もしくは部分的な軽減、またはそれら症候の更なる進行もしくは悪化の遅延もしくは停止を意味する。
【0040】
本明細書で使用される場合、「予防すること」とは、疾患もしくは障害(例えば、HBV感染を特徴とするHCC)またはその症候の全体的または部分的な発症、再発、または拡散の予防を意味する。
【0041】
本明細書で使用する場合、「投与する」または「投与」とは、物質を体外で存在している際の状態で、患者に、経口送達、粘膜送達、皮内送達、静脈内送達、筋肉内送達及び/または本明細書に記載されているかもしくは当該技術分野において知られているいずれかの他の物理的送達方法などによって物理的に送達する行為を指す。疾患、障害もしくは病態、またはその症候を治療するとき、物質の投与は、典型的には疾患、障害もしくは病態、またはその症候の発症、再発、または拡散後に行う。疾患、障害もしくは病態、またはその症候を予防するとき、物質の投与は、典型的には疾患、障害もしくは病態、またはその症候の発症、再発、または拡散前に行う。
【0042】
化合物1に関して「有効量」という用語は、単独でまたは組み合わせて、HCCに関連する症候を、全体的または部分的に軽減する、またはそれらの症候の更なる進行もしくは悪化を遅延もしくは停止させる、またはHCCを有する、もしくは有する危険性のある対象におけるHCCを治療もしくは予防することができる量を意味する。例えば、薬学的組成物中の化合物1の有効量は、所望の効果を発揮するレベル、例えば、経口及び非経口の両方の投与に関して、単位用量で、患者の体重の約0.005mg/kg~対象の体重の約10mg/kgであってもよい。
【0043】
本明細書で使用される場合、「組み合わせ」または「組み合わせて」の投与という用語には、混合物としての投与、別個の製剤を使用した同時投与、及び任意の順序での逐次投与が含まれる。
【0044】
「逐次」は、活性作用剤の投与間にある特定の時間が経過したことを意味する。例えば、「逐次」は、別個の活性作用剤の投与間に10分超が経過した場合がある。そのため、時間の長さは、10分超、30分超、1時間超、3時間超、6時間超、または12時間超が可能である。
【0045】
本明細書で使用される場合、「免疫チェックポイント阻害剤」または「チェックポイント阻害剤」という用語は、1種以上のチェックポイントタンパク質を、完全にまたは部分的に低減、阻害、干渉、または変調する分子を指す。特定の理論に限定されるものではないが、チェックポイントタンパク質は、T細胞活性化または機能を調節する。チェックポイント阻害剤の非限定例としては、CTLA-4、CD80、CD86、PD-1、PD-Ll、及びPD-L2が挙げられる(Pardoll,Nature Rev.Cancer,2012,12:252-264)。
【0046】
本明細書で使用される場合、「患者」及び「対象」という用語には、限定されないが、ウシ、サル、ウマ、ヒツジ、ブタ、ニワトリ、シチメンチョウ、ウズラ、ネコ、イヌ、マウス、ラット、ウサギ、またはモルモットなどの動物を含めた動物、一実施形態では哺乳類、別の実施形態ではヒトが含まれる。
【0047】
本明細書で使用される場合、「治療集団」または「TP」という用語は、少なくとも1用量の化合物1を摂取した全ての登録対象を指す。薬物曝露及び全ての安全性分析は、治療集団に基づいている。
【0048】
本明細書で使用される場合、「有効性評価可能集団」または「EE集団」という用語は、適格基準を満たし、少なくとも1サイクルの化合物1治療を完了し、ベースライン及び少なくとも1回のベースライン後有効性評価を有していた全ての対象を指す。有効性評価は、所与の腫瘍タイプの放射線もしくは臨床評価、または関連腫瘍反応基準によって説明される他の適切な手段による腫瘍評価を意味する。具体的に、有効性評価は、HCCを有する対象の有効な放射線腫瘍評価を含み得る。更に、対象は、サイクル1中の化合物1の割り当て日の少なくとも70%を要することになるか、または少なくとも1治療サイクルを完了したと定義されるサイクル2投与記録を有する。
【0049】
本明細書で使用される場合、「生体検査試料」という用語は、血清、血漿、血液、乾燥血液/血漿スポット、肝細胞、原発性腫瘍、または肺、リンパ節、副腎、骨、腹膜、門脈、脳、唾液、耳下腺組織などを含むが、これらに限定されないHCCの転位部位から採取された試料を指す。
【0050】
本明細書で同義に使用される「HBV陽性」または「HBV感染」という用語は、HBVに感染したと考えられるHCCを有する対象を特定するためにアルゴリズムによって判定されるHCC患者のHBV状態を指す。アルゴリズムに使用可能な変数としては、以下に限定されないが、HBVの病歴、予防接種歴、HBVに関する以前または現在の治療、HBVに起因する硬変、HBV抗原及び/または抗体についての血清学的試験、HBV負荷、ならびにHBV DNAの存在が挙げられる。そのような変数の非限定例は、HBV表面抗原(HBsAg)の存在、HBV表面抗原に対する抗体(抗HBsAg)の存在、HBVコア抗原(HBcAg)の存在、HBVコア抗原に対する抗体(抗HBcAg)の存在、HBVエンベロープタンパク質抗原(HBeAg)の存在、HBVエンベロープタンパク質抗原に対する抗体(抗HBeAg)の存在、HBVxタンパク質抗原(HBxAg)の存在、HBVxタンパク質抗原に対する抗体(抗HBxAg)の存在、HBVコア関連抗原(HBcrAg)の存在、HBVコア関連抗原に対する抗体(抗HBcrAg)の存在、HBVウイルス負荷、抗HBV薬物の使用、HBV DNAの存在、HBV mRNAの存在、及びHBVタンパク質の存在である。同様に、本明細書で同義に使用される「HBV陰性」または「非HBV感染」という用語は、HBV感染もその履歴も有しないと考えられるHCC患者のHBV状態を指す。
【0051】
本明細書で使用される場合、「B型肝炎ウイルス(HBV)感染を特徴とする肝細胞癌(HCC)」という用語は、「HBV感染に伴うHCC」、「HBV感染に関連したHCC」、「HBV感染の履歴を有するHCC」、「HBV陽性HCC」、「HBVに伴うHCC」、「HBV関連HCC」、または「HBV感染HCC」という用語と同義であると定義される。
【0052】
「可能性」という用語は、概して、ある事象の確率の増加を指す。「可能性」という用語は、がん患者反応の有効性に関して使用される場合、概して、がんもしくは腫瘍症候群、またはその症候が軽減または減少する確率の増加を意図する。
【0053】
「予測する」という用語は、概して、事前に判定したり、見定めたりすることを意味する。例えば、がん治療の有効性を「予測する」ために使用される場合、「予測する」という用語は、治療が開始される前、または治療期間が実質的に進む前に、治療の転帰の可能性を最初に判定できることを意味し得る。
【0054】
本明細書で使用される場合、「判定する」、「測定する」、「評価する(evaluating)」、「評価する(assessing)」、及び「アッセイする」という用語は、概して、任意の測定形態を指し、要素が存在するか否かを判定することを含む。これらの用語は、定量的判定及び/または定性的判定の両方を含む。
【0055】
HCCの文脈において、阻害は、とりわけ、疾患進行の阻害、腫瘍成長の阻害、原発性腫瘍の減少、腫瘍関連症候の軽減、腫瘍分泌因子の阻害(例えば、AFPなど)、原発性または続発性腫瘍の出現の遅延、原発性または続発性腫瘍の発達の鈍化、原発性または続発性腫瘍の発生の減少、疾患の二次的影響の遅延またはその重篤度の低下、腫瘍成長の停止及び腫瘍退縮、腫瘍増殖停止期間(TTP)の延長、無増悪生存期間(PFS)の延長、全生存期間(OS)の延長により評価することができる。本明細書で使用される場合、OSは、無作為化(例えば、最初の投与日)から、何らかの原因による死亡までの時間を意味し、治療意図集団において測定される。本明細書で使用される場合、TTPは、無作為化(例えば、最初の投与日)から、目的の腫瘍進行までの時間を意味し、TTPは死亡を含まない。本明細書で使用される場合、PFSは、無作為化(例えば、最初の投与日)から、目的の腫瘍進行または死亡までの時間を意味する。一実施形態では、PFS率は、カプラン・マイヤー推定法を使用して計算される。一実施形態では、生存率は、6、9、12ヶ月生存の対象のカプラン・マイヤー推定比率として定義される。本明細書で使用される場合、疾患制御率(DCR)は、完全奏効(CR)または部分奏効(PR)または安定な疾患(SD)を有する対象のパーセンテージを意味する。本明細書で使用される場合、反応までの時間(TTR)は、無作為化(例えば、最初の投与日)からPRまたはそれ以上の反応の最初の文書化までの時間を意味する。本明細書で使用される場合、反応期間(DOR)は、CR/PR(どちらか最初に記録された方)の基準が最初に満たされた時点から、再発性または進行性疾患が客観的に文書化された最初の日までの時間を意味する。
【0056】
ある特定の実施形態では、HCCの治療は、固形腫瘍の奏効評価基準(RECIST 1.1)によって評価することができる(Thereasse et al.J.National Cancer Institute,2000,92:205-216及びEisenhauer et al.,European J.Cancer,2009,45:228-247を参照)。新規病変の出現を伴うまたは伴わない標的及び非標的病変における腫瘍反応の可能な組み合わせ全てについての総合効果は、以下の通りである:
【表1】
CR=完全奏効;PR=部分奏効;SD=安定な疾患;及びPD=進行性疾患。
【0057】
標的病変の評価に関して、完全奏効(CR)とは、全ての標的病変の消失であり、部分奏効(PR)とは、ベースライン長径和を基準として、標的病変の長径和の少なくとも30%減少であり、進行性疾患(PD)とは、治療開始以来記録された長径和の最小値を基準として、標的病変の長径和の少なくとも20%増加、または1つ以上の新規病変の出現であり、安定な疾患(SD)とは、治療開始以来の長径和の最小値を基準として、部分奏効とするのに十分な収縮もなければ、進行性疾患とするのに十分な増大もないことである。
【0058】
非標的病変の評価に関して、CRとは、全ての非標的病変の消失及び腫瘍マーカーレベルの正常化であり;不完全奏効/SDとは、1つ以上の非標的病変(複数可)の残存及び/または腫瘍マーカーレベルが基準値上限を超えたままであり、PDとは、1つ以上の新規病変の出現及び/または既存の非標的病変の明らかな増悪である。
【0059】
いくつかの実施形態では、HCCの治療はまた、固形腫瘍の修正奏功評価基準(mRECIST for HCC)によって評価することができる(Lencioni et al.Semin Liver Dis.2010 Feb;30(1):52-60を参照。
【0060】
5.2 化合物1
本明細書では、以下の構造を有し、
【化2】
7-(6-(2-ヒドロキシプロパン-2-イル)ピリジン-3-イル)-1-((トランス)-4-メトキシシクロヘキシル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オンという名称を有する化合物(その薬学的に許容される塩もしくは互変異生体を含む)(本明細書では「化合物1」と総称する)の使用が提供される。
【0061】
化合物1は、当該技術分野において既知の試薬及び方法を使用して調製することができ、方法には、2012年2月7日に発行された米国特許第8,110,578号、2013年10月29日に発行された米国特許第8,569,494号、及び2016年6月7日に発行された米国特許第9,359,364号に提供される方法が含まれ、それぞれの内容全体が、参照により本明細書に組み込まれる。
【0062】
本明細書で使用される場合、「代謝産物M1」は、以下の構造を有し、
【化3】
1-((トランス)-4-ヒドロキシシクロヘキシル)-7-(6-(2-ヒドロキシプロパン-2-イル)ピリジン-3-イル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]-ピラジン-2(1H)-オンという名称を有する化合物、またはその互変異生体を指す。
【0063】
示されている構造とその構造に与えられた名称との間に矛盾がある場合には、示されている構造が優先されることに留意されたい。加えて、構造または構造の一部の立体化学が、例えば、太字または破線で示されていない場合、その構造またはその構造の一部は、その全ての立体異性体を包含するものと解釈するものとする。
【0064】
5.3 使用方法及びそのような方法における使用のための化合物1
本明細書に提供される化合物1は、本明細書に提供される全ての方法で使用可能である。一態様では、有効量の化合物1を、HBV感染を特徴とするHCCを有する患者に投与することを含む、患者におけるHBV感染を特徴とするHCCを治療及び/または予防するための方法が、本明細書に提供される。患者におけるHBV感染を特徴とするHCCを治療及び/または予防するためのそのような方法における使用のための化合物1が、本明細書に提供される。ある特定の実施形態では、有効量の化合物1を、HBV感染を特徴とするHCCを有する患者に投与することを含む、患者におけるHBV感染を特徴とするHCCを治療するための方法が、本明細書に提供される。患者におけるHBV感染を特徴とするHCCを治療するためのそのような方法における使用のための化合物1が、本明細書に提供される。他の実施形態では、有効量の化合物1を、HBV感染を特徴とするHCCを有する患者に投与することを含む、患者におけるHBV感染を特徴とするHCCを予防するための方法が、本明細書に提供される。有効量の化合物1を、HBV感染を特徴とするHCCを有する患者に投与することを含む、患者におけるHBV感染を特徴とするHCCを予防するためのそのような方法における使用のための化合物1が、本明細書に提供される。ある特定の実施形態では、HBV感染を特徴とするHCCは、HBV感染を特徴とする切除不能なHCCである。したがって、いくつかの実施形態では、有効量の化合物1を、HBV感染を特徴とする切除不能なHCCを有する患者に投与することを含む、患者におけるHBV感染を特徴とする切除不能なHCCを治療するための方法が、本明細書に提供される。患者におけるHBV感染を特徴とする切除不能なHCCを治療するためのそのような方法における使用のための化合物1が、本明細書に提供される。他の実施形態では、有効量の化合物1を、HBV感染を特徴とする切除不能なHCCを有する患者に投与することを含む、患者におけるHBV感染を特徴とする切除不能なHCCを予防するための方法が、本明細書に提供される。患者におけるHBV感染を特徴とする切除不能なHCCを予防するためのそのような方法における使用のための化合物1が、本明細書に提供される。
【0065】
いくつかの実施形態では、有効量の化合物1を、HBV感染に伴うHCCを有する患者に投与することを含む、患者におけるHBV感染に伴うHCCを治療及び/または予防するための方法が、本明細書に提供される。患者におけるHBV感染に伴うHCCを治療及び/または予防するためのそのような方法における使用のための化合物1が、本明細書に提供される。ある特定の実施形態では、有効量の化合物1を、HBV感染に伴うHCCを有する患者に投与することを含む、患者におけるHBV感染に伴うHCCを治療するための方法が、本明細書に提供される。患者におけるHBV感染に伴うHCCを治療するためのそのような方法における使用のための化合物1が、本明細書に提供される。他の実施形態では、有効量の化合物1を、HBV感染に伴うHCCを有する患者に投与することを含む、患者におけるHBV感染に伴うHCCを予防するための方法が、本明細書に提供される。患者におけるHBV感染に伴うHCCを予防するためのそのような方法における使用のための化合物1が、本明細書に提供される。一実施形態では、HBV感染に伴うHCCは、HBV感染に伴う切除不能なHCCである。
【0066】
いくつかの実施形態では、有効量の化合物1を、HBV感染に関連したHCCを有する患者に投与することを含む、患者におけるHBV感染に関連したHCCを治療及び/または予防するための方法が、本明細書に提供される。患者におけるHBV感染に関連したHCCを治療及び/または予防するためのそのような方法における使用のための化合物1が、本明細書に提供される。ある特定の実施形態では、有効量の化合物1を、HBV感染に関連したHCCを有する患者に投与することを含む、患者におけるHBV感染に関連したHCCを治療するための方法が、本明細書に提供される。患者におけるHBV感染に関連したHCCを治療するためのそのような方法における使用のための化合物1が、本明細書に提供される。他の実施形態では、有効量の化合物1を、HBV感染に関連したHCCを有する患者に投与することを含む、患者におけるHBV感染に関連したHCCを予防するための方法が、本明細書に提供される。患者におけるHBV感染に関連したHCCを予防するためのそのような方法における使用のための化合物1が、本明細書に提供される。一実施形態では、HBV感染に関連したHCCは、HBV感染に関連した切除不能なHCCである。
【0067】
いくつかの実施形態では、有効量の化合物1を、HBV感染の履歴を有するHCC患者に投与することを含む、患者におけるHBV感染の履歴を有するHCCを治療及び/または予防するための方法が、本明細書に提供される。患者におけるHBV感染の履歴を有するHCCを治療及び/または予防するためのそのような方法における使用のための化合物1が、本明細書に提供される。ある特定の実施形態では、有効量の化合物1を、HBV感染の履歴を有するHCC患者に投与することを含む、患者におけるHBV感染の履歴を有するHCCを治療するための方法が、本明細書に提供される。患者におけるHBV感染の履歴を有するHCCを治療するためのそのような方法における使用のための化合物1が、本明細書に提供される。他の実施形態では、有効量の化合物1を、HBV感染の履歴を有するHCC患者に投与することを含む、患者におけるHBV感染の履歴を有するHCCを予防するための方法が、本明細書に提供される。患者におけるHBV感染の履歴を有するHCCを予防するためのそのような方法における使用のための化合物1が、本明細書に提供される。一実施形態では、HBV感染の履歴を有するHCCは、HBV感染の履歴を有する切除不能なHCCである。
【0068】
いくつかの実施形態では、有効量の化合物1を、HBV陽性HCCを有する患者に投与することを含む、患者におけるHBV陽性HCCを治療及び/または予防するための方法が、本明細書に提供される。患者におけるHBV陽性HCCを治療及び/または予防するためのそのような方法における使用のための化合物1が、本明細書に提供される。ある特定の実施形態では、有効量の化合物1を、HBV陽性HCCを有する患者に投与することを含む、患者におけるHBV陽性HCCを治療するための方法が、本明細書に提供される。患者におけるHBV陽性HCCを治療するためのそのような方法における使用のための化合物1が、本明細書に提供される。他の実施形態では、有効量の化合物1を、HBV陽性HCCを有する患者に投与することを含む、患者におけるHBV陽性HCCを予防するための方法が、本明細書に提供される。患者におけるHBV陽性HCCを予防するためのそのような方法における使用のための化合物1が、本明細書に提供される。一実施形態では、HBV陽性HCCは、切除不能なHBV陽性HCCである。
【0069】
いくつかの実施形態では、有効量の化合物1を、HBVに伴うHCCを有する患者に投与することを含む、患者におけるHBVに伴うHCCを治療及び/または予防するための方法が、本明細書に提供される。患者におけるHBVに伴うHCCを治療及び/または予防するためのそのような方法における使用のための化合物1が、本明細書に提供される。ある特定の実施形態では、有効量の化合物1を、HBVに伴うHCCを有する患者に投与することを含む、患者におけるHBVに伴うHCCを治療するための方法が、本明細書に提供される。患者におけるHBVに伴うHCCを治療するためのそのような方法における使用のための化合物1が、本明細書に提供される。他の実施形態では、有効量の化合物1を、HBVに伴うHCCを有する患者に投与することを含む、患者におけるHBVに伴うHCCを予防するための方法が、本明細書に提供される。患者におけるHBVに伴うHCCを予防するためのそのような方法における使用のための化合物1が、本明細書に提供される。一実施形態では、HBVに伴うHCCは、切除不能なHBVに伴うHCCである。
【0070】
いくつかの実施形態では、有効量の化合物1を、HBV関連HCCを有する患者に投与することを含む、患者におけるHBV関連HCCを治療及び/または予防するための方法が、本明細書に提供される。患者におけるHBV関連HCCを治療及び/または予防するためのそのような方法における使用のための化合物1が、本明細書に提供される。ある特定の実施形態では、有効量の化合物1を、HBV関連HCCを有する患者に投与することを含む、患者におけるHBV関連HCCを治療するための方法が、本明細書に提供される。患者におけるHBV関連HCCを治療するためのそのような方法における使用のための化合物1が、本明細書に提供される。他の実施形態では、有効量の化合物1を、HBV関連HCCを有する患者に投与することを含む、患者におけるHBV関連HCCを予防するための方法が、本明細書に提供される。患者におけるHBV関連HCCを予防するためのそのような方法における使用のための化合物1が、本明細書に提供される。一実施形態では、HBV関連HCCは、切除不能なHBV関連HCCである。
【0071】
いくつかの実施形態では、有効量の化合物1を、HBV感染HCCを有する患者に投与することを含む、患者におけるHBV感染HCCを治療及び/または予防するための方法が、本明細書に提供される。患者におけるHBV感染HCCを治療及び/または予防するためのそのような方法における使用のための化合物1が、本明細書に提供される。ある特定の実施形態では、有効量の化合物1を、HBV感染HCCを有する患者に投与することを含む、患者におけるHBV感染HCCを治療するための方法が、本明細書に提供される。患者におけるHBV感染HCCを治療するためのそのような方法における使用のための化合物1が、本明細書に提供される。他の実施形態では、有効量の化合物1を、HBV感染HCCを有する患者に投与することを含む、患者におけるHBV感染HCCを予防するための方法が、本明細書に提供される。患者におけるHBV感染HCCを予防するためのそのような方法における使用のための化合物1が、本明細書に提供される。一実施形態では、HBV感染HCCは、切除不能なHBV感染HCCである。
【0072】
別の態様では、患者からの生体検査試料をHBV感染についてスクリーニングすることと、有効量の化合物1を、HBV感染を特徴とするHCCを有する患者に投与することとを含む、患者におけるHBV感染を特徴とするHCCを治療及び/または予防するための方法が、本明細書に提供される。患者におけるHBV感染を特徴とするHCCを治療及び/または予防するためのそのような方法における使用のための化合物1が、本明細書に提供され、この方法は、患者からの生体検査試料をHBV感染についてスクリーニングすることと、有効量の化合物1を、HBV感染を特徴とするHCCを有する患者に投与することとを含む。ある特定の態様では、患者からの生体検査試料をHBV感染についてスクリーニングすることと、有効量の化合物1を、HBV感染を特徴とするHCCを有する患者に投与することとを含む、患者におけるHBV感染を特徴とするHCCを治療するための方法が、本明細書に提供される。患者におけるHBV感染を特徴とするHCCを治療するためのそのような方法における使用のための化合物1が、本明細書に提供され、この方法は、患者からの生体検査試料をHBV感染についてスクリーニングすることと、有効量の化合物1を、HBV感染を特徴とするHCCを有する患者に投与することとを含む。他の実施形態では、患者からの生体検査試料をHBV感染についてスクリーニングすることと、有効量の化合物1を、HBV感染を特徴とするHCCを有する患者に投与することとを含む、患者におけるHBV感染を特徴とするHCCを予防するための方法が、本明細書に提供される。患者におけるHBV感染を特徴とするHCCを予防するためのそのような方法における使用のための化合物1が、本明細書に提供され、この方法は、患者からの生体検査試料をHBV感染についてスクリーニングすることと、有効量の化合物1を、HBV感染を特徴とするHCCを有する患者に投与することとを含む。
【0073】
ある特定の実施形態では、HBV感染を特徴とするHCCは、HBV感染を特徴とする切除不能なHCCである。したがって、いくつかの実施形態では、患者からの生体検査試料をHBV感染についてスクリーニングすることと、有効量の化合物1を、HBV感染を特徴とする切除不能なHCCを有する患者に投与することとを含む、患者におけるHBV感染を特徴とする切除不能なHCCを治療するための方法が、本明細書に提供される。患者におけるHBV感染を特徴とする切除不能なHCCを治療するためのそのような方法における使用のための化合物1が、本明細書に提供され、この方法は、患者からの生体検査試料をHBV感染についてスクリーニングすることと、有効量の化合物1を、HBV感染を特徴とする切除不能なHCCを有する患者に投与することとを含む。更に他の実施形態では、患者からの生体検査試料をHBV感染についてスクリーニングすることと、有効量の化合物1を、HBV感染を特徴とする切除不能なHCCを有する患者に投与することとを含む、患者におけるHBV感染を特徴とする切除不能なHCCを予防するための方法が、本明細書に提供される。患者におけるHBV感染を特徴とする切除不能なHCCを予防するためのそのような方法における使用のための化合物1が、本明細書に提供され、この方法は、患者からの生体検査試料をHBV感染についてスクリーニングすることと、有効量の化合物1を、HBV感染を特徴とする切除不能なHCCを有する患者に投与することとを含む。
【0074】
ある特定の実施形態では、HBV感染を特徴とするHCCは、HBV感染を特徴とする以前に治療されていないHCCである。したがって、いくつかの実施形態では、患者からの生体検査試料をHBV感染についてスクリーニングすることと、有効量の化合物1を、HBV感染を特徴とする以前に治療されていないHCCを有する患者に投与することとを含む、患者におけるHBV感染を特徴とする以前に治療されていないHCCを治療するための方法が、本明細書に提供される。患者におけるHBV感染を特徴とする以前に治療されていないHCCを治療するためのそのような方法における使用のための化合物1が、本明細書に提供され、この方法は、患者からの生体検査試料をHBV感染についてスクリーニングすることと、有効量の化合物1を、HBV感染を特徴とする以前に治療されていないHCCを有する患者に投与することとを含む。他の実施形態では、HBV感染を特徴とするHCCは、HBV感染を特徴とする以前に治療されたHCCである。したがって、いくつかの実施形態では、患者からの生体検査試料をHBV感染についてスクリーニングすることと、有効量の化合物1を、HBV感染を特徴とする以前に治療されたHCCを有する患者に投与することとを含む、患者におけるHBV感染を特徴とする以前に治療されたHCCを治療するための方法が、本明細書に提供される。患者におけるHBV感染を特徴とする以前に治療されたHCCを治療するためのそのような方法における使用のための化合物1が、本明細書に提供され、この方法は、患者からの生体検査試料をHBV感染についてスクリーニングすることと、有効量の化合物1を、HBV感染を特徴とする以前に治療されたHCCを有する患者に投与することとを含む。いくつかの実施形態では、HBV感染を特徴とするHCCは、少なくとも1つの治療法で以前に治療されている。いくつかのそのような実施形態では、HBV感染を特徴とするHCCは、少なくともソラフェニブ及び/または化学療法で以前に治療された。一実施形態では、HBV感染を特徴とするHCCは、1つの治療法で以前に治療されている。別の実施形態では、HBV感染を特徴とするHCCは、2つの治療法で以前に治療されている。更に別の実施形態では、HBV感染を特徴とするHCCは、3つの治療法で以前に治療されている。更に他の実施形態では、HBV感染を特徴とするHCCは、4つの治療法で以前に治療されている。いくつかのそのような実施形態では、HBV感染を特徴とするHCCは、以前に治療されたHCCであり、以前の治療は、ソラフェニブ及び/または化学療法を含む。いくつかのそのような実施形態では、HBV感染を特徴とするHCCは、以前に治療されたHCCであり、以前の治療は、少なくともソラフェニブ及び/または化学療法を含む。いくつかのそのような実施形態では、HBV感染を特徴とするHCCは、以前に治療されたHCCであり、以前の治療は、ソラフェニブを含む。いくつかの他のそのような実施形態では、HBV感染を特徴とするHCCは、以前に治療されたHCCであり、以前の治療は、少なくとも化学療法を含む。
【0075】
更に別の態様では、a)患者から生体検査試料を得ることと、b)試料をHBV感染について分析することと、c)試料においてHBV感染が判定された場合、化合物1治療のためのHCCを有する患者を選択することとを含む、化合物1治療のためのHCCを有する患者を選択するための方法が、本明細書に提供される。ある特定の実施形態では、この方法は、d)有効量の化合物1を、HBV感染を特徴とするHCCを有する患者に投与するステップを更に含む。したがって、いくつかの実施形態では、a)患者から生体検査試料を得ることと、b)試料をHBV感染について分析することと、c)試料においてHBV感染が判定された場合、化合物1治療のためのHCCを有する患者を選択することと、d)有効量の化合物1を、HBV感染を特徴とするHCCを有する患者に投与することとを含む、化合物1治療のためのHCCを有する患者を選択するための方法が、本明細書に提供される。したがって、化合物1治療のためのHCCを有する患者を選択するためのそのような方法における使用のための化合物1もまた、本明細書に提供され、この方法は、a)患者から生体検査試料を得ることと、b)試料をHBV感染について分析することと、c)試料においてHBV感染が判定された場合、化合物1治療のためのHCCを有する患者を選択することと、d)有効量の化合物1を、HBV感染を特徴とするHCCを有する患者に投与することとを含む。
【0076】
ある特定の実施形態では、HCCは、切除不能なHCCである。いくつかの実施形態では、a)患者から生体検査試料を得ることと、b)試料をHBV感染について分析することと、c)試料においてHBV感染が判定された場合、化合物1治療のための切除不能なHCCを有する患者を選択することとを含む、化合物1治療のための切除不能なHCCを有する患者を選択するための方法が、本明細書に提供される。他の実施形態では、a)患者から生体検査試料を得ることと、b)試料をHBV感染について分析することと、c)試料においてHBV感染が判定された場合、化合物1治療のための切除不能なHCCを有する患者を選択することと、d)有効量の化合物1を、HBV感染を特徴とする切除不能なHCCを有する患者に投与することとを含む、化合物1治療のための切除不能なHCCを有する患者を選択するための方法が、本明細書に提供される。したがって、化合物1治療のための切除不能なHCCを有する患者を選択するためのそのような方法における使用のための化合物1もまた、本明細書に提供され、この方法は、a)患者から生体検査試料を得ることと、b)試料をHBV感染について分析することと、c)試料においてHBV感染が判定された場合、化合物1治療のための切除不能なHCCを有する患者を選択することと、d)有効量の化合物1を、HBV感染を特徴とする切除不能なHCCを有する患者に投与することとを含む。
【0077】
更に別の態様では、HCCを有する患者における化合物1による治療に対する反応を予測するための方法が、本明細書に提供され、この方法は、a)患者から生体検査試料を得ることと、b)試料をHBV感染について分析することと、c)試料においてHBV感染が判定された場合、患者のHCCの、化合物1治療に対する反応の可能性の増大を予測することとを含む。ある特定の実施形態では、この方法は、d)有効量の化合物1を、HBV感染を特徴とするHCCを有する患者に投与するステップを更に含む。したがって、いくつかの実施形態では、HCCを有する患者における化合物1による治療に対する反応を予測するための方法が、本明細書に提供され、この方法は、a)患者から生体検査試料を得ることと、b)試料をHBV感染について分析することと、c)試料においてHBV感染が判定された場合、患者のHCCの、化合物1治療に対する反応の可能性の増大を予測することと、d)有効量の化合物1を、HBV感染を特徴とするHCCを有する患者に投与することとを含む。したがって、HCCを有する患者における化合物1による治療に対する反応を予測するためのそのような方法における使用のための化合物1が、本明細書において更に提供され、この方法は、a)患者から生体検査試料を得ることと、b)試料をHBV感染について分析することと、c)試料においてHBV感染が判定された場合、患者のHCCの、化合物1治療に対する反応の可能性の増大を予測することと、d)有効量の化合物1を、HBV感染を特徴とするHCCを有する患者に投与することとを含む。
【0078】
ある特定の実施形態では、HCCは、切除不能なHCCである。いくつかの実施形態では、切除不能なHCCを有する患者における化合物1による治療に対する反応を予測するための方法が、本明細書に提供され、この方法は、a)患者から生体検査試料を得ることと、b)試料をHBV感染について分析することと、c)試料においてHBV感染が判定された場合、患者の切除不能なHCCの、化合物1治療に対する反応の可能性の増大を予測することとを含む。他の実施形態では、切除不能なHCCを有する患者における化合物1による治療に対する反応を予測するための方法が、本明細書に提供され、この方法は、a)患者から生体検査試料を得ることと、b)試料をHBV感染について分析することと、c)試料においてHBV感染が判定された場合、患者の切除不能なHCCの、化合物1治療に対する反応の可能性の増大を予測することと、d)有効量の化合物1を、HBV感染を特徴とする切除不能なHCCを有する患者に投与することとを含む。したがって、切除不能なHCCを有する患者における化合物1による治療に対する反応を予測するためのそのような方法における使用のための化合物1が、本明細書において更に提供され、この方法は、a)患者から生体検査試料を得ることと、b)試料をHBV感染について分析することと、c)試料においてHBV感染が判定された場合、患者の切除不能なHCCの、化合物1治療に対する反応の可能性の増大を予測することと、d)有効量の化合物1を、HBV感染を特徴とする切除不能なHCCを有する患者に投与することとを含む。
【0079】
別の態様では、HCCを有する患者における化合物1の治療効果を予測するための方法が、本明細書に提供され、この方法は、a)患者から生体検査試料を得ることと、b)試料をHBV感染について分析することと、c)試料においてHBV感染が判定された場合、患者のHCCにおける化合物1の治療効果の可能性の増大を予測することとを含む。ある特定の実施形態では、この方法は、d)有効量の化合物1を、HBV感染を特徴とするHCCを有する患者に投与するステップを更に含む。したがって、いくつかの実施形態では、HCCを有する患者における化合物1の治療効果を予測するための方法が、本明細書に提供され、この方法は、a)患者から生体検査試料を得ることと、b)試料をHBV感染について分析することと、c)試料においてHBV感染が判定された場合、患者のHCCにおける化合物1の治療効果の可能性の増大を予測することと、d)有効量の化合物1を、HBV感染を特徴とするHCCを有する患者に投与することとを含む。したがって、HCCを有する患者における化合物1の治療効果を予測するためのそのような方法における使用のための化合物1が、本明細書において更に提供され、この方法は、a)患者から生体検査試料を得ることと、b)試料をHBV感染について分析することと、c)試料においてHBV感染が判定された場合、患者のHCCにおける化合物1の治療効果の可能性の増大を予測することと、d)有効量の化合物1を、HBV感染を特徴とするHCCを有する患者に投与することとを含む。
【0080】
ある特定の実施形態では、HCCは、切除不能なHCCである。いくつかの実施形態では、切除不能なHCCを有する患者における化合物1の治療効果を予測するための方法が、本明細書に提供され、この方法は、a)患者から生体検査試料を得ることと、b)試料をHBV感染について分析することと、c)試料においてHBV感染が判定された場合、患者の切除不能なHCCにおける化合物1の治療効果の可能性の増大を予測することとを含む。他の実施形態では、切除不能なHCCを有する患者における化合物1の治療効果を予測するための方法が、本明細書に提供され、この方法は、a)患者から生体検査試料を得ることと、b)試料をHBV感染について分析することと、c)試料においてHBV感染が判定された場合、患者の切除不能なHCCにおける化合物1の治療効果の可能性の増大を予測することと、d)有効量の化合物1を、HBV感染を特徴とする切除不能なHCCを有する患者に投与することとを含む。したがって、切除不能なHCCを有する患者における化合物1の治療効果を予測するためのそのような方法における使用のための化合物1が、本明細書において更に提供され、この方法は、a)患者から生体検査試料を得ることと、b)試料をHBV感染について分析することと、c)試料においてHBV感染が判定された場合、患者の切除不能なHCCにおける化合物1の治療効果の可能性の増大を予測することと、d)有効量の化合物1を、HBV感染を特徴とする切除不能なHCCを有する患者に投与することとを含む。
【0081】
本明細書に提供される様々な方法では、HBV感染は、HBVの患者履歴、HBVに対する以前または現在の治療、HBVに起因する硬変、HBVタンパク質または抗原の存在、HBVタンパク質または抗原に対する抗体の存在、HBVウイルス負荷、及びHBV DNAの存在からなる群から選択される変数のうちの少なくとも1つによって判定される。一実施形態では、HBV感染は、HBVの患者履歴によって判定される。別の実施形態では、HBV感染は、HBVの以前の治療によって判定される。更に別の実施形態では、HBV感染は、HBVの現在の治療によって判定される。更に別の実施形態では、HBV感染は、HBVに起因する硬変によって判定される。別の実施形態では、HBV感染は、HBVタンパク質または抗原の存在によって判定される。別の実施形態では、HBV感染は、HBVタンパク質または抗原に対する抗体の存在によって判定される。更に別の実施形態では、HBV感染は、HBVウイルス負荷によって判定される。更に別の実施形態では、HBV感染は、HBV DNAの存在によって判定される。ある特定の実施形態では、HBV感染は、HBVの患者履歴、HBVに対する以前の治療、HBVに対する現在の治療、HBVに起因する硬変、HBVタンパク質の存在、HBV抗原の存在、HBVタンパク質に対する抗体の存在、HBV抗原に対する抗体の存在、HBVウイルス負荷、及びHBV DNAの存在からなる群から選択される変数のうちの2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、または全てによって判定される。
【0082】
別の実施形態では、本明細書で提供される様々な方法において、HBV感染は、HBsAgの存在、HBcAgの存在、HBeAgの存在、HBxAgの存在、HBcrAgの存在、抗HBsAgの存在、抗HBcAgの存在、抗HBeAgの存在、抗HBxAgの存在、抗HBcrAgの存在、HBVウイルス負荷、HBV薬物の使用、HBV DNAの存在、HBV mRNAの存在、及びHBVタンパク質の存在からなる群から選択される変数のうちの少なくとも1つによって判定される。一実施形態では、HBV感染は、HBsAgの存在によって判定される。別の実施形態では、HBV感染は、HBcAgの存在によって判定される。別の実施形態では、HBV感染は、HBeAgの存在によって判定される。別の実施形態では、HBV感染は、HBxAgの存在によって判定される。別の実施形態では、HBV感染は、HBcrAgの存在によって判定される。更に別の実施形態では、HBV感染は、抗HBsAgの存在によって判定される。更に別の実施形態では、HBV感染は、抗HBcAgの存在によって判定される。更に別の実施形態では、HBV感染は、抗HBeAgの存在によって判定される。更に別の実施形態では、HBV感染は、抗HBxAgの存在によって判定される。更に別の実施形態では、HBV感染は、抗HBcrAgの存在によって判定される。更に別の実施形態では、HBV感染は、HBVウイルス負荷によって判定される。一実施形態では、HBV感染は、HBV薬物の使用によって判定される。一実施形態では、HBV感染は、HBV DNAの存在によって判定される。別の実施形態では、HBV感染は、HBV mRNAの存在によって判定される。更に別の実施形態では、HBV感染は、HBVタンパク質の存在によって判定される。別の実施形態では、HBV感染は、免疫付与の欠失に関連する。いくつかの実施形態では、HBV感染は、HBsAgの存在、HBcAgの存在、HBeAgの存在、HBxAgの存在、HBcrAgの存在、抗HBsAgの存在、抗HBcAgの存在、抗HBeAgの存在、抗HBxAgの存在、抗HBcrAgの存在、HBVウイルス負荷、HBV薬物の使用、HBV DNAの存在、HBV mRNAの存在、及びHBVタンパク質の存在からなる群から選択される変数のうちの2、3、4、5、6、7、8、9、10、または全てによって判定される。
【0083】
検出されたHBV DNAは、HBVタンパク質をコードするか否かにかかわらず、HBVゲノムの任意の断片であり得る。検出されたHBV mRNAは、HBV mRNAプールの任意の断片であり得る。検出されたHBVタンパク質は、任意のHBVタンパク質またはその断片であり得る。
【0084】
いくつかの実施形態では、HBV DNAは、HBxAgをコードするDNAまたはその断片である。ある特定の実施形態では、HBV mRNAは、HBxAgのmRNAまたはその断片である。他の実施形態では、HBVタンパク質は、HBxAgまたはその断片である。
【0085】
いくつかの実施形態では、HBV DNAは、HBsAgをコードするDNAまたはその断片である。ある特定の実施形態では、HBV mRNAは、HBsAgのmRNAまたはその断片である。他の実施形態では、HBVタンパク質は、HBsAgまたはその断片である。
【0086】
いくつかの実施形態では、HBV DNAは、HBcAgをコードするDNAまたはその断片である。ある特定の実施形態では、HBV mRNAは、HBcAgのmRNAまたはその断片である。他の実施形態では、HBVタンパク質は、HBcAgまたはその断片である。
【0087】
いくつかの実施形態では、HBV DNAは、HBeAgをコードするDNAまたはその断片である。ある特定の実施形態では、HBV mRNAは、HBeAgのmRNAまたはその断片である。他の実施形態では、HBVタンパク質は、HBeAgまたはその断片である。
【0088】
いくつかの実施形態では、HBV DNAは、HBcrAgをコードするDNAまたはその断片である。ある特定の実施形態では、HBV mRNAは、HBcrAgのmRNAまたはその断片である。他の実施形態では、HBVタンパク質は、HBcrAgまたはその断片である。
【0089】
本明細書に提供される様々な方法では、HBV感染は、患者からの生体試料中で検出され得る。いくつかの実施形態では、生体試料は、血清、血漿、血液、乾燥血液/血漿スポット、肝細胞、原発性腫瘍、または肺、リンパ節、副腎、骨、腹膜、門脈、脳、唾液、耳下腺組織などを含むが、これらに限定されないHCCの転位部位からの試料である。いくつかの実施形態では、HBV感染は、血清学的方法によって検出される。他の実施形態では、HBV感染は、分子法によって検出される。血清学的方法としては、酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)、化学発光酵素免疫測定法または化学発光免疫測定法(CLEIAまたはCLIA)、時間分解蛍光免疫測定法(TRFIA)、化学発光微粒子免疫測定法(CMIA)、電子化学発光免疫測定法(ECLIA)、及び金免疫クロマトグラフィー測定法(GICA)が挙げられるが、これらに限定されない。分子法としては、核酸ハイブリダイゼーション、核酸増幅(例えば、PCR、リアルタイムPCR、多重PCR、及び分岐DNA測定法)、配列判定、ならびに核酸の酵素消化が挙げられるが、これらに限定されない。血清学的方法及び分子法の両方を、自動化システム(例えば、Abbott AxSYM、Roche Elecsys、Abbott Architect、CobasAmpliPrep/CobasTaqMan(CAP/CTM)のバージョン2.0)上で行うことができる。
【0090】
ある特定の実施形態では、様々なアッセイが、HBsAg、抗HBsAg、HBcAg、抗HBcAg、HBeAg、抗HBeAg、HBxAg、抗HBxAg、HBcrAg、及び抗HBcrAgからなる群から選択されるHBVの少なくとも1つのバイオマーカーを検出する。一実施形態では、バイオマーカーは、HBsAgである。別の実施形態では、バイオマーカーは、抗HBsAgである。更に別の実施形態では、バイオマーカーは、HBcAgである。更に別の実施形態では、バイオマーカーは、抗HBcAgである。一実施形態では、バイオマーカーは、HBeAgである。別の実施形態では、バイオマーカーは、抗HBeAgである。一実施形態では、バイオマーカーは、HBxAgである。更に別の実施形態では、バイオマーカーは、抗HBxAgである。更に別の実施形態では、バイオマーカーは、HBcrAgである。別の実施形態では、バイオマーカーは、抗HBcrAgである。更に別の実施形態では、様々なアッセイが、HBsAg、抗HBsAg、HBcAg、抗HBcAg、HBeAg、抗HBeAg、HBxAg、抗HBxAg、HBcrAg、及び抗HBcrAgからなる群から選択されるHBVの2、3、4、5、6、7、8、9、または全てのバイオマーカーを検出する。
【0091】
本明細書に提供される様々な方法では、化合物1は、第2の治療剤と組み合わせて、HBV感染を特徴とするHCC患者に投与される。一実施形態では、第2の治療剤は、ソラフェニブである。別の実施形態では、第2の治療剤は、3-(5-アミノ-2-メチル-4-オキソ-4H-キナゾリン-3-イル)-ピペリジン-2,6-ジオン(化合物2)である。更に別の実施形態では、第2の治療剤は、免疫チェックポイント阻害剤である(例えば、CTLA-4阻害剤、PD-1阻害剤、PD-L1阻害剤、PD-L2阻害剤、LAG-3阻害剤、TIM3阻害剤、IDO阻害剤、OX40アゴニスト、GITRアゴニスト、CD137アゴニスト、CD40アゴニスト、組み換えヒトインターロイキン-15)。更に別の実施形態では、化合物1は、第2及び第3の治療剤と組み合わせて、HBV感染を特徴とするHCC患者に投与される。いくつかの実施形態では、第2及び第3の治療剤は、ソラフェニブ、化合物2、及び免疫チェックポイント阻害剤(例えば、PD-1阻害剤)からなる群から選択される。一実施形態では、第2及び第3の治療剤は、ソラフェニブ及び化合物2である。別の実施形態では、第2及び第3の治療剤は、ソラフェニブ及び免疫チェックポイント阻害剤(例えば、PD-1阻害剤)である。更に別の実施形態では、第2及び第3の治療剤は、化合物2及び免疫チェックポイント阻害剤(例えば、PD-1阻害剤)である。更に別の実施形態では、第2及び第3の治療剤は、2つの異なる免疫チェックポイント阻害剤(例えば、PD-1阻害剤及びCTLA-4阻害剤)である。
【0092】
一実施形態では、チェックポイント阻害剤は、CTLA-4阻害剤である。一実施形態では、CTLA-4阻害剤は、抗CTLA-4抗体である。抗CTLA-4抗体の例としては、米国特許第5,811,097号、同第5,811,097号、同第5,855,887号、同第6,051,227号、同第6,207,157号、同第6,682,736号、同第6,984,720号、及び同第7,605,238号に記載されるものが挙げられるが、これらに限定されず、これらは全て、それら全体が本明細書に組み込まれる。一実施形態では、抗CTLA-4抗体は、トレメリムマブ(チシリムマブ(ticilimumab)またはCP-675,206としても知られる)である。別の実施形態では、抗CTLA-4抗体は、イピリムマブ(MDX-010またはMDX-101としても知られる)である。イピリムマブは、CTLA-4に結合する完全ヒトモノクローナルIgG抗体である。イピリムマブは、Yervoy(商標)の商品名で販売されている。
【0093】
一実施形態では、チェックポイント阻害剤は、PD-1/PD-L1阻害剤である。PD-l/PD-L1阻害剤の例としては、米国特許第7,488,802号、同第7,943,743号、同第8,008,449号、同第8,168,757号、同第8,217,149号、ならびにPCT特許出願公開第WO2003042402号、同第WO2008156712号、同第WO2010089411号、同第WO2010036959号、同第WO2011066342号、同第WO2011159877号、同第WO2011082400号、及び同第WO2011161699号に記載のものが挙げられるが、これらに限定されず、これらは全て、それら全体が本明細書に組み込まれる。
【0094】
一実施形態では、チェックポイント阻害剤は、PD-1阻害剤である。一実施形態では、PD-1阻害剤は、抗PD-1抗体である。一実施形態では、抗PD-1抗体は、BGB-A317、ニボルマブ(ONO-4538、BMS-936558、もしくはMDX1106としても知られる)、またはペンブロリズマブ(MK-3475、SCH900475、もしくはランブロリズマブとしても知られる)である。一実施形態では、抗PD-1抗体は、ニボルマブである。ニボルマブは、ヒトIgG4抗PD-1モノクローナル抗体であり、Opdivo(商標)の商品名で販売されている。特定の実施形態では、化合物1は、ニボルマブと組み合わせて、HBV感染を特徴とするHCCを有する患者に投与される。したがって、HBV感染を特徴とするHCCを治療する方法が提供され、この方法は、有効量の化合物1をニボルマブと組み合わせて該患者に投与することを含む。HBV感染を特徴とするHCCを治療する方法における使用のための化合物1が本明細書に提供され、この方法は、有効量の化合物1をニボルマブと組み合わせて該患者に投与することを含む。特定の実施形態では、化合物1は、ニボルマブと組み合わせて、HBV感染を特徴とするHCCを有する患者に投与され、HCCは、少なくとも1つの治療法で以前に治療されている。したがって、少なくとも1つの治療法で以前に治療されたHBV感染を特徴とするHCCを治療する方法が提供され、この方法は、有効量の化合物1をニボルマブと組み合わせて該患者に投与することを含む。そのような一実施形態では、以前の治療法は、ソラフェニブまたは化学療法を含む。そのような一実施形態では、以前の治療法は、ソラフェニブ及び化学療法を含む。少なくとも1つの治療法で以前に治療されたHBV感染を特徴とするHCCを治療する方法における使用のための化合物1が本明細書に提供され、この方法は、有効量の化合物1をニボルマブと組み合わせて該患者に投与することを含む。特定の実施形態では、化合物1は、ニボルマブと組み合わせて、HBV感染を特徴とするHCCを有する患者に投与され、HCCは、ソラフェニブで以前に治療されている。したがって、ソラフェニブで以前に治療されたHBV感染を特徴とするHCCを治療する方法が提供され、この方法は、有効量の化合物1をニボルマブと組み合わせて該患者に投与することを含む。ソラフェニブで以前に治療されたHBV感染を特徴とするHCCを治療する方法における使用のための化合物1が本明細書に提供され、この方法は、有効量の化合物1をニボルマブと組み合わせて該患者に投与することを含む。特定の実施形態では、化合物1は、ニボルマブと組み合わせて、HBV感染を特徴とするHCCを有する患者に投与され、HCCは、化学療法で以前に治療されている。したがって、化学療法で以前に治療されたHBV感染を特徴とするHCCを治療する方法が提供され、この方法は、有効量の化合物1をニボルマブと組み合わせて該患者に投与することを含む。化学療法で以前に治療されたHBV感染を特徴とするHCCを治療する方法における使用のための化合物1が本明細書に提供され、この方法は、有効量の化合物1をニボルマブと組み合わせて該患者に投与することを含む。
【0095】
別の実施形態では、抗PD-1抗体は、ペンブロリズマブである。ペンブロリズマブは、ヒト化モノクローナルIgG4抗であり、Keytruda(商標)の商品名で販売されている。更に別の実施形態では、抗PD-1抗体は、CT-011というヒト化抗体である。更に別の実施形態では、抗PD-1抗体は、AMP-224という融合タンパク質である。別の実施形態では、PD-1抗体は、BGB-A317である。BGB-A317は、Fcγ受容体Iに結合する能力が特異的に操作されており、高い親和性及び優れた標的特異性でもってPD-1との独自の結合シグネチャを有するモノクローナル抗体である。
【0096】
一実施形態では、チェックポイント阻害剤は、PD-L1阻害剤である。一実施形態では、PD-L1阻害剤は、抗PD-L1抗体である。一実施形態では、抗PD-L1抗体は、MEDI4736(デュルバルマブ)である。別の実施形態では、抗PD-L1抗体は、BMS-936559(MDX-1105-01としても知られる)である。更に別の実施形態では、PD-L1阻害剤は、アテゾリズマブ(MPDL3280A、及びTecentriq(登録商標)としても知られる)である。
【0097】
一実施形態では、チェックポイント阻害剤は、PD-L2阻害剤である。一実施形態では、PD-L2阻害剤は、抗PD-L2抗体である。一実施形態では、抗PD-L2抗体は、rHIgM12B7Aである。
【0098】
一実施形態では、チェックポイント阻害剤は、リンパ球活性化遺伝子3(LAG-3)阻害剤である。一実施形態では、LAG-3阻害剤は、IMP321という可溶性Ig融合タンパク質である(Brignone et al.,J.Immunol.,2007,179,4202-4211)。別の実施形態では、LAG-3阻害剤は、BMS-986016である。
【0099】
一実施形態では、チェックポイント阻害剤は、B7阻害剤である。一実施形態では、B7阻害剤は、B7-H3阻害剤またはB7-H4阻害剤である。一実施形態では、B7-H3阻害剤は、MGA271という抗B7-H3抗体である(Loo et al.,Clin.Cancer Res.,2012,3834)。
【0100】
一実施形態では、チェックポイント阻害剤は、TIM3(T細胞免疫グロブリンドメイン及びムチンドメイン3)阻害剤である(Fourcade et al.,J.Exp.Med.,2010,207,2175-86、Sakuishi et al.,J.Exp.Med.,2010,207,2187-94)。
【0101】
一実施形態では、チェックポイント阻害剤は、OX40(CD134)アゴニストである。一実施形態では、チェックポイント阻害剤は、抗OX40抗体である。一実施形態では、抗OX40抗体は、抗OX-40である。別の実施形態では、抗OX40抗体は、MEDI6469である。
【0102】
一実施形態では、チェックポイント阻害剤は、GITRアゴニストである。一実施形態では、チェックポイント阻害剤は、抗GITR抗体である。一実施形態では、抗GITR抗体は、TRX518である。
【0103】
一実施形態では、チェックポイント阻害剤は、CD137アゴニストである。一実施形態では、チェックポイント阻害剤は、抗CD137抗体である。一実施形態では、抗CD137抗体は、ウレルマブである。別の実施形態では、抗CD137抗体は、PF-05082566である。
【0104】
一実施形態では、チェックポイント阻害剤は、CD40アゴニストである。一実施形態では、チェックポイント阻害剤は、抗CD40抗体である。一実施形態では、抗CD40抗体は、CF-870,893である。
【0105】
一実施形態では、チェックポイント阻害剤は、組み換えヒトインターロイキン-15(rhIL-15)である。
【0106】
一実施形態では、チェックポイント阻害剤は、IDO阻害剤である。一実施形態では、IDO阻害剤は、INCB024360である。別の実施形態では、IDO阻害剤は、インドキシモドである。
【0107】
そのような追加の薬剤の例としては、Abraxane(登録商標)(注入可能な懸濁液のパクリタキセルタンパク質結合粒子(アルブミン結合))、ace-11、アシビシン、アクラルビシン、塩酸アコダゾール、アクロニン、アドゼレシン、アルデスロイキン、アルトレタミン、アンボマイシン、酢酸アメタントロン、アムルビシン、アムサクリン、アナストロゾール、アントラマイシン、アスパラギナーゼ、アスペルリン、アザシチジン、アゼテパ、アゾトマイシン、バチマスタット、ベンゾデパ、ビカルタミド、塩酸ビサントレン、ジメシル酸ビスナフィド、ビゼレシン、硫酸ブレオマイシン、ブレキナルナトリウム、ブロピリミン、ブスルファン、カクチノマイシン、カルステロン、カラセミド、カルベチマー、カルボプラチン、カルムスチン、塩酸カルビシン、カルゼレシン、セデフィンゴール、セレコキシブ(COX-2阻害剤)、クロラムブシル、シロレマイシン、シスプラチン、クラドリビン、メシル酸クリスナトール、シクロホスファミド、シタラビン、ダカルバジン、ダクチノマイシン、塩酸ダウノルビシン、デシタビン、デキソルマプラチン、デザグアニン、メシル酸デザグアニン、ジアジクオン、ドセタキセル、ドキソルビシン、塩酸ドキソルビシン、ドロロキシフェン、クエン酸ドロロキシフェン、プロピオン酸ドロモスタノロン、デュアゾマイシン、エダトレキサート、塩酸エフロルニチン、エルサミトルシン、エンロプラチン、エンプロマート、エピプロピジン、塩酸エピルビシン、エルブロゾール、塩酸エソルビシン、エストラムスチン、リン酸エストラムスチンナトリウム、エタニダゾール、エトポシド、リン酸エトポシド、エトプリン、塩酸ファドロゾール、ファザラビン、フェンレチニド、フロキシウリジン、リン酸フルダラビン、フルオロウラシル、フルオロシタビン、フォスキドン、フォストレシンナトリウム、ゲムシタビン、塩酸ゲムシタビン、ハーセプチン、ヒドロキシウレア、塩酸イダルビシン、イホスファミド、イルモフォシン、イプロプラチン、イリノテカン、塩酸イリノテカン、酢酸ランレオチド、ラパチニブ、レトロゾール、酢酸ロイプロリド、塩酸リアロゾール、ロメトレキソールナトリウム、ロムスチン、塩酸ロソキサントロン、マソプロコール、メイタンシン、塩酸メクロレタミン、酢酸メゲストロール、酢酸メレンゲストロール、メルファラン、メノガリル、メルカプトプリン、メトトレキサート、メトトレキサートナトリウム、メトプリン、メツレデパ、ミチンドミド、ミトカルシン、ミトクロミン、ミトギリン、ミトマルシン、ミトマイシン、ミトスペル、ミトタン、塩酸ミトキサントロン、ミコフェノール酸、ノコダゾール、ノガラマイシン、オルマプラチン、オキシスラン、パクリタキセル、ペガスパルガーゼ、ペリオマイシン、ペンタムスチン、硫酸ペプロマイシン、ペルホスファミド、ピポブロマン、ピポスルファン、塩酸ピロキサントロン、プリカマイシン、プロメスタン、ポリフィマーナトリウム、ポルフィロマイシン、プレドニムスチン、塩酸プロカルバジン、ピューロマイシン、塩酸ピューロマイシン、ピラゾフリン、リボプリン、ロミデプシン、サフィンゴール、塩酸サフィンゴール、セムスチン、スムトラゼン、スパルフォサートナトリウム、スパルソマイシン、塩酸スピロゲルマニウム、スピロムスチン、スピロプラチン、PDA-001などの幹細胞治療薬、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、スロフェヌル、タリソマイシン、テコガランナトリウム、タキソテール、テガフール、塩酸テロキサントロン、テモポルフィン、テニポシド、テロキシロン、テストラクトン、チアミプリン、チオグアニン、チオテパ、チアゾフリン、チラパザミン、クエン酸トレミフェン、酢酸トレストロン、リン酸トリシリビン、トリメトレキサート、グルクロン酸トリメトレキサート、トリプトレリン、塩酸ツブロゾール、ウラシルマスタード、ウレデパ、バプレオチド、ベルテポルフィン、硫酸ビンブラスチン、硫酸ビンクリスチン、ビンデシン、硫酸ビンデシン、硫酸ビネピジン、硫酸ビングリシナート、硫酸ビンロイロシン、酒石酸ビノレルビン、硫酸ビンロシジン、硫酸ビンゾリジン、ボロゾール、ゼニプラチン、ジノスタチン、及び塩酸ゾルビシンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0108】
他の例としては、20-epi-1,25ジヒドロキシビタミンD3、5-エチニルウラシル、アビラテロン、アクラルビシン、アシルフルベン、アデシペノール、アドゼレシン、アルデスロイキン、ALL-TKアンタゴニスト、アルトレタミン、アンバムスチン、アミドックス、アミフォスチン、アミノレブリン酸、アムルビシン、アムサクリン、アナグレリド、アナストロゾール、アンドログラホリド、血管新生阻害剤、アンタゴニストD、アンタゴニストG、アンタレリックス、抗背側化形成タンパク質-1、抗アンドロゲン、前立腺癌、抗エストロゲン、抗ネオプラストン、アンチセンスオリゴヌクレオチド、グリシン酸アフィジコリン、アポトーシス遺伝子変調剤、アポトーシス調節剤、アプリン酸、ara-CDP-DL-PTBA、アルギニンデアミナーゼ、アスラクリン、アタメスタン、アトリムスチン、アキシナスタチン1、アキシナスタチン2、アキシナスタチン3、アザセトロン、アザトキシン、アザチロシン、バッカチンIII誘導体、バラノール、バチマスタット、BCR/ABLアンタゴニスト、ベンゾクロリン、ベンゾイルスタウロスポリン、βラクタム誘導体、β-アレチン、βクラマイシンB、ベツリン酸、b-FGF阻害剤、ビカルタミド、ビサントレン、ビサジリジニルスペルミン、ビスナフィド、ビストラテンA、ビゼレシン、ブレフレート、ブロピリミン、ブドチタン、ブチオニンスルホキシミン、カルシポトリオール、カルホスチンC、カンプトテシン誘導体、カペシタビン、カルボキシアミド-アミノ-トリアゾール、カルボキシアミドトリアゾール、CaRest M3、CARN 700、軟骨由来阻害剤、カルゼレシン、カゼインキナーゼ阻害剤(ICOS)、カスタノスペルミン、セクロピンB、セトロレリックス、クロリン、クロロキノキサリンスルホンアミド、シカプロスト、シス-ポルフィリン、クラドリビン、クロミフェン類似体、クロトリマゾール、コリスマイシンA、コリスマイシンB、コンブレタスタチンA4、コンブレタスタチン類似体、コナゲニン、クランベシジン816、クリスナトール、クリプトフィシン8、クリプトフィシンA誘導体、クラシンA、シクロペンタンセラキノン、シクロプラタム、シペマイシン、シタラビンオクホスファート、細胞溶解因子、サイトスタチン、ダクリキシマブ、デシタビン、デヒドロジデムニンB、デスロレリン、デキサメタゾン、デキシホスファミド、デキシラゾキサン、デキシベラパミル、ジアジコン、ジデムニンB、ジドックス、ジエチルノルスペルミン、ジヒドロ-5-アザシチジン、ジヒドロタキソール9-、ジオキサマイシン、ジフェニルスピロムスチン、ドセタキセル、ドコサノール、ドラセトロン、ドキシフルリジン、ドキソルビシン、ドロロキシフェン、ドロナビノール、デュオカルマイシンSA、エブセレン、エコムスチン、エデルホシン、エドレコロマブ、エフロルニチン、エレメン、エミテフール、エピルビシン、エプリステリド、エストラムスチン類似体、エストロゲンアゴニスト、エストロゲンアンタゴニスト、エタニダゾール、リン酸エトポシド、エキセメスタン、ファドロゾール、ファザラビン、フェンレチニド、フィルグラスチム、フィナステリド、フラボピリドール、フレゼラスチン、フルアステロン、フルダラビン、塩酸フルオロダウノルニシン、ホルフェニメックス、ホルメスタン、フォストリエシン、フォテムスチン、ガドリニウムテキサフィリン、硝酸ガリウム、ガロシタビン、ガニレリックス、ゲラチナーゼ阻害剤、ゲムシタビン、グルタチオン阻害剤、ヘプスルファム、ヘレグリン、ヘキサメチレンビスアセトアミド、ヒペリシン、イバンドロン酸、イダルビシン、イドキシフェン、イドラマントン、イルモフォシン、イロマスタット、イマチニブ(例えば、GLEEVEC(登録商標))、イミキモド、免疫賦活剤ペプチド、インスリン様成長因子-1受容体阻害剤、インターフェロンアゴニスト、インターフェロン、インターロイキン、ヨーベングアン、ヨードドキソルビシン、イポメアノール4-、イロプラクト、イルソグラジン、イソベンガゾール、イソホモハリコンドリンB、イタセトロン、ジャスプラキノリド、カハラリドF、ラメラリン-Nトリアセテート、ランレオチド、レイナマイシン、レノグラスチム、硫酸レンチナン、レプトルスタチン、レトロゾール、白血病阻害因子、白血球αインターフェロン、ロイプロリド+エストロゲン+プロゲステロン、ロイプロレリン、レバミソール、リアロゾール、線形ポリアミン類似体、脂溶性二糖ペプチド、脂溶性白金化合物、リッソクリナミド7、ロバプラチン、ロムブリシン、ロメトレキソール、ロニダミン、ロソキサントロン、ロキソリビン、ルルトテカン、ルテチウムテキサフィリン、リソフィリン、溶解性ペプチド、マイタンシン、マンノスタチンA、マリマスタット、マソプロコール、マスピン、マトリリシン阻害剤、マトリックスメタロプロテアーゼ阻害剤、メノガリル、メルバロン、メテレリン、メチオニナーゼ、メトクロプラミド、MIF阻害剤、ミフェプリストン、ミルテフォシン、ミリモスチム、ミトグアゾン、ミトラクトール、ミトマイシン類似体、ミトナフィド、ミトトキシン線維芽細胞成長因子-サポリン、ミトキサントロン、モファロテン、モルグラモスチム、Erbituxヒト絨毛性ゴナドトロピン、モノホスホリル脂質A+マイコバクテリア細胞壁sk、モピダモール、マスタード抗癌剤、ミカペルオキシドB、マイコバクテリア細胞壁抽出物、ミリアポロン、N-アセチルジナリン、N-置換ベンズアミド、ナファレリン、ナグレスチップ、ナロキソン+ペンタゾシン、ナパビン、ナフテルピン、ナルトグラスチム、ネダプラチン、ネモルビシン、ネリドロン酸、ニルタミド、ニサマイシン、一酸化窒素変調剤、ニトロキシド抗酸化剤、ニトルリン、オブリメルセン(GENASENSE(登録商標))、O-ベンジルグアニン、オクトレオチド、オキセノン、オリゴヌクレオチド、オナプリストン、オンダンセトロン、オラシン、経口サイトカイン誘導剤、オルマプラチン、オサテロン、オキサリプラチン、オキサウノマイシン、パクリタキセル、パクリタキセル類似体、パクリタキセル誘導体、パラウアミン、パルミトイルリゾキシン、パミドロン酸、パナキシトリオール、パノミフェン、パラバクチン、パゼリプチン、ペガスパルガーゼ、ペルデシン、ペントサンポリ硫酸ナトリウム、ペントスタチン、ペントロゾール、ペルフルブロン、ペルホスファミド、ペリリルアルコール、フェナジノマイシン、フェニル酢酸、ホスファターゼ阻害剤、ピシバニル、塩酸ピロカルピン、ピラルビシン、ピリトレキシム、プラセチンA、プラセチンB、プラスミノゲン活性因子阻害剤、白金複合体、白金化合物、白金-トリアミン複合体、ポルフィマーナトリウム、ポルフィロマイシン、プレドニゾン、プロピルビス-アクリドン、プロスタグランジンJ2、プロテアソーム阻害剤、タンパク質A系免疫変調剤、タンパク質キナーゼC阻害剤、タンパク質キナーゼC阻害剤、微細藻類、タンパク質チロシンホスファターゼ阻害剤、プリンヌクレオシドホスホリラーゼ阻害剤、プルプリン、ピラゾロアクリジン、ピリドキシル化ヘモグロビンポリオキシエチレン共役体、rafアンタゴニスト、ラルチトレキセド、ラモセトロン、rasファルネシルタンパク質トランスフェラーゼ阻害剤、ras阻害剤、ras-GAP阻害剤、脱メチル化レテリプチン、レニウムRe 186エチドロネート、リゾキシン、リボザイム、RIIレチナミド、ロヒツキン、ロムルチド、ロキニメックス、ルビギノンB1、ルボキシル、サフィンゴール、サイントピン、SarCNU、サルコフィトールA、サルグラモスチム、Sdi 1模倣体、セムスチン、老化由来阻害剤1、センスオリゴヌクレオチド、シグナル伝達阻害剤、シゾフィラン、ソブゾキサン、ボロカプテイトナトリウム、フェニル酢酸ナトリウム、ソルベロール、ソマトメジン結合タンパク質、ソネルミン、スパルフォシン酸、スピカマイシンD、スピロムスチン、スプレノペンチン、スポンジスタチン1、スクアラミン、スチピアミド、ストロメリシン阻害剤、スルフィノシン、超活性血管作動性腸ペプチドアンタゴニスト、スラジスタ、スラミン、スワインソニン、タリムスチン、タモキシフェンメチオジド、タウロムスチン、タザロテン、テコガランナトリウム、テガフール、テルラピリリウム、テロメラーゼ阻害剤、テモポルフィン、テニポシド、テトラクロロデカオキシド、テトラゾミン、サリブラスチン、チオコラリン、トロンボポエチン、トロンボポエチン模倣体、チマルファシン、チモポエチン受容体アゴニスト、チモトリナン、甲状腺刺激ホルモン、エチルエチオプルプリンスズ、チラパザミン、二塩化チタノセン、トプセンチン、トレミフェン、翻訳阻害剤、トレチノイン、トリアセチルウリジン、トリシリビン、トリメトレキサート、トリプトレリン、トロピセトロン、ツロステリド、チロシンキナーゼ阻害剤、チロホスチン、UBC阻害剤、ウベニメックス、泌尿生殖洞由来成長阻害因子、ウロキナーゼ受容体アンタゴニスト、バプレオチド、バリオリンB、ベラレゾール、ベラミン、ベルジン、ベルテポルフィン、ビノレルビン、ビンキサルチン、ビタキシン、ボロゾール、ザノテロン、ゼニプラチン、ジラスコルブ、及びジノスタチンスチマラマーが挙げられるが、これらに限定されない。
【0109】
一実施形態では、患者は、HCCについて少なくとも1つの以前の治療法を受けている。別の実施形態では、患者は、HCCについて1つの以前の治療法を受けている。更に別の実施形態では、患者は、HCCについて2つの以前の治療法を受けている。更に別の実施形態では、患者は、HCCについて3つの以前の治療法を受けている。別の実施形態では、患者は、HCCについて以前の治療法を受けていない。いくつかの実施形態では、以前の治療法は、全身療法(例えば、薬物治療)である。他の実施形態では、以前の治療法は、局所領域的療法(例えば、放射線療法)である。
【0110】
一実施形態では、有効量の化合物1を、HBV感染を特徴とするHCCを有する患者に投与することを含む、HBV感染を特徴とするHCCを有する患者におけるPDのRECIST(例えば、RECIST1.1)を予防または遅延させるための方法が、本明細書に提供される。HBV感染を特徴とするHCCを有する患者におけるPDのRECIST(例えば、RECIST1.1)を予防または遅延させるためのそのような方法における使用のための化合物1が、本明細書に提供される。一実施形態では、有効量の化合物1を、HBV感染を特徴とするHCCを有する患者に投与することを含む、HBV感染を特徴とするHCCを有する患者におけるPDのHCCのmRECISTを予防または遅延させるための方法が、本明細書に提供される。HBV感染を特徴とするHCCを有する患者におけるPDのHCCのmRECISTを予防または遅延させるためのそのような方法における使用のための化合物1が、本明細書に提供される。一実施形態では、PDの予防または遅延は、例えば、治療前と比較して-30%~-20%の、標的病変の全体サイズの変化を特徴とする、またはそれによって達成される。別の実施形態では、標的病変のサイズの変化は、治療前と比較して30%超の全体サイズの低減、例えば50%超の標的病変サイズの低減である。別では、予防は、治療前と比較して、サイズの低減または非標的病変の進行の遅延を特徴とする、またはそれによって達成される。一実施形態では、予防は、治療前と比較して、標的病変の数の低減によって達成される、またはそれを特徴とする。別では、予防は、治療前と比較して、非標的病変の数または質の低減によって達成される、またはそれを特徴とする。一実施形態では、予防は、治療前と比較して、標的病変の不在または消失によって達成される、またはそれを特徴とする。別では、予防は、治療前と比較して、非標的病変の不在または消失によって達成される、またはそれを特徴とする。別の実施形態では、予防は、治療前と比較して、新たな病変の予防によって達成される、またはそれを特徴とする。更に別の実施形態では、予防は、HCC関連の悪液質または疼痛の増大などの、治療前と比較した疾患進行の臨床兆候または症候の予防によって達成される、またはそれを特徴とする。
【0111】
ある特定の実施形態では、有効量の化合物1を、HBV感染を特徴とするHCCを有する患者に投与することを含む、治療前と比較して、HBV感染を特徴とするHCCを有する患者における標的病変のサイズを減少させるための方法が、本明細書に提供される。治療前と比較して、HBV感染を特徴とするHCCを有する患者における標的病変のサイズを減少させるためのそのような方法における使用のための化合物1が、本明細書に提供される。
【0112】
ある特定の実施形態では、有効量の化合物1を、HBV感染を特徴とするHCCを有する患者に投与することを含む、治療前と比較して、HBV感染を特徴とするHCCを有する患者における非標的病変のサイズを減少させるための方法が、本明細書に提供される。治療前と比較して、HBV感染を特徴とするHCCを有する患者における非標的病変のサイズを減少させるためのそのような方法における使用のための化合物1が、本明細書に提供される。
【0113】
ある特定の実施形態では、有効量の化合物1を、HBV感染を特徴とするHCCを有する患者に投与することを含む、治療前と比較して、HBV感染を特徴とするHCCを有する患者における標的病変の数の低減を達成するための方法が、本明細書に提供される。治療前と比較して、HBV感染を特徴とするHCCを有する患者における標的病変の数の低減を達成するためのそのような方法における使用のための化合物1が、本明細書に提供される。
【0114】
ある特定の実施形態では、有効量の化合物1を、HBV感染を特徴とするHCCを有する患者に投与することを含む、治療前と比較して、HBV感染を特徴とするHCCを有する患者における非標的病変の数の低減を達成するための方法が、本明細書に提供される。治療前と比較して、HBV感染を特徴とするHCCを有する患者における非標的病変の数の低減を達成するためのそのような方法における使用のための化合物1が、本明細書に提供される。
【0115】
ある特定の実施形態では、有効量の化合物1を、HBV感染を特徴とするHCCを有する患者に投与することを含む、HBV感染を特徴とするHCCを有する患者における全ての標的病変の不在を達成するための方法が、本明細書に提供される。HBV感染を特徴とするHCCを有する患者における全ての標的病変の不在を達成するためのそのような方法における使用のための化合物1が、本明細書に提供される。
【0116】
ある特定の実施形態では、有効量の化合物1を、HBV感染を特徴とするHCCを有する患者に投与することを含む、HBV感染を特徴とするHCCを有する患者における全ての非標的病変の不在を達成するための方法が、本明細書に提供される。HBV感染を特徴とするHCCを有する患者における全ての非標的病変の不在を達成するためのそのような方法における使用のための化合物1が、本明細書に提供される。
【0117】
ある特定の実施形態では、HBV感染を特徴とするHCCを治療するための方法が、本明細書に提供され、これらの方法は、有効量の化合物1を、HBV感染を特徴とするHCCを有する患者に投与することを含み、この治療は、RECIST(例えば、HCCのRECIST1.1またはmRECIST)によって判定される、CR、PR、またはSDをもたらす。HBV感染を特徴とするHCCを治療するためのそのような方法における使用のための化合物1が、本明細書に提供され、これらの方法は、有効量の化合物1を、HBV感染を特徴とするHCCを有する患者に投与することを含み、この治療は、RECIST(例えば、HCCのRECIST1.1またはmRECIST)によって判定される、CR、PR、またはSDをもたらす。
【0118】
ある特定の実施形態では、HBV感染を特徴とするHCCを治療するための方法が、本明細書に提供され、これらの方法は、有効量の化合物1を、HBV感染を特徴とするHCCを有する患者に投与することを含み、この治療は、治療前と比較して、標的病変サイズの低減、非標的病変サイズの低減、標的病変数の低減、非標的病変数の低減、及び/または全ての標的及び/または非標的病変の不在をもたらす。HBV感染を特徴とするHCCを治療するためのそのような方法における使用のための化合物1が、本明細書に提供され、これらの方法は、有効量の化合物1を、HBV感染を特徴とするHCCを有する患者に投与することを含み、この治療は、治療前と比較して、標的病変サイズの低減、非標的病変サイズの低減、標的病変数の低減、非標的病変数の低減、及び/または全ての標的及び/または非標的病変の不在をもたらす。
【0119】
ある特定の実施形態では、HBV感染を特徴とするHCCを治療するための方法が、本明細書に提供され、これらの方法は、有効量の化合物1を、HBV感染を特徴とするHCCを有する患者に投与することを含み、この治療は、HCC関連の悪液質または疼痛の増大などの臨床進行の予防または遅延をもたらす。HBV感染を特徴とするHCCを治療するためのそのような方法における使用のための化合物1が、本明細書に提供され、これらの方法は、有効量の化合物1を、HBV感染を特徴とするHCCを有する患者に投与することを含み、この治療は、HCC関連の悪液質または疼痛の増大などの臨床進行の予防または遅延をもたらす。
【0120】
一実施形態では、有効量の化合物1を、HBV感染を特徴とするHCCを有する患者に投与することを含む、HBV感染を特徴とするHCCを有する患者の米国東海岸癌臨床試験グループ(Eastern Cooperative Oncology Group(ECOG))パフォーマンスステータスを改善するための方法が、本明細書に提供される。HBV感染を特徴とするHCCを有する患者の米国東海岸癌臨床試験グループ(ECOG)パフォーマンスステータスを改善するためのそのような方法における使用のための化合物1が、本明細書に提供される。
【0121】
別の実施形態では、有効量の化合物1を、HBV感染を特徴とするHCCを有する患者に投与することを含む、HBV感染を特徴とするHCCを有する患者のポジトロン放射断層撮影(Positron Emission Tomography(PET))結果によって評価される治療反応を誘導するための方法が、本明細書に提供される。HBV感染を特徴とするHCCを有する患者のポジトロン放射断層撮影(PET)結果によって評価される治療反応を誘導するためのそのような方法における使用のための化合物1が、本明細書に提供される。ある特定の実施形態では、HBV感染を特徴とするHCCを治療するための方法が、本明細書に提供され、これらの方法は、有効量の化合物1を、HBV感染を特徴とするHCCを有する患者に投与することを含み、この治療は、例えばフルオロデオキシグルコース(FDG)-PET造影によって測定される、腫瘍代謝活性の低減をもたらす。HBV感染を特徴とするHCCを治療するためのそのような方法における使用のための化合物1が、本明細書に提供され、これらの方法は、有効量の化合物1を、HBV感染を特徴とするHCCを有する患者に投与することを含み、この治療は、例えばフルオロデオキシグルコース(FDG)-PET造影によって測定される、腫瘍代謝活性の低減をもたらす。PETのための他の分子造影剤、例えばコリン、フルオロコリン(FCH)、またはフルオロチルコリン(FEC)もまた企図される。
【0122】
更に別の実施形態では、有効量の化合物1を、HBV感染を特徴とするHCCを有する患者に投与することを含む、HBV感染を特徴とするHCCを有する患者の血管造影結果によって評価される治療反応を誘導するための方法が、本明細書に提供される。HBV感染を特徴とするHCCを有する患者の血管造影結果によって評価される治療反応を誘導するためのそのような方法における使用のための化合物1が、本明細書に提供される。ある特定の実施形態では、HBV感染を特徴とするHCCを治療するための方法が、本明細書に提供され、これらの方法は、有効量の化合物1を、HBV感染を特徴とするHCCを有する患者に投与することを含み、この治療は、血管造影によって評価される、腫瘍血管の低減をもたらす。HBV感染を特徴とするHCCを治療するためのそのような方法における使用のための化合物1が、本明細書に提供され、これらの方法は、有効量の化合物1を、HBV感染を特徴とするHCCを有する患者に投与することを含み、この治療は、血管造影によって評価される、腫瘍血管の低減をもたらす。
【0123】
更に別の実施形態では、有効量の化合物1を、HBV感染を特徴とするHCCを有する患者に投与することを含む、HBV感染を特徴とするHCCを有する患者の超音波診断結果によって評価される治療反応を誘導するための方法が、本明細書に提供される。HBV感染を特徴とするHCCを有する患者の超音波診断結果によって評価される治療反応を誘導するためのそのような方法における使用のための化合物1が、本明細書に提供される。ある特定の実施形態では、HBV感染を特徴とするHCCを治療するための方法が、本明細書に提供され、これらの方法は、有効量の化合物1を、HBV感染を特徴とするHCCを有する患者に投与することを含み、この治療は、超音波診断によって評価される、腫瘍質量の低減をもたらす。HBV感染を特徴とするHCCを治療するためのそのような方法における使用のための化合物1が、本明細書に提供され、これらの方法は、有効量の化合物1を、HBV感染を特徴とするHCCを有する患者に投与することを含み、この治療は、超音波診断によって評価される、腫瘍質量の低減をもたらす。
【0124】
別の実施形態では、有効量の化合物1を、HBV感染を特徴とするHCCを有する患者に投与することを含む、HBV感染を特徴とするHCCを有する患者の拡散強調MRI結果によって評価される治療反応を誘導するための方法が、本明細書に提供される。HBV感染を特徴とするHCCを有する患者の拡散強調MRI結果によって評価される治療反応を誘導するためのそのような方法における使用のための化合物1が、本明細書に提供される。ある特定の実施形態では、HBV感染を特徴とするHCCを治療するための方法が、本明細書に提供され、これらの方法は、有効量の化合物1を、HBV感染を特徴とするHCCを有する患者に投与することを含み、この治療は、拡散強調MRIによって評価される、腫瘍病変の低減をもたらす。HBV感染を特徴とするHCCを治療するためのそのような方法における使用のための化合物1が、本明細書に提供され、これらの方法は、有効量の化合物1を、HBV感染を特徴とするHCCを有する患者に投与することを含み、この治療は、拡散強調MRIによって評価される、腫瘍病変の低減をもたらす。
【0125】
更に別の実施形態では、有効量の化合物1を、HBV感染を特徴とするHCCを有する患者に投与することを含む、HBV感染を特徴とするHCCを有する患者の音響放射力インパルス(acoustic radiation force impulse(ARFI))造影結果によって評価される治療反応を誘導するための方法が、本明細書に提供される。HBV感染を特徴とするHCCを有する患者の音響放射力インパルス(ARFI)造影結果によって評価される治療反応を誘導するためのそのような方法における使用のための化合物1が、本明細書に提供される。ある特定の実施形態では、HBV感染を特徴とするHCCを治療するための方法が、本明細書に提供され、これらの方法は、有効量の化合物1を、HBV感染を特徴とするHCCを有する患者に投与することを含み、この治療は、ARFI造影によって評価される、腫瘍剛性の低減をもたらす。HBV感染を特徴とするHCCを治療するためのそのような方法における使用のための化合物1が、本明細書に提供され、これらの方法は、有効量の化合物1を、HBV感染を特徴とするHCCを有する患者に投与することを含み、この治療は、ARFI造影によって評価される、腫瘍剛性の低減をもたらす。
【0126】
ある特定の実施形態では、HBV感染を特徴とするHCCを治療するための方法が、本明細書に提供され、これらの方法は、有効量の化合物1を、HBV感染を特徴とするHCCを有する患者に投与することを含み、この治療は、AFPのレベルの低減をもたらす。HBV感染を特徴とするHCCを治療するためのそのような方法における使用のための化合物1が、本明細書に提供され、これらの方法は、有効量の化合物1を、HBV感染を特徴とするHCCを有する患者に投与することを含み、この治療は、AFPのレベルの低減をもたらす。いくつかの実施形態では、有効量の化合物1を、HBV感染を特徴とするHCCを有する患者に投与することを含む、HBV感染を特徴とするHCCを有する患者におけるAFPのレベルを低減するための方法が、本明細書に提供される。HBV感染を特徴とするHCCを有する患者におけるAFPのレベルを低減するためのそのような方法における使用のための化合物1が、本明細書に提供される。いくつかのそのような実施形態では、AFPのレベルは、患者の生体試料中、例えば循環血細胞及び/または腫瘍生検中で評価される。そのような実施形態では、AFPのレベルは、化合物1の投与前及び投与後のAFPのレベルの比較によって評価される。ある特定の実施形態では、有効量の化合物1を、HBV感染を特徴とするHCCを有する患者に投与することと、患者におけるAFPのレベルを測定することと、化合物1の投与前と投与後のAFPのレベルを比較することとを含む、HBV感染を特徴とするHCCを有する患者におけるAFPレベルの低減を測定するための方法が、本明細書に提供される。有効量の化合物1を、HBV感染を特徴とするHCCを有する患者に投与することと、患者におけるAFPのレベルを測定することと、化合物1の投与前と投与後のAFPのレベルを比較することとを含む、HBV感染を特徴とするHCCを有する患者におけるAFPレベルの低減を測定するためのそのような方法における使用のための化合物1が、本明細書に提供される。いくつかの実施形態では、AFPレベルの低減は、循環血細胞中で評価される。いくつかの実施形態では、AFPレベルの低減は、腫瘍生検中で評価される。ある特定の実施形態では、AFPレベルは、AFPのmRNAレベルである。他の実施形態では、AFPレベルは、AFPのタンパク質レベルである。
【0127】
一実施形態では、有効量の化合物1を、HBV感染を特徴とするHCCを有する患者に投与することを含む、HBV感染を特徴とするHCCを有する患者におけるS6RP、4E-BP1、及び/またはAKTのリン酸化を阻害するための方法が、本明細書に提供される。HBV感染を特徴とするHCCを有する患者におけるS6RP、4E-BP1、及びAKTのリン酸化を阻害するためのそのような方法における使用のための化合物1が、本明細書に提供される。いくつかのそのような実施形態では、リン酸化の阻害は、患者の生体試料中、例えば循環血細胞及び/または腫瘍生検中で評価される。そのような実施形態では、リン酸化の阻害量は、化合物1の投与前と投与後のホスホ-S6RP、4E-BP1、及び/またはAKTの量の比較によって評価される。ある特定の実施形態では、有効量の化合物1を、HBV感染を特徴とするHCCを有する患者に投与することと、患者におけるリン酸化S6RP、4E-BP1、及び/またはAKTの量を測定することと、化合物1の投与前と投与後のリン酸化S6RP、4E-BP1、及び/またはAKTの量を比較することとを含む、HBV感染を特徴とするHCCを有する患者におけるS6RP、4E-BP1、及び/またはAKTのリン酸化の阻害を測定するための方法が、本明細書に提供される。HBV感染を特徴とするHCCを有する患者におけるS6RP、4E-BP1、及び/またはAKTのリン酸化の阻害を測定するためのそのような方法における使用のための化合物1が、本明細書に提供され、この方法は、有効量の化合物1を、HBV感染を特徴とするHCCを有する患者に投与することと、患者におけるリン酸化S6RP、4E-BP1、及び/またはAKTの量を測定することと、化合物1の投与前と投与後のリン酸化S6RP、4E-BP1、及び/またはAKTの量を比較することとを含む。いくつかの実施形態では、S6RP、4E-BP1、及び/またはAKTのリン酸化の阻害は、循環血細胞中で評価される。いくつかの実施形態では、S6RP、4E-BP1、及び/またはAKTのリン酸化の阻害は、腫瘍生検中で評価される。
【0128】
ある特定の実施形態では、有効量の化合物1を、HBV感染を特徴とするHCCを有する患者に投与することと、化合物1の投与前と投与後に得られた患者の生体試料中のリン酸化S6RP、4E-BP1、及び/またはAKTの量を比較することとを含む、HBV感染を特徴とするHCCを有する患者の生体試料中のS6RP、4E-BP1、及び/またはAKTのリン酸化を阻害するための方法が、本明細書に提供され、化合物1の投与前に得られた生体試料中のリン酸化S6RP、4E-BP1、及び/またはAKTの量に対して、化合物1の投与後に得られた生体試料中のより少ないリン酸化S6RP、4E-BP1、及び/またはAKTが、阻害を示す。HBV感染を特徴とするHCCを有する患者の生体試料中のS6RP、4E-BP1、及び/またはAKTのリン酸化を阻害するためのそのような方法における使用のための化合物1が、本明細書に提供され、この方法は、有効量の化合物1を、HBV感染を特徴とするHCCを有する患者に投与することと、化合物1の投与前と投与後に得られた患者の生体試料中のリン酸化S6RP、4E-BP1、及び/またはAKTの量を比較することとを含み、化合物1の投与前に得られた生体試料中のリン酸化S6RP、4E-BP1、及び/またはAKTの量に対して、化合物1の投与後に得られた生体試料中のより少ないリン酸化S6RP、4E-BP1、及び/またはAKTが、阻害を示す。いくつかの実施形態では、S6RP、4E-BP1、及び/またはAKTのリン酸化の阻害は、循環血細胞中で評価される。いくつかの実施形態では、S6RP、4E-BP1、及び/またはAKTのリン酸化の阻害は、腫瘍生検中で評価される。S6RP(Ser235/236及び/またはSer240/244)、4E-BP1(Thr37/46)、及び/またはAKT(Ser473)のリン酸化の阻害は、リン酸化特異的抗体を使用する、フローサイトメトリー、ELISA、免疫組織化学(IHC)、免疫蛍光(IF)を含む様々な方法論によって測定され得る。
【0129】
いくつかの実施形態では、HBV感染を特徴とするHCCを治療するための方法が、本明細書に提供され、これらの方法は、有効量の化合物1を、HBV感染を特徴とするHCCを有する患者に投与することを含み、この治療は、とりわけ、疾患進行の阻害、腫瘍成長の阻害、原発性腫瘍の減少、腫瘍関連症候の軽減、腫瘍分泌因子(例えば、AFP)の阻害、原発性または続発性腫瘍の出現の遅延、原発性または続発性腫瘍の発達の鈍化、原発性または続発性腫瘍の発生の減少、疾患の二次的影響の遅延またはその重篤度の低下、腫瘍成長の停止及び腫瘍退縮、TTPの増加、PFSの増加、及び/またはOSの増加のうちの1つ以上をもたらす。HBV感染を特徴とするHCCを治療するためのそのような方法における使用のための化合物1が、本明細書に提供され、これらの方法は、有効量の化合物1を、HBV感染を特徴とするHCCを有する患者に投与することを含み、この治療は、とりわけ、疾患進行の阻害、腫瘍成長の阻害、原発性腫瘍の減少、腫瘍関連症候の軽減、腫瘍分泌因子(例えば、AFP)の阻害、原発性または続発性腫瘍の出現の遅延、原発性または続発性腫瘍の発達の鈍化、原発性または続発性腫瘍の発生の減少、疾患の二次的影響の遅延またはその重篤度の低下、腫瘍成長の停止及び腫瘍退縮、TTPの増加、PFSの増加、及び/またはOSの増加のうちの1つ以上をもたらす。
【0130】
以前にHCCの治療を受けたことがある患者、ならびに以前に治療を受けたことがない患者を治療するための方法が、本明細書において更に提供される。以前にHCCの治療を受けたことがある患者、ならびに以前に治療を受けたことがない患者を治療するためのそのような方法における使用のための化合物1が、本明細書に提供される。HCCを治療しようとして外科手術を受けたことのある患者、ならびに受けたことのない患者を治療するための方法が、本明細書において更に提供される。HCCを治療しようとして外科手術を受けたことのある患者、ならびに受けたことのない患者を治療するためのそのような方法における使用のための化合物1が、本明細書に提供される。HCCを有する患者は、臨床症候が一様ではなく、様々な臨床転帰を有するため、患者が受ける治療も、患者の予後に応じて変わり得る。当業者であれば、過度の実験を行わずに、具体的な第二作用剤(例えば、米国仮特許出願第61/980,124号及び同第61/980,125号、ならびに米国特許公開第2015/0297590号及び同第2015/0297605号を参照。それぞれが参照によりそれら全体が本明細書に組み込まれる)、外科手術の種類、及びHCCを有する個々の患者を治療するために有効に使用され得る薬以外に基づく標準療法の種類を容易に判定することができる。
【0131】
化合物1は、放射線療法、化学塞栓療法、高周波アブレーション、温熱技法(例えば、マイクロ波アブレーション、レーザーアブレーション、及び冷凍アブレーション)、非温熱技法(例えば、可逆電気穿孔、不可逆電気穿孔、及び光活性化薬物療法)、または外科手術と組み合わせることができる。ある特定の実施形態では、化合物1は、放射線療法を受けている、放射線療法を以前に受けたことがある、または放射線療法を受けるであろう患者に投与される。いくつかの実施形態では、化合物1は、化学塞栓を受けている、化学塞栓を以前に受けたことがある、または化学塞栓を受けるであろう患者に投与される。他の実施形態では、化合物1は、高周波アブレーションを受けている、高周波アブレーションを以前に受けたことがある、または高周波アブレーションを受けるであろう患者に投与される。更に他の実施形態では、化合物1は、マイクロ波アブレーションを受けている、マイクロ波アブレーションを以前に受けたことがある、またはマイクロ波アブレーションを受けるであろう患者に投与される。更に他の実施形態では、化合物1は、レーザーアブレーションを受けている、レーザーアブレーションを以前に受けたことがある、またはレーザーアブレーションを受けるであろう患者に投与される。ある特定の実施形態では、化合物1は、冷凍アブレーションを受けている、冷凍アブレーションを以前に受けたことがある、または冷凍アブレーションを受けるであろう患者に投与される。いくつかの実施形態では、化合物1は、可逆電気穿孔を受けている、可逆電気穿孔を以前に受けたことがある、または可逆電気穿孔を受けるであろう患者に投与される。他の実施形態では、化合物1は、不可逆電気穿孔を受けている、不可逆電気穿孔を以前に受けたことがある、または不可逆電気穿孔を受けるであろう患者に投与される。更に他の実施形態では、化合物1は、光活性化薬物療法を受けている、光活性化薬物療法を以前に受けたことがある、または光活性化薬物療法を受けるであろう患者に投与される。更に他の実施形態では、化合物1は、腫瘍除去手術を受けている、腫瘍除去手術を以前に受けたことがある、または腫瘍除去手術を受けるであろう患者に投与される。
【0132】
外科手術、化学療法、放射線療法、ホルモン療法、生物学的療法、及び免疫療法が挙げられるが、これらに限定されない従来の療法に伴う副作用または望ましくない効果を低減、治療、及び/または予防する方法が、本明細書において更に提供される。外科手術、化学療法、放射線療法、ホルモン療法、生物学的療法、及び免疫療法が挙げられるが、これらに限定されない従来の療法に伴う副作用または望ましくない効果を低減、治療、及び/または予防するそのような方法における使用のための化合物1が、本明細書に提供される。化合物1及び他の活性成分は、患者に、従来の治療法に伴う有害作用の発生前、発生中、または発生後に投与され得る。
【0133】
いくつかの実施形態では、HCCは、切除不能なHCCである。ある特定の実施形態では、HCCは、少なくとも1つの抗がん療法に対して耐性がある。他の実施形態では、HCCは、少なくとも1つの抗がん療法に対して再発または難治性である。更に他の実施形態では、HCCは、転移性である。
【0134】
本明細書に提供される実施形態のそれぞれでは、「HBV感染を特徴とするHCC」という用語は、「HBV感染に伴うHCC」、「HBV感染に関連したHCC」、「HBV感染の履歴を有するHCC」、「HBV陽性HCC」、「HBVに伴うHCC」、「HBV関連HCC」、または「HBV感染HCC」という用語と同義である。
【0135】
5.4 薬学的組成物及び投与経路
本明細書に提供される組成物は、本明細書に提供される全ての方法で使用可能である。
【0136】
有効量の化合物1を含む組成物、ならびに有効量の化合物1及び薬学的に許容される担体またはビヒクルを含む組成物が、本明細書に提供される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される薬学的組成物は、経口、非経口、粘膜、経皮、または局所投与に好適である。
【0137】
化合物1の組成物としては、2016年8月2日に発行された米国特許第9,403,829号、及び2017年3月28日に発行された米国特許第9,604,939号に提供される薬学的組成物が挙げられ、それぞれの内容全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0138】
化合物1は、経口的にまたは非経口的に、従来の調製物の形態、例えばカプセル剤、マイクロカプセル剤、錠剤、顆粒、粉末、トローチ剤、丸剤、坐剤、注射、懸濁液、及びシロップで患者に投与され得る。好適な製剤は、一般に用いられている方法により、従来の有機または無機添加剤、例えば、賦形剤(例えば、スクロース、デンプン、マンニトール、ソルビトール、ラクトース、グルコース、セルロース、タルク、リン酸カルシウム、もしくは炭酸カルシウム)、結合剤(例えば、セルロース、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ポリプロピルピロリドン、ポリビニルピロリドン、ゼラチン、アラビアゴム、ポリエチレングリコール、スクロース、もしくはデンプン)、崩壊剤(例えば、デンプン、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルデンプン、低置換ヒドロキシプロピルセルロース、重炭酸ナトリウム、リン酸カルシウム、もしくはクエン酸カルシウム)、滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、軽質無水ケイ酸、タルク、もしくはラウリル硫酸ナトリウム)、着香料(例えば、クエン酸、メントール、グリシン、もしくは粉末オレンジ)、防腐剤(例えば、安息香酸ナトリウム、重亜硫酸ナトリウム、メチルパラベン、もしくはプロピルパラベン)、安定剤(例えば、クエン酸、クエン酸ナトリウム、もしくは酢酸)、懸濁剤(例えば、メチルセルロース、ポリビニルピロリドン、もしくはステアリン酸アルミニウム)、分散剤(例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース)、希釈剤(例えば、水)、及びベースワックス(例えば、ココアバター、白色ワセリン、もしくはポリエチレングリコール)を使用して調製することができる。薬学的組成物中の化合物1の有効量は、所望の効果を発揮するレベル、例えば、経口及び非経口の両方の投与に関して、単位用量で、患者の体重の約0.005mg/kg~対象の体重の約10mg/kgであってもよい。ある特定の実施形態では、薬学的組成物は、化合物1及び好適な添加剤を含む。他の実施形態では、薬学的組成物は、化合物1のみを含む。更に他の実施形態では、薬学的組成物は、化合物1及び好適な添加剤をカプセルに含む。更に他の実施形態では、薬学的組成物は、化合物1のみをカプセルに含む。
【0139】
患者に投与される化合物1の用量は、かなり広範に変化し、患者は医療実践者の判断に依存し得る。一般に、化合物1は、1日1~4回、患者の体重の約0.005mg/kg~患者の体重の約10mg/kgの用量で投与することができるが、上記投与量は、患者の年齢、体重、及び医学的状態、ならびに投与の種類に応じて適宜変化してもよい。一実施形態では、用量は、患者の体重の約0.01mg/kg~患者の体重の約5mg/kg、患者の体重の約0.05mg/kg~患者の体重の約1mg/kg、患者の体重の約0.1mg/kg~患者の体重の約0.75mg/kg、または患者の体重の約0.25mg/kg~患者の体重の約0.5mg/kgである。一実施形態では、1日当たり1用量が与えられる。別の実施形態では、1日当たり2用量が与えられる。いずれの場合も、投与される化合物1の量は、活性成分の溶解性、使用される製剤、及び投与経路などの要因に依存する。いくつかの実施形態では、薬学的組成物中の化合物1の有効量は、経口投与のための単位用量で患者の体重の約0.01、0.25、0.05、0.75、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、2.0、3.0、4.0、5.0mg/kgである。一実施形態では、薬学的組成物中の化合物1の有効量は、経口投与のための単位用量で患者の体重の約0.21mg/kgである。別の実施形態では、薬学的組成物中の化合物1の有効量は、経口投与のための単位用量で患者の体重の約0.43mg/kgである。更に別の実施形態では、薬学的組成物中の化合物1の有効量は、経口投与のための単位用量で患者の体重の約0.64mg/kgである。
【0140】
別の実施形態では、約0.375mg/日~約750mg/日、約0.75mg/日~約375mg/日、約3.75mg/日~約75mg/日、約7.5mg/日~約55mg/日、または約18mg/日~約37mg/日の化合物1を、それを必要とする患者に投与することを含む、HBV感染を特徴とするHCCの治療または予防のための方法が、本明細書に提供される。HBV感染を特徴とするHCCの治療または予防のためのそのような方法における使用のための化合物1が、本明細書に提供され、この方法は、約0.375mg/日~約750mg/日、約0.75mg/日~約375mg/日、約3.75mg/日~約75mg/日、約7.5mg/日~約55mg/日、または約18mg/日~約37mg/日の化合物1を、それを必要とする患者に投与することを含む。特定の実施形態では、本明細書に開示される方法は、15mg/日、30mg/日、45mg/日、または60mg/日の化合物1を、それを必要とする患者に投与することを含む。別の実施形態では、本明細書に開示される方法は、0.5mg/日、1mg/日、2mg/日、4mg/日、8mg/日、16mg/日、20mg/日、25mg/日、30mg/日、または40mg/日の化合物1を、それを必要とする患者に投与することを含む。特定の実施形態では、本明細書に開示される方法は、15mg/日、20mg/日、または30mg/日の化合物1を、それを必要とする患者に投与することを含む。いくつかのそのような実施形態では、これらの方法は、追加として、240mgのニボルマブを2週間毎に投与することを含む。いくつかのそのような実施形態では、これらの方法は、追加として、480mgのニボルマブを4週間毎に投与することを含む。
【0141】
別の実施形態では、約0.1mg/日~約1200mg/日、約1mg/日~約100mg/日、約10mg/日~約1200mg/日、約10mg/日~約100mg/日、約100mg/日~約1200mg/日、約400mg/日~約1200mg/日、約600mg/日~約1200mg/日、約400mg/日~約800mg/日、または約600mg/日~約800mg/日の化合物1を、それを必要とする患者に投与することを含む、HBV感染を特徴とするHCCの治療または予防のための方法が、本明細書に提供される。HBV感染を特徴とするHCCの治療または予防のためのそのような方法における使用のための化合物1が、本明細書に提供され、この方法は、約0.1mg/日~約1200mg/日、約1mg/日~約100mg/日、約10mg/日~約1200mg/日、約10mg/日~約100mg/日、約100mg/日~約1200mg/日、約400mg/日~約1200mg/日、約600mg/日~約1200mg/日、約400mg/日~約800mg/日、または約600mg/日~約800mg/日の化合物1を、それを必要とする患者に投与することを含む。特定の実施形態では、本明細書に開示される方法は、0.1mg/日、0.5mg/日、1mg/日、10mg/日、15mg/日、20mg/日、30mg/日、40mg/日、45mg/日、50mg/日、60mg/日、75mg/日、100mg/日、125mg/日、150mg/日、200mg/日、250mg/日、300mg/日、400mg/日、600mg/日、または800mg/日の化合物1を、それを必要とする患者に投与することを含む。特定の実施形態では、本明細書に開示される方法は、0.1mg/日の化合物1を、それを必要とする患者に投与することを含む。特定の実施形態では、本明細書に開示される方法は、0.5mg/日の化合物1を、それを必要とする患者に投与することを含む。特定の実施形態では、本明細書に開示される方法は、1mg/日の化合物1を、それを必要とする患者に投与することを含む。特定の実施形態では、本明細書に開示される方法は、10mg/日の化合物1を、それを必要とする患者に投与することを含む。特定の実施形態では、本明細書に開示される方法は、15mg/日の化合物1を、それを必要とする患者に投与することを含む。特定の実施形態では、本明細書に開示される方法は、20mg/日の化合物1を、それを必要とする患者に投与することを含む。特定の実施形態では、30mg/日の化合物1を、それを必要とする患者に投与することを含む、HBV感染を特徴とするHCCの治療または予防のための方法が、本明細書に提供される。HBV感染を特徴とするHCCの治療または予防のためのそのような方法における使用のための化合物1が、本明細書に提供され、この方法は、30mg/日の化合物1を、それを必要とする患者に投与することを含む。特定の実施形態では、本明細書に開示される方法は、40mg/日の化合物1を、それを必要とする患者に投与することを含む。別の特定の実施形態では、45mg/日の化合物1を、それを必要とする患者に投与することを含む、HBV感染を特徴とするHCCの治療または予防のための方法が、本明細書に提供される。HBV感染を特徴とするHCCの治療または予防のためのそのような方法における使用のための化合物1が、本明細書に提供され、この方法は、45mg/日の化合物1を、それを必要とする患者に投与することを含む。特定の実施形態では、本明細書に開示される方法は、50mg/日の化合物1を、それを必要とする患者に投与することを含む。特定の実施形態では、本明細書に開示される方法は、60mg/日の化合物1を、それを必要とする患者に投与することを含む。特定の実施形態では、本明細書に開示される方法は、75mg/日の化合物1を、それを必要とする患者に投与することを含む。特定の実施形態では、本明細書に開示される方法は、100mg/日の化合物1を、それを必要とする患者に投与することを含む。特定の実施形態では、本明細書に開示される方法は、125mg/日の化合物1を、それを必要とする患者に投与することを含む。特定の実施形態では、本明細書に開示される方法は、150mg/日の化合物1を、それを必要とする患者に投与することを含む。特定の実施形態では、本明細書に開示される方法は、200mg/日の化合物1を、それを必要とする患者に投与することを含む。特定の実施形態では、本明細書に開示される方法は、250mg/日の化合物1を、それを必要とする患者に投与することを含む。特定の実施形態では、本明細書に開示される方法は、300mg/日の化合物1を、それを必要とする患者に投与することを含む。特定の実施形態では、本明細書に開示される方法は、400mg/日の化合物1を、それを必要とする患者に投与することを含む。特定の実施形態では、本明細書に開示される方法は、600mg/日の化合物1を、それを必要とする患者に投与することを含む。特定の実施形態では、本明細書に開示される方法は、800mg/日の化合物1を、それを必要とする患者に投与することを含む。いくつかのそのような実施形態では、これらの方法は、追加として、240mgのニボルマブを2週間毎に投与することを含む。いくつかのそのような実施形態では、これらの方法は、追加として、480mgのニボルマブを4週間毎に投与することを含む。
【0142】
別の実施形態では、約0.1mg~約2000mg、約1mg~約200mg、約35mg~約1400mg、約125mg~約1000mg、約250mg~約1000mg、または約500mg~約1000mgの化合物1を含む単位用量製剤が、本明細書に提供される。一実施形態では、約0.1mg~約2000mgの化合物1を含む単位用量製剤が、本明細書に提供される。一実施形態では、約1mg~約200mgの化合物1を含む単位用量製剤が、本明細書に提供される。一実施形態では、約35mg~約1400mgの化合物1を含む単位用量製剤が、本明細書に提供される。一実施形態では、約125mg~約1000mgの化合物1を含む単位用量製剤が、本明細書に提供される。一実施形態では、約250mg~約1000mgの化合物1を含む単位用量製剤が、本明細書に提供される。一実施形態では、約500mg~約1000mgの化合物1を含む単位用量製剤が、本明細書に提供される。
【0143】
特定の実施形態では、約0.1mg、0.25mg、0.5mg、1mg、5mg、10mg、15mg、20mg、30mg、45mg、50mg、60mg、75mg、100mg、125mg、150mg、200mg、250mg、300mg、400mg、600mg、または800mgの化合物1を含む単位用量製剤が、本明細書に提供される。
【0144】
別の実施形態では、0.1mg、0.25mg、0.5mg、1mg、2.5mg、5mg、10mg、15mg、20mg、30mg、35mg、50mg、70mg、100mg、125mg、140mg、175mg、200mg、250mg、280mg、350mg、500mg、560mg、700mg、750mg、1000mg、または1400mgの化合物1を含む単位用量製剤が本明細書に提供される。特定の実施形態では、約5mg、約15mg、約20mg、約30mg、約45mg、及び約50mgの化合物1を含む単位用量製剤が、本明細書に提供される。一実施形態では、0.1mgの化合物1を含む単位用量製剤が、本明細書に提供される。一実施形態では、0.25mgの化合物1を含む単位用量製剤が、本明細書に提供される。一実施形態では、0.5mgの化合物1を含む単位用量製剤が、本明細書に提供される。一実施形態では、1mgの化合物1を含む単位用量製剤が、本明細書に提供される。一実施形態では、2.5mgの化合物1を含む単位用量製剤が、本明細書に提供される。別の実施形態では、5mgの化合物1を含む単位用量製剤が、本明細書に提供される。更に別の実施形態では、10mgの化合物1を含む単位用量製剤が、本明細書に提供される。一実施形態では、15mgの化合物1を含む単位用量製剤が、本明細書に提供される。更に別の実施形態では、20mgの化合物1を含む単位用量製剤が、本明細書に提供される。一実施形態では、30mgの化合物1を含む単位用量製剤が、本明細書に提供される。一実施形態では、35mgの化合物1を含む単位用量製剤が、本明細書に提供される。別の実施形態では、45mgの化合物1を含む単位用量製剤が、本明細書に提供される。一実施形態では、50mgの化合物1を含む単位用量製剤が、本明細書に提供される。一実施形態では、60mgの化合物1を含む単位用量製剤が、本明細書に提供される。一実施形態では、70mgの化合物1を含む単位用量製剤が、本明細書に提供される。一実施形態では、100mgの化合物1を含む単位用量製剤が、本明細書に提供される。一実施形態では、125mgの化合物1を含む単位用量製剤が、本明細書に提供される。一実施形態では、140mgの化合物1を含む単位用量製剤が、本明細書に提供される。一実施形態では、175mgの化合物1を含む単位用量製剤が、本明細書に提供される。一実施形態では、200mgの化合物1を含む単位用量製剤が、本明細書に提供される。一実施形態では、250mgの化合物1を含む単位用量製剤が、本明細書に提供される。一実施形態では、280mgの化合物1を含む単位用量製剤が、本明細書に提供される。一実施形態では、350mgの化合物1を含む単位用量製剤が、本明細書に提供される。一実施形態では、500mgの化合物1を含む単位用量製剤が、本明細書に提供される。一実施形態では、560mgの化合物1を含む単位用量製剤が、本明細書に提供される。一実施形態では、700mgの化合物1を含む単位用量製剤が、本明細書に提供される。一実施形態では、750mgの化合物1を含む単位用量製剤が、本明細書に提供される。一実施形態では、1000mgの化合物1を含む単位用量製剤が、本明細書に提供される。一実施形態では、1400mgの化合物1を含む単位用量製剤が、本明細書に提供される。
【0145】
化合物1は、1日1回(QD)、または複数の1日用量に分割して、例えば1日2回(BID)、1日3回(TID)、及び1日4回(QID)投与することができる。特定の実施形態では、化合物1は、QDで投与される。別の実施形態では、化合物1は、BIDで投与される。更に別の実施形態では、化合物1は、TIDで投与される。更に別の実施形態では、化合物1は、QIDで投与される。また、投与は、連続的(すなわち、連続した日で日ごとに、または毎日)、断続的、例えば、周期(すなわち、休薬期間を数日、数週間、または数ヶ月含む)であることが可能である。好ましい実施形態では、投与は、連続的である。別の好ましい実施形態では、化合物1は、28日周期で投与される。好ましい実施形態では、化合物1は、連続的に一日量で28日周期で投与される。好ましい実施形態では、化合物1は、連続的に一日量で28日周期で30mg/日の用量で投与される。好ましい実施形態では、化合物1は、連続的に一日量で28日周期で45mg/日の用量で投与される。好ましい実施形態では、化合物1は、連続的に一日量で28日周期で30mg/日の用量で、各28日周期の間に休止期間を伴わずに投与される。好ましい実施形態では、化合物1は、連続的に一日量で28日周期で45mg/日の用量で、各28日周期の間に休止期間を伴わずに投与される。
【0146】
化合物1は、便宜上、経口投与することができる。一実施形態では、経口投与されるとき、化合物1は、食事及び水とともに投与される。別の実施形態では、化合物1は、水またはジュース(例えば、リンゴジュースもしくはオレンジジュース)に分散され、懸濁液として経口投与される。別の実施形態では、経口投与されるとき、化合物1は、絶食状態で投与される。好ましくは、化合物1は、経口投与される。好ましい一実施形態では、化合物1は、30mg/日の用量で経口投与される。別の好ましい実施形態では、化合物1は、45mg/日の用量で経口投与される。好ましい実施形態では、化合物1は、連続的に一日経口量で28日周期で30mg/日の用量で投与される。別の好ましい実施形態では、化合物1は、連続的に一日経口量で28日周期で45mg/日の用量で投与される。好ましい実施形態では、化合物1は、連続的に一日経口量で28日周期で30mg/日の用量で、各28日周期の間に休止期間を伴わずに投与される。別の好ましい実施形態では、化合物1は、連続的に一日経口量で28日周期で45mg/日の用量で、各28日周期の間に休止期間を伴わずに投与される。
【0147】
化合物1はまた、皮内に、筋肉内に、腹腔内に、経皮的に、静脈内に、皮下に、鼻腔内に、硬膜外に、舌下に、大脳内に、膣内に、経皮的に、直腸に、粘膜に、吸入により、または局所的に耳、鼻、目、もしくは皮膚に対して投与することもできる。投与方法は、医療従事者の裁量に任され、ある程度医学的状態の部位に依存する場合がある。
【0148】
一実施形態では、化合物1を含み、追加の担体、賦形剤、またはビヒクルを含まないカプセル剤が、本明細書に提供される。
【0149】
別の実施形態では、有効量の化合物1及び薬学的に許容される担体またはビヒクルを含む組成物が、本明細書に提供され、薬学的に許容される担体またはビヒクルは、賦形剤、希釈剤、またはそれらの混合物を含むことができる。一実施形態では、組成物は、薬学的組成物である。
【0150】
組成物は、錠剤、チュアブル錠、カプセル剤、液剤、非経口液剤、トローチ剤、坐剤、及び懸濁液剤などの形態であることができる。組成物は、1日用量、または、使いやすい1日用量の一部を用量単位に含むように製剤化することができ、これは、単一の錠剤もしくはカプセル剤、または使いやすい量の液体であってよい。一実施形態では、液剤は、水溶性の塩、例えば、塩酸塩から調製される。一般に、組成物は全て、薬化学において既知の方法に従って調製される。カプセル剤は、化合物1を好適な担体または希釈剤と混合し、適量の混合物をカプセルに充填することによって調製することができる。通常の担体及び希釈剤としては、不活性粉末物質、例えば、多くの異なる種類のデンプン、粉末セルロース、特に結晶性及び微結晶性セルロース、糖類、例えば、フルクトース、マンニトール、及びスクロース、穀物粉、ならびに同様の食用粉末が挙げられるがこれらに限定されない。
【0151】
錠剤は、直接圧縮により、湿式造粒により、または乾式造粒により調製することができる。それらの製剤は、通常、希釈剤、結合剤、滑沢剤、及び崩壊剤ならびに該化合物を含む。典型的な希釈剤としては、例えば、様々な種類のデンプン、ラクトース、マンニトール、カオリン、リン酸カルシウムまたは硫酸カルシウム、無機塩、例えば、塩化ナトリウム及び粉糖が挙げられる。粉末セルロース誘導体もまた有用である。一実施形態では、薬学的組成物は、ラクトースを含まない。典型的な錠剤結合剤は、デンプン、ゼラチン、及びラクトース、フルクトース、グルコースなどの糖類などの物質である。天然及び合成ゴムもまた都合がよく、アカシアゴム、アルギネート、メチルセルロース、ポリビニルピロリドンなど含まれる。ポリエチレングリコール、エチルセルロース、及びワックスもまた、結合剤として役割を果たすことができる。
【0152】
滑沢剤は、錠剤及びパンチがダイに固着するのを防ぐために、錠剤製剤に必要な場合がある。滑沢剤は、タルク、ステアリン酸マグネシウム及びステアリン酸カルシウム、ステアリン酸、ならびに水添植物油のような滑りやすい固体から選択され得る。錠剤崩壊剤は、濡れたときに膨潤して錠剤を崩壊し、化合物を放出させる物質である。それらとしては、デンプン、クレー、セルロース、アルギン、及びガムが挙げられる。より具体的には、トウモロコシ及びジャガイモデンプン、メチルセルロース、寒天、ベントナイト、木材セルロース、粉末海綿、カチオン交換樹脂、アルギン酸、グアーガム、柑橘パルプ、ならびにカルボキシメチルセルロースを、例えば、ラウリル硫酸ナトリウムと同様に使用することができる。錠剤を、香味料及びシーラントとしての糖で、または、膜形成性保護剤でコートし、その錠剤の溶解特性を修飾することができる。組成物はまた、チュアブル錠として、例えば、マンニトールなどの物質を製剤に使用することによって製剤化することもできる。
【0153】
化合物1を坐剤として投与することが望ましい場合、典型的な基剤を使用することができる。ココアバターは従来の坐剤の基剤であり、これは、ワックスの添加によってその融点をわずかに上げるように修飾され得る。特に、様々な分子量のポリエチレングリコールを含む水混和性の坐剤の基剤が広く使用されている。
【0154】
化合物1の効果は、適切な製剤によって遅らせる、または延長させることができる。例えば、徐々に溶解する化合物1のペレットを調製し、錠剤もしくはカプセル剤の中に、または徐放性の埋め込み型デバイスとして組み込むことができる。この技術はまた、いくつかの異なる溶解速度のペレットを製造し、それらのペレットの混合物をカプセルに充填することも含む。錠剤またはカプセル剤は、予測可能な期間にわたって溶解に耐える膜でコーティングすることができる。非経口製剤でも、化合物1を油性もしくは乳化ビヒクル中に溶解もしくは懸濁して、それが血清中にゆっくり分散するのを可能にすることによって、長期間作用させることができる。
【0155】
5.5 キット
ある特定の実施形態では、化合物1を含むキットが、本明細書に提供される。特定の実施形態では、密封容器に化合物1を含む単位剤形を含むキットが、本明細書に提供され、この単位剤形は、約1mg~約100mgの化合物1を含む。特定の実施形態では、密封容器に化合物1を含む単位剤形を含むキットが、本明細書に提供され、この単位剤形は、約5mg、約20mg、または約50mgの化合物1を含む。
【0156】
他の実施形態では、化合物1と、化合物1の投与に対する患者反応を監視するための手段とを含むキットが、本明細書に提供される。ある特定の実施形態では、患者は、HBV感染を特徴とするHCCを有する。特定の実施形態では、測定される患者反応は、疾患進行の阻害、腫瘍成長の阻害、原発性及び/または続発性腫瘍(複数可)の低減、腫瘍関連症候の軽減、生活の質の改善、腫瘍分泌因子(例えば、AFP)の阻害、原発性及び/または続発性腫瘍(複数可)の出現の遅延、原発性及び/または続発性腫瘍(複数可)の発達の鈍化、原発性及び/または続発性腫瘍(複数可)の発生の減少、疾患の二次的影響の鈍化またはその重篤度の低下、腫瘍成長の停止及び/または腫瘍退縮である。
【0157】
他の実施形態では、化合物1と、化合物1の投与に対する患者反応を監視するための手段とを含むキットが、本明細書に提供され、当該反応は、RECIST(例えば、HCCのRECIST1.1もしくはmRECIST)またはECOGである。
【0158】
他の実施形態では、化合物1と、患者におけるS6RP、4E-BP1、及び/またはAKTのリン酸化の阻害の量を測定するための手段とを含むキットが、本明細書に提供される。ある特定の実施形態では、キットは、患者の循環血及び/または腫瘍生検中のS6RP、4E-BP1、及び/またはAKTのリン酸化の阻害を測定するための手段を含む。ある特定の実施形態では、化合物1と、化合物1の投与前、投与中、及び/または投与後のホスホ-S6RP、4E-BP1、及び/またはAKTの量の比較によって評価される、リン酸化の阻害の量を測定するための手段とを含むキットが、本明細書に提供される。ある特定の実施形態では、患者は、HBV感染を特徴とするHCCを有する。
【0159】
S6RP、4E-BP1、及び/またはAKTのリン酸化の阻害は、リン酸化特異的抗体を使用する、フローサイトメトリー、ELISA、IHCを含む様々な方法論によって、血液、皮膚、腫瘍、及び/または血液中の循環腫瘍細胞(CTC)中で測定され得る。
【0160】
ある特定の実施形態では、本明細書に提供されるキットは、HBV感染を特徴とするHCCを治療または予防するのに有効な量の化合物1を含む。
【0161】
ある特定の実施形態では、本明細書に提供されるキットは、例えば化合物1を投与するため、及び/または化合物1の投与に対する患者反応を監視するための使用指示書を更に含む。
【実施例
【0162】
6.実施例
6.1 臨床試験1
HCCを有する対象に経口投与される化合物1の安全性、耐性、PK及び予備的有効性を評価するための第1/2相多施設非盲検用量設定試験を有する対象に経口投与される化合物1の安全性、耐性、PK及び予備的有効性を評価するための第1/2相多施設非盲検用量設定試験を有する対象に経口投与される化合物1の安全性、耐性、PK及び予備的有効性を評価するための第1/2相多施設非盲検用量設定試験を有する対象に経口投与される化合物1の安全性、耐性、PK及び予備的有効性を評価するための第1/2相多施設非盲検用量設定試験。
【0163】
この研究は、2つの部分、用量漸増(パートA)及び用量拡張(パートB)からなる第1/2相治験として設計された。
【0164】
パートAは、様々な血液学的または固形悪性腫瘍を有する対象の非盲検用量漸増試験であった。主目的は、化合物1の最大耐量(MTD)及び予備的PKを判定することであった。化合物1のMTDは、45mg/日であると判定され、非耐性量(NTD)は、60mg/日であると判定された。PK及びPDデータは、化合物1による1日1回の投与を支持した。
【0165】
パートBの予備的有効性探求相は、HCCを有する対象に関する非盲検用量拡張試験であった。
【0166】
パートBの主目的は、(a)経口投与された場合の化合物1の安全性及び耐性を判定すること、及び(b)化合物1の単回及び複数回経口投与の両方に続く化合物1の予備的PKを判定することであった。
【0167】
パートBの副次的目的は、(a)化合物1の予備的有効性に関する情報を提供すること、(b)化合物1の経口投与に続くM1(化合物1の代謝産物)のPKを特徴付けること、(c)HCCを有する対象における化合物1及びM1のPKを特徴付けること、ならびに(d)化合物1による治療に続く末梢血試料及び腫瘍生検中の、mTORC1活性についてはS6RP及び/または4E-BP1、mTORC2活性についてはAKT及び/または他の関連バイオマーカーのリン酸化の阻害の程度を評価することであった。
【0168】
対象は、化合物1の連続一日量を28日周期で受けた(図1)。疾患進行の証拠があった場合は治療を中断したが、対象が治療から利益を得ていると治験者がみなす限り、対象は化合物1を受け続けた。許容されない毒性があった場合、または対象が試験から離脱すると決めた場合は治療を中断した。有害事象(AE)の状態を評価し、任意の新たな事象または死亡が起こったかどうかを判定するために、試験薬物の最後の投与から28日後に対象に接触した。試験で死亡していた対象に加えて、およそ28名の対象が、死亡日を判定し、全生存分析を完了するために、治療相を完了した後2ヶ月(±1週間)毎のフォローアップに同意した。
【0169】
試験集団の選択のための包含基準としては、以下が挙げられる。(1)任意の試験関連評価/手順が実行される前にインフォームドコンセント文書を理解し、自由意志で署名する、(2)標準抗がん療法で進行していた(もしくは耐えることができなかった)対象または標準抗がん療法が存在しない対象を含む、組織学的または細胞学的に確認された進行した切除不能なHCCを有する18歳以上の男性及び女性、(3)0または1のECOGパフォーマンスステータス、(4)対象は、以下の臨床検査値を有していなければならない:1.5×109/L以上の好中球絶対数、9g/dL以上のヘモグロビン、100×109/L以上の血小板、正常範囲内または補助剤で修正可能なカリウム、2.5×正常値上限(ULN)以下または5.0×ULN以下のアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)及びアラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)、1.5×ULN以下または2×ULN以下の血清ビリルビン、1.5×ULN以下の血清クレアチニンまたは50mL/分以上の24時間クリアランス、妊娠可能な女性において試験治療を開始する前48時間以内の陰性血清または尿妊娠検査、(5)試験来診スケジュール及び他のプロトコル要件を守ることができる、(6)遺伝子突然変異及び/またはIHCバイオマーカーアッセイのための腫瘍ブロックまたは切片化/剥製標本のいずれかにおけるホルマリン固定、パラフィン包埋されたアーカイブ腫瘍組織の検索。例外的状況においてのみ、除外放棄がスポンサーにより付与された。(7)アクセス可能な腫瘍の遺伝子突然変異及び/またはIHCバイオマーカーアッセイのための良好なスクリーニング生検、(8)測定可能な疾患を伴う組織学的に確認されたHCC。該当する場合、以下の基準が上記の基準に加えられる、または取って代わる。門脈高血庄症が存在した場合、60×109/L以上の血小板数、7未満のチャイルド・ピュー分類(すなわち、クラスA以上の肝機能)、α-インターフェロン及び/またはリバビリンの最後の投与から少なくとも4週間、進行性または再発性疾患の記録を有する前の経皮的エタノール注射、高周波アブレーション、経動脈的塞栓、または寒冷療法から少なくとも4週間。
【0170】
試験集団の選択のための除外基準としては、以下が挙げられる。(1)症候的中枢神経系転移。以前に治療されており、6週間にわたって安定な脳転移を有する対象は許可された。(2)既知の急性もしくは慢性膵炎、(3)米国国立がん研究所有害事象共通用語基準(NCI CTCAE)グレード2以上の任意の末梢神経傷害を有する対象、(4)医療管理にもかかわらず、グレード2以上の持続的下痢または吸収不良を有する対象、(5)以下のうちのいずれかを含む心機能不全または臨床的に重大な心疾患:マルチゲート取得(MUGA)走査または心電図によって判定される45%未満の左室駆出率(LVEF)、完全左脚または二束ブロック、先天性QT延長症候群、持続性または臨床的に意味のある心室性不整脈または心房細動、スクリーニングECGで460msec(三重記録の平均)を超えるフリデリシア補正を伴うQT間隔(QTcF)、化合物1を開始する前3ヶ月以内の不安定な狭心症または心筋梗塞、治療を必要とするうっ血性心不全または管理されていない高血圧(160/95mmHg以上の血圧)などの他の臨床的に重大な心疾患、(6)活発な治療で糖尿病を有する対象または以下のうちのいずれかを有する対象:126mg/dL(7.0mmol/L)以上の空腹時血糖または6.5%以上の糖化ヘモグロビン(HbA1c)、(7)許容されない安全リスクを引き起こし得るまたはプロトコルの準拠を損ない得る他の同時発生の重度及び/または制御されていない随伴性健康状態(例えば、活発なまたは制御されていない感染)、(8)試験薬物を開始する前の5半減期または4週間以下の短い方の以前の全身性がん対象治療もしくは治験モダリティ、またはそのような治療法の副作用から回復していない対象。対象は、治験薬物の安全性評価を混同させ得る最近の放射線療法のいかなる影響からも回復していなければならない。(9)試験薬物を開始する前の2週間以内に大手術を受けていた対象またはそのような治療法の副作用から回復していなかった対象、(10)妊娠または授乳中の女性。2つの産児制限の形態を用いていない生殖能のある成人:(a)妊娠可能な女性対象は、化合物1の最後の投与から28日後までにインフォームドコンセントを与えた時点から2つの適切な形態の避妊方法(1つは非ホルモン性でなければならない)を同時に使用することに同意しなければならない。妊娠可能な女性対象は、子宮摘出もしくは両側卵巣摘出を受けていない、または少なくとも24ヶ月間連続して自然に閉経後(すなわち、全く月経がない)でない性的に成熟した女性として定義される。(b)妊娠可能な女性のパートナーを有する男性対象は、彼らまたは彼らのパートナーが、試験期間中に生殖行為を行うときに、少なくとも2つの有効な避妊方法(1つのバリア法を含む)を使用し、化合物1の最後の投与後28日間は妊娠を避けることに同意しなければならない。(11)既知のヒト免疫不全ウイルス感染を有する対象、(12)任意の重大な健康状態、臨床検査値異常、または対象が試験に参加するのを妨げる精神疾患、(13)試験に参加する場合、対象を許容されない危険性にさらす臨床検査値異常の存在を含む任意の状態、(14)試験からのデータを解釈する能力を混同させる任意の状態、(15)非黒色腫性皮膚癌または子宮頸部の上皮内癌を除く、対象が治療を受けている同時発生の活発な二次がん。
【0171】
化合物1は、経口投与のための赤茶色のサイズ番号1のゼラチンカプセルに有効薬学的成分のみを含有する、3つの強度2.5mg、10mg、及び20mgで供給された。他の賦形剤は使用しなかった。
【0172】
HCC患者のHBV状態
慢性HBVまたはその履歴のいずれかを有すると考えられるHCCを有する試験対象を特定するために、アルゴリズムを開発した。このアルゴリズムに使用される臨床治験データベースにおける変数としては、以下が挙げられる:HBVの履歴、以前または現在のHBV治療、HBVに起因する硬変、及び肝炎血清学(表1)。このアルゴリズムを使用するレビューは、12名の対象をHBV陽性として特定した。
表1.アルゴリズムを使用した対象のHBV状態の判定
【表2】
抗HBc=B型肝炎コア抗原に対する抗体、抗HBs=B型肝炎表面抗原に対する抗体、HBsAG=B型肝炎表面抗原、HBV=B型肝炎ウイルス。
a:「+」=スクリーニング時または周期1の1日目におけるHBsAg、抗HBs、抗HBc、またはHBVウイルス負荷について陽性血清学。
【0173】
パートBの本来のプロトコルに従って、25名のHCC患者が、45mg/日で化合物1の治療を開始した。プロトコル補正9の後、追加コホートの28名の新たなHCC対象が、30mg/日で開始した。30mg/日用量の適切性は、パートAからのPK及びPDデータによって支持された。化合物1は、各28日周期の間に休止期間を伴わずに、不断の1日1回スケジュールで経口投与された。対象は、治療から利益を得ると治験者によって判断される限り、化合物1を受け続けた。HCC患者の患者特性を図2に示す。
【0174】
PK分析
化合物1及びその代謝産物M1のPKプロファイルは、第1の治療周期中の連続採血及び採尿から判定した。血漿及び尿化合物1及びM1は、有効なキラル液体クロマトグラフィー質量分析法を使用して測定した。血漿中の定量下限(LLOQ)は、化合物1の場合1.00または2.00ng/mL、M1の場合10.0ng/mLであった。尿中のLLOQは、化合物1の場合5.00ng/mL、M1の場合20ng/mLであった。
【0175】
以下の一般的なPKパラメータを評価した。
・AUC:化合物1の投与後の血漿濃度-時間曲線下面積
・AUC:時間0から時間tにおける最後の測定可能な濃度までの血漿濃度-時間曲線下面積
・AUCτ:時間0からτまでの血漿濃度-時間曲線下面積(τは、投与間隔である)
・AUC%extrap:最後の定量可能な時間から無限大までの外挿に起因するAUCのパーセンテージ
・Cmax:ピーク(最大)血漿濃度
・Tmax:ピーク(最大)血漿濃度までの時間
・CL/F:全身クリアランス
・CLss/F:安定した状態での全身クリアランス
・Vz/F:見掛けの分布量
・Rac(AUCτ):AUCτに基づく蓄積比
・Tlast:最後の測定可能な濃度の時間
・Clast:最後の測定可能な濃度
・λ:末端排出率定数(一次)
・λ下限:λの計算に含まれる時間(h)の下限
・λN:λの計算に使用されるデータ点の数
・λ上限:λの計算に含まれる時間(h)の上限
・HLλ:末端半減期
【0176】
図3A及び3Bは、HBV感染HCC患者(n=12)及び非HBV感染HCC患者(n=39)における化合物1(図3A)及びその代謝産物M1(図3B)の血漿濃度を示す。図3Aでは、HBV感染HCC患者及び非HBV感染HCC患者の曝露データの重複は、HBV感染HCC患者における化合物1曝露が、非HBV感染HCC患者において観察される曝露に相当することを示す。M1曝露についての同様の結果を図3Bに示す。
【0177】
HCC患者の対象内訳
パートBに登録された全ての対象を、対象内訳の分析に含めた。試験中断の理由としては、以下のカテゴリー:有害作用、疾患進行、同意の取り下げ、死亡、フォローアップからの喪失、プロトコル違反などが挙げられる。
【0178】
TPにおけるHBV状態別のHCC患者内訳に関する情報を図4に示す。45mg/日の化合物1治療に登録された25名のHCC患者のうち、17名をEEと判定した。30mg/日の化合物1治療に登録された28名のHCC患者のうち、24名をEEと判定した。したがって、合計53名のHCC患者のうち、13名が最初の有効な再分類前に離脱した後、41名の患者が有効性について評価可能であった。合計53名のHCC患者のうち、12名がHBV感染であると判定され、41名が非HBV感染であった。
【0179】
有効性分析
全ての有効性分析は、TP及びEE集団の両方に基づいた。対象は、周期2、4、6の間及び周期6後3ヶ月毎に有効性を評価した。主要な有効性評価変数は、奏効率であった。全ての登録した対象が試験から離脱すると、HCCの有効性エンドポイントは完成した。
【0180】
HCCの腫瘍反応は、RECISTを用いた治験者の全体評価に基づいた。奏効率は、CRまたはPRのいずれかの最良全奏功によって判定した。疾患制御率(DCR)は、CR、PR、及びSDを含んでいた。
【0181】
OSは、最初の投与から死亡までの時間として定義した。死因にかかわらず、全ての死亡を含めた。死亡しなかった対象は、対象が生きていることがわかっている場合は最後の接触日、または臨床打ち切り日のどちらか早い方に打ち切りとした。
【0182】
OS時間の中央値は、カプラン・マイヤー法を使用して計算し、対応する95% CIを提示した。カプラン・マイヤー生存曲線を図5A及び5Bに提示する。
【0183】
HCCコホートのOS中央値は、6.9ヶ月であり(図5A)、PFS中央値は、16週間であった(図6A)。統計的に有意ではなかったが、非HBV感染HCC患者に対するHBV感染HCC患者におけるOSの増加に向かう傾向が観察された。例えば、HBV感染HCC患者のOS中央値は、12.07ヶ月であったが、非HBV感染HCC患者のOS中央値は、5.16ヶ月であった(p=0.19)(図5B及び8)。標的病変の放射線反応をウォーターフォールプロットに要約する(図7)。5名の対象は、標的腫瘍病変の30%超の退縮を有し、RECIST1.1による最良の全奏功は3PR、1SD、及び1PDであった。これら5名の対象のうち、PRを有する3名の対象はHBV陽性であり、SDを有する対象はHBV陰性であり、PDを有する対象はHBV陰性であった。更に、全ての対象の疾患制御率(DCR)は、54.7%(95% CI:40.4%、68.4%)であった。HBV状態別に、DCRは、HBV陽性であった対象の場合91.7%(95%CI:61.5%、99.8%)であり、HBV陰性であった対象の場合43.9%(95%CI:28.5%、60.3%)であった(p=0.0066)(図8)。
【0184】
全ての対象の標的腫瘍縮小率(すなわち、スクリーニングに対してサイズが低減した病変)は、45.3%(95%CI:31.6%、59.6%)であった。HBV状態別に、標的収容の縮小は、HBV陽性であった対象の場合66.7%(95%CI:34.9%、90.1%)であり、HBV陰性であった対象の場合は39.0%(95%CI:24.2%、55.5%)であった(データ図示せず)。
【0185】
化合物1で治療した2名の患者における放射線改善の例示的な実施例を図9に示す。患者Aは、ベースラインと比較した第1のオントリートメント再分類における胸腔内転位の退縮を示す。患者Bは、ベースラインと比較した第1のオントリートメント再分類における胸腔内腫瘍退縮を示す。
【0186】
HCC患者のAFP及びHBVウイルス負荷の評価
HCC対象の場合、AFP及びHBVウイルス負荷におけるベースライン及びベースラインからの変化(HBsAg陽性対象のみ)を記述統計で要約した。更に、ウィルコクソン符号順位検定を行い、選択された予定来診時におけるAFPのベースラインからの変化を分析した。そのような試験のp値を提供した。HBVウイルス負荷のベースラインからの変化を同様に分析した。AFPのベースラインから50%超の低下を有する対象のパーセンテージをTPについて要約した。
【0187】
化合物1で治療され、PRを示した2名のHBV陽性患者におけるAFP低減の例を図10に示す。両患者は、ベースライン上昇レベルと比較して、治療中のAFPの早期の臨床的に有意な著しい低減を示す。
【0188】
考察.HCC TPについて、全奏効率(ORR)は5.7%であった。どの対象もCRを経験しなかった。中度であるが、奏効率は、進行したHCCの治療のために承認された化合物である、ソラフェニブについて報告されたものに相当する(Llovet et al,N Engl J Med,2008,359:78-90)。対象の合計49.1%は、SDの最良反応を示し、54.7%のDCRをもたらした。治療前に対して、対象の45.3%が標的病変の退縮を示した。早期相試験における腫瘍反応について評価するために重要なサブグループとしてもみなされるEE集団について、ORRは7.3%であり、DCRは68.3%であり、治療前に対する腫瘍退縮率は56.1%であった。PRに到達した3名の対象について、反応期間(DOR)の中央値は、124.0日であった。SDの最良反応を有する26名の対象について、SDの期間の中央値は、112.0日であった。TPについて、PFSの中央値は3.7ヶ月であり、OSの中央値は30.0週間であり、EE集団の転帰は非常に類似していた。
【0189】
必ずしも統計的に有意ではないが、全ての反応転帰は、他の危険因子(C型肝炎ウイルスまたは非感染性)を有する対象と比較して、HBV陽性であったHCC対象のサブセットにおいて数値的により好適であった。PRを達成した3名の対象は全てHBV陽性であり、HBV陰性サブグループにおける0%と比較して、25%のORRをもたらした。DCRは91.7%対43.9%であり、ベースラインに対する腫瘍退縮率は66.7%対39.0%であり、PFSの中央値は14.8週間対14.4週間であり、OSの中央値は52.4週間対22.4週間であった。HBV陽性対象は、主としてアジア人の若い男性であったが、これらの差異は、ベースライン疾患特性の不均衡によって完全に説明することができなかった。
【0190】
結論.化合物1での治療は、HCCを有する対象における抗腫瘍活性の心強い予備的証拠を示した。これは、HBV陽性とみなされるHCC対象のサブセットに対して特に真であった。化合物1は、これらの対象において良好に耐容され、mTOR経路を標的とする他の薬物に相当する副作用プロファイルを有していた。この試験における安全性、PD、及び有効性データに基づいて、1日30mgの開始用量が提案される。
【0191】
6.2 臨床試験2
少なくとも1つの全身療法を以前に受けたことがあるHBV+進行した肝細胞癌(HCC)対象における二重TORC1/TORC2阻害剤化合物1の非盲検第2相治験
【0192】
適応症.少なくとも1つの全身療法を以前に受けたことがあるB型肝炎ウイルス(HBV)陽性の切除不能なHCC対象
【0193】
目的.治験の主目的は、以下の通りである。少なくとも1つの全身療法を以前に受けたことがあるHBV+HCC対象における化合物1の薬物動態(PK)、安全性、耐性、及び全奏効率(ORR)を評価すること。
【0194】
治験の副次的目的は、以下の通りである。全生存期間(OS)、進行までの時間(TTP)、無憎悪生存期間(PFS)、疾患制御率(DCR)、反応期間(DOR)、反応までの時間(TTR)、及び生存率を評価すること。
【0195】
治験設計.この治験は、化合物1が少なくとも1つの全身療法を以前に受けたことがあるB型肝炎陽性(HBV+)HCC対象に経口投与される、アジアの多領域臨床治験(MRCT)である。放射線疾患進行(RECIST1.1)または耐えられない毒性まで毎日投与される経口化合物1の薬物動態(PK)、安全性、耐性、及び有効性を評価する非盲検第2相治験として設計される。
【0196】
試験集団.対象の数及び集団:15mgの用量で6名及び30mgの用量で24名を含む、少なくとも1つの全身療法を受けたことがあるおよそ30名のHBV+の切除不能なHCC対象が、この治験に登録される。30mgの開始用量を有する対象におけるORRが15%超である場合、次いでこの試験を拡張し、ORRを一次エンドポイントとして使用して更におよそ96名の対象(合計30mgの開始用量レベルを受けるおよそ120名の対象)を登録し、有効性及び安全性を更に評価することができる。
【0197】
包含基準:ICFが署名された時点で18歳以上の男性または女性;米国肝臓学会(AASLD)ガイドラインに従うHCCの確認された病理学的または放射線学的診断;バルセロナ臨床肝癌(BCLC)分類に従う切除不能なステージB(中度)またはC(進行)HCC。ステージBの場合、対象は外科的または局所領域的療法後に進行していなければならない、または治療の対象外でなければならない。HBV+は、以下の血清学的結果のうちのいずれかに基づいて、慢性HBV感染またはHBV感染の履歴として定義される:HBcAb+、HBsAg+、HBV-DNA+;少なくとも1つの全身療法を以前に受けたことがある(ソラフェニブ及び/または化学療法中または後に放射線疾患進行を有する)。地域の保健局によって承認されたレゴラフェニブ及び/または抗PD-1抗体などの代替治療を受けている対象は、全ての他の包含/除外基準を満たす場合、試験に参加することが許可される。化学療法は、FOLFOX(フルオロウラシル、ロイコボリン、及びオキサリプラチン)または任意の他の白金含有レジメンを含む;2周期以上の化学療法;0または1のECOGパフォーマンスステータススコア;以下によって証明される良好な血清化学結果:5×正常値上限(ULN)以下のAST(SGOT)及びALT(SGPT);2×ULN以下の全ビリルビン;1.5×ULN以下のクレアチニンまたは50mL/分以上の24時間クリアランス;以下によって証明される適切な骨髄機能:1.5×10細胞/L以上の好中球絶対数(ANC)、75×10細胞/L以上の血小板、9g/dL以上のヘモグロビン、脳症のないチャイルド・ピューA(スコア5または6のみ);男性対象(精管切除を受けた対象を含む)は、妊娠可能な女性との性行為中にコンドームを使用することに同意しなければならず、ICF署名の時点から、試験薬を受けている間、及び試験薬の最後の投与後3ヶ月間は子供を授かってはならない;妊娠可能な女性対象は、以下の両方を有していなければならない:2つの試験医師が承認した避妊方法の同時使用に同意する、またはICF署名の時点から、試験薬を受けている間、及び試験薬の最後の投与後28日間は完全な禁欲を実践する。真の禁欲:これが対象の好ましく通常の生活様式に一致する場合。周期的禁欲(例えば、カレンダー、排卵法、徴候体温法(symptothermal)、排卵後法)及び膣外射精法は、許容されない避妊方法である。許容される避妊方法としては、以下が挙げられる:経口、注射可能、もしくは埋め込み可能なホルモン避妊薬;子宮内デバイス;殺精子剤を伴うバリア避妊薬;または少なくとも1つのバリア法とともに、精管切除されたパートナー。スクリーニング時に陰性の血清妊娠検査結果を有する、試験薬の最初の投与前72時間以内に陰性尿妊娠検査で確認された(最初の投与から72時間を超えて血清検査を行った場合);妊娠検査は、少なくとも25mU/mLの感受性を有していなければならない。
【0198】
除外基準:以下のうちいずれかが存在する場合、対象を登録から除外する:ソラフェニブ/レゴラフェニブに耐えられない。例えば、対象は毒性に起因していずれかの薬物を中断しなければならない。症候的中枢神経系転位。以前に治療されており、最初の投与日前4週間にわたって安定な脳転移は許可される;スクリーニング前14日以内にソラフェニブ/レゴラフェニブを受けた;局所領域的HCC療法(例えば、TACE、RFA)、全身性化学療法、ホルモン療法(例えば、タモキシフェン)またはスクリーニング前4週間以内(または5半減期のどちらか短い方)の調査的治療;HBV及びC型肝炎ウイルス(HCV)の両方に対して陽性を試験。(HCV陽性は、抗HCVまたはHCV-RNA陽性として定義される);3ヶ月未満の寿命;シロリムス、テムシロリムス、エベロリムス、及び他の調査的または承認されたmTOR/PI3K/AKT阻害剤を含むmTOR(TORC1及び/またはTORC2)阻害剤による以前の治療法;スクリーニング前28日以内の大手術または重大な外傷;スクリーニング時に以前の抗癌療法の急性毒性作用、放射線または大手術/重大な外傷から回復していない;スクリーニング前7日以内の小手術(中心線/外周線の配置または皮膚生検を除外する);1日10mg以上のプレドニゾン等価用量で全身性コルチコステロイドまたは他の全身性免疫系変調剤による活発な進行中の治療を受けている;8%超のHbA1cとして定義される制御されていない糖尿病;以前の臓器移植;医療管理にかかわらず、米国国立がん研究所(NCI)有害事象共通用語基準(CTCAE、バージョン4.03)グレード2以上の持続的下痢もしくは吸収不良、または試験薬の吸収に影響を及ぼし得る任意の重大な胃腸障害;スクリーニング前28日以内に医療介入を必要とする、特に食道静脈瘤からの臨床的に重大な出血;治療状況にかかわらず、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染の既知の履歴または現在の診断;非黒色腫性皮膚癌、ホルモン療法で治療された非進行性前立腺癌、または子宮頸部の上皮内癌を除く、対象が治療を受けている同時発生の第2の活性悪性腫瘍。参加の5年超前に治癒的に治療された任意のがんは許される;抗生物質、抗菌薬、または抗ウイルス薬療法(抗HBV療法以外)を必要とする進行性または活発な感染(例えば、結核)、症候的心不全、心不整脈、急性もしくは慢性膵炎、または試験要件の準拠を制限する精神疾患/社会情勢を含むが、これらに限定されない制御されていない介入性疾病;重大な健康状態、臨床検査値異常、または対象がこのプロトコルを完全に準拠することを妨げ得る精神疾患;治験に参加している場合に対象を許容されない危険性にさらす臨床検査値異常の存在を含む任意の病態;治験からのデータを解釈する能力を混同させる任意の病態。
【0199】
治験の長さ.推定30名の対象の登録は、およそ4ヶ月を要すると予想される。PK、安全性、及び予備的有効性評価を完了するには、およそ4ヶ月を要すると予想される。試験の終了は、最後の対象の最後の来診によって治験が完了した日付、または一次分析に必要な最後の対象から最後のデータ点(例えば、死亡日)を受領した日付の、どちらかより早い日付として定義される。
【0200】
試験治療.化合物1の開始用量は、最初の6名の完全に評価可能な(PK転帰を含む)対象について、28日の各周期にわたって1日15mgとなる。用量制限毒性(DLT)の提供は、周期1を完了する6名の対象のうち2名未満で発生し、更に24名の対象が、1日30mgの開始用量で登録されることになる。次いで、15mgの用量レベルに耐えた対象は、30mg群の登録が始まるまで、治験者の裁量で30mgに用量漸増されてもよい。30mgの開始用量を有する対象におけるORRが15%超である場合、次いでこの試験を拡張し、ORRを一次エンドポイントとして使用して更におよそ96名の対象(合計およそ120名の対象)を登録し、有効性及び安全性を更に評価することができる。
【0201】
全ての対象は、放射線疾患進行、毒性、対象または医師の決定または死亡が生じるまで、連続28日周期(周期1を除く)において1日1回化合物1を受ける。治験者の裁量で、他の治療選択肢が使用可能でない場合、明らかな症候的悪化まで放射線進行後も治療を続けることができる。3週間まで、及び2つの(20mg及び15mgへの)用量低減までの用量中断は、毒性を軽減するために許可される。用量再漸増は、同じ毒性が少なくとも1周期(4週間)にわたって低減用量で再発しない場合、1回のみ許可される。
【0202】
抗ウイルス療法が必要とされ、HBV-DNAウイルス負荷が、慢性HBV感染を有する全ての対象において監視される。血清AST/ALTもまた監視される。
【0203】
試験薬治療を中止後、後次の抗がん療法及び生存状況が、全ての対象において死亡まで追跡される。
【0204】
有効性評価の概要.対象は、放射線疾患進行、死亡、または同意の取り下げまで、8週間(±5日)毎にRECIST1.1ガイドラインに従って腫瘍反応及び進行について評価される。治験が拡張される場合、必要に応じてmRECISTを使用することもできる。
【0205】
試験薬の最後の投与に続く、特にHCCに対して投与される全ての抗がん治療は、死亡または同意の取り下げまで捕捉される。各後次の治療における疾患の進行及び進行の日付を記録する。疾患の進行に続いて、死亡または同意の取り下げまで8週間(±1週間)毎に生存を追跡する。
【0206】
安全性評価の概要.全ての対象は、対象がインフォームドコンセントフォーム(ICF)に署名した時点から開始して、試験薬の最後の投与後28日まで有害事象について監視される。健康状態の完全な評価は、適格性についてのスクリーニング中に行う。バイタルサイン、実験室評価(例えば、血清化学、血液学、空腹時血漿グルコース、糖化ヘモグロビン[HbA1c])、12-誘導心電図(ECG)、及びECOGパフォーマンスステータスを監視する。治験対象及びパートナーにおける妊娠を避けるために、治験中は避妊を実践しなければならず、妊娠可能な女性は、定期的な妊娠検査を受ける。
【0207】
薬物動態評価の概要.アジア人対象における化合物1及び代謝産物のPKを推定するために、30名の対象全てにおける集中的サンプリングのための血液試料を採取する。
【0208】
曝露反応分析の概要.曝露反応分析を行い、化合物1及び/またはM1曝露と有効性及び安全性の臨床転帰との関係を評価する。
【0209】
バイオマーカー評価の概要.バイオマーカーを評価する。pAKT、pS6RP、p4EB-P1、及び/または他の関連バイオマーカーの阻害を、末梢血及び腫瘍においてアッセイする。必要に応じて、薬物曝露、有害事象、及び臨床転帰について相関分析を完了する。
【0210】
6.3 臨床試験3
ソラフェニブで以前に治療されたHBV+進行肝細胞癌(HCC)対象におけるニボルマブと組み合わされた二重TORC1/TORC2阻害剤化合物1の第2相非盲検治験
【0211】
適応症.ソラフェニブで以前に治療されたB型肝炎ウイルス(HBV)陽性、切除不能なHCC対象
【0212】
目的.治験の主目的は、以下の通りである。ソラフェニブで以前に治療されたHBV+HCC対象におけるニボルマブと組み合わされた化合物1の安全性、耐性、及び全奏効率(ORR)を評価すること。
【0213】
治験の副次的目的は、以下の通りである。反応期間(DOR)、生存率、疾患制御率(DCR)、反応までの時間(TTR)、進行までの時間(TTP)、無憎悪生存期間(PFS)、及び全生存期間(OS)を評価すること。
【0214】
治験設計.この治験は、低用量、続いて高用量の化合物1が、ソラフェニブで以前に治療されたHBV+進行HCC対象における標準用量ニボルマブと組み合わせて経口投与される、アジアの多領域臨床治験(MRCT)である。これは、ニボルマブと組み合わせた化合物1の耐性、安全性、及び有効性を評価するための非盲検第2相治験である。
【0215】
試験集団.対象の数及び集団:ソラフェニブで以前に治療されたおよそ30~42名のHBV+、切除不能なHCC対象を最初に登録する。複合療法の観察されたORRがおよそ20%に達する場合、次いでこの治験を、ORRを一次エンドポイントとして使用して合計およそ126名の対象まで拡張して、有効性及び安全性を更に評価することができる。
【0216】
包含基準:ICFが署名された時点で18歳以上の男性または女性;米国肝臓学会(AASLD)ガイドラインに従うHCCの確認された病理学的または放射線学的診断;バルセロナ臨床肝癌(BCLC)分類に従う切除不能なステージB(中度)またはC(進行)HCC。ステージBの場合、対象は外科的または局所領域的療法後に進行していなければならない、または治療の対象外でなければならない;RECIST1.1によって定義される測定可能な疾患;ソラフェニブ治療に続く放射線疾患進行。地域の保健局によって承認されたレゴラフェニブなどの代替治療を受ける対象は、他の包含/除外基準を全て満たす場合、試験に参加することが許可される;HBV+は、以下の血清学的結果のうちのいずれかに基づいて、慢性HBV感染またはHBV感染の履歴として定義される:HBcAb+、HBsAg+、HBV-DNA+;活発なHBV感染を有する患者は、有効な抗ウイルス療法を受けている必要があり、ウイルス負荷は、最初の試験投与前に500IU/mL未満でなければならない;0または1のECOGパフォーマンスステータススコア;以下によって証明される良好な血化学結果:5×正常値上限(ULN)以下のAST(SGOT)及びALT(SGPT)、2×ULN以下の全ビリルビン、1.5×ULN以下のクレアチニン、または50mL/分以上の24時間クリアランス;以下によって証明される適切な骨髄機能:1.5×10細胞/L以上の好中球絶対数(ANC)、75×10細胞/L以上の血小板、9g/dL以上のヘモグロビン、脳症のないチャイルド・ピューA(スコア5または6のみ)男性対象(精管切除を受けた対象を含む)は、妊娠可能な女性との性行為中にコンドームを使用することに同意しなければならず、ICF署名の時点から、試験薬を受けている間、及び試験薬の最後の投与後5ヶ月間は子供を授かってはならない;妊娠可能な女性対象は、以下の両方を有していなければならない:2つの試験医師が承認した避妊方法の同時使用に同意する、またはICF署名の時点から、試験薬を受けている間、及び試験薬の最後の投与後5ヶ月間は完全な禁欲を実践する。真の禁欲:これが対象の好ましく通常の生活様式に一致する場合。周期的禁欲(例えば、カレンダー排卵法、徴候体温法(symptothermal)、排卵後法)及び膣外射精法は、許容されない避妊方法である。許容される避妊方法としては、以下が挙げられる:経口、注射可能、もしくは埋め込み可能なホルモン避妊薬;子宮内デバイス;殺精子剤を伴うバリア避妊薬;または少なくとも1つのバリア法とともに、精管切除されたパートナー。スクリーニング時に陰性の血清妊娠検査結果を有する、試験薬の最初の投与前72時間以内に陰性尿妊娠検査で確認された(最初の投与から72時間を超えて血清検査を行った場合);妊娠検査は、少なくとも25mIU/mLの感受性を有していなければならない。
【0217】
除外基準:以下のうちいずれかが存在する場合、対象を登録から除外する:ソラフェニブに耐えられない。すなわち、対象は毒性に起因して薬物を中断しなければならない;症候的中枢神経系転位。以前に治療され、最初の投与日前4週間以上にわたって安定な転位は許容される。肝性脳症の履歴;試験薬の最初の投与前14日以内にソラフェニブを受けた;試験薬の最初の投与前4週間(または5半減期のどちらか短い方)以内の局所領域的HCC療法(例えば、TACE、RFA)、全身性化学療法、ホルモン療法(例えば、タモキシフェン)、または調査的療法;治験中に局所領域的HCC療法(例えば、TACE、RFA)を受ける予定;HBV及びHCV/HDV肝炎ウイルス感染との共感染;3ヶ月未満の寿命;シロリムス、テムシロリムス、エベロリムス、及び他の調査的または承認されたmTOR/PI3K/AKT阻害剤を含むmTOR(TORC1及び/またはTORC2)阻害剤による以前の治療法;任意の薬物標的T細胞活性化またはチェックポイント経路(PD-1、PD-L1、またはPD-L2、CD137、または細胞毒性Tリンパ細胞抗原[CTLA-4]を標的とするものを含む)を伴う以前の治療;自己免疫疾患の履歴;以前または現在の臨床的に重大な腹水;スクリーニング前28日以内の大手術または重大な外傷;スクリーニング時に以前の抗癌療法の急性毒性作用、放射線または大手術/重大な外傷から回復していない;スクリーニング前7日以内の小手術(中心線/外周線の配置または皮膚生検を除外する);1日10mg以上のプレドニゾン等価用量で全身性コルチコステロイドまたは他の全身性免疫系変調剤による活発な進行中の治療を受けている;8%超のHbA1cとして定義される制御されていない糖尿病;以前の臓器移植;医療管理にかかわらず、米国国立がん研究所(NCI)有害事象共通用語基準(CTCAE、バージョン4.03)グレード2以上の持続的下痢もしくは吸収不良、または試験薬の吸収に影響を及ぼし得る任意の重大な胃腸障害;スクリーニング前28日以内に医療介入を必要とする、特に食道静脈瘤からの臨床的に重大な出血;治療状況にかかわらず、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染の既知の履歴または現在の診断;非黒色腫性皮膚癌、ホルモン療法で治療された非進行性前立腺癌、または子宮頸部の上皮内癌を除く、対象が治療を受けている同時発生の第2の活性悪性腫瘍。参加の5年超前に治癒的に治療された任意のがんは許される;抗生物質、抗菌薬、または抗ウイルス薬療法(抗HBV療法以外)を必要とする進行性または活発な感染(例えば、結核)、症候的心不全、心不整脈、急性もしくは慢性膵炎、または試験要件の準拠を制限する精神疾患/社会情勢を含むが、これらに限定されない制御されていない介入性疾病;重大な健康状態、臨床検査値異常、または対象がこのプロトコルを完全に準拠することを妨げ得る精神疾患;治験に参加している場合に対象を許容されない危険性にさらす臨床検査値異常の存在を含む任意の病態;治験からのデータを解釈する能力を混同させる任意の病態。
【0218】
治験の長さ.推定30~42名の対象の登録は、およそ5ヶ月を要すると予想される。耐性、安全性、及び予備的有効性評価を完了するには、およそ8ヶ月を要すると予想される。試験の終了は、最後の対象の最後の来診によって治験が完了した日付、または一次分析に必要な最後の対象から最後のデータ点(例えば、死亡日)を受領した日付の、どちらかより早い日付として定義される。
【0219】
試験治療.化合物1は、標準スケジュール(2週間毎に240mg、静脈内注入)で与えられるニボルマブと組み合わせて、以下のスケジュールで異なる1日用量レベル(15mg、30mg、または20mg)で経口投与される。用量漸増スキームは、修正された3+3設計に基づく。
【0220】
最初に3名の対象を化合物1(15mg)複合療法のコホートに登録する。用量制限毒性(DLT)が起こらない場合、3名の新たな対象を化合物1(30mg)複合療法のコホートに登録する。1DLTが起こった場合、更に3名の対象を化合物1(15mg)複合コホートに登録する。更なるDLTが起こらない場合、3名の新たな対象を化合物1(30mg)複合のコホートにおいて評価する。2以上のDLTが起こった場合、安全性検討委員会及び治験責任者(複数可)と話し合って治験を中断する、または他の適切な治験設計を探す。
【0221】
化合物1(30mg)複合のコホートにおける最初の3名の対象について、DLTが起こらない場合、24名の新たな対象を化合物1(30mg)複合の用量レベルで登録する。1DLTが起こった場合、更に3名の対象を化合物1(30mg)複合コホートに登録する。化合物1(30mg)複合のコホートにおける6名の対象で1以下のDLTが起こった場合、更に24名の対象を化合物1(30mg)複合のコホートに登録する。化合物1(30mg)複合療法の用量レベルにおける3または6名の対象のうちの2名がDLTを経験する場合、3名の新たな対象を化合物1(20mg)複合のコホートに登録する。化合物1(20mg)複合の用量レベルで3名の対象においてDLTが起こらない場合、試験を進めて更に24名の対象を化合物1(20mg)複合療法の用量レベルで登録する。1DLTが起こった場合、更に3名の対象を化合物1(20mg)複合の同じ用量レベルで登録する。化合物1(20mg)複合のコホートにおける6名の対象のうち2名未満でDLTが起こった場合、試験を進めて、更に24名の対象を化合物1(20mg)複合のコホートに登録する。化合物1(20mg)複合療法の用量レベルにおける3または6名の対象のうちの2名がDLTを経験した場合、試験を進めて更に24名の対象を化合物1(15mg)複合のコホートに登録する。
【0222】
最適用量レベルでの複合療法のORRが約20%に達する場合、有効性及び安全性を更に評価するために、この試験を、ORRを一次エンドポイントとして使用して合計約126名の対象に拡張する。
【0223】
DLTとしては、早期高血糖、発疹、疲労、及び粘膜炎(それらのうちのいずれかがグレード3以上)、及び最初の投与の6週間以内に始まる試験CheckMate 040結果に従う肝不全が挙げられる。
【0224】
全ての対象は、放射線疾患進行(RECIST1.1に従う)、許容されない毒性、対象または医師の決定、同意の取り下げ、または死亡が生じるまで、2週間毎にニボルマブの静脈内注入と組み合わせて、連続28日周期で1日1回化合物1を経口で受ける。治験者の裁量で、他の治療選択肢が使用可能でない場合、明らかな症候的悪化まで放射線進行後も治療を続けることができる。
【0225】
抗ウイルス療法が必要とされ、HBV-DNAウイルス負荷が、慢性HBV感染を有する全ての対象において監視される。血清AST/ALTもまた監視される。
【0226】
試験薬治療を中止後、後次の抗がん療法及び生存状況が、全ての対象において死亡まで追跡される。
【0227】
有効性評価の概要.対象は、放射線疾患進行、死亡、または同意の取り下げまで、RECIST1.1ガイドラインに従って腫瘍反応及び進行について評価される。治験が拡張される場合、必要に応じてmRECISTを使用することもできる。腫瘍反応評価は、最初の24週間は6週間(±5日間)毎、その後は12週間(±1週間)毎に行われる。
【0228】
複合治療の最後の投与に続く、特にHCCに対して投与される全ての抗がん治療は、死亡または同意の取り下げまで捕捉される。各後次の治療における疾患の進行及び進行の日付を記録する。疾患の進行に続いて、死亡または同意の取り下げまで12週間(±1週間)毎に生存を追跡する。
【0229】
安全性評価の概要.全ての対象は、対象がインフォームドコンセントフォーム(ICF)に署名した時点から開始して、複合治療の最後の投与後28日まで有害事象について監視される。健康状態の完全な評価は、適格性についてのスクリーニング中に行う。バイタルサイン、実験室評価(例えば、血清化学、血液学、空腹時血漿グルコース、糖化ヘモグロビン[HbA1c])、12-誘導心電図(ECG)、及びECOGパフォーマンスステータスを監視する。治験対象及びパートナーにおける妊娠を避けるために、治験中は避妊を実践しなければならず、妊娠可能な女性は、定期的な妊娠検査を受ける。
【0230】
バイオマーカー評価の概要.バイオマーカーを評価する。pAKT、pS6RP、p4EB-P1、及び/または他の関連バイオマーカーの阻害を、末梢血及び腫瘍組織においてアッセイする。必要に応じて、薬物曝露、有害事象、及び臨床転帰について相関分析を完了する。
【0231】
前述から、具体的な実施形態を例示の目的で本明細書に記載してきたが、本明細書で提供されるものの趣旨及び範囲を逸脱することなく、種々の変更がなされ得ることを理解されたい。上で参照された参考文献の全ては、参照によりそれら全体が本明細書に組み込まれる。
本件出願は、以下の態様の発明を提供する。
(態様1)
患者におけるB型肝炎ウイルス(HBV)感染を特徴とする肝細胞癌(HCC)を治療または予防するための方法であって、有効量の7-(6-(2-ヒドロキシプロパン-2-イル)ピリジン-3-イル)-1-((トランス)-4-メトキシシクロヘキシル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オンまたはその薬学的に許容される塩もしくは互変異生体を、HBV感染を特徴とするHCCを有する前記患者に投与することを含む、前記方法。
(態様2)
患者におけるHBV感染を特徴とするHCCを治療または予防するための方法であって、前記患者のHCCをHBV感染についてスクリーニングすることと、有効量の7-(6-(2-ヒドロキシプロパン-2-イル)ピリジン-3-イル)-1-((トランス)-4-メトキシシクロヘキシル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オンまたはその薬学的に許容される塩もしくは互変異生体を、HBV感染を特徴とするHCCを有する前記患者に投与することと、を含む、前記方法。
(態様3)
7-(6-(2-ヒドロキシプロパン-2-イル)ピリジン-3-イル)-1-((トランス)-4-メトキシシクロヘキシル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オンまたはその薬学的に許容される塩もしくは互変異生体による治療のための、HCCを有する患者を選択するための方法であって、a)前記患者から生体検査試料を得ることと、b)前記試料をHBV感染について分析することと、c)前記試料においてHBV感染が判定された場合、7-(6-(2-ヒドロキシプロパン-2-イル)ピリジン-3-イル)-1-((トランス)-4-メトキシシクロヘキシル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オンまたはその薬学的に許容される塩もしくは互変異生体による治療のための、HCCを有する前記患者を選択することと、を含む、前記方法。
(態様4)
HCCを有する患者における7-(6-(2-ヒドロキシプロパン-2-イル)ピリジン-3-イル)-1-((トランス)-4-メトキシシクロヘキシル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オンまたはその薬学的に許容される塩もしくは互変異生体による治療に対する反応を予測するための方法であって、a)前記患者から生体検査試料を得ることと、b)前記試料をHBV感染について分析することと、c)前記試料においてHBV感染が判定された場合、HCCを有する前記患者における7-(6-(2-ヒドロキシプロパン-2-イル)ピリジン-3-イル)-1-((トランス)-4-メトキシシクロヘキシル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オンまたはその薬学的に許容される塩もしくは互変異生体による治療に対する反応の可能性の増大を予測することと、を含む、前記方法。
(態様5)
HCCを有する患者における7-(6-(2-ヒドロキシプロパン-2-イル)ピリジン-3-イル)-1-((トランス)-4-メトキシシクロヘキシル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オンまたはその薬学的に許容される塩もしくは互変異生体の治療効果を予測するための方法であって、a)前記患者から生体検査試料を得ることと、b)前記試料をHBV感染について分析することと、c)前記試料においてHBV感染が判定された場合、HCCを有する前記患者における7-(6-(2-ヒドロキシプロパン-2-イル)ピリジン-3-イル)-1-((トランス)-4-メトキシシクロヘキシル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オンまたはその薬学的に許容される塩もしくは互変異生体の治療効果の可能性の増大を予測することと、を含む、前記方法。
(態様6)
d)有効量の7-(6-(2-ヒドロキシプロパン-2-イル)ピリジン-3-イル)-1-((トランス)-4-メトキシシクロヘキシル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オンまたはその薬学的に許容される塩もしくは互変異生体を、HCCを有する前記患者に投与するステップを更に含む、態様3~5のいずれか1項に記載の方法。
(態様7)
患者におけるB型肝炎ウイルス(HBV)感染を特徴とする肝細胞癌(HCC)を治療または予防するための方法における使用のための化合物であって、前記化合物が、7-(6-(2-ヒドロキシプロパン-2-イル)ピリジン-3-イル)-1-((トランス)-4-メトキシシクロヘキシル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オンまたはその薬学的に許容される塩もしくは互変異生体であり、前記方法が、有効量の前記化合物を、HBV感染を特徴とするHCCを有する前記患者に投与することを含む、前記化合物。
(態様8)
患者におけるHBV感染を特徴とするHCCを治療または予防するための方法における使用のための化合物であって、前記化合物が、7-(6-(2-ヒドロキシプロパン-2-イル)ピリジン-3-イル)-1-((トランス)-4-メトキシシクロヘキシル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オンまたはその薬学的に許容される塩もしくは互変異生体であり、前記方法が、前記患者のHCCをHBV感染についてスクリーニングすることと、有効量の前記化合物を、HBV感染を特徴とするHCCを有する前記患者に投与することと、を含む、前記化合物。
(態様9)
前記方法が、d)有効量の7-(6-(2-ヒドロキシプロパン-2-イル)ピリジン-3-イル)-1-((トランス)-4-メトキシシクロヘキシル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オンまたはその薬学的に許容される塩もしくは互変異生体を、HCCを有する前記患者に投与するステップを更に含む、態様3~5のいずれか1項に記載の方法における使用のための化合物。
(態様10)
HBV感染が、HBVの患者履歴、HBVに対する以前または現在の治療、HBVに起因する硬変、HBVタンパク質または抗原の存在、HBVタンパク質または抗原に対する抗体の存在、HBVウイルス負荷、及びHBV DNAの存在からなる群から選択される変数のうちの少なくとも1つによって判定される、態様1~6のいずれか1項に記載の方法または態様7~9のいずれか1項に記載の使用のための化合物。
(態様11)
HBV感染が、HBVの患者履歴によって判定される、態様10に記載の方法または態様10に記載の使用のための化合物。
(態様12)
HBV感染が、HBVの以前の治療によって判定される、態様10に記載の方法または態様10に記載の使用のための化合物。
(態様13)
HBV感染が、HBVの現在の治療によって判定される、態様10に記載の方法または態様10に記載の使用のための化合物。
(態様14)
HBV感染が、HBVに起因する硬変によって判定される、態様10に記載の方法または態様10に記載の使用のための化合物。
(態様15)
HBV感染が、HBVタンパク質または抗原の存在によって判定される、態様10に記載の方法または態様10に記載の使用のための化合物。
(態様16)
HBV感染が、HBVタンパク質または抗原に対する抗体の存在によって判定される、態様10に記載の方法または態様10に記載の使用のための化合物。
(態様17)
HBV感染が、HBVウイルス負荷によって判定される、態様10に記載の方法または態様10に記載の使用のための化合物。
(態様18)
HBV感染が、HBV DNAの存在によって判定される、態様10に記載の方法または態様10に記載の使用のための化合物。
(態様19)
HBV感染が、HBV表面抗原(HBsAG)の存在、HBVコア抗原(HBcAG)の存在、HBVエンベロープ抗原(HBeAg)の存在、HBVx抗原(HBxAg)の存在、HBVコア関連抗原(HBcrAg)の存在、HBV表面抗原に対する抗体(抗HBsAg)の存在、HBVコア抗原に対する抗体(抗HBcAg)の存在、HBVエンベロープ抗原に対する抗体(抗HBeAg)の存在、HBVx抗原に対する抗体(抗HBxAg)の存在、HBVコア関連抗原に対する抗体(抗HBcrAg)の存在、HBV薬物の使用、HBVウイルス負荷、HBV DNAの存在、HBV mRNAの存在、及びHBVタンパク質の存在からなる群から選択される変数のうちの少なくとも1つによって判定される、態様1~6のいずれか1項に記載の方法または態様7~9のいずれか1項に記載の使用のための化合物。
(態様20)
HBV感染が、HBsAgの存在によって判定される、態様19に記載の方法または態様19に記載の使用のための化合物。
(態様21)
HBV感染が、HBcAgの存在によって判定される、態様19に記載の方法または態様19に記載の使用のための化合物。
(態様22)
HBV感染が、HBeAgの存在によって判定される、態様19に記載の方法または態様19に記載の使用のための化合物。
(態様23)
HBV感染が、HBxAgの存在によって判定される、態様19に記載の方法または態様19に記載の使用のための化合物。
(態様24)
HBV感染が、HBcrAgの存在によって判定される、態様19に記載の方法または態様19に記載の使用のための化合物。
(態様25)
HBV感染が、抗HBsAgの存在によって判定される、態様19に記載の方法または態様19に記載の使用のための化合物。
(態様26)
HBV感染が、抗HBcAgの存在によって判定される、態様19に記載の方法または態様19に記載の使用のための化合物。
(態様27)
HBV感染が、抗HBeAgの存在によって判定される、態様19に記載の方法または態様19に記載の使用のための化合物。
(態様28)
HBV感染が、抗HBxAgの存在によって判定される、態様19に記載の方法または態様19に記載の使用のための化合物。
(態様29)
HBV感染が、抗HBcrAgの存在によって判定される、態様19に記載の方法または態様19に記載の使用のための化合物。
(態様30)
HBV感染が、HBV薬物の使用によって判定される、態様19に記載の方法または態様19に記載の使用のための化合物。
(態様31)
HBV感染が、HBVウイルス負荷によって判定される、態様19に記載の方法または態様19に記載の使用のための化合物。
(態様32)
HBV感染が、HBV DNAの存在によって判定される、態様19に記載の方法または態様19に記載の使用のための化合物。
(態様33)
HBV感染が、HBV mRNAの存在によって判定される、態様19に記載の方法または態様19に記載の使用のための化合物。
(態様34)
HBV感染が、HBVタンパク質の存在によって判定される、態様19に記載の方法または態様19に記載の使用のための化合物。
(態様35)
7-(6-(2-ヒドロキシプロパン-2-イル)ピリジン-3-イル)-1-((トランス)-4-メトキシシクロヘキシル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オンまたはその薬学的に許容される塩もしくは互変異生体が、第2の治療剤と組み合わせて、HBV感染を特徴とする前記HCC患者に投与される、態様1~6もしくは10~34のいずれか1項に記載の方法または態様7~34のいずれか1項に記載の使用のための化合物。
(態様36)
前記第2の治療剤が、ソラフェニブである、態様35に記載の方法または態様35に記載の使用のための化合物。
(態様37)
前記第2の治療剤が、3-(5-アミノ-2-メチル-4-オキソ-4H-キナゾリン-3-イル)-ピペリジン-2,6-ジオン(化合物2)である、態様35に記載の方法または態様35に記載の使用のための化合物。
(態様38)
前記第2の治療剤が、免疫チェックポイント阻害剤である、態様35に記載の方法または態様35に記載の使用のための化合物。
(態様39)
7-(6-(2-ヒドロキシプロパン-2-イル)ピリジン-3-イル)-1-((トランス)-4-メトキシシクロヘキシル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オンまたはその薬学的に許容される塩もしくは互変異生体が、第2及び第3の治療剤と組み合わせて、HBV感染を特徴とする前記HCC患者に投与される、態様1~6もしくは10~34のいずれか1項に記載の方法または態様7~34のいずれか1項に記載の使用のための化合物。
(態様40)
前記第2及び前記第3の治療剤が、ソラフェニブ、化合物2、及び免疫チェックポイント阻害剤からなる群から選択される、態様39に記載の方法または態様39に記載の使用のための化合物。
(態様41)
前記免疫チェックポイント阻害剤が、ニボルマブである、態様40に記載の方法または態様40に記載の使用のための化合物。
(態様42)
前記HCCが、切除不能なHCCである、態様1~6もしくは10~41のいずれか1項に記載の方法または態様7~41のいずれか1項に記載の使用のための化合物。
(態様43)
前記HCCが、以前に治療されていないHCCである、態様1~6もしくは10~42のいずれか1項に記載の方法または態様7~42のいずれか1項に記載の使用のための化合物。
(態様44)
前記HCCが、以前に治療されたHCCであり、前記以前の治療が、ソラフェニブを含む、態様1~6もしくは10~42のいずれか1項に記載の方法または態様7~42のいずれか1項に記載の使用のための化合物。
(態様45)
前記HCCが、以前に治療されたHCCであり、前記以前の治療が、化学療法を含む、態様1~6もしくは10~42のいずれか1項に記載の方法または態様7~42のいずれか1項に記載の使用のための化合物。
図1
図2-1】
図2-2】
図3
図4
図5A
図5B
図6A
図6B
図7
図8
図9
図10