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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-18
(45)【発行日】2023-05-26
(54)【発明の名称】コンバイン
(51)【国際特許分類】
   A01D 67/00 20060101AFI20230519BHJP
   B60R 1/064 20060101ALI20230519BHJP
【FI】
A01D67/00 G
B60R1/064
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020092369
(22)【出願日】2020-05-27
(65)【公開番号】P2021185784
(43)【公開日】2021-12-13
【審査請求日】2022-06-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】竹中 満
(72)【発明者】
【氏名】加藤 勝秀
(72)【発明者】
【氏名】林 茂幸
(72)【発明者】
【氏名】永田 哲治
(72)【発明者】
【氏名】古野 文雄
【審査官】竹中 靖典
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-139716(JP,A)
【文献】特開平10-129348(JP,A)
【文献】特開2018-102155(JP,A)
【文献】特開2012-085598(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01D 67/00 - 69/12
B60R 1/064
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
機体前部に位置して植立穀稈を刈り取る刈取部と、
前記刈取部の後方かつ機体左右方向一方側に偏倚する位置に設けられた運転部と、
機体後部に位置して前記刈取部にて刈り取られた穀稈を脱穀処理する脱穀装置と、
前記運転部に対して機体左右方向他方側に位置して前記刈取部にて刈り取られた穀稈を前記脱穀装置に向けて搬送する穀稈搬送部と、
前記刈取部と、前記穀稈搬送部と、を有する刈取搬送部と、
機体における左右方向他方側の横外側部分に位置する状態で、前記運転部から機体の左右方向側の後方を目視するためのバックミラーと、が備えられ、
前記バックミラーは、機体外側に張り出す作用姿勢と、機体内側に格納される格納姿勢と、にわたり姿勢変更可能に支持され、
前記運転部に対して左右方向他方側の側方に前記運転部と隣り合う状態で設けられ、前記バックミラーを前記作用姿勢と前記格納姿勢とに切り換え操作可能な操作具が備えられ、
前記操作具と前記バックミラーとを連動連結するリンク機構が備えられ
前記バックミラーと、前記リンク機構と、が前記刈取搬送部に支持されているコンバイン。
【請求項2】
前記バックミラーを縦軸芯周りでの回動により前記作用姿勢と前記格納姿勢とに切り換え可能に機体に支持する支持部と、
前記バックミラーを前記作用姿勢と前記格納姿勢とのそれぞれにおいて位置保持可能な位置決め機構とが備えられ、
前記バックミラーに、ミラー本体と、前記ミラー本体を支持する軸部材と、が備えられ、
前記支持部に、前記軸部材を前記縦軸芯周りでの回動可能かつ上下スライド可能に内嵌支持するボス部材が備えられ、
前記位置決め機構が、前記軸部材を下方に移動付勢する付勢機構と、前記軸部材に設けられ、前記ボス部材の上端部に当接して前記付勢機構の付勢力に抗して前記軸部材の下方への移動を規制する係止ピンと、前記ボス部材の上端部に設けられ、前記作用姿勢及び前記格納姿勢のそれぞれにおいて、前記係止ピンが嵌り込み係合可能な複数の係合凹部と、を備えている請求項1に記載のコンバイン。
【請求項3】
前記リンク機構は、前記操作具の操作に伴って押し引き操作されるロッドを備えている請求項1又は2に記載のコンバイン。
【請求項4】
前記穀稈搬送部の上方を覆う閉状態と、前記穀稈搬送部の上方を開放する開状態と、に切り換え可能な防塵カバーが備えられ、
前記リンク機構が、前記防塵カバーの下方側に備えられている請求項1から3のいずれか一項に記載のコンバイン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンバインに関し、詳しくは、機体前部に位置して植立穀稈を刈り取る刈取部と、前記刈取部の後方かつ機体左右方向一方側に偏倚する位置に設けられた運転部と、機体後部に位置して前記刈取部にて刈り取られた穀稈を脱穀処理する脱穀装置と、前記運転部に対して機体左右方向他方側に位置して前記刈取部にて刈り取られた穀稈を前記脱穀装置に向けて搬送する穀稈搬送部と、が備えられているコンバインに関する。
【背景技術】
【0002】
上記コンバインにおいて、従来では、穀稈搬送部の左前側箇所に、位置固定状態でかつ機体左側端部から横外側方に突出する状態でバックミラーが備えられたものがあった(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-149960号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来構成では、バックミラーは常に機体左側端部から横外側方に突出する状態となっているから、例えば、納屋に格納するときに、バックミラーが納屋の入口の端縁に接触してバックミラーが損傷するおそれがある等の不利な面があった。
【0005】
ところで、このような不利を解消するために、バックミラーの姿勢を例えば、アクチュエータを用いて機体内側へ格納させるように姿勢切り換えさせる構成も考えられるが、この構成では、構造が複雑になりコスト高を招く不利がある。また、構造を簡素にするために、バックミラーを格納姿勢に切り換え可能に支持して弾性保持する構成も考えられるが、この構成では、バックミラーを格納するために、運転者が運転部から一旦降りたのちに、機体の反対側に位置するバックミラーのところまで移動して、バックミラーの姿勢を切り換える作業が必要になる等の操作の煩わしさがある。
【0006】
そこで、簡単な構成でありながら、煩わしさなく、バックミラーが破損する等の不利が生じないようにすることが要望されていた。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るコンバインの特徴構成は、機体前部に位置して植立穀稈を刈り取る刈取部と、前記刈取部の後方かつ機体左右方向一方側に偏倚する位置に設けられた運転部と、機体後部に位置して前記刈取部にて刈り取られた穀稈を脱穀処理する脱穀装置と、前記運転部に対して機体左右方向他方側に位置して前記刈取部にて刈り取られた穀稈を前記脱穀装置に向けて搬送する穀稈搬送部と、前記刈取部と、前記穀稈搬送部と、を有する刈取搬送部と、機体における左右方向他方側の横外側部分に位置する状態で、前記運転部から機体の左右方向側の後方を目視するためのバックミラーと、が備えられ、前記バックミラーは、機体外側に張り出す作用姿勢と、機体内側に格納される格納姿勢と、にわたり姿勢変更可能に支持され、前記運転部に対して左右方向他方側の側方に前記運転部と隣り合う状態で設けられ、前記バックミラーを前記作用姿勢と前記格納姿勢とに切り換え操作可能な操作具が備えられ、前記操作具と前記バックミラーとを連動連結するリンク機構が備えられ、前記バックミラーと、前記リンク機構と、が前記刈取搬送部に支持されている点にある。
【0008】
本発明によれば、収穫作業中にはバックミラーを作用姿勢に切り換えておくことで、機体の左右方向側の後方の作業状況を運転者が目視で確認することができる。そして、例えば、納屋等に格納する際等において、バックミラーを格納姿勢に切り換えることにより、バックミラーが他物に接触して破損することを回避できる。
【0009】
バックミラーの姿勢切り換えるための操作具は、運転部に対して左右方向他方側の側方に運転部と隣り合う状態で設けられるから、運転者は、運転部に居ながらにして操作具を操作することができ、リンク機構を介してバックミラーの姿勢を切り換えることができる。その結果、運転部から一旦降りたのちに、機体の反対側に位置するバックミラーのところまで移動して、バックミラーの姿勢を切り換えるなどの煩わしさがなく楽に操作できる。しかも、アクチュエータを用いて姿勢切り換えを行うような構成等に比べて、操作具とリンク機構という簡単な構成で対応できる。
【0010】
従って、簡単な構成でありながら、煩わしさなく、バックミラーが破損する等の不利が生じないようにすることが可能となった。
【0011】
本発明においては、前記バックミラーを縦軸芯周りでの回動により前記作用姿勢と前記格納姿勢とに切り換え可能に機体に支持する支持部と、記バックミラーを前記作用姿勢と前記格納姿勢とのそれぞれにおいて位置保持可能な位置決め機構とが備えられ、前記バックミラーに、ミラー本体と、前記ミラー本体を支持する軸部材と、が備えられ、前記支持部に、前記軸部材を前記縦軸芯周りでの回動可能かつ上下スライド可能に内嵌支持するボス部材が備えられ、前記位置決め機構が、前記軸部材を下方に移動付勢する付勢機構と、前記軸部材に設けられ、前記ボス部材の上端部に当接して前記付勢機構の付勢力に抗して前記軸部材の下方への移動を規制する係止ピンと、前記ボス部材の上端部に設けられ、前記作用姿勢及び前記格納姿勢のそれぞれにおいて、前記係止ピンが嵌り込み係合可能な複数の係合凹部と、を備えていると好適である。
【0012】
本構成によれば、バックミラーが作用姿勢及び格納姿勢のいずれかにあるとき、係止ピンが係合凹部へ嵌り込み係合して軸部材のボス部材に対する回動が規制される。それにより、バックミラーが作用姿勢及び格納姿勢のいずれかに位置決めすることができる。係止ピンの係合凹部に対する係合が解除されている状態で、操作具の操作により軸部材を回動させ、再度、係止ピンが係合凹部に対応する位置まで回動すると、付勢機構による付勢力により自動的に係止ピンが係合凹部に嵌り込み係合する。従って、軸部材を回動させることで、バックミラーを作用姿勢と格納姿勢とに切り換えるとともに、自動的に位置保持させることができる。
【0013】
本発明においては、前記リンク機構は、前記操作具の操作に伴って押し引き操作されるロッドを備えていると好適である。
【0014】
本構成によれば、操作具を操作するのに伴ってロッドが押し引きされてバックミラーの姿勢を切り換える構成であるから、操作具に対する操作力が無駄なく伝えられて、確実な切り換え操作を行うことができる。
【0015】
本発明においては、前記穀稈搬送部の上方を覆う閉状態と、前記穀稈搬送部の上方を開放する開状態と、に切り換え可能な防塵カバーが備えられ、前記リンク機構が、前記防塵カバーの下方側に備えられていると好適である。
【0016】
本構成によれば、防塵カバーを閉状態にしておくと、刈取作業中に穀稈搬送部から排藁屑等が外方に飛散することを防止できる。穀稈の詰まりが生じたときは、防塵カバーを開状態にすることで除去作業を行える。リンク機構は、防塵カバーの下方側に備えられるので、防塵カバーの開閉操作の邪魔になることがない。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】コンバインの左側面図である。
図2】コンバインの平面図である。
図3】コンバインの右側面図である。
図4】バックミラーと操作具との連係機構を示す背面図である。
図5】バックミラーと操作具との連係機構を示す平面図である。
図6】位置決め機構を示す横断平面図である。
図7】位置決め機構を示す縦断側面図である。
図8】ドアの上部の側面図である。
図9図8のIX-IX断面図である。
図10】ガイド機構の縦断側面図である。
図11】ガイド機構の横断平面図である。
図12】キャビン内側から見た状態の窓部の側面図である。
図13】キャビン内側から見た状態の開放状態の窓部の側面図である。
図14】キャビン内部の背面図である。
図15】モニター装置の支持構成を示す背面図である。
図16】モニター装置の支持構成を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の説明では、矢印「F」の方向を「機体前側」(図1及び図2参照)、矢印「B」の方向を「機体後側」(図1及び図2参照)、矢印「L」の方向を「機体左側」(図2参照)、矢印「R」の方向を「機体右側」(図2参照)とする。
【0019】
〔全体構成〕
図1に示すように、コンバインは、左右のクローラ走行装置1を備えた走行機体2の前部に横軸芯P周りで揺動操作可能に刈取搬送部3が連結され、走行機体2の後部に機体横幅方向に並ぶ状態で脱穀装置4と穀粒を貯留する穀粒タンク5とが備えられている。走行機体2の前部右側箇所にキャビン6にて覆われた運転部7が備えられている。
【0020】
刈取搬送部3は、伝動ケースを兼ねた筒状の刈取部フレーム8を介して、横軸芯P周りで揺動操作可能に機体に支持されている。刈取部フレーム8は、前下がり傾斜姿勢で備えられており、この刈取部フレーム8の後端基部が、走行機体2の前端部に立設された支持台9に上下揺動可能に支持されている。刈取部フレーム8の前端部には、刈取搬送部3の支持枠部10が連結されている。刈取搬送部3は、刈取部フレーム8と一体的に油圧シリンダ11で上下に揺動操作されるようになっている。
【0021】
図1,2に示すように、刈取搬送部3は、倒伏した植立穀稈を引き起こす複数の引起し装置12、引起された植立穀稈の株元を切断する刈取部としてのバリカン型の刈刃13、刈刃により株元が切断された縦姿勢の刈取穀稈を徐々に横倒れ姿勢に姿勢変更しながら、機体後方側に位置する脱穀装置4に向けて搬送する穀稈搬送部としての穀稈搬送装置14等を備えている。
【0022】
図1に示すように、穀稈搬送装置14の後方には脱穀装置4が備えられ、脱穀装置4は、穀稈の穂先側を内部の扱室にて脱穀処理する。扱室においては、図示はしないが、扱胴と受網とによって穀稈の穂先を扱き処理する。そして、扱室の下方に備えられた選別部にて脱穀処理物に対する穀粒選別処理を実行して、得られた穀粒を穀粒タンク5にて貯留する。詳述はしないが、穀粒タンク5にて貯留される穀粒を外部に排出する穀粒排出装置16が備えられている。
【0023】
図1,2に示すように、穀稈搬送装置14の上方には、引起し装置12の上方から脱穀装置4の始端部にわたる防塵カバー18が備えられている。防塵カバー18は、穀稈搬送装置14の上方を覆う閉状態と、穀稈搬送装置の上方を開放する開状態と、に切り換え可能に支持されている。この防塵カバー18は、詳述はしないが、内面側の左右両側部に案内レール18aが備えられ、機体側に備えられた複数の案内ローラ20により前後方向にスライド可能に支持されている。案内ローラ20は、穀稈搬送装置14の固定部から延設された正面視略門形の支持杆21等により支持されている。
【0024】
防塵カバー18は、最も後方側に移動させると閉状態となり、前方に移動させると、開状態となる。図示しない係止具が固定側の支持部材に係止することによって閉状態と開状態とのそれぞれにおいて位置保持可能に構成されている。
【0025】
キャビン6は、前部にフロントガラス23が備えられ、右側に窓付きのドア24が備えられ、左側にスライド操作により開閉可能な窓部25が備えられている。
【0026】
ドア24は、後支柱26に対して上下一体のヒンジ27を介して後端部の縦軸芯Y1周りで揺動可能に支持されている。ドア24には、ドアガラス28と、ドアガラス28が取り付けられるドアサッシ29と、が備えられている。ドアガラス28のうち上側の部分は、開閉可能な上下スライド式のスライドガラス30によって構成されている。
【0027】
図示はしていないが、運転部7の下方にはエンジン及びそれに関連する機器が備えられた原動部が備えられている。ドア24の後側には、エンジンに対する燃焼用空気を吸気するための吸気部31が設けられており、ドア24は吸気部31を避けるために下狭まり状に形成されている。スライドガラス30の下縁部のうちドアサッシ29の下狭まり状の湾曲部29aと対向する部分には、湾曲部29aに対応する形状の凹入部30aが形成されている。これにより、スライドガラス30を開けた際に、湾曲部29aが凹入部30aに入り込むことにより、スライドガラス30を大きく引き下げて、スライドガラス30の開口面積を確保することができる。
【0028】
図8に示すように、スライドガラス30には、前後両側の縁部をドアサッシ29の縦向き支持部29cに沿ってスライド可能に支持するためのガイド機構32が備えられている。スライドガラス30の前部側の縁部30bは上下方向に長く形成され、後部側の縁部30cは上下方向に短く形成されている。前部側の縁部30bには、上下方向に間隔をあけて2つのガイド機構32が備えられ、後部側の縁部30cには、上下中央部に1つのガイド機構32が備えられている。
【0029】
図9,10,11に示すように、ガイド機構32は、縦向き支持部29cに対して横軸芯周りで回動しながら転動案内するガイドローラ33と、ガイドローラ33を支持するブラケット34と、ブラケット34をスライドガラス30に固定する2個のボルト締結部35と、を備えている。スライドガラス30には、ボルト締結部35が挿通する挿通孔36が形成されている。ボルト締結部35は、ボルト37と雌ネジ部材38とを有し、挿通孔36を挿通してスライドガラス30を挟み込んで締結して位置決めする構成となっている。図11に示すように、挿通孔36の内径が雌ネジ部材38の外径よりも少し大径に設けられている。その結果、ガイドローラ33の前後方向の位置の微調節を行うことが可能であり、ガタツキの少ない状態でスライド移動を行うことができる。
【0030】
図12,13に示すように、左側の窓部25は、横スライド式の窓であり、外周部に沿って設けられた略矩形の窓枠39の内部に、前ガラス40と後ガラス41の2枚のガラスが前後にスライド可能に支持されている。窓枠39は、前部側の縦向き部39aは、フロントガラス23の傾斜に沿うように上側ほど前側に位置するように傾斜する形状となっている。尚、図12,13は、キャビン内側から見た状態の側面を示している。
【0031】
前ガラス40の前端縁40aは、窓枠39の傾斜に沿うように上側ほど前側に位置するように傾斜する形状となっている。前ガラス40の後端縁40bは、前端縁40aと同様に、上側ほど前側に位置するように傾斜する形状となっている。後ガラス41の前端縁41aは、前ガラス40と同様に、上側ほど前側に位置するように傾斜する形状となっている。後ガラス41の後端縁41bは、略直立姿勢で上下方向に延びる形状となっている。
【0032】
前ガラス40及び後ガラス41には、上下中央部の前後両側に開閉操作用の操作具42が設けられており、窓枠39には、操作具42に設けられた係止具43が係合する保持具44が設けられている。図13に示すように、後ガラス41が開放操作されたときに、後ガラス41の前端縁41aが操作具42の位置よりも前部側にまで入り込むように、操作具42の外方側への突出量を少なくしている。このように構成することで、後ガラス41の開き量が大きくなるように構成されている。説明を加えると、前ガラス40に操作具42を固定するための上下の取り付け用の固定具42aが、外側(図面奥側)への突出量を小さくするように設けられ、後ガラス41が接当して移動が規制されないように構成されている。
【0033】
図14に示すように、フロントガラス23の上部における左右中央よりも右寄りの箇所に、ワイパー47を操作するワイパー駆動ユニット48が備えられている。ワイパー駆動ユニット48は、フロントガラス23の内面に、ゴム等の弾性材からなる防振シート49を介して3本のボルト50で固定されたベース板51と、ワイパーモータ52と、ワイパーモータ52を支持するモータ支持板53と、ベース板51に対してモータ支持板53を連結する3つのブラケット54と、それらを覆うケーシング55と、を備えている。
【0034】
そして、このワイパー駆動ユニット48の後方側において、前後方向視界でワイパー駆動ユニット48と重複する状態で、各種の情報を表示するためのモニター装置56が備えられている。モニター装置56は、液晶表示器により作業状況に関する種々の情報を表示することができる。
【0035】
図16に示すように、モータ支持板53をブラケット54に連結するボルト57を用いて、筒部材58を介してモータ支持板53とは間隔をあけて共締め状態で帯板状の第1ステー59が取り付けられている。第1ステー59から略L字状の第2ステー60が固定延設されている。第2ステー60に、モニター装置56を支持する支持アーム61の基端部が連結されている。支持アーム61が後方上方に延び、支持アーム61の上端部にモニター装置56が支持されている。
【0036】
このように、ワイパー駆動ユニット48を利用してモニター装置56を配置することで、運転座席7Aに着座している運転者が前方を目視する際に、モニター装置56ができるだけ視界を遮ることがないようにしている。
【0037】
〔バックミラー〕
図1に示すように、機体における左右方向他方側としての左側の横外側部分に位置する状態で、運転部7から機体の左側の後方を目視するためのバックミラー62が備えられている。バックミラー62は、機体外側に張り出す作用姿勢と、機体内側に引退する格納姿勢と、にわたり姿勢変更可能に支持されている。
【0038】
図4,5に示すように、バックミラー62は、ミラー本体63と、ミラー本体63を支持する軸部材64とを備えている。軸部材64は、略S字状に折り曲げられた形状となっており、一端部にミラー本体63が一体的に取り付けられている。
【0039】
バックミラー62を縦軸芯Y2周りでの回動により作用姿勢と格納姿勢とに切り換え可能に機体に支持する支持部65が備えられている。支持部65には、軸部材64の他端部を縦軸芯Y2周りでの回動可能かつ上下スライド可能に内嵌支持するボス部材66が備えられている。ボス部材66に一体的に連結された取り付け板66aが、機体に固定されている支持杆21の左側端部に溶接固定されたブラケット67にボルト連結されている。
【0040】
バックミラーを作用姿勢と格納姿勢とのそれぞれにおいて位置保持可能な位置決め機構68が備えられている。図7に示すように、軸部材64の他端側の上下方向に直線状に延びる部分に径方向(水平方向)に貫通する状態で係止ピン69が取り付けられている。ボス部材66の上端部に係止ピン69が下方に嵌り込み係合可能な複数の係合凹部70が形成されている。
【0041】
係合凹部70は、バックミラー62が作用姿勢になるとき、及び、バックミラー62が格納姿勢にあるときのそれぞれにおいて、係止ピン69が周方向に位置する箇所に形成されている。図6,7に示す例では、係合凹部70は、作用姿勢と格納姿勢との間で略90度位相が異なる位置に形成されている。
【0042】
図7に示すように、ボス部材66の内部と軸部材64の外周部との間に付勢機構としてのコイルバネ71が内装されている。コイルバネ71は、ボス部材66の内部の上側の段差部66bと、軸部材64の下端部に支持されたバネ受け部64aとにわたって設けられ、軸部材64を下方に移動付勢するように構成されている。
【0043】
運転部7に対して左右方向他方側の側方に、運転部7と隣り合う状態で操作具72が備えられ、操作具72とバックミラー62とを連動連結するリンク機構73が備えられている。操作具72は、支持部材74に設けられた支持ボス部75に縦軸芯Y3周りで回動可能に支持されている。操作具72の基端部に、操作具72と一体回動可能に揺動アーム76が連結されている。支持部材74は、支持杆21の右側端部にブラケット77を介して一体的に連結されている。支持杆21は穀稈搬送装置14の左右方向略全幅にわたって延びており、操作具72は運転部7に対して左側の側方に隣り合う状態で設けられる。
【0044】
軸部材64における係止ピン69が取り付けられている箇所よりも少し上側に、一体回動可能に揺動アーム78が備えられている。このバックミラー側の揺動アーム78の揺動端部と、操作具側の揺動アーム76の揺動端部とにわたって押し引き可能なロッド79が枢支連結されている。バックミラー側の揺動アーム78と、操作具側の揺動アーム76と、ロッド79とにより、リンク機構73が構成されている。また、係止ピン69と係合凹部70とによる位置決め用の係合機構及びコイルバネ71による付勢構造により位置決め機構68が構成されている。
【0045】
図6に示すように、操作具72を揺動操作することにより、バックミラー62を縦軸芯Y2周りでの回動により作用姿勢と格納姿勢とに切り換えることができる。操作具72は運転部7に近い位置にあるので、運転者は、左側の窓部25を開放させた状態で操作具72を操作することができる。軸部材64は、コイルバネ71の付勢力によって下方に移動付勢されているので、係止ピン69が係合凹部70に入り込み係合する方向に付勢される。従って、バックミラー62は、作用姿勢及び格納姿勢のそれぞれにおいて確実に位置決めされる。
【0046】
〔別実施形態〕
(1)上記実施形態では、バックミラー62が縦軸芯Y2周りでの回動により記作用姿勢と格納姿勢とに切り換え可能な構成としたが、この構成に代えて、左右方向にスライド移動して姿勢切り換えする構成としてもよい。
【0047】
(2)上記実施形態では、位置決め機構68が、係止ピン69と係合凹部70との係合により位置決めする構成としたが、この構成に代えて、ウォームギア機構を用いた位置決め機構や菊座を用いた位置決め機構等でもよく、種々の構成を用いることができる。
【0048】
(3)上記実施形態では、穀稈搬送装置14の上方を覆う防塵カバー18が備えられる構成としたが、このような防塵カバー18が備えられていない構成としてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明は、自脱型コンバインに適用できる。
【符号の説明】
【0050】
3 刈取搬送部
4 脱穀装置
7 運転部
13 刈取部
14 穀稈搬送部
18 防塵カバー
62 バックミラー
63 ミラー本体
64 軸部材
65 支持部
66 ボス部材
68 位置決め機構
69 係止ピン
70 係合凹部
71 コイルバネ(付勢機構)
72 操作具
73 リンク機構
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16