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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-18
(45)【発行日】2023-05-26
(54)【発明の名称】メッキ装置
(51)【国際特許分類】
   C25D 17/24 20060101AFI20230519BHJP
【FI】
C25D17/24
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020106954
(22)【出願日】2020-06-22
(65)【公開番号】P2021172881
(43)【公開日】2021-11-01
【審査請求日】2022-02-01
(31)【優先権主張番号】P 2020073836
(32)【優先日】2020-04-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】502394335
【氏名又は名称】上市 孝志
(74)【代理人】
【識別番号】100081673
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100141483
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 生吾
(72)【発明者】
【氏名】上市 孝志
【審査官】瀧口 博史
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-032539(JP,A)
【文献】特開2016-030242(JP,A)
【文献】特開2018-199849(JP,A)
【文献】特開2019-157145(JP,A)
【文献】実開昭58-031275(JP,U)
【文献】実開平04-063818(JP,U)
【文献】登録実用新案第3049355(JP,U)
【文献】米国特許第01531417(US,A)
【文献】東ドイツ国経済特許第157567(DD,A1)
【文献】スイス国特許発明第00340109(CH,A)
【文献】中国実用新案第2340783(CN,Y)
【文献】中国実用新案第201033807(CN,Y)
【文献】中国実用新案第201801628(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C25D 17/22 - 17/26
F16D 1/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上方が開口形成された筒状のバレルと、
前記バレル内に延設された電極部と、
前記バレルを傾斜させた状態で軸回転させる駆動軸を有する駆動装置と、
前記バレル内に収容されたワークを浸漬させるメッキ液が貯留されたメッキ槽と、
前記バレルを前記駆動装置側に着脱可能に取付ける取付機構とを備え、
前記取付機構は、前記駆動装置の駆動軸と一体回転するように設けられた板状の支持部材と、前記バレルの下部側に取付けられて前記支持部材が収容される取付穴が形成された接続アダプタと、前記接続アダプタを前記支持部材側に係止する係止機構とを有し、
前記支持部材は、下方に向かって径が拡大する円錐台状に形成され、
前記取付穴は、前記支持部材が嵌合されるように下方に向かって径が拡大する円錐台状に形成された
ことを特徴とするメッキ装置。
【請求項2】
上方が開口形成された筒状のバレルと、
前記バレル内に延設された電極部と、
前記バレルを傾斜させた状態で軸回転させる駆動軸を有する駆動装置と、
前記バレル内に収容されたワークを浸漬させるメッキ液が貯留されたメッキ槽と、
前記バレルを前記駆動装置側に着脱可能に取付ける取付機構とを備え、
前記取付機構は、前記バレルの下部側に取付けられた板状の支持部材と、前記駆動装置の駆動軸と一体回転するように設けられて前記支持部材が収容される取付穴が形成された接続アダプタと、前記接続アダプタを前記支持部材側に係止する係止機構とを有し、
前記支持部材は、上方に向かって径が拡大する円錐台状に形成され、
前記取付穴は、前記支持部材が嵌合されるように上方に向かって径が拡大する円錐台状に形成された
ことを特徴とするメッキ装置。
【請求項3】
前記係止機構は、前記支持部材又は前記取付穴の一方側に形成された係止穴と、前記支持部材又は前記取付穴の他方側に設けられた係止片とを有し、
前記係止片は、前記係止穴に向けて突設された係止姿勢と、該係止片が前記係止穴に係止されない非係止姿勢とに切換えられるように構成された
請求項1又は2の何れかに記載のメッキ装置。
【請求項4】
上方が開口形成された筒状のバレルと、
前記バレル内に延設された電極部と、
前記バレルを傾斜させた状態で軸回転させる駆動軸を有する駆動装置と、
前記バレル内に収容されたワークを浸漬させるメッキ液が貯留されたメッキ槽と、
前記バレルを前記駆動装置側に着脱可能に取付ける取付機構とを備え、
前記取付機構は、前記駆動装置の駆動軸と一体回転するように設けられた板状の支持部材と、前記バレルの下部側に取付けられて前記支持部材が収容される取付穴が形成された接続アダプタと、前記接続アダプタを前記支持部材側に係止する係止機構とを有し、
前記係止機構は、前記支持部材の側周面側に形成された係止穴と、前記取付穴の内周面側に設けられて前記係止穴に係止される係止片とを有し、
前記係止片は、前記取付穴の内側に向けて突設された係止姿勢と、該係止片が取付穴側に露出しない非係止姿勢とに切換えられるように構成され、
前記係止穴は、前記支持部材の周面に沿って前記係止片の数よりも多く設けられた
ことを特徴とするメッキ装置。
【請求項5】
上方が開口形成された筒状のバレルと、
前記バレル内に延設された電極部と、
前記バレルを傾斜させた状態で軸回転させる駆動軸を有する駆動装置と、
前記バレル内に収容されたワークを浸漬させるメッキ液が貯留されたメッキ槽と、
前記バレルを前記駆動装置側に着脱可能に取付ける取付機構とを備え、
前記取付機構は、前記バレルの下部側に取付けられた板状の支持部材と、前記駆動装置の駆動軸と一体回転するように設けられて前記支持部材が収容される取付穴が形成された接続アダプタと、前記接続アダプタを前記支持部材側に係止する係止機構とを有し、
前記係止機構は、前記支持部材の側周面側に形成された係止穴と、前記取付穴の内周面側に設けられて前記係止穴に係止される係止片とを有し、
前記係止片は、前記取付穴の内側に向けて突設された係止姿勢と、該係止片が取付穴側に露出しない非係止姿勢とに切換えられるように構成され、
前記係止穴は、前記支持部材の周面に沿って前記係止片の数よりも多く設けられた
ことを特徴とするメッキ装置。
【請求項6】
前記係止片は、前記係止穴の内周面側に沿って少なくとも3つ以上が等間隔で配置された
請求項4又は5の何れかに記載のメッキ装置。
【請求項7】
上方が開口形成された筒状のバレルと、
前記バレル内に延設された電極部と、
前記バレルを傾斜させた状態で軸回転させる駆動軸を有する駆動装置と、
前記バレル内に収容されたワークを浸漬させるメッキ液が貯留されたメッキ槽と、
前記バレルを前記駆動装置側に着脱可能に取付ける取付機構とを備え、
前記取付機構は、前記駆動装置の駆動軸と一体回転するように設けられた板状の支持部材と、前記バレルの下部側に取付けられて前記支持部材が収容される取付穴が形成された接続アダプタと、前記接続アダプタを前記支持部材側に係止する係止機構とを有し、
前記バレル下部側に取付けられる前記接続アダプタが着脱可能に構成され、
前記バレルに取付けられる前記接続アダプタを交換することにより、前記バレルの下部に配置される前記取付穴の形状を変更することができるように構成した
ことを特徴とするメッキ装置。
【請求項8】
上方が開口形成された筒状のバレルと、
前記バレル内に延設された電極部と、
前記バレルを傾斜させた状態で軸回転させる駆動軸を有する駆動装置と、
前記バレル内に収容されたワークを浸漬させるメッキ液が貯留されたメッキ槽と、
前記バレルを前記駆動装置側に着脱可能に取付ける取付機構とを備え、
前記取付機構は、前記バレルの下部側に取付けられた板状の支持部材と、前記駆動装置の駆動軸と一体回転するように設けられて前記支持部材が収容される取付穴が形成された接続アダプタと、前記接続アダプタを前記支持部材側に係止する係止機構とを有し、
前記バレル下部側に取付けられる前記支持部材が着脱可能に構成され、
前記バレルに取付けられる前記支持部材を交換することにより、前記バレルの下部に配置される支持部材の形状を変更することができるように構成した
ことを特徴とするメッキ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、上方が開口形成されたバレルを備えたメッキ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
上方が開口形成された筒状のバレルと、該バレルを傾斜させた状態で軸回転させる駆動軸を有する駆動装置と、前記バレルを前記駆動装置側に着脱可能に取付ける取付機構とを備え、ワークが収容された前記バレルをメッキ液が貯留されたメッキ槽に浸漬することにより、効率的にメッキ処理することができる特許文献1に記載のメッキ装置が従来公知である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第6209668号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記文献では、メッキ処理を行うワークが小型のものであっても、該ワークをバレル内に収容し易く、該バレル内のワークをメッキ液に浸漬された状態で効率的に撹拌することができるため、小型のワークに対してもメッキ不良を起こすことなく均一にメッキ処理できるものであるが、前記バレルの前記駆動装置側への取付作業や、メッキ処理後の前記バレルの前記駆動装置側からの取外作業に手間が掛かり、前記バレルの着脱作業時に該バレル内のワークに余分な負荷を掛けてしまう場合があり得るという課題があった。
【0005】
本発明は、上方が開口形成された筒状のバレルと、該バレルを傾斜させた状態で軸回転させる駆動軸を有する駆動装置とを備えたメッキ装置において、簡易な構成の前記取付機構によって前記バレルの前記駆動軸側への着脱作業をよりスムーズに行うことができるメッキ装置を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、第1に、上方が開口形成された筒状のバレルと、前記バレル内に延設された電極部と、前記バレルを傾斜させた状態で軸回転させる駆動軸を有する駆動装置と、前記バレル内に収容されたワークが浸漬されるメッキ液が貯留されたメッキ槽と、前記バレルを前記駆動装置側に着脱可能に取付ける取付機構とを備え、前記取付機構は、前記駆動装置の駆動軸と一体回転するように設けられた板状の支持部材と、前記バレルの下部側に取付けられて前記支持部材が収容される取付穴が形成された接続アダプタと、前記接続アダプタを前記支持部材側に係止する係止機構とを有することを特徴としている。
【0007】
第2に、前記支持部材は、下方に向かって径が拡大する円錐台状に形成され、前記取付穴は、前記支持部材が嵌合されるように下方に向かって径が拡大する円錐台状に形成されたことを特徴としている。
【0008】
第3に、上方が開口形成された筒状のバレルと、前記バレル内に延設された電極部と、前記バレルを傾斜させた状態で軸回転させる駆動軸を有する駆動装置と、前記バレル内に収容されたワークを浸漬させるメッキ液が貯留されたメッキ槽と、前記バレルを前記駆動装置側に着脱可能に取付ける取付機構とを備え、前記取付機構は、前記バレルの下部側に取付けられた板状の支持部材と、前記駆動装置の駆動軸と一体回転するように設けられて前記支持部材が収容される取付穴が形成された接続アダプタと、前記接続アダプタを前記支持部材側に係止する係止機構とを有することを特徴としている。
【0009】
第4に、前記支持部材は、上方に向かって径が拡大する円錐台状に形成され、前記取付穴は、前記支持部材が嵌合されるように上方に向かって径が拡大する円錐台状に形成されたことを特徴としている。
【0010】
第5に、前記係止機構は、前記支持部材又は前記取付穴の一方側に形成された係止穴と、前記支持部材又は前記取付穴の他方側に設けられた係止片とを有し、前記係止片は、前記係止穴に向けて突設された係止姿勢と、該係止片が前記係止穴に係止されない非係止姿勢とに切換えられるように構成されたことを特徴としている。
【0011】
第6に、前記係止機構は、前記支持部材の側周面側に形成された係止穴と、前記取付穴の内周面側に設けられて前記係止穴に係止される係止片とを有し、前記係止片は、前記取付穴の内側に向けて突設された係止姿勢と、該係止片が取付穴側に露出しない非係止姿勢とに切換えられるように構成されたことを特徴としている。
【0012】
第7に、前記係止片は、前記係止穴の内周面側に沿って少なくとも3つ以上が等間隔で配置されたことを特徴としている。
【0013】
第8に、前記係止穴は、前記支持部材の周面に沿って前記係止片の数よりも多く設けられたことを特徴としている。
【0014】
第9に、前記バレル下部側に取付けられる前記接続アダプタは着脱可能に構成され、前記バレルに取付けられる前記接続アダプタを交換することにより、前記バレルの下部に配置される前記取付穴の形状を変更することができるように構成したことを特徴としている。
【0015】
第10に、前記バレル下部側に取付けられる前記支持部材が着脱可能に構成され、
前記バレルに取付けられる前記支持部材を交換することにより、前記バレルの下部に配置される支持部材の形状を変更することができるように構成したことを特徴としている。
【発明の効果】
【0016】
前記バレルの下端側を、前記駆動装置の駆動軸側にスムーズに着脱する前記取付機構を設けたことにより、メッキ処理終了後に前記バレルを取外し、前記駆動軸に新たなワークが収容されたバレルに取付けるバレル交換作業をよりスムーズに実行できるため、連続的なメッキ作業の効率がより向上する。
【0017】
また、前記支持部材は、下方に向かって径が拡大する円錐台状に形成され、前記取付穴は、前記支持部材が嵌合されるように下方に向かって径が拡大する円錐台状に形成されたものによれば、前記接続アダプタ側に取付穴に前記駆動装置側の支持部材に嵌合させる場合に、前記支持部材を前記取付穴にスムーズに案内することができる。
【0018】
また、前記係止機構は、前記支持部材の側周面側に形成された係止穴と、前記取付穴の内周面側に設けられて前記係止穴に係止される係止片とを有し、前記係止片は、前記取付穴の内側に向けて突設された係止姿勢と、該係止片が取付穴側に露出しない非係止姿勢とに切換えられるように構成されたものによれば、前記バレルの前記駆動装置側への着脱作業をよる簡易に行うことができる。
【0019】
また、前記係止片は、前記係止穴の内周面側に沿って少なくとも3つ以上が等間隔で配置されたものによれば、前記バレルが前記駆動装置側により安定した状態で取付固定することができる。
【0020】
また、前記係止穴は、前記支持部材の周面に沿って前記係止片の数よりも多く設けられたものによれば、前記係止片の係止穴への係止操作がより容易になる。
【0021】
なお、前記バレル下部側に取付けられる前記接続アダプタは着脱可能に構成され、前記バレルに取付けられる前記接続アダプタを交換することにより、前記バレルの下部に配置される前記取付穴の形状を変更することができるように構成したものによれば、前記バレルを複数用意したメッキ装置の中から特定の前記駆動装置にのみ取付可能に構成することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】メッキ装置を示した全体図である。
図2】バレルを示した側面図である。
図3】バレルを示した平面図である。
図4】(A)及び(B)は、接続アダプタを示した平面図及びA-A側断面図である。
図5】(A)は、駆動プレートの取付態様を示した要部側面図であり、(B)は、駆動プレートを示した平面図である。
図6】(A)及び(B)は、係止機構の構成を示した要部側断面図である。
図7】噴射装置の伝動構成を示した要部側面図である。
図8】噴射装置を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図示する例に基づいて、本発明のメッキ装置の実施形態について説明する。図1は、メッキ装置を示した全体図である。図示されるように前記メッキ装置は、上方が開口形成されたバレル1と、前記バレル1上端の開口部からバレルの底側に向かって延設された電極装置(電極部)2と、前記バレル1を傾斜させた状態で軸回転可能に支持する駆動装置3と、該駆動装置3を駆動させる動力を取得する動力取得部4と、前記バレル1の開口部に向けて液体を噴射する噴射装置6と、これらを一体的に支持する支持フレーム7と、メッキ液が貯留されたメッキ槽8とを備えている。
【0024】
前記電極装置2は、前記バレル1内に向けて延設されて該バレルの底側に配置される還元電極側の電極部であるカソード11と、前記メッキ槽8内のメッキ液中に配置される酸化電極側の電極部であるアノード(図示しない)と、各電極部と導電ケーブル等の導電手段を介して接続される電源部12とを有し、前記カソード11とアノードとの間に電圧を印加することにより、カソード11側にある前記バレル1内に収容されたワークにメッキ処理を施すことができる(図1参照)。
【0025】
上記電源部12は、前記支持フレーム7の上部側に設けられた左右方向の電源支持フレーム13の一端側に取付固定されており、該電源支持フレーム13の他端側には、前記噴射装置6を支持するポンプ支持フレーム14が吊下げ支持されている。このとき、該電源支持フレーム13の一端側は、前記電源部12が支持される位置がメッキ槽8(メッキ液)の真上側とならないように、前記支持フレーム7の左右外側まで延設されている(図1参照)。
【0026】
上記導電手段は、前記電源部12に接続された導電ケーブル16と、上部側が前記導電ケーブル16に連結されて前記バレルの底部に向けて延設された上下方向の前記カソード11と、該カソードの上部側を支持するカソード支持部材17とを有している。
【0027】
該カソード11は、前記バレルの底部に配置されるようにくの字状に屈曲形成されるとともに、下端側で前記バレル内のワークに接触する箇所より上方側には、メッキ液に浸漬した箇所がメッキ処理されることを防止する被膜部11Aで覆われている。
【0028】
該カソード支持部材17は、前記電源支持フレーム13に取付けられたアングル状の板状部材であって、その下端側には前記カソード11の上部側を把持した状態で、前記カソード11の前後左右位置を調整可能な調整支持部18が設けられている。
【0029】
該構成により、前記カソード11は、その上部側で前記電源部12から延設された導電ケーブル16と連結されるとともに、該カソード11の下端側を前記バレルの底に投入されたワークに接触する位置に向けてスムーズ且つ容易に位置調整することができる。
【0030】
前記動力取得部4は、一対の支持フレーム7間を貫通するように配置された入力軸(伝動軸・駆動軸)21と、該入力軸21が回転自在となるように該入力軸21の左右両端を軸支する軸支部22と、該入力軸21の一端側(軸支部の左右外側)に設けられて該入力軸21と一体回転する従動スプロケット23とを有し、該従動スプロケット23をメッキ槽8の傍に設けられてエンジンやモータ等によって駆動される駆動チェーン(図示しない)により掛け回すことによって、前記入力軸21に動力を入力できるように構成されている。
【0031】
該軸支部22の下部側には、前記支持フレーム7により支持されるバレル装置全体を前記メッキ槽8の縁側に安定して載置支持するためのクッション等である支持体24,24が設けられている。
【0032】
なお、該動力取得部4は、前記従動スプロケット23を介して動力を取得する構成に代えて、前記入力軸21の端部側に該入力軸21を駆動させるモータ等(図示しない)を設けた構成としても良い。
【0033】
前記駆動装置3は、前記入力軸21と一体回転する大径ギヤ26と、該大径ギヤ26と噛合する第1小径ギヤ27と、該第1小径ギヤ27と噛合する第2小径ギヤ28と、該第2小径ギヤ28と一体回転する小径ベベルギヤ29と、該小径ベベルギヤ29と噛合する大径ベベルギヤ31とを備え、該大径ベベルギヤ31と一体回転するバレル駆動軸32側には、後述する取付機構30を介して前記バレル1の下部側が着脱可能に構成されている。前記バレル1と、前記取付機構30の具体的な構成については後述する。
【0034】
該構成によれば、前記動力取得部4を介して前記入力軸21に入力された動力は、大径ギヤ26→第1小径ギヤ27→第2小径ギヤ28→小径ベベルギヤ29→大径ベベルギヤ31を介して、前記バレル1を軸回転させるバレル駆動軸32まで伝動されるように構成されている。また、前記駆動装置3のうち、前記第1小径ギヤ27から前記バレル駆動軸32までは、前記支持フレーム7の下部側同士を架渡すように設けられた駆動装置支持体33によって支持されている(図1参照)。
【0035】
前記支持フレーム7は、上下方向に延設された上側板状部材7Aと、下側板状部材7Bとを上下に連接するとともに、左右一対設けて対面配置することにより構成されており、上側板状部材7A,7A間に前記電源支持フレーム13が架設され、下側板状部材7B,7B間にメッキ液を浸透させつつ前記駆動装置3を支持する駆動装置支持体33が架設され、前記電源支持フレーム13と駆動装置支持体33との間に前記入力軸21が軸支されるように構成されている(図1参照)。
【0036】
また、該支持フレーム7の上端側は、内側に向かって突出した係止部10が設けられており、該係止部10を前記メッキ槽8の上部に設けられた吊下げ支持部(図示しない)に係止することによって、メッキ装置全体を吊下げ支持することができるように構成されている。これにより、メッキ装置全体の吊下げ位置を調整することにより、前記バレル1がメッキ槽8内のメッキ液内に浸漬する深さをスムーズに調整することができる。
【0037】
前記噴射装置6は、前記駆動装置3によって支持フレーム7,7間に軸回転可能に支持された前記バレル1上部の開口部に向けて液体を噴射できるように構成されており、上端側が前記電源支持フレーム13に固定された前記ポンプ支持フレーム14上に載置固定されている(図1参照)。
【0038】
該構成の噴射装置6によれば、メッキ処理中に前記バレル1に収容されたワークがメッキ液の液面に浮上した場合であっても、液面上に浮上したワークに液体が噴射されることで、該ワークをバレルの底(メッキ液中)に沈めることができるため、一部のワークにメッキ処理がされないメッキ不良の発生を抑制することができる。該噴射装置6の具体的な構成については後述する。
【0039】
次に、図2及び図3に基づき、バレルの構成について説明する。図2及び図3は、バレルを示した側面図及び平面図である。
【0040】
前記バレル1は、円板状の底板36と、該底板36の上面側から立上げられるように設けられた長方形の板状部材である側壁部材37と、該側壁部材37に着脱可能に取付けられるネット部材38と、前記底板36の下面側に取付固定された接続アダプタ39とを備えている。
【0041】
上記側壁部材37は、図示する例では平面視で環状となるように複数枚(図示する例では6角形となるように6枚)設けられており、各側壁部材37は、隣接する側壁部材と底板と連接されることによって、前記バレル全体が、上方が開放された筒状(六角柱状)に構成されている。また、各側壁部材37は、内側が開口された枠状に形成されており、各側壁部材37の開口部分には、前記ネット部材38が着脱可能に構成されている。
【0042】
上記ネット部材38は、前記側壁部材37に着脱可能に取付固定するための固定ボルト41が、前記側壁部材37を構成する枠に沿って複数設けられている。また、該ネット部材38には、前記バレル1内に収容された小型のワークが該バレル1外に流出することを規制するとともに、該バレル1内にメッキ液は満たされるように通過させるネット部38aが設けられている。
【0043】
該構成によれば、前記ネット部材38は、メッキ処理を行うワークの大きさや形状に応じて適切な前記ネット部38aが設けられたものに交換することによって、前記バレル1を、様々な大きさや形状のワークのメッキ処理に対応できるように、仕様を変更することができる。
【0044】
上記接続アダプタ39は、前記バレル1を前記駆動装置3(バレル駆動軸32)側に取付けるための前記取付機構30を構成する部材である。詳しくは後述する。
【0045】
次に、図4乃至6に基づいて、前記取付機構の構成について説明する。図4(A)及び(B)は、接続アダプタを示した平面図及びA-A側断面図であり、図5(A)は、支持部材の取付態様を示した要部側面図であり、図5(B)は、支持部材を示した平面図であり、図6(A)及び(B)は、係止機構の構成を示した要部側断面図である。
【0046】
前記取付機構30は、前記バレル駆動軸32と一体回転するように該バレル駆動軸32の上端側に取付けられた駆動プレート42と、前記バレル1の下面側に取付固定された前記接続アダプタ39と、該接続アダプタ39と駆動プレート42とを係止する係止機構43とを備えている。
【0047】
前記接続アダプタ39は、前記バレル1の底板の下面側に取付固定される板状部材であって、前記底板36側に固定するためのアダプタ固定孔39aと、前記駆動プレート42が収容される取付穴44とを有し、前記係止機構を構成する係止片(係止ピン)46とを備えている。
【0048】
前記駆動プレート42は、前記バレル駆動軸32と一体回転するように設けられた板状部材であって、前記接続アダプタ39側の前記取付穴に収容されるように構成されている。具体的に説明すると、前記駆動プレート42は、前記バレル駆動軸32と一体回転する円板状部材であって、該駆動プレート42の外周面側は下方に向かって径が広くなるテーパ面42aが形成されている。言い換えると、該駆動プレート42は全体が円錐台状に形成されている(図5及び図6等参照)。
【0049】
これに対し、前記接続アダプタ39側の前記取付穴44も、下方に向かって径が広くなる円錐台状に形成されることにより、該取付穴44に前記駆動プレート42が嵌合されるように構成されている(図5及び図6等参照)。
【0050】
該構成によれば、前記バレル1を前記駆動装置3側に取付ける際に、前記バレル1下端側に設けた前記接続アダプタ39に形成された取付穴44の入口側の径が、前記駆動装置3側に設けた前記駆動プレート42の上端側の径よりも広くなるため、該バレル1を前記バレル駆動軸32の取付位置へと案内し易くなるため、前記バレル1の設置作業をよりスムーズに行うことができる。
【0051】
前記係止機構43は、前記接続アダプタ39側から前記取付穴44側に突出可能に設けられた前記係止片46と、前記接続アダプタ39側の外周面側から前記取付穴44側となる内周面側に向けて貫通されて前記係止片が支持(収容)される支持孔47と、該係止片46を前記取付穴44の中心側(取付穴44側に露出する側)に向けて付勢する弾性部材48と、該弾性部材48を支持孔47内で保持するためのキャップ部材49と、前記駆動プレート42の外周面側に形成されて前記係止片46が係止される係止穴51とを備え、前記接続アダプタ39(バレル1)が該駆動プレート42と一体的に回転駆動するように、該接続アダプタ39を駆動プレート42側に係止できるように構成されている。
【0052】
上記支持孔47は、前記接続アダプタ39の外周面側から内周面側に向けて径が3段階で小さくなるように2カ所に段部が形成されている。これにより、前記支持孔47は、前記取付穴44側に露出する内側には前記係止片46が配置され、該支持孔47の真ん中には前記係止片46を前記取付穴44側に付勢する前記弾性部材(弾性スプリング)48が収容され、前記支持孔47の一番外側には前記弾性部材38(及び係止片46)を前記支持孔47内に保持するキャップ部材49が挿入されている(図4(A)及び(B)参照)。
【0053】
このとき、該支持孔47の内側に設けられる前記係止片46は、その後端側のみ支持孔47の真ん中で係止されるように幅広に形成されて、該係止片46が前記支持孔47から外れないように形成されている。
【0054】
これにより、前記係止片46は、前記弾性部材48の付勢力により前記取付穴44側に突出(露出)した突出状態で保持され(切換えられ)(図6(B)等参照)、該係止片46が前記弾性部材48の付勢力に抗して押込まれることにより該係止片46の全体が前記支持孔47内に収容されて、前記係止片47が前記取付穴44側に突出(露出)しない非突出状態に切換えることができるように構成されている(図6(A)参照)。
【0055】
また、前記係止片46(支持孔47)は、前記接続アダプタ39の前記取付穴44を構成する周面に沿って3カ所設けられており、各係止片46は等間隔(図示する例では120度間隔)で配置されている(図4(A)参照)。該係止片46が少なくとも3カ所設けられることにより、前記接続アダプタ39と前記駆動プレート42との係止がより安定する。
【0056】
上記係止穴51は、前記係止片の2倍の数(図示する例では6カ所)が、前記駆動プレート42の周面側に等間隔(図示する例では60度間隔)で配置されている(図5(B)参照)。これにより、上述の係止機構43は、前記駆動プレート42が前記接続アダプタ39の前記取付穴44に嵌合された際に、前記係止片46と前記係止穴44との位置が合わずに前記係止片46が非突出状態のままで係止されない状態であった場合でも、前記バレル1(接続アダプタ39)を少し(30度以下)軸回転させることにより、簡単に前記係止片46を前記係止穴44に係止される突出状態に切換えられることができるように構成されている。
【0057】
ちなみに、前記駆動プレート42は、円板状の部材に代えて、平面視多角形状の板状部材であっても良い。この場合には、前記接続アダプタ39の前記取付穴44の形状もこれに合わせて変更され、該接続アダプタ39と前記取付穴44の形状が前記係止機構の機能を有したものになる。
【0058】
次に、図7及び図8に基づいて、前記噴射装置の構成について説明する。図7は、メッキ装置を示した要部側面図であり、図8は、噴射装置を示した図である。
【0059】
前記噴射装置6は、前記バレル1の開口部に向けてメッキ液を噴射する噴射ノズル56と、前記メッキ槽8内のメッキ液を汲み上げて前記噴射ノズル56側に吐出するポンプ装置57と、該ポンプ装置57を駆動させる動力を伝動する伝動機構(ポンプ伝動機構)58とを備え、前記ポンプ装置57がクランク状に屈曲形成された上下方向の前記ポンプ支持フレーム14の下部側に載置固定されている。
【0060】
前記ポンプ装置57は、蛇腹ポンプ61と、該蛇腹ポンプを作動させる作動カム62と、前記蛇腹ポンプ61で汲み上げられたメッキ液を前記噴射ノズル56側に吐出する吐出部63と、汲み上げられたメッキが流入する流入部64と、該流入部64に接続されて下方側のメッキ槽8内に向けて延設された蛇腹ホース66と、該蛇腹ホース66の下端側に接続された吸入口67とを備えている。
【0061】
上記蛇腹ホース66は、その上端側が前記流入部64側に接続される一方で、その下部側が前記支持プレート7の下部側に設けたホース支持部68に取付支持されている。このとき、該蛇腹ホース66の下端側に設けた吸入口67の下端側は前記支持プレート7下端側より下側には突出しないように構成されている(図1参照)。
【0062】
上記蛇腹ポンプ61は、その真下側に前記作動カム62が配置されており、前記伝動機構58を介して取得された動力により前記作動カム62が駆動することによって、該蛇腹ポンプ61が所定間隔で圧縮作動されるように構成されている。
【0063】
前記伝動機構58は、前記動力取得部4の前記入力軸21と一体回転するように設けられた大径伝動ギヤ71と、前記ポンプ装置57側に軸支された小径伝動ギヤ72と、該小径伝動ギヤ72と一体回転するカム駆動軸73とを有し、該カム駆動軸73によって前記作動カム62が回転駆動するように構成されている(図1及び図7等参照)。
【0064】
該構成よれば、前記駆動機構3を介して前記バレルを軸回転させる動力と、前記伝動機構58を介して前記ポンプ装置57を駆動させる動力とを、前記入力軸21から同時に取得することができる。これにより、複数の駆動軸32,73を有するメッキ装置において、動力を一カ所に集約することができるため、構成が簡素化されて全体のコストを低く抑えることができる。
【0065】
前記噴射ノズル56は、一端側が前記ポンプ装置の吐出口に接続されたノズル用ホース74が接続されており、前記蛇腹ポンプ61により汲み上げられたメッキ槽8内のメッキ液を、前記バレル1上端の開口部に向けて噴射できるように構成されている。
【0066】
また、該噴射ノズル56は、前記ポンプ支持フレーム14の下端側に取付固定されたノズル支持機構76によって角度調整可能に支持されている(図1参照)。これにより、該噴射ノズル56の向きをスムーズ且つ容易に調整することができるため、該噴射ノズル56から噴射されるメッキ液を、前記バレル1の開口部に向けて正確に噴射させることができる。
【0067】
さらに、該噴射ノズル56は、前記バレル1の開口部に向けて円錐状又は扇状にメッキ液を噴射できるものが用いられる。これにより、前記バレル1内でメッキ液上に浮かんでいるワークに向けて広範囲に液体(メッキ液)を噴射することができるため、効率的にメッキ液上のワークをバレルの底側に設けた前記カソードの下端側まで沈めることができる。
【0068】
このとき、該噴射ノズル56は、前記ノズル用ホース74と、前記ノズル支持機構76とから容易に着脱させることが可能に構成されており、該噴射ノズル56を交換することによって、メッキ液の噴射パターンを切換えることができるように構成されている。これにより、メッキ処理を行うワークや、ワークの量に応じて、適切な範囲にメッキ液を噴射する形状を選択できるため、汎用性がより向上する。
【0069】
上述のように構成されたメッキ装置によれば、前記バレル内に投入されてメッキ処理が行われるワークが細かく、メッキ液上に浮上し易い場合であっても、メッキ不良を起こすことを効率的に防止し、ワーク全体をムラなくメッキ処理することができる。
【0070】
また、前記噴射装置によれば、前記バレルの開口部に向けて前記メッキ槽8内のメッキ液を汲みあげて噴射して、該メッキ液をメッキ槽8に戻して循環させる構成となっているため、噴射装置の設置コスト・運用コストを抑えることができるとともに、メッキ液に不純物が入ることも防止することができる。
【0071】
次に、上述の取付機構30の別実施例について、上述の例とは異なる点について説明する。前記取付機構30は、前記バレル駆動軸32と一体回転するように該バレル駆動軸32の上端側に取付けられた前記接続アダプタ39と、前記バレル1の下面側に取付固定された前記駆動プレート(支持部材)42と、該駆動プレート42と接続アダプタ39を係止する係止機構43とを備えている。
【0072】
言い換えると、前記取付機構30は、前記駆動プレート42と、該駆動プレート42が嵌合される取付穴44が形成された前記接続アダプタ39との配置を上下(バレルの底板36と駆動装置の駆動軸32との間)で逆に配置した構成であっても良い。
【0073】
前記駆動プレート42は、前記バレル1の底板36と一体回転するように取付固定された板状部材であって、前記駆動軸32側の接続アダプタ39側の前記取付穴に収容されるように構成されている。
【0074】
具体的に説明すると、前記駆動プレート42の外周面側は上方に向かって径が広くなるテーパ面(図示しない)が形成され、前記接続アダプタ39側の前記取付穴44も、上方に向かって径が広くなる円錐台状に形成されることにより、該取付穴44に前記駆動プレート42が嵌合されるように構成されている。
【0075】
なお、前記接続アダプタ39は、前記駆動軸32の上端側に取付られて該駆動軸32と一体回転する板状部材であって、その下面側に前記駆動軸32が取付られ、その上面側にテーパ状の前記取付穴44が凹設されることによって構成されている(図示しない)。
【0076】
次に、上述の係止機構43の別実施例について、上述の例とは異なる点について説明する。前記係止機構は、前記係止片46が前記駆動プレート42側の側周面側に突出可能に設けられ、前記接続アダプタ39の前記取付穴44の内周壁側に前記係止片46が係止される係止穴51を設けた構成としても良い。この場合、該係止片46は、上述の例と同様に、前記駆動プレート42に形成した支持孔に収容された非係止状態と、前記係止穴51側に突出した係止状態とに切換えられるように構成されている。
【0077】
ちなみに、上述のメッキ装置を構成する前記バレルと、前記駆動装置と、これらを着脱可能に取付ける前記取付機構30とは、前記バレル1を軸回転させることにより、前記バレル内に収容された小型のワークを撹拌することができるものであるが、これらの構成を、前記バレル1内に収容可能なワークを撹拌する撹拌装置に適用しても良い。例えば、前記バレル内に米、豆等の穀物といった食品と、調味料等とを入れて撹拌する装置に適用することもできる。
【符号の説明】
【0078】
1 バレル
2 電極装置(電極部)
3 駆動装置
8 メッキ槽
30 取付機構
39 接続アダプタ
42 駆動プレート(支持部材)
43 係止機構
44 取付穴
46 係止片
48 弾性部材
51 係止穴
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8