(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-18
(45)【発行日】2023-05-26
(54)【発明の名称】試料処理組立体
(51)【国際特許分類】
G01N 1/31 20060101AFI20230519BHJP
G01N 1/28 20060101ALI20230519BHJP
【FI】
G01N1/31
G01N1/28 U
(21)【出願番号】P 2020501116
(86)(22)【出願日】2018-08-17
(86)【国際出願番号】 AU2018050875
(87)【国際公開番号】W WO2019033172
(87)【国際公開日】2019-02-21
【審査請求日】2021-06-17
(32)【優先日】2017-08-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】504466373
【氏名又は名称】ライカ・バイオシステムズ・メルボルン・プロプライエタリー・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】LEICA BIOSYSTEMS MELBOURNE PTY LTD
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100189555
【氏名又は名称】徳山 英浩
(72)【発明者】
【氏名】キャンベル・リチャーズ
(72)【発明者】
【氏名】マシュー・ストルーアン・キング
(72)【発明者】
【氏名】シリル・リム
【審査官】岡村 典子
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-545981(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0282373(US,A1)
【文献】特表2015-537202(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 1/00-1/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上の試料の処置のための試料処理組立体であって、
前記基板の取り付け面であって、前記取り付け面は、前記取り付け面の長さ方向に互いに対向する第一端部と第二端部との間に延在し、前記取り付け面は、前記第一端部に隣接して、その遠位端部に配置された段差部分を含み、前記段差部分は、前記取り付け面の他の部分に対して隆起し、そこから突出するように構成されている、前記基板の前記取り付け面と、
前記取り付け面の全体を覆うカバー部材であって、前記カバー部材が開位置と実質的に閉位置との間で可動であり、前記基板が前記組立体内に置かれて前記カバー部材が前記実質的に閉位置にあるときに、反応室が前記カバー部材と前記基板との間で前記試料を処理するように形成される、前記カバー部材と、を備え、
前記取り付け面の隆起した段差部分は、前記基板と前記取り付け面との間に空隙を提供
し、
前記取り付け面に置かれている前記基板は、前記第一端部と前記第二端部との間の長手方向に延在し、前記第一端部に隣接して位置している前記段差部分を少なくとも部分的に覆い、
前記カバー部材が前記実質的に閉位置にあるとき、前記段差部分の高さが前記基板を撓ませ、前記取り付け面と実質的に接触させることを可能にし、前記第一端部および前記第二端部は、前記取り付け面の端部である、
前記組立体。
【請求項2】
前記取り付け面は、前記カバー部材と前記基板との間に形成される、前記反応室を加熱するヒーターと連通する、請求項
1に記載の組立体。
【請求項3】
前記段差部
分の前記高さは、0.08mm~0.12mmの間にある、請求項
1に記載の組立体。
【請求項4】
前記取り付け面は、前記組立体に前記基板を配置する間、少なくとも第一方向内に前記基板の移動を制限するように構成される前記第二端部に隣接する少なくとも1つのガイドを備える、請求項
1に記載の組立体。
【請求項5】
前記カバー部材は、長手方向に延在し、かつ、前記取り付け面の前記第二
端部に隣接する前記カバー部材の一方の端部に流入口を有する、請求項
1に記載の組立体。
【請求項6】
前記流入口は、使用に際し、前記試料処理組立体と関連する流体源と前記反応室との間で流体移行を可能にする、請求項
5に記載の組立体。
【請求項7】
前記カバー部材は、前記基板が撓み、前記取り付け面と実質的に接触している前記基板の一部の上で長手方向に延在する、請求項
5に記載の組立体。
【請求項8】
前記カバー部材を保持するように構成される閉鎖体をさらに備え、
前記閉鎖体および前記カバー部材が前記開位置と前記実質的に閉位置との間で可動である、請求項1に記載の組立体。
【請求項9】
前記段差部
分は、前記基板および前記取り付け面の間に前記空隙を提供する第一位置と、前記取り付け面に実質的に平行である第二位置との間で移動するように構成される、請求項1に記載の組立体。
【請求項10】
前記段差部
分は、前記第一位置に向かって付勢手段によって付勢される、請求項
9に記載の組立体。
【請求項11】
基板上の試料の処置のための試料処理組立体であって、
前記基板の取り付け面であって、前記取り付け面は、前記取り付け面の長さ方向に互いに対向する第一端部と第二端部との間に延在し、前記取り付け面は、その遠位端部に配置され、前記第一端部に隣接する支持部を含み、前記支持部は、前記取り付け面の他の部分に対して隆起し、そこから突出するように構成されている、前記基板の前記取り付け面と、
カバー部材であって、前記カバー部材が開位置と実質的に閉位置との間で可動であり、前記基板が前記組立体内に置かれて前記カバー部材が前記実質的に閉位置にあるときに、前記カバー
部材が前記取り付け面の全体を覆い、反応室が前記カバー部材と前記基板との間で前記試料を処理するように形成される、前記カバー部材と、を備え、
前記支持部は、前記取り付け面に対して第一方向に前記基板を支持するように構成され
、
前記取り付け面に置かれている前記基板は、前記第一端部と前記第二端部との間の長手方向に延在し、前記第一端部に隣接して位置している前記支持部を少なくとも部分的に覆い、
前記カバー部材が前記実質的に閉位置にあるとき、前記支持部の高さが前記基板を撓ませ、前記取り付け面と実質的に接触させることを可能にし、前記第一端部および前記第二端部は、前記取り付け面の端部である、
前記組立体。
【請求項12】
前記支持部は、前記取り付け面に実質的に平行である第二方向に前記基板を支持するようにさらに構成される、請求項
11に記載の組立体。
【請求項13】
前記基板は、前記第二方向において前記取り付け面と実質的に接触している、請求項
12に記載の組立体。
【請求項14】
基板上の試料の処置のための機器であって、請求項1に記載の少なくとも1つの試料処理組立体を備える、前記機器。
【請求項15】
試料処理組立体に基板を置く方法であって、
空隙が前記基板と取り付け面との間に提供されるように、前記基板を前記試料処理組立体の前記取り付け面に置くステップであって、前記取り付け面は、前記取り付け面の長さ方向に互いに対向する第一端部と第二端部との間に延在し、前記取り付け面は、前記第一端部に隣接して、その遠位端部に配置された段差部分を含み、前記段差部分は、前記取り付け面の他の部分に対して隆起し、そこから突出するように構成されている、ステップと、
開位置から実質的に閉位置に前記試料処理組立体のカバー部材を移動させるステップと、
を備え
、
前記取り付け面に置かれている前記基板は、前記第一端部と前記第二端部との間の長手方向に延在し、前記第一端部に隣接して位置している前記段差部分を少なくとも部分的に覆い、
前記カバー部材が前記実質的に閉位置にあるとき、前記段差部分の高さが前記基板を撓ませ、前記取り付け面と実質的に接触させることを可能にし、前記第一端部および前記第二端部は、前記取り付け面の端部である、
前記方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2017年8月17日に出願された豪州仮特許出願第2017903307号の優先権を主張し、その内容は、この参照により本明細書に援用されるとみなされる。
【0002】
本発明は、一般的に実験用機器に使用する、試料処理組立体に関し、基板上での自動化された試料染色を容易にすることに関する。特に、限定ではないが、試料処理組立体は、段差部を含む基板についての取り付け面を備え、この段差部は、取り付け面と基板との間に空隙を提供する。また、本発明は、本明細書に開示されるような少なくとも1つの試料処理組立体を含む基板上の試料処置のための機器、および基板を試料処理組立体中に置く方法に関する。
【背景技術】
【0003】
免疫組織化学染色および原位置核酸分析は、組織学的診断および組織形態の研究に使用されるツールである。免疫組織化学染色は、組織試料中のエピトープと抗体の特異的結合親和性、およびある特定の種類の疾患細胞組織の中にのみ存在するユニークなエピトープと特異的に結合する抗体の向上する可用性に依存する。免疫組織化学染色を基板(例えば、ガラススライド)上に取り付けられる組織試料(一般的に切片)上で行い、選択的染色によって疾患状態のある特定の形態インジケータを強調する、一連の処置ステップを伴う。
【0004】
一般的な処置ステップは、非特異的結合、抗体処置およびインキュベーション、酵素標識二次抗体処置およびインキュベーション、抗体と結合するエピトープを含む組織試料領域を強調するフルオロフォアまたは発色団を生成するための酵素との基質反応、対比染色などを減らすために組織試料の前処置を備える。各処置ステップ間に、組織試料を濯ぎ、先のステップからの未反応残留試薬を除去しなければならない。ほとんどの処置ステップは、約25℃、約40℃までの周囲温度で一般的に行われるインキュベーション期間を伴い、細胞コンディショニングステップは、いくぶんより高い温度(例えば、90℃~100℃)で一般的に行われる。原位置DNA分析は、細胞または組織試料中のプローブ(DNA結合タンパク質)のユニークなヌクレオチド配列との特異的結合親和性に依存し、さまざまな試薬およびプロセス温度要件を備える一連のプロセスステップを同様に伴う。いくつかの特異的反応は、120℃~130℃までの温度を有する。
【0005】
計測手段および自動試料処理システムは、上述される処置プロセス中のいくつかのステップを自動化するために存在する。既存のシステムは、試料を基板上で処置するための少なくとも1つの試料処理組立体を含む。この組立体は、組立体が開位置にあるときに基板を受容するための取り付け面と、組立体が閉位置に移動するときにカバー部材が取り付け面および基板を覆い、試料を処理するための反応室を形成する可動カバー部材とを備える。
【0006】
これらの既存の自動試料処理システムにおいて、カバー部材が基板および取り付け面を適切に覆い、反応室を形成することができるように、組立体が開位置にあるときに、基板が取り付け面上の正確な位置に置かれていることが必要とされることを理解するであろう。しかしながら、基板を取り付け面上に置いた後に、取り付け面を横切り移動させることができることにより、反応室の形成を妨げることができる。また、染色プロセスが発生した後に、基板は、試料処理組立体から取り出される。場合により、取り付け面がヒーターと連通するときに特に、基板が取り付け面に固着するようになり、基板を試料処理組立体から取り外すことが難しくなる場合がある。
【0007】
文書、行為、材料、装置、物品などへの参照を有する本明細書に含まれる、本発明への背景の考察は、本発明の内容を説明することが意図される。これは、参照されるいかなる材料も特許請求の範囲のいずれかの優先日として、公開、既知、または一般常識の部分であったことの承認または示唆として取られられるべきではない。
【発明の概要】
【0008】
1つの態様からみて、本発明は、基板上の試料の処置のための試料処理組立体を提供し、この組立体は、基板についての取り付け面、およびカバー部材を備え、カバー部材は開位置と実質的に閉位置との間で可動であり、基板が組立体中に置かれてカバー部材が実質的に閉位置にあるときに、反応室はカバー部材と基板との間で試料を処理するように形成され、取り付け面は基板と取り付け面との間に空隙を提供する。
【0009】
いくつかの実施形態において、取り付け面は、基板と取り付け面との間に空隙を提供する段差部を備える。
【0010】
この空隙は、基板と取り付け面との間の接触面積を減少させる。使用に際し、この減少した接触面積により、基板が取り付け面上に置かれた後で、カバー部材が閉位置に移動して反応室を形成する前に、基板が取り付け面の頂部上で滑走する、または移動するのを防ぐことができる。基板が取り付け面の頂部上で滑走する、または移動することは、カバー部材が閉位置に移動する前に常に起こることができる。しかしながら、基板の一部と、取り付け面との間に気泡または液泡が形成されるときに、基板の滑走または移動は、特に起こる可能性がある。
【0011】
いくつかの実施形態において、取り付け面は、第一端部と第二対向端部との間に長手方向に延在し、段差部は、第一端部に隣接して位置している。使用に際し、取り付け面上に置かれている基板も、第一端部と第二対向端部との間の長手方向に延在し、第一端部に隣接して位置している段差部を少なくとも部分的に覆う。
【0012】
いくつかの実施形態において、段差部は、取り付け面に対して高さを有し、基板と取り付け面との間に空隙を提供し、カバー部材が実質的に閉位置にあるときに、段差部の高さが基板を撓ませ、取り付け面と実質的に接触させることを可能にする。例えば、段差部の高さは、0.08mm~0.12mmの間にあることができ、好ましくは、0.1mmである。いくつかの実施形態において、基板は、ガラス製の病理スライドなどの細長い基板であり、固有の可撓性を有し、カバー部材が実質的に閉位置にあるときに撓んで取り付け面と実質的に接触している。例において、スライドを破損することなく、スライドが撓み、取り付け面と実質的に接触していることを可能にするように、段差部の高さを選択する。
【0013】
いくつかの実施形態において、段差部は、基板および取り付け面間に空隙を提供する第一位置と、取り付け面に実質的に平行である第二位置との間で移動するように構成される。さらに、段差部を第一位置に向かって付勢手段によって付勢することができる。例えば、段差部を第一位置に向かってばねによって付勢することができる。段差部は、カバー部材が開位置にあるときに、空隙を提供するように付勢されることができ、カバー部材が実質的に閉位置にあるときに、基板が取り付け面と実質的に接触していることを可能にする。
【0014】
いくつかの実施形態において、段差部は、取り付け面から隆起した突出部である。当業者は、空隙を基板と取り付け面との間に提供する場合に限り、第一端部での取り付け面の全幅と、第一端部での取り付け面上の隆起点との間の寸法に段差部を形成することができることを理解するであろう。
【0015】
いくつかの実施形態において、取り付け面は、カバー部材と基板との間に形成される反応室を加熱するヒーターと連通する。ヒーターは、反応室内の温度を変えるように動作可能であることができる。言及されるように、基板は、特にヒーターを使用するときに、取り付け面に固着するようになる場合がある。しかしながら、空隙は、基板が試料処理組立体からさらに容易に取り外され、固着することを最小限にすることを可能にすることができる。
【0016】
いくつかの実施形態において、取り付け面は、組立体内の基板の配置中に、少なくとも第一方向内で基板の移動を制限するように構成される第二端部に隣接する少なくとも1つのガイドを備える。取り付け面の少なくとも1つのガイドは、少なくとも1つの第一ガイドであることができる。理想的には、少なくとも1つの第一ガイドは、他の形態を取ることができるが、取り付け面上の突出部である。好ましくは、取り付け面上に少なくとも1つの第二ガイドも提供される。第二ガイドは、第一方向と異なる第二方向に基板の移動を制限することができる。一般的に、第一方向および第二方向は、直交して配置される。理想的には、少なくとも1つの第二ガイドは、カバー部材中の対応する切り欠き部と協働する形状にされる突出部である。使用に際し、少なくとも1つの第二ガイド、およびカバー部材中の対応する切り欠き部は、カバー部材の最適なアライメントのために協働することができる。
【0017】
いくつかの実施形態において、カバー部材は、長手方向に延在し、取り付け面の第二端部に隣接するカバー部材の一方の端部に流入口を含む。流入口は、使用に際し、試料処理組立体と関連する流体源と反応室との間で流体移行を可能にすることができる。また、カバー部材は、基板が撓み取り付け面と実質的に接触している基板の一部上に長手方向に延在することができる。
【0018】
いくつかの実施形態において、カバー部材は、第一側面、この第一側面に対向する第二側面、および第一側面上のボイドを含み、カバー部材が基板と接触するときに反応室を形成する。いくつかの実施形態において、カバー部材は、試料処理組立体の取り付け面上に対応する突出部と協働するような形状に作られる少なくとも1つの切り欠き部を含む試料処理組立体の閉鎖体と解放可能に係合するように構成されるため、使用に際し、切り欠き部および突出部は、カバー部材を組立体中の適所に誘導し、反応室を基板と形成する。好ましくは、カバー部材は、使用時に反応室周囲にシールを形成するように構成される第一側面上に圧縮性部材を含む。圧縮性部材の材料は、カバー部材中の流入口周囲にさらに延伸し、カバー部材上の流入口の流体の開口部周囲にシーリングアニュラスを形成する。1つの実施形態において、ボイドは、圧縮性部材によって画定される。別の実施形態において、ボイドは、カバー部材中の第一側面にボイド部またはキャビティによって、少なくとも部分的に画定される。
【0019】
いくつかの実施形態において、カバー部材が反応室を形成する基板は、組織スライド(例えば、試料処置ステップについての)、または組立体の取り付け面(例えば、カバー部材の洗浄フェーズについての)などの、スライドであることができる。反応室を形成するのに対応している材料から、少なくとも部分的に、カバー部材を製造することが好ましい。したがって、カバー部材は、ポリカーボネート、ポリオキシメチレン(アセタール)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、高密度ポリエチレン(HDPE)および超高分子量ポリエチレン(UHMW-PE)を含むポリエチレン類、Teflon PEを含むテフロン(登録商標)類およびフッ化エチレンプロピレン(FEP)を含むポリプロピレン類、ならびに環状オレフィンコポリマー類(COC)を含む群から選択される材料から少なくとも部分的に製造される、またはコーティングされることができる。
【0020】
いくつかの実施形態において、カバー部材は、複数の試料処理ステップに対して十分な流体の量を受容し、保管するように構成されるリザーバーを含む。流入口は、リザーバーから反応室中に流体移入を提供することができる。リザーバーは、流入口と連通することができ、流体を第一流入口中に向けるように構成される1つ以上の傾斜した内壁部を含むことができる。
【0021】
いくつかの実施形態において、組立体は、カバー部材を保持するように構成される閉鎖体をさらに備え、閉鎖体およびカバー部材が開位置と実質的に閉位置との間で可動である。好ましくは、組立体は、閉鎖体が実質的に閉位置に付勢されるような付勢力を加えるための付勢手段を閉鎖することを備える。この実施形態において、付勢手段を閉鎖することにより閉鎖体を実質的に閉位置に向けて付勢するのを妨げず、反応室を形成するように、取り付け面上の段差部の高さを選択することができる。上述される代替の実施形態において、段差部は、付勢されることができ、反応室を形成するときに付勢に対して取り付け面に実質的に平行である第二位置に移動することができる。
【0022】
別の態様からみて、本発明は、基板上の試料の処置のための試料処理組立体を提供し、この組立体は、基板についての取り付け面、およびカバー部材を備え、カバー部材は開位置と実質的に閉位置との間で可動であり、基板が組立体中に置かれてカバー部材が実質的に閉位置にあるときに、反応室はカバー部材と基板との間で試料を処理するように形成され、取り付け面は取り付け面に対して第一方向に基板を支持するための支持部を含む。
【0023】
いくつかの実施形態において、基板が第一方向に支持されるときに、支持部は、基板と取り付け面との間に空隙を提供する。この空隙は、基板と取り付け面との間の接触面積を減少させる。使用に際し、この減少した接触面積は、それが取り付け面上に置かれた後で、カバー部材が閉位置に移動して反応室を形成する前に、基板が取り付け面の頂部上で滑走する、または移動するのを防ぐことができる。
【0024】
いくつかの実施形態において、取り付け面は、第一端部と第二対向端部との間に長手方向に延在し、支持部は、第一端部に隣接して位置している。使用に際し、取り付け面上に置かれている基板も、第一端部と第二対向端部との間の長手方向に延在し、第一端部に隣接して位置している支持部を少なくとも部分的に覆う。支持部は、取り付け面に対してある角度で第一方向に基板を支持することができる。他の実施形態において、支持部は、取り付け面の第一端部と第二対向端部との間のいずれかの箇所に位置していることができる。
【0025】
いくつかの実施形態において、支持部は、取り付け面に対してある高さで基板を第一方向に支持するような形状に作られる。支持部の高さは、取り付け面に対して基板の隆起した方向により、基板と取り付け面との間に空隙を提供することができる。支持部は、突出部を含むことができる。好ましくは、支持部は、取り付け面から隆起した突出部を含み、第一方向において取り付け面に対してある高さで基板を支持する。いくつかの実施形態において、支持部は、段差部を含む。さらに/代替に、支持部は、2、3例を挙げると、突出部、隆起部または背部のうちの1つ以上を含むことができる。当業者は、基板が取り付け面に対して第一方向に、好ましくは取り付け面に対してある高さに支持されるように、支持部がいずれかの特徴または形状を含むことができることを理解するであろう。
【0026】
いくつかの実施形態において、支持部は、取り付け面に実質的に平行である第二方向に基板を支持するようにさらに構成される。基板は、第二方向において取り付け面と実質的に接触していることができる。支持部の高さにより、カバー部材が実質的に開位置にあるときに、基板が撓み、取り付け面と実質的に接触していることを可能にすることができる。例えば、支持部は、0.08mm~0.12mmの間の、好ましくは、0.1mmの高さを有することができる。スライドを破損することなく、スライドが撓み、取り付け面と実質的に接触していることを可能にするように、支持部の高さを選択することができる。
【0027】
いくつかの実施形態において、支持部は、基板の第一方向を提供する第一位置と、基板の第二方向を提供する第二位置との間で移動するように構成される。さらに、支持部を第一位置に向かって付勢手段によって付勢することができる。支持部は、カバー部材が開位置にあるときに、第一方向および好ましくは空隙を提供するように付勢されることができ、カバー部材が実質的に閉位置にあるときに、基板が取り付け面と実質的に接触していることを可能にする。支持部は、第一位置と第二位置との間で移動するために、押圧可能である、または圧縮可能であることができる。例えば、支持部は、第一位置を伸長構成に用い、圧縮または縮退構成において第二位置に移動させることができる。支持部は、第一位置および第二位置からの移動を提供するために、ばねなどの弾性要素を含む、または代替に圧縮性材料を含むことができる。
【0028】
いくつかの実施形態において、取り付け面は、カバー部材と基板との間に形成される、反応室を加熱するヒーターと連通する。また、取り付け面は、組立体内の基板の配置中に、少なくとも第一方向内で基板の移動を制限するように構成される第二端部に隣接する少なくとも1つのガイドを備えることができる。
【0029】
いくつかの実施形態において、カバー部材は、長手方向に延在し、取り付け面の第二端部に隣接するカバー部材の一方の端部に流入口を含む。使用に際し、流入口は、試料処理組立体と関連する流体源と、反応室との間の流体移動を可能にすることができる。また、カバー部材は、基板が撓み取り付け面と実質的に接触している基板の一部上に長手方向に延在することができる。
【0030】
いくつかの実施形態において、組立体は、カバー部材を保持するように構成される閉鎖体をさらに備え、閉鎖体およびカバー部材は、開位置と実質的に閉位置との間で可動である。好ましくは、組立体は、閉鎖体が実質的に閉位置に付勢されるような付勢力を加えるための付勢手段を閉鎖することを備える。この実施形態において、付勢手段を閉鎖することにより閉鎖体を実質的に閉位置に向けて付勢するのを妨げず、反応室を形成するように、取り付け面の支持部の高さを選択することができる。上述される代替の実施形態において、支持部は、付勢されることができ、反応室を形成するときに付勢に対して取り付け面に実質的に平行である第二位置に移動することができる。
【0031】
別の態様からみて、本発明は、基板上の試料の処置のための機器を提供し、この機器が本明細書に開示される通りに、少なくとも1つの試料処理組立体を含む。
【0032】
少なくとも1つの試料処理組立体は、本明細書に開示される通りに実施形態の特徴のうちの1つ以上を含むことができる。好ましくは、機器は、試料処理組立体中の基板上の生物学的試料の処置のために構成される。理想的には、機器は、本明細書に開示される通りの複数の試料処理組立体を含む。機器は、試料処理組立体中の基板上で試料の自動染色を容易にするように構成されることができる。
【0033】
いくつかの実施形態において、機器は、少なくとも1つの試料処理組立体を開閉し、カバー部材を開位置と実質的に閉位置との間で移動させる、少なくとも1つのロボットヘッドを含む。また、少なくとも1つのロボットヘッドは、少なくとも1つの試料処理組立体中へプローブを介して試薬を分注することができる。少なくとも1つのロボットヘッドは、機器の第一ロボットヘッドであることができる。また、機器は、基板を取り付け面上に置き試料処理組立体中で処理し、処理が完了すると基板を取り付け面から取り外すための第二ロボットヘッドを含むことができる。機器の第一および第二ロボットヘッドは、機器の部分を形成するコントローラからインストラクションを受信することができる。
【0034】
別の態様からみて、本発明は、基板を試料処理組立体中に置く方法を提供し、この方法は、基板と取り付け面との間に空隙を提供するように基板を試料処理組立体の取り付け面上に置くステップ、および試料処理組立体のカバー部材を開位置から実質的に閉位置に移動させるステップを備える。
【0035】
いくつかの実施形態において、基板を取り付け面上に置くことは、基板と取り付け面との間に空隙を提供する取り付け面の段差部上に少なくとも部分的に基板を置くステップを備える。
【0036】
いくつかの実施形態において、カバー部材を移動させることは、基板と取り付け面との間に空隙を提供する第一位置から取り付け面に実質的に平行である第二位置に取り付け面の段差部を移動させるステップを備える。いくつかの実施形態において、第一位置から第二位置に取り付け面の段差部を移動させることにより、基板が撓み、取り付け面と実質的に接触する。
【0037】
いくつかの実施形態において、方法の試料処理組立体は、本明細書に開示される通りに実施形態の特徴のうちの1つ以上を含むことができる。いくつかの実施形態において、方法ステップは、本明細書に開示される通りの機器によって実行されることができる。機器は、方法ステップを実行するために機器のコントローラによって制御される、1つ以上のロボットヘッドを含むことができる。
【0038】
ここで、本発明は、同様の特徴が同様の番号によって表されている添付の図面を参照してさらに詳細に記述される。示される実施形態が例に過ぎず、本明細書に添付されている特許請求の範囲に定義される通りに本発明の範囲を限定すると取られるべきではないことを理解するであろう。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【
図1】本発明の実施形態に従い、実質的に開位置にある試料処理組立体の等角図である。
【
図2】
図1の試料処理組立体のマウントの側面図である。
【
図4】
図1の試料処理組立体のマウントの上面図であり、マウントの取り付け面上の基板を示す。
【
図6】
図1の試料処理組立体のマウントの上面図であり、基板上のカバー部材を示す。
【
図7】本発明の実施形態に従い、基板を試料処理組立体中に置く方法におけるステップを図示するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0040】
本発明の実施形態は、縮尺通りではなく、単に本発明の説明を援助することが意図される図面を参照することによって本明細書において考察されている。
【0041】
図1に示される実施形態において、本発明の実施形態に従い試料処理組立体10の概略的な説明が示される。組立体10は、試料を基板上で処理するためのものであり、機器(示されない)の部分として提供されることができ、この機器は、機器の部分を形成するコントローラから受信するインストラクションに従い、組立体10の閉鎖体12を開閉し、試薬をロボットヘッド上のプローブを介して組立体10中に分注するロボットヘッドを含む。理想的には、機器は、ほとんど、または全く手動介入なく、機器が複数の個々の試料を処理することができるように、本明細書に記述され、請求される種類の複数の試料処理組立体10を備える。このような機器は、試薬を分注するために単一のロボットヘッドを用いることができる、または2つ目以降のロボットを含むことができる。
【0042】
典型的に、機器は、コントローラによって制御される処理ステップを完了させるために必要とされる、さまざまな種類の試薬容器を収容する。ロボット分注ヘッドは、流体分配システム(容器とヘッドとの間のチュービング)によって容器に結合され、プローブを使用して、流体を試料処理組立体10中に分注する。機器は、本発明の出願人の名前で国際公開番号WO2013/071358およびWO2013/071357に記載されている通りの特徴のうちの1つ以上を含むことができ、これらの全ての内容は、参照により本明細書に援用されている。
【0043】
図1は、基部またはマウント11、および閉鎖体12を伴う、実質的に開位置にある組立体10を示す。組立体10は、基板13(
図4に示される)およびカバー部材22に対する取り付け面14を含む。好ましくは、基部またはマウント11は、
図1に示されるように取り付け面14を含む。カバー部材22は、閉鎖体12によって解放可能に保持され、取り付け面14に対して開位置と、取り付け面14に対して実質的に閉位置との間で可動である。
図1は、閉鎖体12およびカバー部材22を開位置に示し、
図6は、カバー部材22のみを閉位置に示す。
【0044】
組立体10の使用に際し、
図4に示されるように、基板は、組立体10中に置かれ、カバー部材22は、開位置にある。次に、閉鎖体12およびカバー部材22を閉位置に移動させ、反応室を形成し、カバー部材22と基板13との間で試料を処理する。
【0045】
スライドなどの、基板13を支持するために取り付け面14を提供し、この取り付け面上のスライドに試料を乗せ、組立体10を使用して処理する。基板13が取り付け面14上に置かれ、カバー部材22が開位置にあるときに、空隙15は、
図3および5の拡大図中に最も明確に示されるように、基板13と取り付け面14との間に提供される。記述されるように、閉鎖体12が基板13上で閉位置に移動する前に、空隙15は、スライド13が取り付け面14上で移動するのを防ぐ。
【0046】
空隙15を提供するために、取り付け面14は、基板13と取り付け面14との間に段差部16を含む。段差部16は、取り付け面14の第一端部17に位置しており、第一端部17と第二対向端部19との間で長手方向に延在する。使用に際し、基板13は、
図4に示されるように、取り付け面14上に置かれ、第一端部17と第二対向端部19との間の長手方向に延在し、第一端部17に隣接して位置している段差部16を少なくとも部分的に覆う。
【0047】
言及されるように、カバー部材22が実質的に閉位置にあるときに、段差部16は、基板13が撓み、取り付け面14と実質的に接触していることを可能にするような、取り付け面14に対して選択される高さを有する。段差部16が取り付け面14の第一端部17に隣接して位置しており、一般的にガラス製である基板13の大部分が撓み、取り付け面14と接触していることを、
図2および4に最も明確に示すことができる。したがって、
図1を参照して、使用に際し、反応室をカバー部材22と形成する基板13の部分が取り付け面14と実質的に接触し、空隙15を取り付け面14の第一端部17において覆わないことを理解するであろう。また、言及されるように、段差部16の高さは、0.08mm~0.12mmの間にあり、好ましくは0.1mmである。
【0048】
使用に際し、
図1に示される実施形態の閉鎖体12は、開および閉に枢動する。理想的には、試料処理組立体10は、ロボットヘッドの部分が接触して閉鎖体12を能動的に開くことができ、通常、付勢して閉じることができる、閉鎖体12上にベアリング面24を含む。典型的に、ベアリング面24は、閉鎖体12から突出し、ロボットヘッドの接触部材によって接触され、閉鎖体12を閉位置から開位置に枢動するカムローラーを含む。しかしながら、開口部の方向が枢動すること、または単独で枢動することを伴う必要がない、閉鎖体12を上げる、または取り付け面14を下げることによる取り付け面14からの閉鎖体12の分離と、処理用の試料を運ぶ基板13のそれら2つの部品の間への配置を収容する2つの部品の相対的な摺動とがまた企図されることを理解するであろう。理想的には、基板13は、ロボットヘッドを使用して、開口した試料処理組立体10中に置かれ、ロボットヘッドは、自動化された方式において、コントローラの制御下で、試料を備える基板13を組立体10中に運ぶ。これは、閉鎖体12を閉じ、反応室を形成する準備ができている基板13の移動を制御する(例えば、取り付け面14上で、適所に摺動することによって)ロボットヘッドを含むことができる。ロボットヘッドは、組立体10内での配置に基板13を保持する/把持する、把持具、真空またはいずれかの他の適切な手段などを使用して、基板13を操作することができる。
【0049】
位置決めを支援するために、少なくとも1つの第一ガイド18は、取り付け面14上の突出部またはポストの形態で提供され、少なくとも第一方向に基板13の移動を制限する。したがって、基板13は、例えばロボットヘッドを使用して置かれるときに、さらなる移動を制限する基準点を提供する第一ガイド18に達するまで、取り付け面14にわたり摺動する。1つ以上のさらなる第一ガイドを提供し、必要な場合、基板13の方向を同一方向に制限することができる。
【0050】
図に示される実施形態において、2つの離隔された第二ガイド20も突出部またはポストの形態で取り付け面14上に提供し、基板13の移動を第一方向に垂直である第二方向に制限する。基板13が第一方向および第二方向においていずれかの順序で移動することができ、位置決めが反復性であることができることを理解するであろう。第二ガイド20は、さらなる基準点を提供し、試料処理組立体10内での基板13の配置を最適化する。実施形態において、第二ガイド20は、閉鎖体12中の対応する切り欠き部28と協働する形状に作られる。この配置において、第二ガイド20および対応する切り欠き部28は、閉鎖体12の閉鎖中に基板13上のカバー部材22の最適なアライメントのために協働し、反応室を形成する。
【0051】
したがって、組立体10が実質的に閉位置にあるときに、基板13とカバー部材22との間に形成される反応室は、空気への曝露(過去に試料の完全な乾燥につながった)を最小限にすることによって、組織試料を基板13の表面上で保護する。いくつかの従来技術の機器において、試料乾燥により、処理中に定期的な再水和を必要とした。さらに、
図1は、付勢手段26を示し、この付勢手段は、閉鎖体12を実質的に閉位置に向かって付勢し、反応室を形成させる。
【0052】
図6は、基板13上の閉位置にある組立体10のカバー部材22の実施形態を示す。
図6に示されるカバー部材22は、基板13に対向する第一側面、およびこの第一側面に対向する第二側面を含む。カバー部材22が基板13に組立体10中で接触するときに、カバー部材22の第一側面上のボイド(示されない)は、容量において、20μl~500μl、さらに好ましくは50μl~300μl、およびまたさらに好ましくは100μl~200μlの反応室を形成する。使用に際し、カバー部材22は、シール面を基板13と形成する。カバー部材22は、
図1に示される、流入口30を含み、この流入口は、反応室中で試薬を受容するために、カバー部材22の一方の端部に向かって提供される。理想的には、流入口30に、
図6に示される、リザーバー32から充填し、この流入口は、取り付け面14の第二端部19に隣接して位置しており、例えば、機器のロボットヘッド上の流体分注器によって、この流入口中に大量の試薬を分注することができる。理想的には、リザーバー32は、流入口30に向かって、そして反応室中へ試薬を導くために少なくとも1つの傾斜した壁部を含む。
【0053】
試薬は、リザーバー32から重力充填することによって反応室を充填することができる。流体レベルを静水学的に制御することができる。これは、リザーバー32が試料を基板13上で覆うのに、または洗浄の場合、理想的には反応室を満たすのに、十分な試薬/洗浄液を含む。流体は、カバー部材22の第二流入口(示されない)の後にいずれかの箇所で下流の流路を閉鎖することによって反応室中へ後に放出するためにリザーバー32中に保持されることができる。
【0054】
もう一度、
図1を参照して、試料処理組立体10は、取り付け面14と結合されるヒーター34を含む。ヒーター34は、好ましくは機器のコントローラの制御下で、反応室内の温度を変えるように動作可能である。これは、いくつかの処理ステップに必要であり、加熱および好ましくは冷却のためにヒーターの個々の制御は、完全に異なる試料処理アッセイを各行っていることができる、複数の試料処理組立体10がある、機器上の処理(例えば、染色)の強化、およびスケジューリング能力の改善を起こす。
【0055】
使用に際し、カバー部材22が閉位置にあるときに、反応室を形成する基板13の部分は、撓み、取り付け面14と実質的に接触しているため、基板13の部分は、ヒーター34からの熱を均等に受ける。言及されるように、しかしながら、ヒーターを使用するときに、基板13は、取り付け面14に固着するようになる場合があるので、空隙15により、ヒーター34からの熱の伝達の一貫性に影響することなく、基板13が取り付け面14からより容易に取り外されることを可能にする。
【0056】
本発明の好ましい実施形態において、基板13(示されない)上の試料の処置のための機器も提供される。機器は、本明細書に開示される通りに、少なくとも1つの試料処理組立体10を含む。機器は、
図1~6の試料処理組立体10に関して記述されている。好ましくは、機器は、試料処理組立体10中の基板13上に生物学的試料の処置のために構成される。理想的には、機器は、複数の試料処理組立体10を含む。機器は、試料処理組立体10中の基板13上での試料の自動染色を容易にするように構成されることができる。機器は、本発明の出願人の名前で国際公開番号WO2013/071358およびWO2013/071357に記載されている通りの特徴のうちの1つ以上を含むことができ、これらの全ての内容は、参照により本明細書に援用されている。
【0057】
本発明の別の好ましい実施形態において、
図7のフローチャートに示されるような、試料処理組立体10中に基板13を置く方法が提供される。この方法は、空隙15が基板13と取り付け面との間に提供されるように、基板13を試料処理組立体10の取り付け面14上に置くステップ40を備える。また、この方法は、開位置から実質的に閉位置に試料処理組立体10のカバー部材22を移動させるステップ42を備える。
【0058】
基板13を取り付け面14上に置くことは、
図5に示されるように、基板13と取り付け面14との間に空隙15を提供する取り付け面14の段差部16上に少なくとも部分的に基板13を置くステップを備えることができる。カバー部材22を移動させるステップは、
図4に示されるような基板13と取り付け面14との間に空隙を提供する第一位置から、
図6に示されるような取り付け面14に実質的に平行である第二位置に取り付け面14の段差部16を移動させるステップを備えることができる。第一位置から第二位置に取り付け面14の段差部16を移動させることにより、基板13が撓み、取り付け面14と実質的に接触する。
【0059】
試料処理組立体10は、
図1~6を参照して本明細書に開示され、記載されるように、試料処理組立体10の実施形態の特徴のうちの1つ以上を含むことができる。方法のこれらのステップは、本明細書に開示されるように、基板13上の試料の処置のための機器によって実行されることができる。いくつかの実施形態において、方法のステップは、機器のコントローラの制御下で機器の少なくとも1つのロボットヘッドによって実行されることができる。ロボットヘッドは、
図1~6を参照して本明細書に開示されるように、取り付け面14に、またこれから基板13を移動させるように構成されることができ、カバー部材22を保持する閉鎖体12との接触により、開位置と実質的に閉位置との間でカバー部材22を移動させるように構成されることができる。
【0060】
いずれかの、または全ての用語「含む(comprise)」、「含む(comprises)」、「含んだ(comprised)」または「含んでいる(comprising)」は、本明細書(特許請求の範囲を含む)で使用されるとき、それらは、記載されている特徴、整数、ステップまたは構成要素の存在を指定するが、1つ以上の他の特徴、整数、ステップまたは構成要素の存在を排除しないと解釈されるべきである。
【0061】
本明細書に添付される特許請求の範囲に定義される通りに、本発明の範囲から逸脱することなく、さまざまな修正、追加および/または代替を、前述される部分に行うことができることを理解するであろう。
【0062】
以下の特許請求の範囲が例示としてのみ提供され、いずれかの将来の出願に請求される可能性があるものの範囲を限定することが意図されないことを理解するであろう。本発明(単数または複数)をさらに定義する、または再定義するために、特徴を後日特許請求の範囲に追加する、またはこれらの範囲から省略することができる。