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特許7282104ABHD12阻害剤並びにその製造及び使用方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-18
(45)【発行日】2023-05-26
(54)【発明の名称】ABHD12阻害剤並びにその製造及び使用方法
(51)【国際特許分類】
   C07D 401/14 20060101AFI20230519BHJP
   C07D 487/04 20060101ALI20230519BHJP
   C07D 451/04 20060101ALI20230519BHJP
   A61K 31/4545 20060101ALI20230519BHJP
   A61K 31/4985 20060101ALI20230519BHJP
   A61K 31/506 20060101ALI20230519BHJP
   A61K 31/501 20060101ALI20230519BHJP
   A61K 31/55 20060101ALI20230519BHJP
   A61K 31/444 20060101ALI20230519BHJP
   A61K 31/46 20060101ALI20230519BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20230519BHJP
   A61P 25/28 20060101ALI20230519BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20230519BHJP
   A61P 31/00 20060101ALI20230519BHJP
   C07D 213/74 20060101ALN20230519BHJP
【FI】
C07D401/14 CSP
C07D487/04 144
C07D451/04
A61K31/4545
A61K31/4985
A61K31/506
A61K31/501
A61K31/55
A61K31/444
A61K31/46
A61P43/00 111
A61P25/28
A61P35/00
A61P31/00
C07D213/74
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2020563912
(86)(22)【出願日】2019-05-14
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-09-09
(86)【国際出願番号】 US2019032290
(87)【国際公開番号】W WO2019222267
(87)【国際公開日】2019-11-21
【審査請求日】2022-05-13
(31)【優先権主張番号】62/671,998
(32)【優先日】2018-05-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】501244222
【氏名又は名称】ザ スクリプス リサーチ インスティテュート
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100156476
【弁理士】
【氏名又は名称】潮 太朗
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】オガサワラ,ダイスケ
(72)【発明者】
【氏名】イチュウ,タカアキ
(72)【発明者】
【氏名】ハルス,ジョナサン
(72)【発明者】
【氏名】クラヴァット,ベンジャミン エフ.
【審査官】水島 英一郎
(56)【参考文献】
【文献】特表2004-516267(JP,A)
【文献】特表2010-521456(JP,A)
【文献】Letters in Drug Design & Discovery,2014年,11(7),944-952
【文献】PLOS ONE,2014年,9(5),e98286/1-12
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
CAplus(STN)
REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】
(式中、
各Rは、独立して、ハロゲン、-CN、C1~6アルキル、C1~6アルケニル、C1~6アルキニル、C1~6ハロアルキル、-C(O)R、-OR、並びにハロゲン、C1~6アルキル、C1~6ハロアルキル、C1~6アルコキシ、及びC1~6ハロアルコキシから独立して選択される1つ、2つ、又は3つの置換基で任意選択的に置換されるフェニルから選択され;
各Rは、独立して、C1~6アルキルであり;
各Rは、独立して、H、C1~6アルキル、C1~6ハロアルキル、C3~6シクロアルキル、-C1~6アルキル-C3~6シクロアルキル、C2~9ヘテロシクロアルキル、フェニル、及び-C1~6アルキル-フェニルから選択され、ここで、C3~6シクロアルキル、-C1~6アルキル-C3~6シクロアルキル、C2~9ヘテロシクロアルキル、フェニル、及び-C1~6アルキル-フェニルは、ハロゲン、C1~6アルキル、C1~6アルキニル、C1~6ハロアルキル、C1~6アルコキシ、C1~6ハロアルコキシ、及び-C(O)ORから独立して選択される1つ、2つ、又は3つの置換基で任意選択的に置換され;
各Rは、独立して、C1~6アルキルであり;
nは、0、1、2、又は3である)
の化合物又はその溶媒和物、N-オキシド、立体異性体、若しくは薬学的に許容できる塩。
【請求項2】
式(II):
【化2】
(式中、
各Rは、独立して、ハロゲン、-CN、C1~6アルキル、C1~6アルケニル、C1~6アルキニル、C1~6ハロアルキル、-C(O)R、-OR、並びにハロゲン、C1~6アルキル、C1~6ハロアルキル、C1~6アルコキシ、及びC1~6ハロアルコキシから独立して選択される1つ、2つ、又は3つの置換基で任意選択的に置換されるフェニルから選択され;
各Rは、独立して、C1~6アルキルであり;
各Rは、独立して、H、C1~6アルキル、C1~6ハロアルキル、C3~6シクロアルキル、-C1~6アルキル-C3~6シクロアルキル、C2~9ヘテロシクロアルキル、フェニル、及び-C1~6アルキル-フェニルから選択され、ここで、C3~6シクロアルキル、-C1~6アルキル-C3~6シクロアルキル、C2~9ヘテロシクロアルキル、フェニル、及び-C1~6アルキル-フェニルは、ハロゲン、C1~6アルキル、C1~6アルキニル、C1~6ハロアルキル、C1~6アルコキシ、C1~6ハロアルコキシ、及び-C(O)ORから独立して選択される1つ、2つ、又は3つの置換基で任意選択的に置換され;
各Rは、独立して、C1~6アルキルであり;
は、ハロゲン、-CN、C1~6アルケニル、C1~6アルキニル、C1~6ハロアルキル、-C(O)R、-OR、並びにハロゲン、C1~6アルキル、C1~6ハロアルキル、C1~6アルコキシ、及びC1~6ハロアルコキシから独立して選択される1つ、2つ、又は3つの置換基で任意選択的に置換されるフェニルから選択され;
nは、0、1、2、又は3である)
の化合物又はその溶媒和物、N-オキシド、立体異性体、若しくは薬学的に許容できる塩。
【請求項3】
は、ハロゲン、-CN、C1~6アルキニル、C1~6ハロアルキル、-C(O)R、-OR、並びにハロゲン、C1~6アルキル、C1~6ハロアルキル、C1~6アルコキシ、及びC1~6ハロアルコキシから独立して選択される1つ又は2つの置換基で任意選択的に置換されるフェニルから選択される、請求項2に記載の化合物、又はその溶媒和物、N-オキシド、立体異性体、若しくは薬学的に許容できる塩。
【請求項4】
は、ハロゲン、C1~6ハロアルキル、-OR、並びにハロゲン、C1~6アルキル、C1~6ハロアルキル、C1~6アルコキシ、及びC1~6ハロアルコキシから独立して選択される1つ又は2つの置換基で置換されるフェニルから選択される、請求項2又は請求項3に記載の化合物、又はその溶媒和物、N-オキシド、立体異性体、若しくは薬学的に許容できる塩。
【請求項5】
各Rは、独立して、ハロゲン、-CN、C1~6アルキル、C1~6アルキニル、C1~6ハロアルキル、-C(O)R、-OR、並びにハロゲン、C1~6アルキル、C1~6ハロアルキル、C1~6アルコキシ、及びC1~6ハロアルコキシから独立して選択される1つ又は2つの置換基で任意選択的に置換されるフェニルから選択される、請求項1~4のいずれか一項に記載の化合物、又はその溶媒和物、N-オキシド、立体異性体、若しくは薬学的に許容できる塩。
【請求項6】
各Rは、独立して、ハロゲン、C1~6アルキル、C1~6ハロアルキル、-OR、並びにハロゲン、C1~6アルキル、C1~6ハロアルキル、C1~6アルコキシ、及びC1~6ハロアルコキシから独立して選択される1つ又は2つの置換基で置換されるフェニルから選択される、請求項1~5のいずれか一項に記載の化合物、又はその溶媒和物、N-オキシド、立体異性体、若しくは薬学的に許容できる塩。
【請求項7】
各Rは、独立して、C1~6アルキル、C1~6ハロアルキル、C3~6シクロアルキル、-C1~6アルキル-C3~6シクロアルキル、C2~9ヘテロシクロアルキル、フェニル、及び-C1~6アルキル-フェニルから選択され、ここで、C3~6シクロアルキル、-C1~6アルキル-C3~6シクロアルキル、C2~9ヘテロシクロアルキル、フェニル、及び-C1~6アルキル-フェニルは、ハロゲン、C1~6アルキル、C1~6アルキニル、C1~6ハロアルキル、C1~6アルコキシ、C1~6ハロアルコキシ、及びC(O)ORから独立して選択される1つ又は2つの置換基で任意選択的に置換される、請求項1~6のいずれか一項に記載の化合物、又はその溶媒和物、N-オキシド、立体異性体、若しくは薬学的に許容できる塩。
【請求項8】
各Rは、独立して、C1~6アルキル、C1~6ハロアルキル、フェニル、及び-C1~6アルキル-フェニルから選択され、ここで、フェニル及び-C1~6アルキル-フェニルは、ハロゲン、C1~6アルキル、C1~6アルキニル、C1~6ハロアルキル、C1~6アルコキシ、及びC1~6ハロアルコキシから独立して選択される1つ又は2つの置換基で任意選択的に置換される、請求項1~7のいずれか一項に記載の化合物、又はその溶媒和物、N-オキシド、立体異性体、若しくは薬学的に許容できる塩。
【請求項9】
は、C1~6ハロアルキル、フェニル、又は-C1~6アルキル-フェニルであり、ここで、フェニル又は-C1~6アルキル-フェニルは、ハロゲン、C1~6ハロアルキル、及びC1~6ハロアルコキシから独立して選択される1つ又は2つの置換基で任意選択的に置換される、請求項1~8のいずれか一項に記載の化合物、又はその溶媒和物、N-オキシド、立体異性体、若しくは薬学的に許容できる塩。
【請求項10】
nは、1又は2である、請求項1~のいずれか一項に記載の化合物、又はその溶媒和物、N-オキシド、立体異性体、若しくは薬学的に許容できる塩。
【請求項11】
nは1である、請求項1~10のいずれか一項に記載の化合物、又はその溶媒和物、N-オキシド、立体異性体、若しくは薬学的に許容できる塩。
【請求項12】
nは2である、請求項1~10のいずれか一項に記載の化合物、又はその溶媒和物、N-オキシド、立体異性体、若しくは薬学的に許容できる塩。
【請求項13】
nは0である、請求項1~9のいずれか一項に記載の化合物、又はその溶媒和物、N-オキシド、立体異性体、若しくは薬学的に許容できる塩。





【請求項14】
【化3】




【化4】





【化5】
から選択される化合物;又はその溶媒和物、N-オキシド、立体異性体、若しくは薬学的に許容できる塩。
【請求項15】
請求項1~14のいずれか一項に記載の化合物、又はその溶媒和物、N-オキシド、立体異性体、若しくは薬学的に許容できる塩と、少なくとも1つの薬学的に許容できる賦形剤とを含む医薬組成物。
【請求項16】
疾病又は疾患の治療のための医薬組成物であって、治療有効量の、請求項1~14のいずれか一項に記載の化合物、又はその溶媒和物、N-オキシド、立体異性体、若しくは薬学的に許容できる塩を含み、前記疾病又は疾患は、神経精神疾患、自己免疫疾患、神経炎症性疾患、神経変性疾患、又は癌である、医薬組成物
【請求項17】
癌の治療のための医薬組成物であって、治療有効量の、請求項1~14のいずれか一項に記載の化合物、又はその溶媒和物、N-オキシド、立体異性体、若しくは薬学的に許容できる塩を含み、前記化合物が患者の免疫系を刺激する、医薬組成物
【請求項18】
癌の治療のための医薬組成物であって、治療有効量の、請求項1~14のいずれか一項に記載の化合物、又はその溶媒和物、N-オキシド、立体異性体、若しくは薬学的に許容できる塩を含み、前記化合物が免疫応答を開始させる、医薬組成物
【請求項19】
癌の治療のための医薬組成物であって、治療有効量の、請求項1~14のいずれか一項に記載の化合物、又はその溶媒和物、N-オキシド、立体異性体、若しくは薬学的に許容できる塩を含み、前記化合物が免疫療法薬である、医薬組成物
【請求項20】
感染症の治療のための医薬組成物であって、治療有効量の、請求項1~14のいずれか一項に記載の化合物、又はその溶媒和物、N-オキシド、立体異性体、若しくは薬学的に許容できる塩を含み、前記化合物が患者の免疫系を刺激する、医薬組成物
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
相互参照
本出願は、全体が参照により本明細書に援用される、2018年5月15日に出願された米国仮特許出願第62/671,998号の利益を主張するものである。
【0002】
連邦政府による資金提供を受けた研究開発の記載
本発明は、アメリカ国立衛生研究所(National Institutes of Health)(「NIH」)によって契約番号DA033760の下で米国政府の支援を受けてなされた。
【背景技術】
【0003】
α/β-ヒドロラーゼドメイン含有12(ABHD12)は、中枢神経系における内在性カンナビノイド神経伝達物質2-アラキドノイルグリセロール(2-AG)の分解に関与するABHD12遺伝子によってコードされるセリンヒドロラーゼである。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示は、例えば、ABHD12の調節剤である化合物及び組成物、並びに薬剤としてのそれらの使用、それらの調製方法、及び少なくとも1つの有効成分として開示される化合物を含む医薬組成物を提供する。本開示は、薬剤としての、及び/又はヒトなどの温血動物のABHD12活性の阻害のための薬剤の製造における、開示される化合物の使用も提供する。
【0005】
一態様において、式(I):
【化1】

(式中、
各Rは、独立して、ハロゲン、-CN、C1~6アルキル、C1~6アルケニル、C1~6アルキニル、C1~6ハロアルキル、-C(O)R、-OR、並びにハロゲン、C1~6アルキル、C1~6ハロアルキル、C1~6アルコキシ、及びC1~6ハロアルコキシから独立して選択される1つ、2つ、又は3つの置換基で任意選択的に置換されるフェニルから選択され;
各Rは、独立して、C1~6アルキルであり;
各Rは、独立して、H、C1~6アルキル、C1~6ハロアルキル、C3~6シクロアルキル、-C1~6アルキル-C3~6シクロアルキル、C2~9ヘテロシクロアルキル、フェニル、及び-C1~6アルキル-フェニルから選択され、ここで、C3~6シクロアルキル、-C1~6アルキル-C3~6シクロアルキル、C2~9ヘテロシクロアルキル、フェニル、及び-C1~6アルキル-フェニルは、ハロゲン、C1~6アルキル、C1~6アルキニル、C1~6ハロアルキル、C1~6アルコキシ、C1~6ハロアルコキシ、及び-C(O)ORから独立して選択される1つ、2つ、又は3つの置換基で任意選択的に置換され;
各Rは、独立して、C1~6アルキルであり;
nは、0、1、2、又は3である)
の化合物又はその溶媒和物、N-オキシド、立体異性体、若しくは薬学的に許容できる塩である。
【0006】
別の態様において、式(II):
【化2】

(式中、
各Rは、独立して、ハロゲン、-CN、C1~6アルキル、C1~6アルケニル、C1~6アルキニル、C1~6ハロアルキル、-C(O)R、-OR、並びにハロゲン、C1~6アルキル、C1~6ハロアルキル、C1~6アルコキシ、及びC1~6ハロアルコキシから独立して選択される1つ、2つ、又は3つの置換基で任意選択的に置換されるフェニルから選択され;
各Rは、独立して、C1~6アルキルであり;
各Rは、独立して、H、C1~6アルキル、C1~6ハロアルキル、C3~6シクロアルキル、-C1~6アルキル-C3~6シクロアルキル、C2~9ヘテロシクロアルキル、フェニル、及び-C1~6アルキル-フェニルから選択され、ここで、C3~6シクロアルキル、-C1~6アルキル-C3~6シクロアルキル、C2~9ヘテロシクロアルキル、フェニル、及び-C1~6アルキル-フェニルは、ハロゲン、C1~6アルキル、C1~6アルキニル、C1~6ハロアルキル、C1~6アルコキシ、C1~6ハロアルコキシ、及び-C(O)ORから独立して選択される1つ、2つ、又は3つの置換基で任意選択的に置換され;
各Rは、独立して、C1~6アルキルであり;
は、ハロゲン、-CN、C1~6アルケニル、C1~6アルキニル、C1~6ハロアルキル、-C(O)R、-OR、並びにハロゲン、C1~6アルキル、C1~6ハロアルキル、C1~6アルコキシ、及びC1~6ハロアルコキシから独立して選択される1つ、2つ、又は3つの置換基で任意選択的に置換されるフェニルから選択され;
nは、0、1、2、又は3である)
の化合物又はその溶媒和物、N-オキシド、立体異性体、若しくは薬学的に許容できる塩である。
【0007】
別の実施形態において、式(II)の化合物、又はその溶媒和物、N-オキシド、立体異性体、若しくは薬学的に許容できる塩(式中、各Rは、独立して、ハロゲン、-CN、C1~6アルキニル、C1~6ハロアルキル、-C(O)R、-OR、並びにハロゲン、C1~6アルキル、C1~6ハロアルキル、C1~6アルコキシ、及びC1~6ハロアルコキシから独立して選択される1つ又は2つの置換基で任意選択的に置換されるフェニルから選択される)である。別の実施形態において、式(II)の化合物、又はその溶媒和物、N-オキシド、立体異性体、若しくは薬学的に許容できる塩(式中、各Rは、独立して、ハロゲン、C1~6ハロアルキル、-OR、並びにハロゲン、C1~6アルキル、C1~6ハロアルキル、C1~6アルコキシ、及びC1~6ハロアルコキシから独立して選択される1つ又は2つの置換基で置換されるフェニルから選択される)である。別の実施形態において、式(I)若しくは(II)の化合物、又はその溶媒和物、N-オキシド、立体異性体、若しくは薬学的に許容できる塩(式中、各Rは、独立して、ハロゲン、-CN、C1~6アルキル、C1~6アルキニル、C1~6ハロアルキル、-C(O)R、-OR、並びにハロゲン、C1~6アルキル、C1~6ハロアルキル、C1~6アルコキシ、及びC1~6ハロアルコキシから独立して選択される1つ又は2つの置換基で任意選択的に置換されるフェニルから選択される)である。別の実施形態において、式(I)若しくは(II)の化合物、又はその溶媒和物、N-オキシド、立体異性体、若しくは薬学的に許容できる塩(式中、各Rは、独立して、ハロゲン、C1~6アルキル、C1~6ハロアルキル、-OR、並びにハロゲン、C1~6アルキル、C1~6ハロアルキル、C1~6アルコキシ、及びC1~6ハロアルコキシから独立して選択される1つ又は2つの置換基で置換されるフェニルから選択される)である。別の実施形態において、式(I)若しくは(II)の化合物、又はその溶媒和物、N-オキシド、立体異性体、若しくは薬学的に許容できる塩(式中、Rは、C1~6アルキル、C1~6ハロアルキル、C3~6シクロアルキル、-C1~6アルキル-C3~6シクロアルキル、C2~9ヘテロシクロアルキル、フェニル、又は-C1~6アルキル-フェニルであり、ここで、C3~6シクロアルキル、-C1~6アルキル-C3~6シクロアルキル、C2~9ヘテロシクロアルキル、フェニル、又は-C1~6アルキル-フェニルは、ハロゲン、C1~6アルキル、C1~6アルキニル、C1~6ハロアルキル、C1~6アルコキシ、C1~6ハロアルコキシ、及びC(O)ORから独立して選択される1つ又は2つの置換基で任意選択的に置換される)である。別の実施形態において、式(I)若しくは(II)の化合物、又はその溶媒和物、N-オキシド、立体異性体、若しくは薬学的に許容できる塩(式中、Rは、C1~6アルキル、C1~6ハロアルキル、フェニル、又は-C1~6アルキル-フェニルであり、ここで、フェニル又は-C1~6アルキル-フェニルは、ハロゲン、C1~6アルキル、C1~6アルキニル、C1~6ハロアルキル、C1~6アルコキシ、及びC1~6ハロアルコキシから独立して選択される1つ又は2つの置換基で任意選択的に置換される)である。別の実施形態において、式(I)若しくは(II)の化合物、又はその溶媒和物、N-オキシド、立体異性体、若しくは薬学的に許容できる塩(式中、Rは、C1~6ハロアルキル、フェニル、又は-C1~6アルキル-フェニルであり、ここで、フェニル又は-C1~6アルキル-フェニルは、ハロゲン、C1~6ハロアルキル、及びC1~6ハロアルコキシから独立して選択される1つ又は2つの置換基で任意選択的に置換される)である。別の実施形態において、式(I)若しくは(II)の化合物、又はその溶媒和物、N-オキシド、立体異性体、若しくは薬学的に許容できる塩(式中、nは、1、2、又は3である)である。別の実施形態において、式(I)若しくは(II)の化合物、又はその溶媒和物、N-オキシド、立体異性体、若しくは薬学的に許容できる塩(式中、nは、1又は2である)である。別の実施形態において、式(I)若しくは(II)の化合物、又はその溶媒和物、N-オキシド、立体異性体、若しくは薬学的に許容できる塩(式中、nは1である)である。別の実施形態において、式(I)若しくは(II)の化合物、又はその溶媒和物、N-オキシド、立体異性体、若しくは薬学的に許容できる塩(式中、nは2である)である。別の実施形態において、式(I)若しくは(II)の化合物、又はその溶媒和物、N-オキシド、立体異性体、若しくは薬学的に許容できる塩(式中、nは0である)である。
【0008】
別の実施形態において、本明細書に記載される式(I)若しくは(II)の化合物、又はその溶媒和物、水和物、互変異性体、N-オキシド、若しくは薬学的に許容できる塩と、少なくとも1つの薬学的に許容できる賦形剤とを含む医薬組成物である。
【0009】
別の実施形態において、疾病又は疾患の治療を、それを必要としている患者において行う方法であって、治療有効量の、本明細書に記載される式(I)若しくは(II)の化合物、又はその溶媒和物、水和物、互変異性体、N-オキシド、若しくは薬学的に許容できる塩を患者に投与する工程を含み、疾病又は疾患は、神経精神疾患、自己免疫疾患、神経炎症性疾患、神経変性疾患、又は癌である、方法である。別の実施形態において、癌の治療を、それを必要としている患者において行う方法であって、治療有効量の、式(I)若しくは(II)の化合物、又はその溶媒和物、N-オキシド、立体異性体、若しくは薬学的に許容できる塩を患者に投与する工程を含み、化合物の投与が患者の免疫系を刺激する、方法である。別の実施形態において、癌の治療を、それを必要としている患者において行う方法であって、治療有効量の、式(I)若しくは(II)の化合物、又はその溶媒和物、N-オキシド、立体異性体、若しくは薬学的に許容できる塩を患者に投与する工程を含み、化合物の投与が免疫応答を開始させる、方法である。別の実施形態において、癌の治療を、それを必要としている患者において行う方法であって、治療有効量の、式(I)若しくは(II)の化合物、又はその溶媒和物、N-オキシド、立体異性体、若しくは薬学的に許容できる塩を患者に投与する工程を含み、化合物が免疫療法薬である、方法である。別の実施形態において、感染症の治療を、それを必要としている患者において行う方法であって、治療有効量の、式(I)若しくは(II)の化合物、又はその溶媒和物、N-オキシド、立体異性体、若しくは薬学的に許容できる塩を患者に投与する工程を含み、化合物の投与が患者の免疫系を刺激する、方法である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示は、少なくとも部分的にABHD12の調節剤又は阻害剤に関する。例えば、ABHD12を阻害することが可能な化合物が本明細書において提供される。
【0011】
本明細書及び添付の特許請求の範囲において使用される際、単数形(「1つの(a)」、「1つの(an)」及び「その(the)」)は、文脈上特に明記されない限り、複数形の指示対象を含む。したがって、例えば、「薬剤」への言及は、複数のこのような薬剤を含み、「その細胞」への言及は、1つ以上の細胞(又は複数の細胞)及びその均等物への言及を含む。分子量などの物理的特性又は化学式などの化学的特性についての範囲が本明細書において使用される場合、その中の範囲及び特定の実施形態の全ての組合せ及び部分的組合せが含まれることが意図される。数値又は数値範囲に言及する場合の「約」という用語は、言及される数値又は数値範囲が実験のばらつき内(又は統計的な実験誤差内)の近似値であり、したがって、数値又は数値範囲が、記載される数値又は数値範囲の1%~15%変動することを意味する。「含んでいる」という用語(及び「含む(comprise)」若しくは「含む(comprises)」、又は「有する」、又は「包含する」などの関連する用語)は、他の特定の実施形態において、例えば本明細書に記載される任意の組成物、組成、方法又はプロセスなどの実施形態が、記載される特徴「からなる」又は「から本質的になる」場合があることを除外することを意図されていない。
【0012】
定義
本明細書及び添付の特許請求の範囲において使用される際、矛盾する記載がない限り、以下の用語は、以下に示される意味を有する。
【0013】
本明細書において使用される際、C~Cは、C~C、C~C...C~Cを含む。C~Cは、それが指定する部分(任意選択的な置換基を除く)を構成する炭素原子の数を指す。
【0014】
「アミノ」は、-NHラジカルを指す。
【0015】
「シアノ」は、-CNラジカルを指す。
【0016】
「ニトロ」は、-NOラジカルを指す。
【0017】
「オキサ」は、-O-ラジカルを指す。
【0018】
「オキソ」は、=Oラジカルを指す。
【0019】
「チオキソ」は、=Sラジカルを指す。
【0020】
「イミノ」は、=N-Hラジカルを指す。
【0021】
「オキシモ」は、=N-OHラジカルを指す。
【0022】
「アルキル」又は「アルキレン」は、炭素及び水素原子のみからなり、不飽和を含有せず、1~15個の炭素原子を有する直鎖状又は分枝鎖状炭化水素鎖ラジカル(例えば、C~C15アルキル)を指す。特定の実施形態において、アルキルは、1~13個の炭素原子を含む(例えば、C~C13アルキル)。特定の実施形態において、アルキルは、1~8個の炭素原子を含む(例えば、C~Cアルキル)。他の実施形態において、アルキルは、1~6個の炭素原子を含む(例えば、C~Cアルキル)。他の実施形態において、アルキルは、1~5個の炭素原子を含む(例えば、C~Cアルキル)。他の実施形態において、アルキルは、1~4個の炭素原子を含む(例えば、C~Cアルキル)。他の実施形態において、アルキルは、1~3個の炭素原子を含む(例えば、C~Cアルキル)。他の実施形態において、アルキルは、1~2個の炭素原子を含む(例えば、C~Cアルキル)。他の実施形態において、アルキルは、1個の炭素原子を含む(例えば、Cアルキル)。他の実施形態において、アルキルは、5~15個の炭素原子を含む(例えば、C~C15アルキル)。他の実施形態において、アルキルは、5~8個の炭素原子を含む(例えば、C~Cアルキル)。他の実施形態において、アルキルは、2~5個の炭素原子を含む(例えば、C~Cアルキル)。他の実施形態において、アルキルは、3~5個の炭素原子を含む(例えば、C~Cアルキル)。他の実施形態において、アルキル基は、メチル、エチル、1-プロピル(n-プロピル)、1-メチルエチル(イソ-プロピル)、1-ブチル(n-ブチル)、1-メチルプロピル(sec-ブチル)、2-メチルプロピル(イソ-ブチル)、1,1-ジメチルエチル(tert-ブチル)及び1-ペンチル(n-ペンチル)から選択される。アルキルは、単結合によって分子の残りの部分に結合される。本明細書において特に記載されない限り、アルキル基は、以下の置換基:ハロ、シアノ、ニトロ、オキソ、チオキソ、イミノ、オキシモ、トリメチルシラニル、-OR、-SR、-OC(O)-R、-N(R、-C(O)R、-C(O)OR、-C(O)N(R、-N(R)C(O)OR、-OC(O)-NR、-N(R)C(O)R、-N(R)S(O)(ここで、tは、1又は2である)、-S(O)OR(ここで、tは、1又は2である)、-S(O)(ここで、tは、1又は2である)及び-S(O)N(R(ここで、tは、1又は2である)の1つ以上で任意選択的に置換され、ここで、各Rは、独立して、水素、アルキル、ハロアルキル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール又はヘテロアリールアルキルであり、各Rは、独立して、アルキル、ハロアルキル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール又はヘテロアリールアルキルである。
【0023】
「アルコキシ」は、式-O-アルキルの酸素原子を介して結合されたラジカルを指し、ここで、アルキルは、上に定義されるアルキル鎖である。
【0024】
「アルケニル」は、炭素及び水素原子のみからなり、少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を含有し、2~12個の炭素原子を有する直鎖状又は分枝鎖状炭化水素鎖ラジカル基を指す。特定の実施形態において、アルケニルは、2~8個の炭素原子を含む。他の実施形態において、アルケニルは、2~6個の炭素原子を含む。他の実施形態において、アルケニルは、2~4個の炭素原子を含む。アルケニルは、単結合によって分子の残りの部分に結合され、例えばエテニル(すなわちビニル)、プロパ-1-エニル(すなわちアリル)、ブタ-1-エニル、ペンタ-1-エニル、ペンタ-1,4-ジエニルなどである。本明細書において特に記載されない限り、アルケニル基は、以下の置換基:ハロ、シアノ、ニトロ、オキソ、チオキソ、イミノ、オキシモ、トリメチルシラニル、-OR、-SR、-OC(O)-R、-N(R、-C(O)R、-C(O)OR、-C(O)N(R、-N(R)C(O)OR、-OC(O)-NR、-N(R)C(O)R、-N(R)S(O)(ここで、tは、1又は2である)、-S(O)OR(ここで、tは、1又は2である)、-S(O)(ここで、tは、1又は2である)及び-S(O)N(R(ここで、tは、1又は2である)の1つ以上で任意選択的に置換され、ここで、各Rは、独立して、水素、アルキル、ハロアルキル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール又はヘテロアリールアルキルであり、各Rは、独立して、アルキル、ハロアルキル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール又はヘテロアリールアルキルである。
【0025】
「アルキニル」は、炭素及び水素原子のみからなり、少なくとも1つの炭素-炭素三重結合を含有し、2~12個の炭素原子を有する直鎖状又は分枝鎖状炭化水素鎖ラジカル基を指す。特定の実施形態において、アルキニルは、2~8個の炭素原子を含む。他の実施形態において、アルキニルは、2~6個の炭素原子を有する。他の実施形態において、アルキニルは、2~4個の炭素原子を有する。アルキニルは、単結合によって分子の残りの部分に結合され、例えばエチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル、ヘキシニルなどである。本明細書において特に記載されない限り、アルキニル基は、以下の置換基:ハロ、シアノ、ニトロ、オキソ、チオキソ、イミノ、オキシモ、トリメチルシラニル、-OR、-SR、-OC(O)-R、-N(R、-C(O)R、-C(O)OR、-C(O)N(R、-N(R)C(O)OR、-OC(O)-NR、-N(R)C(O)R、-N(R)S(O)(ここで、tは、1又は2である)、-S(O)OR(ここで、tは、1又は2である)、-S(O)(ここで、tは、1又は2である)及び-S(O)N(R(ここで、tは、1又は2である)の1つ以上で任意選択的に置換され、ここで、各Rは、独立して、水素、アルキル、ハロアルキル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール又はヘテロアリールアルキルであり、各Rは、独立して、アルキル、ハロアルキル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール又はヘテロアリールアルキルである。
【0026】
「アリール」は、環炭素原子から水素原子を除去することにより、芳香族単環式又は多環式炭化水素環系から誘導されるラジカルを指す。芳香族単環式又は多環式炭化水素環系は、水素及び6~18個の炭素原子からの炭素のみを含有し、ここで、環系中の環の少なくとも1つが完全に不飽和であり、すなわち、それは、ヒュッケルの理論に従って環状の非局在化(4n+2)π-電子系を含む。アリール基が誘導される環系としては、限定はされないが、ベンゼン、フルオレン、インダン、インデン、テトラリン及びナフタレンなどの基が挙げられる。本明細書において特に記載されない限り、「アリール」という用語又は(例えば、「アラルキル」における)接頭語「ar-」は、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロ、ハロアルキル、シアノ、ニトロ、アリール、アラルキル、アラルケニル、アラルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、-R-OR、-R-OC(O)-R、-R-OC(O)-OR、-R-OC(O)-N(R、-R-N(R、-R-C(O)R、-R-C(O)OR、-R-C(O)N(R、-R-O-R-C(O)N(R、-R-N(R)C(O)OR、-R-N(R)C(O)R、-R-N(R)S(O)(ここで、tは、1又は2である)、-R-S(O)OR(ここで、tは、1又は2である)、-R-S(O)(ここで、tは、1又は2である)及び-R-S(O)N(R(ここで、tは、1又は2である)から選択される1つ以上の置換基で任意選択的に置換されるアリールラジカルを含むことを意味し、ここで、各Rは、独立して、水素、アルキル、ハロアルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール又はヘテロアリールアルキルであり、各Rは、独立して、直接結合又は直鎖状若しくは分枝鎖状アルキレン又はアルケニレン鎖であり、及びRは、直鎖状又は分枝鎖状アルキレン又はアルケニレン鎖である。
【0027】
「アリールオキシ」は、式-O-アリールの酸素原子を介して結合されたラジカルを指し、ここで、アリールは、上に定義されるとおりである。
【0028】
「アラルキル」は、式-R-アリールのラジカルを指し、ここで、Rは、上に定義されるアルキレン鎖、例えばメチレン、エチレンなどである。アラルキルラジカルのアルキレン鎖部分は、アルキレン鎖について上述されるように任意選択的に置換される。アラルキルラジカルのアリール部分は、アリール基について上述されるように任意選択的に置換される。
【0029】
「アラルキルオキシ」は、式-O-アラルキルの酸素原子を介して結合されたラジカルを指し、ここで、アラルキルは、上に定義されるとおりである。
【0030】
「アラルケニル」は、式-R-アリールのラジカルを指し、ここで、Rは、上に定義されるアルケニレン鎖である。アラルケニルラジカルのアリール部分は、アリール基について上述されるように任意選択的に置換される。アラルケニルラジカルのアルケニレン鎖部分は、アルケニレン基について上に定義されるように任意選択的に置換される。
【0031】
「アラルキニル」は、式-R-アリールのラジカルを指し、ここで、Rは、上に定義されるアルキニレン鎖である。アラルキニルラジカルのアリール部分は、アリール基について上述されるように任意選択的に置換される。アラルキニルラジカルのアルキニレン鎖部分は、アルキニレン鎖について上に定義されるように任意選択的に置換される。
【0032】
「シクロアルキル」は、炭素及び水素原子のみからなり、3~15個の炭素原子を有する縮合又は架橋環系を含む、安定した非芳香族単環式又は多環式炭化水素ラジカルを指す。特定の実施形態において、シクロアルキルは、3~10個の炭素原子を含む。他の実施形態において、シクロアルキルは、5~7個の炭素原子を含む。シクロアルキルは、単結合によって分子の残りの部分に結合される。シクロアルキルは、飽和(すなわち単一のC-C結合のみを含む)又は部分的に不飽和(すなわち1つ以上の二重結合を含む)である。単環式シクロアルキルの例としては、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル及びシクロオクチルが挙げられる。特定の実施形態において、シクロアルキルは、3~8個の炭素原子を含む(例えば、C~Cシクロアルキル)。他の実施形態において、シクロアルキルは、3~7個の炭素原子を含む(例えば、C~Cシクロアルキル)。他の実施形態において、シクロアルキルは、3~6個の炭素原子を含む(例えば、C~Cシクロアルキル)。他の実施形態において、シクロアルキルは、3~5個の炭素原子を含む(例えば、C~Cシクロアルキル)。他の実施形態において、シクロアルキルは、3~4個の炭素原子を含む(例えば、C~Cシクロアルキル)。部分的に不飽和のシクロアルキルは、「シクロアルケニル」とも呼ばれる。単環式シクロアルケニルの例としては、例えば、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロヘプテニル及びシクロオクテニルが挙げられる。多環式シクロアルキルラジカルとしては、例えば、アダマンチル、ノルボルニル(すなわちビシクロ[2.2.1]ヘプタニル)、ノルボルネニル、デカリニル(decalinyl)、7,7-ジメチル-ビシクロ[2.2.1]ヘプタニルなどが挙げられる。本明細書において特に記載されない限り、「シクロアルキル」という用語は、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロ、ハロアルキル、オキソ、チオキソ、シアノ、ニトロ、アリール、アラルキル、アラルケニル、アラルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、-R-OR、-R-OC(O)-R、-R-OC(O)-OR、-R-OC(O)-N(R、-R-N(R、-R-C(O)R、-R-C(O)OR、-R-C(O)N(R、-R-O-R-C(O)N(R、-R-N(R)C(O)OR、-R-N(R)C(O)R、-R-N(R)S(O)(ここで、tは、1又は2である)、-R-S(O)OR(ここで、tは、1又は2である)、-R-S(O)(ここで、tは、1又は2である)及び-R-S(O)N(R(ここで、tは、1又は2である)から選択される1つ以上の置換基で任意選択的に置換されるシクロアルキルラジカルを含むことを意味し、ここで、各Rは、独立して、水素、アルキル、ハロアルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール又はヘテロアリールアルキルであり、各Rは、独立して、直接結合又は直鎖状若しくは分枝鎖状アルキレン又はアルケニレン鎖であり、及びRは、直鎖状又は分枝鎖状アルキレン又はアルケニレン鎖である。
【0033】
「ハロ」又は「ハロゲン」は、ブロモ、クロロ、フルオロ又はヨード置換基を指す。
【0034】
「ハロアルキル」は、上に定義される1つ以上のハロラジカルで置換される、上に定義されるアルキルラジカルを指す。
【0035】
「ハロアルコキシ」は、上に定義される1つ以上のハロラジカルで置換される、上に定義されるアルコキシラジカルを指す。
【0036】
「フルオロアルキル」は、上に定義される1つ以上のフルオロラジカルで置換される、上に定義されるアルキルラジカルを指し、例えばトリフルオロメチル、ジフルオロメチル、フルオロメチル、2,2,2-トリフルオロエチル、1-フルオロメチル-2-フルオロエチルなどである。フルオロアルキルラジカルのアルキル部分は、アルキル基について上に定義されるように任意選択的に置換される。
【0037】
「ヘテロアルキル」は、炭素及び水素原子及びO、N、及びSから選択される1個又は2個のヘテロ原子からなり、不飽和を含有せず、1~15個の炭素原子を有する直鎖状又は分枝鎖状炭化水素鎖アルキルラジカル(例えば、C~C15アルキル)を指し、ここで、窒素又は硫黄原子は、任意選択的に酸化され得、窒素原子は、四級化され得る。ヘテロ原子は、ヘテロアルキル基の残りの部分とそれが結合される断片との間を含むヘテロアルキル基の任意の位置に配置され得る。ヘテロアルキルは、単結合によって分子の残りの部分に結合される。本明細書において特に記載されない限り、ヘテロアルキル基は、以下の置換基:ハロ、シアノ、ニトロ、オキソ、チオキソ、イミノ、オキシモ、トリメチルシラニル、-OR、-SR、-OC(O)-R、-N(R、-C(O)R、-C(O)OR、-C(O)N(R、-N(R)C(O)OR、-OC(O)-NR、-N(R)C(O)R、-N(R)S(O)(ここで、tは、1又は2である)、-S(O)OR(ここで、tは、1又は2である)、-S(O)(ここで、tは、1又は2である)及び-S(O)N(R(ここで、tは、1又は2である)のうちの1つ以上で任意選択的に置換され、ここで、各Rは、独立して、水素、アルキル、ハロアルキル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、又はヘテロアリールアルキルであり、各Rは、独立して、アルキル、ハロアルキル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、又はヘテロアリールアルキルである。
【0038】
「ヘテロシクロアルキル」は、2~12個の炭素原子並びに窒素、酸素及び硫黄から選択される1~6個のヘテロ原子を含む、安定した3~18員の非芳香環ラジカルを指す。本明細書において特に記載されない限り、ヘテロシクロアルキルラジカルは、縮合、スピロ又は架橋環系を含む、単環式、二環式、三環式又は四環式環系である。ヘテロシクロアルキルラジカルにおけるヘテロ原子は、任意選択的に酸化される。1つ以上の窒素原子は、存在する場合、任意選択的に四級化される。ヘテロシクロアルキルラジカルは、部分的又は完全に飽和される。ある実施形態において、ヘテロシクロアルキルは、環の任意の原子を介して分子の残りの部分に結合される。このようなヘテロシクロアルキルラジカルの例としては、限定はされないが、ジオキソラニル、チエニル[1,3]ジチアニル、デカヒドロイソキノリル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、イソチアゾリジニル、イソキサゾリジニル、モルホリニル、オクタヒドロインドリル、オクタヒドロイソインドリル、2-オキソピペラジニル、2-オキソピペリジニル、2-オキソピロリジニル、オキサゾリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、4-ピペリドニル、ピロリジニル、ピラゾリジニル、キヌクリジニル、チアゾリジニル、テトラヒドロフリル、トリチアニル、テトラヒドロピラニル、チオモルホリニル、チアモルホリニル、1-オキソ-チオモルホリニル及び1,1-ジオキソ-チオモルホリニルが挙げられる。本明細書において特に記載されない限り、「ヘテロシクロアルキル」という用語は、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロ、ハロアルキル、オキソ、チオキソ、シアノ、ニトロ、アリール、アラルキル、アラルケニル、アラルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、-R-OR、-R-OC(O)-R、-R-OC(O)-OR、-R-OC(O)-N(R、-R-N(R、-R-C(O)R、-R-C(O)OR、-R-C(O)N(R、-R-O-R-C(O)N(R、-R-N(R)C(O)OR、-R-N(R)C(O)R、-R-N(R)S(O)(ここで、tは、1又は2である)、-R-S(O)OR(ここで、tは、1又は2である)、-R-S(O)(ここで、tは、1又は2である)及び-R-S(O)N(R(ここで、tは、1又は2である)から選択される1つ以上の置換基で任意選択的に置換される、上に定義されるヘテロシクロアルキルラジカルを含むことを意味し、ここで、各Rは、独立して、水素、アルキル、ハロアルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール又はヘテロアリールアルキルであり、各Rは、独立して、直接結合又は直鎖状若しくは分枝鎖状アルキレン又はアルケニレン鎖であり、及びRは、直鎖状又は分枝鎖状アルキレン又はアルケニレン鎖である。
【0039】
「ヘテロアリール」は、1~17個の炭素原子並びに窒素、酸素及び硫黄から選択される1~6個のヘテロ原子を含む、5~18員の芳香環ラジカルに由来するラジカルを指す。本明細書において使用される際、ヘテロアリールラジカルは、単環式、二環式、三環式又は四環式環系であり、ここで、環系中の環の少なくとも1つが完全に不飽和であり、すなわち、それは、ヒュッケルの理論に従って環状の非局在化(4n+2)π-電子系を含む。ヘテロアリールは、縮合又は架橋環系を含む。ヘテロアリールラジカルにおけるヘテロ原子は、任意選択的に酸化される。1つ以上の窒素原子は、存在する場合、任意選択的に四級化される。ヘテロアリールは、環の任意の原子を介して分子の残りの部分に結合される。本明細書において特に記載されない限り、「ヘテロアリール」という用語は、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロ、ハロアルキル、オキソ、チオキソ、シアノ、ニトロ、アリール、アラルキル、アラルケニル、アラルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、-R-OR、-R-OC(O)-R、-R-OC(O)-OR、-R-OC(O)-N(R、-R-N(R、-R-C(O)R、-R-C(O)OR、-R-C(O)N(R、-R-O-R-C(O)N(R、-R-N(R)C(O)OR、-R-N(R)C(O)R、-R-N(R)S(O)(ここで、tは、1又は2である)、-R-S(O)OR(ここで、tは、1又は2である)、-R-S(O)(ここで、tは、1又は2である)及び-R-S(O)N(R(ここで、tは、1又は2である)から選択される1つ以上の置換基で任意選択的に置換される、上に定義されるヘテロアリールラジカルを含むことを意味し、ここで、各Rは、独立して、水素、アルキル、ハロアルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール又はヘテロアリールアルキルであり、各Rは、独立して、直接結合又は直鎖状若しくは分枝鎖状アルキレン又はアルケニレン鎖であり、及びRは、直鎖状又は分枝鎖状アルキレン又はアルケニレン鎖である。
【0040】
「N-ヘテロアリール」は、少なくとも1つの窒素を含む上に定義されるヘテロアリールラジカルを指し、ここで、分子の残りの部分へのヘテロアリールラジカルの結合点は、ヘテロアリールラジカル中の窒素原子を介する。N-ヘテロアリールラジカルは、ヘテロアリールラジカルについて上述されるように任意選択的に置換される。
【0041】
「C-ヘテロアリール」は、上に定義されるヘテロアリールラジカルを指し、ここで、分子の残りの部分へのヘテロアリールラジカルの結合点は、ヘテロアリールラジカル中の炭素原子を介する。C-ヘテロアリールラジカルは、ヘテロアリールラジカルについて上述されるように任意選択的に置換される。
【0042】
「ヘテロアリールオキシ」は、式-O-ヘテロアリールの酸素原子を介して結合されたラジカルを指し、ここで、ヘテロアリールは、上に定義されるとおりである。
【0043】
「ヘテロアリールアルキル」は、式-R-ヘテロアリールのラジカルを指し、ここで、Rは、上に定義されるアルキレン鎖である。ヘテロアリールが窒素含有ヘテロアリールである場合、ヘテロアリールは、窒素原子においてアルキルラジカルに任意選択的に結合される。ヘテロアリールアルキルラジカルのアルキレン鎖は、アルキレン鎖について上に定義されるように任意選択的に置換される。ヘテロアリールアルキルラジカルのヘテロアリール部分は、ヘテロアリール基について上に定義されるように任意選択的に置換される。
【0044】
「ヘテロアリールアルコキシ」は、式-O-R-ヘテロアリールの酸素原子を介して結合されたラジカルを指し、ここで、Rは、上に定義されるアルキレン鎖である。ヘテロアリールが窒素含有ヘテロアリールである場合、ヘテロアリールは、窒素原子においてアルキルラジカルに任意選択的に結合される。ヘテロアリールアルコキシラジカルのアルキレン鎖は、アルキレン鎖について上に定義されるように任意選択的に置換される。ヘテロアリールアルコキシラジカルのヘテロアリール部分は、ヘテロアリール基について上に定義されるように任意選択的に置換される。
【0045】
ある実施形態において、本明細書に開示される化合物は、1つ以上の不斉中心を含むため、絶対的な立体化学の観点から、(R)-又は(S)-として定義される鏡像異性体、ジアステレオマー及び他の立体異性体を生じさせる。特に記載されない限り、本明細書に開示される化合物の全ての立体異性体は、本開示によって想定されることが意図される。本明細書に記載される化合物がアルケン二重結合を含む場合、特に規定されない限り、本開示は、E及びZ幾何異性体(例えば、シス又はトランス)の両方を含むことが意図される。同様に、全ての可能な異性体並びにそれらのラセミ体及び光学的に純粋な形態及び全ての互変異性体も含まれることが意図される。「幾何異性体」という用語は、アルケン二重結合のE又はZ幾何異性体(例えば、シス又はトランス)を指す。「位置異性体」という用語は、ベンゼン環の周りのオルト-、メタ-及びパラ-異性体など、中心環の周りの構造異性体を指す。
【0046】
「互変異性体」は、ある分子の1つの原子から同じ分子の別の原子へのプロトン移動が可能な分子を指す。特定の実施形態において、本明細書に示される化合物は、互変異性体として存在する。互変異性化が可能な状況では、互変異性体の化学平衡が存在し得る。互変異性体の正確な比率は、物理的状態、温度、溶媒及びpHを含むいくつかの要因に応じて決まる。互変異性平衡のいくつかの例としては、以下のものが挙げられる。
【化3】
【0047】
「任意選択的な」又は「任意選択的に」は、その後に記載される事象又は状況が生じることも又は生じないこともあること、及びこの記載が、事象又は状況が生じた場合及びそれが生じない場合を含むことを意味する。例えば、「任意選択的に置換されるアリール」は、アリールラジカルが置換されているか又は置換されていないこと、及びこの記載が、置換アリールラジカル及び置換を有さないアリールラジカルの両方を含むことを意味する。
【0048】
「薬学的に許容できる塩」は、酸付加塩及び塩基付加塩の両方を含む。本明細書に記載される化合物のいずれか1つの薬学的に許容できる塩は、あらゆる薬学的に好適な塩形態を包含することが意図される。本明細書に記載される化合物の好ましい薬学的に許容できる塩は、薬学的に許容できる酸付加塩及び薬学的に許容できる塩基付加塩である。
【0049】
「薬学的に許容できる酸付加塩」は、生物学的に又は他の点で望ましくないものではない、遊離塩基の生物学的効果及び特性を保持する塩を指し、これは、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、ヨウ化水素酸、フッ化水素酸、亜リン酸などの無機酸とともに形成される。脂肪族モノカルボン酸及びジカルボン酸、フェニル置換アルカン酸、ヒドロキシアルカン酸、アルカン二酸、芳香族酸、脂肪族及び芳香族スルホン酸などの有機酸とともに形成される塩も含まれ、例えば酢酸、トリフルオロ酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、シュウ酸、マレイン酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、桂皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、サリチル酸などを含む。したがって、例示的な塩としては、硫酸塩、ピロ硫酸塩、重硫酸塩、亜硫酸塩、重亜硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩、リン酸一水素塩(monohydrogenphosphate)、リン酸二水素塩(dihydrogenphosphate)、メタリン酸塩、ピロリン酸塩、塩化物、臭化物、ヨウ化物、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、プロピオン酸塩、カプリル酸塩、イソ酪酸塩、シュウ酸塩、マロン酸塩、コハク酸塩、スベリン酸塩、セバシン酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、マンデル酸塩、安息香酸塩、クロロ安息香酸塩、メチル安息香酸塩、ジニトロ安息香酸塩(dinitrobenzoate)、フタル酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、トルエンスルホン酸塩、フェニル酢酸塩、クエン酸塩、乳酸塩、リンゴ酸塩、酒石酸塩、メタンスルホン酸塩などが挙げられる。アルギン酸塩、グルコン酸塩及びガラクツロン酸塩などのアミノ酸の塩も考えられる(例えば、Berge S.M.et al.,“Pharmaceutical Salts”,Journal of Pharmaceutical Science,66:1-19(1997)を参照されたい)。塩基性化合物の酸付加塩は、遊離塩基形態を十分な量の所望の酸と接触させて、塩を生成することによって調製される。
【0050】
「薬学的に許容できる塩基付加塩」は、生物学的に又は他の点で望ましくないものではない、遊離酸の生物学的効果及び特性を保持する塩を指す。これらの塩は、遊離酸への無機塩基又は有機塩基の添加により調製される。ある実施形態において、薬学的に許容できる塩基付加塩は、アルカリ金属及びアルカリ土類金属又は有機アミンなどの金属又はアミンとともに形成される。無機塩基に由来する塩としては、限定はされないが、ナトリウム、カリウム、リチウム、アンモニウム、カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛、銅、マンガン、アルミニウムの塩などが挙げられる。有機塩基に由来する塩としては、限定はされないが、第一級、第二級及び第三級アミン、天然の置換アミンを含む置換アミン、環状アミン及び塩基イオン交換樹脂、例えばイソプロピルアミン、トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、2-ジメチルアミノエタノール、2-ジエチルアミノエタノール、ジシクロヘキシルアミン、リジン、アルギニン、ヒスチジン、カフェイン、プロカイン、N,N-ジベンジルエチレンジアミン、クロロプロカイン、ヒドラバミン、コリン、ベタイン、エチレンジアミン、エチレンジアニリン、N-メチルグルカミン、グルコサミン、メチルグルカミン、テオブロミン、プリン、ピペラジン、ピペリジン、N-エチルピペリジン、ポリアミン樹脂などの塩が挙げられる。上述のBerge et al.を参照されたい。
【0051】
本明細書において使用される際、「治療」若しくは「治療する」、又は「緩和する」、又は「改善する」は、本明細書において同義的に使用される。これらの用語は、治療効果及び/又は予防効果を含むが、これらに限定されない有益な又は所望の結果を得るための手法を指す。「治療効果」とは、治療される基礎疾患の根絶又は改善を意味する。また、治療効果は、患者が依然として基礎疾患に罹患しているにもかかわらず、患者に改善が観察されるように、基礎疾患に関連する生理的症状の1つ以上の根絶又は改善によって達成される。予防効果については、組成物は、疾病の診断が行われていなくても、特定の疾病を発生するリスクのある患者又は疾病の生理的症状の1つ以上を報告する患者に投与される。
【0052】
化合物
本明細書に記載される式(I)若しくは(II)の化合物は、ABHD12の調節剤である。本明細書に記載される式(I)若しくは(II)の化合物、及びこれらの化合物を含む組成物は、神経精神疾患、自己免疫疾患、神経炎症性疾患、神経変性疾患、及び癌から選択される疾病又は疾患の治療に有用である。ある実施形態において、本明細書に記載される式(I)若しくは(II)の化合物、及びこれらの化合物を含む組成物は、疾病を治療するために患者の免疫系を刺激する。ある実施形態において、疾病は感染症である。ある実施形態において、疾病は癌である。
【0053】
ある実施形態において、式(I):
【化4】

(式中、
各Rは、独立して、ハロゲン、-CN、C1~6アルキル、C1~6アルケニル、C1~6アルキニル、C1~6ハロアルキル、-C(O)R、-OR、並びにハロゲン、C1~6アルキル、C1~6ハロアルキル、C1~6アルコキシ、及びC1~6ハロアルコキシから独立して選択される1つ、2つ、又は3つの置換基で任意選択的に置換されるフェニルから選択され;
各Rは、独立して、C1~6アルキルであり;
各Rは、独立して、H、C1~6アルキル、C1~6ハロアルキル、C3~6シクロアルキル、-C1~6アルキル-C3~6シクロアルキル、C2~9ヘテロシクロアルキル、フェニル、及び-C1~6アルキル-フェニルから選択され、ここで、C3~6シクロアルキル、-C1~6アルキル-C3~6シクロアルキル、C2~9ヘテロシクロアルキル、フェニル、及び-C1~6アルキル-フェニルは、ハロゲン、C1~6アルキル、C1~6アルキニル、C1~6ハロアルキル、C1~6アルコキシ、C1~6ハロアルコキシ、及び-C(O)ORから独立して選択される1つ、2つ、又は3つの置換基で任意選択的に置換され;
各Rは、独立して、C1~6アルキルであり;
nは、0、1、2、又は3である)
の化合物又はその溶媒和物、N-オキシド、立体異性体、若しくは薬学的に許容できる塩である。
【0054】
別の実施形態において、式(I)の化合物、又はその溶媒和物、N-オキシド、立体異性体、若しくは薬学的に許容できる塩(式中、nは、0、1、又は2である)である。別の実施形態において、式(I)の化合物、又はその溶媒和物、N-オキシド、立体異性体、若しくは薬学的に許容できる塩(式中、nは、1、2、又は3である)である。別の実施形態において、式(I)の化合物、又はその溶媒和物、N-オキシド、立体異性体、若しくは薬学的に許容できる塩(式中、nは、1又は2である)である。別の実施形態において、式(I)の化合物、又はその溶媒和物、N-オキシド、立体異性体、若しくは薬学的に許容できる塩(式中、nは0である)である。別の実施形態において、式(I)の化合物、又はその溶媒和物、N-オキシド、立体異性体、若しくは薬学的に許容できる塩(式中、nは1である)である。別の実施形態において、式(I)の化合物、又はその溶媒和物、N-オキシド、立体異性体、若しくは薬学的に許容できる塩(式中、nは2である)である。別の実施形態において、式(I)の化合物、又はその溶媒和物、N-オキシド、立体異性体、若しくは薬学的に許容できる塩(式中、nは3である)である。
【0055】
別の実施形態において、式(I)の化合物、又はその溶媒和物、N-オキシド、立体異性体、若しくは薬学的に許容できる塩(式中、nは、1、2、又は3であり、各Rは、独立して、ハロゲン、-CN、C1~6アルキル、C1~6アルキニル、C1~6ハロアルキル、-C(O)R、-OR、並びにハロゲン、C1~6アルキル、C1~6ハロアルキル、C1~6アルコキシ、及びC1~6ハロアルコキシから独立して選択される1つ又は2つの置換基で任意選択的に置換されるフェニルから選択される)である。別の実施形態において、式(I)の化合物、又はその溶媒和物、N-オキシド、立体異性体、若しくは薬学的に許容できる塩(式中、nは、1又は2であり、各Rは、独立して、ハロゲン、-CN、C1~6アルキル、C1~6アルキニル、C1~6ハロアルキル、-C(O)R、-OR、並びにハロゲン、C1~6アルキル、C1~6ハロアルキル、C1~6アルコキシ、及びC1~6ハロアルコキシから独立して選択される1つ又は2つの置換基で任意選択的に置換されるフェニルから選択される)である。
【0056】
別の実施形態において、式(I)の化合物、又はその溶媒和物、N-オキシド、立体異性体、若しくは薬学的に許容できる塩(式中、nは2であり、各Rは、独立して、ハロゲン、-CN、C1~6アルキル、C1~6アルキニル、C1~6ハロアルキル、-C(O)R、-OR、並びにハロゲン、C1~6アルキル、C1~6ハロアルキル、C1~6アルコキシ、及びC1~6ハロアルコキシから独立して選択される1つ又は2つの置換基で任意選択的に置換されるフェニルから選択される)である。別の実施形態において、式(I)の化合物、又はその溶媒和物、N-オキシド、立体異性体、若しくは薬学的に許容できる塩(式中、nは2であり、各Rは、独立して、ハロゲン、C1~6アルキル、C1~6ハロアルキル、-OR、並びにハロゲン、C1~6アルキル、C1~6ハロアルキル、C1~6アルコキシ、及びC1~6ハロアルコキシから独立して選択される1つ又は2つの置換基で置換されるフェニルから選択される)である。別の実施形態において、式(I)の化合物、又はその溶媒和物、N-オキシド、立体異性体、若しくは薬学的に許容できる塩(式中、nは2であり、各Rは、独立して、ハロゲン及びC1~6ハロアルキルから選択される)である。別の実施形態において、式(I)の化合物、又はその溶媒和物、N-オキシド、立体異性体、若しくは薬学的に許容できる塩(式中、nは2であり、各Rは、独立して、-Cl及び-CFから選択される)である。別の実施形態において、式(I)の化合物、又はその溶媒和物、N-オキシド、立体異性体、若しくは薬学的に許容できる塩(式中、nは2であり、各Rは、独立して、-F及び-CFから選択される)である。別の実施形態において、式(I)の化合物、又はその溶媒和物、N-オキシド、立体異性体、若しくは薬学的に許容できる塩(式中、nは2であり、各Rは、独立して、ハロゲン及びC1~6アルキルから選択される)である。別の実施形態において、式(I)の化合物、又はその溶媒和物、N-オキシド、立体異性体、若しくは薬学的に許容できる塩(式中、nは2であり、各Rは、独立して、-Cl及び-CHから選択される)である。別の実施形態において、式(I)の化合物、又はその溶媒和物、N-オキシド、立体異性体、若しくは薬学的に許容できる塩(式中、nは2であり、各Rは、独立して、-F及び-CHから選択される)である。別の実施形態において、式(I)の化合物、又はその溶媒和物、N-オキシド、立体異性体、若しくは薬学的に許容できる塩(式中、nは2であり、各Rは、独立して、ハロゲン及び-ORから選択される)である。別の実施形態において、式(I)の化合物、又はその溶媒和物、N-オキシド、立体異性体、若しくは薬学的に許容できる塩(式中、nは2であり、各Rは、独立して、ハロゲン及び-ORから選択され、RはC1~6ハロアルキルである)である。別の実施形態において、式(I)の化合物、又はその溶媒和物、N-オキシド、立体異性体、若しくは薬学的に許容できる塩(式中、nは2であり、各Rは、独立して、-Cl及び-OCFから選択される)である。別の実施形態において、式(I)の化合物、又はその溶媒和物、N-オキシド、立体異性体、若しくは薬学的に許容できる塩(式中、nは2であり、各Rは、独立して、-F及び-OCFから選択される)である。別の実施形態において、式(I)の化合物、又はその溶媒和物、N-オキシド、立体異性体、若しくは薬学的に許容できる塩(式中、nは2であり、各Rは、独立して、ハロゲン及び-ORから選択され、Rは、ハロゲン、C1~6アルキル、C1~6アルキニル、C1~6ハロアルキル、C1~6アルコキシ、C1~6ハロアルコキシ、及びC(O)ORから独立して選択される1つ又は2つの置換基で任意選択的に置換されるフェニルである)である。別の実施形態において、式(I)の化合物、又はその溶媒和物、N-オキシド、立体異性体、若しくは薬学的に許容できる塩(式中、nは2であり、各Rは、独立して、ハロゲン及び-ORから選択され、Rは、ハロゲン、C1~6ハロアルキル、及びC1~6ハロアルコキシから独立して選択される1つ又は2つの置換基で任意選択的に置換されるフェニルである)である。別の実施形態において、式(I)の化合物、又はその溶媒和物、N-オキシド、立体異性体、若しくは薬学的に許容できる塩(式中、nは2であり、各Rは、独立して、ハロゲン及び-ORから選択され、Rは、ハロゲン、C1~6ハロアルキル、及びC1~6ハロアルコキシから独立して選択される1つ又は2つの置換基で置換されるフェニルである)である。別の実施形態において、式(I)の化合物、又はその溶媒和物、N-オキシド、立体異性体、若しくは薬学的に許容できる塩(式中、nは2であり、各Rは、独立して、ハロゲン及び-ORから選択され、Rは、ハロゲン、C1~6ハロアルキル、及びC1~6ハロアルコキシから独立して選択される2つの置換基で置換されるフェニルである)である。別の実施形態において、式(I)の化合物、又はその溶媒和物、N-オキシド、立体異性体、若しくは薬学的に許容できる塩(式中、nは2であり、各Rは、独立して、ハロゲン及び-ORから選択され、Rは、ハロゲン、C1~6ハロアルキル、及びC1~6ハロアルコキシから選択される1つの置換基で置換されるフェニルである)である。別の実施形態において、式(I)の化合物、又はその溶媒和物、N-オキシド、立体異性体、若しくは薬学的に許容できる塩(式中、nは2であり、各Rは、独立して、ハロゲン及び-ORから選択され、Rは、ハロゲン、C1~6アルキル、C1~6アルキニル、C1~6ハロアルキル、C1~6アルコキシ、C1~6ハロアルコキシ、及びC(O)ORから独立して選択される1つ又は2つの置換基で任意選択的に置換される-C1~6アルキル-フェニルである)である。別の実施形態において、式(I)の化合物、又はその溶媒和物、N-オキシド、立体異性体、若しくは薬学的に許容できる塩(式中、nは2であり、各Rは、独立して、ハロゲン及び-ORから選択され、Rは、ハロゲン、C1~6ハロアルキル、及びC1~6ハロアルコキシから独立して選択される1つ又は2つの置換基で任意選択的に置換される-C1~6アルキル-フェニルである)である。別の実施形態において、式(I)の化合物、又はその溶媒和物、N-オキシド、立体異性体、若しくは薬学的に許容できる塩(式中、nは2であり、各Rは、独立して、ハロゲン及び-ORから選択され、Rは、ハロゲン、C1~6ハロアルキル、及びC1~6ハロアルコキシから独立して選択される1つ又は2つの置換基で置換される-C1~6アルキル-フェニルである)である。別の実施形態において、式(I)の化合物、又はその溶媒和物、N-オキシド、立体異性体、若しくは薬学的に許容できる塩(式中、nは2であり、各Rは、独立して、ハロゲン及び-ORから選択され、Rは、ハロゲン、C1~6ハロアルキル、及びC1~6ハロアルコキシから独立して選択される2つの置換基で置換される-C1~6アルキル-フェニルである)である。別の実施形態において、式(I)の化合物、又はその溶媒和物、N-オキシド、立体異性体、若しくは薬学的に許容できる塩(式中、nは2であり、各Rは、独立して、ハロゲン及び-ORから選択され、Rは、ハロゲン、C1~6ハロアルキル、及びC1~6ハロアルコキシから選択される1つの置換基で置換される-C1~6アルキル-フェニルである)である。
【0057】
別の実施形態において、式(I)の化合物、又はその溶媒和物、N-オキシド、立体異性体、若しくは薬学的に許容できる塩(式中、nは1であり、Rは、ハロゲン、-CN、C1~6アルキル、C1~6アルキニル、C1~6ハロアルキル、-C(O)R、-OR、並びにハロゲン、C1~6アルキル、C1~6ハロアルキル、C1~6アルコキシ、及びC1~6ハロアルコキシから独立して選択される1つ又は2つの置換基で任意選択的に置換されるフェニルから選択される)である。別の実施形態において、式(I)の化合物、又はその溶媒和物、N-オキシド、立体異性体、若しくは薬学的に許容できる塩(式中、nは1であり、Rは、ハロゲン、C1~6アルキル、C1~6ハロアルキル、-OR、並びにハロゲン、C1~6アルキル、C1~6ハロアルキル、C1~6アルコキシ、及びC1~6ハロアルコキシから独立して選択される1つ又は2つの置換基で置換されるフェニルから選択される)である。別の実施形態において、式(I)の化合物、又はその溶媒和物、N-オキシド、立体異性体、若しくは薬学的に許容できる塩(式中、nは1であり、Rはハロゲンである)である。別の実施形態において、式(I)の化合物、又はその溶媒和物、N-オキシド、立体異性体、若しくは薬学的に許容できる塩(式中、nは1であり、Rは-Clである)である。別の実施形態において、式(I)の化合物、又はその溶媒和物、N-オキシド、立体異性体、若しくは薬学的に許容できる塩(式中、nは1であり、Rは-Fである)である。別の実施形態において、式(I)の化合物、又はその溶媒和物、N-オキシド、立体異性体、若しくは薬学的に許容できる塩(式中、nは1であり、RはC1~6アルキルである)である。別の実施形態において、式(I)の化合物、又はその溶媒和物、N-オキシド、立体異性体、若しくは薬学的に許容できる塩(式中、nは1であり、Rは-CHである)である。別の実施形態において、式(I)の化合物、又はその溶媒和物、N-オキシド、立体異性体、若しくは薬学的に許容できる塩(式中、nは1であり、RはC1~6ハロアルキルである)である。別の実施形態において、式(I)の化合物、又はその溶媒和物、N-オキシド、立体異性体、若しくは薬学的に許容できる塩(式中、nは1であり、Rは-CFである)である。別の実施形態において、式(I)の化合物、又はその溶媒和物、N-オキシド、立体異性体、若しくは薬学的に許容できる塩(式中、nは1であり、Rは-ORである)である。別の実施形態において、式(I)の化合物、又はその溶媒和物、N-オキシド、立体異性体、若しくは薬学的に許容できる塩(式中、nは1であり、Rは-ORであり、RはC1~6ハロアルキルである)である。別の実施形態において、式(I)の化合物、又はその溶媒和物、N-オキシド、立体異性体、若しくは薬学的に許容できる塩(式中、nは1であり、Rは-OCFである)である。別の実施形態において、式(I)の化合物、又はその溶媒和物、N-オキシド、立体異性体、若しくは薬学的に許容できる塩(式中、nは1であり、Rは-ORであり、Rは、ハロゲン、C1~6アルキル、C1~6アルキニル、C1~6ハロアルキル、C1~6アルコキシ、C1~6ハロアルコキシ、及びC(O)ORから独立して選択される1つ又は2つの置換基で任意選択的に置換されるフェニルである)である。別の実施形態において、式(I)の化合物、又はその溶媒和物、N-オキシド、立体異性体、若しくは薬学的に許容できる塩(式中、nは1であり、Rは-ORであり、Rは、ハロゲン、C1~6ハロアルキル、及びC1~6ハロアルコキシから独立して選択される1つ又は2つの置換基で任意選択的に置換されるフェニルである)である。別の実施形態において、式(I)の化合物、又はその溶媒和物、N-オキシド、立体異性体、若しくは薬学的に許容できる塩(式中、nは1であり、Rは-ORであり、Rは、ハロゲン、C1~6ハロアルキル、及びC1~6ハロアルコキシから独立して選択される1つ又は2つの置換基で置換されるフェニルである)である。別の実施形態において、式(I)の化合物、又はその溶媒和物、N-オキシド、立体異性体、若しくは薬学的に許容できる塩(式中、nは1であり、Rは-ORであり、Rは、ハロゲン、C1~6ハロアルキル、及びC1~6ハロアルコキシから独立して選択される2つの置換基で置換されるフェニルである)である。別の実施形態において、式(I)の化合物、又はその溶媒和物、N-オキシド、立体異性体、若しくは薬学的に許容できる塩(式中、nは1であり、Rは-ORであり、Rは、ハロゲン、C1~6ハロアルキル、及びC1~6ハロアルコキシから選択される1つの置換基で置換されるフェニルである)である。別の実施形態において、式(I)の化合物、又はその溶媒和物、N-オキシド、立体異性体、若しくは薬学的に許容できる塩(式中、nは1であり、Rは-ORであり、Rは、ハロゲン、C1~6アルキル、C1~6アルキニル、C1~6ハロアルキル、C1~6アルコキシ、C1~6ハロアルコキシ、及びC(O)ORから独立して選択される1つ又は2つの置換基で任意選択的に置換される-C1~6アルキル-フェニルである)である。別の実施形態において、式(I)の化合物、又はその溶媒和物、N-オキシド、立体異性体、若しくは薬学的に許容できる塩(式中、nは1であり、Rは-ORであり、Rは、ハロゲン、C1~6ハロアルキル、及びC1~6ハロアルコキシから独立して選択される1つ又は2つの置換基で任意選択的に置換される-C1~6アルキル-フェニルである)である。別の実施形態において、式(I)の化合物、又はその溶媒和物、N-オキシド、立体異性体、若しくは薬学的に許容できる塩(式中、nは1であり、Rは-ORであり、Rは、ハロゲン、C1~6ハロアルキル、及びC1~6ハロアルコキシから独立して選択される1つ又は2つの置換基で置換される-C1~6アルキル-フェニルである)である。別の実施形態において、式(I)の化合物、又はその溶媒和物、N-オキシド、立体異性体、若しくは薬学的に許容できる塩(式中、nは1であり、Rは-ORであり、Rは、ハロゲン、C1~6ハロアルキル、及びC1~6ハロアルコキシから独立して選択される2つの置換基で置換される-C1~6アルキル-フェニルである)である。別の実施形態において、式(I)の化合物、又はその溶媒和物、N-オキシド、立体異性体、若しくは薬学的に許容できる塩(式中、nは1であり、Rは-ORであり、Rは、ハロゲン、C1~6ハロアルキル、及びC1~6ハロアルコキシから選択される1つの置換基で置換される-C1~6アルキル-フェニルである)である。別の実施形態において、式(I)の化合物、又はその溶媒和物、N-オキシド、立体異性体、若しくは薬学的に許容できる塩(式中、nは1であり、Rは、ハロゲン、C1~6アルキル、C1~6ハロアルキル、C1~6アルコキシ、及びC1~6ハロアルコキシから独立して選択される1つ又は2つの置換基で任意選択的に置換されるフェニルである)である。別の実施形態において、式(I)の化合物、又はその溶媒和物、N-オキシド、立体異性体、若しくは薬学的に許容できる塩(式中、nは1であり、Rは、ハロゲン、C1~6アルキル、C1~6ハロアルキル、C1~6アルコキシ、及びC1~6ハロアルコキシから独立して選択される1つ又は2つの置換基で置換されるフェニルである)である。別の実施形態において、式(I)の化合物、又はその溶媒和物、N-オキシド、立体異性体、若しくは薬学的に許容できる塩(式中、nは1であり、Rは、ハロゲン、C1~6アルキル、C1~6ハロアルキル、C1~6アルコキシ、及びC1~6ハロアルコキシから選択される1つの置換基で置換されるフェニルである)である。別の実施形態において、式(I)の化合物、又はその溶媒和物、N-オキシド、立体異性体、若しくは薬学的に許容できる塩(式中、nは1であり、Rは、ハロゲン、C1~6アルキル、C1~6ハロアルキル、C1~6アルコキシ、及びC1~6ハロアルコキシから独立して選択される2つの置換基で置換されるフェニルである)である。
【0058】
ある実施形態において、式(II):
【化5】

(式中、
各Rは、独立して、ハロゲン、-CN、C1~6アルキル、C1~6アルケニル、C1~6アルキニル、C1~6ハロアルキル、-C(O)R、-OR、並びにハロゲン、C1~6アルキル、C1~6ハロアルキル、C1~6アルコキシ、及びC1~6ハロアルコキシから独立して選択される1つ、2つ、又は3つの置換基で任意選択的に置換されるフェニルから選択され;
各Rは、独立して、C1~6アルキルであり;
各Rは、独立して、H、C1~6アルキル、C1~6ハロアルキル、C3~6シクロアルキル、-C1~6アルキル-C3~6シクロアルキル、C2~9ヘテロシクロアルキル、フェニル、及び-C1~6アルキル-フェニルから選択され、ここで、C3~6シクロアルキル、-C1~6アルキル-C3~6シクロアルキル、C2~9ヘテロシクロアルキル、フェニル、及び-C1~6アルキル-フェニルは、ハロゲン、C1~6アルキル、C1~6アルキニル、C1~6ハロアルキル、C1~6アルコキシ、C1~6ハロアルコキシ、及び-C(O)ORから独立して選択される1つ、2つ、又は3つの置換基で任意選択的に置換され;
各Rは、独立して、C1~6アルキルであり;
は、ハロゲン、-CN、C1~6アルケニル、C1~6アルキニル、C1~6ハロアルキル、-C(O)R、-OR、並びにハロゲン、C1~6アルキル、C1~6ハロアルキル、C1~6アルコキシ、及びC1~6ハロアルコキシから独立して選択される1つ、2つ、又は3つの置換基で任意選択的に置換されるフェニルから選択され;
nは、0、1、2、又は3である)
の化合物又はその溶媒和物、N-オキシド、立体異性体、若しくは薬学的に許容できる塩である。
【0059】
別の実施形態において、式(II)の化合物、又はその溶媒和物、N-オキシド、立体異性体、若しくは薬学的に許容できる塩(式中、Rは、ハロゲン、-CN、C1~6アルキニル、C1~6ハロアルキル、-C(O)R、-OR、並びにハロゲン、C1~6アルキル、C1~6ハロアルキル、C1~6アルコキシ、及びC1~6ハロアルコキシから独立して選択される1つ又は2つの置換基で任意選択的に置換されるフェニルから選択される)である。別の実施形態において、式(II)の化合物、又はその溶媒和物、N-オキシド、立体異性体、若しくは薬学的に許容できる塩(式中、Rは、ハロゲン、C1~6ハロアルキル、-OR、並びにハロゲン、C1~6アルキル、C1~6ハロアルキル、C1~6アルコキシ、及びC1~6ハロアルコキシから独立して選択される1つ又は2つの置換基で置換されるフェニルから選択される)である。別の実施形態において、式(II)の化合物、又はその溶媒和物、N-オキシド、立体異性体、若しくは薬学的に許容できる塩(式中、Rはハロゲンである)である。別の実施形態において、式(II)の化合物、又はその溶媒和物、N-オキシド、立体異性体、若しくは薬学的に許容できる塩(式中、Rは-Clである)である。別の実施形態において、式(II)の化合物、又はその溶媒和物、N-オキシド、立体異性体、若しくは薬学的に許容できる塩(式中、Rは-Fである)である。別の実施形態において、式(II)の化合物、又はその溶媒和物、N-オキシド、立体異性体、若しくは薬学的に許容できる塩(式中、RはC1~6ハロアルキルである)である。別の実施形態において、式(II)の化合物、又はその溶媒和物、N-オキシド、立体異性体、若しくは薬学的に許容できる塩(式中、Rは-CFである)である。別の実施形態において、式(II)の化合物、又はその溶媒和物、N-オキシド、立体異性体、若しくは薬学的に許容できる塩(式中、Rは-ORである)である。別の実施形態において、式(II)の化合物、又はその溶媒和物、N-オキシド、立体異性体、若しくは薬学的に許容できる塩(式中、Rは-ORであり、RはC1~6ハロアルキルである)である。別の実施形態において、式(II)の化合物、又はその溶媒和物、N-オキシド、立体異性体、若しくは薬学的に許容できる塩(式中、Rは-OCFである)である。別の実施形態において、式(II)の化合物、又はその溶媒和物、N-オキシド、立体異性体、若しくは薬学的に許容できる塩(式中、Rは-ORであり、Rは、ハロゲン、C1~6アルキル、C1~6アルキニル、C1~6ハロアルキル、C1~6アルコキシ、C1~6ハロアルコキシ、及びC(O)ORから独立して選択される1つ又は2つの置換基で任意選択的に置換されるフェニルである)である。別の実施形態において、式(II)の化合物、又はその溶媒和物、N-オキシド、立体異性体、若しくは薬学的に許容できる塩(式中、Rは-ORであり、Rは、ハロゲン、C1~6ハロアルキル、及びC1~6ハロアルコキシから独立して選択される1つ又は2つの置換基で任意選択的に置換されるフェニルである)である。別の実施形態において、式(II)の化合物、又はその溶媒和物、N-オキシド、立体異性体、若しくは薬学的に許容できる塩(式中、Rは-ORであり、Rは、ハロゲン、C1~6ハロアルキル、及びC1~6ハロアルコキシから独立して選択される1つ又は2つの置換基で置換されるフェニルである)である。別の実施形態において、式(II)の化合物、又はその溶媒和物、N-オキシド、立体異性体、若しくは薬学的に許容できる塩(式中、Rは-ORであり、Rは、ハロゲン、C1~6ハロアルキル、及びC1~6ハロアルコキシから独立して選択される2つの置換基で置換されるフェニルである)である。別の実施形態において、式(II)の化合物、又はその溶媒和物、N-オキシド、立体異性体、若しくは薬学的に許容できる塩(式中、Rは-ORであり、Rは、ハロゲン、C1~6ハロアルキル、及びC1~6ハロアルコキシから選択される1つの置換基で置換されるフェニルである)である。別の実施形態において、式(II)の化合物、又はその溶媒和物、N-オキシド、立体異性体、若しくは薬学的に許容できる塩(式中、Rは-ORであり、Rは、ハロゲン、C1~6アルキル、C1~6アルキニル、C1~6ハロアルキル、C1~6アルコキシ、C1~6ハロアルコキシ、及びC(O)ORから独立して選択される1つ又は2つの置換基で任意選択的に置換される-C1~6アルキル-フェニルである)である。別の実施形態において、式(II)の化合物、又はその溶媒和物、N-オキシド、立体異性体、若しくは薬学的に許容できる塩(Rは-ORであり、Rは、ハロゲン、C1~6ハロアルキル、及びC1~6ハロアルコキシから独立して選択される1つ又は2つの置換基で任意選択的に置換される-C1~6アルキル-フェニルである)である。別の実施形態において、式(II)の化合物、又はその溶媒和物、N-オキシド、立体異性体、若しくは薬学的に許容できる塩(式中、Rは-ORであり、Rは、ハロゲン、C1~6ハロアルキル、及びC1~6ハロアルコキシから独立して選択される1つ又は2つの置換基で置換される-C1~6アルキル-フェニルである)である。別の実施形態において、式(II)の化合物、又はその溶媒和物、N-オキシド、立体異性体、若しくは薬学的に許容できる塩(式中、Rは-ORであり、Rは、ハロゲン、C1~6ハロアルキル、及びC1~6ハロアルコキシから独立して選択される2つの置換基で置換される-C1~6アルキル-フェニルである)である。別の実施形態において、式(II)の化合物、又はその溶媒和物、N-オキシド、立体異性体、若しくは薬学的に許容できる塩(式中、Rは-ORであり、Rは、ハロゲン、C1~6ハロアルキル、及びC1~6ハロアルコキシから選択される1つの置換基で置換される-C1~6アルキル-フェニルである)である。別の実施形態において、式(II)の化合物、又はその溶媒和物、N-オキシド、立体異性体、若しくは薬学的に許容できる塩(式中、Rは、ハロゲン、C1~6アルキル、C1~6ハロアルキル、C1~6アルコキシ、及びC1~6ハロアルコキシから独立して選択される1つ又は2つの置換基で任意選択的に置換されるフェニルである)である。別の実施形態において、式(II)の化合物、又はその溶媒和物、N-オキシド、立体異性体、若しくは薬学的に許容できる塩(式中、Rは、ハロゲン、C1~6アルキル、C1~6ハロアルキル、C1~6アルコキシ、及びC1~6ハロアルコキシから独立して選択される1つ又は2つの置換基で置換されるフェニルである)である。別の実施形態において、式(II)の化合物、又はその溶媒和物、N-オキシド、立体異性体、若しくは薬学的に許容できる塩(式中、Rは、ハロゲン、C1~6アルキル、C1~6ハロアルキル、C1~6アルコキシ、及びC1~6ハロアルコキシから選択される1つの置換基で置換されるフェニルである)である。別の実施形態において、式(II)の化合物、又はその溶媒和物、N-オキシド、立体異性体、若しくは薬学的に許容できる塩(式中、Rは、ハロゲン、C1~6アルキル、C1~6ハロアルキル、C1~6アルコキシ、及びC1~6ハロアルコキシから独立して選択される2つの置換基で置換されるフェニルである)である。
【0060】
別の実施形態において、式(II)の化合物、又はその溶媒和物、N-オキシド、立体異性体、若しくは薬学的に許容できる塩(式中、nは、0、1、又は2である)である。別の実施形態において、式(II)の化合物、又はその溶媒和物、N-オキシド、立体異性体、若しくは薬学的に許容できる塩(式中、nは、1、2、又は3である)である。別の実施形態において、式(II)の化合物、又はその溶媒和物、N-オキシド、立体異性体、若しくは薬学的に許容できる塩(式中、nは、1又は2である)である。別の実施形態において、式(II)の化合物、又はその溶媒和物、N-オキシド、立体異性体、若しくは薬学的に許容できる塩(式中、nは0である)である。別の実施形態において、式(II)の化合物、又はその溶媒和物、N-オキシド、立体異性体、若しくは薬学的に許容できる塩(式中、nは1である)である。別の実施形態において、式(II)の化合物、又はその溶媒和物、N-オキシド、立体異性体、若しくは薬学的に許容できる塩(式中、nは2である)である。別の実施形態において、式(II)の化合物、又はその溶媒和物、N-オキシド、立体異性体、若しくは薬学的に許容できる塩(式中、nは3である)である。
【0061】
別の実施形態において、式(II)の化合物、又はその溶媒和物、N-オキシド、立体異性体、若しくは薬学的に許容できる塩(式中、nは、1、2、又は3であり、各Rは、独立して、ハロゲン、-CN、C1~6アルキル、C1~6アルキニル、C1~6ハロアルキル、-C(O)R、-OR、並びにハロゲン、C1~6アルキル、C1~6ハロアルキル、C1~6アルコキシ、及びC1~6ハロアルコキシから独立して選択される1つ又は2つの置換基で任意選択的に置換されるフェニルから選択される)である。別の実施形態において、式(II)の化合物、又はその溶媒和物、N-オキシド、立体異性体、若しくは薬学的に許容できる塩(式中、nは、1又は2であり、各Rは、独立して、ハロゲン、-CN、C1~6アルキル、C1~6アルキニル、C1~6ハロアルキル、-C(O)R、-OR、並びにハロゲン、C1~6アルキル、C1~6ハロアルキル、C1~6アルコキシ、及びC1~6ハロアルコキシから独立して選択される1つ又は2つの置換基で任意選択的に置換されるフェニルから選択される)である。
【0062】
別の実施形態において、式(II)の化合物、又はその溶媒和物、N-オキシド、立体異性体、若しくは薬学的に許容できる塩(式中、nは2であり、各Rは、独立して、ハロゲン、-CN、C1~6アルキル、C1~6アルキニル、C1~6ハロアルキル、-C(O)R、-OR、並びにハロゲン、C1~6アルキル、C1~6ハロアルキル、C1~6アルコキシ、及びC1~6ハロアルコキシから独立して選択される1つ又は2つの置換基で任意選択的に置換されるフェニルから選択される)である。別の実施形態において、式(II)の化合物、又はその溶媒和物、N-オキシド、立体異性体、若しくは薬学的に許容できる塩(式中、nは2であり、各Rは、独立して、ハロゲン、C1~6アルキル、C1~6ハロアルキル、-OR、並びにハロゲン、C1~6アルキル、C1~6ハロアルキル、C1~6アルコキシ、及びC1~6ハロアルコキシから独立して選択される1つ又は2つの置換基で置換されるフェニルから選択される)である。別の実施形態において、式(II)の化合物、又はその溶媒和物、N-オキシド、立体異性体、若しくは薬学的に許容できる塩(式中、nは2であり、各Rは、独立して、ハロゲン及びC1~6ハロアルキルから選択される)である。別の実施形態において、式(II)の化合物、又はその溶媒和物、N-オキシド、立体異性体、若しくは薬学的に許容できる塩(式中、nは2であり、各Rは、独立して、-Cl及び-CFから選択される)である。別の実施形態において、式(II)の化合物、又はその溶媒和物、N-オキシド、立体異性体、若しくは薬学的に許容できる塩(式中、nは2であり、各Rは、独立して、-F及び-CFから選択される)である。別の実施形態において、式(II)の化合物、又はその溶媒和物、N-オキシド、立体異性体、若しくは薬学的に許容できる塩(式中、nは2であり、各Rは、独立して、ハロゲン及びC1~6アルキルから選択される)である。別の実施形態において、式(II)の化合物、又はその溶媒和物、N-オキシド、立体異性体、若しくは薬学的に許容できる塩(式中、nは2であり、各Rは、独立して、-Cl及び-CHから選択される)である。別の実施形態において、式(II)の化合物、又はその溶媒和物、N-オキシド、立体異性体、若しくは薬学的に許容できる塩(式中、nは2であり、各Rは、独立して、-F及び-CHから選択される)である。別の実施形態において、式(II)の化合物、又はその溶媒和物、N-オキシド、立体異性体、若しくは薬学的に許容できる塩(式中、nは2であり、各Rは、独立して、ハロゲン及び-ORから選択される)である。別の実施形態において、式(II)の化合物、又はその溶媒和物、N-オキシド、立体異性体、若しくは薬学的に許容できる塩(式中、nは2であり、各Rは、独立して、ハロゲン及び-ORから選択され、RはC1~6ハロアルキルである)である。別の実施形態において、式(II)の化合物、又はその溶媒和物、N-オキシド、立体異性体、若しくは薬学的に許容できる塩(式中、nは2であり、各Rは、独立して、-Cl及び-OCFから選択される)である。別の実施形態において、式(II)の化合物、又はその溶媒和物、N-オキシド、立体異性体、若しくは薬学的に許容できる塩(式中、nは2であり、各Rは、独立して、-F及び-OCFから選択される)である。別の実施形態において、式(II)の化合物、又はその溶媒和物、N-オキシド、立体異性体、若しくは薬学的に許容できる塩(式中、nは2であり、各Rは、独立して、ハロゲン及び-ORから選択され、Rは、ハロゲン、C1~6アルキル、C1~6アルキニル、C1~6ハロアルキル、C1~6アルコキシ、C1~6ハロアルコキシ、及びC(O)ORから独立して選択される1つ又は2つの置換基で任意選択的に置換されるフェニルである)である。別の実施形態において、式(II)の化合物、又はその溶媒和物、N-オキシド、立体異性体、若しくは薬学的に許容できる塩(式中、nは2であり、各Rは、独立して、ハロゲン及び-ORから選択され、Rは、ハロゲン、C1~6ハロアルキル、及びC1~6ハロアルコキシから独立して選択される1つ又は2つの置換基で任意選択的に置換されるフェニルである)である。別の実施形態において、式(II)の化合物、又はその溶媒和物、N-オキシド、立体異性体、若しくは薬学的に許容できる塩(式中、nは2であり、各Rは、独立して、ハロゲン及び-ORから選択され、Rは、ハロゲン、C1~6ハロアルキル、及びC1~6ハロアルコキシから独立して選択される1つ又は2つの置換基で置換されるフェニルである)である。別の実施形態において、式(II)の化合物、又はその溶媒和物、N-オキシド、立体異性体、若しくは薬学的に許容できる塩(式中、nは2であり、各Rは、独立して、ハロゲン及び-ORから選択され、Rは、ハロゲン、C1~6ハロアルキル、及びC1~6ハロアルコキシから独立して選択される2つの置換基で置換されるフェニルである)である。別の実施形態において、式(II)の化合物、又はその溶媒和物、N-オキシド、立体異性体、若しくは薬学的に許容できる塩(式中、nは2であり、各Rは、独立して、ハロゲン及び-ORから選択され、Rは、ハロゲン、C1~6ハロアルキル、及びC1~6ハロアルコキシから選択される1つの置換基で置換されるフェニルである)である。別の実施形態において、式(II)の化合物、又はその溶媒和物、N-オキシド、立体異性体、若しくは薬学的に許容できる塩(式中、nは2であり、各Rは、独立して、ハロゲン及び-ORから選択され、Rは、ハロゲン、C1~6アルキル、C1~6ハロアルキル、C1~6アルコキシ、C1~6ハロアルコキシ、及びC(O)ORから独立して選択される1つ又は2つの置換基で任意選択的に置換される-C1~6アルキル-フェニルである)である。別の実施形態において、式(II)の化合物、又はその溶媒和物、N-オキシド、立体異性体、若しくは薬学的に許容できる塩(式中、nは2であり、各Rは、独立して、ハロゲン及び-ORから選択され、Rは、ハロゲン、C1~6ハロアルキル、及びC1~6ハロアルコキシから独立して選択される1つ又は2つの置換基で任意選択的に置換される-C1~6アルキル-フェニルである)である。別の実施形態において、式(II)の化合物、又はその溶媒和物、N-オキシド、立体異性体、若しくは薬学的に許容できる塩(式中、nは2であり、各Rは、独立して、ハロゲン及び-ORから選択され、Rは、ハロゲン、C1~6ハロアルキル、及びC1~6ハロアルコキシから独立して選択される1つ又は2つの置換基で置換される-C1~6アルキル-フェニルである)である。別の実施形態において、式(II)の化合物、又はその溶媒和物、N-オキシド、立体異性体、若しくは薬学的に許容できる塩(式中、nは2であり、各Rは、独立して、ハロゲン及び-ORから選択され、Rは、ハロゲン、C1~6ハロアルキル、及びC1~6ハロアルコキシから独立して選択される2つの置換基で置換される-C1~6アルキル-フェニルである)である。別の実施形態において、式(II)の化合物、又はその溶媒和物、N-オキシド、立体異性体、若しくは薬学的に許容できる塩(式中、nは2であり、各Rは、独立して、ハロゲン及び-ORから選択され、Rは、ハロゲン、C1~6ハロアルキル、及びC1~6ハロアルコキシから選択される1つの置換基で置換される-C1~6アルキル-フェニルである)である。
【0063】
別の実施形態において、式(II)の化合物、又はその溶媒和物、N-オキシド、立体異性体、若しくは薬学的に許容できる塩(式中、nは1であり、Rは、ハロゲン、-CN、C1~6アルキル、C1~6アルキニル、C1~6ハロアルキル、-C(O)R、-OR、並びにハロゲン、C1~6アルキル、C1~6ハロアルキル、C1~6アルコキシ、及びC1~6ハロアルコキシから独立して選択される1つ又は2つの置換基で任意選択的に置換されるフェニルから選択される)である。別の実施形態において、式(II)の化合物、又はその溶媒和物、N-オキシド、立体異性体、若しくは薬学的に許容できる塩(式中、nは1であり、Rは、ハロゲン、C1~6アルキル、C1~6ハロアルキル、-OR、並びにハロゲン、C1~6アルキル、C1~6ハロアルキル、C1~6アルコキシ、及びC1~6ハロアルコキシから独立して選択される1つ又は2つの置換基で置換されるフェニルから選択される)である。別の実施形態において、式(II)の化合物、又はその溶媒和物、N-オキシド、立体異性体、若しくは薬学的に許容できる塩(式中、nは1であり、Rはハロゲンである)である。別の実施形態において、式(II)の化合物、又はその溶媒和物、N-オキシド、立体異性体、若しくは薬学的に許容できる塩(式中、nは1であり、Rは-Clである)である。別の実施形態において、式(II)の化合物、又はその溶媒和物、N-オキシド、立体異性体、若しくは薬学的に許容できる塩(式中、nは1であり、Rは-Fである)である。別の実施形態において、式(II)の化合物、又はその溶媒和物、N-オキシド、立体異性体、若しくは薬学的に許容できる塩(式中、nは1であり、RはC1~6アルキルである)である。別の実施形態において、式(II)の化合物、又はその溶媒和物、N-オキシド、立体異性体、若しくは薬学的に許容できる塩(式中、nは1であり、Rは-CHである)である。別の実施形態において、式(II)の化合物、又はその溶媒和物、N-オキシド、立体異性体、若しくは薬学的に許容できる塩(式中、nは1であり、RはC1~6ハロアルキルである)である。別の実施形態において、式(II)の化合物、又はその溶媒和物、N-オキシド、立体異性体、若しくは薬学的に許容できる塩(式中、nは1であり、Rは-CFである)である。別の実施形態において、式(II)の化合物、又はその溶媒和物、N-オキシド、立体異性体、若しくは薬学的に許容できる塩(式中、nは1であり、Rは-ORである)である。別の実施形態において、式(II)の化合物、又はその溶媒和物、N-オキシド、立体異性体、若しくは薬学的に許容できる塩(式中、nは1であり、Rは-ORであり、RはC1~6ハロアルキルである)である。別の実施形態において、式(II)の化合物、又はその溶媒和物、N-オキシド、立体異性体、若しくは薬学的に許容できる塩(式中、nは1であり、Rは-OCFである)である。別の実施形態において、式(II)の化合物、又はその溶媒和物、N-オキシド、立体異性体、若しくは薬学的に許容できる塩(式中、nは1であり、Rは-ORであり、Rは、ハロゲン、C1~6アルキル、C1~6アルキニル、C1~6ハロアルキル、C1~6アルコキシ、C1~6ハロアルコキシ、及びC(O)ORから独立して選択される1つ又は2つの置換基で任意選択的に置換されるフェニルである)である。別の実施形態において、式(II)の化合物、又はその溶媒和物、N-オキシド、立体異性体、若しくは薬学的に許容できる塩(式中、nは1であり、Rは-ORであり、Rは、ハロゲン、C1~6ハロアルキル、及びC1~6ハロアルコキシから独立して選択される1つ又は2つの置換基で任意選択的に置換されるフェニルである)である。別の実施形態において、式(II)の化合物、又はその溶媒和物、N-オキシド、立体異性体、若しくは薬学的に許容できる塩(式中、nは1であり、Rは-ORであり、Rは、ハロゲン、C1~6ハロアルキル、及びC1~6ハロアルコキシから独立して選択される1つ又は2つの置換基で置換されるフェニルである)である。別の実施形態において、式(II)の化合物、又はその溶媒和物、N-オキシド、立体異性体、若しくは薬学的に許容できる塩(式中、nは1であり、Rは-ORであり、Rは、ハロゲン、C1~6ハロアルキル、及びC1~6ハロアルコキシから独立して選択される2つの置換基で置換されるフェニルである)である。別の実施形態において、式(II)の化合物、又はその溶媒和物、N-オキシド、立体異性体、若しくは薬学的に許容できる塩(式中、nは1であり、Rは-ORであり、Rは、ハロゲン、C1~6ハロアルキル、及びC1~6ハロアルコキシから選択される1つの置換基で置換されるフェニルである)である。別の実施形態において、式(II)の化合物、又はその溶媒和物、N-オキシド、立体異性体、若しくは薬学的に許容できる塩(式中、nは1であり、Rは-ORであり、Rは、ハロゲン、C1~6アルキル、C1~6アルキニル、C1~6ハロアルキル、C1~6アルコキシ、C1~6ハロアルコキシ、及びC(O)ORから独立して選択される1つ又は2つの置換基で任意選択的に置換される-C1~6アルキル-フェニルである)である。別の実施形態において、式(II)の化合物、又はその溶媒和物、N-オキシド、立体異性体、若しくは薬学的に許容できる塩(式中、nは1であり、Rは-ORであり、Rは、ハロゲン、C1~6ハロアルキル、及びC1~6ハロアルコキシから独立して選択される1つ又は2つの置換基で任意選択的に置換される-C1~6アルキル-フェニルである)である。別の実施形態において、式(II)の化合物、又はその溶媒和物、N-オキシド、立体異性体、若しくは薬学的に許容できる塩(式中、nは1であり、Rは-ORであり、Rは、ハロゲン、C1~6ハロアルキル、及びC1~6ハロアルコキシから独立して選択される1つ又は2つの置換基で置換される-C1~6アルキル-フェニルである)である。別の実施形態において、式(II)の化合物、又はその溶媒和物、N-オキシド、立体異性体、若しくは薬学的に許容できる塩(式中、nは1であり、Rは-ORであり、Rは、ハロゲン、C1~6ハロアルキル、及びC1~6ハロアルコキシから独立して選択される2つの置換基で置換される-C1~6アルキル-フェニルである)である。別の実施形態において、式(II)の化合物、又はその溶媒和物、N-オキシド、立体異性体、若しくは薬学的に許容できる塩(式中、nは1であり、Rは-ORであり、Rは、ハロゲン、C1~6ハロアルキル、及びC1~6ハロアルコキシから選択される1つの置換基で置換される-C1~6アルキル-フェニルである)である。別の実施形態において、式(II)の化合物、又はその溶媒和物、N-オキシド、立体異性体、若しくは薬学的に許容できる塩(式中、nは1であり、Rは、ハロゲン、C1~6アルキル、C1~6ハロアルキル、C1~6アルコキシ、及びC1~6ハロアルコキシから独立して選択される1つ又は2つの置換基で任意選択的に置換されるフェニルである)である。別の実施形態において、式(II)の化合物、又はその溶媒和物、N-オキシド、立体異性体、若しくは薬学的に許容できる塩(式中、nは1であり、Rは、ハロゲン、C1~6アルキル、C1~6ハロアルキル、C1~6アルコキシ、及びC1~6ハロアルコキシから独立して選択される1つ又は2つの置換基で置換されるフェニルである)である。別の実施形態において、式(II)の化合物、又はその溶媒和物、N-オキシド、立体異性体、若しくは薬学的に許容できる塩(式中、nは1であり、Rは、ハロゲン、C1~6アルキル、C1~6ハロアルキル、C1~6アルコキシ、及びC1~6ハロアルコキシから選択される1つの置換基で置換されるフェニルである)である。別の実施形態において、式(II)の化合物、又はその溶媒和物、N-オキシド、立体異性体、若しくは薬学的に許容できる塩(式中、nは1であり、Rは、ハロゲン、C1~6アルキル、C1~6ハロアルキル、C1~6アルコキシ、及びC1~6ハロアルコキシから独立して選択される2つの置換基で置換されるフェニルである)である。
【0064】
本明細書において提供されるさらなる実施形態は、上に記載される特定の実施形態の1つ以上の組合せを含む。
【0065】
ある実施形態において、本明細書に開示される化合物は、
【化6】

【化7】

【化8】

【化9】

;又はその溶媒和物、N-オキシド、立体異性体、若しくは薬学的に許容できる塩から選択される。
【0066】
ある実施形態において、本明細書に開示される化合物は、
【化10】

;又はその溶媒和物、N-オキシド、立体異性体、若しくは薬学的に許容できる塩から選択される。
【0067】
化合物の調製
本明細書に記載される反応に使用される化合物は、市販の化学物質及び/又は化学文献に記載される化合物から出発して、有機合成技術に従って製造される。「市販の化学物質」は、Acros Organics(Geel,Belgium)、Aldrich Chemical(Milwaukee,WI(Sigma Chemical及びFlukaを含む))、Apin Chemicals Ltd.(Milton Park,UK)、Ark Pharm,Inc.(Libertyville,IL)、Avocado Research(Lancashire,U.K.)、BDH Inc.(Toronto,Canada)、Bionet(Cornwall,U.K.)、Chemservice Inc.(West Chester,PA)、Combi-blocks(San Diego,CA)、Crescent Chemical Co.(Hauppauge,NY)、eMolecules(San Diego,CA)、Fisher Scientific Co.(Pittsburgh,PA)、Fisons Chemicals(Leicestershire,UK)、Frontier Scientific(Logan,UT)、ICN Biomedicals,Inc.(Costa Mesa,CA)、Key Organics(Cornwall,U.K.)、Lancaster Synthesis(Windham,NH)、Matrix Scientific(Columbia,SC)、Maybridge Chemical Co.Ltd.(Cornwall,U.K.)、Parish Chemical Co.(Orem,UT)、Pfaltz&Bauer,Inc.(Waterbury,CN)、Polyorganix(Houston,TX)、Pierce Chemical Co.(Rockford,IL)、Riedel de Haen AG(Hanover,Germany)、Ryan Scientific,Inc.(Mount Pleasant,SC)、Spectrum Chemicals(Gardena,CA)、Sundia Meditech(Shanghai,China)、TCI America(Portland,OR)、Trans World Chemicals,Inc.(Rockville,MD)及びWuXi(Shanghai,China)を含む標準的な商業的供給源から入手される。
【0068】
本明細書に記載される化合物の調製に有用な反応剤の合成を詳述するか、又は調製について記載する論文を参照する好適な参考文献及び論文は、例えば、“Synthetic Organic Chemistry”,John Wiley&Sons,Inc.,New York;S.R.Sandler et al.,“Organic Functional Group Preparations”,2nd Ed.,Academic Press,New York,1983;H.O.House,“Modern Synthetic Reactions”,2nd Ed.,W.A.Benjamin,Inc.Menlo Park,Calif.1972;T.L.Gilchrist,“Heterocyclic Chemistry”,2nd Ed.,John Wiley&Sons,New York,1992;J.March,“Advanced Organic Chemistry:Reactions,Mechanisms and Structure”,4th Ed.,Wiley-Interscience,New York,1992を含む。本明細書に記載される化合物の調製に有用な反応剤の合成を詳述するか、又は調製について記載する論文を参照するさらなる好適な参考文献及び論文は、例えば、Fuhrhop,J.and Penzlin G.“Organic Synthesis:Concepts,Methods,Starting Materials”,Second,Revised and Enlarged Edition(1994)John Wiley&Sons ISBN:3-527-29074-5;Hoffman,R.V.“Organic Chemistry,An Intermediate Text”(1996)Oxford University Press,ISBN 0-19-509618-5;Larock,R.C.“Comprehensive Organic Transformations:A Guide to Functional Group Preparations”2nd Edition(1999)Wiley-VCH,ISBN:0-471-19031-4;March,J.“Advanced Organic Chemistry:Reactions,Mechanisms,and Structure”4th Edition(1992)John Wiley&Sons,ISBN:0-471-60180-2;Otera,J.(editor)“Modern Carbonyl Chemistry”(2000)Wiley-VCH,ISBN:3-527-29871-1;Patai,S.“Patai’s 1992 Guide to the Chemistry of Functional Groups”(1992)Interscience ISBN:0-471-93022-9;Solomons,T.W.G.“Organic Chemistry”7th Edition(2000)John Wiley&Sons,ISBN:0-471-19095-0;Stowell,J.C.,“Intermediate Organic Chemistry”2nd Edition(1993)Wiley-Interscience,ISBN:0-471-57456-2;“Industrial Organic Chemicals:Starting Materials and Intermediates:An Ullmann’s Encyclopedia”(1999)John Wiley&Sons,ISBN:3-527-29645-X,in 8 volumes;“Organic Reactions”(1942-2000)John Wiley&Sons,in over 55 volumes;及び“Chemistry of Functional Groups”John Wiley&Sons,in 73 volumesを含む。
【0069】
特定の及び類似の反応剤は、ほとんどの公立図書館及び大学図書館並びにオンラインデータベース(米国化学会(American Chemical Society)、Washington,D.C.)で入手可能である、米国化学会(American Chemical Society)のChemical Abstract Serviceによって調製される公知の化学物質の索引によっても特定される。公知であるがカタログで市販されていない化学物質は、カスタム化学物質合成業者によって任意選択的に調製され、ここで、標準的な化学物質供給業者(例えば、上に挙げられるもの)の多くがカスタム合成サービスを提供する。本明細書に記載される化合物の薬学的な塩の調製及び選択のための参考文献は、P.H.Stahl&C.G.Wermuth “Handbook of Pharmaceutical Salts”,Verlag Helvetica Chimica Acta,Zurich,2002である。
【0070】
本明細書に開示される化合物のさらなる形態
異性体
さらに、ある実施形態において、本明細書に記載される化合物は、幾何異性体として存在する。ある実施形態において、本明細書に記載される化合物は、1つ以上の二重結合を有する。本明細書に示される化合物は、全てのシス、トランス、シン、アンチ、反対側(E)及び同じ側(Z)の異性体並びにそれらの対応する混合物を含む。ある場合には、化合物は、互変異性体として存在する。本明細書に記載される化合物は、本明細書に記載される式中の全ての可能な互変異性体を含む。ある場合には、本明細書に記載される化合物は、1つ以上のキラル中心を有し、各中心は、R配置又はS配置で存在する。本明細書に記載される化合物は、全てのジアステレオマー、鏡像異性体及びエピマー形態並びにそれらの対応する混合物を含む。本明細書において提供される化合物及び方法のさらなる実施形態において、単一の調製工程、組合せ又は相互変換から得られる鏡像異性体及び/又はジアステレオ異性体の混合物は、本明細書に記載される用途に有用である。ある実施形態において、本明細書に記載される化合物は、ラセミ混合物のキラルクロマトグラフ分離により、光学的に純粋な鏡像異性体として調製される。ある実施形態において、本明細書に記載される化合物は、化合物のラセミ混合物を光学活性分割剤と反応させて、ジアステレオマー化合物の対を形成し、ジアステレオマーを分離し、光学的に純粋な鏡像異性体を回収することにより、それらの個々の立体異性体として調製される。ある実施形態において、分離可能な錯体が好ましい(例えば、結晶性ジアステレオマー塩)。ある実施形態において、ジアステレオマーは、異なる物理的特性(例えば、融点、沸点、溶解度、反応性など)を有し、これらの相違を利用することによって分離される。ある実施形態において、ジアステレオマーは、キラルクロマトグラフィー又は好ましくは溶解度の差に基づく分離/分割技術によって分離される。ある実施形態において、次に、光学的に純粋な鏡像異性体は、分割剤とともに、ラセミ化をもたらさない任意の実用的手段によって回収される。
【0071】
標識化合物
ある実施形態において、本明細書に記載される化合物は、それらの同位体標識形態で存在する。ある実施形態において、本明細書に開示される方法は、このような同位体標識化合物を投与することにより、疾病を治療する方法を含む。ある実施形態において、本明細書に開示される方法は、医薬組成物のような同位体標識化合物を投与することにより、疾病を治療する方法を含む。したがって、ある実施形態において、本明細書に開示される化合物は、1つ以上の原子が、自然界で通常見られる原子質量又は質量数と異なる原子質量又は質量数を有する原子で置換されていることを除いて、本明細書に記載されるものと同一である同位体標識化合物を含む。本明細書に記載される化合物に組み込まれる同位体の例としては、水素、炭素、窒素、酸素、リン、硫黄、フッ素及び塩化物の同位体、例えばそれぞれH、H、13C、14C、l5N、18O、17O、31P、32P、35S、18F及び36Clが挙げられる。上記の同位体及び/又は他の原子の他の同位体を含む、本明細書に記載される化合物及びその薬学的に許容できる塩、エステル、溶媒和物、水和物又は誘導体は、本発明の範囲内である。いくつかの同位体標識化合物、例えばH及び14Cなどの放射性同位体が組み込まれたものは、薬物及び/又は基質組織分布アッセイにおいて有用である。トリチウム、すなわちH及び炭素-14、すなわち14C、同位体は、調製及び検出の容易さのために特に好ましい。さらに、重水素、すなわちHなどの重い同位体での置換により、より高い代謝的安定性、例えば増加した生体内半減期又は減少した必要投与量に起因するいくつかの治療上の利点が得られる。ある実施形態において、同位体標識化合物、その薬学的に許容できる塩、エステル、溶媒和物、水和物又は誘導体が任意の好適な方法によって調製される。
【0072】
ある実施形態において、本明細書に記載される化合物は、発色団又は蛍光部分、生物発光標識又は化学発光標識の使用を含むが、これらに限定されない他の手段によって標識される。
【0073】
薬学的に許容できる塩
ある実施形態において、本明細書に記載される化合物は、それらの薬学的に許容できる塩として存在する。ある実施形態において、本明細書に開示される方法は、このような薬学的に許容できる塩を投与することにより、疾病を治療する方法を含む。ある実施形態において、本明細書に開示される方法は、医薬組成物のような薬学的に許容できる塩を投与することにより、疾病を治療する方法を含む。
【0074】
ある実施形態において、本明細書に記載される化合物は、酸性又は塩基性基を有し、したがっていくつかの無機又は有機塩基及び無機及び有機酸のいずれかと反応して、薬学的に許容できる塩を形成する。ある実施形態において、これらの塩は、本明細書に記載される化合物の最終的な単離及び精製中、又は遊離形態の精製された化合物を好適な酸若しくは塩基と別々に反応させ、このように形成される塩を単離することにより、その場で調製される。
【0075】
溶媒和物
ある実施形態において、本明細書に記載される化合物は、溶媒和物として存在する。ある実施形態において、このような溶媒和物を投与することにより、疾病を治療する方法である。医薬組成物のような溶媒和物を投与することにより、疾病を治療する方法が本明細書にさらに記載される。
【0076】
溶媒和物は、化学量論量又は非化学量論量のいずれかの溶媒を含有し、ある実施形態において、水、エタノールなどの薬学的に許容できる溶媒による結晶化のプロセス中に形成される。溶媒が水である場合、水和物が形成されるか、又は溶媒がアルコールである場合、アルコラートが形成される。本明細書に記載される化合物の溶媒和物は、本明細書に記載されるプロセス中に好都合に調製又は形成される。単なる例として、本明細書に記載される化合物の水和物は、ジオキサン、テトラヒドロフラン又はMeOHを含むが、これらに限定されない有機溶媒を用いて、水性/有機溶媒混合物から再結晶化によって好都合に調製される。さらに、本明細書において提供される化合物は、非溶媒和並びに溶媒和形態で存在する。一般に、溶媒和形態は、本明細書において提供される化合物及び方法の趣旨では非溶媒和形態と均等と見なされる。
【0077】
医薬組成物
特定の実施形態において、本明細書に記載される式(I)又は(II)の化合物は、純粋な化学物質として投与される。ある実施形態において、本明細書に記載される式(I)又は(II)の化合物は、選択された投与経路及び例えばRemington:The Science and Practice of Pharmacy(Gennaro,21st Ed.Mack Pub.Co.,Easton,PA(2005))に記載されるような標準的な薬務に基づいて選択される、薬学的に好適な若しくは許容できる担体(本明細書において、薬学的に好適な(若しくは許容できる)賦形剤、生理学的に好適な(若しくは許容できる)賦形剤又は生理学的に好適な(若しくは許容できる)担体とも呼ばれる)と組み合わされる。
【0078】
したがって、本明細書に記載される式(I)又は(II)の少なくとも1つの化合物又はその立体異性体、薬学的に許容できる塩、水和物、溶媒和物若しくはN-オキシドを1つ以上の薬学的に許容できる担体と一緒に含む医薬組成物が本明細書において提供される。担体(又は賦形剤)は、担体が、組成物の他の成分と適合性があり、組成物のレシピエント(すなわち対象)に有害でない場合、許容できるか又は好適である。
【0079】
一実施形態は、薬学的に許容できる賦形剤及び式(I)の化合物、又はその薬学的に許容できる塩を含む医薬組成物を提供する。
【0080】
別の実施形態は、薬学的に許容できる賦形剤及び式(I)の化合物、又はその薬学的に許容できる塩から本質的になる医薬組成物を提供する。
【0081】
一実施形態は、薬学的に許容できる賦形剤及び式(II)の化合物、又はその薬学的に許容できる塩を含む医薬組成物を提供する。
【0082】
別の実施形態は、薬学的に許容できる賦形剤及び式(II)の化合物、又はその薬学的に許容できる塩から本質的になる医薬組成物を提供する。
【0083】
特定の実施形態において、本明細書に記載される式(I)又は(II)の化合物は、例えば、合成方法の工程の1つ以上で生成される汚染性の中間体又は副産物などの他の有機小分子を約5%未満、又は約1%未満、又は約0.1%未満含有する点で実質的に純粋である。
【0084】
これらの製剤としては、経口、直腸、局所、口腔、非経口(例えば、皮下、筋肉内、皮内若しくは静脈内)、膣内、眼内又はエアロゾル投与に好適なものが挙げられるが、任意の所与の場合の最も好適な投与形態は、治療される病態の程度及び重症度並びに使用される特定の化合物の性質に応じて決まる。例えば、開示される組成物は、単位用量として製剤化され、且つ/又は経口若しくは皮下投与用に製剤化される。
【0085】
例示的な医薬組成物は、外部、腸内又は非経口適用に好適な有機若しくは無機担体又は賦形剤との混合物中において、有効成分として開示される化合物の1つ以上を含む、例えば固体、半固体又は液体形態の医薬品製剤の形態で使用される。ある実施形態において、有効成分は、例えば、錠剤、ペレット、カプセル、坐剤、溶液、エマルション、懸濁液及び使用に好適な任意の他の形態のための通常の非毒性の薬学的に許容できる担体と配合される。有効な目的化合物は、疾病の過程又は病態に所望の効果をもたらすのに十分な量で医薬組成物に含まれる。
【0086】
錠剤などの固体組成物を調製するためのある実施形態において、主な有効成分は、医薬担体、例えばトウモロコシデンプン、ラクトース、スクロース、ソルビトール、タルク、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、リン酸二カルシウム又はガムなどの従来の錠剤化成分及び他の医薬品希釈剤、例えば水と混合されて、開示される化合物又はその非毒性の薬学的に許容できる塩の均一な混合物を含有する固体製剤化前組成物が形成される。これらの製剤化前組成物が均一であると言及する場合、組成物が錠剤、丸剤及びカプセルなどの等しく有効な単位剤形に容易にさらに分割されるように、有効成分が組成物全体にわたって均一に分散されることを意味する。
【0087】
経口投与のための固体剤形(カプセル、錠剤、丸剤、糖衣錠、粉末、顆粒など)において、本発明の組成物は、クエン酸ナトリウム又はリン酸二カルシウムなどの1つ以上の薬学的に許容できる担体及び/又は以下のいずれか:(1)充填剤又は増量剤、例えばデンプン、セルロース、微結晶性セルロース、ケイ化微結晶性セルロース、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトール及び/又はケイ酸;(2)結合剤、例えばカルボキシメチルセルロース、ヒプロメロース、アルギン酸塩、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、スクロース及び/又はアカシア;(3)保湿剤、例えばグリセロール;(4)崩壊剤、例えばクロスポビドン、クロスカルメロースナトリウム、デンプングリコール酸ナトリウム、寒天、炭酸カルシウム、ジャガイモ又はタピオカデンプン、アルギン酸、いくつかのケイ酸塩及び炭酸ナトリウム;(5)溶解遅延剤、例えばパラフィン;(6)吸収促進剤、例えば第四級アンモニウム化合物;(7)湿潤剤、例えばドキュセートナトリウム、セチルアルコール及びモノステアリン酸グリセロール;(8)吸収剤、例えばカオリン及びベントナイト粘土;(9)潤滑剤、例えばタルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム及びそれらの混合物;並びに(10)着色剤と混合される。カプセル、錠剤及び丸剤の場合、ある実施形態において、組成物は、緩衝剤を含む。ある実施形態において、同様のタイプの固体組成物も、ラクトース又は乳糖のような賦形剤並びに高分子量ポリエチレングリコールなどを用いて、軟質及び硬質ゼラチンカプセルにおいて充填剤として用いられる。
【0088】
ある実施形態において、錠剤は、任意選択的に、1つ以上の補助成分とともに圧縮又は成形によって製造される。ある実施形態において、圧縮錠は、結合剤(例えば、ゼラチン又はヒドロキシプロピルメチルセルロース)、潤滑剤、不活性希釈剤、防腐剤、崩壊剤(例えば、デンプングリコール酸ナトリウム又は架橋ナトリウムカルボキシメチルセルロース)、表面活性又は分散剤を用いて調製される。ある実施形態において、成形された錠剤は、好適な機械において、不活性な液体希釈剤で湿らせた本発明の組成物の混合物を成形することによって製造される。ある実施形態において、錠剤並びに糖衣錠、カプセル、丸剤及び顆粒などの他の固体剤形は、コーティング及びシェル、例えば腸溶コーティング及び他のコーティングを用いて分割又は調製される。
【0089】
吸入又は吹送のための組成物としては、薬学的に許容できる水性若しくは有機溶媒又はそれらの混合物中の溶液及び懸濁液並びに粉末が挙げられる。経口投与のための液体剤形としては、薬学的に許容できるエマルション、マイクロエマルション、溶液、懸濁液、シロップ及びエリキシル剤が挙げられる。本発明の組成物に加えて、ある実施形態において、液体剤形は、不活性希釈剤、例えば水又は他の溶媒、可溶化剤及び乳化剤、例えばエチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、油(任意選択的に綿実油、落花生油、トウモロコシ油、胚芽油、オリーブ油、ヒマシ油及びゴマ油)、グリセロール、テトラヒドロフリルアルコール、ポリエチレングリコール及びソルビタンの脂肪酸エステル、シクロデキストリン及びそれらの混合物を含有する。
【0090】
ある実施形態において、懸濁液は、本発明の組成物に加えて、例えばエトキシ化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトール及びソルビタンエステル、微結晶性セルロース、アルミニウムメタヒドロキシド、ベントナイト、寒天、トラガカント及びそれらの混合物のような懸濁化剤を含有する。
【0091】
ある実施形態において、直腸又は膣内投与のための製剤は、坐剤として示され、これは、本発明の組成物を、例えばカカオ脂、ポリエチレングリコール、坐剤ワックス又はサリチレートを含む1つ以上の好適な非刺激性の賦形剤又は担体と混合することによって調製され、室温で固体であるが、体温で液体であるため、体腔内で溶解し、活性薬剤を放出する。
【0092】
本発明の組成物の経皮投与のための剤形としては、粉末、スプレー、軟膏、ペースト、クリーム、ローション、ゲル、溶液、パッチ及び吸入剤が挙げられる。ある実施形態において、有効成分は、滅菌状態で、薬学的に許容できる担体及び必要に応じて任意の保存剤、緩衝液又は噴射剤と混合される。
【0093】
ある実施形態において、軟膏、ペースト、クリーム及びゲルは、本発明の組成物に加えて、動物性及び植物性脂肪、油、ワックス、パラフィン、デンプン、トラガカント、セルロース誘導体、ポリエチレングリコール、シリコーン、ベントナイト、ケイ酸、タルク及び酸化亜鉛又はそれらの混合物などの賦形剤を含有する。
【0094】
ある実施形態において、粉末及びスプレーは、本発明の組成物に加えて、ラクトース、タルク、ケイ酸、水酸化アルミニウム、ケイ酸カルシウム及びポリアミド粉末又はこれらの物質の混合物などの賦形剤を含有する。ある実施形態において、スプレーは、クロロフルオロ炭化水素などの慣例的な噴射剤並びにブタン及びプロパンなどの揮発性非置換炭化水素をさらに含有する。
【0095】
ある実施形態において、本明細書に記載される化合物は、眼内投与のための点眼剤として製剤化される。
【0096】
本明細書に開示される組成物及び化合物は、代わりに、エアロゾルによって投与される。これは、本化合物を含有する水性エアロゾル、リポソーム製剤又は固体粒子を調製することによって達成される。ある実施形態において、非水性(例えば、フッ化炭素噴射剤)懸濁液が使用される。ある実施形態において、本発明の組成物に含まれる化合物の分解を生じさせるせん断に薬剤を曝すのを最小限に抑えるため、超音波ネブライザーが使用される。通常、水性エアロゾルは、本発明の組成物の水溶液又は懸濁液を従来の薬学的に許容できる担体及び安定剤と一緒に製剤化することによって製造される。担体及び安定剤は、特定の本発明の組成物の必要条件により変化するが、典型的に、非イオン性界面活性剤(Tweens、Pluronics又はポリエチレングリコール)、血清アルブミンのような無害のタンパク質、ソルビタンエステル、オレイン酸、レシチン、及びグリシンなどのアミノ酸、緩衝液、塩、糖又は糖アルコールを含む。エアロゾルは、一般に、等張液から調製される。
【0097】
非経口投与に好適な医薬組成物は、ある実施形態において、酸化防止剤、緩衝液、静菌剤、製剤を目的のレシピエントの血液と等張にする溶質又は懸濁化剤若しくは増粘剤を含有する、1つ以上の薬学的に許容できる滅菌等張水性又は非水性溶液、分散体、懸濁液又はエマルション又は使用の直前に滅菌注射用溶液若しくは分散体に再構成される滅菌粉末と組み合わせて本発明の組成物を含む。
【0098】
医薬組成物に用いられる好適な水性及び非水性担体の例としては、水、エタノール、ポリオール(グリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなど)及びそれらの好適な混合物、オリーブ油などの植物油及びオレイン酸エチルなどの注射用有機酸エステル及びシクロデキストリンが挙げられる。適切な流動性は、例えば、レシチンなどのコーティング材料の使用により、分散体の場合、必要とされる粒径の維持及び界面活性剤の使用によって維持される。
【0099】
開示される化合物、腸溶材料及びその薬学的に許容できる担体又は賦形剤を含む経腸医薬製剤も考えられる。腸溶材料は、胃の酸性環境中で実質的に不溶性であり、特定のpHで腸液に大部分が溶解するポリマーを指す。小腸は、胃と大腸との間の消化管(腸)の部分であり、十二指腸、空腸及び回腸を含む。十二指腸のpHは、約5.5であり、空腸のpHは、約6.5であり、回腸末端部のpHは、約7.5である。したがって、腸溶材料は、例えば、約5.0、約5.2、約5.4、約5.6、約5.8、約6.0、約6.2、約6.4、約6.6、約6.8、約7.0、約7.2、約7.4、約7.6、約7.8、約8.0、約8.2、約8.4、約8.6、約8.8、約9.0、約9.2、約9.4、約9.6、約9.8又は約10.0のpHになるまで溶解しない。例示的な腸溶材料としては、酢酸フタル酸セルロース(CAP)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート(HPMCP)、ポリ酢酸ビニルフタレート(PVAP)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート(HPMCAS)、酢酸トリメリト酸セルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースサクシネート、酢酸コハク酸セルロース、酢酸ヘキサヒドロフタル酸セルロース、プロピオン酸フタル酸セルロース、酢酸マレイン酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、酢酸プロピオン酸セルロース、メチルメタクリル酸及びメチルメタクリレートのコポリマー、メチルアクリレート、メチルメタクリレート及びメタクリル酸のコポリマー、メチルビニルエーテル及び無水マレイン酸のコポリマー(Gantrez ESシリーズ)、エチルメタクリレート-メチルメタクリレート-クロロトリメチルアンモニウムエチルアクリレートコポリマー、ゼイン、シェラック及びコパールコロホリウム(copal collophorium)などの天然樹脂及びいくつかの市販の腸溶性分散系(例えば、Eudragit L30D55、Eudragit FS30D、Eudragit L100、Eudragit S100、Kollicoat EMM30D、Estacryl 30D、Coateric及びAquateric)が挙げられる。上記の材料のそれぞれの溶解度は、公知であるか、又はインビトロで容易に決定可能である。
【0100】
本明細書に記載される式(I)又は(II)の少なくとも1つの化合物を含む組成物の用量は、患者(例えば、ヒト)の状態、すなわち疾病の段階、全体的な健康状態、年齢及び他の要因に応じて異なる。
【0101】
医薬組成物は、治療される(又は予防される)疾病に適した方法で投与される。適切な用量及び投与の好適な期間及び頻度は、患者の状態、患者の疾病のタイプ及び重症度、有効成分の特定の形態及び投与方法のような要因によって決定される。一般に、適切な用量及び治療計画は、治療及び/又は予防効果(例えば、改善した臨床転帰、例えばより高頻度の完全寛解若しくは部分寛解、又はより長い無病及び/又は全生存、又は症状の重症度の軽減をもたらすのに十分な量の組成物を提供する。至適用量は、一般に、実験モデル及び/又は臨床試験を用いて決定される。ある実施形態において、至適用量は、患者の体格、体重又は血液量に応じて決まる。
【0102】
経口用量は、典型的に、1日に1~4回又はそれを超えて約1.0mg~約1000mgの範囲である。
【0103】
方法
ABHD12の活性を調節する方法が本明細書に開示される。考えられる方法は、例えば、前記酵素を、本明細書に記載される化合物に曝すことを含む。ある実施形態において、上記の方法の1つ以上によって用いられる化合物は、式(I)又は(II)の化合物など、本明細書に記載される一般的な、亜種の又は特定の化合物の1つである。ある実施形態において、式(I)又は(II)の化合物が本明細書において提供され、ここで、化合物は、ABHD12阻害剤である。ある実施形態において、式(I)又は(II)の化合物が本明細書において提供され、ここで、化合物は、選択的ABHD12阻害剤である。ABHD12を調節又は阻害する本明細書に記載される化合物の能力は、当該技術分野において公知であるか、及び/又は本明細書に記載される手順によって評価される。本開示の別の態様は、患者におけるABHD12の発現又は活性に関連する疾病を治療する方法を提供する。ある実施形態において、式(I)又は(II)の化合物が本明細書において提供され、ここで、化合物は、他のセリンヒドロラーゼの阻害と比較した際、ABHD12を阻害するのに選択的である。ある実施形態において、式(I)又は(II)の化合物が本明細書において提供され、ここで、化合物は、他のセリンヒドロラーゼの阻害と比較した際、ABHD12を阻害するのに10、100又は1000倍選択的である。
【0104】
別の実施形態において、疾病又は疾患の治療を、それを必要としている患者において行う方法であって、治療有効量の、本明細書に記載される式(I)若しくは(II)の化合物、又はその溶媒和物、水和物、互変異性体、N-オキシド、若しくは薬学的に許容できる塩を患者に投与する工程を含み、疾病又は疾患は、神経精神疾患、自己免疫疾患、神経炎症性疾患、神経変性疾患、又は癌である、方法である。別の実施形態において、神経精神疾患の治療を、それを必要としている患者において行う方法であって、治療有効量の、本明細書に記載される式(I)若しくは(II)の化合物、又はその溶媒和物、水和物、互変異性体、N-オキシド、若しくは薬学的に許容できる塩を患者に投与する工程を含む方法である。別の実施形態において、自己免疫疾患の治療を、それを必要としている患者において行う方法であって、治療有効量の、本明細書に記載される式(I)若しくは(II)の化合物、又はその溶媒和物、水和物、互変異性体、N-オキシド、若しくは薬学的に許容できる塩を患者に投与する工程を含む方法である。別の実施形態において、神経炎症性疾患の治療を、それを必要としている患者において行う方法であって、治療有効量の、本明細書に記載される式(I)若しくは(II)の化合物、又はその溶媒和物、水和物、互変異性体、N-オキシド、若しくは薬学的に許容できる塩を患者に投与する工程を含む方法である。別の実施形態において、神経変性疾患の治療を、それを必要としている患者において行う方法であって、治療有効量の、本明細書に記載される式(I)若しくは(II)の化合物、又はその溶媒和物、水和物、互変異性体、N-オキシド、若しくは薬学的に許容できる塩を患者に投与する工程を含む方法である。別の実施形態において、癌の治療を、それを必要としている患者において行う方法であって、治療有効量の、本明細書に記載される式(I)若しくは(II)の化合物、又はその溶媒和物、水和物、互変異性体、N-オキシド、若しくは薬学的に許容できる塩を患者に投与する工程を含む方法である。
【0105】
別の実施形態において、癌の治療を、それを必要としている患者において行う方法であって、治療有効量の、式(I)若しくは(II)の化合物、又はその溶媒和物、N-オキシド、立体異性体、若しくは薬学的に許容できる塩を患者に投与する工程を含み、化合物が免疫療法薬である、方法である。
【0106】
ある実施形態において、本明細書に記載される式(I)若しくは(II)の化合物は、疾病を治療するために患者の免疫系を刺激する。ある実施形態において、疾病の治療を、それを必要としている患者において行う方法であって、治療有効量の、式(I)若しくは(II)の化合物、又はその溶媒和物、N-オキシド、立体異性体、若しくは薬学的に許容できる塩を患者に投与する工程を含み、化合物の投与が患者の免疫系を刺激する、方法である。別の実施形態において、癌の治療を、それを必要としている患者において行う方法であって、治療有効量の、式(I)若しくは(II)の化合物、又はその溶媒和物、N-オキシド、立体異性体、若しくは薬学的に許容できる塩を患者に投与する工程を含み、化合物の投与が患者の免疫系を刺激する、方法である。別の実施形態において、癌の治療を、それを必要としている患者において行う方法であって、治療有効量の、式(I)若しくは(II)の化合物、又はその溶媒和物、N-オキシド、立体異性体、若しくは薬学的に許容できる塩を患者に投与する工程を含み、化合物の投与が免疫応答を開始させる、方法である。
【0107】
別の実施形態において、感染症の治療を、それを必要としている患者において行う方法であって、治療有効量の、式(I)若しくは(II)の化合物、又はその溶媒和物、N-オキシド、立体異性体、若しくは薬学的に許容できる塩を患者に投与する工程を含み、化合物が免疫療法薬である、方法である。
【0108】
別の実施形態において、感染症の治療を、それを必要としている患者において行う方法であって、治療有効量の、式(I)若しくは(II)の化合物、又はその溶媒和物、N-オキシド、立体異性体、若しくは薬学的に許容できる塩を患者に投与する工程を含み、化合物の投与が患者の免疫系を刺激する、方法である。別の実施形態において、感染症の治療を、それを必要としている患者において行う方法であって、治療有効量の、式(I)若しくは(II)の化合物、又はその溶媒和物、N-オキシド、立体異性体、若しくは薬学的に許容できる塩を患者に投与する工程を含み、化合物の投与が患者の免疫系を刺激する、方法である。別の実施形態において、感染症の治療を、それを必要としている患者において行う方法であって、治療有効量の、式(I)若しくは(II)の化合物、又はその溶媒和物、N-オキシド、立体異性体、若しくは薬学的に許容できる塩を患者に投与する工程を含み、化合物の投与が免疫応答を開始させる、方法である。
【0109】
特定の実施形態において、上記の方法の1つ以上によって用いられる開示される化合物は、式(I)又は(II)の化合物など、本明細書に記載される一般的な、亜種の又は特定の化合物の1つである。
【0110】
開示される化合物は、このような治療を必要としている患者(動物及びヒト)に対し、最適な薬学的有効性を提供する投与量で投与される。任意の特定の用途に使用するのに必要とされる用量は、選択される特定の化合物又は組成物だけでなく、投与経路、治療される病態の性質、患者の年齢及び状態、併用投薬又は後に患者が従う特別食及び他の要因にもより、患者ごとに異なることが理解され、適切な投与量は、最終的に担当医の裁量による。上記の病態及び疾病を治療するために、本明細書に開示される考えられる化合物は、従来の非毒性の薬学的に許容できる担体、助剤及びビヒクルを含有する投与単位製剤中で、経口で、皮下に、局所に、非経口で、吸入スプレーによって又は直腸に投与される。非経口投与は、皮下注射、静脈内若しくは筋肉内注射又は注入技術を含む。
【0111】
併用療法、例えば開示される化合物及びさらなる活性薬剤を、これらの治療剤の相互作用による有益な効果を得ることを意図した特定の治療計画の一環として同時投与することも本明細書において考えられる。組合せの有益な効果としては、限定はされないが、治療剤の組合せから得られる薬物動態学的又は薬力学的相互作用が挙げられる。これらの治療剤の組合せの投与は、典型的に、所定の期間(通常、選択される組合せに応じて、数週間、数か月間又は数年間)にわたって行われる。併用療法は、複数の治療剤の連続した投与(すなわち各治療剤が異なる時点で投与される)並びにこれらの治療剤又は治療剤の少なくとも2つのほぼ同時の投与を包含することが意図される。
【0112】
ほぼ同時の投与は、例えば、単一の製剤又は組成物(例えば、各治療剤の一定の比率を有する錠剤若しくはカプセル又は治療剤のそれぞれについての単一の製剤(例えば、カプセル))を複数回対象に投与することによって行われる。各治療剤の連続又はほぼ同時の投与は、経口経路、静脈内経路、筋肉内経路及び粘膜組織を通した直接吸収を含むが、これらに限定されない任意の適切な経路によって行われる。治療剤は、同じ経路又は異なる経路によって投与される。例えば、選択された組合せの第1の治療剤が静脈注射によって投与される一方、組合せの他の治療剤が経口投与される。代わりに、例えば、全ての治療剤が経口投与されるか、又は全ての治療剤が静脈注射によって投与される。
【0113】
併用療法は、他の生物学的に活性な成分及び非薬物療法とさらに組み合わせた上述される治療剤の投与も包含する。併用療法が非薬物治療をさらに含む場合、非薬物治療は、治療剤及び非薬物治療の組合せの相互作用による有益な効果が得られる限り、任意の好適な時点で行われる。例えば、適切な場合、有益な効果は、非薬物治療がおそらく数日間又はさらに数週間だけ治療剤の投与から一時的に取り除かれる場合、依然として得られる。
【0114】
組合せの成分は、患者に同時に又は連続して投与される。成分が同じ薬学的に許容できる担体中に存在し、したがって同時に投与されることが理解されるであろう。代わりに、有効成分は、同時に又は連続して投与される、従来の経口剤形などの別個の医薬担体中に存在する。
【0115】
以下の実施例は、様々な実施形態の例示として示されるに過ぎず、決して本発明を限定するものと解釈されるべきではない。
【実施例
【0116】
略語のリスト
上記で使用される際及び本発明の説明全体を通して、以下の略語は、特に示されない限り、以下の意味を有することが理解されるべきである。
ACN又はMeCN:アセトニトリル
Bn:ベンジル
BOC又はBoc:カルバミン酸tert-ブチル
CDI:1,1’-カルボニルジイミダゾール
Cy:シクロヘキシル
DCE:ジクロロエタン(ClCHCHCl)
DCM:ジクロロメタン(CHCl
DIPEA又はDIEA:ジイロプロピルエチルアミン
DMAP:4-(N,N-ジメチルアミノ)ピリジン
DMF:ジメチルホルムアミド
DMA:N,N-ジメチルアセトアミド
DMSO:ジメチルスルホキシド
equiv:当量
Et:エチル
EtOH:エタノール
EtOAc:酢酸エチル
HATU:1-[ビス(ジメチルアミノ)メチレン]-1H-1,2,3-トリアゾロ[4,5-b]ピリジニウム3-オキシドヘキサフルオロホスフェート
HPLC:高速液体クロマトグラフィー
LAH:水素化アルミニウムリチウム
Me:メチル
MeOH:メタノール
MS:質量分析
NMM:N-メチルモルホリン
NMR:核磁気共鳴
PMB:パラ-メトキシベンジル
TEA:トリエチルアミン
TFA:トリフルオロ酢酸
THF:テトラヒドロフラン
TLC:薄層クロマトグラフィー
【0117】
I.化学合成
特に断りのない限り、試薬及び溶媒は、商業的供給業者から入手したままの状態で使用した。無水溶媒及びオーブンで乾燥させたガラス製品を、水分及び/又は酸素の影響を受けやすい合成変換に使用した。収率は、最適化されなかった。反応時間は、近似値であり、最適化されなかった。特に断りのない限り、カラムクロマトグラフィー及び薄層クロマトグラフィー(TLC)は、シリカゲル上で行った。スペクトルがppm(δ)で示され、結合定数(J)がヘルツで報告される。プロトンスペクトルについては、溶媒ピークを基準ピークとして使用した。
【0118】
実施例1:1-(1-(3-クロロ-5-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル)ピペリジン-4-イル)-3-(ピリジン-3-イル)チオ尿素
【化11】

工程1:t-ブチル(1-(3-クロロ-5-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル)ピペリジン-4-イル)カルバメートの調製
【化12】

乾燥DMF(2.5mL)中の2,3-ジクロロ-5-(トリフルオロメチル)ピリジン(11)(1.0g、4.6mmol)、t-ブチル(ピペリジン-4-イル)カルバメート、(0.93g、4.6mmol)及びCu粉末(40mg)の溶液を、120℃で30分間撹拌した。混合物をDCMで希釈し、水及び塩水で洗浄した。有機層をNaSO上で乾燥させ、減圧下で濃縮した。残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィーによって精製して、t-ブチル(1-(3-クロロ-5-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル)ピペリジン-4-イル)カルバメート(800mg、46%)を白色の固体として得た。H NMR(CDCl、600MHz)δ8.35(s,1H)、7.72(s,1H)、4.54(s,1H)、3.97-3.93(m,2H)、3.69(s,1H)、3.00(ddd,2H、J=12.4、11.5、2.5Hz)、2.06-2.02(m,2H)、1.54(dtd,2H、J=12.7、11.1、3.9Hz)、1.44(s,9H).
【0119】
工程2:t-ブチル(1-(3-クロロ-5-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル)ピペリジン-4-イル)カルバメートの調製
【化13】

DCM(0.5mL)中のt-ブチル(1-(3-クロロ-5-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル)ピペリジン-4-イル)カルバメート(50mg、0.13mmol)の溶液に、ジオキサン中4NのHCl(0.5mL)を滴下して加えた。混合物を室温で2時間撹拌し、N流下で乾燥させて、1-(3-クロロ-5-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル)ピペリジン-4-アミンを得た。粗材料をDCM(1mL)に溶解させた。DIPEA(90μL、0.51mmol)及び3-ピリジンイソチオシアネート(19mg、0.14mmol)を加え、混合物を室温で3時間撹拌し、DCMで希釈し、飽和NaHCOで洗浄した。有機層をNaSO上で乾燥させ、減圧下で濃縮した。残渣を分取TLCによって精製して、t-ブチル(1-(3-クロロ-5-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル)ピペリジン-4-イル)カルバメート(50mg、94%)を白色の固体として得た。H NMR(CDCl、600MHz)δ8.56(dd,1H、J=4.8、1.5Hz)、8.54(dd,1H、J=2.6、0.8Hz)、8.37-8.36(m,1H)、7.74(d,1H、J=2.2Hz)、7.66(s,1H)、7.61(dt,1H、J=8.3、2.2Hz)、7.40(dd,1H、J=8.1、4.7、0.8Hz)、5.77(d,1H、J=8.1Hz)、4.60-4.54(1H、m)、4.00(d,2H、J=13.7Hz)、3.07(ddd,2H、J=13.7、11.6、2.5Hz)、2.25-2.21(m,2H)、1.60-1.54(m,2H).C1717ClFSに対するHRMS計算値[M+H]416.0924、実測値416.0928.
【0120】
実施例2:1-(ピリジン-3-イル)-3-(1-(4-(4-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ)ピリジン-2-イル)ピペリジン-4-イル)チオ尿素
【化14】

工程1:2-クロロ-4-(4-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ)ピリジンの調製
【化15】

乾燥DMF(1.0mL)中の4-トリフルオロメトキシフェノール(406mg、2.3mmol)の溶液に、0℃で鉱油中60%の水素化ナトリウム(91mg、2.3mmol)をゆっくりと加えた。混合物を室温に温め、20分間撹拌した。反応混合物を0℃に冷却し、2-クロロ-4-フルオロピリジン(300mg、2.3mmol)を加えた。反応混合物を90℃で一晩撹拌し、減圧下で濃縮した。残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィーによって精製して、2-クロロ-4-(4-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ)ピリジン(580mg、88%)を無色油として得た。H NMR(CDCl、600MHz)δ8.23(d,1H、J=5.7Hz)、7.31-7.28(m,2H)、7.14-7.11(m,2H)、6.83(d,1H、J=2.2Hz)、6.79(dd,1H、J=5.7、2.2Hz).C12ClFNOに対するHRMS計算値[M+H]290.0196、実測値290.0198.
【0121】
工程2:t-ブチル(1-(4-(4-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ)ピリジン-2-イル)ピペリジン-4-イル)カルバメートの調製
【化16】

乾燥DMSO(0.85mL)中の2-クロロ-4-(4-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ)ピリジン(500mg、1.7mmol)、t-ブチル(ピペリジン-4-イル)カルバメート(1.38g、6.9mmol)及び炭酸カリウム(360mg、2.6mmol)の溶液を、120℃で12時間撹拌した。混合物をDCMに溶解させ、EtOAcとともにシリカのパッドに通してろ過した。溶離剤を減圧下で濃縮し、残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィーによって精製して、t-ブチル(1-(4-(4-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ)ピリジン-2-イル)ピペリジン-4-イル)カルバメート(390mg、50%)を白色の固体として得た。H NMR(CDCl、600MHz)δ8.00(d,J=5.7Hz、1H)、7.18(d,J=8.7Hz、2H)、7.05-7.02(m,2H)、6.17(d,J=2.1Hz、1H)、6.12(dd,J=5.7、2.0Hz、1H)、4.60(d,J=8.0Hz、1H)、4.10(dt,J=13.8、3.9Hz、2H)、3.64(d,J=10.2Hz、1H)、2.91(ddd,J=13.9、11.6、2.8Hz、2H)、1.96(d,J=13.0Hz、2H)、1.41(s,9H)、1.40-1.33(m,2H).C2226に対するHRMS計算値[M+H]454.1954、実測値454.1957.
【0122】
工程3:1-(ピリジン-3-イル)-3-(1-(4-(4-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ)ピリジン-2-イル)ピペリジン-4-イル)チオ尿素の調製
【化17】

1-(ピリジン-3-イル)-3-(1-(4-(4-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ)ピリジン-2-イル)ピペリジン-4-イル)チオ尿素を、86%の収率で、実施例1、工程2に記載されるように、t-ブチル(1-(4-(4-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ)ピリジン-2-イル)ピペリジン-4-イル)カルバメート、HCl、及び3-ピリジンイソチオシアネートから調製した。H NMR(CDCl、600MHz)δ8.56(s,1H)、8.46(d,J=2.6Hz、1H)、8.43(dd,J=4.8、1.5Hz、1H)、8.02(d,J=5.7Hz、1H)、7.73(dt,J=8.6、1.8Hz、1H)、7.32(ddd,J=8.2、4.8、0.7Hz、1H)、7.23-7.21(m,2H)、7.08-7.05(m,2H)、6.21(s,1H)、6.19(d,J=2.1Hz、1H)、6.15(dd,J=5.7、2.0Hz、1H)、4.53(s,1H)、4.15-4.11(m,2H)、2.99(ddd,J=13.9、11.6、2.7Hz、2H)、2.16-2.12(m,2H)、1.40(qd,J=11.7、4.1Hz、2H).C2322Sに対するHRMS計算値[M+H]490.1525、実測値490.1528.
【0123】
実施例3:1-(1-(3-クロロ-4-(4-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ)ピリジン-2-イル)ピペリジン-4-イル)-3-(ピリジン-3-イル)チオ尿素
【化18】

工程1:2,3-ジクロロ-4-(4-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ)ピリジンの調製
【化19】

2,3-ジクロロ-4-(4-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ)ピリジンを、96%の収率で、実施例2、工程1に記載されるように、4-トリフルオロメトキシフェノール及び2,3,4-トリクロロピリジンから調製した。H NMR(CDCl、600MHz)δ8.09(d,1H、J=5.6Hz)、7.31-7.28(m,2H)、7.15-7.12(m,2H)、6.61(d,1H、J=5.5Hz).C12ClNOに対するHRMS計算値[M+H]323.9806、実測値323.9813.
【0124】
工程2:t-ブチル(1-(3-クロロ-4-(4-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ)ピリジン-2-イル)ピペリジン-4-イル)カルバメートの調製
【化20】

t-ブチル(1-(3-クロロ-4-(4-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ)ピリジン-2-イル)ピペリジン-4-イル)カルバメートを、63%の収率で、実施例2、工程2に記載されるように、2,3-ジクロロ-4-(4-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ)ピリジン及びt-ブチル(ピペリジン-4-イル)カルバメートから調製した。H NMR(CDCl、600MHz)δ8.00(d,J=5.6Hz、1H)、7.24(d,J=8.5Hz、2H)、7.09-7.06(m,2H)、6.33(d,J=5.6Hz、1H)、4.56-4.51(m,1H)、3.78(d,J=13.0Hz、2H)、3.68(s,1H)、2.97(ddd,J=13.4、11.3、2.5Hz、2H)、2.06(d,J=12.1Hz、2H)、1.59(dtd,J=12.6、11.0、3.9Hz、2H)、1.45(s,9H).C2225ClFに対するHRMS計算値[M+H]488.1564、実測値488.1571.
【0125】
工程3:1-(1-(3-クロロ-4-(4-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ)ピリジン-2-イル)ピペリジン-4-イル)-3-(ピリジン-3-イル)チオ尿素の調製
【化21】

1-(1-(3-クロロ-4-(4-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ)ピリジン-2-イル)ピペリジン-4-イル)-3-(ピリジン-3-イル)チオ尿素を、68%の収率で、実施例1、工程2に記載されるように、t-ブチル(1-(3-クロロ-4-(4-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ)ピリジン-2-イル)ピペリジン-4-イル)カルバメート、HCl、及び3-ピリジンイソチオシアネートから調製した。H NMR(DMSO-d、600MHz)δ9.49(s,1H)、8.57(d,J=2.5Hz、1H)、8.28(d,J=4.7Hz、1H)、8.10(dd,J=5.5、1.1Hz、1H)、8.05(s,1H)、7.97(d,J=7.8Hz、1H)、7.46(d,J=8.5Hz、2H)、7.34(dd,J=8.3、4.7Hz、1H)、7.29-7.26(m,2H)、6.50(d,J=5.5、1H)、4.37(s,1H)、3.74(d,J=12.5Hz、2H)、2.97(t、J=11.8Hz、2H)、2.06(d,J=8.7Hz、2H)、1.68(q,J=10.6、2H).C2321ClFSに対するHRMS計算値[M+H]524.1135、実測値524.1138.
【0126】
実施例4:1-(1-(3-クロロ-4-(2-クロロ-4-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ)ピリジン-2-イル)ピペリジン-4-イル)-3-(ピリジン-3-イル)チオ尿素
【化22】

工程1:2,3-ジクロロ-4-(2-クロロ-4-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ)ピリジンの調製
【化23】

2,3-ジクロロ-4-(2-クロロ-4-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ)ピリジンを、82%の収率で、実施例2、工程1に記載されるように、2-クロロ-4-トリフルオロメトキシフェノール及び2,3,4-トリクロロピリジン(1.5g、8.3mmol)から調製した。H NMR(CDCl、600MHz)δ8.12(d,1H、J=5.6Hz)、7.43(dt,1H、J=2.6、0.8Hz)、7.26-7.22(m,2H)、6.45(d,1H、J=5.6Hz).C12ClNOに対するHRMS計算値[M+H]357.9416、実測値357.9422.
【0127】
工程2:t-ブチル(1-(3-クロロ-4-(2-クロロ-4-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ)ピリジン-2-イル)ピペリジン-4-イル)(メチル)カルバメートの調製
【化24】

t-ブチル(1-(3-クロロ-4-(2-クロロ-4-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ)ピリジン-2-イル)ピペリジン-4-イル)(メチル)カルバメートを、39%の収率で、実施例2、工程2に記載されるように、2,3-ジクロロ-4-(2-クロロ-4-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ)ピリジン及びN-メチル-t-ブチル(ピペリジン-4-イル)カルバメートから調製した。H NMR(CDCl、600MHz)δ8.00(d,J=5.5Hz、1H)、7.39(d,J=2.7Hz、1H)、7.19-7.17(m,1H)、7.12(d,J=8.9Hz、1H)、6.17(d,J=5.6Hz、1H)、4.24-3.94(m,3H)、2.92(t、J=11.7Hz、2H)、2.79(s,3H)、1.92-1.86(m,2H)、1.76(ddd,J=11.7、4.4、2.0Hz、2H)、1.48(s,9H).C2326Clに対するHRMS計算値[M+H]536.1331、実測値536.1334.
【0128】
工程3:1-(1-(3-クロロ-4-(2-クロロ-4-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ)ピリジン-2-イル)ピペリジン-4-イル)-3-(ピリジン-3-イル)チオ尿素の調製
【化25】

1-(1-(3-クロロ-4-(2-クロロ-4-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ)ピリジン-2-イル)ピペリジン-4-イル)-3-(ピリジン-3-イル)チオ尿素を、76%の収率で、実施例1、工程2に記載されるように、t-ブチル(1-(3-クロロ-4-(2-クロロ-4-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ)ピリジン-2-イル)ピペリジン-4-イル)(メチル)カルバメート、HCl及び3-ピリジンイソチオシアネートから調製した。H NMR(CDCl、600MHz)δ8.56-8.55(m,2H)、7.98(d,J=5.6Hz、1H)、7.84(s,1H)、7.64(d,J=8.3Hz、0H)、7.41-7.38(m,2H)、7.18(ddd,J=9.0、2.8、0.9Hz、1H)、7.12(d,J=8.9Hz、1H)、6.17(d,J=5.6Hz、1H)、5.87(d,J=7.9Hz、1H)、4.55(s,1H)、3.82(d,J=12.9Hz、2H)、3.05(ddd,J=13.5、11.4、2.5Hz、2H)、2.26-2.22(m,2H)、1.66-1.60(m,2H).C2320ClSに対するHRMS計算値[M+H]558.0745、実測値558.0751.
【0129】
実施例5:1-(1-(3-クロロ-4-(2-クロロ-4-エチニルフェノキシ)ピリジン-2-イル)ピペリジン-4-イル)-3-(ピリジン-3-イル)チオ尿素
【化26】

工程1:2,3-ジクロロ-4-(2-クロロ-4-ヨードフェノキシ)ピリジンの調製
【化27】

2,3-ジクロロ-4-(2-クロロ-4-ヨードフェノキシ)ピリジンを、78%の収率で、実施例2、工程1に記載されるように、2-クロロ-4-ヨードフェノール及び2,3,4-トリクロロピリジン(500mg、2.8mmol)から調製した。H NMR(CDCl、600MHz)δ8.10(d,J=5.5Hz、1H)、7.86(d,J=2.1Hz、1H)、7.67(dd,J=8.5、2.1Hz、1H)、6.92(d,J=8.5Hz、1H)、6.45(d,J=5.6Hz、C11ClINOに対するHRMS計算値[M+H]399.8560、実測値399.8566.
【0130】
工程2:t-ブチル(1-(3-クロロ-4-(2-クロロ-4-ヨードフェノキシ)ピリジン-2-イル)ピペリジン-4-イル)カルバメートの調製
【化28】

t-ブチル(1-(3-クロロ-4-(2-クロロ-4-ヨードフェノキシ)ピリジン-2-イル)ピペリジン-4-イル)カルバメートを、36%の収率で、実施例2、工程2に記載されるように、2,3-ジクロロ-4-(2-クロロ-4-ヨードフェノキシ)ピリジン(200mg、0.50mmol)及びt-ブチル(ピペリジン-4-イル)カルバメートから調製した。H NMR(CDCl、600MHz)δ7.97(d,J=5.6Hz、1H)、7.81(d,J=2.1Hz、1H)、7.59(dd,J=8.5、2.1Hz、1H)、6.82(d,J=8.5Hz、1H)、6.17(d,J=5.6Hz、1H)、4.54-4.53(m,1H)、3.81-3.77(m,2H)、3.68(s,1H)、2.97(ddd,J=13.3、11.4、2.4Hz、2H)、2.08-2.05(m,2H)、1.59(dtd,J=12.7、11.1、3.9Hz、2H).C2125ClINに対するHRMS計算値[M+H]564.0318、実測値564.0322.
【0131】
工程3:t-ブチル(1-(3-クロロ-4-(2-クロロ-4-エチニルフェノキシ)ピリジン-2-イル)ピペリジン-4-イル)カルバメートの調製
【化29】

THF(1.92mL)中のt-ブチル(1-(3-クロロ-4-(2-クロロ-4-ヨードフェノキシ)ピリジン-2-イル)ピペリジン-4-イル)カルバメート(80mg、0.14mmol)の溶液に、PdCl(PPh(2.5mg、3.5μmol)、CuI(0.68mg、3.5μmol)、TMS-アセチレン(42μL、0.16mmol)、及びDIPEA(130μL、0.72mmol)を加えた。反応混合物を2時間撹拌し、減圧下で濃縮し、DCMで研和し、飽和NaHCOで洗浄した。有機層をNaSO上で乾燥させ、減圧下で濃縮した。残渣をショートカラムに通して、粗生成物を得て、それをMeOH(3mL)に溶解させた。KCO(39mg、0.28mmol)を加え、混合物を室温で2時間撹拌し、濃縮し、DCMで研和し、分取TLCによって精製して、t-ブチル(1-(3-クロロ-4-(2-クロロ-4-エチニルフェノキシ)ピリジン-2-イル)ピペリジン-4-イル)カルバメート(61mg、2工程で93%)を褐色の非晶質の固体として得た。H NMR(CDCl、600MHz)δ7.98(d,J=5.6Hz、1H)、7.61(d,J=2.0Hz、1H)、7.39(dd,J=8.4、2.0Hz、1H)、7.01(d,J=8.4Hz、1H)、6.19(d,J=5.6Hz、1H)、4.54(d,J=7.8Hz、1H)、3.81-3.77(m,2H)、3.68(s,1H)、3.13(s,1H)、2.97(ddd,J=13.4、11.3、2.4Hz、2H)、2.06(dd,J=13.1、4.0Hz、2H)、1.59(dtd,J=12.7、11.0、3.9Hz、2H)、1.45(s,9H).C2326Clに対するHRMS計算値[M+H]462.1351、実測値462.1357.
【0132】
工程4:1-(1-(3-クロロ-4-(2-クロロ-4-エチニルフェノキシ)ピリジン-2-イル)ピペリジン-4-イル)-3-(ピリジン-3-イル)チオ尿素の調製
【化30】

1-(1-(3-クロロ-4-(2-クロロ-4-エチニルフェノキシ)ピリジン-2-イル)ピペリジン-4-イル)-3-(ピリジン-3-イル)チオ尿素を、88%の収率で、実施例1、工程2に記載されるように、t-ブチル(1-(3-クロロ-4-(2-クロロ-4-エチニルフェノキシ)ピリジン-2-イル)ピペリジン-4-イル)及び3-ピリジンイソチオシアネートから調製した。H NMR(CDCl、600MHz)δ8.65(s,1H)、8.50(d,J=2.6Hz、1H)、8.46(dd,J=4.8、1.5Hz、1H)、7.95(d,J=5.5Hz、1H)、7.74(dt,J=8.4、2.0Hz、1H)、7.59(d,J=1.9Hz、1H)、7.38(dd,J=8.3、2.0Hz、1H)、7.34(dd,J=8.2、4.8Hz、1H)、7.00(d,J=8.4Hz、1H)、6.22(s,1H)、6.17(d,J=5.6Hz、1H)、4.52(s,1H)、3.79(dd,J=13.1、4.4Hz、2H)、3.12(s,1H)、3.02(ddd,J=13.5、11.1、2.4Hz、2H)、2.22-2.18(m,2H)、1.64(tt,J=15.2、7.7Hz、2H).C2422ClOSに対するHRMS計算値[M+H]498.0922、実測値498.0925.
【0133】
実施例6:1-(1-(3-クロロ-4-(2-クロロ-4-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ)ピリジン-2-イル)ピペリジン-4-イル)-3-(ピリジン-3-イル)尿素
【化31】

1-(1-(3-クロロ-4-(2-クロロ-4-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ)ピリジン-2-イル)ピペリジン-4-イル)-3-(ピリジン-3-イル)尿素の調製
【化32】

DCM(0.5mL)中の3-アミノピリジン(49mg、0.52mmol)及びDIPEA(90μL、0.52mmol)の溶液に、1,1-カルボニルジイミダゾール(100mg、0.62mmol)を加えた。混合物を室温で3時間撹拌してから、1-(3-クロロ-4-(2-クロロ-4-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ)ピリジン-2-イル)ピペリジン-4-アミン(109mg、0.26mmol)(実施例4、工程1~3aに従って調製された)及びDIPEA(140μL、0.78mmol)を加えた。混合物を室温で17時間撹拌し、DCMで希釈し、飽和NaHCO及び飽和NHClで洗浄した。有機層をNaSO上で乾燥させ、減圧下で濃縮した。残渣を分取TLCによって精製して、1-(1-(3-クロロ-4-(2-クロロ-4-エチニルフェノキシ)ピリジン-2-イル)ピペリジン-4-イル)-3-(ピリジン-3-イル)チオ尿素の粗混合物を得て、それを再結晶化させて、生成物(31mg、22%)を白色の固体として得た。H NMR(CDCl、600MHz)δ8.34(d,J=2.6Hz、1H)、8.23(dd,J=4.8、1.5Hz、1H)、8.05(ddd,J=8.4、2.7、1.5Hz、1H)、7.98(d,J=5.6Hz、1H)、7.73(s,1H)、7.39(d,J=2.5Hz、1H)、7.24(dd,J=8.4、4.7Hz、1H)、7.17(ddd,J=8.9、2.7、1.0Hz、1H)、7.12(d,J=8.9Hz、1H)、6.17(d,J=5.6Hz、1H)、5.42(d,J=7.8Hz、1H)、3.97-3.90(m,1H)、3.79(d,J=12.7Hz、2H)、3.02(ddd,J=13.3、11.1、2.5Hz、2H)、2.13-2.07(m,2H)、1.66-1.59(m,2H).C2320Clに対するHRMS計算値[M+H]542.0974、実測値542.0984.
【0134】
実施例7:(S)-1,3-ジオキソ-7-(4-フェノキシベンゾイル)ヘキサヒドロイミダゾ[1,5-a]ピラジン-2(3H)-イル4-(4-(プロパ-2-イン-1-イルオキシ)フェニル)ピペラジン-1-カルボキシレート
【化33】

(S)-1,3-ジオキソ-7-(4-フェノキシベンゾイル)ヘキサヒドロイミダゾ[1,5-a]ピラジン-2(3H)-イル4-(4-(プロパ-2-イン-1-イルオキシ)フェニル)ピペラジン-1-カルボキシレートの調製
【化34】

(S)-1,3-ジオキソヘキサヒドロイミダゾ[1,5-a]ピラジン-2(3H)-イル4-(4-(プロパ-2-イン-1-イルオキシ)フェニル)ピペラジン-1-カルボキシレート(Cognetta,A.B.et al.Selective N-Hydroxyhydantoin Carbamate Inhibitors of Mammalian Serine Hydrolases.Chemistry & Biology 2015,22,928-937によって報告されるように調製された)(23mg、54μmol、1当量)を、200μLのDMFに溶解させた。4-フェノキシ安息香酸(12mg、54μmol、1当量)、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(EDCI・HCl)(16mg、82μmol、1.5当量)、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール一水和物(HOBt・HO)(13mg、82μmol、1.5当量)、及びDIPEA(19μL、110μmol、2当量)を加えた。得られた混合物を室温で一晩撹拌し、飽和NaHCO水溶液に注いだ。混合物をEtOAcで2回抽出した。組み合わされた有機層をHO及び塩水で洗浄し、NaSO上で乾燥させ、減圧下で濃縮した。残渣を分取TLCによって精製して、(S)-1,3-ジオキソ-7-(4-フェノキシベンゾイル)ヘキサヒドロイミダゾ[1,5-a]ピラジン-2(3H)-イル4-(4-(プロパ-2-イン-1-イルオキシ)フェニル)ピペラジン-1-カルボキシレート(28mg、86%)を白色の固体として得た。H NMR(CDCl、600MHz)δ7.43-7.37(m,4H)、7.19(tt,J=7.4、1.1Hz、1H)、7.09-7.06(m,2H)、7.03-7.01(m,2H)、6.94-6.88(m,4H)、4.64(d,J=2.5Hz、3H)、4.14(brs、1H)、4.12(brs、1H)、3.77(s,2H)、3.64(s,2H)、3.22-2.91(m,8H)、2.51(t、J=2.4Hz、1H).C3331に対するHRMS計算値[M+H]610.2296、実測値610.2298.
【0135】
実施例8~85:実施例8~85を、実施例1~7と同様の方法で調製した。
【0136】
【表1】
【0137】
【表2】
【0138】
【表3】
【0139】
【表4】
【0140】
【表5】
【0141】
【表6】
【0142】
【表7】
【0143】
【表8】
【0144】
【表9】
【0145】
【表10】
【0146】
【表11】
【0147】
【表12】
【0148】
【表13】
【0149】
【表14】
【0150】
II.生物学的評価
化合物を、以下のアッセイを用いて、それらのABHD12活性を評価するために試験した。
【0151】
プロテオームのインビトロ阻害剤処理のためのゲルベースの競合ABPP:
ゲルベースのABPPアッセイを、以前に報告されているように行った(Bachovchin,D.A.et al.Superfamily-wide portrait of serine hydrolase inhibition achieved by library-versus-library screening.Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.2010,107,20941-20946)。細胞又は組織プロテオーム(50μL、1mg/mL)を、37℃で45分間にわたってFP-Rh(1μMの最終濃度)又はJJH350(2μMの最終濃度)のいずれかで処理した。FP-Rh標識試料については、20μLの4X SDS-PAGEローディングバッファーを加えることによって、反応をクエンチした。30μLのクエンチされた試料を、分析のためにゲルに充填した。(S)-1,3-ジオキソ-7-(4-フェノキシベンゾイル)ヘキサヒドロイミダゾ[1,5-a]ピラジン-2(3H)-イル4-(4-(プロパ-2-イン-1-イルオキシ)フェニル)ピペラジン-1-カルボキシレート(JJH350)標識試料については、報告されるプロトコルに従って、銅に触媒されるアジド-アルキン環状付加(CuAAC)を、標識タンパク質を視覚化するのに使用した。簡潔に述べると、ローダミン-PEG3-N(1μL/反応、DMSO中1.25mM)、CuSO(1μL/反応、HO中50mM)、TBTA(3μL/反応、DMSO/t-BuOH[1:4、v/v]中1.7mM)及びトリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン(TCEP)(1μL/反応、HO中50mM、新たに調製された)を予混合した。6μLのこのクリック試薬混合物を、各JJH350標識試料(50μL、1mg/mL)に直ぐに加え、室温で1時間インキュベートした。20μLの4X SDS-PAGEローディングバッファーを加えることによって、反応をクエンチした。40μLのクエンチされた試料を、分析のためにゲルに充填した。
【0152】
SDS-PAGE(10%のアクリルアミド)による分離の後、ChemiDoc MPシステム(Bio-Rad)を用いてゲル内蛍光スキャニングによって、試料を視覚化した。バンド強度を、Image Lab(5.2.1)ソフトウェア(Bio-Rad)を用いて定量化した。
【0153】
インビボ阻害剤処理のためのゲルベースの競合ABPP:
阻害剤で処理されたマウスに由来する組織を、DPBS中でダウンス均質化した(dounce-homogenized)(半分の脳、脾臓及び肝臓について1mL、並びに肺について1.5mL)後、低速回転(1,400×g、3分、4℃)させて、破片を除去した。FP-Rh標識については、2μLの50μMのFP-Rhを、50μLの、上で得られた全組織溶解物(2μM最終)に加え、室温で20分間インキュベートした。JJH350標識については、1μLの500μMのJJH350を、50μLの、上で得られた全組織溶解物(10μM最終)に加え、室温で30分間インキュベートした。1.5mLの冷DPBSを、各プローブ標識試料に加え、4℃で45分間にわたって16,000×gで回転させた。得られた膜ペレットを、冷DPBS中で再度懸濁させ、Bio-Rad DCタンパク質アッセイキットを用いて、タンパク質濃度を、1mg/mLに調整した。FP-Rh標識試料については、20μLの4X SDS-PAGEローディングバッファーを加えることによって、反応をクエンチし、30μLのクエンチされた試料を、分析のためにゲルに充填した。(S)-1,3-ジオキソ-7-(4-フェノキシベンゾイル)ヘキサヒドロイミダゾ[1,5-a]ピラジン-2(3H)-イル4-(4-(プロパ-2-イン-1-イルオキシ)フェニル)ピペラジン-1-カルボキシレート(JJH350)標識試料については、CuAAC反応を、上述されるように行い、20μLの4X SDS-PAGEローディングバッファーを加えることによって、反応をクエンチした。40μLのクエンチされた試料を、分析のためにゲルに充填した。
【0154】
リゾ-PS加水分解アッセイ:
ABHD12のリゾ-PSリパーゼ活性を、いくつかの若干の修正を加えながら、以前に記載されるように決定した(Blankman,J.L.,Long,J.Z.,Trauger,S.A.,Siuzdak、G.& Cravatt,B.F.ABHD12 controls brain lysophosphatidylserine pathways that are deregulated in a murine model of the neurodegenerative disease PHARC.Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.110,1500-1505、doi:10.1073/pnas.1217121110(2013))。プロテオーム濃度を、ダルベッコリン酸緩衝生理食塩水(DPBS)(80μL/反応)中で0.25mg/mL(ABHD12過剰発現HEK293T膜)又は0.5mg/mL(マウス脳膜)に調整した。DPBS中20μLの500μMの17:1のリゾ-PSを、各反応に加え(100μMの最終濃度)、37℃でインキュベートした。30分後、内部標準としての1nmolの15:0のFFAとともに、400μLの2:1のCHCl/MeOH(v/v)を用いて、反応をクエンチした。混合物をボルテックスし、1,400×gで遠心分離して、水性相と有機相とを分離した。有機相を、LC-MS(1200 LC/MSD,Agilent Technologies)によって分析した。被分析物の分離を、ガードカラム(Gemini:C18:4×3mm)に結合された50mm×4.6mm 5μm Gemini C18カラム(Phenomenex)を用いて行った。LC溶媒は以下のとおりであった:緩衝液A、0.1%のNHOH(v/v)を含むHO:MeOH(95:5、v/v);及び緩衝液B、0.1%のNHOH(v/v)を含むiPrOH:MeOH:HO(60:35:5、v/v/v)。LC方法は、1.0分間にわたって0.1mL/分の20%の緩衝液B、7分間にわたって0.4ml/分の定組成モード(isocratic mode)の100%の緩衝液B及び3分間にわたって0.5mL/分の100%の緩衝液Aによる平衡からなっていた。MS分析を、負イオンモードでエレクトロスプレーイオン化源(ESI)を用いて行って、生成物形成を測定した。MSデータを、17:1のFFAについてm/z 267.20及び15:0のFFAについてm/z 241.20で、選択イオンモニタリングモードで取得した。
【0155】
10μMにおける酵素阻害パーセント及びこれらのアッセイからのIC50データが、表1に示される。
【0156】
【表15】
【0157】
【表16】
【0158】
【表17】