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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-18
(45)【発行日】2023-05-26
(54)【発明の名称】水抽出可能な眼科用デバイス
(51)【国際特許分類】
   G02C 7/04 20060101AFI20230519BHJP
   C08F 220/36 20060101ALI20230519BHJP
   C08F 226/02 20060101ALI20230519BHJP
【FI】
G02C7/04
C08F220/36
C08F226/02
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2020564455
(86)(22)【出願日】2019-04-05
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-09-02
(86)【国際出願番号】 US2019025956
(87)【国際公開番号】W WO2019221838
(87)【国際公開日】2019-11-21
【審査請求日】2022-02-09
(31)【優先権主張番号】62/671,569
(32)【優先日】2018-05-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】391008847
【氏名又は名称】ボシュ・アンド・ロム・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】BAUSCH & LOMB INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヌニェス、アイバン、エム.
(72)【発明者】
【氏名】コーラード、リン
(72)【発明者】
【氏名】マーク、アナルス
(72)【発明者】
【氏名】ホテリング、アンドリュー、ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】ホフ、ジョセフ、ダブリュー.
【審査官】森内 正明
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-503632(JP,A)
【文献】特表2013-506875(JP,A)
【文献】特表2013-507652(JP,A)
【文献】特表2015-519958(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0179824(US,A1)
【文献】国際公開第2007/146312(WO,A2)
【文献】特開2008-20918(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02C 7/00 - 13/00
C08F 220/36
C08F 226/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
モノマー混合物の重合製品である水抽出可能な眼科用デバイスであって、前記モノマー混合物が、
(a)1つ以上の環状ラクタムと、
(b)1つ以上の嵩高くない有機ケイ素含有モノマーであって、前記1つ以上の嵩高くない有機ケイ素含有モノマーが、以下の構造で表される化合物:
【化1】

(式中、Lは、エチレン性不飽和重合性基であり、Vは、リンカー基または結合であり、R、R、R、R、R、R、R、R、およびRは、独立して、水素、アルキル、ハロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アルケニル、ハロアルケニル、または芳香族であり、R10およびR11は、独立して、水素またはアルキルであり、R10およびR11のうちの少なくとも1つは、水素であり、yは、2~7であり、nは、1~100である)、あるいは以下の構造で表される化合物:
【化2】

(式中、R12は、Hまたはメチルであり、Xは、OまたはNR16であり、R16は、水素、または1つ以上のヒドロキシル基でさらに置換されていてもよいC~Cアルキルであり、R13は、エーテル基、ヒドロキシル基、カルバメート基、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される基でさらに官能化されていてもよい二価アルキル基であり、各R14は、独立して、フェニル、またはフッ素、ヒドロキシル、もしくはエーテルで置換されていてもよいC~Cアルキルであり、R15は、C~Cアルキルであり、aは、2~50である)、を含む、1つ以上の嵩高くない有機ケイ素含有モノマーと、
(c)1つ以上の嵩高いシロキサンモノマーと、
(d)架橋剤混合物であって、(i)少なくとも2つのエチレン性不飽和反応性末端基を含有する1つ以上の第1の架橋剤であって、前記少なくとも2つのエチレン性不飽和反応性末端基が、(メタ)アクリレート含有反応性末端基である、1つ以上の第1の架橋剤、および(ii)少なくとも2つのエチレン性不飽和反応性末端基を含有する1つ以上の第2の架橋剤であって、前記エチレン性不飽和反応性末端基のうちの少なくとも1つが、非(メタ)アクリレート反応性末端基である、1つ以上の第2の架橋剤、を含む、架橋剤混合物と、を含み、
前記1つ以上の第2の架橋剤が、以下の構造で表され、
【化3】

式中、Rは、水素またはメチルであり、Xは、Oであり、Yは、OまたはNHであり、ZはNHであり、Wは、Oであり、nは、2~6である;又は以下の構造で表される化合物であり、
【化4】

式中、xは2~10である;
前記水抽出可能な眼科用デバイスが、少なくとも50重量%の平衡含水率、50°未満の接触角、および少なくとも60バーラーの酸素透過度を有する、水抽出可能な眼科用デバイス。
【請求項2】
50重量%~70重量%の平衡含水率、30°~50°の接触角、および少なくとも70バーラーの酸素透過度を有する、請求項1に記載の水抽出可能な眼科用デバイス。
【請求項3】
前記1つ以上の環状ラクタムが、N-ビニル-2-ピロリドン、N-ビニルカプロラクタム、N-ビニル-2-ピペリドン、およびこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1又は2に記載の水抽出可能な眼科用デバイス。
【請求項4】
前記1つ以上の嵩高いシロキサンモノマーが、メタクリロキシプロピルトリス(トリメチルシロキシ)シラン、ペンタメチルジシロキサニルメチルメタクリレート、トリス(トリメチルシロキシ)メタクリロキシプロピルシラン、フェニルトレトラメチルジスロキサニルエチルアクリレート、メチルジ(トリメチルシロキシ)メタクリロキシメチルシラン、3-[トリス(トリメチルシロキシ)シリル]プロピルビニルカルバメート、3-[トリス(トリメチルシロキシ)シリル]プロピルアリルカルバメート、3-[トリス(トリメチルシロキシ)シリル]プロピルビニルカーボネート、およびこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1~3のいずれか一項に記載の水抽出可能な眼科用デバイス。
【請求項5】
前記1つ以上の第1の架橋剤が、アルキレングリコール含有ジ(メタ)アクリレート架橋剤、アルキレングリコール含有トリ(メタ)アクリレート架橋剤、アルキレングリコール含有テトラ(メタ)アクリレート架橋剤、およびこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1~4のいずれか一項に記載の水抽出可能な眼科用デバイス。
【請求項6】
前記1つ以上の第2の架橋剤が、ジ(N-ビニルカルバメート)含有架橋剤、ジ(N-アリルカルバメート)含有架橋剤、ジ(O-ビニルカルバメート)含有架橋剤、ジ(O-アリルカルバメート)含有架橋剤、ジ(O-ビニルカルボネート)含有架橋剤、ジ(O-アリルカルボネート)含有架橋剤、トリ(N-ビニルカルバメート)含有架橋剤、トリ(N-アリルカルバメート)含有架橋剤、トリ(O-ビニルカルバメート)含有架橋剤、トリ(O-アリルカルバメート)含有架橋剤、トリ(O-ビニルカルボネート)含有架橋剤、トリ(O-アリルカルボネート)含有架橋剤、テトラ(N-ビニルカルバメート)含有架橋剤、テトラ(N-アリルカルバメート)含有架橋剤、テトラ(O-ビニルカルバメート)含有架橋剤、テトラ(O-アリルカルバメート)含有架橋剤、テトラ(O-ビニルカルボネート)含有架橋剤、テトラ(O-アリルカルボネート)含有架橋剤、イソシアヌレート含有架橋剤、およびこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1~5のいずれか一項に記載の水抽出可能な眼科用デバイス。
【請求項7】
前記1つ以上の第2の架橋剤が、以下の構造で表される化合物の1以上をさらに含有する
請求項1~6のいずれか一項に記載の水抽出可能な眼科用デバイス:
【化5】

式中、xは0~10である;
【化6】

式中、Rは、水素またはメチルであり、X、Y、およびZは、独立して、OまたはNHである;
及び
【化7】

式中、Rは、水素またはメチルであり、X、Y、およびZは、独立して、OまたはNHである;。
【請求項8】
前記モノマー混合物が、
(a)前記モノマー混合物の総重量に基づいて、42重量%~55重量%の前記1つ以上の環状ラクタムと、
(b)前記モノマー混合物の総重量に基づいて、5~25重量%の前記1つ以上の嵩高くない有機ケイ素含有モノマーと、
(c)前記モノマー混合物の総重量に基づいて、10~45重量%の前記1つ以上の嵩高いシロキサンモノマーと、
(d)(i)前記モノマー混合物の総重量に基づいて、0.05~2重量%の前記1つ以上の第1の架橋剤、および(ii)前記モノマー混合物の総重量に基づいて、0.05~2重量%の前記1つ以上の第2の架橋剤、を含む架橋剤混合物と、を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の水抽出可能な眼科用デバイス。
【請求項9】
前記モノマー混合物が、モノマー混合物の総重量に基づいて0.25~10重量%の2-ヒドロキシエチルメタクリレートをさらに含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の水抽出可能な眼科用デバイス。
【請求項10】
前記モノマー混合物が、紫外線(UV)遮断剤をさらに含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の水抽出可能な眼科用デバイス。
【請求項11】
前記水抽出可能な眼科用デバイスが、コンタクトレンズまたはヒドロゲルである、請求項1~10のいずれか一項に記載の水抽出可能な眼科用デバイス。
【請求項12】
水抽出可能な眼科用デバイスを調製する方法であって、
(a)モノマー混合物を型内で硬化させることであって、前記モノマー混合物が、
(i)1つ以上の環状ラクタムと、
(ii)1つ以上の嵩高くない有機ケイ素含有モノマーであって、前記1つ以上の嵩高くない有機ケイ素含有モノマーが、以下の構造で表される化合物:
【化8】

(式中、Lは、エチレン性不飽和重合性基であり、Vは、リンカー基または結合であり、R、R、R、R、R、R、R、R、およびRは、独立して、水素、アルキル、ハロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アルケニル、ハロアルケニル、または芳香族であり、R10およびR11は、独立して、水素またはアルキルであり、R10およびR11のうちの少なくとも1つは、水素であり、yは、2~7であり、nは、1~100である)、あるいは以下の構造で表される化合物:
【化9】

(式中、R12は、Hまたはメチルであり、Xは、OまたはNR16であり、R16は、水素、または1つ以上のヒドロキシル基でさらに置換されていてもよいC~Cアルキルであり、R13は、エーテル基、ヒドロキシル基、カルバメート基、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される基でさらに官能化されていてもよい二価アルキル基であり、各R14は、独立して、フェニル、またはフッ素、ヒドロキシル、もしくはエーテルで置換されていてもよいC~Cアルキルであり、R15は、C~Cアルキルであり、aは、2~50である)、を含む、1つ以上の嵩高くない有機ケイ素含有モノマーと、
(iii)1つ以上の嵩高いシロキサンモノマーと、
(iv)架橋剤混合物であって、(1)少なくとも2つのエチレン性不飽和反応性末端基を含有する1つ以上の第1の架橋剤であって、前記少なくとも2つのエチレン性不飽和反応性末端基が、(メタ)アクリレート含有反応性末端基である、1つ以上の第1の架橋剤、および(2)少なくとも2つのエチレン性不飽和反応性末端基を含有する1つ以上の第2の架橋剤であって、前記エチレン性不飽和反応性末端基のうちの少なくとも1つが、非(メタ)アクリレート反応性末端基である、1つ以上の第2の架橋剤、を含む、架橋剤混合物と、を含み、
前記1つ以上の第2の架橋剤が、以下の構造で表され、
【化3】

式中、Rは、水素またはメチルであり、Xは、Oであり、Yは、OまたはNHであり、ZはNHであり、Wは、Oであり、nは、2~6である;又は、
【化4】

式中、xは2~10である;
化させることと、
(b)前記眼科用デバイスを前記型から乾燥離型することであって、前記眼科用デバイスが、少なくとも50重量%の平衡含水率、50°未満の接触角、および少なくとも60バーラーの酸素透過度を有する水抽出可能な眼科用デバイスである、乾燥離型することと、を含む、方法。
【請求項13】
前記モノマー混合物が、
(i)前記モノマー混合物の総重量に基づいて、42重量%~55重量%の前記1つ以上の環状ラクタムと、
(ii)前記モノマー混合物の総重量に基づいて、5~25重量%の前記1つ以上の嵩高くない有機ケイ素含有モノマーと、
(iii)前記モノマー混合物の総重量に基づいて、10~45重量%の前記1つ以上の嵩高いシロキサンモノマーと、
(iv)(1)前記モノマー混合物の総重量に基づいて、0.05~2重量%の前記1つ以上の第1の架橋剤、および(2)前記モノマー混合物の総重量に基づいて、0.05~3重量%の前記1つ以上の第2の架橋剤、を含む架橋剤混合物と、を含む、請求項12に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
本発明は、概して、水抽出可能な眼科用デバイスおよびこれらの調製方法に関する。
【0002】
ソフトコンタクトレンズは1980年代以来利用可能である。コンタクトレンズは快適かつ安心して装用できることが重要である。ヒドロゲルは、平衡状態で水を含有する水和架橋ポリマー系である。ヒドロゲルは、典型的には、酸素透過性であり、かつ生体適合性であり、生物医学デバイス、特にコンタクトレンズまたは眼内レンズを製造するのに好ましい材料となっている。
【0003】
ソフトコンタクトレンズ材料は、親水性モノマー(2-ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)またはN-ビニルピロリドン(NVP)など)を重合および架橋することによって作製される。これらの親水性モノマーを重合することによって生成されるポリマーは、それ自体が著しい親水性特性を示し、それらのポリマーマトリックス中に相当量の水を吸収することができる。これらのポリマーは、水を吸収する能力に起因して、しばしば「ヒドロゲル」と呼ばれる。これらのヒドロゲルは光学的に透明であり、それらの水和水のレベルが高いことに起因して、ソフトコンタクトレンズを作製するのに有用な材料である。しかしながら、これらのヒドロゲルは、酸素透過度のレベルが不十分であることが知られている。
【0004】
したがって、酸素透過度を増加させるためにシリコーン含有モノマーを導入する方向にシフトしてきた。シリコーン含有ポリマーは、一般に、従来のヒドロゲルよりも高い酸素透過度を有する。シロキサン型モノマーは、親水性溶媒およびモノマーと同様に、水への可溶性が悪いことがよく知られており、そのため、標準的なヒドロゲル技法を使用して共重合および加工することが困難である。
【0005】
したがって、シリコーン含有モノマーで作製され、かつ有機溶媒の代わりに水中で抽出可能な眼科用デバイスが依然として必要である。
【発明の概要】
【0006】
本発明の一実施形態によれば、水抽出可能な眼科用デバイスであって、モノマー混合物の重合製品であり、モノマー混合物の重合製品が、(a)1つ以上の環状ラクタムと、(b)1つ以上の嵩高くない有機ケイ素含有モノマーと、(c)1つ以上の嵩高いシロキサンモノマーと、(d)架橋剤混合物であって、(i)少なくとも2つのエチレン性不飽和反応性末端基を含有する1つ以上の第1の架橋剤であって、少なくとも2つのエチレン性不飽和反応性末端基が、(メタ)アクリレート含有反応性末端基である、1つ以上の第1の架橋剤、および(ii)少なくとも2つのエチレン性不飽和反応性末端基を含有する1つ以上の第2の架橋剤であって、エチレン性不飽和反応性末端基のうちの少なくとも1つが、非(メタ)アクリレート反応性末端基である、1つ以上の第2の架橋剤、を含む、架橋剤混合物と、を含み、水抽出可能な眼科用デバイスが、少なくとも約50重量%の平衡含水率、約50°未満の接触角、および少なくとも約60バーラーの酸素透過度を有する、水抽出可能な眼科用デバイスが提供される。
【0007】
本発明の第2の実施形態によれば、水抽出可能な眼科用デバイスを作製するための方法であって、(a)モノマー混合物を型中で硬化させることであって、モノマー混合物が、(i)1つ以上の環状ラクタムと、(ii)1つ以上の嵩高くない有機ケイ素含有モノマーと、(ii)1つ以上の嵩高いシロキサンモノマーと、(iv)架橋剤混合物であって、(1)少なくとも2つのエチレン性不飽和反応性末端基を含有する1つ以上の第1の架橋剤であって、少なくとも2つのエチレン性不飽和反応性末端基が、(メタ)アクリレート含有反応性末端基である、1つ以上の第1の架橋剤、および(2)少なくとも2つのエチレン性不飽和反応性末端基を含有する1つ以上の第2の架橋剤であって、エチレン性不飽和反応性末端基のうちの少なくとも1つが、非(メタ)アクリレート反応性末端基である、1つ以上の第2の架橋剤、を含む、架橋剤混合物と、を含む、硬化させることと、(b)眼科用デバイスを型から乾燥離型して、少なくとも約50重量%の平衡含水率、約30°未満の接触角、および少なくとも約60バーラーの酸素透過度を有する、水抽出可能な眼科用デバイスを提供することと、を含む方法が提供される。
【0008】
本発明の水抽出可能な眼科用デバイスは、それらの親水性または潤滑性(または両方)表面に起因して、より高いレベルの性能品質および/または快適性をユーザに提供すると考えられる。コンタクトレンズなどの本明細書における水抽出可能な眼科用デバイスの親水性および/または潤滑性表面は、涙液脂質およびタンパク質のレンズ上への吸着、ならびにそれらの最終的なレンズへの吸収を実質的に防止または制限し、したがって、コンタクトレンズの透明度を保持する。これにより、コンタクトレンズの性能品質を維持して、装用者により高いレベルの快適性を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書に記載される例示的な実施形態は、水抽出可能な眼科用デバイスを対象とする。例示的な実施形態は、様々な水抽出可能な眼科用デバイスに適用可能であるが、1つの特定の例示的な実施形態は、水抽出可能なコンタクトレンズに特に有用であり、有利である。本明細書で使用する場合、用語「眼科用デバイス」および「レンズ」とは、眼内または眼上に存在するデバイスを指す。これらのデバイスは、光学補正、創傷ケア、薬物供給、診断機能、美容的向上、またはこれらの特性の任意の組み合わせを提供することができる。このようなデバイスの代表的な例としては、ソフトコンタクトレンズ、例えば、ヒドロゲルソフトレンズ、非ヒドロゲルソフトレンズ、およびこれに類するもの、眼内レンズ、オーバーレイレンズ、眼内挿入物、光学挿入物、バンデージレンズ、および治療用レンズならびにこれに類するものが挙げられるが、これらに限定されない。当業者によって理解されるように、レンズを壊すことなく折り畳むことができる場合、レンズは「ソフト」であるとみなされる。例示的な実施形態の高含水コンタクトレンズなどの高水分含有眼科用デバイスは、球状、トーリック、遠近両用とすることができ、美容的な色合い、不透明な美容的パターン、およびこれらの組み合わせ、ならびにこれに類するものを含有してもよい。
【0010】
概して、本明細書に記載される水抽出可能な眼科用デバイスは、モノマー混合物の重合製品であり、モノマー混合物の重合製品が、(a)1つ以上の環状ラクタムと、(b)1つ以上の嵩高くない有機ケイ素含有モノマーと、(c)1つ以上の嵩高いシロキサンモノマーと、(d)架橋剤混合物であって、(i)少なくとも2つのエチレン性不飽和反応性末端基を含有する1つ以上の第1の架橋剤であって、少なくとも2つのエチレン性不飽和反応性末端基が、(メタ)アクリレート含有反応性末端基である、1つ以上の第1の架橋剤、および(ii)少なくとも2つのエチレン性不飽和反応性末端基を含有する1つ以上の第2の架橋剤であって、エチレン性不飽和反応性末端基のうちの少なくとも1つが、非(メタ)アクリレート反応性末端基である、1つ以上の第2の架橋剤、を含む、架橋剤混合物と、を含み、水抽出可能な眼科用デバイスが、少なくとも約50重量%の平衡含水率、約30°未満の接触角、および少なくとも約60バーラーの酸素透過度を有する。
【0011】
1つの例示的な実施形態では、本発明による水抽出可能な眼科用デバイスは、約50重量%~約70重量%の平衡含水率、約30°~約50°の接触角、および少なくとも約60バーラー、例えば、約60~約100バーラーの酸素透過度を有する。別の例示的な実施形態では、本発明による水抽出可能な眼科用デバイスは、約55重量%~約65重量%の平衡含水率、約30°~約45°の接触角、および少なくとも約70バーラー、例えば、約70~約100バーラーの酸素透過度を有する。
【0012】
モノマー混合物は、1つ以上の環状ラクタムを含む。好適な1つ以上の環状ラクタムとしては、例えば、N-ビニル-2-ピロリドン、N-ビニルカプロラクタム、N-ビニル-2-ピペリドン、およびこれらの混合物が挙げられる。1つ以上の環状ラクタムは、モノマー混合物の総重量に基づいて、約55重量%以下の量でモノマー混合物中に存在する。一実施形態では、1つ以上の環状ラクタムは、モノマー混合物の総重量に基づいて、約40重量%~約55重量%の量でモノマー混合物中に存在する。
【0013】
モノマー混合物は、1つ以上の嵩高くない有機ケイ素含有モノマーをさらに含む。本明細書で使用される「有機ケイ素含有モノマー」は、モノマー、マクロマー、またはプレポリマー中に少なくとも1つの[シロキサニル]または少なくとも1つの[シリルアルキルシロキサニル]繰り返し単位を含有する。一実施形態では、1つ以上の嵩高くない有機ケイ素含有モノマーは、式Iの構造で表される化合物:
【化1】

(式中、Vは、エチレン性不飽和重合性基であり、Lは、リンカー基または結合であり、R、R、R、R、R、R、R、R、およびRは、独立して、H、C~C12アルキル、ハロアルキル、C~C12シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、C~C12アルケニル、ハロアルケニル、またはC~C12芳香族であり、R10およびR11は、独立して、HまたはC~C12アルキルであり、R10およびR1のうちの少なくとも1つは、水素であり、yは、2~7であり、nは、1~100または1~20である)を含むことができる。
【0014】
エチレン性不飽和重合性基は、当業者に周知である。好適なエチレン性不飽和重合性基としては、例えば、(メタ)アクリレート、ビニルカーボネート、O-ビニルカルバメート、N-ビニルカルバメート、および(メタ)アクリルアミドが挙げられる。本明細書で使用する場合、用語「(メタ)」とは、任意選択的なメチル置換基を表す。したがって、「(メタ)アクリレート」などの用語は、メタクリレートまたはアクリレートのいずれかを表し、また「(メタ)アクリルアミド」は、メタクリルアミドまたはアクリルアミドのいずれかを表す。
【0015】
リンカー基は、任意の二価のラジカルまたは部分とすることができ、また、例えば、置換または非置換のC~C12アルキル、アルキルエーテル、アルケニル、アルケニルエーテル、ハロアルキル、置換または非置換のシロキサン、および開環を増殖させることができるモノマーを含む。
【0016】
一実施形態では、Vは、(メタ)アクリレートであり、Lは、C~C12アルキレンであり、R、R、R、R、R、R、R、R、およびRは、独立して、C~C12アルキルであり、R10およびR11は独立して、Hであり、yは2~7であり、nは3~8である。
【0017】
一実施形態では、Vは、(メタ)アクリレートであり、Lは、C~Cアルキルであり、R、R、R、R、R、R、R、R、およびRは独立して、C~Cアルキルであり、R10およびR11は、独立して、Hであり、yは、2~7であり、nは、1~20である。
【0018】
式Iの構造によって表される嵩高くない有機ケイ素含有モノマーは、当該技術分野において既知であり、例えば、米国特許第7,915,323号、同第7,994,356号、同第8,420,711号、同第8,827,447号、および同第9,039,174号を参照されたく、これらの内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0019】
一実施形態では、1つ以上の嵩高くない有機ケイ素含有モノマーは、式IIの構造で表される化合物:
【化2】

(式中、R12は、Hまたはメチルであり、Xは、OまたはNR16であり、R16は、H、または1つ以上のヒドロキシル基でさらに置換されていてもよいC~Cアルキルから選択され、またいくつかの実施形態では、これはHまたはメチルであり、R13は、エーテル基、ヒドロキシル基、カルバメート基、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される基でさらに官能化されていてもよい二価アルキル基であり、別の実施形態では、エーテル、ヒドロキシル、およびそれらの組み合わせで置換されていてもよいC~Cアルキレン基であり、さらに別の実施形態では、エーテル、ヒドロキシル、およびこれらの組み合わせで置換されていてもよいCまたはC~Cアルキレン基であり、各R14は、独立して、フェニル、またはフッ素、ヒドロキシル、またはエーテルで置換されていてもよいC~Cアルキルであり、別の実施形態では、各R14は、独立して、エチルおよびメチル基から選択され、さらに別の実施形態では、各R14はメチルであり、R15は、C~Cアルキルであり、aは2~50であり、いくつかの実施形態では5~15である)を含むことができる。
【0020】
式Iの構造によって表される嵩高くない有機ケイ素含有モノマーは、当該技術分野において既知であり、例えば、米国特許第8,703,891号、同第8,937,110号、同第8,937,111号、同第9,156,934号、および同第9,244,197号を参照されたく、これらの内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0021】
概して、1つ以上の嵩高くない有機ケイ素含有モノマーは、モノマー混合物の総重量に基づいて、約5重量%~約30重量%の範囲の量でモノマー混合物中に存在することができる。一実施形態では、1つ以上の嵩高くない有機ケイ素含有モノマーは、モノマー混合物の総重量に基づいて、約15重量%~約25重量%の範囲の量でモノマー混合物中に存在することができる。
【0022】
モノマー混合物は、1つ以上の嵩高いシロキサンモノマーをさらに含む。一実施形態では、好適な嵩高いシロキサンモノマーは、式IIIの構造:
【化3】

(式中、Xは-COO-、-CONR19-、-OCOO-、または-OCONR19-を表し、各R19は、水素またはC~Cアルキルであり、R17は、独立して、水素またはメチルを表し、各R18は、独立して、C~Cアルキルなどの低級アルキルラジカル、フェニルラジカル、または以下によって表される基:
【化4】

(式中、各R18′は、独立して、C~Cアルキルなどの低級アルキル、またはフェニルラジカルを表し、hは、1~10である)を表す)で表される。
【0023】
一実施形態では、好適な嵩高いシロキサンモノマーは、概して、式IV:
【化5】

(式中、Xは-NR19-を表し、R19は、水素またはC~Cアルキルを表し、R17は、水素またはメチルを表し、各R18は、独立して、C~C6アルキルなどの低級アルキルラジカル、フェニルラジカル、または以下で表される基:
【化6】

(式中、各R13′は、独立して、C~Cアルキルなどの低級アルキル、またはフェニルラジカルを表し、hは、1~10である)を表す)で表される、嵩高いポリシロキサニルアルキルカルバメートモノマーである。
【0024】
好適な1つ以上の嵩高いシロキサンモノマーとしては、例えば、メタクリロキシプロピルトリス(トリメチルシロキシ)シラン(「TRIS」)、ペンタメチルジシロキサニルメチルメタクリレート、トリス(トリメチルシロキシ)メタクリロキシプロピルシラン、フェニルトレトラメチルジスロキサニルエチルアクリレート、メチルジ(トリメチルシロキシ)メタクリロキシメチルシラン、3-[トリス(トリメチルシロキシ)シリル]プロピルビニルカルバメート、3-[トリス(トリメチルシロキシ)シリル]プロピオル(propyol)アリルカルバメート、3-[トリス(トリメチルシロキシ)シリル]プロピルビニルカーボネート、およびこれらの混合物が挙げられる。
【0025】
概して、1つ以上の嵩高いシロキサンモノマーは、モノマー混合物の総重量に基づいて、約12重量%~約30重量%の範囲の量でモノマー混合物中に存在することができる。一実施形態では、1つ以上の嵩高いシロキサンモノマーは、モノマー混合物の総重量に基づいて、約15重量%~約26重量%の範囲の量でモノマー混合物中に存在することができる。
【0026】
モノマー混合物は、架橋剤混合物であって、(i)少なくとも2つのエチレン性不飽和反応性末端基を含有する1つ以上の第1の架橋剤であって、エチレン性不飽和反応性末端基が、(メタ)アクリレート含有反応性末端基である、1つ以上の第1の架橋剤、および(ii)少なくとも2つのエチレン性不飽和反応性末端基を含有する1つ以上の第2の架橋剤であって、エチレン性不飽和反応性末端基のうちの少なくとも1つが、非(メタ)アクリレート反応性末端基である、1つ以上の第2の架橋剤、を含む、架橋剤混合物をさらに含む。1つの例示的な実施形態では、エチレン性不飽和反応性末端基が(メタ)アクリレート含有反応性末端基である、少なくとも2つのエチレン性不飽和反応性末端基を含有する有用な1つ以上の第1の架橋剤としては、例えば、1つ以上のジ、トリ、またはテトラ(メタ)アクリレート含有架橋剤が挙げられる。
【0027】
1つの例示的な実施形態では、有用な1つ以上のジ、トリ、またはテトラ(メタ)アクリレート含有架橋剤としては、アルカンポリオールジ、トリ、またはテトラ(メタ)アクリレート含有架橋剤(例えば、1つ以上のアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート架橋剤、1つ以上のアルキレングリコールトリ(メタ)アクリレート架橋剤、1つ以上のアルキレングリコールテトラ(メタ)アクリレート架橋剤、1つ以上のアルカンジオールジ(メタ)アクリレート架橋剤、アルカンジオールトリ(メタ)アクリレート架橋剤、アルカンジオールテトラ(メタ)アクリレート架橋剤、薬剤、1つ以上のアルカントリオールジ(メタ)アクリレート架橋剤、アルカントリオールトリ(メタ)アクリレート架橋剤、アルカントリオールテトラ(メタ)アクリレート架橋剤、薬剤、1つ以上のアルカンテトラオールジ(メタ)アクリレート架橋剤、アルカンテトラオールトリ(メタ)アクリレート架橋剤、アルカンテトラオールテトラ(メタ)アクリレート架橋剤、およびこれに類するもの、ならびにこれらの混合物など)が挙げられる。
【0028】
一実施形態では、1つ以上のアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート架橋剤としては、テトラエチレングリコールジメタクリレート、および最大約10個のエチレングリコール繰り返し単位を有するエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、およびこれに類するものが挙げられる。一実施形態では、1つ以上のアルカンジオールジ(メタ)アクリレート架橋剤としては、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート架橋剤、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、およびこれに類するものが挙げられる。一実施形態では、1つ以上のアルカントリオールトリ(メタ)アクリレート架橋剤は、トリメチロールプロパントリメタクリレート架橋剤である。一実施形態では、1つ以上のアルカンテトラオールテトラ(メタ)アクリレート架橋剤は、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート架橋剤である。
【0029】
1つの例示的な実施形態では、エチレン性不飽和反応性末端基のうちの少なくとも1つが非(メタ)アクリレート反応性末端基である、少なくとも2つのエチレン性不飽和反応性末端基を含有する有用な1つ以上の第2の架橋剤としては、1つ以上のジ、トリ、またはテトラカルバメート含有架橋剤、1つ以上のジ、トリ、またはテトラカーボネート含有架橋剤、1つ以上のイソシアヌレート含有架橋剤、およびこれに類するもの、ならびにこれらの混合物が挙げられる。
【0030】
1つ以上のジ、トリ、またはテトラカルバメート含有架橋剤の代表的な例としては、1つ以上のジ(N-ビニルカルバメート)含有架橋剤、1つ以上のジ(N-アリルカルバメート)含有架橋剤、1つ以上のジ(O-ビニルカルバメート)含有架橋剤、1つ以上のジ(O-アリルカルバメート)含有架橋剤、1つ以上のトリ(N-ビニルカルバメート)含有架橋剤、1つ以上のトリ(N-アリルカルバメート)含有架橋剤、1つ以上のトリ(O-ビニルカルバメート)含有架橋剤、1つ以上のトリ(O-アリルカルバメート)含有架橋剤、1つ以上のテトラ(N-ビニルカルバメート)含有架橋剤、1つ以上のテトラ(N-アリルカルバメート)含有架橋剤、1つ以上のテトラ(O-ビニルカルバメート)含有架橋剤、1つ以上のテトラ(O-アリルカルバメート)含有架橋、およびこれに類するもの、ならびにこれらの混合物が挙げられる。
【0031】
1つ以上のジ、トリ、またはテトラカーボネート含有架橋剤の代表的な例としては、ジ(O-ビニルカーボネート)含有架橋剤、ジ(O-アリルカーボネート)含有架橋剤、トリ(O-ビニルカーボネート)含有架橋剤、トリ(O-アリルカーボネート)含有架橋剤、テトラ(O-ビニルカーボネート)含有架橋剤、テトラ(O-アリルカーボネート)含有架橋剤、およびこれに類するもの、ならびにこれらの混合物が挙げられる。
【0032】
1つ以上のイソシアヌレート含有架橋剤の代表的な例としては、1つ以上のジアリルイソシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、ジビニルイソシアヌレート、トリビニルイソシアヌレート、およびこれに類するもの、ならびにこれらの混合物が挙げられる。
【0033】
一実施形態では、1つ以上のジカルバメート含有架橋剤としては、以下の式Vの構造:
【化7】

(式中、xは0~10である)を有するビス(N-ビニルカルバメート)が挙げられる。
【0034】
一実施形態では、1つ以上のジカルバメート含有架橋剤としては、以下の式VIの構造:
【化8】

(式中、xは0~10である)を有するビス(O-ビニルカルバメート)が挙げられる。
【0035】
一実施形態では、1つ以上のジ-カルバメート含有架橋剤としては、ジエチレングリコールビス(N-ビニルカルバメート)、ジエチレングリコールビス(O-アリルカルバメート)、およびこれに類するもの、ならびにこれらの混合物が挙げられる。
【0036】
一実施形態では、1つ以上の第2の架橋剤は、ジエチレングリコールビス(N-ビニルカルバメート)、ジエチレングリコールビス(N-アリルカルバメート)、ジエチレングリコールビス(O-ビニルカルバメート)、ジエチレングリコールビス(O-アリルカルバメート)、およびこれらの混合物、1,4-ブタンジオールビス(N-ビニルカルバメート)、エチレングリコールビス(O-ビニルカーボネート)、ジエチレングリコールビス(O-ビニルカーボネート)、1,4-ブタンジオールビス(O-ビニルカーボネート)、およびこれらの混合物からなる群から選択される。
【0037】
一実施形態では、少なくとも2つのエチレン性不飽和反応性末端基を含有する1つ以上の第2の架橋剤としては、少なくとも1つのアリル含有反応性末端基、および少なくとも1つの(メタ)アクリレート含有反応性末端基を含有する架橋剤が挙げられる。一実施形態では、1つ以上の第2の架橋剤は、アリルメタクリレート末端基を含有する架橋剤を含む。
【0038】
一実施形態では、少なくとも2つのエチレン性不飽和反応性末端基を含有する1つ以上の第2の架橋剤は、式VIIの構造:
【化9】

(式中、Rは、水素またはメチルであり、X、Y、およびZは、独立して、OまたはNHである)で表すことができる。式VIIの好適な架橋剤の代表的な例としては、以下の構造:
【化10-1】

【化10-2】

を有するものが挙げられる。
【0039】
一実施形態では、少なくとも2つのエチレン性不飽和反応性末端基を含有する1つ以上の第2の架橋剤は、式VIIIの構造:
【化11】

(式中、Rは、水素またはメチルであり、Xは、Oであり、Yは、OまたはNHであり、ZはNHであり、Wは、Oであり、nは、2~6である)で表すことができる。式VIIIの好適な架橋剤の代表的な例としては、以下の構造:
【化12】

を有するものが挙げられる。
【0040】
一実施形態では、少なくとも2つのエチレン性不飽和反応性末端基を含有する1つ以上の第2の架橋剤は、式IXの構造:
【化13】

(式中、xは2~10である)で表すことができる。
【0041】
概して、1つ以上の第1の架橋剤は、モノマー混合物の総重量に基づいて、約0.01~約2重量%の量でモノマー混合物中に存在し、第2の架橋剤は、モノマー混合物の総重量に基づいて、約0.01~約3重量%の量でモノマー混合物中に存在する。
【0042】
所望される場合、モノマー混合物は、上述のNVP以外の少量の1つ以上の追加の親水性モノマーをさらに含むことができる。好適な追加の親水性モノマーとしては、例えば、アミド、ヒドロキシル含有(メタ)アクリレート、重合性基で官能化されたポリ(アルケングリコール)、およびこれに類するもの、ならびにこれらの混合物が挙げられる。アミドの代表的な例としては、アルキルアミド(N,N-ジメチルアクリルアミド、N,N-ジメチルメタクリルアミド、およびこれに類するもの、ならびにこれらの混合物など)が挙げられる。ヒドロキシル含有(メタ)アクリレートの代表的な例としては、2-ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)、グリセロールメタクリレートおよびこれに類するもの、ならびこれらの混合物が挙げられる。官能化ポリ(アルケングリコール)の代表的な例としては、モノメタクリレートまたはジメタクリレート末端キャップを含有する様々な鎖長のポリ(ジエチレングリコール)が挙げられる。一実施形態では、ポリ(アルケングリコール)ポリマーは、少なくとも2つのアルケングリコールモノマー単位を含有する。なおさらなる例は、米国特許第5,070,215号に開示されている親水性ビニルカーボネートモノマーまたはビニルカルバメートモノマー、および米国特許第4,910,277号に開示されている親水性オキサゾロンモノマーである。他の好適な親水性モノマーは、当業者には明らかであろう。前述の追加の親水性モノマーの混合物はまた、本明細書のモノマー混合物中でも使用することができる。一実施形態では、1つ以上の追加の親水性モノマーは、HEMAである。
【0043】
概して、少量の1つ以上の追加の親水性モノマーとは、モノマー混合物の総重量に基づいて、約10重量%以下の量、例えば、約0.25~約10重量%の範囲の量である。
【0044】
モノマー混合物は、希釈剤をさらに含むことができる。好適な希釈剤としては、C~C一価アルコール、水溶性または部分的に水溶性の一価アルコール、およびこれらの混合物のうちの少なくとも1つ以上のホウ酸エステルが挙げられる。C~C一価アルコールの好適なホウ酸エステルとしては、例えば、ホウ酸トリメチル、ホウ酸トリエチル、ホウ酸トリ-n-プロピル、ホウ酸トリイソプロピル、ホウ酸トリ-n-ブチル、およびホウ酸トリ-tert-ブチルが挙げられる。好適な水溶性または部分的に水溶性の一価アルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、1-プロパノール、t-ブチルアルコール、2-ブチルアルコール、2-メチル-1-プロパノール、t-アミルアルコール、および他のC5異性体などの1~5個の炭素原子を有する一価アルコールが挙げられる。
【0045】
一実施形態では、モノマー混合物は、モノマー混合物の総重量に基づいて、約5重量%~約50重量%の希釈剤を含有する。一実施形態では、モノマー混合物は、モノマー混合物の総重量に基づいて、約15重量%~約30重量%の希釈剤を含有する。
【0046】
モノマー混合物は、1つ以上の疎水性モノマーをさらに含むことができる。好適な疎水性モノマーとしては、例えば、エチレン性不飽和疎水性モノマー(例えば、(メタ)アクリレート含有疎水性モノマー、N-アルキル(メタ)アクリルアミド含有疎水性モノマー、アルキルビニルカーボネート含有疎水性モノマー、アルキルビニルカルバメート含有疎水性モノマー、フルオロアルキル(メタ)アクリレート含有疎水性モノマー、N-フルオロアルキル(メタ)アクリルアミド含有疎水性モノマー、N-フルオロアルキルビニルカーボネート含有疎水性モノマー、N-フルオロアルキルビニルカルバメート含有疎水性モノマー、シリコーン含有(メタ)アクリレート含有疎水性モノマー、(メタ)アクリルアミド含有疎水性モノマー、ビニルカーボネート含有疎水性モノマー、ビニルカルバメート含有疎水性モノマー、スチレン含有疎水性モノマー、ポリオキシプロピレン(メタ)アクリレート含有疎水性モノマー、およびこれに類するもの、ならびにこれらの混合物など)が挙げられる。本明細書で使用する場合、用語「(メタ)」とは、任意選択的なメチル置換基を表す。したがって、「(メタ)アクリレート」などの用語は、メタクリレートまたはアクリレートのいずれかを表し、「(メタ)アクリルアミド」は、メタクリルアミドまたはアクリルアミドのいずれかを表す。
【0047】
1つの例示的な実施形態では、1つ以上の疎水性モノマーは、式Xの構造:
【化14】

(式中、Rはメチルまたは水素であり、Rは-O-または-NH-であり、RおよびRは独立して、-CH-、-CHOH-、および-CHR-からなる群から選択される二価ラジカルであり、RおよびRは独立して、分岐C~Cアルキル基であり、Rは、水素または-OHであり、nは少なくとも1の整数であり、mおよびpは、独立して、0または少なくとも1の整数であり、ただし、m、p、およびnの合計は、2、3、4、または5である)で表される。
【0048】
式IXの構造によって表される1つ以上の疎水性モノマーの代表的な例としては、4-t-ブチル-2-ヒドロキシシクロヘキシルメタクリレート(TBE)、4-t-ブチル-2-ヒドロキシシクロペンチルメタクリレート、4-t-ブチル-2-ヒドロキシシクロヘキシルメタクリルアミド(TBA)、6-イソペンチル-3-ヒドロキシシクロヘキシルメタクリレート、2-イソヘキシル-5-ヒドロキシシクロペンチルメタクリルアミド、4-t-ブチルシクロヘキシルメタクリレート、イソボルニルメタクリレート、アダムンチルメタクリレート、n-ブチルメタクリレート、n-ヘキシルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、およびこれに類するものが挙げられるが、これらに限定されない。一実施形態では、1つ以上の疎水性モノマー(b)は、式Xの化合物を含み、式中、Rは-CH-であり、mは1または2であり、pは0であり、mおよびnの合計は3または4である。
【0049】
1つ以上の疎水性モノマーは、モノマー混合物の総重量に基づいて、約0.5重量%~約25重量%の範囲の量でモノマー混合物中に存在することができる。一実施形態では、1つ以上の疎水性モノマーは、モノマー混合物の総重量に基づいて、約1重量%~約10重量%の範囲の量でモノマー混合物中に存在することができる。
【0050】
別の例示的な実施形態では、モノマー混合物は、1つ以上の紫外線(UV)遮断剤をさらに含むことができる。一実施形態では、有用なUV遮断剤は、以下の構造:
【化15】

(2-プロペン酸,2-メチル,2-(4-ベンゾイル-3-ヒドロキシフェノキシ)-1-[(4-ベンゾイル-3-ヒドロキシフェノキシ)メチルエステル)、
【化16】

によって表される1つ以上の化合物を含む。
【0051】
モノマー混合物は、必要に応じて、本発明の目的および効果を損なわない限度内で、抗酸化剤、着色剤、潤滑剤、内部湿潤剤、強化剤、およびこれに類するものなどの様々な添加剤、ならびに当該技術分野で周知の他の成分をさらに含有してもよい。
【0052】
例示的な実施形態の眼科用デバイス、例えば、コンタクトレンズまたは眼内レンズは、前述のモノマー混合物を重合させて、その後、例えば、旋盤加工、射出成形、圧縮成形、切断、およびこれに類するものによって適切な形状へと形成することができる製品を形成することによって調製することができる。例えば、コンタクトレンズを製造する際、初期混合物をチューブ内で重合させて棒状物品を提供してもよく、その後、これらをボタンへと切断する。次いで、ボタンをコンタクトレンズへと旋盤加工してもよい。
【0053】
あるいは、コンタクトレンズなどの眼科用デバイスは、例えば、スピンキャスティング法および静的キャスティング法によって、混合物から、型(例えば、ポリプロピレン型)内に直接キャスティングされてもよい。スピンキャスティング法は、米国特許第3,408,429号および同第3,660,545号に開示され、静的キャスティング法は、米国特許第4,113,224号、同第4,197,266号、および同第5,271,875号に開示されている。スピンキャスティング法は、重合されるように混合物を型へと充填することと、混合物をUV光などの放射線源に曝露しながら、制御された様式で型を回転させることと、を伴う。静的キャスティング法は、前方のレンズ面を形成するように形作られた一方の型部分と後方のレンズ面を形成するように形作られたもう一方の型部分との2つの型部分の間にモノマー混合物を充填することと、型アセンブリ内に保持された状態で混合物を硬化させ、例えば、混合物のフリーラジカル重合によってレンズを形成することと、を伴う。レンズ材料を硬化させるためのフリーラジカル反応技法の例としては、熱放射、赤外線放射、電子ビーム放射、ガンマ放射線、および紫外線(UV)放射、およびこれに類するものが挙げられ、またはこのような技法の組み合わせが使用されてもよい。米国特許第5,271,875号は、後方型および前方型によって画定される型キャビティ内で完成したレンズの成形を可能にする静的キャスティング成形法について記載している。追加の方法として、米国特許第4,555,732号は、型内でスピンキャスティングによって過剰なモノマー混合物を硬化させて、前方のレンズ面および比較的大きい厚さを有する成形物品を形成し、そして硬化したスピンキャスト物品の後方面を、その後旋盤加工して、所望の厚さおよび後方のレンズ面を有するコンタクトレンズを提供するプロセスを開示している。
【0054】
重合は、混合物を熱(熱硬化)および/または紫外線、可視光、または高エネルギー放射線などの放射線に曝露することによって促進される場合がある。重合開始剤が、重合工程を促進するために混合物中に含まれてもよい。フリーラジカル熱重合開始剤の代表的な例としては、過酸化アセチル、過酸化ラウロイル、過酸化デカノイル、過酸化ステアロイル、過酸化ベンゾイル、第三ブチルペルオキシピバレート、ペルオキシジカーボネート、およびこれに類するものなどの有機過酸化物が挙げられる。ジアゾ系開始剤の代表的な例としては、VAZO64、およびVAZO67が挙げられる。代表的なUV開始剤は、当該技術分野で既知のものであり、そしてベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、Darocure(登録商法)1173、1164、2273、1116、2959、3331(EM Industries)、ならびにIrgacure(登録商法)651および184(Ciba-Geigy)が挙げられる。代表的な可視光開始剤としては、IRGACURE 819および他のホスフィンオキシド型開始剤、ならびにこれに類するものが挙げられる。一般に、開始剤は、全混合物の約0.01~約5重量パーセントの濃度でモノマー混合物中に用いられることになる。
【0055】
重合は、一般に、例えば、溶媒(例えば、水、またはメタノール、エタノール、もしくはプロパン-2-オールなどの1~4個の炭素原子を含有するアルカノール)を使用する溶液または分散液などの反応媒体中で行われる。あるいは、上記の溶媒のいずれかの混合物が使用されてもよい。
【0056】
一般に、重合は、約15分間~約72時間の間、例えば、窒素またはアルゴンの不活性雰囲気下で実行される可能性がある。所望される場合、得られた重合製品は、真空下で、例えば、約5~約72時間乾燥させるか、または使用前に水溶液中に放置することができる。
【0057】
混合物の重合により、水和したときに、好ましくはヒドロゲルを形成するポリマーが得られる。ヒドロゲルレンズを製造するとき、混合物は、重合製品が水和されてヒドロゲルを形成するときに最終的に水に置き換えられる、少なくとも上述した希釈剤をさらに含んでもよい。一般に、ヒドロゲルの含水率は、本明細書で上述したとおり、すなわち、少なくとも約50重量%である。使用される希釈剤の量は、約50重量%未満でなければならず、ほとんどの場合、希釈剤含有量は、約30重量%未満である。しかしながら、特定のポリマー系では、実際の限度は、希釈剤中の様々なモノマーの溶解度によって規定されることになる。光学的に透明なコポリマーを生成するためには、コモノマーと希釈剤、または希釈剤と最終コポリマーとの間に視覚的な不透明性をもたらす相分離が生じないことが重要である。
【0058】
さらに、使用され得る希釈剤の最大量は、希釈剤が最終ポリマーに引き起こす膨潤の量に依存するであろう。過度の膨潤は、希釈剤が水和時に水で置換されたときにコポリマーを崩壊させることになる、または崩壊させる場合がある。好適な希釈剤としては、エチレングリコール、グリセリン、液体ポリ(エチレングリコール)、アルコール、アルコール/水混合物、エチレンオキシド/プロピレンオキシドブロックコポリマー、低分子量直鎖ポリ(2-ヒドロキシエチルメタクリレート)、乳酸のグリコールエステル、ホルムアミド、ケトン、ジアルキルスルホキシド、ブチルカルビトール、本明細書に記載されるホウ酸塩、およびこれに類するもの、ならびにこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0059】
必要に応じて、周囲圧力で、もしくはそれに近い圧力で、または真空下での蒸発によって達成することができる縁部仕上げ作業の前に、レンズから残留希釈剤を除去することが望ましい場合がある。高温を用いて、希釈剤を蒸発させるのに必要な時間を短縮することができる。溶媒除去工程のための時間、温度、および圧力条件は、当業者によって容易に決定することができるように、希釈剤および特定のモノマー成分の揮発性などの要因に応じて変わるであろう。所望される場合、ヒドロゲルレンズを製造するために使用される混合物は、ヒドロゲル材料を作製するための先行技術において既知の架橋剤および湿潤剤をさらに含んでもよい。
【0060】
眼内レンズの場合、重合されるモノマー混合物は、得られる重合製品の屈折率を増加させるためのモノマーをさらに含んでもよい。このようなモノマーの例としては、芳香族(メタ)アクリレート(フェニル(メタ)アクリレート、2-フェニルエチル(メタ)アクリレート、2-フェノキシエチルメタクリレート、およびベンジル(メタ)アクリレートなど)が挙げられる。
【0061】
本明細書で得られるコンタクトレンズなどの眼科用デバイスに、任意選択的な機械加工作業を施してもよい。例えば、他の任意選択的な機械加工工程は、レンズ縁部および/または表面のバフ加工または研磨を含み得る。一般に、このような機械加工プロセスは、製品が型部分から離型される前または後に実施されてもよく、例えば、レンズは、真空ピンセットを用いてレンズを型から持ち上げることによって型から乾燥離型され、その後、レンズは、機械的ピンセットによって第2のセットの真空ピンセットに移され、表面または縁部を滑らかにするために回転する表面に対して配置される。次いで、レンズの反対側を機械加工するために、レンズを裏返してもよい。
【0062】
次いで、レンズを、緩衝生理食塩水溶液を含有する個々のレンズパッケージに移してもよい。生理食塩水は、レンズを移す前にパッケージに添加されても、または移した後にパッケージに添加されてもいずれでもよい。適切なパッケージデザインおよび材料は、当該技術分野において既知である。プラスチックパッケージは、フィルムで剥離可能に密封される。好適な密封フィルムは、当該技術分野において既知であり、箔、ポリマーフィルム、およびこれらの混合物が挙げられる。次いで、滅菌製品を確保するために、レンズを含有する密封されたパッケージを滅菌する。好適な滅菌手段および条件は、当該技術分野において既知であり、例えば、オートクレーブを含む。
【0063】
当業者は容易に理解するであろうように、他の工程を上述の成形および包装プロセスに含んでもよい。このような他の工程は、例えば、形成されたレンズをコーティングすること、形成中にレンズを表面処理すること(例えば、型移送を介して)、レンズを検査すること、欠陥のあるレンズを廃棄すること、型半部を洗浄すること、型半部を再利用すること、およびこれに類するもの、ならびにこれらの組み合わせを含むことができる。
【0064】
以下の実施例は、当業者が本発明を実施することを可能にするために提供されるものであり、単なる例示である。実施例は、特許請求の範囲で定義される本発明の範囲を限定するものとして読まれるべきではない。
【0065】
以下に記載されるように、様々な重合製品が形成され、以下のような標準的な試験手順によって特徴付けられた。
【0066】
酸素透過度(Dkとも呼ばれる)は、以下の手順によって決定される。得られる酸素透過度値が記載された方法と同等である限り、他の方法および/または機器を使用してもよい。シリコーンヒドロゲルの酸素透過度は、その端部に、中央の円形の金の陰極と陰極から絶縁された銀の陽極を備えるプローブを有するO2 Permeometer Model 201T機器(Createch、米国カリフォルニア州Albany)を使用して、ポラログラフィック法(ANSI Z80.20-1998)により測定する。測定は、150~600マイクロメートルの範囲の3つの異なる中心厚さの、事前に検査したピンホールのない平らなシリコーンヒドロゲルフィルムの試料にのみ行う。フィルム試料の中心厚さの測定を、RehderET-1電子厚さ計を使用して測定してもよい。一般に、フィルム試料は、円板の形状を有する。測定は、フィルム試料およびプローブを、35℃+/-0.2°で平衡化した循環するリン酸塩緩衝生理食塩水(PBS)を含む浴中に浸漬した状態で行う。プローブおよびフィルム試料をPBS浴に浸す前に、フィルム試料を配置し、平衡化PBSで予め湿らせた陰極の中心を置き、陰極とフィルム試料との間に気泡または過剰なPBSが存在しないことを確認し、次いで、プローブの陰極部分がフィルム試料のみに接触した状態で、フィルム試料を取り付けキャップでプローブに固定する。シリコーンヒドロゲルフィルムについては、プローブ陰極とフィルム試料との間に、例えば、円板形状を有する、テフロンポリマー膜を用いることが有用な場合が多い。このような場合、まずテフロン膜を予め湿らせた陰極上に配置し、次いでフィルム試料をテフロン膜上に配置し、気泡または過剰なPBSがテフロン膜またはフィルム試料の下に存在しないことを確認する。測定値を収集したら、Dk値の計算には相関係数値(R2)が0.97以上のデータのみを入力する必要がある。厚さあたり少なくとも2つのDk測定値で、かつR2値を満たす値を得る。既知の回帰分析を使用して、酸素透過率(Dk)を、少なくとも3つの異なる厚さを有するフィルム試料から計算する。PBS以外の溶液で水和した任意のフィルム試料を、まず精製水に浸し、少なくとも24時間平衡化させ、次いでPHBに浸し、少なくとも12時間平衡化させる。機器を定期的に洗浄し、RGP規格を使用して定期的に較正する。上限値および下限値は、William J.Benjamin,et al.,The Oxygen Permeability of Reference Materials,Optom Vis Sci 7(12s):95(1997)によって確立されたリポジトリ値の+/-8.8%を計算することによって確立され、その開示はその全体が本明細書に組み込まれる。
【0067】
水分%:2組の水和された6個のレンズまたはフィルムを一片の濾紙上でブロット乾燥させて余分な水を除去し、試料を秤量する(湿重量)。次いで、試料を、乾燥剤を入れた瓶の中に入れ、電子レンジに10分間かけた。次いで、試料を30分間放置して室温に平衡化し、再秤量する(乾燥重量)。湿重量と乾燥重量から水分率を計算する。
【0068】
接触角(CBCA):キャプティブ気泡接触角データを、First Ten Angstroms FTA-1000prop Shape Instrument上で収集した。全ての試料を、試料表面から包装溶液の成分を除去するために、分析の前にHPLCグレードの水中ですすいだ。データ収集の前に、全ての実験に使用される水の表面張力を、ペンダントドロップ法を使用して測定した。水が使用に適していると判断されるためには、70~72ダイン/cmの表面張力値が期待された。全てのレンズ試料を湾曲した試料ホルダー上に置き、HPLCグレードの水で満たされた石英セル中に水没させた。前進および後退する捕らわれた気泡の接触角を、各試料について収集した。前進接触角は、気泡がレンズ表面から後退している(水が表面を横切って前進している)ときに水中で測定される角度として定義される。試料/気泡界面上に焦点を合わせたハイスピードデジタルカメラを使用して、全ての捕らわれた気泡データを収集した。接触角は、試料/気泡界面を横切って接触線移動する直前に、デジタルフレームで計算した。後退接触角は、気泡が試料表面を横切って膨潤している(水が表面から後退している)ときに水中で測定される角度として定義される。
【0069】
フィルム試料をホウ酸塩緩衝生理食塩水中に浸漬した、Instron(モデル4502)機器を用いて、ASTM1708に従って、弾性率(g/mm)および伸び率(%)を測定した。フィルム試料の適切なサイズは、ゲージ長22mmおよび幅4.75mmであり、試料は、Instron機器のクランプによる試料の把持に対応するためのドッグボーン形状を形成する端部をさらに有し、厚さ100±50マイクロメートルであった。
【0070】
引張強度(g/mm)をASTM試験方法D1708aに従って測定した。
【0071】
引張係数と同じ物理条件下で、ASTMD-1938に従って引裂強度を測定した。
【0072】
デルトロニックコンパレータで測定した弧の深さ(SAG)。
【0073】
実施例では、以下の略語が使用される。
【0074】
HEMA:2-ヒドロキシエチルメタクリレート。
【0075】
NVP:N-ビニル-2-ピロリドン。
【0076】
AMA:アリルメタクリレート。
【0077】
TRIS:トリス(トリメチルシロキシ)シリルプロピルメタクリレート。
【0078】
SIGMA:(3-メタクリロキシ-2-ヒドロキシプロポキシ)プロピルビス(トリメチルシロキシ)メチルシラン。
【0079】
テトラエチレングリコールジメタクリレート(TEGDMA):以下の構造の化合物:
【化17】
【0080】
Vazo(商標)64:アゾビス-イソブチルニトリル(AIBN)。
【0081】
CIX-4:以下の構造を有する化合物:
【化18】
【0082】
SAモノマー:以下の構造を有する化合物:
【化19】
【0083】
M1EDS6:以下の構造を有し、Gelestから入手可能な化合物:
【化20】
【0084】
MCR-M11:以下の構造を有する化合物:
【化21】
【0085】
M1-MCR-C12:以下の構造を有する化合物:
【化22】

(式中、nは、平均12である)。
【0086】
実施例1
表1に列挙した以下の構成成分を重量当たりの量で混合することによってモノマー混合物を作製した。
【表1】
【0087】
得られたモノマー混合物を、モノマー混合物をポリプロピレン型アセンブリに導入することによってコンタクトレンズへとキャスティングした。次いで、型アセンブリおよびモノマー混合物を約3時間熱硬化させて、コンタクトレンズを形成した。得られたコンタクトレンズを型アセンブリから離型した。
【0088】
実施例2
表2に列挙した以下の構成成分を重量当たりの量で混合することによってモノマー混合物を作製した。
【表2】
【0089】
得られたモノマー混合物を、モノマー混合物をポリプロピレン型アセンブリに導入することによってコンタクトレンズへとキャスティングした。次いで、型アセンブリおよびモノマー混合物を約3時間熱硬化させて、コンタクトレンズを形成した。得られたコンタクトレンズを型アセンブリから離型した。
【0090】
実施例3
表3に列挙した以下の構成成分を重量当たりの量で混合することによってモノマー混合物を作製した。
【表3】
【0091】
得られたモノマー混合物を、モノマー混合物をポリプロピレン型アセンブリに導入することによってコンタクトレンズへとキャスティングした。次いで、型アセンブリおよびモノマー混合物を約3時間熱硬化させて、コンタクトレンズを形成した。得られたコンタクトレンズを型アセンブリから離型した。
【0092】
実施例4
表4に列挙した以下の構成成分を重量当たりの量で混合することによってモノマー混合物を作製した。
【表4】
【0093】
得られたモノマー混合物を、モノマー混合物をポリプロピレン型アセンブリに導入することによってコンタクトレンズへとキャスティングした。次いで、型アセンブリおよびモノマー混合物を約3時間熱硬化させて、コンタクトレンズを形成した。得られたコンタクトレンズを型アセンブリから離型した。
【0094】
実施例5
表5に列挙した以下の構成成分を重量当たりの量で混合することによってモノマー混合物を作製した。
【表5】
【0095】
得られたモノマー混合物を、モノマー混合物をポリプロピレン型アセンブリに導入することによってコンタクトレンズへとキャスティングした。次いで、型アセンブリおよびモノマー混合物を約3時間熱硬化させて、コンタクトレンズを形成した。得られたコンタクトレンズを型アセンブリから離型した。
【0096】
実施例6
表6に列挙した以下の構成成分を重量当たりの量で混合することによってモノマー混合物を作製した。
【表6】
【0097】
得られたモノマー混合物を、モノマー混合物をポリプロピレン型アセンブリに導入することによってコンタクトレンズへとキャスティングした。次いで、型アセンブリおよびモノマー混合物を約3時間熱硬化させて、コンタクトレンズを形成した。得られたコンタクトレンズを型アセンブリから離型した。
【0098】
実施例7
表7に列挙した以下の構成成分を重量当たりの量で混合することによってモノマー混合物を作製した。
【表7】
【0099】
得られたモノマー混合物を、モノマー混合物をポリプロピレン型アセンブリに導入することによってコンタクトレンズへとキャスティングした。次いで、型アセンブリおよびモノマー混合物を約3時間熱硬化させて、コンタクトレンズを形成した。得られたコンタクトレンズを型アセンブリから離型した。
【0100】
実施例8
表8に列挙した以下の構成成分を重量当たりの量で混合することによってモノマー混合物を作製した。
【表8】
【0101】
得られたモノマー混合物を、モノマー混合物をポリプロピレン型アセンブリに導入することによってコンタクトレンズへとキャスティングした。次いで、型アセンブリおよびモノマー混合物を約3時間熱硬化させて、コンタクトレンズを形成した。得られたコンタクトレンズを型アセンブリから離型した。
【0102】
実施例9
表9に列挙した以下の構成成分を重量当たりの量で混合することによってモノマー混合物を作製した。
【表9】
【0103】
得られたモノマー混合物を、モノマー混合物をポリプロピレン型アセンブリに導入することによってコンタクトレンズへとキャスティングした。次いで、型アセンブリおよびモノマー混合物を約3時間熱硬化させて、コンタクトレンズを形成した。得られたコンタクトレンズを型アセンブリから離型した。
【0104】
実施例1~9のそれぞれで得られたレンズを、以下の表10に記載される標準的な試験手順によって特徴付けた。
【表10】
【0105】
本明細書に開示される実施形態に様々な修正が加えられてもよいことが理解されるであろう。したがって、上記の説明は、限定するものと解釈されるべきではなく、単に好ましい実施形態の例示としてのみ解釈されるべきである。例えば、上述され、本発明を動作させるためのベストモードとして実装される機能は、例示目的のみのためのものである。当業者であれば、本発明の範囲および趣旨から逸脱することなく、他の構成および方法が実施されてもよい。さらに、当業者は、本明細書に追加される特徴および利点の範囲および趣旨内で他の修正を想定するであろう。
なお、下記[1]から[33]は、いずれも本発明の一形態又は一態様である。
[1]
モノマー混合物の重合製品である水抽出可能な眼科用デバイスであって、前記モノマー混合物が、(a)1つ以上の環状ラクタムと、(b)1つ以上の嵩高くない有機ケイ素含有モノマーと、(c)1つ以上の嵩高いシロキサンモノマーと、(d)架橋剤混合物であって、(i)少なくとも2つのエチレン性不飽和反応性末端基を含有する1つ以上の第1の架橋剤であって、前記少なくとも2つのエチレン性不飽和反応性末端基が、(メタ)アクリレート含有反応性末端基である、1つ以上の第1の架橋剤、および(ii)少なくとも2つのエチレン性不飽和反応性末端基を含有する1つ以上の第2の架橋剤であって、前記エチレン性不飽和反応性末端基のうちの少なくとも1つが、非(メタ)アクリレート反応性末端基である、1つ以上の第2の架橋剤、を含む、架橋剤混合物と、を含み、前記水抽出可能な眼科用デバイスが、少なくとも約50重量%の平衡含水率、約50°未満の接触角、および少なくとも約60バーラーの酸素透過度を有する、水抽出可能な眼科用デバイス。
[2]
約50重量%~約70重量%の平衡含水率を有する、[1]に記載の水抽出可能な眼科用デバイス。
[3]
約50重量%~約70重量%の平衡含水率、約30°~約50°の接触角、および少なくとも約70バーラーの酸素透過度を有する、[1]に記載の水抽出可能な眼科用デバイス。
[4]
約55重量%~約65重量%の平衡含水率、約30°~約45°の接触角、および少なくとも約70バーラーの酸素透過度を有する、[1]に記載の水抽出可能な眼科用デバイス。
[5]
約15重量%未満の水抽出可能な含有量をさらに有する、[1]~[4]に記載の水抽出可能な眼科用デバイス。
[6]
前記モノマー混合物中に存在する前記1つ以上の環状ラクタムの量が、前記モノマー混合物の総重量に基づいて、約55重量%以下の量である、[1]~[5]に記載の水抽出可能な眼科用デバイス。
[7]
前記1つ以上の環状ラクタムが、N-ビニル-2-ピロリドン、N-ビニルカプロラクタム、N-ビニル-2-ピペリドン、およびこれらの混合物からなる群から選択される、[1]~[6]に記載の水抽出可能な眼科用デバイス。
[8]
前記1つ以上の嵩高くない有機ケイ素含有モノマーが、以下の構造で表される化合物:
【化23】

(式中、Lは、エチレン性不飽和重合性基であり、Vは、リンカー基または結合であり、R 、R 、R 、R 、R 、R 、R 、R 、およびR は、独立して、水素、アルキル、ハロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アルケニル、ハロアルケニル、または芳香族であり、R 10 およびR 11 は、独立して、水素またはアルキルであり、R 10 およびR 11 のうちの少なくとも1つは、水素であり、yは、2~7であり、nは、1~100である)、あるいは以下の構造で表される化合物:
【化24】

(式中、R 12 は、Hまたはメチルであり、Xは、OまたはNR 16 であり、R 16 は、水素、または1つ以上のヒドロキシル基でさらに置換されていてもよいC ~C アルキルであり、R 13 は、エーテル基、ヒドロキシル基、カルバメート基、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される基でさらに官能化されていてもよい二価アルキル基であり、各R 14 は、独立して、フェニル、またはフッ素、ヒドロキシル、もしくはエーテルで置換されていてもよいC ~C アルキルであり、R 15 は、C ~C アルキルであり、aは、2~50である)を含む、[1]~[7]に記載の水抽出可能な眼科用デバイス。
[9]
前記1つ以上の嵩高いシロキサンモノマーが、以下の構造:
【化25】

(式中、Xは-COO-、-CONR 19 -、-OCOO-、もしくは-OCONR 19 -を表し、各R 19 は、水素もしくはC ~C アルキルであり、R 17 は、独立して、水素もしくはメチルを表し、各R 18 は、独立して、C ~C アルキルなどの低級アルキルラジカル、フェニルラジカル、もしくは以下の構造で表される基:
【化26】

(式中、各R 18′ は独立して、低級アルキルもしくはフェニルラジカルを表し、hは1~10である)を表す)、または以下の構造:
【化27】

(式中、Xは-NR 19 -を表し、R 19 は、水素もしくはC ~C アルキルを表し、R 17 は、水素もしくはメチルを表し、各R 18 は、独立して、低級アルキルラジカル、フェニルラジカル、もしくは以下の構造で表される基:
【化28】

(式中、各R 13′ は独立して、低級アルキルもしくはフェニルラジカルを表し、hは、1~10である)を表す)で表される、[1]~[8]に記載の水抽出可能な眼科用デバイス。
[10]
前記1つ以上の第1の架橋剤が、アルキレングリコール含有ジ(メタ)アクリレート架橋剤、アルキレングリコール含有トリ(メタ)アクリレート架橋剤、アルキレングリコール含有テトラ(メタ)アクリレート架橋剤、およびこれらの混合物からなる群から選択される、[1]~[9]に記載の水抽出可能な眼科用デバイス。
[11]
前記1つ以上の第2の架橋剤が、ジ(N-ビニルカルバメート)含有架橋剤、ジ(N-アリルカルバメート)含有架橋剤、ジ(O-ビニルカルバメート)含有架橋剤、ジ(O-アリルカルバメート)含有架橋剤、ジ(O-ビニルカルボネート)含有架橋剤、ジ(O-アリルカルボネート)含有架橋剤、トリ(N-ビニルカルバメート)含有架橋剤、トリ(N-アリルカルバメート)含有架橋剤、トリ(O-ビニルカルバメート)含有架橋剤、トリ(O-アリルカルバメート)含有架橋剤、トリ(O-ビニルカルボネート)含有架橋剤、トリ(O-アリルカルボネート)含有架橋剤、テトラ(N-ビニルカルバメート)含有架橋剤、テトラ(N-アリルカルバメート)含有架橋剤、テトラ(O-ビニルカルバメート)含有架橋剤、テトラ(O-アリルカルバメート)含有架橋剤、テトラ(O-ビニルカルボネート)含有架橋剤、テトラ(O-アリルカルボネート)含有架橋剤、イソシアヌレート含有架橋剤、およびこれらの混合物からなる群から選択される、[1]~[10]に記載の水抽出可能な眼科用デバイス。
[12]
前記モノマー混合物が、
(a)前記モノマー混合物の総重量に基づいて、約42重量%~約55重量%の前記1つ以上の環状ラクタムと、
(b)前記モノマー混合物の総重量に基づいて、約5~約25重量%の前記1つ以上の嵩高くない有機ケイ素含有モノマーと、
(c)前記モノマー混合物の総重量に基づいて、約10~約45重量%の前記1つ以上の嵩高いシロキサンモノマーと、
(d)(i)前記モノマー混合物の総重量に基づいて、約0.05~約2重量%の前記1つ以上の第1の架橋剤、および(ii)前記モノマー混合物の総重量に基づいて、約0.05~約2重量%の前記1つ以上の第2の架橋剤、を含む架橋剤混合物と、を含む、[1]~[11]に記載の水抽出可能な眼科用デバイス。
[13]
前記モノマー混合物が、少量の2-ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)をさらに含む、[1]~[12]に記載の水抽出可能な眼科用デバイス。
[14]
前記モノマー混合物が、紫外線(UV)遮断剤をさらに含む、[1]~[13]に記載の水抽出可能な眼科用デバイス。
[15]
前記モノマー混合物が希釈剤をさらに含み、前記希釈剤が、C ~C 一価アルコールのホウ酸エステルおよびC ~C 一価アルコールのうちの1つを含む、[1]~[14]に記載の水抽出可能な眼科用デバイス。
[16]
前記水抽出可能な眼科用デバイスが、コンタクトレンズまたはヒドロゲルである、[1]~[15]に記載の水抽出可能な眼科用デバイス。
[17]
水抽出可能な眼科用デバイスを調製する方法であって、
(a)モノマー混合物を型中で硬化させることであって、前記モノマー混合物が、(i)1つ以上の環状ラクタムと、(ii)1つ以上の嵩高くない有機ケイ素含有モノマーと、(ii)1つ以上の嵩高いシロキサンモノマーと、(iv)架橋剤混合物であって、(1)少なくとも2つのエチレン性不飽和反応性末端基を含有する1つ以上の第1の架橋剤であって、前記少なくとも2つのエチレン性不飽和反応性末端基が、(メタ)アクリレート含有反応性末端基である、1つ以上の第1の架橋剤、および(2)少なくとも2つのエチレン性不飽和反応性末端基を含有する1つ以上の第2の架橋剤であって、前記エチレン性不飽和反応性末端基のうちの少なくとも1つが、非(メタ)アクリレート反応性末端基である、1つ以上の第2の架橋剤、を含む、架橋剤混合物と、を含む、硬化させることと、
(b)前記眼科用デバイスを前記型から乾燥離型して、少なくとも約50重量%の平衡含水率、約50°未満の接触角、および少なくとも約60バーラーの酸素透過度を有する水抽出可能な眼科用デバイスを提供することと、を含む、方法。
[18]
前記水抽出可能な眼科用デバイスが、約50重量%~約70重量%の平衡含水率、約30°~約50°の接触角、および少なくとも約70バーラーの酸素透過度を有する、[17]に記載の方法。
[19]
前記水抽出可能な眼科用デバイスが、約55重量%~約65重量%の平衡含水率、約30°~約45°の接触角、および少なくとも約70バーラーの酸素透過度を有する、[17]に記載の方法。
[20]
前記水抽出可能な眼科用デバイスが、約15重量%未満の水抽出可能な含有量をさらに有する、[17]~[19]に記載の方法。
[21]
前記モノマー混合物中に存在する前記1つ以上の環状ラクタムの量が、前記モノマー混合物の総重量に基づいて、約55重量%以下の量である、[17]~[20]に記載の方法。
[22]
前記1つ以上の環状ラクタムが、N-ビニル-2-ピロリドン、N-ビニルカプロラクタム、N-ビニル-2-ピペリドン、およびこれらの混合物からなる群から選択される、[17]~[21]に記載の方法。
[23]
前記1つ以上の嵩高くない有機ケイ素含有モノマーが、以下の構造で表される化合物:
【化29】

(式中、Lは、エチレン性不飽和重合性基であり、Vは、リンカー基または結合であり、R 、R 、R 、R 、R 、R 、R 、R 、およびR は、独立して、水素、アルキル、ハロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アルケニル、ハロアルケニル、または芳香族であり、R 10 およびR1 は、独立して、水素またはアルキルであり、R 10 およびR 11 のうちの少なくとも1つは、水素であり、yは、2~7であり、nは、1~100である)、あるいは以下の構造で表される化合物:
【化30】

(式中、R 12 は、Hまたはメチルであり、Xは、OまたはNR 16 であり、R 16 は、水素、または1つ以上のヒドロキシル基でさらに置換されていてもよいC ~C アルキルであり、R 13 は、エーテル基、ヒドロキシル基、カルバメート基、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される基でさらに官能化されていてもよい二価アルキル基であり、各R 14 は、独立して、フェニル、またはフッ素、ヒドロキシル、もしくはエーテルで置換されていてもよいC ~C アルキルであり、R 15 は、C ~C アルキルであり、aは、2~50である)、を含む、[17]~[22]に記載の方法。
[24]
前記1つ以上の嵩高いポリシロキサンモノマーが、以下の構造:
【化31】

(式中、Xは-COO-、-CONR 19 -、-OCOO-、もしくは-OCONR 19 -を表し、各R 19 は、水素もしくはC ~C アルキルであり、R 17 は、独立して、水素もしくはメチルを表し、各R 18 は、独立して、C ~C アルキルなどの低級アルキルラジカル、フェニルラジカル、もしくは以下の構造で表される基:
【化32】

(式中、各R 18′ は独立して、C ~C アルキルなどの低級アルキルまたはフェニルラジカルを表し、hは、1~10である)を表す)、あるいは以下の構造:
【化33】

(式中、Xは-NR 19 -を表し、R 19 は、水素またはC ~C アルキルを表し、R 17 は、水素またはメチルを表し、各R 18 は、独立して、C ~C アルキルなどの低級アルキルラジカル、フェニルラジカル、または以下の構造で表される基:
【化34】

(式中、各R 13′ は、独立して、C ~C アルキルなどの低級アルキル、またはフェニルラジカルを表し、hは、1~10である)を表す)で表される、[17]~[23]に記載の方法。
[25]
前記1つ以上の第1の架橋剤が、アルキレングリコール含有ジ(メタ)アクリレート架橋剤、アルキレングリコール含有トリ(メタ)アクリレート架橋剤、アルキレングリコール含有テルトラ(tertra)(メタ)アクリレート架橋剤、およびこれらの混合物からなる群から選択される、[17]~[24]に記載の方法。
[26]
前記1つ以上の第2の架橋剤が、ジ(N-ビニルカルバメート)含有架橋剤、ジ(N-アリルカルバメート)含有架橋剤、ジ(O-ビニルカルバメート)含有架橋剤、ジ(O-アリルカルバメート)含有架橋剤、ジ(O-ビニルカルボネート)含有架橋剤、ジ(O-アリルカルボネート)含有架橋剤、トリ(N-ビニルカルバメート)含有架橋剤、トリ(N-アリルカルバメート)含有架橋剤、トリ(O-ビニルカルバメート)含有架橋剤、トリ(O-アリルカルバメート)含有架橋剤、トリ(O-ビニルカルボネート)含有架橋剤、トリ(O-アリルカルボネート)含有架橋剤、テトラ(N-ビニルカルバメート)含有架橋剤、テトラ(N-アリルカルバメート)含有架橋剤、テトラ(O-ビニルカルバメート)含有架橋剤、テトラ(O-アリルカルバメート)含有架橋剤、テトラ(O-ビニルカルボネート)含有架橋剤、テトラ(O-アリルカルボネート)含有架橋剤、イソシアヌレート含有架橋剤、およびこれらの混合物からなる群から選択される、[17]~[25]に記載の方法。
[27]
前記モノマー混合物が、
(a)前記モノマー混合物の総重量に基づいて、約42重量%~約55重量%の前記1つ以上の環状ラクタムと、
(b)前記モノマー混合物の総重量に基づいて、約5~約25重量%の前記1つ以上の嵩高くない有機ケイ素含有モノマーと、
(c)前記モノマー混合物の総重量に基づいて、約10~約45重量%の前記1つ以上の嵩高いシロキサンモノマーと、
(d)(i)前記モノマー混合物の総重量に基づいて、約0.05~約2重量%の前記1つ以上の第1の架橋剤、および(ii)前記モノマー混合物の総重量に基づいて、約0.05~約2重量%の前記1つ以上の第2の架橋剤、を含む架橋剤混合物と、を含む、[17]~[26]に記載の方法。
[28]
前記モノマー混合物が、少量のHEMAをさらに含む、[17]~[27]に記載の方法。
[29]
前記モノマー混合物が、UV遮断剤をさらに含む、[17]~[28]に記載の方法。
[30]
前記モノマー混合物が、希釈剤をさらに含み、前記希釈剤が、C ~C 一価アルコールのホウ酸エステルおよびC ~C 一価アルコールのうちの1つを含む、[17]~[29]に記載の方法。
[31]
前記水抽出可能な眼科用デバイスが、コンタクトレンズまたはヒドロゲルである、[17]~[30]に記載の方法。
[32]
前記硬化工程が、熱硬化または赤外線硬化のうちの1つを含む、[17]~[31]に記載の方法。
[33]
少なくとも約50重量%の平衡含水率、約50°未満の接触角、および少なくとも約60バーラーの酸素透過度を有する水抽出可能な眼科用デバイスであって、[17]~[32]に記載の方法によって調製された、水抽出可能な眼科用デバイス。