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特許7282184工業プロセスで使用されるコンポーネントから発生する信号の異常を検出及び測定するためのシステムと方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-18
(45)【発行日】2023-05-26
(54)【発明の名称】工業プロセスで使用されるコンポーネントから発生する信号の異常を検出及び測定するためのシステムと方法
(51)【国際特許分類】
   G05B 23/02 20060101AFI20230519BHJP
【FI】
G05B23/02 302S
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2021544307
(86)(22)【出願日】2020-01-30
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-22
(86)【国際出願番号】 EP2020052330
(87)【国際公開番号】W WO2020157220
(87)【国際公開日】2020-08-06
【審査請求日】2021-08-19
(31)【優先権主張番号】19154618.3
(32)【優先日】2019-01-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】517338205
【氏名又は名称】ビューラー アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】ミシャン,アリソン
【審査官】影山 直洋
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-251185(JP,A)
【文献】国際公開第2018/047804(WO,A1)
【文献】特開2015-170121(JP,A)
【文献】特開2015-135601(JP,A)
【文献】特開2012-048405(JP,A)
【文献】特開2018-160093(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 23/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
工業プロセスで使用されるコンポーネントに由来する測定データ及び又はプロセスパラメータを監視することにより、産業機器又は生産プラントにおける機器障害の異常又は早期兆候を検出するための方法であって
工業プロセスで使用されるコンポーネントのプロセスパラメータをそれぞれ監視する測定データを、測定デバイス又はセンサーにより測定及び/又は監視し、前記工業プロセスで使用されるコンポーネントが正常に機能するタイムフレームについて、前記測定データ及び又はプロセスパラメータにおける等しいサイズのタイムフレームを特定するステップであって、前記測定データ及び/又はプロセスパラメータは、複数の測定/感覚パラメータ及び/又はプロセス変数のパラメータ値を含む、ステップ
前記複数の測定/感覚パラメータ及び/又はプロセス変数の前記パラメータ値を、前記特定された等しいサイズのタイムフレームのそれぞれについて、観察可能なバイナリ処理コードに変換し、該バイナリ処理コードを一連の保存可能なマルコフ連鎖状態に代入するステップ
定義可能な数の可変隠れマルコフモデルパラメータ値を含む多次元データ構造を生成するステップであって、該多次元データ構造の可変モデルパラメータは、バイナリ処理コードが代入された前記保存可能なマルコフ連鎖状態のシーケンスに適用され機械学習モジュールによって決定され、前記多次元データ構造の前記可変隠れマルコフモデルパラメータは、前特定された等しいサイズのタイムフレームの前記測定データ及び又はプロセスパラメータに基づいて、発生するアラームイベントの正常な状態の頻度を学習することによトレーニングされ且つ変化される、ステップ
前記複数の測定/感覚パラメータ及び/又はプロセス変数のパラメータ値と同じ等しいサイズのタイムフレームを持つ事前サンプリングされたバイナリ処理コードに、前記可変隠れマルコフモデルパラメータ値を持つトレーニング済みの前記多次元データ構造を適用することにより、複数の確率状態値を初期化し、保存するステップ
保存された前記確率状態値の対数結果値を順序付けすることにより、異常スコアの対数の第1のしきい値を決定するステップと、
前記可変隠れマルコフモデルパラメータ値を持つトレーニング済みの前記多次元データ構造を展開して、異常スコアの第1のしきい値を使用して、産業機器又はプラントからの新たに測定された、それぞれ決定された測定データ及びはプロセスパラメータを監視し、差し迫ったシステム障害を示す可能性のある異常なセンサーデータ値を検出するステップであって、前記異常なセンサーデータ値でトリガーするために、前記新たに測定されたそれぞれ決定された測定データ及び/又はプロセスパラメータの確率状態値の対数結果値が生成され、前記異常スコアの前記対数の第1のしきい値に基づいて、前記保存された確率状態値と比較される、ステップと、
含む、産業機器又は生産プラントにおける機器障害の異常又は早期兆候を検出するための方法。
【請求項2】
ここで、前記バイナリ処理コードは、前記測定データ及び/又は前記プロセスパラメータに適用される第2のしきい値に基づいて生成される、請求項1に記載の、産業機器又は生産プラントにおける機器障害の異常又は早期兆候を検出するための方法。
【請求項3】
振動/ノイズ信号による異常イベントが多すぎる異常検出の場合、第2のしきい値のうち1つの動的調整に基づいて自動的に調整されること、ここで、1つの第2のしきい値を超えた場合、イベントは1値(true)と見なされ、それ以外の場合は0値(false)と見なされ、イベントが1値(true)と見なされた場合にバイナリシーケンスが生成されることを特徴とする、請求項2に記載の、産業機器又は生産プラントにおける機器障害の異常又は早期兆候を検出するための方法。
【請求項4】
異常なタイムフレームが同じ産業プロセスラインの多くの資産にわたって測定され、ここで、異常スコアでトリガーするために、異常なタイムフレームがプラントのダウンタイムの根本原因分析に適用され、且つメンテナンスサービスのシグナリングがプラントのダウンタイムの前記根本原因分析に基づいて生成されることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の、産業用システムにおける機器故障の異常又は早期兆候を検出するための方法。
【請求項5】
機械学習モジュールは、前記可変隠れマルコフモデルパラメータを持つ前記多次元データ構造のトレーニングに最尤パラメータ推定を適用することにより、割り当てられたバイナリ処理コードのシーケンスを処理し、ここで、マルコフ連鎖の保存可能なパラメータステータスのシーケンスの要素は、互いに独立した測定であると想定され、ここで、多次元データ構造のモデルパラメータは、多次元データ構造の訓練されたモデルパラメータを得るために、確率の乗算された積を最大化することによって変化することを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の、産業機器又は生産プラントにおける機器障害の異常又は早期兆候を検出するための方法。
【請求項6】
多次元データ構造のモデルパラメータは、事前定義された収束しきい値をクロスするまで繰り返し変化することを特徴とする、請求項5に記載の、産業機器又は生産プラントにおける機器障害の異常又は早期兆候を検出するための方法。
【請求項7】
異常スコアの前記第1のしきい値を決定するために、平均化プロセスが、識別されたタイムフレームの測定及び/又はプロセスパラメータの発生するアラームイベントの異なる頻度に基づいて適用されることを特徴とする、請求項1から6のいずれかに一項に記載の、産業機器又は生産プラントにおける機器障害の異常又は早期兆候を検出するための方法。
【請求項8】
異常スコアの前記第1のしきい値を決定するため、頻度パターンは、パターン認識を使用して、等しいサイズの識別されたタイムフレームのそれぞれに対して生成され、保存可能なパラメータステータスの複数のマルコフ連鎖シーケンスを初期化し、ここで、各保存可能なパラメータステータスは、複数の測定データ及び/又はプロセスパラメータの関数であり、ここで、適用されたパターン認識によって、保存可能なパラメータステータスの複数のシーケンスのそれぞれの重み係数及び/又は平均及び/又は分散が決定され、且つ関係のないタイムフレームは、等しいサイズの識別されたタイムフレームの使用済みセットから削除されることを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の、産業機器又は生産プラントにおける機器障害の異常又は早期兆候を検出するための方法。
【請求項9】
デジタル信号又はパルスとしてのゲーティング信号が生成され、適切なタイムウィンドウを提供すること、ここで、測定データ及び/又はプロセスパラメータの多くの測定されたタイムフレームの中から、新たに測定された測定データ及び/又はプロセスパラメータの発生する異常なタイムフレームが選択され、且つ正常なタイムフレームは削除又は破棄され、且つ、ここで、発生する異常なタイムフレームの選択は、適切なシグナリング生成及び割り当てられたアラーム及び/又は監視及び/又は制御/ステアリングデバイスへの遷移をトリガーすることを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載の、産業機器又は生産プラントにおける機器障害の異常又は早期兆候を検出するための方法。
【請求項10】
電子制御及びステアリングシグナリングは生成されること、ここで、測定データの多くの測定されたタイムフレームの中から新たに測定された測定データ及び/又はプロセスパラメータの検出された発生する異常なタイムフレームに基づいて選択され、且つ正常なタイムフレームは削除又は破棄され、且つここで、少なくとも1つの発生する異常なタイムフレームの選択は、適切なシグナリング生成及び遷移をトリガーして、制御/ステアリングデバイスによって、産業機器及び/又は生産プラント又はコンポーネントの操作を調整することを特徴とする、請求項9に記載の、産業機器又は生産プラントにおける機器障害の異常又は早期兆候を検出するための方法。
【請求項11】
工業プロセスで使用されるコンポーネントに由来する測定データ及び又はプロセスパラメータを監視することにより、産業機器又は生産プラントにおける機器障害の異常又は早期兆候を検出するためのシステムであって、
当該システムは、工業プロセスで使用されるコンポーネントの測定データ及び又はプロセスパラメータを測定するためのセンサー又は測定デバイスと、前記工業プロセスで使用されるコンポーネントが正常に機能するタイムフレームについて、前記測定データ及び又はプロセスパラメータにおける等しいサイズのタイムフレームを特定するための検出デバイスを含み、前記測定データ及び/又はプロセスパラメータは複数の測定/感覚パラメータ及び/又はプロセス変数のパラメータ値を含
当該システムは、複数の測定/感覚パラメータ及び/又はプロセス変数のパラメータ値を、識別された等しいサイズのタイムフレームのそれぞれについて観察可能なバイナリ処理コードに変換し、該バイナリ処理コードを一連の保存可能なマルコフ連鎖状態に代入するための微分回路を含
当該システムは、定義可能な数の可変隠れマルコフモデルパラメータ値を含む多次元データ構造を生成するための機械学習モジュールを含み、該多次元データ構造の可変モデルパラメータは、バイナリ処理コードが代入された前記保存可能なマルコフ連鎖状態のシーケンスに適用される機械学習モジュールによって決定され、前記多次元データ構造の可変隠れマルコフモデルパラメータは、前記特定された等しいサイズのタイムフレームの測定データ及び/又はプロセスパラメータに基づいて、発生するアラームイベントの正常な状態の頻度を学習することによトレーニングされ且つ変化され
前記機械学習モジュールは、複数の測定感覚パラメータ及び又はプロセス変数のパラメータ値と同じ等しいサイズのタイムフレームを持つ事前サンプリングされたバイナリ処理コードに、前記可変隠れマルコフモデルパラメータ値を持つトレーニング済みの前記多次元データ構造を適用することにより、複数の確率状態値を初期化し、保存するための手段を含み、
前記機械学習モジュールは、保存された前記確率状態値の対数結果値を順序付けることによ、異常スコアの対数の第1のしきい値を決定するための手段を含み、
前記機械学習モジュールは、前記可変隠れマルコフモデルパラメータ値を持つトレーニング済みの前記多次元データ構造を展開して、異常スコアの第1のしきい値を使用して、産業機器又はプラントからの新たに測定された、それぞれ決定された測定データ及びはプロセスパラメータを監視し、差し迫ったシステム障害を示す可能性のある異常なセンサーデータ値を検出する手段を含み、前記異常なセンサーデータ値でトリガーするために、前記新たに測定されたそれぞれ決定された測定データ及び/又はプロセスパラメータの確率状態値の対数結果値が生成され、前記異常スコアの前記対数の第1のしきい値に基づいて、前記保存された確率状態値と比較される、システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、産業プロセス制御及び/又は監視システムに関する。特に、本発明は、請求項1に記載の工業プロセスで使用されるコンポーネントに由来する測定データ及び/又はプロセスパラメータをそれぞれ監視することによって、工業機器又は生産プラントにおける機器故障の異常又は早期兆候を検出する方法に関する。本発明は、請求項15に記載の産業プロセスで使用されるコンポーネントに由来する測定データ及び/又はプロセスパラメータを監視することによって、産業機器又は生産プラントにおける機器故障の異常又は早期兆候を検出するためのシステムに関する。本発明は、自己適応型閉ループ及び/又は自動閉ループ用の開ループ制御装置及び/又はミリング及びローラーシステムの開ループ制御、より具体的には、ローラーフレームを有するミルプラントだけでなく、一般的なミルシステム及びミルプラントも含む。ミリング及びローラーシステムの制御及びステアリング用の装置を制御するためのアプリケーションとは別に、本発明はまた、一般に、工業プロセスで使用されるコンポーネントに由来する信号伝達の異常を検出及び測定するためのシステム及び方法に関する。本発明による装置の可能な用途はまた、リアルタイム又は準リアルタイムの測定及び操作パラメータ、例えばローラー温度、ローラーギャップ、ローラー速度、ローラー押圧力、及び/又は1つ又はさまざまなローラードライブのパワードローなど、の監視を伴う、及び/又は、プロセス監視(測定、監視)及びプラントとプロセスの開ループ及び/又は閉ループ制御を目的とした穀物工場での生産調整及び処理中、例えば水分含有量、タンパク質含有量、デンプン損傷、小麦粉(又はミリング中間体)の灰分(ミネラル物質)、残留デンプン含有量、ミリングの細かさなどの測定変数など、成分又は品質パラメータのリアルタイム又は準リアルタイム測定を伴うミリング及びローラーシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
本発明の背景
工業プロセス及びデバイス設定では、制御システムは、施設、プラント又はその他の機器、ならびに産業又は化学プロセスなどの操作/プロセスを監視、制御、操縦及び信号伝達するために使用される。典型的には、制御と監視を実行するシステムは、プロセス制御ループによって制御回路に結合された産業プロセスの主要な場所に分散されたフィールドデバイスを使用する。「フィールドデバイス」という用語は、測定に使用されるすべてのデバイスを包含する、分散制御又はプロセス監視システムで機能を実行するいずれのデバイス、例えば、センサー及び測定デバイス、産業プロセス及び処理施設の制御、監視、信号伝達など、を指す。各フィールドデバイスは、例えば通信手段、及び通信に使用される回路、特に、プロセス制御ループを介した、プロセスコントローラ、他のフィールドデバイス、又は他の回路との有線又は無線通信、を含む。一部の設備では、プロセス制御ループは、フィールドデバイスに電力を供給するために調整された電流及び/又は電圧をフィールドデバイスに供給するためにも使用される。プロセス制御ループは、アナログ形式又はデジタル形式のデータも伝送する。典型的には、フィールドデバイスは、フィールドデバイスのローカル環境を監視するために、必要に応じて、工業プロセス及び/又は特定の設備でプロセス変数を検知又は制御するために使用される。
【0003】
このようなシステムの技術的な問題の1つは、大規模な産業資産(製粉所、食品加工工場など)の制御と監視は、典型的には、大量のプロセス及びアラーム/フォールトデータを生成するという事実に基づいている。多くのアラーム/フォールトがトリガーされることがよくあるが、プロセスと制御を実行し続けるために、無視されるかオフにされることがよくある。さらに、アラーム/フォールトは、マシンの簡単なメンテナンスイベントによってトリガーされる可能性があり、それ以上の技術的な懸念はない。さらに、例えばモーター電流からのプロセスデータは、しきい値に基づいて非定型の値を頻繁に示す可能性があり、個々のイベントの懸念を常に引き起こすとは限らない。アラーム/フォールトシグナリングを自動化蒸留して、通常の操作では異常な重要なイベントのショートリストにまとめる必要がある。このショートリストにより、産業プロセスで非常にコストがかかり、最小限に抑える必要があるダウンタイムイベントの効果的な予防保守と根本原因分析が可能になる。異常なパターンを事前に特定することはチャレンジであるため、教師なしの方法が望ましい。
【0004】
さらに、機械又はその他の産業設備、例えばプラント、エンジンミル、タービンなどは、さまざまな理由で故障する可能性がある。上記のように、既知のプラント又は機械の故障は典型的には、センサーによって検出され、そして、障害が検出されると、障害は修正のためにオペレータに報告されるか、適切に割り当てられたアラームデバイスに通知される。ただし、障害の検出に使用される従来の戦略は、通常、機械、プラント、又はデバイスで以前に発生した既知の問題に基づいて開発される。これらの以前の発生は、特定の問題に関連する既知の異常な挙動に対応するセンサープロファイルを自動的に推測することによって決定できる。ただし、これまでに発生したことのない問題の場合、多くの場合、警告や事前の指示なしに障害が発生する。このような状況では、障害が早期に検出された場合よりも、修理のコストが大幅に高くなる可能性がある。さらに、故障又は差し迫った故障の検出が遅れると、機械の安全性が危険にさらされる可能性がある。したがって、機械の未知の異常挙動を自動かつ正確に検出するシステムと方法を提供することが望ましい。
【0005】
特に製粉所や食品加工工場では、センサーデータからの異常検出はデータマイニングの重要なアプリケーションである。例として、ミリング生産を使用して、安全で最適化されたミリングを確保し、主要なシステム障害を防止するために、機器のリモート監視は生産プロセスの重要な部分である。リモート監視の重要なタスクは、異常検出である。つまり、障害が発生する前に障害の兆候を早期に検出する。例えば、ローラー圧力とローラー温度は安定した生産を確保するための重要なコンポーネントであり、このため監視されている。従来技術では、異常検出の自動化に多くの努力が注がれてきたが、それでも非常に困難な作業である。上で部分的にすでに説明したように、いくつかの技術的な課題がある。温度、圧力、変位、流量、振動などのセンサーデータにノイズが多く、センサー値は不連続に変化する可能性があり、相関構造は日常的にも変化する可能性がある。不要なノイズに自動的に対処するためのインテリジェントな監視及び検出システムと方法を組み込む必要がある。変数と複数の依存関係が重要である。したがって、変数を個別に分析すべきではない。誤ったアラートが生成される可能性があるためである。さらに、操作条件、例えば、気圧又は相対空気湿度/局所空気湿度などの環境条件、は時間の経過とともに変化する可能性があるため、監視対象のシステムは不安定になることがよくある。したがって、どの変数が異常を示すかなどの診断情報も必要である。しかしながら、従来技術の方法は、典型的には、実際には深刻な問題を抱えていることが知られており、複数の操作モードと多変量変数ごとの異常スコアリングの両方を処理することはできない。ほとんどのシステムは、変数ごとの情報を効果的に提供できない。これは、パラメータの次元数の測定が通常大きくなる可能性がある多くの産業用アプリケーションで特に問題になる。
【0006】
US2011/288836は、航空エンジンの異常を検出するための方法とシステムを明らかにしている。方法とシステムは、航空エンジンのコントローラの挙動モデル、コントローラに関連するデータセットの関数としてコントローラの挙動をモデル化する時間回帰を使用すること、及び過去の動作の測定と、コントローラのコマンド及び状態の測定を包含することを定義し;新しいデータセットごとに挙動モデルを継続的に再計算し;且つ、挙動モデルの統計的変動を監視して、エンジンの操作異常を表すコントローラの挙動異常を検出する。US2016/371600Aは、システムから記録されたデータを経時的に監視するためのシステムと方法を明らかにしている。ここで説明する手法には、システムイベントを検出及び分類し、正常なシステム動作と異常検出のインジケータを提供する機能が含まれる。本開示のシステム及び方法は、イベントの時間的特性を捕捉し、検出、分類、及び/又は異常検出に利用できるように、監視されているシステムで発生するイベントを表すことができる。これは、複雑なシステムやイベントを処理するときに特に役立つ。US2017/139398は、複数の生産施設と分析装置がフォグネットワークを介して接続されていることを明らかにしている。分析装置は、フォグネットワークを介して取得した検出器の検出情報に基づいてデータ分析を行い、且つデータ分析の結果として、複数の生産設備のそれぞれの異常又は生産対象の異常に関する判定情報を格納する。複数の生産施設のそれぞれが、分析装置に保存された決定情報に基づいて、複数の生産施設のそれぞれの異常又は生産対象の異常を判定する。EP3379360は、異常検出システム1は、デバイス上の操作データに基づいて監視対象デバイスの挙動を予測する予測モデルを学習する処理、通常操作時の操作データの異常スコアが所定の範囲内に収まるように異常スコアを調整する処理、異常スコアは、予測モデルによって得られた予測結果からの監視対象デバイスから取得された運用データの偏差に基づく、調整された異常スコアに基づいて異常又は異常の兆候を検出する処理、及び異常スコアの少なくとも1つに関する情報と、出力デバイスでの検出結果を表示する処理、を実行する算術デバイス1H101を含むことを明らかにする。
【0007】
最後に、先行技術システムでは、アラーム/フォールトメッセージは、多くの場合、自動化システムソフトウェア及び制御システムに記録される。このログ形式では、洞察を得てデータの傾向を確認することが困難である。したがって、オペレータは、プラントの状態を監視するために、アラーム/フォールトイベントの観察に依存する。オペレータがプラントの運転、安全、健康を簡単に追跡できるように、アラーム/フォールトメッセージのより良い出力シグナリングと視覚化を可能にする必要がある。視覚化により、所有者や保守プロバイダーなどの他の個人が洞察を得て、オペレータとのコミュニケーションを改善することもできる。大規模な処理プラントでのプラントのダウンタイムは、大幅な収益の損失をもたらすため、回避/測定することが重要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の要約
本発明の目的は、先行技術から知られている不利な点及び技術的問題を克服することである。特に、その目的は、工業プロセスで使用されるコンポーネントに由来する測定及び感覚データの異常を検出するための正確で効率的な制御システム及び方法を提供することである。システムは、大量のアラーム/フォールト情報を、通常の操作とは異なるいくつかのトリガーされた重要なイベントに効率的に抽出する自動化された技術を提供できる必要がある。システムは、リアルタイム又は準リアルタイムで制御及び監視プロセスを実行できる必要がある。より具体的には、本発明の目的は、最適化され自動化された方法でミリング及び/又は破砕を実行するために使用でき、ミルの信頼性を高め、同時に発生する異常に自動的に反応することによって操作を最適化するローラーシステムのミリングラインの自動最適化及び制御のためのインテリジェントな自己適応型開ループ/閉ループ制御装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によれば、本発明の目的は、独立請求項及び従属請求項に特に示されている要素及び組み合わせによって実現及び達成することができる。前述の一般的な説明及び以下の詳細な説明の両方は、例示的かつ説明的なものにすぎず、説明されているように本発明を限定するものではないことを理解されたい。
【0010】
本発明によれば、特に、産業プロセスで使用されるコンポーネントに由来する感覚又は測定データを監視することにより、産業機器又は生産プラントにおける機器障害の異常又は早期兆候を検出するためのシステム及び方法に関する上記の目的が達成される。ここで、工業プロセスで使用されるコンポーネントの感覚及び/又は測定データは、測定デバイス又はセンサーによって測定され、工業プロセスで使用されるコンポーネントが正常に機能している期間の感覚及び/又は測定データの受信データストリーム内で、同じサイズの時間枠又は期間が識別され、感覚及び/又は測定データは、複数の測定パラメータの感覚値を含む、ここで、複数の測定パラメータの感覚値は、識別されたそれぞれの観察可能なバイナリ処理コードに変換され、同じサイズの時間枠とバイナリ処理コードが、一連の保存可能なマルコフ連鎖状態を保持するデータストア又はデータ構造に割り当てられる、ここで、定義可能な数の可変隠れマルコフモデルパラメータ値を含む多次元データ構造が生成される、ここで、多次元データ構造の可変モデルパラメータは、割り当てられたバイナリ処理コードのシーケンスに適用される機械学習モジュールによって決定され、ここで、多次元データ構造の可変隠れマルコフモデルパラメータは変化し、且つ識別された同じサイズのタイムフレームの感覚及び/又は測定データに基づいて発生するアラームイベントの通常の状態頻度を学習することによってトレーニングされ、ここで、複数の確率状態値が初期化され、且つ、測定された感覚及び/又は測定データと同じサイズのタイムフレームを有する事前にサンプリングされたバイナリ処理コードに、前記可変隠れマルコフモデルパラメータ値を有する訓練された多次元データ構造を適用することによって格納される、ここで、異常スコアの対数しきい値は、格納された確率状態値の対数結果値を順序付けることによって決定される、且つ、ここで、可変の隠れマルコフモデルパラメータ値を備えた訓練された多次元データ構造は、新たに測定された感覚及び/又は産業機器又はプラントからの測定データを監視するために展開され、異常スコアのしきい値を使用して、差し迫ったシステム障害を示す可能性のある異常なセンサーデータ値を検出する、ここで、異常なセンサーデータ値でトリガーするために、新たに測定された感覚及び/又は測定データの確率状態値の対数結果値が生成され、異常スコアの前記対数しきい値に基づいて、格納された確率状態値と比較される。さらに、有効な相関のバイナリベクトル距離を提供するためのさまざまな方法がある。例えば、n行にわたるウィンドウの古典的なハミング距離(n=1、古典的なハミング距離)に基づく。ベクトルaとbの場合、距離は、n行のウィンドウ上のaとbの1の数をaの長さで割ったものに等しくなる。別の方法は、ジャッカード距離に基づく。
【数1】
一実施形態では、距離は定期的に生成でき、上記の例の方法による有効な相関が異常であった場合、アルゴリズムは異常を検出することができる。
【0011】
本発明のシステム及び方法は、原則として、アナログ信号を(しきい値に基づいて)バイナリ信号又はコードに変換する場合としない場合で機能することに留意することが重要である。ただし、アナログ信号をバイナリ信号又はコードに変換することには、とりわけ、時系列異常検出が典型的には、異常を検出するためにしきい値や移動平均などに依存するという利点がある。その結果、振動/ノイズの多い信号が原因で発生する異常イベントが多すぎることが検出される可能性がある(典型的な工業プロセス)。例えば、時系列及び異常検出の場合、感度を増減するようにしきい値を調整できる(異常が灰色の垂直線でマークされている図13を参照)。このアプローチでは、イベントの各々は、しきい値を超えた場合にTrue/1値(それ以外の場合はFalse/0)として取得され、バイナリシーケンスが生成される。これにより、しきい値を超える頻度を確認できるため、異常な頻度に基づいて異常を分類できる。利点は、しきい値の過敏性や振動/ノイズの多い産業用IoTデータについて心配する必要がないことである。バイナリ変換のこれらの利点は見えないが、アルゴリズムの拡張を使用して、アナログプロセスデータの異常を見つけることもできる。移動平均と分散のしきい値を適用して、バイナリシーケンスを生成できる。次に、上記の異常検出アルゴリズムを使用できる。その結果、プロセスが異常にしきい値を超えたときに異常が識別される。図14に、プロセスデータの異常を示す。図9では、バイナリシーケンスは、プロセスデータに適用されたしきい値に基づいて生成される。次のステップでは、説明した異常検出方法をバイナリシーケンスに適用し、それに応じて異常期間にラベルを付ける。アナログ信号異常をバイナリベクトルに変換し、次に統計的HMM異常検出を適用する上記の本発明のシステム及び方法、すなわち、本発明による隠れマルコフモデル(HMM)ベースの構造は、技術的に独特であり、従来技術のシステムによって提供されていないことに注意することが重要である。本発明は、異常検出のためにHMMを使用するが、最先端のシステムは、HMMを使用して異常にラベルを付けるために異なる技術を使用する。特に、従来技術のシステムは、本発明が使用している閾値化ステップを使用しない。さらに、従来技術のシステムは、アナログ信号を、請求項1の差別化要因の一部でもあるバイナリシーケンスに変換することについて言及していない。
【0013】
機械学習モジュールは、例えば、可変隠れマルコフモデルパラメータを使用して多次元データ構造のトレーニングに最尤パラメータ推定を適用することにより、割り当てられたバイナリ処理コードのシーケンスを処理する。ここで、マルコフ連鎖の保存可能なパラメータステータスのシーケンスの要素は、互いに独立した測定値であると想定され、且つここで、多次元データ構造の訓練されたモデルパラメータを得るために、確率の乗算された積を最大化することによって、多次元データ構造のモデルパラメータが変化する。多次元データ構造のモデルパラメータは、例えば、事前定義された収束しきい値を超えるまで繰り返し変化させることができる。異常スコアの前記閾値を決定するために、平均化プロセスは、例えば識別されたタイムフレームの感覚及び/又は測定データの発生するアラームイベントのさまざまな頻度に基づいて適用することができる。本発明は、とりわけ、産業プロセスで使用されるコンポーネントに由来するデータの異常をそれぞれトリガーすることを自動検出するための新しい方法とシステムを提供するという利点を有する。大規模な産業資産(製粉所(grain mills)、食品加工プラントなど)を制御及び監視するための効率的な自動システムを提供する。これは通常、処理が困難な大量のプロセス及びアラーム/フォールトデータを生成する。
【0014】
本発明による異常検出システムとは無関係に、関連するアラーム(例えば、ローラー温度制限の違反、ローラー圧力しきい値の超過など)ごとに機械が停止することに留意されたい。しかしながら、本発明は、例えば、産業用多変量時系列データに関連する、教師なし異常検出のための新しいシステム及び方法を提供する。教師なし検出は、とりわけ、オペレータが潜在的な障害に気づかず、そのような未知の障害の以前の発生を観察していない「不明-不明」シナリオで不可欠な場合がある。本発明のシステムはまた、データ品質評価、欠測値の代入、及び追加又は新規の特徴の生成、検証、及び評価を提供することができる。本発明は、正常な操作プロファイル(例えば、正常範囲内の値を示すすべてのセンサー)を操作の現在の状態の報告された差異と比較することに基づいて、未知の故障を決定することを可能にする。センサーは、振動、温度、圧力、環境変化など、機械1台のさまざまな測定可能な要素に関連付けることができる。ある場合には、未知の障害の特定は、発生しようとしている障害の発見(早期検出など)に関連している。ある場合には、不明な障害の特定は、早期検出、並びに過去に障害が発生した可能性があるが現在の操作に影響を与えるその他のケースに関連している。さらに、本発明は、機械の単純な保守イベントによって引き起こされ、懸念の原因とならないアラーム/フォールトの効率的なフィルタリング及び微分を可能にする。これは、例えば、モーター電流からのプロセスデータにも当てはまる。これは、しきい値に基づいて非定型の値を頻繁に表示する可能性があり、個々のイベントの懸念を常に引き起こすとは限らない。本発明は、センサー及び測定装置からストリーミングされたアラーム/フォールトデータの効率的かつ自動化された蒸留を、典型的な操作から異常である重要なイベントのショートリストに可能にする。このショートリストは、産業プロセスでは非常に費用がかかり、最小限に抑える必要があるダウンタイムイベントの効果的な予防保守と根本原因分析の新しい方法の基礎を提供する。本発明は、異常なパターンを事前に特定することを可能にし、その結果、教師なしの完全に自動化された方法は、本発明が機械の正しい動作を制御及び監視することによって技術的に可能になる。したがって、本発明は、特に産業用多変量時系列データに関連する、教師なし異常検出を可能にする。教師なし検出は、オペレータが潜在的な障害に気づいておらず、そのような未知の障害の以前の発生を観察していない、「不明-不明」シナリオでは不可欠である。本発明は、マシン/エンジンの現在の状態の違いが報告されている正常な操作又はマシン/エンジンプロファイル(例えば、通常の範囲の値を示すすべてのセンサー)と比較して、未知の故障を決定することができる。センサーは、機械1台のさまざまな測定可能な要素、例えば、振動、温度、圧力、環境の変化など、に関連付けることができる。場合によっては、未知の障害の特定(例えば、評価)は、発生しようとしている障害の発見(例えば、早期検出)に関連している。他のいくつかのケースでは、未知の障害を特定することは、過去に障害が発生した場合と同様に、早期発見に関連している。加えて、本発明は、洞察を得て、感覚データ及び/又はアラーム/フォールトメッセージの傾向をこのログ形式で見ることを新しい方法で可能にし、これはまた、オペレータによるアラーム/フォールトイベントの冗長な継続的監視を提供する。本発明はまた、アラーム/フォールトメッセージの新規の監視を可能にし、それにより、オペレータは、プラントの操作及び健康状態を容易に追跡することができる。新規の監視により、所有者や保守プロバイダーなどの他の個人が自動化された洞察を得て、オペレータとのコミュニケーションを改善することもできる。それは重大な収益の損失を表すため、本発明は、大規模な加工プラントにおけるプラントのダウンタイムを回避/測定することを可能にする。
【発明を実施するための形態】
【0015】
一実施形態では、選択したタイムフレームの感度は、例えばしきい値の動的調整に基づいて自動的に調整される。この実施形態の変形は、とりわけ、多次元データ構造の可変隠れマルコフモデルパラメータをトレーニングすることによる収束速度を最適化できるという利点を有する。
【0016】
別の実施形態の変形例では、異常なタイムフレームは、例えば、同じ産業プロセスラインの多くの資産にわたって評価され、ここで、異常スコアでトリガーするために、異常なタイムフレームがプラントのダウンタイムの根本原因分析に適用される。さらに変形例として、メンテナンスサービスのシグナリングは、例えばプラントのダウンタイムの根本原因分析に基づいて生成される。この実施形態の変形は、とりわけ、様々な資産及び工業プロセスラインにわたる本発明のロバストな適用を可能にするという利点を有する。別の利点は、この実施形態の変形が、クラウドベース及び/又はネットワークベースの自動化された保守及び/又はサービスアプリケーション及びシグナリングの実装を可能にすることである。
【0017】
さらに別の実施形態の変形例では、異常スコアの前記しきい値を決定するために、パターン認識を使用して、同じサイズの識別されたタイムフレームごとに頻度パターン(frequency pattern)が生成され、保存可能なパラメータステータスの複数のマルコフ連鎖シーケンスが初期化される。ここで、各保存可能なパラメータステータスは、複数の測定パラメータの関数であり、ここで、適用されたパターン認識によって、保存可能なパラメータステータスの複数のシーケンスのそれぞれの重み係数及び/又は平均及び/又は分散(variance)が決定され、且つ関係のないタイムフレームは、同じサイズの識別されたタイムフレームの使用済みセットから削除される。この実施形態の変形は、とりわけ、多次元データ構造の可変隠れマルコフモデルパラメータをトレーニングすることによる収束速度を最適化できるという利点を有する。したがって、パターン認識と重み係数により、一部の変数が高度に相関している場合でも、測定データサンプルを参照データと比較することにより、ノイズの多いデータサンプル内の各変数の相関異常測定を適用できる。したがって、各変数の最も重要な依存関係に焦点を当てることで、ノイズによって導入された疑似依存関係を取り除くことができる。近傍の選択は、例えば最尤推定としてスパースグラフィカルガウスモデルをフィッティングすることにより、適応的に実行される。次に、各測定パラメータの相関異常測定値は、近似された条件付き分布間の距離によって生成できる。
【0018】
一実施形態の変形例では、デジタル信号又はパルスとしてのゲーティング信号が生成され、適切なタイムウィンドウを提供する。ここで、測定データの多くの測定されたタイムフレームの中から新たに測定された感覚データの発生する異常なタイムフレームが選択され、通常のタイムフレームが排除又は破棄される、且つここで、発生する異常なタイムフレームの選択は、適切なシグナリング生成及び割り当てられたアラーム及び/又は監視及び/又は制御/ステアリングデバイスへの遷移(transition)をトリガーする。この実施形態の変形は、とりわけ、産業機器又は生産プラントで検出された異常又は機器障害の早期兆候によってトリガーされる関連デバイスの動作を制御する適切なステアリング信号を生成することにより、効率的なマシン間シグナリングを可能にするという利点を有する。
【0019】
さらなる実施形態の変形において、産業機器又は生産プラントにおける機器障害の異常又は早期兆候の自動検出のための上記の方法及びシステムは、ミルプラント及び/又はミルプラントのローラーシステムのミリングラインの自己最適化制御のための閉ループ及び/又は開ループ制御装置の場合、インテリジェントな自己適応型閉ループ及び開ループ制御方法に適用される。ここで、ミリングラインは、閉ループ及び開ループ制御装置によってそれぞれ個別に作動可能であり、且つ操作プロセスパラメータに基づいてそれらの操作中に個別に調整可能である、複数の処理ユニットを含む、ここで、閉ループ及び開ループ制御装置は、異常を検出するための上記の方法に基づくパターン認識モジュールを含み、制御装置の操作は、パターン認識モジュールのシグナリングによってトリガーされる、且つここで、ミルプラントの操作は、送信されたトリガー信号に基づいて制御装置によって操作及び適合される。変形として、閉ループ及び/又は開ループ制御装置は、例えば、処理ユニット内で定義された処理シーケンスを有するバッチコントローラを含むことができ、これは、操作プロセスレシピと制御装置によって調整可能である。ここで、定義された量の最終製品は、操作プロセスレシピによって1つ又は複数の出発材料から生産可能であり、ここで、処理ユニットは、特に操作プロセスレシピに関連する操作バッチプロセスパラメータに基づいて制御され、且つここで、操作バッチコントローラは、制御装置によって新たに測定された感覚データの1つ又は複数の発生及び検出された異常なタイムフレームに基づいて適合又は最適化される。制御装置は、例えば、多次元バッチプロセスパラメータパターンを有する操作プロセスレシピを認識するための第2のパターン認識モジュールをさらに含むことができる。ここで、操作プロセスレシピは、少なくとも1つ又は複数の出発材料、ミリングラインの処理ユニット内のミリングプロセスの定義されたシーケンス及びミリングラインのそれぞれの処理ユニットに関連して格納された操作バッチプロセスパラメータを含み、ここで、閉ループ及び開ループ制御装置は、履歴バッチプロセスパラメータを有する履歴動作プロセスレシピを格納するためのメモリ装置を含み、ここで、プロセスレシピの履歴バッチプロセスパラメータはそれぞれ、正常範囲で最適化されたバッチプロセスのプロセスに典型的な多次元バッチプロセスパラメータパターンを定義し、ここで、新しい操作プロセスレシピの入力は、関連する多次元バッチプロセスパラメータパターンに基づくパターン認識モジュールによるパターン認識によって、格納された履歴操作プロセスレシピの1つ又は複数がトリガーされ、及び/又は最も近いバッチプロセスパラメータパターン(複数可)として選択される結果となり、且つここで、トリガーされた最も近いバッチの正常プロセスパラメータパターンに基づいて制御装置によって新たに測定された感覚データの1つ又は複数の発生する異常なタイムフレームを検出すると、新しいバッチプロセスパラメータを有する新しいバッチプロセスパラメータパターンは、閉ループ及び開ループ制御装置によって生成され、処理ユニットは、関連するバッチプロセスパラメータを有する生成された操作プロセスレシピに基づいて、必要に応じて閉ループ及び開ループ制御装置によって作動及び調整される。この実施形態の変形は、とりわけ、最適化され自動化された方法でミリング及び/又は破砕を実行するために使用できる、且つ、ミルの信頼性を高め、同時に操作を最適化するか、発生した異常に自動的に反応する、ローラーシステムのミリングラインの自動化された最適化及び制御のためのインテリジェントな自己適応型開ループ/閉ループ制御装置を提供することを可能にするという利点を有する。
【0020】
フィールドデバイスとしてのセンサー及び測定デバイスは、産業プロセスにおける産業機器又はプラントのプロセス変数を感知又は制御するために使用されることに注意。ただし、一部の設備では、フィールドデバイスのローカル環境を監視することが望ましい場合がある。さらに、異常検出システム又は方法は、例えば、1つ又は複数のそれぞれのセンサー信号について、受信した技術ステータスデータごとに上限しきい値及び下限しきい値を格納するための追加のしきい値評価モジュールを含むことができることに注意。しきい値エバリュエータは、受信した技術ステータスデータをしきい値と比較し、異常検出システム又は方法による評価に関係なく、それぞれのデータ値がそれぞれの上限しきい値と下限しきい値で定義された間隔の外にある場合、特定の技術ステータスデータの異常インジケータを生成する。言い換えれば、しきい値ベースのセンサーデータ評価は、異常インジケータの検出へのショートカットを提供できる。特定の技術ステータスデータ値が上限と下限のしきい値で定義された許容範囲外にある場合、異常検出の結果が何を提供するかに関係なく、対応する異常インジケータが即座に検出される。例えば、しきい値は、以前の経験に基づいて(例えば、オペレータによって)事前定義され得るか又は、ショートカット値としてのしきい値は、機械学習モジュールによって履歴センサーデータから学習される場合がある。
【0021】
本発明のさらなる態様は、添付の特許請求の範囲に特に示されている要素及び組み合わせによって実現及び達成されるであろう。前述の一般的な説明及び以下の詳細な説明は両方とも、例示的かつ説明的なものにすぎず、説明されているように本発明を限定するものではないことを理解されたい。
【0022】
図面の簡単な説明
本発明は、図面を参照して、例としてより詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1図1は、産業プラントの自己最適化制御のためのインテリジェントな自己適応制御装置を備えた、産業プラントの監視及び適応プロセスを概略的に示す図を示す
図2図2は、産業プラントにおける監視及び適応プロセスを概略的に示す図を示す。センサーからのデータは定期的に、例えば3分ごとに送信される。
図3図3から12は、図2による例示的なプラントのプレミアムミリングセクションでのプラントフォールト/サスペンドイベント(ダウンタイム)を示す。ミリング/クリーニング/第1のクリーニングセクションの機械的エラーによる主要なフォールトサスペンド(suspends)イベントは、操作ステータスの概要に示されている。個々のセンサーレベルでの頻繁なフォールトは、それぞれ2017年と2018年の例示的なデータについて示される。異常は、ミルレベルのセクションで、個々のセンサーについて示されている。最適化と予防保守のためのシグナリングも示されている。図3は、2017年から2018年の期間における例示的なミル収率(mill yield)の監視を概略的に示す図を示す。
図4図4は、2017年から2018年の期間における例示的なF1収率(F1 yield)の監視を概略的に示す図を示す。
図5図5は、2017年から2018年の期間における例示的なミリングセクションミリングサスペンドの要約の監視を概略的に示す図を示す。2018年のサスペンドイベントの総数は、この例では80で、合計継続時間(duration)は2日(days)27時間(h)11分(min)であった。ミリングセクションにおける最長のサスペンドは、2018年1月1日の14時間(h)51分(min)であった。2017年のサスペンドイベントの総数は275で、合計継続時間は9日(days)8時間(h)58分(min)であった。合計には、欠落しているイベントは含まれない。
図6a図6aから図6oは、2017年11月1日から11月30日までの期間における例示的なミリングプラントのエラー監視を概略的に示す図を示す。
図6b図6aから図6oは、2017年11月1日から11月30日までの期間における例示的なミリングプラントのエラー監視を概略的に示す図を示す。
図6c図6aから図6oは、2017年11月1日から11月30日までの期間における例示的なミリングプラントのエラー監視を概略的に示す図を示す。
図6d図6aから図6oは、2017年11月1日から11月30日までの期間における例示的なミリングプラントのエラー監視を概略的に示す図を示す。
図6e図6aから図6oは、2017年11月1日から11月30日までの期間における例示的なミリングプラントのエラー監視を概略的に示す図を示す。
図6f図6aから図6oは、2017年11月1日から11月30日までの期間における例示的なミリングプラントのエラー監視を概略的に示す図を示す。
図6g図6aから図6oは、2017年11月1日から11月30日までの期間における例示的なミリングプラントのエラー監視を概略的に示す図を示す。
図6h図6aから図6oは、2017年11月1日から11月30日までの期間における例示的なミリングプラントのエラー監視を概略的に示す図を示す。
図6i図6aから図6oは、2017年11月1日から11月30日までの期間における例示的なミリングプラントのエラー監視を概略的に示す図を示す。
図6j図6aから図6oは、2017年11月1日から11月30日までの期間における例示的なミリングプラントのエラー監視を概略的に示す図を示す。
図6k図6aから図6oは、2017年11月1日から11月30日までの期間における例示的なミリングプラントのエラー監視を概略的に示す図を示す。
図6l図6aから図6oは、2017年11月1日から11月30日までの期間における例示的なミリングプラントのエラー監視を概略的に示す図を示す。
図6m図6aから図6oは、2017年11月1日から11月30日までの期間における例示的なミリングプラントのエラー監視を概略的に示す図を示す。
図6n図6aから図6oは、2017年11月1日から11月30日までの期間における例示的なミリングプラントのエラー監視を概略的に示す図を示す。
図6o図6aから図6oは、2017年11月1日から11月30日までの期間における例示的なミリングプラントのエラー監視を概略的に示す図を示す。
図7図7は、2017年から2018年の期間における例示的なミリングプラントのエラー監視頻度の要約(summery)を概略的に示す図を示す。図は、第2のクリーニングセクション(MUEPS001)、ミリングセクション(MUEPS002)、及び第1のクリーニングセクション(RE1PS001)の機械的エラーフォールトのためのプラントサスペンドイベントを週番号別に示す。10分を超える欠落データ(Missing Data)が上にプロットされている。垂直バーは、フォールトがいつ発生したかを示し、短いタイムスケールのフォールトイベントを可視化するため(15時間(h))拡大される。太い縦線は、より長いフォールトイベント又はいくつかの短いフォールトイベントが接近していることを示す。3分より短いフォールトは除外される(データは3分ごとにサンプリングされる)。
図8a図8a及び8bは、2018年の期間ごとの上位10のフォールトアラームの例を概略的に示す図を示す。
図8b図8a及び8bは、2018年の期間ごとの上位10のフォールトアラームの例を概略的に示す図を示す。
図9図9は、2017年から2018年の期間における例示的なプラントの洗浄セクションでのエラー監視を概略的に示す図を示す。本発明のシステム及び方法は、予防的保守又はさらなる監視がsortexのために必要とされる場合、シグナリングを生成することを可能にする。本発明の異常検出方法は、予防保守又は監視を必要とする機器を識別することができる。プロットはいくつかの速報値(preliminary results)を示し、ここで、異常な週は、クリーニングセクション用にオレンジ色でラベル付けされている。図9は、異常なフォールト頻度が検出された速報値を示す。垂直バーは、いつフォールトが発生したかを示し、短いタイムスケールのフォールトイベントを可視化するため、わずかに拡大される。カラーバーは、各フォールト信号の分類を示す。グレーのラベルが付いた期間は、典型的なプラント操作であると想定される。青でラベル付けされた期間は、正常の操作として分類され、オレンジ色のラベルが付いた週は、異常として分類される。欠落データ期間は正常操作として分類され、表示されない。Sortex、ハイレベルセンサー(High Level Sensor)‐WT、フローバランサー(Flow Balancer)203、及びクリーニングセクション(Cleaning Section)は、さまざまなマシンの単なる例であることに注意してください。したがって、図9では、sortexはより一般的に「マシン1」、ハイレベルセンサー(High Level Sensor)‐WTは「マシン2」、フローバランサー(Flow Balancer)203は「マシン3」、クリーニングセクション(Cleaning Section)はシステム全体の「マシン4」と呼ばれることもある。
図10図10は、例示的なミリングプラントのクリーニングセクションにおける、プラント内のセンサー位置によるエラー監視を概略的に示す図を示している。A-xxxxの形式の参照番号は、センサー及びミリングプラントのクリーニングセクションの操作中に測定データをキャプチャする測定デバイスを示し、処理のさまざまな場所で取得される。
図11図11は、重量スケール(weight scales)及びフローバランサー(flow balancers)による例示的なミリングプラントのクリーニングセクションにおけるエラー監視を概略的に示す図を示す。
図12図12は、感覚データと測定データのエラー/フォールト(fault)相関を概略的に示す図を示す。プラントの操作の異常を検出する制御装置のための本発明のシステム及び新規の方法は、多数の相関及び感覚値に対処することができる。図12のコード(chord)プロットは、同時に発生するフォールトを示し、機械的故障間の可能な相関関係を意味する。
図13図13は、プロセスデータのバイナリ変換を伴う本発明の実施形態の変形を概略的に示す図を示す。典型的には、時系列異常検出アルゴリズムは、異常を検出するため、しきい値や移動平均などに依存する。その結果、振動/ノイズの多い信号(典型的には工業プロセス)による異常イベントが多すぎることが検出される可能性がある。本発明では、感度を増減するようにしきい値を調整できる(異常が垂直線でマークされている図13を参照)。イベントの各々は、しきい値を超えた場合にTrue/1値(それ以外の場合はFalse/0)として取得され、バイナリシーケンスが生成される。これにより、しきい値を超える(crossings)頻度を確認できるため、異常な頻度に基づいて異常を分類できる。技術的な利点は、しきい値の過敏性や振動/ノイズの多い産業用IoTデータについて心配する必要がないことである。
図14図14は、プロセスデータの異常検出を概略的に示す図を示す。ここで、第1のステップでは、バイナリシーケンスは、プロセスデータに適用されたしきい値に基づいて生成される(図14を参照)。第2のステップでは、本明細書に記載の異常検出がバイナリシーケンスに適用され、それに応じて異常期間にラベルが付けられる。アナログ信号の異常をバイナリベクトルに変換すること、及び次に、本発明による統計的HMM(隠れマルコフモデル)異常検出構造を適用することは、技術的にユニークであり、従来技術のシステムのいずれからも導き出すことができない。
図15図15は、ダウンタイムとエラー感覚データに基づくプロセスデータの異常検出を概略的に示す他の図を示す。ここで、左側のカラム(Downtime)は、時間の経過に伴うさまざまなセクション内のダウンタイム測定値を示し、右側のカラム(Errors)は、上の図では、すべてのマシンでマシンごとに測定された失敗を示し、真ん中の図では、マシンごとのエラータイムを示し、下の図では、日ごとに測定されたエラー頻度を示している。
図16図16は、図15に示した例ための感覚データと測定データのエラー/フォールト(fault)相関を概略的に示す別の図を示す。図16は、産業プロセスで使用されるコンポーネントに由来する感覚又は測定データをトリガーする産業機器又は生産プラントにおける機器障害の異常又は早期兆候を検出するための本発明のシステム及び方法が、検出及び測定されたアラーム頻度(alarms frequencies)、相関、及び異常に基づいて適切なステアリング信号を提供することをどのように可能にするかを図示する。したがって、本発明のシステムは、アラームイベント間の相関をトリガーする、及び/又は時間内に(in time)アラームイベントを視覚化する、及び/又は異常なダウンタイム/アラームの異常検出、及び/又はアラーム再生(playback)及び対応する電子シグナリング生成の技術的に完全に新しい方法を可能にする。
【符号の説明】
【0024】
参考文献のリスト
1 産業機器/生産プラント
11 プロセスライン
12 プラントのダウンタイム
13 監視デバイス
14 制御/ステアリングデバイス
15 アラームデバイス
2 測定デバイス/センサー
3 同じサイズのタイムフレーム
31 異常なタイムフレーム
4 測定及び/又はプロセスパラメータ
41 感覚/測定パラメータ
42 プロセス変数
43 異常なセンサーデータ値
5 産業用処理コンポーネント/産業用デバイス
6 工業プロセス
61 発生するアラームイベント
611 発生するアラームイベントの頻度
612 発生するアラームイベントの頻度パターン
7 産業機器又は生産プラントの機器の故障の異常又は早期兆候を検出するためのシステム
71 監視デバイス
8 機械学習モジュール
81 多次元データ構造
811、812、…、81x 可変隠れマルコフモデルのパラメータ値
821、822、…、82x 保存可能なマルコフ連鎖状態
831、832、…、83x トレーニング済みモデルパラメータ
82 アラームイベントが発生する正常の状態(normal state)の頻度
83 確率状態値
84 対数しきい値
841 異常スコア
85 対数結果値
86 事前定義された収束しきい値
9 バイナリコンバータ/微分器
91 バイナリ処理コード
911 生成されたバイナリ処理コード
912 プレサンプリングされたバイナリ処理コード
92 しきい値
【先行技術文献】
【特許文献】
【0025】
【文献】US2011/288836
【文献】US2016/371600A
【文献】US2017/139398
【文献】EP3379360
図1
図2
図3
図4
図5
図6a
図6b
図6c
図6d
図6e
図6f
図6g
図6h
図6i
図6j
図6k
図6l
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図6n
図6o
図7
図8a
図8b
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16