(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-18
(45)【発行日】2023-05-26
(54)【発明の名称】透明導電性フィルムを形成する転写方法及び透明導電フィルムの形成方法
(51)【国際特許分類】
H05K 1/09 20060101AFI20230519BHJP
H05K 3/02 20060101ALI20230519BHJP
G03F 7/004 20060101ALI20230519BHJP
G03F 7/32 20060101ALI20230519BHJP
【FI】
H05K1/09 A
H05K3/02 B
G03F7/004 512
G03F7/32
G03F7/004 501
(21)【出願番号】P 2021558828
(86)(22)【出願日】2020-04-01
(86)【国際出願番号】 US2020026065
(87)【国際公開番号】W WO2020205906
(87)【国際公開日】2020-10-08
【審査請求日】2021-09-30
(32)【優先日】2019-04-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】317001367
【氏名又は名称】カンブリオス フィルム ソリューションズ コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】スペイド マイケル アンドリュー
(72)【発明者】
【氏名】アルマンド ピエール-マルク
【審査官】黒田 久美子
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-137982(JP,A)
【文献】特開2017-094635(JP,A)
【文献】特表2010-507199(JP,A)
【文献】特開2012-009383(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 1/09
H05K 3/02
G03F 7/004
G03F 7/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
感光性ポリマー材料の中に懸濁された金属のナノ構造体を含むバインダーをドナー基板の領域に供給することと、
前記ドナー基板および前記バインダーをレシーバー基板上に塗布すること、
前記レシーバー基板上に塗布された前記バインダーから前記ドナー基板を除去すること、
フォトリソグラフィを使用して前記バインダーをパターン化すること、および、
(i)前記バインダーのパターンに従って前記感光性ポリマー材料の一部を除去し、
(ii)前記金属のナノ構造体をエッチングするナノ構造体エッチング液を含む、
現像液を用いて、パターン化されたバインダーを現像すること、を含
み、
前記現像液は、前記パターン化されたバインダーを現像し、単一ステップの一部として前記金属のナノ構造体をエッチングする、
透明導電性フィルムを形成する転写方法。
【請求項2】
前記現像液は、酸素の存在下で炭酸ナトリウムおよび錯化塩基を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記現像液は、酸素の存在下でアンモニアを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記現像液は、塩基および酸化剤を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記ナノ構造体エッチング液は、パターンエッジで前記金属のナノ構造体を切り取る、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記ナノ構造体エッチング液は、ナノ構造体がパターンエッジから延びることを防ぐ、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記ナノ構造体は、ナノワイヤである、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
感光性ポリマー材料の中に懸濁された金属のナノ構造体を含むバインダーを基板の領域に供給すること、
フォトリソグラフィを使用して前記感光性ポリマー材料をパターン化すること、および、
(i)前記バインダーのパターンに従って前記感光性ポリマー材料の一部を除去し、
(ii)前記金属のナノ構造体をエッチングするナノ構造体エッチング液を含む、
現像液を用いて、前記パターン化されたバインダーを現像すること、を含
み、
前記現像液は、前記パターン化されたバインダーを現像し、単一ステップの一部として前記金属のナノ構造体をエッチングする、
透明導電フィルムの形成方法。
【請求項9】
前記現像液は、酸素の存在下で炭酸ナトリウムおよび錯化塩基を含む、請求項
8に記載の方法。
【請求項10】
前記現像液は、酸素の存在下でアンモニアを含む、請求項
8に記載の方法。
【請求項11】
前記現像液は、塩基と酸化剤とを含む、請求項
8に記載の方法。
【請求項12】
前記ナノ構造体エッチング液は、パターンエッジで前記金属のナノ構造体を切り取る、請求項
8に記載の方法。
【請求項13】
前記ナノ構造体エッチング液は、ナノ構造体がパターンエッジから延びることを防ぐ、請求項
8に記載の方法。
【請求項14】
前記ナノ構造体は、ナノワイヤである、請求項
8に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、「電気伝導性フィルム」という名称で2019年4月3日に出願された米国仮出願第62/828,734号の優先権を主張するものであり、その出願内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、透明導電性フィルム、および基板上のナノ構造体をパターン化する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
透明導電体には、タッチセンシティブなコンピュータディスプレイで一般的に使用されるような、光学的に透明かつ導電性のフィルムが含まれる。一般に、導電性ナノ構造体は、互いに重なり合って、長距離の相互接続性を有するパーコレーションネットワークを形成する。パーコレーションネットワークは、金属接点と協調する(すなわち、接続)ことによって、タッチセンシティブなディスプレイを有するコンピュータ、タブレット、スマートフォン、または他のコンピューティングデバイスの電子回路に接続される。
【0004】
転写フィルムは、様々な基板上に銀ナノワイヤを堆積およびパターン化する手段として使用されてきた。一般に、転写フィルムは、ドナー基板に適用されるナノワイヤレイヤと、感光性バインダーとしても知られる光硬化性ポリマー接着剤とを有する。転写フィルムをレシーバー基板上に載置し、光硬化性ポリマー接着剤をレシーバー基板に支持させ、光硬化性ポリマー接着剤を露光および現像してパターン化することにより、光硬化性ポリマー接着剤をフォトパターン化する。次に、露光された光硬化性ポリマー接着剤の未硬化部分を溶媒またはフォトレジストストリッパで除去する。しかしながら、除去されたポリマーによって以前に保護されていた残留ナノワイヤは、レシーバー基板に結合されたままである可能性があり、隣接するナノワイヤライン間の短絡の可能性が生じる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
一態様によれば、本開示は、透明導電性フィルムを形成する転写方法を提供する。ドナー基板の領域は、感光性ポリマー材料中に懸濁された金属のナノ構造体を含むバインダーを備える。ドナー基板およびバインダーは、バインダーおよびナノワイヤをレシーバー基板上に転写するために、レシーバー基板上に塗布される。ドナー基板は、マスクを介した露光前、または露光後にレシーバー基板上に適用されたバインダーから除去することができる。フォトリソグラフィは、バインダーをパターン化するために使用される。露光後、バインダー/ナノワイヤフィルムは、(i)バインダーのパターンに従って感光性ポリマー材料の全部または一部を除去し、(ii)金属のナノ構造体をエッチングするナノ構造体エッチング液を含む、現像液を用いて、現像される。
【0006】
一態様によれば、本開示は、透明導電性フィルムを形成する方法を提供する。基板の領域は、感光性ポリマーバインダー材料中に懸濁された金属のナノ構造体を含むバインダーを備える。フォトリソグラフィは、バインダーの材料をパターン化するために使用される。光パターン化された感光性ポリマーの材料は、(i)バインダーのパターンに従って感光性ポリマー材料の一部を除去し、(ii)金属のナノ構造体をエッチングするナノ構造体エッチング液を含む現像液を用いて現像される。
【0007】
一態様によれば、本開示は、透明導電性フィルムを提供する。フィルムは、基板と、基板上にパターン化されたバインダーとを含む。当該パターンはエッジを有する。当該フィルムは、バインダー中に懸濁された金属のナノ構造体を含む。パターンエッジでナノ構造体は切り取られる。パターンは、フォトリソグラフィによって形成されたエッジを有し、バインダー材料およびナノ構造体は、ナノ構造体の金属をエッチングする成分を含む溶液によってエッチングされる。
【0008】
上記の要約は、本明細書で議論されるシステムおよび/または方法のいくつかの態様の基本的な理解を提供するために、簡略化された要約を提示する。本要約は、本明細書で議論されるシステムおよび/または方法の広範な概要ではない。重要/重要な要素を特定したり、そのようなシステムおよび/または方法の範囲を明確にすることを意図していない。その唯一の目的は、後に述べるより詳細な説明の前ステージとして、いくつかの概念を簡略化して示すことである。
【図面の簡単な説明】
【0009】
本明細書に提示された技術は、代替の形態で実施されてもよいが、図面に示された特定の実施形態は、本明細書に提供された説明を補足するほんの少数の例である。これらの実施形態は、添付の特許請求の範囲を限定するような限定的な方法で解釈されるべきではない。
【0010】
開示された主題は、特定の部分および部分の配置において物理的な形態をとることができ、その実施形態は、本明細書において詳細に説明され、本明細書の一部を形成する添付の図面に図示される。
【0011】
【
図1】
図1は、転写フィルムを形成および利用してナノワイヤ、フィルムなどのナノ構造体を作製するための例示的な方法において生じるステージA~Dの概略的な例示的表現である。
【0012】
【
図2】
図2は、光パターン形成可能なナノワイヤフィルムを形成および利用するための例示的な方法に含まれるステージの概略的な例示的表現である。
【0013】
【
図3】
図3は、本開示の態様による方法の一例のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
主題は、本発明の一部を構成し、例示として特定の実施形態例を示す添付図面を参照して、以下でより詳細に説明される。この説明は、既知の概念の広範囲または詳細な説明を意図したものではありません。関連技術の当業者に一般的に知られている詳細は、省略されているか、要約して扱われていることがある。
【0015】
特定の用語は、本明細書では便宜のためにのみ使用され、開示された主題に関する限定と解釈されるべきではない。本明細書で使用される相対的な用語は、図面を参照することで最もよく理解され、図面では、同様の項目を識別するために同様の数字が使用される。さらに、図面において、特定の特徴は、いくらか概略的な形態で示されてもよい。
【0016】
以下の主題は、方法、装置、構成要素、および/またはシステムなどの様々な異なる形態で具現化することができる。したがって、この主題は、例示として本明細書に記載された任意の例示的な実施形態に限定されるものと解釈されることを意図していない。むしろ、本明細書では、実施形態は単に説明のために提供される。
【0017】
本明細書では、光パターン化可能なオーバーコート・マトリックスを含む転写フィルムを形成および使用する方法が提供される。オーバーコート・マトリックスは、金属ナノ構造のためのエッチング液を含む現像液を使用してパターン化することができる。また、本明細書では、この方法により作製された透明導電性フィルムも提供される。
【0018】
本明細書で使用される場合、「導電性ナノ構造体」または「ナノ構造体」は、一般に、少なくとも一次元が、例えば、500nm未満、または、250nm、100nm、50nm、または25nm未満である、導電性ナノサイズ構造体を指す。典型的には、ナノ構造体は、元素金属(例えば遷移金属)または金属化合物(例えば、金属酸化物)などの金属材料で作られる。金属材料は、2種類以上の金属からなるバイメタル材料または金属合金であってもよい。好適な金属としては、銀、金、銅、ニッケル、金めっき銀、白金およびパラジウムが挙げられるが、これらに限定されない。
【0019】
ナノ構造体は、任意の形状または幾何学形状であり得る。所与のナノ構造体の形態は、そのアスペクト比(ナノ構造の幅および/または高さに対する長さの比)によって単純化された様式で定義することができる。例えば、ある種のナノ構造体は等方的な形状をしている(すなわち、アスペクト比=1)。典型的な等方性ナノ構造はナノ粒子を含む。好ましい実施態様において、ナノ構造は、異方性の形状をしている(すなわち、アスペクト比≠1)。異方性ナノ構造体は、典型的には、その長さに沿って縦軸を有する。例示的な異方性ナノ構造体は、本明細書に定義されるナノワイヤ、ナノロッド、およびナノチューブを含む。
【0020】
ナノ構造体は、固体または中空のものであり得る。固体のナノ構造体は、例えば、ナノ粒子、ナノロッドおよびナノワイヤ(「NW」)を含む。NWとは、典型的には、10を超える、好ましくは50を超える、より好ましくは100を超えるアスペクト比を有する細長いナノ構造体をいう。典型的には、ナノワイヤは、500nmを超える長さ、1μmを超える長さ、または10μmを超える長さである。「ナノロッド」は、典型的には、10以下のアスペクト比を有する、短くて広い異方性ナノ構造体である。本開示は、任意のタイプのナノ構造体を含むが、簡潔にするために、銀ナノワイヤを一例として説明する。
【0021】
図1を参照すると、ナノ構造体(例えばナノワイヤ)フィルムを形成するために転写フィルムを形成および利用するための例示的な方法内で生じる例示的なステージA~Dが示されている。ステージAでは、バインダー104が第1のプラスチック(例:ポリエチレンテレフタレート(PET))基板PET1上に塗布される。バインダー104は、光に対して反応するポリマーキャリア材料を含む。例えば、キャリアは、紫外線光または他の波長の光に露光されることに応答して架橋またそれ以外の場合は硬化するフォトレジストであり得る。この光硬化が起こるためには、光開始剤の存在がしばしば必要とされる。
【0022】
フォトレジストの使用例は単なる一例であり、感光性の他の例が本開示の範囲内で考えられることを理解されたい。このような感光性には、ネガ型およびポジ型レジストの化学的性質の例が含まれる。感光性という用語は、光硬化および他のプロセスも包含するものとして解釈されるべきである。
【0023】
バインダー104はまた、内部に懸架された複数の例示的な銀ナノワイヤ116を含む。ナノワイヤ116は、基板PET1に向かって沈降することが可能であり、あるいは、ナノワイヤは、バインダーによって取り囲まれ、基板PET1の表面から分離されることが可能である。それにもかかわらず、ナノワイヤ116の位置は、単に一例であり、ナノワイヤ116は、異なる位置(例えば、基板PET1から離れた中央または中央に向かって)にあってもよく、したがって、ナノワイヤ116上の位置は、本開示に対する特定の制限である必要はないことを理解されたい。さらに、バインダー104の図示された厚さは単なる一例であり、バインダーの厚さは、ナノワイヤ116の直径よりも低くても、同じであっても、または高くてもよいことを理解されたい。従って、バインダーの厚さは、本開示の特定の制限である必要はない。さらに、バインダー104内のナノワイヤ116の位置は、バインダーの厚さに依存してもよい。もちろん、示された内容は単なる例であり、本開示に対する特定の限定である必要はない。
【0024】
図1に戻り、その後、バインダー104は乾燥され、
図1のステージBに示すように、本明細書ではドナー基板PET2と言い換え可能に称される保護カバーが、銀ナノワイヤ116を含むバインダー104上に塗布される。あるいは、複数の銀ナノワイヤを含むバインダーを塗布および乾燥した後、別の感光性バインダー(オーバーコートとも呼ばれる)を第1のバインダー/ナノワイヤフィルムの上に塗布することができる。この第2のバインダー材料は、第1のバインダー材料と混合しても混合しなくてもよい。
【0025】
銀ナノワイヤ116を含むバインダー104をデバイスに転写するために、基板PET1を除去し、
図1のステージCに示すように、残りのアセンブリを、デバイスに設けられたガラス120などのレシーバー基板上に配置する。このとき、バインダー104はガラス120に接触している。バインダー104がレシーバー基板120に良好に接着するように、圧力および熱が加えられてもよい。カバーPET2を除去する前または除去した後に、フォトリソグラフィプロセスの一部として適切な波長の光に露光することにより、バインダー104の感光性ポリマー材料は、パターン化される。
【0026】
図2の例を参照すると、ステージEに示すように、バインダー104は、ガラスなどの剛性基板120またはPETやCOPなどの可撓性基板上に直接コーティングされる。なお、
図2の内容は、
図1の例と同様に単なる一例である。このように、ナノワイヤ116の位置は変化し得る(例えば、
図2に示されるように下方に、または中央に向かって上方に固定される)。また、バインダー104の厚さを変えることもできる(例えば、結合剤の厚さは、ナノワイヤ116の直径よりも低くても、同じであっても、または高くてもよい)。さらに、バインダー104内のナノワイヤ116の位置は、バインダーの厚さに依存してもよい。もちろん、これらの態様/例の全ては、本開示に対する特定の限定である必要はない。
【0027】
図2に戻り、バインダー104は、光に対して反応性のあるポリマーキャリア材料を含む。例えば、キャリアは、紫外線光または他の波長の光に露光されることに応答して架橋またそれ以外の場合は硬化するフォトレジストであり得る。この光硬化が起こるためには、光開始剤の存在がしばしば必要とされる。バインダー104はまた、その中に懸濁された複数の銀ナノワイヤ116を含み、それらは、ガラスまたはプラスチック基板120に向かって沈降してもしなくてもよい。次いで、バインダー104は、乾燥され、それから、フォトリソグラフィプロセスの一部として、適当な波長の光を露光することによってパターン化される。
【0028】
バインダー104のポリマー材料がマスクを通して露光された状態で、ポリマー材料は、銀ナノワイヤをエッチング除去するエッチング液を含む現像液を用いて現像される。エッチング液の役割は、互いに絡み合うことによって所定の位置に保持され得る残りのナノワイヤの除去を容易にすることである。このような現像液を用いてバインダー104のポリマー材料を現像すると、ポリマー材料がネガ型レジストであると仮定して、露出光に曝されなかったポリマー材料の部分が除去され、したがってポリマーバインダー材料中に存在する銀ナノワイヤの全部または一部も除去される。他の実施形態では、露光されたポジ型レジストポリマー材料の一部が現像中に除去される。しかしながら、現像液は銀ナノワイヤエッチング液も含むので、バインダー104の現像は、隣接するパターン化されたライン間の短絡を潜在的に生じ得るガラス120上の残留ナノワイヤもエッチング除去する。結果得られた現像されたバインダー104は、
図1および
図2のステージDに示されている。
【0029】
感光性バインダー材料104がネガ型レジストの場合、現像液は未硬化モノマーにとって良好な溶媒である有機溶媒であり得る。これらのモノマーは、アクリル型またはエポキシ型であり得る。アセトンまたはPGMEAのような一般的な極性有機溶媒が現像剤として適している。さらに、有機溶媒現像剤は、バインダー材料104の未硬化領域内の銀ナノワイヤをエッチング除去するための材料を含み得る。酸素の存在下で遷移金属塩、過酸化物、有機酸、又は銀の錯化剤のような酸化剤をこの目的のために使用することができ、有機溶媒現像剤自体もまた、銀の錯化剤とすることができ、その結果、それは酸素のような酸化剤の存在下で銀のエッチング剤として作用することができる。このような現像剤の例は、モノエタノールアミンMEAである。
【0030】
感光性バインダー材料104がアクリル酸部分を含むネガ型レジストである場合、未露光のバインダー材料は、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化アンモニウム、水酸化テトラメチルアンモニウムTMAH等の水溶液を用いて現像されることが多い。銀ナノワイヤエッチング液を含む現像液の例は、酸素の存在下におけるアンモニア水である。別の例は、酸素の存在下でアンモニアのような錯化塩基を有する炭酸ナトリウムであり得る。別の例は、アンモニアおよび酸素(空気から)と組み合わせた水酸化カリウムなどの塩基を含む。
【0031】
銀ナノワイヤをエッチングする能力を有するアルカリ現像剤の他の例は、過ホウ酸ナトリウム、過炭酸ナトリウム、過硫酸ナトリウム、過酸化水素であり、単独で、またはアルカリ金属の炭酸塩または水酸化物などの一般的な水性塩基溶液と組み合わせて使用される。
【0032】
感光性バインダー材料104は、PVAまたはヒドロキシプロピルメチルセルロースなどのヒドロキシル含有ポリマー、架橋剤、および光酸発生剤を含有する水溶性ネガ型レジストであってもよい。このような物質はChem. Mater., 1999, 11 (3)、pp 719-725 DOI:10.1021/cm980603yに記載されている。水溶性ネガ型レジストの別の例は、Chem. Mater., 1997, 9 (8)、 pp 1725-1730 DOI:10.1021/cm9604165.で見られる。これらの場合、未露光の光酸発生剤は、銀ナノワイヤのエッチング液となり得る。
【0033】
したがって、本開示は、本方法によって作製された透明導電性フィルムも提供する。透明導電性フィルムは、基板と、基板上のパターン内のバインダーと、エッジを有するパターンと、バインダー内に懸濁された金属のナノ構造体とを含む。パターンエッジのナノ構造体は切り取られる。パターンは、フォトリソグラフィによって形成されたエッジを有し、バインダー材料およびナノ構造体は、ナノ構造体の金属をエッチングする成分を含む溶液によってエッチング除去される。
【0034】
本開示によって提供されるような透明導電性フィルムを形成する方法は、所望の属性を有するフィルムを提供することを理解されたい。パターンエッジのナノ構造体は切り取られているため、切り取りは非常にクリーンで明瞭なパターンエッジを提供するのに役立つ。切り取りは、パターンエッジからはみ出す浮遊ナノ構造体を防止するのに役立つ。これは、パターンエッジがフォトリソグラフィによって形成され、バインダー材料およびナノ構造体が、ナノ構造体の金属をエッチングする成分を含む溶液によってエッチング除去されるためである。
【0035】
特に明記されない限り、「第1」、「第2」および/または類似の用語は、時間的側面、空間的側面、順序などを意味することを意図しておらず、むしろ、そのような用語は、特徴、要素、アイテムなどの識別子、名前などとして単に使用される。例えば、第1のオブジェクトおよび第2のオブジェクトは、一般に、オブジェクトAおよびオブジェクトB、または2つの異なるまたは2つの同一のオブジェクトまたは同じオブジェクトに対応する。
【0036】
さらに、本明細書では、「例」は、例示、説明などとして機能することを意味し、必ずしも有利であるとは限らない。本明細書で使用される場合、「または」は、排他的な 「または」ではなく包含的な「または」を意味することを意図する。さらに、本出願で使用される「a」および「an」は、他に特定されない限り、または文脈から明確に単数形に向けられない限り、一般に「1つ以上」を意味すると解釈される。また、A及びBの少なくとも一方及び/又はそれに類するものは、一般にA若しくはB又はA及びBの両方を意味する。さらに、「含む」、「有する」、「有する」、「有する」、「有する」、および/またはそれらの変形が、詳細な説明または特許請求の範囲のいずれかにおいて使用される限り、そのような用語は、「含む」という用語と同様の方法で包含するように意図される。
【0037】
主題は、構造的特徴および/または方法論的行為に特有の言語で記載されているが、添付の特許請求の範囲で定義される主題は、必ずしも上記の特定の特徴または行為に限定されないことを理解されたい。むしろ、上記の特定の特徴および作用は、請求項の少なくとも一部を実施する例示的形態として開示される。
【0038】
実施形態の様々な動作が本明細書で提供される。本明細書において操作のいくつかまたはすべてが記述される順序は、これらの操作が必然的に順序依存であることを意味すると解釈されるべきではない。代替的な順序付けは、この説明の利点を有する当業者によって理解されるであろう。さらに、本明細書で提供される各実施形態において、必ずしもすべての動作が存在するわけではないことが理解されよう。また、一部の実施形態では、全ての動作が必要ではないことが理解されよう。
【0039】
また、開示は、1つ以上の実施形態に関して示され、説明されているが、本明細書および添付の図面を読み、理解することに基づいて、当業者には同等の変更および修正が生じるであろう。本開示は、そのようなすべての改変および改変を含み、以下の特許請求の範囲の範囲によってのみ限定される。特に、上述の構成要素(例えば、エレメント、リソースなど)によって実行される様々な機能に関して、そのような構成要素を説明するために使用される用語は、他に示されない限り、開示された構造と構造的に同等ではないが、上述の構成要素(例えば、それは機能的に等価である)の特定の機能を実行する任意の構成要素に対応することを意図している。加えて、開示の特定の特徴は、いくつかの実施形態のうちの1つに関してのみ開示されていてもよいが、そのような特徴は、任意の所与のまたは特定のアプリケーションにとって所望されかつ有利な他の実施形態の1つ以上の他の特徴と組み合わせることができる。