(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-18
(45)【発行日】2023-05-26
(54)【発明の名称】弾性一部品構造用接着テープ
(51)【国際特許分類】
C09J 171/00 20060101AFI20230519BHJP
C09J 7/21 20180101ALI20230519BHJP
C09J 163/00 20060101ALI20230519BHJP
【FI】
C09J171/00
C09J7/21
C09J163/00
(21)【出願番号】P 2021558972
(86)(22)【出願日】2020-03-30
(86)【国際出願番号】 IB2020053002
(87)【国際公開番号】W WO2020201982
(87)【国際公開日】2020-10-08
【審査請求日】2021-10-13
(32)【優先日】2019-04-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】505005049
【氏名又は名称】スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100130339
【氏名又は名称】藤井 憲
(74)【代理人】
【識別番号】100110803
【氏名又は名称】赤澤 太朗
(74)【代理人】
【識別番号】100135909
【氏名又は名称】野村 和歌子
(74)【代理人】
【識別番号】100133042
【氏名又は名称】佃 誠玄
(74)【代理人】
【識別番号】100171701
【氏名又は名称】浅村 敬一
(72)【発明者】
【氏名】ジュン,エードリアン ティー.
(72)【発明者】
【氏名】タッシュ,ボリス
【審査官】上條 のぶよ
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/134721(WO,A1)
【文献】特表2013-538271(JP,A)
【文献】特表平11-501075(JP,A)
【文献】国際公開第2019/003138(WO,A1)
【文献】特表2014-504663(JP,A)
【文献】特表2004-530756(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハイブリッド型構造用接着剤組成物の、部分的に硬化した前駆体を含む、接着テープであって、前記組成物は、
カチオン自己重合性モノマーであって、以下の式:
【化1】
[式中、
R
1は、アルキレン基であり、
各R
2は、2~6個の炭素原子を有するアルキレン基からなる群から独立して選択され、
nは、ポリエーテルオリゴマーの計算された数平均分子量が、2000~10,000g/molとなるように選択される整数である]
を有するカチオン自己重合性モノマーを含む重合性材料の自己重合反応生成物を含む、ポリエーテルイミンを含むか又はポリエーテルイミンからなるポリマー材料と、
任意に、温度T1で開始される、前記カチオン自己重合性モノマーの重合開始剤の、いくらかの残留物と、
エポキシ基からなる群から選択される少なくとも1つの官能基を含む、前記カチオン自己重合性モノマーとは異なる硬化性モノマーと、
第一級アミン、第二級アミン、及びこれらの任意の組み合わせ又は混合物からなる群から選択される、温度T2で開始され、且つ前記カチオン自己重合性モノマーの前記重合開始剤とは異なる前記硬化性モノマーの硬化開始剤と、を含み、
前記硬化性モノマーが実質的に未硬化であり、
前記カチオン自己重合性モノマーを含む重合性材料の自己重合反応生成物を含む前記ポリマー材料中に埋め込まれている、接着テープ。
【請求項2】
前記接着テープが、ライナーを含まない、請求項1に記載の接着テープ。
【請求項3】
前記接着テープが、少なくとも1つのメッシュを更に含む、請求項1又は2に記載の接着テープ。
【請求項4】
前記少なくとも1つのメッシュが、前記接着テープに本質的に埋め込まれている、請求項3に記載の接着テープ。
【請求項5】
前記少なくとも1つのメッシュが、織布メッシュ及び不織メッシュから選択される、請求項3又は4に記載の接着テープ。
【請求項6】
前記少なくとも1つのメッシュが、
ポリマー、炭素繊維、及び無機メッシュから選択される
不織メッシュである、請求項5に記載の接着テープ。
【請求項7】
前記少なくとも1
つの不織メッシュが、炭素繊維、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、ポリアラミド繊維、ナイロン繊維、並びにこれらの任意の混合物及び組み合わせから選択される繊維を含む、請求項5に記載の接着テープ。
【請求項8】
前記ポリエーテルイミンが、直鎖又は分枝鎖ポリエチレンイミン(PEI)である、請求項1~7のいずれか一項に記載の接着テープ。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか一項に記載の接着テープを含む、接着テープロール。
【請求項10】
前記接着テープのいくつかの層の間にライナー材料が含まれない、請求項9に記載の接着テープロール。
【請求項11】
前記ロールが、レベルワウンドロール、プラネタリーロール、又はトリムスプールの形態である、請求項9又は10に記載の接着テープロール。
【請求項12】
2つの部品を結合させる方法であって、
(i)第1の部品を提供する工程と、
(ii)前記第1の部品の表面に、請求項1~8のいずれか一項に記載の接着テープを適用する工程と、
(iii)前記接着テープが前記第1の部品と前記第2の部品との間に位置するように、前記第2の部品を前記第1の部品に適用する工程と、
(iv)前記接着テープを硬化させて、前記2つの部品を接着剤で結合させる工程と、を含む、方法。
【請求項13】
請求項1~8のいずれか一項に記載の接着テープによって接続される少なくとも2つの部品を含む、アセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、全般的に、接着剤の分野に関し、より具体的には、特に金属部品を結合させるために使用するための構造用接着テープの分野に関する。本開示はまた、2つの部品を結合させる方法及び複合材物品に関する。本開示は、建設及び自動車用途などの産業用途のための、特に自動車産業におけるホワイトボディ結合用途のための、構造用接着テープの使用を更に目的とする。
【背景技術】
【0002】
接着剤は、多様な保持、封止、保護、マーキング、及び遮蔽目的のために使用されている。多くの用途に特に好ましい接着剤の1つのタイプは、構造用接着剤に代表される。構造用接着剤は、典型的には、ネジ、ボルト、釘、ステープル、リベット及び金属融合プロセス(例えば、溶接、ろう付け、及びはんだ付け)などの従来の接合技術に取って代わるか、又はこれを強化するために使用され得る熱硬化性樹脂組成物である。構造用接着剤は、汎用産業用途、並びに自動車産業及び航空宇宙産業における高性能用途を含む様々な用途で使用される。構造用接着剤として好適であるために、接着剤は、高い耐久性のある機械的強度、並びに高い耐衝撃性を呈する必要がある。
【0003】
構造用接着剤は、特に、ビークル内の金属接合部に使用されてもよい。例えば、接着剤を用い、例えば屋根パネルといった金属パネルを、ビークルの支持構造又はシャーシに結合させる場合がある。更に、接着剤を、ビークルのクロージャパネルの2つの金属パネルの接合に用いる場合がある。ビークルのクロージャパネルは、典型的には、外側金属パネル及び内側金属パネルのアセンブリを含み、外側パネルの縁部を内側パネルの縁部の上に折り重ねることによってヘム構造が形成される。典型的には、接着剤がパネルの間にもたらされ、これらを共に結合させる。更に、典型的には、シーラントを金属パネルの接合部に適用し、十分な耐食性をもたらす必要がある。例えば、米国特許第6,000,118号(Biernatら)は、2つのパネルの対向面の間への流動性シーラントビーズの使用、及び外側パネル上のフランジと内側パネルの露出面との間への未硬化塗料様樹脂の薄いフィルムの使用を開示している。塗料フィルムは、完成したドアパネル上で実施される焼き付け作業により、固体不透過状態に硬化される。米国特許第6,368,008号(Biernatら)は、2つの金属パネルを一緒に固定するための接着剤の使用を開示している。接合部の縁部は、金属コーティングによって更に封止される。国際公開第2009/071269号(Morralら)は、ヘムフランジ用のシーラントとして、膨張性(expandable)エポキシペースト接着剤を開示している。更なるヘム付き構造が、米国特許第6,528,176号(Asaiら)に開示されている。2つの金属パネル、特にビークルのクロージャパネルの外側パネルと内側パネルとを、接合部を封止するための更なる材料を必要としない接着剤で接合できる、接着剤組成物を開発するための更なる取り組みが行われてきた。このように、十分な結合を提供する一方でまた、接合部を封止し、かつ耐食性を提供する接着システムを開発することが望ましいものとなった。部分的な解決方法が、例えば国際公開第2007/014039号(Lamon)に記載されており、膨張熱硬化された(expanded thermoset)フィルム強靭化発泡フィルムの、熱膨張性かつ硬化性のエポキシ系前駆体が開示されており、この前駆体は固体及び液体のエポキシ樹脂の混合物を含み、硬化して、好ましいエネルギー吸収特性及び間隙充填特性をもたらすことが主張されている。他の部分的な解決策は、欧州特許第2700683(A1)号(Elgimiabiら)及び国際公開第2017/197087号(Aizawa)に記載されており、ヘムフランジ構造を形成するのに好適な構造用接着フィルムを開示している。構造用接着フィルム又はテープは、典型的には、弾性の欠如及び不十分な粘着性に悩まされており、それらをヘムフランジ結合に部分的にだけ適したものにする。更に部分的な解決策は、いわゆる構造用結合テープを開示する米国特許出願公開第2002/0182955(A1)号(Weglewskiら)に記載されている。テープの形態の構造用接着剤は、産業用途、例えば、高速自動化装置でも容易に基材上へ適用できるなどの多くの利点を提供することができる。
【0004】
構造用結合テープ又は構造用接着テープは、通常、接着テープ及び少なくとも1つのライナーを含む。ライナー又は2つのライナーは、塵芥、埃、又は湿度などの外側の影響からテープを保護するために必要であり得る。一般的な構造用接着テープは、取り扱いを複雑にする可能性のある少なくともある程度の粘着性を示すため、これらも必要になる場合がある。また、これらのテープをロールに巻くには、通常、粘着テープの表面を別の表面から分離するためのライナーも必要である。すなわち、最新技術では、ライナーの使用により、構造用接着テープからのロールが可能になる。更に、接着テープからのロールの使用は、特に自動化された装置によって、大量のテープを容易に輸送、取り扱い、及び適用することができるので有利である。一方、ライナー材料の必要な使用はまた、工業製造現場で大量に発生する可能性のある廃棄物を生成する。使用済みライナー材料の回収及び廃棄は、工業生産ラインの追加ステップ、追加コスト、及び特定の環境問題に関連している可能性がある。一般的な構造用接着テープに関連する別の課題、例えば、エポキシの化学的性質に基づくと、これらのテープは、接着特性又は反応性の経時的な損失を防ぐために、低温で保管する必要がある場合がある。更に別の課題は、ロールの側面でテープからゆっくりと滲み出る構造用接着剤を表す「滲み」又は「コールドフロー」と呼ばれる現象から生じる可能性がある。
【0005】
当該技術分野において既知の解決策に関連する技術的利点に反することなく、上記の欠点を克服する構造用接着剤材料、特にテープが依然として必要とされている。
【発明の概要】
【0006】
本開示は、(ハイブリッド型)構造用接着剤組成物の、部分的に硬化した前駆体を含む、接着テープを提供し、この組成物は、
a)カチオン自己重合性モノマーを含む重合性材料の自己重合反応生成物を含むポリマー材料と、
b)任意に、温度T1で開始される、カチオン自己重合性モノマーの、重合開始剤のいくらかの残留物と、
c)カチオン自己重合性モノマーとは異なる硬化性モノマーと、
d)温度T2で開始される、カチオン自己重合性モノマーの重合開始剤とは異なる硬化性モノマーの硬化開始剤と、を含み、
硬化性モノマーが実質的に未硬化であり、特に、カチオン自己重合性モノマーを含む重合性材料の自己重合反応生成物を含むポリマー材料中に埋め込まれている、接着テープである。
【0007】
本開示は更に、本明細書に記載の接着テープを含む接着テープロールを提供する。
【0008】
別の態様によれば、本開示は、2つの部品を結合させる方法であって、
(i)第1の部品を提供する工程と、
(ii)第1の部品の表面に、本明細書に記載の接着テープを適用する工程と、
(iii)接着テープが第1の部品と第2の部品との間に位置するように、第2の部品を第1の部品に適用する工程と、
(iv)接着テープを硬化させて、2つの部品を接着剤で結合させる工程と、を含む、方法を提供する。
【0009】
最後に、本開示は、産業、好ましくは建設、医療技術、航空宇宙、海洋、輸送/鉄道、又は自動車産業における製造、保守、又は修理作業のための本明細書に記載の接着テープの使用を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0010】
第1の態様によれば、本開示は、(ハイブリッド型)構造用接着剤組成物の、部分的に硬化した前駆体を含む、接着テープに関し、この組成物は、
a)カチオン自己重合性モノマーを含む重合性材料の自己重合反応生成物を含むポリマー材料と、
b)任意に、温度T1で開始される、カチオン自己重合性モノマーの、重合開始剤のいくらかの残留物と、
c)カチオン自己重合性モノマーとは異なる硬化性モノマーと、
d)温度T2で開始される、カチオン自己重合性モノマーの重合開始剤とは異なる硬化性モノマーの硬化開始剤と、を含み、
硬化性モノマーが実質的に未硬化であり、特に、カチオン自己重合性モノマーを含む重合性材料の自己重合反応生成物を含むポリマー材料中に埋め込まれている。
【0011】
本開示の文脈において、驚くべきことに、本開示による接着テープ、すなわち、(ハイブリッド型)構造用接着剤組成物の、部分的に硬化した前駆体を含む接着テープは、弾性、粘着性、コールドフロー、柔軟性、取り扱い特性、及び表面の濡れ性などの優れた特性及び性能の組み合わせを示し、完全に硬化した状態で優れた接着強度、老化安定性、及び耐食性を提供することが見出された。特に、本開示による接着テープは、適用可能な接着剤の正確な量、廃棄物の削減、即時の粘着性、及び取り扱いの容易さなど、1成分(「1K」)又は2成分(「2K」)のペースト状接着剤配合物に比べて大きな利点を提供する。すなわち、本開示による接着テープは、高速自動化装置によっても正確な取り扱いを可能にし、典型的な工業製造プロセスにおける生産性の向上及び改善された、かつ再現性のあるアセンブリ結果をもたらす。
【0012】
したがって、上記のような接着テープは、驚くべきことに、それらの既知の欠陥を呈することなく、構造用接着フィルム及び当該技術分野において既知の構造用結合テープの両方の有利な特性の大部分を組み合わせることが見出された。
【0013】
いくつかの実施では、上記のような接着テープは、ステンレス鋼及びアルミニウムなどの油性汚染基材(oily contaminated substrates)への接着に関して優れた特性及び性能を備えた構造用接着剤組成物を製造するのに好適であることが更に見出されている。
【0014】
理論に縛られることを望むものではないが、これらの優れた特性は、特に、カチオン自己重合性モノマーを含む重合性材料の自己重合反応生成物を含むポリマー材料と、任意に、温度T1で開始される、カチオン自己重合性モノマーの重合開始剤の、いくらかの残留物と、カチオン自己重合性モノマーとは異なる硬化性モノマーと、温度T2で開始される、カチオン自己重合性モノマーの重合開始剤とは異なる硬化性モノマーの硬化開始剤と、の組み合わせによるものと考えられ、硬化性モノマーが実質的に未硬化であり、特に、カチオン自己重合性モノマーを含む重合性材料の自己重合反応生成物を含むポリマー材料中に埋め込まれている。
【0015】
これも理論に束縛されるものではないが、異なる化学的性質を有し、互いに干渉することなく硬化性前駆体中に共存する2つの独立した反応系を伴う、この二重/ハイブリッド型硬化系は、完全硬化時に、カチオン自己重合性モノマーを含む重合性材料の自己重合反応生成物と、硬化性モノマーの硬化から生じるポリマー生成物とを含むポリマー材料を伴う相互貫入ネットワークを形成する能力を有すると考えられる。
【0016】
より具体的には、上記ハイブリッド型硬化系は、2つのポリマーネットワークが連続的に形成される二段階反応を伴う全体的な硬化機構を実施するのに特に好適である。
【0017】
第1段階の反応(B段階)において、カチオン自己重合性モノマーは、カチオン自己重合性モノマーの重合開始剤による開始時に温度T1で重合し、それによりカチオン自己重合性モノマーを含む重合性材料の自己重合反応生成物を含むポリマー材料を、本文脈では、接着テープの形態で形成する。典型的には、カチオン自己重合性モノマーの重合開始剤が開始される温度T1は、硬化性モノマーの硬化開始剤の開始を引き起こすには不十分である。結果として、第1段階の反応は、典型的には、部分的に硬化した前駆体をもたらし、硬化性モノマーは実質的に未硬化であり、特に、カチオン自己重合性モノマーを含む重合性材料の自己重合反応生成物を含むポリマー材料中に埋め込まれている。
【0018】
典型的には、特に、初期硬化性前駆体に構造的一体性を提供するカチオン自己重合性モノマーの自己重合反応生成物を含むポリマー材料に起因する初期硬化性前駆体の相転移に、典型的につながる第1段階の反応は、典型的には、フィルム形成反応と称される。有利には、第1段階の反応は、典型的には、いかなる実質的なエネルギー入力も必要としない。
【0019】
本文脈では、部分的に硬化した前駆体は、典型的には、寸法安定性を有する自己支持型接着テープの形態をとり、それにより、更なる加工まで、選択された基材、特にライナー上にこれを予め適用することを可能にする。接着テープは、典型的には、弾性、粘着性、コールドフロー、及び表面湿潤に関して優れた特性及び性能を備える。有利には、接着テープは、任意の特定の用途の要件を満たすように適切に成形することができる。本明細書で使用される接着テープは、当技術分野で使用される一般的な意味を有し、すなわち、それは、自己支持型の三次元形状の細長い物品を指し、厚さは長さ及び幅よりもはるかに小さく、幅も長さより小さい。一般的な接着テープは、ほとんどの場合、接着剤がキャストされるバッキングを含むが、本開示による接着テープは、自己支持型であり、したがって、必ずしもバッキング層又はメッシュなどを含むとは限らない。これは、本明細書に記載されている、(ハイブリッド型)構造用接着剤組成物の、部分的に硬化した前駆体の剛性によるものである。
【0020】
本明細書に記載の接着テープは、それ自体に対してかなりの粘着性又は接着性を示すが、それらの初期形状を失ったり、表面又は材料自体を損傷したりすることなく、互いに配置及び剥離することができるので、本発明による接着テープは、ライナーを含まないことが好ましい。接着テープの保管及び取り扱いに共通して必要なライナーを不要にすることには、テープの製造コストの大幅な削減、テープの取り扱いの改善、及び特に大規模な製造又はアセンブリ産業用途におけるテープの専門ユーザー側のコストの大幅な削減など、多くの利点がある。したがって、本明細書で使用される接着テープを使用する場合、使用済みライナーを回収及び除去する必要はなく、これは、産業の組み立て及び製造作業に含まれる直接の単純化及びコスト削減を意味する。
【0021】
好ましくは、本開示による接着テープは、少なくとも1つのメッシュを含む。これは、強度が増し、取り扱いが容易な接着テープを生成する効果がある。特に、テープの長手方向の補強を達成することができる。これは、例えば、ロボットによる適用、又は自動若しくはロボットによる適用ヘッドによる、接着テープの自動適用に有利である。これに関して、本明細書に開示されるように、メッシュが接着テープに本質的に埋め込まれていることが好ましい。「本質的に埋め込まれている」とは、例えば、メッシュの片面が接着剤組成物でコーティングされている状態(これは、接着剤でコーティングされたメッシュバッキング層として説明することができる)とは対照的に、メッシュが本質的にテープ内にある状態を指す。メッシュが接着テープに本質的に埋め込まれていることには、テープが増加した強度を示す一方で、埋め込まれたメッシュの両側にも接着特性を提供するという利点がある。
【0022】
更に、メッシュは、織布メッシュ及び不織メッシュから選択されることが好ましく、これらのうち、不織メッシュが好ましくは使用される。織布メッシュは、好ましくは金属メッシュから選択され得る。電気的若しくは電磁的影響に対する特定の遮蔽効果を提供するために金属メッシュを組み込むことができ、又は本明細書に記載の接着テープを落雷保護の目的で使用することができる。メッシュは、好ましくは、本開示による、接着テープに含まれる、(ハイブリッド型)構造用接着剤組成物の、部分的に硬化した前駆体を完全に硬化させるのに必要な高温に耐えるように選択される。不織メッシュは、好ましくは、ポリマー、炭素繊維、及び無機メッシュから選択される。ポリマー不織メッシュは、本明細書に開示されるように接着テープに改善された強度を提供し、そして広範囲のバリエーションで容易に市販されている。好ましくは、少なくとも1枚の不織メッシュが、炭素繊維、ポリエステル繊維、ポリアラミド繊維、ポリアミド繊維、ナイロン繊維、並びにこれらの任意の組み合わせ及び混合物から選択される繊維を含む。本明細書に記載されるようにメッシュが接着テープに本質的に埋め込まれていることはまた、接着テープへの適合性を提供し得、それにより、それは、特に高速ロボット装置による自動化された取り扱い及び適用によりはるかに好適である。例えば、ポリエステルベールはTechnical Fiber Products(Burneside,Uk)から入手できる。炭素繊維メッシュは、テープに優れた物理的強度を提供することが知られている。したがって、少なくとも1つの不織炭素繊維メッシュを含む接着テープは、特定の強度だけでなく、航空宇宙や高性能の自動車用途(例えば、レーシングカー又はカーレース機器で)など、軽量の要件も重要である要求の厳しい用途で使用することができる。
【0023】
本明細書に記載の接着テープの寸法に関しては、少なくとも0.01mm、好ましくは少なくとも0.1mm、より好ましくは少なくとも0.2mmの厚さを有することが好ましい。更に薄い厚さが考えられるかもしれないが、それらは、本明細書に記載されるような接着テープの想定される産業用途には実用的ではない。更に、本明細書に記載の接着テープは、1cm以下、好ましくは3mm以下、より好ましくは2mm以下の厚さを有することが好ましい。また、より厚いものも考えられるが、関連性又は実用性がなく、取り扱い性能が低下する可能性もある。したがって、本開示による接着テープは、0.01mm~1cm、好ましくは0.1mm~3mm、より好ましくは0.2mm~2mmの範囲の厚さを示すことが好ましい。
【0024】
以下では、本開示による接着テープに含まれる、(ハイブリッド型)構造用接着剤組成物の、部分的に硬化した前駆体の典型的かつ好ましい特徴、プロセス、及び特性について説明する:第2段階の反応(段階A)は、第1段階の反応の後に起こり、典型的には、温度T2で適切な硬化開始剤による開始(典型的には熱開始)時に硬化性モノマーを硬化させることを伴う。この反応工程は、典型的には、硬化性モノマーの硬化から、特に硬化性モノマーの(共)重合及び硬化性モノマーの硬化開始剤(又は硬化剤)から生じるポリマー生成物の形成をもたらす。
【0025】
本開示の硬化性前駆体は、典型的には、連続して上述の2段階の反応を確実に実行するために、別個の温度(T1及びT2)で活性化された2つの独立した反応系を伴う、上述の二重/ハイブリッド型硬化系に依存する。有利には、本開示の硬化性前駆体は、所望の基材又は物品上に優れた特性を備えた構造用接着剤を製造するために、最終的に適所で硬化される前に、部分的に硬化され(又は予備硬化され)、選択された基材上に事前適用されてもよい。
【0026】
したがって、本開示の硬化性前駆体は、金属部品の結合、特に自動車産業における金属部品のヘムフランジ結合のために著しく好適である。更に有利には、硬化性前駆体は、自動処理及び適用、特に高速ロボット設備に好適である。
【0027】
本開示の文脈において、「カチオン自己重合性モノマー」という表現は、モノマーがもっぱらそのモノマー自体と重合して生じるポリマー生成物(ホモポリマー)を形成することができ、かつカチオン性中間部分の形成を伴い、それによってホモポリマーを形成することができるモノマーを指すことを意味する。用語「ホモポリマー」は、本明細書では、単一の種類のモノマーの重合から生じるポリマーを指すことを意味する。
【0028】
更に本開示の文脈において、「硬化性モノマー」という表現は、硬化性モノマーと硬化性モノマーの硬化開始剤(又は硬化剤)との(共)重合から生じるポリマー生成物(ヘテロポリマー)を形成することができるモノマーを指すことを意味する。用語「ヘテロポリマー」は、本明細書では、2種以上のモノマーの(共)重合から生じるポリマーを指すことを意味する。
【0029】
本開示の文脈において、「硬化性モノマーが実質的に未硬化である」という表現は、初期硬化性モノマーの10重量%未満、5重量%未満、2重量%未満、又は更には1重量%未満が未反応であることを指すことを意味する。
【0030】
「ガラス転移温度」及び「Tg」という用語は、互換可能に使用され、(コ)ポリマー材料又はモノマーとポリマーとの混合物のガラス転移温度を指す。特に指示がない限り、ガラス転移温度値は、示差走査熱量測定(DSC)により測定される。
【0031】
本開示の硬化性前駆体の1つの典型的な態様によれば、本明細書で使用するための温度T2は、温度T1よりも高い。典型的な態様では、カチオン自己重合性モノマーの重合開始剤が開始される温度T1は、硬化性モノマーの硬化開始剤の開始を引き起こすには不十分であり、したがって、実質的に未反応のままである。
【0032】
本開示の硬化性前駆体の別の典型的な態様によれば、本明細書で使用するためのカチオン自己重合性モノマー及び硬化性モノマーは、それらが重合又は硬化開始にそれぞれ供される場合であっても、互いに化学的に、特に、共有結合により反応することができない。例示的な態様では、カチオン自己重合性モノマー及び硬化性モノマーは、23℃の温度で重合又は硬化開始に供される場合、互いに化学的に反応することができない。
【0033】
本開示の1つの例示的な態様では、本明細書で使用するための温度T1は、90℃以下、80℃以下、60℃以下、50℃以下、40℃以下、30℃以下、25℃以下、20℃以下、又は更には15℃以下である。本開示のいくつかの例示的態様では、カチオン自己重合性モノマーの重合開始剤は、室温(約23℃)で既に開始されている。
【0034】
本開示の別の例示的な態様では、温度T1は、-10℃~85℃、0℃~80℃、5℃~60℃、5℃~50℃、10~40℃、又は更には15~35℃の範囲である。
【0035】
本開示の更に別の例示的な態様では、本明細書で使用するための温度T2は、90℃超、100℃超、120℃超、140℃超、150℃超、160℃超、180℃超、又は更には200℃超である。
【0036】
硬化性前駆体の別の典型的な態様によれば、温度T2は、95℃~250℃、100℃~220℃、120℃~200℃、140℃~200℃、140℃~180℃、又は更には160℃~180℃の範囲である。
【0037】
本開示のいくつかの例示的な態様では、温度T2で開始される本明細書で使用するための硬化性モノマーの硬化開始剤は、熱開始される硬化開始剤又は実質的に高温で活性化される熱開始剤として見なされてもよい。
【0038】
本明細書で使用するためのカチオン自己重合性モノマーは、特に限定されない。本明細書で使用するために好適なカチオン自己重合性モノマーは、本開示を踏まえて、当業者によって容易に特定され得る。
【0039】
本開示の硬化性前駆体の1つの有利な態様によれば、本明細書で使用するためのカチオン自己重合性モノマーは、カチオン開環重合によって重合することができる。したがって、有益な態様では、本開示で使用するためのカチオン自己重合性モノマーは、少なくとも2つの複素環式基、特に環状アミン基を含む。
【0040】
本開示の別の有利な態様によれば、本明細書で使用するためのカチオン自己重合性モノマーは、更に架橋性であり、特にカチオン自己重合性モノマーの重合から生じるポリマー生成物の架橋反応に関与することができる。
【0041】
本開示の有益な態様では、本明細書で使用するためのカチオン自己重合性モノマーは、特に20,000g/mol以下、15,000g/mol以下、12,000g/mol以下、10,000g/mol以下、又は更には8,000g/mol以下の数平均分子量を有するオリゴマーである。特に明記しない限り、本開示で使用される数平均分子量は、当技術分野で周知の適切な技術を使用してGPCによって測定され、好ましくはISO 13385-1(2008)に従ってGPCによって測定される。
【0042】
本開示の有益な態様によれば、本明細書で使用するためのカチオン自己重合性モノマーは、少なくとも1つの環状アミン、好ましくは2つの環状アミンを含む多官能性化合物である。例示的な態様では、本明細書で使用するためのカチオン自己重合性モノマーに含まれ得る環状アミンは、アジリジン、アゼチジン、ピロリジン、ピペリジン、及びこれらの任意の組み合わせ又は混合物からなる群から選択される。
【0043】
1つの有利な態様では、本明細書で使用するためのカチオン自己重合性モノマーは、少なくとも2つのアジリジン官能基を含む多官能性化合物である。より有利には、本明細書で使用するためのカチオン自己重合性モノマーは、多官能性アジリジン、特にビス-アジリジノ化合物である。
【0044】
本開示のより有利な態様では、カチオン自己重合性モノマーは、アジリジノ官能性オリゴマーである。有利には、カチオン自己重合性モノマーは、アジリジノ官能性極性オリゴマーである。
【0045】
例示的な態様では、本明細書で使用するためのアジリジノ官能性オリゴマーは、20,000g/mol以下、15,000g/mol以下、12,000g/mol以下、10,000g/mol以下、又は更には8,000g/mol以下の数平均分子量(好ましくはISO 13385-1(2008)に従ってGPCによって測定される)を有する。
【0046】
本開示の別の有利な態様によれば、本明細書で使用するためのカチオン自己重合性モノマーは、オリゴマー主鎖、特に、直鎖オリゴマー主鎖、より具体的には、直鎖極性オリゴマー主鎖に基づくアジリジノ官能性化合物である。
【0047】
例示的な態様では、アジリジノ官能性化合物で使用するためのオリゴマー主鎖は、ポリエーテル、ポリエステル、ポリウレタン、ポリチオエーテル、ポリスルフィド、シリコーン、ポリアルキレン、ポリスチレン、及びこれらの混合物の任意の組み合わせからなる群から選択される部分を含む。より有利な態様では、アジリジノ官能性化合物で使用するためのオリゴマー主鎖は、ポリエーテル、ポリエステル、ポリチオエーテル、及びこれらの混合物の任意の組み合わせからなる群から選択される部分を含む。
【0048】
有利な態様によれば、カチオン自己重合性モノマーは、アジリジノ官能性(直鎖)ポリエーテルオリゴマー、特にN-アルキルアジリジノ官能性(直鎖)ポリエーテルオリゴマーである。
【0049】
適しているポリエーテルオリゴマーは、反応性水素原子を有する出発化合物と、アルキレンオキシド、例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、スチレンオキシド、テトラヒドロフラン若しくはエピクロロヒドリン、又はこれらのうちの2つ以上の混合物との反応により、当業者に既知の方法で製造されてもよい。本明細書で使用するための特に適したポリエーテルオリゴマーは、エチレンオキシド、1,2-プロピレンオキシド、1,2-ブチレンオキシド若しくはテトラヒドロフランの重付加、又は好適な出発化合物及び好適な触媒を用いた前述の化合物のうちの2つ以上の混合物の重付加により得ることができる。
【0050】
特に有益な態様では、本明細書で使用するために好適なポリエーテルオリゴマーは、三フッ化ホウ素エーテル酸塩の触媒作用下でのエチレンオキシドとテトラヒドロフランとのカチオン共重合によって得ることができるポリエーテルジオールである。本明細書で使用するために好適なカチオン自己重合性モノマー及びその製造方法は、例えば、米国特許第3,453,242号(Schmittら)に記載されている。
【0051】
本開示の1つの好ましい実施によれば、本明細書で使用するためのカチオン自己重合性モノマーは、以下の式:
【化1】
[式中、
R
1は、共有結合又はアルキレン基であり、
各R
2は、アルキレン基からなる群から独立して選択され、
R
3は、直鎖又は分枝鎖アルキレン基であり、
Yは、二価結合基であり、
nは、ポリエーテルオリゴマーの計算された数平均分子量が、特に2000g/molを超えるように選択される整数である]を有する。
【0052】
本開示の別の好ましい実施によれば、本明細書で使用するためのカチオン自己重合性モノマーは、以下の式:
【化2】
[式中、
R
1は、アルキレン基であり、
各R
2は、2~6個の炭素原子を有するアルキレン基からなる群から独立して選択され、
nは、ポリエーテルオリゴマーの計算された数平均分子量が、特に2000~10,000g/molであるように選択される整数である]を有する。
【0053】
本開示の更に別の好ましい実施によれば、本明細書で使用するためのカチオン自己重合性モノマーは、以下の式:
【化3】
を有する。
【0054】
有利な態様では、基R1は、2個の炭素原子を有するアルキレン基である。別の有利な態様では、基R2は、2~6個の炭素原子を有する直鎖アルキレン基からなる群から独立して選択される。
【0055】
本開示の更に別の有利な態様によれば、本明細書で使用するためのカチオン自己重合性モノマーは、以下の式:
【化4】
[式中、a及びbは、1以上の整数であり、aとbの合計は、nに等しい]を有する。
【0056】
本開示の例示的な態様によれば、カチオン自己重合性モノマーの計算された数平均分子量が10,000グラム/モル以下であるようにnが選択される。
【0057】
本明細書で使用するための硬化性モノマーは、カチオン自己重合性モノマーとは異なる限り、特に限定されない。構造用接着剤の当技術分野において公知の任意の硬化性モノマーを、本開示の文脈において使用することができる。本明細書で使用するために好適な硬化性モノマーは、本開示を踏まえて、当業者によって容易に特定され得る。
【0058】
本開示の特定の一態様によれば、本明細書で使用するための硬化性モノマーは、カチオン硬化性モノマーであり、これは、特にカチオン開環硬化によって硬化可能である。
【0059】
本開示の有利な態様によれば、本明細書で使用するための硬化性モノマーは、エポキシ基、特にグリシジル基からなる群から選択される少なくとも1つの官能基を含む。
【0060】
別の有利な態様によれば、本明細書で使用するための硬化性モノマーは、エポキシ樹脂である。本明細書で使用するための例示的なエポキシ樹脂は、フェノール性エポキシ樹脂、ビスフェノールエポキシ樹脂、水素化エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂、ハロゲン化ビスフェノールエポキシ樹脂、ノボラックエポキシ樹脂、及びこれらの任意の混合物からなる群から有利に選択され得る。
【0061】
エポキシ樹脂は、構造用接着剤組成物の当業者に周知である。本明細書で使用するために好適なエポキシ樹脂及びそれらの製造方法は、例えば、欧州特許第2700683(A1)号(Elgimiabiら)及び国際公開第2017/197087号(Aizawa)に十分に記載されている。
【0062】
本開示の特に有利な態様では、本明細書で使用するための硬化性モノマーは、ノバラックエポキシ樹脂、ビスフェノールエポキシ樹脂、特に、ビスフェノール-Aとエピクロロヒドリンとの反応から誘導されたもの(DGEBA樹脂)、及びこれらの任意の混合物からなる群から選択されるエポキシ樹脂である。
【0063】
本明細書で使用するためのカチオン自己重合性モノマーの重合開始剤は、特に限定されない。構造用接着剤の当該技術分野において公知のカチオン自己重合性モノマーの任意の重合開始剤を、本開示の文脈において使用することができる。本明細書で使用するためのカチオン自己重合性モノマーの好適な重合開始剤は、本開示を踏まえて、当業者によって容易に特定され得る。
【0064】
本明細書で使用するためのカチオン自己重合性モノマーの例示的な重合開始剤は、O.C.DERMER,G.E.HAM「Ethylenimine and other Aziridines」,Academic Press (1969)、及び特に米国特許出願公開第2003/0153726(A1)号(Eckhardt et al.)に十分に記載されている。
【0065】
本開示の例示的な一態様によれば、本明細書で使用するためのカチオン自己重合性モノマーの重合開始剤は、プロトン化剤、アルキル化剤、及びこれらの任意の組み合わせ又は混合物からなる群から選択される。
【0066】
本開示の有利な一態様では、カチオン自己重合性モノマーの重合開始剤は、アルキル化剤からなる群から選択され、特に、アリールスルホン酸エステル、スルホニウム塩、特に、アルキルスルホニウム塩、及びこれらの任意の組み合わせ又は混合物からなる群から選択される。
【0067】
より有利には、本明細書で使用するためのカチオン自己重合性モノマーの重合開始剤は、アリールスルホン酸エステルからなる群から選択され、特にp-トルエンスルホン酸エステル、好ましくはメチル-p-トルエンスルホネートからなる群から選択される。
【0068】
本開示の有利な代替的な態様では、カチオン自己重合性モノマーの重合開始剤は、プロトン化剤からなる群から選択され、特に、ルイス酸、ブレンステッド酸又はブレンステッド酸の前駆体、及びこれらの任意の組み合わせ又は混合物からなる群から選択される。
【0069】
別の有利な態様では、本開示で使用するためのカチオン自己重合性モノマーの重合開始剤は、ブレンステッド酸からなる群から選択され、特に、スルホン酸、スルホニウム酸、ホスホン酸、リン酸、カルボン酸、アンチモン酸、ホウ酸、及びこれらの任意の組み合わせ、混合物又は塩からなる群から選択される。
【0070】
更に別の有利な態様では、本開示で使用するためのカチオン自己重合性モノマーの重合開始剤は、制酸作用成分と組み合わせたブレンステッド酸からなる群から選択され、特に、元素アルミニウム、クロム、銅、ゲルマニウム、マンガン、鉛、アンチモン、スズ、テルル、チタン及び亜鉛の酸化物、水酸化物、炭酸塩及びカルボキシレートからなる群から選択される。制酸作用成分は、有益には、亜鉛を含むように選択され、カチオン自己重合性モノマーの重合開始剤は、特に亜鉛トシレートであるように選択される。
【0071】
本明細書で使用するための硬化性モノマーの硬化開始剤は、それらがカチオン自己重合性モノマーの重合開始剤とは異なる限り、特に限定されない。構造用接着剤の当技術分野において公知の硬化性モノマーの任意の硬化開始剤を、本開示の文脈において使用することができる。本明細書で使用するために好適な硬化開始剤は、本開示を踏まえて、当業者によって容易に特定され得る。
【0072】
本開示の1つの典型的な態様によれば、本明細書で使用するための硬化開始剤は、急速反応硬化開始剤、潜在性硬化開始剤、及びこれらの任意の組み合わせ又は混合物からなる群から選択される。より典型的には、本明細書で使用するための硬化開始剤は、急速反応熱開始硬化開始剤、潜在性熱開始硬化開始剤、及びこれらの任意の組み合わせ又は混合物からなる群から選択される。
【0073】
本開示の有利な態様によれば、硬化性モノマーの硬化開始剤は、第一級アミン、第二級アミン、及びこれらの任意の組み合わせ又は混合物からなる群から選択される。
【0074】
別の有利な態様によれば、硬化性モノマーの硬化開始剤として使用するためのアミンは、脂肪族アミン、脂環式アミン、芳香族アミン、1つ以上のアミノ部分を有する芳香族構造、ポリアミン、ポリアミン付加物、ジシアンジアミド、及びこれらの任意の組み合わせ又は混合物からなる群から選択される。
【0075】
本開示の更に別の有利な態様によれば、本明細書で使用するための硬化性モノマーの硬化開始剤は、ジシアンジアミド、ポリアミン、ポリアミン付加物、及びこれらの任意の組み合わせ又は混合物からなる群から選択される。
【0076】
好ましい態様では、硬化性モノマーの硬化開始剤は、ジシアンジアミドであるように選択される。
【0077】
有利な実施では、本開示の硬化性前駆体は、硬化性モノマーの硬化促進剤を更に含み、硬化促進剤は、特に、ポリアミン、ポリアミン付加物、尿素、置換尿素付加物、イミダゾール、イミダゾール塩、イミダゾリン、芳香族第三級アミン、及びこれらの任意の組み合わせ又は混合物からなる群から選択される。
【0078】
硬化開始剤及び硬化促進剤は、構造用接着剤組成物の当業者に周知である。本明細書で使用するために好適な硬化開始剤及び硬化促進剤並びにそれらの製造方法は、例えば、欧州特許第2700683(A1)号(Elgimiabiら)及び国際公開第2017/197087号(Aizawa)に十分に記載されている。
【0079】
1つの好ましい実施では、硬化性モノマーの硬化促進剤は、ポリアミン付加物、置換尿素、特にN-置換尿素付加物の群から選択される。
【0080】
本開示の特に好ましい実施では、硬化性モノマーの硬化促進剤は、置換尿素付加物、特に、N-置換尿素付加物の群から選択される。本開示の文脈において、実際に驚くべきことに、置換尿素付加物、特にN-置換尿素付加物の群から選択される硬化性モノマーの硬化促進剤の使用は、接着特性、特に得られる構造用接着剤組成物の剥離接着特性を実質的に改善することが見出された。
【0081】
本開示の典型的な態様によれば、硬化性前駆体は、カチオン自己重合性モノマーとも異なる第2の硬化性モノマーを更に含む。
【0082】
有利な態様では、本開示で使用するための第2の硬化性モノマーは、エポキシ基、特にグリシジル基からなる群から選択される少なくとも1つの官能基を含む。更に有利には、本明細書で使用するための第2の硬化性モノマーは、エポキシ樹脂であり、特に、フェノール性エポキシ樹脂、ビスフェノールエポキシ樹脂、水素化エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂、ハロゲン化ビスフェノールエポキシ樹脂、ノボラックエポキシ樹脂、及びこれらの任意の混合物からなる群から選択される。
【0083】
本開示の特に好ましい実施では、本明細書で使用するための第2の硬化性モノマーは、水素化ビスフェノールエポキシ樹脂、特に、水素化ビスフェノール-Aとエピクロロヒドリンとの反応から誘導されたもの(水素化DGEBA樹脂)、及びこれらの任意の混合物からなる群から選択されるエポキシ樹脂である。本開示の文脈において、実際に驚くべきことに、特に水素化ビスフェノールエポキシ樹脂の群から選択される第2の硬化性モノマーの使用は、接着特性、特に、得られる構造用接着剤組成物の油性汚染基材への剥離接着特性を実質的に維持又は更に改善することが見出された。これらの特定の硬化性前駆体は、特に油性汚染金属基材に向かって著しく優れた油汚染耐性を有する構造用接着剤組成物をもたらすのに特に好適である。
【0084】
例示的な油性汚染物質は、例えば、鉱油、及び合成油である。典型的な鉱油としては、パラフィン系鉱油、中間鉱物油、及びナフテン系鉱油が挙げられる。
【0085】
有利な態様では、結合される表面の固着工程は、基材、部品の予備洗浄工程を使用することなく、及び/又は接着促進剤、特にプライミング組成物若しくは結合層を使用せずに実施してもよい。
【0086】
別の有利な態様によれば、本開示による硬化性前駆体は、熱可塑性樹脂を更に含む。本明細書で使用するための熱可塑性樹脂は、特に限定されない。構造用接着剤の技術分野において公知の任意の熱可塑性樹脂を、本開示の文脈において使用することができる。本明細書で使用するために好適な熱可塑性樹脂は、本開示を踏まえて、当業者によって容易に特定され得る。
【0087】
熱可塑性樹脂は、構造用接着剤組成物の当業者に既知である。本明細書で使用するために好適な例示的な熱可塑性樹脂は、例えば、欧州特許第2700683(A1)号(Elgimiabiら)に記載されている。
【0088】
本開示の有利な一態様によれば、本明細書で使用するための熱可塑性樹脂は、示差走査熱量測定(DSC)によって測定されたときに、60℃~140℃の範囲のガラス転移温度(Tg)を有する。
【0089】
より有利な態様では、本明細書で使用するための熱可塑性樹脂は、70℃~120℃、好ましくは80℃~100℃、より好ましくは85℃~95℃の軟化点を有する。
【0090】
本開示の別の有利な態様によれば、本明細書で使用するための熱可塑性樹脂は、ポリエーテル熱可塑性樹脂、ポリプロピレン熱可塑性樹脂、ポリ塩化ビニル熱可塑性樹脂、ポリエステル熱可塑性樹脂、ポリカプロラクトン熱可塑性樹脂、ポリスチレン熱可塑性樹脂、ポリカーボネート熱可塑性樹脂、ポリアミド熱可塑性樹脂、ポリウレタン熱可塑性樹脂、及びこれらの混合物の任意の組み合わせからなる群から選択される。
【0091】
本開示の更に別の有利な態様によれば、本明細書で使用するための熱可塑性樹脂は、ポリエーテル熱可塑性樹脂、及び特に、ポリヒドロキシエーテル熱可塑性樹脂の群から選択される。
【0092】
より有利な態様では、本明細書で使用するためのポリヒドロキシエーテル熱可塑性樹脂は、フェノキシ樹脂、ポリエーテルジアミン樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、特に、ポリビニルブチラール樹脂、及びこれらの任意の組み合わせ又は混合物からなる群から選択される。
【0093】
本開示の特に好ましい実施によれば、本明細書で使用するための熱可塑性樹脂は、フェノキシ樹脂の群から選択される。
【0094】
本開示の文脈において、実際に驚くべきことに、熱可塑性樹脂、特に、フェノキシ樹脂の群から選択される熱可塑性樹脂の使用は、接着特性、特に、剥離接着特性、並びに得られる構造用接着剤組成物の強靭化特性を実質的に改善することが見出された。これは、熱可塑性樹脂が概して、フィルム形成添加剤として認識され使用されるため、特に驚くべきことかつ直観に反することである。
【0095】
本開示の有利な態様によれば、硬化性前駆体は、アクリル系モノマー又はアクリル樹脂を実質的に含まない。「アクリル系モノマー又はアクリル樹脂を実質的に含まない」とは、本明細書では、硬化性前駆体が、10重量%未満、5重量%未満、2重量%未満、1重量%未満、又は更には0.5重量%未満のアクリル系モノマー又はアクリル樹脂を含むことを表すことを意味する。
【0096】
別の有利な態様によれば、本開示の硬化性前駆体は、フリーラジカル重合性モノマー又は化合物、特に、照射開始フリーラジカル開始剤を実質的に含まない。「フリーラジカル重合性モノマー又は化合物を実質的に含まない」とは、本明細書では、硬化性前駆体が、10重量%未満、5重量%未満、2重量%未満、1重量%未満、又は更には0.5重量%未満のフリーラジカル重合性モノマー又は化合物を含むことを表すことを意味する。
【0097】
更に、本開示による接着テープに含まれる、(ハイブリッド型)構造用接着剤組成物の、部分的に硬化した前駆体は、少なくとも1つのシリカ化合物、好ましくは少なくとも1つの溶融シリカ化合物を更に含むことが好ましい。これは、本明細書に開示されるように、接着テープの強度及び/又は剛性の増加の効果を有し得る。これに関して、溶融シリカは、本開示による接着テープに含まれる、(ハイブリッド型)構造用接着剤組成物の、部分的に硬化した前駆体に、本開示による接着テープ、又は本明細書に記載の接着テープに含まれる(ハイブリッド型)構造用接着剤組成物の前駆体の総重量に基づいて、0~30重量%、好ましくは1~25重量%、より好ましくは5~20重量%の範囲の量で含まれることが好ましい。
【0098】
好ましくは、本明細書に記載される硬化性前駆体は、
a)0.1~20重量%、0.5~15重量%、0.5~10重量%、又は更には1~5重量%のカチオン自己重合性モノマーと、
b)10~80重量%、20~70重量%、又は更には20~60重量%の硬化性モノマーと、
c)0.01~10重量%、0.02~8重量%、0.05~5重量%、0.1~3重量%、又は更には0.2~2重量%のカチオン自己重合性モノマーの重合開始剤と、
d)0.1~20重量%、0.2~15重量%、0.2~10重量%、0.5~8重量%、又は更には1~6重量%の硬化性モノマーの硬化開始剤と、
e)0~60重量%、1~50重量%、1~40重量%、2~30重量%、5~30重量%、5~20重量%、又は更には8~15重量%の第2の硬化性モノマーと、
f)0~20重量%、0.2~15重量%、0.2~10重量%、0.5~8重量%、又は更には1~5重量%の熱可塑性樹脂と、
g)0~20重量%、0.05~15重量%、0.1~10重量%、0.5~8重量%、又は更には0.5~5重量%の硬化性モノマーの硬化促進剤と、
h)0~30重量%、好ましくは1~25重量%、より好ましくは5~20重量%の溶融シリカと、
i)任意に、強靭化剤(toughening agent)と、を含む。
【0099】
本開示の有利な態様によれば、硬化性前駆体は、カチオン自己重合性モノマー及び硬化性モノマーを、0.5:99.5~50:50、1:99~40:60、1:99~30:70、2:98~30:70、2:98~20:80、2:98~15:85、2:98~10:90、3:97~8:92、又は更には3:97~6:94の範囲の重量比で含む。
【0100】
構造用接着剤の部分的に硬化した前駆体の典型的な態様では、硬化性モノマーは実質的に未硬化であり、特に、カチオン自己重合性モノマーを含む重合性材料の自己重合反応生成物を含むポリマー材料中に埋め込まれている。典型的な態様では、硬化性モノマーは更に、カチオン自己重合性モノマーの自己重合から生じるポリマー材料中に埋め込まれた液体モノマーであり、このポリマー材料は、完全に確立された三次元ネットワークを表す。
【0101】
部分的に硬化した前駆体は、典型的には、寸法安定性を有する安定かつ自己支持型の組成物であり、それにより、更なる加工まで、選択された基材、特にライナー上にこれを予め適用することを可能にする。特に、予め適用された基材は、最終的な完全硬化が行われるまで、他の製造現場に適宜に移動されてもよい。更に有利には、部分的に硬化した前駆体は、任意の選択された用途の特定の要件を満たすように適切に成形することができる。部分的に硬化した前駆体は、典型的には、弾性、粘着性、コールドフロー、及び表面湿潤に関して優れた特性及び性能を備える。
【0102】
本開示による部分的に硬化した前駆体の典型的な態様によれば、カチオン自己重合性モノマーを含む重合性材料の自己重合反応生成物を含むポリマー材料が、実質的に完全に重合されており、特に、90%超、95%超、98%超、又は更には99%超の重合度を有する。カチオン自己重合性モノマーの自己重合反応生成物を含むポリマー材料が実質的に完全に重合されると、この重合反応は、有利には固定端及び不可逆末端を有し、硬化性前駆体の残部における任意の貯蔵寿命減少反応を誘発しない。この特性は、硬化性前駆体の全体的な貯蔵寿命に有益に影響する。
【0103】
部分的に硬化した前駆体の特に有利な態様によれば、ポリマー材料は、ポリエーテルイミン、特に、直鎖又は分枝鎖ポリエチレンイミン(PEI)を含むか、又はそれからなる。ポリエーテルイミンは、典型的には、カチオン自己重合性モノマーとして作用する、ビス-アジリジノ化合物、特に、N-アルキルアジリジノ官能性ポリエーテルオリゴマーの自己重合から生じる。
【0104】
本開示の典型的な一態様では、部分的に硬化した前駆体は、実験セクションに記載される試験方法に従って測定されたときに、1000~250,000Pa、1000~200,000Pa、2000~150,000Pa、3000~150,000Pa、3000~100,000Pa、又は更には3000~80,000Paの範囲の剪断貯蔵弾性率を有する。
【0105】
有利な一態様では、本開示による部分的に硬化した前駆体は、DSCにより測定されたときに、0℃以下、-5℃以下、-10℃以下、-15℃以下、又は更には-20℃以下のガラス転移温度(Tg)を有する。
【0106】
本開示の別の有利な態様では、上述の接着テープは、引張試験DIN EN ISO527に従って測定されたときに、少なくとも50%、少なくとも80%、少なくとも100%、少なくとも150%、又は更には少なくとも200%の破断点伸びを有する。この特定の特性は、接着テープを、自動処理及び適用に好適な、特に高速ロボット設備によるものに非常に好適にする。より具体的には、本開示の接着テープは、金属プレート間に金属接合部を形成するプロセスの効率的な自動化を可能にする。
【0107】
典型的な態様では、構造用接着剤組成物は、カチオン自己重合性モノマーを含む重合性材料の自己重合反応生成物と、硬化性モノマーの硬化から生じるポリマー生成物とを含むポリマー材料を伴う相互貫入ネットワークを含む。
【0108】
本開示の更に別の態様によれば、構造用接着剤組成物に好適な硬化系であって、
a)温度T1で開始される、カチオン自己重合性モノマーの重合開始剤と、
b)温度T2で開始される、カチオン自己重合性モノマーの重合開始剤とは異なる硬化性モノマーの硬化開始剤と、を含む、硬化系である。
【0109】
硬化系の典型的な態様では、温度T2はT1よりも高く、カチオン自己重合性モノマーの重合開始剤が開始される温度T1は、硬化性モノマーの硬化開始剤の開始を引き起こすには不十分である。
【0110】
特に、構造用接着剤組成物、カチオン自己重合性モノマー、カチオン自己重合性モノマーの重合開始剤、硬化性モノマー、硬化性モノマーの硬化開始剤、硬化性前駆体又は部分的に硬化した前駆体との関連で上述した温度T1及びT2、並びに部分的に硬化した前駆体に関する全ての特定かつ好ましい態様は、構造用接着剤組成物用の硬化系に完全に適用可能である。
【0111】
更に別の態様では、本開示は、物品の表面の少なくとも一部に適用された、上記のような接着テープを含む、複合材物品に関する。
【0112】
本明細書で使用するための好適な表面及び物品は、特に限定されない。構造用接着剤組成物と組み合わせて使用するのに好適であることが公知の任意の表面、物品、基材及び材料を、本開示の文脈において使用することができる。
【0113】
本開示による接着テープは、それ自体に一定の粘着性を示すが、損傷することなく再び剥離することができるので、接着テープは、テープの様々な層間にライナー材料を使用せずにロールに巻き取るのに非常に適している。したがって、本開示は更に、本明細書に記載の接着テープを含む接着テープロールを提供する。接着テープロールは、テープがロールから容易に巻き戻され得、コールドフロー、材料のにじみ又は絞り出しを示さず、更に優れた貯蔵寿命を示すため、産業用途において特に有利である。更に、本明細書に記載の接着テープの剛性及び上記の本明細書に記載のロールからの接着テープの損傷のない巻き戻しの容易さは、特に、高速の自動化又はロボット装置を採用する、産業用途における接着ロール及び接着テープの使用を可能にする。また、使用後のライナー材料の回収及びその廃棄が不要であり、また、コスト削減の大きな可能性を生み出し、現代の産業プロセスの環境への配慮に対応するため、ライナー材料がないことは、産業用アセンブリ又は製造プロセスにとって大きな利点を表す。「接着テープロール」という用語は、当技術分野で使用される一般的な意味、すなわち、ロールに巻かれた接着テープを有する。ほとんどの場合、このタイプのロールは、コアの周りに巻かれた接着テープの少なくとも1つの層を含み、コアは、ポリマー、複合材料、又は金属材料さえも含む。したがって、好ましくは、本明細書に記載の接着ロールは、コアの周りに巻かれた本明細書に記載の接着テープの少なくとも1つの層、好ましくはいくつかの層を含む。上記の理由及びそこから生じる様々な利点のために、本発明によるロール内の接着テープの層間にライナー材料が含まれないことが特に好ましい。好ましくは、本開示による接着テープロールは、レベルワウンドロール(level-wound roll)、プラネタリーロール(planetary roll)、又はトリムスプール(trimmed spool)の形態であり、これらのうち、レベルワウンドロールは、自動車の製造及び組み立てプロセスにおける用途に特に好ましい。
【0114】
本開示のなお別の態様では、本明細書に記載の接着テープを使用する工程を含む、2つの部品を結合させる方法が提供される。
【0115】
本開示の特定の態様によれば、2つの部品を結合させる方法は、
a)2つの部品の少なくとも1つの表面に、本明細書に記載の接着テープを適用する工程と、
b)接着テープが2つの部品の間に位置するように、2つの部品を接合する工程と、
c)接着テープを硬化させて、2つの部品を接着剤で結合させる工程と、を含む。
【0116】
好ましくは、2つの部品は、金属、ポリマー、複合材料、木材、ガラス、及びセラミック材料から選択される。第1の部品及び第2の部品の材料は同じであっても異なっていてもよい。好ましい実施形態では、第1の部品及び第2の部品の材料は異なる。別の好ましい実施形態では、それらは同じである。好ましくは、第1及び第2の部品の材料が金属であり、金属が、鋼、アルミニウム、マグネシウム、チタン、銅、及びそれらの合金から選択される。
【0117】
別の有利な態様によれば、2つの部品を結合させる方法は、金属部品のヘムフランジ結合のためのものであり、
- 接着テープが、接着テープの第1の端部付近の第1の部分と、当該接着テープの第1の端部の反対側の第2の端部付近の第2の部分と、を有し、
- 第1の金属部品が、第1の本体部分と、当該第1の本体部分の第1の端部に隣接する当該第1の本体部分の縁に沿う第1のフランジ部分と、を有する第1の金属パネルを含み、
- 第2の金属部品が、第2の本体部分と、当該第2の本体部分の第2の端部に隣接する当該第2の本体部分の縁に沿う第2のフランジ部分と、を有する第2の金属パネルを含み、
方法が、
a)接着テープを第1の金属パネル又は第2の金属パネルに固着させ、それにより、固着及び折り畳み後に、部分的に硬化した前駆体フィルムが、下記のように折り畳まれている金属接合部が得られ、
i.接着テープの第1の部分が、第2の金属パネルの第2のフランジと第1の金属パネルの第1の本体部分との間に設けられ、
ii.接着テープの第2の部分が、第1の金属パネルの第1のフランジと第2の金属パネルの第2の本体部分との間に設けられる、工程と、
b)カチオン硬化性モノマーの硬化開始剤を開始させることによって、接着テープを実質的に完全に硬化させ、それにより、実質的に完全に硬化した(ハイブリッド型)構造用接着剤組成物を得て、金属接合部を結合させる工程と、を含む。
【0118】
2つの部品を結合させる方法の更に別の有利な態様によれば、第1の金属部品の第1の縁部の側が折り返され、第2の金属部品を挟むようにヘムフランジ構造が形成され、上述の接着テープが、少なくとも第1の金属部品の第1の縁部及び第2の金属部品の第1の表面側を互いに固着させるように配置される。
【0119】
特に金属部品のヘムフランジ結合のために、2つの部品を結合させる方法は、構造用接着剤組成物の当業者に周知である。本明細書で使用するために好適な2つの部品を結合させる方法は、例えば、欧州特許第2700683(A1)号(Elgimiabiら)及び国際公開第2017/197087号(Aizawa)に十分に記載されている。
【0120】
本開示の特定の態様では、これらの方法で使用するための基材、部品、及び表面は、アルミニウム、鋼、鉄、及びこれらの任意の混合物、組み合わせ、又は合金からなる群から選択される金属を含む。より有利には、本明細書で使用するための基材、部品、及び表面は、アルミニウム、鋼、ステンレス鋼、及びこれらの任意の混合物、組み合わせ、又は合金からなる群から選択される金属を含む。本開示の特に有利な実施では、本明細書で使用するための基材、部品、及び表面は、アルミニウムを含む。
【0121】
別の態様によれば、本開示は、上述の方法によって得ることができる金属部品アセンブリに関する。別の態様では、本明細書に開示されるように接着テープによって接続される少なくとも2つの部品を含むアセンブリが提供される。接着テープは完全に硬化することができ、それによって少なくとも2つの部品を一緒に接着剤で接続する。アセンブリの別の態様によれば、接着テープは硬化状態にない。しかしながら、この状態では、本開示による接着テープは、シーラントとして作用することができ、すなわち、湿度及び/又は埃に対して少なくともある程度までアセンブリを密封することができる。更に、アセンブリを少なくとも部分的に分解する可能性があることが有利な場合がある。更に、アセンブリが、火にさらされた場合などの高温の場合にのみ密封及び固定される場合に有利である可能性がある。好ましくは、本開示によるアセンブリの部品の材料は、本明細書に記載される2つの部品を結合させる方法について記載されたものと同じである。この点で、1つ又は全ての部品がパネルであることが好ましい。本開示の別の特定の好ましい態様では、本明細書に記載のアセンブリは、ヘムフランジである。
【0122】
更に別の態様によれば、本開示は、産業、好ましくは建設、医療技術、航空宇宙、海洋、輸送、鉄道、又は自動車産業における製造、保守、又は修理作業のための本明細書に記載の接着テープ又は接着テープロールの使用に関する。好ましくは、使用は、接着剤で接続する部品及び/又は金属を含む。
【0123】
なお別の態様によれば、本開示は、本明細書に記載の接着テープ又は接着テープロールの、金属部品を結合させるための、特に自動車産業用における金属部品のヘムフランジ結合のための使用に関する。特に、本明細書に記載の使用は、自動車産業におけるホワイトボディ製造作業を含む。
【0124】
以下の項目は、例示的かつ好ましい実施形態として本開示を更に説明する。
【0125】
1. (ハイブリッド型)構造用接着剤組成物の、部分的に硬化した前駆体を含む、接着テープであって、この組成物は、
a)カチオン自己重合性モノマーを含む重合性材料の自己重合反応生成物を含むポリマー材料と、
b)任意に、温度T1で開始される、カチオン自己重合性モノマーの重合開始剤の、いくらかの残留物と、
c)カチオン自己重合性モノマーとは異なる硬化性モノマーと、
d)温度T2で開始される、カチオン自己重合性モノマーの重合開始剤とは異なる硬化性モノマーの硬化開始剤と、を含み、
硬化性モノマーが実質的に未硬化であり、特に、カチオン自己重合性モノマーを含む重合性材料の自己重合反応生成物を含むポリマー材料中に埋め込まれている、接着テープ。
【0126】
2. 接着テープが、ライナーを含まない、項目1に記載の接着テープ。
【0127】
3. 接着テープが、少なくとも1つのメッシュを更に含む、項目1又は2に記載の接着テープ。
【0128】
4. 少なくとも1つのメッシュが、接着テープに本質的に埋め込まれている、項目3に記載の接着テープ。
【0129】
5. 少なくとも1つのメッシュが、織布メッシュ及び不織メッシュから選択される、項目3又は4に記載の接着テープ。
【0130】
6. 少なくとも1つのメッシュが、不織メッシュ、好ましくはポリマーメッシュ、炭素繊維メッシュ、及び無機メッシュから選択される、項目5に記載の接着テープ。
【0131】
7. 少なくとも1枚の不織メッシュが、炭素繊維、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、ポリアラミド繊維、ナイロン繊維、並びにこれらの任意の混合物及び組み合わせから選択される繊維を含む、項目6に記載の接着テープ。
【0132】
8. 接着テープが、少なくとも0.01mm、好ましくは少なくとも0.1mm、より好ましくは少なくとも0.2mmの厚さを有する、項目1~7のいずれか一項に記載の接着テープ。
【0133】
9. 接着テープが、1cm以下、好ましくは3mm以下、より好ましくは2mm以下の厚さを有する、項目1~8のいずれか1つに記載の接着テープ。
【0134】
10. 接着テープが、0.05~5mm、好ましくは0.1~3mm、より好ましくは0.2~2mmの範囲の厚さを有する、項目1~9のいずれか1つに記載の接着テープ。
【0135】
11. カチオン自己重合性モノマーを含む重合性材料の自己重合反応生成物を含むポリマー材料が、実質的に完全に重合されており、特に、90%超、95%超、98%超、又は更には99%超の重合度を有する、項目1~10のいずれか一項に記載の接着テープ。
【0136】
12. ポリマー材料が、ポリエーテルイミン、特に、直鎖又は分枝鎖ポリエチレンイミン(PEI)を含むか、又はそれからなる、項目1~11のいずれか一項に記載の接着テープ。
【0137】
13. 温度T2がT1よりも高く、カチオン自己重合性モノマーの重合開始剤が開始される温度T1が、硬化性モノマーの硬化開始剤の開始を引き起こすには不十分である、項目1~12のいずれか一項に記載の接着テープ。
【0138】
14. カチオン自己重合性モノマー及び硬化性モノマーが、重合又は硬化開始に供される場合であっても、互いに化学的に、特に、共有結合により反応することができない、項目1~13のいずれか一項に記載の接着テープ。
【0139】
15. カチオン自己重合性モノマー及び硬化性モノマーが、23℃の温度で重合又は硬化開始に供される場合、互いに化学的に反応することができない、項目1~14のいずれか一項に記載の接着テープ。
【0140】
16. 温度T1が、90℃以下、80℃以下、60℃以下、50℃以下、40℃以下、30℃以下、25℃以下、20℃以下、又は更には15℃以下である、項目1~15のいずれか一項に記載の接着テープ。
【0141】
17. 温度T1が、-10℃~85℃、0℃~80℃、5℃~60℃、5℃~50℃、10~40℃、又は更には15~35℃の範囲である、項目1~16のいずれか一項に記載の接着テープ。
【0142】
18. 温度T2が、90℃超、100℃超、120℃超、140℃超、150℃超、160℃超、180℃超、又は更には200℃超である、項目1~17のいずれか一項に記載の接着テープ。
【0143】
19. 温度T2が、95℃~250℃、100℃~220℃、120℃~200℃、140℃~200℃、140℃~180℃、又は更には160℃~180℃の範囲である、項目1~18のいずれか一項に記載の接着テープ。
【0144】
20. カチオン自己重合性モノマーが、更に架橋性である、項目1~19のいずれか一項に記載の接着テープ。
【0145】
21. カチオン自己重合性モノマーが、カチオン開環重合によって重合する、項目1~20のいずれか一項に記載の接着テープ。
【0146】
22. カチオン自己重合性モノマーが、好ましくは、特にISO 13385-1(2008)によるGPCによって測定される、20,000g/mol以下、15,000g/mol以下、12,000g/mol以下、10,000g/mol以下、又は更には8,000g/mol以下の数平均分子量を有するオリゴマーである、項目1~21のいずれか一項に記載の接着テープ。
【0147】
23. カチオン自己重合性モノマーが、少なくとも1つの環状アミン、好ましくは2つの環状アミンを含む多官能性化合物である、項目1~22のいずれか一項に記載の接着テープ。
【0148】
24. 環状アミンが、アジリジン、アゼチジン、ピロリジン、ピペリジン、及びこれらの任意の組み合わせ又は混合物からなる群から選択される、項目1~23のいずれか一項に記載の接着テープ。
【0149】
25. カチオン自己重合性モノマーが、少なくとも2つのアジリジン官能基を含む多官能性化合物である、項目1~24のいずれか一項に記載の接着テープ。
【0150】
26. カチオン自己重合性モノマーが、多官能性アジリジン、特に、ビス-アジリジノ化合物である、項目1~25のいずれか一項に記載の接着テープ。
【0151】
27. カチオン自己重合性モノマーが、アジリジノ官能性オリゴマー、特にアジリジノ官能性極性オリゴマーである、項目1~26のいずれか一項に記載の接着テープ。
【0152】
28. カチオン自己重合性モノマーが、特に、(直鎖)ポリエーテル、(直鎖)ポリエステル又は(直鎖)ポリチオエーテルを含む、オリゴマー主鎖、特に極性オリゴマー主鎖に基づくアジリジン官能性化合物である、項目1~27のいずれか一項に記載の接着テープ。
【0153】
29. カチオン自己重合性モノマーが、アジリジノ官能性(直鎖)ポリエーテルオリゴマー、特にN-アルキルアジリジノ官能性(直鎖)ポリエーテルオリゴマーである、項目1~28のいずれか一項に記載の接着テープ。
【0154】
30. (直鎖)ポリエーテルオリゴマー主鎖が、テトラヒドロフラン単位、エチレンオキシド単位、及び任意にプロピレンオキシド単位の共重合によって得られる、項目1~29のいずれか一項に記載の接着テープ。
【0155】
31. カチオン自己重合性モノマーが以下の式:
【化5】
[式中、
R
1は、共有結合又はアルキレン基であり、
各R
2は、アルキレン基からなる群から独立して選択され、
R
3は、直鎖又は分枝鎖アルキレン基であり、
Yは、二価結合基であり、
nは、ポリエーテルオリゴマーの計算された数平均分子量が、特に2000g/molを超えるように選択される整数である]を有する、項目1~30のいずれか一項に記載の接着テープ。
【0156】
32. カチオン自己重合性モノマーが以下の式:
【化6】
[式中、
R
1は、アルキレン基であり、
各R
2は、2~6個の炭素原子を有するアルキレン基からなる群から独立して選択され、
nは、ポリエーテルオリゴマーの計算された数平均分子量が、特に2000~10,000g/molであるように選択される整数である]を有する、項目1~31のいずれか一項に記載の接着テープ。
【0157】
33. カチオン自己重合性モノマーが以下の式:
【化7】
を有する、項目1~32のいずれか一項に記載の接着テープ。
【0158】
34. R1が、2個の炭素原子を有するアルキレン基である、項目1~33のいずれか一項に記載の接着テープ。
【0159】
35. 各R2が、2~6個の炭素原子を有する直鎖アルキレン基からなる群から独立して選択される、項目1~34のいずれか一項に記載の接着テープ。
【0160】
36. カチオン自己重合性モノマーが以下の式:
【化8】
[式中、a及びbは、1以上の整数であり、aとbの合計は、nに等しい]を有する、項目1~35のいずれか一項に記載の接着テープ。
【0161】
37. カチオン自己重合性モノマーの計算された数平均分子量が10,000グラム/モル以下であるようにnが選択される、項目1~36のいずれか一項に記載の接着テープ。
【0162】
38. カチオン自己重合性モノマーとは異なる硬化性モノマーが、特に、カチオン開環硬化によって硬化可能であるカチオン硬化性モノマーである、項目1~37のいずれか一項に記載の接着テープ。
【0163】
39. カチオン自己重合性モノマーとは異なる硬化性モノマーが、エポキシ基、特に、グリシジル基からなる群から選択される少なくとも1つの官能基を含む、項目1~38のいずれか一項に記載の接着テープ。
【0164】
40. 硬化性モノマーが、特にフェノールエポキシ樹脂、ビスフェノールエポキシ樹脂、水素化エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂、ハロゲン化ビスフェノールエポキシ樹脂、ノボラックエポキシ樹脂、及びこれらの任意の混合物からなる群から選択されるエポキシ樹脂である、項目1~39のいずれか一項に記載の接着テープ。
【0165】
41. 硬化性モノマーが、ノバラックエポキシ樹脂、ビスフェノールエポキシ樹脂、特に、ビスフェノール-Aとエピクロロヒドリンとの反応から誘導されたもの(DGEBA樹脂)、及びこれらの任意の混合物からなる群から選択されるエポキシ樹脂である、項目1~40のいずれか一項に記載の接着テープ。
【0166】
42. カチオン自己重合性モノマーの重合開始剤が、プロトン化剤、アルキル化剤、及びこれらの任意の組み合わせ又は混合物からなる群から選択される、項目1~41のいずれか一項に記載の接着テープ。
【0167】
43. カチオン自己重合性モノマーの重合開始剤が、アルキル化剤からなる群から選択され、特に、アリールスルホン酸エステル、スルホニウム塩、特に、アルキルスルホニウム塩、及びこれらの任意の組み合わせ又は混合物からなる群から選択される、項目1~42のいずれか一項に記載の接着テープ。
【0168】
44. カチオン自己重合性モノマーの重合開始剤が、アリールスルホン酸エステルからなる群から選択され、特にp-トルエンスルホン酸エステル、好ましくはメチル-p-トルエンスルホネートからなる群から選択される、項目1~43のいずれか一項に記載の接着テープ。
【0169】
45. カチオン自己重合性モノマーの重合開始剤が、プロトン化剤からなる群から選択され、特に、ルイス酸、ブレンステッド酸又はブレンステッド酸の前駆体、及びこれらの任意の組み合わせ又は混合物からなる群から選択される、項目1~44のいずれか一項に記載の接着テープ。
【0170】
46. カチオン自己重合性モノマーの重合開始剤が、ブレンステッド酸からなる群から選択され、特に、スルホン酸、スルホニウム酸、ホスホン酸、リン酸、カルボン酸、アンチモン酸、ホウ酸、及びこれらの任意の組み合わせ、混合物又は塩からなる群から選択される、項目1~45のいずれか一項に記載の接着テープ。
【0171】
47. カチオン自己重合性モノマーの重合開始剤が、制酸作用成分と組み合わせたブレンステッド酸からなる群から選択され、特に、元素アルミニウム、クロム、銅、ゲルマニウム、マンガン、鉛、アンチモン、スズ、テルル、チタン及び亜鉛の酸化物、水酸化物、炭酸塩及びカルボキシレートからなる群から選択される、項目1~46のいずれか一項に記載の接着テープ。
【0172】
48. 制酸作用成分が、亜鉛を含むように選択され、カチオン自己重合性モノマーの重合開始剤が、特に亜鉛トシレートであるように選択される、項目1~47のいずれか一項に記載の接着テープ。
【0173】
49. 硬化性モノマーの硬化開始剤が、急速反応(熱開始)硬化開始剤、潜在性(熱開始)硬化開始剤、及びこれらの任意の組み合わせ又は混合物からなる群から選択される、項目1~48のいずれか一項に記載の接着テープ。
【0174】
50. 硬化性モノマーの硬化開始剤が、第一級アミン、第二級アミン、及びこれらの任意の組み合わせ又は混合物からなる群から選択される、項目1~49のいずれか一項に記載の接着テープ。
【0175】
51. アミンが、脂肪族アミン、脂環式アミン、芳香族アミン、1つ以上のアミノ部分を有する芳香族構造、ポリアミン、ポリアミン付加物、ジシアンジアミド、及びこれらの任意の組み合わせ又は混合物からなる群から選択される、項目1~50のいずれか一項に記載の接着テープ。
【0176】
52. 硬化性モノマーの硬化開始剤が、ジシアンジアミド、ポリアミン、ポリアミン付加物、及びこれらの任意の組み合わせ又は混合物からなる群から選択される、項目1~51のいずれか一項に記載の接着テープ。
【0177】
53. 硬化性モノマーの硬化開始剤が、ジシアンジアミドであるように選択される、項目1~52のいずれか一項に記載の接着テープ。
【0178】
54. 硬化性モノマーの硬化促進剤を更に含み、硬化促進剤が、特に、ポリアミン、ポリアミン付加物、尿素、置換尿素付加物、イミダゾール、イミダゾール塩、イミダゾリン、芳香族第三級アミン、及びこれらの任意の組み合わせ又は混合物からなる群から選択される、項目1~53のいずれか一項に記載の接着テープ。
【0179】
55. 硬化性モノマーの硬化促進剤が、ポリアミン付加物、置換尿素、特に、N-置換尿素付加物の群から選択される、項目1~54のいずれか一項に記載の接着テープ。
【0180】
56. カチオン自己重合性モノマーとは異なる第2の硬化性モノマーを更に含む、項目1~55のいずれか一項に記載の接着テープ。
【0181】
57. 第2の硬化性モノマーが、エポキシ基、特に、グリシジル基からなる群から選択される少なくとも1つの官能基を含む、項目1~56のいずれか一項に記載の接着テープ。
【0182】
58. 第2の硬化性モノマーが、特に、フェノールエポキシ樹脂、ビスフェノールエポキシ樹脂、水素化エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂、ハロゲン化ビスフェノールエポキシ樹脂、ノボラックエポキシ樹脂、及びこれらの任意の混合物からなる群から選択されるエポキシ樹脂である、項目1~57のいずれか一項に記載の接着テープ。
【0183】
59. 第2の硬化性モノマーが、水素化ビスフェノールエポキシ樹脂、特に、水素化ビスフェノール-Aとエピクロロヒドリンとの反応から誘導されたもの(水素化DGEBA樹脂)、及びこれらの任意の混合物からなる群から選択されるエポキシ樹脂である、項目1~58のいずれか一項に記載の接着テープ。
【0184】
60. (ハイブリッド型)構造用接着剤組成物の、部分的に硬化した前駆体が、示差走査熱量測定(DSC)によって測定されたときに、特に、60℃~140℃、70℃~120℃、80℃~100℃、又は更には85℃~95℃の範囲のガラス転移温度(Tg)を有する熱可塑性樹脂を更に含む、項目1~59のいずれか一項に記載の接着テープ。
【0185】
61. 熱可塑性樹脂が、ポリエーテル熱可塑性樹脂、ポリプロピレン熱可塑性樹脂、ポリ塩化ビニル熱可塑性樹脂、ポリエステル熱可塑性樹脂、ポリカプロラクトン熱可塑性樹脂、ポリスチレン熱可塑性樹脂、ポリカーボネート熱可塑性樹脂、ポリアミド熱可塑性樹脂、ポリウレタン熱可塑性樹脂、及びこれらの混合物の任意の組み合わせからなる群から選択される、項目1~60のいずれか一項に記載の接着テープ。
【0186】
62. 熱可塑性樹脂が、ポリエーテル熱可塑性樹脂、特に、ポリヒドロキシエーテル熱可塑性樹脂の群から選択される、項目1~61のいずれか一項に記載の接着テープ。
【0187】
63. ポリヒドロキシエーテル熱可塑性樹脂が、フェノキシ樹脂、ポリエーテルジアミン樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、特に、ポリビニルブチラール樹脂、及びこれらの任意の組み合わせ又は混合物からなる群から選択される、項目1~62のいずれか一項に記載の接着テープ。
【0188】
64. 熱可塑性樹脂が、フェノキシ樹脂の群から選択される、項目1~63のいずれか一項に記載の接着テープ。
【0189】
65. アクリル系モノマー又はアクリル樹脂を実質的に含まない、項目1~64のいずれか一項に記載の接着テープ。
【0190】
66. フリーラジカル重合性モノマー又は化合物、特に、照射開始フリーラジカル開始剤を実質的に含まない、項目1~65のいずれか一項に記載の接着テープ。
【0191】
67. (ハイブリッド型)構造用接着剤組成物の、部分的に硬化した前駆体が、溶融シリカを更に含む、項目1~66のいずれか一項に記載の接着テープ。
【0192】
68. 溶融シリカが、接着テープ又は(ハイブリッド型)構造用接着剤組成物の前駆体中に、接着テープ又は(ハイブリッド型)構造用接着剤組成物の前駆体の総重量に基づいて、0~30重量%、好ましくは1~25、より好ましくは5~20重量%の範囲の量で含有される、項目67に記載の接着テープ。
【0193】
69. テープが、(ハイブリッド型)構造用接着剤組成物の、部分的に硬化した前駆体から得られ、
a)0.1~20重量%、0.5~15重量%、0.5~10重量%、又は更には1~5重量%のカチオン自己重合性モノマーと、
b)10~80重量%、20~70重量%、又は更には20~60重量%の硬化性モノマーと、
c)0.01~10重量%、0.02~8重量%、0.05~5重量%、0.1~3重量%、又は更には0.2~2重量%のカチオン自己重合性モノマーの重合開始剤と、
d)0.1~20重量%、0.2~15重量%、0.2~10重量%、0.5~8重量%、又は更には1~6重量%の硬化性モノマーの硬化開始剤と、
e)0~60重量%、1~50重量%、1~40重量%、2~30重量%、5~30重量%、5~20重量%、又は更には8~15重量%の第2の硬化性モノマーと、
f)0~20重量%、0.2~15重量%、0.2~10重量%、0.5~8重量%、又は更には1~5重量%の熱可塑性樹脂と、
g)0~20重量%、0.05~15重量%、0.1~10重量%、0.5~8重量%、又は更には0.5~5重量%の硬化性モノマーの硬化促進剤と、
h)0~30重量%、好ましくは1~25重量%、より好ましくは5~20重量%の溶融シリカと、
i)任意に、強靭化剤と、を含む、項目1~68のいずれか一項に記載の接着テープ。
【0194】
70. (ハイブリッド型)構造用接着剤組成物の、部分的に硬化した前駆体が、カチオン自己重合性モノマー及び硬化性モノマーを、0.5:99.5~50:50、1:99~40:60、1:99~30:70、2:98~30:70、2:98~20:80、2:98~15:85、2:98~10:90、3:97~8:92、又は更には3:97~6:94の範囲の重量比で含む、項目1~69のいずれか一項に記載の接着テープ。
【0195】
71. 接着テープ(部分的に硬化した前駆体)が、実験セクションに記載される試験方法に従って測定されたときに、1000~250,000Pa、1000~200,000Pa、2000~150,000Pa、3000~150,000Pa、3000~100,000Pa、又は更には3000~80,000Paの範囲の剪断貯蔵弾性率を呈する、項目1~70のいずれか一項に記載の接着テープ。
【0196】
72. 部分的に硬化した前駆体が、DSCにより測定されたときに、0℃以下、-5℃以下、-10℃以下、-15℃以下、又は更には-20℃以下のガラス転移温度(Tg)を呈する、項目1~71のいずれか一項に記載の接着テープ。
【0197】
73. 接着テープが、引張試験DIN EN ISO527に従って測定されたときに、少なくとも50%、少なくとも80%、少なくとも100%、少なくとも150%、又は更には少なくとも200%の破断点伸びを有する、項目1~72のいずれか一項に記載の接着テープ。
【0198】
74. 項目1~73のいずれか一項に記載の接着テープを含む、接着テープロール。
【0199】
75. 接着テープの少なくとも1つの層、好ましくはいくつかの層が、コアの周りに巻かれている、項目74に記載の接着テープロール。
【0200】
76. 接着テープのいくつかの層の間にライナー材料が含まれない、項目74又は75に記載の接着テープロール。
【0201】
77. ロールが、レベルワウンドロール、プラネタリーロール、又はトリムスプールの形態である、項目74~76のいずれか一項に記載の接着テープロール。
【0202】
78. 2つの部品を結合させる方法であって、
(i)第1の部品を提供する工程と、
(ii)第1の部品の表面に、項目1~73のいずれか一項に記載の接着テープを適用する工程と、
(iii)接着テープが第1の部品と第2の部品との間に位置するように、第2の部品を第1の部品に適用する工程と、
(iv)接着テープを硬化させて、2つの部品を接着剤で結合させる工程と、を含む、方法。
【0203】
79. 2つの部品が、金属、ポリマー、複合材、木材、ガラス、及びセラミックから選択される、項目78に記載の方法。
【0204】
80. 第1の部品及び第2の部品の材料が、同じであるか又は異なっている、項目78又は79に記載の方法。
【0205】
81. 第1の部品の材料が第2の部品の材料と異なる、実施形態78~80のいずれか1つに記載の方法。
【0206】
82. 第1及び第2の部品の材料が金属であり、金属が、鋼、アルミニウム、マグネシウム、チタン、銅、及びそれらの合金から選択される、項目78~81のいずれか一項に記載の方法。
【0207】
83. 接着テープが、接着テープの第1の端部付近の第1の部分と、接着テープの第1の端部の反対側の第2の端部付近の第2の部分とを有し、
第1の金属部品が、第1の本体部分と、当該第1の本体部分の第1の端部に隣接する当該第1の本体部分の縁に沿う第1のフランジ部分と、を有する第1の金属パネルを含み、
第2の金属部品が、第2の本体部分と、当該第2の本体部分の第2の端部に隣接する当該第2の本体部分の縁に沿う第2のフランジ部分と、を有する第2の金属パネルを含み、
方法が、
(i)接着テープを第1の金属パネル又は第2の金属パネルに固着させ、それにより、固着及び折り畳み後に、接着テープが、下記のように折り畳まれている金属接合部が得られ、
接着テープの第1の部分が、第2の金属パネルの第2のフランジと第1の金属パネルの第1の本体部分との間に設けられ、
接着テープの第2の部分が、第1の金属パネルの第1のフランジと第2の金属パネルの第2の本体部分との間に設けられる、工程と、
(ii)接着テープを硬化することにより、金属接合部を結合させる工程と、を含む、項目78~82のいずれか一項に記載の方法。
【0208】
84. 第1の金属部品の第1の縁部の側が折り返され、第2の金属部品を挟むようにヘムフランジ構造が形成され、項目のいずれかによる接着テープが、少なくとも第1の金属部品の第1の縁部及び第2の金属部品の第1の表面側を互いに固着させるように配置される、項目83に記載の方法。
【0209】
85. 項目1~73のいずれか一項に記載の接着テープによって接続される少なくとも2つの部品を含む、アセンブリ。
【0210】
86. 部品の1つ又は全てが、パネルである、項目85に記載のアセンブリ。
【0211】
87. 部品の材料が、金属、ポリマー、木材、ガラス、セラミック、複合材料、及び炭素繊維から選択される、項目85又は86に記載のアセンブリ。
【0212】
88. 第1の部品の材料が第2の部品の材料と異なる、項目85~87のいずれか1つに記載のアセンブリ。
【0213】
89. 第1の及びそれ以降の部品の材料が金属から選択される、項目85~88のいずれか1つに記載のアセンブリ。
【0214】
90. 金属が、鋼、アルミニウム、マグネシウム、チタン、銅、及びそれに対応する合金から選択される、項目89に記載のアセンブリ。
【0215】
91. 第1の部品の金属が鋼から選択され、第2の部品の金属がアルミニウム、マグネシウム、又はチタンから、好ましくはアルミニウムから選択される、項目88~90のいずれか1つに記載のアセンブリ。
【0216】
92. アセンブリがヘムフランジである、項目85~91のいずれか1つに記載のアセンブリ。
【0217】
93. 産業、好ましくは建設、医療技術、航空宇宙、海洋、輸送/鉄道、又は自動車産業における製造、保守、又は修理作業のための項目1~73に記載の接着テープの使用、又は項目74~77に記載の接着テープロールの使用。
【0218】
94. 使用には、部品及び/又は金属を接着剤で接続することが含まれる、項目93に記載の使用。
【0219】
95. 使用には、自動車産業におけるホワイトボディ製造作業が含まれる、項目93又は項目94に記載の使用。
【0220】
96. 使用には、ヘムフランジ構造の製造が含まれる、項目93~95のいずれか一項に記載の使用。
【実施例】
【0221】
以下の実施例により本開示を更に説明する。これらの実施例は、単に例示目的のみのものであり、添付の特許請求の範囲を限定することを意味するものではない。
【0222】
試験方法
弾性構造用接着テープの準備:
弾性構造用接着テープは、2つの成分(B剤及びA剤)の押出混合物から調製される。A剤及びB剤の両方の調製を、以下に記載する。A剤及びB剤を適切な混合比でビーカー内に秤量し、均質な混合物が得られるまで3500rpmで0.5分間混合する。この工程が完了するとすぐに、混合は、第1の反応工程(B段階反応工程)を開始し、30~60分の範囲の時間内に部分的に硬化した前駆体が得られる。オープンタイム内に、得られたペーストを、ナイフコーターを使用してPTFE処理ガラス繊維ライナーに適用した。テープの厚さは、コーターを介して0.3mm~1.0mmの範囲で調整された。次に、テープを室温で架橋させた。その後、テープを正しい形状にカットし、ライナーから剥離して、ライナーなしでPEテープロールコアに巻き付けた。
【0223】
メッシュを含む弾性構造用接着テープの準備:
弾性構造用接着テープは、2つの成分(B剤及びA剤)の押出混合物から調製される。A剤及びB剤の両方の調製を、以下に記載する。A剤及びB剤を適切な混合比でビーカー内に秤量し、均質な混合物が得られるまで3500rpmで0.5分間混合する。この工程が完了するとすぐに、混合は、第1の反応工程(B段階反応工程)を開始し、30~60分の範囲の時間内に部分的に硬化した前駆体が得られる。オープンタイム内に、得られたペーストを、ナイフコーターを使用して不織メッシュが配置されたPTFE処理ガラス繊維ライナーに適用した。テープの厚さは、コーターを介して0.3mm~1.0mmの範囲で調整された。次に、テープを室温で架橋させた。その後、テープを正しい形状にカットし、ライナーから剥離して、ライナーなしでPEテープロールコアに巻き付けた。
【0224】
OLS及びT型剥離試験用の試験サンプルの調製:
OLS及びT型剥離サンプルの表面(鋼、グレードDX54+ZMB-RL1615)をn-ヘプタンで洗浄し、油状汚染サンプルの場合、3g/m2の試験油(Fuchs Petrolub AG,Germanyから市販されているPL 3802-39S)でコーティングする。試験サンプルは、試験前に、周囲室温(23℃±2℃、50%の相対湿度±5%))で24時間放置し、OLS及びT型剥離強度を上記のように測定する。
【0225】
1)DIN EN 1465による重なり剪断強度(OLS)
重なり剪断強度は、10mm/分のクロスヘッド速度で動作するZwick Z050引張試験機(Zwick GmbH & Co.KG,Ulm,Germanyにより市販されている)を使用して、DIN EN 1465に従って測定される。オーバーラップ剪断強度試験アセンブリの準備のために、約0.3mmの厚さを有する接着テープを試験の片面に適用した。その後、13mmの重なり接合部を形成する第2の鋼ストリップによってサンプルを被覆する。次いで、2つのバインダークリップを使用して重なり接合部を一緒にクランプし、試験アセンブリを、結合後に更に室温で4時間保管し、次いで、180℃で30分間、空気循環オーブンに入れる。翌日、サンプルを直接試験するか、又は老化を受けさせた後に試験する。実施例のそれぞれについて5つのサンプルを測定し、結果を平均して、MPaで報告する。
【0226】
原材料:
実施例では、以下の原材料及び使用済みの市販の接着テープを使用する。
ビスアジリジノポリエーテル(BAPE)は、約6200g/molの数平均分子量を有するカチオン自己重合性ビスアジリジノ官能性オリゴマーであり、これは、ドイツ特許第1544837号(Schmittら)に記載されるように、エチレンオキシドとテトラヒドロフランと(約1:4の比)の共重合によって得られる。
メチル-p-トルエンスルホネート(MPTS)は、Sigma-Aldrichから市販されているカチオン自己重合性モノマーの重合開始剤である。
DEN431は、DOW Chemical Pacific,The Heeren,Singaporeから市販されているエポキシ樹脂である。
Epikote 828は、Hexion Specialty Chemicals GmbH,Iserlohn,Germanyから市販されているエポキシ樹脂である。
Eponex 1510は、Hexion Specialty Chemicals GmbH,Iserlohn,Germanyから市販されている水素化ビスフェノールエポキシ樹脂である。
Amicure CG1200は、Evonik,Allentown,PA,USAから市販されているエポキシド用ジシアンジアミド系潜在性硬化開始剤である。
Ancamine 2014 FGは、Evonik,Allentown,PA,USAから市販されているエポキシド用ポリアミン系硬化促進剤である。
Dyhard UR500は、AlzChem Trostberg,Germanyから市販されているエポキシド用硬化促進剤である。
PK-HAは、Gabriel Phenoxies Inc.,Rock Hill,SC,USAから市販されているフェノキシ樹脂である。
KaneAce MX 257は、Kaneka Belgium N.V.,Westerlo,Belgiumから市販されている強靭化剤である。
KaneAce MX 153は、Kaneka Belgium N.V.,Westerlo,Belgiumから市販されている強靭化剤である。
Sil Cell 32は、Stauss Perlite GmbH,Austriaから市販されているケイ酸アルミニウムフィラーである。
Shieldex AC-5は、Grace GmbH,Germanyから市販されているシリカ系防錆剤である。
MinSil SF20は、3M Company,USAから入手した溶融シリカフィラーである。
Dynasylan GLYEOは、Evonik GmbH,Germanyから市販されているシラン系接着促進剤である。
Glass Beads Class IVは、3M Company,USAから得られた。
本明細書で使用される不織メッシュ:Technical Fiber Products(Burneside,UK)から入手した8gsmのポリエステルベール。
【0227】
実施例:
実施例1~3の調製
本開示による例示的な二成分(A剤及びB剤)硬化性組成物は、表1の材料のリストからの成分を、高速ミキサー(Hauschild Engineering,Germanyから入手可能なDAC 150 FVZ Speedmixer)内で、均質な混合物が達成されるまで、3500rpmで0.5分間撹拌することによって調製する。表1において、全ての濃度は重量%で示す。
【0228】
B剤を、以下のように調製した。
【0229】
KaneAce MX 257、KanAce MX 153、Eponex 1510及びDEN 431を小型ビーカーに入れ、プラネタリー高速ミキサー(DAC150 FVZ)を用いて3500rpmで1分間、一緒に混合する。次いで、メチル-p-トルエンスルホネートを添加し、均質な混合物が得られるまで混合する。その後、Sil Cell 32、Shieldex AC-5及びMinSil SF20を続いて添加し、3500rpmで1分間混合することにより混合物にブレンドする。次いで、Dynasylan GLYEOを添加し、続いてGlass Beadsを添加し、二成分硬化性組成物のB剤を得る。
【0230】
A剤を、以下のように調製する。
【0231】
Amicure CG1200及びAncamine 2014 FG(又はDyhard UR500)をビーカーに入れる。続いて、ビスアジリジノポリエーテル(BAPE)を混合物に添加し、次いでこれを、プラネタリー高速ミキサー(DAC150 FVZ)を用いて3500rpmで1分間、均質な混合物が得られるまで混合し、二成分硬化性組成物のA剤を得る。
【0232】
A剤及びB剤を、正確な混合比でビーカー内に秤量し、均質な混合物が達成されるまで3500rpmで0.5分間混合する。
【表1】
【0233】
本開示による実施例1~3のテープの全ての、ロールから巻き戻されたときの性能について調べた。本開示による実施例1~3のテープの全ては、ロールから簡単に巻き戻され、ロールにも巻き戻されたテープにも損傷はなかった。次に、実施例1~3をRTで保存し、巻き戻し性能に関する上記のテストを繰り返した。実施例1~3のテープの全ては、準備後5ヶ月であっても巻き戻し性能の低下は見られなかった。また、テープの接着性能の低下は見られず、またにじみ及びコールドフローも見られなかった。
【0234】
【0235】
表2に示される結果から分かるように、実施例1及び実施例2による接着テープは、重なり剪断強度に関して優れた性能及び特性を提供する。損傷モードは、DIN EN ISO 10365:1995で定義されているように解釈された。実施例1及び実施例2の両方で、接着損傷モードが示された。