(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-18
(45)【発行日】2023-05-26
(54)【発明の名称】不織布、その製造方法、該不織布を含む物品、及び該不織布を使用した衛生用品
(51)【国際特許分類】
D04H 3/007 20120101AFI20230519BHJP
A61F 13/475 20060101ALI20230519BHJP
A61F 13/494 20060101ALI20230519BHJP
A61F 13/511 20060101ALI20230519BHJP
A61F 13/514 20060101ALI20230519BHJP
B32B 5/26 20060101ALI20230519BHJP
【FI】
D04H3/007
A61F13/475 110
A61F13/494 111
A61F13/511 300
A61F13/514 100
B32B5/26
(21)【出願番号】P 2021570454
(86)(22)【出願日】2019-05-28
(86)【国際出願番号】 KR2019006374
(87)【国際公開番号】W WO2020241913
(87)【国際公開日】2020-12-03
【審査請求日】2021-11-26
(73)【特許権者】
【識別番号】504092127
【氏名又は名称】トーレ・アドバンスド・マテリアルズ・コリア・インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】TORAY ADVANCED MATERIALS KOREA INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】300,3gongdan 2-ro,Gumi-si,Gyeongsangbuk-do 39389 Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】デ・ヒ・キム
(72)【発明者】
【氏名】ヨン・ソク・ソ
(72)【発明者】
【氏名】ソク・デ・ジャン
【審査官】斎藤 克也
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2004/042130(WO,A1)
【文献】特開2003-073967(JP,A)
【文献】特表2015-535698(JP,A)
【文献】特開2011-058157(JP,A)
【文献】特開2001-262456(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-1475151(KR,B1)
【文献】韓国公開特許第10-2017-0134652(KR,A)
【文献】特表2006-500487(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 13/15 - 13/84
A61L 15/16 - 15/64
B32B 1/00 - 43/00
D04H 1/00 - 18/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
不織布であり、
前記不織布全体100重量%を基準にし、
1.0~8.0重量%の共単量体含量を有する7.0~17.0重量%のエラストマープロピレン共重合体と、
0.025~1.0重量%のアミド系化合物と、
0.375~1.0重量%のTiO
2と、
残量のプロピレンホモ重合体と、を含む溶融紡糸フィラメント纎維集合体であり、
前記不織布の坪量が15~30gsmであるとき、前記不織布のハンドル・オ・メーター(HOM)測定値が、縦方向(MD)に、3.3gf以下であり、横方向(CD)に、1.5gf以下である、不織布。
【請求項2】
前記不織布の坪量が1
5~25gsmである、請求項1に記載の不織布。
【請求項3】
前記共単量体がエチレンである、請求項1に記載の不織布。
【請求項4】
第1項において、
前記エラストマープロピレン共重合体がエラストマープロピレンランダム共重合体である、請求項1に記載の不織布。
【請求項5】
前記不織布が2層以上のスパンボンド不織布を含む、請求項1に記載の不織布。
【請求項6】
前記不織布が、スパンボンド不織布/スパンボンド不織布、スパンボンド不織布/スパンボンド不織布/スパンボンド不織布、スパンボンド不織布/メルトブローン不織布/スパンボンド不織布、スパンボンド不織布/スパンボンド不織布/スパンボンド不織布/スパンボンド不織布、またはそれら組み合わせを含む、請求項1に記載の不織布。
【請求項7】
前記不織布の坪量が15~30gsmであるとき、前記不織布のストリップ引っ張り強度が、縦方向(MD)に、39N/5cm以下であり、横方向(CD)に、17N/5cm以下である、請求項1に記載の不織布。
【請求項8】
不織布全体100重量%を基準にし、
1.0~8.0重量%の共単量体含量を有する7.0~17.0重量%のエラストマープロピレン共重合体、0.025~1.0重量%のアミド系化合物含有プロピレン重合体、及び0.375~1.0重量%のTiO
2含有プロピレン重合体をブレンディングし、溶融紡糸し、複数のフィラメント纎維を得る段階と、
前記複数のフィラメント纎維をコンベアベルト上で延伸して積層させ、不織布ウェブを形成する段階と、
前記積層された不織布ウェブを、145~165℃の温度で熱接着させ、請求項1に記載の不織布を製造する段階と、を含む、不織布の製造方法。
【請求項9】
前記共単量体がエチレンである、請求項
8に記載の不織布の製造方法。
【請求項10】
前記エラストマープロピレン共重合体が、エラストマープロピレンランダム共重合体である、請求項
8に記載の不織布の製造方法。
【請求項11】
前記不織布ウェブを形成する段階において、前記複数のフィラメント纎維をコンベアベルト上で、3,000~4,200Paの圧力で延伸する工程を含む、請求項
8に記載の不織布の製造方法。
【請求項12】
前記不織布ウェブを形成する段階において、前記複数のフィラメント纎維をコンベアベルト上で、2層以上積層する工程を含む、請求項
8に記載の不織布の製造方法。
【請求項13】
前記不織布の坪量が15~30gsmであるとき、前記不織布のストリップ引っ張り強度が、縦強度が縦方向(MD)に、39N/5cm以下であり、横方向(CD)に、17N/5cm以下である、請求項
8に記載の不織布の製造方法。
【請求項14】
請求項1に記載の不織布を含む、物品。
【請求項15】
請求項1に記載の不織布を、バックシート、トップシートまたはサイドギャザーの材料として使用した、衛生用品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、不織布、その製造方法、前記不織布を含む物品、及び前記不織布を使用した衛生用品に関する。
【背景技術】
【0002】
不織布、例えば、長纎維不織布は、スパンボンド、メルトブローン(meltblown)、及びそれら組み合わせに由来する不織布が一般的に知られている。
【0003】
そのうち、プロピレン重合体を利用した長纎維スパンボンド不織布は、アミド系エステル重合体を使用したエステル重合体スパンボンド不織布対比で、柔軟性が向上されうる。それにより、前記プロピレン重合体を利用した長纎維スパンボンド不織布は、使い捨ておむつ及び生理用ナプキンのような衛生用品に広範囲に使用されている。しかし、前記プロピレン重合体を利用した長纎維スパンボンド不織布は、柔軟性が向上する一方、強度の弱くなるという問題がある。
【0004】
それを解決するために、プロピレン重合体と、オレフィン系重合体または/及びアミド系エステル重合体とが複合化された長纎維不織布が研究されている。
【0005】
しかし、そのような複合化された長纎維不織布は、纎維の密集度が高く、生理血のような高粘度残留物が表面に残留する問題がある。
【0006】
従って、柔軟性にすぐれ、均一度が同時に向上された新規の不織布、その製造方法、及び前記不織布を含む物品への要求が依然としてある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
一側面は、柔軟性及び均一度が同時に向上された不織布を提供するものである。
【0008】
他の側面は、前記不織布の製造方法を提供するものである。
【0009】
さらに他の側面は、前記不織布を含む物品を提供するものである。
【0010】
さらに他の側面は、前記不織布を使用した衛生用品を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
一側面により、
不織布であり、
前記不織布全体100重量%を基準にし、
1.0~8.0重量%の共単量体含量を有する7.0~17.0重量%のエラストマープロピレン共重合体と、
0.025~1.0重量%のアミド系化合物と、
0.375~1.0重量%のTiO2と、
残量のプロピレンホモ重合体と、を含む溶融紡糸フィラメント纎維集合体であり、
前記不織布の坪量(basis weight)は、15~30gsmであるとき、前記不織布のハンドル・オ・メーター(HOM)測定値が、縦方向(MD:machine direction)に、3.3gf以下であり、横方向(CD:cross direction)に、1.5gf以下である不織布が提供される。
【0012】
前記共単量体は、エチレンでもある。
【0013】
前記エラストマープロピレン共重合体は、エラストマープロピレンランダム共重合体でもある。
【0014】
前記不織布は、2層以上のスパンボンド不織布を含んでもよい。
【0015】
前記不織布は、スパンボンド不織布/スパンボンド不織布、スパンボンド不織布/スパンボンド不織布/スパンボンド不織布、スパンボンド不織布/メルトブローン不織布/スパンボンド不織布、スパンボンド不織布/スパンボンド不織布/スパンボンド不織布/スパンボンド不織布、またはそれら組み合わせを含んでもよい。
【0016】
前記不織布の坪量は、15~30gsmであるとき、前記不織布のストリップ引っ張り強度(strip tensile strength)が縦方向(MD:machine direction)に、39N/5cm以下であり、横方向(CD:cross direction)に、17N/5cm以下でもある。
【0017】
前記不織布の裏に黒紙を接触させたとき、前記不織布前面で観察される黒色が占める面積は、前記不織布全体面積を基準にし、35%以下でもある。
【0018】
他の側面により、
不織布全体100重量%を基準にし、
1.0~8.0重量%の共単量体含量を有する7.0~17.0重量%のエラストマープロピレン共重合体、0.025~1.0重量%のアミド系化合物含有プロピレン重合体、及び0.375~1.0重量%のTiO2含有プロピレン重合体をブレンディングして溶融紡糸し、複数のフィラメント纎維を得る段階と、
前記複数のフィラメント纎維をコンベアベルト上で延伸して積層させ、不織布ウェブを形成する段階と、
前記積層された不織布ウェブを、145~165℃の温度で熱接着させ、前述の不織布を製造する段階と、を含む不織布の製造方法が提供される。
【0019】
前記不織布ウェブを形成する段階において、前記複数のフィラメント纎維をコンベアベルト上で、3,000~4,200Paの圧力で延伸する工程を含んでもよい。
【0020】
前記不織布ウェブを形成する段階において、前記複数のフィラメント纎維をコンベアベルト上で、2層以上積層する工程を含んでもよい。
【0021】
さらに他の側面により、
前述の不織布を含む物品が提供される。
【0022】
前記物品は、吸収体または衛生用品を含んでもよい。
【0023】
前記物品は、使い捨ておむつまたは使い捨て生理用ナプキンを含んでもよい。
【0024】
さらに他の側面により、
前述の不織布を、バックシート(back sheet)、トップシート(top sheet)またはサイドギャザー(side gather)の材料として使用した衛生用品が提供される。
【発明の効果】
【0025】
一側面による不織布は、前記不織布全体重量を基準にし、0.375~1.0重量%のTiO2を含む溶融紡糸フィラメント纎維集合体であり、前記不織布の坪量(basis weight)が15~30gsmであるとき、前記不織布のハンドル・オ・メーター(HOM)測定値が、縦方向(MD:machine direction)に、3.3gf以下であり、横方向(CD:cross direction)に、1.5gf以下である不織布であり、柔軟性及び均一度が同時に向上されうる。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施例と図面とを参照し、本発明の一具現例による不織布、その製造方法、前記不織布を含む物品、及び前記不織布を使用した衛生用品につき、詳細に説明する。それら実施例は、ただ、本発明について、さらに具体的に説明するために、例示的に提示されたものであるのみ、本発明の範囲は、それら実施例によって制限されるものではないということは、当業界で当業者において自明であろう。
【0027】
取り立てて定義しない限り、本明細書で使用される全ての技術的及び科学的な用語は、本発明が属する技術分野の熟練者により、一般的に理解されるところと同一意味を有する。相反する場合、定義を含む本明細書が優先されるのである。
【0028】
本明細書で説明されるところと、類似していたり、同等であったりする方法及び材料が、本発明の実施または試験に使用されうるが、適する方法及び材料が本明細書に記載される。
【0029】
本明細書で使用された「不織布」という用語は、編み織りまたは製織以外の手段によって形成され、纎維またはフィラメントの一部または全部の間に結合を含む纎維またはフィラメントウェブを意味し、そのような結合は、例えば、もつれのような熱的、接着的または機械的な手段によっても形成される。一般的な不織は、スパンボンド、メルトブローン、カーディング(carding)またはエアレイング(air-laying)の工程などによっても形成される。
【0030】
本明細書で使用された「坪量(basis weight)」という用語は、単位面積当たり質量を意味し、平方メートル当たりのグラム(gsm)単位で定義される。
【0031】
本明細書で使用された「含む」という用語は、特別に反対となる記載がない限り、他の構成要素(成分)を除くものではなく、他の構成要素(成分)を追加または/及び介在させうるということを示すように使用される。
【0032】
一具現例による不織布は、前記不織布全体100重量%を基準にし、1.0~8.0重量%の共単量体含量を有する7.0~17.0重量%のエラストマープロピレン共重合体と、0.025~1.0重量%のアミド系化合物と、0.375~1.0重量%のTiO2と、残量のプロピレンホモ重合体と、を含む溶融紡糸フィラメント纎維集合体でもあり、前記不織布の坪量が15~30gsmであるとき、前記不織布のハンドル・オ・メーター(HOM)測定値が、縦方向(MD:machine direction)に、3.3gf以下でもあり、横方向(CD:cross direction)に、1.5gf以下でもある。
【0033】
前記不織布は、溶融紡糸フィラメント纎維集合体でもある。
【0034】
前記不織布は、前記不織布全体100重量%を基準にし、1.0~8.0重量%の共単量体含量を有する7.0~17.0重量%のエラストマープロピレン共重合体を含んでもよい。
【0035】
前記エラストマープロピレン共重合体は、エラストマープロピレンランダム共重合体でもある。前記共単量体は、オレフィン系単量体でもあり、例えば、前記共単量体は、エチレンでもある。前記エラストマープロピレンランダム共重合体は、一般的な不織布、例えば、スパンボンド不織布に比べ、柔軟性に非常にすぐれる。
【0036】
前記エラストマープロピレン共重合体は、前記不織布全体100重量%を基準にし、7.0~17.0重量%の含量で含まれてもよい。例えば、前記エラストマープロピレン共重合体は、前記不織布全体100重量%を基準にし、7.0~16.0重量%の含量で含まれることにもなるか、7.0~15.0重量%の含量で含まれることにもなるか、あるいは7.0~12.0重量%の含量で含まれることにもなる。
【0037】
前記エラストマープロピレン共重合体は、前記不織布全体100重量%を基準にし、共単量体が1.0~8.0重量%の含量で含まれてもよい。例えば、前記エラストマープロピレン共重合体は、前記不織布全体100重量%を基準にし、共単量体が1.0~7.0重量%の含量で含まれるものでもあるか、1.0~6.0重量%の含量で含まれるものでもあるか、1.0~5.0重量%の含量で含まれるものでもあるか、1.0~4.0重量%の含量で含まれるものでもあるか、1.0~3.0重量%の含量で含まれるものでもあるか、あるいは1.0~2.0重量%の含量で含まれるものでもある。前記エラストマープロピレン共重合体は、不織布全体100重量%を基準にし、共単量体が1.0重量%未満の含量で含まれる場合、柔軟性改善の効果が示されず、8.0重量%超過の含量で含まれる場合、紡糸性、及び不織布の強度が低下されるだけではなく、製造コストが上昇してしまう。
【0038】
前記不織布は、前記不織布全体100重量%を基準にし、0.025~1.0重量%のアミド系化合物を含んでもよい。例えば、前記不織布は、前記不織布全体100重量%を基準にし、0.025~0.9重量%のアミド系化合物を含むものでもあるか、0.025~0.8重量%のアミド系化合物を含むものでもあるか、0.025~0.7重量%のアミド系化合物を含むものでもあるか、0.025~0.6重量%のアミド系化合物を含むものでもあるか、あるいは0.025~0.5重量%のアミド系化合物を含むものでもある。前記不織布にエラストマープロピレン共重合体だけが含まれるならば、柔軟性が向上する一方、表面摩擦係数が高く、全体的な柔軟性確保が困難である。従って、前記不織布に、前記範囲内の含量を有するアミド系化合物が含まれるならば、その表面の柔軟性がさらに向上されうる。前記アミド系化合物は、例えば、脂肪酸アミド化合物でもある。
【0039】
前記不織布は、前記不織布全体100重量%を基準にし、0.375~1.0重量%のTiO2を含んでもよい。例えば、前記不織布は、前記不織布全体100重量%を基準にし、0.4~1.0重量%のTiO2を含むものでもあるか、0.5~1.0重量%のTiO2を含むものでもあるか、0.6~1.0重量%のTiO2を含むものでもあるか、0.7~1.0重量%のTiO2を含むものでもあるか、0.8~1.0重量%のTiO2を含むものでもあるか、あるいは0.9~1.0重量%のTiO2を含むものでもある。前記不織布が前記範囲内の含量を有するTiO2を含むならば、溶融紡糸に対する調節が容易であり、均一度(formation)が向上されうる。
【0040】
前記不織布の坪量は、15~30gsmであるとき、前記不織布のハンドル・オ・メーター(HOM)測定値が、縦方向(MD)に、3.3gf以下でもあり、横方向(CD)に、1.5gf以下でもある。例えば、前記不織布の坪量は、15~25gsmでもある。
【0041】
前記不織布は、2層以上のスパンボンド不織布でもある。
【0042】
例えば、前記不織布は、スパンボンド不織布/スパンボンド不織布、スパンボンド不織布/スパンボンド不織布/スパンボンド不織布、スパンボンド不織布/メルトブローン不織布/スパンボンド不織布、スパンボンド不織布/スパンボンド不織布/スパンボンド不織布/スパンボンド不織布、またはそれら組み合わせを含んでもよい。
【0043】
前記不織布の坪量は、15~30gsmであるとき、前記不織布のストリップ引っ張り強度(strip tensile strength)が縦方向(MD)に、39N/5cm以下でもあり、横方向(CD)に、17N/5cm以下でもある。
【0044】
前記不織布の裏に黒紙を接触させたとき、前記不織布前面で観察される黒色が占める面積は、前記不織布全体面積を基準にし、35%以下でもある。例えば、前記不織布の裏に黒紙を接触させたとき、前記不織布前面で観察される黒色が占める面積は、前記不織布全体面積を基準にし、10~35%でもある。例えば、前記不織布の裏に黒紙を接触させたとき、前記不織布前面で観察される黒色が占める面積は、前記不織布全体面積を基準にし、10~30%でもあるか、10~25%でもあるか、10~24%でもあるか、10~23%でもあるか、あるいは10~22%でもある。前記不織布前面で観察される黒色が占める面積は、不織布の均一度を評価する1つの指標としても活用され、前記不織布は、黒色が占める面積が少なく、均一度にすぐれる。
【0045】
他の一具現例による不織布の製造方法は、不織布全体100重量%を基準にし、1.0~8.0重量%の共単量体含量を有する7.0~17.0重量%のエラストマープロピレン共重合体、0.025~1.0重量%のアミド系化合物含有プロピレン重合体、及び0.375~1.0重量%のTiO2含有プロピレン重合体をブレンディングして溶融紡糸し、複数のフィラメント纎維を得る段階と、前記複数のフィラメント纎維をコンベアベルト上で積層させて延伸し、不織布ウェブを形成する段階と、前記積層された不織布ウェブを、150~165℃の温度で熱接着させ、前述の不織布を製造する段階と、を含んでもよい。
【0046】
まず、不織布全体100重量%を基準にし、1.0~8.0重量%の共単量体含量を有する7.0~17.0重量%のエラストマープロピレン共重合体、0.025~1.0重量%のアミド系化合物含有プロピレン重合体、及び0.375~1.0重量%のTiO2含有プロピレン重合体を、同時にまたは順次に押出機(extruder)に投入する。このとき、前記エラストマープロピレン共重合体、前記アミド系化合物含有プロピレン重合体、及び前記TiO2含有プロピレン重合体は、それぞれビード、ペレットまたは/及びチップなどの多様な形態で押出機の送出部に移送されて溶融され、混錬機で均質にブレンディングし、ブレンディング組成物を製造する。その後、必要であるならば、前記ブレンディング組成物に、安定剤、顔料マスターバッチ、またはその他添加剤が添加されたブレンディング最終結果物を、複数のホールがあるノズルを介してそれぞれ溶融紡糸し、約1~5デニア太の複数のフィラメント纎維を得る。前記複数のフィラメント纎維太が約1デニアより細くなれば、紡糸作業性が不良でもあり、反対に、約5デニアを超えれば、延伸が十分ではなく、強度が低下し、柔軟性を確保することができない。
【0047】
次に、前記複数のフィラメント纎維をコンベアベルト上で延伸して積層させ、不織布ウェブを形成する。
【0048】
前記不織布ウェブを形成する段階において、複数のフィラメント纎維をコンベアベルト上で、3,000~4,200Paの圧力、例えば、3,200~4,200Paの圧力で延伸する工程を含んでもよい。前記不織布ウェブを形成する段階において、複数のフィラメント纎維をコンベアベルト上で、2層以上積層する工程を含んでもよい。
【0049】
次に、前記積層された不織布ウェブを、エアを介して延伸し、145~165℃の温度で熱接着させ、前述の不織布を製造する。前記熱接着温度が145℃より低ければ、物性が低下してしまい、前記熱接着温度が165℃より高ければ、柔軟性が低下してしまう。
【0050】
他の一具現例による物品は、前述の不織布を含んでもよい。
【0051】
前記物品は、吸収体または衛生用品を含んでもよい。前記物品は、使い捨ておむつ、または使い捨て生理用ナプキンを含んでもよい。
【0052】
さらに他の一具現例による衛生用品は、前述の不織布を、バックシート(back sheet)、トップシート(top sheet)またはサイドギャザー(side gather)の材料として使用することができる。前記衛生用品は、柔軟性及び均一度が同時に向上された不織布を含んでもよい。
【0053】
以下、実施例及び比較例を記載する。しかし、下記実施例は、本発明の一実施例であるのみ、本発明の範囲は、下記実施例に限定されるものではない。
【実施例】
【0054】
下記で使用された、不織布に使用されたポリプロピレン重合体、エチレン・プロピレンランダム共重合体、脂肪酸アミド化合物含有プロピレン重合体、及びTiO2含有プロピレン重合体(TiO2は、TiO2含有プロピレン重合体全体重量を基準にし、85重量%で含有する)は、それぞれペレット形態のマスターバッチチップであり、前記ポリプロピレン重合体は、LG化学株式会社製の商品名H7700(溶融フロー指数(MI):32g~36g/10分)、前記エチレン・プロピレンランダム共重合体は、Exxonmobil製造の商品名7020BF(溶融フロー指数(MI):18g~22g/10分)、前記脂肪酸アミド化合物含有プロピレン重合体は、Plastics&People製造の商品名1121TAD(溶融フロー指数(MI):57~77g/10分)、及び前記TiO2含有プロピレン重合体は、Plastics&People製造の商品名1357WHT(溶融フロー指数(MI):5~7g/10分)からそれぞれ入手した。
【0055】
実施例1:積層型スパンボンド不織布の製造
不織布全体100重量%を基準にし、ポリプロピレン重合体86.5重量%、1.0重量%のTiO2含有プロピレン重合体を押出機に投入し、混錬機で均質にブレンディングした。さらには、12重量%のエチレン・プロピレンランダム共重合体(エチレン含量:1.8重量%)、及び0.5重量%の脂肪酸アミド化合物含有プロピレン重合体を押出機に投入し、前記混錬機で均質にブレンディングし、ブレンディング組成物を製造した。前記ブレンディング組成物を、ノズルを介して溶融紡糸することにより、約1.75デニール太の複数のフィラメント纎維を得た。
【0056】
前記複数のフィラメント纎維を、4,200Paのキャビン(cabin)圧力に設定した条件下で、多孔性コンベアベルト上で延伸して4層に積層し、不織布ウェブを形成した。
【0057】
前記不織布ウェブを、148℃温度のエンブロールと、152℃温度のスイミングロ-ルとの間を通過させながら熱接着させ、坪量が17gsmである積層型スパンボンド不織布を製造した。
【0058】
実施例2:積層型スパンボンド不織布の製造
前記4層に積層された不織布ウェブを、148℃温度のエンブロールと、152℃温度のスイミングロールとの間の代わりに、152℃温度のエンブロールと、156℃温度のスイミングロールとの間を通過させながら熱接着させたことを除いては、実施例1と同一方法を遂行し、積層型スパンボンド不織布を製造した。
【0059】
実施例3:積層型スパンボンド不織布の製造
前記4層に積層された不織布ウェブを、148℃温度のエンブロールと、152℃温度のスイミングロールとの間の代わりに、156℃温度のエンブロールと、160℃温度のスイミングロールとの間を通過させながら熱接着させたことを除いては、実施例1と同一方法を遂行し、積層型スパンボンド不織布を製造した。
【0060】
実施例4:積層型スパンボンド不織布の製造
前記複数のフィラメント纎維を、4,200Paのキャビン圧力に設定した条件の代わりに、3,700Paのキャビン圧力に設定した条件下で、多孔性コンベアベルト上で延伸して4層に積層し、不織布ウェブを形成したことを除いては、実施例1と同一方法を遂行し、積層型スパンボンド不織布を製造した。
【0061】
実施例5:積層型スパンボンド不織布の製造
前記複数のフィラメント纎維を、4,200Paのキャビン圧力に設定した条件の代わりに、3,200Paのキャビン圧力に設定した条件下で、多孔性コンベアベルト上で延伸して4層に積層し、不織布ウェブを形成したことを除いては、実施例1と同一方法を遂行し、積層型スパンボンド不織布を製造した。
【0062】
比較例1:積層型スパンボンド不織布の製造
不織布全体100重量%を基準にし、ポリプロピレン重合体87.35重量%、0.15重量%のTiO2含有プロピレン重合体を押出機に投入し、混錬機で均質にブレンディングした。さらには、12重量%のエチレン・プロピレンランダム共重合体(エチレン含量:1.8重量%)、及び0.5重量%の脂肪酸アミド化合物含有プロピレン重合体を押出機に投入し、前記混錬機で均質にブレンディングし、ブレンディング組成物を製造した。前記ブレンディング組成物を、ノズルを介して溶融紡糸することにより、約1.75デニール太の複数のフィラメント纎維を得た。
【0063】
前記複数のフィラメント纎維を、3,200Paのキャビン圧力に設定した条件下で、多孔性コンベアベルト上で延伸して4層に積層し、不織布ウェブを形成した。
【0064】
前記不織布ウェブを、154℃温度のエンブロールと、158℃温度のスイミングロールとの間を通過させながら熱接着させ、坪量が17gsmである積層型スパンボンド不織布を製造した。
【0065】
評価例1:不織布の物性評価
実施例1~5及び比較例1によって製造された積層型スパンボンド不織布の物性を、次のような方法で評価した。その結果を下記[表1]に示した。
【0066】
(1)坪量:WSP 130.1
(2)ストリップ引っ張り強度(@MD方向&@CD方向):WSP 110.4
(3)ハンドル・オ・メーター(HOM;@MD方向&@CD方向):WSP 90.3
(4)均一度:不織布の裏に黒紙を接触させたとき、前記不織布前面で観察される不織布全体面積を基準にした黒色が占める面積;肉眼評価
【0067】
【0068】
前記[表1]を参照すれば、実施例1~5によって製造された積層型スパンボンド不織布は、比較例1によって製造された積層型スパンボンド不織布と比較し、ハンドル・オ・メーター値(@MD方向及び@CD方向)が小さいので、柔軟性にすぐれるということを確認することができ、同時に、肉眼で評価した黒色が占める面積(均一度評価)も、低いということを確認することができる。それにより、実施例1~5によって製造された積層型スパンボンド不織布は、比較例1によって製造された積層型スパンボンド不織布と比較し、類似した強度を維持しながら、柔軟性及び均一度が同時に向上されているということが分かる。