(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-18
(45)【発行日】2023-05-26
(54)【発明の名称】受変電設備保安システム、スマートゲートウェイ、受変電設備内時刻同期方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
H04L 7/00 20060101AFI20230519BHJP
G04G 7/00 20060101ALI20230519BHJP
【FI】
H04L7/00 990
G04G7/00
(21)【出願番号】P 2022197475
(22)【出願日】2022-12-09
【審査請求日】2022-12-09
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 開催日(公開日) 令和4年10月5日 (説明資料送付) 令和4年10月11日(説明会実施) 集会名、開催場所 独立行政法人製品評価技術基盤機構 スマート保安プロモーション委員会向け・技術説明会『中小規模自家用電気工作物の受変電設備におけるスマート保安技術の導入について』 独立行政法人製品評価技術基盤機構(東京都渋谷区西原2-49-10) <資 料> 技術説明会 説明資料
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】313006647
【氏名又は名称】セイコーソリューションズ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】592184278
【氏名又は名称】一般財団法人東北電気保安協会
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【氏名又は名称】西澤 和純
(72)【発明者】
【氏名】相原 正仁
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 直之
(72)【発明者】
【氏名】福士 哲也
(72)【発明者】
【氏名】山本 崇敏
【審査官】齊藤 晶
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2014/0341209(US,A1)
【文献】特開2019-215207(JP,A)
【文献】国際公開第2020/004033(WO,A1)
【文献】国際公開第2020/171189(WO,A1)
【文献】特開2019-61872(JP,A)
【文献】特開2020-61839(JP,A)
【文献】国際公開第2022/244287(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 7/00
G04G 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの受変電設備と、前記受変電設備から送信される警報に対応する処理を行う警報処理サーバと、前記受変電設備から送信されるセンサ情報に対応する処理を行うセンサ処理プラットフォームと、前記受変電設備、前記警報処理サーバおよび前記センサ処理プラットフォームに標準時刻を配信する時刻配信サーバとを備え、前記受変電設備と前記警報処理サーバと前記センサ処理プラットフォームと前記時刻配信サーバとがネットワークを介して接続された受変電設備保安システムであって、
前記受変電設備は、複数のセンサと、インターフェイスボックスと、スマートゲートウェイとを備え、
前記インターフェイスボックスは、
時刻を示すクロックと、
前記複数のセンサによる検出値を示す前記センサ情報に、前記クロックによって示される時刻を示す時刻情報を付与する時刻情報付与部とを備え、
前記スマートゲートウェイは、
前記インターフェイスボックスの前記時刻情報付与部によって時刻情報が付与された前記センサ情報を受信するセンサ情報受信部と、
時刻を示すクロックと、
GW時刻同期部と、
受変電設備内時刻同期部とを備え、
前記GW時刻同期部は、前記スマートゲートウェイのクロックによって示される時刻を、前記時刻配信サーバによって配信される標準時刻に同期させ、
前記受変電設備内時刻同期部は、前記インターフェイスボックスのクロックによって示される時刻を、前記スマートゲートウェイのクロックによって示される時刻に同期させる、
受変電設備保安システム。
【請求項2】
前記スマートゲートウェイのクロックによって示される時刻が、前記時刻配信サーバによって配信される標準時刻に同期させられた後に、前記受変電設備内時刻同期部は、前記インターフェイスボックスのクロックによって示される時刻を、前記スマートゲートウェイのクロックによって示される時刻に同期させる、
請求項1に記載の受変電設備保安システム。
【請求項3】
前記受変電設備は、漏洩電流センサを更に備え、
前記漏洩電流センサは、
前記受変電設備内の漏洩電流を検知する漏洩電流検知部と、
時刻を示すクロックと、
前記漏洩電流検知部の検知結果を示す情報に、前記漏洩電流センサのクロックによって示される時刻を示す情報を付与したものである漏洩電流情報を生成する漏洩電流情報生成部とを備え、
前記受変電設備内時刻同期部は、前記漏洩電流センサのクロックによって示される時刻を、前記スマートゲートウェイのクロックによって示される時刻に同期させる、
請求項1に記載の受変電設備保安システム。
【請求項4】
前記スマートゲートウェイのクロックによって示される時刻が、前記時刻配信サーバによって配信される標準時刻に同期させられた後に、前記受変電設備内時刻同期部は、前記漏洩電流センサのクロックによって示される時刻を、前記スマートゲートウェイのクロックによって示される時刻に同期させる、
請求項3に記載の受変電設備保安システム。
【請求項5】
前記少なくとも1つの受変電設備として、少なくとも第1受変電設備と、第2受変電設備とを備え、
前記第1受変電設備および前記第2受変電設備のそれぞれが、前記インターフェイスボックスと、前記スマートゲートウェイとを備え、
前記第1受変電設備の前記スマートゲートウェイの前記GW時刻同期部が、前記第1受変電設備の前記スマートゲートウェイのクロックによって示される時刻を、前記時刻配信サーバによって配信される標準時刻に同期させるタイミングと、
前記第2受変電設備の前記スマートゲートウェイの前記GW時刻同期部が、前記第2受変電設備の前記スマートゲートウェイのクロックによって示される時刻を、前記時刻配信サーバによって配信される標準時刻に同期させるタイミングとは異なる、
請求項1に記載の受変電設備保安システム。
【請求項6】
前記第1受変電設備の前記スマートゲートウェイの前記GW時刻同期部は、前記第1受変電設備の前記スマートゲートウェイのクロックによって示される時刻を、前記時刻配信サーバによって配信される標準時刻に同期させる処理を第1インターバルで実行し、
前記第2受変電設備の前記スマートゲートウェイの前記GW時刻同期部は、前記第2受変電設備の前記スマートゲートウェイのクロックによって示される時刻を、前記時刻配信サーバによって配信される標準時刻に同期させる処理を前記第1インターバルで実行し、
前記第1受変電設備の前記スマートゲートウェイの前記GW時刻同期部による各処理のタイミングと、前記第2受変電設備の前記スマートゲートウェイの前記GW時刻同期部による各処理のタイミングとは異なる、
請求項5に記載の受変電設備保安システム。
【請求項7】
前記第1受変電設備の前記スマートゲートウェイの前記受変電設備内時刻同期部は、前記第1受変電設備の前記インターフェイスボックスのクロックによって示される時刻を、前記第1受変電設備の前記スマートゲートウェイのクロックによって示される時刻に同期させる処理を前記第1インターバルより短い第2インターバルで実行し、
前記第2受変電設備の前記スマートゲートウェイの前記受変電設備内時刻同期部は、前記第2受変電設備の前記インターフェイスボックスのクロックによって示される時刻を、前記第2受変電設備の前記スマートゲートウェイのクロックによって示される時刻に同期させる処理を前記第2インターバルで実行する、
請求項6に記載の受変電設備保安システム。
【請求項8】
前記受変電設備内時刻同期部による、前記インターフェイスボックスのクロックによって示される時刻を、前記スマートゲートウェイのクロックによって示される時刻に同期させる処理では、前記スマートゲートウェイと前記インターフェイスボックスとの間の往復遅延時間を考慮した時刻調整が行われず、
前記GW時刻同期部による、前記スマートゲートウェイのクロックによって示される時刻を、前記時刻配信サーバによって配信される標準時刻に同期させる処理では、前記ネットワークを介する前記時刻配信サーバと前記受変電設備との間の往復遅延時間を考慮した時刻調整が行われる、
請求項1に記載の受変電設備保安システム。
【請求項9】
ネットワークを介して警報処理サーバ、センサ処理プラットフォームおよび時刻配信サーバに接続される受変電設備に備えられるスマートゲートウェイであって、
前記警報処理サーバは、前記受変電設備から送信される警報に対応する処理を行い、
前記センサ処理プラットフォームは、前記受変電設備から送信されるセンサ情報に対応する処理を行い、
前記時刻配信サーバは、前記受変電設備、前記警報処理サーバおよび前記センサ処理プラットフォームに標準時刻を配信し、
前記受変電設備には、複数のセンサと、インターフェイスボックスと、前記スマートゲートウェイとが備えられ、
前記インターフェイスボックスは、
時刻を示すクロックと、
前記複数のセンサによる検出値を示す前記センサ情報に、前記クロックによって示される時刻を示す時刻情報を付与する時刻情報付与部とを備え、
前記スマートゲートウェイは、
前記インターフェイスボックスの前記時刻情報付与部によって時刻情報が付与された前記センサ情報を受信するセンサ情報受信部と、
時刻を示すクロックと、
GW時刻同期部と、
受変電設備内時刻同期部とを備え、
前記GW時刻同期部は、前記スマートゲートウェイのクロックによって示される時刻を、前記時刻配信サーバによって配信される標準時刻に同期させ、
前記受変電設備内時刻同期部は、前記インターフェイスボックスのクロックによって示される時刻を、前記スマートゲートウェイのクロックによって示される時刻に同期させる、
スマートゲートウェイ。
【請求項10】
前記スマートゲートウェイのクロックによって示される時刻が、前記時刻配信サーバによって配信される標準時刻に同期させられた後に、前記受変電設備内時刻同期部は、前記インターフェイスボックスのクロックによって示される時刻を、前記スマートゲートウェイのクロックによって示される時刻に同期させる、
請求項9に記載のスマートゲートウェイ。
【請求項11】
ネットワークを介して警報処理サーバ、センサ処理プラットフォームおよび時刻配信サーバに接続される受変電設備に備えられるスマートゲートウェイを用いる受変電設備内時刻同期方法であって、
前記警報処理サーバは、前記受変電設備から送信される警報に対応する処理を行い、
前記センサ処理プラットフォームは、前記受変電設備から送信されるセンサ情報に対応する処理を行い、
前記時刻配信サーバは、前記受変電設備、前記警報処理サーバおよび前記センサ処理プラットフォームに標準時刻を配信し、
前記受変電設備には、複数のセンサと、インターフェイスボックスと、前記スマートゲートウェイとが備えられ、
前記インターフェイスボックスは、
時刻を示すクロックと、
前記複数のセンサによる検出値を示す前記センサ情報に、前記クロックによって示される時刻を示す時刻情報を付与する時刻情報付与部とを備え、
前記スマートゲートウェイは、
前記インターフェイスボックスの前記時刻情報付与部によって時刻情報が付与された前記センサ情報を受信するセンサ情報受信部と、
時刻を示すクロックと、
GW時刻同期部と、
受変電設備内時刻同期部とを備え、
前記GW時刻同期部が、前記スマートゲートウェイのクロックによって示される時刻を、前記時刻配信サーバによって配信される標準時刻に同期させるGW時刻同期ステップと、
前記受変電設備内時刻同期部が、前記インターフェイスボックスのクロックによって示される時刻を、前記スマートゲートウェイのクロックによって示される時刻に同期させる受変電設備内時刻同期ステップとを備える、
受変電設備内時刻同期方法。
【請求項12】
ネットワークを介して警報処理サーバ、センサ処理プラットフォームおよび時刻配信サーバに接続される受変電設備に備えられるスマートゲートウェイを構成するコンピュータに、GW時刻同期ステップと、受変電設備内時刻同期ステップとを実行させるためのプログラムであって、
前記警報処理サーバは、前記受変電設備から送信される警報に対応する処理を行い、
前記センサ処理プラットフォームは、前記受変電設備から送信されるセンサ情報に対応する処理を行い、
前記時刻配信サーバは、前記受変電設備、前記警報処理サーバおよび前記センサ処理プラットフォームに標準時刻を配信し、
前記受変電設備には、複数のセンサと、インターフェイスボックスと、前記スマートゲートウェイとが備えられ、
前記インターフェイスボックスは、
時刻を示すクロックと、
前記複数のセンサによる検出値を示す前記センサ情報に、前記クロックによって示される時刻を示す時刻情報を付与する時刻情報付与部とを備え、
前記スマートゲートウェイは、
前記インターフェイスボックスの前記時刻情報付与部によって時刻情報が付与された前記センサ情報を受信するセンサ情報受信部と、
時刻を示すクロックと、
GW時刻同期部と、
受変電設備内時刻同期部とを備え、
前記GW時刻同期ステップでは、前記GW時刻同期部により、前記スマートゲートウェイのクロックによって示される時刻が、前記時刻配信サーバによって配信される標準時刻に同期させられ、
前記受変電設備内時刻同期ステップでは、前記受変電設備内時刻同期部により、前記インターフェイスボックスのクロックによって示される時刻が、前記スマートゲートウェイのクロックによって示される時刻に同期させられる、
プログラム。
【請求項13】
ネットワークを介して時刻配信サーバに接続される受変電設備に備えられるスマートゲートウェイであって、
前記受変電設備は、警報およびセンサ情報に対応する処理を行い、
前記時刻配信サーバは、前記受変電設備に標準時刻を配信し、
前記受変電設備には、少なくとも複数のセンサと、インターフェイスボックスと、前記スマートゲートウェイとが備えられ、
前記インターフェイスボックスは、
時刻を示すクロックと、
前記複数のセンサによる検出値を示す前記センサ情報に、前記クロックによって示される時刻を示す時刻情報を付与する時刻情報付与部とを備え、
前記スマートゲートウェイは、
前記インターフェイスボックスの前記時刻情報付与部によって時刻情報が付与された前記センサ情報を受信するセンサ情報受信部と、
時刻を示すクロックと、
GW時刻同期部と、
受変電設備内時刻同期部とを備え、
前記GW時刻同期部は、前記スマートゲートウェイのクロックによって示される時刻を、前記時刻配信サーバによって配信される標準時刻に同期させ、
前記受変電設備内時刻同期部は、前記インターフェイスボックスのクロックによって示される時刻を、前記スマートゲートウェイのクロックによって示される時刻に同期させる、
スマートゲートウェイ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、受変電設備保安システム、スマートゲートウェイ、受変電設備内時刻同期方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、電気保安業務の1つとして、キュービクル(受変電設備)に設置された絶縁監視装置からの監視情報に基づいた受変電設備の監視業務が行われている。具体的には、絶縁監視装置により漏電を監視し、所定の状態を超える漏電が発生した場合には、電気保安技術者(以後、技術者)が現場に出動する。技術者が現場に向かう漏電に関する条件については、法的に定められている。
またそのほかにも、月次点検、年次点検など、法で定められたタイミングで、点検業務を行うことになっている。
【0003】
特許文献1には、キュービクルの保安点検を自動で行うシステムについて記載されている。特許文献1に記載された技術では、キュービクルの異常を検知するために超音波センサ、音波センサ、臭気検知センサ、温度センサ、カメラ、振動センサ、粉塵センサ、電圧計、電流計などの各種センサが用いられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【非特許文献】
【0005】
【文献】経済産業省 主任技術者制度の解釈及び運用(内規) 改正令和4年9月12日
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
保安業務において、定期的な点検業務のほか、次世代の業務要件(法改正を除く)として必要なのは、「管理業務の高度化」と「管理業務の効率化」と言われている。そのため、多数種類のセンサからのセンサ情報を必要なときに見える化し提示するだけでなく、センサ情報を使用して異常検知や設備状況の把握をしたり、予防保全などに役立てたりする検討が進んでいる。
しかしそのためには、長期間にわたりセンサ情報を収集し・解析をする必要がある。センサ情報を解析する際には、受変電設備内外で発生した種々の事象とセンサ情報との関連性や、センサ情報同士の関連性を正確に分析するために、複数のセンサ情報の検出時刻が受変電設備内で同期している必要があり、また、受変電設備で使用されている時刻がシステム内の基準時刻に合っている必要がある。
【0007】
特許文献1の段落0125には、クロック信号の専用線がデータ線と平行して設けられ、受信側でのデータ復調の同期が行われる旨が記載されているものの、特許文献1に記載された技術によっては、受変電設備内の時刻同期を適切に行うことができない。
【0008】
上述した点に鑑み、本発明は、時刻配信サーバの負荷の増加を抑制しつつ受変電設備内の時刻同期を行うことができる受変電設備保安システム、スマートゲートウェイ、受変電設備内時刻同期方法およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様は、少なくとも1つの受変電設備と、前記受変電設備から送信される警報に対応する処理を行う警報処理サーバと、前記受変電設備から送信されるセンサ情報に対応する処理を行うセンサ処理プラットフォームと、前記受変電設備、前記警報処理サーバおよび前記センサ処理プラットフォームに標準時刻を配信する時刻配信サーバとを備え、前記受変電設備と前記警報処理サーバと前記センサ処理プラットフォームと前記時刻配信サーバとがネットワークを介して接続された受変電設備保安システムであって、前記受変電設備は、複数のセンサと、インターフェイスボックスと、スマートゲートウェイとを備え、前記インターフェイスボックスは、時刻を示すクロックと、前記複数のセンサによる検出値を示す前記センサ情報に、前記クロックによって示される時刻を示す時刻情報を付与する時刻情報付与部とを備え、前記スマートゲートウェイは、前記インターフェイスボックスの前記時刻情報付与部によって時刻情報が付与された前記センサ情報を受信するセンサ情報受信部と、時刻を示すクロックと、GW時刻同期部と、受変電設備内時刻同期部とを備え、前記GW時刻同期部は、前記スマートゲートウェイのクロックによって示される時刻を、前記時刻配信サーバによって配信される標準時刻に同期させ、前記受変電設備内時刻同期部は、前記インターフェイスボックスのクロックによって示される時刻を、前記スマートゲートウェイのクロックによって示される時刻に同期させる、受変電設備保安システムである。
【0010】
本発明の一態様は、ネットワークを介して警報処理サーバ、センサ処理プラットフォームおよび時刻配信サーバに接続される受変電設備に備えられるスマートゲートウェイであって、前記警報処理サーバは、前記受変電設備から送信される警報に対応する処理を行い、前記センサ処理プラットフォームは、前記受変電設備から送信されるセンサ情報に対応する処理を行い、前記時刻配信サーバは、前記受変電設備、前記警報処理サーバおよび前記センサ処理プラットフォームに標準時刻を配信し、前記受変電設備には、複数のセンサと、インターフェイスボックスと、前記スマートゲートウェイとが備えられ、前記インターフェイスボックスは、時刻を示すクロックと、前記複数のセンサによる検出値を示す前記センサ情報に、前記クロックによって示される時刻を示す時刻情報を付与する時刻情報付与部とを備え、前記スマートゲートウェイは、前記インターフェイスボックスの前記時刻情報付与部によって時刻情報が付与された前記センサ情報を受信するセンサ情報受信部と、時刻を示すクロックと、GW時刻同期部と、受変電設備内時刻同期部とを備え、前記GW時刻同期部は、前記スマートゲートウェイのクロックによって示される時刻を、前記時刻配信サーバによって配信される標準時刻に同期させ、前記受変電設備内時刻同期部は、前記インターフェイスボックスのクロックによって示される時刻を、前記スマートゲートウェイのクロックによって示される時刻に同期させる、スマートゲートウェイである。
【0011】
本発明の一態様は、ネットワークを介して警報処理サーバ、センサ処理プラットフォームおよび時刻配信サーバに接続される受変電設備に備えられるスマートゲートウェイを用いる受変電設備内時刻同期方法であって、前記警報処理サーバは、前記受変電設備から送信される警報に対応する処理を行い、前記センサ処理プラットフォームは、前記受変電設備から送信されるセンサ情報に対応する処理を行い、前記時刻配信サーバは、前記受変電設備、前記警報処理サーバおよび前記センサ処理プラットフォームに標準時刻を配信し、前記受変電設備には、複数のセンサと、インターフェイスボックスと、前記スマートゲートウェイとが備えられ、前記インターフェイスボックスは、時刻を示すクロックと、前記複数のセンサによる検出値を示す前記センサ情報に、前記クロックによって示される時刻を示す時刻情報を付与する時刻情報付与部とを備え、前記スマートゲートウェイは、前記インターフェイスボックスの前記時刻情報付与部によって時刻情報が付与された前記センサ情報を受信するセンサ情報受信部と、時刻を示すクロックと、GW時刻同期部と、受変電設備内時刻同期部とを備え、前記GW時刻同期部が、前記スマートゲートウェイのクロックによって示される時刻を、前記時刻配信サーバによって配信される標準時刻に同期させるGW時刻同期ステップと、前記受変電設備内時刻同期部が、前記インターフェイスボックスのクロックによって示される時刻を、前記スマートゲートウェイのクロックによって示される時刻に同期させる受変電設備内時刻同期ステップとを備える、受変電設備内時刻同期方法である。
【0012】
本発明の一態様は、ネットワークを介して警報処理サーバ、センサ処理プラットフォームおよび時刻配信サーバに接続される受変電設備に備えられるスマートゲートウェイを構成するコンピュータに、GW時刻同期ステップと、受変電設備内時刻同期ステップとを実行させるためのプログラムであって、前記警報処理サーバは、前記受変電設備から送信される警報に対応する処理を行い、前記センサ処理プラットフォームは、前記受変電設備から送信されるセンサ情報に対応する処理を行い、前記時刻配信サーバは、前記受変電設備、前記警報処理サーバおよび前記センサ処理プラットフォームに標準時刻を配信し、前記受変電設備には、複数のセンサと、インターフェイスボックスと、前記スマートゲートウェイとが備えられ、前記インターフェイスボックスは、時刻を示すクロックと、前記複数のセンサによる検出値を示す前記センサ情報に、前記クロックによって示される時刻を示す時刻情報を付与する時刻情報付与部とを備え、前記スマートゲートウェイは、前記インターフェイスボックスの前記時刻情報付与部によって時刻情報が付与された前記センサ情報を受信するセンサ情報受信部と、時刻を示すクロックと、GW時刻同期部と、受変電設備内時刻同期部とを備え、前記GW時刻同期ステップでは、前記GW時刻同期部により、前記スマートゲートウェイのクロックによって示される時刻が、前記時刻配信サーバによって配信される標準時刻に同期させられ、前記受変電設備内時刻同期ステップでは、前記受変電設備内時刻同期部により、前記インターフェイスボックスのクロックによって示される時刻が、前記スマートゲートウェイのクロックによって示される時刻に同期させられる、プログラムである。
本発明の一態様は、ネットワークを介して時刻配信サーバに接続される受変電設備に備えられるスマートゲートウェイであって、前記受変電設備は、警報およびセンサ情報に対応する処理を行い、前記時刻配信サーバは、前記受変電設備に標準時刻を配信し、前記受変電設備には、少なくとも複数のセンサと、インターフェイスボックスと、前記スマートゲートウェイとが備えられ、前記インターフェイスボックスは、時刻を示すクロックと、前記複数のセンサによる検出値を示す前記センサ情報に、前記クロックによって示される時刻を示す時刻情報を付与する時刻情報付与部とを備え、前記スマートゲートウェイは、前記インターフェイスボックスの前記時刻情報付与部によって時刻情報が付与された前記センサ情報を受信するセンサ情報受信部と、時刻を示すクロックと、GW時刻同期部と、受変電設備内時刻同期部とを備え、前記GW時刻同期部は、前記スマートゲートウェイのクロックによって示される時刻を、前記時刻配信サーバによって配信される標準時刻に同期させ、前記受変電設備内時刻同期部は、前記インターフェイスボックスのクロックによって示される時刻を、前記スマートゲートウェイのクロックによって示される時刻に同期させる、スマートゲートウェイである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、時刻配信サーバの負荷の増加を抑制しつつ受変電設備内の時刻同期を行うことができる受変電設備保安システム、スマートゲートウェイ、受変電設備内時刻同期方法およびプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】第1実施形態の受変電設備保安システム1の一例を示す図である。
【
図2A】インターフェイスボックス133の一例を示す図である。
【
図2B】漏洩電流センサ132の一例を示す図である。
【
図2C】スマートゲートウェイ131のハードウェアの一例を示す図である。
【
図3】スマートゲートウェイ131の機能ブロックの一例を示す図である。
【
図4】時刻同期部131Aの機能ブロックの一例を示す図である。
【
図5】複数の受変電設備13、13-2、…、13-Nのそれぞれのスマートゲートウェイ131によって実行される処理の一例を説明するためのフローチャートである。
【
図6】時刻配信サーバ12Dと複数の受変電設備13、13-2、…、13-Nのそれぞれのスマートゲートウェイ131のGW時刻同期部131A2との間で実行される時刻同期処理の一例を説明するためのシーケンス図である。
【
図7】n個の環境センサ134のそれぞれによる検出値を示すセンサ情報(センサ情報1、センサ情報2、…、センサ情報n)に、インターフェイスボックス133のクロック133Bによって示される時刻(n個の環境センサ134のそれぞれによって検出が行われたサンプリング時刻)を示す時刻情報を付与することによって構成されるデータの一例を示す図である。
【
図8】第2実施形態の受変電設備保安システム1の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照し、本発明の受変電設備保安システム、スマートゲートウェイ、受変電設備内時刻同期方法およびプログラムの実施形態について説明する。
【0016】
<第1実施形態>
図1は第1実施形態の受変電設備保安システム1の一例を示す図である。
図1に示す例では、受変電設備保安システム1が、警報処理サーバ11と、センサ処理プラットフォーム12と、受変電設備13、13-2、…、13-Nとを備えている。
図1に示す例では、受変電設備保安システム1が、N(Nは3以上の任意の整数)個の受変電設備13、13-2、…、13-Nを備えているが、他の例では、受変電設備保安システム1が、1個または2個の受変電設備を備えていてもよい。
【0017】
図1に示す例では、警報処理サーバ11と、センサ処理プラットフォーム12と、受変電設備13、13-2、…、13-Nとが、ネットワークNW(例えばインターネット、WAN(Wide Area Network)等)を介して接続されている。
図1に示す例では、N個の受変電設備13、13-2、…、13-Nが同様に構成されているが、他の例では、N個の受変電設備13、13-2、…、13-Nの構成が互いに異なっていてもよい。
【0018】
図1に示す例では、複数の受変電設備13、13-2、…、13-Nのそれぞれが、スマートゲートウェイ131と、漏洩電流センサ132と、インターフェイスボックス133と、複数の環境センサ134とを備えている。スマートゲートウェイ131は、漏洩電流センサ132とインターフェイスボックス133とに接続されている。インターフェイスボックス133は、複数の環境センサ134に接続されている。
複数の環境センサ134には、例えば負荷電流を検出するセンサ、温度を検出するセンサ、湿度を検出するセンサ、電圧を検出するセンサ等が含まれる。各センサによる検出値(アナログデータ)は、インターフェイスボックス133に連続的に出力される。
インターフェイスボックス133は、複数の環境センサ134から出力された検出値(アナログデータ)のA/D変換などを行う。
【0019】
図2Aはインターフェイスボックス133の一例を示す図である。
図2Aに示す例では、インターフェイスボックス133が、A/D変換部133Aと、クロック133Bと、時刻情報付与部133Cとを備えている。
A/D変換部133Aは、複数の環境センサ134のそれぞれから出力されたアナログデータ(検出値)をデジタルデータに変換する。クロック133Bは、時刻を示す機能を有する。時刻情報付与部133Cは、複数の環境センサ134のそれぞれによる検出値を示すセンサ情報(詳細には、A/D変換部133AによってA/D変換が行われた後のデジタルデータ)に、クロック133Bによって示される時刻(詳細には、複数の環境センサ134のそれぞれによって検出が行われたサンプリング時刻)を示す時刻情報を付与する。例えば、時刻情報が付与されたセンサ情報を時系列に取得することによって、複数の環境センサ134のそれぞれによる検出値の時間変化を把握することができる。
【0020】
図1に示す例では、漏洩電流センサ132が、受変電設備13、13-2、…、13-N内における漏洩電流の検知などを行う。
【0021】
図2Bは漏洩電流センサ132の一例を示す図である。
図2Bに示す例では、漏洩電流センサ132が、漏洩電流検知部132Aと、クロック132Bと、漏洩電流情報生成部132Cとを備えている。
漏洩電流検知部132Aは、受変電設備13、13-2、…、13-N内の漏洩電流を検知する。クロック132Bは、時刻を示す機能を有する。漏洩電流情報生成部132Cは、漏洩電流検知部132Aによる漏洩電流の検知結果に、クロック132Bによって示される時刻(詳細には、漏洩電流検知部132Aによって漏洩電流が検知された時刻)を示す情報を付与したものである漏洩電流情報を生成する。例えば、クロック132Bによって示される時刻を示す情報が付与された漏洩電流情報を時系列に取得することによって、漏洩電流センサ132によって検知される漏洩電流の時間変化を把握することができる。
【0022】
図1に示す例では、漏洩電流センサ132が、漏洩電流情報生成部132Cによって生成された漏洩電流情報をスマートゲートウェイ131に送信(出力)する。
スマートゲートウェイ131は、受変電設備13、13-2、…、13-N内の情報(例えば上述した時刻情報が付与されたセンサ情報、漏洩電流情報など)、警報などを警報処理サーバ11またはセンサ処理プラットフォーム12にネットワークNWを介して送信する機能を有する。また、スマートゲートウェイ131は、ネットワークNWを介してセンサ処理プラットフォーム12から情報を受信する機能を有する。
警報処理サーバ11は、受変電設備13、13-2、…、13-Nのスマートゲートウェイ131から送信される警報に対応する処理を行う。警報処理サーバ11は、受変電設備13、13-2、…、13-Nのスマートゲートウェイ131から漏電に関する警報を受けた場合に、保安技術者に連絡する。
【0023】
図1に示す例では、センサ処理プラットフォーム12が、受変電設備13、13-2、…、13-NからネットワークNWを介して受信したセンサ情報の処理(つまり、受変電設備13、13-2、…、13-Nから送信されるセンサ情報に対応する処理)などを行う。センサ処理プラットフォーム12は、センサ処理部12Aと、AI(Artificial Intelligence)処理部12Bと、リアルタイムモニタ12Cと、時刻配信サーバ12Dとを備えている。
センサ処理部12Aは、受変電設備13、13-2、…、13-NからネットワークNWを介して受信したセンサ情報の記憶、処理、管理などを行う。
AI処理部12Bは、AIを用いることによって、受変電設備13、13-2、…、13-NからネットワークNWを介して受信したセンサ情報の傾向を分析する。また、AI処理部12Bは、受変電設備13、13-2、…、13-NからネットワークNWを介して受信したセンサ情報に異常がある場合に、アラートを発する。
リアルタイムモニタ12Cは、受変電設備13、13-2、…、13-NからネットワークNWを介して連続して受信するリアルタイム情報(例えばセンサ情報など)を特定の端末に送信する。
時刻配信サーバ12Dは、受変電設備13、13-2、…、13-Nおよび警報処理サーバ11にネットワークNWを介して標準時刻を配信する。また、時刻配信サーバ12Dは、センサ処理プラットフォーム12内の時刻配信サーバ12D以外の機能部(
図1に示す例では、センサ処理部12A、AI処理部12Bおよびリアルタイムモニタ12C)に標準時刻を配信する。
つまり、
図1に示す例では、標準時刻の配信を行うために、受変電設備13、13-2、…、13-Nと警報処理サーバ11とセンサ処理プラットフォーム12とがネットワークNWを介して接続されており、詳細には、標準時刻の配信を行うために、受変電設備13、13-2、…、13-Nと警報処理サーバ11とセンサ処理プラットフォーム12の時刻配信サーバ12DとがネットワークNWを介して接続されている。
【0024】
図2Cはスマートゲートウェイ131のハードウェアの一例を示す図である。
図3はスマートゲートウェイ131の機能ブロックの一例を示す図である。
【0025】
図2Cに示す例では、スマートゲートウェイ131が、プロセッサ1311と、主記憶装置1312と、通信インターフェイス1313と、補助記憶装置1314と、バス1315と、クロック131A3とを備えている。プロセッサ1311と、主記憶装置1312と、通信インターフェイス1313と、補助記憶装置1314と、クロック131A3とは、バス1315を介して接続されている。
プロセッサ1311は、例えばCPU(Central Processing Unit)等であり、演算、制御などの処理を行う。主記憶装置1312は、例えばRAM(Random Access Memory)等であり、プロセッサ1311が処理を行う時に使用される作業用領域として機能する。通信インターフェイス1313は、ネットワークNWを介して警報処理サーバ11、センサ処理プラットフォーム12等と通信を行う。また、通信インターフェイス1313は、漏洩電流センサ132およびインターフェイスボックス133との通信を行う。補助記憶装置1314は、例えばハードディスクドライブ(HDD:Hard Disk Drive)、ソリッドステートドライブ(SSD:Solid State Drive)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ(Flash Memory)等である。クロック131A3は、時刻を示す機能を有する。
【0026】
図3に示す例では、スマートゲートウェイ131が、時刻同期部131Aと、漏洩電流情報受信部131Bと、センサ情報受信部131Cと、情報記憶部131Dと、情報加工部131Eと、警報判断部131Fと、送信情報作成部131Gと、警報送信部131Hと、情報送信部131Iとを備えている。
時刻同期部131Aは、クロック131A3によって示される時刻を、センサ処理プラットフォーム12の時刻配信サーバ12Dによって配信される標準時刻に同期させる処理などを実行する。
【0027】
図4は時刻同期部131Aの機能ブロックの一例を示す図である。
図4に示す例では、時刻同期部131Aが、GW時刻同期指示部131A1と、GW時刻同期部131A2と、クロック131A3と、受変電設備内時刻同期部131A4と、受変電設備内時刻同期指示部131A5と、受変電設備内時刻同期要求部131A6とを備えている。
GW時刻同期部131A2は、クロック131A3によって示される時刻を、センサ処理プラットフォーム12の時刻配信サーバ12Dによって配信される標準時刻に同期させる処理を実行する。
GW時刻同期指示部131A1は、GW時刻同期部131A2による処理(つまり、GW時刻同期部131A2がクロック131A3によって示される時刻を時刻配信サーバ12Dによって配信される標準時刻に同期させる処理)の実行タイミングを、GW時刻同期部131A2に指示する。すなわち、GW時刻同期部131A2は、GW時刻同期指示部131A1によって指示されたタイミングで、クロック131A3によって示される時刻を時刻配信サーバ12Dによって配信される標準時刻に同期させる処理を実行する。
つまり、GW時刻同期部131A2による処理が実行された後、クロック131A3は、時刻配信サーバ12Dによって配信される標準時刻に同期している時刻を示す。
【0028】
図4に示す例では、受変電設備内時刻同期要求部131A6が、インターフェイスボックス133のクロック133Bによって示される時刻を、クロック131A3によって示される時刻に同期させる処理を実行することをインターフェイスボックス133および受変電設備内時刻同期部131A4に要求する。また、受変電設備内時刻同期要求部131A6は、漏洩電流センサ132のクロック132Bによって示される時刻を、クロック131A3によって示される時刻に同期させる処理を実行することを漏洩電流センサ132および受変電設備内時刻同期部131A4に要求する。
受変電設備内時刻同期指示部131A5は、受変電設備内時刻同期要求部131A6が上述した要求を行うように、受変電設備内時刻同期要求部131A6に指示する。
受変電設備内時刻同期部131A4は、受変電設備内時刻同期要求部131A6の要求に応じて、インターフェイスボックス133のクロック133Bによって示される時刻を、クロック131A3によって示される時刻に同期させる処理を実行する。また、受変電設備内時刻同期部131A4は、受変電設備内時刻同期要求部131A6の要求に応じて、漏洩電流センサ132のクロック132Bによって示される時刻を、クロック131A3によって示される時刻に同期させる処理を実行する。
【0029】
図3に示す例では、漏洩電流情報受信部131Bが、漏洩電流情報を漏洩電流センサ132から受信する。
上述したように、漏洩電流センサ132のクロック132Bが示す時刻(漏洩電流検知部132Aによって漏洩電流が検知された時刻)は、スマートゲートウェイ131のクロック131A3が示す時刻に同期させられ、スマートゲートウェイ131のクロック131A3が示す時刻は、時刻配信サーバ12Dによって配信される標準時刻に同期させられる。そのため、第1実施形態の受変電設備保安システム1では、漏洩電流センサ132のクロック132Bが示す時刻を、直接、時刻配信サーバ12Dによって配信される標準時刻に同期させる必要なく、漏洩電流情報受信部131Bが受信する漏洩電流情報に含まれる時刻情報が示す時刻を、時刻配信サーバ12Dによって配信される標準時刻に同期させることができる。
【0030】
図3に示す例では、センサ情報受信部131Cが、センサ情報をインターフェイスボックス133から受信する。詳細には、センサ情報受信部131Cは、インターフェイスボックス133の時刻情報付与部133Cによって時刻情報が付与されたセンサ情報(複数の環境センサ134のそれぞれからインターフェイスボックス133に出力されたアナログデータが、インターフェイスボックス133のA/D変換部133Aによってデジタルデータに変換されたもの)を受信する。
上述したように、インターフェイスボックス133の時刻情報付与部133Cによってセンサ情報に付与される時刻情報が示す時刻(インターフェイスボックス133のクロック133Bが示す時刻)は、スマートゲートウェイ131のクロック131A3が示す時刻に同期させられ、スマートゲートウェイ131のクロック131A3が示す時刻は、時刻配信サーバ12Dによって配信される標準時刻に同期させられる。そのため、第1実施形態の受変電設備保安システム1では、インターフェイスボックス133のクロック133Bが示す時刻を、直接、時刻配信サーバ12Dによって配信される標準時刻に同期させる必要なく、センサ情報受信部131Cが受信するセンサ情報に含まれる時刻情報が示す時刻を、時刻配信サーバ12Dによって配信される標準時刻に同期させることができる。
【0031】
図3に示す例では、情報記憶部131Dは、漏洩電流情報受信部131Bが受信した漏洩電流情報と、センサ情報受信部131Cが受信したセンサ情報とを記憶する。
情報加工部131Eは、漏洩電流情報受信部131Bが受信した漏洩電流情報を所定のタイミングで加工すると共に、センサ情報受信部131Cが受信したセンサ情報を所定のタイミングで加工する。情報記憶部131Dは、情報加工部131Eによって加工された漏洩電流情報およびセンサ情報を記憶する。
警報判断部131Fは、漏洩電流情報受信部131Bが漏洩電流センサ132から受信した漏洩電流情報と、所定の基準とに基づいて、警報を発報するか否かの判断を行う。
送信情報作成部131Gは、情報加工部131Eによって加工された漏洩電流情報およびセンサ情報を所定のタイミングで受変電設備13、13-2、…、13-Nの外部に送信するための送信情報を作成する。
警報送信部131Hは、警報判断部131Fが警報を発報すると判断した場合に、警報処理サーバ11に警報を発報する。
情報送信部131Iは、送信情報作成部131Gによって作成された送信情報(漏洩電流情報およびセンサ情報)をセンサ処理プラットフォーム12(のセンサ処理部12A、AI処理部12Bおよびリアルタイムモニタ12C)に送信する。
【0032】
図5は複数の受変電設備13、13-2、…、13-Nのそれぞれのスマートゲートウェイ131によって実行される処理の一例を説明するためのフローチャートである。
図5に示す例では、ステップS1において、スマートゲートウェイ131の例えば時刻同期部131Aが、スマートゲートウェイ131の起動時であるか否かを判定する。スマートゲートウェイ131の起動時である場合には、ステップS2に進む。スマートゲートウェイ131の起動時でない場合には、ステップS6に進む。
【0033】
ステップS2では、GW時刻同期部131A2が、クロック131A3によって示される時刻を、センサ処理プラットフォーム12の時刻配信サーバ12Dによって配信される標準時刻に同期させる処理を実行する。
次いで、ステップS3では、例えば時刻同期部131Aが、ステップS2において実行される同期処理がネットワークNWを介した同期処理である点(つまり、遅延時間を考慮する必要がある点)に鑑み、クロック131A3が示す時刻を調整する処理であるクロック調整を実行する。
次いで、ステップS4では、受変電設備内時刻同期要求部131A6が、インターフェイスボックス133のクロック133Bによって示される時刻を、クロック131A3によって示される時刻(つまり、ステップS2において標準時刻に同期させられた時刻)に同期させる処理を実行することをインターフェイスボックス133および受変電設備内時刻同期部131A4に要求する。また、ステップS4では、受変電設備内時刻同期要求部131A6が、漏洩電流センサ132のクロック132Bによって示される時刻を、クロック131A3によって示される時刻(つまり、ステップS2において標準時刻に同期させられた時刻)に同期させる処理を実行することを漏洩電流センサ132および受変電設備内時刻同期部131A4に要求する。
次いで、ステップS5では、受変電設備内時刻同期部131A4が、ステップS4における受変電設備内時刻同期要求部131A6の要求に応じて、インターフェイスボックス133のクロック133Bによって示される時刻を、クロック131A3によって示される時刻(つまり、ステップS2において標準時刻に同期させられた時刻)に同期させる処理を実行する。また、ステップS5では、受変電設備内時刻同期部131A4が、ステップS4における受変電設備内時刻同期要求部131A6の要求に応じて、漏洩電流センサ132のクロック132Bによって示される時刻を、クロック131A3によって示される時刻(つまり、ステップS2において標準時刻に同期させられた時刻)に同期させる処理を実行する。
次いで、ステップS1に戻る。
【0034】
すなわち、
図5に示す例では、スマートゲートウェイ131のクロック131A3によって示される時刻が、時刻配信サーバ12Dによって配信される標準時刻に同期させられた後に、受変電設備内時刻同期部131A4が、インターフェイスボックス133のクロック133Bによって示される時刻を、スマートゲートウェイ131のクロック131A3によって示される時刻に同期させる。
また、
図5に示す例では、スマートゲートウェイ131のクロック131A3によって示される時刻が、時刻配信サーバ12Dによって配信される標準時刻に同期させられた後に、受変電設備内時刻同期部131A4が、漏洩電流センサ132のクロック132Bによって示される時刻を、スマートゲートウェイ131のクロック131A3によって示される時刻に同期させる。
そのため、
図5に示す例では、時刻配信サーバ12Dの負荷の増加を抑制しつつ、受変電設備13、13-2、…、13-N内の時刻同期を行うことができる。詳細には、
図5に示す例では、スマートゲートウェイ131のクロック131A3と、インターフェイスボックス133のクロック133Bと、漏洩電流センサ132のクロック132Bとが、直接、時刻配信サーバ12Dによって配信される標準時刻に同期させられる場合よりも時刻配信サーバ12Dの負荷の増加を抑制しつつ、スマートゲートウェイ131のクロック131A3、インターフェイスボックス133のクロック133B、および、漏洩電流センサ132のクロック132Bのすべてを、時刻配信サーバ12Dによって配信される標準時刻に同期させることができる。
【0035】
図5に示す例では、ステップS6において、例えば時刻同期部131Aが、クロック131A3の確認を行う。詳細には、例えば時刻同期部131Aは、クロック131A3によって示される時刻を、センサ処理プラットフォーム12の時刻配信サーバ12Dによって配信される標準時刻に同期させる処理が前回実行された時刻を確認する。
次いで、ステップS7では、例えば時刻同期部131Aが、クロック131A3によって示される時刻を、センサ処理プラットフォーム12の時刻配信サーバ12Dによって配信される標準時刻に同期させる処理の実行タイミングであるか否かを判定する。クロック131A3によって示される時刻を、センサ処理プラットフォーム12の時刻配信サーバ12Dによって配信される標準時刻に同期させる処理の実行タイミングである場合(クロック131A3の時刻同期処理が前回実行されてから第1インターバル(例えば24時間)が経過した場合)には、ステップS8に進む。一方、クロック131A3によって示される時刻を、センサ処理プラットフォーム12の時刻配信サーバ12Dによって配信される標準時刻に同期させる処理の実行タイミングでない場合(クロック131A3の時刻同期処理が前回実行されてから第1インターバル(例えば24時間)が経過していない場合)には、ステップS10に進む。
【0036】
ステップS8では、GW時刻同期部131A2が、クロック131A3によって示される時刻を、センサ処理プラットフォーム12の時刻配信サーバ12Dによって配信される標準時刻に同期させる処理を実行する。
次いで、ステップS9では、例えば時刻同期部131Aが、ステップS8において実行される同期処理がネットワークNWを介した同期処理である点(つまり、遅延時間を考慮する必要がある点)に鑑み、クロック131A3が示す時刻を調整する処理であるクロック調整を実行する。
次いで、ステップS1に戻る。
なお、ステップS2においてGW時刻同期部131A2が時刻同期処理を実行する際、時刻配信サーバ12Dとの接続に失敗し通信接続できない場合がある。また、ステップS8においてGW時刻同期部131A2が時刻同期処理を実行する際、時刻配信サーバ12Dとの接続に失敗し通信接続できない場合がある。
このように、何らかの理由でGW時刻同期部131A2が時刻同期処理を失敗した場合、現在のスマートゲートウェイ131のクロック131A3の時刻のままでよいものとし、ステップS3やステップS9でのクロック調整は行わずにそれぞれ次の処理に進むようにしてもよい。
このときスマートゲートウェイ131のクロック131A3の時刻は標準時刻からずれている可能性もあるが、このようにすることで、少なくとも、受変電設備内の装置類同士の時刻同期は保証され、複数のセンサ情報の検出時刻の同期も保証される。よって、通信環境が不安定な状態であっても、受変電設備内外で発生した種々の事象とセンサ情報との関連性や、センサ情報同士の関連性を分析可能なセンサ情報の収集を継続することができる。
【0037】
ステップS10では、例えば時刻同期部131Aが、インターフェイスボックス133のクロック133Bによって示される時刻および漏洩電流センサ132のクロック132Bによって示される時刻を、クロック131A3によって示される時刻(つまり、ステップS2またはステップS8において標準時刻に同期させられた時刻)に同期させる処理の実行タイミングであるか否かを判定する。インターフェイスボックス133のクロック133Bによって示される時刻および漏洩電流センサ132のクロック132Bによって示される時刻を、クロック131A3によって示される時刻に同期させる処理の実行タイミングである場合(インターフェイスボックス133のクロック133Bおよび漏洩電流センサ132のクロック132Bの時刻同期処理が前回実行されてから第2インターバル(例えば10分)が経過した場合)には、ステップS11に進む。一方、インターフェイスボックス133のクロック133Bによって示される時刻および漏洩電流センサ132のクロック132Bによって示される時刻を、クロック131A3によって示される時刻に同期させる処理の実行タイミングでない場合(インターフェイスボックス133のクロック133Bおよび漏洩電流センサ132のクロック132Bの時刻同期処理が前回実行されてから第2インターバル(例えば10分)が経過していない場合)には、ステップS1に戻る。
【0038】
ステップS11では、受変電設備内時刻同期要求部131A6が、インターフェイスボックス133のクロック133Bによって示される時刻を、クロック131A3によって示される時刻(つまり、ステップS2またはステップS8において標準時刻に同期させられた時刻)に同期させる処理を実行することをインターフェイスボックス133および受変電設備内時刻同期部131A4に要求する。また、ステップS11では、受変電設備内時刻同期要求部131A6が、漏洩電流センサ132のクロック132Bによって示される時刻を、クロック131A3によって示される時刻(つまり、ステップS2またはステップS8において標準時刻に同期させられた時刻)に同期させる処理を実行することを漏洩電流センサ132および受変電設備内時刻同期部131A4に要求する。
次いで、ステップS12では、受変電設備内時刻同期部131A4が、ステップS11における受変電設備内時刻同期要求部131A6の要求に応じて、インターフェイスボックス133のクロック133Bによって示される時刻を、クロック131A3によって示される時刻(つまり、ステップS2またはステップS8において標準時刻に同期させられた時刻)に同期させる処理を実行する。また、ステップS12では、受変電設備内時刻同期部131A4が、ステップS11における受変電設備内時刻同期要求部131A6の要求に応じて、漏洩電流センサ132のクロック132Bによって示される時刻を、クロック131A3によって示される時刻(つまり、ステップS2またはステップS8において標準時刻に同期させられた時刻)に同期させる処理を実行する。
次いで、ステップS1に戻る。
【0039】
詳細には、
図1~
図5に示す例では、第1実施形態の受変電設備保安システム1が複数の受変電設備13、13-2、…、13-Nを備えており、複数の受変電設備13、13-2、…、13-Nのそれぞれが、時刻配信サーバ12Dによって配信される標準時刻に対する時刻同期処理が必要なスマートゲートウェイ131のクロック131A3を備えている。
そこで、
図1~
図5に示す例では、受変電設備13のスマートゲートウェイ131のクロック131A3が示す時刻と、受変電設備13-2のスマートゲートウェイ131のクロック131A3が示す時刻と、受変電設備13-Nのスマートゲートウェイ131のクロック131A3が示す時刻とが、同時に、時刻配信サーバ12Dによって配信される標準時刻に同期させられることに伴って時刻配信サーバ12Dの負荷が増加してしまうことを回避する対策が施されている。
【0040】
具体的には、
図1~
図5に示す例では、受変電設備13のスマートゲートウェイ131のGW時刻同期部131A2が、受変電設備13のスマートゲートウェイ131のクロック131A3によって示される時刻を、時刻配信サーバ12Dによって配信される標準時刻に同期させるタイミングと、受変電設備13-2のスマートゲートウェイ131のGW時刻同期部131A2が、受変電設備13-2のスマートゲートウェイ131のクロック131A3によって示される時刻を、時刻配信サーバ12Dによって配信される標準時刻に同期させるタイミングと、受変電設備13-Nのスマートゲートウェイ131のGW時刻同期部131A2が、受変電設備13-Nのスマートゲートウェイ131のクロック131A3によって示される時刻を、時刻配信サーバ12Dによって配信される標準時刻に同期させるタイミングとが異ならされている。
そのため、
図1~
図5に示す例では、複数の受変電設備13、13-2、…、13-Nのスマートゲートウェイ131のGW時刻同期部131A2が同時に時刻同期処理(
図5のステップS2またはステップS8)を実行することに伴って時刻配信サーバ12Dの負荷が増加してしまうことを回避することができる。
【0041】
複数の受変電設備13、13-2、…、13-Nのそれぞれのスマートゲートウェイ131のGW時刻同期部131A2は、例えば下記の手法を用いることによって、時刻同期処理(
図5のステップS2またはステップS8)の実行タイミングを互いに異ならせる。
複数の受変電設備13、13-2、…、13-Nのそれぞれのスマートゲートウェイ131のGW時刻同期部131A2は、時刻同期処理(
図5のステップS2またはステップS8)の実行タイミングを8:30~21:30の間で分散させる。
分散時間(分)=Random(IMEI(International Mobile Equipment Identifier)の逆読み値)×13×60
分散時刻=8:30+分散時間(分)
例えばIMEIが357959070098310である場合には、IMEIの逆読み値は13890070959753になる。
Random(x)はxをseedとして発生した乱数であり、Randomで算出される値は0~1未満の値とする。
上記の分散時間の計算により算出される小数点未満については破棄する。
【0042】
また、
図1~
図5に示す例では、受変電設備13のスマートゲートウェイ131のGW時刻同期部131A2が、
図5のステップS8を実行することにより、受変電設備13のスマートゲートウェイ131のクロック131A3によって示される時刻を、時刻配信サーバ12Dによって配信される標準時刻に同期させる処理を第1インターバル(例えば24時間間隔)で実行する。また、受変電設備13-2のスマートゲートウェイ131のGW時刻同期部131A2が、
図5のステップS8を実行することにより、受変電設備13-2のスマートゲートウェイ131のクロック131A3によって示される時刻を、時刻配信サーバ12Dによって配信される標準時刻に同期させる処理を第1インターバル(例えば24時間間隔)で実行する。更に、受変電設備13-Nのスマートゲートウェイ131のGW時刻同期部131A2が、
図5のステップS8を実行することにより、受変電設備13-Nのスマートゲートウェイ131のクロック131A3によって示される時刻を、時刻配信サーバ12Dによって配信される標準時刻に同期させる処理を第1インターバル(例えば24時間間隔)で実行する。
【0043】
具体的には、
図1~
図5に示す例では、受変電設備13のスマートゲートウェイ131のGW時刻同期部131A2が
図5のステップS8を実行するタイミングと、受変電設備13-2のスマートゲートウェイ131のGW時刻同期部131A2が
図5のステップS8を実行するタイミングと、受変電設備13-Nのスマートゲートウェイ131のGW時刻同期部131A2が
図5のステップS8を実行するタイミングとが異ならされている。
そのため、
図1~
図5に示す例では、複数の受変電設備13、13-2、…、13-Nのスマートゲートウェイ131のGW時刻同期部131A2が同時に
図5のステップS8を実行することに伴って時刻配信サーバ12Dの負荷が増加してしまうことを回避することができる。
【0044】
また、
図1~
図5に示す例では、受変電設備13のスマートゲートウェイ131の受変電設備内時刻同期部131A4が、受変電設備13のインターフェイスボックス133のクロック133Bによって示される時刻および受変電設備13の漏洩電流センサ132のクロック132Bによって示される時刻を、受変電設備13のスマートゲートウェイ131のクロック131A3によって示される時刻に同期させる処理(
図5のステップS12)を第1インターバル(例えば24時間間隔)より短い第2インターバル(例えば10分間隔)で実行する。また、受変電設備13-2のスマートゲートウェイ131の受変電設備内時刻同期部131A4が、受変電設備13-2のインターフェイスボックス133のクロック133Bによって示される時刻および受変電設備13-2の漏洩電流センサ132のクロック132Bによって示される時刻を、受変電設備13-2のスマートゲートウェイ131のクロック131A3によって示される時刻に同期させる処理(
図5のステップS12)を第1インターバル(例えば24時間間隔)より短い第2インターバル(例えば10分間隔)で実行する。更に、受変電設備13-Nのスマートゲートウェイ131の受変電設備内時刻同期部131A4が、受変電設備13-Nのインターフェイスボックス133のクロック133Bによって示される時刻および受変電設備13-Nの漏洩電流センサ132のクロック132Bによって示される時刻を、受変電設備13-Nのスマートゲートウェイ131のクロック131A3によって示される時刻に同期させる処理(
図5のステップS12)を第1インターバル(例えば24時間間隔)より短い第2インターバル(例えば10分間隔)で実行する。
そのため、
図1~
図5に示す例では、複数の受変電設備13、13-2、…、13-N内の各機器が時刻同期した状態を維持することができる。例えば複数の受変電設備13、13-2、…、13-N内の各機器がリブートを実施することによって各機器のクロックが示す時刻がずれてしまう場合であっても、第2インターバルで実行される同期処理によって、複数の受変電設備13、13-2、…、13-N内の各機器が時刻同期した状態を維持することができる。
【0045】
図6は時刻配信サーバ12Dと複数の受変電設備13、13-2、…、13-Nのそれぞれのスマートゲートウェイ131のGW時刻同期部131A2との間で実行される時刻同期処理の一例を説明するためのシーケンス図である。
図6に示す例では、複数の受変電設備13、13-2、…、13-Nのそれぞれのスマートゲートウェイ131のGW時刻同期部131A2が、クロック131A3によって示される時刻を、センサ処理プラットフォーム12の時刻配信サーバ12Dによって配信される標準時刻に同期させる処理を実行するために、例えば下記のURLが示すwebサイト等に記載されているNTP(Network Time Protocol)プロトコルが用いられる。具体的には、ネットワークNWを介する時刻配信サーバ12Dと複数の受変電設備13、13-2、…、13-Nのそれぞれとの間の往復遅延時間を考慮した時刻調整(
図5のステップS3およびステップS6の処理)が行われる。
https://milestone-of-se.nesuke.com/l7protocol/ntp/ntp-summary/
【0046】
一方、複数の受変電設備13、13-2、…、13-Nのそれぞれの受変電設備内時刻同期部131A4による、インターフェイスボックス133のクロック133Bによって示される時刻を、スマートゲートウェイ131のクロック131A3によって示される時刻に同期させる処理では、スマートゲートウェイ131とインターフェイスボックス133との間の往復遅延時間を考慮した時刻調整が行われない。また、複数の受変電設備13、13-2、…、13-Nのそれぞれの受変電設備内時刻同期部131A4による、漏洩電流センサ132のクロック132Bによって示される時刻を、スマートゲートウェイ131のクロック131A3によって示される時刻に同期させる処理では、スマートゲートウェイ131と漏洩電流センサ132との間の往復遅延時間を考慮した時刻調整が行われない。
複数の受変電設備13、13-2、…、13-Nのそれぞれの内部のスマートゲートウェイ131とインターフェイスボックス133との間の通信(つまり、ネットワークNWを介さない通信)およびスマートゲートウェイ131と漏洩電流センサ132との間の通信(つまり、ネットワークNWを介さない通信)における往復遅延時間は、時刻配信サーバ12Dとスマートゲートウェイ131との間の通信(つまり、ネットワークNWを介する通信)における往復遅延時間に比べて格段に短いからである。
他の例では、複数の受変電設備13、13-2、…、13-Nのそれぞれの受変電設備内時刻同期部131A4による、漏洩電流センサ132のクロック132Bによって示される時刻を、スマートゲートウェイ131のクロック131A3によって示される時刻に同期させる処理において、スマートゲートウェイ131と漏洩電流センサ132との間の往復遅延時間を考慮した時刻調整が行われてもよい。
【0047】
図7はn個の環境センサ134のそれぞれによる検出値を示すセンサ情報(センサ情報1、センサ情報2、…、センサ情報n)に、インターフェイスボックス133のクロック133Bによって示される時刻(n個の環境センサ134のそれぞれによって検出が行われたサンプリング時刻)を示す時刻情報を付与することによって構成されるデータの一例を示す図である。
【0048】
上述したように、
図5のステップS5またはステップS12が実行されることによって、
図7に示すサンプリング時刻を刻むインターフェイスボックス133のクロック133Bは、スマートゲートウェイ131のクロック131A3に同期させられている。インターフェイスボックス133は、このサンプリング時刻に取得したセンサ情報(センサ情報1、センサ情報2、…、センサ情報n)をまとめて1つの電文として、スマートゲートウェイ131に送信する。
スマートゲートウェイ131のリブート、スマートゲートウェイ131とサーバ(警報処理サーバ11、時刻配信サーバ12Dなど)間の通信切断等、種々要因から、インターフェイスボックス133がスマートゲートウェイ131にセンサデータを送信できないことがあると考えられる。
そのため、
図1~
図7に示す例では、インターフェイスボックス133が、
図7に示すデータを最大10分(上述した10分間隔に対応する。)保持し、スマートゲートウェイ131が正常に戻った後、
図7に示すデータ(つまり、まとめられたデータ)を送信する。
複数の環境センサ134のセンサ同士の相関を取るためには0.1秒単位でサンプリング時刻が合っている必要がある。よって、インターフェイスボックス133において保持されるデータ(
図7に示すデータ)のサンプリング時刻については、各受変電設備13、13-2、…、13-Nの内部で正しく同期している必要がある(つまり、各受変電設備13、13-2、…、13-Nの内部の複数の機器のそれぞれが同期している必要がある)ため、頻繁に(例えば10分間隔で)同期処理(
図5のステップS5およびステップS12)が行われる。
【0049】
上述したように、第1実施形態の受変電設備保安システム1では、
図5のステップS2またはステップS8においてスマートゲートウェイ131のクロック131A3が示す時刻が、センサ処理プラットフォーム12の時刻配信サーバ12Dによって配信される標準時刻に同期させられた後、
図5のステップS5またはステップS12において各受変電設備13、13-2、…、13-Nの内部のクロック(インターフェイスボックス133のクロック133B、漏洩電流センサ132のクロック132B等)が、スマートゲートウェイ131のクロック131A3に高頻度で同期させられる。そのため、第1実施形態の受変電設備保安システム1では、時刻配信サーバ12Dの負荷の増加を抑制しつつ、各受変電設備13、13-2、…、13-Nの内部のクロックが示す時刻を正確に同期させることができる。
また、第1実施形態の受変電設備保安システム1では、各受変電設備13、13-2、…、13-Nと警報処理サーバ11またはセンサ処理プラットフォーム12との間のネットワークNWが切れても、各受変電設備13、13-2、…、13-N内の時刻同期を保持することができる。
第1実施形態の受変電設備保安システム1の一例では、色々な事情で各受変電設備13、13-2、…、13-Nから警報処理サーバ11またはセンサ処理プラットフォーム12にデータを送信できない場合に、各受変電設備13、13-2、…、13-Nのスマートゲートウェイ131は、そのデータを例えば1週間保持する。その1週間の間、各受変電設備13、13-2、…、13-N内の時刻同期が保持され、そのデータに対して同期した時刻を示す情報が付与されているため、各受変電設備13、13-2、…、13-Nのスマートゲートウェイ131がそのデータを後から警報処理サーバ11またはセンサ処理プラットフォーム12にデータを送信しても問題は生じない。
【0050】
<第2実施形態>
以下、本発明の受変電設備保安システム、スマートゲートウェイ、受変電設備内時刻同期方法およびプログラムの第2実施形態について説明する。
第2実施形態の受変電設備保安システム1は、後述する点を除き、上述した第1実施形態の受変電設備保安システム1と同様に構成されている。従って、第2実施形態の受変電設備保安システム1によれば、後述する点を除き、上述した第1実施形態の受変電設備保安システム1と同様の効果を奏することができる。
【0051】
図8は第2実施形態の受変電設備保安システム1の一例を示す図である。
図8に示す例では、受変電設備保安システム1が、警報処理サーバ11と、センサ処理プラットフォーム12と、時刻配信サーバ12Dと、受変電設備13、13-2、…、13-Nとを備えている。警報処理サーバ11と、センサ処理プラットフォーム12と、時刻配信サーバ12Dと、受変電設備13、13-2、…、13-Nとは、ネットワークNWを介して接続されている。
つまり、
図8に示す例では、センサ処理プラットフォーム12が、センサ処理部12AとAI処理部12Bとリアルタイムモニタ12Cとを備えており、時刻配信サーバ12Dを備えていない。つまり、時刻配信サーバ12Dがセンサ処理プラットフォーム12とは別個に設けられている。受変電設備13、13-2、…、13-Nと警報処理サーバ11とセンサ処理プラットフォーム12と時刻配信サーバ12DとがネットワークNWを介して接続されており、時刻配信サーバ12Dは、受変電設備13、13-2、…、13-N、警報処理サーバ11およびセンサ処理プラットフォーム12にネットワークNWを介して標準時刻を配信する。
【0052】
<第3実施形態>
以下、本発明の受変電設備保安システム、スマートゲートウェイ、受変電設備内時刻同期方法およびプログラムの第3実施形態について説明する。
第3実施形態の受変電設備保安システム1は、後述する点を除き、上述した第2実施形態の受変電設備保安システム1と同様に構成されている。従って、第3実施形態の受変電設備保安システム1によれば、後述する点を除き、上述した第2実施形態の受変電設備保安システム1と同様の効果を奏することができる。
【0053】
上述したように、
図8に示す例では、受変電設備保安システム1が、警報処理サーバ11と、センサ処理プラットフォーム12と、時刻配信サーバ12Dと、受変電設備13、13-2、…、13-Nとを備えている。
一方、第3実施形態の受変電設備保安システム1の一例では、受変電設備保安システム1が、時刻配信サーバ12Dと、受変電設備13、13-2、…、13-Nとを備えており、
図8に示す警報処理サーバ11の機能と、センサ処理プラットフォーム12の機能とが、受変電設備13、13-2、…、13-Nに組み込まれている。「
図8に示す警報処理サーバ11の機能と、センサ処理プラットフォーム12の機能とが、受変電設備13、13-2、…、13-Nに組み込まれている」態様には、例えば「警報処理サーバ11の機能およびセンサ処理プラットフォーム12の機能が1つのサーバとして実現されている」態様、「警報処理サーバ11の機能およびセンサ処理プラットフォーム12の機能がさらに細分化され分散されたサーバで実現されている」態様などが含まれる。要するに、第3実施形態の受変電設備保安システム1の一例では、警報処理サーバ11およびセンサ処理プラットフォーム12の存在の仕方に関わらず、受変電設備内の時刻同期を実現する。
第3実施形態の受変電設備保安システム1の一例では、時刻配信サーバ12Dが、ネットワークNWを介して受変電設備13、13-2、…、13-Nに接続されている。受変電設備13、13-2、…、13-Nのそれぞれは、警報およびセンサ情報に対応する処理を行う。
【0054】
以上、本発明を実施するための形態について実施形態を用いて説明したが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形及び置換を加えることができる。上述した各実施形態および各例に記載の構成を組み合わせてもよい。
【0055】
なお、上述した実施形態における受変電設備保安システム1が備える各部の機能全体あるいはその一部は、これらの機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって実現しても良い。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶部のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでも良い。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであっても良い。
【符号の説明】
【0056】
1…受変電設備保安システム、11…警報処理サーバ、12…センサ処理プラットフォーム、12A…センサ処理部、12B…AI処理部、12C…リアルタイムモニタ、12D…時刻配信サーバ、13、13-2、13-N…受変電設備、131…スマートゲートウェイ、1311…プロセッサ、1312…主記憶装置、1313…通信インターフェイス、1314…補助記憶装置、1315…バス、131A…時刻同期部、131A1…GW時刻同期指示部、131A2…GW時刻同期部、131A3…クロック、131A4…受変電設備内時刻同期部、131A5…受変電設備内時刻同期指示部、131A6…受変電設備内時刻同期要求部、131B…漏洩電流情報受信部、131C…センサ情報受信部、131D…情報記憶部、131E…情報加工部、131F…警報判断部、131G…送信情報作成部、131H…警報送信部、131I…情報送信部、132…漏洩電流センサ、132A…漏洩電流検知部、132B…クロック、132C…漏洩電流情報生成部、133…インターフェイスボックス、133A…A/D変換部、133B…クロック、133C…時刻情報付与部、134…環境センサ、NW…ネットワーク
【要約】
【課題】時刻配信サーバの負荷の増加を抑制しつつ受変電設備内の時刻同期を行う。
【解決手段】受変電設備と警報処理サーバと時刻配信サーバとがネットワークを介して接続され、受変電設備は、複数のセンサとインターフェイス(IF)ボックスとスマートゲートウェイ(GW)とを備え、IFボックスは、クロックと、複数のセンサによる検出値を示すセンサ情報にクロックによって示される時刻を示す時刻情報を付与する時刻情報付与部とを備え、スマートGWは、時刻情報が付与されたセンサ情報を受信するセンサ情報受信部と、クロックと、GW時刻同期部と、受変電設備内時刻同期部とを備え、GW時刻同期部が、スマートGWのクロックによって示される時刻を時刻配信サーバによって配信される標準時刻に同期させ、受変電設備内時刻同期部が、IFボックスのクロックによって示される時刻をスマートGWのクロックによって示される時刻に同期させる。
【選択図】
図1