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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-18
(45)【発行日】2023-05-26
(54)【発明の名称】二層冷凍拡張バルーン
(51)【国際特許分類】
   A61B 18/02 20060101AFI20230519BHJP
【FI】
A61B18/02
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2022500155
(86)(22)【出願日】2021-02-24
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-20
(86)【国際出願番号】 CN2021077683
(87)【国際公開番号】W WO2021248939
(87)【国際公開日】2021-12-16
【審査請求日】2022-01-12
(31)【優先権主張番号】202010520694.7
(32)【優先日】2020-06-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202021050075.8
(32)【優先日】2020-06-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】520393521
【氏名又は名称】上海導向医療系統有限公司
【氏名又は名称原語表記】ACCU TARGET MEDIPHARMA (SHANGHAI) CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】Room 2001, Building 2, 501 Newton Road, China (Shanghai) Pilot Free Trade Zone Shanghai 200000 China
(74)【代理人】
【識別番号】100142804
【弁理士】
【氏名又は名称】大上 寛
(72)【発明者】
【氏名】楊遅
(72)【発明者】
【氏名】常兆華
【審査官】鈴木 敏史
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第6517533(US,B1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0069900(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2004/0243119(US,A1)
【文献】特表2005-503241(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0190751(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0036057(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 18/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
拡張バルーン部及び冷凍バルーン部を有し、
前記拡張バルーン部は、拡張バルーン、アウターカテーテル、及び液体充填キャビティを有し、
前記液体充填キャビティは、液体充填室を有し、
前記拡張バルーンは、前記アウターカテーテルを介して前記液体充填室と連通され、
前記冷凍バルーン部は、冷凍バルーン、インナーカテーテル、分流キャビティ、吸気管、及び気体充填部を有し、
前記冷凍バルーンは、前記拡張バルーン内に位置し、
前記インナーカテーテルは、前記アウターカテーテル内に位置し、
前記分流キャビティは、還気室を有し、
前記冷凍バルーンは、前記インナーカテーテルを介して前記還気室と連通され、
前記分流キャビティは、還気通路、液体充填通路、及びコック室をさらに有し、
前記還気通路は、その一端が前記還気室と連通され、もう一端が前記コック室と連通され、
前記液体充填通路は、その一端が前記コック室と連通され、もう一端が前記液体充填室と連通され、
前記コック室は、さらに還気継ぎ手と連通され、調整構造を有し、
前記還気継ぎ手は、液体充填ガンを接続することで、前記コック室への液体の充填及び吸引による液体の除去を可能とするものであり、
前記還気継ぎ手は、さらに、冷媒ガスの排出に用いられるものであり、
前記調整構造は、前記還気通路と前記還気継ぎ手との間の開閉、前記還気継ぎ手と前記液体充填通路との間の開閉、及び前記還気通路と前記液体充填通路との間の開閉のために用いられ、
前記分流キャビティは、吸気室をさらに有し、
前記吸気管は、前記冷凍バルーン、インナーカテーテル、及び分流キャビティに挿設され、その一端が前記冷凍バルーン内に位置し、もう一端が前記吸気室と連通され、
前記吸気室は、さらに前記気体充填部と連通され、
前記気体充填部は、前記吸気室及び前記吸気管を介して前記冷凍バルーン内に冷媒ガスを導入することを特徴とする、
二層冷凍拡張バルーン。
【請求項2】
前記液体充填キャビティは、前記分流キャビティにおける前記インナーカテーテルに近い一端に設けられ、
前記分流キャビティは、前記インナーカテーテルに近い一端に前記還気室を有し、
前記インナーカテーテルは、前記アウターカテーテルから伸び出て前記液体充填室を通り抜けて前記還気室と連通されることを特徴とする、
請求項1に記載の二層冷凍拡張バルーン。
【請求項3】
前記吸気室は、前記分流キャビティにおける前記インナーカテーテルから遠い一端に設けられ、
前記吸気室と前記還気室との間に吸気孔を有し、
前記吸気管のもう一端は、インナーカテーテルから伸び出て順に前記液体充填室、前記還気室後を通り抜けて前記吸気孔内に密封接続されることを特徴とする、
請求項2に記載の二層冷凍拡張バルーン。
【請求項4】
前記吸気管は、前記冷凍バルーン内に位置する一端がスパイラル吸気管に接続され、
前記スパイラル吸気管は、空気排出孔を有することを特徴とする、
請求項1又は3に記載の二層冷凍拡張バルーン。
【請求項5】
前記スパイラル吸気管は、軸方向及び径方向に沿って均等に複数の前記空気排出孔を有することを特徴とする、
請求項4に記載の二層冷凍拡張バルーン。
【請求項6】
前記気体充填部は、シリンダー及びシリンダー開放部を有し、
前記シリンダーは、前記シリンダー開放部を介して前記吸気室に接続されることを特徴とする、
請求項1又は3に記載の二層冷凍拡張バルーン。
【請求項7】
前記シリンダー開放部は、バルブ本体、中空押し針、及び押し棒部を有し、
前記バルブ本体は、その一端が前記吸気室に接続され、もう一端が前記シリンダーのシリンダー開口部に接続され、
前記中空押し針は、前記バルブ本体内に移動可能に設けられ、その一端が前記吸気室内に位置し、もう一端が前記シリンダー開口部内の密封機構に当接し、
前記押し棒部は、その一端が前記中空押し針に接続され、前記中空押し針を軸方向に動かして前記密封機構に押し開けて前記シリンダー内に入れることを特徴とする、
請求項6に記載の二層冷凍拡張バルーン。
【請求項8】
前記気体充填部は、ケース部を介して前記分流キャビティに設けられることを特徴とする、
請求項7に記載の二層冷凍拡張バルーン。
【請求項9】
前記ケース部は、対称に前記気体充填部を径方向に覆う左ケース及び右ケースと、前記気体充填部における分流キャビティから遠い一端に覆設される後蓋とを有し、
前記左ケース及び右ケースは、その一端が前記分流キャビティに接続され、もう一端が前記後蓋に接続されることを特徴とする、
請求項8に記載の二層冷凍拡張バルーン。
【請求項10】
前記左ケース及び右ケースは、その内側壁に前記シリンダー開放部に引っかかる位置制限板を有することを特徴とする、
請求項9に記載の二層冷凍拡張バルーン。
【請求項11】
前記後蓋は、排気孔を有することを特徴とする、
請求項9に記載の二層冷凍拡張バルーン。
【請求項12】
前記調整構造は、三方コックバルブであり、前記還気通路と前記還気継ぎ手との間の開閉、及び前記還気継ぎ手と前記液体充填通路との間の開閉のために用いられることを特徴とする、
請求項1に記載の二層冷凍拡張バルーン。
【請求項13】
前記コックプランジャーは、さらに前記コックプランジャーを回転させるための把手に接続され、
前記把手は、指示標識を有し、
前記指示標識は、前記還気通路と前記還気継ぎ手との間の連通、前記還気継ぎ手と前記液体充填通路との間の連通、及び前記還気通路と前記液体充填通路との間の連通を指示するために用いられることを特徴とする、
請求項12に記載の二層冷凍拡張バルーン。
【請求項14】
前記分流キャビティは、減圧通路をさらに有し、
前記減圧通路は、その一端が前記還気室と連通され、もう一端が前記分流キャビティから伸び出て且つ安全弁を有することを特徴とする、
請求項1に記載の二層冷凍拡張バルーン。
【請求項15】
ガイドワイヤー管をさらに有し、
前記ガイドワイヤー管は、前記冷凍バルーン、インナーカテーテル、液体充填室、及び還気室内に挿設され、その一端が前記冷凍バルーン内に入れて前記冷凍バルーン及び前記拡張バルーンの前端に接続され、もう一端が前記分流キャビティのガイドワイヤー孔から引き出されることを特徴とする、
請求項1に記載の二層冷凍拡張バルーン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療機器分野、特に二層冷凍拡張バルーンに関する。
【背景技術】
【0002】
気道、食道、血管が狭くなる原因が様々あり、それに関する管腔狭窄の治療方法としては、バルーン拡張、ステント、冷凍アブレーション、及び熱アブレーション等が挙げられる。バルーン拡張及びステントによる治療は、狭窄箇所に対して物理的拡張を行う。冷凍アブレーション及び熱アブレーションは、狭窄箇所の病変に対する治療である。気道狭窄を例として説明すると、肉芽組織の過形成及び瘢痕拘縮の形成を減少して長期的な合併症を避けるために、臨床では局所組織への刺激が少ない治療法を採用すべきである。局所組織への刺激が最も強いのは金属ステントで、次はシリコンステント、及びレーザー、電気メス等の熱アブレーションで、さらに次はバルーン拡張で、最も軽いのは冷凍治療である。熱アブレーションは、治療中気道に広範囲の損傷を引き起こしやすく、肉芽組織の過形成及び瘢痕の形成となり、合併症及び再発の可能性が高い。バルーン拡張治療は、操作が簡単で、長期的な合併症が少ないが、効果が長続きできず、再発し易い。熱アブレーションと比べると、冷凍治療は、肉芽組織の過形成を促進せず、軟骨損傷を引き起こす可能性が低いため、気道壁の損傷を避けて気道の軟化、崩壊等の合併症が少なく、様々な狭窄症に適用する簡単、安全な治療方法である。しかしながら、従来の気道冷凍医療製品は、単一箇所に対する治療に限定され、治療面積が大きい気道狭窄の場合、手術が煩雑で時間がかかる。
【0003】
単一の治療方法が満足のいく効果を得られない場合が多いため、臨床では複数の方法を組み合わせる必要がある。例えば、バルーン拡張と冷凍治療を組み合わせて、バルーンを拡張してから局部冷凍治療を行うことで、気道損傷箇所のコラーゲン沈着及び瘢痕の形成を減少できる。しなしながら、前記治療方法は、順に拡張バルーン及びフレキシブル冷凍プローブ(単一箇所に対する治療)を利用して行うため、手術が煩雑で、冷凍治療の範囲が不足している。そのため、1つの機器を利用してバルーン拡張及びバルーン冷凍を行うと、臨床価値を有する。
【0004】
臨床では、気体より液体の方が拡張が早くて安全であるため、一般的には生理食塩水を使用してバルーンを拡張する。液体がほとんど圧縮されないのに対して、気体が圧縮性を有し、気体を利用してバルーンを拡張すると、注射回数が多く時間が長くなる。また、バルーンの気体が漏れると、臓器の膨張、ガス塞栓症又は窒息を引き起こす可能性があり、患者の生命を脅かす危険性もある。それに対し、生理食塩水の漏洩が上記リスクがない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の拡張バルーンは、冷凍機能を有せず、単一の狭窄箇所に対して臨時的な拡張を行うしかできず、病変の治療又は合併症の抑制を達成できない。従来の冷凍バルーンは、冷凍機能しか有せず、高圧拡張を実現できない。従来の拡張バルーンに簡単な冷凍構造を追加すると、バルーンに液体を充填し、バルーンを拡張してから液体を除去した後、バルーン及び吸気管内に残された液体は、冷凍する時に氷詰まりを引き起こし、冷凍効果不良の原因になる(残留液体は一部の冷却能力を吸収するからである)。
【課題を解決するための手段】
【0006】
従来技術の課題に対して、本発明は、二層冷凍拡張バルーンを提供する。前記二層冷凍拡張バルーンは、拡張バルーン部及び冷凍バルーン部を有する。前記拡張バルーン部は、拡張バルーン、アウターカテーテル、及び液体充填キャビティを有する。前記液体充填キャビティは、液体充填室を有する。前記拡張バルーンは、前記アウターカテーテルを介して前記液体充填室と連通される。前記冷凍バルーン部は、冷凍バルーン、インナーカテーテル、分流キャビティ、吸気管、及び気体充填部を有する。前記冷凍バルーンは、前記拡張バルーン内に位置する。前記インナーカテーテルは、前記アウターカテーテル内に位置する。前記分流キャビティは、還気室を有する。前記冷凍バルーンは、前記インナーカテーテルを介して前記還気室と連通される。前記分流キャビティは、還気通路、液体充填通路、及びコック室をさらに有する。前記還気通路は、その一端が前記還気室と連通され、もう一端が前記コック室と連通される。前記液体充填通路は、その一端が前記コック室と連通され、もう一端が前記液体充填室と連通される。前記コック室は、さらに還気継ぎ手と連通され、調整構造を有する。前記調整構造は、前記還気通路と前記還気継ぎ手との間の開閉、前記還気継ぎ手と前記液体充填通路との間の開閉、及び前記還気通路と前記液体充填通路との間の開閉のために用いられる。前記分流キャビティは、吸気室をさらに有する。前記吸気管は、前記冷凍バルーン、インナーカテーテル、及び分流キャビティに挿設され、その一端が前記冷凍バルーン内に位置し、もう一端が前記吸気室と連通される。前記吸気室は、さらに前記気体充填部と連通される。前記気体充填部は、前記吸気室及び前記吸気管を介して前記冷凍バルーン内に冷媒ガスを導入する。
【0007】
好ましくは、前記液体充填キャビティは、前記分流キャビティにおける前記インナーカテーテルに近い一端に設けられる。前記分流キャビティは、前記インナーカテーテルに近い一端に前記還気室を有する。前記インナーカテーテルは、前記アウターカテーテルから伸び出て前記液体充填室を通り抜けて前記還気室と連通される。
【0008】
好ましくは、前記吸気室は、前記分流キャビティにおける前記インナーカテーテルから遠い一端に設けられる。前記吸気室と前記還気室との間に吸気孔を有する。前記吸気管のもう一端は、インナーカテーテルから伸び出て順に前記液体充填室、前記還気室後を通り抜けて前記吸気孔内に密封接続される。
【0009】
好ましくは、前記吸気管は、前記冷凍バルーン内に位置する一端がスパイラル吸気管に接続される。前記スパイラル吸気管は、空気排出孔を有する。
【0010】
好ましくは、前記スパイラル吸気管は、軸方向及び径方向に沿って均等に複数の前記空気排出孔を有する。
【0011】
好ましくは、前記気体充填部は、シリンダー及びシリンダー開放部を有する。前記シリンダーは、前記シリンダー開放部を介して前記吸気室に接続される。
【0012】
好ましくは、前記シリンダー開放部は、バルブ本体、中空押し針、及び押し棒部を有する。前記バルブ本体は、その一端が前記吸気室に接続され、もう一端が前記シリンダーのシリンダー開口部に接続される。前記中空押し針は、前記バルブ本体内に移動可能に設けられ、その一端が前記吸気室内に位置し、もう一端が前記シリンダー開口部内の密封機構に当接する。前記押し棒部は、その一端が前記中空押し針に接続され、前記中空押し針を軸方向に動かして前記密封機構に押し開けて前記シリンダー内に入れる。
【0013】
好ましくは、前記気体充填部は、ケース部を介して前記分流キャビティに設けられる。
【0014】
好ましくは、前記ケース部は、対称に前記気体充填部を径方向に覆う左ケース及び右ケースと、前記気体充填部における分流キャビティから遠い一端に覆設される後蓋とを有する。前記左ケース及び右ケースは、その一端が前記分流キャビティに接続され、もう一端が前記後蓋に接続される。
【0015】
好ましくは、前記左ケース及び右ケースは、その内側壁に前記シリンダー開放部に引っかかる位置制限板を有する。
【0016】
好ましくは、前記後蓋は、排気孔を有する。
【0017】
好ましくは、前記調整構造は、三方コックバルブであり、前記還気通路と前記還気継ぎ手との間の開閉、及び前記還気継ぎ手と前記液体充填通路との間の開閉のために用いられる。
好ましくは、前記コックプランジャーは、さらに前記コックプランジャーを回転させるための把手に接続される。前記把手は、指示標識を有する。前記指示標識は、前記還気通路と前記還気継ぎ手との間の連通、前記還気継ぎ手と前記液体充填通路との間の連通、及び前記還気通路と前記液体充填通路との間の連通を指示するために用いられる。
【0018】
好ましくは、前記分流キャビティは、減圧通路をさらに有する。前記減圧通路は、その一端が前記還気室と連通され、もう一端が前記分流キャビティから伸び出て且つ安全弁を有する。
【0019】
好ましくは、ガイドワイヤー管をさらに有する。前記ガイドワイヤー管は、前記冷凍バルーン、インナーカテーテル、液体充填室、及び還気室内に挿設され、その一端が前記冷凍バルーン内に入れて前記冷凍バルーン及び前記拡張バルーンの前端に接続され、もう一端が前記分流キャビティのガイドワイヤー孔から引き出される。
【発明の効果】
【0020】
従来技術と比べて、本発明は以下の効果を有する。
本発明の二層冷凍拡張バルーンは、バルーン拡張及び冷凍治療を同時に行うことができる。外層の拡張バルーン及び内層の冷凍バルーンという二層バルーン構造によれば、液体及び冷媒の空間が分けられる。1つの製品で安全、有効に液体充填拡張及び冷凍治療を行うことができる。拡張液体と冷媒ガスとの混合による詰めり又は冷凍効果低下を避けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
本発明の上記及び他の特徴と利点は、添付の図面と併せて以下の詳細な説明を通じ、より明確に理解することができる。
図1】本発明の二層冷凍拡張バルーンの分解模式図である。
図2】本発明の拡張バルーン部の構造模式図である。
図3】本発明の冷凍バルーン部の軸方向の模式図である。
図4】本発明の冷凍バルーン部の軸方向の断面A-Aの模式図である。
図5】本発明の冷凍バルーン部の軸方向の断面B-Bの模式図である。
図6】本発明の二層冷凍拡張バルーンの吸引モードでの軸方向の模式図である。
図7】本発明の二層冷凍拡張バルーンの吸引モードでの軸方向の断面C-Cの模式図である。
図8】本発明の二層冷凍拡張バルーンの吸引モードでの軸方向の断面D-Dの模式図である。
図9】本発明の二層冷凍拡張バルーンの吸引モードでの径方向の断面E-Eの模式図である。
図10】本発明の二層冷凍拡張バルーンの吸引モードでの三方コックバルブの模式図である。
図11】本発明の二層冷凍拡張バルーンの拡張モードでの軸方向の断面模式図である。
図12】本発明の二層冷凍拡張バルーンの拡張モードでの三方コックバルブの模式図である。
図13】本発明の二層冷凍拡張バルーンの冷凍モードでの軸方向の断面模式図である。
図14】本発明の二層冷凍拡張バルーンの冷凍モードでの三方コックバルブの模式図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を開示しながら本発明の実施例を詳しく説明するが、実施例があくまで例示であり、種々の変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。図面において、層及び領域のサイズ及び相対的なサイズは、説明の明確性を期するために誇張されたものである。
【0023】
本発明の実施例において、全ての方向用語(例えば、上、下、左、右、前、後……)は、特定の姿勢(例えば、図面に示す姿勢)での各部品の間の相対的な位置関係、運動状態等を説明するために用いられる。そのため、特定の姿勢が変わった場合、それに対応して前記方向用語も変わる。
【0024】
図1~14を参照しながら説明する。本発明の二層冷凍拡張バルーンは、拡張バルーン部1及び冷凍バルーン部2を有する。拡張バルーン部1は、拡張バルーン11、アウターカテーテル12、及び液体充填キャビティ13を有する。液体充填キャビティ13は、液体充填室14を有する。拡張バルーン11は、アウターカテーテル12を介して液体充填室14と連通される。冷凍バルーン部2は、冷凍バルーン21、インナーカテーテル22、分流キャビティ23、吸気管24、及び気体充填部を有する。冷凍バルーンは、拡張バルーン11内に位置する。インナーカテーテル22は、アウターカテーテル12内に位置する。分流キャビティ23は、還気室231を有する。冷凍バルーン21は、インナーカテーテル22を介して還気室231と連通される。分流キャビティ23、還気通路233、液体充填通路234、及びコック室238をさらに有する。還気通路233は、その一端が還気室231と連通され、もう一端がコック室238と連通される。液体充填通路234は、その一端がコック室238と連通され、もう一端が液体充填室234と連通される。コック室238は、さらに還気継ぎ手28と連通され、調整構造を有する。調整構造は、還気通路233と還気継ぎ手28との間の開閉、還気継ぎ手28と液体充填通路234との間の開閉、及び還気通路233と液体充填通路234との間の開閉のために用いられる。分流キャビティ23は、吸気室232をさらに有する。吸気管24は、冷凍バルーン21、インナーカテーテル22、及び分流キャビティ23に挿設され、その一端が冷凍バルーン21内に位置し、もう一端が吸気室232と連通される。吸気室232は、さらに気体充填部と連通される。気体充填部は、吸気室232及び吸気管24を介して冷凍バルーン21内に冷媒ガスを導入する。
【0025】
使用時に、調整構造を調整して、還気継ぎ手28と液体充填通路234との間を開状態、還気継ぎ手28と還気管道233との間を閉状態、還気継ぎ手28と外部の液体充填ガンとの間を開状態にする。液体充填ガンを使用し、順に還気継ぎ手28、コック室238、液体充填管道234、液体充填室14、アウターカテーテル12、及びインナーカテーテル22を経て生理食塩水を拡張バルーン11の内部に注入し、拡張バルーン11を拡張し始める。拡張が完了した後、液体充填ガンを使用して拡張バルーン11の内部の生理食塩水を吸引する。その後、調整構造を調整して、還気継ぎ手28と還気管道233との間を開状態に、還気継ぎ手28と液体充填通路234との間を閉状態にする。さらに、気体充填部を起動し、吸気管24を介して冷凍バルーン21の内部に冷媒を送る。
【0026】
本発明の二層冷凍拡張バルーンは、バルーン拡張及び冷凍治療を同時に行うことができる。外層の拡張バルーン及び内層の冷凍バルーンという二層バルーン構造によれば、液体及び冷媒の空間が分けられる。1つの製品で安全、有効に液体充填拡張及び冷凍治療を行うことができる。拡張液体と冷媒ガスとの混合による詰めり又は冷凍効果低下を避けることができる。
【0027】
本実施例において、図2に示すように、拡張バルーン11は、その後端がアウターカテーテル12の前端に接続して連通され、接続箇所を密封剤、密封環等で密封処理する。アウターカテーテル12は、その後端が液体充填キャビティ13に接続され、液体充填室14と連通され、接続箇所を密封剤、密封環等で密封処理する。なお、液体充填キャビティ13は、分流キャビティ23に近いインナーカテーテル22の一端に覆設され、分流キャビティ23の前端面と共に液体充填室14を構成する。液体充填キャビティ13と分流キャビティ23との接続箇所を密封剤、密封環等で密封処理する。
【0028】
好ましくは、拡張バルーン11は、多段拡張バルーンであり、即ち、液体充填圧力が大きくほど拡張バルーン11の直径も大きくなる。
【0029】
本実施例において、図4中に示すように、冷凍バルーン21は、その後端がインナーカテーテル22の前端に接続して連通され、接続箇所を密封剤、密封環等で密封処理する。インナーカテーテル22は、その後端が分流キャビティ23に接続される。分流キャビティ23は、インナーカテーテル22に近い一端に還気室231を有する。図4に示すように、インナーカテーテル22は、アウターカテーテル12から伸び出て液体充填室14を通り抜けて還気室231に挿入し、還気室231と連通され、接続箇所を密封環、密封剤等で密封処理する。
【0030】
冷凍モードでの冷凍バルーン21が常に拡張バルーン11の内壁と接触するように、冷凍バルーン21の気体充填後の直径は、最大液体充填圧力での拡張バルーン11の直径と等しい又はわずかに大きくなる必要がある。
【0031】
本実施例において、吸気室232は、分流キャビティ23から遠いインナーカテーテル22の一端に設けられる。吸気孔235は、吸気室232と還気室231との間に同軸に設けられる。吸気管24は、そのもう一端がインナーカテーテル22から伸び出て液体充填室14及び還気室231を通り抜けて吸気孔235内に挿入し、吸気孔235と連通され、接続箇所を密封環、密封剤等で密封処理する。
【0032】
本実施例において、吸気管24は、冷凍バルーン21内に位置する一端は、スパイラル吸気管241に接続される。スパイラル吸気管241は、空気排出孔242を有する。なお、スパイラル吸気管241は、軸方向及び径方向に沿って均等に複数の空気排出孔242を有する。上記構造によれば、冷媒ガスが軸方向及び径方向に沿って均等に冷凍バルーン21に噴射され、冷凍バルーン21の表面温度を均一にする。
【0033】
本実施例において、調整構造は、三方コックバルブ27であり、還気通路233と還気継ぎ手28との間の開閉、及び還気継ぎ手28と液体充填通路234との間の開閉のために用いられる。
【0034】
具体的には、図5~6に示すように、三方コックバルブ27は、径方向断面にT字型の流路を有するコックプランジャー272である。コックプランジャー272は、回転可能にコック室238内に挿入され、コック室238との接触面が常に密封状態にする。本実施例において、還気通路233、還気継ぎ手28、及び液体充填通路234がT字型になるように配置されるため、コックプランジャー272内の3つの流路もT字型になる。還気通路233、還気継ぎ手28、及び液体充填通路234の配置を調整した場合に、それに対応してコックプランジャー272内の3つの流路の配置を調整しなければならない。本発明は、それらに限定されず、具体的な状況に応じて調整できる。
【0035】
コックプランジャー272は、分流キャビティ23の外部に位置する把手271に接続される。把手271でコックプランジャー272を回転させることで、各通路の間の切り替えを達成できる。
【0036】
把手は、指示標識239を有する。支持標識239は、還気通路233と還気継ぎ手28との間の連通、還気継ぎ手28と液体充填通路234との間の連通、及び還気通路233と液体充填通路234との間の連通を指示するために用いられる。例えば、図10図12図14に示すように、指示標識239は、分流キャビティ23にある固定指示矢印、及び把手271にある拡張指示矢印、吸引指示矢印、冷凍指示矢印を含む。
【0037】
把手271を回転し、把手271の拡張指示矢印が固定指示矢印に指す時に、還気継ぎ手28と液体充填通路234との間の連通を示す。把手271の吸引指示矢印が固定指示矢印に指す時に、還気通路233と液体充填通路234との間の連通を示す。把手271の冷凍指示矢印が固定指示矢印に指す時に、還気通路233と還気継ぎ手28との間の連通を示す。
【0038】
本実施例の調整構造は、構造が簡単で、操作が便利である。他の実施例において、実際の状況に応じて調整構造を変更してもよい。本発明は、それらに制限されない。
【0039】
本実施例において、分流キャビティ23は、減圧通路237をさらに有する。減圧通路237は、その一端が還気室231と連通され、もう一端が分流キャビティ23から伸び出て且つ安全弁29が挿入される。三方コックバルブ27のモード調整ミス又は他の状況によって還気が遮断された時に還気圧力が上昇する。還気圧力が安全弁29の開放圧力に達する時に、安全弁が開放され、還気が減圧管道237及び安全弁29を通って排出され、圧力を逃がすことができる。安全弁29の開放圧力は、正常な冷凍モードでの還気圧力より高く、冷凍バルーン21の最大耐圧よりはるかに低い。
【0040】
本実施例において、気体充填部は、シリンダー4及びシリンダー開放部3を有する。シリンダー4は、シリンダー開放部3を介して吸気室232に接続される。
【0041】
図7~9を参照しながら説明する。シリンダー開放部は、バルブ本体31、中空押し針34、及び押し棒部を有する。バルブ本体31は、その一端が吸気室232に挿入し、もう一端がシリンダー本体41のシリンダー開口部42に固定接続される。バルブ本体31と吸気室232及びシリンダー開口部42との接続箇所を密封処理する。中空押し針34は、バルブ本体31内に移動可能に設けられ、その一端が吸気室232内に位置して吸気室232と連通され、もう一端がシリンダー開口部42内の密封機構に当接する。押し棒部は、その一端が中空押し針34に接続され、中空押し針34を軸方向に動かして密封機構に押し開けてシリンダー本体41内に入れる。すると、中空押し針34、吸気孔235、及び吸気管24を介してシリンダー本体41内の冷媒を冷凍バルーン21内に導入できる。
【0042】
本実施例において、押し棒部は、ボタン32、及び押し棒33を有する。押し棒は、その一端がバルブ本体31を通り抜けて中空押し針34と固定接続され、もう一端がケース部5から押し出してボタン32に接続される。ボタン32を押すことで、押し棒33を介して中空押し針34を軸方向に移動させる。
【0043】
本実施例において、気体充填部は、ケース部5を介して分流キャビティ23に設けられる。具体的には、ケース部は、対称に気体充填部を径方向に覆う左ケース501及び右ケース502と、気体充填部における分流キャビティ23から遠い一端に覆設される後蓋6とを有する。
【0044】
左ケース501及び右ケース502は、係止構造、ネジ等で接続され、気体充填部の外側を覆う。排気の漏洩がないように左ケース501と右ケース502との接続箇所を密封処理する。接続された左ケース501及び右ケース502の一端の内部に位置制限環51を設ける。それに対応し、分流キャビティ23の後端に位置制限溝を設ける。位置制限環51を位置制限溝に引っかかることで、左ケース501及び右ケース502と分流キャビティ23との位置制限的な接続を実現できる。さらに、後蓋6を左ケース501及び右ケース502のもう一端のねじ山部53にねじ込むことで、それらを接続できる。
【0045】
左ケース501及び右ケース502は、その内側壁にシリンダー開放部(即ち、バルブ本体31)に引っかかる位置制限板52を有する。位置制限板52によってシリンダー開放部を軸方向及び径方向に固定できる。
【0046】
左ケース501及び右ケース502は、その内側壁に補強リブ56を有する。後蓋6は、その内壁に補強リブ61を有する。補強リブ56、補強リブ61は、アウターケース部5及び後蓋6の強度を向上させ、排気するためにアウターケース部5及び後蓋6とシリンダーとを分けるために用いられる。アウターケース部5及び後蓋6は、排気孔521及び排気孔62をさらに有する。シリンダー開放部3又は安全弁29から排出又は漏洩した気体は、順に排気孔521、アウターケース5とシリンダー42との間の隙間、ねじ山部53の隙間、後蓋6とシリンダー42との間の隙間を通って排気孔62から排出される。
【0047】
本実施例において、前記二層冷凍拡張バルーンは、ガイドワイヤー管25をさらに有する。ガイドワイヤー管25は、冷凍バルーン21、インナーカテーテル22、液体充填室14、及び還気室231内に挿設され、その一端(即ち、ガイドワイヤー管頭部251)が冷凍バルーン21内に入れて冷凍バルーン21及び拡張バルーン11の前端に接続され、もう一端が(即ち、ガイドワイヤー出口26)分流キャビティ23のガイドワイヤー孔236から引き出される。本実施例のガイドワイヤー管13によれば、使用時に、ガイドワイヤーをガイドワイヤー出口26からガイドワイヤー管25内に入れてガイドワイヤー管頭部251まで送る。すると、バルーンをガイドワイヤーの経路に沿って狭窄の領域に送ることができる。
【0048】
他の実施例において、ガイドワイヤー管13を省略してもよい。本発明は、それらに限定されない。
【0049】
以下、本発明の二層冷凍拡張バルーンの使用過程を詳しく説明する。
【0050】
図11図12を参照しながら説明する。内視鏡等を利用して病変に到達した後、拡張バルーン11を狭窄部に配置する。把手271を拡張モードに調整し、還気継ぎ手28と還気管道233との間を閉状態、還気継ぎ手28と液体充填通路234との間を開状態にする。即ち、冷凍バルーン部2が外部から隔離され、拡張バルーン部1が液体充填ガンと連通される。液体充填ガンを使用し、順に還気継ぎ手28、コックプランジャー272、液体充填管道234、液体充填キャビティ13内部、アウターカテーテル12、及びインナーカテーテル22の隙間を介して生理食塩水を拡張バルーン11の内部に注入し、拡張バルーン11を拡張し始める。液体充填ガンの圧力計は、液体充填圧力を示す。拡張バルーン11の直径は、液体充填圧力に対応する。拡張が完成した後、液体充填ガンを使用して拡張バルーン部1の内部の生理食塩水を吸引する。
【0051】
図13~14を参照しながら説明する。拡張バルーン11の内部の生理食塩水を除去した後、拡張バルーン11及び冷凍バルーン21が密着状態となる。把手271を冷凍モードに調整し、液体充填ガンを取り外し、還気継ぎ手28と還気管道233との間を開状態、還気継ぎ手28と液体充填通路234との間を閉状態にする。即ち、冷凍バルーン部2が外部に開放され、拡張バルーン部1が外部から隔離される。ボタン32を押すことで、押し棒33を径方向に動かし、さらに押し針34を軸方向に沿って後方に移動させる。中空押し針34がシリンダー開口部41の内部の密封機構に押し開けて、順にシリンダー開口部41、中空押し針34の内部、吸気管24、及びスパイラル吸気管241を介してシリンダー本体42の内部の冷媒を空気排出孔242から冷凍バルーン21の内部に噴射する。ジュールトムソン効果によって冷媒を絞って冷却し、冷凍バルーン21を膨張させる。絞り液化した冷媒は、冷凍バルーン21の内表面に噴射されて吸熱蒸発される。冷凍バルーン21及び拡張バルーン11の熱伝導によって、狭窄部の組織が冷凍される。インナーカテーテル22、還気室231、還気管道233、コックプランジャー272、及び還気継ぎ手28を介して蒸発した冷媒ガスを排出する。
【0052】
本発明を説明するために上記実施例を開示したが、本発明は、それらに限定されない。当業者が上記実施例に基づいてなされた均等的な変更は、いずれも本発明に含む。
【符号の説明】
【0053】
1 拡張バルーン部
11 拡張バルーン
12 アウターカテーテル
13 液体充填キャビティ
14 液体充填室
2 冷凍バルーン部
21 冷凍バルーン
22 インナーカテーテル
23 分流キャビティ
231 還気室
232 吸気室
233 還気通路
234 液体充填通路
235 吸気孔
236 ガイドワイヤー孔
237 減圧通路
238 コック室
239 指示標識
24 吸気管
241 スパイラル吸気管
242 空気排出孔
25 ガイドワイヤー管
251 ガイドワイヤー管頭部
26 ガイドワイヤー出口
27 三方コックバルブ
271 把手
272 コックプランジャー
28 還気継ぎ手
29 安全弁
3 シリンダー開放部
31 バルブ本体
32 ボタン
33 押し棒
34 中空押し針
4 シリンダー部
41 シリンダー開口部
42 シリンダー
5 アウターケース
501 左ケース
502 右ケース
51 位置制限環
52 位置制限板
521、62 排気孔
53 ねじ山部
54、61 補強リブ
6 後蓋
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14