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特許7282274ネオジム鉄ホウ素永久磁石材料、その原料組成物、その製造方法
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  • 特許-ネオジム鉄ホウ素永久磁石材料、その原料組成物、その製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-18
(45)【発行日】2023-05-26
(54)【発明の名称】ネオジム鉄ホウ素永久磁石材料、その原料組成物、その製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01F 1/057 20060101AFI20230519BHJP
   H01F 41/02 20060101ALI20230519BHJP
   C22C 38/00 20060101ALI20230519BHJP
   B22F 1/00 20220101ALI20230519BHJP
   B22F 3/00 20210101ALI20230519BHJP
   B22F 1/05 20220101ALI20230519BHJP
   C22C 33/02 20060101ALI20230519BHJP
   B22F 3/24 20060101ALI20230519BHJP
   B22F 9/04 20060101ALI20230519BHJP
【FI】
H01F1/057 170
H01F41/02 G
C22C38/00 303D
B22F1/00 Y
B22F3/00 F
B22F1/05
C22C33/02 H
B22F3/24 B
B22F9/04 C
B22F9/04 D
B22F9/04 E
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2022549538
(86)(22)【出願日】2021-05-21
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-14
(86)【国際出願番号】 CN2021095070
(87)【国際公開番号】W WO2021238784
(87)【国際公開日】2021-12-02
【審査請求日】2022-08-24
(31)【優先権主張番号】202010478499.2
(32)【優先日】2020-05-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】521397223
【氏名又は名称】フージャン チャンティン ゴールデン ドラゴン レア-アース カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100199819
【弁理士】
【氏名又は名称】大行 尚哉
(74)【代理人】
【識別番号】100087859
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 秀治
(72)【発明者】
【氏名】藍琴
(72)【発明者】
【氏名】黄佳瑩
(72)【発明者】
【氏名】牟維国
【審査官】森岡 俊行
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/133067(WO,A1)
【文献】特開昭59-163804(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第111081443(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第111180159(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第111009369(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第107610858(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01F 1/057
H01F 41/02
C22C 38/00
B22F 1/00
B22F 3/00
B22F 1/05
C22C 33/02
B22F 3/24
B22F 9/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネオジム鉄ホウ素永久磁石材料を製造するための原料組成物であって、質量百分率で下記の成分を含み、
R:30.2~31.7mass%、前記Rは希土類元素であり、前記Rは、重希土類金属RHを含み、前記RHは、Dyおよび/またはTbであり、
Nb<0.25mass%、ただし、0ではなく、
Cu:0.35~0.5mass%
Al:0~0.2mass%
B:0.92~0.96mass%
Fe:60~70mass%、各成分の合計は100mass%であり、
mass%とは、前記原料組成物における質量百分率を意味する
ことを特徴とするネオジム鉄ホウ素永久磁石材料を製造するための原料組成物。
【請求項2】
前記Rの含有量の範囲は、30.2~30.9mass%であり、
及び/又は、前記RHの含有量の範囲は、0~1.2mass%であるが、0ではなく、
及び/又は、前記RHがDyを含む場合、前記Dyの含有量の範囲は、0~0.6mass%であるが、0ではなく、
及び/又は、前記RHがTbを含む場合、前記Tbの含有量の範囲は、0.4~1.2mass%であり、
及び/又は、前記Nbの含有量の範囲は、0.1~0.24mass%であり、
及び/又は、前記Cuの含有量の範囲は、0.35~0.4mass%であり、
及び/又は、前記Alの含有量の範囲は、0~0.12mass%であり、
及び/又は、前記Bの含有量の範囲は、0.925~0.955mass%であり、
及び/又は、前記原料組成物には、Coがさらに含まれ、前記Coの含有量の範囲は、0.5~5mass%であり、0.14mass%<Nbの含有量<0.25mass%である場合、前記Coは2.5~5.0mass%であり、
及び/又は、前記原料組成物には、Mがさらに含まれ、前記Mは、Zr、Ti及びHfのうちの1種又は複数種であり、前記Mの含有量の範囲は、0~0.15mass%であるが、0ではなく、前記MがTiを含む場合、前記Tiの含有量の範囲は、0~0.1mass%であるが、0ではなく、
または、前記原料組成物は、質量百分率で下記の成分からなり、
Nd:29~30mass%
Dy:0~0.6mass%
Tb:0.4~1mass%
B:0.925~0.94mass%
Nb:0.1~0.2mass%
Cu:0.37~0.4mass%
Al:0~0.03mass%
Co:0.8~2.6mass%
Ti:0~0.1mass%
残部がFeであり、
または、前記原料組成物は、質量百分率で下記の成分からなり、
Nd:29.2mass%
Dy:0.6mass%
Tb:0.4mass%
B:0.94mass%
Nb:0.2mass%
Cu:0.4mass%
Co:0.8mass%
残部がFeであり、
または、前記原料組成物は、質量百分率で下記の成分からなり、
Nd:30mass%
Tb:0.9mass%
B:0.94mass%
Nb:0.1mass%
Cu:0.37mass%
Co:0.8mass%
残部がFeであり、
または、前記原料組成物は、質量百分率で下記の成分からなり、
Nd:30mass%
Tb:0.7mass%
B:0.94mass%
Nb:0.2mass%
Cu:0.4mass%
Al:0.03mass%
Co:2.6mass%
Ti:0.1mass%
残部がFeであり、
または、前記原料組成物は、質量百分率で下記の成分からなり、
Nd:23.76mass%
Pr:5.94mass%
Tb:0.6mass%
B:0.925mass%
Nb:0.24mass%
Cu:0.5mass%
Al:0.12mass%
Co:3mass%
Ti:0.05mass%
残部がFeであり、
または、前記原料組成物は、質量百分率で下記の成分からなり、
Nd:30mass%
Tb:0.8mass%
B:0.94mass%
Nb:0.2mass%
Cu:0.4mass%
Co:3.5mass%
Ti:0.1mass%
残部がFeであり、
または、前記原料組成物は、質量百分率で下記の成分からなり、
Nd:29mass%
Dy:0.1mass%
Tb:1.1mass%
B:0.955mass%
Nb:0.14mass%
Cu:0.35mass%
Co:0.5mass%
残部がFeである、
ことを特徴とする請求項1に記載のネオジム鉄ホウ素永久磁石材料を製造するための原料組成物。
【請求項3】
ネオジム鉄ホウ素永久磁石材料の合金片であって、質量百分率で下記の成分を含み、
R:30.2~31.7mass%、前記Rは希土類元素であり、前記Rは、重希土類金属RHを含み、前記RHは、Dyおよび/またはTbであり、
Nb<0.25mass%、ただし、0ではなく、
Cu:0.35~0.5mass%
Al:0~0.2mass%
B:0.92~0.96mass%
Fe:60~70mass%、各成分の合計は100mass%であり、
mass%とは、前記ネオジム鉄ホウ素永久磁石材料の合金片における質量百分率を意味する、
ことを特徴とするネオジム鉄ホウ素永久磁石材料の合金片。
【請求項4】
前記Rの含有量の範囲は、30.2~30.9mass%であり、
及び/又は、前記RHの含有量の範囲は、0~1.2mass%であるが、0ではなく、
及び/又は、前記RHがDyを含む場合、前記Dyの含有量の範囲は、0~0.6mass%であるが、0ではなく、
及び/又は、前記RHがTbを含む場合、前記Tbの含有量の範囲は、0.4~1.2mass%であり、
及び/又は、前記Nbの含有量の範囲は、0.1~0.24mass%であり、
及び/又は、前記Cuの含有量の範囲は、0.35~0.4mass%であり、
及び/又は、前記Alの含有量の範囲は、0~0.12mass%であり、
及び/又は、前記Bの含有量の範囲は、0.925~0.955mass%であり、
及び/又は、前記ネオジム鉄ホウ素永久磁石材料の合金片には、Coがさらに含まれ、前記Coの含有量の範囲は、0.5~5mass%であり、0.14mass%<Nbの含有量<0.25mass%である場合、前記Coは2.5~5.0mass%であり、
及び/又は、前記ネオジム鉄ホウ素永久磁石材料の合金片には、Mがさらに含まれ、前記Mは、Zr、Ti及びHfのうちの1種又は複数種であり、
前記Mの含有量の範囲は、0~0.15mass%であるが、0ではなく、
前記MがTiを含む場合、前記Tiの含有量の範囲は、0~0.1mass%であるが、0ではなく、
または、前記ネオジム鉄ホウ素永久磁石材料の合金片は、質量百分率で下記の成分からなり、
Nd:29~30mass%、
Dy:0~0.6mass%、
Tb:0.4~1mass%、
B:0.925~0.94mass%、
Nb:0.1~0.2mass%、
Cu:0.37~0.4mass%、
Al:0~0.03mass%、
Co:0.8~2.6mass%、
Ti:0~0.1mass%、
残部がFeであり、
または、前記ネオジム鉄ホウ素永久磁石材料の合金片は、質量百分率で下記の成分からなり、
Nd:29.2mass%、
Dy:0.6mass%、
Tb:0.4mass%、
B:0.94mass%、
Nb:0.2mass%、
Cu:0.4mass%、
Co:0.8mass%、
残部がFeであり、
または、前記ネオジム鉄ホウ素永久磁石材料の合金片は、質量百分率で下記の成分からなり、
Nd:30mass%、
Tb:0.9mass%、
B:0.94mass%、
Nb:0.1mass%、
Cu:0.37mass%、
Co:0.8mass%、
残部がFeであり、
または、前記ネオジム鉄ホウ素永久磁石材料の合金片は、質量百分率で下記の成分からなり、
Nd:30mass%、
Tb:0.7mass%、
B:0.94mass%、
Nb:0.2mass%、
Cu:0.4mass%、
Al:0.03mass%、
Co:2.6mass%、
Ti:0.1mass%、
残部がFeであり、
または、前記ネオジム鉄ホウ素永久磁石材料の合金片は、質量百分率で下記の成分からなり、
Nd:23.76mass%、
Pr:5.94mass%、
Tb:0.6mass%、
B:0.925mass%、
Nb:0.24mass%、
Cu:0.5mass%、
Al:0.12mass%、
Co:3mass%、
Ti:0.05mass%、
残部がFeであり、
または、前記ネオジム鉄ホウ素永久磁石材料の合金片は、質量百分率で下記の成分からなり、
Nd:30mass%、
Tb:0.8mass%、
B:0.94mass%、
Nb:0.2mass%、
Cu:0.4mass%、
Co:3.5mass%、
Ti:0.1mass%、
残部がFeであり、
または、前記ネオジム鉄ホウ素永久磁石材料の合金片は、質量百分率で下記の成分からなり、
Nd:29mass%、
Dy:0.1mass%、
Tb:1.1mass%、
B:0.955mass%、
Nb:0.14mass%、
Cu:0.35mass%、
Co:0.5mass%、
残部がFeである、
ことを特徴とする請求項3に記載のネオジム鉄ホウ素永久磁石材料の合金片。
【請求項5】
ネオジム鉄ホウ素永久磁石材料の基質であって、質量百分率で下記の成分を含み、
R:30~31.5mass%、前記Rは希土類元素であり、前記Rは、重希土類金属RHを含み、前記RHは、Dyおよび/またはTbであり、
Nb<0.25mass%、ただし、0ではなく、
Cu:0.35~0.5mass%
Al:0~0.2mass%
B:0.92~0.96mass%
Fe:60~70mass%、各成分の合計は100mass%であり、
mass%とは、前記ネオジム鉄ホウ素永久磁石材料の基質における質量百分率を意味する、
ことを特徴とするネオジム鉄ホウ素永久磁石材料の基質。
【請求項6】
前記Rの含有量の範囲は、30.2~30.9mass%であり、
及び/又は、前記RHの含有量の範囲は、0~1.2mass%であるが、0ではなく、
及び/又は、前記RHがDyを含む場合、前記Dyの含有量の範囲は、0~0.6mass%であるが、0ではなく、
及び/又は、前記RHがTbを含む場合、前記Tbの含有量の範囲は、0.4~1.2mass%であり、
及び/又は、前記Nbの含有量の範囲は、0.1~0.24mass%であり、
及び/又は、前記Cuの含有量の範囲は、0.35~0.4mass%であり、
及び/又は、前記Alの含有量の範囲は、0~0.12mass%であり、
及び/又は、前記Bの含有量の範囲は、0.925~0.955mass%であり、
及び/又は、前記ネオジム鉄ホウ素永久磁石材料の基質には、Cがさらに含まれ、前記Cの含有量の範囲は、0.1~0.2mass%であり、
及び/又は、前記ネオジム鉄ホウ素永久磁石材料の基質には、Oがさらに含まれ、前記Oの含有量の範囲は、0.04~0.13mass%であり、
及び/又は、前記ネオジム鉄ホウ素永久磁石材料の基質には、Coがさらに含まれ、前記Coの含有量の範囲は、0.5~5mass%であり、0.14mass%<Nbの含有量<0.25mass%である場合、前記Coは2.5~5.0mass%であり、
及び/又は、前記ネオジム鉄ホウ素永久磁石材料の基質には、Mがさらに含まれ、前記Mは、Zr、Ti及びHfのうちの1種又は複数種であり、
前記Mの含有量の範囲は、0~0.15mass%であるが、0ではなく、
前記MがTiを含む場合、前記Tiの含有量の範囲は、0~0.1mass%であるが、0ではなく、
または、前記ネオジム鉄ホウ素永久磁石材料の基質は、質量百分率で下記の成分からなり、
Nd:29~30mass%、
Dy:0~0.6mass%、
Tb:0.4~1mass%、
B:0.925~0.94mass%、
Nb:0.1~0.2mass%、
Cu:0.37~0.4mass%、
Al:0~0.03mass%、
C:0.11~0.12mass%、
O:0.05~0.1mass%、
Co:0.8~2.6mass%、
Ti:0~0.1mass%、
残部がFeであり、
または、前記ネオジム鉄ホウ素永久磁石材料の基質は、質量百分率で下記の成分からなり、
Nd:29mass%、
Dy:0.6mass%、
Tb:0.4mass%、
B:0.94mass%、
Nb:0.2mass%、
Cu:0.4mass%、
C:0.11mass%、
O:0.1mass%、
Co:0.8mass%、
残部がFeであり、
または、前記ネオジム鉄ホウ素永久磁石材料の基質は、質量百分率で下記の成分からなり、
Nd:30mass%、
Tb:0.9mass%、
B:0.94mass%、
Nb:0.1mass%、
Cu:0.37mass%、
C:0.15mass%、
O:0.09mass%、
Co:0.8mass%、
残部がFeであり、
または、前記ネオジム鉄ホウ素永久磁石材料の基質は、質量百分率で下記の成分からなり、
Nd:30mass%、
Tb:0.7mass%、
B:0.94mass%、
Nb:0.2mass%、
Cu:0.4mass%、
Al:0.03mass%、
C:0.17mass%、
O:0.05mass%、
Co:2.6mass%、
Ti:0.1mass%、
残部がFeであり、
または、前記ネオジム鉄ホウ素永久磁石材料の基質は、質量百分率で下記の成分からなり、
Nd:23.76mass%、
Pr:5.94mass%、
Tb:0.6mass%、
B:0.925mass%、
Nb:0.24mass%、
Cu:0.5mass%、
Al:0.12mass%、
C:0.12mass%、
O:0.08mass%、
Co:3mass%、
Ti:0.05mass%、
残部がFeであり、
または、前記ネオジム鉄ホウ素永久磁石材料の基質は、質量百分率で下記の成分からなり、
Nd:30mass%、
Tb:0.8mass%、
B:0.94mass%、
Nb:0.2mass%、
Cu:0.4mass%、
C:0.17mass%、
O:0.05mass%、
Co:3.5mass%、
Ti:0.1mass%、
残部がFeであり、
または、前記ネオジム鉄ホウ素永久磁石材料の基質は、質量百分率で下記の成分からなり、
Nd:29mass%、
Dy:0.1mass%、
Tb:1.1mass%、
B:0.955mass%、
Nb:0.14mass%、
Cu:0.35mass%、
O:0.11mass%、
Co:0.5mass%、
残部がFeである、
ことを特徴とする請求項5に記載のネオジム鉄ホウ素永久磁石材料の基質。
【請求項7】
ネオジム鉄ホウ素永久磁石材料であって、質量百分率で下記の成分を含み、
R:30.5~32mass%、前記Rは希土類元素であり、前記Rは、重希土類金属RHを含み、前記RHは、Dyおよび/またはTbであり、
Nb<0.25mass%、ただし、0ではなく、
Cu:0.35~0.5mass%
Al:0~0.2mass%
B:0.92~0.96mass%
Fe:60~70mass%、各成分の合計は100mass%であり、
mass%とは、前記ネオジム鉄ホウ素永久磁石材料における質量百分率を意味する
ことを特徴とするネオジム鉄ホウ素永久磁石材料。
【請求項8】
前記Rの含有量の範囲は、30.6~31.4mass%であり、
及び/又は、前記RHの含有量の範囲は、0.6~1.8mass%であり、
及び/又は、前記RHがDyを含む場合、前記Dyの含有量の範囲は、0~0.6mass%であるが、0ではなく、
及び/又は、前記RHがTbを含む場合、前記Tbの含有量の範囲は、1~1.5mass%であり、
及び/又は、前記Nbの含有量の範囲は、0.1~0.24mass%であり、
及び/又は、前記Cuの含有量の範囲は、0.35~0.4mass%であり、
及び/又は、前記Alの含有量の範囲は、0~0.12mass%であり、
及び/又は、前記Bの含有量の範囲は、0.925~0.955mass%であり、
及び/又は、前記ネオジム鉄ホウ素永久磁石材料には、Cがさらに含まれ、前記Cの含有量の範囲は、0.1~0.2mass%であり、
及び/又は、前記ネオジム鉄ホウ素永久磁石材料には、Oがさらに含まれ、前記Oの含有量の範囲は、0.04~0.13mass%であり、
及び/又は、前記ネオジム鉄ホウ素永久磁石材料には、Coがさらに含まれ、前記Coの含有量の範囲は、0.5~5mass%であり、0.14mass%<Nbの含有量<0.25mass%である場合、前記Coは2.5~5.0mass%であり、
及び/又は、前記ネオジム鉄ホウ素永久磁石材料には、Mがさらに含まれ、前記Mは、Zr、Ti及びHfのうちの1種又は複数種であり、前記Mの含有量の範囲は、0~0.15mass%であるが、0ではなく、前記MがTiを含む場合、前記Tiの含有量の範囲は、0~0.1mass%であるが、0ではなく、
または、前記ネオジム鉄ホウ素永久磁石材料は、質量百分率で下記の成分からなり、
Nd:29~30mass%
Dy:0~0.6mass%
Tb:1~1.4mass%
B:0.925~0.94mass%
Nb:0.1~0.2mass%
Cu:0.37~0.4mass%
Al:0~0.03mass%
C:0.11~0.12mass%
O:0.05~0.1mass%
Co:0.8~2.6mass%
Ti:0~0.1mass%
残部がFeであり、
または、前記ネオジム鉄ホウ素永久磁石材料は、質量百分率で下記の成分からなり、
Nd:29mass%
Dy:0.6mass%
Tb:1mass%
B:0.94mass%
Nb:0.2mass%
Cu:0.4mass%
C:0.11mass%
O:0.1mass%
Co:0.8mass%
Fe:66.85mass%
または、前記ネオジム鉄ホウ素永久磁石材料は、質量百分率で下記の成分からなり、
Nd:30mass%
Tb:1.4mass%
B:0.94mass%
Nb:0.1mass%
Cu:0.37mass%
C:0.15mass%
O:0.09mass%
Co:0.8mass%
Fe:66.15mass%
または、前記ネオジム鉄ホウ素永久磁石材料は、質量百分率で下記の成分からなり、
Nd:30mass%
Tb:1.3mass%
B:0.94mass%
Nb:0.2mass%
Cu:0.4mass%
Al:0.03mass%
C:0.17mass%
O:0.05mass%
Co:2.6mass%
Ti:0.1mass%
Fe:64.21mass%
または、前記ネオジム鉄ホウ素永久磁石材料は、質量百分率で下記の成分からなり、
Nd:23.76mass%
Pr:5.94mass%
Tb:1.1mass%
B:0.925mass%
Nb:0.24mass%
Cu:0.5mass%
Al:0.12mass%
C:0.12mass%
O:0.08mass%
Co:3mass%
Ti:0.05mass%
残部がFeであり、
または、前記ネオジム鉄ホウ素永久磁石材料は、質量百分率で下記の成分からなり、
Nd:30mass%
Tb:1.3mass%
B:0.94mass%
Nb:0.2mass%
Cu:0.4mass%
C:0.17mass%
O:0.05mass%
Co:3.5mass%
Ti:0.1mass%
残部がFeであり、
または、前記ネオジム鉄ホウ素永久磁石材料は、質量百分率で下記の成分からなり、
Nd:29mass%
Dy:0.6mass%
Tb:1.1mass%
B:0.955mass%
Nb:0.14mass%
Cu:0.35mass%
O:0.11mass%
Co:0.5mass%
残部がFeである、
ことを特徴とする請求項に記載のネオジム鉄ホウ素永久磁石材料。
【請求項9】
ネオジム鉄ホウ素永久磁石材料の基質の製造方法であって、前記製造方法は、以下のステップを含み、
請求項1または2に記載のネオジム鉄ホウ素永久磁石材料を製造するための原料組成物を溶解製錬して、合金片を得、前記合金片を製粉、成型、焼結
及び/又は、前記合金片の厚さは、0.2mm~0.4mmであり、
及び/又は、前記合金片は、請求項3または4に記載のネオジム鉄ホウ素永久磁石材料の合金片であり、
及び/又は、前記溶解製錬の温度は、1300~1700℃であり、
及び/又は、前記製粉は、水素破砕の製粉及びジェットミル製粉を含み、前記水素破砕の製粉は、水素吸収、脱水素、冷却処理を含み、前記水素吸収の温度は、20~200℃であり、前記脱水素の温度は、400~650℃であり、
及び/又は、前記ジェットミル製粉後の粉末粒径D50は、3μm~8μmであり、
及び/又は、前記焼結の温度は、1000~1200℃であり、前記焼結の時間は、0.5~10hである
ことを特徴とするネオジム鉄ホウ素永久磁石材料の基質の製造方法。
【請求項10】
ネオジム鉄ホウ素永久磁石材料の製造方法であって、前記製造方法は、以下のステップを含み、
請求項またはに記載のネオジム鉄ホウ素永久磁石材料の基質を粒界拡散処理し、
前記粒界拡散処理に用いられる重希土類金属は、Dyおよび/またはTbを含み、前記重希土類金属の含有量の範囲は、0~0.6mass%であるが、0ではなく、mass%とは、前記ネオジム鉄ホウ素永久磁石材料における質量百分率を意味し、
及び/又は、前記粒界拡散の温度は、800~1000℃であり、
及び/又は、前記粒界拡散の時間は、12~90hであり、
及び/又は、前記粒界拡散の後に、さらに熱処理を行い、前記熱処理の温度は、470℃~510℃であり
及び/又は、前記熱処理の時間は、2~4時間である
ことを特徴とするネオジム鉄ホウ素永久磁石材料の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネオジム鉄ホウ素永久磁石材料、その原料組成物、及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
永久磁石材料は、電子部品をサポートするための重要な材料として開発され、開発の方向は、高磁気エネルギー積と高保磁力の方向に向かう。R-T-B系永久磁石材料(Rは希土類元素の少なくとも1つである)は、永久磁石の中で最高性能の磁石として知られ、ハードディスクドライブのボイスコイルモーター(VCM)、電気自動車用(EV、HV、PHVなど)モーター、産業機器用モーターなどのさまざまなモーター及び家電製品に使用される。
【0003】
従来技術では、直面する技術的課題の一つとしては、高融点金属、例えばNb、Ti及びZrなどの含有量が低い場合、焼結が困難になり、磁石の保磁力が低下してしまうことである。しかし、高融点金属の含有量が高い場合、残留磁束密度も低下してしまう。
【0004】
直面する技術的課題のもう一つとしては、従来のネオジム鉄ホウ素永久磁石材料の熱処理温度区間が狭く、大熱処理炉でネオジム鉄ホウ素永久磁石材料を熱処理する場合、積載位置によっては焼結磁石の性能が大きく変動し、量産に不利になることである。
【0005】
したがって、磁気特性(残留磁束密度及び保磁力)を確保し、かつ耐減磁性能が良好であるとともに、熱処理温度区間を確保することができるR-T-B系永久磁石材料は早急に必要とされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする技術的課題は、従来技術のネオジム鉄ホウ素永久磁石材料が磁気特性、耐減磁性能及び熱処理温度区間を同時に確保することができないという欠陥を解消するために、ネオジム鉄ホウ素永久磁石材料、その原料組成物、その製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の技術的問題を解決するために、本発明は以下の技術考案を提供する。
【0008】
本発明の第1の目的としては、ネオジム鉄ホウ素永久磁石材料を製造するための原料組成物が提供され、質量百分率で下記の成分を含み、
R:30.2~31.7mass%、前記Rは希土類元素であり、
Nb<0.25mass%、ただし、0ではなく、
Cu:0.35~0.5mass%
Al:0~0.2mass%
B:0.92~0.96mass%
Fe:60~70mass%、各成分の合計は100mass%であり、mass%とは、前記原料組成物における質量百分率を意味する。
【0009】
本発明において、前記Rの含有量の範囲は、好ましくは30.2~30.9mass%であり、例えば30.3mass%、30.8mass%または30.7mass%であり、mass%とは、前記原料組成物における質量百分率を意味する。
【0010】
本発明において、前記Rは、好ましくは重希土類金属RHを含み、前記重希土類元素RHとは、ランタン系列元素のうち、原子番号が64以上である元素を指す。
【0011】
ここで、前記RHとは、一般的に、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu及びScのうちの1種又は複数種の重希土類元素である。好ましくは、前記RHは、Dyおよび/またはTbを含む。より好ましくは、前記RHは、Hoおよび/またはGdをさらに含む。より好ましくは、前記RHは、Dyおよび/またはTbである。
【0012】
ここで、前記RHの含有量の範囲は、0~1.2mass%であることが好ましいが、0ではなく、mass%とは、前記原料組成物における質量百分率を意味する。
【0013】
ここで、前記RHがDyを含む場合、前記Dyの含有量の範囲は、0~0.6mass%であることが好ましいが、0ではなく、例えば0.1mass%であり、mass%とは、前記原料組成物における質量百分率を意味する。
【0014】
ここで、前記RHがTbを含む場合、前記Tbの含有量の範囲は、0.4~1.2mass%であることが好ましく、例えば0.9mass%、0.7mass%、0.6mass%、0.8mass%または1.1mass%であり、mass%とは、前記原料組成物における質量百分率を意味する。
【0015】
本発明において、前記Nbの含有量の範囲は、0.1~0.24mass%であることが好ましく、例えば0.14mass%または0.2mass%であり、mass%とは、前記原料組成物における質量百分率を意味する。
【0016】
本発明において、前記Cuの含有量の範囲は、0.35~0.4mass%であることが好ましく、例えば0.37mass%であり、mass%とは、前記原料組成物における質量百分率を意味する。
【0017】
本発明において、前記Alの含有量の範囲は、0~0.12mass%であることが好ましく、例えば0.03mass%であり、mass%とは、前記原料組成物における質量百分率を意味する。
【0018】
本発明において、前記Bの含有量の範囲は、0.925~0.955mass%であることが好ましく、例えば0.94mass%であり、mass%とは、前記原料組成物における質量百分率を意味する。
【0019】
本発明において、前記原料組成物には、Coがさらに含まれることが好ましい。前記Coの含有量の範囲は、0.5~5mass%であることが好ましく、mass%とは、前記原料組成物における質量百分率を意味する。0.14mass%<Nbの含有量<0.25mass%である場合、前記Coは2.5~5.0mass%であることが好ましく、mass%とは、前記原料組成物における質量百分率を意味する。
【0020】
本発明において、前記原料組成物には、Mがさらに含まれてもよく、前記Mは、Zr、Ti及びHfのうちの1種又は複数種である。
【0021】
ここで、前記Mの含有量の範囲は、0~0.15mass%であることが好ましいが、0ではなく、mass%とは、前記原料組成物における質量百分率を意味する。
【0022】
ここで、前記MがTiを含む場合、前記Tiの含有量の範囲は、0~0.1mass%であることが好ましいが、0ではなく、例えば0.05mass%であり、mass%とは、前記原料組成物における質量百分率を意味する。
【0023】
本発明において、好ましくは、前記原料組成物は、質量百分率で下記の成分からなり、
Nd:29~30mass%
Dy:0~0.6mass%
Tb:0.4~1mass%
B:0.925~0.94mass%
Nb:0.1~0.2mass%
Cu:0.37~0.4mass%
Al:0~0.03mass%
Co:0.8~2.6mass%
Ti:0~0.1mass%、残部がFeである。
【0024】
本発明の好ましい実施形態において、前記原料組成物の成分及び含有量は、下記番号1~6のいずれか(mass%)とすることができる。
【0025】
本発明の第2の目的としては、ネオジム鉄ホウ素永久磁石材料の合金片が提供され、質量百分率で下記の成分を含み、
R:30.2~31.7mass%、前記Rは、希土類元素であり、
Nb<0.25mass%、ただし、0ではなく、
Cu:0.35~0.5mass%
Al:0~0.2mass%
B:0.92~0.96mass%
Fe:60~70mass%、各成分の合計は100mass%であり、mass%とは、前記ネオジム鉄ホウ素永久磁石材料の合金片における質量百分率を意味する。
【0026】
本発明において、前記ネオジム鉄ホウ素永久磁石材料の合金片は、前記のネオジム鉄ホウ素永久磁石材料を製造するための原料組成物を溶解製錬、鋳造して得られるものである。
【0027】
本発明において、前記Rの含有量の範囲は、好ましくは30.2~30.9mass%であり、例えば30.3mass%、30.8mass%または30.7mass%であり、mass%とは、前記ネオジム鉄ホウ素永久磁石材料の合金片における質量百分率を意味する。
【0028】
本発明において、前記Rは、好ましくは重希土類金属RHを含み、前記重希土類元素RHとは、ランタン系列元素のうち、原子番号が64以上である元素を指す。
【0029】
ここで、前記RHとは、一般的に、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu及びScのうちの1種又は複数種の重希土類元素である。好ましくは、前記RHは、Dyおよび/またはTbを含む。より好ましくは、前記RHは、Hoおよび/またはGdをさらに含む。より好ましくは、前記RHは、Dy及び/又はTbである。
【0030】
ここで、前記RHの含有量の範囲は、0~1.2mass%であることが好ましいが、0ではなく、mass%とは、前記ネオジム鉄ホウ素永久磁石材料の合金片における質量百分率を意味する。
【0031】
ここで、前記RHがDyを含む場合、前記Dyの含有量の範囲は、0~0.6mass%であることが好ましいが、0ではなく、例えば0.1mass%であり、mass%とは、前記ネオジム鉄ホウ素永久磁石材料の合金片における質量百分率を意味する。
【0032】
ここで、前記RHがTbを含む場合、前記Tbの含有量の範囲は、0.4~1.2mass%であることが好ましく、例えば0.9mass%、0.7mass%、0.6mass%、0.8mass%または1.1mass%であり、mass%とは、前記ネオジム鉄ホウ素永久磁石材料の合金片における質量百分率を意味する。
【0033】
本発明において、前記Nbの含有量の範囲は、0.1~0.24mass%であることが好ましく、例えば0.14mass%または0.2mass%であり、mass%とは、前記ネオジム鉄ホウ素永久磁石材料の合金片における質量百分率を意味する。
【0034】
本発明において、前記Cuの含有量の範囲は、0.35~0.4mass%であることが好ましく、例えば0.37mass%であり、mass%とは、前記ネオジム鉄ホウ素永久磁石材料の合金片における質量百分率を意味する。
【0035】
本発明において、前記Alの含有量の範囲は、0~0.12mass%であることが好ましく、例えば0.03mass%であり、mass%とは、前記ネオジム鉄ホウ素永久磁石材料の合金片における質量百分率を意味する。
【0036】
本発明において、前記Bの含有量の範囲は、0.925~0.955mass%であることが好ましく、例えば0.94mass%であり、mass%とは、前記ネオジム鉄ホウ素永久磁石材料の合金片における質量百分率を意味する。
【0037】
本発明において、前記ネオジム鉄ホウ素永久磁石材料の合金片には、Coがさらに含まれることが好ましい。前記Coの含有量の範囲は、0.5~5mass%であることが好ましく、mass%とは、前記ネオジム鉄ホウ素永久磁石材料の合金片における質量百分率を意味する。0.14mass%<Nbの含有量<0.25mass%である場合、前記Coは2.5~5.0mass%であることが好ましく、mass%とは、前記ネオジム鉄ホウ素永久磁石材料の合金片における質量百分率を意味する。
【0038】
本発明において、前記ネオジム鉄ホウ素永久磁石材料の合金片には、Mがさらに含まれてもよく、前記Mは、Zr、Ti及びHfのうちの1種又は複数種である。
【0039】
ここで、前記Mの含有量の範囲は、0~0.15mass%であることが好ましいが、0ではなく、mass%とは、前記ネオジム鉄ホウ素永久磁石材料の合金片における質量百分率を意味する。
【0040】
ここで、前記MがTiを含む場合、前記Tiの含有量の範囲は、0~0.1mass%であることが好ましいが、0ではなく、例えば0.05mass%であり、mass%とは、前記ネオジム鉄ホウ素永久磁石材料の合金片における質量百分率を意味する。
【0041】
本発明において、好ましくは、前記ネオジム鉄ホウ素永久磁石材料の合金片は以下の製造方法によって製造され、上記の原料組成物を溶解製錬すればよい。
【0042】
ここで、より好ましくは、前記合金片の厚さは、0.2mm~0.4mmであり、例えば、0.3mmである。
【0043】
ここで、より好ましくは、前記溶解製錬の温度は、1300~1700℃である。
【0044】
本発明において、好ましくは、前記ネオジム鉄ホウ素永久磁石材料の合金片は、質量百分率で下記の成分からなり、
Nd:29~30mass%
Dy:0~0.6mass%
Tb:0.4~1mass%
B:0.925~0.94mass%
Nb:0.1~0.2mass%
Cu:0.37~0.4mass%
Al:0~0.03mass%
Co:0.8~2.6mass%
Ti:0~0.1mass%、残部がFeである。
【0045】
本発明の好ましい実施形態において、損失を無視して、前記ネオジム鉄ホウ素永久磁石材料の合金片の成分及び含有量は、下記番号1~6のいずれか(mass%)とすることができる。
【0046】
本発明の第3の目的としては、ネオジム鉄ホウ素永久磁石材料の基質が提供され、質量百分率で下記の成分を含み、
R:30~31.5mass%、前記Rは希土類元素であり、
Nb<0.25mass%、ただし、0ではなく、
Cu:0.35~0.5mass%
Al:0~0.2mass%
B:0.92~0.96mass%
Fe:60~70mass%、各成分の合計は100mass%であり、mass%とは、前記ネオジム鉄ホウ素永久磁石材料の基質における質量百分率を意味する。
【0047】
本発明において、前記Rの含有量の範囲は、好ましくは30.2~30.9mass%であり、例えば30.3mass%、30.8mass%または30.7mass%であり、mass%とは、前記ネオジム鉄ホウ素永久磁石材料の基質における質量百分率を意味する。
【0048】
本発明において、前記Rは、好ましくは重希土類金属RHを含み、前記重希土類元素RHとは、ランタン系列元素のうち、原子番号が64以上である元素を指す。
【0049】
ここで、前記RHとは、一般的に、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu及びScのうちの1種又は複数種の重希土類元素である。好ましくは、前記RHは、Dyおよび/またはTbを含む。より好ましくは、前記RHは、Hoおよび/またはGdをさらに含む。より好ましくは、前記RHは、Dy及び/又はTbである。
【0050】
ここで、前記RHの含有量の範囲は、0~1.2mass%であることが好ましいが、0ではなく、mass%とは、前記ネオジム鉄ホウ素永久磁石材料の基質における質量百分率を意味する。
【0051】
ここで、前記RHがDyを含む場合、前記Dyの含有量の範囲は、0~0.6mass%であることが好ましいが、0ではなく、例えば0.1mass%であり、mass%とは、前記ネオジム鉄ホウ素永久磁石材料の基質における質量百分率を意味する。
【0052】
ここで、前記RHがTbを含む場合、前記Tbの含有量の範囲は、0.4~1.2mass%であることが好ましく、例えば0.9mass%、0.7mass%、0.6mass%、0.8mass%または1.1mass%であり、mass%とは、前記ネオジム鉄ホウ素永久磁石材料の基質における質量百分率を意味する。
【0053】
本発明において、前記Nbの含有量の範囲は、0.1~0.24mass%であることが好ましく、例えば0.14mass%または0.2mass%であり、mass%とは、前記ネオジム鉄ホウ素永久磁石材料の基質における質量百分率を意味する。
【0054】
本発明において、前記Cuの含有量の範囲は、0.35~0.4mass%であることが好ましく、例えば0.37mass%であり、mass%とは、前記ネオジム鉄ホウ素永久磁石材料の基質における質量百分率を意味する。
【0055】
本発明において、前記Alの含有量の範囲は、0~0.12mass%であることが好ましく、例えば0.03mass%であり、mass%とは、前記ネオジム鉄ホウ素永久磁石材料の基質における質量百分率を意味する。
【0056】
本発明において、前記Bの含有量の範囲は、0.925~0.955mass%であることが好ましく、例えば0.94mass%であり、mass%とは、前記ネオジム鉄ホウ素永久磁石材料の基質における質量百分率を意味する。
【0057】
本発明において、前記ネオジム鉄ホウ素永久磁石材料の基質には、Cがさらに含まれてもよい。前記Cの含有量の範囲は、0.1~0.2mass%であることが好ましく、例えば0.11mass%、0.15mass%、0.17mass%または0.12mass%であり、mass%とは、前記ネオジム鉄ホウ素永久磁石材料の基質における質量百分率を意味する。
【0058】
本発明において、前記ネオジム鉄ホウ素永久磁石材料の基質には、Oがさらに含まれてもよい。前記Oの含有量の範囲は、0.04~0.13mass%であることが好ましく、例えば0.1mass%、0.09mass%、0.05mass%、0.08mass%または0.11mass%であり、mass%とは、前記ネオジム鉄ホウ素永久磁石材料の基質における質量百分率を意味する。
【0059】
本発明において、前記ネオジム鉄ホウ素永久磁石材料の基質には、Coがさらに含まれてもよい。前記Coの含有量の範囲は、0.5~5mass%であることが好ましく、mass%とは、前記ネオジム鉄ホウ素永久磁石材料の基質における質量百分率を意味する。0.14mass%<Nbの含有量<0.25mass%である場合、前記Coは2.5~5.0mass%であることが好ましく、mass%とは、前記ネオジム鉄ホウ素永久磁石材料の基質における質量百分率を意味する。
【0060】
本発明において、前記ネオジム鉄ホウ素永久磁石材料の基質には、Mがさらに含まれてもよく、前記Mは、Zr、Ti及びHfのうちの1種又は複数種である。
【0061】
ここで、前記Mの含有量の範囲は、0~0.15mass%であることが好ましいが、0ではなく、mass%とは、前記ネオジム鉄ホウ素永久磁石材料の基質における質量百分率を意味する。
【0062】
ここで、前記MがTiを含む場合、前記Tiの含有量の範囲は、0~0.1mass%であることが好ましいが、0ではなく、例えば0.05mass%であり、mass%とは、前記ネオジム鉄ホウ素永久磁石材料の基質における質量百分率を意味する。
【0063】
本発明において、好ましくは、前記ネオジム鉄ホウ素永久磁石材料の基質は、質量百分率で下記の成分からなり、
Nd:29~30mass%
Dy:0~0.6mass%
Tb:0.4~1mass%
B:0.925~0.94mass%
Nb:0.1~0.2mass%
Cu:0.37~0.4mass%
Al:0~0.03mass%
C:0.11~0.12mass%
O:0.05~0.1mass%
Co:0.8~2.6mass%
Ti:0~0.1mass%、残部がFeである。
【0064】
本発明の好ましい実施形態において、損失を無視して前記ネオジム鉄ホウ素永久磁石材料の基質の成分及び含有量は、下記番号1~6のいずれか(mass%)とすることができる。
【0065】
本発明の第4の目的としては、ネオジム鉄ホウ素永久磁石材料が提供され、質量百分率で下記の成分を含み、
R:30.5~32mass%、前記Rは希土類元素であり、且つ前記RにはRHが含まれ、前記RHは重希土類金属であり、
Nb<0.25mass%、ただし、0ではなく、
Cu:0.35~0.5mass%
Al:0~0.2mass%
B:0.92~0.96mass%
Fe:60~70mass%、各成分の合計は100mass%であり、mass%とは、前記ネオジム鉄ホウ素永久磁石材料における質量百分率を意味する。
【0066】
本発明において、前記重希土類元素RHとは、ランタン系列元素のうち、原子番号が64以上である元素を指す。
【0067】
本発明において、前記Rの含有量の範囲は、好ましくは30.6~31.4mass%であり、例えば31.3mass%、30.8mass%または30.7mass%であり、mass%とは、前記ネオジム鉄ホウ素永久磁石材料における質量百分率を意味する。
【0068】
本発明において、前記RHの含有量の範囲は、好ましくは0.6~1.8mass%であり、例えば1.6mass%、1.4mass%、1.3mass%、1.1mass%または1.7mass%であり、mass%とは、前記ネオジム鉄ホウ素永久磁石材料における質量百分率を意味する。
【0069】
本発明において、前記RHとは、一般的に、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu及びScのうちの1種又は複数種の重希土類元素である。好ましくは、前記RHは、Dyおよび/またはTbを含む。より好ましくは、前記RHは、Hoおよび/またはGdをさらに含む。より好ましくは、前記RHは、Dy及び/又はTbである。
【0070】
ここで、前記RHがDyを含む場合、前記Dyの含有量の範囲は、0~0.6mass%であることが好ましいが、0ではなく、mass%とは、前記ネオジム鉄ホウ素永久磁石材料における質量百分率を意味する。
【0071】
ここで、前記RHがTbを含む場合、前記Tbの含有量の範囲は、1~1.5mass%であることが好ましく、例えば、1.4mass%、1.3mass%、または1.1mass%であり、mass%とは、前記ネオジム鉄ホウ素永久磁石材料における質量百分率を意味する。
【0072】
本発明において、前記Nbの含有量の範囲は、0.1~0.24mass%であることが好ましく、例えば0.14mass%または0.2mass%であり、mass%とは、前記ネオジム鉄ホウ素永久磁石材料における質量百分率を意味する。
【0073】
本発明において、前記Cuの含有量の範囲は、0.35~0.4mass%であることが好ましく、例えば0.37mass%であり、mass%とは、前記ネオジム鉄ホウ素永久磁石材料における質量百分率を意味する。
【0074】
本発明において、前記Alの含有量の範囲は、0~0.12mass%であることが好ましく、例えば0.03mass%であり、mass%とは、前記ネオジム鉄ホウ素永久磁石材料における質量百分率を意味する。
【0075】
本発明において、前記Bの含有量の範囲は、0.925~0.955mass%であることが好ましく、例えば0.94mass%であり、mass%とは、前記ネオジム鉄ホウ素永久磁石材料における質量百分率を意味する。
【0076】
本発明において、前記ネオジム鉄ホウ素永久磁石材料には、Cがさらに含まれてもよい。前記Cの含有量の範囲は、0.1~0.2mass%であることが好ましく、例えば0.11mass%、0.15mass%、0.17mass%または0.12mass%であり、mass%とは、前記ネオジム鉄ホウ素永久磁石材料における質量百分率を意味する。
【0077】
本発明において、前記ネオジム鉄ホウ素永久磁石材料には、Oがさらに含まれてもよい。前記Oの含有量の範囲は、0.04~0.13mass%であることが好ましく、例えば0.1mass%、0.09mass%、0.05mass%、0.08mass%または0.11mass%であり、mass%とは、前記ネオジム鉄ホウ素永久磁石材料における質量百分率を意味する。
【0078】
本発明において、前記ネオジム鉄ホウ素永久磁石材料には、Coがさらに含まれることが好ましい。前記Coの含有量の範囲は、0.5~5mass%であることが好ましく、mass%とは、前記ネオジム鉄ホウ素永久磁石材料における質量百分率を意味する。0.14mass%<Nbの含有量<0.25mass%である場合、前記Coは2.5~5.0mass%であることが好ましく、mass%とは、前記ネオジム鉄ホウ素永久磁石材料における質量百分率を意味する。
【0079】
本発明において、前記ネオジム鉄ホウ素永久磁石材料には、Mがさらに含まれてもよく、前記Mは、Zr、Ti及びHfのうちの1種又は複数種である。
【0080】
ここで、前記Mの含有量の範囲は、0~0.15mass%であることが好ましいが、0ではなく、mass%とは、前記ネオジム鉄ホウ素永久磁石材料における質量百分率を意味する。
【0081】
ここで、前記MがTiを含む場合、前記Tiの含有量の範囲は、0~0.1mass%であることが好ましいが、0ではなく、例えば0.05mass%であり、mass%とは、前記ネオジム鉄ホウ素永久磁石材料における質量百分率を意味する。
【0082】
本発明において、好ましくは、前記ネオジム鉄ホウ素永久磁石材料は、質量百分率で下記の成分からなり、
Nd:29~30mass%
Dy:0~0.6mass%
Tb:1~1.4mass%
B:0.925~0.94mass%
Nb:0.1~0.2mass%
Cu:0.37~0.4mass%
Al:0~0.03mass%
C:0.11~0.12mass%
O:0.05~0.1mass%
Co:0.8~2.6mass%
Ti:0~0.1mass%、残部がFeである。
【0083】
本発明の好ましい実施形態において、前記ネオジム鉄ホウ素永久磁石材料の成分及び含有量は、下記番号1~6のいずれか(mass%)とすることができる。
【0084】
本発明の第5の目的としては、ネオジム鉄ホウ素永久磁石材料の基質の製造方法が提供され、前記製造方法は、下記のステップを含み:上記のネオジム鉄ホウ素永久磁石材料を製造するための原料組成物を溶解製錬し、即ち合金片を得、そして、前記合金片を製粉、成型、焼結すればよい。
【0085】
本発明において、前記合金片の厚さは0.2mm~0.4mmであり、例えば0.3mmである。
【0086】
本発明において、好ましくは、前記合金片は、上記ネオジム鉄ホウ素永久磁石材料の合金片である。
【0087】
本発明において、前記溶解製錬の操作及び条件は本分野の通常の溶解製錬工程であってもよく、一般的に、前記ネオジム鉄ホウ素永久磁石材料の原料組成物をインゴット工程及びストリップキャスティング工程により溶解製錬鋳造し、合金片を得る。
【0088】
当業者が分かるように、希土類元素が通常溶解製錬及び焼結工程において損失してしまうため、最終製品の品質を確保するために、一般的に溶解製錬過程において、原料組成物の製剤に希土類元素(一般的にNd元素である)を余分に0~0.3mass%添加し、パーセントとは、余分に添加された希土類元素の質量が前記原料組成物の総質量に占める質量百分率を意味する。また、この余分に添加された希土類元素の含有量は原料組成物の範囲に含まれない。
【0089】
本発明において、前記溶解製錬の温度は、1300~1700℃であってもよい。
【0090】
本発明において、前記溶解製錬の装置は、一般的に高周波真空溶解炉、例えば高周波真空誘導急速凝固メルトスピニング炉である。
【0091】
本発明において、前記製粉の操作及び条件は本分野の通常の製粉工程であってもよく、一般的に、水素破砕の製粉及びジェットミル製粉を含む。
【0092】
ここで、前記水素破砕の製粉は、一般的に、水素吸収、脱水素、冷却処理を含む。前記水素吸収の温度は、一般的に、20~200℃である。前記脱水素の温度は、一般的に、400~650℃である。前記水素吸収の圧力は、一般的に、50~600kPaである。
【0093】
ここで、前記ジェットミル製粉は、一般的に、0.1~2MPa、好ましくは0.5~0.7MPaの条件下で行われる。前記ジェットミル製粉におけるガス流は、例えば窒素ガス及び/又はアルゴンガスとすることができる。前記ジェットミル製粉の効率は、装置によって異なり、例えば、30~400kg/hとすることができ、さらに、例えば、200kg/hである。
【0094】
ここで、前記ジェットミル製粉後の粉末粒径D50は、3μm~8μmであることができ、例えば、D50は4μmである。
【0095】
本発明では、前記ジェットミル製粉の過程において、一般的に酸素含有量を100ppm以下に制御する必要がある。酸素含有量を制御する手段は、本分野の通常のものとすることができる。
【0096】
本発明において、前記成型の操作及び条件は、本分野における通常の成型工程であることができる。例えば、磁場成型方法である。前記磁場成型方法の磁場強度は、一般的に、1.5T以上である。
【0097】
本発明において、前記焼結の操作及び条件は、本分野における通常の焼結工程であることができ、例えば、真空焼結工程及び/又は不活性雰囲気焼結工程である。前記真空焼結工程又は前記不活性雰囲気焼結工程は、すべて本分野における通常の操作である。不活性雰囲気を利用して焼結工程を行う場合、前記焼結の開始段階は、真空度5×10-1Pa未満、例えば、10-3Paの条件下で行われることができる。前記不活性雰囲気は、本分野の通常の不活性ガスを含む雰囲気であってもよく、ヘリウムガス、アルゴンガスに限定されない。
【0098】
本発明において、前記焼結の温度は、1000~1200℃、好ましくは、1030~1090℃とすることができる。前記焼結の時間は、0.5~10h、好ましくは、2~8hとすることができる。
【0099】
本発明の第6の目的としては、ネオジム鉄ホウ素永久磁石材料の基質が提供され、それは、上記の製造方法で製造されている。
【0100】
本発明の第7の目的としては、ネオジム鉄ホウ素永久磁石材料の製造方法が提供され、前記製造方法は、以下のステップを含み、上記のネオジム鉄ホウ素永久磁石材料の基質を粒界拡散すればよい。
【0101】
本発明において、前記粒界拡散処理は、本分野の通常の工程に従って処理されることができ、例えば、重希土類金属のコーティング操作、物理気相成長操作または蒸着操作により粒界拡散処理を実現する。
【0102】
ここで、前記重希土類金属は、Dyおよび/またはTbを含む。前記重希土類金属の含有量の範囲は、0~0.6mass%であることが好ましいが、0ではなく、mass%とは、前記ネオジム鉄ホウ素永久磁石材料における質量百分率を意味する。
【0103】
ここで、前記重希土類金属は、一般的にフッ化物の形態、例えば、フッ化テルビウムまたはフッ化ジスプロシウムでコーティングされ、導入されたフッ素元素は、最終的な磁石成分の元素範囲に含まれない。
【0104】
前記物理気相成長操作とは、一般的にマグネトロンプラズマスパッタリングを指し、重希土類Dyおよび/またはTbターゲットを不活性ガスで衝突させ、重希土類Dyおよび/またはTbイオンを生成し、磁場の制御によって基材表面に均一に付着させることである。
【0105】
前記蒸着法とは、一般的に、重希土類Dyおよび/またはTbにより一定の真空度(例えば0.05~5Pa)及び一定の温度(例えば500~900℃)で重希土類Dyおよび/またはTbの蒸気を生成し、重希土類元素が基材の表面に豊富に集まっていることを指す。
【0106】
本発明において、前記粒界拡散の温度は、800~1000℃、例えば850℃であってもよい。
【0107】
本発明において、前記粒界拡散の時間は、12~90h、例えば24hであってもよい。
【0108】
本発明において、前記の粒界拡散の後に、本分野の常法に従って熱処理をさらに行う。
【0109】
本発明において、前記熱処理の温度は、470℃~510℃であってもよい。
【0110】
本発明において、前記熱処理の時間は、2~4時間、例えば3時間であってもよい。
【0111】
本発明において、原料の純度及び製造工程の影響のため、導入されたCとOの不純物は、原料組成物及び合金片製品の範囲内に含まれない。製造工程では、一般的に潤滑剤等が添加され、導入された炭素不純物の含有量は、本分野の通常のものであり、一般的に0.1~0.2mass%である。導入された酸素不純物の含有量は、本分野の通常のものであり、一般的に1300ppm以下である。
【0112】
本発明の第8の目的としては、ネオジム鉄ホウ素永久磁石材料が提供され、それは、上記の製造方法で製造されている。
【0113】
本分野の周知常識に準拠したうえで、上記の各々の好ましい条件を任意に組み合わせることによって、本発明の各々の好ましい実施例を得ることができる。
【0114】
本発明に使用されている試薬および原料は、いずれも市販されている。
【発明の効果】
【0115】
本発明の積極的な進歩的効果は、以下の点にある。
1)本発明のネオジム鉄ホウ素永久磁石材料の角型比は良好であり、いずれも99%以上であり、
2)本発明のネオジム鉄ホウ素永久磁石材料の温度性能が良好であり、20~150℃ Hcjの温度係数|β|は、いずれも0.404%~0.414%であり、
3)本発明のネオジム鉄ホウ素永久磁石材料の熱処理温度区間が広くて、470~510℃であり、
4)本発明のネオジム鉄ホウ素永久磁石材料は、Br≧14kGs、保磁力≧25kOeであり、ここで、「Br」とは、残留磁束密度を指す。「Hcj」とは、保磁力を指す。
【図面の簡単な説明】
【0116】
図1図1は、実施例2における合金片の微細構造図である。
【発明を実施するための形態】
【0117】
以下、実施例の態様により本発明をさらに説明するが、本発明を実施例の範囲に制限するものではない。以下の実施例において、具体的な条件が明記されない実験方法は、通常の方法及び条件に従って、または商品仕様書に応じて選択される。
実施例1~6及び比較例1~5
【0118】
表1 ネオジム鉄ホウ素永久磁石材料を製造するための原料組成物(mass%
注:「/」は、当該元素が含まれていないことを表す。
【0119】
ネオジム鉄ホウ素永久磁石材料の製造方法は以下の通りである。
【0120】
本発明の各実施例および比較例において、導入される炭素の不純物、酸素の不純物の含有量は、本分野における通常の含有量である。
(1)溶解製錬及び鋳造工程:表1に示す成分に従って、調製した表1原料をアルミナ製の坩堝に入れ、高周波真空溶解炉において0.05Paの真空中で1500℃の条件で真空溶解製錬した。高周波真空誘導急速凝固メルトスピニング炉にアルゴンガスを導入して鋳造し、そして、合金を急冷し、合金片を得た。
(2)水素破砕製粉工程:急冷合金を置く水素破砕用炉を室温で真空引きした後、純度99.9%の水素ガスを水素破砕用炉内に導入して水素ガス圧力を90kPaに維持する。水素吸収を十分に行った後、真空引きしながら昇温し、十分に脱水素する。その後、冷却し、水素破砕した粉末を取り出す。粒径D50は、400μmである。ここで、水素吸収の温度は室温であり、脱水素の温度は、550℃である。
(3)ジェットミル製粉工程:水素破砕した粉末を、窒素ガス雰囲気下(酸素含有量を100ppm以下に制御する必要があり、酸素含有量が100ppm以下である場合、一般的に酸素含有量は、製造された材料に影響を与えない)及び粉砕室圧力0.65MPaの条件下でジェットミル粉砕し(ジェットミル製粉の効率は、装置によって異なり、例えば、200kg/hとすることができる)、微粉を得、粒径D50は4μmである。
(4)成型工程:ジェットミル粉砕した粉末を1.5T以上の磁場強度で成型する。
(5)焼結工程:各成型体を焼結炉に搬入して焼結し、10-3Paの真空下かつ1030~1090℃で2~8h焼結し、ネオジム鉄ホウ素永久磁石材料の基質を得た。
(6)粒界拡散の工程:ネオジム鉄ホウ素永久磁石材料の基質の表面を清浄化した後、それぞれDyのフッ化物またはTbのフッ化物により調製された原料(導入されたフッ素元素は最終的な磁石成分に含まれない)を用いて、磁石に全面噴霧してコーティングし、コーティングした磁石を乾燥し、高純度のArガス雰囲気で、850℃の温度で24時間拡散熱処理する。室温まで冷却された。そして、470~510℃の温度で3時間熱処理を行い、即ちネオジム鉄ホウ素永久磁石材料を得、ネオジム鉄ホウ素永久磁石材料の成分の含有量を以下の表2に示す。
【効果実施例】
【0121】
実施例1~6及び比較例1~5で得られたネオジム鉄ホウ素永久磁石材料をそれぞれ採取し、その磁気性能、成分および温度係数を測定する。
【0122】
(1)ネオジム鉄ホウ素永久磁石材料の各成分に対して、高周波誘導結合プラズマ発光分光分析装置(ICP-OES Icap6300)を用いて測定した。以下の表2に示されるのは、成分検出の結果である。
【0123】
表2 ネオジム鉄ホウ素永久磁石材料(mass%
注:「/」は、当該元素が含まれていないことを表す。
【0124】
(2)磁気特性の評価:焼結磁石は、中国計量院のNIM-10000H型BH大塊希土類永久磁石非破壊測定システムを用いて磁気特性検出を行った。以下の表3に示されるのは、磁気特性の検出結果及び温度係数絶対値の計算結果である。
【0125】
(3)温度安定性の試験:温度安定性は、一般的に、各磁気特性の温度変化係数で表され、温度が1℃変化するごとに磁気特性が変化する百分率を指し、永久磁石材料の磁気特性が外部温度場で変化しないことを保つ能力が示され、その絶対値は小さいほど良好になる。温度係数の絶対値の計算式は以下のとおりである。
計算結果は、以下の表3に示されている。
【0126】
表3
「Br」とは、残留磁束密度を指す。「Hcj」とは、保磁力を指す。
【0127】
(4)合金片の微細構造検出:実施例2の合金片を選択してカー効果顕微鏡で観察し、試験の方法は、合金片の断面を象眼、研磨し、カー効果顕微鏡に置いて200倍拡大して撮影し、撮影する時にロール表面は視野下辺と平行であることである。測定する時には、視野の中心位置に長さ445μmの直線を描き、直線を通る初晶の個数を数え、図1に示されるように、初晶の平均粒径を算出し、算出した結果、平均粒径は15.3μmである。
図1