IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ シャンハイ バンバン ロボティクス カンパニー,リミテッドの特許一覧

<>
  • 特許-全方向ホイール及び移動デバイス 図1
  • 特許-全方向ホイール及び移動デバイス 図2
  • 特許-全方向ホイール及び移動デバイス 図3
  • 特許-全方向ホイール及び移動デバイス 図4
  • 特許-全方向ホイール及び移動デバイス 図5
  • 特許-全方向ホイール及び移動デバイス 図6
  • 特許-全方向ホイール及び移動デバイス 図7
  • 特許-全方向ホイール及び移動デバイス 図8
  • 特許-全方向ホイール及び移動デバイス 図9
  • 特許-全方向ホイール及び移動デバイス 図10
  • 特許-全方向ホイール及び移動デバイス 図11
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-18
(45)【発行日】2023-05-26
(54)【発明の名称】全方向ホイール及び移動デバイス
(51)【国際特許分類】
   B60B 19/00 20060101AFI20230519BHJP
【FI】
B60B19/00 H
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2022563076
(86)(22)【出願日】2022-01-29
(86)【国際出願番号】 CN2022074986
(87)【国際公開番号】W WO2022237242
(87)【国際公開日】2022-11-17
【審査請求日】2022-10-17
(31)【優先権主張番号】202110510642.6
(32)【優先日】2021-05-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】522342787
【氏名又は名称】シャンハイ バンバン ロボティクス カンパニー,リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】リ,ジアングォ
(72)【発明者】
【氏名】リウ,ジエ
(72)【発明者】
【氏名】リ,ヨンチアン
(72)【発明者】
【氏名】ワン,シャオドン
(72)【発明者】
【氏名】ジアン,シウェイ
(72)【発明者】
【氏名】リウ,ボフェン
【審査官】池田 晃一
(56)【参考文献】
【文献】中国実用新案第207241302(CN,U)
【文献】特開2021-075147(JP,A)
【文献】中国実用新案第203957704(CN,U)
【文献】中国実用新案第209351172(CN,U)
【文献】中国実用新案第2635404(CN,Y)
【文献】韓国公開特許第10-2010-0038861(KR,A)
【文献】韓国公開特許第2002-0063737(KR,A)
【文献】韓国公開特許第1999-0000611(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60B 19/00 - 19/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
全方向ホイールであって、前記全方向ホイールは、ハブ支持具と、前記ハブ支持具にそれぞれ連結する複数のローラー部材と、を含み、
前記ローラー部材は、第1のローラーアセンブリと第2のローラーアセンブリとを含み、前記第1のローラーアセンブリは、ローラー支持具と、前記ローラー支持具に配置されている第1のローラー構造と、を含み、前記第2のローラーアセンブリは、第2の軸と、前記第2の軸に取り付けられている第2のローラー構造と、を含み、
1つの前記ローラー部材には、前記第2のローラー構造が前記ローラー支持具と前記第2の軸との間に制限され、複数の前記ローラー部材が前記ハブ支持具の周方向に沿って配置されることにより、各ローラー部材における第1のローラー構造と第2のローラー構造が共同に全周のローラー構造を形成し、
前記ローラー支持具には、第1の連結構造がさらに配置されており、前記第2の軸は、第2の軸の本体及び前記第2の軸の本体の外周面から突出して配置されている制限部を含み、
1つの前記ローラー部材には、前記第2の軸の本体と前記第1の連結構造とが係止連結され、前記第2のローラー構造を前記制限部と前記第1の連結構造との間に制限する、全方向ホイール。
【請求項2】
前記第2の軸の本体と前記第1の連結構造とは螺合して係止される、請求項に記載の全方向ホイール。
【請求項3】
前記第1の連結構造は、前記ローラー支持具の周方向の一端に配置されており、第2の連結構造は、前記ローラー支持具の周方向の他端に配置されており、前記第2の連結構造は、隣接するローラー部材の第2の軸の本体の端部と挿入接続することに使用され、複数の前記ローラー部材は、円周方向に沿って端と端を接合し、前記第1のローラー構造と前記第2のローラー構造が交互に配置された全周のローラー構造は形成される、請求項に記載の全方向ホイール。
【請求項4】
前記第2の連結構造と、前記第2の連結構造と挿入接続する第2の軸の本体にある制限部とを、密着する又は互いに圧着する、請求項に記載の全方向ホイール。
【請求項5】
前記第2の連結構造には、隣接するローラー部材の第2の軸の本体の端部が挿入可能な挿入孔が設けられており、前記挿入孔と、前記挿入孔と挿入接続する第2の軸の本体の端部と、の両者の少なくとも一方には、前記挿入接続の動きを案内するための案内面が設けられている、請求項に記載の全方向ホイール。
【請求項6】
前記第2の軸の本体と前記第1の連結構造とは、第1の係止構造によって係止連結され、
前記第1の係止構造は、第1のボルトを含み、前記第1のボルトによって、前記第1の連結構造と前記第2の軸の本体とは、固定して連結され、または、
前記第2の軸はボルトであり、前記第2の軸は、第2のヘッド部と第2のロッド部とを含み、前記第2のロッド部は、前記第2のローラー構造を貫通して前記第1の連結構造と螺合し、前記第2のヘッド部が前記制限部を構成し、前記第2の軸が前記第1の係止構造を構成し、または、
前記第2の軸はボルトであり、前記第2の軸は、第2のヘッド部と第2のロッド部とを含み、前記第2のロッド部は、前記第1の連結構造と前記第2のローラー構造とを貫通し、前記第2のヘッド部は前記第1の連結構造と係止連結され、前記制限部は前記第2のロッド部を貫通することで、前記第2のローラー構造を前記制限部と前記第1の連結構造との間に制限する、請求項に記載の全方向ホイール。
【請求項7】
前記第2のローラー構造は、第2のローラーと第2の軸受とを含み、前記第2のローラーは、前記第2の軸受を介して前記第2の軸に回転可能に取り付けられており、前記第2の軸受の内輪は、前記制限部と前記第1の連結構造との間に挟持されている、請求項のいずれか1項に記載の全方向ホイール。
【請求項8】
前記ローラー支持具は、対向して配置されている第1の支持部と第2の支持部と、前記第1の支持部と前記第2の支持部とを連結する第1の連結部と、前記第1の連結部と前記ハブ支持具とを連結する第2の連結部と、を含み、前記第1の連結構造は、前記第1の連結部と前記第2の支持部とが交わる位置に設けられており、
前記第1のローラーアセンブリは、さらに、第1の軸を含み、前記第1のローラー構造は前記第1の軸に取り付けられており、
前記第1の支持部と、前記第2の支持部と、前記第1の軸とを係止連結することで、前記第1のローラー構造を前記第1の支持部と前記第2の支持部との間に制限する、請求項のいずれか1項に記載の全方向ホイール。
【請求項9】
前記第1の軸はボルトであり、前記第1の軸は、第1のヘッド部と第1のロッド部とを含み、前記第1のロッド部は、前記第1の支持部と前記第1のローラー構造とを貫通して前記第2の支持部と螺合し、前記第1の軸は第2の係止構造を構成する、請求項に記載の全方向ホイール。
【請求項10】
前記第1のローラー構造は、第1のローラーと第1の軸受とを含み、前記第1のローラーは、前記第1の軸受を介して前記第1の軸に回転可能に取り付けられており、前記第1の軸受の内輪は、前記第1の支持部と前記第2の支持部との間に挟持されている、請求項に記載の全方向ホイール。
【請求項11】
前記ローラー支持具は、前記ローラー部材と前記ハブ支持具とを連結するための第2の連結部を含み、前記ハブ支持具は、各前記ローラー部材の第2の連結部と連結するための取付部を複数含む、請求項~1のいずれか1項に記載の全方向ホイール。
【請求項12】
前記取付部は、前記第2の連結部の前記取付部への取り付けを案内及び制限するための案内溝を含む、請求項1に記載の全方向ホイール。
【請求項13】
移動デバイスであって、本体と、前記本体に取り付けられている、請求項1~1のいずれか1項に記載の全方向ホイールと、を含む、移動デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、移動装置技術の分野に関し、特に、全方向ホイール及び移動デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
全方向ホイール(omni wheels)は、複数のローラーで構成された大きなローラーであり、全方向ホイール全体は、ハブを中心に回転し、各ローラーがそれぞれの中心を中心に回転できるため、前転することも、左右にスライドすることもできる。ロボットなどの移動デバイスは、複数の全方向ホイールを組み合わせることで、360度の全方向移動を実現することができる。
【0003】
全方向ホイールは、一般的に、単列全方向ホイールと多列全方向ホイールに分けられ、多列全方向ホイールが交互に配置された多列の小さなローラーによって投影連続のタイヤ面を構成する。ローラーは多列構造であるため、でこぼこ路面で使用されるとき、ローラー支持具が障害物と衝突しやすく、使用に不便をもたらしている。また、多列構造であるため、構造が複雑で、部品が多く、生産コストが高くて組み立てが複雑である。一方、単列全方向ホイールが相互に嵌め込まれた小さなローラーによって連続のタイヤ面を構成しているため、多列全方向ホイールのような問題が存在しない。しかし、単列全方向ホイールは、各従動輪間の隙間が大きく、車輪全体の連続性が悪いため、比較的大きな騒音や振動が発生する。
【0004】
通常、連続性問題を解決するために、大きなローラーと小さなローラーが1つの支持具を共用する解決案を使用することで、大きなローラーと小さなローラーとの間の隙間をより小さくさせるが、実際に応用するとき、依然として騒音や振動が発生しやすく、運行安定性が悪い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の問題を鑑みて、本発明の実施例は、運動安定性がよく、騒音や振動が小さい、全方向ホイール及び移動デバイスを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、本発明の実施例は、次の技術案を提供する。
【0007】
第1の態様では、本発明の実施例は、全方向ホイールを提供し、前記全方向ホイールは、ハブ支持具及び前記ハブ支持具にそれぞれ連結する複数のローラー部材を含み、前記ローラー部材は、第1のローラーアセンブリと第2のローラーアセンブリとを含み、前記第1のローラーアセンブリは、ローラー支持具と前記ローラー支持具に配置されている第1のローラー構造とを含み、前記ローラー支持具には、第1の連結構造が配置されており、前記第2のローラーアセンブリは、第2の軸と前記第2の軸に取り付けられている第2のローラー構造とを含み、前記第2の軸は、第2の軸の本体及び前記第2の軸の本体の外周面から突出して配置されている制限部を含み、1つの前記ローラー部材には、前記第2の軸の本体と前記第1の連結構造とが係止連結され、前記第2のローラー構造を前記制限部と前記第1の連結構造との間に制限し、複数の前記ローラー部材が前記ハブ支持具の周方向に沿って配置されることにより、各ローラー部材の第1のローラー構造と第2のローラー構造が共同に全周のローラー構造を形成する。
【0008】
本発明の実施例により提供される全方向ホイールは、次の利点がある。
1つのローラー部材には、ローラー支持具が1つのみ配置されており、1つのローラー支持具を使用して2つのローラーの取り付けを実現し、具体的には、第2のローラーアセンブリの第2の軸と、第1のローラーアセンブリのローラー支持具にある第1の連結構造と、を固定連結することで、ローラー間の隙間をより小さくし、全方向ホイール外輪郭の完全性を確保する。さらに、第2の軸に制限部を配置し、第2の軸の本体と第1の連結構造とを係止連結することにより、制限部と第1の連結構造とを使用して、第2のローラー構造を制限し、第2のローラー構造は、全方向ホイールの走行中に、揺れたり遊んだりしないように確保され、それによって、全方向ホイールの振動や騒音は低下し、運行の安定性及び使用快適感は向上する。
【0009】
本発明の実施例に係る全方向ホイールの改善として、前記第1の連結構造は、前記ローラー支持具の周方向の一端に配置されており、第2の連結構造は、前記ローラー支持具の周方向の他端に配置されており、前記第2の連結構造は、隣接するローラー部材の第2の軸の本体の端部と挿入接続することに使用され、複数の前記ローラー部材は、円周方向に沿って端と端を接合し、前記第1のローラー構造と前記第2のローラー構造が交互に配置された全周のローラー構造は形成される。
【0010】
本発明の実施例に係る全方向ホイールのさらなる改善として、前記第2の連結構造と、前記第2の連結構造と挿入接続する第2の軸の本体にある制限部とは、密着する又は互いに圧着し、及び/又は、前記第2の連結構造には、隣接するローラー部材の第2の軸の本体の端部が挿入可能な挿入孔が設けられており、前記挿入孔と、前記挿入孔と挿入接続する第2の軸の本体の端部と、の両方の少なくとも一方には、前記挿入接続の動きを案内するための案内面が設けられている。
【0011】
本発明の実施例に係る全方向ホイールのさらなる改善として、前記第2の軸の本体と前記第1の連結構造とは、第1の係止構造によって係止連結され、前記第1の係止構造は、第1のボルトを含み、前記第1のボルトによって、前記第1の連結構造と前記第2の軸の本体とは、固定して連結され、または、前記第2の軸はボルトであり、前記第2の軸は、第2のヘッド部と第2のロッド部とを含み、前記第2のロッド部は、前記第2のローラー構造を貫通して前記第1の連結構造と螺合し、前記第2のヘッド部が前記制限部を構成し、前記第2の軸が前記第1の係止構造を構成し、または、前記第2の軸はボルトであり、前記第2の軸は、第2のヘッド部と第2のロッド部とを含み、前記第2のロッド部は、前記第1の連結構造と前記第2のローラー構造とを貫通し、前記第2のヘッド部は前記第1の連結構造と係止連結し、前記制限部は前記第2のロッド部を貫通することで、前記第2のローラー構造を前記制限部と前記第1の連結構造との間に制限する。
【0012】
本発明の実施例に係る全方向ホイールのさらなる改善として、前記第2のローラー構造は、第2のローラーと第2の軸受とを含み、前記第2のローラーは、前記第2の軸受を介して前記第2の軸に回転可能に取り付けられており、前記第2の軸受の内輪は、前記制限部と前記第1の連結構造との間に挟持されている。
【0013】
本発明の実施例に係る全方向ホイールのさらなる改善として、前記ローラー支持具は、対向して配置されている第1の支持部と第2の支持部と、前記第1の支持部と前記第2の支持部とを連結する第1の連結部と、前記第1の連結部と前記ハブ支持具とを連結する第2の連結部と、を含み、前記第1の連結構造は、前記第1の連結部と前記第2の支持部とが交わる位置に設けられており、前記第1のローラーアセンブリは、さらに、第1の軸を含み、前記第1のローラー構造は前記第1の軸に取り付けられており、前記第1の支持部と、前記第2の支持部と、前記第1の軸とを係止連結することで、前記第1のローラー構造を前記第1の支持部と前記第2の支持部との間に制限する。
【0014】
本発明の実施例に係る全方向ホイールのさらなる改善として、前記第1の軸はボルトであり、前記第1の軸は、第1のヘッド部と第1のロッド部とを含み、前記第1のロッド部は、前記第1の支持部と前記第1のローラー構造とを貫通して前記第2の支持部と螺合し、前記第1の軸は前記第2の係止構造を構成する。
【0015】
本発明の実施例に係る全方向ホイールのさらなる改善として、前記第1のローラー構造は、第1のローラーと第1の軸受とを含み、前記第1のローラーは、前記第1の軸受を介して前記第1の軸に回転可能に取り付けられており、前記第1の軸受の内輪は、前記第1の支持部と前記第2の支持部との間に挟持されている。
【0016】
本発明の実施例に係る全方向ホイールのさらなる改善として、前記ローラー支持具は、前記ローラー部材と前記ハブ支持具とを連結するための第2の連結部を含み、前記ハブ支持具は、各前記ローラー部材の第2の連結部と連結するための取付部を複数含み、前記取付部は、前記第2の連結部の前記取付部への取り付けを案内及び制限するための案内溝を含む。
【0017】
第2の態様では、本発明の実施例は、本体、並びに前記本体に取り付けられている、前記した全方向ホイールを含む、移動デバイスを提供する。
【発明の効果】
【0018】
本発明の実施例により提供される移動デバイスは、上記の全方向ホイールを使用したものであるため、当該移動デバイスの全方向ホイールは、運行が安定で、且つ騒音や振動が低い。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の一実施例により提供される全方向ホイールの斜視図である。
図2】本発明の一実施例により提供される全方向ホイールの正面図である。
図3】本発明の一実施例により提供される全方向ホイールのハブ支持具と各ローラー部材との間の分解図である。
図4図3の1つのローラー部材の構造概略図である。
図5図4に示されるローラー部材の断面図である。
図6図5の第1のローラーの断面図である。
図7図5の第2のローラーの断面図である。
図8】本発明の一実施例により提供される全方向ホイールのローラー部材におけるローラー支持具の斜視図である。
図9】本発明の一実施例により提供される全方向ホイールの断面図である。
図10図9のA部の一部拡大図である。
図11】本発明の一実施例により提供される全方向ホイールのハブ支持具の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
関連技術において、全方向ホイールは、大きなローラーと小さなローラーが1つの支持具を共用し、大きなローラーと小さなローラーとの連結構造は、次の通りである。小さなローラーの支持具の片側から1つの取付軸が延出し、大きなローラーの軸は取付軸に嵌設され、締付具によって大きなローラーの軸と取付軸とを固定する。大きなローラーとその軸の間に軸受を設けることで、大きなローラーのその軸に対する回転を実現する。このような構造配置を使用すると、大きなローラーと小さなローラーはより接近することができるが、実際に応用するとき、依然として騒音や振動が発生しやすく、運行安定性も悪い。
【0021】
本願の発明者が研究した結果、上記の構造を備える全方向ホイールが発生する騒音や振動は、主に大きなローラーによって発生しており、大きなローラーの軸は、小さなローラーの支持具に固定されており、大きなローラー自体は、軸受を介して軸に支持されており、位置制限は形成されておらず、全方向ホイールの走行中に、大きなローラーは、揺れたり遊んだりしやすいため、騒音や振動が発生し、運行安定性が悪いことを発見した。また、大きなローラーの軸と取付軸とを連結する締付具の軸線は、大きなローラーの軸の軸線と一致せず、組立中及び全方向ホイールの使用中に、受力の不均一による局所の停滞現象は発生しやすく、これによって、全方向ホイール運行の安定性は影響される。
【0022】
他の関連技術において、2つの小さなローラー支持具を使用して大きなローラーを固定する手段は、組立精度が高く求められているとともに、周方向上の誤差が非常に蓄積されやすいため組立不可又は隙間の大きすぎる組立となり、組立不可な場合、各構造部材を再加工する必要があり、生産効率に影響を及ぼし、生産コストが増加するが、隙間の大きすぎる組立となる場合、組立後の全方向ホイールは、大きな騒音や振動が発生し、運行安定性が悪い。
【0023】
そこで、本発明の実施例は、全方向ホイールを提供し、第2の軸に制限部を配置し、ローラー支持具と第2の軸との係止を利用して、第2のローラー構造に対する軸方向制限を実現し、これによって、第2のローラー構造は、全方向ホイールの走行中に、揺れたり遊んだりしないように確保され、全方向ホイールの振動や騒音はさらに低下し、運行の安定性及び使用快適感は向上する。
【0024】
本発明の実施例の上記した目的、特徴及び利点をより明瞭に且つ理解しやすくするために、以下、本発明の実施例に係る図面を参照しながら、その技術案について明瞭、且つ完全に説明し、当然のことながら、記載される実施例は本発明の実施例の一部にすぎず、そのすべての実施例ではない。当業者は、本発明における実施例に基づいて創造的な労働をすることなく、獲得されたその他のすべての実施例は、いずれも本発明の保護範囲に属する。
【0025】
図1は、本発明の一実施例により提供される全方向ホイールの斜視図であり、図2は、本発明の一実施例により提供される全方向ホイールの正面図であり、図3は、本発明の一実施例により提供される全方向ホイールのハブ支持具と各ローラー部材との間の分解図である。
【0026】
図1図3に示すように、本発明の実施例により提供される全方向ホイールは、ハブ支持具10と、ハブ支持具10にそれぞれ連結する複数のローラー部材20と、を含む。ハブ支持具10は移動デバイスと連結することで、全方向ホイールは、移動デバイスに取り付けられるように形成され、これによって、移動デバイスは、全方向ホイールを利用して各方向の走行運動を行うことができるようになる。複数のローラー部材20は、全方向ホイールの周方向に沿って配置され、全周のローラー構造が形成されるようにすることに使用され、その外輪郭が完全な連続のタイヤ面を形成する(詳細は後述する)。
【0027】
図4は、図3の1つのローラー部材の構造概略図である。図4に示すように、ローラー部材20は、第1のローラーアセンブリ21と第2のローラーアセンブリ22とを含み、第1のローラーセンブリ21は、ローラー支持具211とローラー支持具211に配置されている第1のローラー構造とを含み、第1のローラー構造は、ローラー支持具211に回転可能に配置されている第1のローラー212を少なくとも含む。
【0028】
図5は、図4に示されるローラー部材の断面図である。図5に示すように、第2のローラーアセンブリ22は、第2の軸221と第2の軸221に取り付けられている第2のローラー構造とを含み、第2のローラー構造は、第2の軸221に対して回転可能な第2のローラー222を少なくとも含む。第2のローラーアセンブリ22は、ローラー支持具211に取り付けられている。このようにして、1つのローラー支持具211を使用して2つのローラーの取り付けを実現することにより、ローラー間の隙間がより小さくなり、全方向ホイール外輪郭の完全性が確保される。2つのローラーが1つのローラー支持具211を共用するため、ハブ支持具10の構造をより簡素化し、生産コストを節約し、組立効率を向上させることができる。
【0029】
第2の軸221は、第2の軸の本体2211及び第2の軸の本体2211の外周面から突出して配置されている制限部2212を含み、ローラー支持具211には、第1の連結構造2111が配置されており、1つのローラー部材20には、第2の軸の本体2211と第1の連結構造2111が係止連結され、例えば、ローラー部材20は、さらに、第1の係止構造を含み、第2の軸の本体2211と第1の連結構造2111とが第1の係止構造によって係止されることにより、第2のローラー構造は、制限部2212と第1の連結構造2111との間に制限されるように形成され、即ち、制限部2212と第1の連結構造2111を使用して、第2のローラー構造に対して軸方向の制限を形成し、第2のローラー222が全方向ホイールの走行中に揺れたり遊んだりしないように確保し、それによって、全方向ホイールの振動や騒音は低下し、運行の安定性及び使用快適感は向上する。また、第1の係止構造の係止度合を調整することで、第2のローラー構造の軸方向位置をさらに微調整することができ、これによって、全方向ホイールの振動や騒音問題はさらに改善する。さらに、第2のローラー構造は制限されているため、ハブ支持具10は、簡単な支持形式を使用することができ、生産コストを低下させる上に、全方向ホイールの強度及び荷重能力を確保することができる。
【0030】
本発明の実施例では、図2に示すように、ローラー部材20は、第1のローラー212と第2のローラー222とを含み、複数のローラー部材20は周方向に沿って配置されると、第1のローラー212と第2のローラー222が交互に配置されるように形成され、即ち、第1のローラー212、第2のローラー222、第1のローラー212、第2のローラー222・・・の順に配置されることにより、各ローラー部材20における第1のローラー212と第2のローラー222が共同に全周のローラー構造を形成する。前記した全周とは、第1のローラー212と第2のローラー222が全周方向に沿って配置されることを意味するが、第1のローラー212と第2のローラー222との間に隙間がないことを示す目的ではなく、即ち、第1のローラー212と、それと隣接する第2のローラー222との間には、隙間があってもなくてもよいことを理解できる。
【0031】
第2のローラー構造は、第2のローラー222のみを含む構造であってもよく、第2のローラー222は、第2の軸221に直接嵌設され、即ち、第2のローラー222は、第2の軸221と滑らかな表面で直接連結され、この場合には、第2のローラー222は、制限部2212と第1の連結構造2111との間に制限され、制限部2212と第1の連結構造2111は、第2のローラー222との間に小さな隙間を有するものであってもよいし、制限部2212と第1の連結構造2111は、第2のローラー222との間は接触しているだけで、互いに軸方向作用力がないものであってもよいし、制限部2212と第1の連結構造2111は、第2のローラー222との間には、第2のローラー222の正常な回転に影響を及ぼさなければ、比較的小さな軸方向作用力があるものであってもよい。
【0032】
他の実施例では、第2のローラー構造は、第2のローラー222と第2のスリーブとを含み、第2のスリーブは、第2のローラー222と第2の軸221との間に設けられ、第2のローラー222と緊密に嵌合し、第2の軸221は、第2のスリーブに対して回転可能である。この場合には、第2のスリーブは、制限部2212と第1の連結構造2111との間に制限され、制限部2212と第1の連結構造2111は、第2のスリーブとの間に小さな隙間を有するものであってもよいし、制限部2212と第1の連結構造2111は、第2のスリーブとの間は接触しているだけで、互いに軸方向作用力がないものであってもよいし、制限部2212と第1の連結構造2111は、第2のスリーブとの間には、第2のローラー222の正常な回転に影響を及ぼさなければ、比較的小さな軸方向作用力があるものであってもよい。第2のスリーブは好ましくは銅製スリーブである。
【0033】
第2のローラー222の回転信頼性をさらに向上させるためには、1つの好適な実施例では、第2のローラー構造は第2のローラー222と第2の軸受223とを含み、第2のローラー222は、第2の軸受223を介して第2の軸221に回転可能に取り付けられており、即ち、第2のローラー222は、第2の軸受223を介して第2の軸221に支持され、第2の軸221に対して回転可能である(第2のローラー222と第2の軸221は、軸方向位置が固定されるように連結し、第2のローラー222は第2の軸221に対して回転可能である)。第2の軸受223の内輪は、制限部2212と第1の連結構造2111との間に挟持されている。
【0034】
具体的には、第2の軸受223の内輪と第2の軸の本体2211との間には隙間があり、第2の軸受223の外輪と第2のローラー222は締りばめである。前記した第2の軸受223の内輪と第2の軸の本体2211との間の隙間の隙間サイズは具体的に限定されず、第2の軸受223の内輪が第2の軸の本体2211に対して運動可能であれば、大きい隙間であってもよいし、小さい隙間であってもよいことを理解できる。1つのローラー部材20には、第2の軸の本体2211と第1の連結構造2111とは、第1の係止構造によって係止されることにより、第2の軸受223の内輪は、制限部2212と第1の連結構造2111との間に挟持される。第2の軸受223の内輪と第2の軸の本体2211との間に隙間があるため、係止される前に相対運動が可能であるが、第2の軸受223の内輪と第2の軸の本体2211との間には相対運動が可能であるため、第1の係止構造によって第2の軸の本体2211と第1の連結構造2111が係止されると、制限部2212と第1の連結構造2111とを用いて第2の軸受223の内輪を挟持することにより、第2のローラー222が全方向ホイールの走行中に揺れたり遊んだりしないことは確保され、これによって、全方向ホイールの振動や騒音はさらに低下し、運行の安定性及び使用快適感は向上する。
【0035】
前記した「第2の軸受223の内輪は、制限部2212と第1の連結構造2111との間に挟持される」ことは、第2の軸受223の内輪は、制限部2212と第1の連結構造2111との間に位置するとともに、第2の軸受223の内輪は一定の締付力を受けていることを意味することを理解でき、当該締付力の大きさは具体的に限定されない。
【0036】
後述する実施例では、本発明により提供される全方向ホイールについて、主に、第2のローラー構造は、第2のローラー222と第2の軸受223とを含み、第2の軸受223の内輪は、制限部2212と第1の連結構造2111との間に挟持されている構成を例に挙げて説明するが、矛盾がなければ、後述する各実施例における構造は、第2のローラー構造が第2のローラー222のみを含む場合及び第2のローラー構造が第2のローラー222と第2のスリーブとを含む場合にも適用されることを理解できる。
【0037】
制限部2212は、第2のローラー構造を制限できる任意の構造であってもよく、例えば、制限部2212は、第2の軸の本体2211の外周面から突出して第2の軸の本体2211の周方向に沿って均一に分布する複数の突起ブ係止構造である。加工を容易にし、圧着効果を確保するために、1つの好適な実施例では、制限部2212は、第2の軸の本体2211の外周から突出して設けられた環状突起である。制限部2212は、粘着、溶接などの手段を用いて、第2の軸の本体2211と着脱不可な固定連結を形成することができ、制限部2212は、さらに、螺合、係合などの手段を用いて第2の軸の本体2211と着脱可能な固定連結を形成することもでき、加工を容易にし、構造信頼性を確保するためには、制限部2212と第2の軸の本体2211は一体構造であることが好ましい。
【0038】
第1の係止構造は、第2の軸の本体2211と第1の連結構造2111とを締め付けて連結できる任意の構造であってもよく、例えば、1つの実施例では、第2の締め付け構造は、第1のボルト23を含むことにより、このように、第2の軸の本体2211と第1の連結構造2111は、第1のボルト23によって締め付けて連結される。1つのローラー部材20には、第1のボルト23は、第2の軸の本体2211における、第1のローラー212から離れた側から第2の軸の本体2211を貫通して第1の連結構造2111と固定連結するものであってもよい。連結信頼性を向上させるためには、図5に示すように、好ましくは、第1の連結構造2111には、連結孔2112を設け、第1のボルト23は、ローラー支持具211における、第2の軸の本体2211から離れた側より連結孔2112を経由してローラー支持具211を貫通して第2の軸の本体2211と螺合する。このようにして、構造信頼性は確保されると同時に、ローラー部材20の各位置のスペースも十分に利用できる。具体的には、図5に示すように、第1のローラー212の構造の一部は第2のローラー222内に延在し、第1の連結構造2111も第2のローラー222内に延在し、第2のローラー222内の第2の軸の本体2211と協働する。
【0039】
上記の構造では、ローラー支持具211の構造の一部及び第1のローラー212の構造の一部は、第2のローラー222に嵌め込まれることにより、ローラー部材20は、より緊密な構造となり、第1のローラー212と第2のローラー222との間の角度差及び車輪全体の真円度公差を効果的に低減する。
【0040】
連結孔2112は、ストレート孔であってもよく、第1のボルト23は、ロッド部がストレート孔を貫通して第2の軸の本体2211と固定する。図8は、ローラー支持具の斜視図であり、図5及び図8に示すように、構造をより緊密にするためには、好ましくは、連結孔2112は、順次に接続する第1の孔セグメント2112aと、第2の孔セグメント2112bと、第3の孔セグメント2112cを含み、第1の孔セグメント2112aは、第1のボルト23のボルトヘッドを収納し、第2の孔セグメント2112bは、第1のボルト23のロッド部を貫通させ、第2の軸の本体2211の一端は、第3の孔セグメント2112cを通過することにより、構造をより緊密にするだけでなく、第2の軸221に対しても、ローラー支持具211を使用することで、良好な位置決めと支持を形成することができる。
【0041】
当然ながら、第3の孔セグメント2112cを設ける代わりに、第1の連結構造2111を第2の軸の本体2211の端面に直接当接させてもよいことを理解できる。
【0042】
さらに好適に、第1のボルト23の軸線は第2の軸の本体2211の軸線と一致することにより、組立及び使用中に第2の軸の本体2211と第1の連結構造2111との連結位置における受力の均衡は確保され、全方向ホイールの運行安定性はさらに確保される。
【0043】
当然ながら、第1の係止構造は、上記のボルト構造を使用しなくてもよいことを理解できる。他の好適な実施例では、第2の軸221はボルト(図面に示される第1の軸214の構造と同様)であり、第2の軸221は、第2のヘッド部と第2のロッド部とを含み、第2のロッド部には、雄ネジ構造が設けられており、第2のロッド部は、第2の軸受223の内輪を貫通して第1の連結構造2111と螺合する。このようにして、第2のヘッド部は、制限部として構成し、第2のロッド部は、第2の軸の本体として構成し、第2の軸221自体は、第1の係止構造として構成する。第2の軸221は第1の連結構造2111に連続的にねじ込まれることに従って、第2の軸221の第2のヘッド部は第2の軸受223の内輪を圧着していく。第2の連結構造2113(詳細は後述する)と協働するためには、さらに好ましくは、当該実施例では、第2の軸221は、第2のヘッド部における、第2のロッド部から離れた側において、張り出し軸セグメントを突出させるように設け、当該張り出し軸セグメントは、隣接するローラー部材の第2の連結構造2113と協働することにより、第2のローラー222の信頼性はさらに確保される。
【0044】
他の好適な実施例では、第2の軸221は、ボルトを含み、当該ボルトは、第2のヘッド部と第2のロッド部とを含み、制限部2212は、第2のロッド部のネジ構造と係合するように連結することができる。第2のロッド部は、第1の連結構造2111と第2のローラー構造(例えば、第2の軸受223の内輪)とを貫通し、第2のヘッド部は、第1の連結構造2111と係止連結し、例えば、第1の連結構造2111とはネジ構造によって直接に係止連結するか、又は、他の締付具によって第1の連結構造2111と固定連結し、制限部2212は、第2のロッド部を貫通して、第2のローラー構造を制限部2212と第1の連結構造2111との間に制限し、例えば、制限部2212と第1の連結構造2111は、第2の軸受223の内輪の両側に圧着される。
【0045】
第2の軸受223は、1つあってもよいし、複数あってもよい。第2の軸受223は1つある場合には、制限部2212と第1の連結構造2111は、当該第2の軸受223の内輪を挟持するように構成される。第2のローラー222の回転安定性及び第2の軸221との連結信頼性をさらに向上させるためには、1つの好適な実施例では、図5に示すように、第2の軸受223は2つ配置されており、2つの第2の軸受223の内輪は両方とも、制限部2212と第1の連結構造2111との間に挟持されている。
【0046】
具体的には、図7は、第2のローラーの断面図であり、図7に示すように、第2のローラー222の内孔は、第4の孔セグメント2221と、第4の孔セグメント2221の両端に連結する第5の孔セグメント2222と第6の孔セグメント2223と、を含み、第4の孔セグメント2221は、直径が第5の孔セグメント2222と第6の孔セグメント2223との直径より小さいようにすることにより、第4の孔セグメント2221と第5の孔セグメント2222との間には、第1の階段面2224が形成され、第4の孔セグメント2221と第6の孔セグメント2223との間には、第2の階段面2225が形成される。第2の軸受223は、一方が第5の孔セグメント2222に配置され、当該第2の軸受223の外輪は、第5の孔セグメント2222の孔壁とは締りばめ連結であり、例えば、油圧などの手段を用いて第5の孔セグメント2222内に圧入されることができ、当該第2の軸受223の外輪は、第1の階段面2224に当接する。他方の第2の軸受223は、第6の孔セグメント2223に配置され、当該第2の軸受223の外輪は、第6の孔セグメント2223の孔壁とは締りばめ連結であり、例えば、油圧などの手段を用いて第6の孔セグメント2223に圧入されることができ、当該第2の軸受223の外輪は第2の階段面2225に当接する。
【0047】
上記の構造配置を使用して、2つの第2の軸受223の内輪を制限部2212と第1の連結構造2111との間に挟持するようにする。制限部2212は、一方の第2の軸受223の内輪における、第1の連結構造2111から離れた側面に直接圧着されてもよいが、圧着効果を確保するためには、制限部2212と第2の軸受223の内輪との間に座金などの構造を設けてもよい。第1の連結構造2111は、他方の第2の軸受223の内輪における、第1の連結構造2111に近い側面に直接圧着されてもよく、図5に示される実施例では、当該第2の軸受223に近い、第1の連結構造2111の側面は面積が大きいため、圧着効果を確保するために、当該第2の軸受223と第1の連結構造2111との間に座金24を設けることは好ましい。
【0048】
図面を引き続き参照すると、第1の連結構造2111は、ローラー支持具211の周方向の一端に設けられる。前記した「周方向」とは、全方向ホイールの円周方向のことであり、周方向には、第1のローラー212と第2のローラー222が交互に配置されるため、ローラー支持具211の周方向の両端は、即ち、ローラー支持具211における、それと隣接する第2のローラー222に近い端部のことである。隣接するローラー部材20間の確実な接合を実現するためには、さらに好ましくは、ローラー支持具211の周方向の他端には、さらに、第2の連結構造2113が設けられ、第2の連結構造2113は、隣接するローラー部材20の第2の軸の本体2211の端部と挿入接続することに使用される。このように、図9は、本発明の一実施例により提供される全方向ホイールの断面図であり、図10は、図9のA部の一部拡大図であり、図9及び図10に示すように、複数のローラー部材20は、円周方向に沿って端と端を接合することにより、第1のローラー212と第2のローラー222が交互に配置された全周のローラー構造は形成されるようになり、複数のローラー部材20が組み合わせられ、全周のローラー構造が形成されると、第2の軸の本体2211の両端は、両端にあるローラー支持具211の第1の連結構造2111と第2の連結構造2113とにそれぞれ支持されるように形成され、これによって、組み合わせられた車輪全体の構造信頼性は確保される。また、このように配置すると、第2のローラー構造の受力をより均一にさせ、擾乱と動揺を生成せず、これによって、騒音や振動はさらに軽減し、耐用年数を有効に延長することができる。
【0049】
組み合わせられた第2の連結構造2113は、制限部2212と間隔を置いて設けられてもよい。図10に示すように、組み合わせられた車輪全体構造の信頼性をさらに向上させるためには、好ましくは、第2の連結構造2113と、それと挿入接続する第2の軸の本体2211にある制限部2212とを、密着配置するか又は互いに圧着し、密着配置することは、即ち、第2の連結構造2113と制限部2212が接触することであり、互いに圧着することは、即ち、第2の連結構造2113と制限部2212が接触して、且つ相互間には圧着力を有することである。このように、第2の連結構造2113を使用すると、制限部2212と第1の連結構造2111との第2の軸受223の内輪に対する挟持効果をさらに確保することができ、これによって、第2のローラー222の位置信頼性はさらに確保される。第2の連結構造2113と第2の軸の本体2211との間にある挿入接続構造として、第2の連結構造2113において挿入部を設け、第2の軸の本体2211において挿入部を挿入するための挿入孔を設ける構造が挙げられる。図8及び図10に示すように、構造を簡素化するために、好ましくは、第2の連結構造2113において隣接するローラー部材20の第2の軸の本体2211の端部が挿入可能な挿入孔2114を設け、第2の軸の本体2211の端部は、挿入孔2114に挿入されることにより、両者の挿入接続を実現する。
【0050】
第2の軸の本体2211の端部を挿入孔2114に容易に挿入するためには、さらに好ましくは、第2の軸の本体2211の端部において、挿入接続の動きを案内するための案内面2213を設け、具体的には、図5に示すように、第2の軸の本体2211の端部には、大きな角度の面取りが設けられており、面取りを形成する面は、案内面2213として構成され、これによって、第2の軸の本体2211を、挿入孔2114に迅速かつスムーズに挿入することができ、これにより組立効率を有効に向上させる。当然ながら、案内面は、挿入孔2114に設けられてもよく、即ち、挿入孔2114の挿入側の孔壁において案内面取りを設けることで、第2の軸の本体2211に対する案内機能を果たすこともできることを理解できる。また、挿入孔2114と第2の軸の本体2211との両方においても、案内するための案内面を設けてもよい。
【0051】
第1の連結構造2111と第2の連結構造2113は、第2の軸の本体2211との上記の連結を実現できる任意の構造であってもよく、次に、具体的な実施例における第1の連結構造2111と第2の連結構造2113とについて、ローラー支持具211を例に挙げて説明する。図8に示すように、ローラー支持具211は、対向して配置されている第1の支持部2115と第2の支持部2116と、第1の支持部2115と第2の支持部2116とを連結する第1の連結部2117と、第1の連結部2117とハブ支持具10とを連結する第2の連結部2118と、を含む。第1の支持部2115と第2の支持部2116は、第1のローラー212を支持することに使用される。
【0052】
第1の連結構造2111は、第1の連結部2117と第2の支持部2116とが交わる位置に設けられており、具体的には、第1の連結構造2111は、第1の連結部2117の、第2の支持部2116と交わる位置から、第1のローラー212から離れる方向に向かって突出するように形成されている。第1の連結構造2111は、n形状であり、第1の板部2111aと、第1の板部2111aに対向する第2の板部2111bと、第1の板部2111aと第2の板部2111bとに連結する第3の板部2111cと、を含み、第3の板部2111cは、第1の板部2111aと第2の板部2111bとのそれぞれと略垂直に形成されることにより、第1の板部2111aと、第2の板部2111bと、第3の板部2111cは、n形状の構造を形成するようになる。連結孔2112は、第3の板部2111cに設けられており、第2の軸の本体2211の端部は、第3の板部2111cに挿入され、第3の板部2111cと第2の軸の本体2211を、第1のボルト23によって固定連結する。第1の連結構造2111をn形状に構成することで、第2の軸の本体2211と第3の板部2111cとの連結を容易にさせるとともに、n形状の構造の一部のスペース(即ち、第1の板部2111aと第2の板部2111bとの間のスペースの一部)を使用して第1のローラー212の構造の一部を収納することもできるようになり、第1のローラー212は、第2のローラー222に近いように配置されていることにより、ローラー部材20は、より緊密な構造となる。
【0053】
第2の連結構造2113は、第1の連結部2117と第1の支持部2115とが交わる位置に設けられており、具体的には、第2の連結構造2113は、第1の連結部2117の、第1の支持部2115と交わる位置から、第1のローラー212から離れる方向に向かって突出するように形成されている。第2の連結構造2113は、n形状であり、第4の板部2113aと、第4の板部2113aに対向する第5の板部2113bと、第4の板部2113aと第5の板部2113bとに連結する第6の板部2113cと、を含み、第6の板部2113cは、第4の板部2113aと第5の板部2113bとのそれぞれと略垂直に形成されることにより、第4の板部2113aと、第5の板部2113bと、第6の板部2113cは、n形状の構造を形成する。挿入孔2114は、第6の板部2113cに設けられており、隣接するローラー部材20の第2の軸の本体2211の端部は、第6の板部2113cに挿入されている。第2の連結構造2113をn形状に構成することで、第2の連結構造2113と第1の連結構造2111は、対称に形成され、これによって、構造設計をより容易にすることができ、n形状の構造も、第1のローラー212の構造の一部を収納する構造として使用することができるようになる。
【0054】
構造を簡素化するために、第1の連結部2117の、第1の連結構造2111と第2の連結構造2113との間の部分は、板状構造であることが好ましく、例えば、平板構造、もしくは弧状板、波形板構造であってもよい。図8に示すように、構造信頼性及び第1のローラー212との適応性を向上させるためには、好ましくは、第1の連結部2117の、第1の連結構造2111と第2の連結構造2113との間の部分は、第1のローラー212の外輪郭に適応する弧状板構造である。
【0055】
第2の連結部2118は、第1の連結部2117とハブ支持具10との連結を容易にさせるための任意の構造として構成されてもよく、例えば、第1の連結部2117より、径方向の内側に向かって突出して設けられた連結ブ係止などの構造が挙げられる。第1のローラー212のより多くの構造を第2のローラー222内に延在可能にさせるためには、好ましくは、第2の連結部2118は、周方向に第1の連結部2117の中部に位置し、第1の連結部2117より径方向の内側に向かって延伸する厚板構造であり、厚板構造は、全方向ホイールの軸方向において、第1の連結部2117の軸方向の両端面のそれぞれと同一高さに設けられるように延伸する。第2の連結部2118には、ハブ支持具10と固定するための固定孔が設けられている。1つの好適な実施例では、第2の連結部2118には、第2のピン孔2118aと第2の固定孔2118bが設けられており、第2のピン孔2118aと第2の固定孔2118bとの両方は、全方向ホイールの軸方向に沿って第2の連結部2118を貫通して、両者の軸線が互いに平行して全方向ホイールの同一の径方向に位置することにより、ハブ支持具10にある構造と協働して第2の連結部2118とハブ支持具10との確実な固定連結を実現する(詳細は後述する)。
【0056】
さらに、図5に示すように、第1のローラーアセンブリ21は、さらに、第1の軸214を含み、第1のローラー212は、第1の軸214に取り付けられており、第1の支持部2115と、第2の支持部2116と、第1の軸214とは、係止連結され、例えば、第1の支持部2115と、第2の支持部2116と、第1の軸214とは、第2の係止構造によって係止されることにより、第1のローラー構造は、第1の支持部と第2の支持部との間に制限されるようになり、即ち、第1の支持部2115と第2の支持部2116とを使用して、第1のローラー構造に対して軸方向の制限を形成し、これによって、第1のローラー212は、全方向ホイールの走行中に、揺れたり遊んだりせず、全方向ホイールの振動や騒音はさらに低下し、運行の安定性及び使用快適感は向上する。また、第2の係止構造の係止度合を調整することで、第1のローラー構造の軸方向位置を微調整することもでき、これによって、全方向ホイールの振動や騒音問題をさらに改善する。
【0057】
第1のローラー構造は、第1のローラー212のみを含む構造であってもよく、第1のローラー212は、第1の軸214に直接嵌設され、即ち、第1のローラー212は、第1の軸214と滑らかな表面で直接連結され、この場合には、第1のローラー212は、第1の支持部2115と第2の支持部2116との間に制限され、第1の支持部2115と第2の支持部2116は、第1のローラー212との間に小さな隙間を有するものであってもよいし、第1の支持部2115と第2の支持部2116は、第1のローラー212との間は接触しているだけで、互いに軸方向作用力がないものであってもよいし、第1の支持部2115と第2の支持部2116は、第1のローラー212との間には、第1のローラー212の正常な回転に影響を及ぼさなければ、比較的小さな軸方向作用力があるものであってもよい。
【0058】
他の実施例では、第1のローラー構造は、第1のローラー212と第1のスリーブとを含み、第1のスリーブは、第1のローラー212と第1の軸214との間に設けられ、第1のローラー212と緊密に嵌合し、第1の軸214は、第1のスリーブに対して回転可能である。この場合には、第1のスリーブは、第1の支持部2115と第2の支持部2116との間に制限され、第1の支持部2115と第2の支持部2116は、第1のスリーブとの間に小さな隙間を有するものであってもよいし、第1の支持部2115と第2の支持部2116は、第1のスリーブとの間は接触しているだけで、互いに軸方向作用力がないものであってもよいし、第1の支持部2115と第2の支持部2116は、第1のスリーブとの間には、第1のローラー212の正常な回転に影響を及ぼさなければ、比較的小さな軸方向作用力があるものであってもよい。第1のスリーブは好ましくは銅製スリーブである。
【0059】
第1のローラー212の回転信頼性をさらに向上させるためには、1つの好適な実施例では、第1のローラー構造は、第1のローラー212と第1の軸受213とを含み、第1のローラー212は、第1の軸受213を介して第1の軸214に回転可能に取り付けられており、即ち、第1のローラー212は、第1の軸受213を介して第1の軸214に支持され、第1の軸214に対して回転可能である(第1のローラー212と第1の軸214は、軸方向位置が固定されるように連結し、第1のローラー212は、第1の軸214に対して回転可能である)。第1の軸受213の内輪は、第1の支持部2115と2の支持部2116との間に挟持されている。
【0060】
具体的には、第1の軸受213の内輪と第1の軸214との間には隙間があり、第1の軸受213の外輪と第1のローラー212は締りばめである。前記した第1の軸受213の内輪と第1の軸214との間の隙間の隙間サイズは具体的に限定されず、第1の軸受213の内輪が第1の軸214に対して運動可能であれば、大きい隙間であってもよいし、小さい隙間であってもよいことを理解できる。
【0061】
第1の支持部2115と、第2の支持部2116と、第1の軸214とは、第2の係止構造によって係止されることにより、第1の軸受213の内輪は、第1の支持部2115と第2の支持部2116との間に挟持されるように形成される。第1の軸受213の内輪と第1の軸214との間には隙間があるため、係止される前に相対運動が可能であるが、第1の軸受213の内輪と第1の軸214とは相対運動が可能であるため、第1の軸214が第2の係止構造によって第1の支持部2115及び第2の支持部2116と係止されると、第1の支持部2115と第2の支持部2116とを用いて第1の軸受213の内輪を挟持することにより、第1のローラー212が全方向ホイールの走行中に揺れたり遊んだりしないことは確保され、これによって、全方向ホイールの振動や騒音はさらに低下し、運行の安定性及び使用快適感は向上する。
【0062】
前記した「第1の軸受213の内輪は、第1の支持部2115と第2の支持部2116との間に挟持される」ことは、第1の軸受213の内輪は、第1の支持部2115と第2の支持部2116との間に位置するとともに、第1の軸受213の内輪は一定の締付力を受けていることを意味することを理解でき、当該締付力の大きさは具体的に限定されない。
【0063】
後述する実施例では、本発明により提供される全方向ホイールについて、第1のローラー構造は第1のローラー212と第1の軸受213とを含み、第1の軸受213の内輪は第1の支持部2115と第2の支持部2116との間に挟持される構成を例に挙げて説明するが、矛盾がなければ、後述する実施例における構造は、第1のローラー構造が第1のローラー212のみを含む場合及び第1のローラー構造が第1のローラー212と第1のスリーブとを含む場合にも適用されることを理解できる。
【0064】
係止されていない状態では、第1の支持部2115と第2の支持部2116との間には一定の相対変位残量があるように確保するためには、図8に示される実施例では、ローラー支持具211の第1の支持部2115と、第2の支持部2116と、第1の連結部2117は、一体となった板状構造として形成されることにより、ローラー支持具211は、一定の弾力を有するように形成され、これによって、係止されると、第1の支持部2115と第2の支持部2116との間には一定の相対運動が可能であることは確保され、第1の軸受213の内輪はよりよく挟持されるように形成される。
【0065】
ローラー支持具211は未受力状態(即ち、組立されていない部品のままの状態)にあるとき、第1の支持部2116と第2の支持部2117との間の距離は、第1の軸受213の内輪の第1のローラー212の軸方向における寸法に等しくてもよいし、等しくなくてもよい。第1のボルト23は、ローラー支持具211側より第1の連結構造2111を貫通して第2の軸の本体2211と螺合して連結する実施例では、好ましくは、ローラー支持具211は、未受力状態にあるとき、第1の支持部2115と第2の支持部2116との間の距離は、第1の軸受213の内輪の第1のローラー212の軸方向における寸法よりすこし小さい。このように、第1の軸受213の内輪は第1の支持部2115と第2の支持部2116との間に装入されると、第1の支持部2115と第2の支持部2116は分離され、これによって、第1のボルト23は第1の連結構造2111によってさらに締め付けられ、これにより第2の軸受223の内輪に対する挟持効果もさらに向上する。
【0066】
当然ながら、第1の支持部2115、第2の支持部2116、及び第1の連結部2117は、一体となった上記の板状構造として構成されなくてもよいことを理解できる。他の実施例では、ローラー支持具211は、分体構造、即ち、二分式構造として構成され、第1の支持部2115、第1の連結部2117の一部、及び第2の連結部2118の一部は、ローラー支持具211の半分を構成し、第2の支持部2116、第1の連結部2117の他方の部分、及び第2の連結部2118の他方の部分は、ローラー支持具211の他方の半分を構成し、二分式構造は、締付具によって締め付けて連結される。
【0067】
第2の係止構造は、第1の軸214を第1の支持部2115及び第2の支持部2116と締め付けて連結できる任意の構造であってもよく、例えば、図5に示される実施例では、第1の軸214はボルトであり、第1の軸214は、第1のヘッド部2141と第1のロッド部2142とを含み、第1のロッド部2142には、雄ネジ構造が設けられており、第1のロッド部2142は、第1の支持部2115と第1のローラー構造(例えば、第1の軸受213の内輪)とを貫通して第2の支持部2116と螺合し、第1のヘッド部2141は、第1の支持部2115に圧着される。第1の軸214は、第2の係止構造として構成される。組立中に、第1の軸214の端部に第1の支持部2115と第1の軸受213の内輪とを貫通させて、第2の支持部2116を連続的にねじ込ませて、ねじ込まれる中に、第1のヘッド部2141は、第1の支持部2115に圧着されていくことにより、第1の支持部2115と第2の支持部2116は、第1の軸受213の内輪を挟持するように形成される。
【0068】
当然ながら、第2の係止構造は、他の構造であってもよく、例えば、第2の係止構造は、2つの第2のボルトであり、2つの第2のボルトはそれぞれ、第1の支持部2115と第2の支持部2116とを、第1の軸214の端部に締め付けて連結し、これによって、第1の支持部2115と第2の支持部2116との第1の軸受213の内輪に対する挟持は実現される。
【0069】
第1の軸受213は、1つあってもよいし、複数あってもよい。第1の軸受213の内輪213は1つあると、第1の支持部2115と第2の支持部2116は、当該第1の軸受213の内輪を挟持するように形成される。第1のローラー212の回転安定性及び第1の軸214との連結信頼性をさらに向上させるためには、1つの好適な実施例では、図5に示すように、第1の軸受213は2つ配置されており、2つの第1の軸受213の内輪は両方とも、第1の支持部2115と第2の支持部2116との間に挟持されている。
【0070】
具体的には、図6は、第1のローラーの断面図であり、図6に示すように、第1のローラー212の内孔は、第7の孔セグメント2121と、第7の孔セグメント2121の両端にそれぞれ接続する第8の孔セグメント2122と第9の孔セグメント2123と、を含み、第7の孔セグメント2121は、直径が第8の孔セグメント2122と第9の孔セグメント2123との直径より小さいようにすることにより、第7の孔セグメント2121と第8の孔セグメント2122との間には、第3の階段面2124が形成され、第7の孔セグメント2121と第9の孔セグメント2123との間には、第4の階段面2125が形成される。1つの第1の軸受213は、第8の孔セグメント2122に配置されており、当該第1の軸受213の外輪は、第8の孔セグメント2122の孔壁と締りばめ連結であり、例えば、油圧などの手段を用いて第8の孔セグメント2122内に圧入されることができ、当該第1の軸受213の外輪は、第3の階段面2124に当接する。もう1つの第1の軸受213は、第9の孔セグメント2123に配置されており、当該第1の軸受213の外輪は、第9の孔セグメント2123の孔壁と締りばめ連結であり、例えば、油圧などの手段を用いて第9の孔セグメント2123に圧入されることができ、当該第1の軸受213の外輪は、第4の階段面2125に当接する。
【0071】
上記の構造設定を使用することにより、第1の軸受213の2つの内輪は、第1の支持部2115と第2の支持部2116との間に挟持されるように形成される。第1の支持部2115は、1つの第1の軸受213の内輪に直接圧着されることができ、この場合には、圧着効果を確保するためには、第1の支持部2115は、当該第1の軸受213に近い側において当該第1の軸受213の内輪に適応する突起構造が設けられることが好ましい。または、他の実施例では、第1の支持部2115と当該第1の軸受213の内輪との間には座金が設けられるように形成される。
【0072】
同様に、第2の支持部2116は、もう1つの第1の軸受213の内輪に直接圧着されることもでき、この場合には、圧着効果を確保するためには、第2の支持部2116は、当該第1の軸受2134に近い側において当該第1の軸受213の内輪に適応する突起構造が設けられることが好ましい。または、他の実施例では、第2の支持部2116と当該第1の軸受213の内輪との間には座金が設けられるように形成される。
【0073】
第1のローラー212と第2のローラー222は、中央にある剛性部と剛性部の外周を被覆して配置される弾力緩衝部とを含む。全方向ホイールの滑りを防ぐために、弾力緩衝部の表面に滑り止め溝を設けている。具体的には、図6に示すように、第1のローラー212の弾力緩衝部には、その軸方向に沿って配置されている複数の第1の滑り止めリング溝2126が配置されており、図7に示すように、第2のローラー222の弾力緩衝部には、その軸方向に沿って配置されている複数の第2の滑り止めリング溝2226が配置されている。全方向ホイール走行中の運行安定性を確保するためには、好ましくは、第1の滑り止め溝2126の切り欠きの周方向における寸法は、第2の滑り止め溝2226の切り欠きの周方向における寸法と概ね同じであり、さらに、隣接し合う第1のローラー212と第2のローラー222との間の隙間の周方向における寸法は、前述した2つの寸法と概ね同じであるように設定されることにより、全方向ホイールは、全回転過程では、常に規則的な連続運動を維持することができ、これによって、全方向輪の運動安定性は保証される。
【0074】
第1のローラー212は、全方向ホイールの大きなローラーであってもよく、この場合には、第2のローラー222は、全方向ホイールの小さなローラーとなるが、または、図5に示すように、第1のローラー212は、全方向ホイールの小さなローラーであり、第2のローラー222は、全方向ホイールの大きなローラーである。第1のローラー212と第2のローラー222は、数が限定されず、例えば、図2に示すように、5つずつ配置されてもよいし、6つずつ又は他の数で配置されてもよい。
【0075】
ハブ支持具10は、各ローラー部材20を固定できる任意の構造であってもよく、例えば、ハブ支持具は、2つの挟み板であってもよく、2つの挟み板はそれぞれ、ローラー部材20の両側からローラー部材20と固定する。例えば、ハブ支持具10は、一体構造であってもよく、1つの具体的な実施例では、図11は、本発明の一実施例により提供される全方向ホイールのハブ支持具の斜視図であり、図11に示すように、ハブ支持具10は、中間軸スリーブ11と、中間軸スリーブ11の外側に配置されて中間軸スリーブ11の外周に沿って均一に配置されている複数の取付部12と、中間軸スリーブ11と取付部12とを連結する第1の連結リブ13と、隣接し合う取付部12を連結する第2の連結リブ14と、を含み、中間軸スリーブ11は、全方向ホイールを移動デバイスと連結することに使用され、複数の取付部12はそれぞれ、各ローラー部材20の第2の連結部2118と連結することに使用される。このようなフレーム構造を使用すると、全方向ホイールの振動緩衝効果をさらに向上させ、それによって、全方向ホイールの運行安定性を確保することができる。
【0076】
ローラー部材の取り付けを容易にするためには、さらに、好ましくは、取付部12は、第2の連結部2118の取付部12への取り付けを案内及び制限するための案内溝を含む。例えば、図11に示される実施例では、取付部12は、取付板部121を含み、取付板部121には、第1のピン孔1211と第1の固定孔1212が設けられている。取付板部121の外周の一部には、案内板122が配置されており、案内板122は、案内溝として形成され、第2の連結部2118は案内溝内に装入されることにより、第2の連結部2118の第2のピン孔2118aは、取付板部121にある第1のピン孔1211と同一高さに配置されるように形成され、第2の連結部2118にある第2の固定孔2118bは、取付板部121にある第1の固定孔1212と同一高さに配置されるように形成されることにより、ピン軸30は、第1のピン孔1211と第2のピン孔2118aとを貫通して第2の連結部2118と取付板部121とを制限することが容易になるとともに、締付具40は、第1の固定孔1212と第2の固定孔2118bとを貫通して第2の連結部2118と取付板部122とを固定連結することも容易になる。
【0077】
ローラー部材20とハブ支持具10は、着脱可能に連結するため、組立が容易であり、製品の歩留まりも有効に向上できる。ローラー部材20は、破損すると単独で交換でき、修理に便利で、コストが有効に軽減する。
【0078】
図3の実施例により提供される全方向ホイールの組立は、次のように行う。
各ローラー部材20を組み立てるには、
2つの第2の軸受223を第2のローラー222に装入し、
第2の軸221を2つの第2の軸受223の内輪に貫通させ、端部をローラー支持具211の第1の連結構造2111の第3の孔セグメント2111cに挿入し、
第1のボルト23を第1の連結構造2111の第1の孔セグメント2111aと第2の孔セグメント2111bとに貫通させ、第2の軸221と螺合して連結させ、このとき、制限部2212は、1つの第2の軸受223の内輪に押し付けられ、第1の連結構造2111は、もう1つの第2の軸受223の内輪に押し付けられ、
2つの第1の軸受213を第1のローラー212に装入し、
第1の軸受213を備える第1のローラー212を第1の支持部2115と第2の支持部2116との間に配置し、
第1の軸214を第1の支持部2115と第1の軸受213の内輪とに貫通させ、第2の支持部2116と螺合して固定させることにより、ローラー部材20の組立を完了させるように行う。
各ローラー部材20を組み立て、全方向ホイールを形成するには、
各ローラー部材20をそれぞれハブ支持具10と連結して、互いに嵌め込まれることにより、完全な全方向ホイールを形成するように行い、隣接し合うローラー部材20間の協働は、第1のローラー212の露出端が、隣接するローラー部材20の第2のローラー222に嵌め込まれ、第2の軸221の露出端が、隣接するローラー部材20の第2の連結構造2113に装入される手段を利用する。
【0079】
各ローラー部材20を組み立て、全方向ホイールを形成する過程では、ハブ支持具10の案内板122は、各ローラー部材20の組立を案内及び固定する役割を果たし、各ローラー部材20のローラー支持具211は、案内板122による制限及び案内に依存して、互いに嵌め込まれ、最終的には、完全な連続のタイヤ面は形成される。また、各ローラー部材20が互いに嵌め込まれる過程では、案内面2213が案内の役割をよく果たすことは、第2の軸221が第2の連結構造2113にスムーズに挿入できるよう寄与し、それによって、組立をより順調に行うことができるようになる。
【0080】
本発明の実施例は、さらに、本体と、本体に取り付けられた前記した全方向ホイールと、を含む、移動デバイスを提供し、これによって、移動デバイスの運動安定性は確保され、移動デバイスの移動中の騒音や振動は低下するようになる。当該移動デバイスは、全方向移動需要のある任意のデバイスであってもよく、例えば、ロボット、手押し車、転移輸送機、貨物運送車、トランクなどが挙げられる。
【0081】
本明細書における各実施例又は実施形態は、漸進的に説明され、各実施例は、他の実施例との相違点に焦点を当てて説明し、各実施例間の同一又は類似の部分を互いに参照すればよい。
【0082】
本明細書の記載において、「一実施形態」、「いくつかの実施形態」、「例示的実施形態」、「例示」、「具体例」、または「いくつかの例示」などの用語に関する記述は、実施形態又は例示を参照して記説明する具体的な特徴、構造、材料、又は特点が本発明の少なくとも1つの実施形態又は例示に含まれることを意味する。本明細書において、上記の用語の概略的な表現は、必ずしも同じ実施形態又は例示を指すものではない。さらに、説明する具体的な特徴、構造、材料、又は特点は、任意の1つ又は複数の実施形態又は例示において、適切な方法で結合され得る。
【0083】
最後に説明すべきものとして、以上の各実施例は、本発明の技術案を説明するためのものであって、それを制限するものではなく、前述の各実施例を参照しながら本発明を詳細に説明するが、当業者であれば、依然として前述の各実施例に記載の技術案を修正するか、又はそのうちの一部又はすべての技術的特徴に対して等価置換を行うことができ、これらの修正又は置換は、対応する技術案の本質を本発明の各実施例の技術案の範囲から逸脱させないと理解すべきである。
【0084】
本願は、2021年05月11日に中国特許局に提出した、出願番号が202110510642.6で、発明の名称が「全方向ホイール及び移動デバイス」という中国特許出願の優先権を主張し、その全ての内容は援用によって本願に組み合わせられる。

【要約】
本発明は、全方向ホイール及び移動デバイスを提供し、移動装置技術の分野に関し、従来の全方向ホイールは騒音や振動が発生しやすく、運行安定性が悪いという技術的問題を解決することに適用され、当該全方向ホイールは、ハブ支持具とローラー部材とを含み、ローラー部材は、第1のローラーアセンブリと第2のローラーアセンブリとを含み、第1のローラーアセンブリは、ローラー支持具と第1のローラー構造とを含み、第2のローラーアセンブリは、第2の軸と第2のローラー構造とを含み、第2の軸は、第2の軸の本体と制限部とを含み、第2の軸の本体と第1の連結構造とは係止連結され、第2のローラー構造を制限部と第1の連結構造との間に制限する。本発明により提供される全方向ホイールは、第2のローラーが全方向ホイールの走行中に揺れたり遊んだりしないように確保し、全方向ホイールの振動や騒音を低下させ、運行の安定性を向上させることができる。
【選択図】図5
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11