(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-19
(45)【発行日】2023-05-29
(54)【発明の名称】腕時計
(51)【国際特許分類】
G04C 9/00 20060101AFI20230522BHJP
G04G 21/04 20130101ALI20230522BHJP
G04G 5/00 20130101ALI20230522BHJP
G04R 20/26 20130101ALI20230522BHJP
【FI】
G04C9/00 301Z
G04G21/04
G04G5/00 J
G04R20/26
(21)【出願番号】P 2022010504
(22)【出願日】2022-01-08
【審査請求日】2022-02-23
(73)【特許権者】
【識別番号】522034893
【氏名又は名称】伊藤 海明
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 海明
【審査官】細見 斉子
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-124408(JP,A)
【文献】特開2019-128351(JP,A)
【文献】特開2018-100911(JP,A)
【文献】特開2017-142120(JP,A)
【文献】中国実用新案第203480243(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G04C 1/00-99/00
G04G 3/00-99/00
G04R 20/00-60/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレームと、
前記フレームに対して回転可能に支持された長針及び短針と、
前記長針及び前記短針をそれぞれ回転駆動する電動式の回転駆動装置と、
前記回転駆動装置に電力を供給する電力供給装置と、
前記回転駆動装置を制御する制御装置と、
を備えた腕時計であって、
前記制御装置は、
所定の携帯型情報端末装置と無線通信可能な状態において、前記回転駆動装置を動作させ、前記携帯型情報端末装置と無線通信不能な状態において、前記回転駆動装置を停止させる、
ように構成されている腕時計。
【請求項2】
請求項1に記載の腕時計において、
前記制御装置は、
前記所定の携帯型情報端末と無線通信可能な状態になったとき、当該携帯型情報端末から、無線通信回線を介して、現在時刻を表す現在時刻情報を受信し、当該現在時刻情報に基づいて、前記
回転駆動装置を制御して、前記長針及び前記短針を、前記現在時刻に対応する方向へ向ける、
ように構成されている腕時計。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の腕時計において、
押しボタン式又はダイヤル式の操作子を備え、
前記制御装置は、前記操作子が操作されたことを検知したとき、前記所定の携帯型情報端末装置との無線通信を試みる、
ように構成された腕時計。
【請求項4】
請求項3に記載の腕時計において、
前記操作子の操作態様に基づいて、前記所定の携帯型情報端末装置と無線通信を開始するための暗証番号を設定可能である、
ように構成された腕時計。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信回線を介して、携帯型情報端末装置から情報を受信可能な腕時計に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、無線通信回線を介して、携帯型情報端末装置から情報を受信可能な腕時計(以下、「従来装置」と称呼する。)が提案されている(例えば、下記非特許文献1を参照。)。この従来装置は、フレーム、長針(時針)、短針(分針)、回転駆動装置、制御装置、電池などを備える。長針及び短針は、フレームに対して回転可能に支持されている。回転駆動装置はステッピングモーターを含み、長針及び短針をそれぞれ回転駆動する。制御装置は、発振器を含み、当該発振器から出力された信号に基づいて、回転駆動装置を制御し、長針及び短針をそれぞれ一定の回転速度で回転させる。さらに、制御装置は、無線通信回線を介して、携帯型情報端末装置から現在時刻を表す情報を受信する。そして、制御装置は、当該受信した情報に基づいて、前記回転駆動装置を制御して、長針及び短針のそれぞれの向きを、現在時刻に対応した向きに一致させる。このように、従来装置は、時刻修正機能を有する。従来装置によれば、ユーザーは、現在時刻を確認するためだけに、携帯型情報端末をかばんやポケットから取り出して操作する必要がなく、簡単に正確な現在時刻を知ることができる。なお、制御装置及び回転駆動装置は、電池から受給した電力で稼働する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【文献】カシオ計算機株式会社,“G-SHOCK スマートフォンリンク”,[online],[令和 3年12月4日検索],インターネット<URL:https://gshock.Casio.Com/jp/technology/mobilelink/>
【発明の概要】
【0004】
ここで、従来装置の制御装置は、携帯型情報端末装置と無線通信可能であるか否かに関わらず、回転駆動装置を稼働させて、長針及び短針をそれぞれ一定回転速度で回転させる。つまり、原則として、常に(ユーザーが時刻を確認する必要が無いとしても)、長針及び短針を駆動している。したがって、電池(電力)が比較的早く消耗する。
【0005】
本発明の目的の一つは、電池交換の頻度、又は充電作業の頻度を低減した腕時計を提供することにある。
【0006】
上記課題を解決するために、本発明に係る腕時計は、
フレームと、
前記フレームに対して回転可能に支持された長針及び短針と、
前記長針及び前記短針をそれぞれ回転駆動する電動式の回転駆動装置と、
前記回転駆動装置に電力を供給する電力供給装置と、
前記回転駆動装置を制御する制御装置と、
を備える。
前記制御装置は、
所定の携帯型情報端末装置と無線通信可能な状態において、前記回転駆動装置を動作させ、前記携帯型情報端末装置と無線通信不能な状態において、前記回転駆動装置を停止させる、
ように構成されている。
【0007】
上記のように構成された本発明に係る腕時計と携帯型情報端末装置とが無線通信可能な状態において長針及び短針が駆動される。一方、無線通信不能な状態では長針及び短針が駆動されない。そのため、この状態では、電力消費量が極めて小さい。つまり、本発明に係る腕時計の電池交換の頻度、又は充電作業の頻度が低い。
【0008】
また、本発明の一態様に係る腕時計において、
前記制御装置は、
前記所定の携帯型情報端末装置と無線通信可能な状態になったとき、当該携帯型情報端末から、無線通信回線を介して、現在時刻を表す現在時刻情報を受信し、当該現在時刻情報に基づいて、前記回転駆動装置を制御して、前記長針及び前記短針を、前記現在時刻に対応する方向へ向ける。
【0009】
これによれば、ユーザーが操作しなくても、自動的に、指針(長針及び短針)の指示時刻が現在時刻に一致する。
【0010】
また、本発明の他の態様に係る腕時計において、
押しボタン式又はダイヤル式の操作子を備え、
前記制御装置は、前記操作子が操作されたことを検知したとき、前記所定の携帯型情報端末装置との無線通信を試みる。
【0011】
これによれば、ユーザーが時刻を確認する必要があるときに限り、腕時計を携帯型情報端末装置に無線接続できる。つまり、不要な電力消費を抑制できる。
【0012】
また、本発明の他の態様に係る腕時計において、
前記操作子の操作態様に基づいて、前記所定の携帯型情報端末装置と無線通信を開始するための暗証番号を設定可能である。
【0013】
これによれば、暗証番号を知らない他人は、実質的に腕時計を使用することができない。そのため、セキュリティ性能を高めることができる(例えば、腕時計の盗難を抑制できる)。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図4】 腕時計制御プログラムのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(構成)
以下、本発明の一実施形態に係る腕時計1を説明する。
図1に示したように、腕時計1は、ケース10、文字盤20及び指針30を備える。さらに、腕時計1は、駆動装置40を内蔵している。
【0016】
ケース10は、フレーム11、カバー12及びリューズ13を備える。フレーム11は、略円形の環状部11aと、環状部11aの一方の開口部を覆う裏蓋部11bを備える。
【0017】
カバー12は、例えば、ガラス製の透明部材である。後述する文字盤20,指針30及び駆動装置40がフレーム11の内部空間に収容された状態で、カバー12が環状部11aに取り付けられる。このように、カバー12は、環状部11aの他方の開口部を覆っている。
【0018】
リューズ13は、環状部11aの外周面に配置されている。リューズ13は、
図2に示したように、ヘッド13a及びシャフト13bを備える。ヘッド13aは、背の低い略円柱状を呈している。ヘッド13aの外周面には、その中心軸に対して平行に延びる複数の溝が形成されている。これらの溝は、ヘッド13aの周方向に等間隔に配置されている。シャフト13bは、ヘッド13aの一方の端面から延設されている。ヘッド13aとシャフト13bとが同軸配置されている。環状部11aには、その径方向に貫通する孔が設けられており、この孔にシャフト13bが挿入されている。ヘッド13aと環状部11aの外周面との間に、バネ13cが設けられ、このバネ13cにより、ヘッド13aが外方へ押圧されている。シャフト13bの先端部にストッパー13dが設けられている。このストッパー13dにより、リューズ13が環状部11aから脱落することが防止されている。つまり、リューズ13は、バネ13cにより外側へ付勢されているが、ストッパー13dが環状部11aの内周面に当接して、リューズ13の外側への移動が規制される。ユーザーが、バネ13cの弾性力に抗して、ヘッド13aを内側へ押すと、リューズ13が環状部11aの内周側へ移動する。そして、ヘッド13aが環状部11aの外周面に当接して、ヘッド13aの移動が規制される。
【0019】
再び
図1を参照すると、文字盤20は、円形の板状部材であり、その一方の側面(以下、「上面」と称呼する。)の外周縁部に沿って、時刻を表す数字(「12」、「3」、「6」及び「9」)及び棒状の標識が印刷されている。
【0020】
指針30は、秒針31、分針32(長針)及び時針33(短針)から構成されている。秒針31、分針32及び時針33は、略直線状に延びる棒状部材(長細い板状部材)である。秒針31、分針32及び時針33は、文字盤20の上面側に配置され、それらの長手方向における一端部が、文字盤20の中心の上側に位置している。そして、秒針31、分針32及び時針33は、後述する駆動装置40により、当該一端部を中心として回転駆動される。
【0021】
駆動装置40は、
図3に示したように、駆動機構41、制御装置42及び電源装置43を備える。
【0022】
駆動機構41は、ステッピングモーター41a及び輪列41bから構成されている。ステッピングモーター41aは、1個のパルスが入力されると、出力軸が所定の微小角度だけ回転するように構成されている。輪列41bは、複数の車(例えば、1番車乃至4番車、日の裏車など)から構成されている。1番車にステッピングモーター41aの出力軸が組付けられている。また、4番車の中心軸に秒針31が組付けられている。さらに、2番車の中心軸(筒カナ)に分針32が組付けられ、日の裏車の中心軸(筒カナ)に時針33が組付けられている。ステッピングモーター41aにN個のパルスが入力されると、秒針31が1/60回転され、秒針31が1回転されると、分針32が1/60回転され、分針32が1回転されると、時針33が1/12回転されるように、輪列41bが構成されている。すなわち、パルス信号の周波数fが「N」(通常の時計として利用する際の周波数)であるとき、秒針31が1回転するのに要する時間は60秒である。このときの指針30の回転速度を「通常回転速度」と称呼する。パルス信号の周波数fを高めれば、指針30を通常回転速度よりも高速で回転させることができる。例えば、パルス信号の周波数fを「60×N」とすれば、秒針31が1回転するのに要する時間は1秒になる。
【0023】
制御装置42は、マイクロコンピュータ42a、スイッチ42b、駆動回路42c、針位置検出装置42d及び通信装置42eを備える。マイクロコンピュータ42aは、演算装置(CPU)及び記憶装置(ROM、RAM)などを含む。演算装置は、記憶装置に格納されたプログラムに従って動作して、駆動回路42c、通信装置42eなどを制御する。
【0024】
スイッチ42bは、押しボタン式の常開スイッチである。すなわち、スイッチ42bの押しボタン部が押圧されていない状態において、スイッチ42bは非導通状態(オフ状態)である。押しボタン部が押圧された状態において、スイッチ42bが導通状態(オン状態)である。スイッチ42bの押しボタン部が、リューズ13のシャフト13bの先端面に対面している。すなわち、リューズ13のヘッド13aが押されているとき、スイッチ42bがオン状態になる。スイッチ42bの端子(固定接点)が、マイクロコンピュータ42aの演算装置の入力ポートに接続されている。演算装置は、スイッチ42bのオン・オフ状態を検知可能である。
【0025】
駆動回路42cは、演算装置からステッピングモーター41aの回転方向及び回転速度を規定するパルス信号を受信し、当該パルス信号に基づいて、ステッピングモーター41aを駆動するためのパルス信号を生成してステッピングモーター41aに供給する。
【0026】
針位置検出装置42dは、秒針31、分針32及び時針33が基準時刻(具体的には00時00分00秒または12時00分00秒)を指示することを検出する。針位置検出装置42dは、発光素子と、受光素子とを備えている。
【0027】
輪列を構成する各車には、検出孔(貫通孔)が形成されている。そして、秒針31.分針32及び時針33が基準時刻を指示しているとき、前記検出孔が互いに重なり合うように構成されている。そして、この状態においてのみ、発光素子から出射された光が、前記検出孔を通って受光素子に入射されるようになっている。
【0028】
通信装置42eは、例えば、ブルートゥース(登録商標)規格に準拠した無線通信回路及びブルートゥース規格に準拠した電波を送受信するためのアンテナを含む。通信装置42eは、マイクロコンピュータ42aの演算装置と携帯型情報端末(例えば、スマートフォンSP)とを無線接続する。すなわち、通信回路42eは、演算装置から供給されたデータを携帯型情報端末へ送信する。また、通信回路42eは、携帯型情報端末からデータを受信して、当該データを演算装置へ供給する。
【0029】
電源装置43は、乾電池又は充電池から構成されている。電源装置43は、制御装置42を構成する各種装置へ電力を供給する。なお、充電池を採用した場合、電源装置43は、当該充電池を非接触充電するための充電装置の一部を含むとよい。
【0030】
(動作)
つぎに、上記のように構成された腕時計1の動作(マイクロコンピュータ42aの演算装置(以下、単に「CPU」と称呼する。)による各種装置の制御)を説明する。
【0031】
<ペアリング>
まず、ユーザーは、腕時計1が特定のスマートフォンSPと無線通信可能なように、両者を関連付けるペアリングを実行する。なお、スマートフォンSPには、予め、腕時計1に対応したソフトウェアがインストールされている。ペアリングを開始するために、ユーザーは、当該ソフトウェアを起動した状態で、リューズ13を所定時間Δt(例えば5秒)以上押し込む。CPUは、スイッチ42bがオン状態である時間が所定時間Δtを超えたことを検知すると、ペアリング処理を開始する。すなわち、CPUは、通信装置42eにペアリング要求データを供給する。通信装置42eは、ペアリング要求信号をアンテナから発信する。スマートフォンSPは、ペアリング要求信号を受信すると、4桁のペアリングコード(暗証番号)を入力するための画像を表示する。このペアリングコードは、腕時計1に対して、予め付与されていて、マイクロコンピュータ42aの記憶装置に格納されている。ユーザーが、スマートフォンSPのタッチパネルを操作して腕時計1に付与されているペアリングコードを入力すると、スマートフォンSPから、ペアリング承認信号が送信される。通信回路42eは、ペアリング承認信号を受信すると、当該信号をCPUに供給する。このようにして、腕時計1とスマートフォンSPとのペアリング処理が完了する。すなわち、腕時計1と特定の1台のスマートフォンSPとが無線通信可能な状態(他のスマートフォンは接続されない状態)になる。
【0032】
なお、ペアリング処理が未だ完了していない状態において、CPUは、駆動回路42cを制御して、指針30の指示時刻を00時00分00秒に初期化する。すなわち、針位置検出装置42dの受光素子が発光素子から出射された光を受光するまで、駆動回路42cを制御して指針30を回転させる。その際、CPUは、ステッピングモーター41aに供給されるパルス信号の周波数fが「N」より大来な所定値「M」になるように、駆動回路42cを制御する。すなわち、CPUは、指針30を通常回転速度より高速で回転させる。このようにして指針30の指示時刻を初期化した後、秒針31が11時方向と1時方向との間を往復するように、駆動回路42cを制御する。ユーザーは、秒針31の当該動作により、ペアリング処理が未完であることを認識できる。
【0033】
<運針>
ペアリング処理が完了した状態において、CPUは、通信回路42eを介して、応答要求信号(Ping)を送信する。腕時計1とスマートフォンSPとが無線通信可能な程度に近距離に配置されていれば、スマートフォンSPは、応答要求信号を受信できる。そして、スマートフォンSPは、応答要求信号を受信すると、応答信号を腕時計1へ送信する。CPUは、上記の応答要求信号を定期的に送信する。そして、CPUが応答要求信号を送信するごとに応答信号を受信できていれば、CPUは、指針30を通常の回転速度で回転させる。一方、スマートフォンSPが腕時計1と無線通信不能な程度に遠く離れている場合、スマートフォンSPが休止中又は停止中である場合などには、CPUは、応答要求信号を送信したとしても、応答信号を受信することができない。この場合には、CPUは、ステッピングモーター41aを停止させる。そして、その後、スマートフォンSPが近距離に配置されたり、スマートフォンSPが起動されたりして、スマートフォンSPが応答信号を送信し始めて、CPUがその応答信号を受信するようになると、CPUは、通信回路42eを介して、現在時刻を表す時刻データを要求する時刻要求信号を、スマートフォンSPへ送信する。スマートフォンSPは、時刻要求信号を受信すると、現在時刻を表す時刻データを腕時計1へ送信する。CPUは、通信回路42eを介して、時刻データを受信すると、指針30を通常回転速度より高速で回転させて、指示時刻を基準時刻に初期化する。そして、CPUは、時刻データに基づいて、指針30を通常回転速度より高速で回転させて、指針30を現在時刻まで進める。すなわち、CPUは、指針30を現在時刻まで進めるためのパルス数Xを演算し、駆動回路42cを制御して、X個のパルスをステッピングモーター41aに供給させる。
【0034】
つぎに、
図3を参照して、上記のペアリング及び運針をCPUに実行させるコンピュータプログラム(腕時計制御プログラム)を説明する。
【0035】
CPUは、ステップ100から腕時計制御プログラムを開始し、ステップ101に進む。
【0036】
CPUは、ステップ101に進むと、ペアリングの開始を要求されているか否かを判定する。つまり、CPUは、スイッチ42bがオン状態である時間が所定時間Δtを超えたか否かを判定する。スイッチ42bがオン状態である時間が所定時間Δtを超えた場合(101:Yes)、CPUは、ステップ102に進む。一方、スイッチ42bがオン状態である時間が所定時間Δt以下である場合(101:No)、CPUは、ステップ104に進む。
【0037】
CPUは、ステップ102に進むと、ペアリング処理を実行する。CPUは、ペアリング処理中に、秒針31を11時方向と1時方向との間を往復させる。そして、CPUは、ステップ103に進む。
【0038】
CPUは、ステップ103に進むと、初期化フラグFを「1」に設定する。初期化フラグFは、指針30の指示時刻を初期化する必要がありか否かを表す。初期化フラグFが「1」がある場合、指示時刻を基準時刻に初期化する必要がある。一方、初期化フラグFが「0」がある場合、指示時刻を基準時刻に初期化する必要はない。
【0039】
CPUは、ステップ104に進むと、ペアリング処理が完了したか否かを判定する。ペアリング処理が完了している場合(104:Yes)、CPUは、ステップ105に進む。一方、ペアリング処理が完了していない場合(104:No)、CPUは、ステップ102に戻る。
【0040】
CPUは、ステップ105に進むと、応答要求信号をペアリングされたスマートフォンSPへ送信し、ステップ106に進む。
【0041】
CPUは、ステップ106に進むと、スマートフォンSPから応答信号を受信したか否かを判定する。スマートフォンSPから応答信号を受信した場合(106:Yes)、CPUは、ステップ107に進む。一方、スマートフォンSPから応答信号を受信できなかった場合(106:No)、CPUは、後述するステップ113に進む。
【0042】
CPUは、ステップ107に進むと、初期化フラグFが「1」であるか否かを判定する。初期化フラグFが「1」である場合(107:Yes)、CPUは、ステップ108に進む。一方、初期化フラグFが「0」である場合(107:No)、CPUは、ステップ112に進む。
【0043】
CPUは、ステップ108に進むと、指針30の指示時刻を基準時刻に初期化し、ステップ109に進む。
【0044】
CPUは、ステップ109に進むと、初期化フラグFを「0」に設定し、ステップ110に進む。
【0045】
CPUは、ステップ110に進むと、スマートフォンSPから現在時刻を取得し、ステップ111に進む。
【0046】
【0047】
CPUは、ステップ111に進むと、指針30を高速で回転させて、指示時刻を現在時刻に一致させ、ステップ101に戻る。
【0048】
CPUは、ステップ112に進むと、指針30を通常回転速度で回転させ、ステップ101に戻る。
【0049】
CPUは、ステップ113に進むと、指針30を停止させ、ステップ114に進む。
【0050】
CPUは、ステップ114に進むと、初期化フラグFを「1」に設定して、ステップ101に戻る。
【0051】
(効果)
上記のように構成された腕時計1とスマートフォンSPとが無線通信可能な状態において運針される。一方、無線通信不能な状態では運針されない、すなわち、無線通信不能な状態では、ステッピングモーター41aが駆動されない。そのため、この状態では、電力消費量が極めて小さい。つまり、本実施形態に係る腕時計1の電池交換の頻度、又は充電作業の頻度が低い。
【0052】
また、ユーザーは、指針30の動作に基づいて、腕時計1がスマートフォンSPに無線接続されているか否かを認識できる。つまり、指針30が動作していなければ、ユーザーは、腕時計1がスマートフォンSPに無線接続されていないことを認識できる。
【0053】
また、ペアリングコードを腕時計1に固有のコード(例えば、購入時にユーザーにペアリングコードが通知される)としておけば、当該ペアリングコードを知らない他人は、実質的に腕時計1を使用することができない。そのため、セキュリティ性能を高めることができる(例えば、腕時計の盗難を抑制できる)。
【0054】
(変形例)
上記実施形態の輪列41bに代えて、秒針31を駆動する輪列と、分針32及び時針33を駆動する輪列とが個別に設けられるとともに、それぞれの輪列を駆動するステッピングモーターが設けられていてもよい。
【0055】
また、腕時計1とスマートフォンSPとの無線接続が一旦切断された後、リューズ13が押し込まれたとき、CPUが応答要求信号を送信開始するようにしてもよい。これによれば、腕時計1とスマートフォンSPとが無線通信可能な程度であったとしても、リューズ13が押し込まれるまで、腕時計1がスマートフォンSPに無線接続されない。よって、不要な電力消費を防止できる。
【0056】
また、腕時計1は、リューズ13の中心軸周りの回転方向、回転速度、回転角度などを検出するセンサを備えていてもよい。そして、このセンサの検出結果及び/又はスイッチ42bのオン・オフ状態に基づいて、ペアリングコードを設定(変更)可能であってもよい。例えば、CPUは、リューズ13の回転に従って、ペアリングコードを「1」ずつ増加させるように変更するととともに、そのペアリングコードをユーザーが視認可能なように、変更前及び変更後のペアリングコードを表すデータをスマートフォンSPに送信し、スマートフォンSPの画面に両ペアリングコードを表示させるとよい。
【符号の説明】
【0057】
1…腕時計、10…ケース、11…フーム、13…リューズ、20…文字盤、30…指針、40…駆動装置、41…駆動機構、41a…ステッピングモーター、41b…輪列、42…制御装置、F…初期化フラグ、SP…スマートフォン、X…パルス数、f…周波数
【要約】
【課題】 電池交換の頻度、又は充電作業の頻度を低減した腕時計を提供する。
【解決手段】 腕時計1は、フレームと、前記フレームに対して回転可能に支持された長針及び短針と、前記長針及び前記短針をそれぞれ回転駆動する電動式の回転駆動装置と、前記回転駆動装置に電力を供給する電力供給装置と、前記回転駆動装置を制御する制御装置と、を備える。前記制御装置は、所定の携帯型情報端末装置と無線通信可能な状態において、前記回転駆動装置を動作させ、前記携帯型情報端末装置と無線通信不能な状態において、前記回転駆動装置を停止させる。
【選択図】
図4