(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-19
(45)【発行日】2023-05-29
(54)【発明の名称】リアノジン受容体阻害薬
(51)【国際特許分類】
A61K 31/47 20060101AFI20230522BHJP
A61K 31/4741 20060101ALI20230522BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20230522BHJP
A61P 21/00 20060101ALI20230522BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20230522BHJP
【FI】
A61K31/47
A61K31/4741
A61P43/00 111
A61P21/00
A61P29/00
(21)【出願番号】P 2019551212
(86)(22)【出願日】2018-10-24
(86)【国際出願番号】 JP2018039542
(87)【国際公開番号】W WO2019082940
(87)【国際公開日】2019-05-02
【審査請求日】2021-10-05
(31)【優先権主張番号】P 2017205935
(32)【優先日】2017-10-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】502285457
【氏名又は名称】学校法人順天堂
(73)【特許権者】
【識別番号】504179255
【氏名又は名称】国立大学法人 東京医科歯科大学
(74)【代理人】
【識別番号】110000084
【氏名又は名称】弁理士法人アルガ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】村山 尚
(72)【発明者】
【氏名】國廣 なごみ 呉林
(72)【発明者】
【氏名】影近 弘之
(72)【発明者】
【氏名】森 修一
(72)【発明者】
【氏名】湯浅 磨里
【審査官】高橋 樹理
(56)【参考文献】
【文献】特開昭55-100365(JP,A)
【文献】特開昭56-128703(JP,A)
【文献】特公昭47-031312(JP,B2)
【文献】英国特許出願公開第01070333(GB,A)
【文献】国際公開第2007/130499(WO,A1)
【文献】米国特許第03149104(US,A)
【文献】特開昭54-092992(JP,A)
【文献】米国特許第03966743(US,A)
【文献】米国特許第03287458(US,A)
【文献】特開2007-024705(JP,A)
【文献】特表2015-514736(JP,A)
【文献】特表2005-533087(JP,A)
【文献】REGISTRY [online],US: American Chemical Society [retrieved on 2018.12.10], Retrieved from: STN, CAS RN 1267926-53-3, 1
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(I)
【化1】
[式中、R
1は、C1~12アルキル基を示し、
Xは、CHを示し、
R
2およびR
3は、それぞれ独立して、水素原子、C1~6アルキル基又はC1~6アルコキシ基を示すか、R
2とR
3は一緒になってC1~3アルキレンジオキシ基を示してもよく、
YはCOOHを示す。]
で表される化合物又はその薬学的に許容される塩を有効成分とする、悪性高熱症及びセントラルコア病からなる群より選択されるRyR1受容体関連疾患の治療又は予防薬。
【請求項2】
請求項1記載の一般式(I)で表される化合物又はその薬学的に許容される塩を有効成分とするRyR1受容体阻害薬。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リアノジン受容体阻害薬に関する。
【背景技術】
【0002】
リアノジン受容体(RyR)は、筋収縮にとって不可欠なステップである、筋小胞体(SR)からのカルシウムイオン(Ca2+)の遊離を担うCa2+遊離チャネルである。RyRは、細胞質基質側のCa2+に刺激されて、Ca2+を細胞質基質中に遊離する(Ca2+誘発性Ca2+遊離、CICR)。そのためポジティブフィードバック機構として働き、チャネル付近の細胞質基質中にある少量のCa2+が、SRからより多くのCa2+遊離を引き起こす。
【0003】
RyRには主に骨格筋に発現するRyR1、主に心筋に発現するRyR2、及び広範囲に発現するが脳に多く発現するRyR3のサブタイプが知られている。RyR遺伝子変異は、CICR活性の異常亢進を引き起こし、種々の疾患の原因とされている。例えば、RyR1関連疾患としては、悪性高熱症(MH)(例えば、手術時の吸入麻酔薬による体温上昇、骨格筋拘縮等)、セントラルコア病(CCD)(難病に指定されている四肢の筋力低下等)が挙げられる(非特許文献1)。また、RyR2関連疾患としては、カテコラミン誘発性多形性心室頻拍(CPVT)(運動性不整脈)、不整脈性原性右室心筋症(ARVC)(右室形成異常、不整脈誘発)、特発性心室細動(IVF)(安静時に心室細動誘発)等が挙げられる(非特許文献2)。さらに、RyR以外の主要因により、二次的にRyRの制御異常が起こることの結果生じる疾患として、悪性症候群(統合失調症治療薬の副作用)、筋ジストロフィー症、アルツハイマー型認知症、ハンチントン症、外傷性脳損傷等が挙げられる(非特許文献3~8)。
【0004】
これらのRyR関連疾患の原因は、RyR遺伝子変異によるCICR活性の異常亢進にあると考えられているが、現時点で有効な治療薬は存在しない。例えば、悪性高熱症にはダントロレンが唯一の治療薬とされている(非特許文献9)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特公昭51-18440号公報
【文献】国際公開第2010/064701号パンフレット
【非特許文献】
【0006】
【文献】Orphanet J Rare Dis. 10:93 (2015)
【文献】J. Electrocardiol. 48 (5), 874-878 (2015)
【文献】Neuropsychiatr Dis Treat. 13: 161-175 (2017)
【文献】FASEB J. 32: 1025-1043 (2018)
【文献】J. Neurosci. 35: 6893-6902 (2015)
【文献】J. Alzheimers Dis. 45: 561-580 (2015)
【文献】Molecular Neurodegeneration 2011, 6:81, 1-12
【文献】Eur Spine J (2009) 18: 1442-1451 外傷性脳損傷
【文献】悪性高熱症患者の管理に関するガイドライン2016-安全な麻酔管理のために- 2016年8月 日本麻酔科学会 安全委員会 悪性高熱症WG作成
【文献】Hum Mutat., 37, 1231-1241, 2016
【文献】J. Med. Chem. 1980, 23, 1358-1363
【文献】Chem. Pharm. Bull. 41 (1) 126-131 (1993)
【文献】Nat. Commun., 2014, 5: 4153
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、ダントロレンは副作用が強いことから長期投与には不向きであることと、水溶性が低いことから投与方法に制限がある。また、ダントロレンにはCCD治療薬としての適用がない。したがって、本発明の課題は、リアノジン受容体阻害活性、特にRyR1に対して阻害活性を有し、リアノジン受容体関連疾患に有効な医薬を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そこで、本発明者らは、リアノジン受容体と筋収縮にとって不可欠なステップであるCICRとの関係に鑑みて種々検討した結果、蛍光小胞体Ca2+インジケーターと疾患変異型RyRとを発現する培養細胞、及び蛍光小胞体Ca2+インジケーターと野生型RyRとを発現する培養細胞とをそれぞれ培養し、被検物質の存在下で小胞体内Ca2+濃度を測定し、前記両培養細胞の小胞体内Ca2+濃度を対比することにより、CICR活性抑制剤、すなわちリアノジン受容体関連疾患治療薬のスクリーニングができることを見出し、先に特許出願を行った(特願2016-113147号、また非特許文献10)。そして、このスクリーニング方法を用いて、種々の化合物をスクリーニングした結果、下記一般式(I)で表される化合物が優れたリアノジン受容体阻害活性を有し、リアノジン受容体関連疾患の予防又は治療薬として有用であることを見出し、本発明を完成した。
【0009】
すなわち、本発明は、以下の[1]~[9]を提供するものである。
[1]一般式(I)
【0010】
【0011】
[式中、R1は、C1~12アルキル基、C2~12アルケニル基又はC2~12アルキニル基を示し、該アルキル基、アルケニル基及びアルキニル基はC3~12炭素環、又は4~12員複素環が置換していてもよく、
XはCR4又はNを示し、
R2、R3およびR4はそれぞれ独立して、水素原子、C1~6アルキル基、C2~6アルケニル基、C2~6アルキニル基、C1~3フッ化アルキル基、C1~6アルコキシ基、OR10(式中、R10は水素原子又はフェニル基を示す。)、NR11R12(式中、R11およびR12はそれぞれ独立して、水素原子、C1~6アルキル基又はフェニル基を示す。)、COR13(式中、R13は水酸基、OR20(式中、R20は水素原子、C1~6アルキル基又はフェニル基を示す。)又はNR21R22(式中、R21およびR22はそれぞれ独立して、水素原子、C1~6アルキル基又はフェニル基を示す。)を示す。)、シアノ基、ニトロ基、ハロゲン原子、C1~3フッ化アルコキシ基、C1~6アルキルチオ基、C3~12炭素環又は4~12員複素環を示し、R2とR3は一緒になってC3~5アルキレン基又はC1~3アルキレンジオキシ基を示してもよく、
YはCOR30(R30は水酸基、OR40(式中、R40はC1~6アルキル基又はフェニル基を示す。)又はNR41R42(式中、R41およびR42はそれぞれ独立して、水素原子、C1~6アルキル基又はフェニル基を示す。)を示す。)を示す。]
で表される化合物又はその薬学的に許容される塩を有効成分とするリアノジン受容体関連疾患の治療又は予防薬。
【0012】
[2] 前項[1]記載の一般式(I)で表される化合物において、XがCHであり、R1がC6~10アルキル基であり、R2が水素原子であり、R3がC1~4アルキル基である、前項[1]記載の治療又は予防薬。
【0013】
[3] リアノジン受容体が、RyR1である前項[1]又は[2]記載の治療及び/又は予防薬。
【0014】
[4] リアノジン受容体関連疾患が、悪性高熱症及びセントラルコア病からなる群より選択される疾患である、前項[1]~[3]のいずれか1項記載の治療又は予防薬。
【0015】
[5] 前項[1]記載の一般式(I)で表される化合物又はその薬学的に許容される塩を有効成分とするリアノジン受容体の阻害薬。
【0016】
[6] リアノジン受容体がRyR1である前項[5]記載の阻害薬。
【0017】
【0018】
[式中、R1AはC1~12アルキル基、C3~6シクロアルキル-C1~4アルキル基又はフェニル-C1~4アルキル基を示し、
XAはCR4A又はNを示し、R4Aは水素原子、C1~4アルキル基又はC1~4アルコキシ基を示し、
R2AとR3Aは一方が水素原子、C1~4アルキル基又はC1~4アルコキシ基であり、他方が水素原子、C1~4アルキル基、C1~4アルコキシ基、シアノ基、ハロゲン原子、トリハロメチル基、トリハロメチルオキシ基もしくはメチルチオ基を示すか、又はR2AとR3Aが一緒になってC3~5アルキレン基又は-O-CH2-O-基を示す
(ただし、(i)R2AとR3Aがともに水素原子のときR1Aはシクロへキシルメチル基を示し、
(ii)R1Aがn-プロピル基のときR2Aはメチル基又はメトキシ基ではなく、
(iii)R2AとR3Aが一緒になって-O-CH2-O-基を示すときR1Aはオクチル基ではない)]で表される化合物又はその薬学的に許容される塩。
【0019】
[8] 前項[7]記載の一般式(IA)で表される化合物において、
R2AとR3Aは一方が水素原子であり、他方がC1~4アルキル基、C1~4アルコキシ基、ハロゲン原子、シアノ基もしくはトリハロメチル基を示すか、又はR2とR3が一緒になって-O-CH2-O-基を示す
(ただし、(i)R1Aがn-プロピル基のときR2Aはメチル基又はメトキシ基ではなく、
(ii)R2AとR3Aが一緒になって-O-CH2-O-基を示すときR1Aはオクチル基ではない)]
請求項7記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【0020】
[9](1)1-シクロへキシルメチル-1,4-ジヒドロ-4-オキソキノリン-3-カルボン酸、
(2)1,4-ジヒドロ-6-メチル-1-オクチル-4-オキソキノリン-3-カルボン酸、
(3)1,4-ジヒドロ-7-メチル-1-プロピル-4-オキソキノリン-3-カルボン酸、
(4)1,4-ジヒドロ-7-メチル-1-オクチル-4-オキソキノリン-3-カルボン酸、
(5)1,4-ジヒドロ-7-メチル-1-オクチル-4-オキソキノリン-3-カルボン酸、
(6)1,4-ジヒドロ-7-メトキシ-4-オキソ-1-プロピルキノリン-3-カルボン酸、
(7)1,4-ジヒドロ-7-メトキシ-1-オクチル-4-オキソキノリン-3-カルボン酸、
(8)1,4-ジヒドロ-1-プロピル-4-オキソ-7-トリフルオロメチルキノリン-3-カルボン酸、
(9)1,4-ジヒドロ-1-オクチル-4-オキソ-7-トリフルオロメチルキノリン-3-カルボン酸、
(10)5-デシル-8-オキソ-[1,3]ジオキソロ[4,5-g]キノリン-7-カルボン酸、
(11)1,4-ジヒドロ-7-メトキシ-1-プロピル-4-オキソ-1,8-ナフチリジン-3-カルボン酸、
(12)1,4-ジヒドロ-7-メトキシ-1-オクチル-4-オキソ-1,8-ナフチリジン-3-カルボン酸、
(13)1-デシル-1,4-ジヒドロ-7-メトキシ-4-オキソ-1,8-ナフチリジン-3-カルボン酸、
(14)1,4-ジヒドロ-6,7-ジメトキシ-1-オクチル-4-オキソキノリン-3-カルボン酸、
(15)1-デシル-1,4-ジヒドロ-6,7-ジメトキシ-4-オキソキノリン-3-カルボン酸、
(16)1-プロピル-4-オキソ-シクロペンタ[g]キノリン-3-カルボン酸、
(17)1-オクチル-4-オキソ-シクロペンタ[g]キノリン-3-カルボン酸、
(18)1-プロピル-1,4-ジヒドロ-7-トリフルオロメチルオキシ-4-オキソキノリン-3-カルボン酸、
(19)1-プロピル-1,4-ジヒドロ-7-トリフルオロメチルオキシ-4-オキソキノリン-3-カルボン酸、
(20)1,4-ジヒドロ-8-メトキシ-1-オクチル-4-オキソキノリン-3-カルボン酸、
(21)7,8-ジメトキシ-1,4-ジヒドロ-1-オクチル-4-オキソキノリン-3-カルボン酸、及び
(22)1,4-ジヒドロ-7-メチルチオ-1-オクチル-4-オキソキノリン-3-カルボン酸
からなる群より選択される、前項[7]記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【発明の効果】
【0021】
一般式(I)で表される本発明化合物又はその薬学的に許容される塩は、リアノジン受容体、特にRyR1受容体の阻害活性を示すため、骨格筋疾患の予防又は治療に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】オキソリン酸及び1,4-ジヒドロ-4-オキソキノリン3-カルボン酸(DOCA)のRyR1阻害活性を示す。
【
図2】本発明で用いる化合物のRyR1阻害活性を示す。
【
図3】本発明で用いる化合物のRyR1阻害活性を示す。
【
図4】本発明で用いる化合物のRyR1阻害活性を示す。
【
図5】本発明で用いる化合物のRyR1結合活性を示す。
【
図6】RyR1悪性高熱症変異導入マウスに対する治療効果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明のリアノジン受容体関連疾患の治療又は予防薬における有効成分は、一般式(I)で表される化合物又はその薬学的に許容される塩である。当該一般式(I)で表される化合物には、オキソリン酸及びキノリン-3-カルボン酸誘導体化合物が含まれる。オキソリン酸は1970年代に開発されたキノロン系抗菌剤である(特許文献1)。オキソリン酸は細菌DNAのジャイレースを阻害し、現在では主に動物用の抗菌剤として使用されている。また、オキソリン酸に構造が類似した化合物として、1,4-ジヒドロ-4-オキソキノリン-3-カルボン酸(DOCA)誘導体の抗菌活性に関する構造活性相関の研究が行われている(例えば、非特許文献11、12)。これらの化合物は抗菌作用を有することは知られているが、リアノジン受容体阻害活性を有することは何ら知られていない。また、一般式(IA)で示される化合物はこれまで知られていない新規な化合物である。
以下、本発明を詳細に説明する。
【0024】
本明細書中、「C1~12アルキル基」とは、炭素数1~12の直鎖状のアルキル基又は炭素数3~12の分岐鎖状のアルキル基を示す。C1~12アルキル基の例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基、n-ペンチル基、n-へキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基、n-ノニル基、n-デシル基、n-ウンデシル基、n-ドデシル基の直鎖状のアルキル基、イソプロピル基、イソブチル基、t-ブチル基、s-ブチル基、イソペンチル基、1-エチルプロピル基、3-メチルブチル基、2,2-ジメチルプロピル基、イソへキシル基、3-エチルブチル基、3,3-ジメチルブチル基、イソヘプテニル基、イソオクチル基、イソノニル基、イソデシル、イソウンデシル基、イソドデシル基等の分岐鎖状のアルキル基が挙げられる。
【0025】
本明細書中、「C2~12アルケニル基」とは、炭素数2~12の直鎖状のアルケニル基又は炭素数3~12の分岐鎖状のアルケニル基を示す。C2~12アルケニル基の例としては、エテニル基、n-プロペニル基、n-ブテニル基、n-ペンテニル基、n-へキセニル基、n-ヘプタニル基、n-オクタニル基、n-ノネニル基、n-デセニル基、n-ウンデセニル基、n-ドデセニル基の直鎖状のアルケニル基、イソプロペニル基、イソブテニル基、s-ブテニル基、イソペンテニル基、1-エチルプロペニル基、3-メチルブテニル基、2,2-ジメチルプロペニル基、イソへキセニル基、3-エチルブテニル基、3,3-ジメチルブテニル基、イソヘプテニル基、イソオクテニル基、イソノネニル基、イソデセニル、イソウンデセニル基、イソドデセニル基等の分岐鎖状のアルケニル基が挙げられる。
【0026】
本明細書中、「C2~12アルキニル基」とは、炭素数2~12の直鎖状のアルキニル基又は炭素数3~12の分岐鎖状のアルキニル基を示す。C2~12アルキニル基の例としては、エチニル基、n-プロピニル基、n-ブチニル基、n-ペンチニル基、n-へキシニル基、n-ヘプチニル基、n-オクチニル基、n-ノニニル基、n-デシニル基、n-ウンデシニル基、n-ドデシニル基の直鎖状のアルキニル基、イソブチニル基、s-ブチニル基、イソペンチニル基、1-エチルプロピニル基、3-メチルブチニル基、2,2-ジメチルプロピニル基、イソへキシニル基、3-エチルブチニル基、3,3-ジメチルブチニル基、イソヘプチニル基、イソオクチニル基、イソノニニル基、イソデシニル、イソウンデシニル基、イソドデシニル基等の分岐鎖状のアルキニル基が挙げられる。
【0027】
本明細書中、「C3~12炭素環」は、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、シクロノナン、シクロデカン等の飽和炭化水素(シクロアルカン)、ビシクロヘプタン、ビシクロオクタン、ビシクロノナン等のビシクロ環、シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテン、シクロノネン、シクロデセン等のシクロアルケン、ベンゼン、ナフタレン、インダン、インデン等の芳香環等を含む完全不飽和又は不完全不飽和の炭素環が挙げられる。
【0028】
本明細書中、「4~12員複素環」には「4~12員飽和複素環」及び「4~12員不飽和複素環」が含まれる。
「4~12員飽和複素環」とは、窒素原子、酸素原子及び硫黄原子から選択されるヘテロ原子を有する飽和の単環式又は二環式以上の複素環であり、例えば、モルホリン、1-ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、テトラヒドロチオフェン、チアゾリジン、オキサゾリジン等が挙げられる。
【0029】
本明細書中、「4~12員不飽和複素環」とは、窒素原子、酸素原子及び硫黄原子から選択されるヘテロ原子を有する、完全不飽和又は部分不飽和の単環式又は二環式以上の複素環であり、例えば、イミダゾリン、チオフェン、フラン、ピロール、オキサゾール、イソキサゾール基、チアゾール、イソチアゾール基、チアジアゾール基、ピラゾール、トリアゾール、テトラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、インドール、イソインドール、インダゾール基、トリアゾロピリジン、ベンゾイミダゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール基、ベンゾチオフェン、ベンゾフラン、プリン、キノリン、イソキノリン、キナゾリン、キノキサリン、メチレンジオキシベンゼン、エチレンジオキシベンゼン、ジヒドロベンゾフラン等が挙げられる。
【0030】
本明細書中、「C1~6アルキル基」とは、炭素数1~6の直鎖状のアルキル基又は炭素数3~6の分岐鎖状のアルキル基を示す。C1~6アルキル基の例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基、n-ペンチル基、n-へキシル基の直鎖状のアルキル基、イソプロピル基、イソブチル基、t-ブチル基、s-ブチル基、イソペンチル基、1-エチルプロピル基、3-メチルブチル基、2,2-ジメチルプロピル基、イソへキシル基、3-エチルブチル基、3,3-ジメチルブチル基等の分岐鎖状のアルキル基が挙げられる。
【0031】
本明細書中、「C1~4アルキル基」とは、炭素数1~4の直鎖状のアルキル基又は炭素数3~4の分岐鎖状のアルキル基を示す。C1~4アルキル基の例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基の直鎖状のアルキル基、イソプロピル基、イソブチル基、t-ブチル基、s-ブチル基等の分岐鎖状のアルキル基が挙げられる。
【0032】
本明細書中、「C2~6アルケニル基」とは、炭素数2~6の直鎖状のアルケニル基又は炭素数3~6の分岐鎖状のアルケニル基を示す。C2~6アルケニル基の例としては、エテニル基、n-プロペニル基、n-ブテニル基、n-ペンテニル基、n-へキセニル基の直鎖状のアルケニル基、イソプロペニル基、イソブテニル基、s-ブテニル基、イソペンテニル基、1-エチルプロペニル基、3-メチルブテニル基、2,2-ジメチルプロペニル基等の分岐鎖状のアルケニル基が挙げられる。
【0033】
本明細書中、「C2~6アルキニル基」とは、炭素数2~6の直鎖状のアルキニル基又は炭素数3~6の分岐鎖状のアルキニル基を示す。C2~6アルキニル基の例としては、エチニル基、n-プロピニル基、n-ブチニル基、n-ペンチニル基、n-へキシニル基の直鎖状のアルキニル基、イソブチニル基、s-ブチニル基、イソペンチニル基、1-エチルプロピニル基、3-メチルブチニル基、2,2-ジメチルプロピニル基、イソへキシニル基等の分岐鎖状のアルキニル基が挙げられる。
【0034】
本明細書中、「C1~3フッ化アルキル基」としては、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、フルオロエチル、ジフルオロエチル、トリフルオロエチル、フルオロプロピル、ジフルオロプロピル、トリフルオロプロピル、ヘキサフルオロプロピル基等が挙げられる。
【0035】
本明細書中、「C1~6アルコキシ基」とは、炭素数1~6の直鎖状のアルキルオキシ基又は炭素数3~6の分岐鎖状のアルキルオキシ基を示す。C1~6アルコキシ基の例としては、メチルオキシ、エチルオキシ、プロピルオキシ、ブチルオキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ基等が挙げられる。
【0036】
本明細書中、「C1~4アルコキシ基」としては、メチルオキシ、エチルオキシ、プロピルオキシ、ブチルオキシ基等が挙げられる。
【0037】
本明細書中、「C1~6アルキルチオ基」は、炭素数1~6の直鎖状のアルキルチオ基又は炭素数3~6の分岐鎖状のアルキルチオ基を示す。C1~6アルキルチオ基の例としては、メチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ、ブチルチオ、ペンチルチオ、ヘキシルチオ基等が挙げられる。
【0038】
本明細書中、ハロゲン原子とは、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素を示す。
【0039】
本明細書中、「C1~3フッ化アルコキシ基」としては、フルオロメチルオキシ、ジフルオロメチルオキシ、トリフルオロメチルオキシ、フルオロエチルオキシ、ジフルオロエチルオキシ、トリフルオロエチルオキシ、フルオロプロピルオキシ、ジフルオロプロピルオキシ、トリフルオロプロピルオキシ、ヘキサフルオロプロピルオキシ基等が挙げられる。
【0040】
本明細書中、「C1~3アルキレンジオキシ基」とは、メチレンジオキシ、エチレンジオキシ又はプロピレンジオキシ基を示す。
【0041】
本明細書中、「C3~5アルキレン基」とは、トリメチレン、テトラメチレン又はペンタメチレン基を示す。
【0042】
本明細書中、「治療又は予防薬」とは、「治療薬」及び「予防薬」の少なくとも一つを意味し、治療薬かつ予防薬である薬剤も含む。
【0043】
以下、一般式(I)で表される化合物の好ましい態様を示す。
【0044】
Xとしては、CH又はNが好ましく、CHがより好ましい。
【0045】
Yとしては、カルボキシル基又はCOR40が好ましく、カルボキシル基がより好ましい。
【0046】
R1としては、C1~12アルキル基、C2~12アルケニル基又はC2~12アルキニル基が好ましく、C1~12アルキル基がより好ましく、C2~12アルキル基がさらに好ましく、C4~10アルキル基がいっそう好ましく、C6~10アルキル基が特に好ましい。
【0047】
R2としては水素原子、C1~6アルキル基及びC1~6アルコキシ基が好ましく、水素原子がより好ましい。
【0048】
R3としては水素原子、C1~6アルキル基及びC1~6アルコキシ基が好ましく、C1~4アルキル基及びC1~4アルコキシ基がより好ましい。
【0049】
また、R2とR3が一緒になってC1~3アルキレンジオキシ基を形成していてもよい。
【0050】
一般式(I)で表される化合物において、XがCHであり、R1がC4~10アルキル基であり、R2が水素原子であり、R3がC1~4アルキル基又はC1~4アルコキシ基である化合物が好ましい。
【0051】
一般式(IA)で表される化合物の好ましい態様を示す。
【0052】
XAとしては、CH又はNが好ましく、CHがより好ましい。
【0053】
R1Aとしては、C1~12アルキル基が好ましく、C6~10アルキル基がより好ましい。
【0054】
R2A及びR3Aとしては、水素原子、C1~6アルキル基及びC1~6アルコキシ基が好ましく、C1~4アルキル基及びC1~4アルコキシ基がより好ましい。
【0055】
また、R2AとR3Aが一緒になってC3~5アルキレン基又はC1~3アルキレンジオキシ基を形成していてもよい。
【0056】
本発明で使用される一般式(I)で表される化合物において、具体的には、
化合物1:1,4-ジヒドロ-1-メチル-4-オキソキノリン-3-カルボン酸、
化合物2:1,4-ジヒドロ-1-エチル-4-オキソキノリン-3-カルボン酸、
化合物3:1,4-ジヒドロ-1-プロピル-4-オキソキノリン-3-カルボン酸、
化合物4:1,4-ジヒドロ-1-ブチル-4-オキソキノリン-3-カルボン酸、
化合物5:1,4-ジヒドロ-1-ペンチル-4-オキソキノリン-3-カルボン酸、
化合物6:1,4-ジヒドロ-1-ヘキシル-4-オキソキノリン-3-カルボン酸、
化合物7:1,4-ジヒドロ-1-ヘプチル-4-オキソキノリン-3-カルボン酸、
化合物8:1,4-ジヒドロ-1-オクチル-4-オキソキノリン-3-カルボン酸、
化合物9:1,4-ジヒドロ-1-シクロプロピルメチル-4-オキソキノリン-3-カルボン酸、
化合物10:1,4-ジヒドロ-1-シクロヘキシルメチル-4-オキソキノリン-3-カルボン酸、
化合物11:1,4-ジヒドロ-1-ベンジル-4-オキソキノリン-3-カルボン酸、
化合物12:1,4-ジヒドロ-6-メチル-1-プロピル-4-オキソキノリン-3-カルボン酸、
化合物13:1,4-ジヒドロ-6-メチル-1-オクチル-4-オキソキノリン-3-カルボン酸、
化合物14:1,4-ジヒドロ-7-メチル-1-プロピル-4-オキソキノリン-3-カルボン酸、
化合物15:1,4-ジヒドロ-7-メチル-1-オクチル-4-オキソキノリン-3-カルボン酸、
化合物16:1,4-ジヒドロ-6-メトキシ-1-プロピル-4-オキソキノリン-3-カルボン酸、
化合物17:1,4-ジヒドロ-6-メトキシ-1-オクチル-4-オキソキノリン-3-カルボン酸、
化合物18:1,4-ジヒドロ-7-メトキシ-1-プロピル-4-オキソキノリン-3-カルボン酸、
化合物19:1,4-ジヒドロ-7-メトキシ-1-オクチル-4-オキソキノリン-3-カルボン酸、
化合物20:5-エチル-8-オキソ-[1,3]ジオキソロ[4,5-g]キノリン-7-カルボン酸(オキソリン酸)、及び
化合物29:5-デシル-8-オキソ-[1,3]ジオキソロ[4,5-g]キノリン-7-カルボン酸が好ましく、
化合物2:1,4-ジヒドロ-1-エチル-4-オキソキノリン-3-カルボン酸、
化合物4:1,4-ジヒドロ-1-ブチル-4-オキソキノリン-3-カルボン酸、
化合物8:1,4-ジヒドロ-1-オクチル-4-オキソキノリン-3-カルボン酸、
化合物13:1,4-ジヒドロ-6-メチル-1-オクチル-4-オキソキノリン-3-カルボン酸、
化合物15:1,4-ジヒドロ-7-メチル-1-オクチル-4-オキソキノリン-3-カルボン酸、
化合物17:1,4-ジヒドロ-6-メトキシ-1-オクチル-4-オキソキノリン-3-カルボン酸、
化合物19:1,4-ジヒドロ-7-メトキシ-1-オクチル-4-オキソキノリン-3-カルボン酸、
化合物20:5-エチル-8-オキソ-[1,3]ジオキソロ[4,5-g]キノリン-7-カルボン酸(オキソリン酸)、及び
化合物29:5-デシル-8-オキソ-[1,3]ジオキソロ[4,5-g]キノリン-7-カルボン酸がより好ましく、
化合物13:1,4-ジヒドロ-6-メチル-1-オクチル-4-オキソキノリン-3-カルボン酸、
化合物15:1,4-ジヒドロ-7-メチル-1-オクチル-4-オキソキノリン-3-カルボン酸、
化合物17:1,4-ジヒドロ-6-メトキシ-1-オクチル-4-オキソキノリン-3-カルボン酸、
化合物19:1,4-ジヒドロ-7-メトキシ-1-オクチル-4-オキソキノリン-3-カルボン酸、
化合物20:5-エチル-8-オキソ-[1,3]ジオキソロ[4,5-g]キノリン-7-カルボン酸(オキソリン酸)及び
化合物29:5-デシル-8-オキソ-[1,3]ジオキソロ[4,5-g]キノリン-7-カルボン酸がさらに好ましい。
【0057】
一般式(I)及び(IA)で表される化合物には、その薬学的に許容される塩が含まれる。具体的には、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩、アンモニウム塩、アルミニウム塩等の無機塩基や、メチルアミン、エチルアミン、エタノールアミン、リシン、オルニチン等の有機塩基との塩基付加塩等が挙げられる。
【0058】
一般式(I)及び(IA)で表される化合物並びにその薬学的に許容される塩には、溶媒和物(水和物を含む)及び結晶多形が存在することもあるが、単独の結晶形であっても、複数の結晶形の混合物であってもよく、いずれもが包含される。また、非晶質形であってもよい。
【0059】
一般式(I)及び(IA)で表される化合物又はそれらの薬学的に許容される塩は、それ自身公知であるか、その基本骨格又はその置換基の種類に基づく特徴を利用し、置換基導入や官能基変換に関する種々の公知の合成法を適用して製造することができる。例えば、1,4-ジヒドロ-4-オキソキノリン-3-カルボン酸(DOCA、CAS番号:13721-01-2)を出発原料として、公知の方法で置換基導入反応を行うか、又は特許文献2、非特許文献11、12に記載の方法に準じて製造することができる。例えば、オキソリン酸はCAS番号:14698-29-4が付された公知化合物である。
【0060】
一般式(I)で表される化合物は、例えば、以下の反応工程式1または以下の実施例に従って製造することができるが、これらに限定されない。また、一般式(IA)で表される化合物も、同様の方法によって製造することができる。
【0061】
【0062】
(式中、Y1はYのうちCOOH以外の基を示し、Halはハロゲン原子(ヨウ素、塩素、臭素)を示し、R30-1は、前記R30のうち水酸基以外のものを示し、その他の記号は前記と同じ意味を表す。)
【0063】
ステップ(1)
一般式(I)で示される化合物のうち、YがCOOH基以外の基である化合物、すなわち一般式(I-1)で示される化合物は、一般式(II)で表される化合物を一般式(III)で表される化合物との反応であるN-アルキル化反応によって製造することができる。この反応は、アルカリ剤または強塩基存在下で、溶媒の存在下または非存在下で行うことができる。
式(III)で表される化合物はハロゲン化炭化水素であり、塩化メタン、臭化メタン、ヨウ化メタン、臭化エタン、塩化n-プロパン、臭化n-プロパン、臭化イソプロパン、臭化n-ブタン、臭化t-ブタン、塩化n-ヘキサン、臭化n-ヘキサン、ヨウ化n-ヘキサン、臭化シクロヘキサン、臭化n-オクタン、臭化n-ドデカン、ヨウ化n-ドデカン、臭化シクロへキシル、臭化ベンジル、臭化アリル等の公知化合物を用いることができる。
アルカリ剤としては、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム、炭酸セシウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の無機アルカリ化合物等が挙げられる。
強塩基としては、水素化ナトリウム、水素化カリウム等が挙げられる。
溶媒としては、用いるアルキルハライドやアルカリ化剤によって異なるが、一般に有機合成に用いられる溶剤、例えば、メタノール、エタノール、2-プロパノール等のアルコール系溶媒、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶媒、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族系溶媒、クロロホルム、ジクロロメタン等のハロゲン系溶媒、アセトニトリル、DMF、DMSO、N-メチルピロリドンなど、水、又はこれらの混合物を使用することができる。
なお、一般式(II)で示される化合物のY1基をCOOH基に置き換えた化合物を原料としても、ステップ(1)の反応によりN-アルキル化とエステル化が同時に進行して、一般式(I-1)で示される化合物を製造することができる。
【0064】
ステップ(2)
一般式(I)で表される化合物のうち、Yがカルボキシル基である化合物(一般式(I-2)で表される化合物)は、ステップ(1)によって得られた一般式(I-1)で表される化合物をエステル基の脱保護反応に付すことによって得ることができる。脱保護反応は、Protective Groups in Organic Synthesis, Theodora W Green(John Wiley & Sons) 等に記載の方法に従って行うことができる。たとえば、保護基に応じて酸(例えば、塩酸、トリフルオロ酢酸)または塩基(例えば、水酸化ナトリウム等)の存在下に加水分解するか、または接触還元(例えば、10%パラジウム-炭素触媒存在下)することによって実施することができる。この反応は、室温~還流温度で1~24時間行うことができる。
溶媒としては、一般に有機合成に用いられる溶剤、例えば、メタノール、エタノール、2-プロパノール等のアルコール系溶媒、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶媒、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族系溶媒、クロロホルム、ジクロロメタン等のハロゲン系溶媒、アセトニトリル、DMF、DMSO、N-メチルピロリドンなど、水、又はこれらの混合物を使用することができる。
【0065】
ステップ(3)
一般式(I)で表される化合物のうち、YがCOOR40(R40は前記と同じ意味を示す。)、CONR41R42(R41およびR42は前記と同じ意味を示す。)である化合物、すなわち一般式(I-3)で表される化合物は、上記ステップ(2)によって製造した一般式(I-2)で表される化合物をエステル化またはアミド化反応に付すことによって製造することができる。
エステル化反応およびアミド化反応は、例えば、
(A)酸ハライドを用いる方法、
(B)混合酸無水物を用いる方法、
(C)縮合剤を用いる方法などによって行うことができる。
【0066】
これらの方法を具体的に説明すると、
(A)酸ハライドを用いる方法は、例えば、カルボン酸を有機溶媒(クロロホルム、ジクロロメタン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等)中または無溶媒で、酸ハライド化剤(オキザリルクロリド、チオニルクロリド等)と約-20℃~還流温度で反応させ、得られた酸ハライドを塩基(ピリジン、トリエチルアミン、ジメチルアニリン、ジメチルアミノピリジン、ジイソプロピルエチルアミン等)の存在下、アルコールと有機溶媒(クロロホルム、ジクロロメタン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等)中、約0~40℃の温度で反応させることにより行なわれる。また、有機溶媒(ジオキサン、テトラヒドロフラン等)中、アルカリ水溶液(重曹水または水酸化ナトリウム溶液等)を用いて、酸ハライドと約0~40℃で反応させることにより行なうこともできる。
(B)混合酸無水物を用いる方法は、例えば、カルボン酸を有機溶媒(クロロホルム、ジクロロメタン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等)中または無溶媒で、塩基(ピリジン、トリエチルアミン、ジメチルアニリン、ジメチルアミノピリジン、ジイソプロピルエチルアミン等)の存在下、酸ハライド(ピバロイルクロリド、トシルクロリド、メシルクロリド等)、または酸誘導体(クロロギ酸エチル、クロロギ酸イソブチル等)と、約0~40℃で反応させ、得られた混合酸無水物を有機溶媒(クロロホルム、ジクロロメタン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等)中、アルコールと約0~40℃で反応させることにより行なわれる。
(C)縮合剤を用いる方法は、例えば、カルボン酸とアルコールを、有機溶媒(クロロホルム、ジクロロメタン、ジメチルホルムアミド、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等)中、または無溶媒で、塩基(ピリジン、トリエチルアミン、ジメチルアニリン、ジメチルアミノピリジン等)の存在下または非存在下、縮合剤[1,3-ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、1-エチル-3-[3-(ジメチルアミノ)プロピル]カルボジイミド(EDC)、1,1’-カルボニルジイミダゾール(CDI)、2-クロロ-1-メチルピリジニウムヨウ素、1-プロピルホスホン酸環状無水物(PPA)等]を用い、1-ヒドロキシベンズトリアゾール(HOBt)を用いるか用いないで、約0~40℃で反応させることにより行なわれる。
これら(A)、(B)および(C)の反応は、いずれも不活性ガス(例えば、アルゴン、窒素等)雰囲気下、無水条件で行なうことが望ましい。
【0067】
出発原料として用いる一般式(II)で表される化合物は公知であるか、公知の方法、例えば、「Comprehensive Organic Transformations:A Guide to Functional Group Preparations 2nd Edition (Richard C. Larock, John Wiley & Sons Inc, 1999)」に記載された方法により容易に製造することができる。例えば、以下の反応工程式2で示される方法によって製造することができる。
【0068】
【0069】
(式中、Rpはエステル保護基(アルキル基又はベンジル基)を表し、その他の記号は前記と同じ意味を表す。)
【0070】
ステップ(4)
一般式(III)で表される化合物と一般式(IV)で表される化合物(メチレンマロネートエステル)との反応は、無溶媒または溶媒存在下で行うことができる。溶媒としては、水または有機溶媒(例えば、ジオキサン、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、1,2-ジメトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル系溶媒;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒;メタノール、エタノール、イソプロパノール等の低級アルコール系溶媒;DMF、DMSO、ヘキサメチルリン酸トリアミド、アセトニトリル等の極性溶媒を1種単独又は2種以上の混合物)が使用される。上記反応は、通常室温~200℃、好ましくは室温~150℃の温度条件下で、1~30時間の任意の時間行うことができる。
【0071】
ステップ(5)
一般式(V)で表される化合物を出発化合物とする環化反応は、特許文献1に記載されるように、例えばジフェニルエーテルのような溶媒中で加熱することにより実施できる。また、溶媒の不存在下でも一般式(V)で表される化合物を加熱することによって実施することもできる。かかる反応は、150~300℃で5分間~2時間行われる。
【0072】
一般式(III)および一般式(IV)で表される化合物は公知であるか、公知の化合物を原料として公知の方法によって製造することができる。
【0073】
一般式(I)で表される化合物又はその薬学的に許容される塩は、リアノジン受容体、特にリアノジン1受容体(RyR1)阻害作用を有し、動物、例えば哺乳動物、特にヒトにおける骨格筋疾患の治療に適用することができる。一般式(I)で表される化合物又はその薬学的に許容される塩は、特に悪性高熱症やCCDの治療に有用である。
【0074】
一般式(I)で表される化合物又はその薬学的に許容される塩を医薬として用いる場合、経口又は非経口的に投与することができる。一般式(I)で表される化合物又はその薬学的に許容される塩は、薬学的に許容される担体と組み合わせることによって薬学組成物とすることができる。薬学的に許容される担体として、賦形剤、結合剤、緩衝剤、増粘剤、安定化剤、乳化剤、分散剤、懸濁化剤、防腐剤等の公知のものを使用することができ、通常の方法により製剤化することができる。
【0075】
経口投与用製剤としては、例えば錠剤(糖衣錠、フィルムコーティング錠を含む)、丸剤、顆粒剤、散剤、カプセル剤(ソフトカプセル剤を含む)、シロップ剤、乳剤、懸濁剤等が挙げられる。
【0076】
この経口投与用製剤は製剤分野において通常用いられる添加剤を配合し、公知の方法に従って製造することができる。このような添加剤としては、例えば乳糖、マンニトール、無水リン酸水素カルシウム等の賦形剤;ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、ポリビニルピロリドン等の結合剤;でんぷん、カルボキシメチルセルロース等の崩壊剤、ステアリン酸マグネシウム、タルク等の滑沢剤等が挙げられる。非経口的には、注射剤、直腸投与製剤、局所投与剤等として投与することができ、なかでも注射剤が好ましい。
【0077】
注射剤としては、例えば無菌の溶液又は懸濁液等が挙げられる。これらの注射剤は、例えば本発明化合物又はその薬学的に許容しうる塩を日局注射用水に溶解又は懸濁することにより製造される。必要により塩化ナトリウム等の等張化剤;リン酸二水素ナトリウム、リン酸一水素ナトリウム等の緩衝剤;溶解補助剤等を配合してもよい。また、用時溶解型(粉末充填、凍結乾燥)の注射剤とすることができ、この場合、マンニトール、乳糖等の賦形剤を添加して、通常の方法で製造することができる。
【0078】
直腸投与製剤としては坐剤等が挙げられる。坐剤は例えば本発明化合物又はその薬学的に許容しうる塩をカカオ脂、マクロゴール等の基剤に溶解又は懸濁した後、鋳型に注いで成形して製造される。また、液又はクリームを注入用の容器に入れ、直腸投与製剤とすることもできる。
【0079】
局所投与製剤は液剤、点眼剤、クリーム、軟膏、ゲル製剤、スプレー剤、粉剤等が挙げられる。液剤は、本発明化合物又はその薬学的に許容しうる塩を水に加え、安定化剤、溶解剤、増粘剤、分散剤、懸濁化剤等を必要に応じて加えて製造することができる。この増粘剤としては、ゼラチン、ヒアルロン酸ナトリウム、高分子デキストラン、アルギン酸ナトリウム、コンドロイチン硫酸ナトリウム等を用いることができる。点眼剤は、緩衝剤、pH調整剤、等張化剤のほかに防腐剤を加えて製造することができる。クリーム及び軟膏は、水性又は油性の基剤、例えば水、流動パラフィン、植物油(ピーナッツ油、ひまし油等)、マクロゴール等を用いて製造することができる。ゲル製剤は、公知の方法により、ゼラチン、ペクチン、カラゲナン、寒天、トラガント、アルギン酸塩、セルロースエーテル(メチルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロース等)、ペクチン誘導体、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリビニルアルコール及びポリビニルピロリドン等を用いて製造することができる。スプレー剤は本発明化合物又はその薬学的に許容しうる塩を水等に溶解又は懸濁した後、スプレー容器に入れて製造することができる。粉剤とする場合は、本発明化合物又はその薬学的に許容しうる塩をそのまま使用することもできるが、適当な賦形剤と混合して製造することができる。
【0080】
本発明化合物の投与量は対象とする疾患や症状、投与対象の年齢、体重、性別等を考慮して個々の場合に応じて適宜決定される。通常、経口投与の場合、成人(体重約60kg)1日当たりの本発明化合物の投与量は、0.01~100mg、好ましくは0.01~30mg、さらに好ましくは0.1~10mgであり、これを1回で、あるいは2~4回に分けて投与する。また、静脈内投与される場合は、通常、成人1日の投与量は体重1kgあたり0.03~3000μg、好ましくは0.03~300μg、より好ましくは0.03~30μgであり、1日1回~複数回に分けて投与する。
【0081】
[実施例]
以下、本発明について実施例を挙げて具体的に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
【0082】
[試験化合物の合成]
参考例1
1,4-ジヒドロ-1-メチル-4-オキソキノリン-3-カルボン酸メチル
【0083】
【0084】
30mLナス型フラスコ中で、1,4-ジヒドロ-4-オキソキノリン-3-カルボン酸(200mg、1.06mmol)およびヨウ化メチル(450mg、3.18mmol)を、N,N-ジメチルホルムアミド(3mL)に溶解させ、さらに炭酸セシウム(1.03g)を加えて、混合物を50℃で攪拌した。6時間後、反応液にクロロホルムおよび水を加えて分液した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧濃縮し、標題化合物を無色液体として得た(定量的)。
1H-NMR (500 MHz, CDCl3):δ 8.56 (dd, J = 1.5, 8.1 Hz, 1 H), 8.53 (s, 1 H), 7.73 (ddd, J = 8.5, 7.0, 1.6 Hz, 1 H), 7.49 (ddd, J = 7.2, 8.0, 0.9 Hz, 1 H), 7.45 (d, J = 8.5 Hz, 1 H), 3.95 (s, 3 H), 3.91 (s, 3 H).
【0085】
合成例1
1,4-ジヒドロ-1-メチル-4-オキソキノリン-3-カルボン酸(化合物1)
【0086】
【0087】
30mLナス型フラスコ中で、参考例1で製造した化合物(0.37mmol)をメタノール(3mL)に溶解させた。そこに1M水酸化ナトリウム水溶液(2mL)を滴下し、混合物を室温下で攪拌した。3時間後、反応液に1M塩酸を加え、析出した白色固体を吸引ろ過によって回収した。得られた固体をn-ヘキサンおよび酢酸エチルの混合溶媒から再結晶し、標題化合物を無色針状晶として得た(収率:96%)。
1H-NMR (500 MHz, CDCl3):δ8.56 (dd, J = 8.1, 1.5 Hz, 1 H), 8.53 (s, 1 H), 7.73 (ddd, J = 8.5, 7.0, 1.5 Hz, 1 H), 7.49 (ddd, J = 8.0, 7.2, 0.9 Hz, 1 H), 7.45 (d, J = 8.5 Hz, 1 H), 3.95 (s, 3 H), 3.91 (s, 3 H).
【0088】
合成例1(1)~合成例1(11)
ヨウ化メチルの代わりに相当するヨウ化アルキル化合物を用いて、参考例1→合成例1で示される方法と同様の方法で、以下の化合物を製造した。
【0089】
合成例1(1)
1,4-ジヒドロ-1-エチル-4-オキソキノリン-3-カルボン酸(化合物2)
【0090】
【0091】
1H-NMR (500 MHz, CDCl3):δ 15.0 (s, 1 H), 8.76 (s, 1 H), 8.54 (dd, J= 8.2, 1.5 Hz, 1 H), 7.85 (ddd, J = 8.8, 7.2, 1.6 Hz, 1 H), 7.60 (d, J = 8.8 Hz, 1 H), 7.62 (ddd, J = 8.1, 7.2, 0.9 Hz, 1 H), 4.41 (q, J = 7.5 Hz, 2 H), 1.58 (t, J = 7.5 Hz, 3 H).
合成例1(2)
1,4-ジヒドロ-1-プロピル-4-オキソキノリン-3-カルボン酸(化合物3)
【0092】
【0093】
1H-NMR (500 MHz, CDCl3):δ15.0 (s, 1 H), 8.77 (s, 1 H), 8.58 (dd, J= 8.2, 1.5 Hz, 1 H), 7.86 (ddd, J = 8.7, 7.1, 1.6 Hz, 1 H), 7.63 (d, J = 8.7 Hz, 1 H), 7.60 (ddd, J = 8.1, 7.2, 0.9 Hz, 1 H), 4.31 (t, J = 7.4 Hz, 2 H), 2.00 (sex, J = 7.4 Hz, 2 H), 1.07 (t, J = 7.4 Hz, 3 H).
合成例1(3)
1,4-ジヒドロ-1-ブチル-4-オキソキノリン-3-カルボン酸(化合物4)
【0094】
【0095】
1H-NMR (500 MHz, CDCl3):δ14.96 (s, 1 H), 8.76 (s, 1 H), 8.56 (dd, J= 8.1, 1.5 Hz, 1 H), 7.85 (ddd, J = 8.7, 7.1, 1.6 Hz, 1 H), 7.63 (d, J = 8.6 Hz, 1 H), 7.59 (ddd, J = 8.1, 7.3, 0.2 Hz, 1 H), 4.33 (m, 2 H), 1.92 (t, J= 7.6 Hz, 2 H), 1.46 (sex, J = 7.56 Hz, 2 H), 1.01 (t, J = 7.4 Hz, 3 H).
合成例1(4)
1,4-ジヒドロ-1-ペンチル-4-オキソキノリン-3-カルボン酸(化合物5)
【0096】
【0097】
1H-NMR (500 MHz, CDCl3):δ 14.97 (s, 1 H), 8.76 (s, 1 H), 8.57 (dd, J = 8.1, 1.5, Hz, 1 H), 7.85 (ddd, J = 8.7, 7.1, 1.6 Hz, 1 H), 7.62 (d, J = 8.5 Hz, 1 H), 7.60 (ddd, J = 8.1, 7.2, 0.7 Hz, 2 H), 4.31 (t, J = 7.6 Hz, 2 H), 1.94 (quin, J = 7.5 Hz, 2 H), 1.40 (m, 4 H), 0.93 (t, J = 7.1 Hz, 3 H).
合成例1(5)
1,4-ジヒドロ-1-ヘキシル-4-オキソキノリン-3-カルボン酸(化合物6)
【0098】
【0099】
1H-NMR (500 MHz, CDCl3):δ14.95 (s, 1 H), 8.76 (s, 1 H), 8.58 (dd, J = 8.1, 1.4 Hz, 1 H), 7.85 (ddd, J= 8.7, 7.1, 1.6 Hz, 1 H), 7.62 (d, J= 8.7 Hz, 2 H), 7.60 (td, J = 7.8, 0.6, Hz, 2 H), 4.31 (t, J = 7.6 Hz, 2 H), 1.94 (quin, J= 7.5 Hz, 2 H), 1.43 (m, 2 H), 1.34 (m, 4 H), 0.90 (t, J = 7.1 Hz, 3 H).
合成例1(6)
1,4-ジヒドロ-1-ヘプチル-4-オキソキノリン-3-カルボン酸(化合物7)
【0100】
【0101】
1H-NMR (500 MHz, CDCl3):δ14.96 (s, 1 H) 8.76 (s, 1 H), 8.57 (dd, J= 8.1, 1.4 Hz, 1 H), 7.85 (ddd, J = 8.7, 7.1, 1.6 Hz, 1 H), 7.62 (d, J = 8.7 Hz, 2 H), 7.60 (ddd, J = 7.9, 7.2, 0.7 Hz, 2 H), 4.31 (t, J = 7.5 Hz, 2 H), 1.94 (quin, J = 7.5 Hz, 2 H), 1.39 (m, 2 H), 1.29 (m, 6 H), 0.88 (t, J = 6.9 Hz, 3 H).
合成例1(7)
1,4-ジヒドロ-1-オクチル-4-オキソキノリン-3-カルボン酸(化合物8)
【0102】
【0103】
1H-NMR (500 MHz, CDCl3):δ 14.97 (s, 1 H), 8.76 (s, 1 H), 8.58 (dd, J = 8.1, 1.5 Hz, 1 H), 7.85 (ddd, J = 8.7, 7.1, 1.6 Hz, 1 H), 7.62 (d, J = 8.6 Hz, 1 H), 7.60 (t, J = 7.6 Hz, 1 H), 4.31 (t, J = 7.6 Hz, 2 H), 1.94 (quin, J = 7.6 Hz, 2 H), 1.23-1.45 (m, 10 H), 0.88 (t, J = 7.5 Hz, 3 H).
合成例1(8)
1,4-ジヒドロ-1-シクロプロピルメチル-4-オキソキノリン-3-カルボン酸(化合物9)
【0104】
【0105】
1H-NMR (500 MHz, CDCl3):δ14.99 (s, 1 H), 8.85 (s, 1 H), 8.58 (dd, J= 8.1, 1.5 Hz, 1 H), 7.86 (ddd, J = 8.6, 7.1, 1.6 Hz, 1 H), 7.74 (d, J = 8.6 Hz, 1 H), 7.61 (ddd, J = 8.0, 7.2, 0.8 Hz, 1 H), 4.18 (d, J = 7.1 Hz, 2 H), 1.41 (m, 1 H), 0.81 (m, 2 H), 0.52 (m, 2 H).
合成例1(9)
1,4-ジヒドロ-1-シクロヘキシルメチル-4-オキソキノリン-3-カルボン酸(化合物10)
【0106】
【0107】
1H-NMR (500 MHz, CDCl3):δ 14.96 (s, 1 H), 8.68 (s, 1 H), 8.58 (dd, J = 8.4, 1.6 Hz, 1 H), 7.85 (ddd, J = 8.6, 7.1, 1.6 Hz, 1 H), 7.62-7.59 (m, 2 H), 4.13 (d, J =7.4 Hz, 2 H), 1.94 (m, 1 H), 1.80-1.60 (m, 5 H),・1.25-1.06 (m, 5 H).
合成例1(10)
1,4-ジヒドロ-1-ベンジル-4-オキソキノリン-3-カルボン酸(化合物11)
【0108】
【0109】
1H-NMR (500 MHz, CDCl3):δ14.89 (s, 1 H), 8.91 (s, 1 H), 8.57 (dd, J = 8.1, 1.5 Hz, 1 H), 7.72 (ddd, J = 8.6, 7.1, 1.6 Hz, 1 H), 7.55 (1 H, ddd, J = 8.3, 7.4, 0. 7 Hz), 7.53 (d, J = 8.61 Hz, 1 H), 7.40-7.35 (m, 5 H), 7.17 (m, 2 H), 5.53 (s, 2 H).
合成例1(11)
1-シクロへキシルメチル-1,4-ジヒドロ-4-オキソキノリン-3-カルボン酸(化合物35)
【0110】
【0111】
1H-NMR (500 MHz, CDCl3) δ 14.96 (s, 1 H), 8.68 (s, 1 H), 8.58 (dd, J = 8.4, 1.6 Hz, 1 H), 7.85 (ddd, J = 8.6, 7.1, 1.6 Hz, 1 H), 7.62-7.59 (m, 2 H), 4.13 (d, J =7.4 Hz, 2 H), 1.94 (m, 1 H), 1.80-1.60 (m, 5 H), 1.25-1.06 (m, 5 H).
参考例2
p-トルイジノメチレンマロン酸ジエチル
【0112】
【0113】
30mLナス型フラスコ中で、p-トルイジン(1.74g、16.2mmol)をエタノール(20mL)に溶解させた。混合物を攪拌しながらエトキシメチレンマロン酸ジエチル(4.0g、16.3mmol)を滴下し、混合物を室温下で18時間攪拌した。エタノールを留去後、残渣を酢酸エチルと水で分液し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧濃縮し、残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(n-ヘキサン:酢酸エチル=4:1)で精製し、標題化合物を無色液体として得た(収率:90%)。
1H-NMR (500 MHz, CDCl3):δ 10.98 (d, J = 13.4 Hz, 1 H), 8.50 (d, J = 13.8 Hz, 1 H), 7.17 (d, J = 8.8 Hz, 1 H), 7.03 (d, J = 8.5 Hz, 1 H), 4.30 (q, J = 7.4 Hz, 2 H), 4.24 (q, J = 7.1 Hz, 2 H), 1.37 (t, J = 7.1 Hz, 3 H), 1.32 (t, J = 7.12 Hz, 3 H).
参考例3
1,4-ジヒドロ-6-メチル-4-オキソキノリン-3-カルボン酸エチル
【0114】
【0115】
200mL二口フラスコ中で、ジフェニルエーテル(50mL)を220℃に加温後、参考例2で製造した化合物(6.4mmol)のジフェニルエーテル(10ml)溶液を30分間かけて滴下し、220℃で10時間攪拌した。反応液を室温に戻した後、ジエチルエーテルおよびn-ヘキサンを加えて固体を析出させた。析出した固体を吸引ろ過によって回収し、ジエチルエーテルで洗浄し、化合物(C)を乳白色固体として得た(収率:40%)。
1H-NMR (500 MHz, CDCl3):δ 12.24 (s, 1 H), 8.50 (s, 1 H), 7.94 (s, 1 H), 7.52 (s, 2 H), 4.21 (q, J = 7.1 Hz, 2 H), 2.42 (s, 3 H), 1.28 (t, J = 7.1 Hz, 3 H).
参考例4
1,4-ジヒドロ-6-メチル-1-プロピル-4-オキソキノリン-3-カルボン酸エチル
【0116】
【0117】
30mL二口フラスコ中で、n-ヘキサンで洗浄した水素化ナトリウム(0.86mmol)に乾燥N,N-ジメチルホルムアミド5mLを加えた。氷冷下、参考例3で製造した化合物(0.41mmol)のN,N-ジメチルホルムアミド(1mL)溶液を滴下し、さらにヨウ化プロピル(0.86mmol)を滴下した。55℃で9時間攪拌後、室温に戻し、飽和塩化アンモニウム水溶液を加えて反応を停止させた。酢酸エチルおよび水を加えて分液し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧濃縮した。残渣をオープンカラムクロマトグラフィー(n-ヘキサン:酢酸エチル=4:1)で精製し、標題化合物を無色液体として得た(収率:72%)。
1H-NMR (500 MHz, CDCl3):δ8.45 (s, 1 H), 8.36 (d, J = 1.0 Hz, 1 H), 7.50 (dd, J = 8.7, 2.1 Hz, 1 H), 7.35 (d, J = 8.6 Hz, 1 H), 4.30 (t, J = 6.8 Hz, 2 H), 4.14 (t, J = 7.3 Hz, 2 H), 2.48 (s, 3 H), 1.94 (sex, J = 7.4 Hz, 3 H), 1.83 (sex, J = 7.2 Hz, 3 H), 1.06 (t, J = 7.2 Hz, 3 H), 1.03 (t, J = 7.4 Hz, 3 H).
合成例2
1,4-ジヒドロ-6-メチル-1-プロピル-4-オキソキノリン-3-カルボン酸(化合物12)
【0118】
【0119】
30mLナス型フラスコ中で、化合物参考例4で製造した化合物(0.32mmol)をメタノール(3mL)に溶解させた。そこに1M水酸化ナトリウム水溶液(2mL)を滴下し、室温下で攪拌した。3時間後、反応液に1M塩酸水を加え、析出した白色固体を吸引ろ過によって回収した。得られた固体をn-ヘキサンおよび酢酸エチルの混合溶媒から再結晶し、標題化合物を無色針状晶として得た(収率:74%)。
1H-NMR (500 MHz, CDCl3):δ15.09 (s, 1 H) 8.73 (s, 1 H), 8.37 (d, J= 0.9 Hz, 1 H), 7.66 (dd, J = 8.8, 2.1 Hz, 1 H), 7.53 (d, J = 8.8 Hz, 1 H), 4.28 (t, J = 7.4 Hz, 2 H), 2.55 (s, 3 H), 1.99 (sex, J = 7.4 Hz, 2 H), 1.05 (t, J = 7.4 Hz, 3 H).
【0120】
合成例2(1)~合成例2(28)
参考例2(必要に応じてp-トルイジンの代わりに相当する化合物を使用した)→参考例3→参考例4(必要に応じてヨウ化エチルの代わりに相当するヨウ化アルキルを使用した)→合成例2で示される方法と同様の方法で、以下の化合物を製造した。
【0121】
合成例2(1)
1,4-ジヒドロ-6-メチル-1-オクチル-4-オキソキノリン-3-カルボン酸(化合物13)
【0122】
【0123】
1H-NMR (500 MHz, CDCl3):δ15.10 (s, 1 H), 8.73 (s, 1 H), 8.37 (d, J= 0.9 Hz, 1 H), 7.67 (q, J = 3.6 Hz, 1 H), 7.52 (d, J = 8.8 Hz, 1 H), 4.30 (t, J = 7.5 Hz, 2 H), 2.55 (s, 3 H), 1.93 (quin, J = 7.5 Hz, 2 H), 1.44-1.26 (m, 10 H), 0.89 (t, J = 7.0 Hz, 3 H).
合成例2(2)
1,4-ジヒドロ-7-メチル-1-プロピル-4-オキソキノリン-3-カルボン酸(化合物14)
【0124】
【0125】
1H-NMR (500 MHz, CDCl3):δ 15.08 (s, 1 H), 8.72 (s, 1 H), 8.45 (d, J = 8.3 Hz, 1 H), 7.42 (br d, J= 8.3 Hz, 1 H), 7.37 (br s, 1 H), 4.27 (t, J= 7.4 Hz, 2 H), 2.61 (s, 3 H), 1.99 (sex, J= 7.4 Hz, 2 H), 1.07 (t, J = 7.4 Hz, 3 H).
合成例2(3)
1,4-ジヒドロ-7-メチル-1-オクチル-4-オキソキノリン-3-カルボン酸(化合物15)
【0126】
【0127】
1H-NMR (500 MHz, CDCl3):δ15.09 (s, 1 H), 8.72 (s, 1 H), 8.45 (d, J= 8.3 Hz, 1 H), 7.42 (br d, J = 8.3 Hz, 1 H), 7.37 (br s, 1 H), 4.29 (t, J= 7.5 Hz, 2 H), 2.61 (s, 3 H), 1.93 (quin,J = 7.5 Hz, 2 H), 1.45-1.23 (m, 10 H), 0.89 (t, J = 6.9 Hz, 3 H).
合成例2(4)
1,4-ジヒドロ-6-メトキシ-1-プロピル-4-オキソキノリン-3-カルボン酸(化合物16)
【0128】
【0129】
1H-NMR (500 MHz, DMSO-d6):δ 15.42 (s, 1 H), 8.98 (s, 1 H), 8.03 (d, J = 9.4 Hz, 1 H), 7.75 (d, J = 3.0 Hz, 1 H), 7.57 (dd, J = 9.4, 3.0 Hz, 1 H), 4.53 (t, J=7.30 Hz, 2 H), 3.92 (s, 3 H), 1.81 (sex, J = 7.4 Hz, 2 H),・・ 0.90 (t, J = 7.4 Hz, 3 H).
合成例2(5)
1,4-ジヒドロ-6-メトキシ-1-オクチル-4-オキソキノリン-3-カルボン酸(化合物17)
【0130】
【0131】
1H-NMR (500 MHz, DMSO-d6):δ 15.42 (s, 1 H), 8.97 (s, 1 H), 8.02 (d, J = 9.5 Hz, 1 H), 7.75 (d, J = 3.0 Hz, 1 H), 7.58 (dd, J = 3.1, 9.4 Hz, 1 H), 4.56 (t, J = 7.3 Hz, 2 H), 3.92 (s, 3 H), 1.77 (quin, J = 7.2 Hz, 2 H), 1.34-1.18 (m, 10 H), 0.83 (t, J = 6.90 Hz, 3 H).
合成例2(6)
1,4-ジヒドロ-7-メトキシ-1-プロピル-4-オキソキノリン-3-カルボン酸(化合物18)
【0132】
【0133】
1H-NMR (500 MHz, CDCl3):δ15.15 (s, 1 H), 8.70 (s, 1 H), 8.50 (d, J= 9.1 Hz, 1 H), 7.18 (dd, J = 9.1, 2.0 Hz, 1 H ), 6.93 (d, J = 1.9 Hz, 1 H), 4.22 (t, J = 7.3 Hz, 2 H), 3.99 (s, 3 H), 1.99 (sex, J = 7.3 Hz, 2 H), 1.06 (t, J = 7.4 Hz, 3 H).
合成例2(7)
1,4-ジヒドロ-7-メトキシ-1-オクチル-4-オキソキノリン-3-カルボン酸(化合物19)
【0134】
【0135】
1H-NMR (500 MHz, CDCl3):δ 15.16 (s, 1 H), 8.69 (s, 1 H), 8.50 (d, J = 9.1 Hz, 1 H), 7.18 (dd, J = 9.1, 2.1 Hz, 1 H), 6.93 (d, J = 1.9 Hz, 1 H), 4.24 (t, J = 7.48 Hz, 2 H), 3.99 (s, 3 H), 1.93 (quin, J = 7.4 Hz, 2 H), 0.89 (t, J = 7.0 Hz, 3 H).
合成例2(8)
1,4-ジヒドロ-6-メチル-1-オクチル-4-オキソキノリン-3-カルボン酸(化合物21)
【0136】
【0137】
1H-NMR (500 MHz, CDCl3) δ 15.10 (s, 1 H), 8.73 (s, 1 H), 8.37 (d, J = 0.9 Hz, 1 H), 7.67 (q, J = 3.6 Hz, 1 H), 7.52 (d, J = 8.8 Hz, 1 H), 4.30 (t, J = 7.5 Hz, 2 H), 2.55 (s, 3 H), 1.93 (quin, J = 7.5 Hz, 2 H), 1.44-1.26 (m, 10 H), 0.89 (t, J = 7.0 Hz, 3 H).
合成例2(9)
1,4-ジヒドロ-7-メチル-1-プロピル-4-オキソキノリン-3-カルボン酸(化合物22)
【0138】
【0139】
1H-NMR (500 MHz, CDCl3) δ 15.08 (s, 1 H), 8.72 (s, 1 H), 8.45 (d, J = 8.3 Hz, 1 H), 7.42 (br d, J = 8.3 Hz, 1 H), 7.37 (br s, 1 H), 4.27 (t, J = 7.4 Hz, 2 H), 2.61 (s, 3 H), 1.99 (sex, J = 7.4 Hz, 2 H), 1.07 (t, J = 7.4 Hz, 3 H).
合成例2(10)
1,4-ジヒドロ-7-メチル-1-オクチル-4-オキソキノリン-3-カルボン酸(化合物23)
【0140】
【0141】
1H-NMR (500 MHz, CDCl3) δ 15.09 (s, 1 H), 8.72 (s, 1 H), 8.45 (d, J = 8.3 Hz, 1 H), 7.42 (br d, J = 8.3 Hz, 1 H), 7.37 (br s, 1 H), 4.29 (t, J = 7.5 Hz, 2 H), 2.61 (s, 3 H), 1.93 (quin, J = 7.5 Hz, 2 H), 1.45-1.23 (m, 10 H), 0.89 (t, J = 6.9 Hz, 3 H).
合成例2(11)
1,4-ジヒドロ-6-メトキシ-1-オクチル-4-オキソキノリン-3-カルボン酸(化合物24)
【0142】
【0143】
1H-NMR (500 MHz, DMSO-d6) δ 15.42 (s, 1 H), 8.97 (s, 1 H), 8.02 (d, J = 9.5 Hz, 1 H), 7.75 (d, J = 3.0 Hz, 1 H), 7.58 (dd, J = 3.1, 9.4 Hz, 1 H), 4.56 (t, J = 7.3 Hz, 2 H), 3.92 (s, 3 H), 1.77 (quin, J = 7.2 Hz, 2 H), 1.34-1.18 (m, 10 H), 0.83 (t, J = 6.90 Hz, 3 H).
合成例2(12)
1,4-ジヒドロ-7-メトキシ-4-オキソ-1-プロピルキノリン-3-カルボン酸(化合物25)
【0144】
【0145】
1H-NMR (500 MHz, CDCl3) δ 15.15 (s, 1 H), 8.70 (s, 1 H), 8.50 (d, J = 9.1 Hz, 1 H), 7.18 (dd, J = 9.1, 2.0 Hz, 1 H ), 6.93 (d, J = 1.9 Hz, 1 H), 4.22 (t, J = 7.3 Hz, 2 H), 3.99 (s, 3 H), 1.99 (sext, J = 7.3 Hz, 2 H), 1.06 (t, J = 7.4 Hz, 3 H)
合成例2(13)
1,4-ジヒドロ-7-メトキシ-1-オクチル-4-オキソキノリン-3-カルボン酸(化合物26)
【0146】
【0147】
1H-NMR (500 MHz, CDCl3) δ 15.16 (s, 1 H), 8.69 (s, 1 H), 8.50 (d, J = 9.1 Hz, 1 H), 7.18 (dd, J = 9.1, 2.1 Hz, 1 H), 6.93 (d, J = 1.9 Hz, 1 H), 4.24 (t, J = 7.48 Hz, 2 H), 3.99 (s, 3 H), 1.93 (quin, J = 7.4 Hz, 2 H), 0.89 (t, J = 7.0 Hz, 3 H).
合成例2(14)
1,4-ジヒドロ-1-プロピル-4-オキソ-7-トリフルオロメチルキノリン-3-カルボン酸(化合物27)
【0148】
【0149】
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ 14.5 (s, 1H), 8.83 (s, 1 H), 8.71 (d, J = 8.4 Hz, 1 H), 7.85 (s, 1 H), 7.81 (d, J = 8.8 Hz, 1 H), 4.34 (t, J = 7.4 Hz, 2 H), 2.01 (sext, J = 7.4 Hz, 2 H), 0.83 (t, J = 7.4 Hz, 3 H).
合成例2(15)
1,4-ジヒドロ-1-オクチル-4-オキソ-7-トリフルオロメチルキノリン-3-カルボン酸(化合物28)
【0150】
【0151】
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ 14.5 (s, 1H), 8.82 (s, 1 H), 8.71 (d, J = 8.4 Hz, 1 H), 7.85 (s, 1 H), 7.80 (d, J = 8.5 Hz, 1 H), 4.35 (t, J = 7.5 Hz, 2H), 1.95 (quin, J = 7.3 Hz, 2 H), 1.28-1.46 (m, 10 H), 0.88 (t, J = 6.8 Hz, 3 H).
合成例2(16)
5-デシル-8-オキソ-[1,3]ジオキソロ[4,5-g]キノリン-7-カルボン酸(化合物29)
【0152】
【0153】
1H-NMR (500 MHz, CDCl3) 9.21 (s, 1 H), 7.60 (s, 1 H), 7.49 (s, 1 H), 6.18 (s, 2 H), 4.42 (t, J = 6.5 Hz, 2 H), 1.91 (quin, J= 6.5 Hz, 2 H), 1.48 (q, J = 7.5 Hz, 2 H), 1.37-1.25 (m, 12 H), 0.87 (t, J= 5.2 Hz, 3 H).
合成例2(17)
7-メトキシ-1-プロピル-1,4-ジヒドロ-4-オキソ-1,8-ナフチリジン-3-カルボン酸(化合物30)
【0154】
【化38】
1H-NMR (400 MHz, CDCl
3) δ 15.17 (s, 1 H), 9.09 (s, 1 H), 8.50 (d, J = 8.8 Hz, 1 H), 7.11 (d, J = 8.8, 1 H ), 4.53 (t, J = 6.8 Hz, 2 H), 4.05 (s, 3 H), 1.88 (sext, J = 7.2 Hz, 2 H), 0.91 (t, J = 7.2 Hz, 3 H).
合成例2(18)
7-メトキシ-1-オクチル-1,4-ジヒドロ-4-オキソ-1,8-ナフチリジン-3-カルボン酸(化合物31)
【0155】
【0156】
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ 15.17 (s, 1 H), 9.08 (s, 1 H), 8.55 (d, J = 8.8 Hz, 1 H), 7.11 (d, J = 8.8, 1 H ), 4.55 (t, J = 7.2 Hz, 2 H), 4.05 (s, 3 H), 1.84 (quin, J = 6.4 Hz, 2 H), 1.39-1.18 (m, 10 H), 0.83 (t, J = 7.2 Hz, 3 H).
合成例2(19)
1-デシル-7-メトキシ-1,4-ジヒドロ-4-オキソ-1,8-ナフチリジン-3-カルボン酸(化合物32)
【0157】
【0158】
1H-NMR (500 MHz, CDCl3) δ 15.17 (s, 1 H), 9.08 (s, 1 H), 8.55 (d, J = 8.5 Hz, 1 H), 7.11 (d, J = 8.5, 1 H ), 4.55 (t, J = 7.5 Hz, 2 H), 4.05 (s, 3 H), 1.84 (quin, J = 7.0 Hz, 2 H), 1.38-1.15 (m, 14 H), 0.83 (t, J = 6.5 Hz, 3 H).
合成例2(20)
1,4-ジヒドロ-6,7-ジメトキシ-1-オクチル-4-オキソキノリン-3-カルボン酸(化合物33)
【0159】
【0160】
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) 9.23 (s, 1 H), 8.01 (s, 1 H), 7.52 (s, 1 H), 4.60 (t, J = 6.4 Hz, 2 H), 4.10 (s, 3 H), 4.02 (s, 3H), 1.89 (quin, J = 6.4 Hz, 2 H), 1.49 (quin, J= 6.8 Hz, 2 H), 1.35-1.20 (m, 8 H), 0.84 (t, J = 6.8 Hz, 3 H).
合成例2(21)
1-デシル-1,4-ジヒドロ-6,7-ジメトキシ-4-オキソキノリン-3-カルボン酸(化合物34)
【0161】
【0162】
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) 8.66 (s, 1 H), 7.86 (s, 1 H), 6.88 (s, 1 H), 4.27 (t, J = 14.8 Hz, 2 H), 4.05 (s, 3 H), 4.04 (s, 3H), 1.94 (quin, J = 7.4 Hz, 2 H), 1.43-1.22 (m, 14 H), 0.87 (t, J = 13.6 Hz, 3 H).
【0163】
合成例2(22)
4-オキソ-1-プロピル-シクロペンタ[g]キノリン-3-カルボン酸(化合物35)
【0164】
【0165】
1H-NMR (500 MHz, CDCl3) δ 15.28 (br s, 1H), 8.68 (s, 1 H), 8.37 (s, 1 H), 7.43 (s, 1 H), 4.26 (t, J = 7.0 Hz, 2 H), 3.12 (t, J = 7.5 Hz, 2 H), 3.06 (t, J = 7.5 Hz, 2 H), 2.21 (quin, J = 7.0 Hz, 2 H), 1.92 (sext, J = 7.5 Hz, 2 H), 1.04 (t, J = 7.5 Hz, 3 H).
合成例2(23)
1-オクチル-4-オキソ-シクロペンタ[g]キノリン-3-カルボン酸(化合物36)
【0166】
【0167】
1H-NMR (500 MHz, CDCl3) δ 15.3 (s, 1H), 8.68 (s, 1 H), 8.37 (s, 1 H), 7.42 (s, 1 H), 4.27 (t, J = 7.5 Hz, 2 H), 3.12 (t, J = 7.4 Hz, 2H), 3.08 (t, J = 7.6 Hz, 2H), 2.21 (quin, J = 7.5 Hz, 2 H), 1.92 (quin, J = 7.4 Hz, 2 H), 1.25-1.41 (m, 10 H), 0.88 (t, J = 6.8 Hz, 3 H).
合成例2(24)
1,4-ジヒドロ-1-プロピル-7-トリフルオロメチルオキシ-4-オキソキノリン-3-カルボン酸(化合物37)
【0168】
【0169】
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ 14.59 (s, 1H), 8.78 (s, 1 H), 8.62 (d, J = 8.8 Hz, 1 H), 7.44 (d, J = 8.8 Hz, 1 H), 7.39 (s, 1 H), 4.26 (t, J = 7.6 Hz, 2H), 1.99 (sext, J = 7.2 Hz, 2 H), 1.07 (t, J = 7.2 Hz, 3 H).
合成例2(25)
1,4-ジヒドロ-1-プロピル-7-トリフルオロメチルオキシ-4-オキソキノリン-3-カルボン酸(化合物38)
【0170】
【0171】
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ 14.6 (s, 1H), 8.76 (s, 1 H), 8.62 (d, J = 9.0 Hz, 1 H), 7.43 (d, J = 9.0 Hz, 1 H), 7.38 (s, 1 H), 4.26 (t, J = 7.5 Hz, 2H), 1.92 (quin, J = 7.2 Hz, 2 H), 1.28-1.44 (m, 10 H), 0.88 (t, J = 7.9 Hz, 3 H).
合成例2(26)
1,4-ジヒドロ-8-メトキシ-1-オクチル-4-オキソキノリン-3-カルボン酸(化合物39)
【0172】
【0173】
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) 8.62 (s, 1 H), 8.18 (dd, J = 8.0, 1.2 Hz, 1 H), 7.50 (t, J = 8.0 Hz, 1 H), 7.30 (dd, J = 8.8, 1.2 Hz, 1 H), 4.60 (t, J = 7.6 Hz, 2 H), 4.02 (s, 3 H), 1.84 (quin, J = 7.2 Hz, 2 H), 1.32-1.26 (m, 10 H), 0.88 (t, J = 6.8 Hz, 3 H).合成例2(27)
7,8-ジメトキシ-1,4-ジヒドロ-1-オクチル-4-オキソキノリン-3-カルボン酸(化合物40)
【0174】
【0175】
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) 8.61 (s, 1 H), 8.34 (d, J = 8.8 Hz, 1 H), 7.24 (d, J = 9.2 Hz, 1 H), 4.49 (t, J = 7.6 Hz, 2 H), 4.06 (s, 3 H), 3.93 (s, 3 H), 1.83 (quin, J = 7.2 Hz, 2 H), 1.30-1.25 (m, 10 H), 0.87 (t, J = 6.8 Hz, 3H).
合成例2(28)
1,4-ジヒドロ-7-メチルチオ-1-オクチル-4-オキソキノリン-3-カルボン酸(化合物41)
【0176】
【0177】
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) 8.68 (s, 1 H), 8.42 (d, J = 8.8 Hz, 1 H), 7.39 (dd, J = 8.8, 1.6 Hz, 1 H), 7.28 (d, J = 1.2 Hz, 1 H), 4.26 (t, J = 7.2 Hz, 2 H), 2.62 (s, 3 H), 1.92 (quin, J = 7.6 Hz, 2 H), 1.45-1.22 (m, 10 H), 0.88 (t, J = 6.8 Hz, 3 H).
【0178】
薬理試験1 RyR1に対する阻害活性試験
本発明化合物について、以下の方法によりRyR1に対する阻害活性を試験した。試験方法は、非特許文献10を参照して、疾患変異型(悪性高熱症、セントラルコア病)を発現させたHEK293細胞の小胞体内のCa2+濃度([Ca2+]ER)で行い、試験化合物による小胞体内Ca2+濃度の上昇度を測定した。
【0179】
(1)発現プラスミドの構築
RyR1及びRyR2のcDNAはウサギ骨格筋及びマウス心筋からPCR法でクローニングして、Flp-In T-REX用のハイグロマイシン耐性を有する発現ベクター(pcDNA5/FRT/TO)に組み込んだ。このベクターはテトラサイクリン誘導発現型(Tet-On)でドキシサイクリン存在下でRyRを誘導発現する。R-CEPIA1erはネオマイシン耐性を有する発現ベクターであるpCMV/myc/ERに組み込んだ。このベクターはR-CEPIA1erを恒常発現する。
【0180】
(2)HEK293細胞
HEK293細胞はTet-On誘導型のシステムに対応したFlp-In T-REX 293細胞を用いた。細胞は37℃でCO2インキュベータ中で培養した。
【0181】
(3)HEK293細胞へのR-CEPIA1er(非特許文献13記載)及び疾患変異型RyR遺伝子の導入疾患変異型RyR遺伝子はリポフェクション法によりFlp-In T-REX 293細胞に導入して、ハイグロマイシンを添加した培地で10~14日間培養することで安定発現株を樹立した。この疾患変異型RyR安定発現株にR-CEPIA1er発現ベクターをリポフェクション法により導入して、G418を添加した培地で培養することで疾患変異型RyR遺伝子とR-CEPIA1erを二重発現する安定発現株を樹立した。
【0182】
(4)HEK293細胞へのR-CEPIA1er及び野生型RyR遺伝子の導入
野生型RyR遺伝子はリポフェクション法によりFlp-In T-REX 293細胞に導入して、ハイグロマイシンを添加した培地で10~14日間培養することで安定発現株を樹立した。この疾患変異型RyR安定発現株にR-CEPIA1er発現ベクターをリポフェクション法により導入して、G418を添加した培地で培養することで野生型RyR遺伝子とR-CEPIA1erを二重発現する安定発現株を樹立した。
【0183】
(5)蛍光小胞体内Ca2+濃度の測定
疾患変異型RyRとR-CEPIA1erを発現する培養細胞、及び野生型RyRとR-CEPIA1erを発現する培養細胞をそれぞれ96ウェルプレートに播種して、37℃で24時間培養した。ドキシサイクリンを添加した培地に交換してさらに24時間培養してRyRの発現を誘導した。測定前に培地をKrebs溶液に交換した。蛍光測定はFlexStationで行った。R-CEPIA1erは560nmで励起して、610nmの蛍光を取得した。蛍光は10秒おきに300秒間取得し、以下の試験化合物又は対照化合物を各種濃度で開始60秒後に添加し、蛍光小胞体内Ca2+濃度の測定を行った。
【0184】
(6)被検化合物
試験に供した化合物は以下の通りである。
・本発明にかかる化合物
化合物2:1,4-ジヒドロ-1-エチル-4-オキソキノリン-3-カルボン酸、
化合物4:1,4-ジヒドロ-1-ブチル-4-オキソキノリン-3-カルボン酸、
化合物8:1,4-ジヒドロ-1-オクチル-4-オキソキノリン-3-カルボン酸、
化合物13:1,4-ジヒドロ-6-メチル-1-オクチル-4-オキソキノリン-3-カルボン酸、
化合物15:1,4-ジヒドロ-7-メチル-1-オクチル-4-オキソキノリン-3-カルボン酸、
化合物17:1,4-ジヒドロ-6-メトキシ-1-オクチル-4-オキソキノリン-3-カルボン酸、
化合物19:1,4-ジヒドロ-7-メトキシ-1-オクチル-4-オキソキノリン-3-カルボン酸、
化合物20:5-エチル-8-オキソ-[1,3]ジオキソロ[4,5-g]キノリン-7-カルボン酸(オキソリン酸)、及び
化合物29:5-オクチル-8-オキソ-[1,3]ジオキソロ[4,5-g]キノリン-7-カルボン酸
【0185】
・対照化合物:1,4-ジヒドロ-4-オキソキノリン-3-カルボン酸(DOCA)
【0186】
なお、
図1~6における(2)、(4)、(8)、(13)、(15)、(17)、(19)、(20)及び(29)は、上記化合物番号を示す。
【0187】
(7)結果
結果を
図1~4に示す。
図1はオキソリン酸(化合物20)と、対照化合物であるDOCAのRyR1阻害活性の比較である。DOCAに比べて、オキソリン酸はRyR1阻害活性が向上した。
図2は、DOCAを対照化合物として、その窒素原子にアルキル基を置換することで、RyR1阻害作用が向上したことを示す。
図3は、1,4-ジヒドロ-1-オクチル-4-オキソキノリン-3-カルボン酸(化合物8,N-C
8)を対照化合物として、6位又は7位に置換基を有する化合物の活性を測定したところ、特に7位に置換基を有する化合物においてRyR1阻害活性が向上したことを示す。
図4は、悪性高熱症の治療薬として知られるダンドロレンに対して、化合物29が優れたRyR1阻害活性を有することを示す。
【0188】
薬理試験2 リアノジン結合試験
本発明化合物について、リアノジン結合法により悪性高熱症変異RyR1に対する阻害活性を試験した。試験方法は、非特許文献10を参照して行い、対照群に対する化合物29を添加した群のリアノジン結合の低下度を測定した。
【0189】
(1)ミクロゾームの調製
疾患変異型RyR1を発現するHEK細胞を窒素ガス細胞破砕器で破砕した。低速遠心で核画分を除去した後、超遠心した。沈殿をバッファーで懸濁して超遠心後、再懸濁してミクロゾーム画分を得た。
【0190】
(2)リアノジン結合
ミクロゾームを種々のCa2+濃度の反応液中でトリチウムラベルしたリアノジンと37℃で2時間反応に付した。化合物29は最終濃度10μMで添加した。反応液をポリエチレンイミン処理したガラスフィルターで濾過して、RyR1と結合したリアノジンを分離した。
【0191】
(3)結果
結果を
図5に示す。化合物29は疾患変異型RyR1のリアノジン結合を、特に低Ca
2+濃度領域で低下させた。このことは、化合物29がRyR1を抑制することを示す。
【0192】
薬理試験3 動物試験
本発明化合物について、以下の方法によりRyR1悪性高熱症変異導入マウスに対する治療効果を試験した。試験方法は、イソフルラン麻酔により生じるマウスの体温上昇の測定により行った。
【0193】
(1)RyR1悪性高熱症変異導入マウスの作出
悪性高熱症患者で同定されたRyR1アミノ酸変異(Arg2508Cys)をマウスに導入したノックインマウスを作製した。マウスRyR1の2509番目のアルギニン(Arg)をシステイン(Cys)に置換するためのターゲッティングベクターをデザインし、CRISPR/Cas9によりマウス受精卵にゲノム編集を行った。生まれたマウスをスクリーニングして目的変異が導入されたファウンダーマウスを取得し、これを野生型マウスと交配してF1ヘテロマウスを得た。
【0194】
(2)化合物29の溶液の作製
化合物29を0.15M塩化ナトリウム水溶液、3mM水酸化ナトリウム水溶液で溶解して1mg/mL溶液を作製した。
【0195】
(3)イソフルラン麻酔試験
野生型または変異型のマウスを2%イソフルランで麻酔導入し、その後、1%イソフルランで維持した。マウス直腸温をデジタル温度計(立山科学工業、サーミスタ高精度温度データ収録装置K730)で連続的に測定し、5分ごとに記録した。化合物29の溶液は試験10分前に10mg/kgになるように腹腔内に投与した。
【0196】
(4)結果および考察
結果を
図6に示す。野生型マウス(○)はイソフルラン麻酔後30分間にわたって直腸温が徐々に上昇したが、死亡することはなかった。変異型マウス(●)は麻酔後15分過ぎから直腸温が急上昇し、26分から33分の間に全身の筋拘縮を起こしてすべて死亡した(図中の+印)。一方、化合物29を前投与した変異型マウス(▽)は体温上昇が抑えられ、死亡することはなかった。この結果は、悪性高熱症モデルマウスに対する化合物(X)の著明な予防効果を示す。