(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-19
(45)【発行日】2023-05-29
(54)【発明の名称】打撃加工具及び把持具
(51)【国際特許分類】
B25D 1/16 20060101AFI20230522BHJP
【FI】
B25D1/16
(21)【出願番号】P 2019054053
(22)【出願日】2019-03-22
【審査請求日】2021-12-10
(73)【特許権者】
【識別番号】396020132
【氏名又は名称】株式会社システック
(72)【発明者】
【氏名】香高 孝之
【審査官】山村 和人
(56)【参考文献】
【文献】実開昭57-202679(JP,U)
【文献】実開昭59-017179(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25D 1/00 - 17/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
棒状体部の一端に打撃される被打撃部と他端に前記打撃の力を被加工物体に伝える加工部を有する打撃加工具と、 前記打撃加工具の前記棒状体部を移動自在に通す内寸法を持つ導管部と、前記導管部に取りついた手で把持するためのハンドル部を有する打撃加工具支持体を備える把持具と、を備え、 前記棒状体部と前記導管部とは、通してあるだけの状態で構成し、更に、前記棒状体部を通した前記導管部の上又は下、又は上下の位置で前記棒状体部に取り付け、前記導管部の上下の位置を決定するための導管位置制限具を備えたことを特徴とする
打撃加工具及び把持具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タガネ、鑿、杭等の、手でもってハンマーで打撃し加工を行う打撃加工具及び把持具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図6は、このような用途に向けた従来の把持具を示す図である。特許文献1に見ることができる。ハンマー等で打撃される加工具1を内包して垂直方向にガイドするための支え体2があり、加工具1の上部には、ピン5により押え座金4が固定され、押え座金4と加工具1の下部との間には、巻きバネ3が存在する。支え体2の側面には、握りハンドル6が付いている。この機能を述べると、握りハンドル6を手で握り、ハンマー等で加工具1の頭を打撃するので、加工具1を直接手で握ったときより、安全に加工できる。そして、巻きバネ3により打撃が存在するので、握りハンドル6をにぎった手には衝撃が伝わりにくいと述べている。然しながら、この構造では、検討の結果、次の欠点があることが分かる。
先ず、これを組み立てる場合を考えてみると、押え座金4の加工具1への固定は、どのようにして行うのかが疑問である。支え体内では、押え座金4を付けにくそうに見える。
支え体2に加工具1を挿入する前に押え座金4を付けると、支え体2には下側から挿入するしかない。挿入後に巻きバネ3を嵌め、ネジ蓋7をねじ込み締める。このような操作が必要なので、サイズ等の違った加工具1に対処するには、保持具全体を付け替えるのは、面倒になるため、加工具1ごとに保持具を容易することになる不便があり、組み立てが容易でない分使いにくい。そして、巻きバネ3があるので衝撃が伝わりにくいとはいえ、
加工具1の移動の衝撃は、押え座金4と巻きバネ3を介して、支え体2の下部のネジ蓋7を押すので、それに固定された握りハンドル6、従って手に動きが伝わる欠点がある。押え座金4、巻きバネ3、ネジ蓋7という構成が、目的とは逆の悪さをしてしまい余計な構成となっている。更に、構成が複雑になるので製作価格が上がる欠点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本願の課題は、構成が簡単で安価で、衝撃が伝わらず、取付け外しも容易な、かつ使用時に安全な打撃加工具及び把持具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以下請求項に沿い記述する。
請求項1記載の発明は、打撃加工具及び把持具であって、
棒状体部の一端に打撃される被打撃部と他端に前記打撃の力を被加工物体に伝える加工部を有する打撃加工具と、 前記打撃加工具の前記棒状体部を移動自在に通す内寸法を持つ導管部と、前記導管部に取りついた手で把持するためのハンドル部を有する打撃加工具支持体を備える把持具と、を備え、 前記棒状体部と前記導管部とは、通してあるだけの状態で構成し、更に、 前記棒状体部を通した前記導管部の上又は下、又は上下の位置で前記棒状体部に取り付け、前記導管部の上下の位置を決定するための導管位置制限具を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
以上の様に構成されているので、本発明による打撃加工具及び把持具では、取付け外しも容易なので、複数の加工具1への付け替えも容易であり、衝撃は手に伝わらず、かつ安価である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明にかかる
打撃加工具及び把持具の一実施態様を示す図である。
【
図2】本発明にかかる
打撃加工具及び把持具の使用時の状態の一実施態様を示す図である。
【
図3】ハンドル傾斜手段を備えた本発明にかかる
打撃加工具及び把持具の一実施態様を示す図である。
【
図4】打撃加工具のサイズに対応した異径サイズの打撃具導導管を有する本発明にかかる
打撃加工具及び把持具の一実施態様を示す図である。
【
図5】
打撃加工具のサイズに対応した異径サイズの導管位置制限具を有する把持具の一実施態様を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1は、本発明にかかる
打撃加工具及び把持具の一実施態様を示す図である。
1-Aには、打撃加工具(この図の例ではタガネ)に把持具が付いた状態がしめされ、1-Bには、外された状態を示されている。打撃加工具110は、棒状体部111とその先端には槌等で打撃される被打撃部112と他端には、打撃力を被加工物体に伝える加工部113を備えている。把持具200、棒状体部111を移動自在に通す内寸法を持つ導管部211と導管部211の側面から引き出され把持するためのハンドル部212を備えた打撃加工具支持体210と、好ましくは、棒状体部111を刺し込んだ導管部211の上下の位置で棒状体部111に固定され、導管部211に接触して導管部211の上下の位置を制限する導管位置制限具220を備える。導管位置制限具220の固定は、ネジ等の締めつけや、自体をゴム等の伸縮体で構成し、それで締めつけをしてもよい。
【0009】
図2は、本発明にかかる
打撃加工具及び把持具の使用時の状態の一実施態様を示す図である。
打撃加工具110の先端の加工部113が被加工物体300の面より少し持ち上げた状態の場合を2-Aに、加工部113が被加工物体300の面に接した状態の場合を2-Bに、導管部211と導管位置制限具220との位置関係をそれぞれ示す。2-Aでは、導管部211が上部の導管位置制限具221に接触し、2-Bでは、接触せずに上下の導管位置制限具221、222の間にある。導管部211と下の導管位置制限具222の間の空き分があるので、打撃加工具110が動き衝撃が被加工物体に伝わる。導管位置制限具222の存在により、いつも同じ高さ位置で安定して打撃加工具110の加工部113を被加工物体300に当てることができる。
【0010】
図3は、ハンドル傾斜手段を備えた本発明にかかる
打撃加工具及び把持具の一実施態様を示す図である。この例では、導管部211とハンドル部212の間に回転結合部310があり、
ハンドル部212の傾斜角度が所望の値に調節できる。
【0011】
図4は、打撃加工具のサイズに対応した異径サイズの打撃具導管を有する本発明にかかる
打撃加工具及び把持具の一実施態様を示す図である。
4-Aでは、打撃加工具110の棒状体部111の寸法の違いに対応可能なように、1本の把持具200の導管部211が内寸法の異なる複数の異径導管410構成になっている。4-Bでは、導管部211が、導管壁が巻き取りにより内寸法が変わる巻き取り壁420と巻き取り具430を有する構造になっている。
【0012】
図5は、
打撃加工具のサイズに対応した異径サイズの導管位置制限具を有する把持具の一実施態様を示す図である。
5-Aは、今まで説明したリング状のものであり、5-Bでは、導管位置制限具220の内側に移動板510を備えていて、移動板510は、外壁にあるネジ520により径方向に移動し、打撃加工具110を締め付けることで、異径対応をする。勿論、移動板510がなく、単なるネジ520で締め付けてもよい。この場合は、5-Aのものにネジを付けた状態である。5-Cでは、5-Bとの違いは、ネジの代わりに移動板510を押す心棒530を備えていて、これをバネ(図示していない)で押し付ける構成である。5-Dでは、導管位置制限具220の壁に板状部540を設け、
図4の4-Bのように巻き取り具550を備えたものである。
5-Eでは、導管位置制限具220をC状に一端を切り離した構成で、切り離し部の一端にハサミ560(幅広のクリップ状)を設けて、ハサミ560のノブ561を手で閉じるとハサミ板562が開き、手を離すとハサミ板562が閉じるため、内側にある打撃加工具110がハサミ板562を押すことになる。
以上、これに限らず、異形の打撃加工具に対応する導管位置制限具220を構成できる。
【産業上の利用可能性】
【0013】
以上のように本発明にかかる打撃加工具及び把持具は、取付け外しも容易なので、複数の加工具への付け替えも容易であり、衝撃は手に伝わらず、かつ安価に構成できるので、産業上利用して極めて好都合である。
【0014】
110 打撃加工具
111 棒状体部
112 被打撃部
113 加工部
200 把持具
210 打撃加工具支持体
211 導管部
212 被打撃部
220 導管位置制限具
221 導管位置制限具(上)
222 導管位置制限具(下)
300 被加工物体
310 回転結合部
410 異径導管
420 巻き取り壁
430 巻き取り具
510 移動板
520 ネジ
530 心棒
540 板状部
550 巻き取り具
560 ハサミ
561 ノブ
562 ハサミ板