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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-19
(45)【発行日】2023-05-29
(54)【発明の名称】毛髪処理剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/42 20060101AFI20230522BHJP
   A61K 8/81 20060101ALI20230522BHJP
   A61Q 5/00 20060101ALI20230522BHJP
【FI】
A61K8/42
A61K8/81
A61Q5/00
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019078550
(22)【出願日】2019-04-17
(65)【公開番号】P2020176081
(43)【公開日】2020-10-29
【審査請求日】2022-02-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000213482
【氏名又は名称】中野製薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002837
【氏名又は名称】弁理士法人アスフィ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小西 正博
【審査官】山田 陸翠
(56)【参考文献】
【文献】特開昭63-145218(JP,A)
【文献】特開2010-105964(JP,A)
【文献】特開2017-190290(JP,A)
【文献】特開平07-069842(JP,A)
【文献】米国特許第05306489(US,A)
【文献】特開2003-026530(JP,A)
【文献】特開2013-095696(JP,A)
【文献】特開2004-002261(JP,A)
【文献】特開2003-012465(JP,A)
【文献】Color Continue Conditioner, Moroccanoil,Mintel GNPD [online],2018年05月, [検索日2022.12.26], インターネット<URL:https://www.gnpd.com/sinatra/recordpage/5623009>,ID#:5623009
【文献】理美容教育出版株式会社,フィヨーレコスメティクスが『F.color PROTESI』を発売,H.B.News,2018年11月07日,[検索日:2022.12.26], インターネット<URL:http://www.hbnews.ribiyo.co.jp/2018/11/07/fiole-10/>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00-90/00
Mintel GNPD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)毛髪処理剤全体に対して20.2質量%以下(0質量%を含まず)のヒドロキシプロピルグルコナミド、および(B)毛髪処理剤全体に対して35質量%以下(0質量%を含まず)のマレイン酸系共重合体を含有し、前記(A)と前記(B)の質量比が1:0.6~1:17.5であり、
前記マレイン酸系共重合体は、(メチルビニルエーテル/マレイン酸)コポリマー、(ビニルメチルエーテル/マレイン酸エチル)コポリマー、(ビニルメチルエーテル/マレイン酸ブチル)コポリマー、(ラネス-40マレイン酸Na/スチレンスルホン酸)コポリマー、および(メトキシPEG-16マレイン酸Na/スチレンスルホン酸)コポリマーからなる群より選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする毛髪処理剤。
【請求項2】
前記(B)が(メチルビニルエーテル/マレイン酸)コポリマーである請求項に記載の毛髪処理剤。
【請求項3】
更に、(C)ポリクオタニウム-61を含有する請求項1または2に記載の毛髪処理剤。
【請求項4】
前記(C)の配合量が毛髪処理剤全体に対して0.20質量%以下(0質量%を含まず)である請求項に記載の毛髪処理剤。
【請求項5】
施術の前または施術と同時に用いられる請求項1~のいずれかに記載の毛髪処理剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は毛髪処理剤に関する。
【背景技術】
【0002】
ヘアスタイルの多様化に伴い、毛髪は、ヘアカラー剤、ブリーチ剤、パーマネントウェーブ用剤、縮毛矯正剤などによって化学的処理をされる機会が多くなり、損傷(ヘアダメージ)を受け易い状況にある。また近年、アルカリ剤や酸化剤を高濃度に配合したヘアカラー剤やブリーチ剤の使用によるヘアダメージが深刻化しており、このようなヘアダメージの改善に対する消費者ニーズが一層高まっている。
【0003】
上記のような化学的処理によるヘアダメージを緩和したり、化学的処理後の毛髪を補修したりする目的で、従来のヘアトリートメント処理に加えて、化学的処理の前処理剤、中間処理剤、または後処理剤として毛髪処理剤を組み合わせて使用する技術が提案されている。このような技術として、例えば、ラクトン誘導体を用いた染毛前後処理剤(特許文献1)や、活性酸素ラジカルスカベンジャーと還元糖を用いた前中間後処理剤(特許文献2)などが挙げられる。
【0004】
また、美容サロンでのヘアカラーやブリーチ処理に伴うヘアダメージへの対応策については、美容雑誌にも特集が組まれて掲載されており、美容サロンで働く美容師等に紹介されている(非特許文献1)。
【0005】
一般的に前処理剤としては、ヘアカラーの染色ムラやパーマのかかりムラが起こらないようにするタイプのもの、傷んだ部分の更なるヘアダメージを抑制するタイプのものが挙げられる。また後処理剤としては、毛髪のコンディションを整えるタイプのものなどが挙げられる。
【0006】
これらのうちムラを抑える前処理剤は、ムラを解消できる反面、ヘアカラーやパーマネントウェーブ処理によるヘアダメージを抑制することはできなかった。一方、ヘアダメージを抑制する前処理剤は、ヘアダメージを抑制できる反面、染色やパーマのかかり具合が悪かった。また毛髪のコンディションを整える後処理剤は、仕上りのコンディションは良好であるが、ヘアダメージを抑えることはできないといった問題がある。
【0007】
また、最近ではジカルボン酸などを用いたヘアカラー、パーマネントウェーブ処理用の毛髪処理剤が上市されている(非特許文献2)。しかし、上記毛髪処理剤を使用する場合、施術工程が複雑であり、施術時間が長いなどの問題がある。美容サロンでは、限られた時間内で施術する必要性から短時間施術が望まれており、複雑な工程を必要とせずに簡単に施術できる毛髪処理剤の提供が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2015-140326号公報
【文献】特開2008-74727号公報
【非特許文献】
【0009】
【文献】経営とサイエンス,新美容出版発行,2018年7月号,p.10~45
【文献】経営とサイエンス,新美容出版発行,2018年8月号,p.50~53
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、ヘアカラー剤、ブリーチ剤、パーマネントウェーブ用剤、縮毛矯正剤などの性能を維持したまま、ヘアダメージを抑えることができ、しかも複雑な工程を必要とせずに簡単に施術できる毛髪処理剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決し得た本発明の毛髪処理剤は以下のとおりである。
[1](A)ヒドロキシプロピルグルコナミド、および(B)アニオン性高分子を含有することを特徴とする毛髪処理剤。
[2]前記(A)と前記(B)の質量比が1:1~1:10である上記[1]に記載の毛髪処理剤。
[3]前記(A)の配合量が毛髪処理剤全体に対して10質量%以下(0質量%を含まず)であり、前記(B)の配合量が毛髪処理剤全体に対して30質量%以下(0質量%を含まず)である上記[1]または[2]に記載の毛髪処理剤。
[4]前記(B)がマレイン酸系共重合体およびアクリル酸系共重合体よりなる群から選択される1種以上の化合物である上記[1]~[3]のいずれかに記載の毛髪処理剤。
[5]前記(B)が(メチルビニルエーテル/マレイン酸)コポリマーである上記[4]に記載の毛髪処理剤。
[6]更に、(C)ポリクオタニウム-61を含有する上記[1]~[5]のいずれかに記載の毛髪処理剤。
[7]前記(C)の配合量が毛髪処理剤全体に対して0.20質量%以下(0質量%を含まず)である上記[6]に記載の毛髪処理剤。
[8]施術の前または施術と同時に用いられる上記[1]~[7]のいずれかに記載の毛髪処理剤。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、ヘアカラー剤、ブリーチ剤、パーマネントウェーブ用剤、縮毛矯正剤などの性能を維持したまま、ヘアダメージを抑えることができ、しかも複雑な工程を必要とせずに簡単に施術できる毛髪処理剤を提供することができた。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の毛髪処理剤は、(A)ヒドロキシプロピルグルコナミド、および(B)アニオン性高分子を含有する点に特徴がある。本発明者の検討結果によれば、上記(A)と上記(B)の両方を添加することによって初めて所期の目的を達成でき、いずれか一方のみを添加しても、または上記(B)以外の成分を上記(A)に配合しても、所期の目的を達成できないことが判明した(後記する実施例の欄を参照)。
【0014】
本明細書において毛髪処理剤とは毛髪の施術時に使用されるものを意味し、例えばヘアカラー剤、ブリーチ剤、パーマネントウェーブ用剤、縮毛矯正剤で施術する際に用いる前処理剤、中間処理剤、後処理剤などが挙げられる。
【0015】
本明細書では、上記ヒドロキシプロピルグルコナミドを(A)成分、上記アニオン性高分子を(B)成分と呼ぶ場合がある。以下、詳細に説明する。
【0016】
(1)(A)成分:ヒドロキシプロピルグルコナミド
上記(A)成分は、グルコノラクトンと3-アミノプロパノールの反応によって得られるものであり、上記反応の反応副生成物としてグルコン酸ヒドロキシプロピルアンモニウムが生成する場合がある。上記(A)成分は毛髪の主成分であるケラチンと結合して毛髪を補強する作用を有しており、例えばブリーチ処理後の髪の弾力向上に寄与する。本発明において有効成分として作用するのは上記(A)成分と推察される。上記(A)成分は市販品を用いても良い。
【0017】
毛髪処理剤全体に対する上記(A)成分の配合量は10質量%以下であることが好ましい。上記(A)成分の配合量が10質量%を超えると、上記作用効果が飽和状態になり、更なる効果の向上が期待できない。上記(A)成分の配合量は、9質量%以下がより好ましく、8質量%以下が更に好ましい。また、上記作用効果を有効に発揮させるためには、毛髪処理剤全体に対する上記(A)成分の配合量は0.1質量%以上が好ましく、1質量%以上がより好ましく、2質量%以上が更に好ましく、3質量%以上が更により好ましい。
【0018】
(2)(B)成分:アニオン性高分子
上記(B)成分として用いられるアニオン性高分子は、毛髪表面に吸着して指通り(すべり)を付与する効果がある。本発明者の検討結果によれば、この(B)成分を前述した(A)成分に配合することによって毛髪処理剤による性能(例えばすすぎ時の髪のすべりおよび弾力、並びに仕上がり時の手触り)を有効に維持できるのであって、(B)成分以外の、例えば後記する表1に記載の成分を配合しても、全体的に上記性能が低下することが判明した(後記する実施例の欄を参照)。
【0019】
本発明に用いられる上記アニオン性高分子の種類は特に限定されないが、マレイン酸系共重合体およびアクリル酸系共重合体よりなる群から選択される1種以上の化合物、カルボキシビニルポリマー、キサンタンガム、ポリアクリル酸ナトリウム、アルギン酸ナトリウムなどが挙げられる。これらは単独で使用しても良いし、二種以上を併用しても良い。
【0020】
上記マレイン酸系共重合体の具体例として、(メチルビニルエーテル/マレイン酸)コポリマー、(ビニルメチルエーテル/マレイン酸エチル)コポリマー、(ビニルメチルエーテル/マレイン酸ブチル)コポリマー、(ラネス-40マレイン酸Na/スチレンスルホン酸)コポリマー、(メトキシPEG-16マレイン酸Na/スチレンスルホン酸)コポリマーなどが挙げられる。
【0021】
上記アクリル酸系共重合体の具体例として、アクリル酸アルキルコポリマーNa、アクリル酸アルキルコポリマーアンモニウムなどが挙げられる。
【0022】
本発明では、マレイン酸系共重合体およびアクリル酸系共重合体よりなる群から選択される1種以上の化合物が好ましく用いられ、マレイン酸系共重合体がより好ましく用いられ、(メチルビニルエーテル/マレイン酸)コポリマーが更に好ましく用いられる。(メチルビニルエーテル/マレイン酸)コポリマーは、2つのカルボキシル基が連なった高分子であるため、毛髪と結合し易く、またトリートメントのカチオン性成分との相性が良いため、所望とする作用効果が顕著に発揮される。
【0023】
毛髪処理剤全体に対する上記(B)成分の配合量(単独で含む場合は単独の量であり、二種以上を併用する場合はそれらの合計量である。)は30質量%以下であることが好ましい。上記(B)成分の配合量が30質量%を超えると、(B)成分が過剰に毛髪に吸着して、質感が重くなりベタツキなどが生じ、手触り、すべりが低下する傾向にある。上記(B)成分の配合量は、25質量%以下がより好ましく、22質量%以下が更に好ましい。また、上記作用効果を有効に発揮させるためには、毛髪処理剤全体に対する上記(B)成分の配合量は0.1質量%以上が好ましく、0.5質量%以上がより好ましく、1質量%以上が更に好ましい。
【0024】
上記(A)成分と上記(B)成分の質量比は1:1~1:10であることが好ましい。(A)成分に対する(B)成分の質量比が1を下回ると質感が軽くなり、毛髪の手触りやすべりも弱くなる。一方、(A)成分に対する(B)成分の質量比が10を上回ると質感が重くなり、毛髪の手触り、すべりが悪くなる。上記(A)成分と上記(B)成分の質量比は、1:2~1:9がより好ましく、1:3~1:8が更に好ましい。
【0025】
本発明の毛髪処理剤は、上記(A)成分と(B)成分を必須成分として含有するものであるが、上記毛髪処理剤のpHは5以下に制御されていることが好ましい。pHが5を超えると、上記作用が有効に発揮されない虞がある。より好ましいpHは2~4である。
【0026】
上記範囲のpHに制御するため、pH調整剤を添加しても良い。pH調整剤の種類は特に限定されず、例えば乳酸、クエン酸、レブリン酸、リンゴ酸、コハク酸、グルタミン酸などが挙げられる。毛髪処理剤による性能(例えばすすぎ時の髪のすべりおよび弾力、並びに仕上がり時の手触り)を有効に維持するためには、乳酸、コハク酸、リンゴ酸が好ましく、乳酸がより好ましく用いられる。
【0027】
(3)(C)成分:ポリクオタニウム-61
本発明の毛髪処理剤は、更に(C)成分(ポリクオタニウム-61)を含有することが好ましい。ポリクオタニウム-61は、2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン・メタクリル酸ステアリル共重合体とも呼ばれるリン脂質ポリマーであり、すすぎ時のすべり向上効果、仕上がり時の手触り向上効果に特に優れている。
本明細書では、上記ポリクオタニウム-61を(C)成分と呼ぶ場合がある。
【0028】
毛髪処理剤全体に対する上記(C)成分の配合量は、0.20質量%以下が好ましい。上記(C)成分の配合量が0.20質量%を超えると、質感が重くなりすぎて、ベタツキが生じ、手触り、すべりなどが低下する。上記(C)成分の配合量は、0.18質量%以下がより好ましく、0.15質量%以下が更に好ましい。また、上記作用効果を有効に発揮させるためには、毛髪処理剤全体に対する上記(C)成分の配合量は0.01質量%以上が好ましく、0.02質量%以上がより好ましく、0.03質量%以上が更に好ましい。
【0029】
上記のとおり本発明の毛髪処理剤は、上記(A)成分と(B)成分を両方含み、好ましくは(C)成分を更に含み、必要に応じてpH調整剤を含む。更に本発明の毛髪処理剤は、毛髪処理剤に通常用いられる成分(例えば、固形油剤、界面活性剤、シリコーン類、液状油剤、湿潤剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、キレート剤、防腐剤、色素、香料等)を含有しても良い。
【0030】
本発明の毛髪処理剤によれば、ヘアカラー剤、ブリーチ剤、パーマネントウェーブ用剤、縮毛矯正剤などの性能を維持したまま、毛髪のダメージを抑えることができる。
【0031】
ここで「ヘアダメージを抑えることができる」とは、例えば後記する実施例の欄に記載の方法によってすすぎ時の髪のすべりおよび弾力、並びに仕上がり時の手触りを評価したとき、これらの性能が発揮されていることを意味する。
【0032】
また「性能が維持されている」とは、例えば後記する実施例の欄に記載の方法によってブリーチ処理後の髪の明るさ(ブリーチ力、ΔL値)およびヘアカラー処理後の髪の色味(染色性、ΔE値)、縮毛矯正処理後のくせの伸びおよび手触りを評価したとき、これらの性能が低下することなく良好に維持されていることを意味する。
【0033】
本発明の毛髪処理剤は上記作用効果を有するため、複雑な工程を必要とせずに簡単に施術が可能である。すなわち、毛髪の処理方法としては一般に、ブリーチ処理などの施術の前後に前処理(一剤)および後処理(二剤)を行う二剤処理方法が用いられるが、本発明によれば、後処理(二剤)を省略して、施術の前または施術と同時に本発明の毛髪処理剤を使用するだけでも、上記効果が発揮される。これにより施術時間の短縮化、工程の簡略化を図ることができる点で極めて有用である。勿論、本発明の毛髪処理剤は上記態様に限定されず、二剤処理方法に適用しても良い。
【実施例
【0034】
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明は下記実施例によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。なお、以下においては、特に断りのない限り、「部」は「質量部」を、「%」は「質量%」を意味する。
【0035】
1.試験方法その1
以下のようにしてブリーチ処理毛を作製し、下記の評価項目1~5を評価した。
・評価項目1:毛髪処理剤をブリーチ処理剤と同時に使用した際における、ブリーチ処理後のすすぎ時の髪のすべり
・評価項目2:毛髪処理剤をブリーチ処理剤と同時に使用した際における、ブリーチ処理後のすすぎ時の髪の弾力
・評価項目3:毛髪処理剤をブリーチ処理剤と同時に使用した際における、仕上がり時の手触り
・評価項目4:毛髪処理剤をブリーチ処理剤と同時に使用した際における、ブリーチ処理後の髪の明るさ(ブリーチ力)
・評価項目5:毛髪処理剤をヘアカラー処理剤と同時に使用した際における、ヘアカラー処理後の髪の色味(染色性)
【0036】
1-1.ブリーチ処理毛の作製
ヘアカラー処理、ブリーチ処理、パーマネントウェーブ処理などの化学的処理を全く受けていない毛髪に以下のブリーチ処理をした。
【0037】
具体的にはキャラデコ トーナー ブリーチパウダーEX(粉末ブリーチ剤:中野製薬株式会社製)とキャラデコオキサイド N06(過酸化水素系酸化剤:中野製薬株式会社製)を1:3(質量比)となるように混合したブリーチ剤を作製し、上記の毛髪に質量比(ブリーチ剤:毛髪)1:1の割合で塗布し、35℃、30分間の条件で放置した後、40質量%のラウリル硫酸トリエタノールアミン液によって洗浄し、その後乾燥した。
この一連のブリーチ処理を更にもう一度行った(ダブルブリーチ処理)。
【0038】
1-2.評価項目1:ブリーチ処理後のすすぎ時の髪のすべり
上記ダブルブリーチ処理を施した毛束(20cm、10g)に対して、キャラデコ トーナー ブリーチパウダーEXを30g、キャラデコオキサイド N06を90g混合したブリーチ剤に表1~表7に記載の各種毛髪処理剤(処方例1~43)を2g混合してブリーチ処理を行った後、すすぎを行った。ブリーチ処理後のすすぎ時の髪のすべりについて、専門のパネラー10名により、下記の3段階評価(評価点)に基づいて官能評価して評価点の合計値を求め、以下の基準で判定した。
3点:非常にすべりが良い
2点:すべりが良い
1点:すべりが悪い
[ブリーチ処理後のすすぎ時の髪のすべりの評価基準]
◎:25点以上
○:20点以上、25点未満
△:15点以上、20点未満
×:15点未満
【0039】
1-3.評価項目2:ブリーチ処理後のすすぎ時の髪の弾力
上記ダブルブリーチ処理をした毛束(20cm、10g)に対して、キャラデコ トーナー ブリーチパウダーEXを30g、キャラデコオキサイド N06を90g混合したブリーチ剤に表1~表7に記載の毛髪処理剤(処方例1~43)を2g混合してブリーチ処理を行った後、すすぎを行った。ブリーチ処理後のすすぎ時の髪の弾力について専門のパネラー10名により、下記の3段階評価(評価点)に基づいて官能評価し、評価点の合計値を求めて、以下の基準で判定した。
3点:非常に弾力がある
2点:弾力がある
1点:弾力がない
[ブリーチ処理後のすすぎ時の髪の弾力の評価基準]
◎:25点以上
○:20点以上、25点未満
△:15点以上、20点未満
×:15点未満
【0040】
1-4.評価項目3:仕上がり時の手触り
上記ダブルブリーチ処理をした毛束(20cm、10g)に対して、キャラデコ トーナー ブリーチパウダーEXを30g、キャラデコオキサイド N06を90g混合したブリーチ剤に表1~表7に記載の毛髪処理剤(処方例1~43)を2g混合しブリーチ処理を行った後、すすぎを行った。仕上がり時の手触りについて、専門のパネラー10名により、下記の3段階評価(評価点)に基づいて官能評価し、評価点の合計値を求めて、以下の基準で判定した。
3点:非常に手触りが良い
2点:手触りが良い
1点:手触りが悪い
[ブリーチ処理後の仕上がり時の手触りの評価基準]
◎:25点以上
○:20点以上、25点未満
△:15点以上、20点未満
×:15点未満
【0041】
1-5.評価項目4:ブリーチ処理後の髪の明るさ(ブリーチ力)
上記ダブルブリーチ処理をした毛束(20cm、10g)に対して、キャラデコ トーナー ブリーチパウダーEXを30g、キャラデコオキサイド N06を90g混合したブリーチ剤に表5および表7に記載の毛髪処理剤(処方例28、40)を2g混合して、ブリーチ処理を行った後、すすぎを行った。
比較のため、毛髪処理剤を用いず上記のブリーチ処理を行った。
それぞれの毛束について、日本電色工業株式会社製の光度計「Spectro Color Meter SE2000」を用いて明るさ(L値)を測定し、それらの差(ΔL値)を求めた。
[ブリーチ処理後の髪の明るさ(ブリーチ力)の評価基準]
ΔL値≦1:毛髪処理剤を用いてもブリーチ力が低下していない
ΔL値>1:毛髪処理剤を用いるとブリーチ力が低下する
【0042】
1-6.評価項目5:ヘアカラー処理後の髪の色味(染色性)
上記ダブルブリーチ処理をした毛束(20cm、10g)に対して、キャラデコ ミュゼリア A9mを60g、キャラデコオキサイド N06を60g混合したヘアカラー剤に表5および表7に記載の毛髪処理剤(処方例28、40)を1g混合して、ヘアカラー処理を行った。
比較のため、毛髪処理剤を用いず上記のヘアカラー処理を行った。
それぞれの毛束について、日本電色工業株式会社製の光度計「Spectro Color Meter SE2000」を用いて色差(L値、a値、b値)を測定し、それらの差(ΔL値、Δa値、Δb値)を求め、それらの値から以下の計算式でΔE値を算出した。
ΔE値=√((ΔL値)2+(Δa値)2+(Δb値)2
[カラー処理後の髪の色味(染色性)の評価基準]
ΔE値≦2:毛髪処理剤を用いても染色性が低下していない
ΔE値>2:毛髪処理剤を用いると染色性が低下する
【0043】
2.試験方法その2
上記のようにして作製したダブルブリーチ処理毛について、下記の評価項目6および7を評価した。
・評価項目6:毛髪処理剤を前処理として使用した際のブリーチ処理後の髪の明るさ(ブリーチ力)
・評価項目7:毛髪処理剤を前処理として使用した際のヘアカラー処理後の髪の色味(染色性)
【0044】
2-1.評価項目6:毛髪処理剤を前処理として使用した際のブリーチ処理後の髪の明るさ(ブリーチ力)
上記ダブルブリーチ処理をした毛束(20cm、10g)に、表5および表7に記載の毛髪処理剤(処方例28、40)を水で11倍希釈したものを1g塗布した。その後、キャラデコ トーナー ブリーチパウダーEXとキャラデコオキサイド N06を1:3(質量比)となるように混合してブリーチ処理を行った。
比較のため、毛髪処理剤を用いず上記のブリーチ処理を行った。
それぞれの毛束について、前述した1-5.評価項目4:ブリーチ処理後の髪の明るさ(ブリーチ力)と同様にして明るさ(L値)を測定し、それらの差(ΔL値)を求めて評価した。
【0045】
2-2.評価項目7:毛髪処理剤を前処理として使用した際のヘアカラー処理後の髪の色味(染色性)
上記ダブルブリーチ処理をした毛束(20cm、10g)に、表5および表7に記載の毛髪処理剤(処方例28、40)を水で11倍希釈したものを1g塗布した。その後、キャラデコ ミュゼリア A9mとキャラデコオキサイドN 06を1:1(質量比)となるように混合してヘアカラー処理を行った。
比較のため、毛髪処理剤を用いず上記のヘアカラー処理を行った。
それぞれの毛束について、前述した1-6.評価項目5:ヘアカラー処理後の髪の色味(染色性)と同様にしてΔL値、Δa値、Δb値を求め、それらの値からΔE値を算出して評価した。
【0046】
3.試験方法その3
以下のようにしてブリーチ処理および縮毛矯正を施したブリーチ・縮毛矯正毛を作製し、下記の評価項目8および9を評価した。
・評価項目8:縮毛矯正処理後のくせの伸び
・評価項目9:縮毛矯正処理後の手触り
【0047】
3-1.ブリーチ・縮毛矯正毛の作製
ヘアカラー処理、ブリーチ処理、パーマネントウェーブ処理などの化学的処理を全く受けていない毛髪に以下のブリーチ処理および縮毛矯正処理を順次行った。
【0048】
まず、キャラデコ トーナー ブリーチパウダーEX(粉末ブリーチ剤:中野製薬株式会社製)とキャラデコオキサイド N06(過酸化水素系酸化剤:中野製薬株式会社製)を1:3(質量比)となるように混合したブリーチ剤を作製し、上記の毛髪に質量比(ブリーチ剤:毛髪)1:1の割合で塗布し、35℃、30分間の条件で放置した後、40質量%のラウリル硫酸トリエタノールアミン液によって洗浄し、その後乾燥した(ブリーチ処理)。
【0049】
次に、マークコンティ50 第1液(中野製薬株式会社製)を上記の毛髪に質量比(第1液:毛髪)1:1の割合で塗布し、30℃、15分間の条件で放置した後、すすぎ、ドライを行ってからアイロン処理を行った。その後、マークコンティ50 第2液(中野製薬株式会社製)を上記の毛髪に質量比(第2液:毛髪)1:1の割合で塗布し、30℃、10分間の条件で放置した後、40質量%のラウリル硫酸トリエタノールアミン液によって洗浄し、その後乾燥した(縮毛矯正処理)。
【0050】
3-2.評価項目8:縮毛矯正処理後のくせの伸び
上記のようにしてブリーチ処理および縮毛矯正処理を施した毛束(20cm、10g)に、表7に記載の毛髪処理剤(処方例40)を水で21倍希釈したものを1g塗布した。その後、マークコンティ50 第1液を上記の毛髪に質量比(第1液:毛髪)1:1の割合で塗布し、30℃、15分間の条件で放置した後、すすぎを行った。さらに表7に記載の毛髪処理剤(処方例40)を水で21倍希釈したものを1g塗布しドライ後、アイロン処理を行った。その後マークコンティ50 第2液を上記の毛髪に質量比(第2液:毛髪)1:1の割合で塗布し、30℃、10分間の条件で放置した後、ENUシャンプーFL(シャンプー:中野製薬株式会社製)によって洗浄し、その後ENUリペアメントFL(ヘアトリートメント:中野製薬株式会社製)で処理し、乾燥した。
比較のため、毛髪処理剤を用いず上記のマークコンティ50処理を行った。
【0051】
毛髪処理剤(処方例40)により縮毛矯正処理後のくせの伸びが維持されているかどうかを、比較例と比較して判定した。具体的には、専門のパネラー10名により、下記の3段階評価(評価点)に基づいて縮毛矯正処理後のくせの伸びを官能評価し、評価点の合計値を求め、以下の基準で判定した。
3点:非常にくせが伸びている
2点:くせが伸びている
1点:くせが伸びていない
[縮毛矯正処理後のくせの伸びの評価基準]
◎:25点以上
○:20点以上、25点未満
△:15点以上、20点未満
×:15点未満
【0052】
3-3.評価項目9:縮毛矯正処理後の手触り
上記3-2と同様にして処理して、毛髪処理剤(処方例40)により縮毛矯正処理後の手触りが改善されたかどうかを、比較例と比較して判定した。具体的には、専門のパネラー10名により、下記の3段階評価(評価点)に基づいて縮毛矯正処理後の手触りを官能評価し、評価点の合計値を求め、以下の基準で判定した。
3点:非常に手触りが良い
2点:手触りが良い
1点:手触りが悪い
[縮毛矯正処理後の手触りの評価基準]
◎:25点以上
○:20点以上、25点未満
△:15点以上、20点未満
×:15点未満
【0053】
実施例1
本実施例では、(B)成分添加の有用性を調べた。
具体的には表1に記載の種々の毛髪処理剤(処方例1~8)を作製し、前述した評価項目1(ブリーチ処理後のすすぎ時の髪のすべり)、評価項目2(ブリーチ処理後のすすぎ時の髪の弾力)、および評価項目3(仕上がり時の手触り)を評価した。
なお本実施例および後記する実施例では、(A)成分として、アシュランド・ジャパン株式会社製のFiberHance BM SOLUTIONの原料素材を用いた。上記原料素材は、ヒドロキシプロピルグルコナミドを32.5%、およびグルコン酸ヒドロキシプロピルアンモニウムを17.5%含有している。以下の表1~表9に記載の(A)成分の配合量は、上記原料素材に含まれるヒドロキシプロピルグルコナミドの量を換算して記載したものである。
【0054】
これらの結果を表1に併記する。
【0055】
【表1】
【0056】
表1より、(B)成分として本発明で規定するアニオン性高分子を用いた処方例1~5では、いずれの評価項目も良好であった。特に(B)成分として(メチルビニルエーテル/マレイン酸)コポリマーを用いた処方例1は、いずれの評価項目も極めて良好であった。
これに対し、(B)成分として本発明で規定しない成分を用いた処方例6~8では、全ての評価項目が低下した。
上記の実験結果より、本発明で規定するように(A)成分と(B)成分を併用することにより上記特性が有効に発揮されることが分った。
【0057】
実施例2
本実施例では、(A)成分の好ましい配合量を調べた。
具体的には表2に記載の種々の毛髪処理剤(処方例9~14)を作製し、前述した評価項目1(ブリーチ処理後のすすぎ時の髪のすべり)、評価項目2(ブリーチ処理後のすすぎ時の髪の弾力)、および評価項目3(仕上がり時の手触り)を評価した。
【0058】
これらの結果を表2に併記する。
【0059】
【表2】
【0060】
表2より、(A)成分の配合量が好ましい範囲内で配合された処方例10~12では、いずれの評価項目も良好であった。
これに対し、(A)成分を含まない処方例9では、特にブリーチ処理後のすすぎの際の髪の弾力が低下した。
また、(A)成分の配合量が好ましい上限(10%)を超える処方例13および14では、質感が重くなり、すべりが弱くなる傾向が見られた。
【0061】
実施例3
本実施例では、(B)成分の好ましい配合量を調べた。
具体的には表3に記載の種々の毛髪処理剤(処方例15~21)を作製し、前述した評価項目1(ブリーチ処理後のすすぎ時の髪のすべり)、評価項目2(ブリーチ処理後のすすぎ時の髪の弾力)、および評価項目3(仕上がり時の手触り)を評価した。
【0062】
これらの結果を表3に併記する。
【0063】
【表3】
【0064】
表3より、(B)成分の配合量が好ましい範囲内で配合された処方例16~20では、いずれの評価項目も良好であった。
これに対し、(B)成分を含まない処方例15では、特にブリーチ処理後のすすぎ時の髪のすべりおよび仕上がり時の手触りが低下した。
また、(B)成分の配合量が好ましい上限(30%)を超える処方例21では、質感が重くなり過ぎてベタつきが生じ、特にブリーチ処理後のすすぎ時の髪のすべりが低下する傾向が見られた。
【0065】
実施例4
本実施例では、(A)成分と(B)成分の好ましい配合比率(質量比)を調べた。
具体的には表4に記載の種々の毛髪処理剤(処方例22~27)を作製し、前述した評価項目1(ブリーチ処理後のすすぎ時の髪のすべり)、評価項目2(ブリーチ処理後のすすぎ時の髪の弾力)、および評価項目3(仕上がり時の手触り)を評価した。
【0066】
これらの結果を表4に併記する。
【0067】
【表4】
【0068】
表4より、(A)成分と(B)成分の配合比率が好ましい範囲内で配合された処方例23~26では、いずれの評価項目も良好であった。
これに対し、(A)成分と(B)成分の配合比率が好ましい下限(1:1)を下回る処方例22では、ブリーチ処理後のすすぎ時の髪の弾力が低下し、ブリーチ処理後のすすぎ時の髪のすべりも低下する傾向が見られた。
また、(A)成分と(B)成分の配合比率が好ましい上限(1:10)を超える処方例27では、質感が重くなって、仕上がり時の手触り、およびブリーチ処理後のすすぎ時の髪のすべりが低下する傾向が見られた。
【0069】
実施例5
本実施例では、pH調整剤の特に好ましい種類を調べた。
具体的には表5に記載の種々の毛髪処理剤(処方例28~31、18、32)を作製し、前述した評価項目1(ブリーチ処理後のすすぎ時の髪のすべり)、評価項目2(ブリーチ処理後のすすぎ時の髪の弾力)、および評価項目3(仕上がり時の手触り)を評価した。
【0070】
これらの結果を表5に併記する。
【0071】
【表5】
【0072】
表5より、pHを本発明の好ましい範囲内に制御する限り、いずれのpH調整剤を用いても良好な特性が得られたが、これらのなかでも最も好ましい特性が得られたのは乳酸であり、次いで、でコハク酸、リンゴ酸の順であった。乳酸はすすぎ時からすべりが良く、仕上がり時にもその感触が維持されていた。
【0073】
実施例6
本実施例では、好ましく用いられる(C)成分(ポリクオタニウム-61)を含めた他の成分を配合したときの添加効果を調べた。
具体的には表6に記載の種々の毛髪処理剤(処方例33~38)を作製し、前述した評価項目1(ブリーチ処理後のすすぎ時の髪のすべり)、評価項目2(ブリーチ処理後のすすぎ時の髪の弾力)、および評価項目3(仕上がり時の手触り)を評価した。
【0074】
これらの結果を表6に併記する。
【0075】
【表6】
【0076】
表6より、(C)成分としてポリクオタニウム-61を用いた処方例33は、ブリーチ処理後のすすぎ時の髪のすべり、ブリーチ処理後のすすぎ時の髪の弾力、および仕上がり時の手触りの全ての評価項目において最も良好な結果が得られた。特に上記処方例33では、ポリクオタニウム-61以外の成分を用いた処方例34~38に比べて、すすぎ時のすべり、仕上がり時の手触りが特に向上した。
【0077】
実施例7
本実施例では、好ましく用いられる(C)成分(ポリクオタニウム-61)の好ましい配合量を調べた。
具体的には表7に記載の種々の毛髪処理剤(処方例28、33、39~43)を作製し、前述した評価項目1(ブリーチ処理後のすすぎ時の髪のすべり)、評価項目2(ブリーチ処理後のすすぎ時の髪の弾力)、および評価項目3(仕上がり時の手触り)を評価した。
【0078】
これらの結果を表7に併記する。
【0079】
【表7】
【0080】
表7より、(C)成分の配合量が好ましい範囲内で配合された処方例33、39~42では、(C)成分を含まない処方例28に比べて、特にブリーチ処理後のすすぎ時の髪のすべり、ブリーチ後処理後のすすぎ時の髪の弾力が向上した。
また、(C)成分の配合量が好ましい上限(0.20%)を超える処方例43では、質感が重くなり過ぎてベタつきが生じ、特に仕上がり時の手触り、およびブリーチ処理後のすすぎ時の髪のすべりが低下する傾向が見られた。
【0081】
実施例8
前述した実施例1~7、および後記する実施例9では毛髪処理剤をブリーチ処理と同時に用いたときの特性を評価したが、上記態様のみならず、本実施例で毛髪処理剤をブリーチ処理の前処理に用いたときの特性を評価した。
具体的には表8に記載の種々の毛髪処理剤(処方例28、40)を作製し、以下の項目を評価した。
・評価項目4:毛髪処理剤をブリーチ処理剤と同時に使用した際における、ブリーチ処理後の髪の明るさ(ブリーチ力)
・評価項目5:毛髪処理剤をヘアカラー処理剤と同時に使用した際における、ヘアカラー処理後の髪の色味(染色性)
・評価項目6[毛髪処理剤を前処理として使用した際のブリーチ処理後の髪の明るさ(ブリーチ力)]
・評価項目7[毛髪処理剤を前処理として使用した際のヘアカラー処理後の髪の色味(染色性)]
なお上記処方例28と40とは、(C)成分を配合していないか(処方例28)、配合したか(処方例40)の点でのみ相違する。
【0082】
これらの結果を表8に併記する。表8中、「薬剤混合」とは毛髪処理剤をブリーチ処理剤と同時に使用した際の結果を示し、「前処理」とは毛髪処理剤を前処理として使用した際の結果を示す。
【0083】
【表8】
【0084】
まずΔL値の結果より、(C)成分の配合の有無に関係なく、前処理および薬剤混合してもブリーチ力が低下することなく(ΔL値が1を大きく下回り)、目視でも明るさに差は認められないことが分った。
またΔE値の結果より、(C)成分の配合に関係なく、前処理および薬剤混合でも染色性(発色性)が低下することなく(ΔE値が2を大きく下回り)、目視でも色味に差は認められないことも分った。
【0085】
実施例9
本実施例では、好ましく用いられる(C)成分(ポリクオタニウム-61)を配合したときの特性を評価した。
具体的には表9に記載の毛髪処理剤(処方例40)を作製し、前述した評価項目8(縮毛矯正処理後のくせの伸び)および評価項目9(縮毛矯正処理後の手触り)を評価した。
【0086】
これらの結果を表9に併記する。
【0087】
【表9】
【0088】
まずΔL値の結果より、上記処方例40を用いたブリーチでは、ブリーチ力が低下することなく(ΔL値が1を大きく下回り)、目視でも明るさに差は認められないことが分った。
またΔE値の結果より、上記処方例40を用いたヘアカラーでは、染色性(発色性)が低下することなく(ΔE値が2を大きく下回り)、目視でも色味に差は認められないことも分った。
更に上記処方例40を用いた縮毛矯正では、くせの伸びが低下することなく、更に手触りも良好であることも分った。
【0089】
以上、一連の上記実施例の結果より、本発明の毛髪処理剤を用いれば、ヘアカラー剤、ブリーチ剤、パーマネントウェーブ用剤、縮毛矯正剤などの性能を維持したまま、ヘアダメージを抑えることができ、しかも複雑な工程を必要とせずに簡単に施術できる毛髪処理剤を提供できることが確認された。