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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-19
(45)【発行日】2023-05-29
(54)【発明の名称】配管洗浄装置及び配管洗浄方法
(51)【国際特許分類】
   E03C 1/126 20060101AFI20230522BHJP
   B08B 9/032 20060101ALI20230522BHJP
【FI】
E03C1/126
B08B9/032 328
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021050525
(22)【出願日】2021-03-24
(65)【公開番号】P2022148727
(43)【公開日】2022-10-06
【審査請求日】2021-03-31
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】599177156
【氏名又は名称】浦 城勝
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】浦 城勝
【審査官】小林 英司
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-131588(JP,A)
【文献】国際公開第2020/171238(WO,A1)
【文献】特開2006-203130(JP,A)
【文献】特開2004-141845(JP,A)
【文献】特開昭63-166478(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03C 1/12 - 1/33
B08B 1/00 - 1/04
B08B 5/00 - 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
原料水が供給され、オゾン水又はオゾンと過酸化水素が共存する促進酸化水を生成する水電解部と、
前記水電解部で生成されたオゾン水又は促進酸化水が流入され、オゾンガスを原料水中に溶解させて溶存オゾン濃度が目標値まで高められたオゾン水又は促進酸化水を流出する気液混合部と、
前記気液混合部から流出されるオゾン水又は促進酸化水を貯留するタンクと、
前記タンク内に貯留されたオゾン水又は促進酸化水を吸込み配管を介して吸い込み所定の圧力で吐出するポンプと、
前記ポンプの吐出口に連通し、配管内径よりも小さい径を有するホースと、
前記ホースの先端に設けられ、配管内壁に向けてオゾン水又は促進酸化水を噴射する噴射孔が開口され、配管内径よりも小さい径を有する洗浄用ノズルと、
前記タンク内のオゾン水又は促進酸化水の液位を検出する検出部と、
前記洗浄用ノズルからオゾン水又は促進酸化水が噴射している間は、前記検出部の検出結果に応じて前記タンク内のオゾン水又は促進酸化水の液位が所定範囲内に収まるように、前記水電解部に供給される原料水の流量を制御する制御部と、
前記水電解部の陽極、陰極間に流れる電流を、前記タンク内のオゾン水又は促進酸化水中の溶存オゾン濃度の目標値に応じた電流に調整する電流調整部と、
を備えた配管洗浄装置。
【請求項2】
前記ホースを送り出すと共に回転させる送り出し及び回転部を備え、
前記洗浄用ノズルは、複数の噴射孔を備え、前記ホースの回転に応じて前記複数の噴射孔の内特定の噴射孔が常時管内周面と対向しながら配管の内周面に沿って螺旋状に旋回すると共に、前記ホースの送り出しに応じて配管の軸方向に沿って進行するように構成されている、
請求項1に記載の配管洗浄装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の配管洗浄装置を使用して配管内を洗浄する配管洗浄方法であって、
前記水電解部に原料水を供給して前記タンクに貯留されるオゾン水又は促進酸化水の液位を一定レベル以上に維持しながら、前記洗浄用ノズルの噴射孔から配管内壁に向けてオゾン水又は促進酸化水を噴射させて、配管内を洗浄する、配管洗浄方法。
【請求項4】
前記水電解部に原料水を供給し前記タンクの所定の液位まで貯留するステップと、
前記タンク内に貯留されるオゾン水又は促進酸化水の液位が所定範囲内に入るように、原料水の供給流量を調整するステップと、
を含む請求項3に記載の配管洗浄方法。
【請求項5】
促進酸化水中の溶存オゾン濃度が0.5~1.0mg/Lになるように前記水電解部の陽極、陰極間に流れる電流が調整される、
請求項1又は2に記載の配管洗浄装置。
【請求項6】
促進酸化水中の溶存オゾン濃度が0.5~1.0mg/Lになるように前記水電解部の陽極、陰極間に流れる電流が調整される、
請求項3又は4に記載の配管洗浄方法。
【請求項7】
前記検出部は、前記タンク内のオゾン水又は促進酸化水の液位が、第1の液位に達した際に第1の液位検出信号を出力し、前記タンク内のオゾン水又は促進酸化水の液位が、前記第1の液位よりも低い第2の液位まで低下した際に第2の液位検出信号を出力するものであり、
前記制御部は、前記第1の液位検出信号が出力されているときに、前記気液混合部から前記タンクへのオゾン水又は促進酸化水の供給を遮断すると共に、前記第2の液位検出信号が出力されているときに、前記気液混合部から前記タンクへオゾン水又は促進酸化水を供給する、
請求項1又は2又は5に記載の配管洗浄装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配管洗浄装置及び配管洗浄方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本出願人は、特許文献1に見られるように、ノズルに形成された複数の噴射孔のうち、特定の噴射孔が常時管内周面と対向するように、ノズルを管の内周面に沿って螺旋状に旋回させて、各種タイプの管内を効率良く洗浄することができる配管洗浄方法及び装置に関する発明を特許出願し特許を受けている。
【0003】
また特許文献2には、水電解部と気液混合部を筐体内に設け、オゾン水又はオゾンと過酸化水素を混合した促進酸化水を生成する水電解装置に関する発明が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第3223974号公報
【文献】WO/2020/171238
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
配管洗浄は、タンク内に貯留されたオゾン水をポンプによって高圧化して吐出し、ホースを介して洗浄用ノゾルに供給して、洗浄用ノズルの噴射孔から配管内壁に向けて噴射するという方法で行われる。タンク内にオゾン水を貯留するには、タンクに水に供給すると共に、オゾナイザで生成された酸素とオゾンの混合ガス(オゾン濃度は10%)を発生させ、この酸素とオゾンの混合ガスをタンクに供給して、タンク内でオゾンガスと水を混合し、オゾン水中の溶存オゾン濃度を所定の範囲内に入るように制御する方法が用いられる。
【0006】
このように従来にあっては、タンク内でオゾンガスと水を混合しているため、オゾンガスが水中に容易に溶解せず、気相オゾンが多量に発生してしまう。このため多量の気相オゾンを処理するための排ガス処理装置を設けることが必須であった。またタンク内に貯留されるオゾン水中の溶存オゾン濃度が不安定でばらつくため、オゾン濃度計で測定されたオゾン濃度に基づいて溶存オゾン濃度を所定の範囲(例えば1~2mg/L)内に制御するためのオゾン濃度制御装置を設けることが必須であった。
【0007】
このように従来の配管洗浄装置は、気相オゾンを処理するための排ガス処理装置及びオゾン濃度を管理するためのオゾン濃度制御装置を要するために、装置が大型化し、装置のコストが嵩むという問題があった。
【0008】
また洗浄用ノズルからオゾン水を噴射することによって消費されるオゾン水を補給するためにタンクに酸素とオゾンの混合ガスと水を供給しながら配管洗浄作業を進めるようにすると、配管洗浄作業中に、洗浄用ノズルの噴射孔から配管内壁に向けて噴射されるオゾン水中の溶存オゾン濃度がばらつくという問題があった。
【0009】
本発明は、排ガス処理装置及びオゾン濃度制御装置を不要とすることで、配管洗浄装置を小型化することを課題とする。また配管洗浄作業中に、洗浄用ノズルから一定濃度で安定した溶存オゾン濃度のオゾン水又は促進酸化水を噴射できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
第1の態様は、原料水が供給され、オゾン水又はオゾンと過酸化水素が共存する促進酸化水を生成する水電解部と、前記水電解部で生成された促進酸化水が流入され、オゾンガスを原料水中に溶解させて溶存オゾン濃度が高められたオゾン水又は促進酸化水を流出する気液混合部と、前記気液混合部から流出される促進酸化水を貯留するタンクと、前記タンク内に貯留されたオゾン水又は促進酸化水を吸い込み所定の圧力で吐出するポンプと、前記ポンプの吐出口に連通し、配管内径よりも小さい径を有するホースと、前記ホースの先端に設けられ、配管内壁に向けてオゾン水又は促進酸化水を噴射する噴射孔が開口され、配管内径よりも小さい径を有する洗浄用ノズルと、を備えた配管洗浄装置である。
【0011】
第2の態様は、第1の態様において、前記ホースを送り出すと共に回転させる送り出し及び回転部を備え、前記洗浄用ノズルは、複数の噴射孔を備え、前記ホースの回転に応じて前記複数の噴射孔の内特定の噴射孔が常時管内周面と対向しながら配管の内周面に沿って螺旋状に旋回すると共に、前記ホースの送り出しに応じて配管の軸方向に沿って進行するように構成されている、配管洗浄装置である。
【0012】
第3の態様は、第1又は第2の態様の配管洗浄装置を使用して配管内を洗浄する配管洗浄方法であって、前記水電解部に原料水を供給して前記タンクに貯留されるオゾン水又は促進酸化水の液位を一定レベル以上に維持しながら、前記洗浄用ノズルの噴射孔から配管内壁に向けてオゾン水又は促進酸化水を噴射させて、配管内を洗浄する、配管洗浄方法である。
【0013】
第4の態様は、第3の態様において、前記水電解部に原料水を供給し前記タンクの所定の液位まで貯留するステップと、前記タンク内に貯留されるオゾン水又は促進酸化水の液位が所定範囲内に入るように、原料水の供給流量を調整するステップと、を含む配管洗浄方法である。
【0014】
第5の態様は、第1又は第2の態様において、促進酸化水中の溶存オゾン濃度が0.5~1.0mg/Lになるように前記水電解部における水電解が調整される、配管洗浄装置である。
【0015】
第6の態様は、第3又は第4の態様において、促進酸化水中の溶存オゾン濃度が0.5~1.0mg/Lになるように前記水電解部における水電解が調整される、配管洗浄方法である。
【0016】
第7の態様は、第1又は第2又は第5の態様において、前記タンク内のオゾン水又は促進酸化水の液位を検出する検出部と、前記検出部の検出結果に応じて前記タンク内のオゾン水又は促進酸化水の液位が所定範囲内に収まるように、前記水電解部に供給される原料水の流量を制御する制御部と、を備えた配管洗浄装置である。
【0017】
第8の態様は、第7の態様において、前記検出部は、前記タンク内のオゾン水又は促進酸化水の液位が、第1の液位に達した際に第1の液位検出信号を出力し、前記タンク内のオゾン水又は促進酸化水の液位が、前記第1の液位よりも低い第2の液位まで低下した際に第2の液位検出信号を出力するものであり、前記制御部は、前記第1の液位検出信号が出力されているときに、前記気液混合部から前記タンクへのオゾン水又は促進酸化水の供給を遮断すると共に、前記第2の液位検出信号が出力されているときに、前記気液混合部から前記タンクへオゾン水又は促進酸化水を供給する、配管洗浄装置である。
【発明の効果】
【0018】
第1乃至第8の態様によれば、タンクには、気相オゾンフリーで溶存オゾン濃度が一定で安定したオゾン水又は促進酸化水が貯留されるため、排ガス処理装置及びオゾン濃度制御装置が不要となり、配管洗浄装置を小型化することができる。またタンクから洗浄用ノズルに、溶存オゾン濃度が一定で安定したオゾン水又は促進酸化水が供給されるため、配管洗浄作業中に洗浄用ノズルから、ばらつきのない一定の安定した溶存オゾン濃度のオゾン水又は促進酸化水を噴射することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1A図1Aは、実施形態の配管洗浄装置の構成を示す図である。
図1B図1Bは、実施形態の配管洗浄装置の構成を示す図である。
図2図2は、送り出し・回転部の構成例を示す図で、送り出し・回転部を上面からみた図である。
図3図3は、ホース送り・戻し部の構成を示す図で、ホース送り・戻し部の筐体の留め具を外して筐体の内部を上面からみた図である。
図4図4は、ホース送り・戻し部の構成を示す図で、ホースの送り出しを説明する図である。
図5図5は、旋回洗浄用ノズルの構成を示す縦断面図である。
図6図6は、旋回洗浄用ノズルの構成を示す横断面図である。
図7A図7Aは、洗浄対象の配管の構成例を示す図である。
図7B図7Bは、洗浄対象の配管の構成例を示す図である。
図8図8は、タンク内の促進酸化水の液位を自動制御する装置の構成を示す図である。
図9図9は、タンク内にフロートスイッチを用いて促進酸化水の液位を自動制御する装置の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明に係る配管洗浄装置及び配管洗浄方法の実施形態について説明する。
【0021】
(配管洗浄装置)
【0022】
図1A図1Bは、実施形態の配管洗浄装置1の構成を示す図である。
【0023】
配管洗浄装置1は、水の供給源20と、水電解部100と、気液混合部200と、タンク300と、ポンプ400と、駆動エンジン450と、給水ホース550と、送り出し・回転部600と、ホース500と、旋回洗浄用ノズル700を含んで構成される。
【0024】
水電解部100には、水の供給源20から原料水が供給される。水電解部100は、オゾン水又はオゾンと過酸化水素が共存する促進酸化水を生成する。
【0025】
気液混合部200には、水電解部100で生成されたオゾン水又は促進酸化水が流入される。気液混合部200は、オゾンガスを水中に溶解させて溶存オゾン濃度が高められたオゾン水又は促進酸化水を流出する。
【0026】
水電解部100と、気液混合部200は、WO/2020/171238に記載された構成のものを使用することができる。水電解部100と、気液混合部200は、筐体250内に設けられている。水電解部100と、気液混合部200と、筐体250によって水電解装置10が構成される。
【0027】
筐体250には、原料水が流入される流入口251と、生成されたオゾン水又は促進酸化水が流出される流出口252が設けられている。
【0028】
流入口251と流出口252は、筐体250の軸方向の両端部それぞれに設けられている。
【0029】
水の供給源20から入口配管21を介して原料水が水電解装置20の流入口251に供給される。水の供給源20は、例えば水道の蛇口である。
【0030】
水電解部100は、筐体250の軸方向に沿って、流入口251から流出口252に向けて、陰極105、陰極側メッシュ電極104、高分子電解質膜103、陽極側メッシュ電極102、陽極101が厚み方向に重ねられ配置されて、構成されている。
【0031】
流入口251に流入された原料水は、陰極105、陰極側メッシュ電極104、高分子電解質膜103、陽極側メッシュ電極102それぞれの中心又は略中心に形成された内側開口106に流れ込む。そして原料水は、内側開口106から陽極側メッシュ電極102及び陰極側メッシュ電極104の径方向に流れ、陽極側メッシュ電極102及び陰極側メッシュ電極104それぞれの電極面に対して水平な流れを形成する。
【0032】
陽極側メッシュ電極102では、水電解によって発生したオゾン、酸素等のガス及び過酸化水素が原料水に溶解される。陰極側メッシュ電極104では水電解によって発生した水素ガス、過酸化水素等が原料水に溶解される、
【0033】
陽極側メッシュ電極102及び陰極側メッシュ電極104の外周からオゾン水又はオゾンと過酸化水素が共存する促進酸化水が排出される。
【0034】
例えば、オゾン水を生成したい場合には、陽極側メッシュ電極102としてプラチナ(Pt)等の金属やPbO2等の金属酸化物のメッシュを使うことができる。また、オゾンと過酸化水素が共存する促進酸化水を生成する場合には、ボロンドープダイヤモンド(BDD)粉を担持したメッシュ電極を使うことができる。
【0035】
筐体251内にあって水電解部100と流出口252の間には、気液混合器200が配置されている。
【0036】
気液混合器200は、筐体250の軸方向に間隔をあけて設けられ、筐体250内を軸方向に仕切る複数の仕切り部材201を備えている。複数の仕切り部材201は、平織りあるいは綾織りのメッシュ、エキスパンドメタル、複数の貫通孔が形成された板状部材等を用いることができる。
【0037】
筐体250の軸方向に隣接する仕切部材201、201間の空間には、保持部材202が配置されている。
【0038】
水電解部100の陽極側メッシュ電極102及び陰極側メッシュ電極104の外周から排出されたオゾン水又は促進酸化水は、気液混合器200に流入される。
【0039】
気液混合器200に流入された流体は、仕切部材201の面に対して垂直方向に流れる。
【0040】
複数の仕切部材201それぞれを流体が通過する毎に流体へのオゾンガスの吸収が行われ、オゾンガスと水との混合が促進され、高効率にオゾンガスが水に溶解する。
【0041】
気液混合器200で高効率にオゾンガスが溶解されたオゾン水又は促進酸化水は、流出口252から出口配管22に流出される。
【0042】
高効率にオゾンガスが溶解されたオゾン水又は促進酸化水は、強力な酸化力を有しており、配管内の洗浄、消毒、脱臭に適している。特に促進酸化水は、過酸化水素の存在により、OHラジカル(フッ素に次ぐ強力な酸化力を有する)を生成する反応が効率良く進行し、溶存オゾン濃度が同濃度のオゾン水よりも2~5倍のOHラジカルを生成する。このため促進酸化水は、溶存オゾン濃度が同濃度のオゾン水よりも高い酸化力を有し、配管内の洗浄、消毒、脱臭の効果が高い。
【0043】
また酸素ガス及びオゾンガスは、気液混合器200でほぼ全て水中に溶解(オゾンガスは99.9%以上水に溶解)している。このため人体に有害な気相のオゾンガスは、気液混合器200及び出口配管22から放散しない。
【0044】
出口配管22はタンク300に連通している。タンク300は、水電解装置20の流出口252、出口配管22を介して供給されるオゾン水又は促進酸化水を貯留する。
【0045】
ポンプ400は、エンジン450によって駆動される。ポンプ400は、タンク300内に貯留されたオゾン水又は促進酸化水を吸込み配管310を介して吸い込み、所定の高圧力、例えば100~130kg/cmで吐出する。
【0046】
ポンプ400の吐出口401は、給水ホース550を介して、ホース500に連通している。ホース500の先端には旋回洗浄用ノズル700が取り付けられている。
【0047】
送り出し・回転部600は、ホース収容回転体620を回転させることによりホース収容回転体620を収容されたホース500を、ホース送り出し口621を介してホース送り・戻し部650から送り出すと共に回転させる。送り出し・回転部600は、実公昭56-36856号公報に記載された構成のものを使用することができる。
【0048】
送り出し・回転部600によるホース500の送り出しと回転は手動で行ってもよく自動的に行ってもよい。例えばホース500の正回転・逆回転の設定、回転速度(回転/分)を設定し、送り出し量(mm/回転)を調整し、モータ630を作動させて、所望する回転速度、送り出し量でホース500を自動的に回転させつつ前進(又は後退)させることができる。
【0049】
旋回洗浄用ノズル700は、特許3223974号公報に記載された構成のものに改良を加えた構成のものを使用することができる。
【0050】
旋回洗浄用ノズル700には、配管30の内壁に向けてオゾン水又は促進酸化水を噴射する複数の噴射孔701~704が開口されている。
【0051】
旋回洗浄用ノズル700は、送り出し・回転部600によって、ホース500の回転に応じて複数の噴射孔701~704の内特定の噴射孔701が常時管内周面と対向しながら配管30の内周面に沿って螺旋状に旋回すると共に、ホース500の送り出しに応じて配管30の軸方向に沿って進行するように構成されている。
【0052】
例えば回転速度(回転/分)を90(枝管などの管内径の小さい配管洗浄時)~140 (立本管などの管内径の大きい配管洗浄時)の範囲で設定可能とし、送り出し量を30~40(mm/回転)の範囲で調整可能とする。これにより1分間に2.7~5.6mの距離を旋回洗浄用ノズル700で自動的に旋回洗浄することができる。
【0053】
旋回洗浄用ノズル700の先端には、自在ガイド750が連結されている。自在ガイド750は、特公平06-030744号公報に記載された構成のものを使用することができる。
【0054】
図2は、送り出し・回転部600の構成例を示す図で、送り出し・回転部600を上面からみた図である。
【0055】
送り出し・回転部600は、機枠610と、機枠610に回転自在に支承され、ホース500が収容されたホース収容回転体620と、ホース収容回転体620を回転させる電動モータ630と、ホース500の正回転・逆回転の設定及び回転速度(回転/分)の設定を行うスイッチ641、642が設けられた設定部640と、ホース収容回転体620の回転に応じてホース500の送り又は戻しを自動的に行うホース送り・戻し部650を含んで構成される。
【0056】
ホース収容回転体620には、ホース500がホース送り出し口621から送り出し可能に収容されている。ホース500は、ホース収容回転体620のホース送り出し口621を介してホース送り・戻し部650に、送り出し又は戻しが自在に挿通されている。
【0057】
またホース収容回転体620のホース送り出し口621とは反対側には、給水ホース550の端部が連結されている。給水ホース550は、ホース収容回転体620の内部でホース500に連通している。
【0058】
ここでホース500がホース送り出し口621から外側に送り出される方向を「ホース送り方向」という。またホース500がホース取り出し口621の内側に戻される方向を「ホース戻し方向」という。
【0059】
ホース送り・戻し部650の構成を図3図4に示す。図3は、ホース送り・戻し部650の筐体651の留め具652を外して筐体651の内部を上面からみた図で、図4は、ホース送り・戻し部650によるホース500の送り出しを説明する図である。
【0060】
筐体651は、上留め具652Bの下留め具652Aへの装着及び上留め具652Bの下留め具652Aからの脱着によって、下部箱体651Aへの上部箱体651Bの装着及び脱着が自在となっている。下部箱体651A及び上部箱体651Bには、ホース500が挿通される断面半円形状の挿通溝部653が形成されている。下部箱体651Aは断面V字状に形成された左右斜め座面651L、651Rを備えている。
【0061】
下部左ローラ661、下部右ローラ662はそれぞれ、ローラ回転中心軸L1、L2周りに回動自在に、かつローラ回転中心軸L1、L2の方向が調整具671、672によって調整可能に下部箱体651Aの左右斜め座面651L、651Rに固定されている。
【0062】
上部ローラ663は、ローラ回転中心軸L3周りに回動自在に 、かつローラ回転中心軸L3の方向が調整具673によって調整可能に上部箱体651Bの座面の中央位置に固定されている。
【0063】
下部左ローラ661、下部右ローラ662及び上部ローラ663はそれぞれ、略糸巻き形状に形成されており、縦断面でみて両端部から中央に向けて凹むテーパ形状に形成されている。
【0064】
留め具652によって、下部箱体651Aに上部箱体651Bが装着されると、下部左ローラ661、下部右ローラ662及び上部ローラ663によってホース500が圧接される。下部左ローラ661、下部右ローラ662はそれぞれ、ホース500の左右下面を圧接し、上部ローラ663は、ホース500の上面を圧接する。
【0065】
これによりホース500が右回転すると、下部左ローラ661、下部右ローラ662及び上部ローラ663は、ホース500を「ホース送り方向」に移動させる方向に回転する。またホース500が左回転すると、下部左ローラ661、下部右ローラ662及び上部ローラ663は、ホース500を「ホース戻し方向」に移動させる方向に回転する。
【0066】
上部ローラ663のローラ回転中心軸L3に対する上部左ローラ661及び下部右ローラ662ローラ回転中心軸L1、L2の姿勢角の変化に応じて、ホース500の1回転当たりのホース500の軸方向の移動量としての送り出し量(mm/回転)を例えば30~40(mm/回転)の範囲で調整することができる。送り出し量(mm/回転)の調整は調整具671、672、673によって行うことができる。調整部673で上部ローラ663のローラ回転中心軸L3を変化させることで簡単に送り出し量(mm/回転)を変化させることができる。またホース500の左右下面が下部左ローラ661、下部右ローラ662に圧接されホース500の上面が上部ローラ663に圧接されながらホース500が送り出される。このため、ホース500の各ローラ661~663との接触面積が極めて大きく、安定してホース500を送り出すことができる。
【0067】
ホース500は、洗浄対象となる各種タイプの配管の内最も小さい管内径よりも小さい径を有し、各種タイプの配管内に挿入及び配管内からの引き戻しが自在となっている。
【0068】
同様に旋回洗浄用ノズル700は、洗浄対象となる各種タイプの配管の内最も小さい管内径よりも小さい径を有し、各種タイプの配管内への挿入及び各種タイプの配管からの引き出しが自在となっている。
【0069】
洗浄対象の配管は、内径が概ね40mm(枝管などの管内径の小さい配管)から400mm(立本管などの管内径の大きい配管)の範囲で管径が異なる各種タイプがある。
【0070】
ホース500及び旋回洗浄用ノズル700は、外径が40mmよりも小さい径にされ、最も管内径が小さい40mmの配管内を進行できるように設計されている。
【0071】
図5は、旋回洗浄用ノズル700の構成を示す縦断面図である。図6は、旋回洗浄用ノズル700の構成を示す横断面図で図6のA-A断面を示す。
【0072】
旋回洗浄用ノズル700は、例えば送り出し・回転部600によってホース500を回転速度90~140(回転/分)で回転させると、配管30内を、特定の噴射孔701のみが常時管内周面と対向するように螺旋状に旋回速度90~140(回転/分)で旋回する。また旋回洗浄用ノズル700は、ホース送り・戻し部650によってホース500を送り出し量30~40(mm/回転)で送り出すと、配管30内を、進行速度2.7~5.6(m/分)で進行する。
【0073】
旋回洗浄用ノズル700の複数の噴射孔701~704の内特定の噴射孔701は、他の噴射孔702~704の径よりも大きい径に形成されている。ここで噴射孔703は、旋回洗浄用ノズル700の横断面でみて特定の噴射孔701の反対側の中央に位置する噴射孔であり、同じく噴射孔702、704はそれぞれ、特定の噴射孔701の反対側の左右に位置する噴射孔である。
【0074】
特定の噴射孔701の径は、例えば2.4mmであり、他の噴射孔702、703、704の径はそれぞれ、例えば1mm、1.2mm、1mmである。1mm径の噴射孔が6個形成された洗浄用ノズルを比較例として比較すると、同じ圧力(例えば100kg/cm)の洗浄水をノズルに供給した場合、旋回洗浄用ノズル700から噴射される洗浄水による洗浄力(衝撃力)は、比較例の洗浄用ノズルの約5.7倍となる。
【0075】
噴射孔701、702、704は、旋回洗浄用ノズル700の斜め後方に開口され、噴射孔703は、旋回洗浄用ノズル700の斜め前方に開口されている。
【0076】
旋回洗浄用ノズル700の長手方向の軸線に対して特定の噴射孔701の軸線がなす噴射角度αは、旋回洗浄用ノズル700の軸線に対して他の噴射孔702、703、704の軸線がなす噴射角度β1、β2、β3よりも小さい鋭角に形成されている。
【0077】
ここで上記噴射角度α、β1、β2、β3は、旋回洗浄用ノズル700の進行方向前方の空気の流れを遮断して管内に負圧を発生させることがない大きさに設定されている。しかも上記噴射角度α、β1、β2、β3は、旋回洗浄用ノズル700に推進力を与え前進させることができる大きさに設定されることが望ましい。
【0078】
特定の噴射孔701の噴射角度αは、例えば15度に設定され、噴射孔702、704の噴射角度β1、β3は、60度~70度に設定され、噴射孔703の噴射角度β2は、135度に設定される。噴射孔703は旋回洗浄用ノズル700のノズル前方に傾斜しているためノズル前方に噴射孔703を介して噴射水を供給することができる。このため旋回洗浄用ノズル700の前方の奥まった箇所あるいは封水が不足しているUトラップに噴射水を供給して、ノズル前方の奥まった箇所の洗浄を行ったり、水量が不足しているUトラップに封水を満たすことができる。
【0079】
(配管洗浄方法)
【0080】
以下、配管洗浄装置1を使用して配管内を洗浄する配管洗浄方法について説明する。
【0081】
水電解装置20で促進酸化水が生成される場合について説明する。
【0082】
図7A図7Bは、洗浄対象の配管の構成例を示す図である。
【0083】
洗浄対象の配管30は、各階の横枝管32A(上階)、32B(下階)及び横枝管32A、32Bに連通する立本管33である。掃除口31A、31Bに旋回洗浄用ノズル700を挿入して配管30を洗浄する場合を例にとり説明する。
【0084】
まず水の供給源20から入口配管21を介して原料水を水電解装置20の流入口251に供給する。これにより水電解装置20の流出口252から出口配管22を介してタンク300に促進酸化水が供給される。タンク300には、促進酸化水が貯留される。
【0085】
一方、送り出し・回転部600を作動させて、ホース送り・戻し部650からホース500を送り出して旋回洗浄用ノズル700を、掃除口31A内に挿入する。
【0086】
そしてタンク300内に貯留された促進酸化水の液位が所定の液位に達した時点でポンプ400を作動させると共に、送り出し・回転部600を作動させてホース500を回転させながら送り出す。
【0087】
これにより旋回洗浄用ノズル700は、特定の噴射孔701のみが常時管内周面と対向するように螺旋状に旋回速度90~140(回転/分)で旋回しながら、進行速度2.7~5.6(m/分)で配管30内を進行する。旋回洗浄用ノズル700が旋回しながら配管30内を進行している間、大きな開口面積の特定の噴射孔701から常時管内周面に向けてオゾン水よりも高い酸化力を有する促進酸化水が、比較例の洗浄用ノズルの約5.7倍の洗浄力(衝撃力)をもって噴射される。このため配管30内の管内付着物が効率良く粉砕剥離される。また配管30内の洗浄、消毒、脱臭が強力にかつ効果的に行われる。
【0088】
促進酸化水を旋回洗浄用ノズル700の各噴射孔701~704から噴射させている間は、供給源20から原料水を供給してタンク300に貯留される促進酸化水の液位を維持するようにする。具体的には、促進酸化水を旋回洗浄用ノズル700の各噴射孔701~704から噴射させている間は、タンク300に貯留される促進酸化水の液位が所定範囲内に入るように、供給源20からタンク300に供給される原料水の流量を手動で調整する。
【0089】
これにより配管洗浄作業中は常にタンク300に貯留される促進酸化水の液位が所定範囲内に維持され、促進酸化水を用いた配管洗浄作業を中断することなく継続して行うことができる。
【0090】
一方で、促進酸化水中の溶存オゾン濃度が所望する濃度、例えば0.5~1.0mg/Lの範囲内の目標値に維持されるように水電解部100における水電解が調整される。具体的には水電解装置100の陽極101、陰極105間に流れる電流を調整して、促進酸化水中の溶存オゾン濃度を例えば1.0mg/Lに制御する。
【0091】
水電解部100で発生したオゾンガスは気液混合部200で全て水中に溶解しており、気相のオゾンガスは、気液混合器200及び出口配管22から発生することがない。このため、促進酸化水中の溶存オゾン濃度の目標値(例えば1.0mg/L)を定め、溶存オゾン濃度の目標値(例えば1.0mg/L)が得られるように水電解装置100の陽極101、陰極105間に流れる電流を調整しさえすれば、タンク300内の貯留された促進酸化水中の溶存オゾン濃度は電流に応じた目標値(例えば1.0mg/L)に維持される。
【0092】
実施形態によれば、水電解部100の陽極101、陰極105間に流れる電流を調整するだけで所望する任意の溶存オゾン濃度の促進酸化水を旋回洗浄用ノズル700の各噴射孔701~704から噴射して配管内の洗浄、消毒、脱臭を強力かつ効果的に行うことができる。また気液混合器100に供給した全てのガスが水に溶けるため、タンク300内で実際にオゾンがどの程度水中に溶存しているかを検出して溶存濃度を制御する装置を省略することができる。例えば実際の溶存オゾン濃度を検出し、目標溶存オゾン濃度と実際の溶存オゾン濃度との偏差をなくすように調整する濃度制御装置を省略することができる。
【0093】
また気相オゾンフリーであるため、気相オゾンを処理するための排ガス処理装置が不要となる。このため従来の配管洗浄装置と比較して配管洗浄装置を小型化することができる。
【0094】
またタンク300から旋回洗浄用ノズル700に、一定の溶存オゾン濃度の促進酸化水が安定して供給されるため、配管洗浄作業中、旋回洗浄用ノズル700から、ばらつきのない一定の溶存オゾン濃度の促進酸化水を噴射することができる。
【0095】
また促進酸化水は、溶存オゾンが同濃度のオゾン水よりも強い酸化力を有しているため、オゾン水と同等の洗浄、殺菌、脱臭の効果を得るために少ない溶存オゾン濃度で済むという利点がある。溶存オゾン濃度が0.5~1.0mg/Lという従来よりも低い濃度であっても同等以上の洗浄、殺菌、脱臭能力が得られる。
【0096】
また配管内洗浄作業を行っている間に気相オゾンが生成されることがなく安全性が向上する。すなわち酸素ガス及びオゾンガスは、気液混合器200でほぼ全て水中に溶解(オゾンガスは99.9%以上水に溶解)している。このため人体に有害な気相のオゾンガスは、気液混合器200及び出口配管22から放散せず、気相オゾンフリーで安全性は極めて高い。
【0097】
また原料水としてお湯を使用し、オゾン水又は促進酸化水を高温、例えば40℃にしたものを旋回洗浄用ノズル700に供給して、配管30の洗浄を行った場合にも、気相オゾンフリーであり安全性が高いことが確かめられている。
【0098】
さらに配管洗浄作業中のオゾン臭が極めて抑制されるため、作業者等に不快感を与えることなく作業を進めることができる。
【0099】
なお、水電解部100で促進酸化水を生成する代わりにオゾン水を生成して旋回洗浄用ノズル700の各噴射孔701~704からオゾン水を噴射することによって配管30内の洗浄、消毒、脱臭を行う実施も可能である。
【0100】
促進酸化水を旋回洗浄用ノズル700の各噴射孔701~704から噴射させて配管洗浄作業を行う間に、タンク300に貯留される促進酸化水の液位が所定範囲内に維持されるように液位を自動制御する実施も可能である。
【0101】
図8は、タンク300内の促進酸化水の液位を自動制御する装置の構成を示す。
【0102】
実施形態の自動制御装置800は、検出部810と、調節部820と、制御部830を含んで構成される。
【0103】
検出部810は、タンク300内の促進酸化水の液位を検出する。
【0104】
調節部820は、水の供給源20から入口配管21を介して水電解装置10に供給される原料水の流量を調整する。調節部820は、例えば入口配管21に設けられた流量制御弁821と、流量制御弁821の開口面積を調整するアクチュエータ822を含んで構成される。
【0105】
制御部830は、検出部810で検出されたタンク300内の促進酸化水の液位をフィードバックして、検出した液位が目標範囲H~L内に収まるように、調節部820の流量制御弁22の開口面積を調整する。なお、図8に示す実施形態において、促進酸化水をオゾン水に置換した実施も当然可能である。
【0106】
図9は、タンク300内に検出部810としてのフロートスイッチ811を設けて促進酸化水の液位を自動制御する装置の構成を示す。
【0107】
フロートスイッチ811は、タンク300内に設けられ、タンク300内の促進酸化水の液位が、第1の液位Hに達した際に第1の液位検出信号(オン信号)を出力し、第1の液位Hよりも低い第2の液位Lまで低下した際に第2の液位検出信号(オフ信号)を出力する。
【0108】
制御部830は、フロートスイッチ811から第1の液位検出信号(オン信号)を出力されているときに、気液混合部200からタンク300への促進酸化水の供給を遮断する。また制御部830は、フロートスイッチ811から第2の液位検出信号(オフ信号)が出力されているときに、気液混合部200からタンク300へ促進酸化水を供給する。例えば入口配管21に開閉弁823を設け、フロートスイッチ811のオン/オフに応じて開閉弁823を閉/開することにより、気液混合部200からタンク300への促進酸化水の供給をオフ/オンとすることができる。
【0109】
また、制御部830は、上記した気液混合部200からタンク300への促進酸化水の供給オフ/オンの制御に加え、フロートスイッチ811から第1の液位検出信号(オン信号)を出力されているときに、水電解部100の陽極101、陰極105間に流れる電流をオフ(電源から水電解部100への給電をオフ)にして促進酸化水の生成を停止させ、フロートスイッチ811から第2の液位検出信号(オフ信号)が出力されているときに、水電解部100の陽極101、陰極105間に流れる電流をオン(電源から水電解部100への給電をオン)にして促進酸化水を生成するように、促進酸化水の生成停止/生成を制御してもよい。例えば、陽極101、陰極105間に流れる電流をオン/オフするスイッチ824を設け、フロートスイッチ811のオン/オフに応じてスイッチ824の閉/開を制御する。
【0110】
なお、図9に示す実施形態において、促進酸化水をオゾン水に置換した実施も当然可能である。
【0111】
図7A図7Bを用いて、占有スペースと共有スペースを有する集合住宅に適した洗浄方法について説明する。
【0112】
高層マンション等の集合住宅では、立本管33が開放廊下側に設置され、立本管33の横枝管継手側に、各階の掃除口31A(上階)、31B(下階)が設置されていることがある。すなわち各階の掃除口31A、31Bは共有スペースに設置されている。
【0113】
各階の横枝管32A(上階)、32B(下階)はそれぞれ各階のUトラップ34A、34B、ディスポーザ35A、35B、シンク37A、37Bに連通している。シンク37A、31Bは各階の部屋(占有スペース)に設置されている。
【0114】
(比較例1)
【0115】
Uトラップ34A、34Bには、封水Fが作られている。封水Fは、横枝管32A、32B内の悪臭が、各部屋内に侵入することを防ぐために作られる。
【0116】
配管30内を洗浄するに伴って管内に空気の流れが生じ管内が負圧になると、封水Fが引き込まれ封水Fが破壊することがある。このため配管洗浄作業後に各部屋に入り、シンク37A、31Bに水を流してUトラップ34A、34Bに封水Fを作り直す作業が必要となる。
【0117】
しかし、各部屋の住人が留守等の場合には、部屋に入って封水を作り直す作業を行うことができないという問題があった。
【0118】
(比較例2)
【0119】
階層の集合住宅の配管を洗浄する場合、各階の部屋のシンク37A、31Bから洗浄用ノズルを挿入して、横枝管32A、32Bを介して、各階における立本管33の洗浄対象箇所を下階から上階へ順次洗浄する洗浄方法を採用することがある。
【0120】
このような洗浄方法を採用すると、部屋の住人が留守等の事情により作業者が部屋内に入れず、その階における洗浄作業を実施できないときには、その階における立本管33の洗浄対象箇所の洗浄作業を実施せずに、それより上階における立本管33の洗浄対象箇所の洗浄作業が実施される。
【0121】
しかし、洗浄作業が行われなかった階の立本管33の洗浄対象箇所の管壁には未洗浄の付着物が残っている。この未洗浄の箇所に上階の洗浄により剥離された付着物が落下してきて、管内で詰まりが発生する虞があるという問題があった。
【0122】
(実施例)
【0123】
ステップ1:図7Aに示すように、旋回洗浄用ノズル700を、横枝管32Aの掃除口31Aに挿入して、旋回洗浄用ノズル700を、横枝管32Aの掃除口31Aから横枝管32Aの継手部32AEまで進行させて、横枝管32A内を洗浄する。つぎに旋回洗浄用ノズル700を、横枝管32Aの継手部32AEから立本管33内に挿入して、旋回洗浄用ノズル700を、横枝管32Aの継手部32AEから下の階の横枝管32Bの継手部32BEを通過する箇所まで進行させて、立本管33内を洗浄する。
【0124】
ステップ2:つぎに、図7Bに示すように、旋回洗浄用ノズル700を、横枝管32Aの掃除口31AからUトラップ34Aの手前まで進行させて、横枝管32A内を洗浄する。
【0125】
ここで、旋回洗浄用ノズル700の各噴射孔701、702、703、704それぞれの噴射角度α、β1、β2、β3は、旋回洗浄用ノズル700の進行方向前方の空気の流れを遮断して管内に負圧を発生させることがない大きさに設定されている。
【0126】
このため旋回洗浄用ノズル700の各噴射孔701、702、703、704から噴射される洗浄水の流れによって、進行方向前方の空気の流れが遮断され、管内に負圧が発することがない。このためUトラップ34Aの封水は負圧によって吸引されることなく封水Fが貯留された状態が維持される。また、多少の負圧が発生してUトラップ34Aの封水が多少引き込まれたとしても封水の水量は維持される。すなわち旋回洗浄用ノズル700の噴射孔703は旋回洗浄用ノズル700のノズル前方に傾斜しているためノズル前方に噴射孔703を介して噴射水を供給することができる。このため旋回洗浄用ノズル700の前方の封水が不足しているUトラップ34Aに噴射水を供給して、水量が不足しているUトラップ34Aに封水を満たすことができる。
【0127】
ステップ3:直上の階に移行して、旋回洗浄用ノズル700を、直上の階の横枝管32Aの掃除口31Aに挿入して、ステップ1、ステップ2の処理を同様に繰り返し行う。1階から最上階に至るまで洗浄作業を同様にして実施する。全ての階の洗浄作業をし終えた時点で旋回洗浄作業終了とする。
【0128】
本実施例によれば、階層の集合住宅の各階の横枝管32A内を、管内に負圧を発生させない構成の旋回洗浄用ノズル700を用いて、共有スペースの掃除口31Aから挿入させて洗浄するようにしたので、各階のUトラップ34Aの封水を吸引して封水Fを破壊することがない。またUトラップ34Aの封水を多少吸引したとしてもノズル前方に噴射水を供給してUトラップ34Aに封水を満たすことができる。このため比較例1の問題点が解決される。すなわち各部屋の住人が留守等の場合であっても、部屋に入って封水Fを作り直す作業を行う必要がなくなる。
【0129】
また本実施例によれば、比較例2の問題点が解決される。すなわち共有スペースの掃除口31Aから旋回洗浄用ノズル700を挿入して洗浄するようにしたので、各部屋に入ることなく1階から最上階に至るまで各階毎に順次立本管33内の洗浄対象箇所を洗浄することができる。このため立本管33内で管内付着物が詰まることを回避することができる。
【符号の説明】
【0130】
1 配管洗浄装置
100 水電解部
200 気液混合部
300 タンク
400 ポンプ
500 ホース
600 送り出し・回転部
700 旋回洗浄用ノズル
30 配管
31 掃除用配管
32 横枝管
33 立本管
800 自動制御装置
810 検出部
811 フロートスイッチ
820 調節部
830 制御部
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図8
図9