(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-19
(45)【発行日】2023-05-29
(54)【発明の名称】一般照明におけるフォトバイオモジュレーション(PBM)
(51)【国際特許分類】
H05B 45/10 20200101AFI20230522BHJP
A61N 5/06 20060101ALI20230522BHJP
H05B 45/325 20200101ALI20230522BHJP
H05B 47/115 20200101ALI20230522BHJP
F21K 9/232 20160101ALI20230522BHJP
F21K 9/27 20160101ALI20230522BHJP
F21S 8/04 20060101ALI20230522BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20230522BHJP
【FI】
H05B45/10
A61N5/06 Z
H05B45/325
H05B47/115
F21K9/232
F21K9/27
F21S8/04 100
F21Y115:10
(21)【出願番号】P 2021534300
(86)(22)【出願日】2019-09-18
(86)【国際出願番号】 EP2019074984
(87)【国際公開番号】W WO2020119965
(87)【国際公開日】2020-06-18
【審査請求日】2021-10-14
(32)【優先日】2018-12-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】521258348
【氏名又は名称】シーボロー・ライフ・サイエンス・ビー.ブイ.
【氏名又は名称原語表記】SEABOROUGH LIFE SCIENCE B.V.
【住所又は居所原語表記】Science Park 106,3rd Floor,1098 XG Amsterdam,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100219542
【氏名又は名称】大宅 郁治
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】ホノルト、ユルヘン・エデュアルト
(72)【発明者】
【氏名】デッケル、マルティン・イェルン
【審査官】安食 泰秀
(56)【参考文献】
【文献】特表平09-508031(JP,A)
【文献】特表2017-528878(JP,A)
【文献】特表2008-508918(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0219605(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 45/10
A61N 5/06
H05B 45/325
H05B 47/115
F21K 9/232
F21K 9/27
F21S 8/04
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般照明のための照明装置であって、
一般照明に適した可視光(110)を放出するように適合された光源(11)と、ここで、前記光源は、CIE XYZ色空間中に色点を有する可視光を放出するように適合され、前記色点は、前記色空間中の黒体線に対して10標準偏差カラーマッチング未満の距離を有し、
予め定められたスペクトル中で放射線(100)を放出するように適合された放射源(10)と、ここで、前記予め定められたスペクトルが760から1400nmの範囲にあり、
パルス化された第1の駆動電流(101)を供給するように適合された駆動回路(12)とを備え、
前記照明装置は、前記第1の駆動電流(101)を前記放射源(10)に提供するが前記光源(11)には提供しないように適合され、
使用する際、前記光源(11)は、少なくとも250ルーメン、好ましくは少なくとも1000ルーメン、より好ましくは少なくとも2000ルーメンを放出することが可能である、照明装置。
【請求項2】
前記照明装置は、前記第1の駆動電流とは異なる第2の駆動電流(111)を前記光源(11)に提供するように適合され、前記第2の駆動電流は、直流、または交流、または20000Hzから300000Hzの範囲のパルス周波数を有するパルス幅変調電流である、請求項1に記載の照明装置。
【請求項3】
前記駆動回路は第1の駆動回路(12)であり、前記照明装置は、前記第2の駆動電流を提供するように適合された第2の駆動回路(13)をさらに備える、請求項2に記載の照明装置。
【請求項4】
前記第1の駆動電流(101)のパルスのパルス持続時間は、0.05から500ms、好ましくは1から100ms、より好ましくは1から20msの範囲内である、請求項1から3のいずれか一項に記載の照明装置。
【請求項5】
前記第1の駆動電流(101)
のパルス周波数は、0.01から10000Hz、好ましくは約0.1から2500Hz、より好ましくは約1から160Hzの範囲内である、請求項1から4のいずれか一項に記載の照明装置。
【請求項6】
前記第1の駆動電流(101)は、20%以下、好ましくは10%以下、より好ましくは5%以下のデューティサイクルを有する、請求項1から5のいずれか一項に記載の照明装置。
【請求項7】
前記放射源(10)は、高められた許容駆動電流で動作するように適合され、または、前記パルス持続時間、前記パルス周波数、および前記デューティサイクルのうちの少なくとも1つは、前記第1の駆動電流(101)が高められた許容駆動電流で前記放射源(10)を駆動することを可能にするように選択される、
請求項4を引用する請求項5を引用する請求項6に記載の照明装置。
【請求項8】
前記予め定められたスペクトルは、可視スペクトルを含まない、請求項1から7のうちのいずれか一項に記載の照明装置。
【請求項9】
前記予め定められたスペクトルは、800から1100nmの範囲内、好ましくは800から870nmの範囲内であり、または前記予め定められたスペクトルは、800から1100nmの範囲内であり、830、980および/または1060nm付近にピーク放出を有し、または前記予め定められたスペクトルは、800から870nmの範囲内であり、820から850nmの範囲内にピーク放出を有する、請求項1から8のいずれか一項に記載の照明装置。
【請求項10】
前記パルス化された第1の駆動電流(101)によって励起された前記放射源(10)によって放出される前記放射線のピーク放出強度は、少なくとも25W、好ましくは少なくとも100W、より好ましくは少なくとも200W、さらにより好ましくは少なくとも500Wである、請求項1から9のいずれか一項に記載の照明装置。
【請求項11】
前記パルス化された第1の駆動電流を受け取る前記放射源(10)のピーク放出強度が、前記放射源から0.2から5mの共通平均距離で、好ましくは前記放射源から0.5から3mの共通平均距離で、より好ましくは約2mの共通平均距離で、測定して、0.4から50mW/cm
2、好ましくは5から15mW/cm
2の出力密度を可能にし、または、前記パルス化された第1の駆動電流を受け取る前記放射源のピーク放出強度が、照明装置の照度が約500ルクスである距離で測定される、0.4から50mW/cm
2、好ましくは5から15mW/cm
2の出力密度を可能にする、請求項1から10のいずれか一項に記載の照明装置。
【請求項12】
前記パルス化された第1の駆動電流(101)を受け取る前記放射源(10)は、前記放射源からの共通の平均距離において測定される0.01から5J/cm
2の線量を送達するように構成され、前記放射源からの前記共通の平均距離は、好ましくは0.2から5mであり、好ましくは前記放射源からの0.5から3mの共通の平均距離であり、より好ましくは約2mの共通の平均距離であり、または、前記パルス化された第1の駆動電流を受け取る前記放射源は、前記照明装置の照度が約500ルクスである距離において測定される0.01から5J/cm
2の線量を送達するように構成される、請求項1から11のいずれか一項に記載の照明装置。
【請求項13】
使用中の前記放射源(10)が、50W RMS未満、好ましくは25W RMS未満、より好ましくは10W RMS未満の電力を消費するか、または、使用中の前記放射源が、10W RMS未満、任意選択的に2W RMS未満、任意選択的に0.5W RMS未満の、照射面の1平方メートル当たりの電力を消費する、請求項1から12のいずれか一項に記載の照明装置。
【請求項14】
前記放射源(10)は、ソリッドステートデバイス、好ましくはLED、より好ましくは2つ以上のLEDを含み、または前記光源は、ソリッドステートデバイス、好ましくはLED、より好ましくはフリップチップLEDを含む、請求項1から13のいずれか一項に記載の照明装置。
【請求項15】
前記照明装置は、前記光源が使用されているときに40%より多くの%-フリッカを有さない、好ましくは、前記光源が使用されているときに20%より多くの%-フリッカを有さない、光束を有する前記光源(11)から可視光(110)を生成するように適合される、請求項1から14のいずれか一項に記載の照明装置。
【請求項16】
前記光源(11)からの可視光(10)の相関色温度は、1700から6500Kの範囲内、好ましくは2400から5500Kの範囲内であり、または前記光源(11)は、120W未満、好ましくは80W未満、より好ましくは30W未満の電力を消費する、請求項1から15のいずれか一項に記載の照明装置。
【請求項17】
前記照明装置が使用されているときに前記光源(11)によって消費される電力に対する前記放射源(10)によって消費される電力の比は、50%以下、好ましくは25%以下、より好ましくは10%以下、さらにより好ましくは5%以下である、請求項1から16のいずれか一項に記載の照明装置。
【請求項18】
前記色点は、前記色空間中の前記黒体線に対して、8標準偏差カラーマッチング未満、好ましくは7標準偏差カラーマッチング未満、より好ましくは6標準偏差カラーマッチング未満、さらにより好ましくは5標準偏差カラーマッチング未満の距離を有する、請求項1から17のいずれか一項に記載の照明装置。
【請求項19】
前記駆動回路は、前記駆動回路への入力に応答して前記第1の駆動電流(101)を修正するように適合される、請求項1から18のいずれか一項に記載の照明装置。
【請求項20】
照明方法において、
一般照明に適した可視光(110)を放出するように適合された光源(11)を提供することと、ここで、前記光源は、CIE XYZ色空間中に色点を有する可視光を放出することが可能であり、前記色点は、前記色空間中の黒体線に対して10標準偏差カラーマッチング未満の距離を有し、
予め定められたスペクトルの放射線(100)を放出するように適合された放射源(10)を提供することと、ここで、前記予め定められたスペクトルは760から1400nmの範囲であり、
前記予め定められたスペクトルの前記放射線(100)を生成するように、パルス化された第1の駆動電流(100)を前記放射源(10)に供給することとを含み、
ここで、前記第1の駆動電流(100)は、前記光源に供給されず、
使用する際、前記光源(11)は、少なくとも250ルーメン、好ましくは少なくとも1000ルーメン、より好ましくは少なくとも2000ルーメンを放出することが可能である、方法。
【請求項21】
請求項1から19のいずれか一項に記載の照明装置を備える、一般照明のためのランプ(2c)。
【請求項22】
請求項1から19のいずれか一項に記載の照明装置を備える、一般照明のためのレトロフィット電球(2a)。
【請求項23】
請求項1から19のいずれか一項に記載の照明装置を備える、一般照明のためのレトロフィットライトチューブ(2b)。
【請求項24】
請求項1から19のいずれか一項に記載の照明装置を備える、一般照明のための照明器具(2d)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本発明は、一般に照明に関し、より詳細には、フォトバイオモジュレーション(PBM)応答を誘発するのに十分な非可視スペクトルの放射線を送達する照明装置、照明システム、および照明装置を提供する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
[0002]フォトバイオモジュレーション(PBM)は、生物学的または生化学的応答を誘発するために、あるエネルギー/電力レベルで生体を照射することを含む。照射は、赤色光などの可視スペクトル、または赤外線(IR)などの非可視スペクトルであってもよい。身体的および精神的症状を治療するためにPBM療法を用いることの医学的利益について、かなりの量の研究がなされている。
【0003】
[0003]しかしながら、PBM放射線を管理する機器の大部分は、非常に限られた数の医療施設でのみ利用可能である専用デバイスである。さらに、これらの特殊なデバイスはしばしば非常に複雑であるため、十分に訓練された医師、看護師および技術者のチームのみがそれらを使用することができる。これらの要因は、一般大衆内でのPBMの医学的利益の広がりを大きく制限する。
【0004】
[0004]したがって、現在利用可能な装置および方法の上述の欠点を克服する必要がある。
【発明の概要】
【0005】
[0005]使用が容易であり、エネルギー効率が良く、費用対効果が高く、しかもPBM応答を誘発するのに十分な量の放射線を放出する装置を提供することが望ましいであろう。
【0006】
[0006]本開示の第1の態様にしたがうと、照明装置が提供される。照明装置は、光源、放射源および駆動回路を備えていてもよい。光源は可視光を放出するように適合されてもよい。実施形態では、光源は、CIE XYZ色空間中に色点を有する可視光を放出することが可能であってもよく、色点は、前記色空間中の黒体線に対して10標準偏差カラーマッチング(SDCM)未満の距離を有する。放射源は、予め定められたスペクトルで放出するように構成されてもよい。実施形態では、予め定められたスペクトルは、赤外線帯域内または約760から1400nmの範囲内であってもよい。予め定められたスペクトルは、不可視スペクトルを含んでもよい。駆動回路は、第1の駆動電流を提供するように適合されてもよい。第1の駆動電流はパルス化されてもよく、20%以下のデューティサイクルを有してもよい。照明装置は、第1の駆動電流を放射源に提供するが、光源には提供しないように適合されてもよい。
【0007】
[0007]従来の光源は、人においてPBM応答を誘発することができる帯域中のいくらかの放射線を既に放出している。例えば、一般的な白熱電球の発光スペクトルは、少量の赤色および近赤外光を含み、これらの帯域のうちの2つは、PBM応答を誘発する能力に関係づけられている。
【0008】
[0008]しかしながら、医学研究は、対象においてPBM応答を誘発することができる前に、放射線がPBM誘発光スペクトル内で、ある最小量の出力密度(単位面積当たりの光電力で測定される)および線量(単位面積当たりのエネルギーで測定される)を、放射線が達成する必要があることを示している。
【0009】
[0009]本開示における「光」という単語の意味が可視光のみに限定されないことに留意されたい。本開示における「光」という単語は、可視光スペクトルの外側の電磁放射を含んでいてもよい。同様に、「光電力」などの用語は、可視光の電力に限定されないことにも留意されたい。
【0010】
[0010]本発明者は、PBM分野における研究文献の分析から明らかになった驚くべき効果に気付いた:光誘起生物学的または生化学的応答は、同じエネルギー密度または線量(単位面積当たりのエネルギー)が送達されているにもかかわらず、出力密度にわたって変動できる。言い換えれば、電力と時間(および出力密度と時間)の積のみを目標とすることは不十分であるかもしれず;電力(密度)と時間の適切な組合せが問題となる。PBM応答を誘発するためには、たとえ短時間であっても十分な出力密度が必要である。閾値よりも低い出力密度で同じ量のエネルギーを達成するために経時的に放射線を拡散させることは、PBM応答を全く誘発しないか、最大でも限定されたPBM応答を誘発してもよい。すなわち、照射時間を長くしても、出力密度不足を解消することは困難である。
【0011】
[0011]本発明者は、PBM誘起光スペクトルにおけるある距離において十分な出力密度を提供することができるレベルで白熱電球などの従来の光源を駆動することは、過剰な量の電力を必要とするという問題を認識した。この問題は、少なくとも白熱電球が典型的には常に点灯しているという事実から生じる。PBM誘発光スペクトルにおいて十分な出力密度を提供するために白熱電球を駆動することは、一般照明のための光源として現在期待されているよりも少なくとも1桁多い電力を消費するであろう。
【0012】
[0012]本発明者は、ソリッドステート照明(SSL)テクノロジーなどの他の光源における最近の進歩が、白熱電球の欠点を改善することがあることを認識している。SSLテクノロジーからの照明デバイス(発光ダイオード(LED)が一例である)は、より低い熱放出およびより狭い発光帯域を有し、より高いエネルギー効率に寄与する。SSLデバイスはまた、より正確に制御された発光帯域を可能にし、所望の発光帯域における効率的な電力割り振りを可能にする。より重要なことに、SSLデバイスは、駆動信号および/または制御信号に迅速に反応することができる。換言すれば、SSLデバイスによるタイミング制御は、熱エミッタであり熱慣性を有する白熱またはハロゲン電球のような他のタイプの光源と比較して非常に正確である。別の言い方をすれば、SSLデバイスは、無視できる遅延で信号を制御および/または駆動するためのほぼ即時の反応を可能にし、それらを高速パルス化に適したものにする。
【0013】
[0013]しかしながら、本発明者はまた、現在のSSLデバイス単独では依然として、PBM誘発帯域内で必要な量の出力密度および線量を送達することができないことを認識している。例えば、蛍光管の代わりにLEDデバイスを備えた長さ150cmの例えばT8またはT5タイプの線形ランプが180度にわたって均一な光分布を有すると仮定する。ランプからの距離r=2mにおいて、2mの距離における理論上の光分布を表す理論上の半円筒の表面は、A=Πrh=~10m2である。線形ランプが、所望の光スペクトルにおいて1Wの総出力電力で経時的に実質的に一定の放射線を放出するLEDデバイスを備えると仮定すると、ランプから2mの平均距離における平均出力密度は、約10μW/cm2(0.1W/m2)であり、これは、最近の医学研究によって提案された必要最小出力密度、例えば1から50mW/cm2よりも数桁小さい。この差は数桁であるので、LEDデバイスが経時的に実質的に一定の放射線を放出し続けるようにし、対応する桁だけ総放出ワット数を増加させることは、非実用的であり、経済的に許容できない可能性が非常に高いことに留意されたい。
【0014】
[0014]本発明者は、現在のSSLデバイスの物理的能力内で必要な量の出力密度を達成する別の可能性を認識している。LEDなどのSSLデバイスを、連続波(「CW」と略すことができ、非パルスを意味する)またはほぼ連続波の信号の代わりにパルスで駆動することによって、同じ量の電力を消費しながら、SSLデバイスによって放出されるピーク電力をパルスのデューティサイクルの逆の係数だけブーストすることが可能である。言い換えれば、パルス発光を有するSSLデバイスは、連続波(CW)発光を有する同じデバイスよりもはるかに高いピーク放出強度を達成することができる。別の言い方をすれば、本発明者は、限られた量の電力を効率的に利用して、必要な量の(短期間の)電力を有する放射線を放出するためのパルス化の能力を認識した。換言すれば、本発明者は、SSLデバイスなどの狭帯域放出デバイスは、限られた量の電力を所望のスペクトルのみに集中させることを可能にするが、そのような狭帯域放出デバイスをパルス化することは、利用可能な電力を短い持続時間に集中させて、そのようなデバイスが、高い電力閾値を通過する放射線を放出することを可能にすることをさらに可能にすることを認識した。パルス化の別の利点は、放出デバイスがパルス間で冷却できることである。これは、放出デバイスのサーマルバジェットを軽減することができ、例えば、より小さい駆動回路、およびより小さくより低コストのSSLデバイス(すなわち、より少ないエピタキシャル材料および/またはより小さいダイ表面を有する)の使用を可能にすることができる。コスト削減は、所定量のPBM誘発放射線を提供する照明装置において、より小さくより安価なSSLデバイスを使用すること、および/またはより少ない数のSSLデバイスを使用することからもたらされることができる。より緩和されサーマルバジェットはまた、放出デバイスを収容するハウジングのサイズおよび任意の関係付けられた冷却デバイスのサイズを低減できる。
【0015】
[0015]例えば、放出源から2mの距離で光の8mW/cm2の出力密度を可能にするために、850nmの光のピーク波長を有する500Wの光電力放出が必要であると仮定する。500W連続波エミッタを使用する(すなわち、経時的に実質的に一定の電力で非パルス波を放出する)代わりに、放出源から2mの距離における8mW/cm2の目標出力密度もまた、より低い電力消費を伴うパルス500Wエミッタによって達成されることができる。例えば、放出された放射線が1Hzのパルス周波数および2msのパルス持続時間(すなわち、0.2%のデューティサイクル)でパルス化される場合(または、放射線を放出するようにエミッタが駆動される場合)、電力消費は、連続波放出と比較して500倍低くなる。パルスモードにおける平均光電力は、放射線が1/500秒の間存在するので、500Wではなく1Wとなる。パルス周波数およびパルス持続時間でパルス化することによって平均光電力放出が500分の1に減少するので、電力消費も同じ500分の1に低下する(パルスモード電子駆動ユニットおよびエミッタと比較して連続波電子駆動ユニットおよびエミッタの効率が同様であると仮定する)。
【0016】
[0016]放射源をパルス化することのコスト削減の利点について、ここでさらに詳述する。発光ダイオードなどのいくつかのタイプの放射源の最大駆動電流は、熱要件によって制約され:駆動が多すぎると、ダイオードが過熱し、放射効率が低下する。照明装置が、放射源の許容駆動電流によって提供されることができるよりも多くの量のPBM誘発放射を出力する必要がある場合、より多くの量の放射源が必要とされるか、または放射源のタイプが変更されなければならない。どちらの選択肢もコストがかかる可能性がある。しかしながら、放射源がパルス化される場合、放射源はパルス間で冷却することがあるので、許容駆動電流はさらに増加することがある。換言すれば、パルス化は、所定の放射源がその許容可能な駆動電流の量を押し上げるまたは増大させることを可能にする。これにより、所定量のPBM誘発放射線を提供する照明装置において、より小型で安価な放射源および/またはより少数の放射源を使用することが可能になる。実施形態では、放射源および駆動ユニットは、増強された許容駆動電流を有する駆動モードで動作するように適合される。
【0017】
[0017]本明細書の文脈では、パルスの間の駆動電流が製造業者によって指定されたDCでの許容駆動電流を超える場合、放射源は、増強された許容駆動電流で駆動される。放射源が赤外線LEDである例では、製造業者は通常、1A DCなどの順方向電流の最大定格を指定する。(連続波駆動モードにおける)DCでの最大定格は、この最大定格を決して超えることができないことを意味するものではなく;電気的、熱的、または光学的である放射源の性能の少なくとも1つの態様に悪影響を及ぼすことなく、連続波駆動モードにおいてそのような最大定格を超えることができないことを意味する。製造業者はまた、最大定格をどれだけ長く超えることができるか、およびどれだけ超えるかを指定することができる。赤外線LEDの例では、製造業者は、LEDの「パルス処理能力」を指定することができ、これは、DCにおける最大定格を超える順方向電流の量と、そのような順方向電流における許容パルス時間およびデューティサイクルの長さとの間の関係を示す。
【0018】
[0018]いったん、PBM応答を誘発できるある距離におけるある出力密度を可能にするのに十分な量の電力を放出するように一般照明装置が適合されると、多くの利点が実現される。ランプまたは頭上照明のような一般照明装置は、使用が容易であり一般に入手可能であり、したがって、医療専門家がPBM放射線を管理する必要性が大幅に低減され、これは、PBM放射線の受容者の時間および財政資源の大幅な節約になる。
【0019】
[0019]タスク照明装置またはアクセント照明装置に対して同じ適合がなされてもよいことに留意されたい。タスク照明は、両方とも人の視覚を補助するために照明するという点で、一般照明の特殊な形態と見なされるかもしれないが、そのタスク照明は、スポーツフィールドおよび通り(広い面積にわたって高輝度を必要とする)などの特別な照明要件を有する場所で使用されてもよい。アクセント照明は、視覚的アクセントを構築し、見る者にとって関心のあるポイントを作成することを意図することができ;一般的な用途には、室内に置かれる鉢植えの草花の強調、彫刻、塗装および他の装飾、並びに建築上の質感または屋外の造園の強調が含まれる。本開示の実施形態において使用されてもよい一般的な、タスクまたはアクセント照明装置は、頭上照明、ベッドヘッド照明、キッチン照明、スポーツ照明、街路照明、ヘルスケア照明、公共照明、浴室照明、バニティ照明、トラック照明およびミラー照明などのエリアのための照明器具もしくは設備の一部に設置されてもよい、またはその一部であってもよい放出面を含むが、これらに限定されない。適用可能な照明装置は、空間、エリアおよび表面を照明し、それによって、人々および動物が時間を費やす環境を明るくする照明デバイスも含む。
【0020】
[0020]上述の利点に加えて、ユーザは、一般照明またはタスク照明またはアクセント照明装置の光の中に自然に留まることができるか、またはそれらの光に自然にさらされることができ、ユーザの活動が中断されることなく長時間にわたって一般照明またはタスク照明またはアクセント照明装置の光に自然にさらされることができる。これは、単位面積当たりのエネルギーで測定される広範囲の線量を提供する際の柔軟性をもたらす。エネルギーは電力に時間を掛けたものであることを想起されたい。これは、一般照明またはタスク照明またはアクセント照明装置を単にオンにすることによって、異なる線量を容易に達成できることを意味する。適量に分けることの単純さは、適用される量が決して推奨量を超えないように、平均1日量を数時間にわたって広げることによって達成される。PBM応答を誘発するのに有効な出力密度で長時間にわたる量の拡散は、本明細書に記載されたパルス化によって達成される。専門の治療センターへの30分より多くの訪問はしばしば厄介であると考えられるが、一般照明装置の光の下に1時間より多くまたは8時間より多く、人間が全く悩まされることなく留まるかまたはさらされることは、全く一般的である。
【0021】
[0021]例えば、850nmのピーク放出を有し、1Hzのパルス周波数および2msのパルス持続時間でパルスモードで放出する赤外光エミッタを含む一般照明装置を仮定する。また、赤外光エミッタが500Wのピーク光学放出強度を有し、したがってエミッタから2m離れた位置に8mW/cm2を送達できると仮定する。次いで、光エミッタは、8時間にわたって蓄積された約0.23J/cm2(8mW/cm2に8*60*60秒を掛ける)のエネルギー密度をその位置に送達することができる。
【0022】
[0022]光源が、CIE XYZ色空間における黒体線に対して10SDCM未満の距離を有する色点を有する可視光を放出することが可能であるかまたはそれに適している実施形態では、そのような光源は、一般照明装置において使用されるのに適していることに留意されたい。その理由は、そのような光源によって放出される可視光は、この種の可視光が、人の視覚を支援するためにおよび/または人々がその空間で生活および/または作業することをより便利にするために空間の照明レベルを上げるのに適しているという意味で、比較的白色であるからである。いくつかの実施形態では、光源は、CIE XYZ色空間における黒体線に対して10SDCM未満の距離を有する色点を有する可視光を放出することが可能であるか、またはそれに適している。いくつかの実施形態では、CIE XYZ色空間における黒体線までの距離は、8SDCM、7SDCM、6SDCM、5SDCM、または3SDCM未満であってもよい。
【0023】
[0023]適切な持続時間および/または期間で(例えば、NIR帯域において)PBM応答を誘発できる放射線を提供するように放射源をパルス化することは、ユーザが、専門医センターにおける30分または60分の典型的な治療期間よりもはるかに長い期間にわたって一般照明装置の近くに留まっている場合であっても、過量の機会を大幅に低減できることに留意されたい。例えば、いくつかの医学研究は、有益な生物学的応答が線量の増加とともに増加し、約10J/cm2でピークに達することを示唆している。線量をさらに増加させることは、有益なPBM応答を減少させるかもしれず、線量が約35J/cm2を超える場合、有益でなくなるかもしれない。したがって、ユーザが約20分を超えて約8mW/cm2の出力密度レベルにさらされる場合、ユーザがピーク利益を受けることは困難である。換言すれば、十分に短いパルス持続時間および/または周期は、PBM応答を誘発するために十分な出力密度を提供し、同時に、ユーザへの過量なく、広範囲の時間、例えば、数分から8時間以上にわたって、有益な量の総エネルギー密度(単位面積当たりの電力に時間を乗じたもの)を送達できる。このようにして、ユーザは、(過量を防止するために)照明装置をいつオフにするかについて心配する必要なく、従来の光源であるかのように照明装置を使用することができ、それでもなお、PBM誘発放射線の利益を受けることができる。
【0024】
[0024]放射源をパルス化することの別の利点は、ユーザの目の角膜における関連スペクトル中のそのような放射線によって誘発される熱負荷の減少によるユーザの目に対するより良好な安全性であり、これは、関連する安全規制および安全限界に準拠するのに十分に低いパルス放射線の平均出力密度から生じる。例えば、一般的な国際標準であるIEC62471では、一般照明サービス(GLS)用のランプは、ランプが10mW/cm2(100W/m2)未満である500ルクスの照度を生成する距離において、1000秒を超える時間にわたって780nmから3000nmの波長範囲にわたる赤外線放射に対するユーザの目の露出を維持すべきであることが要求される。例えば、照明装置によって500ルクスが生成される距離において、その赤外線放射源が20mW/cm2の出力密度を生成する照明装置は、本明細書に記載される方法に従って50%のデューティサイクルで赤外線放射源をパルス化することによって、この安全性要件を満たすことができる。別の例として、IEC62471は、パルスランプ源が、200mmの距離で1000秒を超える時間の赤外線眼球露光を10mW/cm2未満に維持すべきであることを要求している。したがって、赤外線放射のみを放出し、2mで8mW/cm2を生成するパルス化された放射源は、放射線が全方向に放出され、均一に広がると仮定すると、0.2mで800mW/cm2に等しく、1.25%のデューティサイクルで赤外線放射源をパルス化することによって準拠することができる。したがって、本明細書に記載されるような放射源(赤外線源など)をパルス化する技術的解決策は、(赤外線)放射源が可視光エミッタと組み合わされることなく使用されてもよい一般照明デバイスを使用することを可能にする。例えば、光生物学的刺激は、可視光がユーザの睡眠を妨げることなく、夜間に誘発されてもよい。上述の安全状況において、(赤外線)放射源のパルス化はまた、放出されたスペクトルの可視コンポーネントがより低い照明レベルに減光されるときに、PBMアプリケーションを安全にし、IEC62471に準拠させることを可能にする要素である。
【0025】
[0025]したがって、本開示の第1の態様の背後にある本発明の着想にしたがう照明装置は、ある局所的および全身的な(全身にわたる)PBM効果を引き出すことができる。例えば、PBMが、損傷を受けたか、変性しているか、そうでなければ死の危険性がある人組織を刺激し、治癒し、再生し、そして保護できることを示唆する広範な種々の医学研究文献が存在する。最も重要なことに、PBMは人体およびそのシステムに対して抗炎症効果、抗酸化効果および/またはミトコンドリア増強効果および正常化効果を誘発できる。人体に対する肯定的な効果はさらに、生体刺激および抗アレルギー;さらなる免疫調節、血管の血管拡張および血液に対する抗低酸素として記載されてもよい。他の肯定的な効果は、例えば虚血性脳卒中を患った後に再生するための、または健康な対象の認知機能を増加させるための脳の刺激を含むことができる。PBMが、例えばうつ病、痴呆、アルツハイマー、パーキンソン、ADHD、ADD、高血圧、テストステロン欠乏およびPTSDを患う人間の精神構成に対して肯定的な効果を誘発するかもしれないことが、最近の研究によってさらに示唆されている。さらに、皮膚の活性化および皮膚の老化の減少が達成されるかもしれず、そして全体としての人体の老化の活性化または脱促進として記載されてもよいある全身効果を達成できる。例えば、長期の日光浴の前に、または広範なスポーツ、精神的ストレス、もしくは高レベルの活性酸素種に関連する人体へのストレスのような予測される高レベルのストレスの前のプレコンディショニングとして、または潜在的に毒性の環境にさらされる前の、もしくは毒素との直接的な接触のプレコンディショニングとして、ある種類のストレスに対して準備するための皮膚または身体全体のさらなるプレコンディショニングが、予想されるかもしれない。さらに、広範なスポーツ、精神的ストレス、有害なレベルの放射線または毒素にさらされた後の回復時間を短縮するために使用されてもよい。それはまた、人の目の視覚および一般的な健康に対して肯定的な長期効果を有することができ、毛髪成長を加速および改善することができる。さらに、それは、人体におけるメラトニンレベルを正常化するのに役立ち、したがって睡眠を改善することができる。それはまた、時差ぼけ、または概日リズムが不均衡である他の状況に対処することに役立つことができる。要約すると、抗炎症、抗酸化、恒常性および/またはミトコンドリア増強および正常化効果を誘発する、真核細胞に対する基本的な、肯定的なPBM効果により、人体の任意の部分において肯定的な効果が達成されてもよい。言及された利益のうちのいくつかはまた、ペット(例えば、イヌ、ネコ)または家畜(例えば、ウシ、ウマ、ブタ)のような動物に同様の方法で適用可能であるかもしれず;基本的に、真核細胞から作製された全てのものが、PBM効果を引き起こすある光にさらされることから利益を有することができる。
【0026】
[0026]本開示の第1の態様の背後にある本発明の着想にしたがう照明装置の別の利点は、一般照明、タスク照明またはアクセント照明、およびPBM誘発放射線を同時に提供する能力である。同じ照明装置が両方の機能を提供する。
【0027】
[0027]実施形態では、放射源によって放出される放射線の予め定められたスペクトルは、800から1100nmの範囲内であってもよい。予め定められたスペクトルは、800から870nmの範囲内であることが好ましい。実施形態では、予め定められたスペクトルは、800から1100nmの範囲内であってもよく、任意選択的に、約830、980および/または1060nmにピーク放出を有する。実施形態では、予め定められたスペクトルは、800から870nmの範囲であってもよく、任意選択で、820から850nmの範囲内にピーク放出を有する。赤外帯域におけるPBMの治療的価値を実証する豊富な文献が存在しており、本発明者は、800から1100nmおよび800から870nmなどの範囲が特に有益であるかもしれず、および/または実現が容易であるかもしれず、これらの実施形態を特に有用なものにすることを認識した。
【0028】
[0028]実施形態では、予め定められたスペクトルは、可視スペクトルを除外できる、または可視スペクトルを含まない。パルス発光は可視スペクトル内にないので、パルスは、ユーザに知覚可能な不快感を引き起こすことなく、非常に高いピーク放出を有することができる。
【0029】
[0029]実施形態において、照明装置は、第1の駆動電流とは異なる第2の駆動電流を光源に供給するよう構成されてもよい。第2の駆動電流は、光源を駆動することができる。実施形態では、第2の駆動電流は、直流(DC)または交流(AC)またはパルス幅変調(PWM)電流であってもよい。PWM電流は、20000Hzから300000Hzの範囲のパルス周波数を有することが好ましいかもしれない。第2の駆動電流は、可視光を放出するように適合された光源を駆動する際により多くの柔軟性を提供してもよい。換言すれば、(可視)光源は、予め定められたスペクトルの放射線を放出するように適合された放射源とは異なる方法で容易に駆動されてもよい。可視光源をDCまたはACで駆動することにより、光源によって放出される可視光の安定性をさらに高めることができる。可視光源をパルス幅変調(PWM)信号で駆動することは、例えば、輝度調光を達成するために使用されてもよい。このような駆動電流は、白熱電球、蛍光管および異なる種類のLEDのような広く使用される光源に十分に適している。
【0030】
[0030]実施形態では、駆動回路は第1の駆動回路であってもよい。照明装置は、第2の駆動電流を供給するように適合された第2の駆動回路をさらに備えていてもよい。光源および放射源にエネルギーを与えるための駆動回路を分離することは、1つの駆動回路がエネルギーを与えていない光源または放射源に1つの駆動回路が干渉することを防止することに役に立つことができる。
【0031】
[0031]実施形態では、第1の駆動電流のパルス持続時間は、約0.05から500msの範囲内であってもよい。第1の駆動電流のパルス持続時間は、任意選択で、約0.1から100ms、好ましくは約0.5から20ms、最も好ましくは約4から10msの範囲であってもよい。パルス持続時間の他の任意選択の範囲は、1から40ms、4から40msおよび8から30msを含むことができる。これらの実施形態は、利用可能なエレクトロニクスを用いた実際のインプリメンテーションの有利な効果と、研究文献によるある範囲に対する特定の利益とを有してもよい。一方で、より長いパルスは、より良好なPBM応答を提供することができ、他方で、より短いパルスおよび/またはより低いデューティサイクルは、放射源の許容駆動電流を高めることができる。
【0032】
[0032]実施形態では、第1の駆動電流のパルス周波数は、約0.01から10000Hzの範囲内であってもよい。第1の駆動電流のパルス周波数は、任意選択で約0.1から2500Hz、好ましくは約1から160Hzの範囲内であってもよい。この実施形態は、利用可能なエレクトロニクスを用いた実際のインプリメンテーションの有利な効果と、研究文献によるある範囲に対する特定の利益とを有してもよい。
【0033】
[0033]実施形態では、第1の駆動電流は、10%以下、任意選択で5%以下、任意選択で1%以下のデューティサイクルを有してもよい。より低いデューティサイクルは、放射源が、同じ量の消費電力でより高い(ピーク)放出強度を生成することを可能にしてもよい。より低いまたはより微調整されたデューティサイクルはまた、ユーザへの過量の機会を低減させるのに役立つことができる。実施形態では、第1の駆動電流は、予め定められた期間の間の1%の第1のデューティサイクルおよび別の予め定められた期間の間の2%の第2のデューティサイクルなど、交互のデューティサイクルを有してもよい。複数のデューティサイクルは、異なる時間にPBM誘発放射線の量をプログラムする際の柔軟性を増大させることができる。
【0034】
[0034]当然ながら、パルス持続時間およびパルス周波数の異なる範囲の組み合わせが可能である。様々な量の消費された電力を有する放射源からの所望の(ピーク)放出強度は、パルス持続時間、パルス周波数、または両方を変更することによって達成できることにも留意されたい。この柔軟性は、特定のニーズを満たすように調整されることができる、異なる形態の電力および/または線量および/または電力消費制御を可能にできる。
【0035】
[0035]実施形態では、パルス持続時間、パルス周波数、およびデューティサイクルのうちの少なくとも1つは、第1の駆動電流が増強された許容駆動電流で放射源を駆動することを可能にするように選択される。増強された許容駆動電流で放射源を駆動することは、DCでより少ない許容駆動定格を有することができるより安価な放射源、または同じ放射線出力を達成するためにより高い駆動条件で動作することができるより少数の所定のタイプの放射源、またはその両方を用いて所定の量の放射出力密度および線量を可能にすることができる。これにより、照明装置のコストを低減することができる。
【0036】
[0036]実施形態では、1つのパルスが複数の「サブ」パルスに分割されてもよい。例えば、10msのパルス持続時間および100msのパルス周期(例えば、10Hzのパルス周波数)を仮定する。10msの1つの「主」パルスが、80nsのパルス持続時間および100nsのパルス周期を有するサブパルスに分割されてもよい。この場合、メインパルスは100個のサブパルスを備えている。サブパルスのパルス持続時間は、メインパルスのパルス持続時間よりも短かければ特に限定されない。異なるレベルのパルス持続時間および/またはパルス周波数でパルス化することは、特定の用途の必要性に適するように、または関係するエレクトロニクスにおける特定の要件に適応するように放射パターンを調整する際のさらなる柔軟性を提供する。
【0037】
[0037]実施形態では、放射源は、パルス化されてもよい予め定められたスペクトルの放射線を生成するように適合されてもよい。予め定められたスペクトル(例えば、PBM応答を誘発することができるスペクトル)の放射線はパルス化される。パルス化は、放射源のピーク放出強度が、同じ量の電力消費で望ましい係数だけ「ブースト」されることを可能にできる。パルス化はまた、ユーザが、過量になることなくPBM誘発放射線にさらされてもよい時間を延長してもよい。
【0038】
[0038]実施形態では、パルス化された第1の駆動電流によって励起された放射源によって放出される放射線のピーク放出強度は、少なくとも25W、任意選択的に少なくとも100W、任意選択的に少なくとも200W、任意選択的に少なくとも500Wであってもよい。少なくとも25Wのピーク放出強度は、半球の放射パターンを有する照明装置から約0.6mで測定される少なくとも1mW/cm2を可能にすることができ、例えば、電気スタンドにおいてそのような照明装置を使用するユーザが十分な出力密度を受けることを確実にすることができる。より高いピーク放出強度は、ユーザが照明装置からより遠く離れている場合および/または放射パターンが異なる場合であっても、ユーザを依然として十分な出力密度にさらさせることができる。例えば、少なくとも200Wのピーク放出強度は、例えば半球の放射パターンを有する照明装置から例えば1.8mで測定される少なくとも1mW/cm2を可能にできる。これは、オフィス環境におけるような一般照明装置の他の一般的な使用シナリオに適合してもよい。
【0039】
[0039]実施形態では、パルス化された第1の駆動電流を受け取る放射源によって放出される放射線のピーク放出強度は、人体においてフォトバイオモジュレーション(PBM)応答を誘発するのに十分であってもよい。これは、単に従来の光源を有する他の一般照明装置よりも付加価値を提供するであろう。
【0040】
[0040]実施形態では、パルス化された第1の駆動電流を受け取る放射源のピーク放出強度は、放射源から約0.2から約5mの共通の平均距離で測定して、0.4から50mW/cm2、任意選択で5から15mW/cm2の出力密度を可能にしてもよい。共通の平均距離は、任意選択的に、放射源から約0.5から約3mであってもよい。共通の平均距離は、任意選択的に約2mであってもよい。有利な効果は、人体に有益な、研究で証明されたPBM応答を含み、0.4mW/cm2は、目を通してPBM応答を誘発し始めるのに十分であってもよい。そのような共通の平均距離はまた、多くの使用シナリオに好適であってもよい。
【0041】
[0041]実施形態では、パルス化された第1の駆動電流を受け取る放射源のピーク放出強度は、照明デバイスの照度が約500ルクス(lx)である距離において測定される0.4から50mW/cm2、任意選択的に5から15mW/cm2の出力密度を可能にしてもよい。
【0042】
[0042]実施形態では、放射源は、8時間以内に予め定められたスペクトルで少なくとも3000ジュールを放出することができる。
【0043】
[0043]実施形態では、パルス化された第1の駆動電流を受け取る放射源は、人体においてPBM応答を誘発するのに十分な線量(単位面積当たりのエネルギー)を送達するように構成されてもよい。実施形態では、パルス化された第1の駆動電流を受け取る放射源は、放射源からの共通の平均距離で測定された0.01から5J/cm2の線量を送達するように構成されてもよく、放射源からの共通の平均距離は約0.2から約5mであってもよい。放射源からの共通の平均距離は、任意に約0.5から約3m、好ましくは約2mであってもよい。有利な効果は、人体に有益な、研究で証明されたPBM応答を含む。そのような共通の平均距離はまた、多くの使用シナリオに好適であってもよい。
【0044】
[0044]実施形態では、線量は、第1の駆動電流の、振幅、パルス持続時間、パルス周波数、およびデューティサイクルのうちの少なくとも1つを修正することによって調整されてもよい。好ましくは、パルス持続時間が実質的に同じままである間に、パルス周波数が修正される。これは、放射線放出エピタキシャル材料における熱負荷の増大に起因してパルス長が増大するときに放射源におけるエピタキシャル材料の垂下効果を悪化させるかもしれない、パルス持続時間を変化させるよりも好ましいかもしれない。振幅が低すぎると、ユーザにおいてPBM応答を誘発する有効性が低下するほどパルスの間に送達される出力密度が減少することから、パルス周波数を修正することは、振幅を変更することよりも好ましいかもしれない。有効性を維持するための例示的な閾値は、照明装置の照度が約500ルクスに達するユーザから照明装置までの距離において、少なくとも0.4mW/cm2のNIR光、例えば800から870nmである。
【0045】
[0045]実施形態において、使用中の放射源は、50W未満、任意選択的に25W未満、任意選択的に10W未満の二乗平均平方根(RMS)電力を消費してもよい。そのようなレベルの電力消費は、一般的な毎日の使用によく適することができ、増え続ける環境意識を考慮すると、照明装置が様々な異なるエネルギー消費規制を満たすのに役立つことができる。実施形態では、使用中の放射源は、意図的に照射された表面の1平方メートル当たり10W未満、任意選択で2W未満、任意選択で0.5W未満の二乗平均平方根(RMS)電力を消費してもよい。1平方メートル当たりのRMS電力は、スポーツフィールド照明などの広いエリアが照明されるある照明用途にとって有用なメトリックであることがある。
【0046】
[0046]実施形態では、放射源はソリッドステートデバイスを備えてもよい。ソリッドステートデバイスは、LEDであってもよく、任意選択的に2つ以上のLEDであってもよい。これらのデバイスは、容易に入手可能であり、多種多様である。実施形態では、ソリッドステートデバイスは、フリップチップLEDであってもよく、これは、より良好な熱性能を提供し、したがって、強化された許容駆動電流のより高い能力を提供できる。フリップチップLEDを実装基板に直接電気的に接合することは、より多くの電流を流すこともでき、それによって、大きな増強された許容駆動電流が有用になった場合に、より高い程度の増強された許容駆動電流(すなわち、より高い波高率)を提供する。
【0047】
[0047]実施形態において、照明装置は、光源が使用中であるときに、40%を超える%フリッカ(%-flicker)を有さない、好ましくは20%を超える%フリッカを有さない光束を有する可視光を光源から生成するように適合されてもよい。光源の光束における限られた量の変動は、照明装置(またはそのような照明装置を組み込んだ一般照明装置)のユーザの快適さを増加させることができる。実施形態では、照明装置は、人の目に知覚可能なフリッカを伴わずに光源から可視光を生成するように適合されてもよい。人の目に知覚可能なフリッカの欠如は、照明装置(またはそのような照明装置を組み込んだ一般照明装置)に対するユーザの満足度を高めることができる。
【0048】
[0048]実施形態では、光源は、少なくとも250ルーメン、任意選択で少なくとも1000ルーメン、任意選択で少なくとも2000ルーメンを放出することができる。実施形態では、光源の相関色温度は、1700から6500Kの範囲内、任意選択で2400から5500Kの範囲内であってもよい。実施形態では、光源の演色評価数は、約2700Kの相関色温度で80から99の範囲であってもよい。そのような光源は、明るさ、光の色および演色のような一般照明目的のための多くの要件を満たし、本開示の実施形態の照明装置を一般消費者にとって特に便利で許容可能なものにする。言うまでもなく、ルーメン仕様、CCTおよびCRIの多くの適切な組み合わせが可能であってもよい。例えば、光源は、モジュール式の吊り天井グリッド(すなわち、600×600mmまたは300×1200mm)に収まる矩形の照明設備である光トロファであってもよい。トロファ設備は、典型的には、標準的な蛍光ランプ(例えば、T12、T8またはT5)を収容するように設計されているが、現在では、一体型LED光源を用いて設計されることが多い。この例では、トロファ設備は、80のCRIで4000Kの色温度で4000ルーメンを放出する。
【0049】
[0049]実施形態では、光源は、120W未満、好ましくは80W未満、より好ましくは30W未満の電力を消費してもよい。そのような電力消費は、家庭およびオフィス用途に特に好適であるかもしれない。
【0050】
[0050]実施形態では、光源はソリッドステートデバイスを備えてもよい。ソリッドステートデバイスは、LED、任意選択で2つ以上のLEDを含むことができる。
【0051】
[0051]実施形態では、照明装置が使用中であるときに光源によって消費される電力に対する放射源によって消費される電力の比は、50%以下、好ましくは25%以下、より好ましくは10%以下、さらにより好ましくは5%以下であってもよい。実施形態では、放射源によって消費される電力は、光源によって消費される電力よりも少なくてもよく、好ましくは光源によって消費される電力の3分の2未満であり、より好ましくは光源によって消費される電力の5分の1未満であり、さらにより好ましくは光源によって消費される電力の約4から11%の範囲である。放射源は光源よりも電力消費が少ないので、放射源からの追加のエネルギーコストを制限できる。いくつかの実施形態では、ユーザは、放射源によって消費される追加の電力量に起因するエネルギー請求の差にほとんど気がつかないかもしれない。
【0052】
[0052]実施形態では、駆動回路は、駆動回路への入力に応答して第1の駆動電流を修正するように適合される。入力は、駆動回路に結合され、認識センサがその近傍におけるユーザの存在を検出するかどうかに応じて第1の駆動電流をオンまたはオフにするように適合された認識センサからのものであってもよい。入力は、駆動回路に結合され、ユーザからの検出された距離に応じて第1の駆動電流をオンまたはオフにするように適合された距離センサからのものであってもよい。入力の別のソースは、ユーザに送達される放射線の量を制御するために第1の駆動電流を修正できる、駆動回路、または駆動回路を制御する他の回路に遠隔で提供される、時刻、周囲の明るさ、季節、および/または天候に関するデータであってもよい。例えば、パルス周波数およびそれによる放射線量は、周囲光が少ない日、夜、冬、および/またはユーザが日光にあまりさらされていない鈍い曇りの日に増加し、周囲光が多い日、夏、および/または明るい晴れの日に減少する。パルス振幅、パルス周期、パルス周波数およびデューティサイクルなど、送達される放射線量の量に影響を及ぼす第1の駆動電流の任意の態様を修正することができる。さらに別の入力源は、例えば、ユーザのスマートモバイルデバイスによって供給されるユーザデータであってもよく、これは、例えば、ユーザが屋内に留まる時間量を決定し、次いで、それに応じて第1の駆動電流を修正し、送達される放射線量を増加または減少させてもよい。放射線量に加えて、出力密度も変更することができる。出力密度は、例えば放射源のエピタキシャル材料を通って流れる電流の量を低減することによって低下させることができる。目的は、他の光生物学的効果を刺激することなく、ある特定の光生物学的効果を目標とすることを含んでもよい。一例は、人の目の網膜を目標とすることである。人の皮膚とは異なり、人の目は表面に実質的な光吸収層を有していないので、網膜は人の皮膚よりも低い出力密度に反応する。出力密度を変更する別の理由は、照明装置が、位置決めシステムまたは認識センサおよびこれらに類するものを介してユーザからのその潜在的可変距離を認識していることであってもよい。そのような位置決めシステムまたはセンサは、照明装置の一部であってもよく、またはユーザの身体に若しくはその近くに位置するスマートデバイス若しくは他のデバイス内に存在してもよい。照明装置とユーザとの間の可変距離においてユーザの身体に送達される実質的に一定量の出力密度を維持する能力は、ユーザの身体表面への有効量の出力密度の安定した送達を維持するのに役立つことができる。有効量の出力密度の送達における改善された安定性は、特定の生物学的効果の光生物学的刺激を最適化するのに役立つことができる。
【0053】
[0053]本開示の別の態様にしたがうと、照明方法が提供される。照明方法は、可視光を放出するように適合されてもよい光源を提供することと、予め定められたスペクトルの放射線を放出するように適合されることができる放射源を提供することと、パルス化されることができ、20%以下のデューティサイクルを有することができる第1の駆動電流を放射源に供給して、予め定められたスペクトルの放射線を生成することとを含んでいてもよい。光源は、CIE XYZ色空間中の色点を有する可視光を放出することができてもよく、色点は、前記色空間中の黒体線に対して10標準偏差カラーマッチング(SDCM)未満の距離を有する。予め定められたスペクトルは、赤外線帯域内であってもよい。予め定められたスペクトルは、約760から1400nmの範囲であってもよい。第1の駆動電流は、光源に供給されなくてもよい。デューティサイクルは20%以下であってもよい。放射源の洗練されたパルス化によって、予め定められたスペクトルにおける適切で有益な量の放射線が、妥当な量の電力消費で提供されることができる。このような放射源を一般照明装置に組み合わせることは、その使用を大幅に拡大することができ、使用が容易な医学的利益を有する一般照明源に変えることができる。加えて、本方法は、上述した照明装置の実施形態と類似した効果および利点を有する類似の実施形態を有してもよい。
【0054】
[0054]本開示の別の態様にしたがうと、一般照明のためのランプが設けられる。一般照明のためのランプは、上述した照明装置のうちの1つを含むことができる。要約すると、このような一般照明のためのランプは二重機能の可視光源を提供することができる。
【0055】
[0055]本開示の別の態様にしたがうと、一般照明のためのレトロフィット電球が設けられる。レトロフィット電球は、上述した照明装置のうちの1つを含むことができる。要約すると、そのようなレトロフィット電球は、一般照明および医学的利益を提供することができる。レトロフィット電球は、既存の設備本体と共に動作するのに特に適している。
【0056】
[0056]本開示の別の態様にしたがうと、レトロフィットライトチューブが提供される。レトロフィットライトチューブは、上述した照明装置のうちの1つを含んでもよい。要約すると、このようなレトロフィットライトチューブは、一般照明および医療上の利益を提供することができる。レトロフィットライトチューブは、既存の設備本体と共に動作するのに特に適している。
【0057】
[0057]本開示の別の態様において、照明器具が提示される。照明器具は、上述した照明装置のうちの1つを備えることができる。要約すると、そのような照明器具は、一般照明および医学的利益を提供することができる。
【0058】
[0058]本開示による照明装置、照明方法、ランプ、レトロフィット電球、レトロフィットライトチューブおよび照明器具の他の実施形態は、添付の特許請求の範囲において与えられ、その開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0059】
[0059]上述し説明した様々な実施形態は、明示的に述べられていない限り、互いに互換性があることは明らかである。したがって、上記の実施形態からの任意の数の特徴の組み合わせは、依然として本開示の範囲内である。例えば、例示的な予め定められたスペクトル、放射源の例示的な(ピーク)放出強度レベル、および光源の例示的な輝度の異なる組み合わせは、明らかに本開示の範囲内である。加えて、上記の実施形態における特徴は、否定されるか、または別様に除外されるかもしれない。例えば、予め定められたスペクトルは、例示的な範囲800から1100nmにおいて異なる放出ピークおよび谷を有するかもしれない。同様に、CCTは、1700から6500Kなどの特定の例示的な範囲内の離散的な部分範囲を含むかもしれない。このようなバリエーションは依然として明らかに、本開示の範囲内にある。
【図面の簡単な説明】
【0060】
[0060]単なる例として、対応する参照番号は、対応する部分を示している添付の概略図を参照して、実施形態を説明する。
【
図1A】[0061]
図1Aは、本開示の実施形態にしたがう、照明装置を概略的に示す。
【
図1B】[0062]
図1Bは、本開示の実施形態にしたがう、照明装置を概略的に示す。
【
図1C】[0063]
図1Cは、黒体線の一部を含むCIE XYZ色空間の一部を図示する。
【
図1D】[0064]
図1Dは、黒体線に沿ったある数の色点の周りにマクアダム楕円を有する黒体線の一部分を示す。
【
図2A】[0066]
図2Aは、本開示の実施形態にしたがう電球を図示する。
【
図2B】[0067]
図2Bは、本開示の実施形態にしたがうライトチューブを図示する。
【
図2C】[0068]
図2Cは、本開示の実施形態にしたがうランプを図示する。
【
図2D】[0069]
図2Dは、本開示の実施形態にしたがう照明器具を図示する。
【
図3】[0070]
図3は、本開示の実施形態にしたがう照明装置の使用シナリオを図示する。
【
図4】[0071]
図4は、本開示の実施形態にしたがう照明装置における経時的な駆動電流のグラフを図示する。
【
図5】[0072]
図5は、本開示の実施形態にしたがう照明装置からの経時的な放出強度のグラフを図示する。
【
図6A】[0073]
図6Aは、本開示の実施形態で使用するのに適した放射源の許容可能なパルス処理能力を図示する。
【
図6B】[0074]
図6Bは、本開示の実施形態にしたがう駆動電流および対応する放射線の測定結果を示す。
【
図7A】[0075]
図7Aは、本開示の実施形態にしたがう線形ランプを概略的に図示する。
【
図7B】[0076]
図7Bは、本開示の実施形態にしたがう線形ランプにおいて使用されてもよい照明装置を概略的に提示する。
【
図8】[0077]
図8は、本開示の実施形態と共に使用されてもよいトロファの例示的な実例を提供する。
【
図9A】[0078]
図9Aは、本開示の実施形態において使用されてもよい可視光源および放射源の例を示す。
【
図9B】[0079]
図9Bは、本開示の実施形態で使用される可視光源の測定スペクトルを図示し、測定値は4秒間にわたって平均化される。
【0061】
[0080]図面は、例示目的のみを意味するものであり、特許請求の範囲によって規定される範囲または保護の制限としての役割を果たすものではない。
【発明を実施するための形態】
【0062】
[0081]以下は、単に例として、図面を参照して挙げられる、本発明のある実施形態の説明である。
【0063】
[0082]本開示の実施形態にしたがう(「照明アセンブリ」とも呼ばれてもよい)照明装置1aを示す、
図1Aを参照する。照明装置1aは、放射源10、光源11および駆動回路12を備えている。任意選択的に、照明装置1aは、駆動回路12に結合されたセンサ14を備えていてもよい。
【0064】
[0083]放射源10は、非可視スペクトルを含む予め定められたスペクトルの放射線100を放出するように適合される。放射源10は、駆動信号を受信するかまたは駆動信号によって励起されると、放射線100を放出する。駆動信号は電気信号であってもよい。実施形態では、駆動信号は、第1の駆動電流101などの電流である。
【0065】
[0084]予め定められたスペクトルは、非可視スペクトルに限定されず、任意選択で可視スペクトルの一部分を含んでいてもよい。実施形態では、予め定められたスペクトルは赤外線(IR)スペクトルを含み、任意選択で赤色(可視)スペクトルの光も含むことができる。実施形態では、予め定められたスペクトルは、IRスペクトル内、任意選択で近赤外(NIR)スペクトル内である。実施形態では、予め定められたスペクトルは760から1400nmの範囲であってもよい。予め定められたスペクトルは、任意選択で800から1100nmの範囲内であってもよい。別の選択肢は、800から870nmの範囲である。実施形態では、予め定められたスペクトルは可視スペクトルを含まない。
【0066】
[0085]医学研究における最近の進歩は、あるエネルギー/出力レベルでIRスペクトルおよび/または赤色光を含む放射線で生体を照射することが、有益な生物学的または生化学的応答を誘発できることを実証している。このような照射は、しばしばフォトバイオモジュレーション(PBM)と呼ばれる。身体的および精神的症状を治療するためにPBM療法を採用することの医学的利益に関する利用可能な医学研究結果は急速に増加している。特に注目されているいくつかの波長としては、606、627、630、632.8、640、660および670nm(赤色領域)ならびに785、800、804、808、810、820、830、850、904、980および1060m(NIR領域)を含む。特に注目されているいくつかのスペクトルは、650-680および800-870nmを含む。
【0067】
[0086]実施形態では、予め定められたスペクトルは800から1100nmの範囲であり、任意選択のピーク放出は830nm付近である。他の任意選択のピーク放出は、980および/または1060nmを含む。実施形態では、予め定められたスペクトルは800から870nmの範囲であり、任意選択のピーク放出は820から850nmの範囲内である。
【0068】
[0087]実施形態において、放射源10は、ソリッドステートデバイスを含んでいてもよい。実施形態では、放射源10は、発光ダイオード(LED)および任意選択的に2つ以上のLEDを含むことができる。実施形態では、放射源10は、NIR領域で発光するLEDを含むことができる。
【0069】
[0088]放射源10は、使用時に電力を消費してもよい。放射源10で使用されるデバイスの物理的能力の限界内にある限り、放射源10が消費することができる電力の量に特に制限はない。実施形態では、放射源10は50ワット(W)未満の電力を消費する。実施形態では、放射源10は、40W、30W、25W、20W、15W、10Wまたは5W未満の電力を消費することができる。放射源10によって消費される電力の量は、5から50W、10から45W、および上述の端点を有する他の範囲などの範囲内であってもよい。
【0070】
[0089]放射源10は、ワット(W)の単位を有してもよい異なるレベルの放出強度を有してもよい。放射源10によって放出される放射線100は、放射源10の放射パターンおよび放射線100の出力密度が測定される放射源10からの距離などの要因に応じて、異なるレベルの出力密度(単位面積当たりの出力)を可能にすることができる。放射線100によって可能になる出力密度は、ある表面積にわたって分布する(光学)出力の量を説明し、メートル当たりのワット(W/m2)またはセンチメートル当たりのワット(W/cm2)などの単位を有することができる。例えば、放射源が、10Wを放出し、均一な球状分布パターンを有する点源であると仮定する。そして、放射源から2メートル離れた位置で受け取られる出力密度は、10/(4Π*2^2)=約0.2(W/m2)である。
【0071】
[0090]放射源10の放出電力は、経時的に変化してもよい。したがって、放射源10は、経時的に実質的に一定の振幅(実質的に一定の放出強度を意味する)で放射線100を放出することが可能であるが、放射源10は、他の時間ドメイン特性を有する放射線100を放出することも可能である。実施形態では、放射源10はパルス化された放射線100を放出する。パルスは、パルス持続時間およびパルス周期を有することができる。パルス持続時間は、パルスの持続時間である。パルス周期は、パルスがどのくらいの頻度で反復するかを指定する(パルス周期の逆である「パルス周波数」とも記載されてもよい)。放射振幅または強度は、パルス間で必ずしも0ではないことに留意されたい。パルス間には、過渡現象によって誘発される放射線のような、いくらかの量の放射線(パルスの間よりも少ない)が依然として存在することがある。実施形態では、パルスを定義する閾値振幅または強度は、人体などの生体におけるPBM効果を誘発するのに十分な量である。
【0072】
[0091]パルスの形状は特に限定されない。実施形態において、パルスは、長方形であってもよい。正弦曲線、三角形および鋸歯のような他の形状も可能である。異なる形状を有するパルスの組み合わせも可能である。実施形態では、パルスの終端は、振幅が予め定められた閾値を下回る点として定義されてもよい。予め定められた閾値は、約0または非0であってもよい。予め定められた閾値は、0.001%、0.01%、0.1%、1%のようなピーク振幅のパーセンテージなどの相対的な用語で定義することができる。予め定められた閾値は、絶対項で定義されてもよい。いくつかのパルス形状は、放射源として使用される材料(例えば、半導体または蛍光体)に関連する遅延または減衰効果など、放射源に依存するある条件に特に適するかもしれない。矩形パルス形状は、集積回路のような、そのようなパルスのための多種多様な利用可能な発生器のために有利であるかもしれない。正弦波パルス形状は、放射電力を広げることが必要とされる場合に有益であるかもしれない。
【0073】
[0092]実施形態では、放出される放射線100はパルスであり、約0.05から500msの範囲のパルス持続時間を有してもよい。実施形態では、パルス持続時間は、約0.1から100ms、または約0.5から20ms、または約1から20ms、または約4から10msの範囲内であってもよい。1から40ms、4から40msおよび8から30msのような、パルス持続時間の他の範囲も可能である。誘発されることが望ましいPBM応答のタイプに応じて、5ms、13.4ms、27.78ms;16ms、8msおよび4ms(それぞれ50Hz、100Hzおよび200Hzのパルス周波数を有する);ならびに8msおよび40msなどのパルス持続時間の他の値または範囲も可能である。これらの値および範囲は、あるタイプの医学的利益を達成するために特に好適であるかもしれない。
【0074】
[0093]実施形態では、放出される放射線100はパルスであり、約0.01から10000Hzの範囲のパルス周波数(パルス周期の逆)を有することができる。実施形態では、パルス周波数は、約0.1から2500Hz、または約1から160Hzの範囲であってもよい。パルス周波数の他の範囲も可能である。
【0075】
[0094]パルス持続時間およびパルス周期(周波数)に関連するパラメータはデューティサイクルである。デューティサイクルは、パルスの周期とパルス間の周期との比を説明し、通常はパーセンテージで説明される。デューティサイクルは、パルス持続時間をパルス周期で割ったものとして定義することができる。実施形態では、放射線100は、50%以下のデューティサイクルを有する。他の最大デューティサイクル値、例えば40%、30%、20%、10%、5%、3%、2%、1%、0.5%、0.1%、0.05%および0.01%も可能である。実施形態では、2つ以上のデューティサイクルが使用されてもよく、それらは交互に使用されてもよい。可変デューティサイクルは、特に可変周波数と組み合わされた場合、異なる時間にわたって異なる線量を直接可能にする。(例えば、熱的制約のために)駆動強度がデューティサイクルに関連するあるタイプの放射源については、可変デューティサイクルは、異なる冷却期間を提供することによって、異なる時間にわたって異なる出力密度をさらに可能にすることができる。
【0076】
[0095]パルス放射線100は、ピーク放出強度を有することができる。実施形態では、放射源によって(例えばパルス駆動電流を介して)放出される放射線のピーク放出強度は、少なくとも25Wである。実施形態では、ピーク放出強度は、少なくとも50W、75W、100W、150W、200W、300W、400W、または500Wであってもよい。ピーク放出強度に対する制約は、利用可能な電力と、放射源10で使用されるデバイスの数および物理的能力とを含む。実施形態では、放射源10によって放出される放射線100のピーク放出強度は、人体において有益なフォトバイオモジュレーション(PBM)応答を誘発するのに十分である。
【0077】
[0096]放射源10によって放出された放射線100がパルス状である場合、放射源10から離れた距離で測定された放射線100の出力密度も経時的に変化するかもしれず、したがってピークおよび谷を有するかもしれない。換言すれば、出力密度が経時的に測定され、例えばオシロスコープ上に表示される場合、パルス信号を表示することができる。実施形態では、放射源10によって放出された放射線100によって可能になる達成ピーク出力密度は、0.4から50mW/cm2、任意選択で1から50mW/cm2、任意選択で5から15mW/cm2であるが、他の適切な範囲も可能である。(ピーク)出力密度は、使用シナリオに応じて、放射源10から約0.2から約5mの共通の平均距離で測定することができる。好ましくは、放射源10は、放射源10から約0.5から3mの共通の平均距離において上述の出力密度範囲を可能にすることができる。別の実施形態では、(ピーク)出力密度は、照明装置1aの照度が約500ルクス(lx)である距離において測定されてもよい。
【0078】
[0097]電力を時間で乗算するとエネルギーが得られることはよく知られている。したがって、放射線の量は、エネルギー(例えば、ジュール(J))またはエネルギー密度(例えば、J/cm2)で表すこともできる。実施形態では、放射源100は、8時間以内に予め定められたスペクトルで少なくとも3000ジュールを放出する(1、2、4および6時間などの他のエネルギー値および持続時間値も可能である)。
【0079】
[0098]ある期間にわたって所定の点で受け取られる放射エネルギーの総量は、単位面積当たりのエネルギーで表すことができる。この量は、「フルエンス」または単に「量」若しくは「線量」と呼ばれてもよく、J/cm2が例示的な単位である。
【0080】
[0099]実施形態では、放射源100は、人体においてPBM応答を誘発するのに十分な線量を送達するように構成されてもよい。誘発されるPBM応答の型に依存して、異なる線量が必要とされてもよい。実施形態において、放射源100は、放射源から共通の平均距離で測定した0.01から5J/cm2の線量を送達するように構成されてもよい。放射源からの一般的な平均距離は、使用シナリオに応じて約0.2から約5mであってもよい。好ましくは、線量は、放射源から約0.5から3mの共通の平均距離で測定されてもよい。別の実施形態では、送達される線量は、照明装置1aの照度が約500ルクス(lx)である距離で測定されてもよい。
【0081】
[00100]光源11は、可視光を放出するように適合される。光源11は、駆動信号を受信する、または駆動信号によって励起されると、可視光110を放出する。駆動信号は電気信号であってもよい。実施形態では、駆動信号は、第2の駆動電流111などの電流である。光源11は、一般照明、タスク照明、アクセント照明の目的のうちのいずれかであってもよい。いくつかの実施形態では、放出される可視光110は、CIE XYZ色空間における黒体線に対して10SDCM未満の距離を有する色点を有してもよい。いくつかの実施形態では、色点は、黒体線から8SDCM、7SDCM、6SDCM、5SDCMまたは3SDC内の距離を有してもよい。そのような種類の光は、一般照明、タスク照明およびアクセント照明の目的に有用であってもよい。
【0082】
[00101]本明細書の文脈において、「一般照明(general lighting)」(「一般照明(general illumination)」と呼ばれることもある)は、人の視覚を支援するための単なる照明以外の特殊目的照明(例えば、細菌の死滅、植物の成長、亀裂の検出、医学的処置、日焼け)ではないことを意味する。これは、空間が暗すぎて人々が作業/生活することができず、その照明レベルを上げなければならないときに、本明細書の実施形態を使用して、その空間の照明レベルを上げて、人々がその空間で生活し、作業するのに好都合であるようにすることができることを意味する。
【0083】
[00102]本明細書の文脈において、「タスク照明」とは、スポーツ分野、病院、オープンストリートおよび自動車道路などの、より具体的な用途を有する一般照明の形態を指す。一般照明と比較して、タスク照明は、より高い輝度を達成するためにおよび/またはより広いエリアをカバーするために、より高い出力を必要とするかもしれない。本明細書の文脈において、「アクセント照明」は、視覚的アクセントを生成することを意図した形態の照明を指し、室内に置かれる鉢植えの草花の強調、彫刻、塗装および他の装飾、並びに建築上の質感または屋外の造園の強調が含まれる。
【0084】
[00103]光の色は、CIE XYZ色空間などの色空間中の点として説明されてもよい。一般照明目的のための可視光110の色は、厳密な白色光に限定されず、白色光は、色空間において、単一の点ではないとしても非常に小さいエリアを占有する。一般照明、タスク照明、またはアクセント照明目的に適していると考えられる例示的な色点は、黒体線、黒体線の一部分、および黒体線(の一部分)からある距離内の色点を含む。
【0085】
[00104]黒体線は、様々な黒体温度で黒体によって放出される電磁放射のCIE色空間中の色点の集合である。異なる黒体温度は異なる色相をもたらす。例えば、白熱ランプは、2700Kで光を放出することができ、これは、しばしば「暖かい」白色光と呼ばれる明るい赤色またはオレンジ色の色相を示す。4000Kおよび6500Kのようなより高い温度での色相はより白く、「より青みを帯びた」と呼ばれることもある。
【0086】
[00105]一般的な照明、タスク照明またはアクセント照明の目的に適した色点は、黒体線上の色点に限定されず、黒体線からある距離内の色点を含むことができる。これは、蛍光ランプおよびLEDなどの非黒体放射光源のケースであってもよい。
【0087】
[00106]
図1Cは、ANSI C78.377-2008規格からのCIE XYZ色空間の一部を図示する。図示された色空間は、「黒体軌跡」とラベル付けされた黒体線の一部分を含む。7ステップマクアダム楕円と呼ばれる6つの楕円はそれぞれ、黒体線上の2700K、3000K、3500K、4000K、5000Kおよび6000Kに対応する色点から7SDCM内のエリアの境界を示す。当業者は、SDCMがマクアダム楕円と同じ意味を有することを理解する。黒体線上の点から、好ましくは1700Kから6500Kの点から7SDCM内に色点を有する可視光は、依然として人の裸眼では比較的白色であると考えることができ、一般的な照明、タスク照明またはアクセント照明の目的に好適であるかもしれない。
【0088】
[00107]
図1Dは、2700K、3000K、3500K、4000K、5000Kおよび6000Kに対応する色点の各々の周りに4つのマクアダム楕円を有するCIE XYZ色空間における黒体線の一部を図示している。4つのマクアダム楕円はそれぞれ、対応する色温度から7SDCM、5SDCM、3SDCMおよび1SDCMを示す。図示されたマクアダム楕円のうちのいずれか内に色点を有する可視光は、一般照明目的、タスク照明目的、またはアクセント照明目的に適していてもよい。
【0089】
[00108]再び
図1Cを参照されたい。一般照明、タスク照明、またはアクセント照明目的に適していてもよい色点を示す別の方法は、様々な四辺形として
図1Cに示されるANSI C78.377-2008ビニング標準などのビニングによるものである。
図1Cに示されるビニングは、網羅的ではない。例えば、
図1Eは、より正確な仕様を可能にできる、
図1Cに示されるビンのセグメント化を図示する。
【0090】
[00109]実施形態において、光源11(または光源11を備える照明装置1a)は、光源11が使用されているときに20%または15%または10%または5%または3%より多くを超えて変動しない光束を有する可視光110を生成するように適合されてもよい。光束の変動が抑制された可視光110は、フリッカが少なく、したがって、一般照明により適している。実施形態では、光源11(または光源11を備える照明装置1a)は、人の目に知覚可能なフリッカなしで、例えば、非常に少量のフリッカまたは人の目が知覚するには高すぎる周波数のフリッカのみで可視光を生成するように適合されてもよい。
【0091】
[00110]実施形態では、光源11は少なくとも25ルーメンを放出することができ、これはおよそ2つのキャンドルに相当する。そのような光源は、家庭装飾目的に有用であるかもしれない。実施形態では、光源11は少なくとも100ルーメンを放出することができる。実施形態では、光源11は少なくとも300ルーメンを放出することができ、これは家庭での一般照明目的に適している。例えば、オフィスまたは工場環境における一般照明に適するように、他の量の光束も可能である。
【0092】
[00111]実施形態において、可視光110を放出する光源11の相関色温度(CCT)は、約1700から6500Kの範囲内、任意選択的に約2400から5500Kの範囲内、任意選択的に約4000から5500Kの範囲内である。実施形態では、可視光110を放出する光源11の演色評価数は、約2700Kの相関色温度で80から99の範囲である。そのような光源は、例えば単色のR、GまたはB光源よりも、人のユーザによる一般照明目的に対してより受け入れられることができる。言うまでもなく、ルーメン仕様、CCTおよびCRIの多くの適切な組合せが可能である。
【0093】
[00112]光源11は電力を消費することができる。実施形態では、光源11は、照明装置1aの使用シナリオの電力要件に応じて、120W未満、任意選択的に80W未満、任意選択的に30W未満の電力を消費することができる。
【0094】
[00113]一般照明用の多くの光源を光源11として使用することができる。実施形態では、光源11は、白熱電球、ハロゲン電球または蛍光管を含むことができる。実施形態では、光源11はソリッドステートデバイスを含むことができる。実施形態では、光源11は、発光ダイオード(LED)または2つ以上のLEDを含むことができる。LEDのタイプは特に限定されない。
【0095】
[00114]放射源10および光源11は各々、電力を消費してもよい。実施形態において、放射源10は、照明装置1aが使用されているときに光源11によって消費されるわずかな電力を消費してもよい。割合は、50%以下、任意選択で25%以下、任意選択で10%以下、任意選択で5%以下であってよい。より低い割合は、照明装置1aのユーザが、光源11によって提供される一般照明の利益に加えて、より低い限界電力消費でPBM誘発放射線の追加の利益を得ることができることを意味する。放射源10によって消費される電力の量は、放射源10と光源11とを組み合わせた総電力消費の割合、例えば、3分の2未満、5分の1未満、または約5%から10%の範囲で表すこともできる。
【0096】
[00115]駆動回路12は、放射源10および光源11を駆動または励起するための駆動信号を提供することができる。実施形態では、駆動回路12は、第1の駆動電流101を放射源10に供給し、第2の駆動電流111を光源11に提供することができる。第1の駆動電流101および第2の駆動電流111は互いに異なってもよい。実施形態では、駆動回路12は、第1の駆動電流101を光源11ではなく放射源10に供給することができ、および/または駆動回路12は、第2の駆動電流111を放射源10ではなく光源11に供給することができる。
【0097】
[00116]実施形態では、第1の駆動電流101はパルス化されてもよく、20%未満、任意選択で10%未満、任意選択で5%未満のデューティサイクルを有してもよい。実施形態では、パルス化された第1の駆動電流101は光源11に供給されない。
【0098】
[00117]実施形態では、放射源10は、第1の駆動電流101にほぼ瞬時に(すなわち、遅延がないかまたは無視できる量の遅延で)反応するようなものとすることができ、そのケースでは、第1の駆動電流101が経時的にどのように変化するか、および放射源10によって放出された放射線100が経時的にどのように変化するかは、互いに同様であるかまたは実質的に同一である。例えば、駆動電流に迅速に反応することができる最新のソリッドステート放射デバイス(LEDなど)が放射源10として使用され、パルス駆動電流101によって駆動される場合、放射源10によって放出される放射線100も同様のパルスパラメータ(ピーク強度、パルス持続時間、パルス周期/周波数、デューティサイクルなど)でパルス化される。
【0099】
[00118]実施形態では、光源11を駆動する第2の駆動電流111もパルス化されることができる。一例は、LED一般照明デバイスにおいて調光制御を達成するためにパルス幅変調を使用することである。実施形態では、第2の駆動電流111は、特定の光源によって必要とされるかもしれないDCまたはACであってもよい。実施形態において、第2の駆動電流111は、連続波(CW)モードで光源11を駆動することができる。
【0100】
[00119]任意選択のセンサ14は、入力141を駆動回路12に提供することができる。駆動回路12は、入力141に応答して第1の駆動電流101を修正してもよい。例えば、センサ14は、ユーザの存在/または距離に応じて第1の駆動電流101をオンまたはオフにするように駆動回路12に命令する認識センサまたは距離センサであってもよい。いくつかの実施形態では、駆動回路12に結合されるものは、厳密な意味での「センサ」ではないが、照明装置1a内に存在してもしなくてもよいより一般的な情報源である。たとえば、入力141は、ユーザのスマートモバイルデバイスから来る気象データまたはユーザデータであってもよい。
【0101】
[00120]照明装置1aは、外部電源、スイッチ、バラストおよび接地ピンのような、
図1Aに明示的に描かれていない回路ブロック/要素を含んでもよいことに留意すべきである。第1の駆動電流101および第2の駆動電流111を制御することなどの様々な目的を達成するために、放射源10と駆動回路12との間および/または光源11と駆動回路12との間に追加の回路ブロック/要素があってもよい。
【0102】
[00121]
図1Bは、本開示の実施形態にしたがう照明装置を図示している。照明装置1aと比較して、照明装置1bは、駆動回路13をさらに備えている。駆動回路13は任意である。駆動回路13の追加は、光源11を駆動する際により多くの柔軟性を提供することができる。例えば、光源11は、放射源10とは異なる方法で容易に駆動できる。さらに、光源11および放射源10を励起するための駆動回路を分離することは、干渉およびクロストークを低減するのに役立つかもしれない。
【0103】
[00122]
図2Aから
図2Dは、本開示にしたがう上述の照明装置を組み込んだ異なる実施形態を概略的に示す。
【0104】
[00123]
図2Aは、照明装置1aを備える電球2aを図示している。電球2aは、一般消費者が使い慣れて使いやすいと思うレトロフィット電球であってもよい。照明装置1aの光源11は、電球2aを一般照明目的に適したものにするのに十分な可視光110を提供することができる。可視光110は、量(例えば、十分な明るさ)および質(例えば、フリッカがない、快適な色など)の両方の感覚において十分であってもよい。電球2aを設置して点灯させた後、ユーザは、照明用の可視光110を受けるだけでなく、人体に有益なPBM応答を誘発できる放射線100にもさらされる。すなわち、本開示の実施形態にしたがう電球2aは、2つの機能を達成し、従来の電球よりもはるかに有用である。
【0105】
[00124]
図2Bは、照明装置1aを備えるライトチューブ2bを示す。ライトチューブ2bは、従来の蛍光管として一般消費者が使い慣れて、使用やすいと思うレトロフィットライトチューブであってもよい。ライトチューブ2bは、標準的な蛍光照明器具で取り付けるように適合されてもよい。電球2aと同様に、ライトチューブ2bは、そのユーザに二重機能(一般照明および健康上の利益)を提供することができる。
【0106】
[00125]
図2Cは、照明装置1aを備えるランプ2Cを図示している。ランプ2cは、既存の標準的な取付具に容易に取り付けられるように適合された既製のランプであってもよい。一般消費者は、ランプ2cを購入することができ、標準的な取付具に適合するように電気技術者を呼ぶ必要なくランプ2cを使用することができ、同時に、照明装置1aとしての大きな汎用性および利益をユーザに提供する。実施形態において、ランプ2cは、特定の取付具で取り付けるようにカスタマイズされてもよい。
【0107】
[00126]
図2Dは、照明装置1aを備える照明器具2dを示す。照明器具2dは、照明装置1aまたは照明装置1aを有するランプを収容する照明設備を備えていてもよく、シェード、ベースおよび/またはハウジングのような装飾要素を任意に備えてもよい。照明器具2dは、例えば、家庭またはオフィス環境において使用されてもよく、追加の照明要件を満たすために追加の光源を備えてもよい。実施形態において、照明器具2dは、照明装置1aの全ての要素が既に照明器具2dに据え付けられている既製品として利用可能であってもよい。ユーザは、そのような照明器具2dを購入し、それに電力を提供し、一般照明の利益と医学的利益との二重の利益を直接享受することができる。
【0108】
[00127]照明装置1aのいくつかの要素は、照明器具2dの外部に据え付けられてもよい。例えば、放射源10および光源11は照明器具2d内に据え付けられる一方で、駆動回路12は照明器具2dの外部に接続されてもよい。放射源10および光源11が2つの駆動回路によって駆動される場合には、駆動回路のうちの一方は照明器具2d内に据え付けられ、他方は駆動回路を照明器具2d外に配置されてもよい。照明装置1aのいくつかの要素が1つの照明器具に据え付けられ、照明装置1aの他の要素が別の照明器具に据え付けられた2つ以上の照明器具を使用することも可能である。例えば、放射源10と駆動回路12とが一方の照明器具に据え付けられ、光源11と駆動回路13とが他方の照明器具に搭載されてもよい。放射源10を1つの照明器具に据え付け、光源11を別の照明器具に据え付け、駆動回路12を両方の照明器具の外側に据え付けられるが両方の照明器具にまだ接続されないようにすることも可能である。
【0109】
[00128]照明装置1aが
図2Aから
図2Dに図示されているが、これが限定的でないことは明らかであるべきである。
【0110】
[00129]
図3は、本開示の特定の実施形態にしたがう、照明装置1aの使用シナリオを図示している。
【0111】
[00130]
図3において、照明装置1aは、放射線100および可視光110を放出する。ユーザ20は、照明装置1aから距離dだけ離れている。距離dは、例えば、1メートルであってもよい。可視光110は、ユーザ20の周囲を照らす。ユーザ20は、放射線100にさらされる。ユーザ20がさらされる放射線100によって可能になる(または放射線100から生じる)出力密度は、距離dおよび放射線パターンなどの要因に依存する。
【0112】
[00131]非限定的な例として、放射源10から2mの距離において8mW/cm2の出力密度を可能にするために、放射源10が850nmの光のピーク波長を有する500Wの光学放出強度を有すると仮定する。放射源10がCWモード(すなわち、500Wでのパルス化されていない実質的に一定の放出)で動作する場合、電気から光への電力の変換効率が50%であると仮定すると、必要な電力量は1000Wである。
【0113】
[00132]上記の非限定的な例では、2mの距離にいるユーザ20は、PBM応答を誘発するのに十分な8mW/cm2の出力密度にさらされることができる。ユーザ20が受ける線量(エネルギー密度)は、8mW/cm2に露光時間を乗じたものである。
【0114】
[00133]上記の非限定的な例における放射源10は、以下で説明されるように、追加の利益を提供する異なる方法で動作または駆動されてもよい。
【0115】
[00134]
図4を参照すると、
図4は、本開示の実施形態にしたがう照明装置において経時的なさまざまな駆動電流のグラフを図示している。曲線30は第1の駆動電流101を表し、曲線31は第2の駆動電流111を表す。図示されるように、曲線30として表される第1の駆動電流101はパルス化されているが、曲線31として表される第2の駆動電流111はパルス化されていない。パルス化されていない第2の駆動電流111は、光源11が一般照明に適した安定した可視光を提供することに役立つことができる。しかしながら、第2の駆動電流111は異なる形状を有することができ、いくつかの例が曲線31から33によって図示されている。例えば、第2の駆動電流111は、曲線31によって例示されるように、定常DC電流であってもよい。別の例として、第2の駆動電流111は、曲線32によって例示されるように、整流AC電流であってもよい。整流AC電流は、例えば100または120Hzの周波数を有することができ、このような駆動電流は、白熱ランプのような可視光源に適している。別の例として、第2の駆動電流111は、曲線33によって例示されるようにパルス化されてもよい。曲線33は、約20000Hzから300000Hz、任意選択で約50000Hzから300000Hzの範囲のパルス周波数を有するパルス幅変調(PWM)駆動電流を表すことができる。光源11を適切な周波数でパルス化することは、人の目で知覚可能なフリッカを発生させることなく調光制御を提供することができる。
図4の縮尺は説明のためのものであり、正確なものではないことは明らかである。
【0116】
[00135]
図4に示されるように、第1の駆動電流101は、パルス持続時間Tdおよびパルス周期Tを有する。デューティサイクルは、TdをTで除算したものである。パルスの間、放射源10は最大放射で動作され、パルスの間、放射源10はオフにされる。
【0117】
[00136]非限定的な例として、Tdのパルス持続時間が2msであり、パルス周期が1s(すなわち、1Hzのパルス周波数)、すなわち0.2%のデューティサイクルであると仮定する。そのように駆動される放射源10は、パルス中に2mの距離で8mW/cm2の出力密度を依然として送達するが、パルスモードにおける平均光電力は、0.2%の時間の間に放射線が存在するので、500Wの代わりに1Wになる。これはまた、500分の1の電力消費の低減を意味する。
【0118】
[00137]すなわち、(ソースにおける)放出強度と(ソースからある距離における)出力密度との同じ量が、多くの場合大きな係数による電力消費の対応する減少を伴うパルス化によって達成されることができる。一般照明のための装置は典型的に電力消費に制限を有するので、放射源10をパルス化することは、より厳しい電力バジェットで出力密度のPBM応答誘発レベルを維持できる。放射源10をパルス化することの別の結果は、同じ時間内にユーザ20によって受け取られる放射線量(エネルギー密度に関連する)が対応する係数だけ減少することである。しかしながら、より低い線量は、過量のリスクを減少させるので、実際には有益であることがある。即ち、ユーザ20は、照明装置1aをいつオフにすべきかについて心配せず、単にそれを従来の一般照明源として使用する。
【0119】
[00138]
図5を参照すると、
図5は、本開示の実施形態にしたがう照明装置の放射源10および光源11の経時的な放出強度のグラフを図示している。曲線40は放射線100を表し、曲線41は可視光110を表す。放射源10および光源11がそれぞれの駆動信号に即座に反応することができる場合、放射線100/可視光110の形状はそれぞれの駆動信号に一致することになり、そうでない場合、遅延および過渡現象が生じるかもしれない。例えば、整流AC電流によって駆動される白熱電球のような熱エミッタによって放出される光の強度は、熱慣性のために、整流AC電流よりもゆっくりと変化する。別の例として、調光制御に適した十分に高い周波数範囲のPWM信号でLEDを駆動することは、人の目に対して実質的に一定に見える光を生成できる。
しかしながら、実施形態の背後にある本発明の概念は、実質的に同一のままである。
【0120】
[00139]使用される放射源のタイプおよび必要とされるPBM誘発放射線の量に応じて、第1の駆動電流の大きさ、パルス持続時間、パルス周期、およびデューティサイクルは変化してもよい。
【0121】
[00140]
図6Aを参照すると、
図6Aは、850nmの重心波長を有する一般的なタイプの高出力SSL放射源について、(水平軸に沿った)パルス持続時間および(曲線群によって表される)のデューティサイクル異なる条件下での(垂直軸に沿った)許容駆動電流の量を図示している。
【0122】
[00141]いくつかのタイプの放射源は、それらの許容駆動電流を制限する熱的制約を有することが知られている。発光ダイオードは一例であり、過剰な量の順方向電流は、接合温度を非常に高く上昇させることがあり、放射線出力を低下させ、したがって効率を低下させる。しかしながら、選択された量のデューティサイクルと組み合わせたパルス化は、放射源がパルス間で冷却することを可能にし、それによって増強された許容駆動電流を可能にする。これは、LEDのパルス処理能力に関連する
図6Aに見ることができ、放射源がパルス化されない場合(D=1)、駆動電流は最大1Aであり、放射源が20%のデューティサイクル(D=0.2)および0.1msのパルス持続時間でパルス化される場合、駆動電流は3.5Aを超えることができる。 換言すれば、パルス化は、増強された許容駆動電流が同じ(数の)放射源からより多くの放射線出力を信頼性のある方法で得ることを可能にすることができる。
【0123】
[00142]
図6Aのプロットは、特定のタイプの高出力SSL(ソリッドステート照明)近赤外放射源に関するが、増強された許容駆動電流を可能にするために放射源をパルス化することは、一般に、すべてのSSL放射源に適用可能であり、いかなる特定のタイプのSSL放射源にも限定されない。
【0124】
[00143]放射源をパルス化する効果は実験的に検証されている。
図6Bは、
図6Aに関係する発光ダイオードとは異なる発光ダイオードに供給された駆動電流と、850nmにおける対応する放射線出力との測定結果を示す。
図6Bの上部は、約2.5Aで平均し約5msにわたる駆動電流を示す。
図6Bの下部は、約1msで安定し、その後約28%低下することを示している測定された放射強度を示している。これは、使用中の放射源のパルス処理能力で説明することができ、デューティサイクルが約20%未満であり(測定された放射強度が1msで熱垂下を開始し、これはパルス全体の約20%である)、パルス持続時間が約1ms未満である場合、2.5Aの駆動強度が許容可能である。
【0125】
[00144]異なる強化された程度で放射源を許容可能に駆動するパルス化の能力は、特定の量のPBM誘発放射線を供給する照明装置のコストを低減するために利用されてもよい。これは
図6Aでも見ることができる:2%のデューティサイクル(D=0.02)および5msのパルス持続時間は、約2.2Aの駆動強度を可能にすることができ、一方、10msのより長いパルス持続時間を有する同じデューティサイクルは、約1.7Aの駆動強度を可能にすることができる。すなわち、この例は、放射源がより短いパルス持続時間で動作する照明装置が、より長いパルス持続時間で放射源を動作させるよりも少ない数(約20%)の放射源で同じ量の放射出力密度を達成することができ、それによって照明装置のコストを低減することを示す。これは、パルスを使用して、別の方法ではオーバードライブが不可能である放射源を熱的に「冷却」するものとして説明することができる。オーバードライブはまた、例えば、より小さいダイサイズ(より安価であるが熱的により制約される)または熱的にあまり好ましくないパッケージングを有する発光ダイオードの使用を可能にすることによって、照明装置のコストを低減できる。追加的または代替的に、パルス化および特にオーバードライブは、電気的(駆動強度)および光学的(放射出力密度)態様を改善するために、放射源の熱的および機械的態様を設計すること(フリップチップもしくはワイヤボンディングを使用すること、および/または放射源と回路基板との間の熱流を設計することなど)への扉を開くことができる。
【0126】
[00145]要するに、誘発されるべき所望のPBM応答のタイプが、所望の放射出力密度を決定し、時には最小パルス持続時間も決定する。所望の放射出力密度は、用いられる放射源の駆動強度を決定する。駆動強度は、より高価な放射源によって克服されてもよい熱的考慮によって制限されるかもしれない。代替的に、パルス化およびオーバードライブは、駆動強度とコストとの間のトレードオフを改善できる。
【0127】
[00146]以下の例は、いくつかのタイプの照明装置において上述した実施形態の背後にある本発明の概念をどのように適用するかを示す。例は実例のためだけのものであり、網羅的なものではなく、限定するものではない。
【0128】
[00147]例-線形ランプ
【0129】
[00148]
図7Aは、本開示の実施形態にしたがう線形ランプ7を概念的に図示している。
【0130】
[00149]線形ランプ7は、例えばT8またはT5タイプであってもよい。線形ランプ7は、蛍光技術の代替としてLEDを備えることができる。線形ランプ7は、例えば標準的な蛍光照明器具用に設計された60cm、120cmおよび150cmのような異なる長さを有することができる。
【0131】
[00150]この例では、線形ランプ7が150cmであり、180度にわたって均一な光分布を有すると仮定する。線形ランプ7がNIR放射源を含むと仮定する。ランプから距離r=2mにおいて、2mの距離における理論的な光分布を表す理論的な半円筒の表面積は、A=Πrh=~10m2であり、総平均NIR出力電力が1Wである場合、0.1W当たり1m2である。したがって、ユーザ20が線形ランプ7から2メートル離れている場合、ユーザ20の皮膚の表面におけるNIRスペクトルの平均出力密度は、約10uW/cm2(0.1W/m2)である。
【0132】
[00151]また、線形ランプは一般にグリッド中に配置されると仮定する。したがって、線形ランプから2mの平均距離におけるユーザの皮膚上の累積平均出力密度は、平均で約60%高いと推定され、結果として約16uW/cm2となる。この利得は、線形ランプの、ある共通グリッド内に配置された隣接する線形ランプからの、光ビームの重なりおよび拡散光の蓄積によって得られる。60%値は、実際のオフィスに設置された線形ランプからの実際的な経験に基づいて推定されたものであり、実際には、ビームパターン、線形ランプ間の距離、および関連する表面の反射性などの他の要因に応じて変化してもよい。
【0133】
[00152]医学研究は、人体の皮膚における約1から50mW/cm2の範囲の平均NIR出力密度が、有益なPBM応答を誘発できることを示唆している。本発明者はまた、人体の皮膚における約5から15mW/cm2、より具体的には約8mW/cm2の平均NIRが、特に有益なPBM応答を誘発できることを認識しており、その理由は、皮膚におけるこの出力密度範囲が、皮膚の特定の目標層(真皮)における約0.4から1mW/cm2の出力密度を可能にできるからであり、これは、本発明者によって、長期全身効果に最も関連すると仮定されている。これは、線形ランプが送達可能な16uW/cm2よりも500倍高い。500倍の差は、線形ランプ中のNIR放射源からの500Wの必要とされる全平均NIR出力電力に変換される。この量のNIR出力電力の量は、(非理想的な効率などの他の要因を考慮に入れて)500Wを超える電力消費を意味し、これは、依然として実現可能であるが、家庭用の一般照明ランプなどの、ある使用シナリオには適さないかもしれない。
【0134】
[00153]NIR放射源が2msのパルス持続時間および1sのパルス周期でパルス化され、これが0.2%のデューティサイクルに達する場合、NIR放射源は依然としてパルスの間に500Wを出力するが、経時的な平均電力消費は500分の1に減少する(すなわち、1Wの連続波(CW)に等しい)。
【0135】
[00154]可能なインプリメンテーションは、150cmにわたって広がる200個のNIR LEDを使用することであり、各NIR LEDは2.5Wのピーク出力電力を有する(依然として2ms/sでパルス化される)。上記の光出力電力およびパルスパラメータを考慮すると、8時間後に放射源によって放出されるエネルギーの量は、約1(W)*8(時間)*60(分/時間)*60(秒/分)=28800(J)である。2メートルの距離でユーザの皮膚に送達される8時間後の量は、約16(uW/cm2)*8(時間)*60(分/時間)*60(秒/分)=460800(uJ/cm2)=0.4608(J/cm2)である。この線量は、ある有益なPBM応答を誘発するのに適しているかもしれない。
【0136】
[00155]NIR LEDの電気-光電力変換効率が50%であると仮定すると、NIR放射源のこのインプリメンテーションは、平均で2Wの電力を消費する。
【0137】
[00156]線形ランプ7はまた、30Wの電力を消費する一般照明用の光源を備えると仮定するが、これは家庭での使用には珍しくない。そうすると、線形ランプ7は合計32Wの電力を消費し、30Wは一般照明のための視光専用であり、2Wは有益なPBM応答を誘発できるパルス化されたNIR放射線専用である。すなわち、線形ランプ7は、そのユーザ20に対して、一般照明と医療上の利益という2つの利益を与えることができる。
【0138】
[00157]
図7Bは、線形ランプ7において使用されてもよい照明装置1cを概略的に示す。放射源10は、複数のLED70を含んでもよく、その数および光特性は、上述したものと同様であってもよい。光源11は、一般照明用の可視光を提供する複数のLED71を備えていてもよい。駆動回路12は、放射源10が上述の特性を有するNIR放射線を放出するように、パルス駆動電流を提供することができる。別の駆動回路13は、光源11が一般照明のための可視光を放出するように、非パルス駆動電流を供給してもよい。
【0139】
[00158]以下のバリエーションが実証するように、上記の例は非限定的である。
【0140】
[00159]バリエーション1
【0141】
[00160]線量(エネルギー密度)を増加させるために、パルス持続時間またはパルス周波数を増加させてもよい(すなわち、パルス周期を減少させてもよい)。いくつかの医学研究結果は、より短いパルスが、より長いパルス(すなわち、イオンチャネルの励起および緩和)と比較して、より高い量応答を可能にできることを示すので、パルス周波数を増加させることは、有利であるかもしれない。しかしながら、より高いパルス周波数および同じパルス持続時間は、より高い電力消費を必要とする。
【0142】
[00161]例として、パルス周波数が1Hzから10Hzに増加し、パルス持続時間が2msのままであると仮定する。結果として、ユーザへの8時間の線量は、0.46J/cm2から4.6J/cm2に増加する。電力消費もまた、2W電気から20W電気まで10倍増加するであろう(NIRエミッタの同じ50%壁プラグ効率(WPE)を仮定する)。
【0143】
[00162]バリエーション2
【0144】
[00163]このバリエーションでは、パルス周波数は1Hzから1.5Hzに増加し、結果として0.6912J/cm2の8時間線量をもたらし、0.4608J/cm2よりも50%高い。このバリエーションでは、電力消費も2W電気から3W電気に50%増加する(NIRエミッタの50%WPEを仮定する)。
【0145】
[00164]バリエーション3
【0146】
[00165]このバリエーションでは、パルス持続時間は2msから1msに減少し、パルス周波数は1Hzから0.5Hzに減少する(すなわち、2秒ごとに1msパルスが放たれる)。次いで、電力消費は0.5W(50%WPEで)となり、1日量(8時間さらされる)は4分の1に減少して0.1152J/cm2となる。
【0147】
[00166]30Wの電力が、一般照明のための可視光を放出する光源専用であると仮定する(白色光LEDが一例である)。そうすると、NIR放射源によって消費される電力(0.5W)は、合計30.5Wの約1.64%である。すなわち、PBM誘発NIR放射線を提供する追加の利益は、2%未満の追加の電力消費を犠牲にしてのみもたらされる。ユーザは、そのようなエネルギー請求の増加にほとんど気がつかないであろう。
【0148】
[00167]バリエーション4
【0149】
[00168]このバリエーションでは、パルス長は1ms(2msの50%)であり、パルス周波数は5Hz(1Hzの5倍)である。結果として生じる電気消費は(50%WPEで)5Wであり、皮膚への1日量(8時間さらされる)は1.152J/cm2になる。
【0150】
[00169]30Wの電力が、一般照明のための可視光を放出する光源専用であると仮定する(白色光LEDが一例である)。そうすると、NIR放射源によって消費される電力(5W)は、合計35Wの14.29%である。
【0151】
[00170]バリエーション5
【0152】
[00171]この変形形態では、パルス長は5ms(2msの250%)であり、パルス周波数は1Hzである。結果として生じる電気消費は(50%WPEで)5Wであり、皮膚への1日量(8時間さらされる)は(2mの同じ平均距離で)1.152J/cm2になる。
【0153】
[00172]バリエーション6
【0154】
[00173]このバリエーションでは、放射源は、200個の同一のNIR LEDの代わりに、800nmにピーク放出を有する100個のNIR LED(またはレーザLED、または他のソリッドステート照明(SSL)源)と、850nmにピーク放出を有する100個のNIR LED(またはレーザLED、または他のSSL源)とを含む。パルスパラメータ、光学放出強度の量および電力消費は同じままである。
【0155】
[00174]このバリエーションでは、総光学放出強度(強度)は、異なる波長を有する2種類のエミッタによって可能になる。このバリエーションは、ランプから放出された電力と、ユーザの皮膚に送達された出力密度およびエネルギー密度とが、NIR光スペクトル内の異なる発光スペクトルを有する2種類以上のNIR放出デバイスによって蓄積されることができることを示している。
【0156】
[00175]バリエーション7
【0157】
[00176]このバリエーションでは、放射源は、200個の同一のNIR LEDの代わりに、850nmにピーク放出を有する100個のNIR LED(またはレーザLED、または他のソリッドステート照明(SSL)源)と、980nmにピーク放出を有する100個のNIR LED(またはレーザLED、または他のSSL源)とを含む。パルスパラメータ、光学放出強度の量および電力消費は同じままである。
【0158】
[00177]このバリエーションは、ユーザの皮膚に送達される出力密度およびエネルギー密度が、NIR光スペクトル内の異なるスペクトルを含むことができることを再び示す。
【0159】
[00178]バリエーション8
【0160】
[00179]このバリエーションでは、200個のNIR LED(またはレーザLED、または他のSSL源)は全て、980nmにピーク放出を有する。
【0161】
[00180]通常、人の目は、760から780nmまでの光を見ることができるが、一部の人は、約1000nmまでの拡張された視力を有する。このバリエーションは、NIRへの拡張された視力を有する人間にとって有用であるかもしれない。他の適切なピーク放出位置は、1060nmを含む。
【0162】
[00181]バリエーション9
【0163】
[00182]このバリエーションでは、線形ランプ中の放射源は、850nmにピーク放出を有する150個のNIR LED(またはレーザLED、または他のSSL源)を含み、各NIR LEDは、2.5Wではなく3.33Wのピーク放出を有する。累積総ピーク強度は依然として500Wである。したがって、他の関連パラメータは同じままである。
【0164】
[00183]このバリエーションは、個々の放射デバイスのピーク放出レベルのうちの1つおよびその数が、他方の変化に適応するように変化できる一方で、同じ総ピーク放出が達成されることを示す。
【0165】
[00184]バリエーション10
【0166】
[00185]このバリエーションでは、目標ピーク出力密度は、皮膚における850nmのNIR放射線の約32mW/cm2である。そのような強度(本開示において先に議論された1から50mW/cm2の範囲の上限)は、放射線のより深い浸透が特に有用である人体の特定の位置において有益であるかもしれない。
【0167】
[00186]目標が大うつ病障害、アルツハイマー病および認知症などの、ある疾患を治療する人の脳である場合に、そのような出力密度が有益であることを研究は示している。したがって、そのようなより高い強度は、高齢者の家庭または精神科の施設において有益であるかもしれない。
【0168】
[00187]研究はまた、そのような強度での800から1100nmの間のNIR光が健康な対象の濃度および/または焦点を増加させるのに有益であることを示しており、これもまた、このバリエーションで説明された同様の出力密度で脳を目標化することによる。したがって、わずかに高い出力密度で出力密度を使用することは、強化された認知機能に対する要求を有する環境おいて有益であるかもしれず、その利益は、電力消費のわずかな増加を正当化する以上のものである。認知強化特性を有するこのバリエーションのランプは、学校、大学、オフィス、会議室、舞台または同様の要件を有する他の場所に有用であるかもしれない。
【0169】
[00188]180度にわたって均一な光分布を有する150cmの線形ランプを仮定する。ランプからの距離r=2mにおいて、2mの距離における理論上の光分布を表す理論上の半円筒の表面は、A=Πrh=約10m2である。連続波NIR出力電力が2Wである場合、これは、結果として0.2W当たり1m2となる。
【0170】
[00189]また、線形ランプは一般にグリッド内に配置されると仮定する。したがって、線形ランプから2mの平均距離におけるユーザの皮膚上の累積平均出力密度は、平均で60%高いと推定され、結果として約32uW/cm2となる。これは、32mW/cm2の所望の目標よりも1000倍低く、放射源における(ピーク)NIR出力電力が2Wの1000倍、すなわち2000Wであるべきであることを示す。
【0171】
[00190]NIR放射源が1msのパルス持続時間および1sのパルス周期でパルス化され、これが0.1%のデューティサイクルに達する場合、NIR放射源は依然としてパルスの間に2000Wのピーク放出強度を達成するが、経時的な平均電力消費は1000分の1に減少する(すなわち、2Wの連続波(CW)に等しい)。
【0172】
[00191]1.5mの長さは、分散する200個のNIR LEDを収容することができ、これは、(1ms/sパルスで)10Wに低下する所望の単一LEDピーク強度をもたらす。これは、例えばレーザLEDによって実現されてもよく、レーザLEDは、寿命にわたってより短いおよびより強いパルスに耐えることができる。
【0173】
[00192]2メートルの距離にいるユーザに対して8時間後に結果として生じる線量は、約32(uW/cm2)*8(時間)*60(分/時間)*60(秒/分)=921600(uJ/cm2)=0.9216(J/cm2)である。
【0174】
[00193]NIR放射源は4Wの電力を消費するであろう。ランプが30Wを消費する一般照明に対する可視光源を含む場合、このバリエーションのランプの総消費電力は34Wとなる。
【0175】
[00194]例-「活性化ミラー」
【0176】
[00195]PBM誘発放射線はミラーに追加されてもよい。これは、例えば、PBMを朝のルーチンに追加することができる。
【0177】
[00196]半球内の均一な光分布を有するNIR LEDを仮定する(以下で説明する計算方法は、集中パターンまたはランバートパターンなどの他の分布パターンに適合されてもよい)。ランプからの距離rにおいて、半球の表面積はA=2Πr2である。例えば、平均距離rが0.66mである場合、Aは約27370cm2である。
【0178】
[00197]800から870nmを超える約8mW/cm2のNIR出力密度が皮膚上で望ましいと仮定する。次に、放射源は、約8mW/cm2*27370(cm2)=約219Wの光電力を有する800から870nmにわたるNIR放出を放出すべきである。(有用なNIR放出に関して、これは、反射体を有するミラーの周りに据え付けられた100Wの白熱電球20個にほぼ等しい。)
【0179】
[00198]放射パターンを調整する技術(好ましいランバート放射または光学的に集中したLED放射など)は、放射源における必要とされる放出強度を219Wから100Wに下げることができる。これは、例えば、それぞれが30nmのFWHMで850nmにおいて1Wのピーク放出を有する100個のNIR LEDによって実現されることができる。
【0180】
[00199]100個のNIR LEDは、10msのパルス持続時間および10Hzのパルス周波数でパルス化されてもよい(すなわち、LEDは、0.1秒ごとに10msでオンに切り替えられ、100ms/sの総オン時間に相当する)。結果として生じる電力消費は、50%のNIR光源のWPEを仮定すると、20Wとなる。距離rにおける皮膚表面に送達される線量は、48mJ/cm2/分である。ユーザがミラーを1日20分使用すると仮定する。そうすると、ミラーは、上述の距離rでさらされた皮膚に1日当たり約1J/cm2の平均エネルギー密度(または線量、フルエンス)を送達することになる。
【0181】
[00200]追加の特徴として、ミラーのNIR放射源は、認識センサまたは動きセンサによってオンに切り替えられてもよい。
【0182】
[00201]バリエーション-入院患者照明
【0183】
[00202]同じ概念は、病院における入院患者照明(患者ベッドの端壁におけるHCL(人中心の照明)要素など)にも適用されてもよい。
【0184】
[00203]同じ光特性を有する100個のNIR LEDが患者の顔から0.66mの平均距離に位置する、上述した活性化ミラーの例と同様の設定を仮定する。デバイスは、20から100分間、1日に1から2回自動的にオンになり、毎回1から5J/cm2を送達するように設計されてもよい。
【0185】
[00204]例-オフィス照明トロファ
【0186】
[00205]トロファは、モジュール式の吊り天井グリッド(すなわち、600×600mmまたは300×1200mm)に収まる矩形の照明設備である。トロファ設備は、標準的な蛍光ランプ(例えば、T12、T8またはT5)を収容するように、または一体型LED源を有するように設計されてもよい。トロファは、天井グリッドの上に置かれて凹んでいるか、または表面据え付け「ボックス」中で利用可能であってもよい。
【0187】
[00206]この例では、Trilux社からの「BelvisionC 1 600 CDP LED 3900 nw01」という名称の人気のあるトロファが使用される。トロファは5×4×3mのサイズを有する部屋に据え付けられているものと仮定する。床から75cm上の想定される作業面上で>500luxの標準照度を達成するためには、70(天井)/50(壁)/20(床)%の表面反射性および0.8の維持係数で、3つの(正確に2,93から切り上げた) 設備が必要である。
図8は、そのような部屋におけるトロファおよびその使用の例示的な実例を提供する。
【0188】
[00207]トロファの各々は、27Wのエネルギー消費を有し、3つの設備すべてについて合計81Wである。これは、結果として、50%の壁プラグ効率(WPE)を仮定すると、作業表面m2当たり約4Wの電気エネルギー消費、またはm2当たり約2Wの光学をもたらす。
【0189】
[00208]上述の放射パターンおよび部屋の表面反射性では、作業面において500lxが達成され、これは500ルーメン/m2とも記載されることができる。利用可能な全ルーメンは12000lm(設備当たり4000lm)であり、これは、損失なしで利用可能なルーメンが600lm/m2であることを意味し、これは、天井、壁および床からの反射および吸収損失により100lm/m2を失うことを示す。したがって、この設定では、設備によって放出される最初に利用可能なルーメンの20%が失われる。
【0190】
[00209]次のステップは、統合されたNIR光について同様の維持および反射損失ならびに同様の放射パターンを仮定して、設備ごとのNIRスペクトルにおける光学ワットの量を求めることである。
【0191】
[00210]床から75cm上にある作業面と比較して地面から同様の距離にある850nmのピーク波長を有するNIR放射線の8mW/cm2の目標出力密度を仮定する。光源において最初に利用可能な光電力と比較して20%の上述の損失を考慮すると、作業面のcm2当たり10mWが放射される必要があると仮定し、これは100W/m2であり、または20m2(5×4m)の断面積全体に対して2000Wである。
【0192】
[00211]したがって、2000W/3設備=設備当たり850nmで約667Wのピーク放出が必要である。このピーク放出は、それぞれが3.335Wの光電力のパルスピーク放出を有する、設備当たり200個の単一NIR LEDによって可能にすることができる。
【0193】
[00212]NIR発光が1Hzのパルス周波数および1msのパルス持続時間(矩形波形、100%変調)を有すると仮定する。そのようなパルスパラメータでは、850nmでの平均放出光ワットは、0.667W、または50%WPEで設備当たり1.333W電力、または部屋当たり合計4W電力(3つの設備すべてについて)である。
【0194】
[00213]さらに、人間が前記光に8時間または28800秒間さらされ、前記人間の皮膚表面が、平均して、この時間の間の作業面と比較して光源に対して同様の距離にあると仮定する。したがって、前記人間の皮膚の表面上の(8時間さらされる)1日当たりの達成される線量(またはエネルギー密度)は、平均で8(mW/cm2)*28800(s)*(1/1000)=約0.23(J/cm2)である。
【0195】
[00214]バリエーション1
【0196】
[00215]このバリエーションでは、NIR放射線放出が2Hzのパルス周波数および2msのパルス持続時間(矩形波形、100%変調)を有すると仮定する。このデューティサイクルおよび周波数では、850nmでの平均放出光ワットは、上記の例と比較して4倍高く、これは、結果として、2.667W、または50%WPEで設備当たり5.334Wの電力、または部屋当たり合計約16Wの電力(3つの設備すべてについて)をもたらす。さらに、人間が前記光に8時間または28800秒間さらされ、前記人間の皮膚表面が、平均して、この時間の間の作業表面と比較して光源への同様の距離にあると仮定する。したがって、前記人間の皮膚の表面における1日当たりの達成線量(またはエネルギー密度)(8時間さらされる)は、約0.92J/cm2(8mW*28800s*(0.002/0.5))である。
【0197】
[00216]バリエーション2
【0198】
[00217]このバリエーションでは、NIR放射線が3Hzのパルス周波数および3msのパルス持続時間(矩形波形、100%変調)を有すると仮定する。このデューティサイクルおよび周波数では、850nmでの平均放出光ワットは、例と比較して9倍高く、これは結果として、6Wの光電力、または50%WPEで設備当たり12Wの電力、または部屋当たり合計36Wの電力(3つの設備すべてについて)となる。さらに、人間が前記放射線に8時間または28800秒間さらされ、前記人間の皮膚表面が平均して、この時間の間に作業表面と比較して光源への同様の距離にあると仮定する。したがって、前記人間の皮膚の表面における1日(8時間さらされる)当たりの達成量(またはエネルギー密度)は、約2.07J/cm2(8mW*28800s*0.003*3)である。
【0199】
[00218]バリエーション3
【0200】
[00219]このバリエーションでは、NIR放射線が1.5Hzのパルス周波数および10msのパルス持続時間(矩形波形、100%変調)を有すると仮定する。このデューティサイクルおよび周波数において、850nmにおける平均放出光ワットは、例と比較して15倍高く、これは、結果として、10Wの光電力、または50%WPEにおいて設備当たり20Wの電力、または部屋当たり合計60Wの電力(3つの設備すべてについて)となる。さらに、人間が前記光に8時間または28800秒間さらされ、前記人間の皮膚表面が、平均して、この時間の間の作業表面と比較して光源への同様の距離にあると仮定する。したがって、前記人間の皮膚の表面における1日当たりの達成量(またはエネルギー密度)(8時間さらされる)は、約3.46J/cm2(8mW*28800s*0.010*1.5)である。
【0201】
[00220]バリエーション4
【0202】
[00221]このバリエーションでは、NIR放射線が0.1Hzのパルス周波数および5msのパルス持続時間(矩形波形、100%変調)を有すると仮定する。このデューティサイクルおよび周波数において、850nmでの平均放出光ワットは、例と比較して2倍低く、これは、結果として、0.333Wの光電力、または50%WPEにおいて設備当たり0.667Wの電力、または部屋当たり合計2Wの電力(3つの設備すべてについて)となる。さらに、人間が前記光に8時間または28800秒間さらされ、前記人間の皮膚表面が、平均して、この時間の間の作業表面と比較して光源への同様の距離にあると仮定する。したがって、前記人間の皮膚の表面における1日(8時間さらされる)当たりの達成量(またはエネルギー密度)は、約0.115J/cm2(8mW*28800s*0.005*0.1)である。
【0203】
[00222]例-照明トロファ
【0204】
[00223]インプリメンテーションの詳細を有する照明トロファの別の例が以下に提供される。
【0205】
[00224]
図9Aは、この例で使用される可視光源および放射源を示す。
図9Aの上部は、以下の仕様を有するSYLVANIA START PANEL600 4000K G4”(EAN5410288477794)を示す。596×65×596mmのパネルは、4000Kの色温度および4200lmの光束で可視光を生成するLEDを備えている。パネルは230Vで動作し、30Wの電力を消費する。厚さ約1.5mmのPMMA/PVAの拡散器がある。
【0206】
[00225]照明トロファは、Vishay(タイプVSMY98545)からの赤外線放射を放出する100個のLEDも備えている。
図9Aの下部は、1つのそのようなLEDの写真を示す。パッケージ形態は、レンズ付き高出力SMDである。寸法は、3.85×3.85×2.24(L×W×H、mm)である。ピーク波長はλp=850nmである。半強度の角度はφ=45度である。
【0207】
[00226]設計目標は、約2mの距離で所望のスペクトルNIR-Aにおいて8mW/cm2の出力密度を実現するように、850nmピークにおいて少なくとも160Wの光電力であり、45度の半強度の角度が考慮される。
【0208】
[00227]VSMY98545のデータシート(https://www.vishay.com/doc?81223で見出されることができる)によれば、各LEDは、1Aの順方向電流で約800mWの光電力、または2.5Aの順方向電流で約1.89Wを出力し、1%のデューティサイクルで5msでパルス化される(データシートから導出される、約236%を800mWに乗算)。したがって、(その拡散器の背後の)可視照明パネル中に配置された100個のそのようなLEDは、合計で189Wを出力することができ、それによって設計目標を満たす。https://www.vishay.com/doc?81223
【0209】
[00228]
図9Bは、光放射の方向の中心において、この例の照明トロファから1メートルで測定されたスペクトルを図示する。測定は暗室で行い、バックグラウンドノイズを別個に測定し、測定スペクトルから差し引いた。測定は、十分に多数のパルス周期が含まれることを保証し、全スペクトルのパルス化された部分における平均光強度を測定するために、平均化された測定スペクトルを用いて4秒間にわたって行われた。760から900nmの間の近赤外部分における積分電力は、可視スペクトルにおける光電力の約10%である。このパーセンテージは、赤外線LEDに供給される電力が可視光パネルの電力の約15%であり、赤外線LEDが可視光パネルの約60%の電気効率と比較して約40%の電気効率を有するという事実と一致する。可視光パネルに供給される電力への赤外線LEDに供給される電力の比は、2.0(データシートの
図3からのVF)*2.5(A)*1%(デューティサイクル)*100(LEDの数)/30(W)として計算され、これは16.66%であり、15%に近い。
【0210】
[00229]この例は、照明トロファから2m離れた45度の3次元円錐の球面表面積にわたって分割された160Wの光出力(拡散損失により189Wより低い)を仮定して、760から900nmのスペクトルにおいて8時間当たり4.6J/cm2の平均線量(フルエンス)で2mの距離でそのユーザの表面を照射する。
【0211】
[00230]上述の例およびバリエーションは限定的ではないことに留意されたい。
【0212】
[00231]要約すると、本開示は、少なくとも、照明装置、照明方法、および一般照明のためのランプ、一般照明のためのレトロフィット電球、一般照明のためのレトロフィットライトチューブ、および一般照明のための照明器具を提供する。放射源の洗練されたパルス化によって、予め定められたスペクトルにおける適切で有益な量の放射線が、妥当な量の電力消費で提供されることができる。このような放射源を一般照明装置に組み合わせることは、その使用を大幅に拡大することができ、使用が容易な医学的利益を有する一般照明源に変えることができる。放射源をパルス化することはまた、ユーザが予め定められたスペクトルの放射線に例えば20分以上のような長時間さられた場合に、過量を防止するのに役立つ。
【0213】
[00232]上記の説明は例示的なものであり、限定的なものではないことが意図される。本発明の代替および同等の実施形態が、以下の本発明の範囲から逸脱することなく実施するために着想され、低減できることを当業者は理解するだろう。
参照符号リスト
1 照明装置
1b 照明装置
1c 照明装置
10 放射源
11 光源
12 駆動回路
13 駆動回路
14 センサ
100 放射線
101 第1の駆動電流
110 可視光
111 第2の駆動電流
141 入力
20 ユーザ
2a (レトロフィット)電球
2b (レトロフィット)ライトチューブ
2c ランプ
2d 照明器具
30 曲線
31 曲線
32 曲線
33 曲線
40 曲線
41 曲線
7 線形ランプ
70 LED
71 LED
以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1] 照明装置であって、
可視光を放出するように適合された光源と、ここで、前記光源は、CIE XYZ色空間中に色点を有する可視光を放出するように適合され、前記色点は、前記色空間中の黒体線に対して10標準偏差カラーマッチング未満の距離を有し、
予め定められたスペクトル中で放射線を放出するように適合された放射源と、ここで、前記予め定められたスペクトルが760から1400nmの範囲にあり、
パルス化され、20%以下のデューティサイクルを有する第1の駆動電流を供給するように適合された駆動回路とを備え、
前記照明装置は、前記第1の駆動電流を前記放射源に提供するが前記光源には提供しないように適合される、照明装置。
[2] 前記照明装置は、前記第1の駆動電流とは異なる第2の駆動電流を前記光源に提供するように適合され、前記第2の駆動電流は、直流、または交流、または好ましくは20000Hzから300000Hzの範囲のパルス周波数を有するパルス幅変調電流である、[1]に記載の照明装置。
[3] 前記駆動回路は第1の駆動回路であり、前記照明装置は、前記第2の駆動電流を提供するように適合された第2の駆動回路をさらに備える、[2]に記載の照明装置。
[4] 前記第1の駆動電流のパルスのパルス持続時間は、0.05から500ms、好ましくは1から100ms、より好ましくは1から20msの範囲内である、[1]から[3]のいずれか一項に記載の照明装置。
[5] 前記第1の駆動電流の前記パルス周波数は、0.01から10000Hz、好ましくは約0.1から2500Hz、より好ましくは約1から160Hzの範囲内である、[1]から[4]のいずれか一項に記載の照明装置。
[6] 前記第1の駆動電流は、10%以下、好ましくは5%以下のデューティサイクルを有する、[1]から[5]のいずれか一項に記載の照明装置。
[7] 前記放射源は、高められた許容駆動電流で動作するように適合され、または、前記パルス持続時間、前記パルス周波数、および前記デューティサイクルのうちの少なくとも1つは、前記第1の駆動電流が高められた許容駆動電流で前記放射源を駆動することを可能にするように選択される、[1]から[6]のいずれか1項に記載の照明装置。
[8] 前記予め定められたスペクトルは、可視スペクトルを含まない、[1]から[7]のうちのいずれか一項に記載の照明装置。
[9] 前記予め定められたスペクトルは、800から1100nmの範囲内、好ましくは800から870nmの範囲内であり、または前記予め定められたスペクトルは、800から1100nmの範囲内であり、830、980および/または1060nm付近にピーク放出を有し、または前記予め定められたスペクトルは、800から870nmの範囲内であり、820から850nmの範囲内にピーク放出を有する、[1]から[8]のいずれか一項に記載の照明装置。
[10] 前記パルス化された第1の駆動電流によって励起された前記放射源によって放出される前記放射線のピーク放出強度は、少なくとも25W、好ましくは少なくとも100W、より好ましくは少なくとも200W、さらにより好ましくは少なくとも500Wである、[1]から[9]のいずれか一項に記載の照明装置。
[11] 前記パルス化された第1の駆動電流を受け取る前記放射源によって放出される前記放射線のピーク放出強度は、人体においてフォトバイオモジュレーション応答を誘発するのに十分である、[1]から[10]のいずれか一項に記載の照明装置。
[12] 前記パルス化された第1の駆動電流を受け取る前記放射源のピーク放出強度が、前記放射源から0.2から5mの共通平均距離で、好ましくは前記放射源から0.5から3mの共通平均距離で、より好ましくは約2mの共通平均距離で、測定して、0.4から50mW/cm
2
、好ましくは5から15mW/cm
2
の出力密度を可能にし、または、前記パルス化された第1の駆動電流を受け取る前記放射源のピーク放出強度が、照明装置の照度が約500ルクスである距離で測定される、0.4から50mW/cm
2
、好ましくは5から15mW/cm
2
の出力密度を可能にする、[1]から[11]のいずれか一項に記載の照明装置。
[13] 前記パルス化された第1の駆動電流を受け取る前記放射源は、人体においてフォトバイオモジュレーション応答を誘発するのに十分である、単位面積当たりのエネルギーで測定される線量を送達するように構成される、[1]から[12]のいずれか一項に記載の照明装置。
[14] 前記パルス化された第1の駆動電流を受け取る前記放射源は、前記放射源からの共通の平均距離において測定される0.01から5J/cm
2
の線量を送達するように構成され、前記放射源からの前記共通の平均距離は、好ましくは0.2から5mであり、好ましくは前記放射源からの0.5から3mの共通の平均距離であり、より好ましくは約2mの共通の平均距離であり、または、前記パルス化された第1の駆動電流を受け取る前記放射源は、前記照明装置の照度が約500ルクスである距離において測定される0.01から5J/cm
2
の線量を送達するように構成される、[1]から[13]のいずれか一項に記載の照明装置。
[15] 使用中の前記放射源が、50W RMS未満、好ましくは25W RMS未満、より好ましくは10W RMS未満の電力を消費するか、または、使用中の前記放射源が、10W RMS未満、任意選択的に2W RMS未満、任意選択的に0.5W RMS未満の、照射面の1平方メートル当たりの電力を消費する、[1]から[14]のいずれか一項に記載の照明装置。
[16] 前記放射源は、ソリッドステートデバイス、好ましくはLED、より好ましくは2つ以上のLEDを含み、または前記光源は、ソリッドステートデバイス、好ましくはLED、より好ましくはフリップチップLEDを含む、[1]から[15]のいずれか一項に記載の照明装置。
[17] 前記照明装置は、前記光源が使用されているときに40%より多くの%-フリッカを有さない、好ましくは、前記光源が使用されているときに20%より多くの%-フリッカを有さない、光束を有する前記光源から可視光を生成するように適合される、[1]から[16]のいずれか一項に記載の照明装置。
[18] 前記光源は、少なくとも250ルーメン、好ましくは少なくとも1000ルーメン、より好ましくは少なくとも2000ルーメンを放出し、または前記光源の相関色温度は、1700から6500Kの範囲内、好ましくは2400から5500Kの範囲内であり、または前記光源は、120W未満、好ましくは80W未満、より好ましくは30W未満の電力を消費する、[1]から[17]のいずれか一項に記載の照明装置。
[19] 前記照明装置が使用されているときに前記光源によって消費される電力に対する前記放射源によって消費される電力の比は、50%以下、好ましくは25%以下、より好ましくは10%以下、さらにより好ましくは5%以下である、[1]から[18]のいずれか一項に記載の照明装置。
[20] 前記色点は、前記色空間中の前記黒体線に対して、8標準偏差カラーマッチング未満、好ましくは7標準偏差カラーマッチング未満、より好ましくは6標準偏差カラーマッチング未満、さらにより好ましくは5標準偏差カラーマッチング未満の距離を有する、[1]から[19]のいずれか一項に記載の照明装置。
[21] 前記駆動回路は、前記駆動回路への入力に応答して前記第1の駆動電流を修正するように適合される、[1]から[20]のいずれか一項に記載の照明装置。
[22] 照明方法において、
可視光を放出するように適合された光源を提供することと、ここで、前記光源は、CIE XYZ色空間中に色点を有する可視光を放出することが可能であり、前記色点は、前記色空間中の黒体線に対して10標準偏差カラーマッチング未満の距離を有し、
予め定められたスペクトルの放射線を放出するように適合された放射源を提供することと、ここで、前記予め定められたスペクトルは760から1400nmの範囲であり、
前記予め定められたスペクトルの放射線を生成するように、パルス化され、20%以下のデューティサイクルを有する第1の駆動電流を前記放射源に供給することとを含み、
ここで、前記第1の駆動電流は、前記光源に供給されない、方法。
[23] [1]から[21]のいずれか一項に記載の照明装置を備える、一般照明のためのランプ。
[24] [1]から[21]のいずれか一項に記載の照明装置を備える、一般照明のためのレトロフィット電球。
[25] [1]から[21]のいずれか一項に記載の照明装置を備える、一般照明のためのレトロフィットライトチューブ。
[26] [1]から[21]のいずれか一項に記載の照明装置を備える、一般照明のための照明器具。