(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-19
(45)【発行日】2023-05-29
(54)【発明の名称】軸力検出装置
(51)【国際特許分類】
G01L 5/00 20060101AFI20230522BHJP
【FI】
G01L5/00 103B
(21)【出願番号】P 2022142052
(22)【出願日】2022-09-07
【審査請求日】2022-09-07
【早期審査対象出願】
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000151690
【氏名又は名称】株式会社東日製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100087398
【氏名又は名称】水野 勝文
(72)【発明者】
【氏名】小松 恭一
(72)【発明者】
【氏名】緒方 智博
(72)【発明者】
【氏名】五味 大典
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 聖司
【審査官】公文代 康祐
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-020370(JP,A)
【文献】特開2017-120096(JP,A)
【文献】国際公開第2012/077759(WO,A1)
【文献】特開2003-083321(JP,A)
【文献】特開2003-313857(JP,A)
【文献】特開2019-152437(JP,A)
【文献】特開2003-240655(JP,A)
【文献】特開2019-152439(JP,A)
【文献】米国特許第05211061(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01L 5/00
G01L 5/24
F16B 31/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被締結体に締結された締結体の軸力を検出する軸力検出装置であって、
第1ネジ部及び第2ネジ部を有する接続部材と、
第3ネジ部を備え、前記第2ネジ部を前記第3ネジ部に螺合させた状態で、上下方向に延びる回転軸周りの回転トルクを前記接続部材に付与することにより、前記接続部材を介して前記締結体を引っ張るテンションロッドと、
前記接続部材の外周周りに配置され、前記テンションロッドによる引張時に前記被締結体から作用する反力を受けるテンション受け部と、
を有し、
前記締結体又は前記締結体とともに締結に用いられる締結部品には、前記第1ネジ部に螺合する第4ネジ部が形成されており、
前記接続部材及び前記テンション受け部は、回転防止機構を有し、
前記回転防止機構は、前記テンションロッドの回転軸方向における前記接続部材の移動を許容するとともに、
軸力検出後の除荷時に前記テンションロッドの回転軸周りにおける前記接続部材の回転を防止することを特徴とする軸力検出装置。
【請求項2】
前記回転防止機構は、上下方向に延びるキー及び前記キーが係合するキー溝であり、
前記キー及び前記キー溝のうち一方は、前記テンション受け部に形成されており、他方は、前記接続部材に形成されている、ことを特徴とする請求項1に記載の軸力検出装置。
【請求項3】
前記接続部材は、外周面がn角形(ただし、nは3以上の整数である)に形成されており、前記テンション受け部には、前記接続部材の外周面と噛み合う歯形部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の軸力検出装置。
【請求項4】
前記n角形は正n角形であり、
前記歯形部の山部の数は、nの倍数であることを特徴とする請求項3に記載の軸力検出装置。
【請求項5】
前記回転防止機構は、前記接続部材に形成された第1歯形部と、前記テンション受け部に形成され、前記テンションロッドの回転軸周り方向において前記第1歯形部と噛み合う第2歯形部と、からなることを特徴とする請求項1に記載の軸力検出装置。
【請求項6】
前記締結体を引張り、軸力を検出する際に、前記テンションロッドによる回転トルクが、前記テンション受け部を回転させるトルクを超えないように、前記テンションロッドは設計されていることを特徴とする請求項1乃至5のうちいずれか一つに記載の軸力検出装置。
【請求項7】
前記テンション受け部の接地面には、摩擦力を高める高摩擦処理が施されていることを特徴とする請求項6に記載の軸力検出装置。
【請求項8】
前記締結体を引っ張って、軸力を検出する際に、前記テンション受け部が回転しないように、前記テンションロッドの回転軸から前記テンション受け部までの距離を設定することを特徴とする請求項6に記載の軸力検出装置。
【請求項9】
前記締結体を引っ張って、軸力を検出する際に、前記テンション受け部が回転しないように、前記テンションロッドの回転軸から前記テンション受け部までの距離を設定することを特徴とする請求項7に記載の軸力検出装置。
【請求項10】
前記締結体は、ボルトであり、
前記締結部品は、ナット又は座金であることを特徴とする請求項1乃至5のうちいずれか一つに記載の軸力検出装置。
【請求項11】
前記第4ネジ部が前記締結体に形成されている場合、前記第4ネジ部は、ボルト頭部の側面及びボルトのネジ軸部のいずれかに形成されていることを特徴とする請求項10に記載の軸力検出装置。
【請求項12】
前記第4ネジ部が前記ナットに形成されている場合、前記第4ネジ部は、前記ナットの側面に形成されていることを特徴とする請求項10に記載の軸力検出装置。
【請求項13】
前記第4ネジ部が前記座金に形成されている場合、前記第4ネジ部は、前記座金の側面に形成されていることを特徴とする請求項10に記載の軸力検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被締結体に締結された締結体を引っ張り、軸力を検出する軸力検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車などの機械、橋梁などの構造物の組立てには、ねじを用いた締結が行われる。ねじの締結体としての強度は、締め付け力に大きく依存する。一方、ボルト締結体における
締結力の管理は、トルクや回転角を測定して一般に締め付け時に行われるだけであり、締
め付け後にはほとんど行われていない。しかし、機械の作動中に予期しない外力の作用に
よってボルトが緩み、締め付け力が低下した場合には、疲労破壊の危険性が著しく増加する。したがって、ボルトの破断事故を防止し、ねじ締結体の信頼性を向上させるためには、締結後のボルトの締付け力の検出にも注意を払う必要がある。
【0003】
特許文献1には、被締結体の挿通孔にボルトを挿入し、挿通孔を貫通したボルトの雄ね
じ部にナットを螺合締結することにより、被締結体を狭圧するボルト・ナット締結体において、ナット上面に対して、該上面から突出するボルトの雄ねじ部を引張して、ボルトの
ばね定数の変移点を検出し、該変移点での引張力を締付け力とすることを特徴とするボル
ト・ナット締結体の締付け力検出方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の軸力検出装置では、軸力検出後の除荷時に、締結体が緩むおそれがあった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本願発明に係る軸力検出装置は、(1)被締結体に締結された締結体の軸力を検出する軸力検出装置であって、第1ネジ部及び第2ネジ部を有する接続部材と、第3ネジ部を備え、前記第2ネジ部を前記第3ネジ部に螺合させた状態で、上下方向に延びる回転軸周りの回転トルクを前記接続部材に付与することにより、前記接続部材を介して前記締結体を引っ張るテンションロッドと、前記接続部材の外周周りに配置され、前記テンションロッドによる引張時に前記被締結体から作用する反力を受けるテンション受部と、を有し、前記締結体又は前記締結体とともに締結に用いられる締結部品には、前記第1ネジ部に螺合する第4ネジ部が形成されており、前記接続部材及び前記テンション受け部は、回転防止機構を有し、前記回転防止機構は、前記テンションロッドの回転軸方向における前記接続部材の移動を許容するとともに、前記テンションロッドの回転軸周りにおける前記接続部材の回転を防止することを特徴とする。
【0007】
(2)前記回転防止機構は、上下方向に延びるキー及び前記キーが係合するキー溝であり、前記キー及び前記キー溝のうち一方は、前記テンション受け部に形成されており、他方は、前記接続部材に形成されている、ことを特徴とする上記(1)に記載の軸力検出装置。
【0008】
(3)前記接続部材は、外周面がn角形(ただし、nは3以上の整数である)に形成されており、前記テンション受け部には、前記接続部材の外周面と噛み合う歯形部が形成されていることを特徴とする上記(1)に記載の軸力検出装置。
【0009】
(4)前記n角形は正n角形であり、前記歯形部の山部の数は、nの倍数であることを特徴とする上記(3)に記載の軸力検出装置。
【0010】
(5)前記回転防止機構は、前記接続部材に形成された第1歯形部と、前記テンション受け部に形成され、前記テンションロッドの回転軸周り方向において前記第1歯形部と噛み合う第2歯形部と、からなることを特徴とする上記(1)に記載の軸力検出装置。
【0011】
(6)前記締結体を引張り、軸力を検出する際に、前記テンションロッドによる回転トルクが、前記テンション受け部を回転させるトルクを超えないように、前記テンションロッドは設計されていることを特徴とする上記(1)乃至(5)のうちいずれか一つに記載の軸力検出装置。
【0012】
(7)前記テンション受け部の接地面には、摩擦力を高める高摩擦処理が施されていることを特徴とする上記(6)に記載の軸力検出装置。
【0013】
(8)前記締結体を引っ張って、軸力を検出する際に、前記テンション受け部が回転しないように、前記テンションロッドの回転軸から前記テンション受け部までの距離を設定することを特徴とする上記(6)に記載の軸力検出装置。
【0014】
(9)前記締結体を引っ張って、軸力を検出する際に、前記テンション受け部が回転しないように、前記テンションロッドの回転軸から前記テンション受け部までの距離を設定することを特徴とする上記(7)に記載の軸力検出装置。
【0015】
(10)前記締結体は、ボルトであり、前記締結部品は、ナット又は座金であることを特徴とする上記(1)乃至(5)のうちいずれか一つに記載の軸力検出装置。
【0016】
(11)前記第4ネジ部が前記締結体に形成されている場合、前記第4ネジ部は、ボルト頭部の側面及びボルトのネジ軸部のいずれかに形成されていることを特徴とする上記(10)に記載の軸力検出装置。
【0017】
(12)前記第4ネジ部が前記ナットに形成されている場合、前記第4ネジ部は、前記ナットの側面に形成されていることを特徴とする上記(10)に記載の軸力検出装置。
【0018】
(13)前記第4ネジ部が前記座金に形成されている場合、前記第4ネジ部は、前記座金の側面に形成されていることを特徴とする上記(10)に記載の軸力検出装置。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、軸力検出後の除荷時に、締結体が緩むことを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】軸力検出装置の概略図である(第1実施形態)。
【
図2】(a)はボルトの斜視図であり、(b)はボルトの別の斜視図である(第1実施形態)。
【
図3】ボルト引っ張り時の軸力検出装置の概略図である(第1実施形態)。
【
図4】接続部材本体部(正四角形)及びテンション受け部(山部の数:8)の断面図である。
【
図5】テンション受け部(山部の数:16、12)の断面図である。
【
図6】接続部材本体部(正三角形)及びテンション受け部(山部の数:12)の断面図である。
【
図7】接続部材本体部(正五角形)及びテンション受け部(山部の数:10)の断面図である。
【
図8】接続部材本体部(正六角形)及びテンション受け部(山部の数:12)の断面図である。
【
図9】接続部材本体部(正六角形)及びテンション受け部の断面図である(不均等接触)。
【
図10】接続部材本体部及びテンション受け部の断面図である(第2実施形態)。
【
図11】ボルトの斜視図である(第4実施形態の変形例1)。
【
図12】ボルトの斜視図である(第4実施形態の変形例2)。
【
図13(a)】ボルトの斜視図である(第4実施形態の変形例3)。
【
図13(b)】ボルトの斜視図である(第4実施形態の変形例3)。
【
図14】軸力検出装置の概略図である(第4実施形態の変形例3)。
【
図15(a)】軸力検出装置の概略図である(第4実施形態の変形例4)。
【
図15(b)】軸力検出装置の概略図である(第4実施形態の変形例5)。
【
図15(c)】座金の斜視図である(第4実施形態の変形例6)。
【
図16】軸力検出装置の概略図である(第4実施形態の変形例7)。
【
図17(a)】軸力検出装置の概略図である(第4実施形態の変形例7)。
【
図17(b)】軸力検出装置の概略図である(第4実施形態の変形例8)。
【
図18(a)】軸力検出装置の概略図である(第5実施形態)。
【
図18(b)】ボルト及び座金の斜視図である(第5実施形態)。
【
図19】軸力検出装置の概略図である(第5実施形態の変形例1)。
【
図20】軸力検出装置の概略図である(第5実施形態の変形例2)。
【
図21】ボルトの斜視図である(第5実施形態の変形例2)。
【
図22】座金の斜視図である(第5実施形態の変形例3)。
【
図23(a)】軸力検出装置の概略図である(第5実施形態の変形例3)。
【
図23(b)】軸力検出装置の概略図である(第5実施形態の変形例3-1)。
【
図24】座金の斜視図である(第5実施形態の変形例3-2)。
【
図25】軸力検出装置の概略図である(第5実施形態の変形例4)。
【
図26】ナットの斜視図である(第5実施形態の変形例4)。
【
図27】軸力検出装置の概略図である(第5実施形態の変形例5)。
【
図28】軸力検出装置の概略図である(第5実施形態の変形例6)。
【
図29】軸力検出装置の概略図である(第5実施形態の変形例6)。
【
図30(a)】軸力検出装置の概略図である(第6実施形態)。
【
図30(b)】ナットの斜視図である(第6実施形態)。
【
図30(c)】ナットの斜視図である(第6実施形態の変形例1)。
【
図30(d)】軸力検出装置の概略図である(第6実施形態の変形例2)。
【
図31(a)】ナットの斜視図である(第6実施形態の変形例3)。
【
図31(b)】軸力検出装置の概略図である(第6実施形態の変形例3)。
【
図31(c)】軸力検出装置の概略図である(第6実施形態の変形例3-1)。
【
図31(d)】ナットの斜視図である(第6実施形態の変形例4)。
【
図31(e)】軸力検出装置の概略図である(第6実施形態の変形例4)。
【
図31(f)】軸力検出装置の概略図である(第6実施形態の変形例5)。
【
図31(g)】ナットの斜視図である(第6実施形態の変形例6)。
【
図32】軸力検出装置の概略図である(第6実施形態の変形例7)。
【
図33】軸力検出装置の概略図である((第6実施形態の変形例8)。
【
図34】軸力検出装置の概略図である((第6実施形態の変形例8)。
【
図35(a)】軸力検出装置の概略図である(第7実施形態)。
【
図35(b)】
図35(a)の変形例である(スタッドボルト)。
【発明を実施するための形態】
【0021】
(第1実施形態)
本実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0022】
本実施形態の軸力検出装置は、被締結体をボルトで締結するとともに、被締結体の上面を抑えながらボルト(締結体に相当する)を引っ張る装置であり、ボルトの軸力(言い換えると、ボルトの締結力)検出に用いられる。軸力検出の基本的な考え方は、特許第4028254号に記載された内容と同様である。
【0023】
図1は本実施形態の軸力検出装置の概略図であり、ボルトを引っ張る動作を開始した直後の状態を示している。なお、軸力検出装置に含まれる複数の部材を互いに異なる種類のハッチングで表わすことにより、部材間の境界を明確にしている。軸力検出装置1は、接続部材2と、引張機構3と、テンション受部4と、ハンドル5とを含む。なお、一点鎖線で示すXは、上下方向に延びる軸力検出装置1の回転軸を示している。
【0024】
接続部材2は、接続部材本体部21及び接続部材本体部21の上面に形成された凸部22を含む。接続部材本体部21の下端部には、上下方向に延びる接続部材中空部21aが形成されている。接続部材中空部21aの周面には、回転軸X周りに延びる第1雌ネジ部21a1(請求項1の第1ネジ部に相当する)が形成されている。凸部22は、接続部材本体部21よりも径が小さい円柱形状に形成されており、その外周面には回転軸X周りに延びる第2雄ネジ部22a(請求項1の第2ネジ部に相当する)が形成されている。
【0025】
接続部材2には、ボルト10よりも引張強度が高い材料を用いることができる。これにより、軸力検出の際に、接続部材2が塑性変形することを防止できる。
【0026】
引張機構3は、テンションロッド31と、軸受部32と、角ドライブ33と、レンチ34とを含む。テンションロッド31は、円柱状の小径ロッド部31aと円柱状の大径ロッド部31bとからなり、小径ロッド部31aの上端部及び大径ロッド部31bの下端部が互いに連接している。これらの小径ロッド部31a及び大径ロッド部31bは、一体的に形成されている。
【0027】
小径ロッド部31aの下端部には、テンションロッド中空部311が形成されており、このテンションロッド中空部311の内周面には、回転軸X周りに延びる第3雌ネジ部311a(請求項1の第3ネジ部)が形成されている。大径ロッド部31bの上端部には、取り付け開口部312が形成されている。
【0028】
軸受部32はスラスト軸受けであり、テンションロッド31の小径ロッド部31aを回転可能に支持している。軸受部32の上端面はテンションロッド31の大径ロッド部31bに接触しており、軸受部32の下端面はテンション受部4の上端面に接触している。つまり、軸受部32は、上下方向において、大径ロッド部31b及びテンション受部4により挟まれている。
【0029】
角ドライブ33は、大径ロッド部31bの取り付け開口部312に着脱可能に装着されており、角ドライブ33を回転させることにより、テンションロッド31を回転軸X周りに回転させることができる。角ドライブ33は、ハンドル5及びレンチ34を用いて回転させることができる。本実施形態の構成では、レンチ34を用いてテンションロッド31を回転軸X周りに1回転させた時に、テンションロッド31の第3雌ネジ部311aのネジピッチ分だけ接続部材2が上動するように設計されている。なお、本実施形態では、角ドライブ33、ハンドル5及びレンチ34を用いてテンションロッド31を回転させたが、本発明はこれに限るものではなく、テンションロッド31を回転させる動力を発生させることが可能な他の駆動手段を用いることもできる。
【0030】
レンチ34は、水平方向に長尺に形成されており、同一の力で回転させた時に、ハンドル5よりも大きなトルクを得ることができる。レンチ34には、図示しない角度センサ(例えば、ジャイロセンサ)が設けられている。角度センサによって、テンションロッド31の回転量を計測することができる。ただし、レンチ34ではなく、テンションロッド31に直接角度センサを取り付けてもよい。
【0031】
テンション受部4には、軸力を検出するための図示しない軸力検出部が設けられている。軸力検出部には、例えば歪ゲージを用いることができる。歪ゲージは、力が加わると変形し、その変形量に応じた電気信号を出力する。テンション受部4の下端部には、上下方向に延びるテンション中空部41が形成されている。テンション中空部41の内部には、接続部材2が収容されており、接続部材2の接続部材本体部21はテンション中空部41の内周面に沿って配置されている。つまり、テンション受部4は、接続部材2を包囲するように配設されている。
【0032】
テンション受け部4の内側面には、上下方向に延びる複数のキー溝41aが形成されている。これらのキー溝41aは、等間隔に配設することが望ましい。キー溝41aの設置数は、特に限定しないが、例えば周方向8か所とすることができる。
接続部材2の側面には、キー溝41aに係合するキー25が設けられている。キー25は、キー溝41aの幅より若干小さく設定されている。
なお、キー溝41aは、1か所のみに形成してもよいが、複数としたほうが、接続部材2の取り付けの自由度が高めるため、望ましい。
【0033】
キー25及びキー溝41aが協働することにより、回転防止機構が実現される。すなわち、キー25がキー溝41aに係合した状態において、接続部材2は上下方向における移動が許容され、回転軸X周りにおける回転が禁止される。本実施形態では、接続部材2にキー25を形成し、テンション受け部4にキー溝41aを形成したが、本発明はこれに限るものではなく、接続部材2にキー溝、テンション受け部4にキーを形成することによって、回転防止機構としてもよい。
【0034】
ここで、引張機構3の構成は上述の構成に限るものではなく、接続部材2及びボルト10を回転させずに上動させることができれば、他の構成であってもよい(他の実施形態及び変形例においても同様である)。例えば、内周面に雌ネジを有する凹部を接続部材本体部21の上面に形成するとともに、外周面に雄ネジが形成された凸部をテンションロッド31の下端部(つまり、小径ロッド部31aの下端部)に形成し、この凸部を前記の雌ネジに螺合させることにより、接続部材2及びボルト10を引っ張る構成としてもよい。
【0035】
次に、ボルト及び被締結体について詳細に説明する。ボルト10は、六角ボルトであり、ボルトネジ軸部11及びボルト頭部12から構成されている。ボルトネジ軸部11には雄ネジ部が形成されている。
【0036】
被締結体Hは、上下方向において重ね合わされた被締結体H1及びH2からなり、これらの被締結体H1及びH2には夫々ボルト孔H1a及びH2aが形成されている。ボルト孔H2aの周面には、ボルトネジ軸部11の雄ねじ部と螺合する雌ねじ部が形成されている。ボルト孔H1aに挿入されたボルト10がボルト穴H2aと螺合することによって、ボルト10が被締結体Hに締結される。
【0037】
なお、ボルト孔H2aに雌ねじ部を形成せずに、ボルト10をボルト孔H1a,H2aに挿入し、被締結体H(H2)の端面から下方に突出したボルトネジ軸部11に不図示のナットを螺合させることにより、ボルト10を被締結体Hに締結してもよい。なお、ナットの種類は特に限定しないが、例えば、六角ナット、十二角ナット、四角ナットを用いることができる(他の実施形態及び変形例においても同様である)。
【0038】
ここで、
図2(a)に図示するように、ボルト頭部12の側面には第4雄ネジ部12a(請求項1の第4ネジ部に相当する)が周方向に間欠的に形成されている。すなわち、個々の第4雄ネジ部12aは、ボルト頭部12の側面における曲げ形状部に形成されている。図示例では、ボルト頭部12の側面における上端から下端までの全体に亘って、第4雄ネジ部12aが形成されているが、本発明はこれに限るものではなく、
図2(b)に図示するように、上端から下端までの一部に形成されていてもよい。
【0039】
次に、軸力検出装置1の引張時及び除荷時における動作について説明する。初期状態において、ボルト10は被締結体Hに締結されているものとする。また、引張機構3、テンション受部4及びハンドル5は、予め組み立てられてユニット化されているものとする。
【0040】
最初に、ボルト頭部12の第4雄ネジ部12aを接続部材2の第1雌ネジ部21a1に螺合させて、接続部材2及びボルト10を連結する。すなわち、ボルト頭部12の上面が接続部材中空部21aの天面に当接する位置まで螺進させ、接続部材2及びボルト10を互いに螺合させる。
【0041】
第4雄ネジ部12a及び第1雌ネジ部21a1を螺合させて、引っ張りを開始するときに、所定の引張開始条件を満足させることが望ましい。所定の引張開始条件は、以下の条件1及び条件2からなる。
条件1:ボルト頭部12の外周面1周以上の長さを有する第4雄ネジ部12aに第1雌ネジ部21a1が螺合すること
条件2:接続部材2の下端部と被締結体H1との間にクリアランスが形成されていること
【0042】
条件1を満足しない場合、ボルト頭部12の周方向において引張力が付与されない領域(言い換えると、第1雌ネジ部21a1に当接しない領域)が発生するため、荷重が引張り方向(つまり、上下方向)とは異なる方向に働き、軸力検出の精度が低下するおそれがある。また、条件1を満足しない場合、引張時にネジ山が塑性変形して、軸力検出等の検出精度が低下するおそれがある。
【0043】
条件2を満足しない場合、接続部材2の下端部が被締結体H1に圧接した状態で軸力検出が行われるため、検出誤差が大きくなる。
【0044】
ここで、接続部材2及びボルト頭部12の連結時に、接続部材2を回転軸X周りに回転させて、第4雄ネジ部12a及び第1雌ネジ部21a1を螺合させると、接続部材2は下向きに螺進する。接続部材2を回転軸X周りに更に回転させると、接続部材中空部21aの天面にボルト頭部12が当接して、接続部材2が回転不能となる。本実施形態では、接続部材中空部21a及びボルト頭部12が当接した時(言い換えると、接続部材2が螺進不能となった時)に、条件1及び条件2を満足するように、接続部材中空部21aのサイズ設定を行っている。したがって、条件1及び条件2を容易に満足させることができる。
【0045】
次に、接続部材2の凸部22の先端にテンションロッド中空部311の下端部を位置決めする。この時、テンション受部4は被締結体H1の上方に位置している(言い換えると、テンション受部4及び被締結体H1は互いに非接触の状態である)。続いて、手動によりハンドル5を回転軸X周りに回転させ、第3雌ネジ部311a及び第2雄ネジ部22aを螺合させる。ハンドル5をさらに回転させると、テンションロッド31が軸受部32及びテンション受部4とともに下方に螺進して、テンション受部4が被締結体H1に着座する。
【0046】
図1は、テンション受部4が被締結体H1に当接した直後の状態を示しており、テンションロッド31の下端部と接続部材本体部21の上端部との間には、クリアランスが形成されている。また、凸部22の先端とテンションロッド中空部311の上端部との間にも、クリアランスが形成されている。
【0047】
テンション受部4が被締結体H1に着座すると、ハンドル5による手動操作ではトルクが小さいため、テンションロッド31をそれ以上回転させることができない。そこで、レンチ34による手動操作でテンションロッド31を回転させる。これにより、接続部材2を上動させることができる。なお、接続部材2は上動する際に回転しない。
【0048】
接続部材2が上動すると、
図3に図示するように、ボルトネジ軸部11が伸びて、被締結体H1からボルト頭部12が離れるとともに、軸受部32を介して大径ロッド部31bからテンション受部4に対して押し下げ力が働く。この際、被締結体H1に着座しているテンション受部4は下方に移動することができないため、軸受部32及び被締結体H1によって狭圧され、被締結体H1からテンション受部4に対して反力が働く。この時、歪ゲージから電気信号(例えば、電圧)が出力され、この出力信号から軸力を算出することができる。なお、算出した軸力は、例えばレンチ34やテンション受部4の外周面に設けられた図示しない表示部に表示させることができる。
【0049】
ここで、接続部材2を上動させてボルト10を引っ張る際に、ボルトネジ軸部11が伸びて、被締結体H1からボルト頭部12が離れると、ボルト頭部12と被締結体H1との間の摩擦力が無くなるため、テンションロッド31によるトルクが、ボルト10及び被締結体Hのトルクより大きくなると、接続部材2が回転して、ボルト10が更に締まってしまう。本実施形態では、回転防止機構により接続部材2の回転を防止しているため、かかる問題は起こらない。
【0050】
ボルト10の軸力が目標軸力に到達したら、接続部材2及びテンションロッド31を除荷する。除荷とは、ボルト10に対する引張荷重を解除する方向にテンションロッド31を回転させることである。ここで、除荷トルクTrlが被締結体Hに対するボルト10の緩めトルクTslを超えると、ボルト10が緩んでしまう。本実施形態では、キー25及びキー溝41aからなる回転防止機構を設けることにより、除荷時にボルト10が緩むことを確実に防止できる。
【0051】
(第2実施形態)
本実施形態の軸力検出装置は、回転防止機構の構成が第1実施形態と異なる。
図4(a)は接続部材2の接続部材本体部21を水平方向に沿って切断した断面図であり、
図4(b)はテンション受け部4を水平方向に沿って切断した断面図であり、
図4(c)は接続部材本体部21及びテンション受け部4の噛み合い状態を示している。
【0052】
図4(a)を参照して、接続部材本体部21は、外周面が正方形(正四角形)に形成されており、上下方向に延びている。言い換えると、接続部材本体部21を水平方向に切断した切断面は、正方形に形成されている。テンション受け部4の内周面には歯形部43が形成されており、この歯形部43は、周方向に隣接する山部の角度が45°に設定されている。この場合、山部の数は、360°を45°で除して、8つとなる。
【0053】
ここで、歯形部43の形状は、接続部材本体部21をテンション受け部4の中心に配設して、当該中心を回転軸として45°ずつ回転させたときに形成される図形に対応している。したがって、
図4(c)に示すように、接続部材本体部21はテンション受け部4の歯形部43に噛み合った状態となる。互いに噛み合う接続部材本体部21及びテンション受け部4の歯形部43によって、回転防止機構が構成される。回転防止機構の作用効果は、上述したので説明を繰り返さない。
【0054】
また、上述の構成によれば、歯形部43は、接続部材本体部21の外周面に沿った面を有しているため、接続部材2をテンション受け部4に収める際に、テンション受け部4の軸方向端部から接続部材2を容易に組み込むことができる。これにより、軸力検出装置の組み立てが容易になる。
【0055】
また、
図4(c)に示すように、接続部材本体部21の各側面に対して、歯形部43が略均等に接触しているため、軸力検出時における接続部材2のトルクを大きくすることもできる。
【0056】
ここで、接続部材本体部21の各側面に対して、歯形部43を略均等に接触させるためには、必ずしも、周方向に隣接する山部の角度を45°に設定する必要はなく、
図5(a)に図示するように22.5°に設定してもよいし、
図5(b)に図示するように、30°に設定してもよい。
図5(a)の歯形部43は、接続部材本体部21をテンション受け部4の中心に配設して、当該中心から22.5°ずつ回転させたときの図形に対応している。
図5(b)の歯形部43は、接続部材本体部21をテンション受け部4の中心に配設して、当該中心から30°ずつ回転させたときの図形に対応している。なお、図示はしていないが、周方向に隣接する山部の角度は18°に設定してもよい。
この略均等に接触させるための設計概念について、説明する。
【0057】
(設計概念)
接続部材本体部21の外周面を正n角形(ただし、nは3以上の整数である)に形成するとともに、歯形部43の山部の数をnの倍数に設定する。
上述の設計概念によれば、隣接する山部間の角度を、360°を山部の数で除した数値に設定することにより、接続部材本体部21の各側面に対して、歯形部43を略均等に接触させることができる。なお、360°を山部の数で除した解が割り切れない数値の場合、小数点を適宜の桁で四捨五入すればよい。四捨五入するときの桁は、特に限定しない。
例えば、接続部材本体部21の外周面を正四角形に形成した場合、山部の数は四の倍数に設定することができる。
【0058】
接続部材本体部21の外周面を正四角形以外の正多角形とすることも可能であり、この場合、上述の設計概念に従って設計を行うことにより、接続部材本体部21の各側面に対して、歯形部43を略均等に接触させることができる。
【0059】
図6(a)は、外周面が正三角形に形成された接続部材本体部21の断面図であり、
図6(b)は、接続部材本体部21に噛み合うテンション受け部4の歯形部43の断面図である。同図に示す例では、山部の数を3(nに相当する)の4倍、隣接する山部間の角度を30°に設定している。勿論、上述の設計概念に従い、山部の数を「3×4以外の整数」としてもよい。
【0060】
図7(a)は、外周面が正五角形に形成された接続部材本体部21の断面図であり、
図7(b)は、接続部材本体部21に噛み合うテンション受け部4の歯形部43の断面図である。同図に示す例では、山部の数を5(nに相当する)の2倍、隣接する山部間の角度を36°に設定している。これにより、接続部材本体部21の各側面に対して、歯形部43を略均等に接触させることができる。勿論、上述の設計概念に従い、山部の数を「5×2以外の整数」としてもよい。
【0061】
図8(a)は、外周面が正六角形に形成された接続部材本体部21の断面図であり、
図8(b)は、接続部材本体部21に噛み合うテンション受け部4の歯形部43の断面図である。同図に示す例では、山部の数を6(nに相当する)の2倍、隣接する山部間の角度を30°に設定している。これにより、接続部材本体部21の各側面に対して、歯形部43を略均等に接触させることができる。勿論、上述の設計概念に従い、山部の数を「6×2以外の整数」としてもよい。
【0062】
ただし、歯形部43は、接続部材本体部21の各側面に対して、均等に接触している必要は必ずしもない。
図9は、噛み合いが不均一の歯形部及び接触部材本体部を示している。接続部材本体部21は正四角形に形成されており、歯形部43は二つの正四角形の山部間の間隔を20°に設定した形状に対応している。
同図に示すように、接続部材本体部21の各側面は、歯形部43に対して不均一に接触している。ただし、接触が不均一であっても、回転防止機構としての効果は発現するため、本発明の範囲に含まれる。
【0063】
(第3実施形態)
図10(a)は、
図4(c)に対応しており、接続部材及びテンション受け部の噛み合い状態を示している。本実施形態は、接続部材本体部21の外周面の一部に第1歯形部21dを形成している点で、第2実施形態と異なる。すなわち、接続部材本体部21のベース形状は円柱状であり、外周面の一部に第1歯形部21dを形成している。
テンション受け部4の内周面には、第1歯形部21dと噛み合う第2歯形部44が連続的に形成されており、第2歯形部44の歯数は、第1歯形部21dの歯数よりも多い。第1歯形部21d及び第2歯形部44のピッチは互いに同じに設定されている。これにより、接続部材本体部21の噛み合い位置を周方向において選択できるため、接続部材2の取り付けの自由度が高まる。
本実施形態では、第1歯形部21d及び第2歯形部44により、回転防止機構が実現される。回転防止機構の作用効果は、上述の実施形態で同じであるから、詳細な説明を省略する。
なお、第2及び第3実施形態における回転防止機構は、スプラインで実現してもよいし、セレーションによって実現してもよい。
(変形例)
図10(b)及び
図10(c)に図示するように、第1歯形部21dを、接続部材本体部21の外周面に沿って間欠的かつ等間隔に形成してもよい。本変形例の構成においても、第1歯形部21d及び第2歯形部44により、回転防止機構が実現される。回転防止機構の作用効果は、上述の実施形態で同じであるから、詳細な説明を省略する。
【0064】
(第4実施形態)
本実施形態は、第1実施形態の変形例に相当するものであり、ボルトの形態が第1実施形態と異なる。ただし、本実施形態は、第2及び第3実施形態の変形例でもある。
(変形例1)
図11に示すように、ボルト10は、ボルト頭部に六角穴102aが形成された六角穴付きボルト100であってもよい。ボルトネジ軸部101には雄ネジ部が形成されている。
ボルト頭部102の側面には第4雄ネジ部102bが周方向に途切れることなく連続的に形成されている。軸力検出は、ボルト頭部102の第4雄ネジ部102bを接続部材2の第1雌ネジ部21a1に螺合させた状態で行うことができる。
【0065】
図示例では、ボルト頭部102の側面における上端から下端までの全体に亘って、第4雄ネジ部102bが形成されているが、本発明はこれに限るものではなく、第1実施形態の
図2(b)に図示するように、上端から下端までの一部に形成されていてもよい。なお、本変形例のボルト10は、フランジボルトであってもよい。フランジボルトの詳細は、変形例3で述べる。
【0066】
(変形例2)
図12に示すように、ボルト10は、四角ボルトからなるボルト200であってもよい。
ボルトネジ軸部201には雄ネジ部が形成されている。ボルト頭部202の側面には第4雄ネジ部202aが周方向に間欠的に形成されている。すなわち、個々の第4雄ネジ部202aは、ボルト頭部202の側面における曲げ形状部に形成されている。軸力検出は、ボルト頭部202の第4雄ネジ部202aを接続部材2の第1雌ネジ部21a1に螺合させた状態で行うことができる。図示例では、ボルト頭部202の側面における上端から下端までの全体に亘って、第4雄ネジ部202aが形成されているが、本発明はこれに限るものではなく、第1実施形態の
図2(b)に図示するように、上端から下端までの一部に形成されていてもよい。
【0067】
(変形例3)
図13(a)及び
図14を参照しながら、変形例3について説明する。本変形例では、フランジボルトが用いられる。
図13(a)はフランジボルトの斜視図である。
図14は、軸力検出装置の概略図である。
【0068】
接続部材中空部21aは、大径中空部211a及び小径中空部212aからなる上下二段構成となっており、大径中空部211aの上端部及び小径中空部212aの下端部が連接されている。大径中空部211aの内周面には、雌ネジ部211a1(請求項1の第1ネジ部に相当する)が形成されており、小径中空部212aの内周面には、雌ネジ部212a1(請求項1の第1ネジ部に相当する)が形成されている。
【0069】
ボルト300は、フランジボルトの一例であるフランジ付き六角ボルトであり、ボルトネジ軸部301及びボルト頭部302から構成される。ボルトネジ軸部301には雄ネジ部が形成されている。ボルト孔H1aに挿入されたボルト300をボルト孔H2aに螺合させることによって、ボルト300を被締結体Hに締結することができる。
【0070】
ボルト頭部302は、頭部本体302a及びフランジ部302bから構成されている。頭部本体302a及びフランジ部302bは一体的に形成されており、フランジ部302bは、平板状に形成されており、頭部本体302aよりも径方向外側に張り出している。頭部本体302aの外周面には周方向に延びる第4雄ネジ部302a1(請求項1の第4ネジ部に相当する)が間欠的に形成されている。フランジ部302bの外周面には周方向に延びる第4雄ネジ部302b1(請求項1の第4ネジ部に相当する)が連続的に形成されている。なお、ボルト頭部302を、
図11に図示するような六角穴付きボルトのボルト頭部に置換してもよい。
【0071】
軸力検出は、第4雄ネジ部302a1を雌ネジ部212a1に螺合させるとともに、第4雄ネジ部302b1を雌ネジ部211a1に螺合させた状態で行うことができる。第4雄ネジ部302a1及び302b1は、互いに同じピッチでなければならない。ピッチが異なると、第4雄ネジ部302a1及び302b1に接続部材2を螺合させることができない。
【0072】
本変形例3では、頭部本体302a及びフランジ部302bの双方に雄ネジ部を形成したが、本発明はこれに限るものではなく、頭部本体302a及びフランジ部302bのいずれか一方に雄ネジ部を形成し、他方に雄ネジ部を形成しないフランジボルトを用いることもできる。図示例では、頭部本体302aの側面における上端から下端までの全体に亘って、第4雄ネジ部302a1が形成されているが、本発明はこれに限るものではなく、
図2(b)に図示するように、上端から下端までの一部に形成されていてもよい。また、図示例では、フランジ部302bの側面における上端から下端までの全体に亘って、第4雄ネジ部302b1が形成されているが、本発明はこれに限るものではなく、
図2(b)に図示するように、上端から下端までの一部に形成されていてもよい。
【0073】
本願発明は、フランジ付き六角ボルトよりも曲げ形状部の曲線が緩やかに形成されたフランジボルト(
図13(b)参照)にも適用することができる。
図13(b)の符号400、401、402、402a、402b、402a1、402b1は夫々、
図13(a)の符号300、301、302、302a、302b、302a1、302b1に対応しているから、詳細な説明を省略する。
【0074】
図13(a)に図示する例では、ボルト頭部302のフランジ部302bを平板状に形成したが、本発明はこれに限るものではなく、曲面を有するもの、或いは円錐台形状であってもよい。また、フランジ部302bの曲面(フランジ部302bが円錐台形状である場合には、テーパ面)が大径中空部211aに当接した時に、接続部材2と被締結体H1との間にクリアランスが形成されてもよい。なお、当該曲面(又は当該テーパ面)には、これらの面に形成された凹部又は凸部が含まれる。すなわち、当該凹部又は凸部に当接したときに、接続部材2と被締結体H1との間にクリアランスが形成されるように構成してもよい。
【0075】
(変形例4)
図15(a)を参照しながら、変形例4について説明する。
図15(a)は、
図1に対応しており、テンション受部4が被締結体H1に当接した直後の状態を示している。本実施形態では、ボルト頭部12と被締結体H1との間に、座金50を介在させている。座金50は、平板状に形成された通常の平座金であり、テンション中空部41の内径よりも径寸法が小さく設定されており、接続部材2の下端部と座金50との間には、微小なクリアランスが形成されている。接続部材2の下端部が座金50に圧接した状態で軸力検出を行うと、検出誤差が大きくなる。すなわち、接続部材2の下端部と座金50との間に微小なクリアランスを形成した状態で軸力検出を行うことにより、検出誤差を少なくすることができる。なお、
図15(a)において、座金50の平面方向における寸法を拡大し、テンション受部4と被締結体H1との間に、座金50を介在させてもよい(この点については、他の実施形態及び他の変形例においても同様である。)。この場合、テンション受部4は、座金50を介して、ボルト引っ張り時の反力を受けることになる。
【0076】
本変形例4では、ボルト頭部12及び接続部材中空部21aが当接した時に、クリアランスが形成されるように構成したが、本発明はこれに限るものではない。例えば、後述する
図15(b)に図示するように接続部材中空部21aが大径中空部211a及び小径中空部212aから構成されている場合、座金50の上面及び大径中空部211aが互いに当接した時に、接続部材2と被締結体H1との間にクリアランスが形成される構成であってもよい。この場合、ボルト頭部12と小径中空部212aとの間に上下方向における隙間が形成された状態で軸力検出が行われる。なお、座金50の上面には、当該上面に形成された凹部又は凸部が含まれる。すなわち、当該凹部又は凸部に当接したときに、接続部材2と被締結体H1との間にクリアランスが形成されるように構成してもよい。
【0077】
(変形例5)
図15(b)は本変形例5の軸力検出装置の概略図であり、テンション受部4が被締結体H1に当接した直後の状態を示している。接続部材中空部21aは、大径中空部211a及び小径中空部212aからなる上下二段構成となっており、大径中空部211aの上端部及び小径中空部212aの下端部が連接されている。小径中空部212aの内周面には、雌ネジ部212a1が形成されている。
【0078】
座金51は、段付き座金であり、大径座金部51aと、大径座金部51aの上面に形成された小径座金部51bとから構成されている。大径座金部51aは、小径座金部51bと一体的に形成されており、小径座金部51bよりも径寸法が大きく設定されている。小径座金部51bは、ボルト頭部12よりも外径寸法が大きく設定されている。
【0079】
ここで、接続部材2を回転軸X周りに回転させて、ボルト頭部12の第4雄ネジ部12a及び小径中空部212aの雌ネジ部212a1を螺合させると、接続部材2は下向きに螺進する。接続部材2を回転軸X周りに更に回転させると、小径座金部51bの上面が大径中空部211aに当接して、接続部材2が回転不能となる。本実施形態では、小径座金部51b及び大径中空部211aが当接した時(言い換えると、接続部材2が螺進不能となった時)に、接続部材2と被締結体H1との間にクリアランスが形成されるように構成されている。したがって、軸力検出のたびに、接続部材2の下端部と被締結体H1との間にクリアランスが形成されているかを目視確認等する必要がないため、簡易な方法で、正確な軸力検出を行うことができる。なお、小径座金部51bの上面には、当該上面に形成された凹部又は凸部が含まれる。すなわち、当該凹部又は凸部に当接したときに、接続部材2と被締結体H1との間にクリアランスが形成されるように構成してもよい。
【0080】
ただし、段付きの座金51を用いる場合であっても、ボルト頭部12と接続部材中空部21aとが当接した時に、接続部材2と被締結体H1との間にクリアランスが形成されるように構成してもよい。また、大径座金部51aの上面と接続部材中空部21aとが当接した時に、接続部材2と被締結体H1との間にクリアランスが形成されるように構成してもよい。なお、大径座金部51aの上面には、当該上面に形成された凹部又は凸部が含まれる。すなわち、当該凹部又は凸部に当接したときに、接続部材2と被締結体H1との間にクリアランスが形成されるように構成してもよい。
【0081】
(変形例6)
上述の実施形態では、座金50を平板状に形成したが、本発明はこれに限るものでない。
図15(c)は、本変形例の座金52の斜視図である。座金52は、ロゼットワッシャであり、下端平板部52aには、上方に向かってドーム状に延びる曲面部52bが形成されている。本変形例において、座金52の曲面部52bと大径中空部211aが当接した時に、接続部材2と被締結体H1との間にクリアランスが形成されるように構成してもよい。なお、曲面部52bに凹部又は凸部が形成されている場合、当該凹部又は凸部に当接したときに、接続部材2と被締結体H1との間にクリアランスが形成されるように構成してもよい。また、座金52は、円錐台形状であってもよい。この場合、座金52のテーパ面と大径中空部211aが当接した時に、接続部材2と被締結体H1との間にクリアランスが形成されるように構成してもよい。なお、当該テーパ面に凹部又は凸部が形成されている場合、当該凹部又は凸部に当接したときに、接続部材2と被締結体H1との間にクリアランスが形成されるように構成してもよい。
【0082】
(変形例7)
図16を参照しながら、変形例7について説明する。
図16は、テンション受部4が保護プレート60に当接した直後の状態を示している。すなわち、ボルト頭部12及びテンション受部4と被締結体H1との間に、保護プレート60を介在させることができる。保護プレート60は、ボルトネジ軸部11を挿通させるための開口部を有しており、テンション受部4の外径よりも径寸法が大きく設定されている。そのため、ハンドル5を回転させてテンション受部4を下動させた時に、テンション受部4の当接する部材は被締結体H1ではなく保護プレート60となる。この場合、被締結体H1から加わる軸力検出時の反力は、保護プレート60を介してテンション受部4に伝達される。
【0083】
本変形例の構成は、被締結体Hの剛性(EI)、弾性限界強度がテンション受部4よりも低い場合に、特に好適である。なお、Eはヤング率であり、Iは断面二次モーメントである。すなわち、テンション受部4を被締結体H1に当接させて軸力検出を行うと、被締結体H1の当接部分に荷重が集中する。そのため、被締結体H1の剛性等が低い場合には、被締結体H1が変形するおそれがある。そこで、本実施形態では、テンション受部4の外径よりも径寸法が大きい保護プレート60をテンション受部4と被締結体H1との間に介在させている。これにより、当接面積が増大して、荷重が分散されるため、被締結体Hに加わる負荷を軽減することができる。
【0084】
保護プレート60には、被締結体Hよりも剛性(EI)、弾性限界強度が高い材料(例えば、熱処理した鉄鋼材)を用いることができる。剛性(EI)等の高い保護プレート60を介して反力を検出することにより、軸力検出の検出誤差を小さくすることができる。
【0085】
図17(a)は、保護プレートの変形例である。保護プレート61は、リング状に形成されており(ただし、リング状以外の形状であってもよい)、ボルト頭部12の直下を避けたテンション受部4と被締結体H1との間に介在している。保護プレート61のうち、内縁部61aはテンション受部4の内縁部に対応した位置に設けられており、外縁部61bはテンション受部4の外縁部から径方向に突出した位置に設けられている。
本例によれば、保護プレート61の径方向における肉厚を調整(言い換えると、被締結体H1及び保護プレート61の接触面積を調整)することにより、ボルト頭部12の直下における被締結体H1の変形量と、保護プレート61の直下における被締結体H1の変形量とを略同じにすることができる。すなわち、引張機構3による引張を開始する前における、ボルト頭部12直下の被締結体H1の変形量をS1、引張機構3により引張を開始した後における、保護プレート61の直下の被締結体H1の変形量をS2としたときに、これらの変形量S1及びS2が互いに略等しくなるように、被締結体H1に対する保護プレート61の接触面積を調整しておくことが望ましい。なお、変形量S1及びS2は、ボルト10の軸方向における変形量のことである。ただし、保護プレート61は、テンション受部4の一部として設けられていてもよい。この場合、被締結体H1に接触するテンション受部4の当接部(言い換えると、下端部)の接触面積が、上述の条件を満足するように、接触面積を調整しておくことが望ましい。適切な接触面積は、予め実験、或いはシミュレーションを行うことにより、求めることができる。
【0086】
変形量を略同じにすることによるメリットは、以下の通りである。ボルト頭部12を引っ張ると、ボルト頭部12直下における被締結体H1の締め付け時の変形量が解放される(言い換えると、ボルト頭部12直下が無負荷に近い状態となる)。ボルト頭部12を引っ張ったときの変形状態を維持するために、保護プレート61(又はテンション受部4)により被締結体H1を締め付け時と同様に変形させておくことにより、軸力検出の精度を向上させることができる。
【0087】
第1実施形態及びその各種変形例では、ボルト頭部の形状を六角又は四角としたが、本発明はこれに限るものではなく、例えば、十二角に置換してもよい。
【0088】
また、ボルトは、二重六角ボルトであってもよい。ここで二重六角ボルトとは、六角形の頭部を30度ずらして上下に二重に重ね合わせたボルトのことであり、各頭部に第1実施形態と同様の第4雄ネジ部を形成することができる。ただし、上下に重ね合わせた頭部のうち一方の頭部にのみ第4雄ネジ部を形成する構成であってもよい。
【0089】
(変形例8)
図17(b)を参照しながら、変形例8について説明する。
図17(b)は、テンション受部4が被締結体H1に当接した直後の状態を示しており、接続部材本体部21とナット50との間には微小なクリアランスが形成されており、ボルトネジ軸部11の上端は接続部材中空部21aの天面に当接している。本変形例の構成では、接続部材中空部21aの周面に形成された第1雌ネジ部21a1に対して、ボルトネジ軸部11を螺合させることにより、ボルト10を引っ張る構成となっている。ナット50の種類は特に限定しないが、例えば、六角ナット、十二角ナット、四角ナットを用いることができる。
【0090】
(第5実施形態)
本実施形態の軸力検出装置は、被締結体をボルト及び座金で締結するとともに、被締結体の上面を抑えながら座金(請求項1の締結部品に相当する)を介してボルトを引っ張り、軸力を検出する装置である。回転防止機構は、第1実施形態と同じである。ただし、第2及び第3実施形態の回転防止機構を採用してもよい。
【0091】
図18(a)は本実施形態の軸力検出装置の概略構成図であり、
図18(b)はボルト及び座金の斜視図である。軸力検出装置の基本的な構成は、第1実施形態と同様であるから、詳細に説明を省略する。
ボルト、座金及び被締結体について詳細に説明する。ボルト10は、六角ボルトであり、ボルトネジ軸部11及びボルト頭部12から構成されている。ただし、ボルト10は、例えば、十二角ボルト、四角ボルトなどであってもよい(本実施形態の他の変形例においても同様である)。ボルトネジ軸部11には雄ネジが形成されている。座金14は、平板状に形成されており、ボルト10よりも径寸法が大きく設定されている。座金14の外周面には、第4雄ネジ部14a(請求項1の第4ネジ部に相当する)が周方向に延びて形成されている。図示例では、座金14の外周面(側面)全体に第4雄ネジ部14aを形成しているが、本発明はこれに限るものではなく、当該外周面の一部であってもよい(他の実施形態及び変形例も同様である)。
【0092】
座金14は、上下方向において、ボルト頭部12及び被締結体H1に狭圧されている。座金14を使用することにより、接触面積が大きくなるため、被締結体H1に対する接触面圧を下げることができる。したがって、被締結体H1が強度の低い材料(例えば、アルミニウム)で構成されている場合にも、本願発明は適用することができる。
【0093】
軸力検出は、座金14の第4雄ネジ部14aを接続部材2の第1雌ネジ部21a1に螺合させた状態で行うことができる。ここで、第4雄ネジ部14aは、ボルト頭部12よりも径方向外側に張り出した座金14の外周面に形成されているため、座金14及び接続部材2を螺合させたときのネジの周方向長さを十分に確保することができる。これにより、軸力検出時にネジ山が塑性変形して、軸力検出の検出精度が低下することを抑制できる。
以下、本実施形態の変形例について説明する。
【0094】
(変形例1)
図19を参照しながら、変形例1について説明する。
図19は、
図1に対応しており、テンション受部4が被締結体H1に当接した直後の状態を示している。本実施形態のボルト10は、ボルト頭部12が被締結体H2の下面に接触し、ボルトネジ軸部11の先端が被締結体H1の上面から突出している。なお、ボルト孔H1a及びH2aには、ネジが切られていない。
【0095】
ボルトネジ軸部11の突出部分には、座金14が挿通されており、この座金14の上からナット50が締結されている。つまり、座金14が被締結体H1及びナット50によって狭圧されている。座金14は、ナット50よりも外径寸法が大きく設定されている。なお、ナット50の種類は特に限定しないが、例えば、六角ナット、十二角ナット、四角ナットを用いることができる(本実施形態の他の変形例においても同様である)。
【0096】
座金14の外周面に第4雄ネジ部14aが形成されている。接続部材中空部21aは、大径中空部211a及び小径中空部212aからなる上限二段構成となっており、大径中空部211aの上端部及び小径中空部212aの下端部が連接されている。大径中空部211aには、軸力検出時に座金14の第4雄ネジ部14aに螺合する第1雌ネジ部21a1が形成されている。
【0097】
ここで、大径中空部211a及び小径中空部212aの上下方向の寸法は、接続部材2を座金14に螺合させた時に、ボルトネジ軸部11が小径中空部212aの天面に当接する前に、ナット50の上面(ナット50の上面に凹部又は凸部が形成されている場合、当該凹部又は凸部が含まれる)が大径中空部211aの天面に当接するようにサイズ調整されている。
【0098】
(変形例2)
図20及び
図21を参照しながら、変形例2の軸力検出装置について説明する。
図20は軸力検出装置の概略図であり、座金を引っ張る動作を開始した直後の状態を示している。なお、上述の実施形態と機能が共通する要素は、同一符号を付して、詳細な説明を省略する。
図21はボルトの斜視図である。
【0099】
接続部材本体部21の下端部には、上下方向に延びる接続部材中空部21aが形成されている。接続部材中空部21aは、大径中空部211a及び小径中空部212aからなる上下二段構成となっており、大径中空部211aの上端部及び小径中空部212aの下端部が連接されている。大径中空部211aには、軸力検出時に座金14の第4雄ネジ部14aに螺合する第1雌ネジ部21a1が形成されている。
【0100】
次に、ボルト、座金及び被締結体について詳細に説明する。ボルト13は、フランジ付き六角ボルトであり、ボルトネジ軸部13a、ボルト頭部13b及びボルトフランジ部13cから構成されている。ボルトネジ軸部13aには雄ネジが形成されている。ボルトフランジ部13cは、ボルト頭部13bの下端部から径方向に張り出すように形成されており、ボルト頭部13bと一体的に形成されている。ボルトフランジ部13cの外径は、小径中空部212aの内径よりも大きく、かつ、大径中空部211aの内径よりも小さい。
【0101】
座金14は、平板状に形成されており、ボルトフランジ部13cよりも径寸法が大きく設定されている。座金14の外周面には第4雄ネジ部14aが周方向に延びて形成されている。座金14は、上下方向において、ボルトフランジ部13c及び被締結体H1に狭圧されている。
【0102】
軸力検出は、座金14の第4雄ネジ部14aを接続部材2の第1雌ネジ部21a1に螺合させた状態で行うことができる。ここで、第4雄ネジ部14aは、ボルトフランジ部13cよりも径方向外側に張り出した座金14の外周面に形成されているため、座金14及び接続部材2を螺合させたときのネジの周方向長さを十分に確保することができる。これにより、軸力検出時にネジ山が塑性変形して、軸力検出の検出精度が低下することを抑制できる。
【0103】
ボルトフランジ部13cは、平板状ではなく、曲面(又はテーパ面)状に形成してもよい。
【0104】
(変形例3)
図22は、本変形例3の座金の斜視図であり、
図23(a)は軸力検出装置の概略図である。座金81は、段付き座金であり、大径座金部81aと、大径座金部81aの上面に形成された小径座金部81bとから構成されている。大径座金部81aは、小径座金部81bと一体的に形成されており、小径座金部81bよりも外径寸法が大きく設定されている。
【0105】
ボルト82は、ボルト頭部82a及びボルトネジ軸部82bからなる六角ボルトである。ボルトネジ軸部82bには座金81が挿通されており、ボルト頭部82aと被締結体H1との間に座金81は挟まれている。小径座金部81bはボルト頭部82aに接触しており、大径座金部81aは、大径中空部211aの天面に接触している。大径座金部81aの外周面(側面)には、第4雄ネジ部810aが形成されている。ボルト頭部82aと小径中空部212aとの間には、隙間が形成されている。ボルトの引っ張りは、大径座金部81aの第4雄ネジ部810aを接続部材2の第1雌ネジ部21a1に螺合させた状態で行われる。
【0106】
図23(b)を参照しながら、本変形例3の更なる変形例3-1について説明する。
図23(b)は、
図23(a)に対応しており、テンション受部4が被締結体H1に当接した直後の状態を示している。座金81は、小径座金部81bの外径寸法が本変形例3よりも大きく設定されている。
【0107】
上述の構成において、接続部材2を回転軸X周りに回転させて、第4雄ネジ部810a及び第1雌ネジ部21a1を螺合させると、接続部材2は下向きに螺進する。接続部材2を回転軸X周りに更に回転させると、小径座金部81bの上面(小径座金部81bの上面に凹部又は凸部が形成されている場合、当該凹部又は凸部が含まれる)が大径中空部211aに当接して、接続部材2が回転不能となる。この状態で、テンションロッド31を回転させることにより、ボルト82を接続部材2及び座金81を介して引っ張ることができる。
【0108】
図24を参照しながら、本変形例3の更なる変形例3-2について説明する。
図24は本変形例3-2の座金の斜視図である。座金91は、ロゼットワッシャであり、下端平板部91aの外周面(側面)には、第4雄ネジ部910aが形成されている。下端平板部91aには、上方に向かってドーム状の延びる曲面部91bが形成されている。ただし、曲面部91bを、円錐台状に形成してもよい。
【0109】
図23(a)及び
図24を参照して、本変形例3-2では、座金91の曲面部91b(円錐台の場合は、テーパ面)及び大径中空部211aが当接することにより、接続部材2が回転不能となる。この状態で、テンションロッド31を回転させることにより、ボルト82を接続部材2及び座金81を介して引っ張ることができる。
【0110】
(変形例4)
図25及び
図26を参照しながら、本変形例4の軸力検出装置について説明する。
図25は、テンション受部4が被締結体H1に当接した直後の状態を示している。
図26は、本変形例4のナット95の斜視図である。
【0111】
ナット95は、フランジ付きのナットであり、ナットフランジ部95aとナット本体95bとを含む。ナットフランジ部95aは、ナット本体95bの下端部から径方向外側に向かって張り出している。ナットフランジ部95aの外径は、座金14の外径よりも小さく設定されている。
【0112】
ここで、接続部材2を回転軸X周りに回転させて、第4雄ネジ部14a及び第1雌ネジ部21a1を螺合させると、接続部材2は下向きに螺進する。接続部材2を回転軸X周りに更に回転させると、ナットフランジ部95aの上面(ナットフランジ部95aの上面に凹部又は凸部が形成されている場合、当該凹部又は凸部が含まれる)が大径中空部211aに当接して、接続部材2が回転不能となる。接続部材2が回転不能となる。この状態で、テンションロッド31を回転させることにより、ボルト82を接続部材2及び座金14を介して引っ張ることができる。
【0113】
本変形例4では、
図25に図示するように、ボルト82を六角ボルトとしたが、ボルト頭部を有しないスタッドボルトにすることもできる(後述する
図27についても同様である)。なお、スタッドボルトは、両端にネジ部を有する。
【0114】
本変形例4では、ナットフランジ部95aを平板状に形成したが、本発明はこれに限るものではなく、ナット本体95bよりも径方向外側に拡径した、平板以外の形状であってもよい。ナットフランジ部95aは、例えば、
図24に示す形状を模した曲面(又はテーパ面)を有する形状であってもよい。
【0115】
(変形例5)
図27を参照しながら、変形例5の軸力検出装置について説明する。
図27は、テンション受部4が被締結体H1に当接した直後の状態を示している。本変形例5のナット97は、フランジのないナットである。本変形例5の座金は、上述した座金81(
図22参照)と同様である。また、本変形例5の接続部材2は、大径中空部211a及び小径中空部212aの間に中径中空部213aが形成されている。
【0116】
ここで、接続部材2を回転軸X周りに回転させて、第4雄ネジ部810a及び第1雌ネジ部21a1を螺合させると、接続部材2は下向きに螺進する。接続部材2を回転軸X周りに更に回転させると、大径座金部81aの上面(大径座金部81aの上面に凹部又は凸部が形成されている場合、当該凹部又は凸部が含まれる)が大径中空部211aに当接して、接続部材2が回転不能となる。この状態で、テンションロッド31を回転させることにより、ボルト82を接続部材2及び座金81を介して引っ張ることができる。
【0117】
変形例5の更なる変形例5-1を説明する。
図27において、大径中空部211aの高さを大きくして、小径座金部81bの上面(小径座金部81bの上面に凹部又は凸部が形成されている場合、当該凹部又は凸部が含まれる)及び中径中空部213aが当接して、接続部材2が螺進不能となるようにしてもよい。
【0118】
(変形例6)
図28を参照しながら、変形例6について説明する。
図28は、テンション受部4が保護プレート60に当接した直後の状態を示している。すなわち、座金14及びテンション受部4と被締結体H1との間に、保護プレート60を介在させることができる。保護プレート60は、リング状に形成されており、内縁部60aはボルトネジ軸部11に対応した位置に設けられており、外縁部60bはテンション受部4の外縁部から径方向に突出した位置に設けられている。そのため、ハンドル5を回転させてテンション受部4を下動させた時に、テンション受部4は被締結体H1ではなく保護プレート60に当接する。この場合、被締結体H1から加わる軸力検出時の反力は、保護プレート60を介してテンション受部4に伝達される。
【0119】
図29は、保護プレートの変形例である。保護プレート61は、リング状に形成されており(ただし、リング状以外の形状であってもよい)、座金14の直下を避けたテンション受部4と被締結体H1との間に介在している。保護プレート61のうち、内縁部61aはテンション受部4の内縁部に対応した位置に設けられており、外縁部61bはテンション受部4の外縁部から径方向に突出した位置に設けられている。
【0120】
(第6実施形態)
本実施形態の軸力検出装置は、被締結体の挿通孔にボルトを挿入し、挿通孔を貫通したボルトの雄ねじ部にナットを螺合締結することにより、被締結体を狭圧するボルト・ナット締結体を引っ張り、軸力を検出する装置である。回転防止機構は、第1実施形態の機構と同じである。ただし、第2及び第3実施形態の回転防止機構を採用してもよい。
【0121】
図30(a)は軸力検出装置の概略図である。
図30(b)はナットの斜視図である。
軸力検出装置の基本的な構成は、第1実施形態等と同じであるから詳細な説明を省略する。
ボルト10は、六角ボルトであり、ボルトネジ軸部11及びボルト頭部12から構成されている。ただし、ボルト10は、例えば、十二角ボルト、四角ボルトなど第1実施形態で説明した様々なボルトを用いることができる。また、ボルト頭部を有しないスタッドボルトを用いることもできる。
【0122】
ボルトネジ軸部11は、被締結体Hの上面から突出しており、この突出部分にナット15が締結されている。すなわち、被締結体Hは、ボルト頭部12及びナット15によって狭圧されている。
【0123】
図30(b)に図示するように、ナット15の側面には第4雄ネジ部15a(請求項1の第4ネジ部に相当する)が周方向に間欠的に形成されている。すなわち、個々の第4雄ネジ部15aは、ナット15の側面における曲げ形状部に形成されている。第4雄ネジ部15aは、全ての曲げ形状部に略均等な長さで形成することが好ましい。例えば、一部の曲げ形状部に第4雄ネジ部15aが形成されていない場合、荷重が引張り方向(つまり、上下方向)とは異なる方向に働き、軸力検出の精度が低下するおそれがある。
【0124】
軸力検出は、接続部材2の第1雌ネジ部21a1をナット15の第4雄ネジ部15aに螺合させた状態で行うことができる。本実施形態では、ボルトネジ軸部11よりも径寸法が大きいナット15の外周面に第4雄ネジ部15aを形成しているため、第4雄ネジ部15a及び第1雌ネジ部21a1の螺合する面積を大きくすることができる。
【0125】
(変形例1)
図示例では、ナット15の側面における上端から下端までの全体に亘って、第4雄ネジ部15aが形成されているが、本発明はこれに限るものではなく、
図30(c)に図示するように、上端から下端までの一部に形成されていてもよい。
【0126】
(変形例2)
上述の例では、ナット15の上面と接続部材第1中空部21aとが当接した時に、接続部材2の下端部と被締結体H1との間にクリアランスが形成されるように構成したが、本発明はこれに限るものではなく、
図30(d)に図示するように、ボルトネジ軸部11の先端面と接続部材第2中空部21bの天面とが当接した時に、クリアランスが形成されるように構成してもよい。なお、ボルトネジ軸部11の先端面には、当該先端面に形成された凹部又は凸部も含まれる。
【0127】
(変形例3)
図31(a)及び
図31(b)を参照しながら、本変形例3について説明する。
図31(a)は本変形例3のナットの斜視図である。
図31(b)は本変形例3の軸力検出装置の概略図である。本変形例3では、フランジナットが用いられる。
【0128】
ナット500は、フランジナットの一例であるフランジ付き六角ナットであり、六角形状のナット本体501及びリング形状のフランジ部502により構成されている。これらのナット本体501及びフランジ部502は、一体的に形成されている。フランジ部502は、ナット本体501よりも径方向外側に張り出している。ナット本体501の外周面には、周方向に延びる第4雄ネジ部501aが間欠的に形成されている。すなわち、第1実施形態と同様、ナット本体501の曲げ形状部に第4雄ネジ部501aが形成されている。
【0129】
接続部材2及びナット500の連結時に、接続部材2を回転軸X周りに回転させて、第4雄ネジ部501a及び第1雌ネジ部21a1を螺合させると、接続部材2は下向きに螺進する。接続部材2を回転軸X周りに更に回転させると、ナット本体501の上面が接続部材第1中空部21aの天面に当接して、接続部材2が回転不能となる。本変形例3では、ナット本体501及び接続部材第1中空部21aが当接した時(言い換えると、接続部材2が螺進不能となった時)に、クリアランスが形成される。なお、ナット本体501の上面には、当該上面に形成された凹部又は凸部が含まれる。
図31(b)に図示する構成において、フランジ部502を拡径し、テンション受部4と被締結体H1との間に、フランジ部502を介在させてもよい。この場合、テンション受部4は、座金500のフランジ部502を介して、ボルト引っ張り時の反力を受けることになる。
【0130】
本変形例3の更なる変形例3-1について
図31(c)を参照しながら説明する。
図31(c)は本変形例の軸力検出装置の概略図であり、接続部材第3中空部21cが形成されている点で、
図31(b)の軸力検出装置と相違する。接続部材第3中空部21cは、接続部材第1中空部21aの下端部に連接しており、接続部材第1中空部21aよりも径寸法が大きく設定されている。
【0131】
本変形例3-1では、ナット500のフランジ部502の上面が接続部材第3中空部21cの天面に当接した時に、接続部材2の下端部と被締結体H1との間にクリアランスが形成される。なお、フランジ部502の上面には、当該上面に形成された凹部又は凸部も含まれる。ただし、
図30(d)に図示するように、ボルトネジ軸部11の先端面(ボルトネジ軸部11の先端面に凹部又は凸部が形成されている場合、当該先端面に形成された凹部又は凸部を含む)と接続部材第2中空部21bの天面とが当接した時に、接続部材2の下端部と被締結体H1との間にクリアランスが形成されるようにしてもよい。
【0132】
(変形例4)
図31(d)は本変形例のナットの斜視図である。
図31(e)は、本変形例の軸力検出装置の概略図である。本変形例のナット500では、フランジ部502の外周面に周方向に延びる第4雄ネジ部502aが連続的に形成されている。
【0133】
接続部材2及びナット500の連結時に、接続部材2を回転軸X周りに回転させて、第4雄ネジ部502a及び第1雌ネジ部21c1を螺合させると、接続部材2は下向きに螺進する。接続部材2を回転軸X周りに更に回転させると、フランジ部502の上面が接続部材第3中空部21cの天面に当接して、接続部材2が回転不能となる。本変形例4では、フランジ部502及び接続部材第3中空部21cが当接した時(言い換えると、接続部材2が螺進不能となった時)に、接続部材2の下端部と被締結体H1との間にクリアランスが形成される。なお、フランジ部502の上面には、当該上面に形成された凹部又は凸部も含まれる。ただし、ナット本体501の上面(ナット本体501の上面に凹部又は凸部が形成されている場合、これらの凹部又は凸部も含まれる)が接続部材第1中空部21aに当接した時、或いはボルトネジ軸部11の先端面(ボルトネジ軸部11の先端面に凹部又は凸部が形成されている場合、これらの凹部又は凸部も含まれる)が接続部材第2中空部21bに当接した時に、接続部材2の下端部と被締結体H1との間にクリアランスが形成されてもよい。
【0134】
(変形例5)
図31(f)は、本変形例5の軸力検出装置の概略図である。本変形例のナット500は、ナット本体501の外周面に第4雄ネジ部501aが形成されるとともに、フランジ部502の外周面に第4雄ネジ部502aが形成されている。これらの第4雄ネジ部501a及び502aは、互いに同じピッチでなければならない。ピッチが異なると、第4雄ネジ部501a及び502aに接続部材2を螺合させることができない。
【0135】
ここで、接続部材2及びナット500の連結時に、接続部材2を回転軸X周りに回転させて、第4雄ネジ部501a及び第1雌ネジ部21a1を螺合せるとともに、第4雄ネジ部502a及び第1雌ネジ部21c1を螺合させると、接続部材2は下向きに螺進する。接続部材2を回転軸X周りに更に回転させると、ナット500のフランジ部502の上面(フランジ部502の上面に凹部又は凸部が形成されている場合、これらの凹部又は凸部も含まれる)が接続部材第3中空部21cの天面に当接して、接続部材2が回転不能となる。本変形例5では、フランジ部502及び接続部材第3中空部21cが当接した時(言い換えると、接続部材2が螺進不能となった時)に、接続部材2の下端部と被締結体H1との間にクリアランスが形成される。ただし、ナット本体501の上面(ナット本体501の上面に凹部又は凸部が形成されている場合、これらの凹部又は凸部も含まれる)が接続部材第1中空部21aに当接した時、或いはボルトネジ軸部11の先端面(ボルトネジ軸部11の先端面に凹部又は凸部が形成されている場合、これらの凹部又は凸部も含まれる)が接続部材第2中空部21bに当接した時に、接続部材2の下端部と被締結体H1との間にクリアランスが形成されてもよい。
【0136】
(変形例6)
図31(g)は、本変形例のナットの斜視図である。同図を参照して、フランジ部502は、下端平板部503及び下端平板部503の上面外縁から上方に向かってドーム状に延びる曲面部504を含む。ただし、曲面部504は、円錐台状に形成してもよい。下端平板部503の外周面には、周方向に延びる第4雄ネジ部503aが形成されている。ただし、第4雄ネジ部は、ナット本体501に形成してもよい。また、ナット本体501及び下端平板部503の双方に第4雄ネジ部を形成してもよい。
【0137】
ボルトネジ軸部11の先端面(ボルトネジ軸部11の先端面に凹部又は凸部が形成されている場合、これらの凹部又は凸部も含まれる)が接続部材第2中空部21bの天面に当接した時、ナット本体501の上面(ナット本体501の上面に凹部又は凸部が形成されている場合、これらの凹部又は凸部も含まれる)が接続部材第1中空部21aの天面に当接した時又は曲面部504(円錐台の場合は、テーパ面)が接続部材第3中空部21cの天面に当接した時に、接続部材2の下端部と被締結体H1との間にクリアランスが形成されてもよい。なお、曲面部504(又は当該テーパ面)に凹部又は凸部が形成されている場合、当該凹部又は凸部を当接部位としてもよい。
【0138】
(変形例7)
図32を参照しながら、本実施形態の変形例7について説明する。
図32は、
図1に対応しており、テンション受部4が被締結体H1に当接した直後の状態を示している。本変形例7では、ナット15と被締結体H1との間に、平板状の座金50を介在させている。座金50は、テンション中空部41の内径よりも径寸法が小さく設定されており、接続部材2の下端部と座金50との間には、微小なクリアランスが形成されている。
【0139】
座金50は、ボルトネジ軸部11に挿通されており、この座金50の上からナット15が締結されている。座金50は、ナット15よりも外径寸法が大きく設定されている。ここで、座金50は、平板状に限るものではなく、
図22に図示する段付き座金、
図24に図示するロゼットワッシャ52であってもよい。
【0140】
ここで、接続部材2を座金50に螺合させた時に、ボルトネジ軸部11が接続部材第2中空部21bの天面に当接する前に、ナット15の上面が接続部材第1中空部21aの天面に当接するように、接続部材第1中空部21a及び接続部材第2中空部21bの上下方向の寸法はサイズ設定されている。
【0141】
ただし、ボルトネジ軸部11の先端面(ボルトネジ軸部11の先端面に凹部又は凸部が形成されている場合、これらの凹部又は凸部も含まれる)が接続部材第2中空部21bの天面に当接した時に、接続部材2の下端部と被締結体H1との間にクリアランスが形成されてもよい。また、座金50の上面(座金50の上面に凹部又は凸部が形成されている場合、これらの凹部又は凸部も含まれる)が接続部材2に当接した時に、接続部材2の下端部と被締結体H1との間にクリアランスが形成されてもよい。
また、段付き座金の上面(段付き座金51の上面に凹部又は凸部が形成されている場合、これらの凹部又は凸部も含まれる)が接続部材2に当接した時に、接続部材2の下端部と被締結体H1との間にクリアランスが形成されてもよい。
さらに、ロゼットワッシャの曲面部(当該曲面部に凹部又は凸部が形成されている場合、当該凹部又は凸部を含む)を当接部位としてもよい。
【0142】
(変形例8)
図33を参照しながら、本実施形態の変形例8について説明する。
図33は、テンション受部4が保護プレート60に当接した直後の状態を示している。すなわち、ナット15及びテンション受部4と被締結体H1との間に、保護プレート60を介在させることができる。接続部材2の下端部と保護プレート60との間には、微小なクリアランスが形成されている。保護プレート60は、ボルトネジ軸部11を挿通させるための開口部を有しており、テンション受部4の外径よりも径寸法が大きく設定されている。そのため、ハンドル5を回転させてテンション受部4を下動させた時に、テンション受部4の当接する部材は被締結体H1ではなく保護プレート60となる。この場合、被締結体H1から加わる軸力検出時の反力は、保護プレート60を介してテンション受部4に伝達される。保護プレート60については、説明を繰り返さない。
【0143】
本変形例8の保護部プレートは、
図34に図示する形態であってもよい。
図34は、保護プレートの変形例である。これについては、
図17(a)を参照して説明する第4実施形態で詳細を述べたから、省略する。
【0144】
(変形例9)
上述の実施形態及び変形例では、ナットの種類を六角ナットとしたが、本発明はこれに限るものではなく、例えば、四角ナット、或いは十二角ナットに置換することもできる。なお、四角ナット、十二角ナットは、フランジを有していてもよいし、フランジを有していなくてもよい。
【0145】
(第7実施形態)
上述の実施形態では、ボルトの頭部、座金、ナットのうちいずれかを接続部材2を介してテンションロッド31で引っ張る構成について説明したが、本実施形態の軸力検出装置は、ボルトの軸部を、接続部材を介して引っ張る装置である。回転防止機構は、第1実施形態の機構と同じである。ただし、第2及び第3実施形態の回転防止機構を採用してもよい。
【0146】
図35(a)は、本実施形態の軸力検出装置の概略図である。テンション受け部4の下端部には、回転軸Xに向かって延びる底面部42が設けられている。なお、この底面部42を有するテンション受け部4の構成は、他の実施形態及び変形例にも適用することができる。ボルト10は、ボルトネジ軸部11及びボルト頭部12を有する一般的なボルトである。一般的なボルトとは、ボルト頭部の側面にネジが形成されていないボルトのことである。ボルト10には、四角ボルト、六角ボルト、十二角ボルトなど第1実施形態で説明した様々なボルトを用いることができる。ボルト頭部12は、被締結体H2の下面に接触している。
【0147】
ナット15は、一般的なナットである。一般的なナットとは、ナット側面にネジが形成されていないナットのことである。ナット15には、四角ナット、六角ナット、十二角ナット等上述の様々なナットを用いることができる。ナット15は、ボルトネジ軸部11に締結されており、被締結体H1の上面に接触している。また、ナット15の上面には、テンション受け部4の底面部42が接触している。したがって、テンション受け部4は、ナット15を介して反力を受けることになる。なお、テンション受け部4の底面部42は省略してもよい。この場合、テンション受け部4はナット15ではなく被締結体Hと接触するため、被締結体Hから直接反力を受けることになる。
【0148】
上述した通り、ボルト10には様々なボルトが含まれるが、
図35(b)に図示するように、ボルト頭部を有しないスタッドボルトも含まれる。スタッドボルト10の上側のネジ部には、ナット15が締結され、スタッドボルト10の下側のネジ部は、被締結体H2に締結される。これにより、スタッドボルト10は被締結体Hに固定される。図示例では、テンション受け部4の底面部42と被締結体Hとの間にナット15を介在させているため、テンション受け部4は、ナット15を介して反力を受ける。なお、テンション受け部4の底面部42は省略してもよい。この場合、テンション受け部4はナット15ではなく被締結体Hと接触するため、被締結体Hから直接反力を受けることになる。
ナット15は、平板状に限るものではなく、例えば、
図26に図示するフランジ付きのナットであってもよい。この場合、ナットのフランジ部をテンション受け部4と被締結体Hとの間に介在させてもよい。ナットのフランジ部の形状は、例えば、
図24に示す形状を模した曲面(又はテーパ面)を有する形状としてもよい。
【0149】
本実施形態の変形例について、説明する。
(変形例1)
ナット15と被締結体H1との間に座金を介在させてもよい。座金には、
図15(a)に図示する通常の座金、
図15(b)に図示する段付き座金51、
図15(c)に図示するロゼットワッシャからなる座金52などを用いることができる。座金を拡径して、テンション受け部4と被締結体H1との間に介在させてもよい。この場合、テンション受部4は、座金を介して、ボルト引っ張り時の反力を受けることになる。
【0150】
(変形例2)
本実施形態の変形例1のナット15に変えて、上述の実施形態で説明した保護プレート60をボルト頭部12と被締結体Hとの間に介在させてもよい。この場合、テンション受部4は、保護プレート60を介して、ボルト引っ張り時の反力を受けることになる。
なお、
図35(a)、
図35(b)に図示する、底面部42を備えたテンション受け部4を用いる場合、テンション受け部4は、複数の部品に分割できる分割タイプとすることが望ましい。この場合、接続部材2をボルト10などに螺合させた後に、テンション受け部4を組み立てることにより、
図35(a)、
図35(b)に図示する軸力検出装置を完成させることができる。
【0151】
(第8実施形態)
上述の各実施形態で説明した回転防止機構を設けることにより、ボルト10の引っ張り時に、テンションロッド31の回転トルクが、接続部材2を介して、テンション受け部4に働き、テンション受け部4が回転してしまうおそれがある。したがって、テンション受け部4が回転しないように、テンション受け部4の接地面の摩擦係数を大きくしたり、テンション受け部4の径を大きく設計する(つまり、トルクを大きくしておく)などしておくことが望ましい。
なお、上述の各実施形態において、テンションロッド31の回転軸周り方向における、回転防止機構のガタやねじれがあると、ボルト10が緩め方向に回転しやすくなる。したがって、回転防止機構のガタやねじれが少なくなるように設計することが望ましい。
【符号の説明】
【0152】
1 軸力検出装置
2 接続部材
3 引張機構
4 テンション受部
5 ハンドル
10,100,200,300 ボルト
11 ボルトネジ軸部
12a,102b,202a,302a1,302b1 第1雄ネジ部
14 50 51 52 81 91 座金
15 95 97 500 ナット
21 接続部材本体部
21a 接続部材中空部
21a1 第1雌ネジ部
21d 第1歯形部
22 凸部
22a 第2雄ネジ部
25 キー
31 テンションロッド
31a 小径ロッド部
31b 大径ロッド部
32 軸受部
33 角ドライブ
34 レンチ
41a キー溝
42 底面部
43 歯形部
44 第2歯形部
60 保護プレート
311 テンションロッド中空部
311a 第2雌ネジ部
H(H1,H2) 被締結体
【要約】
【課題】軸力検出後の除荷時に、締結体が緩むことを防止する。
【解決手段】軸力検出装置であって、第1ネジ部及び第2ネジ部を有する接続部材と、第3ネジ部を備え、前記第2ネジ部を前記第3ネジ部に螺合させた状態で、上下方向に延びる回転軸周りの回転トルクを前記接続部材に付与することにより、前記接続部材を介して前記締結体を引っ張るテンションロッドと、前記接続部材の外周周りに配置され、前記テンションロッドによる引張時に前記被締結体から作用する反力を受けるテンション受部と、を有し、前記接続部材及び前記テンション受け部は、回転防止機構を有し、前記回転防止機構は、前記テンションロッドの回転軸方向における前記接続部材の移動を許容するとともに、前記テンションロッドの回転軸周りにおける前記接続部材の回転を防止することを特徴とする軸力検出装置。
【選択図】
図1