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特許7282428ピット掘削によるピット外の地層沈降曲線を予測する計算方法
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  • 特許-ピット掘削によるピット外の地層沈降曲線を予測する計算方法 図1
  • 特許-ピット掘削によるピット外の地層沈降曲線を予測する計算方法 図2
  • 特許-ピット掘削によるピット外の地層沈降曲線を予測する計算方法 図3
  • 特許-ピット掘削によるピット外の地層沈降曲線を予測する計算方法 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-19
(45)【発行日】2023-05-29
(54)【発明の名称】ピット掘削によるピット外の地層沈降曲線を予測する計算方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 30/13 20200101AFI20230522BHJP
   G06F 30/20 20200101ALI20230522BHJP
【FI】
G06F30/13
G06F30/20
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2023027612
(22)【出願日】2023-02-24
【審査請求日】2023-02-24
(31)【優先権主張番号】202210634794.1
(32)【優先日】2022-06-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】520448452
【氏名又は名称】浙大城市学院
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】范 暁真
(72)【発明者】
【氏名】徐 長節
(72)【発明者】
【氏名】丁 智
(72)【発明者】
【氏名】魏 綱
(72)【発明者】
【氏名】梁 禄鉅
(72)【発明者】
【氏名】章 麗莎
(72)【発明者】
【氏名】蒋 昊宇
【審査官】堀井 啓明
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-012341(JP,A)
【文献】特開2014-206959(JP,A)
【文献】特開2006-022600(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第113011062(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第112818510(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第108830012(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第108647474(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第106485012(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F30/00-30/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータ上で運行されるピット掘削によるピット外の地層沈降曲線を予測する計算方法であって、
コンピュータは、以下の各ステップを実行し、
前記各ステップは、
ピット断面パラメータ及びピット掘削による支持保護構造の水平変位重要パラメータを決定するステップS1と、
を含むことを特徴とするピット掘削によるピット外の地層沈降曲線を予測する計算方法。
【請求項2】
【請求項3】
【請求項4】
【請求項5】
【請求項6】
ピット掘削によるピット外の地層沈降曲線を予測する計算装置であって、請求項1~5のいずれか1項に記載のピット掘削によるピット外の地層沈降曲線を予測する計算方法を実行するために用いられ、
ピット断面パラメータ及びピット掘削による支持保護構造の水平変位重要パラメータを決定するための第一の決定モジュールと、
【請求項7】
コンピュータ記憶媒体であって、前記コンピュータ記憶媒体にコンピュータプログラムが記憶されており、前記コンピュータプログラムがコンピュータ上で運行される時、コンピュータに請求項1~5のいずれか1項に記載のピット掘削によるピット外の地層沈降曲線を予測する計算方法を実行させる、ことを特徴とするコンピュータ記憶媒体。
【請求項8】
コンピュータプログラム製品であって、前記コンピュータプログラム製品がコンピュータ上で運行される時、コンピュータに請求項1~5のいずれか1項に記載のピット掘削によるピット外の地層沈降曲線を予測する計算方法を実行させる、ことを特徴とするコンピュータプログラム製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地下工事分野に関し、より正確には、ピット掘削によるピット外の地層沈降曲線を予測する計算方法に関する。
【背景技術】
【0002】
都市地域では、土地資源の緊張により、ピット辺には、一般的には既存の構築物が存在する。ピット掘削による周辺地層の沈降差が一定の許容値を超えると、周辺の既存の構築物の破壊を引き起こす可能性があるため、どのようにしてピット掘削による隣の構築物への影響を評価し、ピット掘削によるピット外の地層沈降曲線を予測し、ピット掘削設計と施工プロセスの、周辺環境の変形への制御を実現するかは、工事においてずっと関心を寄せられてきた重点的な問題である。
【0003】
現在、ピット掘削による周辺地層の変形を予測する技術は、主に、経験式、有限要素法及び理論方法の三つの種類に分けることができる。しかしながら、この三種類の従来の技術には、それぞれ以下の不足が存在する。(1)経験式:異なる土層条件及び施工条件に対する適応性が比較的に悪く、精度が比較的に低く、提供できる情報量が比較的に少なく、ほとんどの従来の経験式が提供するのは、地表沈降包絡線にすぎず、保守的すぎるとともに、支持保護構造の変形と地層沈降との関連性を考慮できないため、ピット工事の変形制御にうまく用いることができない。(2)有限要素法:有限要素モデルの品質は、土体構成モデル及び土体パラメータの取り値に大きく依存し、高品質の構成モデル及び土体パラメータモデルの取得が比較的に困難であるため、応用上に比較的に大きい制限が存在する。(3)理論方法:従来の理論方法の欠点は、式が一般的に比較的に複雑であり、且つほとんどの理論方法が地表沈降曲線を計算することしかできず、異なる深さ地層の沈降曲線を計算できないため、提供する情報量が限られており、工事応用が容易ではないことである。
【0004】
以上をまとめると、現在、ピット掘削の変形制御がますます厳しくなっている現状に対して、簡単で利用可能であり且つ正確なピット掘削によるピット外の地層沈降曲線を予測する明示的な計算方法を提案し、ピット支持保護構造の合理的な設計、工事リスクの防止に対して、非常に重要な工事応用価値を有する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、従来の技術における不足を克服する目的で、ピット掘削によるピット外の地層沈降曲線を予測する計算方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第一の態様によれば、ピット掘削によるピット外の地層沈降曲線を予測する計算方法を提供し、このピット掘削によるピット外の地層沈降曲線を予測する計算方法は、
ピット断面パラメータ及びピット掘削による支持保護構造の水平変位重要パラメータを決定するステップS1と、
【0007】
【0008】
【0009】
【0010】
【0011】
第二の態様によれば、ピット掘削によるピット外の地層沈降曲線を予測する計算装置を提供し、このピット掘削によるピット外の地層沈降曲線を予測する計算装置は、第一の態様のいずれか一つに記載のピット掘削によるピット外の地層沈降曲線を予測する計算方法を実行するために用いられ、
ピット断面パラメータ及びピット掘削による支持保護構造の水平変位重要パラメータを決定するための第一の決定モジュールと、
【0012】
第三の態様によれば、コンピュータ記憶媒体を提供し、前記コンピュータ記憶媒体にコンピュータプログラムが記憶されており、前記コンピュータプログラムがコンピュータ上で運行される時、コンピュータに第一の態様のいずれか一つに記載のピット掘削によるピット外の地層沈降曲線を予測する計算方法を実行させる。
【0013】
第四の態様によれば、コンピュータプログラム製品を提供し、このコンピュータプログラム製品は、前記コンピュータプログラム製品がコンピュータ上で運行される時、コンピュータに第一の態様のいずれか一つに記載のピット掘削によるピット外の地層沈降曲線を予測する計算方法を実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明の有益な効果は、以下のとおりである。
【0015】
(1)本発明による計算方法は、知る必要があるパラメータが比較的に少なく、且つ計算式が明示的計算式であり、簡単で利用可能である。
【0016】
(2)本発明は、ピット掘削による支持保護構造の変形と周辺地層の沈降との関係を考慮し、計算結果が比較的に正確である。
【0017】
(3)本発明は、ピット外のいずれかの深さにおける地層沈降曲線を計算することができる。
【0018】
(4)本発明は、簡単実用性と正確性を両立し、且つピット掘削によるピット外のいずれかの深さでの地層沈降曲線計算に用いることができ、ピット掘削の変形制御に有利であり、良好な普及応用価値を有する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本出願によるピット掘削による支持保護構造の水平変位曲線の概略図である。
図2】本出願による予測の支持保護構造の水平変位及びz=0mでの地層沈降の概略図である。
図3】本出願による予測の支持保護構造の水平変位及びz=3mでの地層沈降の概略図である。
図4】本出願による予測の支持保護構造の水平変位及びz=7mでの地層沈降の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、実施例を併せて本発明についてさらに記述する。下記実施例の説明は、本発明の理解を支援するためのものに過ぎない。指摘すべきものとして、当業者にとって、本発明の原理を逸脱することなく、本発明にいくつかの修飾を加えることもでき、これらの改良と修飾も本発明の特許請求の保護範囲に属する。
【0021】
<実施例1>
ピット掘削によるピット外の地層沈降曲線を予測する計算方法は、以下を含む。
【0022】
ステップS1、ピット断面パラメータ及びピット掘削による支持保護構造の水平変位重要パラメータを決定し、ここで、支持保護構造は、支持保護杭又は支持保護壁であってもよい。
【0023】
【0024】
【0025】
【0026】
ステップS5、S4におけるいずれか一つの深さzにおける地層沈降曲線に基づいて、対応する地層沈降曲線図を描画する。
【0027】
【0028】
【0029】
【0030】
例示的に、図2図4において、z=0mの場合、a=-5.614×10-4で、b=1.119×10-2で、c=1.210×10-2で、a=-6.242×10-4で、b=1.245×10-2で、c=5.857×10-3で、xi_ref=38.8mであり、
=3mの場合、a=-5.614×10-4で、b=7.825×10-3で、c=4.063×10-2で、a=-6.242×10-4で、b=8.701×10-3で、c=3.758×10-2で、xi_ref=26.8mであり、
=7mの場合、a=-5.614×10-4で、b=3.334×10-3で、c=6.294×10-2で、a=-6.242×10-4で、b=3.708×10-3で、c=6.240×10-2で、xi_ref=10.8mである。
【0031】
【0032】
【0033】
【0034】
【0035】
以上をまとめると、従来の技術と比較すると、本発明は、知る必要があるパラメータが比較的に少なく、且つ計算式が明示的計算式であり、簡単で利用可能である。また、本発明は、ピット掘削による支持保護構造の変形と周辺地層の沈降との関係を考慮し、計算結果が比較的に正確である。なお、本発明は、ピット外のいずれかの深さにおける地層沈降曲線を計算することができる。そのため、本発明は、簡単実用性と正確性を両立し、且つピット掘削によるピット外のいずれかの深さでの地層沈降曲線計算に用いることができ、ピット掘削の変形制御に有利であり、良好な普及応用価値を有する。
【符号の説明】
【0036】
1 地表
2 支持保護構造
3 支持保護構造の頂部水平変位
4 支持保護構造の水平変位曲線
5 支持保護構造の最大水平変位
6 ピットピット底部
7 支持保護構造底部
【要約】
本発明は、ピット掘削によるピット外の地層沈降曲線を予測する計算方法に関し、このピット掘削によるピット外の地層沈降曲線を予測する計算方法は、ピット断面パラメータ及び支持保護構造の水平変位重要パラメータを決定することと、支持保護構造の水平変位重要パラメータに基づいて、いずれか一つの深さ以下の部分の支持保護構造の水平変位曲線計算式を決定することと、いずれか一つの深さにおける沈降影響範囲を計算することと、ピット外のいずれか一つの深さにおける地層沈降曲線を取得することと、地層沈降曲線図を描画することとを含む。本発明の有益な効果は、以下のとおりである。本発明は、ピット掘削による支持保護構造の変形と周辺地層の沈降との関係を考慮し、計算結果が比較的に正確であり、ピット外のいずれかの深さにおける地層沈降曲線を計算することができ、また、知る必要があるパラメータが比較的に少なく、計算式が明示的計算式であり、簡単で利用可能である。
【選択図】図3
図1
図2
図3
図4