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  • 特許-オゾン発生装置 図1
  • 特許-オゾン発生装置 図2
  • 特許-オゾン発生装置 図3
  • 特許-オゾン発生装置 図4
  • 特許-オゾン発生装置 図5
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-19
(45)【発行日】2023-05-29
(54)【発明の名称】オゾン発生装置
(51)【国際特許分類】
   C01B 13/11 20060101AFI20230522BHJP
【FI】
C01B13/11 C
C01B13/11 G
C01B13/11 Z
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2018220925
(22)【出願日】2018-11-27
(65)【公開番号】P2020083708
(43)【公開日】2020-06-04
【審査請求日】2021-11-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000100562
【氏名又は名称】アール・ビー・コントロールズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106105
【弁理士】
【氏名又は名称】打揚 洋次
(72)【発明者】
【氏名】大西 克利
【審査官】小野 久子
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-001305(JP,A)
【文献】特開平11-116208(JP,A)
【文献】特開昭52-086992(JP,A)
【文献】特開平10-053404(JP,A)
【文献】特開昭61-086403(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01B 13/10-13/11
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状の誘電体の外側を接地電極で囲繞すると共に、コイル状の高圧電極が巻回されたコア部材を、この高圧電極が誘電体の内周面に接触しないように誘電体内に挿入されたオゾナイザを有し、誘電体の一方の開口から少なくとも酸素を含んだ気体を誘電体の内周面とコア部材との間の空間に流し、その空間を流れる間に酸素をオゾンに変換して誘電体の他方の開口から排気するオゾン発生装置において、上記コア部材の表面に、上記気体の流れ方向に沿って連続すると共に、上記誘体の一方の開口側の端部と他方の開口側の端部とが共に開放された溝を形成し、上記誘電体の内部における上記気体の通路面積を増加させ、上記オゾナイザの冷却効率を向上させたことを特徴とするオゾン発生装置。
【請求項2】
上記コア部材を、複数本の長尺部材を束ねて形成し、各長尺部材の相互間に形成されるくぼみを上記溝とすることを特徴とする請求項1に記載のオゾン発生装置。
【請求項3】
上記気体を上記空間内に流す直前に断熱膨張させて気体の温度を低下させる断熱膨張部を設けたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のオゾン発生装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筒状の誘電体の外側に接地電極を有し、内側にコイル状の高圧電極を有するオゾナイザを備えたオゾン発生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
オゾンを発生させるオゾン発生装置には、例えばバリア放電(無声放電)を発生させるオゾナイザ内に酸素もしくは酸素を含んだ空気を流すことによって、酸素からオゾンを生成するものが知られている。このオゾナイザは、例えば筒状の誘電体の外側に接地電極を設け、誘電体の内側には、誘電体の内周面に接触しないようにコイル状の高圧電極を設けている。なお、このコイル状の高圧電極を保持するため、棒状のコア部材を設け、高圧電極をこのコア部材に巻回し、高圧電極をコア部材に巻回された状態で誘電体内に挿入している。
【0003】
そして、酸素もしくは空気は誘電体の内周面とコア部材との間に生ずる隙間を流れ、オゾナイザ内のその隙間を流れている間に酸素からオゾンが生成されるように構成されている。ただし、その隙間内ではバリヤ放電が発生しているのでオゾナイザ全体が高温になる。そこで、オゾナイザ全体をウォータジャケットで覆い、そのウォータジャケット内に冷却水を循環させることによってオゾナイザ全体を水冷しているものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平10-53404号公報(図1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来のオゾン発生装置では、生成したオゾンを工業的に使用するため、大量のオゾンを生成する必要がある。そのため、オゾン発生装置、特にオゾナイザ部分を大型化しなければならず、オゾナイザ部分での発熱量も大きくなる。その結果、効率的にオゾナイザ部分を冷却する必要が生ずるので、オゾナイザ全体をウォータジャケットで囲んで水冷によりオゾナイザを冷却している。
【0006】
ところが、生成したオゾンを家庭レベルで使用する場合には、それほど多量のオゾンを必要としない。そのため、オゾナイザを小型化することが可能である。この小型化されたオゾナイザに上記水冷機構を適用すると、せっかく小型化したオゾナイザが水冷機構のため大型化するという問題が発生する。
【0007】
また、上記コア部材を細くして誘電体とコア部材との間の隙間を広げることによってその隙間を流れる気体の流量を増加させ、その気体による冷却効果を高めることが考えられるが、このように隙間を広げると、バリヤ放電が安定せず、オゾンの発生に支障が生ずる。
【0008】
そこで本発明は、上記の問題点に鑑み、水冷機構を採用することなく、かつ、上記コア部材を細くしなくてもオゾナイザ部分の冷却効率を向上させることのできるオゾン発生装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために本発明によるオゾン発生装置は、筒状の誘電体の外側を接地電極で囲繞すると共に、コイル状の高圧電極が巻回されたコア部材を、この高圧電極が誘電体の内周面に接触しないように誘電体内に挿入されたオゾナイザを有し、誘電体の一方の開口から少なくとも酸素を含んだ気体を誘電体の内周面とコア部材との間の空間に流し、その空間を流れる間に酸素をオゾンに変換して誘電体の他方の開口から排気するオゾン発生装置において、上記コア部材の表面に、上記気体の流れ方向に沿って連続すると共に、上記誘体の一方の開口側の端部と他方の開口側の端部とが共に開放された溝を形成し、上記誘電体の内部における上記気体の通路面積を増加させ、上記オゾナイザの冷却効率を向上させたことを特徴とする。
【0010】
水冷ではなくオゾナイザ内を流れる気体によってオゾナイザを冷却する。ただし、誘電体の内周面と高圧電極との間の距離を広げるとバリヤ放電が不安定になる。そこで、上述のようにコア部材の表面に溝を設けることによって、気体の通路面積を増加させた。
【0011】
なお、上記コア部材の表面に溝を形成するにあたり、上記コア部材を、複数本の長尺部材を束ねて形成し、各長尺部材の相互間に形成されるくぼみを上記溝としてもよい。
【0012】
また、オゾナイザをさらに冷却するため、上記気体を上記空間内に流す直前に断熱膨張させて気体の温度を低下させる断熱膨張部を設けてもよい。
【発明の効果】
【0013】
以上の説明から明らかなように、本発明は、オゾナイザを冷却するために水冷機構を必要としないため、オゾナイザ周囲の構造が大型化することを防止できる。また、オゾナイザ内を流れる気体の流量を増加させることによってオゾナイザを冷却するが、誘電体の内周面と高圧電極との距離を広げる必要がないので、バリヤ放電を安定して発生させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施の形態の構成を示す図
図2】オゾナイザの構造を示す断面図
図3】コア部材の他の形態を示す断面図
図4】誘電体の断面が円形ではない形態の断面図
図5】オゾナイザを空冷する際の構造を示す図
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1および図2を参照して、1は本発明によるオゾン発生装置の主要部であるオゾナイザである。このオゾナイザ1は、ガラス製の円筒である誘電体2の外周面に接地電極21を被着している。また、この誘電体2の内部にはガラス棒からなるコア部材31とそのコア部材31の外周面に巻回した高圧電極3が設けられている。
【0016】
この高圧電極3には高周波電源32が発生する高電圧かつ高周波の電力が供給される。41は空気ポンプであり、この圧縮ポンプ41が圧縮した空気を送風管42を介してノズル43に供給している。このノズル43は先細末広形状であり、送風管42から送られてきた空気がこのノズル43内で断熱膨張して低温の空気となってオゾナイザ1に供給される。そして、その空気の中の酸素がオゾナイザ1を通過する間にオゾンになり、オゾンを含んだ空気が排気部12から排出される。
【0017】
図2を参照して、上記コア部材31の表面には、空気の流れ方向に沿って4本の溝部33が形成されている。圧縮ポンプ41から供給される空気は、誘電体2の内周面とコア部材31との間の隙間11を通って流れるが、この隙間11は可及的に狭い方がバリヤ放電を安定的に保持するためには望ましい。しかし、この隙間11が狭いと空気が流れにくく、その結果、オゾナイザ1の温度が上昇する。本発明では、上述のようにコア部材31の表面に溝部33が設けられているので、空気はその溝部33内も流れ、オゾナイザ1を通過する空気流量が増加する。これにより、オゾナイザ1に対する冷却効率が上昇し、その結果オゾナイザ1を空気によって冷却することができる。
【0018】
ところで、これら4本の溝部33は円柱状に形成されたガラス棒の表面を機械的に削って形成してもよいが、ガラス棒を引き抜く際に溝部33を形成してもよく、あるいはガラスの表面に等間隔に塗料などを印刷して、印刷されていない部分を溝部33としてもよい。
【0019】
あるいは、図3に示すように、複数本のガラス棒5を接着して、これらガラス棒5の相互間に形成されるくぼみを溝部33としてもよい。なおこの際に、溝部33が空気の流れに対して平行ではなく、ねじれていても、空気の流れ方向に対して連続して形成されていれば問題はない。
【0020】
また、上記の説明では誘電体2を円筒形状としたが、これ以外の形状でも構わない。例えば、図4に示すように、2種類のガラス板6a,6bを2枚ずつ用いて断面が長方形の筒状に形成して、これを誘電体としてもよく、その場合には、コア部材を、同じく2種類のガラス板3a,3bで組み上げ、溝部33を形成するようにしてもよい。
【0021】
上記の説明で、コア部材に溝部33を形成してオゾナイザ1の冷却効率の向上を図ったが、更に、図5に示すように、圧縮ポンプ41に接続されている送風管42に分岐管44を設け、この分岐管44に分岐される圧縮空気をノズル45に導いて、ノズル45から噴出する空気によってオゾナイザ1の外周面を空冷するようにしてもよい。その際には、オゾナイザ1の外周を囲繞している接地電極21にフィン21aを設けるとなおよい。
【0022】
なお、本発明は上記した形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更を加えてもかまわない。
【符号の説明】
【0023】
1 オゾナイザ
2 誘電体
3 高圧電極
11 隙間
21 接地電極
31 コア部材
33 溝部
41 圧縮ポンプ
図1
図2
図3
図4
図5