(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-19
(45)【発行日】2023-05-29
(54)【発明の名称】充填材
(51)【国際特許分類】
C04B 28/04 20060101AFI20230522BHJP
C04B 18/14 20060101ALI20230522BHJP
C04B 22/08 20060101ALI20230522BHJP
C04B 22/14 20060101ALI20230522BHJP
C04B 24/06 20060101ALI20230522BHJP
C04B 22/10 20060101ALI20230522BHJP
E21D 11/00 20060101ALI20230522BHJP
C09K 17/10 20060101ALI20230522BHJP
C09K 17/06 20060101ALI20230522BHJP
C09K 17/08 20060101ALI20230522BHJP
C04B 111/70 20060101ALN20230522BHJP
【FI】
C04B28/04
C04B18/14 A
C04B22/08 Z
C04B22/14 B
C04B22/14 A
C04B24/06 A
C04B22/10
E21D11/00 A
C09K17/10 P
C09K17/06 P
C09K17/08 P
C04B111:70
(21)【出願番号】P 2019066066
(22)【出願日】2019-03-29
【審査請求日】2022-01-26
(73)【特許権者】
【識別番号】501173461
【氏名又は名称】太平洋マテリアル株式会社
(72)【発明者】
【氏名】吉田 了三
(72)【発明者】
【氏名】福山 誠
【審査官】小川 武
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-189557(JP,A)
【文献】特開2001-164248(JP,A)
【文献】特開2011-208131(JP,A)
【文献】特開2007-177077(JP,A)
【文献】特開2014-109012(JP,A)
【文献】特開2001-233645(JP,A)
【文献】特開2006-016543(JP,A)
【文献】特開2005-162949(JP,A)
【文献】特公昭57-010058(JP,B2)
【文献】国際公開第2007/138648(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C04B2/00-32/02, C04B40/00-40/06, C04B103/00-111/94
E21D 11/00
C09K 17/00-17/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポルトランドセメントと高炉スラグを含有するスラリーAと、カルシウムアルミネート類、石膏、硫酸アルミニウム及び凝結調整剤を含有するスラリーBの混合物である充填材であり、前記ポルトランドセメント100質量部に対して、前記高炉スラグが
50~150質量部、前記カルシウムアルミネート類が
14~100質量部、前記石膏が
14~100質量部、前記硫酸アルミニウムが0.6~5質量部、及び前記凝結調整剤が0.01~2質量部であり、且つ
、前記スラリーAのポルトランドセメント及び高炉スラグと含有水の質量比(水/粉体比)が0.5~1.5、前記スラリーBのカルシウムアルミネート類、石膏、硫酸アルミニウム及び凝結調整剤と含有水の質量比(水/粉体比)が0.7~1.5であり、次の(a)~(c)を具備する充填材の製造方法。
(a)前記充填材のゲル化時間
(GT
0
及びGT
30
)が900秒以下、
(b)スラリーA及びBを作液後、直ちに混合した充填材のゲル化時間(GT
0)と、作液後それぞれ30分練置いた後に混合した充填材のゲル化時間(GT
30)の比(GT
30/GT
0)が、0.5~1.5、
(c)材齢1時間の圧縮強度が0.3N/mm
2以上
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は地盤注入等に用いられる充填材に関する。
【背景技術】
【0002】
地盤や岩盤等を不透水・強固なものに改質するため、セメント等の水硬性物質を主成分とするセメントスラリーの地盤注入用充填材が使用されており、注入施工直後から改良効果が必要とされる場合には、通常短時間にスラリーを促進硬化させる急硬成分が配合される。しかしながら、これにより、スラリーの流動性状が短時間に変化し易く、施工時の作業性、特に作業時間等が著しく制約されるという問題が生じていた。
【0003】
これに対しては、充填材がゲル状態になるまでの時間(ゲル化時間)を調整し、ほぼ一定のスラリー性状で使用できる可使時間を十分確保するため、凝結遅延剤を添加することが知られている。例えば、特許文献1や特許文献2においては、凝結遅延剤或いは急硬促進剤を急硬成分からなるセメント急硬材に加えてスラリー状にし、別にセメントを主成分として調製したスラリーとを施工前に混合して地盤に注入することでゲル化時間を任意に調整できる2液タイプのセメント系地盤注入用充填材が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特公昭57-10058号公報
【文献】特開2007-137745号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、2液タイプのセメント系充填材であって、施工性や注入後の硬化性に支障を及ぼすことなく、任意のゲル化時間の調整が可能であって、作液した2液を直ちに混合した充填材のゲル化時間と、2液をそれぞれしばらく練り置いた後に2液を混合した充填材のゲル化時間の差が小さく、初期強度発現性が優れる充填材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
すなわち、本発明は、次の〔1〕を提供するものである。
【0007】
〔1〕ポルトランドセメントと高炉スラグを含有するスラリーAと、カルシウムアルミネート類、石膏、硫酸アルミニウム及び凝結調整剤を含有するスラリーBの混合物である充填材であり、前記ポルトランドセメント100質量部に対して、前記高炉スラグが50~150質量部、前記カルシウムアルミネート類が14~100質量部、前記石膏が14~100質量部、前記硫酸アルミニウムが0.6~5質量部、及び前記凝結調整剤が0.01~2質量部であり、且つ、前記スラリーAのポルトランドセメント及び高炉スラグと含有水の質量比(水/粉体比)が0.5~1.5、前記スラリーBのカルシウムアルミネート類、石膏、硫酸アルミニウム及び凝結調整剤と含有水の質量比(水/粉体比)が0.7~1.5であり、次の(a)~(c)を具備する充填材の製造方法。
(a)前記充填材のゲル化時間(GT
0
及びGT
30
)が900秒以下、
(b)スラリーA及びBを作液後、直ちに混合した充填材のゲル化時間(GT0)と、作液後それぞれ30分練置いた後に混合した充填材のゲル化時間(GT30)の比(GT30/GT0)が、0.5~1.5、
(c)材齢1時間の圧縮強度が0.3N/mm2以上
【発明の効果】
【0008】
本発明の充填材を用いれば、施工時の作業性が良好で、ゲル化時間の調整が容易にでき、作液した2液を直ちに混合した充填材のゲル化時間と、2液をそれぞれしばらく練り置いた後に2液を混合した充填材のゲル化時間の差を小さくすることができ、ゲル化直後から十分な強度に達するまでの時間が短いため、止水工事や緊急工事などゲル化時間の管理及びゲル化直後から強度が求められる施工に適する。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の充填材のスラリーAはポルトランドセメント及び高炉スラグを含有する。
【0010】
本発明で使用するポルトランドセメントとしては、普通、早強、超早強、低熱、中庸熱等の各種ポルトランドセメント等の公知のセメントが挙げられる。短いゲル化時間の調整が容易であること、及び初期強度発現性の点から、普通、早強、超早強ポルトランドセメントを使用することが好ましい。ポルトランドセメントの粒度は、ブレーン値で2,500cm2/g以上が好ましく、5,000cm2/g以上がより好ましく、7,000cm2/g以上がさらに好ましい。
【0011】
本発明で使用する高炉スラグとしては、急冷した非晶質の微粉末のものが、強度発現性の点から好ましい。高炉スラグを含有することにより、スラリーAのポルトランドセメント及び高炉スラグと含有水の質量比(水/粉体比)を低く設定しても作液後の流動性の経時変化を小さくすることができ、かつ凝結調整剤の配合量を減らすことができるため、短いゲル化時間の調整とゲル化直後の強度発現性が両立できる。高炉スラグの使用量は、ポルトランドセメント100質量部に対して、40~600質量部が好ましく、45~350質量部がより好ましく、50~150質量部がさらに好ましい。高炉スラグの粒度は、ブレーン値で3,000cm2/g以上が好ましく、5,000cm2/g以上がより好ましく、7,000cm2/g以上がさらに好ましい。
【0012】
スラリーAのポルトランドセメント及び高炉スラグと含有水の質量比(水/粉体比)は、スラリーAの流動性及び充填材の中長期の強度発現性の点から、0.5~1.5が好ましく、0.6~1.4がより好ましい。
【0013】
本発明のスラリーBは、カルシウムアルミネート類、石膏、石膏を除く可溶性硫酸塩類及び凝結調整剤を含有する。
【0014】
本発明で使用するカルシウムアルミネート類は、主要化学成分としてCaOとAl2O3を含む水和活性物質であれば何れのものでも良く、化合物、固溶体又はガラス質等として、さらにはこれらの任意の混合物が例示でき、アルミナセメントでも良い。より具体的には、例えば12CaO・7Al2O3、CaO・Al2O3、3CaO・Al2O3、CaO・2Al2O3、CaO・6Al2O3等が挙げられる。またCaOとAl2O3に加えて他の化学成分が加わっても良く、他の化学成分単体で、或いはCaOやAl2O3の何れか又は両者と反応した生成物であっても良い。具体的には、例えば4CaO・3Al2O3・SO3、11CaO・7Al2O3・CaF2、Na2O・8CaO・3Al2O3等が挙げられる。また、例示以外のCaOとAl2O3の含有モル比となるカルシウムアルミネートでも良く、CaOとAl2O3の含有モル比の値は特に制限されるものではない。カルシウムアルミネートの粒度は、ゲル化直後の強度発現性の点から、ブレーン値で4,000cm2/g以上が好ましく、5,000cm2/g以上がより好ましい。
【0015】
カルシウムアルミネート類の使用量は、短いゲル化時間の調整が容易であること、ゲル化直後の強度発現性及び中長期の強度発現性の点から、スラリーA中のポルトランドセメント100質量部に対して13~100質量部が好ましく、14~80質量部がより好ましい。
【0016】
本発明で使用する石膏は、天然石膏及び化学石膏を含むものである。石膏としては、例えば、無水石膏、半水石膏、二水石膏等の天然石膏の他、化学石膏等を挙げることができ、2種類以上を併用しても良い。好ましくは無水石膏を使用する。石膏は、主にエトリンガイト生成による初期強度発現性増進作用を付与するため使用される。石膏の粒度は、ゲル化直後の強度発現性の点から、ブレーン値で4,000cm2/g以上が好ましく、5,000cm2/g以上がより好ましい。石膏の使用量は、初期強度発現性の点から、スラリーA中のポルトランドセメント100質量部に対して13~100質量部が好ましく、14~80質量部がより好ましい。
【0017】
本発明で使用する可溶性硫酸塩としては、水に可溶な硫酸塩であり、具体的には硫酸アルミニウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸リチウム等が挙げられる。但し、本発明における可溶性硫酸塩の中に石膏は含まない。これらの可溶性硫酸塩は、その溶解したイオンの作用により カルシウムアルミネート類と石膏の水和反応を調整し、スラリーを練置いたときのゲル化時間の変動を小さくすることができる。可溶性硫酸塩の使用量は、ゲル化時間の確保及び中長期の強度発現性の点から、スラリーA中のポルトランドセメント100質量部に対して、0.6~5質量部が好ましく、0.65~4質量部がより好ましい。
【0018】
本発明で使用する凝結調整剤は、セメントに使用できるものであれば何れも限定されない。例えば、クエン酸、グルコン酸、酒石酸、及びリンゴ酸等の有機酸類又はそのナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩、及びカルシウム塩、並びに、グルコース、マルトース、デキストリン等の糖類、アルカリ金属炭酸塩等が挙げられ、1種または2種以上を使用することができる。凝結調整剤の使用量は、スラリーAの可使時間の確保及びゲル化直後の強度発現性の点から、スラリーA中のポルトランドセメント100質量部に対して、0.01~2質量部が好ましく、0.02~1.5質量部がより好ましい。
【0019】
スラリーBのカルシウムアルミネート類、石膏、石膏を除く可溶性硫酸塩類及び凝結調整剤と含有水の質量比(水/粉体比)は、スラリーBの流動性及び充填材の初期強度発現性の点から、0.7~1.5が好ましく、0.8~1.4がより好ましい。
【0020】
本発明のスラリーAは、ブレーン値5,000cm2/g以上のポルトランドセメント、高炉スラグを使用する場合、セメント分散剤を使用することが好ましい。セメント分散剤は、粒子の凝集を抑制し、スラリーの流動性や2液を混合した充填材の充填性や地盤への浸透性を高めることができる。セメント分散剤としては、例えば、減水剤、高性能減水剤、高性能AE減水剤、流動化剤等と称されるものが使用でき、使用量は、スラリーの流動性や混合した充填材の初期強度発現性の点から、スラリーA中のポルトランドセメント100質量部に対して、0.1~10質量部が好ましく、0.2~8質量部がより好ましい。
【0021】
本発明のスラリーA及びBには、注入性状やそれぞれのスラリーの可使時間、さらには注入充填後の強度発現性等に支障を及ぼさない範囲で、必要によりモルタル・コンクリート用の公知の混和剤、先に述べたセメント分散剤の他に例えば、消泡剤、増粘剤、膨張材、収縮低減剤、防錆剤、有機繊維、無機繊維、顔料等を配合することができる。
【0022】
また、本発明の充填材は、スラリーAとスラリーBを混合させたものであるが、所望の強度発現性とゲル化時間を確保するため、容積比でスラリーA:スラリーB=40:60~90:10となるように混合することが好ましい。より好ましくは、スラリーA:スラリーB=45:55~85:15である。
【0023】
本発明の充填材は、(a)ゲル化時間が900秒以下である。ゲル化時間が900秒を超える場合、注入充填後に充填材が流出したり、材料分離を起こしやすくなる。より好ましくは、600秒以下であり、さらに好ましくは420秒以下である。また、スラリーAとスラリーBを均質に混合させるため、ゲル化時間は5秒以上が好ましい。
【0024】
本発明の充填材は、練置き時間によるゲル化時間への影響が小さい。具体的には、(b)スラリーA及びBを作液後、直ちに混合した充填材のゲル化時間(GT0)と、作液後それぞれ30分練置いた後に混合した充填材のゲル化時間(GT30)の比(GT30/GT0)が、0.5~1.5である。より好ましくは0.6~1.4であり、さらに好ましくは0.7~1.3である。
【0025】
さらに、本発明の充填材は、(c)材齢1時間の圧縮強度が0.3N/mm2以上であり、初期強度発現性に優れる。
【0026】
以上、スラリーAとスラリーBの混合物である本発明の充填材の特性をまとめると次のとおりである。
(a)前記混合した充填材のゲル化時間が900秒以下、
(b)スラリーA及びBを作液後、直ちに混合した充填材のゲル化時間(GT0)と、作液後それぞれ30分練置いた後に混合した充填材のゲル化時間(GT30)の比(GT30/GT0)が、0.5~1.5、
(c)材齢1時間の圧縮強度が0.3N/mm2以上
これにより、任意のゲル化時間の調整が可能であって、スラリーA及びBを作液後、直ちに混合した充填材のゲル化時間と、スラリーA及びBをそれぞれしばらく練り置いた後に混合した充填材のゲル化時間の差が小さく、初期強度発現性に優れる充填材を得られる。
【0027】
充填材の注入方法は特段限定されるものではなく、一例を示すと、ポルトランドセメント、高炉スラグ及び水を含有するスラリーA、カルシウムアルミネート類、石膏、石膏を除く可溶性硫酸塩類、凝結調整剤及び水を含有するスラリーBを別々にグラウトミキサーで混合し、二つのスラリーを一つのミキサーで混合し、ゲル化時間を凝結遅延剤によって確保して地盤へ注入する、いわゆる、1ショットの注入方法、または、二つのスラリーをY字管で混合して注入する、いわゆる、1.5ショットの注入方法、あるいは、二つのスラリーを別々に圧送し注入用二重管の先端で混合して注入する、いわゆる、2ショットの注入方法で地盤に注入することができる。さらに、本充填材は、単管ロッド工法、単管ストレーナ工法、二重管単相工法、二重管複相工法、及び二重管ダブルパッカー工法等、現在使用されている注入工法に使用することが可能である。
【実施例】
【0028】
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明は何らこれらに限定されるものではない。
【0029】
以下に示すA~Jから選定される材料を表1の配合割合となるようスラリーA及びBを作液した。即ち、本充填材は、ポルトランドセメント、高炉スラグ及び水からなるスラリーAと、カルシウムアルミネート類、石膏、可溶性硫酸塩、凝結調整剤及び水からなるスラリーBとを表1に示す質量比で作液した。ゲル化時間は、スラリーA及びBを作液後、直ちに混合した充填材(GT0)と、作液後スラリーA及びBをそれぞれ30分練置いた後に混合した充填材(GT30)に対して測定した。材齢1時間の強度及び充填性は、作液後スラリーA及びBをそれぞれ30分練り置いた後に混合した充填材に対して測定した。結果を表2に記す。
【0030】
<使用材料>
A;ポルトランドセメント1;普通ポルトランドセメント(太平洋セメント株式会社製、ブレーン値3,200cm2/g)
B;ポルトランドセメント2;超微粒子セメント(普通ポルトランドセメントをブレーン値9,500cm2/gに粉砕・分級、試作品)
C;高炉スラグ1;高炉水砕スラグ(株式会社デイ・シイ社製、ブレーン値4,000cm2/g)
D;高炉スラグ2;高炉水砕スラグ(ブレーン値9,000cm2/g、試作品)
E;分散剤;高性能減水剤(商品名「マイティ150」、花王社製)
F;カルシウムアルミネート類;カルシウムアルミネート(12CaO・7Al2O3組成のガラス、ブレーン値5,500cm2/g、試製品)
G;石膏;II型無水石膏(セントラル硝子株式会社製、ブレーン値7,000cm2/g)
H;可溶性硫酸塩1;硫酸アルミニウム(市販試薬)
I;可溶性硫酸塩2;硫酸ナトリウム(市販試薬)
J;凝結調整剤;クエン酸(市販試薬)と炭酸ナトリウム(市販試薬)を等量混合
【0031】
<試験方法>
(1)ゲル化時間;作液したスラリーA及びBをカップで混合し、混合してからカップを傾倒しても流れなくなるまでの時間。
(2)圧縮強度;JIS A 1216「土の一軸圧縮試験方法」に準じて測定。測定は、スラリーA及びBを混合してから1時間後。
(3)充填性試験;内径5cm×長さ120cmの透明な円筒形アクリルモールド内に、充填材を高さ100cmまで投入。充填材のゲル化後、未充填箇所の有無を目視により確認し、充填性の良否を評価。
【0032】
【0033】
【0034】
表2の結果から、高炉スラグ、凝結調整剤、カルシウムアルミネート、石膏、可溶性硫酸塩を含まない場合(比較例1、2、3、4、5)、凝結調整剤、水が過剰に含まれる場合(比較例6、7)には、混合した充填材の強度発現が十分でなかったり、スラリーA及びBを混合する前にスラリーBのみでゲル化したり、混合した充填材が900秒以下でゲル化しなかったり、スラリーA及びBを作液後、直ちに混合した充填材のゲル化時間と、スラリーA及びBを作液してからそれぞれを30分間練り置いた後に混合した充填材のゲル化時間の差が大きいものとなった。これに対し、本発明の充填材は、スラリーA及びBを作液してから直ちに混合した充填材のゲル化時間と、スラリーA及びBを作液してからそれぞれを30分間練り置いた後に混合した充填材のゲル化時間の差が小さく、充填性も良好で、さらに硬化後の強度発現も良好であることが分かる。