(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-19
(45)【発行日】2023-05-29
(54)【発明の名称】回転コネクタ
(51)【国際特許分類】
H01R 39/00 20060101AFI20230522BHJP
【FI】
H01R39/00 D
(21)【出願番号】P 2020006239
(22)【出願日】2020-01-17
【審査請求日】2022-07-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000101879
【氏名又は名称】イーグル工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098729
【氏名又は名称】重信 和男
(74)【代理人】
【氏名又は名称】溝渕 良一
(74)【代理人】
【識別番号】100204467
【氏名又は名称】石川 好文
(74)【代理人】
【識別番号】100148161
【氏名又は名称】秋庭 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100156535
【氏名又は名称】堅田 多恵子
(74)【代理人】
【識別番号】100195833
【氏名又は名称】林 道広
(72)【発明者】
【氏名】高野 祥央
【審査官】高橋 学
(56)【参考文献】
【文献】実開平2-29320(JP,U)
【文献】実開平4-84920(JP,U)
【文献】実開昭52-170970(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2015/0171525(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 39/00
H01R 35/00
H01R 31/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性を有し駆動力伝達部が設けられ回転駆動される一方の回転部材と、
導電性を有し駆動力伝達部が設けられ一方の前記回転部材に従動して回転する他方の回転部材と、
径方向に重なる両方の前記駆動力伝達部の外周面にそれぞれ圧接される弾性変形可能な一連の導電部材と、を備えている回転コネクタ。
【請求項2】
それぞれの前記駆動力伝達部は、中心軸に沿って延びる平坦面を有している請求項1に記載の回転コネクタ。
【請求項3】
前記導電部材は、両方の前記回転部材の外周面にそれぞれ圧接される弾性圧接部を周方向に複数均等に有している請求項1または2に記載の回転コネクタ。
【請求項4】
前記導電部材は、前記弾性圧接部を一連に繋ぐ環状の連結部を有している請求項3に記載の回転コネクタ。
【請求項5】
前記導電部材は、両方の前記回転部材よりも導電率が高い請求項1ないし4のいずれかに記載の回転コネクタ。
【請求項6】
一方の前記回転部材には、前記導電部材の軸方向の移動を規制する移動規制部材が固定されている請求項1ないし5のいずれかに記載の回転コネクタ。
【請求項7】
前記移動規制部材は、前記導電部材を覆うカバーである請求項6に記載の回転コネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転を伴う部材間において駆動力を伝達しながら通電を行うための回転コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体製造機等の回転機器においては、回転駆動される駆動軸に対して通電を行うことにより半導体部品に対する表面処理を行うものが知られている。
【0003】
例えば、特許文献1においては、フープめっき設備において回転駆動される駆動軸に通電ロールが接続され駆動軸と共に回転するようになっている。駆動軸から通電ロールに供給された電流は、半導体部品の表面の電解処理に利用される。
【0004】
また、駆動軸の端部は、通電ロールの端部において軸方向に凹む凹部に挿入された状態で、通電ロールを径方向に貫通するネジ孔に螺挿されるボルトの先端によって径方向に押圧され、駆動軸の端部の外周面が凹部の内周面に圧接されることにより接続されている。尚、駆動軸の端部に接続される通電ロールを異なる形状のものに付け換えることにより、複数種類の半導体部品の表面加工に対応できるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2011-222463号公報(第6頁、第5図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1においては、ボルトの押圧力によって駆動軸と通電ロールとの間で機械的接続および電気的接続が成されており、回転駆動される駆動軸の駆動力を通電ロールに伝達しつつ駆動軸と通電ロールとの間に導電通路を形成している。しかしながら、駆動軸と通電ロールは回転を伴うことから接続部分においてボルトに緩みが生じることがあり、ボルトの押圧力が弱まることで駆動軸と通電ロールとの圧接状態が変化し、駆動軸と通電ロールとの間の接触抵抗が変動することにより、駆動軸から通電ロールへの通電が不安定になる虞があった。
【0007】
本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、回転を伴う部材間において安定した通電を維持することができる回転コネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するために、本発明の回転コネクタは、
導電性を有し駆動力伝達部が設けられ回転駆動される一方の回転部材と、
導電性を有し駆動力伝達部が設けられ一方の前記回転部材に従動して回転する他方の回転部材と、
径方向に重なる両方の前記駆動力伝達部の外周面にそれぞれ圧接される弾性変形可能な一連の導電部材と、を備えている。
これによれば、弾性変形可能な一連に形成された導電部材が両方の回転部材の駆動力伝達部の外周面に圧接されていることから、導電部材が弾性変形することにより接触抵抗の変動が抑制され、当該圧接状態が回転駆動時にも維持されることにより、一方の駆動力伝達部の外周面、導電部材、他方の駆動力伝達部の外周面を繋ぐ導電経路が確実に形成される。このように、回転コネクタは、駆動力伝達部同士の係合により駆動力を伝達しつつ回転部材間において安定した通電を維持できる。また、導電部材は弾性変形可能であるため、一方の回転部材と他方の回転部材との機械的接続および電気的接続を簡単に行うことができる。
【0009】
それぞれの前記駆動力伝達部は、中心軸に沿って延びる平坦面を有していてもよい。
これによれば、回転に伴って駆動力伝達部が互いにバランスよく力を受けるため、駆動力伝達部の外周面から導電部材に作用する力の周方向の偏りが小さく、接触抵抗の変動を抑制することができる。
【0010】
前記導電部材は、両方の前記回転部材の外周面にそれぞれ圧接される弾性圧接部を周方向に複数均等に有していてもよい。
これによれば、弾性圧接部を両方の回転部材の外周面に周方向にバランスよく圧接させることができる。
【0011】
前記導電部材は、前記弾性圧接部を一連に繋ぐ環状の連結部を有していてもよい。
これによれば、回転に伴う導電部材の変形を抑制することができるとともに、両方の回転部材に外周から緊迫力を付与し両方の駆動力伝達部を確実に係合させることができる。
【0012】
前記導電部材は、両方の前記回転部材よりも導電率が高くてもよい。
これによれば、導電部材によって回転部材間における導電通路を確実に形成することができる。
【0013】
一方の前記回転部材には、前記導電部材の軸方向の移動を規制する移動規制部材が固定されていてもよい。
これによれば、駆動力伝達部に対する導電部材の軸方向の移動を防止することができる。
【0014】
前記移動規制部材は、前記導電部材を覆うカバーであってもよい。
これによれば、導電部材に対する外部からの接触を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の実施例における回転コネクタを示す斜視図である。
【
図3】実施例の回転コネクタを示す一部断面図である。
【
図4】実施例の回転コネクタを示す
図3のA-A断面図である。
【
図5】変形例1における回転コネクタを示す一部断面図である。
【
図6】変形例2における回転コネクタを示す一部断面図である。
【
図7】変形例2における駆動力伝達部の構造を示す斜視図である。尚、説明の便宜上、
図7では駆動軸および従動軸のみを図示している。
【0016】
本発明に係る回転コネクタを実施するための形態を実施例に基づいて以下に説明する。
【実施例】
【0017】
実施例に係る回転コネクタにつき、
図1から
図4を参照して説明する。以下、
図3の正面側から見て左右側を回転コネクタの左右側として説明する。
【0018】
本実施例の回転コネクタ1は、例えば半導体製造機の回転箇所に用いられ、回転駆動される一方の回転部材と、一方の回転部材に従動して回転する他方の回転部材との間で図示しない高周波電源から供給される高周波の電気を通電するものである。
【0019】
図1~
図3に示されるように、回転コネクタ1は、図示しない半導体製造機の駆動部により回転駆動される一方の回転部材としての駆動軸2と、該駆動軸2に従動して回転する他方の回転部材としての従動軸3と、駆動軸2および従動軸3を機械的に接続する駆動力伝達部20,30の外周面20d,30dにそれぞれ圧接される一連に形成された導電部材4と、駆動軸2に固定され導電部材4の外周を覆う移動規制部材としてのカバー5と、から構成されている。
【0020】
駆動軸2および従動軸3は、導電性を有する金属製の断面円形状の柱状体である。尚、駆動軸2および従動軸3は、金属製のものに限らず、導電性を有する樹脂等の導電材料により形成されていてもよい。また、駆動軸2と従動軸3は、同じ導電材料により形成されていてもよいし、異なる導電材料により形成されていてもよい。
【0021】
図2~
図4に示されるように、駆動軸2および従動軸3には、軸方向に対向する端部にそれぞれ径方向に重なる断面半円形状の駆動力伝達部20,30が設けられている。駆動力伝達部20,30は、駆動軸2および従動軸3の中心軸に沿って延び径方向に対向する平坦面20a,30aを有しており、両平坦面20a,30aが係合することで動力を伝達するようになっている。尚、駆動力伝達部において径方向に対向する面は、平坦面に限らず曲面であってもよい。さらに、駆動力伝達部において径方向に対向する面には、凹凸等が設けられていてもよい。
【0022】
駆動軸2は、駆動力伝達部20の平坦面20aを従動軸3の駆動力伝達部30の平坦面30aに径方向に当接させることにより、駆動軸2の駆動力が互いに係合する駆動力伝達部20,30によって従動軸3に伝達され、従動軸3は駆動軸2と共に回転するようになっている。
【0023】
また、
図3に示されるように、駆動力伝達部20の先端面20bは、駆動力伝達部30の根元側に形成される従動軸3の端面30cに軸方向に当接するとともに、駆動力伝達部30の先端面30bは、駆動力伝達部20の根元側に形成される駆動軸2の端面20cに軸方向に当接している。すなわち、駆動力伝達部20,30は、相補的な形状を成している。
【0024】
駆動力伝達部20,30は、互いに軸方向に近づく方向への移動を規制している。尚、駆動力伝達部20,30は、導電部材4が常に駆動力伝達部20,30の外周面20d,30dにそれぞれ圧接される範囲内であれば、軸方向両側への移動が許容されていてもよい。
【0025】
図1~
図3に示されるように、カバー5は、略円筒形状を成し、導電部材4を内径側に収容可能な円筒部50と、円筒部50の軸方向左端部から内径方向に延びる固定フランジ部51と、を有している。尚、カバー5は、セラミックスや樹脂等の絶縁体から形成されている。
【0026】
図3に示されるように、円筒部50の内径側に導電部材4が収容された状態において、導電部材4の外周面、詳しくは後述する連結部41,41の外周面は、円筒部50の内周面に沿って当接している。尚、導電部材4の外周面と円筒部50の内周面とは、径方向に離間していてもよい。
【0027】
また、円筒部50の内径側に導電部材4が収容された状態において、導電部材4の軸方向左端は、固定フランジ部51の軸方向右端面に軸方向に当接し、導電部材4の軸方向右端は、円筒部50の軸方向右端と軸方向に揃って配置される。すなわち、円筒部50に対する導電部材4の挿入進度を固定フランジ部51との当接によって規定することができる。そのため、回転コネクタ1の組立作業性が高い。
【0028】
また、固定フランジ部51には、その内径側に軸方向に貫通する貫通孔51aが設けられている。カバー5は、貫通孔51aに駆動軸2が挿通された状態で駆動軸2の外周面に対して圧入固定される。すなわち、カバー5および導電部材4は、駆動軸2と共に回転する。尚、カバー5の駆動軸2への固定は圧入以外の方法であってもよい。
【0029】
図2~
図4に示されるように、導電部材4は、金属製の略円筒形状の板バネであり、軸方向中央部が内径方向に撓む断面略円弧形状を成し周方向に12等配される弾性圧接部40と、各弾性圧接部40の軸方向両端をそれぞれ周方向に一連に繋ぐ環状の連結部41,41と、を有している。尚、導電部材4は、駆動軸2および従動軸3よりも導電率が高い導電材料から形成される。
【0030】
また、導電部材4の取り付け前の状態(
図2参照)において、内径方向に撓む弾性圧接部40の軸方向中央部の内面40aにおける最小内径部Mの内径寸法は、駆動力伝達部20,30が機械的に接続された状態における駆動力伝達部20,30の外径寸法よりも小さく形成されている。
【0031】
すなわち、導電部材4の内径側に駆動力伝達部20,30が挿通されることにより、各弾性圧接部40の軸方向中央部が外径側に均等に押し広げられる。これにより、各弾性圧接部40は圧縮状態となり、その弾性復元力によって内面40aが駆動力伝達部20,30の外周面20d,30dに略均等な力で圧接され、駆動軸2と従動軸3とが導電部材4を介して電気的に接続される。
【0032】
例えば、
図4において矢印で示されるように、図示しない高周波電源から駆動軸2に供給された電流は、駆動力伝達部20の外周面20dから駆動力伝達部20の外周面20dに圧接される弾性圧接部40に流れ、連結部41,41を通って駆動力伝達部30の外周面30dに圧接される弾性圧接部40から駆動力伝達部30の外周面30dに流れ、従動軸3に供給される。尚、本実施例の回転コネクタ1は、上述したように導電部材4を介して駆動軸2と従動軸3とが電気的に接続されるものであり、駆動力伝達部20,30の径方向に対向する平坦面20a,30a間において電流は流れなくてもよい。
【0033】
以上説明したように、回転コネクタ1は、導電性を有し駆動力伝達部20が設けられ回転駆動される駆動軸2と、導電性を有し駆動力伝達部30が設けられ駆動軸2に従動して回転する従動軸3と、径方向に重なる駆動力伝達部20,30の外周面20d,30dにそれぞれ圧接される弾性変形可能な一連の導電部材4を備えている。これによれば、弾性変形可能な一連に形成された導電部材4の弾性圧接部40が駆動軸2および従動軸3の駆動力伝達部20,30の外周面20d,30dに圧接されていることから、導電部材4の弾性圧接部40が弾性変形することにより接触抵抗の変動が抑制され、当該圧接状態が回転駆動時にも維持されることにより、駆動力伝達部20の外周面20d、導電部材4、駆動力伝達部30の外周面30dを繋ぐ導電経路(
図4参照)が確実に形成される。このように、回転コネクタ1は、駆動力伝達部20,30同士の係合により駆動力を伝達しつつ駆動軸2と従動軸3との間で安定した通電を維持できる。
【0034】
また、導電部材4は弾性変形可能であるため、駆動軸2と従動軸3との機械的接続および電気的接続を簡単に行うことができる。詳しくは、駆動軸2に固定されるカバー5の内径側に導電部材4が収容された状態で、
図3において鎖線で示される挿入前状態の従動軸3の駆動力伝達部30の平坦面30aを駆動軸2の駆動力伝達部20の平坦面20aと径方向に対向させ、導電部材4の内径側に軸方向に挿入することにより、駆動軸2と従動軸3との機械的接続および電気的接続をワンタッチで簡単に行うことができる。
【0035】
また、駆動力伝達部20,30は、相補的な形状となっており、駆動力伝達部20,30の先端面20b,30bが駆動軸2および従動軸3の端面20c,30cに軸方向に当接することにより、導電部材4の内径側に軸方向に挿入される従動軸3の挿入進度が規定される。そのため、回転コネクタ1の組立作業性が高い。
【0036】
また、駆動力伝達部20,30の外周面20d,30dと各弾性圧接部40の内面40aとの接触面積が確保された状態が維持されるため、高周波の電流が通電されても発熱が生じ難く、発熱による損傷を防止することができる。
【0037】
また、駆動力伝達部20,30は、中心軸に沿って延びる平坦面20a,30aを有するとともに、相補的な形状を成している。これによれば、回転に伴って駆動力伝達部20,30が互いにバランスよく力を受けるため、駆動力伝達部20,30の外周面20d,30dから導電部材4に作用する力の周方向の偏りが小さく、接触抵抗の変動を抑制することができる。
【0038】
また、導電部材4は、弾性圧接部40を周方向に複数均等に有している。これによれば、各弾性圧接部40の内面40aを駆動力伝達部20,30の外周面20d,30dに周方向にバランスよく圧接させることができ、駆動力伝達部20,30の外周面20d,30dから導電部材4に作用する力の周方向の偏りをさらに小さくすることができる。
【0039】
また、導電部材4は、駆動力伝達部20,30の外周面20d,30dに各弾性圧接部40の軸方向中央部の内面40aを圧接させているため、駆動力伝達部20,30の外周面20d,30dから導電部材4に作用する力を安定させることができる。また、各弾性圧接部40の内面40aは、駆動力伝達部20,30の外周面20d,30dにおける略同一の軸方向位置において圧接されるため、導電部材4を軸方向にコンパクトに構成することができる。
【0040】
また、導電部材4は、各弾性圧接部40を一連に繋ぐ環状の連結部41、41を有している。これによれば、回転に伴う導電部材4の変形を抑制することができるとともに、駆動軸2および従動軸3に外周から緊迫力を付与し駆動力伝達部20,30を確実に係合させることができる。さらに、導電部材4は、各弾性圧接部40の軸方向両端が環状の連結部41、41により一連に繋がれることにより略円筒形状を成しているため、回転に伴う導電部材4の変形がさらに抑制されている。
【0041】
また、導電部材4は、駆動軸2および従動軸3よりも導電率が高い導電材料により形成されている。これによれば、導電部材4によって駆動力伝達部20,30間における導電通路を確実に形成することができる。
【0042】
また、回転駆動する駆動軸2には、導電部材4の軸方向の移動を規制する移動規制部材としてのカバー5が固定されている。これによれば、駆動力伝達部20,30に対する導電部材4の軸方向の移動を防止することができ、各弾性圧接部40の内面40aを駆動力伝達部20,30の外周面20d,30dに確実に圧接させることができる。
【0043】
また、カバー5により導電部材4の外周が覆われているため、導電部材4に対する外部からの接触を防止することができる。
【0044】
また、カバー5の内径側においては、導電部材4の連結部41,41の外周面が円筒部50の内周面に沿って当接しているため、連結部41,41の強度が高められ、各弾性圧接部40を安定して弾性変形させることができる。また、カバー5により、導電部材4の過剰な変形による破損が防止されるため、駆動力伝達部20,30における機械的接続および導電部材4による駆動力伝達部20,30間の電気的接続が確実に保たれる。
【0045】
また、導電部材4およびカバー5は、駆動軸2および従動軸3と共に回転するため、これらの部材間において回転による摩耗が発生することがなく、メンテナンス性が高い。
【0046】
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0047】
例えば、前記実施例では、駆動軸2および従動軸3の駆動力伝達部20,30は、駆動軸2および従動軸3の中心軸に沿って延びる平坦面20a,30aを有する断面半円形状に形成されるものとして説明したが、これに限らず、駆動力伝達部は、径方向に重なり駆動力を回転軸から従動軸に伝達できるものであれば、例えば
図5に示される変形例1のように、駆動軸102および従動軸103の中心軸に対して傾斜する傾斜面102a,103aをそれぞれ有する形状に形成されてもよい。
【0048】
また、
図6および
図7に示される変形例2のように、駆動軸202および従動軸203の軸方向に対向する端部から軸方向に突出する鉤状の凸部220,230と、凹部221,231とが互いにキー結合されることにより駆動力伝達部が構成されていてもよい。この場合、
図6に示されるように、導電部材204の各弾性圧接部240の内面240aは、駆動力伝達部の位置における外周面220a,230aに対して軸方向に異なる位置でそれぞれ圧接されていてもよい。
【0049】
また、前記実施例では、導電部材4は、略円筒形状の板バネから構成されるものとして説明したが、これに限らず、導電部材は、例えば連結部がC字状に形成される有端状の板バネから構成されていてもよい。また、導電部材は、弾性変形可能なものであれば、板バネ以外から構成されていてもよい。さらに、導電部材は、全体が弾性変形可能である必要はなく、少なくとも駆動力伝達部に当接する部位が弾性変形可能であればよい。
【0050】
また、前記実施例では、導電部材4は、各弾性圧接部40の軸方向両端が連結部41,41により一連に繋がっているものとして説明したが、これに限らず、例えば、各弾性圧接部の軸方向一端のみが連結部により一連に繋がっていてもよい。
【0051】
また、弾性圧接部は、軸方向中央部が周方向に繋がってその内面が駆動力伝達部の外周面に環状に圧接されていてもよい。
【0052】
また、前記実施例では、弾性圧接部40は、周方向に12等配されるものとして説明したが、これに限らず、導電部材における弾性圧接部の数や配置は自由に構成されてよい。
【0053】
また、前記実施例では、弾性圧接部40は、軸方向中央部が内径方向に撓む断面略円弧形状を成すものとして説明したが、これに限らず、弾性圧接部は他の断面形状を有するものであってもよい。
【0054】
また、導電部材は、駆動軸および従動軸よりも導電率が高い導電材料から形成されるものに限らず、導電部材は、駆動軸および従動軸と導電率が同じ導電材料から形成されてもよいし、導電率が低い導電材料から形成されてもよい。
【0055】
また、回転コネクタは、導電部材の外周を覆うカバーを有していなくてもよい。この場合、導電部材の軸方向の移動を規制する移動規制部材は、例えば導電部材と軸方向に当接する前記実施例の固定フランジ部51のような円板形状に構成されてもよい。
【0056】
また、移動規制部材は、駆動軸に固定されるものに限らず、従動軸に固定されていてもよい。
【0057】
また、回転コネクタは、移動規制部材を有していなくてもよい。
【0058】
また、前記実施例では、回転コネクタ1は、回転を伴う部材間において高周波の電気を通電するものとして説明したが、これに限らず、回転を伴う部材間において低周波の電気を通電するものや電気信号を伝達するものであってもよい。また、回転コネクタは、半導体製造機以外の回転機器に適用されてもよい。
【符号の説明】
【0059】
1 回転コネクタ
2 駆動軸(一方の回転部材)
3 従動軸(他方の回転部材)
4 導電部材
5 カバー(移動規制部材)
20,30 駆動力伝達部
20a,30a 平坦面
20d,30d 外周面
40 弾性圧接部
40a 内面
41 連結部
50 円筒部
51 固定フランジ部
220,230 凸部(駆動力伝達部)
221,231 凹部(駆動力伝達部)