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特許7282522プラグインタフェース接点間に誘電体膜を有する通信ジャック
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-19
(45)【発行日】2023-05-29
(54)【発明の名称】プラグインタフェース接点間に誘電体膜を有する通信ジャック
(51)【国際特許分類】
   H01R 24/62 20110101AFI20230522BHJP
【FI】
H01R24/62
【請求項の数】 36
(21)【出願番号】P 2018553481
(86)(22)【出願日】2017-04-05
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-04-25
(86)【国際出願番号】 US2017026140
(87)【国際公開番号】W WO2017180390
(87)【国際公開日】2017-10-19
【審査請求日】2020-04-03
【審判番号】
【審判請求日】2022-04-22
(31)【優先権主張番号】15/097,553
(32)【優先日】2016-04-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507202736
【氏名又は名称】パンドウィット・コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】サティシュ・アイ・パテル
(72)【発明者】
【氏名】ローマン・ジェイ・チャーノーヴィック
(72)【発明者】
【氏名】ジャン・ドゥ・デュー・ムタンガナ
【合議体】
【審判長】平田 信勝
【審判官】岡本 健太郎
【審判官】内田 博之
(56)【参考文献】
【文献】特許第4944210(JP,B2)
【文献】米国特許出願公開第2014/0273638(US,A1)
【文献】特許第2932161(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 24/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信プラグと嵌合させるための通信ジャックであって、
前記通信プラグを収容するための開口を有するハウジングと、
前記ハウジングの中に少なくとも部分的に配置されたスレッドであって、前記スレッドの第1端部が前記開口の近位にあり、かつマンドレルを有し、第2端部が前記開口の遠位にある、前記スレッドと、
第1の複数のプラグインタフェース接点(PIC)であって、前記第1の複数のPICのそれぞれが、前記スレッドの側面に沿って延在する第1の区域と、前記マンドレルのに形成された第2の区域とを有する、前記第1の複数のPICと、
第2の複数のPICであって、前記第2の複数のPICのそれぞれが、前記スレッドの前記側面に沿って延在する第1の区域と、前記マンドレルのに形成された第2の区域とを有する、前記第2の複数のPICと、
前記第1の複数のPICの前記第1の区域のうちの少なくともいくつかと前記第2の複数のPICの前記第1の区域のうちの少なくともいくつかとの間に配置された誘電体膜であって、前記第1の複数のPICの前記第2の区域のうちの少なくともいくつかと前記第2の複数のPICの前記第2の区域のうちの少なくともいくつかとの間に更に配置されている、前記誘電体膜と、
を含み、
前記第1の複数のPICのうちの少なくとも1つは、それぞれの第2の区域において前記第2の複数のPICのうちの少なくとも1つの上で交差し、前記誘電体膜は、前記第1の複数のPICのうちの少なくとも1つと前記第2の複数のPICのうちの少なくとも1つとの間の交差領域内まで延びている、前記通信ジャック。
【請求項2】
前記マンドレルは、第1のマンドレルと、第2のマンドレルとを含み、前記第1のマンドレルは、前記第2のマンドレルより大きい半径を有し、前記第1の複数のPICのそれぞれの前記第2の区域は、前記第1のマンドレルのに形成され、前記第2の複数のPICのそれぞれの前記第2の区域は、前記第2のマンドレルのに形成される、請求項1に記載の通信ジャック。
【請求項3】
前記ハウジングは複数のクラッシュリブを含み、前記クラッシュリブは、前記第1の複数のPICのうちの少なくともいくつかを前記誘電体膜に対して圧縮する、請求項1に記載の通信ジャック。
【請求項4】
前記クラッシュリブは、前記第2の複数のPICのうちの少なくともいくつかに対して前記誘電体膜を更に圧縮する、請求項3に記載の通信ジャック。
【請求項5】
前記第1の複数のPICの前記第1の区域のうちの少なくともいくつかは第1の容量プレートを含み、前記第2の複数のPICの前記第1の区域のうちの少なくともいくつかは第2の容量プレートを含み、前記第1の容量プレートのそれぞれは、前記第2の容量プレートのうちの1つから0.002インチだけ離間されている、請求項1に記載の通信ジャック。
【請求項6】
前記第1の複数のPICのうちの少なくとも1つは、前記第2の複数のPICのうちの少なくとも1つと、前記第1の複数のPICのうちの前記少なくとも1つに配置された第1の容量プレート及び前記第2の複数のPICのうちの前記少なくとも1つに配置された第2の容量プレートを介して容量結合し、前記第1の容量プレートは、前記第2の容量プレートと重なり合い、かつ前記第2の容量プレートを超えて延在する、請求項1に記載の通信ジャック。
【請求項7】
前記第1の容量プレートは、少なくとも0.001インチの距離だけ前記第2の容量プレートを超えて延在する、請求項6に記載の通信ジャック。
【請求項8】
前記距離は、前記第2の容量プレートの各側面に沿って及ぶ、請求項7に記載の通信ジャック。
【請求項9】
前記第1のマンドレルおよび前記第2のマンドレルは、前記スレッドの前記側面に沿う方向に対して垂直な方向に沿って配置されている、請求項2に記載の通信ジャック。
【請求項10】
通信プラグと嵌合させるための通信ジャックであって、
前記通信プラグを収容するための開口を有するハウジングであって、複数のクラッシュリブを更に有する前記ハウジングと、
前記ハウジングの中に少なくとも部分的に配置されたスレッドであって、前記スレッドの第1端部が前記開口の近位にあり、かつマンドレルを有し、第2端部が前記開口の遠位にある、前記スレッドと、
第1の複数のプラグインタフェース接点(PIC)であって、前記第1の複数のPICのそれぞれが、前記スレッドの側面に沿って延在する第1の区域と、前記マンドレルのに形成された第2の区域とを有する、前記第1の複数のPICと、
第2の複数のPICであって、前記第2の複数のPICのそれぞれが、前記スレッドの前記側面に沿って延在する第1の区域と、前記マンドレルのに形成された第2の区域とを有する、前記第2の複数のPICと、
前記第1の複数のPICの前記第1の区域のうちの少なくともいくつかと前記第2の複数のPICの前記第1の区域のうちの少なくともいくつかとの間に配置された誘電体膜と、
を含み、
前記第1の複数のPICのうちの少なくとも1つは、それぞれの第2の区域において前記第2の複数のPICのうちの少なくとも1つの上で交差し、前記誘電体膜は、前記第1の複数のPICのうちの少なくとも1つと前記第2の複数のPICのうちの少なくとも1つとの間の交差領域内まで延び、
前記クラッシュリブは、前記第1の複数のPICのうちの少なくともいくつかを前記誘電体膜に対して圧縮する、前記通信ジャック。
【請求項11】
前記クラッシュリブは、前記第2の複数のPICのうちの少なくともいくつかに対して前記誘電体膜を更に圧縮する、請求項10に記載の通信ジャック。
【請求項12】
前記マンドレルは、第1のマンドレルと、第2のマンドレルとを含み、前記第1のマンドレルは、前記第2のマンドレルより大きい半径を有し、前記第1の複数のPICのそれぞれの前記第2の区域は、前記第1のマンドレルのに形成され、前記第2の複数のPICのそれぞれの前記第2の区域は、前記第2のマンドレルのに形成される、請求項10に記載の通信ジャック。
【請求項13】
前記第1の複数のPICの前記第1の区域のうちの少なくともいくつかは第1の容量プレートを含み、前記第2の複数のPICの前記第1の区域のうちの少なくともいくつかは第2の容量プレートを含み、前記第1の容量プレートのそれぞれは、前記第2の容量プレートのうちの1つから0.002インチだけ離間されている、請求項10に記載の通信ジャック。
【請求項14】
前記第1の複数のPICのうちの少なくとも1つは、前記第2の複数のPICのうちの少なくとも1つと、前記第1の複数のPICのうちの前記少なくとも1つに配置された第1の容量プレート及び前記第2の複数のPICのうちの前記少なくとも1つに配置された第2の容量プレートを介して容量結合し、前記第1の容量プレートは、前記第2の容量プレートと重なり合い、かつ前記第2の容量プレートを超えて延在する、請求項10に記載の通信ジャック。
【請求項15】
前記第1の容量プレートは、少なくとも0.001インチの距離だけ前記第2の容量プレートを超えて延在する、請求項14に記載の通信ジャック。
【請求項16】
前記距離は、前記第2の容量プレートの各側面に沿って及ぶ、請求項15に記載の通信ジャック。
【請求項17】
前記第1のマンドレルおよび前記第2のマンドレルは、前記スレッドの前記側面に沿う方向に対して垂直な方向に沿って配置されている、請求項12に記載の通信ジャック。
【請求項18】
通信プラグと嵌合させるための通信ジャックであって、
前記通信プラグを収容するための開口を有するハウジングと、
前記ハウジングの中に少なくとも部分的に配置されたスレッドであって、前記スレッドの第1端部が前記開口の近位にあり、かつマンドレルを有し、第2端部が前記開口の遠位にある、前記スレッドと、
第1の複数のプラグインタフェース接点(PIC)であって、前記第1の複数のPICのそれぞれが、前記スレッドの側面に沿って延在する第1の区域と、前記マンドレルのに形成された第2の区域とを有する、前記第1の複数のPICと、
第2の複数のPICであって、前記第2の複数のPICのそれぞれが、前記スレッドの前記側面に沿って延在する第1の区域と、前記マンドレルのに形成された第2の区域とを有する、前記第2の複数のPICと、
前記第1の複数のPICの前記第1の区域のうちの少なくともいくつかと前記第2の複数のPICの前記第1の区域のうちの少なくともいくつかとの間に配置された誘電体膜と、
を含み、
前記第1の複数のPICのうちの少なくとも1つは、それぞれの第2の区域において前記第2の複数のPICのうちの少なくとも1つの上で交差し、前記誘電体膜は、前記第1の複数のPICのうちの少なくとも1つと前記第2の複数のPICのうちの少なくとも1つとの間の交差領域内まで延び、
前記第1の複数のPICのうちの少なくとも1つは、前記第2の複数のPICのうちの少なくとも1つと、前記第1の複数のPICのうちの前記少なくとも1つに配置された第1の容量プレート及び前記第2の複数のPICのうちの前記少なくとも1つに配置された第2の容量プレートを介して容量結合し、前記第1の容量プレートは、前記第2の容量プレートと重なり合い、かつ前記第2の容量プレートを超えて延在する、前記通信ジャック。
【請求項19】
前記第1の容量プレートは、少なくとも0.001インチの距離だけ前記第2の容量プレートを超えて延在する、請求項18に記載の通信ジャック。
【請求項20】
前記距離は、前記第2の容量プレートの各側面に沿って及ぶ、請求項19に記載の通信ジャック。
【請求項21】
前記マンドレルは、第1のマンドレルと、第2のマンドレルとを含み、前記第1のマンドレルは、前記第2のマンドレルより大きい半径を有し、前記第1の複数のPICのそれぞれの前記第2の区域は、前記第1のマンドレルのに形成され、前記第2の複数のPICのそれぞれの前記第2の区域は、前記第2のマンドレルのに形成され、前記第1のマンドレルおよび前記第2のマンドレルは、前記スレッドの前記側面に沿う方向に対して垂直な方向に沿って配置されている、請求項18に記載の通信ジャック。
【請求項22】
通信プラグと嵌合させるための通信ジャックであって、
前記通信プラグを収容するための開口を有するハウジングと、
前記ハウジング内に少なくとも部分的に配置された付勢部材と、
前記ハウジングの中に少なくとも部分的に配置されたスレッドであって、前記スレッドの第1端部が前記開口の近位にあり、かつマンドレルを有し、第2端部が前記開口の遠位にある、前記スレッドと、
第1の複数のプラグインタフェース接点(PIC)であって、前記第1の複数のPICのそれぞれが、前記スレッドの側面に沿って延在する第1の区域と、前記マンドレルのに形成された第2の区域とを有する、前記第1の複数のPICと、
第2の複数のPICであって、前記第2の複数のPICのそれぞれが、前記スレッドの前記側面に沿って延在する第1の区域と、前記マンドレルのに形成された第2の区域とを有する、前記第2の複数のPICと、
前記第1の複数のPICの前記第1の区域のうちの少なくともいくつかと前記第2の複数のPICの前記第1の区域のうちの少なくともいくつかとの間に配置された誘電体膜と、
を含み、
前記第1の複数のPICのうちの少なくとも1つは、それぞれの第2の区域において前記第2の複数のPICのうちの少なくとも1つの上で交差し、前記誘電体膜は、前記第1の複数のPICのうちの少なくとも1つと前記第2の複数のPICのうちの少なくとも1つとの間の交差領域内まで延び、
前記付勢部材は、前記第1の複数のPICのうちの少なくともいくつかを前記誘電体膜に対して圧縮する、前記通信ジャック。
【請求項23】
前記付勢部材は、前記第2の複数のPICのうちの少なくともいくつかに対して前記誘電体膜を更に圧縮する、請求項22に記載の通信ジャック。
【請求項24】
前記マンドレルは、第1のマンドレルと、第2のマンドレルとを含み、前記第1のマンドレルは、前記第2のマンドレルより大きい半径を有し、前記第1の複数のPICのそれぞれの前記第2の区域は、前記第1のマンドレルのに形成され、前記第2の複数のPICのそれぞれの前記第2の区域は、前記第2のマンドレルのに形成される、請求項22に記載の通信ジャック。
【請求項25】
前記第1の複数のPICのうちの少なくとも1つは、前記第2の複数のPICのうちの少なくとも1つと、前記第1の複数のPICのうちの前記少なくとも1つに配置された第1の容量プレート及び前記第2の複数のPICのうちの前記少なくとも1つに配置された第2の容量プレートを介して容量結合し、前記第1の容量プレートは、前記第2の容量プレートと重なり合い、かつ前記第2の容量プレートを超えて延在する、請求項22に記載の通信ジャック。
【請求項26】
前記第1の容量プレートは、少なくとも0.001インチの距離だけ前記第2の容量プレートを超えて延在する、請求項25に記載の通信ジャック。
【請求項27】
前記第1のマンドレルおよび前記第2のマンドレルは、前記スレッドの前記側面に沿う方向に対して垂直な方向に沿って配置されている、請求項24に記載の通信ジャック。
【請求項28】
通信プラグと嵌合させるための通信ジャックであって、
前記通信プラグを収容するための開口を有するハウジングと、
第1の複数のプラグインタフェース接点(PIC)であって、前記第1の複数のPICのうちの少なくとも2つが異なる形状を有する、前記第1の複数のPICと、
第2の複数のPICであって、前記第2の複数のPICのそれぞれが前記第1の複数のPICのうちの1つと同一の形状を有する、前記第2の複数のPICと、
前記ハウジングの中に少なくとも部分的に配置されたスレッドであって、前記スレッドの第1端部が前記開口の近位にあり、かつマンドレルを有し、第2端部が前記開口の遠位にある、スレッドと、
を含み、
前記第1の複数のPICのうちの少なくとも一部は、前記第1の複数のPICと前記第2の複数のPICとが互いに鏡像として配置され、前記第1の複数のPICの少なくとも1つの形状が、前記第1の複数のPICの前記少なくとも1つに隣接する前記第2の複数のPICの少なくとも1つの形状に対して非対称となるように、誘電体膜によって前記第2の複数のPICから離間されており、
前記第1の複数のPICは、前記スレッドの側面に沿って延在する第1の区域と、前記マンドレルのに形成された第2の区域とを有し、前記第2の複数のPICは、前記スレッドの前記側面に沿って延在する第1の区域と、前記マンドレルのに形成された第2の区域とを有し、
前記第1の複数のPICのうちの少なくとも1つは、それぞれの第2の区域において前記第2の複数のPICのうちの少なくとも1つの上で交差し、
前記誘電体膜は、前記第1の複数のPICのうちの少なくとも1つと前記第2の複数のPICのうちの少なくとも1つとの間の交差領域内まで延びている、前記通信ジャック。
【請求項29】
前記誘電体膜は、前記第1の複数のPICの前記第2の区域のうちの少なくともいくつかと前記第2の複数のPICの前記第2の区域のうちの少なくともいくつかとの間に配置されている、請求項28に記載の通信ジャック。
【請求項30】
前記マンドレルは、第1のマンドレルと、第2のマンドレルとを含み、前記第1のマンドレルは、前記第2のマンドレルより大きい半径を有し、前記第1の複数のPICのそれぞれの前記第2の区域は、前記第1のマンドレルのに形成され、前記第2の複数のPICのそれぞれの前記第2の区域は、前記第2のマンドレルのに形成される、請求項28に記載の通信ジャック。
【請求項31】
前記ハウジングは付勢部材を含み、前記付勢部材は、前記第1の複数のPICのうちの少なくともいくつかを前記誘電体膜に対して圧縮する、請求項28に記載の通信ジャック。
【請求項32】
前記付勢部材は、前記第2の複数のPICのうちの少なくともいくつかに対して前記誘電体膜を更に圧縮する、請求項31に記載の通信ジャック。
【請求項33】
前記第1の複数のPICのうちの少なくとも1つは、前記第2の複数のPICのうちの少なくとも1つと、前記第1の複数のPICのうちの前記少なくとも1つに配置された第1の容量プレート及び前記第2の複数のPICのうちの前記少なくとも1つに配置された第2の容量プレートを介して容量結合し、前記第1の容量プレートは、前記第2の容量プレートと重なり合い、かつ前記第2の容量プレートを超えて延在する、請求項28に記載の通信ジャック。
【請求項34】
前記第1の容量プレートは、少なくとも0.001インチの距離だけ前記第2の容量プレートを超えて延在する、請求項33に記載の通信ジャック。
【請求項35】
前記距離は、前記第2の容量プレートの各側面に沿って及ぶ、請求項34に記載の通信ジャック。
【請求項36】
前記第1のマンドレルおよび前記第2のマンドレルは、前記スレッドの前記側面に沿う方向に対して垂直な方向に沿って配置されている、請求項30に記載の通信ジャック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、一般に、ネットワーク通信の分野に関し、より具体的には、ケーブル接続のために使用可能なネットワークジャック用の設計に関する。
【背景技術】
【0002】
RJ45プラグやジャックなどのネットワーク接続構成要素は、それぞれ、所定量のクロストークを生成し、キャンセルすることが当業者によって知られている。RJ45ジャック内でより効果的にクロストークをキャンセルために、補償回路をできるだけプラグ/ジャック嵌合インタフェースの近くに移す必要があることが同様に知られている。
【0003】
これを実現する1つの方法は、ジャックのプラグインタフェース接点(PIC)に接続されるフレキシブルプリント回路基板をプラグジャック嵌合インタフェースに比較的近い位置で使用することである。このような構成の実施例は、特許文献1において提供されている。ここで、図15A~15Gは、クロストーク補償回路を上部に備えたフレキシブル回路基板を使用する例示的なジャックを示す。効果的ではあるが、この方法は、フレキシブル回路基板のコストが高いために高価である。
【0004】
プラグ/ジャック嵌合インタフェースの近くにクロストーク回路を移す別の方法は、ジャックの接点トレースのいくつかにおいて交差を実装することである。このような構成の実施例は、PIC内の交差がスレッドのマンドレル付近に実装されている特許文献2において見ることができる。これらの交差により、プラグ/ジャック嵌合インタフェース後の比較的近くで補償を開始することが可能となるものの、そこから十分望ましい量の結合を得ることは困難であり、補償信号のより大きい部分をプラグ/ジャック嵌合インタフェースからより遠くに生成させて正味の補償信号を実現する。
【0005】
上記を考慮すると、ジャック設計を改善することにより、製造を比較的安価に留めつつ適切なクロストークキャンセルを提供することが依然として求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】米国特許出願公開第2008/0045090号
【文献】米国特許出願公開第2014/0073195号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って、本発明の少なくともいくつかの実施形態は、ジャック設計を改善することにより、比較的安価に留めつつ適切なクロストークキャンセルを提供することを目標とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一実施形態では、本発明は、PICの2つの層の間に薄い誘電体膜を利用するRJ45ジャックである。これらの層は、その形状を介してクロストーク補償を提供する。補償は、薄い誘電体膜を挟む容量プレートを介して実現される。これにより、PICの層を近接させ、所望される場合により高い結合を実現することが可能となり、プラグ/ジャック接点箇所の近くでより大きい量の補償を行うことができる。これは、プラグ/ジャック接点箇所のより近くに補償を移す効果を有することができる。これにより、データ経路に更に沿って必要とされる補償及び/またはクロストークの量が減少し得る。
【0009】
別の実施形態では、本発明は、通信プラグと嵌合させるための通信ジャックである。通信ジャックは、通信プラグを収容するための開口を有するハウジングと、ハウジングの中に少なくとも部分的に配置されたスレッドであって、スレッドの第1端部が開口の近位にあり、かつマンドレルを有し、第2端部が開口の遠位にある、スレッドと、第1のPICであって、第1の複数のPICのそれぞれが、スレッドの側面に沿って延在する第1の区域と、マンドレルの周囲に形成された第2の区域とを有する、第1のPICと、第2の複数のPICであって、第2の複数のPICのそれぞれが、スレッドの側面に沿って延在する第1の区域と、マンドレルの周囲に形成された第2の区域と、を有する、第2の複数のPICと、第1の複数のPICの第1の区域のうちの少なくともいくつかと第2の複数のPICの第1の区域のうちの少なくともいくつかとの間に配置された誘電体膜であって、第1の複数のPICの第2の区域のうちの少なくともいくつかと第2の複数のPICの第2の区域のうちの少なくともいくつかとの間に更に配置されている、誘電体膜と、を含む。
【0010】
なお別の実施形態では、本発明は、通信プラグと嵌合させるための通信ジャックである。通信ジャックは、通信プラグを収容するための開口を有するハウジングであって、複数のクラッシュリブを更に有するハウジングと、ハウジングの中に少なくとも部分的に配置されたスレッドであって、スレッドの第1端部が開口の近位にあり、かつマンドレルを有し、第2端部が開口の遠位にある、スレッドと、第1の複数のPICであって、第1の複数のPICのそれぞれが、スレッドの側面に沿って延在する第1の区域と、マンドレルの周囲に形成された第2の区域とを有する、第1のPICと、第2の複数のPICであって、第2の複数のPICのそれぞれが、スレッドの側面に沿って延在する第1の区域と、マンドレルの周囲に形成された第2の区域とを有する、第2の複数のPICと、第1の複数のPICの第1の区域のうちの少なくともいくつかと第2の複数のPICの第1の区域のうちの少なくともいくつかとの間に配置された誘電体膜と、を含み、クラッシュリブは、第1の複数のPICのうちの少なくともいくつかを誘電体膜に対して圧縮する。
【0011】
なお別の実施形態では、本発明は、通信プラグと嵌合させるための通信ジャックである。通信ジャックは、通信プラグを収容するための開口を有するハウジングと、ハウジングの中に少なくとも部分的に配置されたスレッドであって、スレッドの第1端部が開口の近位にあり、かつマンドレルを有し、第2端部が開口の遠位にある、スレッドと、第1の複数のPICであって、第1の複数のPICのそれぞれが、スレッドの側面に沿って延在する第1の区域と、マンドレルの周囲に形成された第2の区域とを有する、第1の複数のPICと、第2の複数のPICであって、第2の複数のPICのそれぞれが、スレッドの側面に沿って延在する第1の区域とマンドレルの周囲に形成された第2の区域とを有する、第2の複数のPICと、第1の複数のPICの第1の区域のうちの少なくともいくつかと第2の複数のPICの第1の区域のうちの少なくともいくつかとの間に配置された誘電体膜と、を含み、第1の複数のPICのうちの少なくとも1つは、第2の複数のPICのうちの少なくとも1つと、第1の複数のPICのうちの少なくとも1つに配置された第1の容量プレート及び第2の複数のPICのうちの少なくとも1つに配置された第2の容量プレートを介して容量結合し、第1の容量プレートは、第2の容量プレートと重なり合い、かつ第2の容量プレートを超えて延在する。
【0012】
本発明のこれら及び他の特徴、態様及び利点は、以下の図面、説明及び後続し得る任意の請求項を参照すると、より理解されることになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施形態に係る通信システムの上部等角図である。
図2】本発明の一実施形態に係るジャックの下部等角図である。
図3】本発明の一実施形態に係るジャックの分解下部等角図である。
図4】本発明の一実施形態に係るスレッドアセンブリの分解前面上部等角図である。
図5図4のスレッドアセンブリの分解背面上部等角図である。
図6図4のスレッドアセンブリの一部透視前面図である。
図7A図4のスレッドアセンブリの一部透視上面図である。
図7B図7Aからの詳細図である。
図8】本発明の一実施形態に係る前面ハウジングの背面下部等角図である。
図9】切断線9-9について得られた図8の前面ハウジングの等角断面図を示す。
図10】本発明の一実施形態に係る前面ハウジングの等角断面図を示す。
図11】本発明の一実施形態に係る前面ハウジングの等角断面図を示す。
図12】切断線12-12について得られた図1の通信システムの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の例示的な実施形態を図1に示す。本図は通信システム10を示し、このシステムは、ジャック20及び対応するRJ45プラグ26と共にパッチパネル12を含む。一旦プラグ26がジャック20と嵌合すると、データは、これらのコネクタを通じて両方向に流れることができる。通信システム10がパッチパネルを有するものとして図1に示されているが、代替的な実施形態は、他の能動的または受動的な機器を含むことができる。受動的な機器の実施例としては、モジュラーパッチパネル、パンチダウンパッチパネル、カプラパッチパネル、壁の差し込み口などを挙げることができるが、これらに限定されない。能動的な機器の実施例としては、データセンタ及び/または電気通信室内で見ることができるイーサネットスイッチ、ルータ、サーバ、物理レイヤー管理システム及びパワーオーバーイーサネット機器、セキュリティデバイス(カメラ及び他のセンサなど)ならびにドアアクセス機器、ならびにワークステーション領域内で見ることができる電話、コンピュータ、ファックス機器、プリンタ及び他の周辺機器などを挙げることができるが、これらに限定されない。通信システム10は、キャビネット、ラック、ケーブル管理及びオーバーヘッドルーティングシステム、ならびに他のこのような機器を更に含むことができる。
【0015】
図2及び3は、ジャック20をより詳細に示す。これらの図に示されているように、このジャックは、前面ハウジング32、スレッドアセンブリ34、プリント回路基板(PCB)42、絶縁変位接点(IDC)46及び48、IDC支持体50、背面ハウジング54、ならびにワイヤキャップ55を含む。図4及び5を参照すると、スレッドアセンブリ34は、PIC36、36、36及び36で構成された上部PIC層56、PIC36、36、36及び36で構成された下部PIC層58、スレッド38、ならびに薄い誘電体膜40を含む。PICの下付き数字は、ANSI/TIA-568-C.2によって定義されたRJ45のピン位置を表す。
【0016】
スレッドアセンブリ34の組み立て中、下部PIC層58のPIC36、36、36及び36は、PIC36、36、36及び36上の肩60が下部PIC位置決めスロット64内に置かれた状態で、スレッド38上のそれぞれのPICスロット内に置かれる。所定位置にあるとき、これらのPICは、スレッド38の小さい方のマンドレル68の上に形成される。薄い誘電体膜40は、誘電体膜40上のガイドホール41がスレッド38上のガイドポスト39に整列した状態で、下部PIC層58の上に置かれる。次に、上部PIC層56のPIC36、36、36及び36は、PIC36、36、36及び36上の肩60が上部PIC位置決めスロット62内に置かれた状態で、スレッド38上のそれぞれのPICスロット内に置かれる。所定位置にあるとき、これらのPICは、スレッド38の大きい方のマンドレル70の上に形成されて、上部PIC層と下部PIC層との間に誘電体膜40を閉じ込める。なお、PIC36は、これらがスレッド38上のそれぞれの位置に置かれたら直ちにマンドレルの周囲に形成されてもよく、または、上部層と下部層との両方が適宜配置された後に形成されてもよい。
【0017】
誘電体膜40を使用することにより、上部PIC層56及び下部PIC層58の容量プレート66を互いに約0.002インチ内に配置することができる。これにより、2つのPIC層の間の障壁を保ちつつ、これらの層の間に、より大きい、及び/またはより正確な量の容量性及び誘導性補償結合を得ることができる。図示した実施形態では、上部PIC層56と下部PIC層58とは、互いに鏡像である。これにより、単一の金属型打ちプロセスの利用が可能となり、総コストを潜在的に低減することができる。
【0018】
図6は、PICマンドレル68及び70の周囲にPIC36が形成された状態の前面スレッドアセンブリ34の一部透視前面図を示す。PIC36と36、PIC36と36、及びPIC36と36の間の交差形状61は、クロストークキャンセル回路の開始を示し、従って、PIC36内に生成される有害クロストークの量が減少する。誘電体膜40を交差領域61内にまで延ばすことにより、その他の方法で上部PIC及び下部PICを配置するよりもこれらを近くに配置することが可能となり、より正確な補償をプラグ/ジャック嵌合位置のより近くで行うことができる。クロストークキャンセル回路を、スレッドアセンブリ34の一部透視上面図を示す図7A、及び図7Aからの詳細図を示す図7Bにおいてより明らかに示す。なお、図7Aにおいて、PIC36は、延在しているが、マンドレル68及び70の周囲にまだ形成されていないものとして示されている。
【0019】
所望の容量結合をより高精度に実現するために、少なくともいくつかの容量プレートは、それらの対応するプレートに比べて大型である。この実施例を図7Bの詳細図において示す。本図では、プレート71が、プレート73と重なり合い、かつ距離75、すなわち少なくとも0.001インチだけ、このプレートを超えて延在する。このような構成を実装することにより、プレート71または73のいずれかを正確な位置からずらす原因となる製造ばらつきを認めつつ容量結合の適切なレベルを維持することができる。例えば、距離75が0.005インチであり、かつプレート73が0.002インチだけ曲がっている場合、2つのプレート71とプレート73との間の重なり合う領域は同一のままであり、容量結合は同一のままとなる。一実施形態では、距離75は、所与のコンデンサプレートの周囲全体に及ぶ。
【0020】
図8は、前面ハウジング32の背面下部等角図を示し、図9は、図8の切断線9-9について得られた前面ハウジング32の等角断面図を示す。ジャック20の組み立て中、PIC36は、前面ハウジング32のハウジングコーム(housing comb)72を通って移動する。これにより、高電位ドエル試験(Hipot)障害の危険性が低下し、プラグ挿入の繰り返し性が高まる。加えて、前面ハウジング32のクラッシュリブ74が、上部PIC層56を押圧することにより、上部PIC層56と、誘電体膜40と、下部PIC層58との間の空気量が減少する。層間の空気量が減少することにより、規定の電気的性能を維持するために容量プレート66がジャック内のクロストークをより正確に補償することが可能となり得る。なお、容量プレート66間の空隙を減らすことは、ハウジング内の多くの形の付勢部材を使用して実現されてもよい。代替的なクラッシュリブ82及び86を備えた前面ハウジング80及び84の代替的な実施形態を図10及び11にそれぞれ示す。
【0021】
プラグ26のジャック20に対する挿入を、図1の切断線12-12について得られた図12の断面図において示す。この図は、プラグ/ジャック接点箇所76、及びPCB42に対するその位置を示す。このPCBには、追加のクロストーク補償回路が実装され得る。交差区域61をプレート66及び誘電体膜40で構成された容量回路と組み合わせて箇所76の比較的近くに実装することにより、全体のクロストーク補償要件が単純化される。これは、有害クロストークがPIC内に生成される距離が短くなるため、プラグ/ジャック接点箇所76と補償の第1ステージとの間の位相遅延が減少するため、更には、(例えば、PCB42上で)PICより遠くに配置され得る補償回路がより小さい大きさを潜在的に有し得るために起こる。
【0022】
なお、この発明は、いくつかの実施形態に関して記載されてきたが、これらの実施形態は、(それらが例示的であると表記されたかどうかに関わらず)非限定的であり、この発明の範囲内に含まれる変更、置換及び均等物が存在する。加えて、記載された実施形態は、互いに排他的であると解釈されるべきではなく、むしろ、このような組み合わせが許容される場合に潜在的に組み合わせ可能であるとして理解されるべきである。また、本発明の方法及び装置を実施する多くの代替方法が存在することにも注意すべきである。従って、後続し得る請求項は、本発明の真の思想及び範囲内に含まれる全てのこのような変更、置換及び均等物を含むと解釈されることが意図される。
【符号の説明】
【0023】
10 通信システム
12 パッチパネル
20 ジャック
26 プラグ
32 前面ハウジング
34 前面スレッドアセンブリ
34 スレッドアセンブリ
36 PIC
38 スレッド
39 ガイドポスト
40 誘電体膜
41 ガイドホール
42 プリント回路基板(PCB)
46 絶縁変位接点(IDC)
48 絶縁変位接点(IDC)
50 IDC支持体
54 背面ハウジング
55 ワイヤキャップ
56 上部PIC層
58 下部PIC層
60 肩
61 交差領域、交差形状、
62 上部PIC位置決めスロット
64 下部PIC位置決めスロット
66 容量プレート
68 PICマンドレル
70 PICマンドレル
71 プレート
72 ハウジングコーム
73 プレート
74 クラッシュリブ
76 ジャック接点箇所
80 前面ハウジング
82 クラッシュリブ
84 前面ハウジング
86 クラッシュリブ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図8
図9
図10
図11
図12