(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-19
(45)【発行日】2023-05-29
(54)【発明の名称】かみ合う歯群および外側の精練セクションを有する分散機のプレート
(51)【国際特許分類】
D21B 1/14 20060101AFI20230522BHJP
D21D 1/30 20060101ALI20230522BHJP
【FI】
D21B1/14
D21D1/30
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019062754
(22)【出願日】2019-03-28
【審査請求日】2022-02-07
(32)【優先日】2018-04-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-03-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】502278600
【氏名又は名称】アンドリッツ インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002538
【氏名又は名称】弁理士法人あしたば国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ルック ジングラス
【審査官】長谷川 大輔
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-149804(JP,A)
【文献】特開2003-119684(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2003/0071153(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第1412385(CN,A)
【文献】特開2007-182660(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0158482(US,A1)
【文献】特表平05-501288(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B02C1/00-7/18
15/00-17/24
D21B1/00-1/38
D21C1/00-11/14
D21D1/00-99/00
D21F1/00-13/12
D21G1/00-9/00
D21H11/00-27/42
D21J1/00-7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
裏側から表側を分離した基板であって、
前記表側と、
辺長と、
前記辺長の第1の端部に配設された、内弧と、
前記辺長の第2の端部に配設され、前記辺長に沿って前記内弧から径方向遠位に位置された、外弧と、
前記辺長に沿って前記内弧と前記外弧との間に延びる、第1の側辺と、
前記辺長に沿って前記内弧と前記外弧との間に延び、前記第1の側辺から遠位に配設された、第2の側辺と、
厚さに沿って表側から反対に配設された前記裏側とを備え、前記裏側と前記表側は、前記外弧、前記内弧、前記第1の側辺、および前記第2の側辺の間に延びる、基板と、
前記基板から延びる歯群であって、
径方向の空隙に配設された列に配置され、
前記基板上の領域を占有し、前記歯群における歯は、
歯の高さと、
壁と、隣接する壁の交差部における縁部と
を備え、
前記領域は分散セクションを画定する、歯群と、
前記基板から延びる精練バーであって、隣接する精練バーおよび前記基板は、前記隣接する精練バーの間に溝を画定し、それによって前記精練バーは、精練バーおよび溝が交互となる精練セクションを画定し、
径方向外側端部に比較してより広い径方向内側端部を有する移行バーは、径方向に最も外側の歯と前記精練セクションとの間に複数配設され、前記精練セクションは、前記分散セクションよりも前記辺長の前記第2の端部に近く配設され、精練バーおよび溝が交互となる前記領域の精練バーは精練バーの高さを有し、前記歯の高さは前記精練バーの高さを越える、精練バーと
を備える、分散-精練のプレートセグメント。
【請求項2】
前記歯が、プレートセグメントの回転時における歯の先端側として、凹形状を形成する先端壁を含む先端側をさらに備える、請求項1に記載の分散-精練のプレートセグメント。
【請求項3】
前記歯群が、前記精練バーよりも少なくとも50%高い、請求項1に記載の分散-精練のプレートセグメント。
【請求項4】
前記歯群が、前記精練バーよりも少なくとも100%高い、請求項1に記載の分散-精練のプレートセグメント。
【請求項5】
前記歯が、立方体、細長い矩形プリズム、台形プリズム、三角形プリズム、角錐、切頭角錐、および五角形プリズム、からなる群から選択される形状を有する、請求項1に記載の分散-精練のプレートセグメント。
【請求項6】
基板と、
前記基板から延びる歯群であって、径方向の空隙に配設された列に配置され、前記歯群における歯は、歯の高さ、壁、および隣接する壁の交差部における縁部を有し、前記基板上の領域を占有し、前記領域は分散セクションを画定する、歯群と、
前記基板から延びる精練バーであって、隣接する精練バーおよび前記基板は、前記隣接する精練バーの間に溝を画定し、それによって前記精練バーは、精練バーおよび溝が交互となる精練セクションを画定し、前記精練セクションは前記分散セクションから遠位に配設され、前記精練バーは精練バーの高さを有し、前記歯の高さは前記精練バーの高さを越える、精練バーと、
前記分散セクションと前記精練セクションとの間に配設された
、径方向外側端部に比較してより広い径方向内側端部を有する複数の移行バーと、
を備える、分散-精練のプレートセグメント。
【請求項7】
前記歯群が、前記精練バーよりも少なくとも50%高い、請求項6に記載の分散-精練のプレートセグメント。
【請求項8】
前記歯群が、前記精練バーよりも少なくとも100%高い、請求項6に記載の分散-精練のプレートセグメント。
【請求項9】
前記歯が、立方体、細長い矩形プリズム、台形プリズム、三角形プリズム、角錐、切頭角錐、五角形プリズム、または他の多面体からなる群から選択される形状を有する、請求項6に記載の分散-精練のプレートセグメント。
【請求項10】
前記歯が、凹形状を形成する複数の先端壁を含む先端側をさらに備える、請求項6に記載の分散-精練のプレートセグメント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、米国特許法第119条(e)下で2018年4月3日に出願された米国仮特許出願第62/651,777号の利益を主張するものであり、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、全体的に板紙産業の分散機に関し、より詳細には、リサイクル繊維に働くよう使用される分散機のセグメントに関する。
【背景技術】
【0003】
紙繊維をリサイクルするとき、産業用リサイクル粉砕機のオペレータは、紙繊維中の混入物を分解かつ分離するために分散機を使用する。このプロセスをよく知っている人は、一般にこれらの混入物を「粘着物(stickies)」と呼ぶ。一般に粘着物は、糊、プラスチック、インク、およびリサイクルされる繊維と共に点在するような他の材料を含む。オペレータは、ふるい分け、洗浄、および/または浮選プロセスを介して、分離された粘着物を繊維物質から取り除くことができる。任意の残留粒子を、粘着物が最終製品では目に見えない程度に分解することができる。分散および分離のプロセスによって、オペレータは、より清潔なリサイクル紙繊維を抄紙機に供給することが可能となる。この実施によって、抄紙機構成に固着する混入物の問題をあまり生じさせず、結果的に性能を全体的に向上させる。さらにインクの分散は、最終製品の外観を大きく改善する。
【0004】
通常オペレータは、古い段ボール(「OCC」)、古い新聞印刷用紙(「ONP」)、混合オフィス古紙(「MOW」)、雑誌、コマーシャルペーパーなどの再生繊維を分散する。一般に分散機は、非回転ディスク(「固定子」)に面した回転ディスク(「回転子」)を備える。各ディスクはディスクセグメントを備え、通常各ディスクセグメントは歯群を有する。歯群は通常、方形プリズム、台形プリズム、または角錐形プリズムなどの幾何学的プリズムの形状である。歯群は、ディスクセグメントの一方の側から、列または帯状で突出する。一方のディスク上の歯群の列は、面するディスクの歯群の列とかみ合う。すなわち、面するディスクセグメントの歯群の列は互いに異なる半径で配設され、それによって一方のプレートセグメントの歯群の列は、分散機に取り付けられたときに、面するプレートセグメントの歯群の列の間に入るので、回転子上の歯群の列が、面するプレートセグメントの歯群と衝突することなく回転の中心の周りを移動できる。かみ合う歯群は、第1のプレートセグメント上の歯が、対向する第2のプレートセグメント上の隣接する列の歯群の間に延びるのを、さらに可能にする。このかみ合いは、対向する分散セクション間の曲がりくねった間隙を作り出す。
【0005】
面する通常の分散機のプレートは、回転子と固定子の歯群側の壁との間に、約1ミリメートル(「mm」)~5mmの間の間隙または隙間を有する。この空間によって、多量に繊維を切断することなく歯群が激しく繊維を曲げ、せん断可能となる。この曲げが、ごみ、インク、および他の粘着物のいくらかを取り除く。回転する分散機のプレートと固定された分散機のプレートとの間の空間は、回転子が回転する間に、固定子のプレートを回転子のプレートに向けて(または回転子のプレートを固定子のプレートに向けて)移動させる機構によって、調整され得る。回転子は芯合わせされ、その回転軸に沿って自由に動ける。
【0006】
回転子要素が回転すると、回転子要素は、固定子ディスクの中央から分散機に入るリサイクル紙繊維の供給流を促す。中央のハブキャップ(「指部」としても知られている)は、2つの面する分散機のディスク間の間隙に供給流を導く。次に供給流は、かみ合う歯群の帯全体で、回転の中心から径方向外側に、ディスクの外縁を介して機械の出口に向かって移動する。この出口は機械の底部における穴であることが多く、この穴を通して、分散されたパルプは希釈するために収納箱の中に落ちて、さらに処理される。いくつかの分散機は、供給側に追加されたスチームを有する。リサイクル繊維を、歯群のかみ合う帯にわたるリサイクル繊維の移動を補助するのに加えて、補足のスチームも、分散されたリサイクル繊維が加圧スチームパイプを介して分散機から出るのを可能にする。
【0007】
分散機の主な機能は分離および分散することであるが、機器の副次的作用は、加えたエネルギーのうちのいくらかが、繊維の改善すなわち「精練」をもたらすことである。「分散」と「精練」との間の相違を理解するために、リサイクル紙繊維の物理的特性を理解することが役立つ。一般的にリサイクル紙繊維は、「ラメラ」と呼ばれるいくつかの同心層を備える管状構造である。各ラメラは、ラメラを形成するため互いに結合された、「微小繊維」と呼ばれる、より細かい構造の構成要素を備える。分散が管状繊維自体の全体を曲げる一方で、「精練」は繊維を、より大きい摩擦エネルギーおよび圧縮エネルギーの影響下におく。その結果、精練は繊維を裂き、ラメラを含む微小繊維をほぐし、それによって繊維の表面積を増加させる。いくつかの場合、この精練は、パルプ懸濁液の脱水機能を低減させるために望ましくないが、他の場合においては精練は望ましい。例えば、繊維の表面積を増加させると、精練した繊維から作られる紙または他の製品の引っ張り強度を大きく増加させる。所望の強度品質を有する所望のグレードのパルプを生成するため、オペレータは、リサイクルパルプ繊維が受ける精練のレベルを制御することを望むことがある。リサイクル作業は、この追加の精練をもたらすために、分散後に低精度(low consistency)の精練機を使用し得る。
【0008】
分散および精練の要素を組み合わせる以前の試みは、分散のみの場合よりも良い精練を実現できた。例えば、米国特許出願第14/082,424号に記載されているプレートセグメントは、かみ合う歯群を有さず、極わずかな分散効果を付与するための精練原理と、より広い動作間隙とを用いていた。最終的効果は、より少ない分散量を伴う大きい精練量であった。
【0009】
かみ合うピンを伴う以前の精練のプレートセグメントは、分散のためではなく、主に精練のために設計されていた。例えば、米国特許第7,354,011号で開示された精練のプレート設計は、プレートセグメント全体の精練バーと共に点在するフローリストリクタを有していた。国際出願番号PCT/SE9802124は、内部チップの分離セクションに配設されたピンおよびフローリストリクタ、ならびに外側の精練セクションにおける精練バーを開示した。しかし、これらの設計の両方において、円筒形ピンは主に、ウッドチップ片が精練セクションに入る前にウッドチップ片を分解する手段として含まれていた。これらのピンは、ウッドチップ片をより一様に分解し、分解したウッドチップをより均一に精練間隙に配分するのに役立ち、それによって精練(すなわち離解)プロセスも開始しながら、精練のプレートセグメント間の負荷の変動を軽減させると考えられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】米国特許出願第14/082,424号
【文献】米国特許第7,354,011号
【文献】国際出願番号PCT/SE9802124
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0011】
出願人は、例示的な分散-精練のプレートセグメントを備える例示的な分散機を通して、単一の通路を通る繊維を精練する量に対する、より良好な制御をオペレータに与えながら、分散機を使用して繊維を所望の品質に分散および精練する可能性を見出した。所望の引っ張り強度を有するリサイクル繊維を生成するために、分散および精練が分離した装置を使用することによって生じる、時間およびエネルギーを浪費するという問題は、分散機のプレートセグメント上の分散機のかみ合う歯群の後ろ(すなわち径方向外側)に、バーおよび溝の精練セクションを加えることによって解決される。例示的な分散-精練のプレートセグメントの裏側に対して、分散機の歯群は精練バーよりも高く、分散機の歯群は側壁の交差部において鋭い先端部を有する。
【0012】
特定の例示的な実施形態において、多角形プリズムの形状の歯群を備える分散セクションの下の基板に対して、バーおよび溝の精練セクションの下には、より厚い基板を有することが望ましい場合がある。他の例示的な実施形態において、分散セクションに対する精練セクションの基板の厚さに実質的な相違がない場合があるが、そのような実施形態において、歯群は精練セクションの精練バーよりも全体的に高い。例えば、この歯群は精練バーよりも50パーセント(「%」)高くてよい。他の例において、この歯群は精練バーの高さの少なくとも100%(すなわち2倍)であってよい。
【0013】
出願人は、様々な幾何学形態のかみ合う歯の設計が、一般的に20キロワット時/トン(「kWh/T」)~60kWh/Tのエネルギーレベル、いくつかの設計では100kWh/Tレベルおよびそれよりわずかに大きいレベルに達するエネルギーを加える能力を有することを見出した。精練バーおよび溝の設計は、エネルギーを加えるためのより大きい能力を有する。なぜなら、面するバーと溝の領域との間の間隙を、わずか1ミリメートルなどの低い値に効果的に制御することができるからである。これは、従来の精練のプレートの積載性が、かみ合う歯の設計よりも数倍高いことに帰着する。
【0014】
従来のバーおよび溝の精練のプレートセグメントは、過去には分散機のプレートの代わりに分散機(すなわち分散機械)に使用され、ある程度成功していたが、このような精練のプレートセグメントは、通常分散効率が低く、限定された処理能力となることが多い。したがって、分散機に精練のプレートセグメントを使用することは好ましくない。他方で出願人は、かみ合う歯のパターンが高い容積および分散効率を有するが、これらのかみ合う歯のパターンは、加えたエネルギーの割には低い精練しかもたらさないことを見出した。かみ合う歯のパターンは、大きいエネルギーを加える能力を欠き、したがって向上した精練効果をもたらす能力を欠く。
【0015】
したがって出願人は、対向するプレートセグメントの精練セクション間の動作間隙にわたって、オペレータがさらなる制御範囲を有することも可能にしながら、高い容積および分散効率を活用するため、分散セクションにおいて、適度に安定した負荷を維持することが望ましいことを見出した。動作間隙の幅は、それぞれの精練セクションに対して押圧する繊維の負荷に影響を及ぼす。対向する分散セクションと異なり、対向する精練セクションはかみ合わない。すなわち、対向する精練セクション間の間隙は、側面から見ると直線である。
【0016】
理論に縛られることなく、精練の大部分は、対向する精練セクション間の間隙に蓄積する繊維パッドで生じる。互いに急速に行き交う隣接した繊維のせん断力および圧縮力、特に圧縮力は、繊維を発達させる(すなわちリサイクル紙繊維のラメラを含む微小繊維をほぐす)と考えられる。連続して横切る、対向する精練セクションのバーおよび溝は、せん断力および圧縮力の多くを繊維パッドに付与する。例えば、2つの対向するバーが互いに横切るとき、これらの対向するバーの間に捕らえられた繊維は、対向するバーが互いに行き交い、かつ2つの対向する溝が一時的に整合するときよりも、高い負荷を受けると考えられ得る。平均負荷は、精練間隙の幅の関数である。集合体において、対向する精練セクション間の間隙の幅を調整することによって、オペレータは、対向する精練セクション間の繊維パッドの負荷を調整することができ、それによって繊維が精練される強さおよび効率を調整することができる。
【0017】
本開示による分散-精練のプレートセグメントは、同心状の歯群のかみ合うセクションを備え、その後にバーおよび溝を使用する精練セクションがある(すなわち、精練セクションは同心状の歯群のかみ合うセクション(すなわち分散セクション)の径方向外側に配設される)。例示的な分散-精練のプレートセグメントの設計において、対向するディスクのかみ合う歯群の間における間隙は、1ミリメートル毎の機械調整で0.1mm~0.4mmだけ調整し得る。その一方で、バーおよび溝の精練セクションは、位置を変えると1:1の間隙調整を行うことになる。すなわちこの設計では、間隙を制御する際に、かみ合うセクションおよび精練セクションが、両方とも調整されることになるが、精練セクションにおける効果はより顕著であると考えられる。この相違は、比較的変化しない分散効果を可能にし、その一方で、より大きい制御を精練効果にわたって可能にし得る。その結果、オペレータがプレートアセンブリの互いに対する位置を調整し、それによって本明細書で説明する例示的な分散-精練のプレートセグメント間の動作間隙を調整するとき、オペレータは、精練間隙に加えられる精練エネルギーの強さをより精確に制御することができ、その一方で、分散間隙内の繊維に加える適切に一定な分散エネルギーも維持する。
【0018】
したがって、かみ合う歯群および外側の精練セクションを伴う、例示的な分散-精練のプレートの使用により、粉砕機のオペレータが分散効率を改善することを可能にし、その一方で追加の精練機器を使用することなく、または繊維に施す精練の最大量を増加させることなく、精練エネルギーをオペレータのパルプに追加し得る。
【0019】
前述の事項は、添付の図に例示するように、以下の本開示の例示的な実施形態の、より具体的な説明から明白になる。図は必ずしも縮尺に則っておらず、代わりに、開示する実施形態を例示する際に強調して示される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1A】分散セクションから径方向外側に配設された精練セクションを備える、例示的な回転子の分散-精練のプレートセグメントの正面図である。分散セクションの歯群は、精練セクションのバーよりも高い。
【
図1B】分散セクションから径方向外側に配設された精練セクションを備える、例示的な固定子の分散-精練のプレートセグメントの正面図である。分散セクションの歯群は、精練セクションのバーよりも高い。
【
図2A】
図1Aおよび
図1Bにおける回転子および固定子の分散-精練のプレートセグメントの側断面図であり、回転子および固定子の分散-精練のプレートセグメントは、それらが分散機に設置されるときに互いに面する。
【
図2B】
図2AのB-Bセクションの拡大図であり、分散間隙および精練間隙をより詳細に示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下の好ましい実施形態の詳細な説明は、例示および説明目的のみのために提示され、包括的にあること、または本発明の範囲および趣旨を限定することを意図しない。実施形態は、本発明の原理およびその実際の適用を最適に説明するために選択され、記載されている。当業者は、本発明の範囲および趣旨から逸脱することなく、多くの変更を、本明細書に開示する本発明に成し得ることを理解するであろう。
【0022】
同様の参照文字は、別途記載しない限り、いくつかの図全体で対応する部分を示す。図は、本開示による様々な特徴および構成要素の実施形態を表わすが、図は縮尺に則っておらず、特定の特徴は、本開示の実施形態をより良好に例示するために誇張されることがあり、このような例証は本開示の範囲を限定するものと解釈するべきではない。
【0023】
本明細書で別途明記しない限り、以下の解釈のルールを本明細書に適用する。(a)本明細書で使用される全ての単語は、状況に応じたジェンダまたは数(単数もしくは複数)などとして解釈するものとする。(b)本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される単数形の語「a」、「an」、および「the」は、文脈で別途明白に指示しない限り複数の意味を含む。(c)詳述した範囲または値に適用される、先行する用語「約(about)」は、計測から、当技術分野で公知または予想された範囲または値の逸脱内における推定を示す。(d)「ここに(herein)」、「これによって(hereby)」、「これに(hereto)」、「上文に(hereinbefore)」、および「下記に(hereinafter)」、ならびに類似の意味の単語は、本明細書全体に言及し、別途記述しない限り任意の特定の段落、請求項、または他の下位文節に言及しない。(e)記述した表題は便宜上のみのためであり、明細書の任意の部分の意味または構成を制御するか、または影響を与えるものではない。(f)「または(or)」、および「任意の(any)」は排他的ではなく、「含む(include)」、および「含んでいる(including)」は限定ではない。さらに、用語「備えている(comprising)」、「有している(having)」、「含んでいる」、および「含有している(containing)」は、オープンエンドの用語(すなわち「含んでいるが限定されない」の意)として解釈するべきである。
【0024】
本明細書における「1つの実施形態(one embodiment)」、「一実施形態(an embodiment)」、「例示的な一実施形態(an exemplary embodiment)」などは、説明される実施形態が特定の特徴、構造、または特性を含み得るが、全ての実施形態が必ずしも特定の特徴、構造、または特性を含むものではない、ということを示す。さらに、これらのフレーズは必ずしも同じ実施形態に言及するものではない。さらに、特定の特徴、構造、または特性が、一実施形態と共に説明される場合、それは、当業者の知識内において、明示的に説明するか否かによって、他の実施形態と共にこのような特徴、構造、または特性に影響を与えるものとして提案される。
【0025】
説明的なサポートを提供するのに必要な範囲で、主題および/または添付の特許請求の範囲の文字は、それらの全体が本明細書に参照により組み込まれる。
【0026】
本明細書の値の範囲の詳述は、別途明白に示さない限り、任意の部分範囲内における範囲内に入る各別個の値を個々に言及する、簡略的方法として役立つことのみが意図される。詳述した範囲内の各別個の値は、それらが個々に本明細書で詳述されたかのように、本明細書または特許請求の範囲の中に組み込まれる。値の特定の範囲が提供される場合、文脈で別途明白に指示しない限り、その範囲の上限値と下限値との間における下限値の単位の1/10以下までの間の各値、および任意の他の記述された値、または記述された範囲もしくはその部分範囲における間の値は、本明細書では含まれることが理解される。全ての部分範囲もまた含まれる。より小さいこれらの範囲の上限値および下限値も本明細書に含まれ、記述された範囲内で具体的かつ明白に除外された任意の限定の対象となる。
【0027】
本明細書で使用されるいくつかの用語は、相対的な用語であることを理解されたい。例えば、用語「上部(upper)」および「下部(lower)」は位置的に互いに相対関係にあり、すなわち所与の方向において、上部構成要素は下部構成要素よりも高い位置にあるが、このデバイスが裏返しになるとこれらの用語は交換できる。用語「入口(inlet)」および「出口(outlet)」は、所与の構造に関してそれらを流れ抜ける流体に関し、例えば流体は入口を流れ抜けて構造物に入り、出口を流れ抜けて構造物から出る。用語「上流(upstream)」および「下流(downstream)」は、流体が様々な構成要素を流れ抜ける方向に関し、すなわち流体の流れは、下流の構成要素を流れ抜ける前に上流の構成要素を抜ける。
【0028】
用語「水平の(horizontal)」および「垂直の(vertical)」は、絶対的基準、すなわち地上に対する方向を示すために使用される。しかしこれらの用語は、構造物が互いに完全に平行、または完全に垂直である必要があるとは、解釈するべきではない。例えば、第1の垂直の構造物および第2の垂直の構造物は、必ずしも互いに平行である必要はない。用語「頂部(top)」、「底部(bottom)」または「基部(base)」は、絶対的基準、すなわち地球の表面に対して、頂部が常に底部/基部よりも高い位置/表面であることを言及するために使用される。用語「上方へ(upward)」および「下方へ(downward)」も、絶対的基準に関しており、上方への流れは常に地球の重力に抗う。
【0029】
図1Aは例示的な分散-精練のプレートセグメント100を示す。示された実施形態において、例示的な分散-精練のプレートセグメント100は回転子セグメントである。分散-精練のプレートセグメント100は、裏側(
図2の210)から遠位に配設された表側105を有する基板115を備える。一般的に基板115は、内弧122、外弧124、および側辺116、118によって囲まれた環状扇形を画定する。内弧122は、辺長SLの第1の端部111に配設され、外弧124は、辺長SLの第2の端部113に位置され、それによって外弧124を、内弧122から径方向遠位箇所に位置付ける。第1の側辺116は、内弧122と外弧124との間に延びる。第2の側辺118は、外弧124と内弧122との距離に沿って、第1の側辺116から遠位に配設される。
【0030】
締め穴167は基板115を貫通して延びる。オペレータはボルトまたは他の締め具(図示せず)を挿入して、分散-精練のプレートセグメント100を分散機アセンブリの支持構造に係合させる。一旦設置されると、一連の連続した隣接する分散-精練のプレートセグメント100は、回転の中心の周りを回転するよう構成された環を形成する。示した分散-精練のプレートセグメント100は、反時計回り方向Rに回転するよう最適化される。
【0031】
一連の突起した歯群120は、基板115から延びる。この一連の突起した歯群120は、一般的に多面体の形状(すなわち幾何学的プリズム)を有する。例えばこの形状は、立方体、細長い矩形プリズム、台形プリズム、三角形プリズム、角錐、切頭角錐(すなわち点ではなく平坦域で終端する角錐)、五角形プリズム、または他の多面体であってよい。各歯120は、分散-精練のプレートセグメント100の内弧122に対する内壁147、および外壁159を有してよい。各歯120の垂下壁165は、先端側164から遠位に配設される。分散-精練のプレートが回転するとき、先端側164は、垂下壁165の前にある歯の回転経路における固定点とぶつかることになる、歯120の側方である。歯群の先端側164は多面的(すなわち複数の先端壁164
a、164
bなどを備える)であってよく、好ましくは、隣接する壁(147、159、165、164
a、164
b参照)の交差部における鋭角部173を備えた平坦または凹形状を有し得る。先端側164の凹形状は、先端側164のこのような凹形状のない歯群に比べて長い平均時間の間、分散セクション125でリサイクル繊維275(
図2A)を保持し得ると考えられている。さらに、隣接する壁147、159、164
a、164
bの交差部において形成される鋭角部173は、より大きいせん断力をリサイクル繊維275に提供して、より長い平均時間を分散セクション125において費やし得る。その結果、例示的な分散-精練のプレートセグメント100は、インクおよび他の粘着物をリサイクル繊維275から、向上した効果で取り除く。歯群120は径方向の空隙133に配設された列117に配置される。側方空隙136も、各歯120を分離する。
【0032】
基板115上で歯群120を包含する領域156は、分散セクション125を画定する。一連の歯群120における各歯120は、歯の高さ(
図2Aの230)を有する。面する分散-精練のプレートセグメント100’の歯群120’(
図1B)は、同様に分散セクション125’で径方向の空隙133’に配設される。しかし、面する分散-精練のプレートセグメント100’の歯群120’は、
図1Aに示す歯群120から径方向にずれている。すなわち、面する分散-精練のプレートセグメント100’の歯群120’は、分散-精練のプレートセグメント100、100’が互いに面するとき、
図1Aに示す歯群120の間に配設される。別の方法で記述すると、第1の分散-精練のプレートセグメント100の歯群120(
図1A)は、対向する分散-精練のプレートセグメント100’(
図1B)の歯群120’の隣接する列117’の間の径方向の空隙133’に配設される。この方法で、歯群120、120’は、分散機に設置されるとかみ合うよう構成される(
図2A参照)。歯群120、120’のかみ合う列117の数、および歯群120、120’の設計は、どれだけの分散エネルギーを所望するかによって変化することを理解されたい。しかし、本明細書で開示する例示的な分散-精練のプレートセグメント100、100’は、各分散-精練のプレートセグメント100、100’に、最低2列117の歯群120、120’を有する。通常、少なくとも4列117の歯群120、120’が好ましい。歯群120の列117は、分散機の径によって制限され得る。いくつかの例示的な実施形態において、4~8列117の歯群120、120’が望ましいことがある。
【0033】
一連の精練バー140は、歯群120から径方向の遠位箇所に、表側105の基板115から延びる。隣接する精練バー(例えば140
aおよび140
b参照)および基板115は、隣接する精練バー(例えば140
aおよび140
b)の間に溝145を画定する。溝145は、隣接する全ての精練バー(例えば140
aおよび140
b)の間に配設され、それによって一連の精練バー140は、交互となる一連の精練バー140および溝145を作り出す。一連の精練バー140および溝145が表側105で占有する領域157は、「精練セクション」135として知られている。精練セクション135は、分散セクション125よりも辺長SLの第2の端部113に近く配設される。精練バー140は精練バーの高さ(
図2の250)を有する。歯の高さ230は精練バーの高さ250を越える。外側の精練セクション135は、10mmの最低長さを有し得る。他の例示的な実施形態において、外側の精練セクション135は、好ましくは約25mm~100mmの間の長さを有し得る。各セクション(例えば分散セクション125、精練セクション135、および供給バーセクションなど分散-精練のプレートセグメント100における他の考えられるセクション)の幾何学形態は、所与の分散機器モデルに固定された分散-精練のプレートセグメント100、100’のサイズによって、部分的に制限される。
【0034】
特定の例示的な実施形態において、精練セクション135の領域157は、分散-精練のプレートセグメント100の表側105の基板115における表面積の、20%~331/3%の範囲にある。例えば、精練セクション135の領域157は、分散-精練のプレートセグメント100の表側105の基板115における表面積の、少なくとも20%、25%、または331/3%であってよい。
【0035】
一般的に分散セクション125の積載性は、精練セクション135の積載性よりも制限される。一般に、2つの対向するプレート100、100’の間の分散領域の合計容積(すなわち分散間隙251(
図2A)の容積と側方空隙136の合計容積との和)は、一般的に対向するプレート100、100’の間の精練領域(すなわち精練間隙249(
図2A)および溝145の容積)の合計容積と比較して大きい。理論に縛られることなく、リサイクル繊維275の体積および供給速度が一定である場合、より小さい合計容積を有するセクションは、より大きい負荷(すなわち力)を受けることになると考えられる。分散セクション125の効果を増加させる1つの方法は、セグメント上の分散セクション125の領域を増加させることである。精練セクション135の高い積載性が与えられる場合、精練セクション135は、精練効果を犠牲にすることなく、径方向内側の分散セクション125に場所を譲ることが考えられる。
【0036】
特定の例示的な実施形態において、分散セクション125の領域156は、分散-精練のプレートセグメント100の表側105の基板115における表面積の、40%~50%の範囲にある。特定の例示的な実施形態において、分散セクション125は、分散-精練のプレートセグメント100の表側105の基板115における表面積の、少なくとも40%を占有し得る。例えば、特定の例示的な実施形態において、精練セクション135は、分散-精練のセグメント100の表側105の基板115における表面積の約30%を占有し、一方で分散セクション125は、分散-精練のセグメント100の表側105の基板115における表面積の約70%を占有する。さらに他の例示的な実施形態において、精練セクション135は、基板115における表面積の約30%を占有してよく、分散セクション125は基板115における表面積の約40%を占有してよく、(複数の内側供給バー123を備える)供給セクションは、分散-精練のプレートセグメント100の各表側105の基板115における表面積の約30%を占有してよい。他の例示的な実施形態において、分散セクション125は、基板115における表面積の少なくとも50%を占有する。
【0037】
図1Aは、径方向に最も外側の歯群120と、精練セクション135の入口における精練バー140との間に配設された、一連の移行バー183をさらに示す。移行バー183は、径方向に最も外側の歯120を精練バー140に物理的に接続してよく、または移行バー183は、径方向に最も外側の歯120および精練バー140に、単に隣接するよう配設され得る。移行バー183は、リサイクル繊維275を精練間隙249に供給する。特定の例示的な実施形態において、移行バー183は、より狭い径方向外側端部と比較して、より広い径方向内側端部を有し得る。特定の例示的な実施形態において、移行バー183の径方向外側端部は、精練の溝145と当接し得ることを、さらに理解されたい。特定の例示的な実施形態において、移行バー183の径方向内側端部は、径方向に最も外側の歯群120の間の側方空隙136に配設されるか、または径方向に最も外側の歯群120の間の側方空隙136から径方向外側に配設され得る。
【0038】
理論に縛られることなく、移行バー183は、リサイクル繊維275を精練セクション235の中に供給するのに役立ち、それによってリサイクル繊維275が分散セクション225と精練セクション235との間で詰まって堆積するのを防止できると考えられている。
【0039】
分散-精練のプレートセグメント100は、内側供給バー123を特徴として備えてもよい。しかし、これらの内側供給バー123は、全ての分散-精練のプレートセグメント100、100’に存在しなくてもよいことを理解されたい。
【0040】
図1Bは、分散機における
図1Aの回転子の分散-精練のプレートセグメント100に面するよう構成された、例示的な対向する分散-精練のプレートセグメント100’を示す。この例において、対向する分散-精練のプレートセグメント100’は固定子である。逆回転する分散機において、対向する分散-精練のプレートセグメント100’は、別の回転子セグメント(
図1A参照)となることを理解されたい。歯群120’は、
図1Aに示す歯群120とかみ合うよう構成される。出願人は、プライム記号(’)を使用して、特定の特徴が、示された実施形態においては固定子のプレートセグメント100’である、対向する分散-精練のプレートセグメントに示されることを表わす。同様の参照記号は、対向する分散-精練のプレートセグメント100、100’の同様の特徴を表わす。
【0041】
図2Aは、例示的な面する分散-精練のプレートセグメント200、200’が、歯の高さ230が精練バーの高さ250を越えているのを示す、断面図である。動作中、リサイクル繊維275は回転の中心から径方向外側へ、面する分散-精練のプレートセグメント200、200’の内弧222、222’を越えて流れる。次にリサイクル繊維275は、分散セクション225、225’、および面する分散セクション225、225’によって画定された分散間隙251を通って、径方向外側に流れ続ける。
【0042】
傾斜部227、227’は、歯群120、120’の径方向内側に望ましく位置付けられてよい。傾斜部227、227’は、リサイクル繊維275が、分散セクション225、225’の入口において示された予期される最大の分散間隙251で、分散効果を迂回するのを防止する。傾斜部227、227’が存在すると、内側供給バー223がリサイクル繊維275を分解して、リサイクル繊維275を分散セクション225、225’の中に導くのに役立つ。
【0043】
リサイクル繊維275は、分散セクション225、225’が重複したかみ合う歯群220、220’の側方内壁247と側方外壁259との交差部によって処理される。理論に縛られることなく、圧縮が精練セクション235において精練する力の多くを提供する一方で、せん断力が分散セクション225において分散する力の多くを備える、と考えられている。これは部分的に、精練間隙249と比較して幾分大きい分散間隙251のためである。これらのせん断力は、粘着物の多くをリサイクル繊維275から取り除くと考えられている。分散歯群120の複数の鋭角部173は、特に先端側164において、これらのせん断力の多くを付与し、それによって分散効果を向上させると考えられている。すなわち、側方内壁247と側方外壁259との間、および縁部173に沿ってリサイクル繊維275を迅速に曲げることによって、ごみ、インク、および粘着物をリサイクル繊維275から取り除く。迅速な動き、および側方内壁247と側方外壁259との間のごみ、インク、および粘着物のせん断も、ごみ、インク、および粘着物を最終製品において目立たない程度に分解する。
【0044】
分散後、かみ合う歯群220、220’の径方向に最も外側の列217は、分散されたリサイクル繊維275を、対向する精練バー240、240’の平坦な上面243、243’によって画定された精練間隙249の中に、さらに供給する。
図2Aに見られるように、大きい空間が、径方向に最も外側の歯220の側方外壁259の後ろに存在する。この空間によって、製造者が、精練バー240の頂部を分散歯群120の頂部より低い高さにこすりつけることを、そうすることで歯群120を損傷させることなく可能にする。しかし、この空間はまた、リサイクル繊維275が分散セクション225と精練セクション235との間に堆積して詰まらせる。したがって、好ましい実施形態において、固定子の分散-精練のプレートセグメント200’の基板215’は、分散セクション225’と精練セクション235’との間に配設されたデフレクタ263’をさらに画定する。デフレクタ263’は、分散されたリサイクル繊維275を精練キャップ249に導き、それによって詰まるのを防止する。他の例示的な実施形態において、デフレクタ263’は回転子の分散-精練のプレートセグメント200に配設され得ることを、理解されたい。示したように、デフレクタ263’は、変化する厚さ(すなわち、分散セクション225における基板の薄いセクションから、精練セクション235における基板の厚いセクションへ接続する厚さ)を有し得る。
【0045】
さらに他の例示的な実施形態において、デフレクタ263’を省いてもよい。しかし、リサイクル繊維275を精練セクション235、235’の中に供給することは、デフレクタ263’なしでは効果が薄れることになり、リサイクル繊維275の最大処理量は減少し得ることを、理解されたい。対向する精練セクション235、235’は、平坦な上面243、243’を有する精練バー240、240’、および溝245、245’の任意の現存する構成、または新たな構成の特徴を備えてよく、リサイクル繊維275を精練間隙で処理する。
【0046】
理論に縛られることなく、(流すためにより大きい容積制限を有する)かみ合う歯群220、220’を特徴とする、分散-精練のプレートセグメント200、200’の内側部分は、高い生産能力を維持して効果的な分散作業をもたらすのに役立つ、と考えられている。分散セクション225、225’は、精練バー240、240’、および溝245、245’の精練セクション235、235’を、分散-精練のプレートセグメント200、200’の外周位置に供給する。精練セクション325、355’は、さらなる供給/積載能力、および、製品をより良好に取り扱って効果的な精練エネルギーを加えるための、より大きい体積(外周により近い弧セグメントの、より大きい面積のため)を有する。
【0047】
例示的な分散-精練のプレートセグメント200、200’は、裏側210と比較して異なる少なくとも2つの表面高さT1、T2を有するよう鋳造し、次に機械加工してよく、精練エネルギーに加えて効果的な分散をもたらす。かみ合う歯群220、220’は、精練バー240、240’(250、250’参照)および溝245、245’よりも高くなる230、230’。その結果、精練バー240、240’の頂部243、243’は、かみ合う歯群220、220’の高さ230、230’を下げることなく、精確に機械加工することができる。かみ合う歯群220、220は、鋳造したものとするか、平坦に機械加工したものとするか、または鋳造しかつ平坦に機械加工したものとすることができる。特定の例示的な実施形態において、かみ合う歯群220の歯220は、精練セクション235の精練バー240よりも少なくとも50%高い。例えば、精練バー240は約7mm±3mmの高さであってよく、分散歯220は精練バー240よりも少なくとも50%高くてよい。本明細書で説明するかみ合う歯群220は、約8mm~約30mmの範囲の高さを有してよいことが企図される。さらに他の例示的な実施形態において、かみ合う歯群220は精練バー240よりも少なくとも100%高くてよい。
【0048】
図2Bは、
図2Aに示された囲み範囲B-Bの拡大図である。例示的な実施形態は、オペレータが対向する分散-精練のプレートセグメント200、200’の間の距離を調整するとき、分散間隙251および精練間隙249の両方が調整されることになるよう考慮される。しかし、精練間隙249の効果は、分散間隙251よりも顕著となる。理論に縛られることなく、分散は、かみ合う歯群220、220’の側方内壁247と側方外壁259との交差部において主に発生し、かみ合う歯群220、220’の頂部253、253’にわたってではないと考えられる。その結果、オペレータが分散-精練のプレートセグメント200を、他方の分散-精練のプレートセグメント200’に向けて、または離すよう動かすとき、側方内壁247と側方外壁259との間の分散間隙251の距離は、精練バー240、240’の対向する頂部243、243’の間の距離よりも変化しない。
【0049】
例示的な分散-精練のプレートセグメント200、200’において、対向する分散-精練のプレートセグメント200、200’のかみ合う歯群220、220’の間の分散間隙251は、ミリメートル毎の機械調整で、0.1mm~0.4mmだけ調整してよく、一方では精練間隙249は1:1の位置交換を伴う調整を行うことになる。いくつかの例示的な実施形態において、第2の表面高さT2が、(第2の表面高さT2から裏側210までの最短距離として計測される際に)第1の表面高さT1よりも厚い基板上に配設されることが企図される。理論に縛られることなく、第2の表面高さT2におけるより厚い基板は、対向する分散-精練のプレートセグメント200、200’の間の直線の精練間隙249と共に、例示的な分散-精練のプレートセグメント200、200’が1:1の精練間隙の調整比率を維持するよう構成されることを可能にしてよく、その一方で例示的な分散-精練のプレートセグメント200、200’が分散間隙251に対して1:1未満の調整比率を維持するよう、さらに構成される。この相違は、オペレータがより精確に精練効果を制御可能にしながら、比較的変化しない分散効果を可能にし得る。その結果、分散機のプレート設計の正しい選択を伴って、ここで、一定の分散エネルギーをリサイクル繊維275に加えることが可能となり、一方で機械位置調整は、加えられる精練エネルギーをより厳格に制御する。
【0050】
特定の例示的な実施形態において、精練間隙249は3mm以下である。さらに別の例示的な実施形態において、対向する分散-精練のプレートセグメント200、200’の軸方向位置を調整することによって、精練間隙249に1:1の比率の調整を、および分散間隙251に1:3の比率の調整をもたらす。すなわち、精練間隙249の幅の全ての変化のため、分散間隙251の幅は、精練間隙249の幅の変化の1/3だけ変化する。
【0051】
例示的な分散-精練のプレートセグメントは、裏側から表側を分離した基板であって、表側と、辺長と、辺長の第1の端部に配設された、内弧と、辺長の第2の端部に配設され、辺長に沿って内弧から径方向遠位に位置された、外弧と、辺長に沿って内弧と外弧との間に延びる、第1の側辺と、辺長に沿って内弧と外弧との間に延び、第1の側辺から遠位に配設された、第2の側辺と、厚さに沿って表側から反対に配設された裏側と、を有し、表側と裏側は、外弧、内弧、第1の側辺、および第2の側辺の間に延びる、基板と、基板から延びる歯群であって、径方向の空隙に配設された列に配置され、基板上の領域を占有し、歯群における歯は、歯の高さと、壁と、隣接する壁の交差部における縁部とを備え、領域は分散セクションを画定する、歯群と、基板から延びる精練バーであって、隣接する精練バーおよび基板は、隣接する精練バーの間に溝を画定し、それによって精練バーは、精練バーおよび溝が交互となる精練セクションを画定し、精練セクションは、分散セクションよりも辺長の第2の端部に近く配設され、精練バーおよび溝が交互となる領域の精練バーは精練バーの高さを有し、歯の高さは精練バーの高さを越える、精練バーとを備える。
【0052】
別の例示的な分散-精練のプレートセグメントは、基板と、基板から延びる歯群であって、径方向の空隙に配設された列に配置され、歯群における歯は、歯の高さ、壁、および隣接する壁の交差部における縁部を有し、基板上の領域を占有し、領域は分散セクションを画定する、歯群と、基板から延びる洗練バーであって、隣接する精練バーおよび基板は、隣接する精練バーの間に溝を画定し、それによって精練バーは、精練バーおよび溝が交互となる精練セクションを画定し、精練セクションは分散セクションから遠位に配設され、精練バーは精練バーの高さを有し、歯の高さは精練バーの高さを越える、精練バーとを備える。
【0053】
例示的な分散機装置は、軸において回転の中心を有し、軸の周りを回転するよう構成された、第1の分散機アセンブリと、第1の分散機アセンブリに面する第2の分散機アセンブリとを備える例示的な分散機装置であって、第1の分散機アセンブリおよび第2の分散機アセンブリは各々、支持構造、および環状に配置され支持構造に固定係合された複数の分散-精練のプレートセグメントを備え、分散-精練のプレートセグメントは、表側と、辺長と、辺長の第1の端部に配設された、内弧と、辺長の第2の端部に配設され、辺長に沿って内弧から径方向遠位に位置された、外弧と、辺長に沿って内弧と外弧との間に延びる、第1の側辺と、辺長に沿って内弧と外弧との間に延び、第1の側辺から遠位に配設された、第2の側辺と、厚さに沿って表側から反対に配設される裏側とを備え、裏側と表側は、外弧、内弧、第1の側辺、および第2の側辺の間に延び、裏側は支持構造に配設される、基板であって、表側は、基板から延びる歯群であって、径方向の空隙に配設された列に配置され、歯群における歯は、歯の高さ、壁、および隣接する壁の交差部における縁部を有し、基板上の領域を占有し、領域は分散セクションを画定する、歯群と、基板から延びる精練バーであって、精練バーにおいて隣接する精練バーおよび基板は、隣接する精練バーの間に溝を画定し、それによって精練バーは、精練バーおよび溝が交互となる精練セクションを画定し、精練セクションは、分散セクションよりも辺長の第2の端部に近く配設され、精練バーおよび溝が交互となる領域の精練バーは精練バーの高さを有し、歯の高さは精練バーの高さを越える、精練バーとをさらに備える、基板を有し、第2の分散機アセンブリに対する第1の分散機アセンブリの対向する歯群は、分散間隙を画定するようかみ合い、第2の分散機アセンブリに対する第1の分散機アセンブリの対向するバーは、精練間隙を画定する。
【0054】
本発明を、現在考慮される最も実用的かつ好ましい実施形態に関して説明したが、本発明は開示した実施形態に限定されるものではなく、反対に、本発明の趣旨および範囲内に含まれる、様々な変更および同等の装置を網羅するよう意図していることを、理解されたい。